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特許7560894ターゲットを定着可能、かつ必要に応じて除去可能なタンパク質製品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-25
(45)【発行日】2024-10-03
(54)【発明の名称】ターゲットを定着可能、かつ必要に応じて除去可能なタンパク質製品
(51)【国際特許分類】
   C08L 89/00 20060101AFI20240926BHJP
   C09D 189/00 20060101ALI20240926BHJP
   C09J 189/00 20060101ALI20240926BHJP
   C09D 5/00 20060101ALI20240926BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20240926BHJP
   C05G 5/30 20200101ALI20240926BHJP
   A01N 43/88 20060101ALI20240926BHJP
   A01N 43/90 20060101ALI20240926BHJP
   A01N 43/36 20060101ALI20240926BHJP
   A01N 51/00 20060101ALI20240926BHJP
   A01P 7/04 20060101ALI20240926BHJP
   A61K 8/64 20060101ALI20240926BHJP
   A61K 8/55 20060101ALI20240926BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20240926BHJP
   A61K 8/22 20060101ALI20240926BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20240926BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20240926BHJP
   A61K 9/12 20060101ALI20240926BHJP
   A61K 36/25 20060101ALI20240926BHJP
   A61K 47/42 20170101ALI20240926BHJP
   A61K 47/24 20060101ALI20240926BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20240926BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20240926BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20240926BHJP
   A01N 25/24 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
C08L89/00
C09D189/00
C09J189/00
C09D5/00 D
C09D7/63
C05G5/30
A01N43/88 101
A01N43/90 101
A01N43/36 A
A01N51/00
A01P7/04
A61K8/64
A61K8/55
A61K8/44
A61K8/22
A61K8/19
A61Q17/04
A61K9/12
A61K36/25
A61K47/42
A61K47/24
A61K47/18
A61K47/04
A61K47/02
A01N25/24
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022552233
(86)(22)【出願日】2020-04-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-13
(86)【国際出願番号】 CN2020086453
(87)【国際公開番号】W WO2021169014
(87)【国際公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】202010132406.0
(32)【優先日】2020-02-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522341344
【氏名又は名称】シャアンシー ノーマル ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】100166729
【弁理士】
【氏名又は名称】武田 幸子
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ペン
(72)【発明者】
【氏名】スー ハオ
(72)【発明者】
【氏名】ハン チアン
【審査官】中落 臣諭
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第109821076(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109731137(CN,A)
【文献】特開平10-291999(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L1/00-101/14
C08K3/00-13/08
C09D1/00-201/10
C09J1/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
10~600部のタンパク質、
10~600部のタンパク質変性剤、
100部の定着ターゲットという重量部の配合比率の原料を含み、
前記タンパク質は、リゾチーム、ウシ血清アルブミン、ヒト血清アルブミン、乳清アルブミン、インスリン、α-ラクトアルブミン、フィブリノーゲン、β-ラクトグロブリン、リボヌクレアーゼA、シトクロムc、α-アミラーゼ、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、ペプシン、ミオグロビン、アルブミン、コラーゲン、ケラチン、大豆タンパク質、ラクトフェリン、ヘモグロビン、DNAポリメラーゼ、カゼインのうちのいずれか一種又は複数種であり、
前記タンパク質変性剤は、強酸化剤又は強還元剤であり、
前記定着ターゲットは、塗料、化粧品、農薬、化学肥料のうちのいずれか一種であることを特徴とする、ターゲットを定着可能、かつ必要に応じて除去可能なタンパク質製品。
【請求項2】
50~500部のタンパク質、
50~500部のタンパク質変性剤、
100部の定着ターゲットという重量部の配合比率の原料を含むことを特徴とする、請求項1に記載のターゲットを定着可能、かつ必要に応じて除去可能なタンパク質製品。
【請求項3】
100~300部のタンパク質、
100~300部のタンパク質変性剤、
100部の定着ターゲットという重量部の配合比率の原料を含むことを特徴とする、請求項1に記載のターゲットを定着可能、かつ必要に応じて除去可能なタンパク質製品。
【請求項4】
前記定着ターゲットが化粧品である場合、前記強還元剤は、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩、システイン、還元性グルタチオンのうちのいずれか一種又は複数種であり、前記強酸化剤は、過酸化水素水、オゾン、鉄酸ナトリウムのうちのいずれか一種又は複数種であることを特徴とする、請求項1に記載のターゲットを定着可能、かつ必要に応じて除去可能なタンパク質製品。
【請求項5】
前記定着ターゲットが塗料、農薬、化学肥料のうちのいずれか一種である場合、前記強還元剤は、ジチオトレイトール、β-メルカプトエタノール、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩、システイン、還元性グルタチオンのうちのいずれか一種又は複数種であり、前記強酸化剤は、三価コバルト塩、塩素酸塩、過マンガン酸カリウム、過硫酸塩、重クロム酸カリウム、濃硫酸、塩酸、硝酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、過塩素酸、オゾン、過酸化水素水、フッ素ガス、塩素ガス、ビスマス酸ナトリウム、過ヨウ素酸、鉄酸ナトリウム、二酸化鉛、塩酸グアニジン、尿素、トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、トリフルオロ酢酸のうちのいずれか一種又は複数種であることを特徴とする、請求項1に記載のターゲットを定着可能、かつ必要に応じて除去可能なタンパク質製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体材料の技術分野に属し、具体的には、タンパク質膜を利用してターゲットを定着させることにより、ターゲット(例えば、塗料、農薬、化学肥料、化粧品、薬品など)の利用率を向上させ、ターゲットの流失による環境汚染、資源浪費などの問題を防止することに関する。
【背景技術】
【0002】
農薬は、農業において重要な役割を果たし、農薬を使用しないと、虫害による果物、野菜及び穀物の損失は、それぞれ78%、54%及び32%に達する。農薬は、農作物を害虫及び植物病原体の侵害から守り、農作物の品質及び生産量を保証し、日増しに増加する世界人口に豊富な食品を提供する。現在、農薬は、植物界の農作物、野菜、果物及び他の植物に広く使用される。しかしながら、植物の葉の疎水/超疎水特性のため、農薬液滴が植物の葉に当たると、跳ね上がるか、又は飛散することにより、50%を超える農薬の流失を引き起こす。散布した後に、一部の農薬のみが植物表面に到達し、葉に到達した一部の農薬は、雨による浸食、蒸発及び洗い流しによって地下水、大気及び土壌に入る可能性があり、農薬の過剰使用のみならず、深刻な環境汚染をもたらし、人間の健康、絶滅危惧種及び生態系に悪影響を与える。農薬液滴の流失を改善する一般的な方法は、液体にポリマー溶液、界面活性剤を添加するか、又は液滴を帯電させることにより、植物の葉面での農薬の付着性を向上させることである。しかしながら、界面活性剤が環境に優しくなく、環境に二次汚染をもたらす可能性があることを考慮すると、この方法の使用を回避すべきである。また、該方法は、雨水の洗い流しなどの他の自然条件が農薬に与える影響も考慮していない。例えば、高エネルギー電子線で改質した天然アタパルジャイトを用いて植物の表面での農薬の損失を制御するか、ポリドーパミンマイクロカプセルを用いて葉面上の農薬の保持時間を延長するか、又はナノ農薬を製造するなどの他の方法がある。しかしながら、これらの方法は、植物界における汎用性及び農薬を定着させる優れた能力を示さない。
【0003】
塗料は、建築業界において一般的であり、それらは、建築の外壁を美化し、保護することができ、建築の内部を酸性雨などの腐食から保護することができるが、自然環境の多変性及び人間の不可避的な活動のため、建築に塗布された塗料が雨水で洗い流されて、壁体の剥離、財産の損失及び環境汚染の問題を引き起こす。現在市販されている防水型塗料は、成分が環境に優しくない、耐候性が低いなどの問題が存在するため、塗料を建築の表面に定着させ、それが雨に流されることや、酸性雨により腐食されることを防止し、雨水が壁面に浸透して壁面を腐食することによって損失をもたらす確率を低減する方法が必要とされる。
【0004】
日焼け止めクリームなどの化粧品は、皮膚の表面に塗布し紫外線を遮断するために用いられるが、汗や雨、日常の水や光などにより、皮膚に残った日焼け止めクリームの量が減り、肌が紫外線を浴びて、黒ずみや、日焼け、老化などの問題を引き起こし、何度も塗布する必要がある。そのため、日焼け止めクリームの日焼け止め時間を延長し、使用回数を減らす必要がある。
【0005】
薬品は、人間の疾患を予防、治療、診断し、人間の生理機能を意図的に調節するために、人々の日常生活で一般的に使用すされている。例えば、打撲傷スプレー剤などは、一般的に患部にスプレーし、血の流れを良くしてうっ血を解消し、痛みを軽減し、回復を促進するが、人間の豊富な日常活動を考慮すると、薬物などが簡単に洗い流され、それの保護、治療などの機能が大きく損なわれてしまう。したがって、作用時間が長く、水洗いを防止でき、成分が安全で、人体に優しい定着方法が必要とされる。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、定着ターゲットに対して高い定着能力を有し、定着ターゲットを必要に応じて除去可能なタンパク質製品を提供することであり、該タンパク質製品は、安定性が高いという特徴を有し、様々な条件下(高温、低温、光照射、模擬酸性雨環境、微生物環境、有機溶媒)で安定して存在することができる。
【0007】
上記目的に対して、本発明に係る、ターゲットを定着可能、かつ必要に応じて除去可能なタンパク質製品は、
10~600部のタンパク質、
10~600部のタンパク質変性剤、
100部の定着ターゲットという重量部の配合比率の原料を含み、
前記タンパク質は、リゾチーム、ウシ血清アルブミン、ヒト血清アルブミン、乳清アルブミン、インスリン、α-ラクトアルブミン、フィブリノーゲン、β-ラクトグロブリン、リボヌクレアーゼA、シトクロムc、α-アミラーゼ、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、ペプシン、ミオグロビン、アルブミン、コラーゲン、ケラチンのうちのいずれか一種又は複数種である。
【0008】
前記定着ターゲットは、塗料、化粧品、医療用薬品、農薬、化学肥料のうちのいずれか一種である。
【0009】
前記タンパク質変性剤は、強還元剤又は強酸化剤であり、定着ターゲットが化粧品又は医療用薬品である場合、前記強還元剤は、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩、システイン、還元性グルタチオンのうちのいずれか一種又は複数種であり、前記強酸化剤は、過酸化水素水、オゾン、鉄酸ナトリウムのうちのいずれか一種又は複数種である。定着ターゲットが塗料、農薬、化学肥料のうちのいずれか一種である場合、前記強還元剤は、ジチオトレイトール、β-メルカプトエタノール、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩、システイン、還元性グルタチオンのうちのいずれか一種又は複数種であり、前記強酸化剤は、三価コバルト塩、塩素酸塩、過マンガン酸カリウム、過硫酸塩、重クロム酸カリウム、濃硫酸、塩酸、硝酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、過塩素酸、オゾン、過酸化水素水、フッ素ガス、塩素ガス、ビスマス酸ナトリウム、過ヨウ素酸、鉄酸ナトリウム、二酸化鉛、塩酸グアニジン、尿素、トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、トリフルオロ酢酸のうちのいずれか一種又は複数種である。
【0010】
前記タンパク質製品は、好ましくは、
50~500部のタンパク質、
50~500部のタンパク質変性剤、
100部の定着ターゲットという重量部の配合比率の原料を含み、
前記タンパク質製品は、更に好ましくは、
100~300部のタンパク質、
100~300部のタンパク質変性剤、
100部の定着ターゲットという重量部の配合比率の原料を含み、
前記定着ターゲットが固体である場合、タンパク質、タンパク質変性剤、定着ターゲットを直接均一に混合してタンパク質製品を製造し、使用時に、タンパク質製品を水又は界面活性剤を含有する水若しくは有機溶媒と混合して、対象表面に均一に散布、塗布、浸漬塗布、回転塗布又はスパッタリングする。
【0011】
前記定着ターゲットが塗料、農薬、化学肥料のうちのいずれか一種である場合、前記有機溶媒は、石油系炭化水素溶剤、コールタール系溶剤、テルペン系炭化水素溶剤、アルコール系溶剤、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、エーテルエステル系溶剤、植物油、鉱物油のうちのいずれか一種又は複数種であり、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、重質ベンゼン、トリメチルベンゼン、ナフタレン、アルキルナフタレン、メチルエチルベンゼン、プロピルベンゼン、クロロベンゼン、四塩化炭素、灯油、マシン油、ホワイトオイル、軽油、流動パラフィン、ホワイトガソリン、イソパラフィンオイル、重油、ペンタン、ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、エチレングリコール、脂肪アルコール、ブタンジオール、プロピレングリコール、グリセロール、オクタノール、イソアミルアルコール、トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、トリフルオロ酢酸、エーテル、石油エーテル、メチルグリコールエーテル、エチルグリコールエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、グリコールエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールエーテル、プロピレンオキサイド、エチルアセテート、酢酸sec-ブチル、クエン酸イソアミル、脂肪酸メチルエステル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、アセトン、ブタノン、メチルブタノン、メチルイソブチルケトン、ピロリドン、N-メチルピロリドン、メチルエチルケトン、アセトフェノン、メチルイソブチルケトン、不飽和脂肪族ケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、メチルエチルアセトン、アセトニトリル、ピリジン、フェノール、オクタンアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、デカンアミド、ジメチルスルホキシド、リン酸トリエチル、ユーカリ油、大豆油、コーン油、綿実油、ヒマワリ油、パイン油、ジャトロファ油、テレビン油、ソルベントオイル No.200、菜種油、パラフィン、高級脂肪族炭化水素油、エポキシ化大豆油、メチル化植物油、フタル酸ジメチル、エチルエステル、ジラウリルエステル、安息香酸メチルのうちのいずれか一種又は複数種である。
【0012】
前記定着ターゲットが化粧品である場合、前記有機溶媒は、エタノール、イソプロパノール、n-ブチルアルコール、ブタンジオール、プロピレングリコール、グリセロール、アセトン、ブタノン、トルエン、キシレン、パルミチン酸エチルヘキシル、スクワラン、オクタン酸、ポリジメチルシロキサン、セチルステアリルアルコール、ミンク油、卵黄油、ラノリン油、レシチン、オリーブ油、ヤシ油、ヒマシ油、綿実油、大豆油、ゴマ油、アーモンド油、落花生油、コーン油、コメヌカ油、茶実油、サジー油、アボカド油、ククイナッツ油、ヨーロッパアルガン油、クルミ油、カカオ油のうちのいずれか一種又は複数種である。
【0013】
前記定着ターゲットが医療用薬品である場合、前記有機溶媒は、ベンゼン、四塩化炭素、1,1-ジクロロメタン、1,2-ジクロロメタン、クロロホルム、2-メトキシエタノール、1,1,2-トリクロロエチレン、1,2-ジメトキシエタン、テトラヒドロナフタレン、2-エトキシエタノール、スルホラン、ピリミジン、ホルムアミド、n-ヘキサン、クロロベンゼン、ジオキサン、アセトニトリル、ビニルエチレングリコール、N,N-ジメチルアミド、トルエン、メタノール、シクロヘキサン、N-メチルピロリドン、ペンタン、ギ酸、酢酸、エチルエーテル、アセトン、アニソール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、ペンタノール、酢酸ブチル、トリブチルメチルエチルエーテル、酢酸イソプロピル、メチルエチルケトン、ジメチルスルホキシド、イソプロピルフェニル、エチルアセテート、ギ酸エチル、酢酸イソブチル、酢酸メチル、3-メチル-1-ブタノール、メチルイソブチルケトン、2-メチル-1-プロパノール、酢酸プロピル、1,1-ジエトキシプロパン、1,1-ジメトキシメタン、2,2-ジメトキシプロパン、イソオクタン、イソプロピルエーテル、メチルイソアセトン、メチルテトラヒドロフラン、石油エーテル、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸のうちのいずれか一種又は複数種である。
【0014】
前記定着ターゲットが塗料、農薬、化学肥料のうちのいずれか一種である場合、前記界面活性剤は、ドデシルアルコールポリオキシエチレンエーテル硫酸ナトリウム、AESA-70ドデシル硫酸アンモニウム、K12A-70ドデシル硫酸アンモニウム、K12A-28ドデシル硫酸アンモニウム、K12ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、2級アルキル硫酸ナトリウム、脂肪族アルコールヒドロキシエチルスルホン酸ナトリウム、N-ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、N-ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、アミドポリオキシエチレンエーテル硫酸マグネシウム、ラウリルアルコールポリオキシエチレンエーテルカルボン酸ナトリウム、ドデシルリン酸エステル、ドデシルリン酸エステルカリウム塩、ドデシルリン酸エステルトリエタノールアミン、ラウリルアルコールポリオキシエチレンエーテルスルホコハク酸エステル二ナトリウム、α-アルキルスルホン酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、C12-14アルキルグリコシド、C8-14アルキルグリコシド、C12-16アルキルグリコシド、ドデシルベタイン、ドデシルジメチルアミンオキシド、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルステアリルアルコールエーテル-20、ラウリルグルコシドポリグリセリン、C16-18アルキルグルコシド、脂肪族アルコールエーテル-6、ステアリルアルコール、脂肪族アルコールエーテル-25、オレイルアルコールエーテル、モノステアリン酸グリセリン、ポリアクリルアミド、アクリルアミド共重合体、ポリソルベート、ソルビトールポリオキシエチレンエーテル、リグニンスルホン酸塩、サイカチ、椿油かす、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物ナトリウム塩、ポリカルボン酸エステルナトリウム塩のうちのいずれか一種又は複数種である。
【0015】
前記定着ターゲットが化粧品又は医療用薬品である場合、前記界面活性剤は、ドデシルアルコールポリオキシエチレンエーテル硫酸ナトリウム、AESA-70ドデシル硫酸アンモニウム、K12A-70ドデシル硫酸アンモニウム、K12A-28ドデシル硫酸アンモニウム、K12ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、2級アルキル硫酸ナトリウム、脂肪族アルコールヒドロキシエチルスルホン酸ナトリウム、N-ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、N-ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、アミドポリオキシエチレンエーテル硫酸マグネシウム、ラウリルアルコールポリオキシエチレンエーテルカルボン酸ナトリウム、ドデシルリン酸エステル、ドデシルリン酸エステルカリウム塩、ドデシルリン酸エステルトリエタノールアミン、ラウリルアルコールポリオキシエチレンエーテルスルホコハク酸エステル二ナトリウム、α-アルキルスルホン酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、C12-16アルキルグリコシド、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ラウリルグルコシドポリグリセリン、C16-18アルキルグルコシド、脂肪族アルコールエーテル-6、ステアリルアルコール、脂肪族アルコールエーテル-25、オレイルアルコールエーテル、モノステアリン酸グリセリン、ポリアクリルアミド、アクリルアミド共重合体のうちのいずれか一種又は複数種である。
【0016】
前記定着ターゲットが液体である場合、タンパク質とタンパク質変性剤を均一に混合してA部分とし、定着ターゲットをB部分とし、タンパク質製品を製造し、使用時に、A部分とB部分を均一に混合して、対象表面に均一に散布、塗布、浸漬塗布、回転塗布又はスパッタリングする。
【0017】
本発明の製品は、タンパク質で形成されたタンパク質膜を利用して定着ターゲットを対象表面に定着させ、タンパク質溶液の表面張力が小さいため、大部分のターゲットが対象表面に保持することができ、タンパク質膜を形成した後にターゲットの定着量を大幅に向上させることができる。また、必要に応じてタンパク質膜を分解してターゲットを除去するという目的を達成することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の有益な効果は、以下のとおりである。
【0019】
1、本発明の製品の製造方法は、簡単である。主な添加剤は、タンパク質であり、生体適合性が高く、環境に優しく、動物と植物に対して安全である。
【0020】
2、本発明のタンパク質製品の使用方法は、簡単であり、混合した後に対象表面に均一に散布、塗布、浸漬塗布、回転塗布又はスパッタリングすればよい。
【0021】
3、本発明の製品は、定着ターゲットの利用率を向上させ、定着ターゲットの流失による資源浪費、環境汚染などの問題を減少させ、対象物に形成されたタンパク質膜を効果的に除去することができ、それによりターゲットを除去する目的を達成し、異なる使用条件を満たし、安全面のリスクを排除する。
【0022】
4、本発明のタンパク質製品は、優れた耐候性を有し、高温、低温、酸性雨、光照射、微生物、有機溶媒の環境でいずれも安定して存在する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】ブランクの蓮の葉の表面(a)、農薬のブプロフェジンを直接直接散布した後の蓮の葉の表面(b)、実施例1のタンパク質製品を散布した後の蓮の葉の表面(c)の走査型電子顕微鏡写真である。
図2】Vc及び市販の青果用洗剤を用いて実施例1のタンパク質製品を除去する前(a)、除去した後(b)の蓮の葉の表面の走査型電子顕微鏡写真である。
図3】実施例1のタンパク質製品により形成されたタンパク質膜の耐候性実験における走査型電子顕微鏡写真であり、ここで、aは、超疎水性表面に形成されたタンパク質膜であり、bは、aを高温環境(80℃、30日間)に放置したものであり、cは、低温環境(-24℃、30日間)に放置したものであり、dは、模擬光照射環境(20000LX、30日間)に放置したものであり、eは、模擬酸性雨環境(pH=4、30日間)に放置したものであり、fは、微生物環境(37℃、90日間)に放置したものである。
図4】実施例1のタンパク質製品が蓮の葉の表面に形成したタンパク質膜を異なる有機溶媒に2時間浸漬する前と浸漬した後の走査型電子顕微鏡写真である。
図5】防虫実験により統計された各グループの葉の被食率である。
図6】屋外圃場実験の大豆の収量データである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面及び実施例を参照しながら本発明を更に詳細に説明するが、本発明の保護範囲は、これらの実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0025】
本実施例のタンパク質製品は、10mgのウシ血清アルブミン、10mgのトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩、及び100mgのブプロフェジンを均一に混合して製造される。使用時に、該タンパク質製品を10mLの水に直接加え、軽く均一に撹拌して、得られた混合液を植物の表面に均一に散布する。
【実施例2】
【0026】
本実施例のタンパク質製品は、100mgのウシ血清アルブミン、50mgのトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩、100mgのイミダクロプリドを均一に混合して製造される。使用時に、該タンパク質製品を10mLの水に直接加え、軽く均一に撹拌して、得られた混合液を植物の表面に均一に散布する。
【実施例3】
【0027】
本実施例のタンパク質製品は、150mgのウシ血清アルブミン、100mgのトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩、100mgのアベルメクチン・クロルフェナピルを均一に混合して製造される。使用時に、該タンパク質製品を10mLの水に直接加え、軽く均一に撹拌して、得られた混合液を植物の表面に均一に散布する。
【実施例4】
【0028】
本実施例のタンパク質製品は、200mgのフィブリノーゲン、100mgの重クロム酸カリウム、100mgのブプロフェジンを均一に混合して製造される。使用時に、該タンパク質製品を10mLの水に直接加え、軽く均一に撹拌して、得られた混合液を植物の表面に均一に散布する。
【実施例5】
【0029】
本実施例のタンパク質製品は、300mgのα-ラクトアルブミン、300mgのβ-メルカプトエタノール、100mgのブプロフェジンを均一に混合して製造される。使用時に、該タンパク質製品を10mLの水に直接加え、軽く均一に撹拌して、得られた混合液を植物の表面に均一に散布する。
【実施例6】
【0030】
本実施例のタンパク質製品は、500mgのミオグロビン、300mgの還元性グルタチオン、100mgのブプロフェジンを均一に混合して製造される。使用時に、該タンパク質製品を10mLの水に直接加え、軽く均一に撹拌して、得られた混合液を植物の表面に均一に散布する。
【実施例7】
【0031】
本実施例のタンパク質製品は、600mgのリゾチーム、500mgのジチオトレイトール、100mgのブプロフェジンを均一に混合して製造される。使用時に、該タンパク質製品を10mLの水に直接加え、軽く均一に撹拌して、得られた混合液を植物の表面に均一に散布する。
【実施例8】
【0032】
本実施例では、10mgのウシ血清アルブミンと15mgの過マンガン酸カリウムを均一に混合してA部分とし、100mgのエマルジョン塗料をB部分とし、タンパク質製品を製造する。使用時に、A部分とB部分を均一に混合して、得られた混合液を壁体の表面に均一に散布するか又は塗布する。
【実施例9】
【0033】
本実施例では、50mgのフィブリノーゲンと20mgのβ-メルカプトエタノールを均一に混合してA部分とし、100mgのエマルジョン塗料をB部分とし、タンパク質製品を製造する。使用時に、A部分とB部分を均一に混合して、得られた混合液を壁体の表面に均一に散布するか又は塗布する。
【実施例10】
【0034】
本実施例では、100mgのリゾチームと50mgのシステインを均一に混合してA部分とし、100mgのエマルジョン塗料をB部分とし、タンパク質製品を製造する。使用時に、A部分とB部分を均一に混合して、得られた混合液を壁体の表面に均一に散布するか又は塗布する。
【実施例11】
【0035】
本実施例では、200mgのα-ラクトアルブミンと150mgのジチオトレイトールを均一に混合してA部分とし、100mgのエマルジョン塗料をB部分とし、タンパク質製品を製造する。使用時に、A部分とB部分を均一に混合して、得られた混合液を壁体の表面に均一に散布するか又は塗布する。
【実施例12】
【0036】
本実施例では、300mgのインスリンと300mgのトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩を均一に混合してA部分とし、100mgのエマルジョン塗料をB部分とし、タンパク質製品を製造する。使用時に、A部分とB部分を均一に混合して、得られた混合液を壁体の表面に均一に散布するか又は塗布する。
【実施例13】
【0037】
本実施例では、400mgのホースラディッシュペルオキシダーゼと300mgのビスマス酸ナトリウムを均一に混合してA部分とし、100mgのエマルジョン塗料をB部分とし、タンパク質製品を製造する。使用時に、A部分とB部分を均一に混合して、得られた混合液を壁体の表面に均一に散布するか又は塗布する。
【実施例14】
【0038】
本実施例では、600mgのシトクロムcと600mgの還元性グルタチオンを均一に混合してA部分とし、100mgのエマルジョン塗料をB部分とし、タンパク質製品を製造する。使用時に、A部分とB部分を均一に混合して、得られた混合液を壁体の表面に均一に散布するか又は塗布する。
【実施例15】
【0039】
本実施例のタンパク質製品は、10mgのウシ血清アルブミン、10mgのシステイン、100mgのビオレの日焼け止めクリームを均一に混合して製造される。使用時に、該タンパク質製品を10mLの水に直接加え、軽く均一に撹拌して、得られた混合液を皮膚の表面に均一に塗布する。
【実施例16】
【0040】
本実施例のタンパク質製品は、100mgのインスリン、200mgの還元性グルタチオン、100mgのビオレの日焼け止めクリームを均一に混合して製造される。使用時に、該タンパク質製品を10mLの水に直接加え、軽く均一に撹拌して、得られた混合液を皮膚の表面に均一に塗布する。
【実施例17】
【0041】
本実施例のタンパク質製品は、200mgのフィブリノーゲン、200mgのシステイン、100mgのビオレの日焼け止めクリームを均一に混合して製造される。使用時に、該タンパク質製品を10mLの水に直接加え、軽く均一に撹拌して、得られた混合液を皮膚の表面に均一に塗布する。
【実施例18】
【0042】
本実施例のタンパク質製品は、300mgのリゾチーム、600mgの還元性グルタチオン、100mgのビオレの日焼け止めクリームを均一に混合して製造される。使用時に、該タンパク質製品を10mLの水に直接加え、軽く均一に撹拌して、得られた混合液を皮膚の表面に均一に塗布する。
【実施例19】
【0043】
本実施例のタンパク質製品は、400mgのα-ラクトアルブミン、600mgのシステイン、100mgのビオレの日焼け止めクリームを均一に混合して製造される。使用時に、該タンパク質製品を10mLの水に直接加え、軽く均一に撹拌して、得られた混合液を皮膚の表面に均一に塗布する。
【実施例20】
【0044】
本実施例のタンパク質製品は、500mgのヒト血清アルブミン、500mgのトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩、100mgのビオレの日焼け止めクリームを均一に混合して製造される。使用時に、該タンパク質製品を10mLの水に直接加え、軽く均一に撹拌して、得られた混合液を皮膚の表面に均一に塗布する。
【実施例21】
【0045】
本実施例のタンパク質製品は、600mgの乳清アルブミン、600mgの還元性グルタチオン、100mgのビオレの日焼け止めクリームを均一に混合して製造される。使用時に、該タンパク質製品を10mLの水に直接加え、軽く均一に撹拌して、得られた混合液を皮膚の表面に均一に塗布する。
【実施例22】
【0046】
本実施例では、10mgのウシ血清アルブミンと20mgのシステインを均一に混合してA部分とし、100mgの雲南白薬噴霧剤をB部分とし、タンパク質製品を製造する。使用時に、A部分とB部分を均一に混合して、得られた混合液を皮膚の表面に均一にスプレーする。
【実施例23】
【0047】
本実施例では、50mgのα-ラクトアルブミンと100mgのトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩を均一に混合してA部分とし、100mgの雲南白薬噴霧剤をB部分とし、タンパク質製品を製造し、使用時に、A部分とB部分を均一に混合して、得られた混合液を皮膚の表面に均一にスプレーする。
【実施例24】
【0048】
本実施例では、100mgのフィブリノーゲンと100mgの還元性グルタチオンを均一に混合してA部分とし、100mgの雲南白薬噴霧剤をB部分とし、タンパク質製品を製造する。使用時に、A部分とB部分を均一に混合して、得られた混合液を皮膚の表面に均一にスプレーする。
【実施例25】
【0049】
本実施例では、200mgのリゾチームと100mgのトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩を均一に混合してA部分とし、100mgの雲南白薬噴霧剤をB部分とし、タンパク質製品を製造する。使用時に、A部分とB部分を均一に混合して、得られた混合液を皮膚の表面に均一にスプレーする。
【実施例26】
【0050】
本実施例では、300mgのインスリンと400mgの還元性グルタチオンを均一に混合してA部分とし、100mgの雲南白薬噴霧剤をB部分とし、タンパク質製品を製造する。使用時に、A部分とB部分を均一に混合して、得られた混合液を皮膚の表面に均一にスプレーする。
【実施例27】
【0051】
本実施例では、400mgのα-アミラーゼと500mgのシステインを均一に混合してA部分とし、100mgの雲南白薬噴霧剤をB部分とし、タンパク質製品を製造する。使用時に、A部分とB部分を均一に混合して、得られた混合液を皮膚の表面に均一にスプレーする。
【実施例28】
【0052】
本実施例では、600mgのリボヌクレアーゼAと600mgの還元性グルタチオンを均一に混合してA部分とし、100mgの雲南白薬噴霧剤をB部分とし、タンパク質製品を製造する。使用時に、A部分とB部分を均一に混合して、得られた混合液を皮膚の表面に均一にスプレーする。
【0053】
本発明は、更に、上記実施例1~7におけるブプロフェジン、イミダクロプリド、アベルメクチン・クロルフェナピルの代わりに他の農薬又は化学肥料を使用してもよく、上記実施例8~14におけるエマルジョン塗料の代わりに他の塗料を使用してもよく、上記実施例15~21におけるビオレの日焼け止めクリームの代わりに他の日焼け止めクリーム又は化粧品を使用してもよく、上記実施例22~28における雲南白薬噴霧剤の代わりに他の薬品を使用することができ、いずれも本発明の保護範囲内にある。
【0054】
本発明の有益な効果を証明するために、本発明者らは実施例1、2、3で製造されたタンパク質製品をそれぞれ脱イオン水に加え、軽く振って10mg/mLのタンパク質製品の懸濁液を製造して、以下のように該懸濁液に対して性能試験を行う。
【0055】
1、タンパク質製品の定着能力の検証
超疎水性を有する蓮の葉(図1のaを参照)を例とする。10mg/mLのブプロフェジン懸濁液(脱イオン水からで調製)と10mg/mLの実施例1のタンパク質製品の懸濁液をそれぞれ5cm×5cmの大きさに切り取った蓮の葉に散布し、脱イオン水で蓮の葉を洗い流し、自然乾燥後、走査型電子顕微鏡で観察した。その結果、蓮の葉の表面へのブプロフェジンの定着率が非常に低いが(図1のbを参照)、一方本発明のタンパク質製品が形成したタンパク質膜はブプロフェジンを蓮の葉に定着できること(図1のcを参照)が実証された。
【0056】
2、タンパク質製品の除去可能性の検証
試験1におけるタンパク質膜を形成した蓮の葉を、水、Vc水溶液及び様々な市販の青果用洗剤(例えば、Fairy、白猫、花王、myk+)にそれぞれ20min間浸漬した後、取り出して自然乾燥し、走査型電子顕微鏡で観察した。その結果、該タンパク質製品が形成したタンパク質膜は、水では除去できないが(図2のaを参照)、Vc水溶液又は青果用洗剤で効果的に除去できる(図2のbを参照)ことが実証された。
【0057】
3、タンパク質製品の耐候性の検証
10mg/mLの実施例1のタンパク質製品の懸濁液を超疎水性表面(図3のaを参照)に散布し、80℃の環境下に30日間、-24℃の環境下に30日間、模擬光照射環境下に30日間(20000LX)、pHが4である酸性環境下に30日間、そして微生物環境下に90日間それぞれ放置した。室温が正常な環境下に放置されたサンプルを対照試験として使用した。走査型電子顕微鏡で観察を行った結果、本発明のタンパク質製品が上記様々な環境下においていずれも優れた安定性を示し、高温(図3のbを参照)、低温(図3のcを参照)、光照射(図3のdを参照)、酸性雨(図3のeを参照)、微生物環境(図3のfを参照)において長期定着の効果を達成できることが実証された。
【0058】
4、タンパク質製品の有機溶媒における安定性の検証
10mg/mLの実施例1のタンパク質製品の懸濁液を蓮の葉の表面(図4のaを参照)に散布し、エタノール、n-ヘキサン、石油エーテル、DMF、クロロホルムにそれぞれ2時間浸漬した後、取り出して走査型電子顕微鏡で蓮の葉の表面を観察した(図4を参照)。その結果、本発明のタンパク質製品は、エタノール(図4のbを参照)、n-ヘキサン(図4のcを参照)、石油エーテル(図4のdを参照)、クロロホルム(図4のeを参照)及びDMF(図4のfを参照)に安定して存在できることが実証された。
【0059】
5、防虫性能の検証
大きさが5cm×5cmの白菜の葉を4枚ずつ4グループに分け、それぞれ水を散布し、10mg/mLのイミダクロプリド懸濁液(脱イオン水から調製)を散布し、10mg/mLの実施例2のタンパク質製品の懸濁液を散布し、10mg/mLの実施例2のタンパク質製品の懸濁液を散布した2h後にVc水溶液又は青果用洗剤で処理した。4つのグループの葉を、1グループあたり10匹がいるかカタツムリ合計4グループのカタツムリにそれぞれ給餌した。カタツムリに食用された葉の面積を統計した(図5を参照)。その結果、カタツムリは未処理の白菜の葉のグループに対する食用率がほぼ100%であり、単純にイミダクロプリド懸濁液を散布した後の葉に対する食用率が約30%であるが、本発明のタンパク質製品を使用すると、農薬イミダクロプリドが白菜の葉に効果的に定着されるため、食用率が2%に低下することが実証された。また、本発明のタンパク質製品を使用してイミダクロプリドを定着させた白菜の葉をVc水溶液又は青果用洗剤で処理すると、食用率が改めて80%に上昇することがわかった。この結果により、本発明のタンパク質製品が農薬イミダクロプリドに対して高い定着率を有し、Vc水溶液又は青果用洗剤で除去でき、食品の安全を保証することがわかった。
【0060】
6、圃場試験でのロスコントロール剤の農業における応用効果の実験
屋外大豆試験圃場を3m×1.5mの3区画に分け、、それぞれ以下の処理を行った。第1のグループは、ブランクグループであり、処理を行わず、第2のグループに対して10mg/mLのアベルメクチン・クロルフェナピル懸濁液(脱イオン水から調製)を500mL散布し、第3のグループに対して10mg/mLの実施例3のタンパク質製品の懸濁液を150mL散布した。その結果、本発明のタンパク質製品は、大豆の葉にアベルメクチン・クロルフェナピルを効果的に定着させ、イモムシによる大豆の葉の摂食を制御することができ、未処理区画ブランクグループに比べて豆の収量に有益な影響を与え、アベルメクチン・クロルフェナピルの使用量を第2のグループに比べて60%~70%g低減することが実証された(図6を参照)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6