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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-25
(45)【発行日】2024-10-03
(54)【発明の名称】細胞の凍結保存装置
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20240926BHJP
   C12N 1/04 20060101ALN20240926BHJP
   C12N 5/00 20060101ALN20240926BHJP
   A01N 1/02 20060101ALN20240926BHJP
【FI】
C12M1/00 Z
C12N1/04
C12N5/00
A01N1/02
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022578759
(86)(22)【出願日】2021-06-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-14
(86)【国際出願番号】 KR2021007391
(87)【国際公開番号】W WO2021256801
(87)【国際公開日】2021-12-23
【審査請求日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】10-2020-0074697
(32)【優先日】2020-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0076299
(32)【優先日】2021-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】517082560
【氏名又は名称】セフォ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パク,ヒョンスク
(72)【発明者】
【氏名】リー,サンレイ
【審査官】村松 宏紀
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0031421(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第107751184(CN,A)
【文献】中国実用新案第207208840(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M、C12N、A01N
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の試験管を収容する第1ハウジングと、
前記第1ハウジングを覆う第2ハウジングと、
前記第1ハウジングの内底面から上向きに延設し、周辺の前記試験管の側面に当接して支持する中央支持リブと、
前記第1ハウジングの底面において前記試験管が収容される位置の中央に形成された第1底面通孔と、
前記第1ハウジングの内壁面から第1ハウジングの内側に向かって延設し、前記試験管の側面に当接して、前記試験管を支持する側面支持リブと、を含み、
前記側面支持リブは、
一端が前記第1ハウジングの内壁面に固定され、内壁面と垂直な方向または角部では対角線方向である45度傾斜した方向に突出する突出部と、
前記突出部の突出した先端から当該突出部に対して垂直な両方向に突出する接触部と、を含む、細胞の凍結保存装置。
【請求項2】
前記第1底面通孔の間に位置する第2底面通孔をさらに含む、請求項1に記載の細胞の凍結保存装置。
【請求項3】
前記第1底面通孔と第2底面通孔の直径は、
3~6mmであることを特徴とする請求項2に記載の細胞の凍結保存装置。
【請求項4】
前記中央支持リブの中央を上下に貫通する通孔をさらに含む、請求項1に記載の細胞の凍結保存装置。
【請求項5】
前記通孔の直径は、1.5~3mmであることを特徴とする請求項に記載の細胞の凍結保存装置。
【請求項6】
前記中央支持リブは、
前記第1ハウジングの底面から上部に延設する軸部と、
前記軸部の側面から相互垂直となるように四方に突出した突出部と、
前記突出部の先端から突出部とは平面上垂直である両方向に突出する接触部と、を含む
、請求項1に記載の細胞の凍結保存装置。
【請求項7】
前記試験管は、
上部の一部および下部の一部の側面が前記中央支持リブまたは前記側面支持リブに当接して固定されることを特徴とする請求項に記載の細胞の凍結保存装置。
【請求項8】
前記試験管は、
透明な材質の試験管本体と、
前記試験管本体の下部に嵌着し、試験管本体に比べて直径がさらに大きい下部リングと、
前記試験管本体の上部に結合し、試験管本体に比べて直径がさらに大きい上部カバーと、を含む、請求項に記載の細胞の凍結保存装置。
【請求項9】
前記第2ハウジングは、
上面に第1上面通孔が形成され、
前記第1上面通孔は、前記第1ハウジングの第1底面通孔および第2底面通孔の上部側に位置する、請求項2に記載の細胞の凍結保存装置。
【請求項10】
前記第1上面通孔の直径は、3~6mmであることを特徴とする請求項に記載の細胞の凍結保存装置。
【請求項11】
前記第2ハウジングは、
上面の4個の辺と隣接する位置に各辺と並ぶ方向に形成された第2上面通孔をさらに含む、請求項に記載の細胞の凍結保存装置。
【請求項12】
前記第2ハウジングは、
前記第2上面通孔それぞれを挟んで一対ずつ位置する第3上面通孔をさらに含み、
前記第3上面通孔は、上面の一部および側面の一部に達するように位置する、請求項11に記載の細胞の凍結保存装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞の凍結保存装置に関し、より詳細には、温度平衡の迅速な到達に有利になるように構造が改善された細胞の凍結保存装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、次のように韓国再生医療基金(KFRM)、科学技術情報通信部、保健福祉部の支援によって出願されたものである。
[課題固有番号]22D0801L1
[課題番号]22D0801L1
[部署名]科学技術情報通信部,保健福祉部
[課題管理(専門)機関名]韓国再生医療基金(KFRM)
[研究事業名]韓国政府の再生医療技術開発事業
[研究課題名]大腿骨頭骨壊死患者におけるヒト臍帯由来の骨芽細胞ベースの細胞療法CF-M801の安全性と探索的有効性を評価する第1相臨床試験
[寄与率]50/100
[課題実行機関名]株式会社細胞バイオ
[研究期間]2022.04.01~2024.12.31

[課題固有番号]22C0604L1
[課題番号]22C0604L1
[部署名]科学技術情報通信部,保健福祉部
[課題管理(専門)機関名]韓国再生医療基金(KFRM)
[研究事業名]韓国政府の再生医療技術開発事業
[研究課題名]骨粗鬆症性骨折の治療のための臍帯由来骨芽細胞に基づく高度なバイオ収束医療製品の開発
[寄与率]50/100
[課題実行機関名]株式会社細胞バイオ
[研究期間]2022.04.01~2024.12.31
【0003】
最近、細胞基盤治療剤の開発および商用化が活発に行われている。治療剤の生産後、市中に流通するまで最小1ヶ月から最大6ヶ月まで冷凍保存を経る。冷凍保存を通じて新陳代謝を超低温で停止させて細胞を長期間保管することができる。
【0004】
細胞が保管される温度が低いほど、特に水のガラス転移温度である-130℃以下で保管するほど、細胞の生長率が増加することがすでに様々な研究を通じて糾明された。
【0005】
したがって、産学研がいずれも細胞の冷凍・凍結保管のために主にDimethly Sulfoxid(DMSO)のように凍結防止剤が含まれた凍結保存溶液を保管しようとする細胞とともにバイアル(Vial)に混入し、バイアルを含む保管容器を液体窒素タンク内に設置して細胞を保管する方法を採択している。
【0006】
しかしながら、液体窒素の流動によって交差汚染が発生する確率が高いという短所があるため、最近、先進国を中心に細胞が注入されたバイアル-保管容器を、液体窒素タンクでなく、気体窒素の対流循環を通した-180℃以下の極低温維持システム(以下では「vapor-type tank」)に適用する事例が増加している。
【0007】
従来、液体窒素タンク用に使用された保管容器の場合、極低温環境下における液体窒素の直接接触による機械的破損を防止するために、液体窒素貫通ホールが最小化した構造を有しているが、液体窒素より熱伝導率の低い気体窒素を流動させてバイアル内の細胞温度を急速に低下させることができないという短所を有する。
【0008】
一方、気体窒素の保管容器内に迅速な流動を保証するために、貫通ホールの面積を過度に増加させる場合、冷却中に収縮応力により保管容器の機械的破損が発生し、細胞を安全に保管することができない。
【0009】
韓国公開実用新案第20-2009-0011443号公報(発明の名称:試験管の冷凍保管用コンテナボックス)が掲載されている。
【0010】
従来による細胞の凍結保存装置は、上記した従来技術のように通常下部コンテナボックス(ボディ、Body)と上部コンテナボックス(カバー、Cover)が1つの収容空間を形成し、前記下部コンテナボックスに格子構造体が一体型に形成されたり、別々に製作されて収容されて、複数個の試験管を個別的に配置できる構造を有している。
【0011】
しかしながら、このような従来による細胞の凍結保存装置を使用する場合は、次のような問題がある。
【0012】
一旦、試験管が収容された細胞の凍結保存装置を液体窒素に貯蔵した場合、内部に収容された試験管が液体窒素の温度まで急激に低下して迅速に温度平衡を成す場合にのみ細胞貯蔵の効果を保証することができるが、従来の細胞の凍結保存装置は、これを妨害する問題がある。
【0013】
また、液体窒素から細胞の凍結保存装置を取り出すとき、前記細胞の凍結保存装置の内部または試験管に浸透した液体窒素が常温で急激に膨張して、上部コンテナボックスが分離したり試験管が破裂する問題が頻繁に発生しているので、凍結保存装置内の液化窒素を迅速に除去することは、ユーザ安全の観点から必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、前述のような問題点を解決するためになされたものであって、本発明が解決
しようとする課題は、凍結保存装置の貫通口を介した気体および液体の流れを最大化することによって、温度平衡に迅速に到達させ、機械的強度を十分に維持できる凍結保存装置を提供することにある。
【0015】
すなわち、本発明の目的は、試験管内の細胞を窒素タンク内に保管するにあたって、凍結保存装置内の-190℃以下の温度を維持する液化あるいは気化した窒素の流れを最大化することによって、凍結保存装置内温度平衡に迅速に到達させ、試験管または細胞の凍結保存装置自体の破損を防止できる細胞の凍結保存装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために、本発明の細胞の凍結保存装置は、多数の試験管を収容する第1ハウジングと、前記第1ハウジングを覆う第2ハウジングと、前記第1ハウジングの内底面から上向きに延設し、周辺の前記試験管の側面に当接して支持する中央支持リブと、前記第1ハウジングの底面において前記試験管が収容される位置の中央に形成された第1底面通孔と、を含んでもよい。
【0017】
本発明の実施形態において、前記第1底面通孔の間に位置する第2底面通孔をさらに含んでもよい。
【0018】
本発明の実施形態において、前記第1ハウジングの内壁面から第1ハウジングの内側に向かって延設し、前記試験管の側面に当接し前記試験管を支持する側面支持リブをさらに含んでもよい。
【0019】
本発明の実施形態において、前記側面支持リブは、一端が前記第1ハウジングの内壁面に固定され、内壁面と垂直な方向または角部では、対角線方向である45度傾斜した方向に突出する突出部と、前記突出部の突出した先端から当該突出部に対して垂直な両方向に突出する接触部と、を含んでもよい。
【0020】
本発明の実施形態において、前記第1底面通孔と第2底面通孔の直径は、3~6mmであってもよい。
【0021】
本発明の実施形態において、前記中央支持リブの中央を上下に貫通する通孔をさらに含んでもよい。
【0022】
本発明の実施形態において、前記通孔の直径は、機械的破損の危険のないサイズである1.5~3mmであってもよく、より正確には、空気の流れが有利な3mmであってもよい。
【0023】
本発明の実施形態において、前記中央支持リブは、前記第1ハウジングの底面から上部に延設する軸部と、前記軸部の側面から相互垂直となるように四方に突出した突出部と、前記突出部の先端から突出部とは平面上垂直である両方向に突出する接触部と、を含んでもよい。
【0024】
本発明の実施形態において、前記試験管は、上部の一部および下部の一部の側面が前記中央支持リブまたは前記側面支持リブに当接して固定されてもよい。
【0025】
本発明の実施形態において、前記試験管は、透明な材質の試験管本体と、前記試験管本体の下部に嵌着し、試験管本体に比べて直径がさらに大きい下部リングと、前記試験管本体の上部に結合し、試験管本体に比べて直径がさらに大きい上部カバーと、を含んでもよい。
【0026】
本発明の実施形態において、前記第2ハウジングは、上面に第1上面通孔が形成され、前記第1上面通孔は、前記第1ハウジングの第1底面通孔および第2底面通孔の上部側に位置していてもよい。
【0027】
本発明の実施形態において、前記第1上面通孔の直径は、機械的破損の危険がない1.5~6mmであってもよく、正確には、空気の流れが有利な3~6mmであってもよく、より正確には、機械的破損の危険がなく、流量と流速の流れが最も有利で、迅速な温度平衡に到達させることができる6mmであってもよい。
【0028】
本発明の実施形態において、前記第2ハウジングは、上面の4個の辺と隣接する位置に各辺と並ぶ方向に形成された第2上面通孔をさらに含んでもよい。
【0029】
本発明の実施形態において、前記第2ハウジングは、前記第2上面通孔のそれぞれを挟んで一対ずつ位置する第3上面通孔をさらに含み、前記第3上面通孔は、上面の一部および側面の一部に達することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明は、極低温定常状態での貯蔵容器内窒素ガスの流れに対して流動解析を行うことによって、液体型タンク(Liquid type tank)だけでなく、蒸気型タンク(Vapor type tank)の迅速な温度平衡の到達に有利な細胞の凍結保存装置を提供できる効果がある。
【0031】
また、本発明は、細胞が収容された試験管とハウジングの接触部分を最小化して、試験管を取り出すときに破損することを防止できる効果がある。
【0032】
また、流体解析を通じて液化窒素の流入および排出が容易な通孔の配置を提供して、試験管内の細胞培養液を急速に冷却させることができ、冷却による応力によりハウジングが破損することを防止できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1図1は、本発明の好ましい実施形態による5x5細胞凍結保存装置の分解斜視図である。
図2図2は、第1ハウジングの一実施平面図である。
図3図3は、中央支持リブの平面図である。
図4図4は、側面支持リブの平面図である。
図5図5は、本発明の他の実施形態による9x9細胞凍結保存装置の第1ハウジングの平面図である。
図6図6は、本発明の試作品の製作写真である。
図7図7は、本発明の温度相平衡時間の実験グラフである。
図8図8は、本発明の流体解析結果図である。
図9図9は、第1ハウジングの応力分析図である。
図10図10は、通孔のサイズが異なる場合、応力分析図である。
図11図11は、本発明の性能試験結果図である。
図12図12は、本発明の性能試験結果図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の好ましい実施形態を添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0035】
別段の定めがない限り、本明細書のすべての用語は、当業者が理解する用語の一般的な
意味と同一であり、もし本明細書において使用された用語が当該用語の一般的な意味と衝突する場合には、本明細書に使用された定義に従う。
【0036】
ただし、以下に記述される発明は、本発明の実施形態を説明するためのものであり、本発明の権利範囲を限定するためのものではなく、明細書全般にわたって同一に使用された参照番号は同じ構成要素を示す。
【0037】
図1は、本発明の好ましい実施による5X5細胞の凍結保存装置の分解斜視図であり、図2は、図1の第1ハウジングの平面構成図である。
【0038】
図1および図2をそれぞれ参照すると、本発明の他の実施形態による細胞の凍結保存装置は、底面に多数の通孔110が形成され、上面が開放され、底面から上向きに突出する中央支持リブ120および内側面から当該側面に対して垂直方向に突出する側面支持リブ130を含む第1ハウジング100と、細胞を収容し、前記第1ハウジング100の中央支持リブ120の間または中央支持リブ120と側面支持リブ130の間に設置される試験管300と、前記第1ハウジング100の上部を覆い、上面に多数の第1上面通孔210が形成され、上面と側面の境界部分に設けられた第2上面通孔220および第3上面通孔230が形成された第2ハウジング200と、を含んで構成される。
【0039】
以下、上記のように構成される本発明の好ましい実施形態による細胞の凍結保存装置の構成と作用についてさらに詳細に説明する。
【0040】
まず、第1ハウジング100は、上面が開放され、中空の六面体構造であり、4個の角部の1つには、折曲面140が形成されることによって、前記第2ハウジング200との結合方向を特定することができる。
【0041】
すなわち、第1ハウジング100および第2ハウジング200は、第1ハウジング100が第2ハウジング200の内に挿入されるように結合し、この際、第1ハウジング100および第2ハウジング200それぞれの一方の角部は、平坦面である折曲面140、240が形成されていて、常に2つの折曲面140、240が一致する方向に結合する。
【0042】
前記第1ハウジング100の底面には、多数の通孔110が配置されており、通孔110が形成されていない第1ハウジング100の底面から上向きに突出する中央支持リブ120が位置する。
【0043】
前記中央支持リブ120は、第1ハウジング100と一体に成形されるものとする。
【0044】
また、第1ハウジング100の内側面部には、側面支持リブ130が当該側面に垂直な方向である前記中央支持リブ120に向かって突出するように位置する。
【0045】
前記中央支持リブ120と側面支持リブ130は、試験管300を安定的に支持するためのものであり、試験管300の損傷を最大限防止できる構成を有する。
【0046】
前記中央支持リブ120は、四方に突出したリブを含み、側面支持リブ130は、一方向に突出したリブを含むものであり、試験管300は、装着位置によって4個の中央支持リブ120に側面が当接して固定されたり、2個の中央支持リブ120と2個の側面支持リブ130により側面が当接して固定されてもよい。
【0047】
この際、試験管300は、側面の全体が前記中央支持リブ120または側面支持リブ130に当接せず、上部と下部の一部のみが接触し、したがって、凍結状態で試験管300
を取り出すとき、試験管300が破損することを防止することができる。
【0048】
前記試験管300は、ガラスなどの透明な材質の試験管本体310と、前記試験管本体310の下部に結合し、試験管本体310に比べて直径がさらに大きい下部リング330と、前記試験管本体310の上部に結合し、試験管本体310を覆い、当該試験管本体310に比べて直径がさらに大きい上部カバー320とからなってもよい。
【0049】
前記上部カバー320と下部リング330は、材質が前記第1ハウジング100と同じポリカーボネートを使用することが好ましい。
【0050】
前記試験管300が第1ハウジング100内に収容されるとき、試験管本体310は、前記中央支持リブ120または側面支持リブ130に接触しない。
【0051】
直径がさらに大きい下部リング330と上部カバー320が中央支持リブ120または側面支持リブ130の側面に当接して固定された状態で支持される。
【0052】
前記第1ハウジング100と第2ハウジング200は、相互結合し、内部に空間を形成する六面体構造からなり、前述したように、結合の方向を一致させるために、第1ハウジング100と第2ハウジング200の一方の角部は、それぞれ、折曲面140、240が形成されている。
【0053】
図3は、中央支持リブ120の平面図である。
【0054】
中央支持リブ120は、中央の軸部121と、前記軸部121の側面から相互垂直となるように四方に突出した突出部122と、前記突出部122の先端から突出部122に対して平面上垂直である両方向に突出する接触部123と、を含む。
【0055】
前記接触部123は、突出した両端の先端部が試験管300の上部カバー320と下部リング330の一部に接触し、試験管300が流動しないように支持する。
【0056】
前記中央支持リブ120は、第1ハウジング100と一体に形成され、材質も、ポリカーボネート材質であって、同じものとし、第1ハウジング100と一体に射出成形されたものであってもよい。
【0057】
図4は、側面支持リブ130の平面図であり、側面支持リブ130は、一端が前記第1ハウジング100の内壁面に固定され、内壁面と垂直な方向または角部では対角線方向である45度傾斜した方向に突出する突出部131と、突出部131の突出した先端から当該突出部131に対して垂直である両方向に突出する接触部132と、を含む。
【0058】
この際、接触部132は、突出した両端の先端部がそれぞれ隣接する2つの試験管300の上部カバー320および下部リング330の側面の一部に当接することもでき、角部から突出した側面支持リブ130の場合、接触部123の外側面が1つの試験管300の上部カバー320と下部リング330の側面に当接することもできる。
【0059】
本発明は、試験管300を収容した状態で液化窒素に投入されて冷凍される構造であり、試験管300内の細胞冷凍を円滑にするために、第1ハウジング100と第2ハウジング200に液化窒素が流動しうる多数の通孔が設けられている。
【0060】
第1ハウジング100の底面には、多数の通孔110が設けられており、通孔110は、位置によって第1底面通孔111と第2底面通孔112とに区分することができる。
【0061】
前記第1底面通孔111の場合、前記第1ハウジング100の試験管300装着位置の中央に形成され、第2底面通孔112は、実装した試験管300の間の領域を露出させるように形成されている。
【0062】
これは、後述する流体解析の結果によって液体窒素が試験管300に効果的に伝達されるためのものであり、全体的に均一に液化窒素が流入し、装着位置に関係なく、すべての試験管300の細胞を均一に冷凍させるためである。
【0063】
第1底面通孔111は、形成位置によって、4個の中央支持リブ120が成す領域の第1ハウジング100の底面の中央に形成されたり、2個の中央支持リブ120と2個の側面支持リブ130との成す領域の第1ハウジング100の底面の中央に形成されたり、1個の中央支持リブ120と3個の側面支持リブ130との成す領域の第1ハウジング100の底面の中央に形成されてもよい。
【0064】
第2底面通孔112は、第1底面通孔111の間の中央に配置されるものとする。第2底面通孔112は、対向する2つの接触部123、132の間の中央に配置される。
【0065】
前記第2ハウジング200に形成される第1上面通孔210は、前記第1ハウジング100の通孔110の上部に位置するように配置される。
【0066】
前述したように、第1ハウジング100の第1底面通孔111と第2底面通孔112の配置および第2ハウジング200の第1上面通孔210の配置は、流体の流動に有利であり、均一な冷凍を可能にする構造である。
【0067】
この際、第1ハウジング100の通孔110と第2ハウジング200の第1上面通孔210の配置において考慮される点は、機械的な強度と流体の流動であり、本発明では、第1ハウジング100の通孔110と第2ハウジング200の第1上面通孔210のサイズと配置を適切に調節して、機械的強度と流体の流動性を全部満たす構造を提案する。
【0068】
前記第2ハウジング200には、第1上面通孔210以外に、第2上面通孔220および第3上面通孔230をさらに含み、第2上面通孔220は、第2ハウジング200の上面において当該上面を成す4個の辺と並ぶ方向に隣接して形成される長孔である。
【0069】
また、第3上面通孔230は、前記第2上面通孔220の両端から所定距離離隔した位置において第2ハウジング200の上面だけでなく、側面まで形成される、すなわち角部部分を除去して形成した通孔である。
【0070】
このような構造によって第1ハウジング100と第2ハウジング200が結合した状態で液化窒素が当該結合したボックスの内部に均一に供給され得るようにする。
【0071】
前記通孔の配置は、徹底して流体解析によって行われたものであり、通孔の当業者レベルで単純な配置によるものではない。
【0072】
このような理由は、第1ハウジング100と第2ハウジング200の設計は、流体の解析だけでなく、冷凍時に作用する応力を考慮した設計であるためである。
【0073】
本発明によって試験管300に収容された試料である細胞を冷凍させるとき、冷凍による応力が第1ハウジング100と第2ハウジング200に作用することとなる。
【0074】
すなわち、本発明を1気圧常温(22℃)で極低温環境である1気圧-196℃まで冷却させるとき、収縮応力が作用し、収縮応力により第1ハウジング100と第2ハウジング200が破損することがあり、試験管300を安全に収容しない場合が発生することがある。
【0075】
図5は、本発明の他の実施形態による第1ハウジングの平面図である。
【0076】
前述した本発明の実施形態は、横方向に試験管300を5個、縦方向に試験管300を5個収容できる5x5構造であり、図5には、横方向に9個の試験管、縦方向に9個の試験管を配置できる9x9構造の例を挙げた。
【0077】
すなわち、第1ハウジング100には、必要に応じて試験管300の配置数を調節することができ、必要に応じて側面支持リブ130を省略することもできる。
【0078】
また、中央支持リブ120には、上下に貫通する通孔124が形成されており、通孔124に冷却ガスが流入し、試験管300の温度を低減することができる構造を提供することができる。
【0079】
この通孔124は、前述した5x5構造だけでなく、配置できる試験管の個数がさらに減少した構造やさらに増加した構造にも適用することができる。
【0080】
この際、第2ハウジング200にも、通孔124に対応する通孔が形成されてもよい。
【0081】
下記の表1は、本発明の第1ハウジング100と第2ハウジング200の材質であるポリカーボネート(polycarbonate)の物性表である。
【0082】
【表1】
【0083】
本発明の性能評価のために、熱解析、熱-構造連成解析および流動解析を行い、解析対象と解析結果を説明すれば、次のとおりである。
【0084】
下記の表2は、本発明の5x5モデルの解析モデルである。
【0085】
【表2】
【0086】
表2において、モデル1-1は、試験管300の下部に位置する直径が6mmの第1底面通孔111のみを含む5x5構造であり、モデル1-2は、前述した本発明のように直径が6mmの第1底面通孔111と第2底面通孔112を含む構造であり、モデル1-3および1-4は、それぞれ、直径が12mmおよび15mmの第1底面通孔111を有する5x5構造の例である。
【0087】
【表3】
【0088】
上記の表3には、上記で図5を参照して説明した9x9モデルの解析モデルを羅列した。9x9モデルは、model 2と命名して説明し、通孔124を有するものと、第1底面通孔を有するものを区分した。
【0089】
モデルの設定時に、底面の通孔のサイズは、1.5mmから3mm、6mm、12mm、15mmまで設定し、これらのうち、極低温環境の影響によって機械的破損が予想される12mmと15mmを優先的に排除し、次に、流速と流量にメリットが大きくない1.5mmを排除した。
【0090】
モデル2-1およびモデル2-2は、保存容器内部のそれぞれリブの通孔124の直径が1.5mmおよび3mmであり、モデル2-3およびモデル2-4は、それぞれ、第1底面通孔111の直径が3mmおよび6mmであり、通孔124の直径が3mmであると特定した。
【0091】
イ.熱解析
上記のモデル1およびモデル2に対して熱解析を行った。
【0092】
メッシュアプリケーション(Mesh Application)は、CADモデルを節点(node)と要素(element)で構成した解析モデルであり、それぞれの要素は、解析する物理系の方程式を構成する媒介体の役割をするので、解析環境によって要求される要素を設定しなければならない。
【0093】
本発明においてメッシュは、四面体タイプ(tetrahedron type)と定義し、メッシュ密度の調整値を3段階のうち最も緻密な段階に設定して、メッシュ粒子の平均のサイズが0.28mmとなるように設定した。
【0094】
各モデル1に対する節点および要素の数は、下記の表4のとおりである。
【0095】
【表4】
【0096】
第1ハウジング100と第2ハウジング200は、3Dモデリング上で1つの剛体で結合し、外部環境は、初期に25℃に設定し、対流条件(film coefficient 1.8W/m℃)を設定する。
【0097】
また、第1ハウジング100の底面が4時間以内に25℃から-196℃まで減温されるように設定した。
【0098】
このような条件における熱解析結果を下記の表5に記載した。
【0099】
【表5】
【0100】
熱流速(total heat flux)は、保管容器が極低温保管タンクの温度と同じ正常状態(-196℃)に到達するとき、単位面積当たり交換されるエネルギー量を意味する。5x5保管容器(model 1)の場合、モデル別の熱流速(total heat flux)は、モデルの種類と関係なく、液体窒素あるいは液体窒素から気化した窒素と最初に接触する底部で最大値が観察された。5x5保管容器の場合、ホール個数が最も多いモデル1-2における最大熱流速値が7,1025W/mであることが確認された。
【0101】
また、9x9保管容器(model 2)は、モデル2-2における最大熱流速値が8,0721W/mと最も高く計算された。また、モデル内配置されたホール個数および面積と熱流速とは大きい関係がないことが示された。これは、熱流速は、本発明が極低温まで熱平衡を成す速度であり、内部の熱平衡程度を示す指標ではないことを意味する。
【0102】
ロ.熱-構造連成解析
上記の熱解析結果を基に熱-構造連成解析を行う。熱-構造連成解析は、本発明の安定性を評価する手段である。
【0103】
熱解析結果で導き出された温度分布および熱流速分布の結果を荷重に作用させた。解析結果、モデル別の等価応力値は、下記の表6のとおりである。本発明に分布する等価応力の最大値が材質の降伏強度(tensile yieldまたはcompression
yield strength)より小さければ、荷重条件に対して安全であると見ることができる。
【0104】
貫通ホールを中心に材料の収縮による応力が発生するが、5x5モデルの場合、モデル1-1からモデル1-3までは貫通ホール周辺の等価応力が材料の降伏強度(185MPa)より小さいので、極低温環境による機械的破断の可能性が低い。
【0105】
一方、モデル1-4は、貫通ホールの周辺で等価応力がそれぞれ197MPaであるから、液体型タンク(liquid type tank)または蒸気型タンク(vapor type tank)で極低温環境による機械的あるいは物理的に破損する確率が高いと判断される。
【0106】
なお、9x9モデルの場合、モデル2-1からモデル2-4まで貫通ホールの周辺に形成された等価応力が材料の降伏強度より小さいので、液体型タンクだけでなく、気体型タンク内で破断しないと判断された。
【0107】
【表6】
【0108】
ハ.流動解析
-モデリングおよび境界条件の設定
汎用の流動解析プログラムであるANSYS Fluentを用いて本発明を解析した。本発明は、汎用の液体型タンクはもちろん、蒸気型タンクに保管用に使用されるものであり、蒸気型タンクの下端に-194℃の液体窒素が充填されており、気化した(vaporized)窒素ガスがタンクの内部を循環しつつ平均-184℃を維持する。
【0109】
気化した窒素ガス量分だけ0.423mm/hrの速度で液体窒素を充填しており、これを通じて、1時間当たり気化した窒素ガスの流量を計算すると、177,57224mm/hrである。
【0110】
-194℃、122barで液体窒素の密度は、798.6kg/mであるのに対し、同一条件の気体窒素の密度は、5.494kg/mであって、約145倍膨張する。
【0111】
したがって、直径731mmの蒸気型タンク内に流入して循環する気体窒素の体積は、25,805,106.27mm/hr、気体窒素の流速は、0.017mm/sである。また、極低温保管容器を通過する気体窒素のレイノルズ数(Re)は、1.03であり、気体窒素は、蒸気型タンク内で層流流動の挙動を示す。
【0112】
したがって、層流モデル(viscous laminar model)を適用して、本発明の内部体積を気体窒素が流動する体積にモデリングし、1/4モデルで構成した。保管容器の内部に構成された通孔のうち第1ハウジングの底面に配置された第1底面通孔111、第2底面通孔112または通孔124をインレットに設定し、第2ハウジング200に形成された上面通孔をアウトレットに設定した。
【0113】
この際、入口境界の条件は、-180℃で気体窒素が0.017mm/sの速度(velocity-inlet)で本発明の内部に流入するものと設定し、出口境界の条件は、圧力(pressure-outlet、1 atm)である。
【0114】
5x5および9x9モデルそれぞれに対してinlet-outletを設定した構成は、下記の表7のとおりである。流動解析も、格子(mesh)の個数によって解析結果が異なっているので、格子依存性(mesh dependence)テストを通じて格子を最適化した。
【0115】
5x5モデルの場合、先行した熱-構造連成解析の結果に基づいて材料の降伏強度を超過するモデル1-4は、流動解析検討モデルから除外した。9x9モデルの場合、モデル2-3およびモデル2-4にそれぞれ直径1.5mm、3mmの通孔124を追加した。モデル別のノードおよび格子の数は、表8のとおりである。
【0116】
【表7】
【0117】
【表8】
【0118】
-流動解析結果
本発明の細胞の凍結保存装置の内部を流れる気体窒素の出口流速は、モデル1がモデル2より最大2倍以上高い傾向を示した。これは、入水口1個あたりの面積(直径)がモデル2よりモデル1がさらに大きいためと判断される。
【0119】
モデル1-1、2-1、2-2、2-3は、入水部、出水部を除いた全区域で気体窒素が3.24×10-3mm/s以下で流動するので、気体窒素による対流熱交換がほとんどないと判断される。モデル1-2、1-3は、入水部-出水部をつなぐ流路では、気体窒素が流動するが、入水部-出水部をつなぐ区間以外の他の区域(赤色の点線表示部分)は、他のモデルと同様に、気体窒素がほとんど流動しない結果が計算された。
【0120】
モデル2-4の場合、気体窒素の最大流速が0.031mm/sであり、モデル1-2やモデル1-3に比べて半分レベルの最大流速を示すが、入水部-出水部をつなぐ区間外の他の区域、特に中央支持リブ120の上側の部分(赤色の点線表示部分)においても気体窒素の流れが観察される傾向を示した。
【0121】
流動解析の結果だけでは、5x5モデルのうちモデル1-3が最も適しているが、極低
温環境で保管容器の等価応力が材料の降参応力値と似ているので、極低温環境の原因で機械的あるいは物理的に破損する恐れを考慮して、モデル1-2を最終モデルに選定することができる。
【0122】
すなわち、5x5モデルでは、直径が6mmの第1底面通孔111と第2底面通孔112を含む構造が最も優れた特性を示す。
【0123】
9x9モデルの場合、本発明内の多くの領域で気体窒素の流動が現れるモデル2-4が最も適していることが確認された。
【0124】
すなわち、9x9モデルでは、第1底面通孔111の直径が3~6mm、通孔124の直径が1.5~3mmであることが最も好ましい特性を示す。
【0125】
-性能評価
5x5モデルは、直径6mmの第1底面通孔111および第2底面通孔112が配置されたモデル1-2、9x9モデルは、直径6mmの第1底面通孔111および直径3mmの通孔124が配置されたモデル2-4を蒸気型タンク用極低温保管容器として採択し、製作した。
【0126】
製作写真は、図6に示した。
【0127】
蒸気型タンク(MVE 800 series-190)の内部にモデル1-2とモデル2-4の試作品それぞれに温度センサーを付着したバイアルを挿入し、タンクの上側部分と下側部分に設置して、常温から温度平衡を成すときまでの温度変化を観察した。また、紙素材の試作品を共に実験した。
【0128】
その結果、上側に設置された保管容器の場合、-80℃に到達するのにかかる時間が、9x9製品は8分、5x5は11分、紙素材の試作品は10分がかかるのに対し、-130℃に到達するのにかかる時間は、9x9は14分、5x5は16分、紙素材の試作品は15分であることが示された。予想外に、紙素材の試作品が5x5より温度下降速度が速い理由は、2つの試作品の厚さは32mmであるのに対し、紙素材の試作品の厚さは2mm以下と薄く、温度測定のために製品になかったホールを加工したので、気体窒素が5x5より迅速に流入すると同時に、伝導による外部温度の伝達も迅速な温度降下の原因と判断される。同様の理由で、下側に設置された保管容器が-80℃に到達するのにかかる時間が9x9は5分、5x5は9分、紙素材の試作品は8分がかかるのに対し、-130℃に到達するのにかかる時間は、9x9は8分、5x5は12分、紙素材の試作品は11分がかかる。5X5と同じ32mmの厚さであるが、9X9の迅速な温度降下は、リブ内の貫通口を通じて極低温の窒素気体が通過しつつ、保管容器の内外に空気循環をさらに自由にすることによって、迅速な温度平衡に到達すると判断される。
【0129】
このような結果は、図7のグラフから確認することができる。図7で、対照群(control)は、紙素材の試作品を示す。
【0130】
以下では、流体解析結果をさらに詳細に説明する。
【0131】
図8は、本発明の流体解析結果である。
【0132】
図8の流体解析結果は、第1ハウジング100の流体解析結果であるが、第2ハウジング200の流体解析結果も同一に現れることができる。
【0133】
前記第1ハウジング100の第1底面通孔111および第2底面通孔112の配置と、第2ハウジング200の第1上面通孔210、第2上面通孔220および第3上面通孔230の配置によって非常に均一な温度分布の冷却が可能となる。
【0134】
また、第1ハウジング100の第1底面通孔111および第2底面通孔112の配置と、第2ハウジング200の第1上面通孔210、第2上面通孔220および第3上面通孔230の配置は、冷却による応力を解消できる構造であり、特に前記通孔111、112、210、220、230の直径は6mmとする。
【0135】
前記第1ハウジング100の通孔110の数は、全て65個であり、通孔110の面積は、1836.9mmとなる。
【0136】
これは、通孔の直径によって通孔に作用する応力に差異があるので、流体の流動が円滑ながらも、応力による第1ハウジング100と第2ハウジング200の損傷を防止できる最適な直径および数である。
【0137】
すなわち、第1ハウジング100と第2ハウジング200の最大引張強度の範囲内の値で応力が作用すると、機械的破断が発生しないが、最大引張強度の範囲から外れる場合、通孔の周辺で極低温環境の影響による機械的破断が発生することがある。
【0138】
図9は、通孔の直径が6mmの第1ハウジング100の応力試験結果を示す。
【0139】
同図に示されたように、前記第1ハウジング100と第2ハウジング200の結合部分で最大応力が作用し、PC素材の第1ハウジング100と第2ハウジング200の最大引張強度より小さい値となり、通孔の周辺に作用する応力も、PCの最大引張強度より小さい値であるから、機械的または物理的破断が発生しない。
【0140】
しかしながら、図10のように、通孔の直径を12mmとしたとき、通孔の周辺の応力が増加し、PC素材の最大引張強度の範囲から外れて、通孔の周辺が極低温環境に起因して破断する可能性が非常に高くなる。
【0141】
したがって、本発明に適用される第1ハウジング100の通孔110と第2ハウジング200の第1上面通孔210の直径は、いずれも3~6mmとする。3mm未満の場合、流体の流動に問題があり、6mmを超過する場合、応力が増加して破断可能性があるためである。
【0142】
このように、本発明は、通孔の配置とサイズを提案して、急激な冷却時にも機械的あるいは物理的破断または変形が発生せず、全体的に均一な冷凍を可能にした。
【0143】
-細胞培養を介した本発明の性能評価
本発明の性能評価のために、細胞株(cell line)1種(C2C12)とヒト成体幹細胞(stem cell)1種(human adipose tissue derived mesenchymal stem cell(hADMSC)P8)に対して紙材質の試作品、9x9、5x5モデル内に細胞(cell)が注入されたバイアルチューブ(vial tube)を1つのグループは-80℃に維持される超低温冷凍庫(deep freezer)に24時間保管した後、常温に解凍させ、他の1つのグループは-196℃を維持する気体型タンク(vapor type tank)に48時間凍結した。
【0144】
2つのグループは、いずれも常温で解凍後、各バイアルチューブに注入されている細胞
の生存率(viability)を評価し、6時間経過後の付着率(adhesion rate)、1日/3日/5日後の細胞の生長率(relative cell proliferation)を比較した。
【0145】
細胞凍結保存液は、Media:FBS:DMSOを7:2:1の割合で混合して使用し、C2C12とhADMSC細胞数は、それぞれ、1x10 cells/ml個に同一に設定して凍結し、解凍後、細胞は、60mmの培養容器に4x10 cellsを接種した。
【0146】
生存率および付着率を評価するために、LUNA-FLTM Dual Fluorescence Cell Counter(Logos Biosystems)を用いて細胞数をカウントした。成長率を評価するために、凍結してから解凍したC2C12細胞は、DMEM High glucose(Themo Fisher Scientific)+10%FBS(Hyclone)+1%P/S(Themo Fisher
Scientific)で、hADMSC P8は、CEFOgroTMMSCGMで培養させ、MTS(3-(4,5-dimethylthiazol-2-yl)-5-(3-carboxymethoxyphenyl)-2-(4-sulfophenyl)-2H-tetrazolium)reagent(Sigma,MO,USA)で分析した。
【0147】
細胞培養結果を見ると、C2C12は、hADMSC P8に比べて温度変化に対する細胞生長感度がさらに高いことが確認された。本発明の温度測定結果と同様に、-80℃および-196℃に細胞保管後に解凍して生長させた場合、5x5の細胞生長指標(生存率、付着率、生長率)は、紙材質の試作品の細胞成長指標と同様または少し低い性能を示すためである。これは、紙材質の試作品の場合、2mmと薄い厚さで構成されていて、流量と流速の影響もあるが、材質面を介した温度伝達が速いためと認められ、5X5と9X9の場合は、厚さが32mmで、紙材質の試作品に比べて材質面を介した温度伝達よりも、通気管を介した流速と流量による温度平衡にさらに影響を受けると判断される。したがって、凍結保存容器の底面に位置する通気管だけでなく、柱タイプで設置されたリブ構造内の通気管が空気の流れをさらに自由にして、細胞の保管安定性を高めると見られる。生長率の場合、流量と流速がさらに自由に開発された保管容器は、いずれも、紙材質の試作品より最大130%改善された。将来、蒸気型タンク上で開発容器内に細胞を1ヶ月以上長期保管後に解凍成長させた場合には、機械的破断を防止するために、通気管が最小化された従来製品より良好な細胞生長指標を示すと判断される。なお、3種の極低温保管容器のうち内部温度が最も速く低下する9x9におけるC2C12細胞株に対する細胞成長指標は、温度と関係なく最も高いレベルであり、特に、付着率は、約90%以上であり、米国FDA細胞ベースの治療剤の保管および運送要件に適合する。
【0148】
hADMSC P8も、同様に、-80℃保管後、細胞を生存させた場合にのみ、5x5の細胞生存率が最も低く、残りの温度条件における細胞成長指標は、紙材質の試作品よりも5x5、9x9がさらに大きい細胞生長指標を示した。特に9x9は、紙材質の試作品および5x5に比べて、生存率が90%以上、6時間培養後の付着率が80%以上と良好に現れて、最も良い性能を示した。
【0149】
このような試験結果を図11図12にそれぞれ示した。
【0150】
このように本発明は、極低温環境でも破断が発生せず、蒸気型タンク(vapor type tank)に適用できる細胞の凍結保存装置を提供することができ、細胞の保管安定性を高めて、先端再生医療用細胞保管を有利にすることが期待される。
【0151】
以上、前記説明によって当業者なら本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で多様な変更および修正が可能であることが分かり、本発明の技術的範囲は、実施形態に記載された内容に限定されるものではなく、特許請求範囲およびそれと均等な範囲によって定められなければならない。
【産業上の利用可能性】
【0152】
本発明は、機械的強度を高め、熱力学的な温度平衡に迅速に到達できる装置の構造に関し、産業上の利用可能性がある。
【符号の説明】
【0153】
100:第1ハウジング
110:通孔
120:中央支持リブ
130:側面支持リブ
200:第2ハウジング
210:第1上面通孔
220:第2上面通孔
230:第3上面通孔
300:試験管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12