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特許7560906ボンディング装置、方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-25
(45)【発行日】2024-10-03
(54)【発明の名称】ボンディング装置、方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/52 20060101AFI20240926BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
H01L21/52 F
H01L21/60 311T
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023186790
(22)【出願日】2023-10-31
【審査請求日】2024-03-14
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519294332
【氏名又は名称】株式会社新川
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】吉原 昭則
(72)【発明者】
【氏名】手井 森介
(72)【発明者】
【氏名】坂田 昇
(72)【発明者】
【氏名】田村 一成
【審査官】小池 英敏
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2023/021841(WO,A1)
【文献】特開2003-077943(JP,A)
【文献】特開2017-092313(JP,A)
【文献】特開平11-040599(JP,A)
【文献】特開2005-050854(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0305199(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/52
H01L 21/60
H01L 23/00
H01L 21/677-21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボンディング対象の半導体チップが配置されるフレームの端部を搬送可能に保持するレール部材と、
前記フレームに対して一方の方向から接近させる押圧部材と、
前記フレームに熱を与えるとともに、前記フレームを吸着するヒート部材であって、前記一方の方向と反対側の他方の方向から前記フレームに対して相対的に接近させるヒート部材と、
前記フレームが前記ヒート部材に吸着されているか否かを判定する判定部と、
前記判定部により、前記フレームが前記ヒート部材に吸着されていないと判定された場合に、前記押圧部材と、前記ヒート部材との間の距離を複数のステップに分割して接近させて前記フレームを前記押圧部材と前記ヒート部材で固定し、それぞれのステップの実行時間を設定可能にした制御部と、
を備えるボンディング装置。
【請求項2】
ボンディング対象の半導体チップが配置されるフレームの端部を搬送可能に保持するレール部材と、
前記フレームに対して一方の方向から接近させる押圧部材と、
前記フレームに熱を与えるヒート部材であって、前記一方の方向と反対側の他方の方向から前記フレームに対して相対的に接近させるヒート部材と、
前記押圧部材と、前記ヒート部材との間の距離を複数のステップに分割して接近させて前記フレームを前記押圧部材と前記ヒート部材で固定し、それぞれのステップの実行時間を設定可能にした制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記複数のステップにおけるステップの数を、ユーザの操作入力に基づき設定する、
ボンディング装置。
【請求項3】
ボンディング対象の半導体チップが配置されるフレームの端部を搬送可能に保持するレール部材と、
前記フレームに対して一方の方向から接近させる押圧部材と、
前記フレームに熱を与えるヒート部材であって、前記一方の方向と反対側の他方の方向から前記フレームに対して相対的に接近させるヒート部材と、
前記押圧部材と、前記ヒート部材との間の距離を複数のステップに分割して接近させて前記フレームを前記押圧部材と前記ヒート部材で固定し、それぞれのステップの実行時間を設定可能にした制御部と、
を備え、
前記制御部は、第1の時間に対応する前記複数のステップのうちの第1のステップにおける前記ヒート部材と前記フレームとの距離が、前記第1の時間よりも後の、前記第1の時間と連続する第2の時間に対応する前記複数のステップのうちの第2のステップにおける前記ヒート部材と前記フレームとの距離よりも大きくなるように、ユーザの操作入力に基づき前記複数のステップを設定する、
ボンディング装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記押圧部材と前記フレームとの間の第1の距離と、前記ヒート部材と前記フレームとの間の第2の距離と、を示す、時間に対応づけられた前記複数のステップを、ユーザの操作入力に基づき設定可能とする、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のボンディング装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記複数のステップの前記押圧部材および前記ヒート部材を所定の高さで停止させる前記実行時間を、ユーザの操作入力に基づき設定し、
前記複数のステップと、前記実行時間と、に基づいて、前記押圧部材によって前記フレームを前記ヒート部材に押し当てて固定させる、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のボンディング装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記複数のステップにおける所定のステップにおいて、前記ヒート部材による前記フレームに対する吸着動作の実行を、ユーザの操作入力に基づき設定する、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のボンディング装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記複数のステップにおける前記第1の距離および前記第2の距離のそれぞれを、ユーザの操作入力に基づき設定する、
請求項4に記載のボンディング装置。
【請求項8】
記制御部は、前記判定部において前記フレームが前記ヒート部材に吸着されていないと判定された場合、前記押圧部材および前記ヒート部材を前記フレームに向かって前記複数のステップによって移動させて、前記押圧部材によって前記フレームを前記ヒート部材に押し当てて固定させる、
請求項1に記載のボンディング装置。
【請求項9】
ボンディング対象の半導体チップが配置されるフレームに対して一方の方向から接近する押圧部材であって、前記フレームを固定するための押圧部材と、
前記一方の方向と反対側の他方の方向から前記フレームに対して相対的に接近するヒート部材であって、前記フレームに熱を与えるとともに、前記フレームを吸着するヒート部材と、
を備えるボンディング装置を制御する方法であって、
前記フレームが前記ヒート部材に吸着されているか否かを判定することと、
前記フレームが前記ヒート部材に吸着されていないと判定された場合に、前記押圧部材と、前記ヒート部材との間の距離を複数のステップに分割して接近させて前記フレームを前記押圧部材と前記ヒート部材で固定し、それぞれのステップの実行時間を設定すること
を含む方法。
【請求項10】
ボンディング対象の半導体チップが配置されるフレームに対して一方の方向から接近する押圧部材であって、前記フレームを固定するための押圧部材と、
前記一方の方向と反対側の他方の方向から前記フレームに対して相対的に接近するヒート部材であって、前記フレームに熱を与えるとともに、前記フレームを吸着するヒート部材と、
前記半導体チップへのボンディングを制御する制御部と、
を備えるボンディング装置における前記制御部のコンピュータに、
前記フレームが前記ヒート部材に吸着されているか否かを判定することと、
前記フレームが前記ヒート部材に吸着されていないと判定された場合に、前記押圧部材と、前記ヒート部材との間の距離を複数のステップに分割して接近させて前記フレームを前記押圧部材と前記ヒート部材で固定し、それぞれのステップの実行時間を設定させること
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボンディング装置、方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤボンディング装置は、リードフレーム等の基板と半導体チップとをワイヤで接続する装置である。ワイヤボンディング装置は、ワイヤボンディングする際に、デバイスクランパによって、基板等ヒート支持体に固定する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開2021/0305199号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術は、半導体チップが配列されている半導体基板を、デバイスクランパおよび支持構造(例えばヒートブロック)でクランプして固定する。デバイスクランパは半導体チップを露出させる開口を有する。半導体基板がクランプされた状態で、デバイスクランパの開口に露出した半導体チップがボンディングされる。半導体基板がクランプされたときに、半導体基板に対するデバイスクランパのクランプ力によって半導体チップが支持構造から浮き上がることがある。当該技術では半導体チップの支持構造からの浮き上がりを検出する。そして、当該技術では、検出した浮き上がりに応じてクランプ力を調整することによって、適切なワイヤボンディングを実行可能とさせる。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、半導体チップの支持構造からの浮き上がりを防止することはできないため、半導体基板および半導体チップが支持構造に適切に固定されないことから、適切なボンディングが実行されないという問題が生じる。
【0006】
そこで、本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、ボンディングの際に半導体基板および半導体チップを適切に固定可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様におけるボンディング装置は、ボンディング対象の半導体チップが配置されるフレームの端部を搬送可能に保持するレール部材と、前記フレームに対して一方の方向から接近させる押圧部材と、前記フレームに熱を与えるヒート部材であって、前記一方の方向と反対側の他方の方向から前記フレームに対して相対的に接近させるヒート部材と、前記押圧部材と、前記ヒート部材との間の距離を複数のステップに分割して接近させて前記フレームを前記押圧部材と前記ヒート部材で固定し、それぞれのステップの実行時間を設定可能にした制御部と、を備える。
【0008】
本発明の一態様における方法は、ボンディング対象の半導体チップが配置されるフレームに対して一方の方向から接近する押圧部材であって、前記フレームを固定するための押圧部材と、前記一方の方向と反対側の他方の方向から前記フレームに対して相対的に接近するヒート部材であって、前記フレームに熱を与えるヒート部材と、を備えるボンディング装置を制御する方法であって、前記押圧部材と、前記ヒート部材との間の距離を複数のステップに分割して接近させて前記フレームを前記押圧部材と前記ヒート部材で固定し、それぞれのステップの実行時間を設定すること、を含む。
【0009】
本発明の一態様におけるプログラムは、ボンディング対象の半導体チップが配置されるフレームに対して一方の方向から接近する押圧部材であって、前記フレームを固定するための押圧部材と、前記一方の方向と反対側の他方の方向から前記フレームに対して相対的に接近するヒート部材であって、前記フレームに熱を与えるヒート部材と、前記半導体チップへのボンディングを制御する制御部と、を備えるボンディング装置における前記制御部のコンピュータに、前記押圧部材と、前記ヒート部材との間の距離を複数のステップに分割して接近させて前記フレームを前記押圧部材と前記ヒート部材で固定し、それぞれのステップの実行時間を設定させること、を実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、ボンディングの際に半導体基板および半導体チップを適切に固定可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】ボンディング装置の概略構成を示す側面図である。
図2】デバイスクランパが半導体基板をクランプしている状態を示す平面図である。
図3】クランプステップデータベースD141の一例を示す図である。
図4】クランプステップシーケンスを含む実装処理の流れを示すフローチャートである。
図5】複数のステップのそれぞれにおける各構成要素の位置関係を示す概要図である。
図6】ボンディング装置の複数のステップのそれぞれにおける各構成要素の位置関係および吸着のタイミングを示すグラフである。
図7】解除ステップデータベースD142の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
===ボンディング装置100の構成===
図1を参照して、ボンディング装置100の構成について説明する。図1は、ボンディング装置100の概略構成を示す側面図である。ボンディング装置100は、例えば、半導体基板200(フレーム)のリードと配置される半導体ダイ210の電極とを接続するワイヤボンディングを実行する装置である。
【0013】
なお、ボンディング装置100は、半導体ダイ210の電極にワイヤボンディングを実行する装置であることに限らず、例えば半導体ダイ210に対してダイボンディングやフリップチップボンディングなどを実行する装置であってもよい。以下、一例として、ボンディング装置100は半導体ダイ210に対してワイヤボンディングを実行する装置として説明する。
【0014】
ボンディング装置100は、半導体ダイ210にワイヤを接続する際に、後述するヒート支持体110とクランパ120とで半導体基板200を固定する。しかし、ヒート支持体110およびクランパ120で半導体基板200をクランプする際に、ヒート支持体110の熱によって半導体基板200または半導体ダイ210に反りを生じさせるおそれがある。これは、半導体基板200に対してヒート支持体110を急激に近づけて接触させて加熱されることにより、半導体基板200に膨らみが生じるためと推測される。
【0015】
そこで、ボンディング装置100は、半導体基板200および半導体ダイ210がヒート支持体110の熱によって反らないよう、ヒート支持体110およびクランパ120のそれぞれを複数のステップで半導体基板200に徐々に接近させることにより、半導体基板200を固定する。これにより、ボンディング装置100では、急激な温度変化による半導体基板200の変形を抑制することで、半導体ダイ210の正確なボンディングを実現できる。
【0016】
以下では、便宜上、ヒート支持体110およびクランパ120のそれぞれを複数のステップによって半導体基板200をクランプするシーケンスを「クランプステップシーケンス」という。
【0017】
図1に示すように、ボンディング装置100は、ヒート支持体110と、クランパ120と、ボンディングヘッド130と、制御部140と、レール部材150とを含む。
【0018】
ヒート支持体110(ヒート部材)は、レール部材150に沿って搬送される半導体基板200の一方の裏面200aをボンディング動作中に支持する。ヒート支持体110は、例えば150度~300度程度に加熱されたヒートブロックである。ヒート支持体110には、例えば、半導体基板200と接する面に、半導体基板200および半導体ダイ210を吸着して固定するための吸着穴が設けられる。すなわち、ヒート支持体110は、例えば、半導体基板200の一方の裏面200aを吸着することで半導体基板200を固定しつつ、半導体基板200に熱を与えることによりボンディングを可能とさせる。
【0019】
クランパ120(押圧部材)は、半導体基板200をヒート支持体110と挟み込んで、半導体基板200を固定する。クランパ120は、ヒート支持体110と反対方向から半導体基板200の実装面200bに接近する。そして、クランパ120は、ヒート支持体110の方向に向かって半導体基板200にクランプ力を与えて、半導体基板200を固定する。クランパ120は、例えば、所望のクランプ力でヒート支持体110に半導体基板200を固定するためのクランプアーム122を含んでいてもよい。
【0020】
図2を参照して、クランパ120の形状および半導体ダイ210の露出状態について説明する。図2は、クランパ120が半導体基板200をクランプしている状態を示す平面図である。図2に示すように、クランパ120は、例えば、金属製材料で形成され、半導体ダイ210を露出させるための開口121を有する。開口121は、例えば、図2に示すように複数の半導体ダイ210のそれぞれを単独で露出させるものであってもよいし、複数の半導体ダイ210をまとめて露出させるものであってもよい。これにより、ボンディング装置100は、半導体基板200をヒート支持体110に固定した状態で、ボンディング動作による半導体基板200のズレを抑制しながら、ボンディングを実行できる。
【0021】
図1に戻り、ボンディングヘッド130は、XYテーブル131と、Z軸駆動機構132と、ボンディングツール133とを含む。XYテーブル131は、ボンディングツール133をX方向およびY方向に移動させる。Z軸駆動機構132は、ボンディングツール133をZ方向に移動させる。ボンディングツール133は、ワイヤが挿通される円筒状であり、ワイヤを半導体ダイ210の電極にワイヤボンディングする。
【0022】
制御部140は、ヒート支持体110、クランパ120およびボンディングヘッド130の動作を制御する。制御部140は、記憶部141と、設定部142と、実行部143と、判定部144とを含む。
【0023】
制御部140は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部:circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、ボンディング制御部50のHDDやフラッシュメモリなどの記憶装置に予め格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体に予め格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることでボンディング制御部50のHDDやフラッシュメモリにインストールされてもよい。
【0024】
記憶部141は、クランプステップシーケンスにおけるヒート支持体110およびクランパ120の動作条件を記憶する。記憶部141は、クランプステップデータベースD141を備える。図3を参照して、クランプステップデータベースD141について説明する。図3は、クランプステップデータベースD141の一例を示す図である。図3に示すように、クランプステップデータベースD141は、例えば、ステップIDを主キーとして、ステップ数と、吸着ステップと、ステップ番号と、クランパの高さ割合と、ヒート支持体の高さ割合と、遅延タイマとを関連づけて記憶する。ボンディング装置100は、例えばユーザの任意の操作入力に基づきクランプステップデータベースD141を生成する。
【0025】
ステップ数とは、クランプステップシーケンスにおいて実行されるステップの数である。具体的には、ステップ数が「4」に設定されている場合、ボンディング装置100は、ステップを4つに分けてヒート支持体110およびクランパ120のそれぞれを半導体基板200に徐々に近づけてクランプする。
【0026】
吸着ステップとは、ヒート支持体110によって半導体基板200を吸着固定する吸着動作を実行するステップのステップ番号が格納される。吸着動作とは、ヒート支持体110の吸着穴を真空状態して、吸着穴への吸引力により半導体基板200をヒート支持体110に固定する動作である。吸着ステップは、複数のステップのうちのいずれかのステップに設定され、例えばヒート支持体110が半導体基板200に接触するときのステップに設定されることが望ましい。具体的には、吸着ステップが「3」に設定されている場合、ボンディング装置100は、複数のステップ(例えばステップ数が「4」)のうちステップ3において、ヒート支持体110の吸着穴を真空状態にして半導体基板200を吸着可能な状態にする。
【0027】
ステップ番号とは、複数のステップのそれぞれの順番を示す番号である。
【0028】
クランパの高さ割合とは、クランパ120の初期位置を「0%」とし、クランパ120が半導体基板200と接触する位置を「100%」とする割合である。クランプステップデータベースD141では、各ステップのそれぞれに当該高さ割合が設定される。すなわち、ユーザは、各ステップについて、クランパ120を半導体基板200にどの程度接近させるかを設定できる。なお、ボンディング装置100は、ステップが進むにつれて高さ割合が大きくなるように設定されることに限られず、所定のステップの高さ割合が次のステップの高さ割合よりも大きい高さ割合となるように設定されることを妨げない。また、当該高さ割合に替えて、半導体基板200の固定位置とクランパ120の初期位置との距離を、クランプステップデータベースD141に記憶されていてもよい。
【0029】
ヒート支持体の高さ割合とは、ヒート支持体110の初期位置を「0%」とし、ヒート支持体110が半導体基板200と接触する位置を「100%」とする割合である。クランプステップデータベースD141では、各ステップのそれぞれに当該高さ割合が設定される。すなわち、ユーザは、各ステップについて、ヒート支持体110を半導体基板200にどの程度接近させるかを設定できる。なお、ボンディング装置100は、ステップが進むにつれて高さ割合が大きくなるように設定されることに限られず、所定のステップの高さ割合が次のステップの高さ割合よりも大きい高さ割合となるように設定されることを妨げない。また、当該高さ割合に替えて、半導体基板200の固定位置とヒート支持体110の初期位置との距離を、クランプステップデータベースD141に記憶されていてもよい。
【0030】
実行時間とは、各ステップにおいて、ヒート支持体110およびクランパ120のそれぞれの動作を停止させる時間である。具体的には、ボンディング装置100は、ステップ1に対して「1秒」の実行時間が設定されている場合、ステップ1においてクランパ120およびヒート支持体110のそれぞれの動作が完了した後に「1秒」間、クランパ120およびヒート支持体110のそれぞれの動作を停止させる。なお、クランプステップデータベースD141は、クランパ120およびヒート支持体110のそれぞれに対して異なる実行時間が設定されるように構成されていてもよい。これにより、ボンディング装置100は、ヒート支持体110から半導体基板200に徐々に熱を与えながら固定することが可能となり、クランプ時における半導体基板200の反りを抑制することができる。なお、実行時間は、ヒート支持体110のみの動作を停止させる時間であってもよい。以下では、一例として、実行時間がヒート支持体110のみの動作を停止させる時間であることとして説明する。
【0031】
設定部142は、ユーザの任意の操作入力を受け付けて、ヒート支持体110およびクランパ120のそれぞれの動作手順を記憶部141に記憶させる。
【0032】
設定部142は、複数のステップによりヒート支持体110およびクランパ120が半導体基板200を固定するように、動作手順を記憶部141に記憶させる。設定部142は、上記のクランプステップデータベースD141の各項目について設定可能とする。例えば、設定部142によってステップ数「4」が設定された場合、ボンディング装置100は、4段階に分けてヒート支持体110およびクランパ120のそれぞれを半導体基板200に徐々に近づける。これにより、ボンディング装置100は、周辺環境に応じて適切なステップ数をユーザが設定可能となるため、動作時間の損失を抑制した正確なボンディングが可能となる。
【0033】
設定部142は、複数のステップにおける所定のステップにおいて、ヒート支持体110およびクランパ120を所定の高さで停止させる実行時間をユーザの操作入力に基づき設定する(図3の「実行時間」を設定)。例えば、設定部142は、ステップ数「3」が設定されている場合に、ステップ「2」において実行時間「2秒」を設定してもよい。この場合、ボンディング装置100は、3つのステップにおける2番目のステップにおいてヒート支持体110およびクランパ120の移動を2秒間停止させる。これにより、ボンディング装置100は、ヒート支持体110から半導体基板200に徐々に熱を与えながら固定することが可能となり、半導体基板200における急激な温度変化をよる、クランプ時の半導体基板200の反りを抑制することができる。
【0034】
ここで、設定部142は、例えば、複数のステップにおける所定のステップにおいて、ヒート支持体110のみを所定の高さで停止させる実行時間をユーザの操作入力に基づき設定可能としてもよい。これにより、ボンディング装置100は、ヒート支持体110から半導体基板200に徐々に熱を与えながら固定することが可能となり、半導体基板200における急激な温度変化をよる、クランプ時の半導体基板200の反りを抑制することができる。
【0035】
設定部142は、複数のステップにおける所定のステップにおいて、ヒート支持体110およびクランパ120に対する吸着動作の実行を、ユーザの操作入力に基づき設定する(図3の「吸着ステップ」を設定)。これにより、ボンディング装置100は、半導体基板200の特性に応じた適切なタイミングで半導体基板200を吸着して固定することが可能となり、クランプ時における半導体基板200の反りを抑制することができる。
【0036】
設定部142は、ヒート支持体110およびクランパ120のそれぞれに対して、複数のステップを個別に設定可能としてもよい(図3の「ステップ数」を設定)。すなわち、ボンディング装置100は、半導体基板200の特性に応じてステップ数を設定することが可能となる。この場合、ボンディング装置100は、例えば、クランパ120を先に半導体基板200に接触させてからヒート支持体110を徐々に半導体基板200に接近させて固定することや、ヒート支持体110を先に半導体基板200に接触させてからクランパ120を後から半導体基板200に接触させて固定することなどが可能となる。これにより、ボンディング装置100は、半導体基板200の反りを抑制し、正確なボンディングが可能となる。
【0037】
設定部142は、第1の時間に対応する複数のステップのうちの第1のステップにおけるヒート支持体110と半導体基板200との距離が、第1の時間よりも後の、第1の時間と連続する第2の時間に対応する複数のステップのうちの第2のステップであって、当該第2のステップにおけるヒート支持体110と半導体基板200との距離よりも大きくなるように、複数のステップを設定可能としてもよい。すなわち、設定部142は、ヒート支持体110が半導体基板200に徐々に近づくように設定可能としてもよい。これにより、ボンディング装置100は、半導体基板200の反りを抑制し、正確なボンディングが可能となる。
【0038】
上記のとおり、ボンディング装置100は、ユーザの任意の操作入力に基づき、ヒート支持体110およびクランパ120のそれぞれについて、ステップの個数、各ステップにおける動作量(高さ割合)、各ステップにおける停止時間(実行時間)を、設定可能とする。このように、ボンディング装置100は、半導体ダイ210の配置や個数が異なる半導体基板200のそれぞれの特性に応じて、クランプにかかるヒート支持体110およびクランパ120の動作条件をユーザに設定させることができるため、適切なボンディングが可能となる。
【0039】
実行部143は、記憶部141を参照して、設定された動作手順にしたがってヒート支持体110およびクランパ120を動作させる。すなわち、実行部143は、ヒート支持体110およびクランパ120を半導体基板200に向かって複数のステップによって移動させることにより、クランパ120によって半導体基板200をヒート支持体110に押し当てて固定させる。
【0040】
判定部144は、ヒート支持体110の吸着動作が成功したか否か(吸着されているか否か)を判定する。判定部144は、例えば、ヒート支持体110が半導体基板200と接触して吸着動作を実行している状態において、吸着穴の真空度を測定することにより、吸着動作が成功しているか否かを判定してもよい。これにより、ボンディング装置100は、複数のステップでヒート支持体110およびクランパ120を動作させるか否かを判断できる。
【0041】
レール部材150は、ボンディング対象の半導体チップが配置される半導体基板200の端部を搬送可能に保持する部材である。レール部材150は、例えば、半導体基板200の端部の上下の面を覆うようなコ型であってもよいし、半導体基板200の端部の裏面が載置されるようなL字型であってもよく、半導体基板200をレールに沿う方向に保持可能な形状であればよい。半導体基板200は、レール部材150に沿って搬送装置(不図示)によって所定の位置に搬送される。ボンディング装置100は、所定の位置に載置されたレール部材150上の半導体基板200に対して、ヒート支持体110およびクランパ120でクランプする。
【0042】
===ボンディング装置100の動作===
図4図5図6を参照して、ボンディング装置100の動作について説明する。図4は、クランプステップシーケンスを含む実装処理の流れを示すフローチャートである。図5は、複数のステップのそれぞれにおける各構成要素の位置関係を示す概要図である。図6は、ボンディング装置100の複数のステップのそれぞれにおける各構成要素の位置関係および吸着のタイミングを示すグラフである。図6では、横軸が時間経過を示し、縦軸が半導体基板200を基準とした距離を示す。なお、図6において、「吸着」および「吸着チェック」については、縦軸が吸着動作のオンするタイミングを示す。
【0043】
以下では、ボンディング装置100における複数のステップによって半導体基板200をクランプするシーケンス(以下、「クランプステップシーケンス」という。)を含む実装処理について説明する。なお、以下では、一例として、図3に示すクランプステップデータベースD141におけるステップID「001」の設定条件での動作について説明する。
【0044】
ステップS100において、ボンディング装置100は、搬送装置(不図示)によってレール部材150に沿って半導体基板200を所定の位置に搬送する。ボンディング装置100は、ヒート支持体110およびクランパ120によって、半導体基板200を複数のステップによらずクランプする。このとき、ボンディング装置100は、半導体基板200に対するヒート支持体110の吸着動作が成功したか否かを判定する。ボンディング装置100は、吸着動作が成功したと判定された場合(ステップS100:NO)、処理をステップS111に移行させてボンディング動作を開始する。
【0045】
吸着動作が成功しなかったと判定された場合(ステップS100:YES)、ボンディング装置100は、リトライ回数が所定の設定値未満であるか否かを判定する。ボンディング装置100は、所定の設定値以上であると判定した場合(ステップS101:NO)、半導体基板200をクランプできない事情が発生しいていると判断して、処理を停止させる(ステップS102)。
【0046】
リトライ回数が所定の設定値未満であると判定した場合(ステップS101:YES)、ボンディング装置100は、クランプステップシーケンスを実行するように設定されているか否かを判定する。ボンディング装置100は、クランプステップシーケンスを実行するように設定されていない場合(ステップS103:NO)、複数のステップによらずクランプする処理を実行する(ステップS104)。これにより、ボンディング装置100は、リトライ時に必ずクランプステップシーケンスを実行するのではなく、状況に応じて迅速にボンディング動作を開始させることができる。
【0047】
クランプステップシーケンスを実行するように設定されている場合(ステップS103:YES)、ボンディング装置100は、クランプステップシーケンスを実行する。このように、ボンディング装置100は、例えば、複数のステップによらずクランプしたことにより、半導体基板200に反りなどが生じてヒート支持体110が半導体基板200の吸着に失敗した場合、反りの発生を抑制可能なクランプステップシーケンスを実行可能に設定することができる。
【0048】
以下、ステップS105~ステップS110におけるクランプステップシーケンスについて説明する
【0049】
ステップS105において、ボンディング装置100は、ステップNをN=1に設定する。ボンディング装置100は、クランプステップデータベースD141に基づきユーザによって設定されたステップ条件(ここでは一例としてステップIDが「001」の条件とする。)を特定する。
【0050】
ステップS106において、ボンディング装置100は、ステップ条件のステップ数(以下、「設定ステップ数」という。ここでは設定ステップ数が「4」である。)とステップNを比較して、現在のステップNが設定ステップ数未満の場合(ステップS106:YES)、ステップ動作を継続させるために、処理をステップS107に移行する。一方、ボンディング装置100は、現在のステップNが設定ステップ数以上の場合(ステップS106:NO)、クランプステップシーケンスを完了したと判断し、処理をステップS100に移行して正常に吸着できたか否かを判定する。
【0051】
ステップS107において、ボンディング装置100は、ステップ条件に基づき複数のステップにおけるクランプ動作を実行する。具体的には、図5(a)および図5(b)に示すように、ボンディング装置100は、ステップ1において、クランパ120を高さ割合D10(ここでは高さ割合0%)から高さ割合D11(ここでは高さ割合40%)になるように半導体基板200に近づける動作を実行する。ここで、例えば、ボンディング装置100は、図6の破線で示すように、一定の速度でクランパ120を半導体基板200に近づける(図6のステップ1)。
【0052】
これと同時に、ボンディング装置100は、ヒート支持体110を高さ割合D20(ここでは高さ割合0%)から高さ割合D21(ここでは高さ割合40%)になるように半導体基板200に近づける動作を実行する。ここで、例えば、ボンディング装置100は、図6の一点鎖線で示すように、一定の速度でヒート支持体110を半導体基板200に近づける(図6のステップ1)。
【0053】
ステップS108において、ボンディング装置100は、ステップ条件に基づきステップ1の実行時間が示す時間だけヒート支持体110の動作を停止させる(図6のステップ1の「実行時間」)。
【0054】
ステップS109において、ボンディング装置100は、クランプステップデータベースD141を参照して、ヒート支持体110に吸着動作を実行させるか否かを特定する。ここでは、吸着ステップが「3」であるため、ボンディング装置100は吸着動作を実行しない。
【0055】
ステップS110において、ボンディング装置100は、ステップNをインクリメントして処理をステップS106から繰り返す。
【0056】
具体的には、図5(b)および図5(c)に示すように、ボンディング装置100は、ステップ2において、クランパ120を高さ割合D11(ここでは高さ割合40%)から高さ割合D12(ここでは高さ割合60%)になるように半導体基板200に近づける動作を実行する(図6のステップ2の破線)。同時に、ヒート支持体110を高さ割合D21(ここでは高さ割合40%)から高さ割合D22(ここでは高さ割合80%)になるように半導体基板200に近づける動作を実行する(図6のステップ2の一点鎖線)。
【0057】
次に、図5(c)および図5(d)に示すように、ボンディング装置100は、ステップ3において、クランパ120を高さ割合D12(ここでは高さ割合60%)から高さ割合D13(ここでは高さ割合95%)になるように半導体基板200に近づける動作を実行する(図6のステップ3の破線)。同時に、ヒート支持体110を高さ割合D22(ここでは高さ割合80%)から定められた高さ割合(ここでは高さ割合100%)になるように半導体基板200に近づける動作を実行する(図6のステップ3の一点鎖線)。すなわち、ステップ3において、ヒート支持体110は半導体基板200に接触する。
【0058】
ここで、ボンディング装置100は、クランプステップデータベースD141を参照して、ステップ3においてヒート支持体110に吸着動作を実行させる(図6の「吸着」がON)。なお、ボンディング装置100は、ステップ3の動作を開始するとともにヒート支持体110の吸着動作を開始してもよいし(図6のステップ3の二点鎖線)、ステップ3に移行してから所定の時間が経過した後に吸着動作を開始してもよい。これにより、ボンディング装置100は、半導体基板200の特性に応じた適切なタイミングで半導体基板200を吸着して固定することが可能となり、クランプ時における半導体基板200の反りを抑制することができる。
【0059】
また、ボンディング装置100は、ヒート支持体110におけるステップ3の高さ割合の動作が完了したときに吸着動作を開始してもよい。具体的には、ボンディング装置100は、図6の一点鎖線と半導体基板200の位置を示す鎖線とが重なるポイントで吸着動作を開始してもよい。これにより、ボンディング装置100は、半導体基板200の特性に応じた適切なタイミングで半導体基板200を吸着して固定することが可能となり、クランプ時における半導体基板200の反りを抑制することができる。
【0060】
最後に、ボンディング装置100は、ステップ4において、クランパ120を半導体基板200に接触させて、ヒート支持体110およびクランパ120で半導体基板200をクランプする。このとき、ステップS106において、ボンディング装置100は、現在のステップ数「4」が設定ステップ数(ここでは「4」)以上であると判定して、ステップS100に処理を移行して、正常に吸着できたか否かを判定する(図6の「吸着チェック」がON)。
【0061】
===ボンディング装置100の変形例===
図7を参照して、ボンディング装置100の変形例について説明する。図7は、解除ステップデータベースD142の一例を示す図である。変形例に係るボンディング装置100における記憶部141は、解除ステップデータベースD142をさらに含んでいてもよい。ボンディング装置100は、解除ステップデータベースD142を参照して、ヒート支持体110およびクランパ120で半導体基板200をクランプしている状態でボンディングが完了した後に、吸着動作を適切なタイミングで解除するとともに、クランプ状態を複数のステップで解除する。これにより、ボンディング装置100は、半導体基板200のクランプ状態を解除するときの振動によるワイヤの断線などを回避することができる。
【0062】
図7に示すように、解除ステップデータベースD142は、例えば、解除ステップIDを主キーとして、ステップ数と、解除ステップと、ステップ番号と、クランパの高さ割合と、ヒート支持体の高さ割合と、実行時間とを関連づけて記憶する。ボンディング装置100は、例えばユーザの操作入力に基づき解除ステップデータベースD142を生成する。なお、ステップ数、ステップ番号、クランパの高さ割合、ヒート支持体の高さ割合および実行時間については、図3のクランプステップデータベースD141と同じであるため、その説明を省略する。
【0063】
解除ステップとは、ヒート支持体110による半導体基板200の吸着状態を解除する解除動作を実行するステップのステップ番号が格納される。解除動作とは、吸着穴の真空状態による吸引力を解除するとともに、当該吸着穴から空気を放出する動作である。解除ステップは、複数のステップのうちのいずれかのステップに設定される。具体的には、解除ステップが「1」に設定されている場合、ボンディング装置100は、複数のステップ(例えばステップ数が「4」)のうちステップ1において、ヒート支持体110の吸着穴の真空状態を解除するとともに、吸着穴から空気を放出して半導体基板200をヒート支持体110から離脱させる。
【0064】
上記のとおり、ボンディング装置100は、ユーザの操作入力に基づき、ヒート支持体110およびクランパ120のそれぞれ個別に、解除動作のタイミング、解除にかかるステップの個数、各ステップにおける動作量(高さ割合)、各ステップにおける停止時間(実行時間)を、任意に設定することができる。これにより、ボンディング装置100は、半導体ダイ210の配置や個数が異なる半導体基板200のそれぞれの特性に応じて、ヒート支持体110およびクランパ120によるクランプ解除の条件をユーザに設定させることができるため、半導体基板200の振動によるワイヤの断線などの不具合を回避できる。
【0065】
===まとめ===
<1>ボンディング対象の半導体ダイ210(半導体チップ)が配置される半導体基板200(フレーム)の端部を搬送可能に保持するレール部材150と、半導体基板200(フレーム)に対して一方の方向から接近させるクランパ120(押圧部材)と、半導体基板200(フレーム)に熱を与えるヒート支持体110(ヒート部材)であって、一方の方向と反対側の他方の方向から半導体基板200(フレーム)に対して相対的に接近させるヒート支持体110(ヒート部材)と、クランパ120(押圧部材)と、ヒート支持体110(ヒート部材)との間の距離を複数のステップに分割して接近させて半導体基板200(フレーム)をクランパ120(押圧部材)とヒート支持体110(ヒート部材)で固定し、それぞれのステップの実行時間を設定可能にした制御部140と、を備える。これにより、ボンディング装置100では、半導体基板200の変形を抑制することができるため、半導体ダイ210の正確なボンディングを実現できる。
【0066】
<2>ボンディング装置100における制御部140は、クランパ120(押圧部材)と半導体基板200(フレーム)との間の第1の距離と、ヒート支持体110(ヒート部材)と半導体基板200(フレーム)との間の第2の距離と、を示す、時間に対応づけられた複数のステップを、ユーザの操作入力に基づき設定可能とする<1>に記載のボンディング装置。これにより、ボンディング装置100では、急激な温度変化による半導体基板200の変形を抑制することで、半導体ダイ210の正確なボンディングを実現できる。
【0067】
<3>ボンディング装置100における制御部140は、複数のステップのクランパ120(押圧部材)およびヒート支持体110(ヒート部材)を所定の高さで停止させる実行時間を、ユーザの操作入力に基づき設定し、複数のステップと、実行時間と、に基づいて、クランパ120(押圧部材)によって半導体基板200(フレーム)をヒート支持体110(ヒート部材)に押し当てて固定させる、<1>または<2>に記載のボンディング装置。これにより、ボンディング装置100は、ヒート支持体110から半導体基板200に徐々に熱を与えながら固定することが可能となり、クランプ時における半導体基板200の反りを抑制することができる。
【0068】
<4>ボンディング装置100における制御部140は、複数のステップにおける所定のステップにおいて、ヒート支持体110(ヒート部材)による半導体基板200(フレーム)に対する吸着動作の実行を、ユーザの操作入力に基づき設定する、<1>または<3>に記載のボンディング装置100。これにより、ボンディング装置100は、半導体基板200の特性に応じた適切なタイミングで半導体基板200を吸着して固定することが可能となり、クランプ時における半導体基板200の反りを抑制することができる。
【0069】
<5>ボンディング装置100における制御部140は、複数のステップにおけるステップの数を、ユーザの操作入力に基づき設定する、<1>から<4>のいずれかに記載のボンディング装置100。これにより、ボンディング装置100は、周辺環境に応じて適切なステップ数をユーザが設定可能となるため、動作時間の損失を抑制した正確なボンディングが可能となる。
【0070】
<6>ボンディング装置100における制御部140は、第1の時間に対応する複数のステップのうちの第1のステップにおけるヒート支持体110(ヒート部材)と半導体基板200(フレーム)との距離が、第1の時間よりも後の、第1の時間と連続する第2の時間に対応する複数のステップのうちの第2のステップにおけるヒート支持体110(ヒート部材)と半導体基板200(フレーム)との距離よりも大きくなるように、ユーザの操作入力に基づき複数のステップを設定する、<1>から<5>のいずれかに記載のボンディング装置100。これにより、ボンディング装置100は、半導体基板200の反りを抑制し、正確なボンディングが可能となる。
【0071】
<7>ボンディング装置100における制御部140は、複数のステップにおける第1の距離および第2の距離のそれぞれを、ユーザの操作入力に基づき設定する、<1>から<6>のいずれかに記載のボンディング装置100。これにより、ボンディング装置100は、半導体基板200の反りを抑制し、正確なボンディングが可能となる。
【0072】
<8>ボンディング装置100において、ヒート支持体110(ヒート部材)は、半導体基板200(フレーム)を吸着し、半導体基板200(フレーム)がヒート支持体110(ヒート部材)に吸着されているか否かを判定する判定部144をさらに備え、実行部143は、判定部144において半導体基板200(フレーム)がヒート支持体110(ヒート部材)に吸着されていないと判定された場合、クランパ120(押圧部材)およびヒート支持体110(ヒート部材)を半導体基板200(フレーム)に向かって複数のステップによって移動させて、クランパ120(押圧部材)によって半導体基板200(フレーム)をヒート支持体110(ヒート部材)に押し当てて固定させる、<1>から<6>のいずれかに記載のボンディング装置100。これにより、ボンディング装置100は、複数のステップでヒート支持体110およびクランパ120を動作させるか否かを判断できるため、状況に応じて迅速にボンディング動作を開始できる。
【0073】
上記発明の実施形態を通じて説明された実施の態様は、用途に応じて適宜に組み合わせて、又は変更若しくは改良を加えて用いることができ、本発明は上述した実施形態の記載に限定されるものではない。そのような組み合わせ又は変更若しくは改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0074】
100…ボンディング装置、110…ヒート支持体、120…クランパ、130…ボンディングヘッド、140…制御部、141…記憶部、142…設定部、143…実行部、144…判定部、150…レール部材。
【要約】      (修正有)
【課題】ボンディングの際に半導体基板および半導体チップを適切に固定可能とするボンディング装置、方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】ボンディング装置100は、ボンディング対象の半導体チップ(半導体ダイ210)が配置されるフレーム(半導体基板200)の端部を搬送可能に保持するレール部材150と、前記フレームに対して一方の方向から接近させる押圧部材120と、前記一方の方向と反対側の他方の方向から前記フレームに対して相対的に接近させ、前記フレームに熱を与えるヒート部材110と、前記押圧部材と、前記ヒート部材との間の距離を、複数のステップに分割して接近させて前記フレームを前記押圧部材と前記ヒート部材で固定し、それぞれのステップの実行時間を設定する制御部140と、を備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7