(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-25
(45)【発行日】2024-10-03
(54)【発明の名称】無線通信システムにおいて多重リンク(MULTI-LINK)を通じてデータを送受信するための方法及び無線通信端末
(51)【国際特許分類】
H04W 74/0816 20240101AFI20240926BHJP
H04W 84/12 20090101ALI20240926BHJP
H04W 72/0457 20230101ALI20240926BHJP
【FI】
H04W74/0816
H04W84/12
H04W72/0457 110
(21)【出願番号】P 2023532609
(86)(22)【出願日】2021-11-29
(86)【国際出願番号】 KR2021017801
(87)【国際公開番号】W WO2022114907
(87)【国際公開日】2022-06-02
【審査請求日】2023-05-29
(31)【優先権主張番号】10-2020-0163393
(32)【優先日】2020-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0167924
(32)【優先日】2020-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0169017
(32)【優先日】2020-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0015799
(32)【優先日】2021-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】516079109
【氏名又は名称】ウィルス インスティテュート オブ スタンダーズ アンド テクノロジー インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】サンヒョン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ハンスル・ホン
(72)【発明者】
【氏名】ゴンジュン・コ
(72)【発明者】
【氏名】ジュヒョン・ソン
(72)【発明者】
【氏名】ジンサム・カク
【審査官】前田 典之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/226462(WO,A1)
【文献】Yongho Seok, et al.,Synchronous Multi-link Transmission of Non-STR MLD,IEEE 802.11-20/1053r1,IEEE, インターネット<URL:https://mentor.ieee.org/802.11/dcn/20/11-20-1053-01-00be-synchronous-multi-link-transmission-of-non-str-mld.pptx>,2020年08月05日
【文献】Dmitry Akhmetov, et al.,Discussion on methods for synchronous ML operations,IEEE 802.11-20/0993r7,IEEE, インターネット<URL:https://mentor.ieee.org/802.11/dcn/20/11-20-0993-07-00be-sync-ml-operations-of-non-str-device.pptx>,2020年09月08日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
DB名 3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4、6
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信システム
の多重リンクデバイス(multi-link device:MLD)であって、
通信モジュールと、
前記通信モジュールを制御する
ように構成されたプロセッサと、を含み、
前記プロセッサは、
第1リンク及び第2リンクそれぞれを通じたチャネルアクセスのためのバックオフ手順(back off procedure)を行
うように構成され、
前記MLDは、前記第1リンク上で動作する第1ステーション(第1STA)と、前記第2リンク上で動作する第2STAとを含み、
前記第1STAは、前記第1リンクの第1バックオフカウンタと前記第2リンクの第2バックオフカウンタとのうち前記第1バックオフカウンタが、前記第2バックオフカウンタよりも先に0に到達したとき、前記第1リンクを通じた送信を開始するか、又は、送信を実行せずに前記第1バックオフカウンタの値を0に維持するかの1つを選択し、
前記第1STAが送信を実行せずに第1バックオフカウンタの前記値を0に維持するとき、
前記第1STAの前記第1リンクと前記第2STAの前記第2リンクとのそれぞれを使用して前記送信を開始し、
前記第1STAの前記第1リンクの第1スロット境界と前記第2STAの前記第2リンクの第2スロット境界とが時間的に揃うとき、前記第1STAは前記第1リンクを通じて前記第2スロット境界にて前記送信を開始し、
前記第1STAの前記第1リンクの前記第1スロット境界と前記第2STAの前記第2リンクの前記第2スロット境界とが時間的に揃わず、前記送信が前記第1スロット境界にて開始されないとき、前記第1STAは前記第2スロット境界からの特定の時間の範囲内において前記第1リンクを通じて前記送信を開始する、MLD。
【請求項2】
前記第1STAは、前記第1リンクにおける前記第1バックオフカウンタを通じて前記送信を開始し、
前記第2STAは、前記第2リンクにおける前記第2バックオフカウンタを通じて前記送信を開始する、請求項1に記載
のMLD。
【請求項3】
前記第1リンクの前記第1バックオフカウンタと前記第2リンクの前記第2バックオフカウンタとは、それぞれ独立して減少する、請求項
1に記載
のMLD。
【請求項4】
前記特定の時間は、受信から送信に変化するために必要な最大時間を示すaRxTxTurnaroundTimeパラメータから導出される、請求項1に記載
のMLD。
【請求項5】
前記
特定の時間は4
μsである、請求項
1に記載
のMLD。
【請求項6】
前記第1リンクと前記第2リンクは、
STRをサポートしない
非同時送信又は受信(NSTR
)リンク対(link pair)である、請求項1に記載
のMLD。
【請求項7】
前記プロセッサは、
前記第1リンク及び前記第2リンク
のそれぞれで
前記チャネルアクセスのためのチャネルがアイドルであるか否かを判断するためのセンシングを行
うように構成されており、
前記第1バックオフカウンタ及び前記第2バックオフカウンタ
のそれぞれは、前記第1リンク及び前記第2リンク
のそれぞれがアイドル状態である場合に
それぞれ減少する、請求項1に記載
のMLD。
【請求項8】
無線通信システム
の多重リンクデバイス(multi-link device:MLD)が上りリンク送信を行う方法であって、
第1リンク及び第2リンクそれぞれを通じたチャネルアクセスのためのバックオフ手順(back off procedure)を行い、
前記MLDは、前記第1リンク上で動作する第1ステーション(第1STA)と前記第2リンク上で動作する第2STAとを含み、
前記第1STAは、前記第1リンクの第1バックオフカウンタと前記第2リンクの第2バックオフカウンタとのうち前記第1バックオフカウンタが、前記第2バックオフカウンタよりも先に0に到達したとき、前記第1リンクを通じた送信を開始するか、又は、送信を実行せずに第1バックオフカウンタの値を0に維持するかの1つを選択し、
前記第1STAが送信を実行せずに第1バックオフカウンタの前記値を0に維持するとき、
前記第1STAの前記第1リンクと前記第2STAの前記第2リンクとのそれぞれを使用して前記送信を開始し、
前記第1STAの前記第1リンクの第1スロット境界と前記第2STAの前記第2リンクの第2スロット境界とが時間的に揃うとき、前記第1STAは前記第1リンクを通じて前記第2スロット境界にて前記送信を開始し、
前記第1STAの前記第1リンクの前記第1スロット境界と前記第2STAの前記第2リンクの前記第2スロット境界とが時間的に揃わず、前記送信が前記第1スロット境界にて開始されないとき、前記第1STAは前記第2スロット境界からの特定の時間の範囲内において前記第1リンクを通じて前記送信を開始する、方法。
【請求項9】
前記第1STAは、前記第1リンクにおける前記第1バックオフカウンタを通じて前記送信を開始し、
前記第2STAは、前記第2リンクにおける前記第2バックオフカウンタを通じて前記送信を開始する、請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1リンクの前記第1バックオフカウンタと前記第2リンクの前記第2バックオフカウンタとは、それぞれ独立して減少する、請求項
8に記載の方法。
【請求項11】
前記特定の時間は、受信から送信に変化するために必要な最大時間を示すaRxTxTurnaroundTimeパラメータから導出される、請求項
8に記載の方法。
【請求項12】
前記
特定の時間は4
μsである、請求項
8に記載の方法。
【請求項13】
前記第1リンクと前記第2リンクは、
STRをサポートしない
非同時送信又は受信(NSTR
)リンク対(link pair)である、請求項
8に記載の方法。
【請求項14】
前記第1リンク及び前記第2リンク
のそれぞれで前記チャネルアクセスのためのチャネルがアイドルであるか否かを判断するためのセンシングを行う段階をさらに含み、
前記第1バックオフカウンタ及び前記第2バックオフカウンタ
のそれぞれは、前記第1リンク及び前記第2リンク
のそれぞれがアイドル状態である場合に
それぞれ減少する、請求項
8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システムに関し、より詳細には、無線通信システムにおいて多重リンクデバイス(multi-link device:MLD)によるデータの送受信方法及び無線通信端末に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、モバイル機器の普及が拡大されるにつれ、それらに速い無線インターネットサービスを提供し得る無線LAN(Wireless LAN)技術が脚光を浴びている。無線LAN技術は、近距離で無線通信技術に基づいてスマートフォン、スマートパッド、ラップトップPC、携帯型マルチメディアプレーヤー、インベデッド機器などのようなモバイル機器を家庭や企業、または特定サービス提供地域において、無線でインターネットに接続し得るようにする技術である。
【0003】
IEEE(Istitute of Electronics Engineers) 802.11は、2.4GHのz周波数を利用した初期の無線LAN技術を支援した以来、多様な技術の標準を実用化または開発中である。まず、IEEE 802.11bは2.4GHzバンドの周波数を使用し、最高11Mbpsの通信速度を支援する。IEEE 802.11bの後に商用化されたIEEE 802.11aは2.4GHzバンドではなく5GHzバンドの周波数を使用することで、相当混雑した2.4GHzバンドの周波数に比べ干渉への影響を減らしており、OFDM技術を使用して通信速度を最大54Mbpsまで向上させている。しかし、IEEE 802.11aはIEEE 802.11bに比べ通信距離が短い短所がある。そして、IEEE 802.11gはIEEE 802.11bと同じく2.4GHzバンドの週は酢を使用して最大54Mpbsの通真相度を具現し、下位互換性(backward compatibility)を満足していて相当な注目を浴びたが、通信距離においてもIEEE 802.11aより優位にある。
【0004】
そして、無線LANで脆弱点として指摘されていた通信速度に関する限界を克服するために制定された技術規格として、IEEE 802.11nがある。IEEE 802.11nはネットワークの速度と信頼性を増加させ、無線ネットワークの運営距離を拡張することにその目的がある。詳しくは、IEEE 802.11nではデータ処理速度が最大540Mbps以上の高処理率(High Throughput、HT)を支援し、また、伝送エラーを最小化しデータの速度を最適化するために送信部と受信部の両端共に多重アンテナを使用するMIMO(Multiple Inputs and Multiple Outputs)技術に基盤している。また、この規格はデータの信頼性を上げるために重複する写本を複数個伝送するコーディング方式を使用している。
【0005】
無線LANの普及が活性化され、また、それを使用したアプリケーションが多様化するにつれ、IEEE 802.11nが支援するデータの処理速度より高い処理率(Very High Throughput、VHT)を支援するための新たな無線LANシステムに対する必要性が台頭している。そのうち、IEEE 802.11acは5GHz周波数で広い帯域幅(80MHz~160MHz)を支援する。IEEE 802.11ac標準は5GHz帯域でのみ定義されているが、従来の2.4GHz帯域の製品との下位互換性のために、初期11acチップセットは2.4GHz帯域での動作も支援すると考えられる。理論的に、この規格によると多重ステーションの無線LANの速度は最小1Gbps、最大単一リンク速度は最小500Mbpsまで可能になる。これはより広い無線周波数帯域幅(最大160MHz)、より多いMIMO空間的ストリーム(最大8個)、マルチユーザMIMO、そして、高い密度の変調(最大256QAM)など、802.11nで受け入れられた無線インタフェースの概念を拡張して行われる。また、従来の24GHz/5GHzに代わって60GHzバンドを利用してデータを伝送する方式として、IEEE 802.11adがある。IEEE 802.11adはビームフォーミング技術を利用して最大7Gbpsの速度を提供する伝送規格であって、大容量のデータや無圧縮HDビデオなど、高いビットレート動画のストリーミングに適合している。しかし、60GHz周波数バンドは障害物の通過が難しく、近距離空間でのデバイスの間でのみ利用可能な短所がある。
【0006】
一方、802.11ac及び802.11ad以後の無線LAN標準として、APと端末が密集した高密度環境における高効率及び高性能の無線LAN通信技術を提供するためのIEEE 802.11ax(High Efficiency WLAN,HEW)標準が開発され、完了段階にある。802.11axベース無線LAN環境では、高密度のステーションとAP(Access Point)の存在下に屋内/屋外で高い周波数効率の通信が提供される必要があり、これを具現するための様々な技術が開発されている。
【0007】
また、高画質ビデオ、実時間ゲームなどのような新しいマルチメディア応用を支援するために、最大送信速度を上げるための新しい無線LAN標準を開発し始めた。7世代無線LAN標準であるIEEE 802.11be(Extremely High Throughput,EHT)では、2.4/5/6GHzの帯域でより広い帯域幅と増加した空間ストリーム及び多重AP協調などによって最大で30Gbpsの送信率を支援することを目標に標準開発を進行している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の一実施例は、多重リンクを用いる無線通信方法及びこれを用いる無線通信端末を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、多重リンクデバイスが多重リンクを用いて上りリンク送信を同時に行うための無線通信端末を提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は、多重リンクを用いて上りリンク送信を行う際に各リンクでのバックオフカウンタ(back off counter)の値がそれぞれ異なる時点に「0」に到達する場合に、多重リンクで上りリンク送信を同時に行うための無線通信端末を提供することを目的とする。
【0011】
また、本発明は、多重リンクを用いて上りリンク送信を同時に行う際に各リンクでのスロット境界(boundary)が異なる場合に、上りリンク送信時点を遅延(delay)して多重リンクで上りリンク送信を同時に行うための無線通信端末を提供することを目的とする。
【0012】
明細書で遂げようとする技術的課題は、以上で言及した技術的課題に限定されず、言及していない別の技術的課題は、以下の記載から、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
無線通信システムにおいてトリガーフレームに基づいて応答フレームであるTB PPDU(Trigger Based Physical layer Protocol Data Unit)を送信するための端末は、通信モジュールと、前記通信モジュールを制御するプロセッサを含み、前記プロセッサは、前記non-AP MLDの多重リンクを通じて上りリンク送信を行うためのバックオフ手順(back off procedure)を行い、前記バックオフ手順は、前記non-AP MLDに含まれた第1STAの第1リンク及び第2STAの第2リンクのそれぞれを通じて個別に行われ、前記第1リンクでの前記バックオフ手順は、第1バックオフカウンタを用いて行われ、前記第2リンクでの前記バックオフ手順は、第2バックオフカウンタを用いて行われ、前記第1リンク及び前記第2リンクのそれぞれを通じてAP MLDで前記上りリンク送信を同時に行い、前記第1バックオフカウンタ及び前記第2バックオフカウンタがいずれも「0」の値を有する場合に、前記第1リンクで前記上りリンク送信の送信時点が、前記第1バックオフカウンタが「0」であるスロットの次のスロットである第1スロットのスロット境界であれば、前記第2リンクで前記上りリンク送信は、前記第1リンクの前記送信時点から一定時間内に行われる。
【0014】
また、本発明において、前記第1バックオフカウンタ及び前記第2バックオフカウンタがいずれも「0」である場合に、前記第2リンクで前記上りリンク送信の送信時点は、前記第1スロットの前記スロット境界から前記一定時間内に含まれるように調節される。
【0015】
また、本発明において、前記第1バックオフカウンタが「0」であり、前記第2バックオフカウンタが「0」である場合に、前記第1スロットと前記第2リンクの前記第2バックオフカウンタが「0」であるスロットの次のスロットである第2スロットのスロット境界は一致せず、前記第2スロットの前記スロット境界は、前記一定時間内に含まれない。
【0016】
また、本発明において、前記第1バックオフカウンタ及び前記第2バックオフカウンタのうち一つのバックオフカウンタが残りのバックオフカウンタよりも先に「0」に到達した場合に、前記第1リンク及び前記第2リンクのうち前記一つのバックオフカウンタを用いるリンクは前記上りリンク送信を行わず、前記残りのバックオフカウンタが「0」に到達するまで前記一つのバックオフカウンタを「0」に維持する。
【0017】
また、本発明において、前記第1バックオフカウンタ及び前記第2バックオフカウンタのうち前記一つのバックオフカウンタが前記残りのバックオフカウンタよりも先に「0」に到達した場合に、前記残りのバックオフカウンタが「0」に到達した時に、前記第1リンクの前記第1スロットと前記第2リンクの前記第2バックオフカウンタが「0」であるスロットの次のスロットである第2スロットのスロット境界が一致しないと、前記第2リンクで前記上りリンク送信の送信時点は、前記第1スロットの前記スロット境界から前記一定時間内に含まれるように前記第2スロットのスロット境界の以前又は以後に調節される。
【0018】
また、本発明において、前記第1スロットの前記スロット境界に比べて前記第2スロットの前記スロット境界が時間軸上でより前に位置するか、より後に位置する場合に、前記第2リンクの前記送信時点は、前記第1スロットの前記スロット境界から特定時間の間に遅延又は短縮される。
【0019】
また、本発明において、前記一定時間の最大値は4usである。
【0020】
また、本発明において、前記4usは、チャネル接続手順において前記上りリンク送信を行うための変更時間である。
【0021】
また、本発明において、前記プロセッサは、前記第2リンクの前記送信時点以前までチャネルセンシングを行い、第2リンクの前記送信時点は、前記第2リンクの前記第2スロットの前記スロット境界と一致しない。
【0022】
また、本発明において、前記上りリンク送信は、前記第1バックオフカウンタ及び前記第2バックオフカウンタが「0」に到達したスロットの次のスロットで行われる。
【0023】
また、本発明において、前記第1リンクと前記第2リンクは同時送受信(Simultaneous Transmit and Receive:STR)を支援しないNSTRリンク対(link pair)である。
【0024】
また、本発明において、前記プロセッサは、前記第1リンク及び前記第2リンクでチャネルが遊休であるか否かを判断するためのセンシングを行い、前記第1バックオフカウンタ及び前記第2バックオフカウンタはそれぞれ、前記第1リンク及び前記第2リンクが遊休状態である場合に減少する。
【0025】
また、本発明は、前記non-AP MLDの多重リンクを通じて上りリンク送信を行うためのバックオフ手順(back off procedure)を行い、前記バックオフ手順は、前記non-AP MLDに含まれた第1STAの第1リンク及び第2STAの第2リンクのそれぞれを通じて個別に行われ、前記第1リンクでの前記バックオフ手順は、第1バックオフカウンタを用いて行われ、前記第2リンクでの前記バックオフ手順は、第2バックオフカウンタを用いて行われ、前記第1リンク及び前記第2リンクのそれぞれを通じてAP MLDで前記上りリンク送信を同時に行い、前記第1バックオフカウンタ及び前記第2バックオフカウンタがいずれも「0」の値を有する場合に、前記第1リンクで前記上りリンク送信の送信時点が、前記第1バックオフカウンタが「0」であるスロットの次のスロットである第1スロットのスロット境界であれば、前記第2リンクで前記上りリンク送信は、前記第1リンクの前記送信時点から一定時間内に行われる方法を提供する。
【発明の効果】
【0026】
本発明の一実施例は、効率的にマルチリンクを用いる無線通信方法及びこれを用いる無線通信端末を提供する。
【0027】
また、本発明の実施例によれば、多重リンクデバイスが多重リンクを用いて上りリンク送信を同時に行う無線通信端末を提供する。
【0028】
また、本発明の実施例によれば、多重リンクを用いて上りリンク送信を行う際に、各リンクでのバックオフカウンタ(back off counter)の値がそれぞれ異なる時点に「0」に到達する場合に、多重リンクで上りリンク送信を同時に行う無線通信端末を提供する。
【0029】
また、本発明の実施例によれば、多重リンクを用いて上りリンク送信を同時に行う際に、各リンクでのスロット境界(boundary)が異なる場合に、上りリンク送信時点を遅延(delay)して多重リンクで上りリンク送信を同時に行う無線通信端末を提供する。
【0030】
本発明から得られる効果は、以上で言及した効果に限定されず、言及していない別の効果は、以下の記載から、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者に明確に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明の一実施例による無線LANシステムを示す図である。
【
図2】本発明の他の実施例による無線LANシステムを示す図である。
【
図3】本発明の一実施例によるステーションの構成を示す図である。
【
図4】本発明の一実施例によるアクセスポイントの構成を示す図である。
【
図5】STAがAPとリンクを設定する過程を概略的に示す図である。
【
図6】無線LAN通信で使用されるCSMA(Carrier Sense Multiple Access)/CA(Collision Avoidance)方法を示す図である。
【
図7】様々な標準世代別PPDU(PLCP Protocol Data Unit)フォーマットの一例を示す図である。
【
図8】本発明の実施例に係る様々なEHT(Extremely High Throughput)PPDU(Physical Protocol Data Unit)フォーマット及びこれを指示するための方法の一例を示す図である。
【
図9】本発明の実施例に係る多重リンクデバイス(multi-link device)の一例を示す図である。
【
図10】本発明の実施例に係る相対的に狭い周波数離隔距離に対するデバイス(MLD#1、MLD#2のSTR)の支援の有無に対する一例を示す図である。
【
図11】non-STR MLDの特定STAが行うPPDU送信によって、前記non-STR MLDの他のSTAが行うチャネルアクセス動作が妨害を受ける一実施例を示す図である。
【
図12】本発明の実施例に係るマルチリンク装置がいずれか一つのリンクで先にチャネルアクセスに成功した場合に、マルチリンク装置が当該リンクで送信を延期することを示す図である。
【
図13】本発明の実施例に係るマルチリンク装置が第1リンクで先にチャネルアクセスに成功した後、マルチリンク装置が第1リンクで送信を延期する時に、第2リンクのチャネルが占有状態として感知される場合にマルチリンク装置の動作を示す図である。
【
図14】本発明のさらに他の実施例に係るマルチリンク装置が第1リンクで先にチャネルアクセスに成功した後、マルチリンク装置が第1リンクで送信を延期する時に、第2リンクのチャネルが占有状態として感知される場合にマルチリンク装置の動作を示す図である。
【
図15】本発明の実施例に係る複数のマルチリンク装置が第1リンクで先にチャネルアクセスに成功した後、マルチリンク装置が第1リンクで送信を延期する場合に、複数のマルチリンク装置における動作を示す図である。
【
図16】本発明の実施例に係るマルチリンク装置が第1リンクで先にチャネルアクセスに成功した後、マルチリンク装置が第1リンクで送信を延期し、第1リンクのチャネルが占有(busy)中として感知される場合に、マルチリンク装置の動作を示す図である。
【
図17】本発明の実施例に係るマルチリンク装置が第1リンクで先にチャネルアクセスに成功した後、マルチリンク装置が第1リンクで送信を延期し、第1リンクのチャネルが占有(busy)中として感知される場合に、マルチリンク装置の動作を示す図である。
【
図18】本発明の実施例に係るマルチリンク装置が同期化された送信のためのチャネルアクセスを行う送信が遅延されることを示す図である。
【
図19】本発明の実施例に係るマルチリンク装置のステーションが送信中にチャネルが占有中(busy)であると感知した場合の動作方法を示す図である。
【
図20】本発明の実施例に係るマルチリンク装置のステーションが送信中にチャネルが占有中(busy)であると感知した場合の動作方法を示す図である。
【
図21】本発明の実施例に係るマルチリンク装置のステーションが送信遅延中にチャネルが占有中(busy)であると感知した場合に新しいバックオフカウンタ値を獲得する方法を示す図である。
【
図22】本発明の実施例に係るマルチリンク装置のステーションが送信を遅延中に、同期化された送信を行うか否かを判断する動作を示す図である。
【
図23】本発明の実施例に係るマルチリンク装置のステーションが送信を遅延中に、送信遅延中であるチャネルが占有中(busy)であると感知された場合にマルチリンクの動作を示す。
【
図24】本発明の実施例に係るマルチリンク装置のステーションが送信を遅延中に、送信遅延中であるチャネルが占有中(busy)であると感知された場合にマルチリンクの動作を示す。
【
図25】本発明の実施例によってEDCAを適用する時に用いられるEDCAキュー(queue)を示す図である。
【
図26】本発明の実施例によってスロット境界に基づいてチャネルアクセスを行う方法を示す図である。
【
図27】本発明の実施例によってマルチリンク装置がEDCAF動作によって同期化された送信を行う動作を示す図である。
【
図28】本発明の実施例によってマルチリンク装置がEDCAF動作によって同期化された送信を行う動作を示す図である。
【
図29】本発明のさらに他の実施例によってマルチリンク装置がEDCAF動作によって同期化された送信を行う動作を示す図である。
【
図30】本発明の実施例によってMLDが特定チャネルのチャネルアクセス手順を遅延させることによって、2個のリンクで同時にPPDU送信を行う一実施例を示す図である。
【
図31】本発明の実施例によってMLDのSTAが互いに異なるスロット境界を基準に動作する一実施例を示す図である。
【
図32】本発明の実施例によって同時送信の開始時点に対する明確な規定がない時に発生し得るMLDの同時送信失敗の一実施例を示す図である。
【
図33】本発明の実施例によってMLDのSTAが互いに異なるスロット境界に合わせて送信を始める場合に、先に始まった送信が他のSTA(他のリンクで運用される同一MLD)のCCA結果に影響を及ぼさない場合の一実施例を示す図である。
【
図34】本発明の実施例によってMLDが同時送信を行おうとするリンクのスロット境界時点差によって各リンクで送信を始める時点を決定する方法の一実施例を示す図である。
【
図35】本発明の実施例によってMLDの2リンク対が特定の範囲内のスロット境界の差を有する場合に、同時送信に失敗する場合の一実施例を示す図である。
【
図36】本発明の実施例によってチャネルアクセス手順を完了し、送信開始を留保していたMLDのSTAが、自分のスロット境界と異なる時点に送信を開始することによって行う同時送信手法の一実施例を示す図である。
【
図37】本発明の実施例によってBSSで利用可能なSlot Sync BudgetをAP MLDが動作エレメント(Operation element)で指示する時に利用可能なシグナリングの一実施例を示す図である。
【
図38】本発明の一実施例に係るリンク間情報交換遅延を考慮した同時送信手順の一例を示す図である。
【
図39】本発明の一実施例によって、チャネルアクセス手順を完了し、送信開始を留保していたMLDのSTAが、他のSTAのチャネルアクセス手順が完了したことを認知した後、自分のスロット境界と異なる時点に送信を開始する同時送信手法の一例を示す図である。
【
図40】本発明の一実施例によって、多重リンクデバイスが多重リンクを通じて同時送信を行う方法の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本明細書で使用される用語は、本発明での機能を考慮してできる限り現在広く使用されている一般的案用語を選択しているが、これは該当技術分野に携わる技術者の意図、慣例、または新たな技術の出現などによって異なり得る。また、特定の場合は出願人が任意に選定した用語もあり、このような場合は該当する発明の説明部分でその意味を記載する。よって、本明細書で使用される用語は単なる用語の名称ではなく、その用語が有する実質的な意味と本明細書全般にわたる内容に基づいて解釈すべきであることを明らかにする。
【0033】
明細書全体にわたって、ある構成が他の構成と「連結」されているとすると、これは「直接連結」されている場合だけでなく、その中間に他の構成要素を間に挟んで「電気的に連結」されている場合も含む。また、ある構成要素が特定の構成要素を「含む」とすると、これは特に反対する記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく他の構成要素を更に含み得ることを意味する。加えて、特定臨界値を基準に「以上」または「以下」という限定事項は、実施例によってそれぞれ「超過」または「未満」に適切に代替され得る。 以下、本発明において、フィールドとサブフィールドは同じ意味で使われてよい。
【0034】
図1は、本発明の一実施例による無線LANシステムを示す図である。
【0035】
無線LANシステムは、一つまたはそれ以上のベーシックサービスセット(Basic Service Set、BSS)を含むが、BSSは同期化に成功し互いに通信し得る機器の集合を示す。一般に、BSSはインフラストラクチャBSS(infrastructure BSS)と独立BSS(Independent BSS、IBSS)に区分されるが、
図1はこのうちインフラストラクチャBSSを示している。
【0036】
図1に示すように、インフラストラクチャBSS BSS1,BSS2は、1つ又はそれ以上のステーションSTA1,STA2,STA3,STA4,STA5、分配サービス(Distribution Service)を提供するステーションであるアクセスポイントAP-1,AP-2、及び複数のアクセスポイントAP-1,AP-2を連結させる分配システム(Distribution System)DSを含む。
【0037】
ステーション(Station、STA)は、IEEE 802.11標準の規定に従う媒体接続制御(Medium Access Control、MAC)と無線媒体に対する物理層(Physical Layer)インタフェースを含む任意のデバイスであって、広い意味では非アクセスポイントnon-APステーションのみならずアクセスポイントAPを全て含む。また、本明細書において、「端末」とはnon-APまたはAPを指すか、両者を全て指す用語として使用される。無線通信のためのステーションはプロセッサと通信部を含み、実施例によってユーザインタフェース部とディスプレーユニットなどを更に含む。プロセッサは無線ネットワークを介して伝送するフレームを生成するか、または前記無線ネットワークを介して受信されたフレームを処理し、その他にステーションを制御するための多様な処理を行う。そして、通信部は前記プロセッサと機能的に連結されており、ステーションのために無線ネットワークを介してフレームを送受信する。本発明において、端末はユーザ端末機(user equipment、UE)を含む用語として使用される。
【0038】
アクセスポイント(Access Point、AP)は、自らに結合された(associated)ステーションのために無線媒体を経由して分配システムDSに対する接続を提供する個体である。インフラストラクチャBSSにおいて、非APステーション間の通信はAPを経由して行われることが原則であるが、ダイレクトリンクが設定されている場合は非APステーションの間でも直接通信が可能である。一方、本発明において、APはPCP(Personal BSS Coordination Point)を含む概念として使用されるが、広い意味では集中制御器、基地局(Base Station、BS)、ノードB、BTS(Base Transceiver System)、またはサイト制御器などの概念を全て含む。本発明において、APはベース無線通信端末とも称されるが、ベース無線通信端末は、広い意味ではAP、ベースステーション(base station)、eNB(eNodeB)、及びトランスミッションポイントTPを全て含む用語として使用される。それだけでなく、ベース無線通信端末は複数の無線通信端末との通信で通信媒介体(medium)資源を割り当て、スケジューリング(scheduling)を行う多様な形態の無線通信端末を含む。
【0039】
複数のインフラストラクチャBSSは、分配システムDSを介して互いに連結される。この際、分配システムを介して連結された複数のBSSを拡張サービスセット(Extended Service Set、ESS)という。
【0040】
図2は、本発明の他の実施例による無線LANシステムである独立BSSを示す図である。
図2の実施例において、
図1の実施例と同じであるか相応する部分は重複する説明を省略する。
【0041】
図2に示したBSS3は独立BSSであってAPを含まないため、全てのステーション(STA6、STA7)がAPと接続されていない状態である。独立BSSは分配システムへの接続が許容されず、自己完備的ネットワーク(self-contained network)をなす。独立BSSにおいて、それぞれのステーション(STA6、STA7)はダイレクトに互いに連結される。
【0042】
図3は、本発明の一実施例によるステーション100の構成を示すブロック図である。図示したように、本発明の実施例によるステーション100は、プロセッサ110、通信部120、ユーザインタフェース部140、ディスプレーユニット150、及びメモリ160を含む。
【0043】
まず、通信部120は、無線LANパケットなどの無線信号を送受信し、ステーション100に組み込まれる又は外付けられて具備されてよい。実施例によれば、通信部120は、互いに異なる周波数バンドを用いる少なくとも1つの通信モジュールを含むことができる。例えば、前記通信部120は、2.4GHz、5GHz、6GHz及び60GHzなどの異なる周波数バンドの通信モジュールを含むことができる。一実施例によれば、ステーション100は、7.125GHz以上の周波数バンドを用いる通信モジュールと、7.125GHz以下の周波数バンドを用いる通信モジュールを備えることができる。それぞれの通信モジュールは、当該通信モジュールが支援する周波数バンドの無線LAN規格に基づいてAP又は外部ステーションと無線通信を行うことができる。通信部120は、ステーション100の性能及び要求事項に応じて1回に1つの通信モジュールのみを動作させるか、同時に複数の通信モジュールを共に動作させることができる。ステーション100が複数の通信モジュールを含む場合に、各通信モジュールはそれぞれ独立した形態で備えられてもよく、複数のモジュールが1つのチップとして統合して備えられてもよい。本発明の実施例において、通信部120は、RF(Radio Frequency)信号を処理するRF通信モジュールを表すことができる。
【0044】
次に、ユーザインタフェース140は、ステーション100に備えられた多様な形態の入出力手段を含む。つまり、ユーザインタフェース部140は多様な入力手段を利用してユーザの入力を受信し、プロセッサ110は受信されたユーザ入力に基づいてステーション100を制御する。また、ユーザインタフェース部140は、多様な出力手段を利用してプロセッサ110の命令に基づいた出力を行う。
【0045】
次に、ディスプレーユニット150は、ディスプレー画面にイメージを出力する。前記ディスプレーユニット150は、プロセッサ110によって行われるコンテンツ、またはプロセッサン110の制御命令に基づいたユーザインタフェースなどの多様なディスプレーオブジェクトを出力する。また、メモリ160は、ステーション100で使用される制御プログラム及びそれによる各種データを貯蔵する。このような制御プログラムには、ステーション100がAPまたは外部のステーションと接続を行うのに必要な接続プログラムが含まれる。
【0046】
本発明のプロセッサ110は多様な命令またはプログラムを行い、ステーション100内部のデータをプロセッシングする。また、前記プロセッサ110は上述したステーション100の各ユニットを制御し、ユニット間のデータの送受信を制御する。本発明の実施例によると、プロセッサ110はメモリ160に貯蔵されたAPとの接続のためのプログラムを行い、APが伝送した通信設定メッセージを受信する。また、プロセッサ110は通信設定メッセージに含まれたステーション100の優先条件に関する情報を読み取り、ステーション100の優先条件に関する情報に基づいてAPに関する接続を要請する。本発明のプロセッサ110はステーション100のメインコントロールユニットを指してもよく、実施例によってステーション100の一部の構成、例えば、通信部120などを個別的に制御するためのコントロールユニットを指してもよい。つまり、プロセッサ110は通信部120から送受信される無線信号を変復調するモデム、または変復調部(modulator and/or demodulator)であってもよい。プロセッサ110は、本発明の実施例によるステーション100の無線信号送受信の各種動作を制御する。それに関する詳しい実施例は後述する。
【0047】
図3に示したステーション100は本発明の一実施例によるブロック図であって、分離して示したブロックはデバイスのエレメントを論理的に区別して示したものである。よって、上述したデバイスのエレメントは、デバイスの設計に応じて一つのチップまたは複数のチップに取り付けられる。例えば、前記プロセッサ110及び通信部120は一つのチップに統合されて具現されてもよく、別途のチップで具現されてもよい。また、本発明の実施例において、前記ステーション100の一部の構成、例えば、ユーザインタフェース部140及びディスプレーユニット150などはステーション100に選択的に備えられてもよい。
【0048】
図4は、本発明の一実施例によるAP200の構成を示すブロック図である。図示したように、本発明の実施例によるAP200は、プロセッサ210、通信部220、及びメモリ260を含む。
図4において、AP200の構成のうち
図3のステーション100の構成と同じであるか相応する部分については重複する説明を省略する。
【0049】
図4を参照すると、本発明に係るAP 200は、少なくとも1つの周波数バンドにおいてBSSを運営するための通信部220を備える。
図3の実施例において前述したように、前記AP 200の通信部220も、互いに異なる周波数バンドを用いる複数の通信モジュールを含むことができる。すなわち、本発明の実施例に係るAP 200は、異なる周波数バンド、例えば、2.4GHz、5GHz、6GHz及び60GHzのいずれかを用いる2つ以上の通信モジュールを共に備えることができる。好ましくは、AP 200は、7.125GHz以上の周波数バンドを用いる通信モジュールと、7.125GHz以下の周波数バンドを用いる通信モジュールを備えることができる。それぞれの通信モジュールは、当該通信モジュールが支援する周波数バンドの無線LAN規格に基づいてステーションと無線通信を行うことができる。前記通信部220は、AP 200の性能及び要求事項に応じて1回に1つの通信モジュールのみを動作させるか、同時に複数の通信モジュールを共に動作させることができる。本発明の実施例において、通信部220は、RF(Radio Frequency)信号を処理するRF通信モジュールを表すことができる。
【0050】
次に、メモリ260は、AP200で使用される制御プログラム及びそれによる各種データを貯蔵する。このような制御プログラムには、ステーションの接続を管理する接続プログラムが含まれる。また、プロセッサ210はAP200の各ユニットを制御し、ユニット間のデータの送受信を制御する。本発明の実施例によると、プロセッサ210はメモリ260に貯蔵されたステーションとの接続のためのプログラムを行い、1つ以上のステーションに対する通信設定メッセージを伝送する。この際、通信設定メッセージには各ステーションの接続優先条件に関する情報が含まれる。また、プロセッサ210はステーションの接続要請に応じて接続設定を行う。一実施例によると、プロセッサ210は通信部220から送受信される無線信号を変復調するモデム、または変復調部である。プロセッサ210は、本発明の実施例によるAP200の無線信号送受信の各種動作を制御する。それに関する詳しい実施例は後述する。
【0051】
図5は、STAがAPとリンクを設定する過程を概略的に示す図である。
【0052】
図5を参照すると、STA100とAP200間のリンクは大きくスキャニング(sanning)、認証(authentication)、及び結合(association)の3つのステップを介して設定される。まず、スキャニングステップは、AP200が運営するBSSの接続情報をSTA100が獲得するステップである。スキャニングを行うための方法としては、AP200が周期的に伝送するビーコン(beacon)メッセージS101のみを活用して情報を取得するパッシブスキャニング(passive sanning)方法と、STA100がAPにプローブ要請(probe request)を伝送しS103、APからプローブ応答(probe response)を受信してS105、接続情報を取得するアクティブスキャニング(active sanning)方法がある。
【0053】
スキャニングステップにおいて無線接続情報の受信に成功したSTA100は、認証要請(authentication request)を伝送しS107a、AP200から認証応答(authentication response)を受信してS107b、認証ステップを行う。認証ステップが行われた後、STA100は結合要請(association request)を伝送しS109a、AP200から結合応答(association response)を受信してS109b、結合ステップを行う。本明細書において、結合とは基本的に無線結合を意味するが、本発明はこれに限らず、広い意味での結合は無線結合及び有線結合を全て含む。
【0054】
一方、追加に802.1X基盤の認証ステップS111、及びDHCPを介したIPアドレス獲得ステップS113が行われる。
図5において、サーバ300はSTA100と802.1X基盤の認証を処理するサーバであって、AP200に物理的に結合されて存在するか、別途のサーバとして存在してもよい。
【0055】
図6は、無線LAN通信で使用されるCSMA(Carrier Sense Multiple Access)/CA(Collision Avoidance)方法を示す図である。
【0056】
無線LAN通信を行う端末は、データを伝送する前にキャリアセンシング(Carrier Sensing)を行ってチャネルが占有状態(busy)であるのか否かをチェックする。もし一定強度以上の無線信号が感知されれば該当チャネルが占有状態と判別され、前記端末は該当チャネル対するアクセスを遅延する。このような過程をクリアチャネル評価(Clear Channel Assessment、CCA)といい、該当信号の感知有無を決定するレベルをCCA臨界値(CCA threshold)という。もし端末に受信されたCCA臨界値以上の無線信号が該当端末を受信者とすれば、端末は受信された無線信号を処理する。一方、該当チャネルから無線信号が感知されないかCCA臨界値より小さい強度の無線信号が感知されれば、前記チャネルは遊休状態(idle)と判別される。
【0057】
チャネルが遊休状態と判別されれば、伝送するデータがある各端末は、各端末の状況によるIFS(Inter Frame Space)、例えば、AIFS(Arbitration IFS)、PIFS(PCF IFS)などの時間の後にバックオフ手順を行う。実施例によって、前記AIFSは従来のDIFS(DCF IFS)を代替する構成として使用される。各端末は、該当端末に決定された乱数(random number)だけのスロットタイムを前記チャネルの遊休状態の間隔(interval)の間に減少させながら待機し、スロットタイムを全て消尽した端末が該当チャネルに対するアクセスを試みる。このように、各端末がバックオフ手順を行う区間を競合ウィンドウ区間という。
【0058】
もし特定端末が前記チャネルのアクセスに成功すれば、該当端末は前記チャネルを介してデータを伝送する。しかし、アクセスを試みた端末が他の端末と衝突すれば、衝突した端末はそれぞれ新しい乱数を割り当てられて更にバックオフ手順を行う。一実施例によると、各端末に新しく割り当てられる乱数は、該当端末が以前割り当てられた乱数の範囲(競合ウィンドウ、CW)の2倍の範囲(2*CW)内で決定される。一方、各端末は、次の競合ウィンドウ区間で更にバックオフ手順を行ってアクセスを試みるが、この際、各端末は以前の競合ウィンドウ区間に残ったスロットタイムからバックオフ手順を行う。このような方法で無線LAN通信を行う各端末は、特定チャネルに対する互いの衝突を回避することができる。
【0059】
以下、本発明において、端末は、non-AP STA、AP STA、AP、STA、受信装置又は送信装置と呼ぶことができ、本発明がこれに限定されるものではない。また、本発明において、AP STAは、APと呼ぶことができる。
【0060】
<様々なPPDUフォーマットの実施例>
【0061】
図7には、様々な標準世代別PPDU(PLCP Protocol Data Unit)フォーマットの一例を示す。より具体的に、
図7(a)は、802.11a/gに基づくレガシーPPDUフォーマットの一実施例、
図7(b)は、802.11axに基づくHE PPDUフォーマットの一実施例を示し、
図7(c)は、802.11beに基づくノン-レガシーPPDU(すなわち、EHT PPDU)フォーマットの一実施例を示す。また、
図7(d)は、前記PPDUフォーマットで共通に用いられるL-SIG及びRL-SIGの細部フィールド構成を示す。
【0062】
図7(a)を参照すると、レガシーPPDUのプリアンブルは、L-STF(Legacy Short Training field)、L-LTF(Legacy Long Training field)及びL-SIG(Legacy Signal field)を含む。本発明の実施例において、前記L-STF、L-LTF及びL-SIGは、レガシープリアンブルと呼ぶことができる。
【0063】
図7(b)を参照すると、HE PPDUのプリアンブルは、前記レガシープリアンブルに、RL-SIG(Repeated Legacy Short Training field)、HE-SIG-A(High Efficiency Signal A field)、HE-SIG-B(High Efficiency Signal B field)、HE-STF(High Efficiency Short Training field)、HE-LTF(High Efficiency Long Training field)をさらに含む。本発明の実施例において、前記RL-SIG、HE-SIG-A、HE-SIG-B、HE-STF及びHE-LTFは、HEプリアンブルと呼ぶことができる。HEプリアンブルの具体的な構成は、HE PPDUフォーマットによって変形されてよい。例えば、HE-SIG-Bは、HE MU PPDUフォーマットのみにおいて用いられてよい。
【0064】
図7(c)を参照すると、EHT PPDUのプリアンブルは、前記レガシープリアンブルに、RL-SIG(Repeated Legacy Short Training field)、U-SIG(Universal Signal field)、EHT-SIG-A(Extremely High Throughput Signal A field)、EHT-SIG-A(Extremely High Throughput Signal B field)、EHT-STF(Extremely High Throughput Short Training field)、EHT-LTF(Extremely High Throughput Long Training field)をさらに含む。本発明の実施例において、前記RL-SIG、EHT-SIG-A、EHT-SIG-B、EHT-STF及びEHT-LTFは、EHTプリアンブルと呼ぶことができる。ノン-レガシープリアンブルの具体的な構成は、EHT PPDUフォーマットによって変形されてよい。例えば、EHT-SIG-AとEHT-SIG-Bは、EHT PPDUフォーマットのうち一部のフォーマットのみにおいて用いられてよい。
【0065】
PPDUのプリアンブルに含まれたL-SIGフィールドは、64 FFT OFDMが適用され、総64個のサブキャリアで構成される。このうち、ガードサブキャリア、DCサブキャリア及びパイロットサブキャリアを除く48個のサブキャリアが、L-SIGのデータ送信用に用いられる。L-SIGにはBPSK、Rate=1/2のMCS(Modulation and Coding Scheme)が適用されるので、総24ビットの情報を含むことができる。
図7(d)には、L-SIGの24ビット情報構成を示す。
【0066】
図7(d)を参照すると、L-SIG、は、L_RATEフィールドとL_LENGTHフィールドを含む。L_RATEフィールドは、4ビットで構成され、データ送信に用いられたMCSを示す。具体的に、L_RATEフィールドは、BPSK/QPSK/16-QAM/64-QAMなどの変調方式と1/2、2/3、3/4などの符号率を組み合わせた6/9/12/18/24/36/48/54Mbpsの送信速度のうち1つの値を示す。L_RATEフィールドとL_LENGTHフィールドの情報を組み合わせると当該PPDUの全長を示すことができる。ノン-レガシーPPDUフォーマットでは、L_RATEフィールドを最小速度である6Mbpsに設定する。
【0067】
L_LENGTHフィールドの単位はバイトであり、総12ビットが割り当てられて最大4095までシグナルでき、L_RATEフィールドとの組合せで該当PPDUの長さを示すことができる。このとき、レガシー端末とノンレガシー端末はL_LENGTHフィールドを別個の方法で解釈することができる。
【0068】
まず、レガシー端末又はノンレガシー端末がL_LENGTHフィールドを用いて該当PPDUの長さを解釈する方法は次の通りである。L_RATEフィールドの値が6Mbpsを指示するように設定された場合に、64FFTの1個のシンボルデューレーションである4usの間に3バイト(すなわち、24ビット)が送信されてよい。したがって、L_LENGTHフィールド値に、SVCフィールド及びTailフィールドに該当する3バイトを足し、これを1個のシンボルの送信量である3バイトで割ると、L-SIG以後の64FFT基準シンボル個数が取得される。取得されたシンボル個数に1個のシンボルデュレーションである4usをかけた後に、L-STF、L-LTF及びL-SIGの送信にかかる20usを足すと、該当PPDUの長さ、すなわち、受信時間(RXTIME)が得られる。これを数式で表現すれば、下記の式1の通りである。
【0069】
【0070】
このとき、
【数2】
は、xより大きい又は等しい最小の自然数を表す。L_LENGTHフィールドの最大値は4095であるので、PPDUの長さは、最大5.484msまでに設定されてよい。当該PPDUを送信するノン-レガシー端末は、L_LENGTHフィールドを下記の式2のように設定しなければならない。
【0071】
【0072】
ここで、TXTIMEは、当該PPDUを構成する全体送信時間であり、下記の式3の通りである。このとき、TXは、Xの送信時間を表す。
【0073】
【0074】
以上の式を参照すると、PPDUの長さは、L_LENGTH/3の切上げ値に基づいて計算される。したがって、任意のk値に対してL_LENGTH={3k+1,3k+2,3(k+1)}の3つの異なる値が、同一のPPDU長を指示する。
【0075】
図7(e)を参照すると、U-SIG(Universal SIG)フィールドは、EHT PPDU及び後続世代の無線LANのPPDUにおいて存続し、11beを含めてどの世代のPPDUであるかを区分する役割を担う。U-SIGは、64FFTベースのOFDMの2シンボルであり、総52ビットの情報を伝達することができる。このうち、CRC/テール9ビットを除く43ビットは、大きく、VI(Version Independent)フィールドとVD(Version Dependent)フィールドに区分される。
【0076】
VIビットは、現在のビット構成を後にも維持し続け、後続世代のPPDUが定義されても、現在の11be端末が、当該PPDUのVIフィールドから当該PPDUに関する情報を得ることができる。そのために、VIフィールドは、PHYバージョン、UL/DL、BSSカラー、TXOP、リザーブド(Reserved)フィールドで構成される。PHYバージョンフィールドは3ビットであり、11be及び後続世代の無線LAN標準を順次にバージョンで区分する役割を担う。11beは000bの値を有する。UL/DLフィールドは、当該PPDUが上りリンク/下りリンクPPDUのいずれであるかを区分する。BSSカラーは、11axで定義されたBSS別識別子を意味し、6ビット以上の値を有する。TXOPは、MACヘッダーで伝達されていた送信機会デュレーション(Transmit Opportunity Duration)を意味するが、PHYヘッダーに追加することにより、MPDUをデコードすることなく、当該PPDUが含まれたTXOPの長さを類推でき、7ビット以上の値を有する。
【0077】
VDフィールドは、11beバージョンのPPDUにのみ有用なシグナリング情報としてPPDUフォーマット、BWのように、如何なるPPDUフォーマットにも共通に用いられるフィールド、及びPPDUフォーマット別に異なるように定義されるフィールドで構成されてよい。PPDUフォーマットは、EHT SU(Single User)、EHT MU(Multiple User)、EHT TB(Trigger-based)、EHT ER(Extended Range)PPDUなどを区分する区分子である。BWフィールドは、大きく、20、40、80、160(80+80)、320(160+160)MHzの5個の基本PPDU BWオプション(20*2の冪乗の形態で表現可能なBWを基本BWと呼ぶことができる。)と、プリアンブルパンクチャリング(Preamble Puncturing)によって構成される様々な残りのPPDU BWをシグナルする。また、320MHzでシグナルされた後、一部の80MHzがパンクチャーされた形態でシグナルされてよい。また、パンクチャーされて変形されたチャネル形態は、BWフィールドで直接シグナルされてもよく、或いはBWフィールドとBWフィールド以後に現れるフィールド(例えば、EHT-SIGフィールド内のフィールド)を共に用いてシグナルされてもよい。仮に、BWフィールドを3ビットとする場合に、総8個のBWシグナリングが可能なので、パンクチャリングモードは最大で3個をシグナルできる。仮にBWフィールドを4ビットとする場合に総16個のBWシグナリングが可能なので、パンクチャリングモードは最大で11個をシグナルできる。
【0078】
BWフィールド以後に位置するフィールドは、PPDUの形態及びフォーマットによって異なり、MU PPDUとSU PPDUは同一のPPDUフォーマットでシグナルされてよく、EHT-SIGフィールドの前に、MU PPDUとSU PPDUを区別するためのフィールドが位置してよく、そのための追加のシグナリングが行われてよい。SU PPDUとMU PPDUは両方ともEHT-SIGフィールドを含んでいるが、SU PPDUで不要な一部のフィールドが圧縮(compression)されてよい。この時、圧縮が適用されたフィールドの情報は省略されるか、あるいはMU PPDUに含まれる本来フィールドのサイズよりも縮小したサイズを有してよい。例えば、SU PPDUの場合、EHT-SIGの共通フィールドが省略又は代替されるか、ユーザ特定フィールドが代替されるか、或いは1個に縮小するなど、異なる構成を有してよい。
【0079】
又は、SU PPDUは、圧縮されたか否かを示す圧縮フィールドをさらに含むことができ、圧縮フィールドの値によって一部のフィールド(例えば、RAフィールドなど)が省略されてよい。
【0080】
SU PPDUのEHT-SIGフィールドの一部が圧縮された場合に、圧縮されたフィールドに含まれる情報は、圧縮されていないフィールド(例えば、共通フィールドなど)で一緒にシグナルされてよい。MU PPDUの場合、複数ユーザの同時受信のためのPPDUフォーマットであるので、U-SIGフィールド以後にEHT-SIGフィールドが必須に送信される必要があり、シグナルされる情報の量が可変的であってよい。すなわち、複数個のMU PPDUが複数個のSTAに送信されるので、それぞれのSTAは、MU PPDUが送信されるRUの位置、それぞれのRUが割り当てられたSTA、及び送信されたMU PPDUが自分に送信されたか否かを認識しなければならない。したがって、APは、EHT-SIGフィールドに上のような情報を含めて送信しなければならない。そのために、U-SIGフィールドではEHT-SIGフィールドを効率的に送信するための情報をシグナルし、これは、EHT-SIGフィールドのシンボル数及び/又は変調方法であるMCSであってよい。EHT-SIGフィールドは、各ユーザに割り当てられたRUのサイズ及び位置情報を含むことができる。
【0081】
SU PPDUである場合に、STAに複数個のRUが割り当てられてよく、複数個のRUは連続又は不連続してよい。STAに割り当てられたRUが連続しない場合、STAは、中間にパンクチャーされたRUを認識してこそ、SU PPDUを効率的に受信することができる。したがって、APは、SU PPDUに、STAに割り当てられたRUのうちパンクチャーされたRUの情報(例えば、RUのパンクチャリングパターンなど)を含めて送信できる。すなわち、SU PPDUの場合、パンクチャリングモードが適用されたか否か及びパンクチャリングパターンをビットマップ形式などで示す情報を含むパンクチャリングモードフィールドがEHT-SIGフィールドに含まれてよく、パンクチャリングモードフィールドは、帯域幅内で現れる不連続するチャネルの形態をシグナルできる。
【0082】
シグナルされる不連続チャネルの形態は制限的であり、BWフィールドの値と組み合わせてSU PPDUのBW及び不連続チャネル情報を示す。例えば、SU PPDUの場合、単一端末にのみ送信されるPPDUであるので、STAは、PPDUに含まれたBWフィールドから、自分に割り当てられた帯域幅が認識でき、PPDUに含まれたU-SIGフィールド又はEHT-SIGフィールドのパンクチャリングモードフィールドから、割り当てられた帯域幅のうちパンクチャーされたリソースが認識できる。この場合、端末は、パンクチャーされたリソースユニットの特定チャネルを除く残りのリソースユニットでPPDUを受信できる。このとき、STAに割り当てられた複数個のRUは、互いに異なる周波数帯域又はトーンで構成されてよい。
【0083】
制限された形態の不連続チャネル形態のみがシグナルされる理由は、SU PPDUのシグナリングオーバーヘッドを減らすためである。パンクチャリングは、20MHzサブチャネル別に行われてよいので、80、160、320MHzのように20MHzサブチャネルを複数個有するBWに対してパンクチャリングを行うと、320MHzの場合、プライマリーチャネルを除く残りの20MHzサブチャネル15個の使用有無をそれぞれ表現して、不連続チャネル(端部20MHzのみがパンクチーされた形態も不連続と見なす場合)形態をシグナルしなければならない。このように単一ユーザ送信の不連続チャネル形態をシグナルするために15ビットを用いることは、シグナリング部分の低い送信速度を考慮したとき、過大なシグナリングオーバーヘッドとなり得る。
【0084】
本発明は、SU PPDUの不連続チャネル形態をシグナルする手法を提案し、提案した手法によって決定された不連続チャネル形態を示す。また、SU PPDUの320MHz BW構成において主(Primary)160MHzと福(Secondary)160MHzのパンクチャリング形態をそれぞれシグナルする手法を提案する。
【0085】
また、本発明の一実施例では、PPDUフォーマットフィールドにシグナルされたPPDUフォーマットにしたがって、プリアンブルパンクチャリングBW値が指示するPPDUの構成を異ならせる手法を提案する。BWフィールドの長さが4ビットである場合を仮定し、EHT SU PPDU又はTB PPDUである場合には、U-SIG以後に1シンボルのEHT-SIG-Aをさらにシグナルするか、EHT-SIG-Aを全くシグナルしなくてよいので、これを考慮してU-SIGのBWフィールドのみを用いて最大で11個のパンクチャリングモードを全てシグナルする必要がある。しかしながら、EHT MU PPDUの場合、U-SIG以後にEHT-SIG-Bをさらにシグナルするので、最大で11個のパンクチャリングモードをSU PPDUと異なる方法でシグナルしてよい。EHT ER PPDUの場合、BWフィールドを1ビットに設定し、20MHz又は10MHzの帯域を用いるPPDUであるかをシグナルすることができる。
【0086】
図7(f)には、U-SIGのPPDUフォーマットフィールドでEHT MU PPDUと指示された場合に、VDフィールドのフォーマット特異的(Format-specific)フィールドの構成を示す。MU PPDUの場合、複数ユーザの同時受信のためのシグナリングフィールドであるSIG-Bが必須であり、U-SIG後に別途のSIG-A無しでSIG-Bが送信されてよい。そのために、U-SIGではSIG-Bをデコードするための情報をシグナルしなければならない。このようなフィールドは、SIG-B MCS、SIG-B DCM、SIG-Bシンボルの数(Number of SIG-B Symbols)、SIG-B圧縮(SIG-B Compression)、EHT-LTFシンボルの数(Number of EHT-LTF Symbols)フィールドなどである。
【0087】
図8は、本発明の実施例に係る様々なEHT(Extremely High Throughput)PPDU(Physical Protocol Data Unit)フォーマット及びこれを指示するための方法の一例を示す。
【0088】
図8を参照すると、PPDUは、プリアンブルとデータ部分で構成されてよく、一つのタイプであるEHT PPDUのフォーマットは、プリアンブルに含まれているU-SIGフィールドによって区別されてよい。具体的に、U-SIGフィールドに含まれているPPDUフォーマットフィールドに基づき、PPDUのフォーマットがEHT PPDUであるか否かが指示されてよい。
【0089】
図8の(a)は、単一STAのためのEHT SU PPDUフォーマットの一例を示す。EHT SU PPDUは、APと単一STA間の単一ユーザ(Single User:SU)送信のために用いられるPPDUであり、U-SIGフィールド以後に追加のシグナリングのためのEHT-SIG-Aフィールドが位置してよい。
【0090】
図8の(b)は、トリガーフレームに基づいて送信されるEHT PPDUであるEHTトリガーベース(Trigger-based)PPDUフォーマットの一例を示す。EHTトリガーベースPPDUは、トリガーフレームに基づいて送信されるEHT PPDUであり、トリガーフレームに対する応答のために用いられる上りリンクPPDUである。EHT PPDUは、EHT SU PPDUとは違い、U-SIGフィールド以後にEHT-SIG-Aフィールドが位置しない。
【0091】
図8の(c)は、多重ユーザのためのEHT PPDUであるEHT MU PPDUフォーマットの一例を示す。EHT MU PPDUは、1つ以上のSTAにPPDUを送信するために用いられるPPDUである。EHT MU PPDUフォーマットは、U-SIGフィールド以後にHE-SIG-Bフィールドが位置してよい。
【0092】
図8の(d)は、拡張された範囲にあるSTAとの単一ユーザ送信のために用いられるEHT ER SU PPDUフォーマットの一例を示す。EHT ER SU PPDUは、
図8の(a)で説明したEHT SU PPDUよりも広い範囲のSTAとの単一ユーザ送信のために用いられてよく、時間軸上でU-SIGフィールドが反復して位置してよい。
【0093】
図8の(c)で説明したEHT MU PPDUは、APが複数個のSTAに下りリンク送信のために用いることができる。このとき、EHT MU PPDUは、複数個のSTAがAPから送信されたPPDUを同時に受信できるようにスケジューリング情報を含むことができる。EHT MU PPDUは、EHT-SIG-Bのユーザ特定(user specific)フィールドを通じて送信されるPPDUの受信者及び/又は送信者のAID情報を、STAに伝達することができる。したがって、EHT MU PPDUを受信した複数個の端末は、受信したPPDUのプリアンブルに含まれたユーザ特定フィールドのAID情報に基づいて空間再使用(spatial reuse)動作を行うことができる。
【0094】
具体的に、HE MU PPDUに含まれたHE-SIG-Bフィールドのリソースユニット割り当て(resource unit allocation,RA)フィールドは、周波数軸の特定帯域幅(例えば、20MHzなど)におけるリソースユニットの構成(例えば、リソースユニットの分割形態)に関する情報を含むことができる。すなわち、RAフィールドは、STAがPPDUを受信するために、HE MU PPDUの送信のための帯域幅で分割されたリソースユニットの構成を指示できる。分割された各リソースユニットに割り当て(又は、指定)されたSTAの情報は、EHT-SIG-Bのユーザ特定フィールドに含まれてSTAに送信されてよい。すなわち、ユーザ特定フィールドは、分割された各リソースユニットに対応する1つ以上のユーザフィールドを含むことができる。
【0095】
例えば、分割された複数個のリソースユニットのうち、データ送信のために用いられる少なくとも1つのリソースユニットに対応するユーザフィールドは、受信者又は送信者のAIDを含むことができ、データ送信に用いられない残りのリソースユニットに対応するユーザフィールドは、既に設定されたヌル(Null)STA IDを含むことができる。
【0096】
図8に示す2個以上のPPDUを、同一のPPDUフォーマットを示す値で指示することができる。すなわち、2個以上のPPDUを同一の値によって同一のPPDUフォーマットと指示することができる。例えば、EHT SU PPDUとEHT MU PPDUは、U-SIG PPDUフォーマットサブフィールドを用いて同一の値で指示することができる。このとき、EHT SU PPDUとEHT MU PPDUは、PPDUを受信するSTAの個数によって区別されてよい。例えば、1個のSTAのみが受信するPPDUは、EHT SU PPDUと識別されてよく、2個以上のSTAが受信するようにSTAの数が設定された場合に、EHT MU PPDUと識別されてよい。言い換えると、同一のサブフィールド値を用いて、
図8に示す2個以上のPPDUフォーマットを指示することができる。
【0097】
また、
図8に示すフィールドのうち一部のフィールド又はフィールドの一部の情報は省略されてよく、このように一部のフィールド又はフィールドの一部の情報が省略される場合を圧縮モード(compression mode)又は圧縮されたモード(compressed mode)と定義できる。
【0098】
図9は、本発明の一実施例に係る多重リンク(multi-link)装置を示す図である。
【0099】
図9を参照すると、一つ以上のSTAがアフィリエート(affiliate)されているデバイス(device)の概念が定義できる。さらに他の実施例として、本発明の一実施例をよれば、1個超過(すなわち、2個以上の)のSTAがアフィリエートされているデバイスが定義されてよい。このとき、装置は論理的な(logical)概念であってよい。したがって、このような概念の1個以上又は1個超過のSTAがアフィリエートされているデバイスは、多重リンクデバイス(multi-link device:MLD)、多重バンド(multi-band)デバイス又は多重リンク論理的エンティティ(multi-link logical entity:MLLE)と呼ぶことができる。
【0100】
又は、上記の概念のデバイスは、多重リンクエンティティ(multi-link entity:MLE)と呼ぶことができる。また、MLDは、一つのMAC SAP(medium access control service access point)をLLC(logical link control)まで有してよく、MLDは一つのMACデータサービス( MAC data service)を有してよい。
【0101】
MLDに含まれたSTAは、一つ以上のリンク(link)又はチャネル(channel)で動作することが可能である。すなわち、MLDに含まれたSTAは、互いに異なる複数のチャネルで動作することが可能である。例えば、MLDに含まれたSTAは、2.4GHz、5GHz、6GHzの互いに異なる周波数帯域のチャネルを用いて動作することが可能である。これにより、MLDはチャネル接続での利得を得、全体ネットワークの性能を上げることが可能である。既存の無線LANは単一リンク(single link)で動作したが、MLD動作は、複数個のリンクを用いてより多いチャネル接続機会を得るか、チャネルの状況を考慮して複数個のリンクでSTAが効率的に動作可能である。
【0102】
また、MLDにアフィリエートされたSTAがAPである場合に、APがアフィリエートされたMLDは、AP MLDであってよい。しかし、MLDにアフィリエートされたSTAがnon-AP STAである場合に、non-APがアフィリエートされたMLDは、non-AP MLDであってよい。
【0103】
図9を参照すると、複数のSTAを含むMLDが存在してよく、MLDに含まれている複数のSTAは、複数のリンクで動作できる。
図9で、APであるAP1、AP2、AP3を含むMLDをAP MLDということができ、non-AP STAであるnon-AP STA1、non-AP STA2、non-AP STA3を含むMLDをnon-AP MLDということができる。MLDに含まれているSTAは、リンク1(Link1)、リンク2(Link2)、リンク3(Link3)又はリンク1~3のうち一部のリンクで動作できる。
【0104】
本発明の実施例をよれば、多重リンク動作は、多重リンク設定(multi-link setup)動作を含むことができる。多重リンク設定動作は、単一リンク動作で行われるアソシエーション(association)に対応する動作であってよい。多重リンクでフレームを交換するためには多重リンク設定が先行されるべきである。多重リンク設定動作は、多重リンク設定要素(multi-link setup element)を用いて行われてよい。ここで、多重リンク設定要素は、多重リンクと関連した能力情報(capability information)を含んでよく、能力情報は、MLDに含まれたSTAがいずれかのリンクでフレームを受信すると同時に、MLDに含まれた他のSTAが他のリンクでフレームを送信できるかにに関連した情報を含んでよい。すなわち、能力情報は、MLDに含まれたリンクを通じてSTA(non-AP STA)及び/又はAP(又は、AP STA)が互いに異なる送信方向に同時にフレームを送信/受信できるかに関するた情報を含んでよい。また、能力情報は、使用可能なリンク又は動作チャネル(operating channel)に関する情報をさらに含んでよい。多重リンク設定は、ピアSTA(peer STA)間の交渉(negotiation)によって設定されてよく、一つのリンクを通じて多重リンク動作が設定されてよい。
【0105】
本発明の一実施例によれば、TIDとMLDのリンク間にマッピング関係が存在してよい。例えば、TIDとリンクがマップされる場合に、TIDは、マップされたリンクを通じて送信されてよい。TIDとリンク間のマッピングは、送信方向ベース(directional-based)でなされてよい。例えば、MLD1とMLD2間における両方向のそれぞれに対してマッピングがなされてよい。また、TIDとリンク間のマッピングは、基本(default)設定が存在してよい。例えば、TIDとリンク間のマッピングは基本的に、あるリンクに全てのTIDがマップされたものであってよい。
【0106】
図10には、本発明の実施例に係る相対的に狭い周波数離隔距離に対するデバイス(MLD#1、MLD#2のSTR)の支援の有無に対する一例を示す。
【0107】
図10の実施例によれば、Link1とLink2は、互いに周波数上で近くに位置しているBWを用いるリンクである場合を示している。Link1が用いる周波数領域は、斜線で埋められた四角形で表示され、Link2が用いる周波数領域は、格子で埋められた四角形で表示されている。本実施例において、MLD#1は、STA1-1とSTA1-2を有するMLDであり、前記STA1-1とSTA1-2はそれぞれ、Link1とLink2で動作する。また、MLD#2は、STA2-1とSTA2-2を有するMLDであり、前記STA2-1とSTA2-2はそれぞれ、Link1とLink2で動作する。このとき、各MLD#1とMLD#2に属したSTAx-1とSTAx-2が用いるリンクはそれぞれLink1、Link2であって、同一であるが、MLD#1のSTA同士間の干渉はMLD#2のSTA同士間の干渉よりも小さくてよい。したがって、前記MLD#1のSTA1-1がLink1を通じて送信を行うと同時に、STA1-2が、Link2で受信されるパケットをデコードすることに成功できるが、前記MLD#2のSTA2-1がLink1を通じて送信を行うと、Link2に相対的に強い干渉が発生し、STA2-2のデコーディングを妨害することがある。したがって、単一MLD内に存在するSTA間のSTRの可否は、MLDによって異なってよい。
【0108】
AP MLDとSTA MLDは各リンクを用いるAP及びSTAの動作を決定するために、前記AP MLD内のAP間にSTRが支援されるか否かと、前記STA MLD内のSTA間にSTRが支援されるか否かを交換できる。このとき、各リンクのSTR支援されるか否かを示すためにSTR support elementが用いられてよい。このとき、前記STR support elementは、両MLD間に、各MLD内の装置同士間STRが支援されるか否かを交換する他の名称のエレメントであってよい。
【0109】
一実施例として、STR support elementは、MLD内のSTA及びAP同士間にSTRが支援されるか否かを各1ビットで示すことができる。例えば、STA MLDがSTA1、STA2、STA3を運営する時に、STA1とSTA2間にSTRが支援されることを示すために1ビットを1に設定できる。一方、STA2とSTA3間にSTRが支援されないことを示すために1ビットを0に設定でき、STA1とSTA3間にSTRが支援されることを示すために他の1ビットを1に設定できる。結果的に、STR support elementは、総3ビットを用いてSTA1とSTA2間、STA2とSTA3間、STA1とSTA3間にSTRが支援されるか否かを101でシグナルすることができる。このとき、STA1が用いるLink1が2.4GHzであれば、前記STA1は、STA MLD内の他のSTAとの関係において常にSTRを支援することを仮定することにより、STA2とSTA3のSTR支援の可否のみが1ビットでシグナルされてよい(或いは、STA MLD内に存在するSTAが2個である場合に、常に1ビットで示されてよい)。
【0110】
上述したように、STRの支援されるか否かは、各リンクの周波数上の隔離距離によって異なってくるので、AP MLDが各リンクの中心周波数を変更したり、各リンクの動作(Operation)BWを変更する場合に、アソシエーションされている各STA MLDのSTA間STR支援の可否が変更されてよい。したがって、AP MLDが一部或いはリンク全体の動作BW或いは中心周波数を変更した場合に、必要によってSTR support elementが交換されてよい。このとき、STR support elementの交換は、APとSTAがそれぞれ要請と応答によって授受するか、STAがAPに中心周波数及び/又は動作BW変更後に自動で送信する必要があり得る。
【0111】
また、STA MLDは、内部のSTA間にSTR支援が不可能な場合に、APに、前記STRが支援されないSTAが用いるリンクのうち一部或いは全体の中心周波数の変更或いは動作帯域幅(Operation Bandwidth(BW))の変更又は20MHzの主チャネル(Primary 20MHz channel)の変更を要請することができる。この時、前記リンク変更要請は、STA MLDが変更を要求するリンクを通じてAP MLDに送信されるか、同一STA MLD内の他のSTA(他のたリンクの)を通じてAP MLDから送信されてよい。この時、他のリンクを通じて送信されたリンク変更要請は、変更しようとするリンクの情報(リンク番号など)を含んでよい。このとき、本実施例で用いたリンク変更の意味は、2.4、5、6GHz帯域間の周波数移動ではなく2.4、5、6GHz内での動作(Operating)チャネル変更の意味で解釈されてよい。
【0112】
また、前記リンク変更要請は、前記リンクを変更しようとする方法に関する情報を含んでよい。一実施例として、リンク変更要請は、リンクの中心周波数をHigher frequency或いはLower frequencyに移動させるようにとの旨を示すことができる。或いは、前記リンクの中心周波数を、隣接したリンクと遠ざかる方向に変更するようにとの旨を暗示的に示すことができる。他の実施例として、リンク変更要請は、リンクのBWを減らすようにとの旨を示すことができる。さらに他の実施例として、リンクの主チャネル位置を低い周波数或いは高い周波数に変更するようにとの旨を示すことができる。
【0113】
STA MLDから前記リンク変更要請を受けたAPは、STAの要請を受け入れ、前記変更要請を受けたリンクを変更(中心周波数或いはBW或いは主チャネル位置)したり、或いは前記STAのリンク変更要請を無視して前記リンク関連セッティングを維持することができる。
【0114】
<多重リンクを用いた同時送信>
【0115】
前述したように、特定MLDが運用するSTAは、各STAが運用されるリンク間の関係(離隔距離など)によってSTR支援の可否が異なることがある。仮に特定MLDが運用するSTA1とSTA2が、STRを支援しないリンク対であるLink1とLink2でそれぞれ運用されると、前記STA1とSTA2は互いに行っている動作状態によって自分の動作に制約を受けることになる。より詳しく説明すると、前記STA1がLink1を通じてPPDU送信を行っている中であれば、前記STA2は、前記STA1がLink1で行う送信によって発生する装置内干渉によって、Link2で受信されるパケットを正常にデコードできないことがある。このように、特定リンク対で運用されるSTAが(同一MLDの)装置内干渉によって受信動作に妨害を受けるとき、前記STAがnon-STR関係にあると言える。このとき、互いにnon-STR関係であるSTAを含むMLDは、non-STR MLDと考慮されてよい。
【0116】
一方、Non-STR関係のSTAは、装置内干渉によって受信動作の他、チャネルアクセス動作にも妨害を受けることがあり、次の
図11で例を挙げて説明する。
【0117】
図11には、non-STR MLDの特定STAが行うPPDU送信によって、前記non-STR MLDの他のSTAが行うチャネルアクセス動作が妨害を受ける一実施例を示す。
【0118】
図11を参照すると、non-STR MLDは、Link1とLink2にそれぞれSTA1とSTA2を運用できる。このとき、前記Link1とLink2がnon-STR関係であるリンク対であれば、前記STA1と前記STA2が行う送信は、それぞれ、Link2とLink1で受信されるパケットの成功的な受信を妨害する程度に大きい干渉を誘発することがある。
【0119】
図11に示すように、STA2がLink2でPPDU送信を行う際に発生した干渉によって、Link1でバックオフ手順を行っていたSTA1のCCA動作が妨害を受けることがある。言い換えると、STA2がLink2でPPDUを送信する際に発生した干渉が、Link1にCCAエネルギー(例えば、Energy Detection)閾値よりも高い干渉を誘発することがあり、その結果、Link1でバックオフ手順を行っていたSTA1は、Link1がBUSYであると判断することがある。その結果、STA1は、Link1を占有している他の装置がないにもかかわらず、STA2がPPDUを送信する時間においてLink1がBUSY状態であると誤認することにより、バックオフ手順を完了できないことがある。
【0120】
上述したように、non-STR MLDの特定STAが送信を行う際に発生した装置内干渉によって、前記non-STR MLDの他のSTAがパケット受信或いはチャネルアクセス手順を行うことができないとき、前記他のSTAがBLIND状態にあると言える。
【0121】
このように、non-STR MLDのSTAがBLIND状態になった場合に、MLDは、前記BLIND状態のSTAを介してパケットを受信することも、独立したチャネルアクセス(送信のための)を行うこともできず、よって、前記BLIND状態のSTAが運用されるリンクを通じて何らの利得も得ることができない。したがって、non-STR MLDは、non-STR関係のリンク対で運用されるSTAが相互の送信動作によってBLIND状態になることを防ぐために、特別なチャネルアクセスメカニズムを用いることができる。
【0122】
MLDは、non-STR関係のリンク対で運用されるSTAが相互の送信動作によってBLIND状態になることを防ぐために、特定リンクのチャネルアクセス手順が終了した後にも、前記特定リンクの送信開始を留保(遅延)してよい。
【0123】
その後、前記特定リンクの送信開始は、前記特定リンクではなく他のリンクのチャネルアクセス手順が完了する時点に合わせてなされてよく、結果的に、前記特定リンクと前記特定リンクでない他のリンクで同時に送信が行われ得る。そのために、MLDには、チャネルアクセス手順が完了しても直ちに送信を始めずにチャネルアクセス手順を遅延させ得るメカニズムが許容されてよい。このとき、前記チャネルアクセス手順を遅延させ得るメカニズムは、バックオフカウンタ(Backoff counter:BO)を0に維持したまま送信を留保できるように許容することであってよい。
【0124】
すなわち、MLDの多重リンクのうち一つのリンクでチャネルアクセス手順が終了してバックオフカウンタの値が「0」に到達した場合にも、他のリンクのバックオフカウンタの値が「0」に到達していないと、MLDのSTAは当該リンクでの上りリンク送信を行わずにバックオフカウンタの値を「0」に維持できる。言い換えると、MLDのSTAは、特定リンクでバックオフカウンタの値が「0」に到達した場合に、MLDの他のリンクでのバックオフカウンタの値が「0」に到達していないと、上りリンク送信を行わずにバックオフカウンタの値を「0」に維持することを選択できる。
【0125】
例えば、MLDの多重リンクが第1リンク及び第2リンクで構成され、第1リンクでチャネル接続のためのバックオフ手順が第1バックオフカウンタによって行われ、第2リンクでチャネル接続のためのバックオフ手順が第2バックオフカウンタによって行われてよい。このとき、バックオフ手順は、前記多重リンクに含まれた第1リンク及び第2リンクのそれぞれを通じて個別に行われてよい。
【0126】
この場合、第1バックオフカウンタ及び前記第2バックオフカウンタのうち一つのバックオフカウンタが残りのバックオフカウンタよりも先に「0」に到達した場合に、前記第1リンク及び前記第2リンクのうち、前記一つのバックオフカウンタを用いる特定リンクは前記上りリンク送信を行わず、前記一つのバックオフカウンタは、前記残りのバックオフカウンタが「0」の値に到達するまで「0」の値が維持されてよい。又は、前記一つのバックオフカウンタは、前記残りのバックオフカウンタが「0」の値に到達した後にも「0」の値を維持し続けてもよい。
【0127】
このとき、前記特定リンクと前記特定リンクでない他のリンクで同時に送信が行われる時点は、前記特定リンクでない他のリンクでチャネルアクセス手順が完了するスロット境界(スロット境界)又は他のリンクでチャネルアクセス手順が完了するスロットの次のスロットであってよい。或いは、前記特定リンクと前記特定リンクでない他のリンクで同時に送信が行われる時点は、前記特定リンクでない他のリンクでチャネルアクセス手順が完了した後の特定スロット境界であってよい。このとき、前記特定スロット境界は、前記他のリンクでチャネルアクセス手順が完了した直後の前記特定リンクのスロット境界であってよい。
【0128】
すなわち、各リンクでのスロット設定が異なることがあり、リンク間スロットの境界が一致しないことがある。したがって、バックオフカウンタが減少する各スロットでリンク間スロットの境界は一致しないことがあり、MLDの多重リンクのそれぞれにおいて前述の留保動作によってバックオフ手順によるバックオフカウンタがいずれも「0」に到達した場合に、各リンクでのスロット境界が一致しないことがある。各リンクでのスロットは個別に設定され得るため、各リンクでのスロット境界は一致しないことがある。したがって、各リンクでバックオフカウンタの値がいずれも「0」である場合にもスロット境界は互いに異なることがある。この場合、同時送信は、多重リンクのうち、特定リンクのバックオフカウンタの値が「0」である時の特定リンクのスロット境界によって行われてよい。すなわち、各リンクは、当該リンクのスロット境界によって上りリンク送信を行わず、特定リンクのスロット境界によって上りリンク送信の送信時点を遅延又は短縮させて同時に上りリンク送信を行うことができる。
【0129】
例えば、MLDの多重リンクが第1リンク及び第2リンクで構成され、第1リンクの第1バックオフカウンタ及び第2リンクの前記第2バックオフカウンタのうち一つのバックオフカウンタが、前記残りのバックオフカウンタよりも先に「0」に到達した場合に、上りリンク送信は、残りのバックオフカウンタが「0」に到達した時に第1リンクと第2リンクのスロット境界(slot boundary)が一致しないことがある。この場合、第1リンクの第1バックオフカウンタが「0」であるスロットのスロット境界又はスロットの次のスロットである第1スロットのスロット境界によって第2リンクでの上りリンク送信の送信時点を短縮又は遅延させて調節することができる。
【0130】
このとき、第1リンクでの上りリンク送信時点と第2リンクでの上りリンク送信時点は一定時間以内であってよい。例えば、第1リンクでの上りリンク送信時点から4us以内に第2リンクでの上りリンク送信時点が位置してよい。
【0131】
このような方法によって、第2リンクの第2バックオフカウンタが「0」であるスロットのスロット境界又はスロットの次のスロットである第2スロットのスロット境界でない他の時点で上りリンク送信を行うことにより、第1リンク及び第2リンクで上りリンク送信が同時に行われ得る。
【0132】
このとき、同時送信は、一定時間内に各リンクで送信が行われる場合を意味できる。
【0133】
図12~
図24を用いて、マルチリンク装置が複数のリンクでチャネルにアクセスする動作を説明する。このとき、複数のリンクは、NSTRリンク対であってよい。
【0134】
図12には、本発明の実施例に係るマルチリンク装置がいずれか一つのリンクで先にチャネルアクセスに成功した場合に、マルチリンク装置が当該リンクで送信を延期することを示す。
【0135】
説明の便宜のために、マルチリンク装置の第1ステーションが第1リンクで動作し、第2ステーションが第2リンクで動作すると仮定する。このとき、第2ステーションがチャネルアクセスに成功し、第1ステーションがチャネルアクセスに成功しなかった場合に、第2ステーションはバックオフカウンタの値を0に維持したまま、第1ステーションがチャネルアクセスに成功するまで待機できる。第1ステーションがチャネルアクセスに成功した時に、第1ステーションと第2ステーションは同期化された送信を始めることができる。同期化された送信は、送信開始時点が、あらかじめ指定された時間内で始まる送信であってよい。第2ステーションがバックオフカウンタの値を維持する時にチャネルセンシングを行うことができる。このとき、チャネルセンシングは、エネルギー感知(energy detection,ED)、プリアンブル感知(preamble detection,PD)及びNAV(network allocation vector)確認のうち少なくともいずれか一つを含んでよい。第2ステーションは、第1ステーションがチャネルアクセスに成功し、センシング結果が遊休である時に、同期化された送信を始めることができる。
【0136】
図12の実施例において、マルチリンク装置の第1ステーション(STA1)は、第1リンク(Link1)で第1AP(AP1)と連結される。第2ステーション(STA2)は、第2リンク(Link2)で第2AP(AP)と連結される。第2ステーション(STA2)がチャネルアクセスに先に成功し、第2ステーション(STA2)は、第1ステーション(STA2)がチャネルアクセスに成功するまでバックオフカウンタの値を0に維持したままで送信を行わない。この時、第2ステーション(STA2)はチャネルセンシングを行う。第1ステーション(STA1)がチャネルアクセスに成功した時に、第1ステーション(STA1)と第2ステーション(STA2)は同期化された送信を始める。
【0137】
第2ステーションが送信を遅延する間に第1ステーションがアクセスするチャネルが占有(busy)状態として感知されることがある。このとき、第2ステーション(STA2)は、同期化されていない送信を始めることができる。さらに他の具体的な実施例について
図13及び
図14を用いて説明する。
【0138】
図13には、本発明の実施例に係るマルチリンク装置が第1リンクで先にチャネルアクセスに成功した後、マルチリンク装置が第1リンクで送信を延期する時に、第2リンクのチャネルが占有状態として感知される場合にマルチリンク装置の動作を示す。
【0139】
第1ステーションが送信を遅延する間に、第2ステーションがアクセスするチャネルが占有(busy)状態として感知される場合に、第1ステーションは、新しいバックオフカウンタを獲得してチャネルアクセス手順を行うことができる。この時、第1ステーションがチャネルアクセスに成功した場合に、第1ステーションは、同期化されていない送信を行うことができる。具体的な実施例において、第1ステーションは、新しく獲得したバックオフカウンタ×スロットデューレーションでチャネルセンシングを行うことができる。すなわち、一般的なチャネルアクセスにおいてAIFSの間にチャネルが遊休であるかを感知する動作を省略できる。さらに他の具体的な実施例において、一般的なチャネルアクセスのように、AIFSの間にチャネルが遊休である場合に、第1ステーションは、新しく獲得したバックオフカウンタ×スロットデューレーションでチャネルセンシングを行うことができる。上記で第2ステーションが新しいバックオフカウンタを獲得する時に、第1ステーションは、第1ステーションが以前に使用したCWのサイズをそのまま維持できる。この時、第2ステーションはチャネルアクセス手順を続けて行う。
【0140】
図13の実施例において、マルチリンク装置の第1ステーション(STA1)は第1リンク(Link1)で第1AP(AP1)と連結される。第2ステーション(STA2)は第2リンク(Link2)で第2AP(AP)と連結される。第1ステーション(STA1)がチャネルアクセスに先に成功し、第1ステーション(STA1)は、第2ステーション(STA2)がチャネルアクセスに成功するまでバックオフカウンタの値を0に維持したままで送信を行わない。この時、第2リンクのチャネルが占有状態(busy)として感知される。第1ステーション(STA1)は、新しいバックオフカウンタを獲得し、バックオフカウンタだけのスロットにおいてチャネルセンシングを行う。第1ステーション(STA1)がチャネルアクセスに成功した時に、第1ステーション(STA2)は、同期化されていない送信を始める。
【0141】
図14には、本発明のさらに他の実施例に係るマルチリンク装置が第1リンクで先にチャネルアクセスに成功した後、マルチリンク装置が第1リンクで送信を延期する時に、第2リンクのチャネルが占有状態として感知される場合にマルチリンク装置の動作を示す。
【0142】
第1ステーションが送信を遅延する間に第2ステーションがアクセスするチャネルが占有(busy)状態として感知される場合にも、第1ステーションは、第2ステーションがチャネルアクセスに成功するまで送信を遅延できる。この時、第1ステーションは、第2ステーションがチャネルアクセスに成功するまでチャネルセンシングを行うことができる。
【0143】
図14の実施例において、マルチリンク装置の第1ステーション(STA1)は第1リンク(Link1)で第1AP(AP1)と連結される。第2ステーション(STA2)は第2リンク(Link2)で第2AP(AP)と連結される。第1ステーション(STA1)がチャネルアクセスに先に成功し、第1ステーション(STA1)は、第2ステーション(STA2)がチャネルアクセスに成功するまでバックオフカウンタの値を0に維持したままで送信を行わない。この時、第2リンクのチャネルが占有状態(busy)として感知される。第1ステーション(STA1)はチャネルセンシングを行いながら第2ステーション(STA2)がチャネルアクセスに成功するまで送信を遅延する。第2ステーション(STA2)がチャネルアクセスに成功した時に、第1ステーション(STA2)は同期化されていない送信を始める。
【0144】
図13及び
図14で説明した実施例において、第1ステーションは、第2リンクのチャネルが占有状態を維持する時間のデューレーションに基づいて、同期化された送信を行うか否かを決定できる。例えば、第2リンクのチャネルが占有状態を維持する時間のデューレーションがあらかじめ指定された値よりも大きい場合に、第1ステーションは、同期化されていない送信を行うことができる。この時、第1ステーションは新しいバックオフカウンタを獲得し、獲得したバックオフカウンタに基づいてチャネルアクセスを行うことができる。第1ステーションがチャネルアクセスに成功した場合に、第1ステーションは同期化されていない送信を行うことができる。
【0145】
第2リンクのチャネルが占有状態を維持する時間のデューレーションがあらかじめ指定された値と等しい又は小さい場合に、第1ステーションは、同期化された送信を行うことができる。第1ステーションは、第2ステーションがチャネルアクセスに成功するまで送信を遅延できる。この時、第1ステーションは、第2ステーションがチャネルアクセスに成功するまでチャネルセンシングを行うことができる。
【0146】
前述した実施例において、マルチリンク装置がいずれか一つのリンクで送信を過度に遅延する場合に、送信衝突の確率が高まなることがある。これについて
図15を用いて説明する。
【0147】
図15には、本発明の実施例に係る複数のマルチリンク装置が第1リンクで先にチャネルアクセスに成功した後、マルチリンク装置が第1リンクで送信を延期する場合に、複数のマルチリンク装置における動作を示す。
【0148】
複数のマルチリンク装置がいずれも第1リンクと第2リンクで動作し、複数のマルチリンク装置が第1リンクと第2リンクで同期化された送信を行い、第1リンクで送信衝突が発生する場合に、第2リンクでも送信衝突が発生する。
【0149】
図15の実施例において、第1マルチリンク装置(STA MLD1)と第2マルチリンク装置(STA MLD2)がいずれも第1リンク(Link1)と第2リンク(Link2)で動作する。第1マルチリンク装置(STA MLD1)と第2マルチリンク装置(STA MLD2)はいずれも第2リンク(Link2)でチャネルアクセスに成功し、第1リンク(Link1)でチャネルアクセスに成功するまで第2リンク(Link2)での送信を遅延する。第1リンク(Link1)で第1マルチリンク装置(STA MLD1)と第2マルチリンク装置(STA MLD2)が同時にチャネルアクセスに成功し、第1リンク(Link1)と第2リンク(Link2)の両方で送信衝突が発生する。
【0150】
マルチリンク装置がいずれか一リンクで送信を遅延する間に当該リンクが占有中として感知される場合のマルチリンク装置の動作については
図17で説明する。
【0151】
図16及び
図17には、本発明の実施例に係るマルチリンク装置が第1リンクで先にチャネルアクセスに成功した後、マルチリンク装置が第1リンクで送信を延期し、第1リンクのチャネルが占有(busy)中として感知される場合に、マルチリンク装置の動作を示す。
【0152】
第1ステーションが送信を遅延する間に、第1ステーションがアクセスするチャネルが占有(busy)状態として感知される場合に、第1ステーションは、新しいバックオフカウンタを獲得してチャネルアクセス手順を行うことができる。この時、第1ステーションは、CWの値を、以前に使用したCWの値に維持できる。
【0153】
第1ステーションが送信を遅延する間に、第1ステーションがアクセスするチャネルが占有(busy)状態として感知される時に、第2ステーションがチャネルアクセスに成功することがある。この時、第2ステーションは、第1ステーションがチャネルアクセスに成功するまで送信を遅延できる。さらに他の具体的な実施例において、第2ステーションは送信を遅延せず、同期化されていない送信を行うことができる。
【0154】
図16及び
図17の実施例において、マルチリンク装置の第1ステーション(STA1)は第1リンク(Link1)で第1AP(AP1)と連結される。第2ステーション(STA2)は第2リンク(Link2)で第2AP(AP)と連結される。第1ステーション(STA1)がチャネルアクセスに先に成功し、第1ステーション(STA1)は送信を遅延する。この時、第1ステーション(STA1)が第1リンク(Link1)のチャネルが占有中であると判断する。第1ステーション(STA1)は、新しいバックオフカウンタを獲得してチャネルアクセスを行う。
図17の実施例において、第2ステーション(STA2)は先にチャネルアクセスに成功し、第1ステーション(STA1)がチャネルアクセスに成功するまで送信を遅延する。第1ステーション(STA1)がチャネルアクセスに成功した時に第1ステーション(STA1)と第2ステーション(STA2)は同期化された送信を始める。
図17の実施例において、第2ステーション(STA2)は先にチャネルアクセスに成功し、送信を遅延しないで同期化されていない送信を行う。
【0155】
前述した実施例におけるように同期化された送信のためには、互いに異なるリンクのチャネルでチャネルアクセスに成功し、同時に遊休である必要がある。したがって、マルチリンク装置が同期化された送信を行い得る時点が制限され、マルチリンク装置の送信が過度に遅延されることがある。これについて
図19で説明する。
【0156】
図18には、本発明の実施例に係るマルチリンク装置が同期化された送信のためのチャネルアクセスを行う送信が遅延されることを示す。
【0157】
マルチリンク装置の第1ステーション(STA1)は、第1リンク(Link1)で第1AP(AP1)と連結される。第2ステーション(STA2)は第2リンク(Link2)で第2AP(AP)と連結される。第1ステーション(STA1)がチャネルアクセスに先に成功し、第1ステーション(STA1)は送信を遅延する。第2ステーション(STA2)がチャネルアクセスに成功する前に、第1ステーション(STA1)は、第1リンク(Link1)のチャネルが占有中(busy)であると感知する。したがって第1ステーション(STA1)は、新しいバックオフカウンタを獲得して再びチャネルアクセス手順を始める。第2ステーション(STA2)はチャネルアクセスに成功し、第1ステーション(STA1)がチャネルアクセスを行っている中であるので送信を遅延する。第1ステーション(STA1)がチャネルアクセスに成功する前に第2ステーション(STA2)は、第2リンク(Link2)のチャネルが占有中(busy)であると感知する。したがって、第2ステーション(STA2)は、新しいバックオフカウンタを獲得して再びチャネルアクセス手順を始める。結局、第1ステーション(STA1)と第2ステーション(STA2)の両方ともチャネルアクセスに成功したのに送信を行わなかった。
【0158】
このように送信遅延とチャネルアクセス手順を無条件的に反復する場合に、送信が遅延し過ぎることがある。マルチリンク装置のステーションが送信遅延中に新しいバックオフ手順を行うかを判断する方法について
図20で説明する。
【0159】
図19及び
図20には、本発明の実施例に係るマルチリンク装置のステーションが送信中に、チャネルが占有中(busy)であると感知した場合の動作方法を示す。
【0160】
マルチリンク装置のステーションが送信遅延中に、チャネルが占有中であると感知することがある。このとき、ステーションは、チャネルが再び遊休であると判断した時点で、マルチリンク装置の他のステーションのチャネルアクセス状態によって、チャネルアクセス手順を再び始めるか否か決定できる。具体的には、ステーションは、チャネルが再び遊休であると判断した時点で、マルチリンク装置の他のステーションのチャネルアクセス状態によって、新しいバックオフカウンタを獲得してチャネルアクセスを行うか否かを判断できる。第1ステーションがチャネルが再び遊休であると判断した時点で、第2ステーションのバックオフ手順が継続中である場合に、第1ステーションは送信を遅延することができる。また、第1ステーションがチャネルが再び遊休であると判断した時点で第2ステーションがチャネルアクセスに成功した場合に、第1ステーションは新しいバックオフカウンタを獲得してチャネルアクセス手順を行うことができる。
【0161】
このとき、ステーションは、あらかじめ指定された時間区間で連続して遊休であると感知された場合に、チャネルが遊休であると判断できる。あらかじめ指定された時間区間は、AIFSであってよい。さらに他の具体的な実施例において、あらかじめ指定された時間区間は、AIFSで受信/送信転換必要時間を除いた時間区間であってよい。
【0162】
図19及び
図20の実施例において、マルチリンク装置の第1ステーション(STA1)は第1リンク(Link1)で第1AP(AP1)と連結される。第2ステーション(STA2)は第2リンク(Link2)で第2AP(AP)と連結される。第1ステーション(STA1)がチャネルアクセスに先に成功し、第1ステーション(STA1)は送信を遅延する。第2ステーション(STA2)がチャネルアクセスに成功する前に第1ステーション(STA1)は、第1リンク(Link1)のチャネルが占有中(busy)であると感知する。
図20の実施例において、第1ステーション(STA1)が再びチャネルが遊休であると感知した時に、第2ステーション(STA2)はチャネルアクセス手順を実行中である。したがって、第1ステーション(STA1)は、新しいバックオフカウンタを獲得せずにチャネルセンシングのみを行う。第2ステーション(STA2)がチャネルアクセスに成功した時に、第1ステーション(STA1)と第2ステーション(STA2)は同期化された送信を行う。
【0163】
図20の実施例において、第1ステーション(STA1)が再びチャネルが遊休であると感知した時に、第2ステーション(STA2)はチャネルアクセスに成功して送信遅延中である。したがって、第1ステーション(STA1)は新しいバックオフカウンタを獲得してチャネルアクセスを行う。第1ステーション(STA1)がチャネルアクセスに成功した時に、第1ステーション(STA1)と第2ステーション(STA2)は同期化された送信を行う。
【0164】
図21には、本発明の実施例に係るマルチリンク装置のステーションが送信遅延中にチャネルが占有中(busy)であると感知した場合に新しいバックオフカウンタ値を獲得する方法を示す。
【0165】
前述した実施例において、マルチリンク装置のステーションが送信中にチャネルが占有中(busy)であると感知した後、再びバックオフカウンタを獲得する時に、ステーションは、CWの値を、以前に使用したCW値よりも小さい値に設定できる。例えば、ステーションは、CWの値を以前に使用したCW値の1/2に設定できる。さらに他の具体的な実施例において、ステーションはCWの値を以前に使用したCW値の1/2の切り捨て(floor)値に設定できる。新しく獲得したバックオフカウンタを用いたチャネルアクセス手順において成功した直後に、ステーションは、あらかじめ指定された種類のフレームのみを送信できる。このとき、あらかじめ指定されたフレームは、RTSフレーム又はMU-RTSフレームであってよい。さらに他の具体的な実施例において、あらかじめ指定されたフレームは、BQRPフレームであってよい。
【0166】
新しく獲得したバックオフカウンタを用いたチャネルアクセス手順において成功した直後の送信に失敗した場合に、ステーションは、CWの値を、調整前CWの値×2-1に設定できる。すなわち、ステーションは、CWの値を、送信遅延前のCWの値×2-1に設定できる。
【0167】
図21の実施例において、第1ステーション(STA1)は第1リンク(Link1)で第1AP(AP1)と連結される。第2ステーション(STA2)は第2リンク(Link2)で第2AP(AP)と連結される。第1ステーション(STA1)がチャネルアクセスに先に成功し、第1ステーション(STA1)は送信を遅延する。第2ステーション(STA2)がチャネルアクセスに成功する前に、第1ステーション(STA1)は第1リンク(Link1)のチャネルが占有中(busy)であると感知する。第1ステーション(STA1)はCWを以前に使用したCWの値の1/2に設定して新しいバックオフカウンタの値を獲得する。第2ステーション(STA2)がチャネルアクセスに成功した後、第1ステーション(STA1)が再びチャネルアクセスに成功した時に、第1ステーション(STA1)と第2ステーション(STA2)は同期化された送信を行う。
【0168】
図22には、本発明の実施例に係るマルチリンク装置のステーションが送信を遅延中に、同期化された送信を行うか否かを判断する動作を示す。
【0169】
説明の便宜のために、マルチリンク装置の第1ステーションが第1リンクで動作し、マルチリンク装置の第2ステーションが第2リンクで動作すると仮定する。第1ステーションが送信を遅延する中に第2ステーションがチャネルアクセスに成功した場合に、第1ステーションは、第1リンクのチャネルが、第2ステーションがチャネルアクセスに成功した時まであらかじめ指定された区間だけ連続して遊休であるかに基づいて、第2ステーションと同期化された送信を行うか否かを決定できる。具体的には、第1リンクのチャネルが、第2ステーションがチャネルアクセスに成功した時まであらかじめ指定された区間だけ連続して遊休である場合に、第1ステーションは、第2ステーションと同期化された送信を行うことができる。このとき、あらかじめ指定された区間は、DIFSであってよい。また、あらかじめ指定された区間は、PIFSであってよい。また、あらかじめ指定された区間は、AIFSであってよい。このとき、AIFSの値は、第1ステーションが送信しようとするフレームのACによって決定されてよい。具体的には、AIFSの値は、第1ステーションが送信しようとするフレームのACのうち、優先度の高いACに該当するAIFSであってよい。
【0170】
図22の実施例において、第1ステーション(STA1)は第1リンク(Link1)で第1AP(AP1)と連結される。第2ステーション(STA2)は第2リンク(Link2)で第2AP(AP)と連結される。第2ステーション(STA2)がチャネルアクセスに先に成功し、第2ステーション(STA2)は送信を遅延する。第1ステーション(STA1)がチャネルアクセスに成功する前に第2ステーション(STA2)は第2リンク(Link2)のチャネルが占有中(busy)であると感知する。第2リンク(Link2)のチャネルが占有中(busy)であると感知されたにもかかわらず、第2ステーション(STA2)は継続して送信遅延を維持する。第2ステーション(STA2)は、第1ステーション(STA1)がチャネルアクセスに成功した時に、第2リンク(Link2)のチャネルがAIFSで連続して遊休であるか判断する。第1ステーション(STA1)がチャネルアクセスに成功した時に、第2リンク(Link2)のチャネルがAIFSで連続して遊休であったので、第1ステーション(STA1)と第2ステーション(STA2)は同期化された送信を行う。
【0171】
図23及び
図24には、本発明の実施例に係るマルチリンク装置のステーションが送信を遅延中に、送信遅延中であるチャネルが占有中(busy)であると感知された場合のマルチリンクの動作を示す。
【0172】
図22で説明した実施例において、第1ステーションが送信待機中であり、第2ステーションがチャネルアクセスに成功した時に、第1ステーションは、第1リンクのチャネルが占有中(busy)であると判断できる。この時、第2ステーションが新しいバックオフカウンタを獲得してチャネルアクセスを行うことができる。この時、第2ステーションは、以前に使用したCWの値と同じ値にCWを設定してバックオフカウンタを獲得できる。さらに他の具体的な実施例において、第1ステーションが新しいバックオフカウンタを獲得してチャネルアクセスを行うことができる。この時、第1ステーションは、以前に使用したCWの値と同じ値にCWを設定してバックオフカウンタを獲得することができる。
【0173】
図23及び
図24の実施例において、第1ステーション(STA1)は第1リンク(Link1)で第1AP(AP1)と連結される。第2ステーション(STA2)は第2リンク(Link2)で第2AP(AP)と連結される。第2ステーション(STA2)がチャネルアクセスに先に成功し、第2ステーション(STA2)は送信を遅延する。第1ステーション(STA1)がチャネルアクセスに成功した時に、第2ステーション(STA2)は、第2リンク(Link2)のチャネルがAIFSで連続して遊休でなかったと感知する。
【0174】
図23の実施例において、第1ステーション(STA1)は、新しいバックオフカウンタを獲得してチャネルアクセスを行う。第2ステーション(STA2)は送信を遅延する。その後、第1ステーション(STA1)がチャネルアクセスに成功した時に、第2リンク(Link2)のチャネルがAIFSで連続して遊休であると感知される。したがって、第1ステーション(STA1)と第2ステーション(STA2)は同期化された送信を行う。
【0175】
図24の実施例において、第2ステーション(STA2)は、新しいバックオフカウンタを獲得してチャネルアクセスを行う。第1ステーション(STA1)は送信を遅延する。その後、第2ステーション(STA2)がチャネルアクセスに成功した時に、第1リンク(Link1)のチャネルがAIFSで連続して遊休であると感知される。したがって、第1ステーション(STA1)と第2ステーション(STA2)は同期化された送信を行う。
【0176】
前述した同期化された送信にEDCAを適用する方法について
図25~
図29で説明する。
【0177】
図25には、本発明の実施例によってEDCAを適用する時に用いられるEDCAキュー(queue)を示す。
【0178】
EDCAが適用される時に、送信されるトラフィックの優先順位によって、送信処理の順序が決定される。トラフィックの優先順位は、トラフィックの形態又はTID(Traffic ID)によって決定されてよい。トラフィックの優先順位は、AC_VO、AC_VI、AC_BE、AC_BKのうち一つに分類されてよい。このとき、各ACは次のように表示されてよい。
【0179】
1)AC_VO:ボイス(Voice)
【0180】
2)AC_VI:ビデオ(Video)
【0181】
3)AC_BE:ベストエフォート(Best Effort)
【0182】
4)AC_BK:バックグラウンド(Back Ground)
【0183】
4個のACのうち、AC_VO、AC_VI、AC_BE、AC_BKの順に優先順位が高くてよい。具体的には、ACは、次のようにチャネルアクセス手順に影響を与えてよい。
【0184】
前述した実施例において、AIFSは、SIFS+AIFSN[AC]*aSlotTimeと定義されてよい。このとき、aSlotTimeは、ステーションがフレーム送信のためにバックオフ動作を行う時に用いる単位である1スロットの時間である。aSlotTimeは、BSSで用いられる基本信号の帯域幅が20MHzである場合に、9μと定義されてよい。また、AC別にCWの最小値(CWmin)及び競合ウィンドウ(CWmax)の最大値が異なってよい。AC別に基本として設定されたAIFSN及びCWmax値は、次の表1のように設定されてよい。
【0185】
【0186】
各AC別に、独立したEDCAキューが設定されてよい。ステーションが上位層から送信するトラフィックを受信した場合に、ステーションは、受信したトラフィックのACに該当するEDCAキューに、受信したトラフィックを保存することができる。このとき、各EDCAキューでは独立したEDCAFの動作が行われてよい。
図25に、このようにステーションが上位層から、送信するトラフィックを受信し、ステーションは、受信したトラフィックのACに該当するEDCAキューに、受信したトラフィックを保存することを示す。
【0187】
図26には、本発明の実施例によってスロット境界に基づいてチャネルアクセスを行う方法を示す。
【0188】
バックオフ手順において、スロット境界は、次のうち少なくともいずれか一つのように定義されてよい。
【0189】
1)チャネル占有状況が、他の端末が送信したフレームによって発生したし、フレーム受信誤り状況が発生していない場合に、当該占有時間完了時点後のSIFS時間以後にAIFSN[AC]*SlotTime-aRxTxTurnaroundTime時間でチャネル状態がチャネル遊休(idle)状態である場合に、当該時間が過ぎた時点
【0190】
2)チャネル占有状況が他のステーションが送信したフレームによって発生したし、フレーム受信誤り状況が発生した場合に、物理的感知によるチャネル占有状態の完了時点から(EIFS-DIFS+AIFSN[AC]*aSlotTime+aSIFSTime-aRxTxTurnaroundTime)時間でチャネル状態がチャネル遊休状態である場合に、当該時間が過ぎた時点
【0191】
3)応答フレーム(例えば、ACKフレーム或いはBlockAckフレーム)の送信を要求するフレームを送信した後に、次の2時点のうちに早い時点
【0192】
A)フレームを含むPPDUの送信完了時点後に応答フレームを受信するための受信満了時点以後にAIFSN[AC]*aSlotTime+aSIFSTime-aRxTxTurnaroundTime時間でチャネル状態がチャネル遊休状態である場合に、受信満了時点以後にAIFSN[AC]*aSlotTime+aSIFSTime-aRxTxTurnaroundTimeだけ経過した時点
【0193】
B)応答フレームを受信した場合に、当該応答フレームを含むPPDUの受信完了時点からSIFS時間以後にAIFSN[AC]*aSlotTime-aRxTxTurnaroundTime時間でチャネル状態がチャネル遊休(idle)状態である場合に、PPDUの受信完了時点からSIFS時間以後にAIFSN[AC]*SlotTime-aRxTxTurnaroundTimeが経過した時点
【0194】
4)応答フレームの送信を要求しないフレームを含むPPDUの送信完了時点SIFS時間以後にAIFSN[AC]*SlotTime-aRxTxTurnaroundTime時間でチャネル状態がチャネル遊休(idle)状態である場合に、PPDUの送信完了時点SIFS時間以後にAIFSN[AC]*aSlotTime-aRxTxTurnaroundTimeが経過した時点
【0195】
1-4条件に該当しない任意のチャネル占有時間以後にAIFSN[AC]*aSlotTime+aSIFSTime-aRxTxTurnaroundTime時間でチャネル状態がチャネル遊休状態である場合に、前記AIFSN[AC]*aSlotTime+aSIFSTime-aRxTxTurnaroundTimeが経過した時点
【0196】
直前スロット境界時点以後にaSlotTime時間でチャネル状態がチャネル遊休状態である場合に、aSlotTimeの終了時点
【0197】
aRxTxTurnaroundTimeは、ステーションの送受信部が受信モードから送信モードに転換される時に要される時間のことを指す。転換必要時間は4usであってよい。
【0198】
一方、各スロット境界時点でステーションのEDCAFは次の動作のうち一つを行うことができる:
【0199】
1)バックオフ値を1減少
【0200】
2)フレーム送信動作を実行
【0201】
3)内部衝突によって新しいバックオフ値を生成及びバックオフ動作を実行
【0202】
4)なんの動作も行わない
【0203】
スロット境界で、ステーションのEDCAキューに送信するフレームがあり、バックオフ値が0であり、当該EDCAキューよりも高い優先順位のACに属しているフレームが送信される状況でない場合(すなわち、内部衝突状況でない場合)に、ステーションは、当該スロット境界で、当該EDCAキューに保存されたフレームを送信する。
【0204】
一方、ステーションで動作するEDCAFは、次のうち一つ以上の状況が発生した時にバックオフ動作を行う必要があり得る:
【0205】
1)ステーションから送信するフレームが生成された時に、当該フレームがEDCAキューに保存された最初のフレームであり、且つフレーム生成時点にチャネルが占有状態である場合
【0206】
2)ステーションのフレーム送信動作が完了した場合、或いはステーションがフレーム送信のために獲得したTXOPが満了した場合
【0207】
3)EDCAF動作によってTXOPを獲得してフレームを送信したが、獲得したTXOPで送信した最初のフレームが送信に失敗した場合
【0208】
4)EDCAキュー内でフレーム衝突状況が発生し、衝突を招いたフレームのACが、送信しようとするフレームよりも高い優先順位を有するACに該当する場合
【0209】
上の1)の状況でチャネルのチャネル状態を判別する動作は、ステーションが受信エネルギーレベルを測定する物理的CS(Carrier Sensing)、受信したフレームを含むプリアンブルを通じて該当する信号の信号長さを認知するバーチャルCS、及び受信したフレームのデューレーション(Duration)フィールドを通じて設定したNAV(Network Allocation Vector)値の確認動作によって行われてよい。一方、ステーションがメッシュステーションである場合に、NAV値の確認によってチャネル状態をさらに確認することができる。
【0210】
一方、ステーションで動作するEDCAFは、次のうち一つの状況が発生した時にバックオフ動作を行うことができる:
【0211】
1)獲得したTXOPで最初のフレームでないフレームのフレーム送信動作に失敗した場合
【0212】
2)チャネル拡張動作によって40MHz/80MHz/160MHz/320MHz帯域幅を活用してフレームを送信しようとするが、副チャネルのチャネル状態がチャネル占有状態と判別されることによってチャネルアクセス動作を再び行おうとする場合
【0213】
前述したように、スロット境界でステーションがEDCAキューに送信するフレームがあり、バックオフ値が0であり、当該EDCAキューよりも高い優先順位のACに該当するフレームが送信される状況である場合に、ステーションは、内部衝突状況が発生したと認知できる。この時、ステーションは、当該EDCAキューに対して新しいバックオフ値を得てバックオフ動作を再び行う。
【0214】
一方、ステーションに送信するフレームが生成された時に、当該フレームがEDCAキューに保存された最初のフレームであり、且つフレーム生成時点にチャネルがチャネル占有(busy)状態である場合に、ステーションは、バックオフ値を生成してバックオフ動作を行うことができる。この時、バックオフ値は、0から(競合ウィンドウ値-1)までの数字から無作為に一つの数字を選択し、バックオフ値に設定できる。例えば、ステーションが送信するフレームが生成された時に、当該時点にチャネルがチャネル占有状態であってよく、バックオフ動作によって3のバックオフ値を得ることができる。当該チャネル占有時点後に、スロット境界の定義1)によって、次のスロット境界は、チャネル占有時間が終了した以後にAIFS-aRxTxTurnaroundTimeが過ぎた時点であってよい。当該チャネル占有時間後に、引き続きチャネルがチャネル遊休(idle)状態として持続される場合に、以後のスロット境界は、aSlotTimeが過ぎる度に渡来し得る。各スロット境界でバックオフ値が0でない場合に、当該フレームを送信するためのバックオフ値を1ずつ減らしてよい。一方、スロット境界でバックオフ値が0である場合に、前述した内部衝突状況以外には、ステーションは、フレームを送信するために送受信部を送信モードに転換することができ、その後、ステーションはフレームを送信することができる。
【0215】
同期化された送信を行うためのEDCAF動作について
図28で説明する。
【0216】
図27及び
図28には、本発明の実施例によってマルチリンク装置がEDCAF動作によって同期化された送信を行う動作を示す。
【0217】
ステーションがフレームを送信できる時点は、ステーションが、ステーションが動作するリンクでEDCA動作によるチャネルアクセス手順を完了した時点であってよい。スロット境界でバックオフ値が0であるとき、ステーションは、同期化された送信を始めることができる。この時、フレームを送信できるスロット境界は、バックオフ値が0になった直後のスロット境界であってよい。ステーションがバックオフ値を0に維持し、フレーム送信を遅延する場合に、ステーションが任意のスロット境界にフレームを送信する動作が許容されなくてよい。バックオフ値が0である状態で送信するフレームが生成された場合に、バックオフ値が0になった直後のスロット境界は、フレームが生成された後の最初のロット境界であってよい。バックオフ手順によって無作為に選んだバックオフ値が既に0である場合に、バックオフ値が0になった直後のスロット境界は、バックオフ値を選んだ直後のスロット境界であってよい。
【0218】
また、いずれか一つのリンクで送信を遅延する場合に、他のリンクでバックオフ値が0になった直後のスロットの境界で、同期化された送信を行うことができる。結局、下記の時点でステーションは同期化された送信を行うことができる。
【0219】
1)ステーションが動作するリンクでバックオフ値が0になった直後のスロット境界時点
【0220】
2)ステーションが動作するリンクで既にバックオフ値を0に維持して送信を遅延している中に、マルチリンクの他のステーションが動作する他のリンクでのバックオフ値が0になった直後のスロット境界時点
【0221】
このとき、スロット境界時点の定義を参照すると、フレームを送信するバックオフ値が0になった直後のスロット境界は、0になったスロット境界からその次のスロット境界までCCA(チャネル状態検査)結果が遊休である(又は、占有中(busy)でない)という意味を含んでよい。
【0222】
図27及び
図28の実施例において、第1ステーション(STA1)は第1リンク(Link1)で第1AP(AP1)と連結される。第2ステーション(STA2)は第2リンク(Link2)で第2AP(AP)と連結される。
図28の実施例において、第2ステーション(STA2)がチャネルアクセスに先に成功し、第2ステーション(STA2)は送信を遅延する。第1ステーション(STA1)がチャネルアクセスに成功した時に、第1ステーション(STA1)と第2ステーション(STA2)は同期化された送信を行う。具体的には、第1ステーション(STA1)のバックオフカウンタ値が0になった時から、次のスロット境界で第1ステーション(STA1)と第2ステーション(STA2)は同期化された送信を行う。したがって、実際送信は、第1ステーション(STA1)のバックオフカウンタ値が0になった時から次のスロット境界から送受信部が送信モードに転換された後に、同期化された送信が始まる。
【0223】
図28の実施例において、第1ステーション(STA1)がチャネルアクセスに先に成功し、第1ステーション(STA1)は送信を遅延する。第2ステーション(STA2)がチャネルアクセスに成功した時に、第1ステーション(STA1)と第2ステーション(STA2)は同期化された送信を行う。具体的には、第2ステーション(STA2)のバックオフカウンタ値が0になった時から次のスロット境界で、第1ステーション(STA1)と第2ステーション(STA2)は同期化された送信を行う。したがって、実際送信は、第2ステーション(STA2)バックオフカウンタ値が0になった時から次のスロット境界から送受信部が送信モードに転換された後に、同期化された送信が始まる。
【0224】
ステーションは、バックオフ値が0になるスロット境界時点でフレームを送信できる。これにより、同期化された送信を簡素化できる。
【0225】
図29には、本発明のさらに他の実施例によってマルチリンク装置がEDCAF動作によって同期化された送信を行う動作を示す。
【0226】
スロット境界時点は、次の通りであってよい。
【0227】
1)チャネル占有状況が、他のステーションが送信したフレームによって発生したし、フレーム受信誤り状況が発生していない場合に、当該占有時間完了時点以後のSIFS時間以後に(AIFSN[AC]+1)*aSlotTime-aRxTxTurnaroundTime時間でチャネル状態がチャネル遊休(idle)状態である場合に、当該時間が過ぎた時点
【0228】
2)チャネル占有状況が、他の端末が送信したフレームによって発生したし、フレーム受信誤り状況が発生している場合に、物理的感知によるチャネル占有状態の完了時点から{EIFS-DIFS+(AIFSN[AC]+1)*aSlotTime+aSIFSTime-aRxTxTurnaroundTime}時間でチャネル状態がチャネル遊休状態である場合に、当該時間が過ぎた時点
【0229】
3)応答フレーム(例えば、ACKフレーム或いはBlockAckフレーム)の送信を要求するフレームを送信した後、次の2つの時点のうち早い時点
【0230】
A)フレームを含むPPDUの送信完了時点の後、応答フレームを受信するための受信満了時点以後に(AIFSN[AC]+1)*aSlotTime+aSIFSTime-aRxTxTurnaroundTime時間でチャネル状態がチャネル遊休状態である場合に、(AIFSN[AC]+1)*aSlotTime+aSIFSTime-aRxTxTurnaroundTime時間が経過した時点
【0231】
B)応答フレームを受信した場合に、当該応答フレームを含むPPDUの受信完了時点からSIFS時間以後に(AIFSN[AC]+1)*SlotTime-aRxTxTurnaroundTime時間でチャネル状態がチャネル遊休(idle)状態である場合に、AIFSN[AC]+1)*aSlotTime-aRxTxTurnaroundTime時間が経過した時点
【0232】
4)応答フレームの送信を要求しないフレームを含むPPDUの送信完了時点SIFS時間以後にAIFSN[AC]*aSlotTime-aRxTxTurnaroundTime時間でチャネル状態がチャネル遊休(idle)状態である場合に、AIFSN[AC]*SlotTime-aRxTxTurnaroundTime時間が経過した時点
【0233】
5)1-4条件に該当しない任意のチャネル占有時間以後に(AIFSN[AC]+1)*aSlotTime+aSIFSTime-aRxTxTurnaroundTime時間でチャネル状態がチャネル遊休状態である場合に、(AIFSN[AC]+1)*aSlotTime+aSIFSTime-aRxTxTurnaroundTimeが経過した時点
【0234】
6)直前スロット境界時点以後にaSlotTime時間でチャネル状態がチャネル遊休状態である場合に、aSlotTimeが経過した時点
【0235】
各リンクでステーションがフレームを送信するためにトランシーバーを送信モードに転換可能な時点は、次のように調整されてよい:
【0236】
1)当該リンクでバックオフ値が0になる多重リンクスロット境界時点
【0237】
2)当該リンクで既にバックオフ値を0に維持し、フレーム送信動作を猶予中に、他のリンクでのバックオフ値が0になる多重リンクスロット境界時点
【0238】
図30の実施例において、第1ステーション(STA1)は第1リンク(Link1)で第1AP(AP1)と連結される。第2ステーション(STA2)は第2リンク(Link2)で第2AP(AP)と連結される。第2ステーション(STA2)がチャネルアクセスに先に成功し、第2ステーション(STA2)は送信を遅延する。第1ステーション(STA1)がチャネルアクセスに成功した時に、第1ステーション(STA1)と第2ステーション(STA2)は同期化された送信を行う。具体的には、第1ステーション(STA1)のバックオフカウンタ値が0になった時のスロット境界で第1ステーション(STA1)と第2ステーション(STA2)は同期化された送信を行う。したがって、実際送信は、第1ステーション(STA1)のバックオフカウンタ値が0になったスロット境界から送受信部が送信モードに転換された後に、同期化された送信が始まる。
【0239】
図30には、本発明の実施例によってMLDが特定チャネルのチャネルアクセス手順を遅延させることによって、2個のリンクで同時にPPDU送信を行う一実施例を示す。
【0240】
図30を参照すると、多重リンクを含むMLDは、各リンクでの多重送信を行う場合に、多重送信を同時に行うために各リンクのバックオフカウンタの値を調節することができる。
【0241】
具体的には、
図30に示すように、MLDはSTA1とSTA2を含んでよい。前記STA1とSTA2が運用されるリンクは、互いにnon-STR関係であるリンク対であってよく、MLDは、non-STR関係のリンク対を用いて同時送信を行おうとすることがある。この場合、MLDは、STA2のチャネルアクセス手順が完了(すなわち、バックオフ手順によってBOが0になる。)した後にも、STA2を用いてPPDU2送信を始めず、PPDU2の送信を猶予する選択をすることがある。このとき、前記チャネルアクセス手順が完了した時点は、DCFを用いた場合に、BOが0になったスロット境界を意味でき、EDCAを用いた場合に、BOが0になったスロット境界の次のスロット境界を意味できる。前記PPDU2の送信猶予区間で、MLDの他のSTAであるSTA1がチャネルアクセス手順を完了したし、MLDは、チャネルアクセス手順を完了したばかりのSTA1とチャネルアクセス手順を完了した後に待機(送信猶予)中だったSTA2を用いて同時にPPDU1、PPDU2を送信し始めることができる。本発明において、PPDUはフレームを含んでよい。また、PPDUを送信するか或いは送信しない動作は、フレームを送信するか或いは送信しない動作を含む意味であってよい。
【0242】
すなわち、各リンクでのEDCA規則は、全てのリンクでのチャネル接続を許容することができ、そのために、MLDの多重リンクのうち一つのリンクでチャネルアクセス手順が終了してバックオフカウンタの値が「0」に到達した場合にも、他のリンクのバックオフカウンタの値が「0」に到達していないと、MLDのSTAは、当該リンクでの上りリンク送信を行わずにバックオフカウンタの値を「0」に維持できる。言い換えると、MLDのSTAは、特定リンクでバックオフカウンタの値が「0」に到達した場合に、MLDの他のリンクでのバックオフカウンタの値が「0」に到達しないと、上りリンク送信を行わずにバックオフカウンタの値を「0」に維持することを選択できる。
【0243】
仮に、
図30で、STA2のチャネルアクセス手順が終了した後、STA2が、バックオフカウンタの値が「0」に到達してPPDUの送信を直ちに始める場合に、STA1のチャネルアクセス手順に、STA2のPPDU送信によって干渉(又は、妨害)が発生することがある。しかし、前述したように、STA1及びSTA2のうち、チャネルアクセス手順が終了したSTAのリンクでPPDUの送信開始時点を調節することによって、MLDは、non-STR関係にあるリンク対を用いて同時にPPDUの送信を行うことができる。
【0244】
したがって、MLDのSTAは、MLDが同時送信を行う意図を有しているとき、チャネルアクセス手順が完了しても、直ちにPPDUの送信を開始したり、或いは新しいチャネルアクセス手順を行わなくてよい。言い換えると、MLDのSTAは、チャネルアクセス手順が完了した後、BOが0である状態に維持する動作を行うことができる。ただし、上述したように、特定STAがチャネルアクセス手順を完了した後、BOが0である状態に維持する動作は、前記特定STAがMLDのSTAである場合に制限されてよい。このとき、前記特定STAが運用されるリンクは、前記MLDの他のSTAとnon-STR関係であるリンク対である時に制限されてよい。このとき、前記特定STAがチャネルアクセス手順を完了した後、BOが0である状態に維持する動作は、前記特定STAが含まれたMLDが同時送信(Start time synchronous)を行う意図を有している時にのみ許容されるものであってよい。
【0245】
すなわち、MLDのSTAに対するリンクが、non-STR関係にあるリンク対である場合に、MLDは、STAのチャネル接続手順が異なる時点に完了すれば、最も遅くチャネル接続手順が完了するリンクによって、他のリンクのPPDU送信を留保できる。例えば、MLDに含まれたSTA1の第1リンクとSTA2の第2リンクがnon-STRリンク対である場合に、STA1の第1リンクのチャネル接続手順によるバックオフ手順における第1バックオフカウンタの値が、STA2の第2リンクのチャネル接続手順によるバックオフ手順における第2バックオフカウンタの値よりも先に「0」に到達し得る。この場合、STA1は、第1リンクでPPDUの送信を行わず、バックオフカウンタの値を「0」に維持し続けることを選択できる。
<同時送信を行う時におけるスロット境界の不一致>
上述したように、MLDは、2個以上のリンクを活用して同時送信を行うことができ、前記同時送信で使われた「同時」の意味は、物理的に正確に同一時間を意味するわけではない。より詳細には、MLDが行う同時送信は、2個或いは2個超過のリンクで行う送信の開始時点が特定時間間隔以内の差を有することを意味できる。一例として、前記特定時間間隔がaSlotTimeである場合に、MLDがLink1で「t」時点にPPDU送信を始めたし、他のLinkであるLink2で「t-aSlotTime以後、t+aSlotTime以前」に送信を始めた場合に、前記MLDは、前記Link1と前記Link2を用いて同時送信を行ったものと考慮されてよい。この時、前記特定時間間隔の例として用いられたaSlotTimeは、例示のためのものであり、MLDが同時送信を行うために考慮/厳守すべき時間間隔は、aSlotTimeでない他の時間値(1us,2us,3us…xusなど)であってもよい。この時、前記同時送信を行うために考慮するべき時間間隔は、BSSのAPによって指示された値であってよい。一例として、AP MLDは、自身とアソシエーションされているSTA MLDが同時送信を行う時に考慮するべき時間値をOM(Operating Mode)エレメントで指示できる。
【0246】
このとき、前記aSlotTimeは、PHYバージョン別に標準において定義している時間値を意味し、aSlotTimeごとに当該スロットがIDLEである場合に、BO(Backoff counter)を1個ずつ減少させるチャネルアクセス手順が行われる。この時、前記チャネルアクセス手順は、DCF或いはEDCAであってよく、従来Wi-Fiのよく知られたチャネルアクセス手順であるので、詳細な説明は省略する。例えば、11axにおいて、aSlotTimeは9usである。
【0247】
このように、MLDが行う同時送信が厳密な意味の「同時」に始まった送信のみを意味するものではなく、特定時間間隔内の差を持って始まった送信を含む意味を有する理由は、同時送信において用いられる各リンクのスロットバウンダリが整列されていないためであり得る。スロット境界に関するより詳細な説明は、
図31の一実施例で説明される。
【0248】
図31には、本発明の実施例によってMLDのSTAが互いに異なるスロット境界を基準に動作する一実施例を示す。
【0249】
図31を参照すると、MLDを構成するSTAの互いに異なるリンクは、互いに異なるスロット境界で動作できる。
【0250】
Wi-Fi装置は、自分の主チャネル(Primary channel)が他の装置によって占有された場合に、主チャネルの占有が終了した時点を基準にスロット境界を決定(計算)する。このとき、スロット境界は、チャネルアクセス手順の間に、各スロットを区分するための基準として用いられ、Wi-Fi装置がチャネルアクセス手順を完了した後に行う送信は、スロット境界に合わせた時点に行われるべきである。
【0251】
したがって、
図31に示すように、Link1とLink2で互いに異なる時間に媒体占有が終了した場合に、MLDのSTAであるSTA1とSTA2は、互いに異なるスロット境界を基準にチャネルアクセス手順を行わなければならない。このように、互いに異なるリンクで運用されるSTAは、それぞれが運用されるリンクの占有状況によって互いに異なるスロット境界を有する可能性が大きく、したがって、同時送信に用いようとする2個以上のリンクで厳密な意味の「同時」に送信を始めることが不可能な動作であってよい。
【0252】
また、MLDが特定時点に2個以上のリンクを用いて同時に送信を始めようと試みてもよいが、前記各2個以上のリンクは、互いに分離されたMAC及びPHYで処理され、互いに異なるリンクに互いに異なるPPDU BWで構成されて送信されるはずなので、完全に同一時点(厳密な意味の「同時」)にPPDU送信のためのプロセシングが完了されないことがある。したがって、MLDが、互いに異なるリンクの互いに異なるスロット境界を無視したまま同時送信(厳密な意味の「同時」送信)を試みても、前記互いに異なるリンクで送信が始まる時点は、依然として互いに異なることがある。
【0253】
このため、MLDを構成する複数個のSTAがそれぞれのリンクを通じて同時送信を行うためには、各リンクで行われる送信の送信開始時点に関する規定が必要である。このとき、MLDが同時送信をするために守るべき規定は、同時送信を目的で行われた特定リンクの送信開始時点が、同時送信を行う他のリンクのaRxTxTurnaroundTime区間(aSlotTime内の時間区間)で始まるべきであるということであってよい。又は、MLDが同時送信をするために守るべき規定は、同時送信を目的で行われた特定リンクの送信開始時点が、同時送信を行う他のリンクのaSlotTime内のCCADel(或いは、CCATime)区間以後でなければならないということであってよい。このとき、前記aRxTxTurnaroundTimeは、チャネルアクセス手順を行っていたPHYがPPDU送信を行うために必要とする時間(aSlotTime内でCCAのためのCarrier Sensing及びPDなどを実際に行うべき時間)であり、実際に各装置が必要とする時間は具現によって異なり得る。aRxTxTurnaroundTimeは、本発明では主に4usであると考慮したし、前記aRxTxTurnaroundTimeの具体的な値は変更されてよい。前記CCATimeは、aSlotTime内で各STAがCCA(CS)を行うべき区間として理解されてよく、具現によってその時間区間が決定されてよい。CCADelは、CCATimeがディレイを考慮して調整された区間値であり、具現によって変わってよい。
【0254】
すなわち、各リンクでのスロット設定が異なることがあり、よって、リンク間スロットの境界が一致しないことがある。したがって、バックオフカウンタが減少する各スロットでリンク間スロットの境界は一致しないことがあり、MLDの多重リンクのそれぞれにおいて、前述した留保動作によってバックオフ手順によるバックオフカウンタがいずれも「0」に到達した場合に、各リンクでのスロット境界が一致しないことがある。各リンクでのスロットは個別に設定され得るため、各リンクでのスロット境界は一致しないことがある。したがって、各リンクでバックオフカウンタの値がいずれも「0」である場合にもスロット境界は互いに異なることがある。この場合、同時送信は、多重リンクのうち特定リンクのバックオフカウンタの値が「0」であるスロット又はスロットの次のスロットに対するスロット境界によって行われてよい。すなわち、non-AP MLDの複数個のリンクのうち、多重送信のための基準になるリンクが特定リンクである場合に、特定リンクのスロット1でバックオフカウンタの値が「0」に減少した場合に、特定リンクに対するスロット1又はスロット1の時間軸上の次のスロットであるスロット2のスロット境界に基づいて他のリンクが上りリンク送信を行うことができる。
【0255】
すなわち、各リンクは、当該リンクのスロット境界によって上りリンク送信を行わず、特定リンクのスロット境界によって上りリンク送信を遅延又は短縮させて同時に上りリンク送信を行うことができる。
【0256】
例えば、MLDの多重リンクが第1リンク及び第2リンクで構成され、第1リンク及び第2リンクのうち一つのリンクでチャネル接続手順が終了した場合(例えば、第1リンクの第1バックオフカウンタ及び第2リンクの前記第2バックオフカウンタのうち一つのバックオフカウンタが前記残りのバックオフカウンタよりも先に「0」に到達した場合)に、上りリンク送信は、残りリンクのチャネル接続手順が終了した時点(例えば、残りのバックオフカウンタが「0」に到達した時)に第1リンクと第2リンクのスロット境界(slot boundary)が一致しないことがある。この場合、第1リンク及び第2リンクのうち、上りリンク同時送信のための特定リンクのスロット境界によって各リンクでの上りリンク送信が行われることにより、多重リンクで上りリンク送信が同時に行われてよい。
【0257】
すなわち、MLDの多重リンクが第1リンク及び第2リンクで構成され、第1リンクの第1バックオフカウンタ及び第2リンクの前記第2バックオフカウンタのうち一つのバックオフカウンタが前記残りのバックオフカウンタよりも先に「0」に到達した場合に、上りリンク送信は、残りのバックオフカウンタが「0」に到達した時に第1リンクと第2リンクのスロット境界(slot boundary)が一致しないことがある。この場合、第1リンクの第1バックオフカウンタが「0」であるスロットのスロット境界又はスロットの次のスロットである第1スロットのスロット境界によって第2リンクでの上りリンク送信の送信時点を短縮又は遅延させて調節することができる。
【0258】
このとき、第1リンクでの上りリンク送信時点と第2リンクでの上りリンク送信時点は一定時間以内であってよい。例えば、第1リンクでの上りリンク送信時点から4us以内に第2リンクでの上りリンク送信時点が位置してよい。
【0259】
このような方法により、第2リンクの第2バックオフカウンタが「0」であるスロットのスロット境界又はスロットの次のスロットである第2スロットのスロット境界でない他の時点で上りリンク送信を行うことにより、第1リンク及び第2リンクで上りリンク送信が同時に行われ得る。
【0260】
MLDに含まれたSTAのうち、スロット境界によって送信が遅延されるSTAは、リンクで遅延される時間の間に当該スロットのチャネルセンシングを続けることができ、チャネルセンシング途中に他のリンクでのバックオフカウンタの値が「0」になるとチャネルセンシングを終了し、直ちにPPDUを送信できる。同時送信のために遅延又は短縮される時間は4usであってよい。このとき、4usは、チャネル接続手順において上りリンク送信を行うためのモードに変更されるために必要な変更時間を意味できる。仮に、遅延又は短縮される時間が4usを超える場合に、下りリンクから上りリンクに転換される時間を超え、当該スロットでチャネルの状態が占有状態(busy)に変更され得る。
【0261】
図33で示したaSlotTime内のSTA動作は、例示のためのものであり、各STAが毎スロットに該当するaSlotTime内で行う動作は異なってよい。ただし、Wi-Fi装置はいずれも、具現時にWi-Fi標準で定義したCS(carrier sense)正確度を満たさなければならない。
【0262】
図32には、本発明の実施例によって同時送信の開始時点に対する明確な規定がない時に発生し得るMLDの同時送信失敗の一実施例を示す。
【0263】
図32を参照すると、
図32の(a)及び(b)は、MLDがSTA1のチャネルアクセス手順が完了したにもかかわらず、STA1とSTA2を用いた同時送信を行う目的でSTA1の送信開始を遅延している。この時、STA1とSTA2のスロット境界が互いに異なるため、MLDは、チャネルアクセス手順を遅延させていたSTA1の送信開始時点を、STA2がチャネルアクセス手順を完了する時点と類似の時点に合わせようとし得る。このとき、MLDは、STA1での送信開始時点を、STA2がチャネルアクセス手順を完了するスロット境界(STA2が用いるスロットの境界)と隣接したSTA1のスロット境界に合わせることができる。この場合、STA1によって始まる送信の開始時点は、
図14の(a)Case1のように、STA2がチャネルアクセスを完了した時点(STA2の特定スロット境界)の直後に存在するSTA1スロット境界であってよい。或いは、STA1によって始まる送信の開始時点は、
図14の(b)Case2のように、STA2がチャネルアクセスを完了すると予測される時点(STA2の特定スロット境界)の直前に存在するSTA1のスロット境界であってよい。要するに、MLDは、2個以上のリンクを用いて同時送信を行おうとする場合に、前記2個以上のリンクのうち、最後にチャネルアクセス手順が完了するリンクのスロット境界(前記リンクで運用されるSTAのスロット境界)と隣接した各リンクのスロット境界でそれぞれ送信を始めようとしてよい。
【0264】
しかし、前述したように、各リンクのスロット境界が互いに異なることがあるので、同時送信に用いる目的で特定リンクで送信を始めた時に、同時送信に用いられるべき他のリンクのCCA動作に影響を与えることがあり、結果的に前記他のリンクの送信開始が不可能になることがある。より詳細に説明すると、前記特定リンクで始まった送信が装置内干渉を誘発するため、前記装置内干渉によって、前記他のリンクのCCA結果がBUSYとして決定されることがある。このため、前記他のリンクのSTAは、WMが既に占有されており、チャネルアクセスが制限されているとして動作する。結果的に、同時送信を目的で始まった特定リンクの送信が、同時送信を目的で送信を計画していた他のリンクに装置内干渉を誘発することにより、前記他のリンクのチャネルアクセスを制限することがある。これは、
図14の(a)及び(b)で示すように、チャネルアクセス手順を完了した後、送信開始時点を遅延させていたSTA1がチャネルアクセスを完了したばかりであるか或いは完了すると予測されるSTA2のスロット境界と隣接した2個のスロット境界(STA2がチャネルアクセス手順を完了したスロット境界直後のSTA1スロット境界及びSTA2がチャネルアクセス手順を完了すると予測されるスロット境界直前のSTA1スロット境界)のうちいずれかを選択して送信しても、先に始まった送信が他のリンクのCCA結果に影響を与え、同時送信に失敗し得る。
【0265】
したがって、チャネルアクセス手順を完了した後、同時送信を行うために送信開始を遅延/猶予(defer)していたリンクの送信開始時点は、同時送信を行う他のリンクのSTAがチャネルアクセス手順を完了或いは完了すると予測される時点(前記他のSTAのスロット境界)に隣接した2個のスロット境界(特定STAのスロット境界)のうち1個に特定されることが不可能であり、前記特定リンクと前記他のリンクのスロット境界差を考慮して、同時送信を試みる度にMLDによって決定される必要がある。
【0266】
上述したように、チャネルアクセス手順を完了した後、同時送信を行う目的で送信を遅延していたリンクの送信開始時点は、同時送信を行う各リンクのチャネルアクセス手順のうち、最後にチャネルアクセス手順が終了したリンクのスロット境界直前或いは直後のスロット境界(送信を遅延していたリンクの)と特定されてはならず、同時送信を行う2個以上のリンクがそれぞれ送信を始めても、他のリンクのCCA結果に影響を与えないように管理される必要がある。したがって、各リンクで始まった送信が、同時送信を行う他のリンクのCCA結果に影響を与えないようにするために、各リンクでの送信開始時点は、他のリンクが各スロット区間(aSlotTime)で行うCCA動作を考慮して決定されなければならない。このとき、前記他のリンクのCCA動作を考慮して決定された特定リンクの送信開始時点は、前記他のリンクがCCAを行った後、RxモードからTxモードに転換されるaRxTxTurnaroundTime内で決定された時点であってよい。言い換えると、同時送信を行う特定リンクのSTAは、同時送信を行う他のリンクのSTAのうちまだ送信を始めていないSTAのaRxTxTurnaroundTime区間に合わせて前記特定リンクでの送信を始めることができる。或いは、前記特定リンクのSTAは、前記まだ送信を始めていないSTAの各スロットCCADel区間以後に前記特定リンクで送信を始めることができる。
【0267】
図33には、本発明の実施例によってMLDのSTAが互いに異なるスロット境界に合わせて送信を始める場合に、先に始まった送信が他のSTA(他のリンクで運用される同一MLD)のCCA結果に影響を及ぼさない場合の一実施例を示す。
【0268】
図33を参照すると、MLDは、STA1とSTA2をそれぞれLink1とLink2で運用しており、STA1のチャネルアクセス手順が完了したが、STA2と同時送信を行う目的で前記STA1の送信開始時点を遅延させてよい。この時、MLDは、前記STA2がチャネルアクセス手順を完了したスロット境界に合わせて送信を始めても、前記STA2の送信開始時点を含むSTA1のスロット(格子表示されたスロット、STA1が送信を始める直前のスロット)が、前記STA1がRxモードからTxモードに転換される区間に該当するので、STA1のCCA結果に影響がないと判断できる。したがって、MLDは、チャネルアクセス手順を完了した後、送信開始を遅延中であったSTA1の送信開始時点を、STA2がチャネルアクセス手順を完了した後、送信を始めたSTA2スロット境界以後のSTA1スロット境界に合わせて始めるように決定することができる。
【0269】
このとき、前記STA2スロット境界以後のSTA1スロット境界は、前記STA2スロット境界直後のSTA1スロット境界であってよい。より具体的な説明のために、再び
図15を参照すると、STA1は、格子表示されたスロットに該当するaSlotTimeの最後4usの間にRxモードからTxモードに転換される動作を行い、当該転換区間で装置内干渉が発生しても、前記格子表示されたスロットをBUSYと判別しなくてよい。したがって、前記STA2が行った送信の開始時点が、前記STA1のaRxTxTurnaroundTime内に存在するので、STA1は、STA2が先に送信を始めた後にも装置内干渉による問題なしでチャネルアクセスを行うことができる。
【0270】
このとき、前記4usは、aRxTxTurnaroundTimeに該当する値の例として用いられたものであり、前記aRxTxTurnaroundTimeは、各端末のハードウェア特性によって端末別に異なる値を有し得る。したがって、MLDが同時送信を行う時に考慮するべき各リンクの送信開始時点差は、MLD或いはMLDの各STAの特性によって異なる時間値が適用されてよい。
【0271】
一方、前述したように、先に送信を始めたリンクの送信開始時点が、他のリンクのaRxTxTurnaroundTime区間内ではなくCCADel以後の区間に始まるように適用されてもよい。しかし、本実施例において、上述した説明がaRxTxTurnaroundTime区間ではなくCCADel以後の区間に代替される場合に、類似の方式と理解されてよく、その詳細な説明は省略する。参考として、
図15の一実施例において、Rx/Tx(例えば、4us)区間に図示されたM2区間を含む区間が、CCADel以後区間と理解されてよい。
【0272】
図34には、本発明の実施例によってMLDが同時送信を行おうとするリンクのスロット境界時点差によって各リンクで送信を始める時点を決定する方法の一実施例を示す。
【0273】
図34の(a)は、STA1の毎スロット境界がSTA2の毎スロット境界に比べて、aRxTxTurnaroundTimeよりも小さい区間だけ先行する(時点上に早い)状況を示し、
図34の(b)は、STA2の毎スロット境界がSTA1の毎スロット境界に比べて、aRxTxTurnaoundTimeよりも小さい区間だけ先行する状況を示している。このとき、前記2リンク(STA)のスロット境界先行関係比較方法は、2リンクのスロット境界のうち、1/2 aSlotTime以下の差を有するスロット境界間の先行関係を比較するものであってよい。
【0274】
図34(a)で、STA1の毎スロット境界がSTA2の毎スロット境界よりも先行しており、STA1が自分のスロット境界で送信を始めても、前記STA1のスロット境界がSTA2の格子状スロット区間(aSlotTime)のうちaRxTxTurnaroundTimeに該当する時点であるので、MLDはSTA1のスロット境界でLink1の送信を始めた後、STA2のスロット境界でLink2の送信を行うことができる。
【0275】
図34(b)では、STA2の毎スロット境界がSTA1の毎スロット境界よりも先行しており、STA2が自分のスロット境界で送信を始めても、前記STA2のスロット境界がSTA1の格子状スロット区間(aSlotTime)のうちaRxTxTurnaroundTimeに該当する時点であるので、MLDは、STA2のスロット境界でLink2の送信を始めた後、STA1のスロット境界でLink1の送信を行うことができる。
【0276】
結果的に、MLDは、同時送信を行う各リンクのスロット境界(各リンクで運用されるSTAの)が、aRxTxTurnaroundTime以下の時間差を有する時に、最も先行するスロット境界を有するリンクで運用されるSTAを介して先に送信を始めることによって同時送信を行うことができる。この時、前記基準になる時間差(aRxTxTurnaroundTime)がCCADelの終了時点に適用されても、前記aRxTxTurnaroundTimeがM2(
図33参照)+aRxTxTurnaroundTimeに変更される以外は、同じ方式と理解されてよく、その詳細な説明は省略する。
【0277】
前述したように、MLDは、同時送信を行うリンクのスロット境界差を考慮して先に送信を始めるリンクを決定することにより、先に送信を始めたリンクが誘発する装置内干渉が他のリンクのCCAに影響を与えないように考慮できる。しかし、同時送信を行う各リンクのスロット境界差が特定の値内の差を有すると、MLDがいかなる順序で各リンクでの送信を開始しても、他方のリンクのチャネルアクセスが妨害を受けることを防止することができない。このとき、前記特定の値内の差は、aSlotTimeが9usであり、aRxTxTurnaroundTimeが4usであるとき、4us超過(或いは、以上)~4.5us以下(或いは、未満)の差を意味できる。言い換えると、MLDが同時送信に活用しようとする2リンクのスロット境界差が4us超過(或いは、以上)~4.5us以下(或いは、未満)の差を有すると、MLDが前記2リンクのうちいずれのリンクを通じて先に送信を始めても、前記先に送信を始めたリンクが誘発した装置内干渉によって残りリンクでチャネルアクセスが(同時送信が)制限されることがある。
【0278】
図35には、本発明の実施例によってMLDの2リンク対が特定の範囲内のスロット境界の差を有する場合に、同時送信に失敗する場合の一実施例を示す。
【0279】
図35を参照すると、MLDは、STA1とSTA2をそれぞれLink1とLink2に運用でき、前記STA1とSTA2は互いに1/2 aSlotTimeだけ互いに異なるスロット境界を基準にチャネルアクセスを行うことができる。このとき、STA1が先にチャネルアクセス手順を完了し、MLDは前記STA1とSTA2を用いて同時送信を行う目的でSTA1の送信開始を留保できる。この場合、MLDがSTA2のチャネルアクセスが終了するスロット境界と隣接したSTA1のスロット境界でLink1の送信を始めようと試みてよいが、前記STA1とSTA2が有するスロット境界差によって同時送信に成功できないことがある。
【0280】
MLDは、STA2がチャネルアクセス手順を完了する/完了したと予測されるスロット境界(
図35のT2)と隣接したSTA1のスロット境界の2個のうち一つを選択してLink1での送信を始めようと試みてよい。仮にMLDがSTA2の予測チャネルアクセス手順完了時点に、先に現れたSTA1のスロット境界(
図35のT1)でLink1への送信を始める場合に、前記Link1から始まった送信により、STA2の最後のバックオフスロット(0と表示された)がBUSYと判別され、STA2のチャネルアクセス手順は、予測したT2時点に完了できなくなる。すなわち、MLDがSTA1を用いてT1時点に送信を始める場合に、Link1の送信が誘発した装置内干渉によってSTA2のチャネルアクセス手順を完了できず、同時送信に失敗する。一方、MLDがSTA2のチャネルアクセス手順完了以後に現れたSTA1のスロット境界(
図35のT3)でLink1への送信を試みる場合に、T2に既に始まったLink2の送信によって、T3に終了するLink1の最後のスロットがBUSYと判別され、Link1に対するチャネルアクセスが不可能であり得る。これは、前記T1とT2、T2とT3が有する時間差がそれぞれaRxTxTurnaroundTimeよりも大きいため、Link1とLink2の2つのうちいずれのリンクで先に送信が始まっても、他のリンクのチャネルアクセス手順が妨害を受ける結果につながるためであり得る。
【0281】
上述したように、特定リンクが特定の範囲以内のスロット境界差を有するとき、前記リンクはそれぞれ自分のスロット境界に合わせて送信を始める方法で同時送信に参加することが不可能であり得る。上述の
図35の一実施例のように、aSlotTimeが9usであり、aRxTxTurnaroundTimeが4usである状況を仮定すれば、このように特定リンク対が同時送信が不可能なスロット境界差を有する確率は、単純計算で1/9と理解されてよい。これは、non-STR MLDが、特定リンクがBLIND状態に転換することを防ぐ目的のためにでも積極的に同時送信を試みることを考慮したとき、多少高い確率であり得る。
【0282】
また、装置によって、aRxTxTurnaroundTimeが相対的に短い装置があることもあり、このように相対的に短いaRxTxTurnaroundTimeを有する装置を用いて同時送信を行う時には、特定リンク対のスロット境界差による同時送信制限確率がさらに高くなり得る。一例として、特定MLDのSTAがaRxTxTurnaroundTimeを1.5usのみ要求し、残り時間の間にCCAを行うことができる特性を有すると、前記特定MLDは、2個のリンクを用いた同時送信を行う時に、(4.5-1.5)/9=1/3の確率で2つのうち一つのチャネルに対するアクセスに失敗し得る。
【0283】
<スロット境界に合せないチャネルアクセス>
【0284】
上述したように、スロット境界差によって同時送信(同時チャネルアクセス)が制限される問題を防ぐために、MLDが同時送信を行う目的で特定STAの送信開始を留保している時(前記特定STAはバックオフ手順(チャネルアクセス手順)を完了した状態(BO==0))に、前記特定STAで始まる送信は、前記特定STAのスロット境界と一定レベル以下の誤差を有し得るように許容されてよい。言い換えると、MLDが多重リンクを通じて同時送信を行う時に、MLDのnon-STRのリンク対であるnon-STRリンク対がそれぞれチャネル接続手順が異なる時点に終了することがある。この場合、non STRリンク対であるリンクのそれぞれのバックオフ手順によってバックオフカウンタの値が先に「0」に到達したリンクのSTAは、他のSTAのリンクでバックオフカウンタの値が「0」に到達するまでバックオフカウンタの値を「0」に維持させ、PPDUを送信しなくてよい。この場合、MLDのnon-STRリンク対であるSTAのバックオフカウンタの値がいずれも「0」に到達した場合に、STAのスロット境界が一致しないことがあるため、MLDのSTAは、自分のスロット境界ではなく他の時点に送信を始めてよい。このとき、前記一定レベル以下の誤差はaSlotTimeを考慮して決定された値であってよい。一例として、前記一定レベル以下の誤差は、aSlotTimeの10%を超えないものであってよい。このとき、aSlotTimeが9usであれば、MLDのSTAが行う送信は、自分のスロット境界+-0.9us以内に始まってよい。このとき、スロット境界と異なる時点に送信を始め得るように許容する範囲(誤差)を決定する時にaSlotTimeを考慮する理由は、特定リンクで運用されるSTAの間のスロット境界同期(Sync.)が損傷する程度の誤差を防ぐためであり得る。このとき、前記スロット境界同期は、各STAが伝搬遅延(propagation delay)によって多少異なるスロット境界を用いるとしても、各自のスロット境界を用いてチャネルアクセス手順を行った時にEDCA規則によってチャネルアクセスが行われ得るように許容するレベルの同期化を意味できる。
【0285】
すなわち、前記一定レベル以下の誤差は(aSlotTime-aAirPropagationTime)の10%を超えないことを意味できる。このとき、前記aAirPropagationTimeは、最も遠く離れているSTA(スロットが同期(synchronized)された)間の信号伝搬時間(propagation time)の2倍で計算された値(us単位)であるか、BSSのCoverage Classフィールドのパラメータで指示される値であってよい。一例として、EHT APが考慮するBSSのaAirPropagationTimeが1us以下である場合に、BSSのSTAが行う送信の開始時点は、スロット境界と最大で0.8us(+-10%*(9us-1us))誤差を有し得るように許容されてよい。言い換えると、EHT STAは、自分の送信開始時点がスロット境界と0.8us以下の差を有するようにしてよい。
【0286】
すなわち、BSSが使用するaSlotTimeの長さと、STA同士のスロット境界同期安定性(無欠性)を考慮した時に許容可能な「送信開始時点-スロット境界」誤差があり、これを勘案して前記一定レベル以下の誤差を決定(確保)できる。簡単に言うと、特定リンクのSTA同士のスロット境界同期安定性から許容されたスロット境界と送信開始時点の誤差を用いて、MLDのSTAはスロット境界と異なる時点(誤差範囲内)に送信を始めることができる。
【0287】
或いは、前記一定レベル以下の誤差は、aSlotTimeと関係なく既に決定(約束)された値であるか、AP MLDから指示された値であってよい。仮にチャネルアクセス手順を完了し、送信を留保していたMLDの特定STAが、自分のスロット境界と関係なく送信を始めるように許容されると、スロット境界との許容された誤差レベルがaSlotTime/2であるもと理解されてよい。
【0288】
図36には、本発明の実施例によってチャネルアクセス手順を完了し、送信開始を留保していたMLDのSTAが、自分のスロット境界と異なる時点に送信を開始することによって行う同時送信手法の一実施例を示す。
【0289】
図36を参照すると、MLDはSTA1とSTA2をそれぞれLink1とLink2に運用でき、前記STA1とSTA2は互いに1/2 aSlotTimeだけ互いに異なるスロット境界を基準にチャネルアクセスを行うことができる。この時、STA1が先にチャネルアクセス手順を完了し、MLDは前記STA1とSTA2を用いて同時送信を行う目的でSTA1の送信開始を留保できる。これは、
図17で考慮したのと同じ状況であり、MLDのSTAであるSTA1のスロット境界に合わせてLink1への送信を始める場合に、STA1とSTA2を用いた同時送信(同時チャネルアクセス)が不可能である。しかし、STA1の場合、チャネルアクセス手順を完了した後、同時送信を目的で送信開始を留保していたので、自分のスロット境界と一定の(許容された)誤差内では自由に送信開始時点を調節できる。
【0290】
したがって、STA1は、自分のスロット境界のうち一つであるT1で送信を始めず、許容された誤差時間だけ遅延された(T1に比べて)時点にPPDU送信を始めることができる。その結果、Link2で運用されるSTA2は、チャネルアクセス手順が完了するスロット境界であるT2と隣接したスロット(格子状)を評価する時に、STA1から行われた送信によって誘発された装置内干渉に関係なく当該スロットをIDLEと判別し、T2に同時送信を始めることができる。簡略に言うと、前記STA1の送信が自分のスロット境界に合わせてT1に始まった場合に、STA2のチャネルアクセス手順がT2に完了せず、同時送信に失敗することもあるが、前記STA1がSlot Sync budgetだけ送信開始時点を遅延させることによって、STA2のaRxTxTurnaroundTime区間にLink1の送信を始めている。
【0291】
上述したように、MLDの特定STAが同時送信を行う目的で運用される時には、前記特定STAが自身がチャネルアクセス手順に用いたスロット境界同期と互いに異なる時点(ただし、許容された誤差範囲内の)に送信を始め得るように許容されてよく、その結果、MLDは、同時送信に用いる各リンクのスロット境界がいかなる差を持っても、各リンクでの送信開始時点を管理することによって同時送信を行うことができる。
【0292】
図37には、本発明の実施例によってBSSで利用可能なSlot Sync BudgetをAP MLDが動作エレメント(Operation element)で指示する時に利用可能なシグナリングの一実施例を示す。
【0293】
AP MLDは、BSS内のSTA間のスロット境界同期無欠性を評価することによって、BSS内のSTA MLDが同時送信をする時に利用可能なSlot Sync Budgetを決定及び指示できる。このとき、前記Slot Sync Budgetは、動作エレメントで指示されるものであってよい。このとき、前記フィールドの名前と指示されるエレメントの変更は制限されない。前記Slot Sync Budgetによって指示された値は、STA MLDが同時送信を行う時に、各リンクの送信開始時点に、前記リンクのスロット境界と有し得る最大誤差が適用されてよい。このとき、前記Slot Sync Budgetは、同時送信のための目的で制限されず、EHT STAが行った送信がスロット境界と有し得る時点誤差が適用されるものであってよい。
【0294】
例えば、BSS内のSTA間のスロット境界同期が堅固な場合(同期化がよくできている場合)に、AP MLDは、動作エレメントのSlot Sync Budgetフィールドによって、BSS内のSTA間のスロット境界同期が弱い場合(同期化がよくできていない場合、STA間のスロット境界差が大きいと予測/評価される場合)に相対的に大きい値を指示できる。このとき、前記Slot Sync Budgetフィールドで指示された値は、各STAが送信を始める時点がスロット境界とある程度の許容誤差を有するか否かを確認するために用いられてよい。BSSのSTA MLDは、同時送信を行う時に、各リンクで送信を始める時点が自身がチャネルアクセス手順を行う時に用いるスロット境界と前記Slot Sync Budgetフィールドで指示された値に基づいて確認された許容誤差範囲を超えない時間差を有するように同時送信を行わなければならない。
【0295】
<リンク間情報交換遅延を考慮した同時送信方法>
【0296】
上述した同時送信動作は、MLDに含まれた複数のSTA間にチャネルアクセス手順の進行状況に関連した情報が緊密に共有され得るとの仮定に基づく。例えば、特定STAがMLD内の他のSTAがチャネルアクセス手順を完了する時点に合わせて送信を行うということは、前記特定STAが前記他のSTAのチャネルアクセス手順と関連したパラメータ(例えば、残ったBackoff counter数及びスロット境界)を知っていることを仮定した動作である。
【0297】
しかしながら、MLDの各STAは基本的にそれぞれ自分が運用されるリンクで独立にチャネルアクセス手順を行い、各STAが情報を共有する方式について定義されないことがある。したがって、MLD内のSTAであっても、互いのチャネルアクセス手順と関連したパラメータを実時間で共有できるか否かは具現方式によって異なってよい。また、チャネルアクセスのために各STAが毎スロットごとに行うCCAは、aSlotTimeごとに結果が更新されるべき情報であり、当該データがMLD内の各STA間に毎瞬間交換される必要があるかは、開発者ごとに異なる見解を有する可能性がある。
【0298】
すなわち、同時送信のためのチャネルアクセス手順を考慮する時に、MLD内の各STAが互いのチャネルアクセス手順に関する情報を取得するまでに一定レベル以上の遅延を有し得ることを念頭に置かなければならない。
【0299】
このとき、MLDの各STAが同時送信を行う方法は、上述した本発明の一実施例で考慮したように、バックオフ手順を完了した後に送信を留保していたSTAが、1)MLD内の他のSTAがチャネルアクセス手順を完了すると予測される時点に送信を始めること、2)或いは、MLD内の他のSTAがチャネルアクセス手順を完了したことを確認した後に送信を始めること、であってよい。
【0300】
前記1)に該当する同時送信動作は、上述した本発明の一実施例で説明されているため、詳細な説明は省略し、2)に該当する同時送信動作をより詳細に説明する。
【0301】
本発明の一実施例によれば、同時送信を行おうとするMLDは、特定STAのチャネルアクセス手順が完了したにもかかわらず、前記特定STAのチャネルアクセス手順を遅延させることがある。このとき、前記特定STAは、前記MLDの他のSTAがチャネルアクセス手順を完了したことを確認した後に送信を開始できる。この時、前記他のSTAは、前記特定STAが、自分がチャネルアクセス手順を完了したという情報を取得するまでにかかる装置内情報処理遅延(リンク間情報交換遅延)を考慮して、チャネルアクセス手順が完了した後に特定時間の間に送信開始を猶予してよい。このとき、前記特定時間は、装置内情報処理遅延を考慮して設定された値であってよい。このとき、前記特定時間の単位は、us或いはaSlotTimeの倍数(1 aSlotTime或いは2 aSlotTime)であってよい。
【0302】
図38には、本発明の一実施例に係るリンク間情報交換遅延を考慮した同時送信手順の一例を示す。
【0303】
図38を参照すると、MLDはSTA1とSTA2を用いた同時送信を行おうとしている。この時、STA1とSTA2は独立したチャネルアクセス手順を行うため、STA1とSTA2のチャネルアクセス手順がそれぞれ異なる時間に完了することがある。
図20を参照すると、STA1は、T1時点にチャネルアクセス手順を完了(BO==0)したが、STA2と同時送信を行うためにPPDU1の送信を猶予してよい。
【0304】
その後、STA2は、チャネルアクセス手順をT2時点に完了し、T2時点には、前記STA2がチャネルアクセス手順を完了したということが、STA1がリンク間情報交換遅延によって認知できない状態であり得る。このため、STA2は、自分がSTA1のチャネルアクセス手順を待つわけではないが、自分がチャネルアクセス手順を完了したという情報がSTA1に伝達される遅延時間(T_delay)を考慮して、自分の送信をT3時点まで猶予した後にPPDU2の送信を開始することができる。
【0305】
このとき、T3は、前記STA2がチャネルアクセス手順を完了した時点(T2)を基準に、リンク間情報交換遅延時間以後に現れるスロット境界の時点であってよい。言い換えると、前記T3とT2との時間差は、リンク間情報交換遅延時間より大きい又は等しくてよい。このとき、前記T3とT2との時間差は、(リンク間情報交換遅延時間+aSlotTime)より小さい又は等しくてよい。
【0306】
その後、STA1は、STA2がチャネルアクセス手順を完了したという情報を受信した後、T3と隣接した自分のスロット境界にPPDU1の送信を始めることができる。このとき、前記T3と隣接した自分のスロット境界は、T3以後に存在する最初のスロット境界であってよい。或いは、STA1は、STA2がチャネルアクセス手順を完了したという情報を受信した後、T3に合わせてPPDU1の送信を始めることができる。
【0307】
結果的に、同時送信を行うSTA1とSTA2はいずれも、自分のチャネルアクセス手順が完了しても、直に送信を行わなくてよい。まず、チャネルアクセス手順を完了したSTAは、他のSTAがチャネルアクセス手順を完了することを確認(リンク間情報交換によって)するまで自分の送信を猶予でき、後でチャネルアクセス手順を完了したSTAは、自分がチャネルアクセス手順を完了するまで送信を猶予していた他のSTAが、自分のチャネルアクセス手順が完了したという情報を取得するまでの遅延時間を考慮して自分の送信を猶予できる。
【0308】
一方、リンク間情報交換遅延を考慮した同時送信を行う場合であっても、本発明の上記の実施例において考慮したように、同時送信を行うリンク間のスロット境界時点差を考慮した動作が行われる必要がある。すなわち、リンク間情報交換遅延を考慮した同時送信を行うとき、依然として、特定リンクから始まった送信によって他のリンクのチャネルアクセス手順が妨害を受ける可能性が存在する。したがって、同時送信を行うMLDがリンク間情報交換遅延を考慮した同時送信を行う時にも、依然として、スロット境界を選択するために、本発明の上述した実施例で提供した方法に従わなければならない。
【0309】
ただし、同時送信を行うMLDが、リンク間情報交換遅延を考慮した同時送信を行う時には、先にチャネルアクセス手順を完了したSTAが自分のスロット境界に合わせて送信を開始し、後でチャネルアクセス手順を完了したSTAが、自身が送信を開始するスロット境界を決定しなければならない。このとき、前記スロット境界を決定する方法は、
図34の一実施例で説明したのと同一であり、その詳細な説明は省略する。
【0310】
また、
図35を用いて説明したのと同じ問題(適切なスロット境界を決定できない問題)が、装置間干渉を考慮した同時送信においても発生することがあり、この場合、後でチャネルアクセス手順を完了したSTAが、自分のスロット境界と異なる時点に送信を開始するように許容されてよい。このとき、前記スロット境界と異なる時点に開始する送信に適用される制限は、
図36の実施例で説明したのと同一であってよい。
【0311】
図39には、本発明の一実施例によって、チャネルアクセス手順を完了し、送信開始を留保していたMLDのSTAが、他のSTAのチャネルアクセス手順が完了したことを認知した後、自分のスロット境界と異なる時点に送信を開始する同時送信手法を示す。
【0312】
図39を参照すると、MLDは、STA1とSTA2を用いた同時送信を行おうとしている。このとき、STA1とSTA2は独立したチャネルアクセス手順を行うため、STA1とSTA2のチャネルアクセス手順はそれぞれ異なる時間に完了することがある。
図20を参照すると、STA1はT1時点にチャネルアクセス手順を完了(BO==0)したが、STA2と同時送信を行うためにPPDU1の送信を猶予してよい。
【0313】
その後、STA2はチャネルアクセス手順をT2時点に完了し、T2時点には、前記STA2がチャネルアクセス手順を完了したということをSTA1がリンク間情報交換遅延によって認知できない状態であり得る。したがって、STA2は、STA1のチャネルアクセス手順を待つわけではないが、自分がチャネルアクセス手順を完了したという情報がSTA1に伝達される遅延時間(T_delay)を考慮して、自分の送信をT3時点まで猶予した後にPPDU2の送信を開始できる。
【0314】
このとき、T3は、前記STA2がチャネルアクセス手順を完了した時点(T2)を基準に、リンク間情報交換遅延時間以後に現れるスロット境界の時点であってよい。言い換えると、前記T3とT2の時間差は、リンク間情報交換遅延時間より大きい又は等しくてよい。このとき、前記T3とT2との時間差は、(リンク間情報交換遅延時間+aSlotTime)より小さい又は等しくてよい。
【0315】
その後、STA1は、STA2がチャネルアクセス手順を完了したという情報を受信した後、T3以後に存在する自分の(当該リンクの)スロット境界(T4)に合わせて送信を始めることができる。このとき、STA2は、リンク間情報交換遅延時間を考慮した場合に、STA1がT4に該当するスロット境界で送信を始めることを認知でき、自分がT3以後に存在するスロット境界(T3+aSlotTime)で送信を始める場合に、STA1が開始した送信によって自分の送信開始が妨害を受けることが分かる。また、STA2は、自分がT3と時点上で同じスロット境界に送信を始める場合に、自分が開始した送信によってSTA1が同時送信を行うことができないことが認知でき、結果的に、T3と時点上で同じスロット境界とT3以後に存在するスロット境界の両方とも、同時送信の開始時点として利用できないことが分かる。
【0316】
この場合、STA2は、Slot Sync budgetが許容する限度内で自分のスロット境界と異なる時点に自分の送信を開始することができる。このとき、前記Slot Sync budgetの意味と利用方法は、上記の本発明の他の実施例で説明されており、その詳細な説明は省略する。
【0317】
結果的に、STA2は、自分が送信開始を行う時点をT3+slot Sync budget又はT4の値に調節することによって、STA1がRx/TxTurnaroundを行う時点に自分の送信を開始できる。
【0318】
図40には、本発明の一実施例によって、多重リンクデバイスが多重リンクを通じて同時送信を行う方法の一例を示す。
【0319】
図40を参照すると、non-AP MLDは、多重リンクを通じて同時送信を行うためにバックオフ手順(back off procedure)を行うことができる(S40010)。前記バックオフ手順は、前記non-AP MLDに含まれた第1STAの第1リンク及び第2STAの第2リンクのそれぞれを通じて個別に行われてよい。
【0320】
第1リンクでの前記バックオフ手順は、第1バックオフカウンタを用いて行われ、前記第2リンクでの前記バックオフ手順は、第2バックオフカウンタを用いて行われる。
【0321】
その後、non-AP MLDは、第1リンク及び前記第2リンクのそれぞれを通じてAP MLDに上りリンク送信を同時に行うことができる(S40020)。
【0322】
この時、前記第1バックオフカウンタ及び前記第2バックオフカウンタがいずれも「0」の値を有する場合に、前記第1リンクで前記上りリンク送信の送信時点が、前記第1バックオフカウンタが「0」であるスロットの次のスロットである第1スロットのスロット境界であれば、前記第2リンクで前記上りリンク送信は、前記第1リンクの前記送信時点から一定時間内に行われてよい。
【0323】
具体的には、各リンクでのスロット設定が異なり得るため、リンク間スロットの境界が一致しないことがある。したがって、バックオフカウンタが減少する各スロットでリンク間スロットの境界は一致しないことがあり、MLDの多重リンクのそれぞれで前述の留保動作によってバックオフ手順によるバックオフカウンタがいずれも「0」に到達した場合に、各リンクでのスロット境界が一致しないことがある。各リンクでのスロットは個別に設定され得るため、各リンクでのスロット境界は一致しないことがある。したがって、各リンクでバックオフカウンタの値がいずれも「0」である場合にもスロット境界は互いに異なることがある。この場合、同時送信は、多重リンクのうち、特定リンクのバックオフカウンタの値が「0」である時の特定リンクのスロット境界によって行われてよい。すなわち、各リンクは、当該リンクのスロット境界によって上りリンク送信を行わず、特定リンクのスロット境界によって上りリンク送信の送信時点を遅延又は短縮させて同時に上りリンク送信を行うことができる。
【0324】
例えば、MLDの多重リンクが第1リンク及び第2リンクで構成され、第1リンクの第1バックオフカウンタ及び第2リンクの前記第2バックオフカウンタのうち一つのバックオフカウンタが前記残りのバックオフカウンタよりも先に「0」に到達した場合に、上りリンク送信は、残りのバックオフカウンタが「0」に到達した時に第1リンクと第2リンクのスロット境界(slot boundary)が一致しないことがある。この場合、第1リンクの第1バックオフカウンタが「0」であるスロットのスロット境界又はスロットの次のスロットである第1スロットのスロット境界によって第2リンクでの上りリンク送信の送信時点を短縮又は遅延させて調節することができる。
【0325】
このとき、第1リンクでの上りリンク送信時点と第2リンクでの上りリンク送信時点は一定時間以内であってよい。例えば、第1リンクでの上りリンク送信時点から4us以内に第2リンクでの上りリンク送信時点が位置してよい。
【0326】
このような方法によって第2リンクの第2バックオフカウンタが「0」であるスロットのスロット境界又はスロットの次のスロットである第2スロットのスロット境界でない他の時点で上りリンク送信を行うことによって、第1リンク及び第2リンクで上りリンク送信が同時に行われ得る。
【0327】
このとき、前記第1バックオフカウンタ及び前記第2バックオフカウンタがいずれも「0」である場合に、前記第2リンクで前記上りリンク送信の送信時点は、前記第1スロットの前記スロット境界から前記一定時間内に含まれるように調節されてよい。
【0328】
この時、前記第1バックオフカウンタが「0」であり、前記第2バックオフカウンタが「0」である場合に、前記第1スロットと前記第2リンクの前記第2バックオフカウンタが「0」であるスロットの次のスロットである第2スロットのスロット境界は一致せず、前記第2スロットの前記スロット境界は、前記一定時間内に含まれないことがある。
【0329】
また、前記第1バックオフカウンタ及び前記第2バックオフカウンタのうち一つのバックオフカウンタが残りのバックオフカウンタよりも先に「0」に到達した場合に、前記第1リンク及び前記第2リンクのうち前記一つのバックオフカウンタを用いるリンクは、前記上りリンク送信を行わず、前記残りのバックオフカウンタが「0」に到達するまで前記一つのバックオフカウンタを「0」に維持できる。
【0330】
すなわち、前述したように、MLDの多重リンクのうち一つのリンクでチャネルアクセス手順が終了してバックオフカウンタの値が「0」に到達した場合にも、他のリンクのバックオフカウンタの値が「0」に到達していないと、MLDのSTAは当該リンクでの上りリンク送信を行わず、バックオフカウンタの値を「0」に維持できる。言い換えると、MLDのSTAは、特定リンクでバックオフカウンタの値が「0」に到達した場合に、MLDの他のリンクでのバックオフカウンタの値が「0」に到達しないと、上りリンク送信を行わず、バックオフカウンタの値を「0」に維持することを選択できる。
【0331】
例えば、MLDの多重リンクが第1リンク及び第2リンクで構成され、第1リンクでチャネル接続のためのバックオフ手順が第1バックオフカウンタによって行われ、第2リンクでチャネル接続のためのバックオフ手順が第2バックオフカウンタによって行われてよい。この時、バックオフ手順は、前記多重リンクに含まれた第1リンク及び第2リンクのそれぞれを通じて個別に行われてよい。
【0332】
この場合、第1バックオフカウンタ及び前記第2バックオフカウンタのうち一つのバックオフカウンタが残りのバックオフカウンタよりも先に「0」に到達した場合に、前記第1リンク及び前記第2リンクのうち、前記一つのバックオフカウンタを用いる特定リンクは、前記上りリンク送信を行わず、前記一つのバックオフカウンタは、前記残りのバックオフカウンタが「0」の値に到達するまで「0」の値が維持されてよい。又は、前記一つのバックオフカウンタは、前記残りのバックオフカウンタが「0」の値に到達した後にも「0」の値を維持し続けることができ。
【0333】
前記第1バックオフカウンタ及び前記第2バックオフカウンタのうち前記一つのバックオフカウンタが前記残りのバックオフカウンタよりも先に「0」に到達した場合に、前記残りのバックオフカウンタが「0」に到達した時に、前記第1リンクの前記第1スロットと前記第2リンクの前記第2バックオフカウンタが「0」であるスロットの次のスロットである第2スロットのスロット境界が一致しないと、前記第2リンクで前記上りリンク送信の送信時点は、前記第1スロットの前記スロット境界から前記一定時間内に含まれるように前記第2スロットのスロット境界の以前又は以後に調節されてよい。
【0334】
このとき、前記第1スロットの前記スロット境界に比べて前記第2スロットの前記スロット境界が時間軸上でより前に位置するか、より後に位置する場合に、前記第2リンクの前記送信時点は、前記第1スロットの前記スロット境界から特定時間の間に遅延又は短縮されてよい。
【0335】
このとき、前記一定時間の最大値は4usであり、4usは、チャネル接続手順において前記上りリンク送信を行うための変更時間を意味できる。
【0336】
また、non-AP MLDは、前記第2リンクの前記送信時点以前までチャネルセンシングを行うことができ、この時、第2リンクの前記送信時点は、前記第2リンクの前記第2スロットの前記スロット境界と一致しないことがある。
【0337】
このとき、前記上りリンク送信は、前記第1バックオフカウンタ及び前記第2バックオフカウンタが「0」に到達したスロットの次のスロットで行われてよく、第1リンクと前記第2リンクは同時送受信(Simultaneous Transmit and Receive:STR)を支援しないNSTRリンク対(link pair)であってよい。
【0338】
また、non-AP MLDは、前記第1リンク及び前記第2リンクでチャネルが遊休であるか否かを判断するためのセンシングを行うことができ、前記第1バックオフカウンタ及び前記第2バックオフカウンタはそれぞれ、前記第1リンク及び前記第2リンクが遊休状態である場合に減少する。
【0339】
前述した本発明の説明は例示のためのものであり、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明の技術的思想や必須の特徴を変更することなく他の具体的な形態に容易に変形可能であるということが理解できよう。したがって、以上に述べた実施例は、いかなる面においても例示的なもので、限定的でないものと理解しなければならない。例えば、単一型として説明されている各構成要素は分散して実施されてもよく、同様に、分散していると説明されている構成要素も結合した形態で実施されてよい。
【0340】
本発明の範囲は、上記の詳細な説明よりは、後述する特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味及び範囲とその均等概念から導出されるあらゆる変更又は変形された形態が本発明の範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0341】
100 ステーション
110 プロセッサ
120 通信部
140 ユーザインタフェース部
150 ディスプレーユニット150
160 メモリ
200 AP
210 プロセッサ
220 通信部
260 メモリ