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特許7560915インレイ基板の製造方法、インレイ基板、及び、部品実装基板
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-25
(45)【発行日】2024-10-03
(54)【発明の名称】インレイ基板の製造方法、インレイ基板、及び、部品実装基板
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/02 20060101AFI20240926BHJP
   H05K 3/38 20060101ALI20240926BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
H05K1/02 F
H05K3/38 D
H05K7/20 C
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2024088452
(22)【出願日】2024-05-30
【審査請求日】2024-05-31
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】511291979
【氏名又は名称】株式会社日本フューテック
(74)【代理人】
【識別番号】100157428
【弁理士】
【氏名又は名称】大池 聞平
(72)【発明者】
【氏名】浦川 信夫
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-205995(JP,A)
【文献】特開2016-219562(JP,A)
【文献】国際公開第2005/083807(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/00 - 1/02
H05K 7/20
H02G 3/08 - 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
裏面側に複数の電極が配列された発熱部品が実装されるインレイ基板の製造方法であって、
基板本体の貫通孔にインレイを圧入する圧入工程と、
前記圧入工程後に、前記発熱部品が実装される前記基板本体の表側において、前記インレイの外周部に形成される溝部を、穴埋め材料により埋める溝埋め工程と、
前記溝埋め工程後に、前記インレイを覆う導体層を前記基板本体の表側に形成する実装領域形成工程とを行う、インレイ基板の製造方法。
【請求項2】
前記実装領域形成工程では、前記導体層の形成後に、前記導体層を露出させる複数の開口を有するレジストを前記導体層の表側に形成する、請求項1に記載のインレイ基板の製造方法。
【請求項3】
前記穴埋め材料として、耐熱性のインキが用いられる、請求項1又は2に記載のインレイ基板の製造方法。
【請求項4】
前記溝埋め工程では、前記基板本体の表側と裏側のうち表側の前記溝部だけを、前記穴埋め材料により埋める、請求項1又は2に記載のインレイ基板の製造方法。
【請求項5】
前記溝埋め工程では、前記穴埋め材料により前記溝部を埋めて、前記穴埋め材料が固化した後に、前記穴埋め材料の研磨により前記溝部の箇所を平坦化する、請求項1又は2に記載のインレイ基板の製造方法。
【請求項6】
裏面側に複数の電極が配列された発熱部品が実装されるインレイ基板であって、
貫通孔が形成された基板本体と、
前記貫通孔に嵌め合わされたインレイと、
前記発熱部品が実装される前記基板本体の表側において、前記インレイの外周部に形成された溝部内にて固化した状態の穴埋め材料と、
前記基板本体の表側において前記インレイを覆う導体層とを備えている、インレイ基板。
【請求項7】
請求項6に記載されたインレイ基板を備えた部品実装基板であって、
前記インレイ基板は、前記導体層の表側に積層された層であって、前記導体層を露出させる複数の開口を有するレジストをさらに備え、
当該部品実装基板は、
前記インレイ基板と、
裏面側に配列された複数の電極を有し、前記複数の電極が前記複数の開口において前記導体層に接続されるように実装された発熱部品と、
前記インレイの裏面に当接して、前記インレイから伝達される熱を逃がす放熱用部材とを備えている、部品実装基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インレイ基板の製造方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス(半導体パッケージなど)等の発熱部品からの放熱量を高めるために、インレイ基板が用いられている。インレイ基板では、発熱部品の直下の貫通孔に、高熱伝導材料(インレイ)が挿入されている。これにより、発熱部品で発生する熱がインレイを介してヒートシンク等から放出される。
【0003】
例えば、特許文献1には、放熱材料の表面の一部又は全部が接着用組成物で被覆されたインレイ基板が記載されている。このインレイ基板の製造では、放熱材料の側面が放熱材料接着用組成物によって被覆された接着剤付放熱材料を製造した後、接着剤付放熱材料が基板の穴に挿入される。
【0004】
また裏面側に複数の電極が配列された発熱部品が知られている。この種の発熱部品として、BGA(Ball Grid Array)パッケージ等がある(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6716560号公報
【文献】特許第7223170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、本願出願人は、インレイ基板に対し、裏面側に複数の電極が配列された発熱部品(例えばBGAパッケージ)の実装を行ったところ、基板本体の貫通孔に圧入したインレイの外周部にできる溝部(図3B参照)によって、発熱部品の実装品質が低下する虞があることに気が付いた。
【0007】
BGAパッケージを実装する場合を例にして説明すると、従来のインレイ基板は、インレイの外周部に溝部ができるため、溝部に重なる位置の電極パッドに、溝部による窪みができる。この状態で、BGAパッケージが載置されたインレイ基板をリフロー装置などで加熱すると、BGAパッケージの裏面の半田ボールのうち、窪みができた電極パッドに接触する半田ボールは、溶解して窪みに沿って流れる。そのため、この半田ボールが固化した時の形状は、他の半田ボールとは異なり、きれいに潰れた形状とはならない。BGAパッケージの複数の半田ボールでは、半田ボールの潰れ形状が均一にならない。この場合、BGAパッケージが傾く虞などがあり、実装品質上の問題となり得る。
【0008】
またBGAパッケージを実装する場合とは異なり、インレイを覆う導体層の表側にレジストを積層しない場合でも、インレイの外周部の溝部により、導体層にも溝部ができるため、発熱部品の実装に用いる半田が、意図せずに導体層の溝部に流れ込む虞があり、実装品質上の問題となり得る。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、裏面側に複数の電極が配列された発熱部品をインレイ基板に実装する場合における実装品質を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の課題を解決するべく、第1の発明は、裏面側に複数の電極が配列された発熱部品が実装されるインレイ基板の製造方法であって、基板本体の貫通孔にインレイを圧入する圧入工程と、圧入工程後に、発熱部品が実装される基板本体の表側において、インレイの外周部に形成される溝部を、穴埋め材料により埋める溝埋め工程と、溝埋め工程後に、インレイを覆う導体層を基板本体の表側に形成する実装領域形成工程とを行う、インレイ基板の製造方法である。
【0011】
第2の発明は、第1の発明において、実装領域形成工程では、導体層の形成後に、導体層を露出させる複数の開口を有するレジストを導体層の表側に形成する。
【0012】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、穴埋め材料として、耐熱性のインキが用いられる。
【0013】
第4の発明は、第1又は第2の発明において、溝埋め工程では、基板本体の表側と裏側のうち表側の溝部だけを、穴埋め材料により埋める。
【0014】
第5の発明は、第1又は第2の発明において、溝埋め工程では、穴埋め材料により溝部を埋めて、穴埋め材料が固化した後に、穴埋め材料の研磨により溝部の箇所を平坦化する。
【0015】
第6の発明は、裏面側に複数の電極が配列された発熱部品が実装されるインレイ基板であって、貫通孔が形成された基板本体と、貫通孔に嵌め合わされたインレイと、発熱部品が実装される基板本体の表側において、インレイの外周部に形成された溝部内にて固化した状態の穴埋め材料と、基板本体の表側においてインレイを覆う導体層とを備えている、インレイ基板である。
【0016】
第7の発明は、第6の発明のインレイ基板を備えた部品実装基板であって、インレイ基板は、導体層の表側に積層された層であって、導体層を露出させる複数の開口を有するレジストをさらに備え、当該部品実装基板は、インレイ基板と、裏面側に配列された複数の電極を有し、複数の電極が複数の開口において導体層に接続されるように実装された発熱部品と、インレイの裏面に当接して、インレイから伝達される熱を逃がす放熱用部材とを備えている。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、インレイの外周部に形成される溝部が穴埋め材料により埋められた後に、インレイを覆う導体層が形成される。そのため、インレイの外周部の溝部により、導体層にも溝部ができることを抑制可能であり、さらに導体層の溝部に起因する発熱部品の実装品質の低下も抑制可能である。本発明によれば、裏面側に複数の電極が配列された発熱部品をインレイ基板に実装する場合における実装品質を向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1Aは、実施形態に係るインレイ基板の斜視図であり、図1Bは、レジストを省略したインレイ基板の斜視図であり、図1Cは、レジスト及び導体層を省略したインレイ基板の斜視図である。
図2図2Aは、図1AのA-A切断線における断面図であり、図2Bは、部品実装基板の断面図である。
図3図3Aは、実施形態に係るインレイ基板の製造方法における圧入工程時の基板本体等の断面図であり、図3Bは、圧入工程後の基板本体等の断面図であり、図3Cは、溝埋め工程において穴埋め材料により溝部が埋められた基板本体等の断面図であり、図3Dは、溝埋め工程において溝部の箇所が平坦化された基板本体等の断面図である。
図4図4Aは、実装領域形成工程において導体層が形成された基板本体等の断面図であり、図4Bは、実装領域形成工程においてレジストを形成する際の露光時の基板本体等の断面図であり、図4Cは、半導体パッケージを実装する際のインレイ基板の断面図である。
図5図5Aは、実施形態の第1変形例に係る発熱部品及びインレイ基板の斜視図であり、図5Bは、図5AのB-B切断線における断面図である。図5Cは、図5Aのインレイ基板が実装された部品実装基板の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の一例であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0020】
[インレイ基板の構成]
本実施形態は、本発明に係るインレイ基板10、及び、インレイ基板10の製造方法である。インレイ基板10は、裏面側に複数の電極(図示省略)が格子状などに配列された半導体デバイス1(例えばBGAパッケージ、LGA(Land Grid Array)パッケージ)が実装されるプリント基板である。半導体デバイス1は発熱部品の一例である。本実施形態又は変形例の説明に用いる図面の各図は、インレイ基板10又は基板本体11の一部(インレイ12を含む部分)を表す。
【0021】
インレイ基板10は、図1A図1Cに示すように、貫通孔(スルーホール)11aが形成された基板本体11と、他の部材を介することなく貫通孔11aに嵌め合わされたインレイ12と、基板本体11の表側においてインレイ12を覆う導体層13と、導体層13の表側に積層されたレジスト14とを備えている。
【0022】
基板本体11は、平板状に形成されている。基板本体11には、ガラエポキシ基板などを用いることができる。基板本体11では、半導体デバイス1が実装される領域(以下「実装領域」という。)に、円形の貫通孔11aが形成されている。本実施形態では、貫通孔11aが、実装領域内に収まるように形成されているが、実装領域からはみ出すように形成してもよい。
【0023】
インレイ12は、発熱部品であるパワー半導体デバイス1の直下に圧入される部品である。インレイ12は、円形の平板状(コイン状)に形成されている。インレイ12には、高熱伝導性の材料(金属など)が用いられる。インレイ12は、例えば銅インレイである。インレイ12の平面形状は、貫通孔11aの平面形状と相似形であり、貫通孔11aとほぼ同じ大きさである。インレイ12の厚みは、貫通孔11aの高さとほぼ同じである。なお、貫通孔11a及びインレイ12の平面形状は、円形に限定されない。
【0024】
導体層13は、インレイ基板10の表側に積層された導体により構成されている。導体層13は、メッキ(例えば銅メッキ)により構成されている。本実施形態では、導体層13の平面形状が、例えば長方形である。導体層13は、インレイ12の表側の全面、及び、基板本体11の表側におけるインレイ12の外周部付近を覆う。導体層13は、インレイ12の外周部に重なる。
【0025】
レジスト14は、導体層13を露出させる複数の開口14aを有する。レジスト14は、複数の開口14aを通じて露出する部位を除く導体層13の全面を覆う。レジスト14では、複数の開口14aが、半導体デバイス1の裏面における複数の電極の配列に対応した配列で形成されている。本実施形態では、複数の開口14が格子状に配列されている。各開口14aの平面形状は円形である。但し、開口14aの平面形状は円形に限定されない。開口14aの面積は、貫通孔11aに比べて大幅に小さい。導体層13のうち各開口14aから露出する部分は、電極パッド13aを構成する。
【0026】
インレイ基板10では、インレイ12の外周部に環状の溝部15が形成されている(図1C及び図3B参照)。溝部15は、基板本体11の表側と裏側のそれぞれに形成されている。溝部15の側方は、貫通孔11aの孔面(筒状面)とインレイ12の側面とによって仕切られている。本実施形態では、インレイ基板10が、図2Aに示すように、溝部15内にて固化した状態の穴埋め材料16をさらに備えている。穴埋め材料16は、半導体デバイス1が実装される基板本体11の表側(外側)が、平坦化されている。導体層13に覆われた領域(インレイ12の表側面、穴埋め材料16の表側面、及び、基板本体11の表側面のうちインレイ12の外周部付近)は略面一となっている。これにより、導体層13の表側面も略面一となっている。
【0027】
なお、本実施形態では、基板本体11の表側と裏側のうち表側の溝部15だけが穴埋め材料16により埋められているが、裏側の溝部15も穴埋め材料16により埋めてもよい。その場合に、裏側の溝部15内にて固化した状態の穴埋め材料16の裏側面(外面)を平坦化してもよい。
【0028】
穴埋め材料16は、流動性の材料が固化したものである。穴埋め材料16は、インレイ12が高温になるため、耐熱性を有することが好ましい。穴埋め材料16の材料には、樹脂材料を用いることができる。具体例として、穴埋め材料16の材料には耐熱性のインキ(例えば穴埋めインキ)を用いることができる。耐熱性のインキとしては、液性熱硬化型のインキ(例えば太陽インキ製造株式会社製 熱硬化型(一液性)永久穴埋めインキTHP-100 DX1)を用いることができる。なお穴埋め材料16は、絶縁材料のみで構成してもよいし、導電材料を含んでいてもよい。
【0029】
[部品実装基板の構成]
続いて、インレイ基板10を具備する部品実装基板20について説明を行う。部品実装基板20は、図2Bに示すように、インレイ基板10の表側に実装された半導体デバイス1と、インレイ12の裏面に当接する放熱用部材22とを備えている。
【0030】
半導体デバイス1は、裏面に複数の電極が格子状に配列されたデバイスである。本実施形態では、半導体デバイス1が、BGAパッケージ1である。BGAパッケージ1の裏面の各電極には、インレイ基板10の電極パッド13aへの半田付けを容易にするために、半田ボール2が取り付けられている(図4C参照)。ここで、インレイ基板10への実装前は、半田ボール2は球状であり、BGAパッケージ1の裏面では、互いに同じ大きさ複数の半田ボール2が格子状に配列されている。図2Bに示す実装状態では、BGAパッケージ1は、裏面の各電極が半田ボール2を介して電極パッド13aに接続されるように、実装されている。各電極パッド13aに接触する半田ボール2は、もとの球状から潰れた形状を呈する。
【0031】
放熱用部材22は、インレイ12の裏面に当接するように、インレイ基板10に固定されている、又は、部品実装基板20の背面側に配置された別の部材に固定されている。そのため、部品実装基板20に振動が作用しても、インレイ12が脱落しない。放熱用部材22は、例えば金属製のヒートシンクである。本実施形態では、放熱用部材22が、熱伝導性の接着層(例えば接着シート)を介して、基板本体11の裏面に固定されている。放熱用部材22は、インレイ12と熱的に接続され、インレイ12から伝達される熱を逃がす役割を果たす。なお放熱用部材22は、ヒートシンク以外のものであってもよい。
【0032】
[インレイ基板の製造方法]
続いて図3図4を参照しながらインレイ基板10の製造方法について説明を行う。インレイ基板10の製造方法は、圧入工程、溝埋め工程、及び、実装領域形成工程をこの順番で行うものである。
【0033】
圧入工程は、図3Aに示すように、基板本体11の貫通孔11aにインレイ12を圧入する工程である。インレイ12の圧入後は、図3Bに示すように、インレイ12の表側面が基板本体11の表側面と面一となり、インレイ12の裏側面が基板本体11の裏側面と面一となる。基板本体11の表側と裏側のそれぞれには環状の溝部15が形成される。
【0034】
溝埋め工程では、圧入工程後に、基板本体11の表側の溝部15を、穴埋め材料16によって埋める工程である。溝埋め工程では、穴埋め材料16により溝部15を埋めて、穴埋め材料16が固化した後に、穴埋め材料16の研磨により溝部15の箇所を平坦化することも行われる。
【0035】
具体的に、溝埋め工程では、まずインキの塗布装置(印刷装置など)を用いて、表側の溝部15に流動性の穴埋め材料16が充填される。穴埋め材料16としては、耐熱性のインキが用いられる。穴埋め材料16は、図3Cに示すように、溝部15から膨出する状態で固化する。そして、穴埋め材料16の研磨により、基板本体11における溝部15の箇所を平坦化する。溝部15には、図3Dに示すように、固化した穴埋め材料16が残る。
【0036】
実装領域形成工程では、導体層(銅メッキなど)13の形成と、レジスト14の形成とがこの順番で行われる。導体層13の形成では、図4Aに示すように、インレイ12の表側及びインレイ12の外周部の近傍を覆う導体層13が形成される。レジスト14の形成では、写真法又はスクリーン印刷法などにより、レジスト14が形成される。写真法の場合、図4Bに示すように、レジスト材料14’により覆われた基板本体11の表側に対し、複数の開口14aに対応する光遮蔽部18aを有するマスク18を介して、レジスト材料14’を硬化させる光(紫外光など)を照射する。そして、未硬化のレジスト材料14’を洗浄することで、複数の開口14aを有するレジスト14が形成される(図2A参照)。基板本体11の表側には、半導体デバイス1の実装領域が形成される。以上の工程により、インレイ基板10が完成する。
【0037】
続いて、部品実装基板20の製造方法について説明を行う。以下では、BGAパッケージ1を実装する場合を例にして説明を行う。
【0038】
BGAパッケージ1の実装では、各電極パッド13aに対し半田ペースト(クリーム半田)が印刷される。続いて、BGAパッケージ1の各半田ボール2が、対応する電極パッド13aに接触するように、BGAパッケージ1がインレイ基板10に載置される。そして、BGAパッケージ1が載置されたインレイ基板10がリフロー装置にて加熱されると、半田ボール2及び半田ペーストが溶解し、加熱終了後に半田ボール2及び半田ペーストが固化することで、BGAパッケージ1がインレイ基板10に固定される。またBGAパッケージ1の裏側には、接着シートなどを用いて、放熱用部材22が固定される(図2(B)参照)。
【0039】
[本実施形態の効果等について]
本実施形態では、インレイ12の外周部に形成される溝部15が穴埋め材料16により埋められた後に、インレイ12を覆う導体層13、及び、導体層13を露出させる複数の開口14aを有するレジスト14が形成される。そのため、溝部15による窪みが、溝部15に重なる位置の電極パッド13aにできることが抑制され、さらに溝部15による窪みに起因して、半田ボール2の潰れ形状が均一にならないことも抑制される。特に、本実施形態では、穴埋め材料16の研磨により溝部15の箇所を平坦化するため、半田ボール2の潰れ形状がより均一化される。本実施形態によれば、裏面に複数の電極が配列された半導体デバイス1をインレイ基板10に実装する場合における実装品質を向上させることができる。なお、穴埋め材料16の研磨を省略してもよい。この場合も、溝埋め工程を実施しない場合に比べて、半田ボール2の潰れ形状が均一化される。
【0040】
[実施形態の第1変形例]
本変形例では、発熱部品が、チップLED6である。図5Aに示すように、チップLED6では、側方に突出する一対の突出部の裏面に電極7が設けられている。
【0041】
一方、インレイ基板10は、図5Bに示すように、貫通孔11aが形成された基板本体11と、貫通孔11aに嵌め合わされたインレイ12と、チップLED(発熱部品)6が実装される基板本体11の表側において、インレイ12の外周部に形成された溝部15内にて固化した状態の穴埋め材料16と、基板本体11の表側においてインレイ12を覆う導体層13とを備えている。本変形例では、導体層(銅メッキ)13が、レジスト14で被覆されておらず、導体層13の表側の全面が露出している。基板本体11の表側では、インレイ12の設置箇所を挟むように、チップLED6の一対の電極7を接続するための一対の電極パッド8が設けられている。また部品実装基板20は、図5Cに示すように、インレイ基板10の表側においてインレイ12の直上に実装されたチップLED6と、インレイ12の裏面に当接する放熱用部材22とを備えている。
【0042】
インレイ基板10の製造方法は、上述の実施形態と同様に、圧入工程、溝埋め工程、及び、実装領域形成工程をこの順番で行うものであるが、実装領域形成工程では、レジスト14の形成は行われない。
【0043】
本変形例では、穴埋め材料16を設けているため、インレイ12の外周部の溝部15により、導体層13に溝部ができることが抑制される。ここで、穴埋め材料16を設けない場合、電極パッド8に対しチップLED6の電極7を半田付けする際に、半田が導体層13の溝部に流入し、短絡などの不具合が生じる虞がある。それに対し、本変形例では、導体層13に溝部ができることが抑制されるため、導体層13の溝部に起因するチップLED6の実装品質の低下も抑制可能である。
【0044】
[その他の実施形態]
上述の実施形態において、半導体デバイス1は、LGA(Land Grid Array)パッケージであってもよい。この場合も、溝埋め工程によって窪んだ電極パッド13aができることが抑制されることにより、実装品質を向上させることができる。
【0045】
上述の実施形態では、インレイ基板10が片面基板であるが、インレイ基板10は、両面基板、2層基板、多層基板又はビルドアップ基板などであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、インレイ基板の製造方法等に適用可能である。
【符号の説明】
【0047】
1 半導体デバイス(発熱部品)
6 チップLED(発熱部品)
10 インレイ基板
11 基板本体
11a 貫通孔
12 インレイ
13 導体層
14 レジスト
14a 開口
15 溝部
16 穴埋め材料
20 部品実装基板
【要約】
【課題】裏面側に複数の電極が配列された発熱部品をインレイ基板に実装する場合における実装品質を向上させる。
【解決手段】裏面側に複数の電極が配列された発熱部品1が実装されるインレイ基板10の製造方法は、基板本体11の貫通孔11aにインレイ12を圧入する圧入工程と、圧入工程後に発熱部品1が実装される基板本体11の表側においてインレイ12の外周部に形成される溝部15を穴埋め材料16により埋める溝埋め工程と、溝埋め工程後にインレイ12を覆う導体層13を基板本体11の表側に形成する実装領域形成工程とを行う。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5