(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-25
(45)【発行日】2024-10-03
(54)【発明の名称】頭位変化解析システム
(51)【国際特許分類】
A61B 3/113 20060101AFI20240926BHJP
A61B 5/11 20060101ALI20240926BHJP
A61B 10/00 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
A61B3/113
A61B5/11
A61B10/00 W
(21)【出願番号】P 2024125961
(22)【出願日】2024-08-01
【審査請求日】2024-08-02
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521342670
【氏名又は名称】株式会社Parafeed
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【氏名又は名称】右田 俊介
(74)【代理人】
【識別番号】100217984
【氏名又は名称】川條 英明
(72)【発明者】
【氏名】堀 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】小湊 啓爾
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 浩介
(72)【発明者】
【氏名】神原 雄輝
【審査官】増渕 俊仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2024-039250(JP,A)
【文献】国際公開第2022/138767(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/175957(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第112515626(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 3/00-3/18
A61B 5/06-5/22
A61B 10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の頭位を所定の時間間隔で計測する計測手段と、
前記計測手段が生成した計測データを解析して頭位の角速度の変化を表す波形データを生成
し、前記被験者の頭位の角速度が第一閾値を超える第一タイミングを含む対象期間内に生成された前記計測データに基づいて生成された前記波形データが有効であるか否かを判別する解析手段と、
を備え、
前記解析手段は、
前記第一タイミングを始点とし、前記被験者の頭位の角速度が第二閾値を下回る第二タイミングを終点とする第三期間に生成された前記計測データの点数が第三閾値以上であるとき、前記波形データを有効とし、
前記第三期間に生成された前記計測データの点数が前記第三閾値を下回るとき、前記波形データを有効ではないとする、
ことを特徴とする頭位変化解析システム。
【請求項2】
被験者の頭位を所定の時間間隔で計測する計測手段と、
前記計測手段が生成した計測データを解析して頭位の角速度の変化を表す波形データを生成
し、前記被験者の頭位の角速度が第一閾値を超える第一タイミングを含む対象期間内に生成された前記計測データに基づいて生成された前記波形データが有効であるか否かを判別する解析手段と、
を備え、
前記解析手段は、
前記第一タイミングを始点とし、前記被験者の頭位の角速度が第二閾値を下回る第二タイミングを終点とする第三期間の時間長さが第四閾値以下であるとき、前記波形データを有効とし、
前記第三期間の時間長さが前記第四閾値を上回るとき、前記波形データを有効ではないとする、
ことを特徴とする頭位変化解析システム。
【請求項3】
被験者の頭位を所定の時間間隔で計測する計測手段と、
前記計測手段が生成した計測データを解析して頭位の角速度の変化を表す波形データを生成
し、前記被験者の頭位の角速度が第一閾値を超える第一タイミングを含む対象期間内に生成された前記計測データに基づいて生成された前記波形データが有効であるか否かを判別する解析手段と、
を備え、
前記対象期間は、前記第一タイミングより前の第一期間と、前記第一タイミングより後の第二期間と、を含み、
前記解析手段は、
前記第一期間の最初を始点とし前記第一タイミングより前を終点とする第四期間に生成された前記計測データから解析される前記被験者の頭位の角速度の全てが前記第一閾値以下であるとき、前記波形データを有効とし、
前記第四期間に生成された前記計測データから解析される前記被験者の頭位の角速度の中に前記第一閾値を超えるものが含まれるとき、前記波形データを有効ではないとする、
ことを特徴とする頭位変化解析システム。
【請求項4】
被験者の頭位を所定の時間間隔で計測する計測手段と、
前記計測手段が生成した計測データを解析して頭位の角速度の変化を表す波形データを生成
し、前記被験者の頭位の角速度が第一閾値を超える第一タイミングを含む対象期間内に生成された前記計測データに基づいて生成された前記波形データが有効であるか否かを判別する解析手段と、
を備え、
前記対象期間は、前記第一タイミングより前の第一期間と、前記第一タイミングより後の第二期間と、を含み、
前記解析手段は、
前記第一タイミングより後を始点とする前記第二期間の最後を終点とする第五期間に生成された前記計測データから解析される前記被験者の頭位の角速度の全てが前記第一閾値以下であるとき、前記波形データを有効とし、
前記第五期間に生成された前記計測データから解析される前記被験者の頭位の角速度の中に前記第一閾値を超えるものが含まれるとき、前記波形データを有効ではないとする、
ことを特徴とする頭位変化解析システム。
【請求項5】
被験者の頭位を所定の時間間隔で計測する計測手段と、
前記計測手段が生成した計測データを解析して頭位の角速度の変化を表す波形データを生成
し、前記被験者の頭位の角速度が第一閾値を超える第一タイミングを含む対象期間内に生成された前記計測データに基づいて生成された前記波形データが有効であるか否かを判別する解析手段と、
を備え、
前記解析手段は、
前記対象期間に生成された前記計測データから解析される前記被験者の頭位の角度の全てが、前記第一タイミングで生成された前記計測データから解析される前記被験者の頭位の角度以上であるとき、前記波形データを有効とし、
前記対象期間に生成された前記計測データから解析される前記被験者の頭位の角度の中に、前記第一タイミングで生成された前記計測データから解析される前記被験者の頭位の角度を下回るものが含まれるとき、前記波形データを有効ではないとする、
ことを特徴とする頭位変化解析システム。
【請求項6】
被験者の頭位を所定の時間間隔で計測する計測手段と、
前記計測手段が生成した計測データを解析して頭位の角速度の変化を表す波形データを生成
し、前記被験者の頭位の角速度が第一閾値を超える第一タイミングを含む対象期間内に生成された前記計測データに基づいて生成された前記波形データが有効であるか否かを判別する解析手段と、
を備え、
前記解析手段は、
前記対象期間に生成された前記計測データから解析される前記被験者の頭位の角度の全てが指定した範囲内であるとき、前記波形データを有効とし、
前記対象期間に生成された前記計測データから解析される前記被験者の頭位の角度の中に指定した範囲外のものが含まれるとき、前記波形データを有効ではないとする、
ことを特徴とする頭位変化解析システム。
【請求項7】
被験者の頭位を所定の時間間隔で計測する計測手段と、
前記計測手段が生成した計測データを解析して頭位の角速度の変化を表す波形データを生成
し、前記被験者の頭位の角速度が第一閾値を超える第一タイミングを含む対象期間内に生成された前記計測データに基づいて生成された前記波形データが有効であるか否かを判別する解析手段と、
を備え、
前記解析手段は、
前記被験者の頭位の角速度が最大となる第三タイミングと、前記第三タイミングを基準として手前側の前記計測データを順番に参照して最初に前記被験者の頭位の角速度が第四閾値を下回る第四タイミングと、前記第三タイミングを基準として後側の前記計測データを順番に参照して最初に前記被験者の頭位の角速度が第五閾値を下回る第五タイミングと、を前記対象期間から検出し、
前記第四タイミングから前記第五タイミングまでに生成された前記計測データのそれぞれについて、前後の傾きの積が負となる極値データを検出し、
前の傾きが正であり後の傾きが負である前記極値データが前記第三タイミングにおける前記計測データのみであるとき、前記波形データを有効とし、
前の傾きが正であり後の傾きが負である前記極値データが前記第三タイミングにおける前記計測データ以外に存在するとき、前記波形データを有効ではないとする、
ことを特徴とする頭位変化解析システム。
【請求項8】
前記解析手段は、
前の傾きが負であり後の傾きが正である前記極値データが複数であるとき、前記波形データを有効ではないとする、
請求項7に記載の頭位変化解析システム。
【請求項9】
前記解析手段は、
前の傾きが負であり後の傾きが正である前記極値データが一つであるとき、
当該極値データの前後の傾きのうち大きい方に所定値を乗じた値が小さい方より大きいとき、前記波形データを有効とし、当該極値データの前後の傾きのうち大きい方に所定値を乗じた値が小さい方以下であるとき、前記波形データを有効ではないとする、または、
当該極値データの前後の傾きのうち大きい方を小さい方で除した値が所定値より大きいとき、前記波形データを有効とし、当該極値データの前後の傾きのうち大きい方を小さい方で除した値が所定値以下であるとき、前記波形データを有効ではないとする、
請求項7に記載の頭位変化解析システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭位変化解析システムに関する。
【背景技術】
【0002】
めまいに関する検査の一つとして、ビデオヘッドインパルス検査(vHIT:Video Head Impulse Test)が知られる。
ここでビデオヘッドインパルス検査とは、検査用ゴーグル(視線の位置や頭位を計測する機器を搭載したゴーグル)を被験者に装着させ、医師等が被検者の頭を急速に動かした際の眼球の動きを計測・解析することで、めまい発生原因の一つである左右の三半規管の疾患有無を測定する検査である。
【0003】
特許文献1には、仮想現実の映像を表示可能なヘッドマウントディスプレイを利用した平衡訓練を支援する装置に係る発明が開示されている。当該発明は、視覚起因性のめまいを誘発させる仮想現実の映像をヘッドマウントディスプレイに再生し、その再生速度を制御することによってユーザのめまいを誘発させることができる。
また、特許文献1は、上述したビデオヘッドインパルス検査について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ビデオヘッドインパルス検査を実施する場合、医療従事者は、被験者の頭位を何度も急速に動かす必要があるが、全ての動きが適切であるとは限らず、頭位を適切に動かせない場合には検査に必要な計測データを得ることができない。
【0006】
本発明は、上記のような課題を鑑み、被験者の頭位が適切に動作しているか否かを解析する頭位変化解析システムを提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、被験者の頭位を所定の時間間隔で計測する計測手段と、前記計測手段が生成した計測データを解析して頭位の角速度の変化を表す波形データを生成し、前記被験者の頭位の角速度が第一閾値を超える第一タイミングを含む対象期間内に生成された前記計測データに基づいて生成された前記波形データが有効であるか否かを判別する解析手段と、を備え、前記解析手段は、前記第一タイミングを始点とし、前記被験者の頭位の角速度が第二閾値を下回る第二タイミングを終点とする第三期間に生成された前記計測データの点数が第三閾値以上であるとき、前記波形データを有効とし、前記第三期間に生成された前記計測データの点数が前記第三閾値を下回るとき、前記波形データを有効ではないとする、ことを特徴とする頭位変化解析システムが提供される。
また、本発明によれば、被験者の頭位を所定の時間間隔で計測する計測手段と、前記計測手段が生成した計測データを解析して頭位の角速度の変化を表す波形データを生成し、前記被験者の頭位の角速度が第一閾値を超える第一タイミングを含む対象期間内に生成された前記計測データに基づいて生成された前記波形データが有効であるか否かを判別する解析手段と、を備え、前記解析手段は、前記第一タイミングを始点とし、前記被験者の頭位の角速度が第二閾値を下回る第二タイミングを終点とする第三期間の時間長さが第四閾値以下であるとき、前記波形データを有効とし、前記第三期間の時間長さが前記第四閾値を上回るとき、前記波形データを有効ではないとする、ことを特徴とする頭位変化解析システムが提供される。
また、本発明によれば、被験者の頭位を所定の時間間隔で計測する計測手段と、前記計測手段が生成した計測データを解析して頭位の角速度の変化を表す波形データを生成し、前記被験者の頭位の角速度が第一閾値を超える第一タイミングを含む対象期間内に生成された前記計測データに基づいて生成された前記波形データが有効であるか否かを判別する解析手段と、を備え、前記対象期間は、前記第一タイミングより前の第一期間と、前記第一タイミングより後の第二期間と、を含み、前記解析手段は、前記第一期間の最初を始点とし前記第一タイミングより前を終点とする第四期間に生成された前記計測データから解析される前記被験者の頭位の角速度の全てが前記第一閾値以下であるとき、前記波形データを有効とし、前記第四期間に生成された前記計測データから解析される前記被験者の頭位の角速度の中に前記第一閾値を超えるものが含まれるとき、前記波形データを有効ではないとする、ことを特徴とする頭位変化解析システムが提供される。
また、本発明によれば、被験者の頭位を所定の時間間隔で計測する計測手段と、前記計測手段が生成した計測データを解析して頭位の角速度の変化を表す波形データを生成し、前記被験者の頭位の角速度が第一閾値を超える第一タイミングを含む対象期間内に生成された前記計測データに基づいて生成された前記波形データが有効であるか否かを判別する解析手段と、を備え、前記対象期間は、前記第一タイミングより前の第一期間と、前記第一タイミングより後の第二期間と、を含み、前記解析手段は、前記第一タイミングより後を始点とする前記第二期間の最後を終点とする第五期間に生成された前記計測データから解析される前記被験者の頭位の角速度の全てが前記第一閾値以下であるとき、前記波形データを有効とし、前記第五期間に生成された前記計測データから解析される前記被験者の頭位の角速度の中に前記第一閾値を超えるものが含まれるとき、前記波形データを有効ではないとする、ことを特徴とする頭位変化解析システムが提供される。
また、本発明によれば、被験者の頭位を所定の時間間隔で計測する計測手段と、前記計測手段が生成した計測データを解析して頭位の角速度の変化を表す波形データを生成し、前記被験者の頭位の角速度が第一閾値を超える第一タイミングを含む対象期間内に生成された前記計測データに基づいて生成された前記波形データが有効であるか否かを判別する解析手段と、を備え、前記解析手段は、前記対象期間に生成された前記計測データから解析される前記被験者の頭位の角度の全てが、前記第一タイミングで生成された前記計測データから解析される前記被験者の頭位の角度以上であるとき、前記波形データを有効とし、前記対象期間に生成された前記計測データから解析される前記被験者の頭位の角度の中に、前記第一タイミングで生成された前記計測データから解析される前記被験者の頭位の角度を下回るものが含まれるとき、前記波形データを有効ではないとする、ことを特徴とする頭位変化解析システムが提供される。
また、本発明によれば、被験者の頭位を所定の時間間隔で計測する計測手段と、前記計測手段が生成した計測データを解析して頭位の角速度の変化を表す波形データを生成し、前記被験者の頭位の角速度が第一閾値を超える第一タイミングを含む対象期間内に生成された前記計測データに基づいて生成された前記波形データが有効であるか否かを判別する解析手段と、を備え、前記解析手段は、前記対象期間に生成された前記計測データから解析される前記被験者の頭位の角度の全てが指定した範囲内であるとき、前記波形データを有効とし、前記対象期間に生成された前記計測データから解析される前記被験者の頭位の角度の中に指定した範囲外のものが含まれるとき、前記波形データを有効ではないとする、ことを特徴とする頭位変化解析システムが提供される。
また、本発明によれば、被験者の頭位を所定の時間間隔で計測する計測手段と、前記計測手段が生成した計測データを解析して頭位の角速度の変化を表す波形データを生成し、前記被験者の頭位の角速度が第一閾値を超える第一タイミングを含む対象期間内に生成された前記計測データに基づいて生成された前記波形データが有効であるか否かを判別する解析手段と、を備え、前記解析手段は、前記被験者の頭位の角速度が最大となる第三タイミングと、前記第三タイミングを基準として手前側の前記計測データを順番に参照して最初に前記被験者の頭位の角速度が第四閾値を下回る第四タイミングと、前記第三タイミングを基準として後側の前記計測データを順番に参照して最初に前記被験者の頭位の角速度が第五閾値を下回る第五タイミングと、を前記対象期間から検出し、前記第四タイミングから前記第五タイミングまでに生成された前記計測データのそれぞれについて、前後の傾きの積が負となる極値データを検出し、前の傾きが正であり後の傾きが負である前記極値データが前記第三タイミングにおける前記計測データのみであるとき、前記波形データを有効とし、前の傾きが正であり後の傾きが負である前記極値データが前記第三タイミングにおける前記計測データ以外に存在するとき、前記波形データを有効ではないとする、ことを特徴とする頭位変化解析システムが提供される。
【発明の効果】
【0008】
上記の発明によれば、解析の対象となる期間(被験者の頭位の角速度が第一閾値を超える第一タイミングを含む対象期間)内に生成された計測データに基づいて頭位変化が有効であるか否かを判別することができる。
【0009】
本発明によれば、被験者の頭位が適切に動作しているか否かを解析する頭位変化解析システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】本発明に係る頭位解析の処理手順を示すフローチャートである。
【
図3】ラテラル(Lateral)モードにおいて成功波形である旨を判別したタイミングにおける表示手段の表示画面を示す図である。
【
図4】ラテラル(Lateral)モードにおいて成功波形ではない旨を判別したタイミングにおける表示手段の表示画面を示す図である。
【
図5】ラープ(LARP)モードにおいて成功波形である旨を判別したタイミングにおける表示手段の表示画面を示す図である。
【
図6】ラープ(LARP)モードにおいて成功波形ではない旨を判別したタイミングにおける表示手段の表示画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。
【0012】
<本発明に係る解析システム100の構成について>
先ず、本発明に係る解析システム100の構成について説明する。
解析システム100は、被験者の頭位変化を解析するシステムである。なお、本実施形態ではビデオヘッドインパルス検査のために被験者の頭位変化を解析することを前提として本発明を説明するが、本発明は必ずしもビデオヘッドインパルス検査を実施する場合に限られず、他の検査を実施する場合に利用されてもよい。
【0013】
図1は、本発明に係る解析システム100の構成図である。
図1に示すとおり、解析システム100は、頭部装着装置110とコンピュータ端末120とを備え、互いに通信可能に接続されており、頭部装着装置110が計測した計測データ(被験者の視線の変化及び頭位の変化を経時的に示すデータ)をコンピュータ端末120に伝送することができる。
なお、本発明の実施において、頭部装着装置110及びコンピュータ端末120の間の通信は、無線通信であっても有線通信であってもよく、相互に直接的に接続されてもよく、不図示の他の装置を介して間接的に接続されてもよい。
また、頭部装着装置110とコンピュータ端末120はいずれも、CPU等の情報処理装置(不図示)と、ROMやRAM等の記憶装置(不図示)と、を有しており、これらのハードウェア及びインストールされているソフトウェアとの協働によって、後述する各処理を実行することができる。
【0014】
頭部装着装置110は、被験者の頭部に装着する検査用ゴーグルであり、視線計測手段111と、頭位計測手段112と、眼球撮影手段113と、を備える。
視線計測手段111は、ビデオヘッドインパルス検査の実施中における被験者の視線を所定の時間間隔で計測する。視線計測手段111は、アイトラッカー(被験者の視線を検知するセンサー)などによって実現可能である。なお、視線計測手段111によって計測される被験者の視線は、被験者の眼球の回旋軸と回旋角度の他、被験者の視線の位置(被験者が注視している位置)が含まれる。
頭位計測手段112は、ビデオヘッドインパルス検査の実施中における被験者の頭位を所定の時間間隔で計測し、本発明に係る計測手段に相当する構成である。頭位計測手段112は、ジャイロセンサー(角速度を検知するセンサー)などによって実現可能である。ビデオヘッドインパルス検査による頭位変化は急速であるため、頭位計測手段112による計測の時間間隔はごく短いことが好ましく、本実施形態では120fps(1秒あたり120回の計測)とする。
眼球撮影手段113は、ビデオヘッドインパルス検査の実施中における被験者の眼球を撮影する。眼球撮影手段113は、カメラなどによって実現可能である。
【0015】
なお、本発明を実施するにあたって、計測手段に相当する構成(本実施形態では頭位計測手段112)は、必ずしも被験者の頭部に装着される必要はなく、他の身体の部位に装着されるものであってもよいし、被験者を外部から計測するものであってもよい。
【0016】
コンピュータ端末120は、頭部装着装置110が計測した計測データを処理する装置であり、解析手段121と表示手段122とを備える。
解析手段121は、頭部装着装置110が計測した計測データを解析することができ、本発明に係る解析手段に相当する構成である。解析手段121による解析結果には、眼球運動波形(被験者の視線の位置の変化を表す波形データ)と、頭位の角速度(被験者の頭位の角速度のピーク値)と、頭位の揺れ幅(被験者の正面方向が左右又は前後に振れた角度)と、頭位波形(被験者の頭位の角速度の変化を表す波形データ)と、が含まれる。解析手段121は、コンピュータ端末120にインストールされているアプリケーションソフトウェアの実行によって実現可能である。
表示手段122は、解析手段121による解析の結果を表示する。表示手段122の表示態様については、後述する。なお、本発明を実施するにあたって、解析手段121による解析結果の出力は、必ずしも表示出力である必要はなく、印刷による出力など他の態様の出力に代えてもよい。
【0017】
<本発明に係る頭位解析のフローについて>
次に、本発明に係る頭位解析のフローについて説明する。
図2は、本発明に係る頭位解析の処理手順を示すフローチャートである。
【0018】
先ず、コンピュータ端末120は、頭部装着装置110が計測した計測データを取得する(ステップS101)。
ステップS101の処理について、コンピュータ端末120は、計測データを頭部装着装置110から直接取得してもよいし、不図示の記憶装置に保存されている計測データを読み出すことによって取得してもよい。
【0019】
ステップS101にて取得した計測データに含まれる頭位波形はノイズを多分に含むので、高い精度で眼振を解析するにはノイズの影響を低減する必要がある。
従って、コンピュータ端末120は、ノイズの影響を低減するため、ステップS101にて取得した頭位波形の平滑化を図る(ステップS102)。
ステップS102で実施する平滑化の手法は、特に制限されず、既知の手法から適宜選択すればよい。
【0020】
続いて、コンピュータ端末120は、頭位波形(被験者の頭位の角速度の変化を表す波形データ)を解析して開始点を判断する(ステップS103)。ここで「開始点」とは、被験者の頭位の角速度がA度/秒(本発明に係る第一閾値)を超える時点をいい、本発明に係る第一タイミングに相当する。
コンピュータ端末120は、ステップS103の処理において開始点を検知しないとき(ステップS104のNO)、ステップS103の処理に戻る。
コンピュータ端末120は、ステップS103の処理において開始点を検知したとき(ステップS104のYES)、開始点以後の計測データを参照して、当該計測データが解析を行うに値するか否かを判定する(ステップS105)。具体的には、コンピュータ端末120は、被験者の頭位の角速度がA度/秒以上である状態が開始点からB秒以上維持されるとき、解析を行うに値する計測データであると判定する。
なお、上記のA度/秒に相当する角速度及びB秒に相当する時間は、本発明の目的を達成する範囲において適宜変更可能である。
【0021】
解析を行うに値する計測データではなかったとき(ステップS105のNO)、ステップS103の処理に戻る。
解析を行うに値する計測データであるものとされたとき(ステップS105のYES)、コンピュータ端末120は、開始点を含む対象期間内に生成された計測データに基づいて生成された波形データが有効であるか否かを判別する(ステップS106)。ここで「対象期間」とは、開始点を基準として定まる有限の期間であり、本実施形態では開始点より前のC秒(本発明に係る第一期間に相当)と、開始点より後のD秒(本発明に係る第二期間に相当)と、を含む0.7秒間である。
なお、上記のC秒に相当する時間及びD秒に相当する時間は、本発明の目的を達成する範囲において適宜変更可能である。
以下の説明において、ステップS106において有効と判別される波形データを成功波形と称する。
【0022】
ステップS106においてコンピュータ端末120が成功波形と判別する条件は、以下の通りである。
なお、本発明の実施において、必ずしも全ての条件を用いる必要はなく、一部を省いてもよいし、他の条件に代えてもよい。
また、以下に言及する各条件の数値は、本発明の目的を達成する範囲において適宜変更可能である。
【0023】
ステップS106において、コンピュータ端末120は、開始点を始点とし、被験者の頭位の角速度がE度/秒(本発明に係る第二閾値)を下回るタイミングを終点とする期間(本発明に係る第三期間に相当)に生成された計測データの点数がFフレーム/秒(本発明に係る第三閾値に相当)以上であるとき成功波形と判別し、当該期間に生成された計測データの点数がFフレーム/秒を下回るとき成功波形ではないとする。
また、ステップS106において、コンピュータ端末120は、当該期間の時間長さがG秒(本発明に係る第四閾値に相当)以下であるとき成功波形とし、当該期間の時間長さがG秒を上回るとき成功波形ではないとする。
なお、上記のE秒に相当する時間、Fフレーム/秒に相当する点数及びG秒に相当する時間は、本発明の目的を達成する範囲において適宜変更可能である。
【0024】
ステップS106において、コンピュータ端末120は、対象期間の冒頭部分(本発明に係る第一期間)の最初を始点とし開始点より前を終点とする期間(本発明に係る第四期間に相当)に生成された計測データから解析される被験者の頭位の角速度の全てがA度/秒(本発明に係る第一閾値)以下であるとき成功波形とし、当該期間に生成された計測データから解析される被験者の頭位の角速度の中にA度/秒を超えるものが含まれるとき成功波形ではないとする。
また、ステップS106において、コンピュータ端末120は、対象期間の末尾部分(本発明に係る第二期間)の最後を終点とする期間(本発明に係る第五期間に相当)に生成された計測データから解析される被験者の頭位の角速度の全てがA度/秒(本発明に係る第一閾値)以下であるとき成功波形とし、当該期間に生成された計測データから解析される被験者の頭位の角速度の中にA度/秒を超えるものが含まれるとき成功波形ではないとする。
【0025】
ステップS106において、コンピュータ端末120は、対象期間に生成された計測データから解析される被験者の頭位の角度の全てが、開始点で生成された計測データから解析される被験者の頭位の角度以上であるとき(すなわち首振りの開始位置より頭位の角度が戻っていないとき)、成功波形とする。
また、ステップS106において、コンピュータ端末120は、対象期間に生成された計測データから解析される被験者の頭位の角度の中に、開始点で生成された計測データから解析される被験者の頭位の角度を下回るものが含まれるとき(すなわち首振りの開始位置より頭位の角度が戻っているとき)、成功波形ではないとする。
【0026】
ステップS106において、コンピュータ端末120は、対象期間に生成された計測データから解析される被験者の頭位の角度の全てが指定した範囲内であるとき、成功波形とする。
また、ステップS106において、コンピュータ端末120は、対象期間に生成された計測データから解析される被験者の頭位の角度の中に指定した範囲外のものが含まれるとき、成功波形ではないとする。ここで「指定した範囲」とは、ユーザ(例えば、医療従事者など)がビデオヘッドインパルス検査をする事前に任意に指定する首振り角度の範囲である。
【0027】
ステップS106において、コンピュータ端末120は、被験者の頭位の角速度が最大となるピーク点(本発明に係る第三タイミングに相当)と、ピーク点を基準として手前側の計測データを順番に参照して最初に被験者の頭位の角速度が20度/秒(本発明に係る第四閾値)を下回る山の開始点(本発明に係る第四タイミングに相当)と、ピーク点を基準として後側の計測データを順番に参照して最初に被験者の頭位の角速度が0度/秒(本発明に係る第五閾値)を下回る山の終了点(本発明に係る第五タイミングに相当)と、を対象期間から検出し、山の開始点から山の終了点までに生成された計測データのそれぞれについて、前後の傾きの積が負となる極値データを検出する。
そして、コンピュータ端末120は、ピーク点における角速度が指定した範囲内であるとき成功波形とし、ピーク点における角速度が指定した範囲外であるとき成功波形ではないとする。ここで「指定した範囲」とは、ユーザがビデオヘッドインパルス検査をする事前に任意に指定する角速度の範囲である。
また、コンピュータ端末120は、開始点からピーク点までにおける頭位の角度の差が指定した範囲内であるとき成功波形とし、開始点からピーク点までにおける頭位の角度の差が指定した範囲外であるとき成功波形ではないとする。ここで「指定した範囲」とは、ユーザがビデオヘッドインパルス検査をする事前に任意に指定する開始点からピーク点までの角度差の範囲である。
また、コンピュータ端末120は、前の傾きが正であり後の傾きが負である極値データがピーク点における計測データのみであるとき成功波形とし、前の傾きが正であり後の傾きが負である極値データが第三タイミングにおける計測データ以外に存在するとき成功波形ではないとする。
また、コンピュータ端末120は、前の傾きが負であり後の傾きが正である極値データが複数であるとき、成功波形ではないとする。
更に、コンピュータ端末120は、前の傾きが負であり後の傾きが正である極値データが一つであるとき、当該極値データの前後の傾きのうち大きい方に所定値を乗じた値が小さい方より大きいとき成功波形とし、当該極値データの前後の傾きのうち大きい方に所定値(本実施形態では0.3)を乗じた値が小さい方以下であるとき成功波形ではないとする。または、当該極値データの前後の傾きのうち大きい方に小さい方で除した値が所定値より大きいとき成功波形とし、当該極値データの前後の傾きのうち大きい方を小さい方で除した値が所定値以下であるとき成功波形ではないとする。
なお、ここで所定値とは、0を超えて1未満である値であり、予め定められたものである。
【0028】
コンピュータ端末120は、ステップS106の処理において成功波形であると判別したとき(ステップS107のYES)、表示手段122に当該成功波形を表示する(ステップS108)。
また、コンピュータ端末120は、ステップS106の処理において成功波形ではないと判別したとき(ステップS107のNO)、表示手段122に成功波形と判定されなかった原因(エラー原因)を表示する(ステップS109)。
【0029】
コンピュータ端末120は、ステップS101において取得した計測データの解析が終了していないとき(ステップS110のNO)、ステップS103の処理に戻る。
また、コンピュータ端末120は、ステップS101において取得した全ての計測データについて解析が終了したとき(ステップS110のYES)、頭位解析の処理を終了する。
【0030】
<頭位解析の解析結果の表示態様について>
次に、上述した頭位解析の解析結果の表示態様について説明する。
図3~
図6は、頭位解析の解析結果を表示する表示手段122の画面を示す図である。
これらの各図面に図示するとおり、頭位解析の解析結果を表示する画面は、主に波形データを表示する表示領域A1、成功波形を表示する表示領域A2、眼球映像を表示する表示領域A3、コントロールパネルを表示する表示領域A4に区分される。
【0031】
表示領域A1は、視線計測手段111によって計測された眼球運動波形と頭位計測手段112によって計測された頭位波形を表示可能であり、経時的に変化する波形データが表示領域A1の右側から左側(
図3~
図6の上側から下側)に向けてスクロールする。なお、眼球運動波形については本発明の説明には不要であるため、頭位波形のみ図示し眼球運動波形の図示を省略している。
表示領域A2は、解析手段121によって成功波形である旨を判別したとき、当該成功波形を表示する。この表示は、
図2のステップS108の処理に相当する。
表示領域A3は、眼球撮影手段113によって撮影された眼球の映像が表示可能であるが、本発明の説明には不要であるため、具体的な映像内容の図示を省略している。
表示領域A4は、解析手段121によって成功波形ではない旨を判別したとき、その判別となったエラー原因を表示する。この表示は、
図2のステップS109の処理に相当する。また、表示領域A4は、現時点で被験者の頭部が向いている方向、現在実施している検査モードの種別、その検査モードにおいて成功波形を判別した回数なども表示可能である。
【0032】
図3は、ラテラル(Lateral)モードにおいて成功波形である旨を判別したタイミングにおける表示手段122の表示画面を示す図である。具体的には、
図3は、表示領域A1の中央部に表示される山なりの波形を成功波形であるものと判別している。
図4は、ラテラル(Lateral)モードにおいて成功波形ではない旨を判別したタイミングにおける表示手段122の表示画面を示す図である。
図4は、表示領域A1の中央部に表示される山なりの波形を成功波形ではないものと判別している。
ここでラテラルとは、ビデオヘッドインパルス検査における外側半規管機能を検査する検査である。ラテラルモードにおいて、施術者は被験者の頭部を左右に急速に動かす。
【0033】
図3に示すように、成功波形である旨を判別したタイミングにおいて、表示手段122は、表示領域A2に当該成功波形を表示する。
また、
図4に示すように、成功波形ではない旨を判別したタイミングにおいて、表示手段122は、表示領域A4にその判別のエラー原因を表示する。なお、同図ではピーク点における角速度が指定した範囲より速かったこと、開始点からピーク点までにおける頭位の角度の差が指定した範囲より大きかったこと、及び対象期間の時間長さが長かったことがエラー原因である旨が表示されている。
【0034】
図5は、ラープ(LARP)モードにおいて成功波形である旨を判別したタイミングにおける表示手段122の表示画面を示す図である。具体的には、
図5は、表示領域A1の中央部に表示される山なりの波形を成功波形であるものと判別している。
図6は、ラープ(LARP)モードにおいて成功波形ではない旨を判別したタイミングにおける表示手段122の表示画面を示す図である。
図6は、表示領域A1の中央部に表示される山なりの波形を成功波形ではないものと判別している。
ここでラープとは、Left Anterior-Right Posteriorの略であり、左前半規管と右後半規管の機能を評価する検査である。ラープモードにおいてビデオヘッドインパルス検査における被検者の頭部を正対させた状態から水平方向に右に45度回転させた状態、すなわち被検者の左頬が前になった状態で、施術者は被験者の頭部を前後方向に急速に動かす。
【0035】
図5に示すように、成功波形である旨を判別したタイミングにおいて、表示手段122は、表示領域A2に当該成功波形を表示する。
また、
図6に示すように、成功波形ではない旨を判別したタイミングにおいて、表示手段122は、表示領域A4にその判別のエラー原因を表示する。なお、同図では開始点からピーク点までにおける頭位の角度の差が指定した範囲より大きかったこと、及び対象期間において被験者の頭位の角度に不正な値が含まれていることがエラー原因である旨が表示されている。
【0036】
上述のように、本実施形態に係る解析システム100を利用することによって、ビデオヘッドインパルス検査の施術者は、頭位解析の解析結果を視認しながら検査を行うことができ、その検査をより容易に実施することができる。
【0037】
<変形例>
以上に説明した本発明の実施形態は、本発明の目的と達成する範囲において、種々の変形が可能である。
【0038】
図1に図示したシステム構成は、本発明の構成の一具体例に過ぎず、本発明の目的を達成する範囲において一部の構成を省略してもよいし、他の構成を追加してもよい。
【0039】
図2に図示した処理手順は、本発明に係る処理手順の一具体例に過ぎず、本発明の目的を達成する範囲において一部の処理を省略してもよいし、他の処理を追加してもよいし、処理手順の前後関係を変更してもよいし、一の処理と他の処理を並行して実行してもよい。
【0040】
図3~
図6に図示した表示態様は、本発明に係る解析結果の出力態様の一具体例に過ぎず、本発明の目的を達成する範囲において、各表示領域の配置や各表示の内容を適宜変更可能である。
【0041】
本実施形態は以下の技術思想を包含する。
(1)被験者の頭位を所定の時間間隔で計測する計測手段と、前記計測手段が生成した計測データを解析して頭位の角速度の変化を表す波形データを生成する解析手段と、を備え、前記解析手段は、前記被験者の頭位の角速度が第一閾値を超える第一タイミングを含む対象期間内に生成された前記計測データに基づいて生成された前記波形データが有効であるか否かを判別する、ことを特徴とする頭位変化解析システム。
(2)前記対象期間は、前記第一タイミングより前の第一期間と、前記第一タイミングより後の第二期間と、を含む、(1)に記載の頭位変化解析システム。
(3)前記解析手段は、前記第一タイミングを始点とし、前記被験者の頭位の角速度が第二閾値を下回る第二タイミングを終点とする第三期間に生成された前記計測データの点数が第三閾値以上であるとき、前記波形データを有効とし、前記第三期間に生成された前記計測データの点数が前記第三閾値を下回るとき、前記波形データを有効ではないとする、(2)に記載の頭位変化解析システム。
(4)前記解析手段は、前記第一タイミングを始点とし、前記被験者の頭位の角速度が第二閾値を下回る第二タイミングを終点とする第三期間の時間長さが第四閾値以下であるとき、前記波形データを有効とし、前記第三期間の時間長さが前記第四閾値を上回るとき、前記波形データを有効ではないとする、(2)に記載の頭位変化解析システム。
(5)前記解析手段は、前記第一期間の最初を始点とし前記第一タイミングより前を終点とする第四期間に生成された前記計測データから解析される前記被験者の頭位の角速度の全てが前記第一閾値以下であるとき、前記波形データを有効とし、前記第四期間に生成された前記計測データから解析される前記被験者の頭位の角速度の中に前記第一閾値を超えるものが含まれるとき、前記波形データを有効ではないとする、(2)に記載の頭位変化解析システム。
(6)前記解析手段は、前記第一タイミングより後を始点とする前記第二期間の最後を終点とする第五期間に生成された前記計測データから解析される前記被験者の頭位の角速度の全てが前記第一閾値以下であるとき、前記波形データを有効とし、前記第五期間に生成された前記計測データから解析される前記被験者の頭位の角速度の中に前記第一閾値を超えるものが含まれるとき、前記波形データを有効ではないとする、(2)に記載の頭位変化解析システム。
(7)前記解析手段は、前記対象期間に生成された前記計測データから解析される前記被験者の頭位の角度の全てが、前記第一タイミングで生成された前記計測データから解析される前記被験者の頭位の角度以上であるとき、前記波形データを有効とし、前記対象期間に生成された前記計測データから解析される前記被験者の頭位の角度の中に、前記第一タイミングで生成された前記計測データから解析される前記被験者の頭位の角度を下回るものが含まれるとき、前記波形データを有効ではないとする、(2)に記載の頭位変化解析システム。
(8)前記解析手段は、前記対象期間に生成された前記計測データから解析される前記被験者の頭位の角度の全てが指定した範囲内であるとき、前記波形データを有効とし、前記対象期間に生成された前記計測データから解析される前記被験者の頭位の角度の中に指定した範囲外のものが含まれるとき、前記波形データを有効ではないとする、(2)に記載の頭位変化解析システム。
(9)前記解析手段は、前記被験者の頭位の角速度が最大となる第三タイミングと、前記第三タイミングを基準として手前側の前記計測データを順番に参照して最初に前記被験者の頭位の角速度が第四閾値を下回る第四タイミングと、前記第三タイミングを基準として後側の前記計測データを順番に参照して最初に前記被験者の頭位の角速度が第五閾値を下回る第五タイミングと、を前記対象期間から検出し、前記第四タイミングから前記第五タイミングまでに生成された前記計測データのそれぞれについて、前後の傾きの積が負となる極値データを検出し、前の傾きが正であり後の傾きが負である前記極値データが前記第三タイミングにおける前記計測データのみであるとき、前記波形データを有効とし、前の傾きが正であり後の傾きが負である前記極値データが前記第三タイミングにおける前記計測データ以外に存在するとき、前記波形データを有効ではないとする、(2)に記載の頭位変化解析システム。
(10)前記解析手段は、前の傾きが負であり後の傾きが正である前記極値データが複数であるとき、前記波形データを有効ではないとする、(9)に記載の頭位変化解析システム。
(11)前記解析手段は、前の傾きが負であり後の傾きが正である前記極値データが一つであるとき、当該極値データの前後の傾きのうち大きい方に所定値を乗じた値が小さい方より大きいとき、前記波形データを有効とし、当該極値データの前後の傾きのうち大きい方に所定値を乗じた値が小さい方以下であるとき、前記波形データを有効ではないとする、または、当該極値データの前後の傾きのうち大きい方を小さい方で除した値が所定値より大きいとき、前記波形データを有効とし、当該極値データの前後の傾きのうち大きい方を小さい方で除した値が所定値以下であるとき、前記波形データを有効ではないとする、(9)に記載の頭位変化解析システム。
【符号の説明】
【0042】
100 解析システム
110 頭部装着装置
111 視線計測手段
112 頭位計測手段
113 眼球撮影手段
120 コンピュータ端末
121 解析手段
122 表示手段
【要約】
【課題】被験者の頭位が適切に動作しているか否かを解析する頭位変化解析システムを提供する。
【解決手段】本発明は、被験者の頭位を所定の時間間隔で計測する計測手段と、計測データを解析して頭位の角速度の変化を表す波形データを生成する解析手段と、を備え、解析手段は、被験者の頭位の角速度が第一閾値を超える第一タイミングを含む対象期間内に生成された前記計測データに基づいて生成された前記波形データが有効であるか否かを判別する、ことを特徴とする。
【選択図】
図1