(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-25
(45)【発行日】2024-10-03
(54)【発明の名称】傘用カバー及び傘
(51)【国際特許分類】
A45B 15/00 20060101AFI20240926BHJP
【FI】
A45B15/00
(21)【出願番号】P 2024540629
(86)(22)【出願日】2024-07-02
(86)【国際出願番号】 JP2024023995
【審査請求日】2024-07-03
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】503255143
【氏名又は名称】株式会社キトサンコーワ
(74)【代理人】
【識別番号】100125265
【氏名又は名称】貝塚 亮平
(72)【発明者】
【氏名】國安 春子
【審査官】村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3169395(JP,U)
【文献】登録実用新案第3069501(JP,U)
【文献】特開2019-118723(JP,A)
【文献】特開2021-186631(JP,A)
【文献】特開平11-192112(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0009035(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0083294(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0261597(US,A1)
【文献】特開2004-135985(JP,A)
【文献】特開2017-12659(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45B15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
傘を持つ人の周囲を覆う筒状の少なくとも一部を形成するカバー本体と、
前記カバー本体の上端部に周方向に間隔をおいて複数設けられ、前記傘の内側であって親骨における受骨との交差部位と露先との間、又は受骨に取り付けられる第1留め具と、
前記カバー本体を前記第1留め具よりも前記親骨の前記露先側に着脱可能とする第2留め具と、を備え、
前記カバー本体は、前記傘の内側に取り付けた状態で、前記傘を開いたときに前記傘を持つ人の周囲の少なくとも一部を覆うように垂れ下がり、
前記第1留め具を留めて前記第2留め具を着脱することで、前記カバー本体による前記筒状の径を変化させるように構成したことを特徴とする傘用カバー。
【請求項2】
前記カバー本体を前記傘の内側に折り畳んで留めるための第3留め具を有していることを特徴とする請求項1に記載の傘用カバー。
【請求項3】
前記カバー本体の前記傘を持つ人の前面に対応する部分に、上下方向に延びるとともに前記筒状の周方向に間隔をおいて配置された2つのファスナー開閉部が設けられ、前記2つのファスナー開閉部を開いた状態でファスナー間の部分を上方に畳んで留めるための第4留め具を有していることを特徴とする請求項2に記載の傘用カバー。
【請求項4】
前記第1留め具は、前記傘の内側と前記カバー本体の上端との間に隙間を形成する構成を有しているか、又は前記カバー本体の上端側に通気用穴が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の傘用カバー。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の傘用カバーを有することを特徴とする傘。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、傘の内側に取り付けられることで雨除けや日差しを遮るのに用いられる傘用カバー、及びそれを備えた傘に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に傘は、開くと親骨に支持されたビニールシート等の傘布が中棒を中心に円形に近い多角形状に広がり、傘を持つ人の上面を広く覆うようになっている。例えば、雨が地面に対して垂直に降る場合には濡れにくいが、風が強くて側方から吹き付ける横雨となった場合には濡れやすい。この問題に対処すべく、特許文献1には、傘布の露先側につば部を連設した帽子型傘が開示されている。特許文献1の第6図には、後ろから横雨が吹き付ける場合、後ろにつば部が位置する状態で横雨に対向するように傘を傾ければ、後ろ側の雨除け面積が広がり、足元が濡れにくくなる状況が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の帽子型傘は、その形状が特異的であるために骨構造が複雑で製造コストの上昇を来す懸念があるばかりでなく、日常生活での利用性(普及性)は低いといえる。また、風の向きが変化した場合には、その都度つば部の位置を変える必要があり、面倒であった。
【0005】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、傘の骨構造の改変を要することなく横雨等による濡れを抑制できる傘用カバー、及びこれを備えた傘を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の傘用カバー(14)は、傘(2)を持つ人(P)の周囲を覆う筒状の少なくとも一部を形成するカバー本体(20)と、カバー本体(20)の上端部に周方向に間隔をおいて複数設けられ、傘(2)の内側であって親骨(4)における受骨(10)との交差部位(C1)と露先(16)との間、又は受骨(10)に取り付けられる第1留め具(24)と、を備え、カバー本体(20)は、傘(2)を広げたときに傘(2)を持つ人(P)の周囲の少なくとも一部を覆うように垂れ下がることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る傘用カバーによれば、コンパクトな広がり構成で横雨を防いだり、日差しを遮ることができる。
【0008】
また、上記の傘用カバー(14)では、カバー本体(20)が、第1留め具(24)よりも親骨(4)の露先(16)側に取り付けて筒状の径を拡大するための第2留め具(26)を有している構成としてもよい。これによれば、容易にカバー本体の面積を広げることができ、複数人で雨除けをする場合や嵩張りの大きな手荷物等を持っている場合に特に便利である。
【0009】
また、上記の傘用カバー(14)では、カバー本体(20)を傘(2)の内側に折り畳んで留めるための第3留め具(28)を有している構成としてもよい。これによれば、傘を使用していないときの傘用カバーを含めた形状をコンパクトにできる。
【0010】
また、上記の傘用カバー(14)では、カバー本体(20)の傘(2)を持つ人(P)の前面に対応する部分に、上下方向に延びるファスナー開閉部(36又は38)が設けられている構成としてもよい。これによれば、ファスナー開閉部を開放することによりカバー本体内の蒸れや曇りを防止できるとともに、容易に外部の物を取ったり受け取ったりすることができる。
【0011】
また、上記の傘用カバー(14)では、カバー本体(20)の傘(2)を持つ人(P)の前面に対応する部分に、上下方向に延びるとともに前記筒状の周方向に間隔をおいて配置された2つのファスナー開閉部(36、38)が設けられ、2つのファスナー開閉部(36、38)を開いた状態でファスナー間の部分(20b)を上方に畳んで留めるための第4留め具(40)を有している構成としてもよい。これによれば、開放することによりカバー本体内の蒸れや曇りを防止できるとともに、良好な視界を確保することができる。
【0012】
また、上記の傘用カバー(14)では、第1留め具(24)は、傘(2)の内側とカバー本体(20)の上端との間に隙間(g)を形成する構成を有していることとしてもよい。これによれば、隙間を介して通気性を確保できるので、カバー本体内の蒸れや曇りを効果的に防止できる。
【0013】
あるいは、上記の傘用カバー(14)では、カバー本体(20)の上端側に通気用穴(32)が形成されている構成としてもよい。これによれば、通気用穴を介しての通気により、カバー本体内の蒸れや曇りを防止できる。
【0014】
また、上記の傘用カバー(14)では、カバー本体(20)が通気用のメッシュ部(34)を有している構成としてもよい。これによれば、カバー本体内の蒸れや曇りを防止できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、傘の骨構造の改変を要することなく横雨等による濡れ等を効果的に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る雨傘の使用状態の正面図である。
【
図2】
図1で示した雨傘に取り付けられる傘用カバーの斜視図である。
【
図4】
図1で示した雨傘における留め具による取り付け構成を示す概要部分断面図である。
【
図5】
図1で示した雨傘の傘用カバーを広げた状態の正面図である。
【
図6】
図1で示した雨傘の傘用カバーを広げた状態の正面図である。
【
図7】
図5の状態における第2留め具による取り付け構成を示す概要部分断面図である。
【
図10】
図5の状態における折り畳み構成を説明するための正面図である。
【
図11】
図10の状態からカバー本体を折り畳んだ状態を示す概要部分断面図である。
【
図12】第2の実施形態に係る雨傘の正面図である。
【
図13】第3の実施形態に係る雨傘の正面図である。
【
図14】
図13で示した雨傘のファスナー間の部分を上方に畳んで留めた状態を示す概要部分断面図である。
【
図15】第4の実施形態に係る雨傘を示す図で、(a)は使用状態の正面図、(b)はその変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0018】
[第1実施形態]
図1乃至
図11を参照して第1実施形態を説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る傘としての雨傘2は、8本の親骨4と、8分割の分割片6a~6hを接合してなる傘布6と、中棒8と、該中棒8の上端部から放射状に延びて先端が各親骨4に回動自在に連結された受骨10と、石突き12と、各親骨4又は受骨10に後述する第1留め具24等の留め具を介して着脱自在に取り付けられた雨除け又は日除け用の傘用カバー14と、を備えている。
【0019】
図1において、符号16は露先を、18はハンドルを示している。なお、上はじきや下はじき、下ろくろ等は省略している。雨傘2を持つ(差す)人Pや中棒8も同様の観点から適宜実線で示している。さらに、雨傘2の背面側における親骨4や受骨10等の表示は見やすくするために省略している。
【0020】
傘用カバー14は、
図2に示すように、使用時の形状が、雨傘2を持つ人Pの周囲を覆う筒状の少なくとも一部(ここでは全部)を形成するカバー本体20と、カバー本体20の上端部に周方向に間隔をおいて複数設けられ、雨傘2の内側における親骨4の、該親骨4と受骨10との交差部位(連結部位)C1と露先16との間、又は受骨10に取り付けられる第1留め具24(
図4参照)の一方をなす留め部材24aと、を備え、カバー本体20は、雨傘2を開いたときに雨傘2を持つ人Pの周囲の少なくとも一部(ここでは全部)を覆うように垂れ下がるようになっている。カバー本体20は、雨傘2の八角形状に対応して、透明なビニールシートで八角形の筒状に形成されている。具体的には傘布6の分割片6a~6hに対応した8分割片を、縫い付けやヒートシール(熱シール)等により接合している。
【0021】
各留め部材24aは柔軟で細幅の帯状を有して八角形状の各頂部に対応する位置に配置されており、下端部がカバー本体20に固定されている。各留め部材24aの先端部にはハトメ処理された係合穴24a-1が形成されている。カバー本体20における各留め部材24aの下方には、第2留め具26が固定されている。第2留め具26は、カバー本体20に一端部を固定された細幅の柔軟部材26aと、柔軟部材26aの先端(自由端)に取り付けられたフック26bとを備えている。
【0022】
図3に示すように、符号C2は第1留め具24(留め部材24a)による取り付け位置を、C3は第2留め具26による取り付け位置を示している。すなわち、留め部材24aは親骨4の、該親骨4と受骨10との交差部位C1と露先16との間、ここでは交差部位C1と露先16の中間よりも交差部位C1寄りに取り付けられている。傘用カバー14を留め部材24aにより取り付け位置C2で取り付けると、カバー本体20は破線で示すように周方向にだぶついた状態となる。
図1はこの取り付け状態を示している。また、ラインLは第2留め具26をC3で留めた状態でのカバー本体20を示している。
【0023】
図4に示すように、各親骨4の取り付け位置C2にはフック24bが固定されており、各留め部材24aの係合穴24a-1をフック24bに係合することにより傘用カバー14を雨傘2の内方に容易に吊り下げることができる。留め部材24aとフック24bとにより第1留め具24が構成されている。第1留め具24は、2つの部材を結合する着脱自在な構成を有し、一方の部材(フック24b)が雨傘2側に設けられている。上下方向に細長い留め部材24aにより雨傘2の内側(傘布6の内面)とカバー本体20の上端との間に隙間gが形成されるので、良好な通気(気流移動)が確保され、カバー本体20内の空気の停滞による蒸れやカバー本体20の曇りが防止される。留め部材24aは上記の構成に限らず紐の先にループを形成した簡単なものでもよい。
【0024】
図1に示すように、雨傘2を持つ人Pの周囲は露先16の内側においてカバー本体20で周囲を覆われるため、横雨があっても濡れにくい。本実施形態では360°対応の筒状構成であるので、急に風向きが変わって横雨の方向が変わっても濡れにくい。カバー本体20は透明なビニールシートで形成されているため、雨傘2を持つ人Pの視界を妨げることもない。カバー本体20は、全部透明とする以外にも、視界を妨げない範囲で部分的に透明としてもよい。カバー本体20の露先16の位置から下方に延びる長さ(高さ)Hは、傘用カバー14の取り扱い性と、望む雨除け範囲との兼ね合いから適宜に設定することができる。すなわち、雨傘2を持つ人Pの胸部あたりまでの長さや、腰付近までの長さ、足首あたりまで延びる長さ等である。
【0025】
また、図示及び詳細な説明は省略するが、雨傘2として、開き具合を複数段階に切り替えて設定可能なストッパー機構を有するものを用いても良く、そのような雨傘2を用いる場合、雨傘2の開き程度に応じてカバー本体20が
図1に示す状態からさらに縮小するので、人込み等の狭い場所で雨傘2をすぼめて使用することもできる。すなわち、雨傘2の内側に傘用カバー14を取り付けた状態で、雨傘2の開き具合を全開(最大に開いた状態)よりも一段階又は二段階すぼめて使用することも可能である。
【0026】
第2留め具26は、留め部材24aよりも親骨4の露先16側に取り付けて筒状の径(カバー本体20の径)を拡大するためのものである。
図1に示す状態から第2留め具26を取り付け位置C3に取り付けると、
図5に示すように、その分、カバー本体20の長さHは短くなるものの、カバー本体20内の収容面積(雨除け有効面積)が大きくなり、2人又は3人での雨除けも可能となる。大きなバッグを背負ったり手荷物が嵩張っているときなど、雨除け範囲を大きくしたいときにも有効である。また、
図6は、取り付け位置C3を露先16と同じ位置とした例である。同図の態様で、カバー本体20の筒状の径(カバー本体20の径)が最大化される。
【0027】
本実施形態における第2留め具26による取り付けは、
図7に示すように、フック26bを親骨4に引っ掛けるだけである。雨傘2を開いた状態では傘布6が親骨4に強く当接しているので、その間にフック26bを通すことでフック26bは摩擦でずれない。このようにすれば、雨傘2側に留め具を設ける必要がなく、構成が簡易となる。取り付け位置C2においても同様の構成としてもよい。また、第1留め具24の留め部材24aを親骨4側に設け、フック24bをカバー本体20側に設けてもよい。取り付け位置C3においても第1留め具24と同様の留め具構成としてもよい。第1留め具24、第2留め具26としては、上記に限らずスナップボタンや面ファスナー、ボタンと穴とからなる構成を採用してもよい。特に、第2留め具26を面ファスナーとすれば、使用時に第2留め具26のみを着脱することで、カバー本体20の径を変更することが容易に可能となる。
【0028】
図8及び
図9は、第1留め具24の他の例を示す図である。
図8に示す例の第1留め具24は、
図8(a)に示すように、カバー本体20の上端に固定された細い帯状の留め部材24aと、該留め部材24aの先端近傍に設けた一対のスナップ(スナップボタン)24cとを備えている。この第1留め具24は、
図8(b)に示すように、留め部材24aを雨傘2の内側で親骨4又は受骨10を囲むように通した状態で一対のスナップ24c,24cを留める。これにより、留め部材24aを介して親骨4又は受骨10にカバー本体20を吊下げた状態で取り付けることができる。また、第1留め具24は、
図9に示すように、カバー本体20の上端近傍に縫い付けなどで固定したボタン24dと、雨傘2の傘布6に設けられて該ボタン24dを留めるためのボタン穴(ボタンホール)24eとを備えた構成することも可能である。この第1留め具24は、
図9(b)に示すように、ボタン24dをボタン穴24eに留めることで傘布6に対してカバー本体20を吊下げた状態で取り付けることができる。なお、
図9の態様では、カバー本体20における同一位置の表裏面に一対のボタン24d,24dを縫い付けによって取り付けている。これにより、カバー本体20に対してボタン24dがしっかりと強固に取り付けられるので、容易に外れてしまうことを防止でき、耐久性を確保することができる。また、カバー本体20の表裏面に一対のボタン24d,24dを取り付けたことで、一方のボタン24dをボタン穴24eに留める際に指先でボタン24dを摘んでボタン穴24eに留める操作が行い易い、という利点もある。
【0029】
図10に示すように、カバー本体20を広げた状態では、カバー本体20の上下方向の高さH1は取り付け位置C2から取り付け位置C3までの幅Wの約2倍程度となるように設定されている。カバー本体20の高さH1の中央には折り目20aが形成されているとともに第3留め具28(
図11参照)の一方をなす留め部材28aがカバー本体20の各分割片6a~6hに対応した領域毎に固定されている。各留め部材28aは、細幅の柔軟性部材28a-1と、柔軟性部材28a-1の自由端の裏面に設けられた面ファスナー28a-2とを備えている。傘布6の各分割片6a~6hの内面には留め部材28aを固定するための面ファスナー28bが固定されている。第3留め具28は、2つの部材を結合する着脱自在な構成を有し、一方(ここでは他方)の部材(面ファスナー28b)が雨傘2側に設けられている。
【0030】
図11に示すように、カバー本体20を雨傘2の内側に三つ折りに折り畳んで留め部材28aの面ファスナー28a-2を雨傘2側の面ファスナー28bに係合して留めれば、カバー本体20を雨傘2の内側にコンパクトに折り畳むことができる。勿論、使用後に傘用カバー14を雨傘2から取り外して折り畳んで別途収納するようにしてもよい。このようにすれば、雨が降らない場合には雨傘2に余計な付属品がほとんど無い通常使用が可能となる。折り目20aや留め部材28a、面ファスナー28bは
図1等では省略している。カバー本体20の長さは二つ折り構成としてもよい。また、丸めてロール状に折り畳む構成としてもよい。
【0031】
また、図示は省略するが、傘用カバー14(カバー本体20)は、雨傘2の外側(上面側)に折り返すことも可能である。雨天時に雨傘2及び傘用カバー14を使用すると、カバー本体20の外側の面が雨で濡れた状態となるが、その状態で、カバー本体20を雨傘2の外側に折り返すことで、カバー本体20が裏返しとなり、濡れている外側の面が雨傘2の上面と向かい合わせとなって内側に隠れた状態となる。その状態で雨傘2を畳めば、畳んだ雨傘2の外面が濡れていない状態となるので、持ち運んだり車の車内や室内に置いたりしても、雨傘2に付着している水雫で周囲が濡れてしまうおそれが無く、非常に便利である。なお、この場合、カバー本体20を雨傘2の外側に折り返した状態で留めるための留め部材を設けるとよい。この留め部材は、一例として、カバー本体20の外面と雨傘2(傘布6)の外面とに設けた一対の面ファスナーなどで構成することができる。
【0032】
本実施形態では、カバー本体20の形状を、雨傘2を持つ人Pの周囲を取り囲む八角形の筒状としたが、雨傘2を持つ人Pの前面側となる傘布6の分割片6a、6hに対応する部分、あるいは分割片6a、6hのいずれかに対応する部分が存在しない形状としてもよい。すなわち、使用時の形状が、雨傘2を持つ人Pの周囲を覆う筒状の少なくとも一部を形成する構成としてもよい。また、カバー本体20を円筒状としてもよい。なお、第3留め具28は、フックとしてカバー本体20側のみに設け、親骨4に引っ掛ける構成としてもよい。
【0033】
[第2実施形態]
図12を参照して第2実施形態を説明する。上記実施形態と同一又は同一と見做せる部分は同一符号で示し、既にした構成上及び機能上の説明は適宜省略する(以下の他の実施形態において同じ)。
【0034】
本実施形態ではカバー本体20の上端は不図示の留め具であまり隙間の無い状態に親骨4に着脱自在に取り付けられており、その代わり、カバー本体20の上部には通気用穴32が周方向に間隔おいて複数形成されている。また、雨傘2を持つ人Pの顔に近い部分、すなわち分割片6aと6hに対応するカバー本体20の領域には、通気用のメッシュ部34が形成されている。通気用穴32とメッシュ部34は共に形成する必要はなく、いずれか一方のみでもよい。この通気構成によりカバー本体20内の蒸れや曇りを防止することができる。
図1で示した隙間gを形成する構成に加えて、通気用穴32やメッシュ部34を形成する構成としてもよい。
【0035】
[第3実施形態]
図13及び
図14を参照して第3実施形態を説明する。本実施形態では、
図13に示すように、カバー本体20の雨傘2を持つ人Pの前面に対応する部分、すなわち傘布6の分割片6aに対応する領域に、上下方向に延びるとともに筒状の周方向に間隔をおいて配置された2つのファスナー開閉部36、38が設けられ、2つのファスナー開閉部36、38を開いた状態でファスナー間の部分20bを上方に畳んで留めるための第4留め具40(
図14参照)の一方をなす留め部材40aを有している。留め部材40aは、細幅の柔軟性部材40a-1と、柔軟性部材40a-1の自由端の裏面に設けられた面ファスナー40a-2とを備えている。傘布6の分割片6aの内面には留め部材40aを固定するための面ファスナー40bが固定されている。符号36a、38aはスライダーを示している。第4留め具40は、2つの部材を結合する着脱自在な構成を有し、一方(ここでは他方)の部材(面ファスナー40b)が雨傘2側に設けられている。
【0036】
2つのファスナー開閉部36、38を開いてファスナー間の部分20bを内側に丸めながら上方に畳み込んで、
図14に示すように第4留め具40で留めれば、ファスナー間の部分20bを開放することができる。雨脚が弱くなったときなどに開放すれば、蒸れや曇りを防止することができるとともに、視界を良好にすることができる。ファスナー開閉部は1つでもよく、少なくとも一部の範囲を開くことにより、蒸れや曇りを防止することができるとともに、外部の物を取ったり受け取ったりするのに便利である。なお、第4留め具40は、フックとしてカバー本体20側のみに設け、親骨4に引っ掛ける構成としてもよい。
【0037】
[第4実施形態]
図15を参照して第4実施形態を説明する。
図15(a)に示すように、本実施形態に係る傘としての日傘44の傘布6にはUV加工が施され、傘用カバー46は、留め具24を介して親骨4に着脱自在に取り付けられている。カバー本体48は顔を中心とした日除けを主目的としているためその長さ(高さ)は雨傘2の場合よりも短い。カバー本体48は、前面側に位置する分割片6a、6hに対応する領域48a、48hがビニールシート等の透明材料で形成され、その他の領域(分割片6b~6gに対応する領域)は非透明材料で形成されているとともにUV加工が施されている。このようにすれば、視界を妨げることなく日除けができる。
図15(b)に示すように、カバー本体48の分割片6a、6hに対応する領域にカバー本体48の部分が無い開放構成としてもよい。
図15(a)、(b)において、透明領域、開放領域は傘布6の分割片の1つのみに対応した構成としてもよい。本実施形態においても第1実施形態同様に、カバー本体48の径を広げる構成としてもよい。
【0038】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変更が可能である。例えば、上記各実施形態では八角形の雨傘2や日傘44を例示したが、傘布6が6分割、7分割、10分割・・・16分割等の多角形状においても同様に実施することができる。また、傘布6の材質は透明と非透明を組み合わせたものでもよい。
【要約】
傘の骨構造の改変を要することなく横雨等による濡れを抑制できる傘用カバー及びこれを備えた傘を提供する。
雨傘2は、中棒8、親骨4、受骨10、ビニールシート等の傘布6等を備えているとともに、雨傘2を持つ人Pの周囲を囲むように垂れ下がる筒状の傘用カバー14を有している。傘用カバー14は、透明なビニールシートで形成されたカバー本体20と、カバー本体20の上端部に周方向に間隔をおいて複数設けられ、雨傘2の内側における親骨4の、該親骨4と受骨10との交差部位C1と露先16との間に取り付けられる留め部材24aと、を備えている。上下方向に細長い留め部材24aによって雨傘2の内側(傘布6の内面)とカバー本体20の上端との間には隙間が形成され、これによりカバー本体20内の蒸れや曇りが防止される。