(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-25
(45)【発行日】2024-10-03
(54)【発明の名称】画像処理装置
(51)【国際特許分類】
H04N 23/60 20230101AFI20240926BHJP
【FI】
H04N23/60 500
(21)【出願番号】P 2020193975
(22)【出願日】2020-11-24
【審査請求日】2023-05-22
(73)【特許権者】
【識別番号】304014143
【氏名又は名称】サクサ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】杉山 綾
【審査官】越河 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-088806(JP,A)
【文献】特開2003-348616(JP,A)
【文献】特開2007-124212(JP,A)
【文献】特開2018-137540(JP,A)
【文献】特開2004-356974(JP,A)
【文献】特開2020-046817(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置から出力されるピクセルデータと同期信号とを取り込み、前記ピクセルデータに基づく画像処理を行う画像処理装置であって、
前記ピクセルデータをライン単位に記憶する第1のラインバッファと、
前記ピクセルデータをライン単位に記憶する第2のラインバッファと、
入力されるクロックに基づき前記同期信号を取り込み、取り込んだ同期信号をカウントしてX座標アドレスとY座標アドレスを生成し、前記X座標アドレスとY座標アドレスから各ラインバッファに対する書き込みアドレスを生成し、前記X座標アドレスと前記Y座標アドレスのそれぞれの最下位ビットを参照して書き込み許可信号を生成して前記ピクセルデータを前記第1のラインバッファ又は前記第2のラインバッファへ書き込み、前記X座標アドレスと前記Y座標アドレスの最下位ビットの組み合わせに基づき読み出しアドレスを生成し、前記クロックに同期して前記第1のラインバッファと前記第2のラインバッファから前記ピクセルデータを読み出すラインバッファ制御部と、
を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記ピクセルデータは、
輝度成分と、第1の色差成分と、第2の色差成分とを含み、
前記第1のラインバッファは、
前記ラインバッファ制御部による制御の下、偶数ラインに偶数ピクセルの前記輝度成分と奇数ピクセルの輝度成分とがそれぞれ独立して割り当てられて書き込まれる偶数ラインバッファと、
前記ラインバッファ制御部による制御の下、奇数ラインに偶数ピクセルの前記輝度成分と奇数ピクセルの輝度成分とがそれぞれ独立して割り当てられて書き込まれる奇数ラインバッファと、を含み、
前記第2のラインバッファは、
前記ラインバッファ制御部による制御の下、偶数フレームごと、前記偶数ラインに偶数ピクセルの前記第1の色差成分が割り当てられて書き込まれる第1の色差ラインバッファと、前記ラインバッファ制御部による制御の下、前記奇数ラインに偶数ピクセルの前記第2の色差成分が割り当てられて書き込まれる第2の色差ラインバッファと、を含み、
前記第1の色差ラインバッファには、更に、奇数フレームごと、前記奇数ラインに奇数ピクセルの第1の色差成分が割り当てられて書き込まれ、前記第2の色差ラインバッファには、前記偶数ラインに奇数ピクセルの前記第2の色差成分が割り当てられて書き込まれることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記ラインバッファ制御部は、
X座標アドレスとY座標アドレスの最下位ビットがともに0の場合、前記X座標アドレスは、最下位ビットを除く9ビット、前記Y座標アドレスは、最下位ビットを除く6ビットを使用して前記読み出しアドレスとし、
前記Y座標アドレスの最下位ビットが0で、前記X座標アドレスの最下位ビットが1の場合、前記X座標アドレスについて、前記奇数ラインバッファは、最下位ビットを除く9ビットを使用し、前記偶数ラインバッファは+1更新して使用し、前記Y座標アドレスについて、前記最下位ビットを除く6ビットを使用して前記読み出しアドレスとし、
前記X座標アドレスの最下位ビットが0で、前記Y座標アドレスの最下位ビットが1の場合、前記X座標アドレスは最下位ビットを除く9ビットを使用し、前記Y座標アドレスについて、前記奇数ラインバッファは、最下位ビットを除く9ビットを使用し、前記偶数ラインバッファは+1更新して使用し、前記読み出しアドレスとし、
前記X座標アドレスと前記Y座標アドレスの最下位ビットがともに1の場合、前記X座標アドレスについて、前記奇数ラインバッファは、最下位ビットを除く9ビットを使用し、前記偶数ラインバッファは、+1更新して使用し、前記Y座標アドレスについて、前記奇数ラインバッファは、最下位ビットを除く9ビットを使用し、前記偶数ラインバッファは、+1更新して使用して前記読み出しアドレスとし、前記偶数ラインバッファと前記奇数ラインバッファとから前記ピクセルデータを読み出すことを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記偶数ラインバッファから読み出された偶数ピクセルと奇数ピクセルの輝度成分値I1,I2、及び前記奇数ラインバッファからみ出された偶数ピクセルと奇数ピクセルの輝度成分値I3,I4のそれぞれが格納される出力データレジスタと、前記出力データレジスタから、それぞれの輝度成分値と小数点以下の輝度成分値(aがX補正量,bがY補正量)とから、I=I1*(1-a)*(1-b)+I2*a*(1-b)+13*(1-a)*b+I4*a*bで示す演算式を求めることにより、サブピクセル精度の輝度値を算出する補間演算部と、備えたことを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置から出力されるピクセルデータと同期信号とを取り込み、このピクセルデータに基づいて画像処理を行う画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像装置において、撮像レンズは、構成しているレンズの光学特性上、撮像素子に結像する被写体像に歪曲収差(デストーション)が生じる。これは、レンズの設計値としてのディストーションや製造誤差、個体差等によって生じる。このため、画像処理装置には、生成される画像データに対して信号処理により歪補正する歪処理部が設けられている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載されているように、予め歪量を測定してLUT(Look Up Table)等を参照することにより補整する方式や高次多項式によって近似して補正する等の歪補正方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の歪補正方法によれば、副走査方向の歪を補正するために数ライン分のラインバッファが必要になる。そして、このラインバッファに対し、歪補正により移動させる画素の基準となる画素データアドレスを指定してラインバッファの読み出しを制御し、歪補正量の画素単位未満の移動量分の補間値(画素データの中間値)を、画像の水平方向にX補正量、画像の垂直方向にY補正量として画素補間部に出力する。そして、画素補間部が、ラインバッフから読み出された移動元4画素データと、歪補正座標演算部からの画素未満移動量分の補間値とを取り込み、バイリニア補間で移動先の画素値を算出し、サブピクセル精度での画素補間処理を実行する。
【0006】
ところで、2×2の4ピクセルの中から輝度成分(Y)を4サンプル、最初のラインの2ピクセルから輝度と青色成分の差(色差U)を1サンプル、輝度成分と赤色成分との差(色差V)を1サンプル採るYUV422方式が色表現方法の一つとして知られている。このYUV422方式によれば、8ビットで量子化を行なった場合、4ピクセルで64ビット、1ピクセルあたり16ビットのデータ量になる。
【0007】
上記したYUV422方式を使用して色を表現した場合、撮像装置からこのYUV方式に基づき1ピクセルあたり12ビットのデータを単位に出力される。従来、例えば、VGA画像を扱う場合、
図4に示すように、入力されるピクセルデータ(Y0,Y1,U0,V0・・・)を、1024×1024ビット構成の1個のメモリ200に逐次保存していた。このため、画像処理装置が4ピクセル分の輝度成分と色差成分を読み出すためには、1個のメモリから4回読み出すか、あるいは4倍のクロック速度で読み出す必要があり、メモリアクセス過多によるタイムロスが発生し、サブピクセル精度での画素補間処理に遅延が生じることがある。
【0008】
本発明は、上記した課題を解決するためになされものであり、メモリアクセスによるタイムロスが画像処理に与える影響を回避し、特に、サブピグル処理時のメモリアクセス過多による処理の遅れを解決した画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)上記した課題を解決するために、本発明は、撮像装置から出力されるピクセルデータと同期信号とを取り込み、前記ピクセルデータに基づく画像処理を行う画像処理装置であって、前記ピクセルデータをライン単位に記憶する第1のラインバッファと、前記ピクセルデータをライン単位に記憶する第2のラインバッファと、前記ピクセルデータをライン単位に記憶する第3のラインバッファと、前記ピクセルデータをライン単位に記憶する第4のラインバッファと、入力されるクロックに基づき前記同期信号を取り込み、取り込んだ同期信号をカウントしてX座標アドレスとY座標アドレスを生成し、前記X座標アドレスとY座標アドレスから各ラインバッファに対する書き込みアドレスを生成し、前記X座標アドレスと前記Y座標アドレスのそれぞれの最下位ビットを参照して書き込み許可信号を生成して前記ピクセルデータを前記第1のラインバッファ又は前記第2のラインバッファ又は前記第3のラインバッファ又は前記第4のラインバッファへ書き込み、前記X座標アドレスと前記Y座標アドレスの最下位ビットの組み合わせに基づき読み出しアドレスを生成し、前記クロックに同期して前記第1のラインバッファと前記第2のラインバッファと前記第3のラインバッファと前記第4のラインバッファから前記ピクセルデータを読み出すラインバッファ制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
(2)本発明の画像処理装置において、前記ピクセルデータは、輝度成分と、第1の色差成分と、第2の色差成分とを含み、前記第1のラインバッファは、前記ラインバッファ制御部による制御の下、偶数ラインに偶数ピクセルの前記輝度成分と奇数ピクセルの輝度成分とがそれぞれ独立して割り当てられて書き込まれる偶数ラインバッファと、前記ラインバッファ制御部による制御の下、奇数ラインに偶数ピクセルの前記輝度成分と奇数ピクセルの輝度成分とがそれぞれ独立して割り当てられて書き込まれる奇数ラインバッファと、を含み、前記第2のラインバッファは、前記ラインバッファ制御部による制御の下、偶数フレームごと、前記偶数ラインに偶数ピクセルの前記第1の色差成分が割り当てられて書き込まれる第1の色差ラインバッファと、前記ラインバッファ制御部による制御の下、前記奇数ラインに偶数ピクセルの前記第2の色差成分が割り当てられて書き込まれる第2の色差ラインバッファと、を含み、前記第1の色差ラインバッファには、更に、奇数フレームごと、前記奇数ラインに奇数ピクセルの第1の色差成分が割り当てられて書き込まれ、前記第2の色差ラインバッファには、前記偶数ラインに奇数ピクセルの前記第2の色差成分が割り当てられて書き込まれることを特徴とする。
【0011】
(3)本発明の画像処理装置において、前記ラインバッファ制御部は、X座標アドレスとY座標アドレスの最下位ビットがともに0の場合、前記X座標アドレスは、最下位ビットを除く9ビット、前記Y座標アドレスは、最下位ビットを除く6ビットを使用して前記読み出しアドレスとし、前記Y座標アドレスの最下位ビットが0で、前記X座標アドレスの最下位ビットが1の場合、前記X座標アドレスについて、前記奇数ラインバッファは、最下位ビットを除く9ビットを使用し、前記偶数ラインバッファは+1更新して使用し、前記Y座標アドレスについて、前記最下位ビットを除く6ビットを使用して前記読み出しアドレスとし、前記X座標アドレスの最下位ビットが0で、前記Y座標アドレスの最下位ビットが1の場合、前記X座標アドレスは最下位ビットを除く9ビットを使用し、前記Y座標アドレスについて、前記奇数ラインバッファは、最下位ビットを除く9ビットを使用し、前記偶数ラインバッファは+1更新して使用し、前記読み出しアドレスとし、前記X座標アドレスと前記Y座標アドレスの最下位ビットがともに1の場合、前記X座標アドレスについて、前記奇数ラインバッファは、最下位ビットを除く9ビットを使用し、前記偶数ラインバッファは、+1更新して使用し、前記Y座標アドレスについて、前記奇数ラインバッファは、最下位ビットを除く9ビットを使用し、前記偶数ラインバッファは、+1更新して使用して前記読み出しアドレスとし、前記偶数ラインバッファと前記奇数ラインバッファとから前記ピクセルデータを読み出すことを特徴とする。
【0012】
(4)本発明の画像処理装置において、前記偶数ラインバッファから読み出された偶数ピクセルと奇数ピクセルの輝度成分値I1,I2、及び前記奇数ラインバッファからみ出された偶数ピクセルと奇数ピクセルの輝度成分値I3,I4のそれぞれが格納される出力データレジスタと、前記出力データレジスタから、それぞれの輝度成分値と小数点以下の輝度成分値(aがX補正量,bがY補正量)とから、I=I1*(1-a)*(1-b)+I2*a*(1-b)+13*(1-a)*b+I4*a*bで示す演算式を求めることにより、サブピクセル精度の輝度値を算出する補間演算部と、備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、メモリアクセスによるタイムロスが画像処理に与える影響を回避し、特に、サブピグル処理時のメモリアクセス過多による処理の遅れを解決した画像処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施の形態に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る画像処理装置のピクセルデータ書き込み時のラインバッファのデータ割り当て構造の一例を示す図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係る画像処理装置のピクセルデータ読み出し時のラインバッファのデータ割り当て構造の一例を示す図である。
【
図4】従来の像処理装置のピクセルデータ書き込み時のラインバッファのデータ割り当て構造の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、本実施形態と言う)について詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号又は符号を付している。
【0016】
(実施形態の構成)
図1に示すように、本実施形態に係る画像処理装置2は、撮像装置1から出力されるピクセルデータと同期信号とを取り込み、ピクセルデータに基づく画像処理を行う。なお、同期信号は、カメラクロック(CLK)と、水平同期信号(HSYNC)と垂直同期信号(VSYNC)を含む。
【0017】
撮像装置1は、内部構成についは図示省略したが、被写体からの入射光がレンズなどの光学系を通してCCD(Charge Coupled Device)や、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)で構成されるイメージセンサに集光され、ディジタル画像信号(ピクセルデータ)に変換され出力される。
【0018】
撮像装置1から出力されるピクセルデータは、同期信号とともに、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成される画像処理装置2に入力され、画像処理装置2で各種画像処理が施される。画像処理には、レンズの設計値によるディストーションや製造誤差、個体差による光学的な歪み、イメージセンサとレンズなどの光学系との相対的な位置ズレや回転ズレ、カメラを複数有するステレオカメラ装置にあっては、カメラ間の相対位置によるズレなどを補正する歪み補正処理が含まれる。画像処理が施された画像データは、図示省略したマイクロプロセッサに入力され、画像認識処理などの各種処理が施される。
【0019】
本実施形態に係る画像処理装置2を構成するFPGAは、通常、図示省略したROM(Read Only Memory)等の不揮発性メモリにコンフィギュレーションデータが格納されており、FPGAに電力が供給されると、すぐにコンフィギュレーションと呼ばれる動作が行われることによって、上記した画像処理を実行するための内部回路を構成することができる。
【0020】
画像処理装置2は、ラインバッファ20と、タイミング発生器21と、ラインバッファ制御部22と、出力データレジスタ23と、補間演算部24と、を含み構成される。
【0021】
ラインバッファ20は、少なくとも、ラインバッファ#0と、ラインバッファ#1を含み、前者(第1のラインバッファ)は、輝度成分保存用に、後者(第2のラインバッファ)は、色差成分保存用に割り当てられ使用される。タイミング発生器21は、撮像装置1から出力されるHSYNCの有効時のクロックをカウントし、HSYNCの立下りをカウントし、そして、VSYNCからフレームの立ち上がりを監視してラインバッファ制御部22に制御信号として出力する。
【0022】
ラインバッファ制御部22は、タイミング発生器21から出力される各種制御信号に基づいてX座標アドレスとY座標アドレスとを生成し、このX座標アドレスとY座標アドレスから各ラインバッファ#0,#1に対する書き込みアドレスを生成する。そして、X座標アドレスとY座標アドレスのそれぞれの最下位ビットを参照してWE信号(書き込み許可信号)を生成し、撮像装置1から出力されるピクセルデータをラインバッファ#0又はラインバッファ#1に書き込む制御を行う。また、ラインバッファ制御部22は、X座標アドレスとY座標アドレスの最下位ビットの組み合わせに基づき読み出しアドレスを生成し、クロックに同期してラインバッファ#0とラインバッファ#1とからピクセルデータを読み出す制御も行う。
【0023】
出力データレジスタ23は、ラインバッファ#0,#1から読み出されたピクセルデータをそれぞれ保持して補間演算部24へ出力する。補間演算部24は、出力データレジスタ23に保持されたピクセルデータに基づき、レンズの設計値によるディストーションや製造誤差、個体差による光学的な歪み、イメージセンサとレンズなどの光学系との相対的な位置ズレや回転ズレ、カメラを複数有するステレオカメラ装置にあっては、カメラ間の相対位置によるズレなどを補正する歪み補正処理を含む画像処理を行う。
【0024】
(実施形態の動作)
以下、撮像装置1から出力されるピクセルデータがYUV422方式にしたがって表現された場合の、本実施形態に係る画像処理装置2の動作について、
図2,
図3を参照して詳細に説明する。
【0025】
図2は、ピクセルデータ書き込み時のラインバッファ#1,#2のデータ割り当て構造の一例を示す図であり、
図2(a)に輝度成分のデータ割り当て構造を、
図2(b)に色差成分のデータ割り当て構造を示す。
【0026】
図2(a)に示すように、ラインバッファ#0は、2個の偶数ラインバッファ20y1,20y2と、2個の奇数ラインバッファ20y3,20y4の、合計4個のバッファメモリが割り当てられる。ラインバッファ制御部22は、入力されるクロックに基づき撮像装置1からHSYNCとVSYNVを含む同期信号を取り込み、取り込んだ同期信号をカウントしてX,Y座標アドレスを生成する。そして、X,Y座標アドレスから各ラインバッファ#0,#1に対する書き込みアドレスを生成し、X,Y座標アドレスのそれぞれの最下位ビットを参照してWE信号を生成し、ピクセルデータをラインバッファ#0又はラインバッファ#1へ書き込む。
【0027】
その結果、偶数ラインバッファ20y1,20y2には、副走査方向の偶数ラインに偶数ピクセルの輝度成分と奇数ピクセルの輝度成分とがそれぞれ独立して割り当てられて書き込まれ、奇数ラインバッファ20y3,20y4には、副走査方向の奇数ラインに偶数ピクセルの輝度成分と奇数ピクセルの輝度成分とがそれぞれ独立して割り当てられて書き込まれる。
【0028】
また、
図2(b)に示すように、ラインバッファ#1は、U専用ラインバッファ20u(第1の色差ラインバッファ)と、V専用ラインバッファ20v(第2の色差ラインバッファ)と、が割り当てられる。U専用ラインバッファ20uには、ラインバッファ制御部22の制御の下で、偶数フレームごと、偶数ラインに偶数ピクセルのU成分(第1の色差成分)が割り当てられて書き込まれる。V専用ラインバッファ20v(第2の色差ラインバッファ)は、奇数ラインに偶数ピクセルのV成分(第1の色差成分)が割り当てられて書き込まれる。U専用ラインバッファ20uには、更に、奇数フレームごと、奇数ラインに奇数ピクセルのU成分が割り当てられて書き込まれ、偶数ラインに奇数ピクセルのV成分が割り当てられて書き込まれる。
【0029】
以下、上記のようにして書き込まれたピクセルデータの輝度成分の読み出し動作について説明する。
図3は、ピクセルデータ読み出しのラインバッファ#0,#1のデータ割り当て構造の一例を示す図であり、
図3(a)に輝度成分のデータ割り当て構造、
図3(b)に色差成分のデータ割り当て構造を示す。
【0030】
ラインバッファ制御部22は、クロックに同期して偶数ラインバッファ20y1,20y2,奇数ラインバッファ20y3,20y4からピクセルデータの輝度成分(輝度値)を,U専用ラインバッファ20u,V専用ラインバッファ20vからピクセルデータの色成分(色差)を読み出す。
【0031】
例えば、X,Y座標アドレスの最下位ビットがともに“0”の場合、X座標アドレスは、最下位ビットを除く9ビット、Y座標アドレスは、最下位ビットを除く6ビットを使用して読み出しアドレスとして生成する。
【0032】
一方、Y座標アドレスの最下位ビットが0で、X座標アドレスの最下位ビットが1の場合、ラインバッファ制御部22は、X座標アドレスについて、奇数ラインバッファ20y3,20y4は、最下位ビットを除く9ビットを使用し、偶数ラインバッファ20y1,20y2は+1更新して使用し、Y座標アドレスについて、最下位ビットを除く6ビットを使用して読み出しアドレスとして生成する。そして、偶数ラインバッファ20y1,20y2と、奇数ラインバッファ20y3,20y4とからそれぞれのピクセルデータを読み出し、出力データレジスタ23に保持する。
【0033】
また、X座標アドレスの最下位ビットが0で、Y座標アドレスの最下位ビットが1の場合、ラインバッファ制御部22は、X座標アドレスとして最下位ビットを除く9ビットを使用し、Y座標アドレスとして、奇数ラインバッファ20y3,20y4は、最下位ビットを除く9ビットを使用し、偶数ラインバッファは+1更新して使用し、それぞれ読み出しアドレスとして生成する。そして、偶数ラインバッファ20y1,20y2と、奇数ラインバッファ20y3,20y4とからそれぞれのピクセルデータを読み出し、出力データレジスタ23に保持する。
【0034】
また、X,Y座標アドレスの最下位ビットがともに“1”の場合、ラインバッファ制御部22は、X座標アドレスとして、奇数ラインバッファ20y3,20y4は、最下位ビットを除く9ビットを使用し、偶数ラインバッファ20y1,20y2は、+1更新して使用する。又、Y座標アドレスとして、奇数ラインバッファ20y3,20y4は、最下位ビットを除く9ビットを使用し、偶数ラインバッファは、+1更新して使用して読み出しアドレスとして生成する。そして、偶数ラインバッファ20y1,20y2と、奇数ラインバッファ20y3,20y4とからそれぞれのピクセルデータを読み出し、出力データレジスタ23に保持する。
【0035】
このように、輝度成分について偶数ラインバッファ20y1,20y2、奇数ラインバッファ20y3,20y4のそれぞれから読み出せば、
図3(a)に示すように。例えば、Y0,Y1,Y2,Y3の周囲4ピクセルの輝度成分の読み出しが可能になる。
【0036】
次に、補間演算部24は、読み出された4つの輝度値から求める輝度値を算出する。すなわち、偶数ラインバッファ20y1,20y2から読み出され出力データレジスタ23に保持された偶数ピクセルと奇数ピクセルの輝度成分値I1,I2、及び奇数ラインバッファ20y3,20y4から読み出され、出力データレジスタ23に保持された偶数ピクセルと奇数ピクセルの輝度成分値I3,I4に基づき、それぞれの輝度成分値と小数点以下の輝度成分値(aがX補正量,bがY補正量)とから、I=I1*(1-a)*(1-b)+I2*a*(1-b)+13*(1-a)*b+I4*a*bで示される演算式を求めることによりサブピクセル精度の輝度値を算出する。そして、その合計値をピクセル未満での成分の分解能で除算することにより最終的な輝度値が算出される。
【0037】
なお、色差成分の読み出しについては、U専用ラインバッファ20uとV専用ラインバッファ20vのそれぞれから奇遇ライン単位で読み出し、読み出し時に保存されていない色差成分については、
図3(b)において矢印で表記したように、上下に隣接するラインの色差成分で補間することにより、見た目に影響の無い色表現が可能になる。
【0038】
(実施形態の効果)
以上説明のように本実施形態に係る画像処理装置2によれば、ピクセルデータをライン単位に記憶するラインバッファ#0,#1(20)を設け、ラインバッファ制御部22が、入力されるクロックに基づき同期信号を取り込み、取り込んだ同期信号をカウントしてX,Y座標アドレスを生成し、X,Y座標アドレスからラインバッファ#1,#2に対する書き込みアドレスを生成する。そして、ラインバッファ制御部22は、生成されたX,Y座標アドレスのそれぞれの最下位ビットを参照して書き込み許可信号を生成し、ピクセルデータをラインバッファ#0又はラインバッファ#1へ書き込む。又、X,Y座標アドレスの最下位ビットの組み合わせに基づき読み出しアドレスを生成し、クロックに同期してラインバッファ#0とラインバッファ#1からピクセルデータを読み出す。この構成により、1回のメモリアクセスで必要なピクセルデータを取得することができるため、メモリアクセスによるタイムロスが画像処理に与える影響を回避することができる。
【0039】
また、本実施形態に係る画像処理装置2によれば、ピクセルデータに輝度成分と色差成分が含まれる場合、ラインバッファ制御部22は、ラインバッファ#0に、偶数ラインバッファ20y1,20y2と、奇数ラインバッファ20y3,20y4とを割り当てる。そして、偶数ラインバッファ20y1,20y2に対し、偶数ラインに偶数ピクセルの輝度成分と奇数ピクセルの輝度成分とをそれぞれ独立して書き込み、奇数ラインバッファ20y3,20y4に対し、奇数ラインに偶数ピクセルの輝度成分と奇数ピクセルの輝度成分とをそれぞれ独立して割り当て書き込む制御を行なう。
【0040】
又、ラインバッファ制御部22は、ラインバッファ#1に、U専用ラインバッファ20U(第1の色差ラインバッファ)と、V専用ラインバッファ20v(第2の色差ラインバッファ)とを割り当てる。そして、U専用ラインバッファ20Uに、偶数フレームごと、偶数ラインに偶数ピクセルのU成分(第1の色差成分)を割り当てて書き込み、V専用ラインバッファ20vに、奇数ラインに偶数ピクセルのV成分を割り当てて書き込む。又、U専用ラインバッファ20uには、更に、奇数フレームごと、奇数ラインに奇数ピクセルのU成分を割り当て、V専用ラインバッファ20vには、更に、偶数ラインに奇数ピクセルのV成分を割り当て書き込む制御を行う。
【0041】
ラインバッファ制御部22は、X,Y座標アドレスの最下位ビットがともに0の場合、X座標アドレスは最下位ビットを除く9ビット、Y座標アドレスは、最下位ビットを除く6ビットを使用して読み出しアドレスとして生成する。又、Y座標アドレスの最下位ビットが0で、X座標アドレスの最下位ビットが1の場合、X座標アドレスについて、奇数ラインバッファ20y3,20y4は、最下位ビットを除く9ビットを使用し、偶数ラインバッファ20y1,20y2は+1更新して使用し、Y座標アドレスについて、最下位ビットを除く6ビットを使用して読み出しアドレスとして生成する。そして、偶数ラインバッファ20y1,20y2と奇数ラインバッファ20y3,2oy4とから輝度成分を読み出す制御を行う。
【0042】
また、ラインバッファ制御部22は、X座標アドレスの最下位ビットが0で、Y座標アドレスの最下位ビットが1の場合、X座標アドレスは最下位ビットを除く9ビットを使用し、Y座標アドレスについて、奇数ラインバッファ20y3,20y4は、最下位ビットを除く9ビットを使用し、偶数ラインバッファ20y1,20y2は+1更新して使用して読み出しアドレスとして生成する。又、X,Y座標アドレスの最下位ビットがともに1の場合、X座標アドレスについて、奇数ラインバッファ20y3,20y4は、最下位ビットを除く9ビットを使用し、偶数ラインバッファ20y1,20y2は、+1更新して使用し、Y座標アドレスについて、奇数ラインバッファ20y3,20y4は、最下位ビットを除く9ビットを使用し、偶数ラインバッファ20y1,20y2は、+1更新して使用して読み出しアドレスとして生成する。そして、偶数ラインバッファ20y1,200y2と奇数ラインバッファ20y3,20y4とからピクセルデータの輝度成分を読み出す制御を行う。
【0043】
偶数ラインバッファ20y1,20y2から読み出され偶数ピクセルと奇数ピクセルの輝度成分、及び奇数ラインバッファ20y3,20y4から読み出された偶数ピクセルと奇数ピクセルの輝度成分は出力データレジスタ23に保持される。そして、補間演算部24が、出力データレジスタ23に保持されたピクセルデータに基づき、それぞれの輝度成分値と小数点以下の輝度成分値とから、周知の補正演算式にしたがい補間演算することよりサブピクセル精度の輝度値を算出することができる。
【0044】
本実施形態に係る画像処理装置2によれば、上記したデータ割り当て構造(メモリ配置)を採用することにより、周囲4ピクセルの輝度成分が1回のメモリアクセスで取得できるため、サブピグル処理時のメモリアクセス過多による処理の遅れを回避できる。又、色差成分の読み出しについては、U専用ラインバッファ20uとV専用ラインバッファ20vのそれぞれから奇遇ライン単位で読み出し、読み出し時に保存されていない色差成分については、上下に隣接するラインの色差成分で補間することにより、見た目に影響の無い色表現が可能になる。
【0045】
なお、本実施形態に係る画像処理装置によれば、撮像装置1から出力されるピクセルデータの色の表現方式に、YUV422方式を使用したケースについてのみ説明したが、YUV422方式に制限されず、他のYUV方式、あるいはRGBで色が表現されるケースにおいても同様に適用が可能である。また、本実施形態に係る画像処理装置2によれば、画像処理装置2をFPGAで構成する場合のみ例示したが、他に、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やDSP(Digital Signal Processor)等によって実現される構成でも構わない。
【0046】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またその様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0047】
1 撮像装置、2 画像処理装置、20ラインバッファ(#0 第1のラインバッファ、#1 第2のラインバッファ)、20y1,20y2 偶数ラインバッファ、20y3,20y4 奇数ラインバッファ、20u U専用ラインバッファ(第1の色差ラインバッファ)、20v V専用ラインバッファ(第2の色差ラインバッファ)、21 タイミング発生器、22 ラインバッファ制御部、23 出力データレジスタ、24 補間演算部