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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-25
(45)【発行日】2024-10-03
(54)【発明の名称】導光板、および、表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/01 20060101AFI20240926BHJP
   G02B 6/00 20060101ALI20240926BHJP
   G02B 5/32 20060101ALI20240926BHJP
   G02B 5/18 20060101ALI20240926BHJP
   B60K 35/23 20240101ALI20240926BHJP
【FI】
G02B27/01
G02B6/00 301
G02B5/32
G02B5/18
B60K35/23
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021060015
(22)【出願日】2021-03-31
(65)【公開番号】P2022156367
(43)【公開日】2022-10-14
【審査請求日】2023-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】322003857
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】笠澄 研一
(72)【発明者】
【氏名】杉山 圭司
(72)【発明者】
【氏名】長久 幸広
(72)【発明者】
【氏名】末吉 正史
(72)【発明者】
【氏名】南 和博
【審査官】井亀 諭
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-523634(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106773057(CN,A)
【文献】特開2021-033252(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01
G02B 6/00
G02B 5/32
G02B 5/18
B60K 35/23
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分割露光で形成され、回折方向が全て同一の複数の回折セルを有する第一ホログラム素子を備え、
前記第一ホログラム素子が有する前記複数の回折セルのうちの一の回折セルの端縁線の少なくとも一つは、当該一の回折セルと隣接する回折セルの全ての端縁線の延長上とは異なる位置に位置している
導光板。
【請求項2】
前記第一ホログラム素子が有する前記複数の回折セルのそれぞれは、多角形形状を有し、隣接する回折セルと端縁線を共有する位置に位置している
請求項1に記載の導光板。
【請求項3】
前記第一ホログラム素子が有する前記複数の回折セルのそれぞれは、正六角形形状を有する
請求項2に記載の導光板。
【請求項4】
前記第一ホログラム素子が有する前記複数の回折セルのそれぞれは、正方形形状を有する
請求項2に記載の導光板。
【請求項5】
複数の回折セルを有する第一ホログラム素子を備え、
前記第一ホログラム素子が有する前記複数の回折セルのうちの一の回折セルの端縁線の少なくとも一つは、当該一の回折セルと隣接する回折セルの全ての端縁線の延長上とは異なる位置に位置し、
前記第一ホログラム素子が有する前記複数の回折セルのそれぞれは、正三角形形状を有する
光板。
【請求項6】
前記導光板は、さらに、複数の回折セルを有する第二ホログラム素子を備え、
前記第二ホログラム素子が有する前記複数の回折セルのうちの一の回折セルの全ての端縁線は、当該一の回折セルと隣接する回折セルの端縁線の延長上に位置している
請求項5に記載の導光板。
【請求項7】
前記第二ホログラム素子が有する前記複数の回折セルのそれぞれは、正方形形状を有し、隣接する回折セルと端縁線を共有する位置に位置している
請求項6に記載の導光板。
【請求項8】
前記第一ホログラム素子は、前記導光板の内部を伝搬してきた光を回折によって偏向することで前記導光板の外部へ出射させる位置に位置している
請求項~7のいずれか1項に記載の導光板。
【請求項9】
前記第二ホログラム素子は、前記導光板の外部から内部へ入射した光を回折によって偏向することで前記導光板の内部で伝搬させる位置に位置している
請求項に記載の導光板。
【請求項10】
前記導光板は、
前記第一ホログラム素子である、出射側ホログラム素子と、
2つの前記第二ホログラム素子である、入射側ホログラム素子および偏向用ホログラム素子とを備え、
前記入射側ホログラム素子は、前記導光板の外部から内部へ入射した光を回折によって偏向することで前記導光板の内部で伝搬させる位置に位置していて、
前記偏向用ホログラム素子は、前記入射側ホログラム素子が偏向した光を回折によって偏向することで前記導光板の内部で伝搬させる位置に位置していて、
前記出射側ホログラム素子は、前記偏向用ホログラム素子が偏向した光を回折によって
偏向することで前記導光板の外部へ出射させる位置に位置している
請求項6または7に記載の導光板。
【請求項11】
請求項に記載の導光板と、
画像を示す光を生成して前記導光板に入射させる画像生成装置とを備える
表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導光板、および、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示画像の広画角化を図り得る光学装置が開示されている(特許文献1参照)。上記光学装置は、導光板内に複数のホログラム素子を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-112746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、導光板を用いて表示される画像の品質が低下することがある。
【0005】
そこで、本発明は、表示される画像の品質の低下を抑制する導光板などを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る導光板は、複数の回折セルを有する第一ホログラム素子を備え、前記第一ホログラム素子が有する前記複数の回折セルのうちの一の回折セルの端縁線の少なくとも一つは、当該一の回折セルと隣接する回折セルの全ての端縁線の延長上とは異なる位置に位置している導光板である。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る導光板は、表示される画像の品質の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施の形態に係る表示装置が設置される車両の一例を示す模式図である。
図2図2は、表示装置の構成を示す模式図である。
図3図3は、実施の形態に係る導光板の構成を示す模式図である。
図4図4は、実施の形態に係るホログラム素子の作成方法の例を示す説明図である。
図5図5は、実施の形態に係る回折セルの形状と配置パターンとの第一例の説明図である。
図6図6は、実施の形態に係る回折セルの形状と配置パターンとの第二例の説明図である。
図7図7は、実施の形態に係る回折セルの形状と配置パターンとの第三例の説明図である。
図8図8は、実施の形態に係る回折セルの形状と配置パターンとの第四例の説明図である。
図9図9は、実施の形態に係る回折セルの形状と配置パターンとの第五例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(本発明の基礎となった知見)
車両のウィンドシールド(一般にフロントガラスともよばれる)などの透明板に画像を投影し、透明板の向こう側の景色とともに当該画像を運転者などのユーザに視認させる表示装置がある。このような表示装置は、一般に、ヘッドアップディスプレイ装置ともよばれる。
【0010】
図1は、表示装置1が設置される車両の一例である車両5を示す模式図である。図2は、表示装置1の構成を示す模式図である。
【0011】
図1に示されるように、車両5は、表示装置1と、ウィンドシールド20とを備える。表示装置1は、例えば、ウィンドシールド20の下部に設置され、上方つまりウィンドシールド20に向けて、画像の表示に係る光(表示光ともいう)を出射する。表示装置1は、例えばダッシュボードの内部に設置される。表示装置1が出射する表示光の光路は確保されており、言い換えれば、出射された表示光は、遮られずにウィンドシールド20に到達する。表示装置1の構成について、より詳しく説明する。
【0012】
図2に示されるように、表示装置1は、導光板10と、画像生成装置17とを備える。
【0013】
画像生成装置17は、表示光を生成して導光板10に提供する装置である。画像生成装置17は、例えば、画像生成装置17が有する光源(不図示)から出射された光を、液晶などの画像形成素子に照射することで表示光を生成する。画像生成装置17は、生成した表示光を導光板10に向けて出射する。
【0014】
導光板10は、画像生成装置17が生成した表示光のビーム幅を拡大しながら偏向する板体である。ここで、ビーム幅とは、光の進行方向に対して垂直な方向における光束の幅を意味する。
【0015】
導光板10には、画像生成装置17が生成した表示光が入射される。入射された表示光は、導光板10内で導光され、導光板10の外部に光L3として出射される。光L3は、ウィンドシールド20により反射されて光L5となり、ユーザUの眼に入射する。導光板10は、光L3がウィンドシールド20に向けて出射される位置および姿勢で設置されている。
【0016】
導光板10による表示光のビーム幅の拡大と偏向とは、導光板10が有する複数の回折素子を用いてなされる。そのため、導光板10が有する複数の回折素子それぞれは、表示光を適切な方向に回折する回折特性を有し、また、適切な寸法を有している。
【0017】
ユーザUは、表示光である光L5が目に入射したことにより、画像生成装置17が生成した画像を視認する。ユーザUは、表示光である光L5によって視認する画像を、ウィンドシールド20の向こう側に位置する虚像14として認識する。
【0018】
導光板10が有する上記の機能は、凹面鏡などの光学部材によっても実現され得る。ただし、凹面鏡などの光学部材によって実現する場合よりも、導光板10を用いるほうが、表示装置1の寸法を小さくすることができる利点がある。表示装置1は、車両5の例えばダッシュボード内部に設置されるので、寸法を小さくすることで、設置の自由度がより高くなる利点がある。
【0019】
しかしながら、導光板10を用いて表示される画像の品質が低下することがある。具体的には、導光板10が有する複数の回折素子が有する回折セルの配置が適切でない場合、表示装置1によって表示される画像に直線状のずれやノイズ光が生じ、このずれが画像の品質の低下としてユーザに認識されることがある。
【0020】
そこで、本発明は、表示される画像の品質の低下を抑制する導光板などを提供することを目的とする。
【0021】
本発明の一態様に係る導光板は、複数の回折セルを有する第一ホログラム素子を備え、前記第一ホログラム素子が有する前記複数の回折セルのうちの一の回折セルの端縁線の少なくとも一つは、当該一の回折セルと隣接する回折セルの全ての端縁線の延長上とは異なる位置に位置している導光板である。
【0022】
上記態様によれば、導光板の第一ホログラム素子が有する回折セルの端縁線の少なくとも一つが、隣接する回折セルの端縁線の延長上とは異なる位置にあるので、回折セルの端縁線が、複数の回折セルに亘って直線状に連なって存在することが抑制される。これにより、表示画像におけるずれやノイズ光が直線状に生ずることが抑制される。このようにして、導光板は、表示される画像の品質の低下を抑制することができる。
【0023】
また、前記第一ホログラム素子が有する前記複数の回折セルのそれぞれは、多角形形状を有し、隣接する回折セルと端縁線を共有する位置に位置していてもよい。
【0024】
上記態様によれば、導光板の第一ホログラム素子は、多角形形状を有する複数の回折セルにより構成される。このような複数の回折セルを有する第一ホログラム素子は、例えば分割露光を用いた方法で容易に作成され得る。よって、導光板は、より容易に作成され、かつ、表示される画像の品質の低下を抑制することができる。
【0025】
また、前記第一ホログラム素子が有する前記複数の回折セルのそれぞれは、正六角形形状を有してもよい。
【0026】
上記態様によれば、導光板の第一ホログラム素子は、正六角形形状を有する回折セルを有するので、回折セルの端縁線が、複数の回折セルに亘って直線状に連なって存在することが回避される。これにより、表示画像におけるずれやノイズ光が直線状に生ずることが回避される。また、単位面積当たりの端縁線の長さを短くすることができるので、表示画像に生ずるずれやノイズ光の総量を小さくすることができる。また、例えば分割露光を用いた方法で作成される場合の露光の回数を少なくすることができ、第一ホログラム素子の作成時の効率の向上に寄与し得る。よって、導光板は、ホログラム素子の作成時の効率を向上しながら、表示される画像の品質の低下をより一層抑制することができる。
【0027】
また、前記第一ホログラム素子が有する前記複数の回折セルのそれぞれは、正方形形状を有してもよい。
【0028】
上記態様によれば、導光板の第一ホログラム素子は、正方形形状を有する回折セルを有するので、回折セルの端縁線が、複数の回折セルに亘って直線状に連なって存在することが抑制される。このとき、同一の直線上に端縁線を有する複数の回折セルが存在する場合には、その並び方向には、回折セルの端縁線が複数の回折セルに亘って直線状に連なって存在することがあるが、上記並び方向を除く方向では、複数の回折セルに亘って直線状に連なって存在することが回避される。よって、導光板は、表示される画像の品質の低下をより一層抑制することができる。
【0029】
また、前記第一ホログラム素子が有する前記複数の回折セルのそれぞれは、正三角形形状を有してもよい。
【0030】
上記態様によれば、導光板の第一ホログラム素子は、正三角形形状を有する回折セルを有するので、回折セルの端縁線が、複数の回折セルに亘って直線状に連なって存在することが抑制される。このとき、同一の直線上に端縁線を有する複数の回折セルが存在する場合には、その並び方向には、回折セルの端縁線が複数の回折セルに亘って直線状に連なって存在することがあるが、上記並び方向を除く方向では、複数の回折セルに亘って直線状に連なって存在することが回避される。よって、導光板は、表示される画像の品質の低下をより一層抑制することができる。
【0031】
また、前記導光板は、さらに、複数の回折セルを有する第二ホログラム素子を備え、前記第二ホログラム素子が有する前記複数の回折セルのうちの一の回折セルの全ての端縁線は、当該一の回折セルと隣接する回折セルの端縁線の延長上に位置していてもよい。
【0032】
上記態様によれば、導光板の第二ホログラム素子が有する回折セルの全ての端縁線が、隣接する回折セルの端縁線の延長上に位置しているので、作成が容易である。また、第二ホログラム素子に形成される干渉縞の精度の向上が可能であるので、表示される画像の品質の向上に寄与し得る。このようにして、導光板は、ホログラム素子の作成をより容易にしながら、表示される画像の品質の低下を抑制することができる。
【0033】
また、前記第二ホログラム素子が有する前記複数の回折セルのそれぞれは、正方形形状を有し、隣接する回折セルと端縁線を共有する位置に位置していてもよい。
【0034】
上記態様によれば、導光板の第二ホログラム素子が、正方形形状を有する複数の回折セルにより構成される。このような複数の回折セルを有する第一ホログラム素子は、例えば分割露光を用いた方法で容易に作成され得る。よって、導光板は、表示される画像の品質の低下をより容易に抑制することができる。
【0035】
また、前記第一ホログラム素子は、前記導光板の内部を伝搬してきた光を回折によって偏向することで前記導光板の外部へ出射させる位置に位置していてもよい。
【0036】
上記態様によれば、導光板の第一ホログラム素子が、導光板の内部を伝搬してきた光を回折によって偏向することで導光板の外部へ出射させる。よって、導光板は、第一ホログラム素子による回折により、導光板の外部へ光を出射させることができる。
【0037】
また、前記第二ホログラム素子は、前記導光板の外部から内部へ入射した光を回折によって偏向することで前記導光板の内部で伝搬させる位置に位置していてもよい。
【0038】
上記態様によれば、導光板の第二ホログラム素子は、導光板の外部から内部へ入射した光を回折によって偏向することで導光板の内部で伝搬させる。よって、導光板は、第二ホログラム素子による回折により、導光板の内部に光を伝搬させることができる。
【0039】
また、前記導光板は、前記第一ホログラム素子である、出射側ホログラム素子と、2つの前記第二ホログラム素子である、入射側ホログラム素子および偏向用ホログラム素子とを備え、前記入射側ホログラム素子は、前記導光板の外部から内部へ入射した光を回折によって偏向することで前記導光板の内部で伝搬させる位置に位置していて、前記偏向用ホログラム素子は、前記入射側ホログラム素子が偏向した光を回折によって偏向することで前記導光板の内部で伝搬させる位置に位置していて、前記出射側ホログラム素子は、前記偏向用ホログラム素子が偏向した光を回折によって偏向することで前記導光板の外部へ出射させる位置に位置していてもよい。
【0040】
上記態様によれば、導光板は、1個の第一ホログラム素子を出射側ホログラム素子として用い、また、2個の第二ホログラム素子を入射側ホログラム素子および偏向用ホログラム素子として用いて、より適切に、表示される画像の品質の低下を抑制することができる。
【0041】
また、本発明の一態様に係る表示装置は、上記の導光板と、画像を示す光を生成して前記導光板に入射させる画像生成装置とを備える表示装置である。
【0042】
上記態様によれば、表示装置は、導光板を用いて、表示される画像の品質の低下を抑制することができる。
【0043】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0044】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0045】
(実施の形態)
本実施の形態において、表示される画像の品質の低下を抑制する導光板および表示装置について説明する。本実施の形態の導光板および表示装置は、車両のウィンドシールドに、画像を投影することで表示する表示装置である。以降の説明において、図に示されるXYZ軸を用いて説明することがある。
【0046】
図3は、本実施の形態に係る導光板10の構成を示す模式図である。図3の(a)は、導光板10を上面視した場合、つまり、Z軸プラス方向から見た構成を示す図である。図3の(b)は、導光板10を側面視した場合、つまり、Y軸マイナス方向から見た場合の構成を示す図である。図3の(c)は、導光板10を側面視した場合、つまり、X軸プラス方向から見た場合の構成を示す図である。
【0047】
図3に示されるように、導光板10は、透明部材15を有し、透明部材15の内部または表面にホログラム素子11、12および13(ホログラム素子11等ともいう)を有する。導光板10は、入射された光L1を導光板10内部で全反射によって導光し、また、ホログラム素子11、12および13による回折によって偏向された光を、導光板10の外部に光L3として出射する。透明部材15は、ガラスまたは樹脂などで構成されている。
【0048】
導光板10に入射される光L1は、Y軸プラス方向およびZ軸プラス方向に進行する光である。光L1は、画像生成装置17が生成した表示光であることが想定される。導光板10は、表示装置1の使用状態(つまり、表示装置1が図2に示されるように設置された状態)において、図3に示されるような適切な角度で光L1が入射される位置および姿勢で設置されている。
【0049】
ホログラム素子11は、導光板10の内部または表面に配置されている回折素子である。ホログラム素子11は、導光板10の外部から内部へ入射した光L1を、回折によって偏向することで、導光板10の内部で伝搬させる。ホログラム素子11は、上面視において直線状の干渉縞が形成されており、干渉縞による回折によって光L1を偏向し、光L12とする。光L12は、X軸マイナス方向へ進行する光である。光L12は、透明部材15と空気との界面で全反射を繰り返すことで導光板10内部をX軸マイナス方向へ伝搬する。
【0050】
ホログラム素子11に形成されている干渉縞は、光L12が透明部材15と空気との界面で全反射をするように光L1を偏向させる干渉縞である。上記干渉縞は、具体的には、界面への光L12の入射角が臨界角より大きい状態を保つように、光L1を偏向させる。
【0051】
ホログラム素子12は、導光板10の内部または表面に配置されている回折素子である。ホログラム素子12は、ホログラム素子11によって偏向された光L12を、回折によって偏向することで、導光板10の内部で伝搬させる。ホログラム素子12は、上面視において直線状の干渉縞が形成されており、干渉縞による回折によって光L12を偏向し、光L23とする。光L23は、Y軸プラス方向へ進行する光である。光L23は、透明部材15と空気との界面で全反射を繰り返すことで導光板10内部をY軸プラス方向へ伝搬する。
【0052】
ホログラム素子12に形成されている干渉縞は、光L23が透明部材15と空気との界面で全反射をするように光L12を偏向させる干渉縞である。上記干渉縞は、具体的には、界面への光L23の入射角が臨界角より大きい状態を保つように、光L12を偏向させる。
【0053】
ホログラム素子13は、導光板10の内部または表面に配置されている回折素子である。ホログラム素子13は、ホログラム素子12によって偏向された光L23を、回折によって偏向することで、導光板10の外部へ出射させる。ホログラム素子13は、上面視において直線状の干渉縞が形成されており、干渉縞による回折によって光L23を偏向し、光L3とする。光L3は、Y軸プラス方向およびZ軸プラス方向へ進行する光である。
【0054】
ホログラム素子13に形成されている干渉縞は、光L3が透明部材15と空気との界面で、全反射せずに、光L3が導光板10から出射するように光L23を偏向させる干渉縞である。上記干渉縞は、具体的には、界面への光L3の入射角が臨界角より小さい状態を保つように、光L23を偏向させる。
【0055】
ホログラム素子11を入射側ホログラム素子ともいう。ホログラム素子12を偏向用ホログラム素子ともいう。ホログラム素子13を出射側ホログラム素子ともいう。
【0056】
導光板10は、表示装置1の使用状態で、出射する光L3がウィンドシールド20に向かう位置および姿勢で設置されている。光L3は、導光板10から出射された後にウィンドシールド20による反射を経てユーザUの眼に入射する。
【0057】
ホログラム素子11等が有する回折セルの特徴を説明する。回折セルとは、同一の回折特性を有する領域である。一の回折セル内では、所定のパターンを有する干渉縞が形成されており、ホログラム素子11等は、形成されている干渉縞によって光を回折させる。
【0058】
ホログラム素子11等は、二以上の回折セルを有する。二以上の回折セルのうち互いに隣接する回折セルの境界では、干渉縞のパターンのずれやノイズ光が生ずることがある。干渉縞のパターンのずれは、回折する光の光路のずれを生じさせる。その結果、その光によって表示される画像(表示画像ともいう)において、回折セルの端縁線の形状に対応したずれやノイズ光が生ずることで、表示画像の劣化が引き起こされる。上記の表示画像のずれやノイズ光は、表示画像において散らばって存在しているときにはユーザUに認識されにくいが、例えば直線状に連なって存在しているときなどにはユーザUに認識されやすいという性質がある。
【0059】
ここで、回折セルの端縁線とは、回折セルの端縁を示す線である。回折セルが、隣の回折セルと隙間なく隣接して配置されている場合には、これらの回折セルは端縁線を共有する。また、この場合には、端縁線は、互いに隣接する回折セルの境界を示す境界線と一致する。
【0060】
ホログラム素子13は、回折セルの端縁線について以下の特徴を有する。
【0061】
すなわち、ホログラム素子13(第一ホログラム素子に相当)が有する複数の回折セルのうちの一の回折セルの端縁線の少なくとも一つは、当該一の回折セルと隣接する回折セルの全ての端縁線の延長上とは異なる位置に位置している。
【0062】
これにより、端縁線が複数の回折セルに亘って直線状に連なって存在することを抑制することができる。そして、回折セルの境界の干渉縞のパターンのずれに起因する表示画像のずれが、表示画像において直線状に連なって存在することが抑制される。その結果、表示画像のずれやノイズ光がユーザUに認識されにくくなる。
【0063】
ホログラム素子13が有する複数の回折セルのそれぞれは、例えば、多角形形状を有し、隣接する回折セルと端縁線を共有する位置に位置している。この場合、多角形形状が有する辺のそれぞれが、端縁線に相当する。
【0064】
多角形形状は、例えば、六角形形状であり、正六角形形状であってもよい。また、多角形形状は、例えば、四角形形状であり、正方形形状であってもよい。また、多角形形状は、例えば、三角形形状であり、正三角形形状であってもよい。多角形形状を有する回折セルの形状および配置パターンの具体例はあとで説明する。
【0065】
また、ホログラム素子11または12は、回折セルの端縁線について以下の特徴を有していてもよい。
【0066】
すなわち、ホログラム素子11または12(第二ホログラム素子に相当)が有する複数の回折セルのうちの一の回折セルの全ての端縁線は、当該一の回折セルと隣接する回折セルの端縁線の延長上に位置していてもよい。そして、ホログラム素子11または12が有する複数の回折セルのそれぞれは、四角形形状を有し、隣接する回折セルと端縁線を共有する位置に位置していてもよい。これにより、ホログラム素子11または12の分割露光による作成(後述)が容易となる利点がある。
【0067】
以降において、ホログラム素子の作成方法の一例として、分割露光による作成方法を説明する。
【0068】
図4は、本実施の形態に係るホログラム素子11等の作成方法の例を示す説明図である。
【0069】
分割露光による作成方法では、感光部材47を分割した複数の領域ごとに順次に干渉縞が形成される。複数の領域のうちから選択される一の対象領域48には、一度の露光で干渉縞が形成される。感光部材47に含まれる複数の領域が順次に対象領域48として選択されて露光により干渉縞が形成されることで、結果的に感光部材47の全面に干渉縞が形成される。
【0070】
コンピュータ45は、感光部材47が有する複数の領域のうちから一の対象領域48を選択する。コンピュータ45は、選択した対象領域48に形成すべき干渉縞のパターンを示す画像を反射型液晶素子であるLCOS(Liquid Crystal On Silicon)素子44に形成する。また、コンピュータ45は、LCOS素子44により反射された光と、平面ミラー46により反射された光とが対象領域48に照射されるように感光部材47を平行移動させる。
【0071】
レーザ光源41から出射された光がレンズ42を経てビームスプリッタ43に至る。ビームスプリッタ43を透過した光は、LCOS素子44により反射されて感光部材47の対象領域48に至る。LCOS素子44には、対象領域48に形成すべき干渉縞のパターンを示す画像がコンピュータ45により形成されている。LCOS素子44により反射された光には、干渉縞のパターンを示す画像が含まれている。また、ビームスプリッタ43により反射された光は、平面ミラー46により反射されて感光部材47の対象領域48に至る。
【0072】
対象領域48には、LCOS素子44により反射された光と、平面ミラー46により反射された光との干渉により生じた干渉縞が記録される。一の対象領域48に干渉縞を記録する上記の処理を、感光部材47のうちの複数の領域のすべてに順次に行うことで、感光部材47の全面に複数の回折セルが形成される。このように干渉縞が記録された感光部材47がホログラム素子となる。
【0073】
分割露光を用いる方法では、感光部材47の全面に複数の回折セルが形成されるので、回折セルの境界において干渉縞のずれが生ずる。干渉縞のずれは、回折する光の光路のずれを生じさせ、その結果、当該光に基づく表示画像の劣化を引き起こす。
【0074】
以降において、ホログラム素子13が有する回折セルの形状と配置パターンとを具体的に説明する。
【0075】
図5は、実施の形態に係る回折セルの形状と配置パターンとの第一例の説明図である。図5は、図3に示される破線枠Vの内部の一例を詳細に示すものである。
【0076】
図5に示される回折セルは、ホログラム素子13が有する回折セルの一例であり、正六角形形状を有する。図5のような回折セルの配置パターンは、平面に正六角形を隙間なく充填する配置パターンであり、ハチの巣型パターン(honeycomb pattern)とも呼ばれ得る。
【0077】
図5に示される回折セルのうちの一つである回折セルC1に着目して説明する。なお、図5に示される他の回折セルについても同様の説明が成立する。
【0078】
回折セルC1に隣接する回折セルは、回折セルC2、C3、C4、C5、C6およびC7である。ここで、「隣接する」とは、着目する回折セルと少なくとも一つの辺または一つの頂点を共有することを意味する。以降でも同様とする。
【0079】
回折セルC1の辺50は、回折セルC1に隣接する回折セルの一つである回折セルC2の全ての辺51、52、53、54、55および56の延長上とは異なる位置に位置している。言い換えれば、辺50は、辺51、52、53、54、55および56のいずれの延長上にも位置していない。
【0080】
同様に、回折セルC1の辺50は、回折セルC1に隣接する他の回折セルある回折セルC3、C4、C5、C6およびC7の全ての辺の延長上とも異なる位置に位置している。
【0081】
ホログラム素子13が有する回折セルが、図5に示される配置パターンで配置されていることで、回折セルの端縁線が、複数の回折セルに亘って直線状に連なって存在することが抑制される。これにより、表示画像におけるずれやノイズ光が直線状に連なって生ずることが抑制される。
【0082】
また、ホログラム素子13が有する回折セルが、図5に示される配置パターンで配置されていることで、表示画像に生ずるずれやノイズ光の総量を小さくすることができる。図5に示される配置パターンで正六角形の回折セルを配置する場合に、単位面積当たりの端縁線の長さの合計を小さくすることができるからである。これは、平面に合同な多角形を敷き詰める場合、多角形の面積に対する周の長さが、多角形として正六角形を用いるときに最も小さいことに基づく。
【0083】
また、ホログラム素子13が有する回折セルが、図5に示される配置パターンで配置されていることで、分割露光によりホログラム素子13を作成する場合に、露光の回数を減らすことに寄与し得る。分割露光に用いられるレンズの有効視野は、一般に、光の進行方向に垂直な断面において円形状を有する。一回の露光でできるだけ大きな面積を有する対象領域に露光をしようとする場合、円形状に近い形状を有する領域を対象領域とするのが有効である。そこで、平面を隙間なく充填できる正多角形のうち最も円形に近い形状である正六角形形状を有する回折セルを形成する場合に、露光の回数を最も小さくすることができる。
【0084】
なお、上記説明は、図5に示される配置パターンだけでなく、図5に示される配置パターンを任意の方向に拡大または縮小(つまり線形変換)した配置パターンにも成立する。
【0085】
図6は、実施の形態に係る回折セルの形状と配置パターンとの第二例の説明図である。図6は、図3に示される破線枠Vの内部の一例を詳細に示すものである。
【0086】
図6に示される回折セルは、ホログラム素子13が有する回折セルの一例であり、正方形形状を有する。図6のような回折セルの配置パターンは、平面に正方形を格子状に充填する配置パターンから、互いに隣接する行(または列)をずらした配置パターンであり、レンガ積み型パターン(brick laying pattern)とも呼ばれ得る。
【0087】
図6に示される回折セルのうちの一つである回折セルD1に着目して説明する。なお、図6に示される他の回折セルについても同様の説明が成立する。
【0088】
回折セルD1に隣接する回折セルは、回折セルD2、D3、D4、D5、D6およびD7である。
【0089】
回折セルD1の辺60は、回折セルD1に隣接する回折セルの一つである回折セルD2の全ての辺61、62、63および64の延長上とは異なる位置に位置している。言い換えれば、辺60は、辺61、62、63および64のいずれの延長上にも位置していない。
【0090】
同様に、回折セルD1の辺60は、回折セルD1に隣接する他の回折セルある回折セルD3、D4、D5、D6およびD7の全ての辺の延長上とも異なる位置に位置している。
【0091】
ホログラム素子13が有する回折セルが、図6に示される配置パターンで配置されていることで、回折セルの端縁線が、複数の回折セルに亘って直線状に連なって存在することが抑制される。これにより、表示画像におけるずれが直線状に連なって生ずることが抑制される。
【0092】
なお、図6に示される配置パターンでは、X軸に平行な方向において、回折セルの端縁線が、複数の回折セルに亘って直線状に連なって存在しているが、上記方向を除く方向においては、回折セルの端縁線が、複数の回折セルに亘って直線状に連なって存在することが回避されている。
【0093】
なお、上記説明は、図6に示される配置パターンだけでなく、図6に示される配置パターンを任意の方向に拡大または縮小(つまり線形変換)した配置パターンにも成立する。
【0094】
図7は、本実施の形態に係る回折セルの形状と配置パターンとの第三例の説明図である。図7は、図3に示される破線枠Vの内部の一例を詳細に示すものである。
【0095】
図7に示される回折セルは、ホログラム素子13が有する回折セルの一例であり、正三角形形状を有する。
【0096】
図7に示される回折セルのうちの一つである回折セルE1に着目して説明する。なお、図7に示される他の回折セルについても同様の説明が成立する。
【0097】
回折セルE1に隣接する回折セルは、回折セルE2、E3、E4、E5、E6、E7、E8およびE9である。
【0098】
すると、回折セルE1の辺70は、回折セルE1に隣接する回折セルの一つである回折セルE4の全ての辺71、72および73の延長上とは異なる位置に位置している。言い換えれば、辺70は、辺71、72および73のいずれの延長上にも位置していない。
【0099】
同様に、回折セルE1の辺70は、回折セルE1に隣接する他の回折セルである回折セルE2、E3、E5、E6、E7、E8およびE9の全ての辺の延長上とも異なる位置に位置している。なお、延長上に位置するか否かの判断において、長さおよび位置が辺70に一致する辺は、除外して考える。長さおよび位置が辺70に一致する辺は、当該辺における干渉縞のパターンのずれに起因した新たな表示画像のずれを生じさせることはないからである。
【0100】
ホログラム素子13が有する回折セルが、図7に示される配置パターンで配置されていることで、回折セルの端縁線が、複数の回折セルに亘って直線状に連なって存在することが抑制される。これにより、表示画像におけるずれが直線状に連なって生ずることが抑制される。
【0101】
なお、図6の場合と同様、図7に示される配置パターンでは、X軸に平行な方向において、回折セルの端縁線が、複数の回折セルに亘って直線状に連なって存在しているが、上記方向を除く方向においては、回折セルの端縁線が、複数の回折セルに亘って直線状に連なって存在することが回避されている。
【0102】
なお、上記説明は、図7に示される配置パターンだけでなく、図7に示される配置パターンを任意の方向に拡大または縮小(つまり線形変換)した配置パターンにも成立する。
【0103】
以降において、ホログラム素子11または12が有する回折セルの具体的な形状と配置とを説明する。
【0104】
図8は、本実施の形態に係る回折セルの形状と配置パターンとの第四例の説明図である。図8は、図3に示される破線枠VIIIの内部の一例を詳細に示すものである。
【0105】
図8に示される回折セルは、ホログラム素子11または12が有する回折セルの一例であり、正方形形状を有する。
【0106】
図8に示される回折セルのうちの一つである回折セルF1に着目して説明する。なお、図8に示される他の回折セルについても同様の説明が成立する。
【0107】
回折セルF1に隣接する回折セルは、回折セルF2、F3、F4、F5、F6、F7、F8およびF9である。
【0108】
回折セルF1の全ての辺80、81、82および83は、回折セルF1に隣接する回折セルの端縁線の延長上に位置している。具体的には、回折セルF1の辺80は、回折セルF1に隣接する回折セルの一つである回折セルF9またはF2の辺85の延長上に位置している。回折セルF1の辺81は、回折セルF1に隣接する回折セルの一つである回折セルF3またはF4の辺86の延長上に位置している。回折セルF1の辺82は、回折セルF1に隣接する回折セルの一つである回折セルF5またはF6の辺87の延長上に位置している。回折セルF1の辺83は、回折セルF1に隣接する回折セルの一つである回折セルF7またはF8の辺88の延長上に位置している。
【0109】
このような配置パターンを有するホログラム素子11または12は、作成が容易である。また、当該ホログラム素子が出射する光において、表示画像におけるずれが直線状に連なって生じている場合であっても、当該ホログラム素子が出射する光がその後にホログラム素子13の内部で伝搬するので、表示画像におけるずれが目立たなくなる効果がある。表示画像の品質の劣化としてユーザUに認識されにくくなる効果がある、ともいえる。
【0110】
なお、上記説明は、図8に示される配置パターンだけでなく、図8に示される配置パターンを任意の方向に拡大または縮小(つまり線形変換)した配置パターンにも成立する。
【0111】
図9は、本実施の形態に係る回折セルの形状と配置パターンとの第五例の説明図である。図9は、図3に示される破線枠VIIIの内部の一例を詳細に示すものである。
【0112】
図9に示される回折セルは、ホログラム素子11または12が有する回折セルの一例であり、三角形形状を有する。
【0113】
図9に示される回折セルのうちの一つである回折セルG1に着目して説明する。なお、図9に示される他の回折セルについても同様の説明が成立する。
【0114】
回折セルG1に隣接する回折セルは、回折セルG2、G3、G4、G5、G6、G7、G8、G9、G10、G11、G12およびG13である。
【0115】
回折セルG1の全ての辺90、91および92は、回折セルG1に隣接する回折セルの端縁線の延長上に位置している。具体的には、回折セルG1の辺90は、回折セルG1に隣接する回折セルの一つである回折セルG5またはG6の辺95の延長上に位置している。回折セルG1の辺91は、回折セルG1に隣接する回折セルの一つである回折セルG9またはG10の辺96の延長上に位置している。回折セルG1の辺92は、回折セルG1に隣接する回折セルの一つである回折セルG13またはG2の辺97の延長上に位置している。
【0116】
このような配置パターンを有するホログラム素子11または12は、図8における場合と同様、作成が容易であり、形成される干渉縞の精度の向上が可能であるので、表示される画像の品質の向上に寄与し得る。
【0117】
以上のように、上記実施の形態または変形例における導光板は、導光板の第一ホログラム素子が有する回折セルの端縁線の少なくとも一つが、隣接する回折セルの端縁線の延長上とは異なる位置にあるので、回折セルの端縁線が、複数の回折セルに亘って直線状に連なって存在することが抑制される。これにより、表示画像におけるずれやノイズ光が直線状に生ずることが抑制される。このようにして、導光板は、表示される画像の品質の低下を抑制することができる。
【0118】
また、導光板の第一ホログラム素子は、多角形形状を有する複数の回折セルにより構成される。このような複数の回折セルを有する第一ホログラム素子は、例えば分割露光を用いた方法で容易に作成され得る。よって、導光板は、表示される画像の品質の低下をより容易に抑制することができる。
【0119】
また、導光板の第一ホログラム素子は、正六角形形状を有する回折セルを有するので、回折セルの端縁線が、複数の回折セルに亘って直線状に連なって存在することが回避される。これにより、表示画像におけるずれやノイズ光が直線状に生ずることが回避される。また、単位面積当たりの端縁線の長さを短くすることができるので、表示画像に生ずるずれやノイズ光の総量を小さくすることができる。また、例えば分割露光を用いた方法で作成される場合の露光の回数を少なくすることができ、第一ホログラム素子の作成時の効率の向上に寄与し得る。よって、導光板は、ホログラム素子の作成時の効率を向上しながら、表示される画像の品質の低下をより一層抑制することができる。
【0120】
また、導光板の第一ホログラム素子は、正方形形状を有する回折セルを有するので、回折セルの端縁線が、複数の回折セルに亘って直線状に連なって存在することが抑制される。このとき、同一の直線状に端縁線を有する複数の回折セルが存在する場合には、その並び方向には、複数の回折セルに亘って直線状に連なって存在することがあるが、上記並び方向を除く方向では、複数の回折セルに亘って直線状に連なって存在することが回避される。よって、導光板は、表示される画像の品質の低下をより一層抑制することができる。
【0121】
また、導光板の第一ホログラム素子は、正三角形形状を有する回折セルを有するので、回折セルの端縁線が、複数の回折セルに亘って直線状に連なって存在することが抑制される。このとき、同一の直線状に端縁線を有する複数の回折セルが存在する場合には、その並び方向には、複数の回折セルに亘って直線状に連なって存在することがあるが、上記並び方向を除く方向では、複数の回折セルに亘って直線状に連なって存在することが回避される。よって、導光板は、表示される画像の品質の低下をより一層抑制することができる。
【0122】
また、導光板の第二ホログラム素子が有する回折セルの全ての端縁線が、隣接する回折セルの端縁線の延長上に位置しているので、複数の回折セルの端縁線が直線状に連なって存在する。このような第二ホログラム素子は、作成が容易であり、形成される干渉縞の精度の向上が可能であるので、表示される画像の品質の向上に寄与し得る。このようにして、導光板は、ホログラム素子の作成をより容易にしながら、表示される画像の品質の低下を抑制することができる。
【0123】
また、導光板の第二ホログラム素子が、正方形形状を有する複数の回折セルにより構成される。このような複数の回折セルを有する第一ホログラム素子は、例えば分割露光を用いた方法で容易に作成され得る。よって、導光板は、表示される画像の品質の低下をより容易に抑制することができる。
【0124】
また、導光板の第一ホログラム素子が、導光板の内部を伝搬してきた光を回折によって偏向することで導光板の外部へ出射させる。よって、導光板は、第一ホログラム素子による回折により、導光板の外部へ光を出射させることができる。
【0125】
また、導光板の第二ホログラム素子は、導光板の外部から内部へ入射した光を回折によって偏向することで導光板の内部で伝搬させる。よって、導光板は、第二ホログラム素子による回折により、導光板の内部に光を伝搬させることができる。
【0126】
また、導光板は、1個の第一ホログラム素子を出射側ホログラム素子として用い、また、2個の第二ホログラム素子を入射側ホログラム素子および偏向用ホログラム素子として用いて、より適切に、表示される画像の品質の低下を抑制することができる。
【0127】
以上、一つまたは複数の態様に係る導光板などについて、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、一つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0128】
本発明は、車両のヘッドアップディスプレイ装置等に利用可能である。
【符号の説明】
【0129】
1 表示装置
5 車両
10 導光板
11、12、13 ホログラム素子
14 虚像
15 透明部材
17 画像生成装置
20 ウィンドシールド
41 レーザ光源
42 レンズ
43 ビームスプリッタ
44 LCOS素子
45 コンピュータ
46 平面ミラー
47 感光部材
48 対象領域
50、51、52、53、54、55、56、60、61、62、63、64、70、71、72、73、80、81、82、83、85、86、87、88、90、91、92、95、96、97 辺
C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、D1、D2、D3、D4、D5、D6、D7、E1、E2、E3、E4、E5、E6、E7、E8、E9、F1、F2、F3、F4、F5、F6、F7、F8、F9、G1、G2、G3、G4、G5、G6、G7、G8、G9、G10、G11、G12、G13 回折セル
L1、L12、L23、L3、L5 光
U ユーザ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9