(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-25
(45)【発行日】2024-10-03
(54)【発明の名称】情報処理装置および情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/892 20060101AFI20240926BHJP
B41J 3/36 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
G01N21/892 A
B41J3/36 Z
(21)【出願番号】P 2019123581
(22)【出願日】2019-07-02
【審査請求日】2022-06-02
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】592056687
【氏名又は名称】株式会社マイクロ・テクニカ
(74)【代理人】
【識別番号】110000165
【氏名又は名称】弁理士法人グローバル・アイピー東京
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 孝臣
(72)【発明者】
【氏名】丸尾 公平
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 貴士
【審査官】平田 佳規
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-025872(JP,A)
【文献】特開2011-158421(JP,A)
【文献】特開2005-022266(JP,A)
【文献】特開2017-141065(JP,A)
【文献】特開2010-071951(JP,A)
【文献】特開2020-040283(JP,A)
【文献】特開2019-066205(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84- G01N 21/958
G01B 11/00- G01B 11/30
B41F 33/00
B41J 3/36
B41J 29/00- B41J 29/70
G03G 15/00
G03G 21/00
G03G 21/14
G06T 1/00- G06T 1/40
G06T 3/00- G06T 3/60
G06T 5/00- G06T 5/50
G06T 7/00- G06T 7/90
G06T 9/00- G06T 9/40
G06V 10/00- G06V 10/98
G06V 20/00- G06V 20/90
G06V 30/00- G06V 30/424
G06V 40/16
G06V 40/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリンタによって発行される印字媒体に対する検査を行う検査装置と通信可能な情報処理装置であって、
複数のオブジェクトの各々に関する複数のオブジェクトデータであって、各オブジェクトは、前記印字媒体の印字有効範囲内の所定領域で規定され、当該所定領域内に印字対象として文字列およびコードのうち少なくともいずれかを含む、複数のオブジェクトデータを記憶する記憶部と、
ユーザの指示に応じて、前記複数のオブジェクトのうち前記検査装置による検査対象とするオブジェクトを設定する設定部と、
ユーザの指示に応じて、前記複数のオブジェクトデータと、前記検査対象とするオブジェクトを示すデータと、当該複数のオブジェクトデータに基づく印字媒体の発行枚数のデータとを含む発行データを生成する第1データ生成部と、
前記発行データに基づいて、前記検査装置による検査の基準となる検査基準データを生成する第2データ生成部と、
前記ユーザの指示に応じて、前記検査装置による検査の前に、前記印字媒体に対する印字結果に対応するプレビュー画像であって、前記複数のオブジェクトのうち前記検査対象とするオブジェクトが認識可能となる態様で表示されるプレビュー画像を表示する表示部と、を備
え、
前記設定部は、前記複数のオブジェクトのそれぞれに関連付ける変数が定義される場合において、変数名に対応して前記ユーザにより予め設定された形式の文字情報が入力された場合に、前記変数名に対応するオブジェクト内のデータが検査対象であるものとして設定する、
情報処理装置。
【請求項2】
前記記憶部に記憶されたオブジェクトデータを変更するデータ変更部を備え、
前記オブジェクトデータが前記データ変更部によって変更された場合、前記第1データ生成部は、変更後のオブジェクトデータに基づいて発行データを生成し、前記第2データ生成部は、当該発行データに基づいて前記検査装置による検査の基準となる検査基準データを生成する、
請求項1に記載された情報処理装置。
【請求項3】
前記発行枚数の印字媒体が1枚ずつ発行および検査可能となるように、前記プリンタによる印字媒体の発行タイミングを制御する制御部を備えた、
請求項1又は2に記載された情報処理装置。
【請求項4】
前記認識可能となる態様は、前記複数のオブジェクトのうち前記検査対象とするオブジェクトが太枠で囲まれた又は所定の色で着色された態様である、
請求項1から3のいずれか一項に記載された情報処理装置。
【請求項5】
前記複数のオブジェクトは、複数の種目の各々に対応付けられ、
前記設定部は、前記複数の種目のうち前記ユーザによって指定された種目を前記検査基準データに設定する、
請求項1~4のいずれか1項に記載された情報処理装置。
【請求項6】
前記検査基準データは、印字媒体の印字有効範囲における前記オブジェクトの位置、又は、前記オブジェクトに含まれる文字列若しくはコードに関するデータを含む、
請求項1から5のいずれか一項に記載された情報処理装置。
【請求項7】
プリンタによって発行される印字媒体に対する検査を行う検査装置と通信可能な情報処理装置における情報処理方法であって、
複数のオブジェクトの各々に関する複数のオブジェクトデータであって、各オブジェクトは、印字媒体の印字有効範囲内の所定領域で規定され、当該所定領域内に印字対象として文字列およびコードのうち少なくともいずれかを含む、複数のオブジェクトデータを予め記憶し、
ユーザの指示に応じて、前記複数のオブジェクトのうち前記検査装置による検査対象とするオブジェクトを設定し、
ユーザの発行指示に応じて、前記複数のオブジェクトデータと、前記検査対象とするオブジェクトを示すデータと、当該複数のオブジェクトデータに基づく印字媒体の発行枚数のデータとを含む発行データを生成し、
前記ユーザの指示に応じて、前記検査装置による検査の前に、前記印字媒体に対する印字結果に対応するプレビュー画像であって、前記複数のオブジェクトのうち前記検査対象とするオブジェクトが認識可能となる態様で表示されるプレビュー画像を表示し、
前記発行データに基づいて、前記検査装置による検査の基準となる検査基準データを生成
し、
前記複数のオブジェクトのそれぞれに関連付ける変数が定義される場合において、変数名に対応して前記ユーザにより予め設定された形式の文字情報が入力された場合に、前記変数名に対応するオブジェクト内のデータが検査対象であるものとして設定する、
情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置および情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、医療材料にラベルを貼り付けて管理することが知られている(特許文献1)。医療材料のような特定の用途で使用するラベル(印字媒体)の印字内容は、厳しい精度が要求されるため、ラベルの印字内容が適切か否かについて検査を行うことが慣行となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ラベルの印字内容が適切か否かについて検査を行うに際し、ラベルの印字内容の検査のための設定が煩雑であるという課題がある。従来、検査システムの運用を開始してから、検査対象となるラベルが追加となる場合、すなわち、今まで検査していたラベルと異なる品種のラベル(例えば、レイアウトや項目、若しくは異なる種類の文字列が印字されるラベル)を新たに検査対象とする場合、検査のための設定が煩雑であるという課題がある。カメラを利用した画像処理によってラベルの検査を行う場合、新たな品種を検査対象とする度に、検査を行うためのパラメータをオペレータが設定しなければならず、少量多品種のラベルを1つの検査システムで検査する場合には、多くのパラメータを設定する必要が生ずる場合があった。
【0005】
そこで、本発明は、発行された印字媒体の検査を行うに際し、印字内容の検査のための設定の煩雑さを低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様は、複数のオブジェクトの各々に関する複数のオブジェクトデータであって、各オブジェクトは、前記印字媒体の印字有効範囲内の所定領域で規定され、当該所定領域内に印字対象として文字列およびコードのうち少なくともいずれかを含む、複数のオブジェクトデータを記憶する記憶部と、ユーザの指示に応じて、前記複数のオブジェクトのうち前記検査装置による検査対象とするオブジェクトを設定する設定部と、ユーザの指示に応じて、前記複数のオブジェクトデータと、前記検査対象とするオブジェクトを示すデータと、当該複数のオブジェクトデータに基づく印字媒体の発行枚数のデータとを含む発行データを生成する第1データ生成部と、前記発行データに基づいて、前記検査装置による検査の基準となる検査基準データを生成する第2データ生成部と、前記ユーザの指示に応じて、前記検査装置による検査の前に、前記印字媒体に対する印字結果に対応するプレビュー画像であって、前記複数のオブジェクトのうち前記検査対象とするオブジェクトが認識可能となる態様で表示されるプレビュー画像を表示する表示部と、を備え、前記設定部は、前記複数のオブジェクトのそれぞれに関連付ける変数が定義される場合において、変数名に対応して前記ユーザにより予め設定された形式の文字情報が入力された場合に、前記変数名に対応するオブジェクト内のデータが検査対象であるものとして設定する、情報処理装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明のある態様によれば、発行された印字媒体の検査を行うに際し、印字内容の検査のための設定の煩雑さを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る検査システムのシステム構成図である。
【
図2】実施形態に係る検査システムで使用される連続紙の例を示す図である。
【
図3】実施形態に係る検査システムのブロック図である。
【
図4】実施形態に係る情報処理装置のレイアウトファイル作成画面を示す図である。
【
図5】レイアウトファイルの作成手順を説明する図である。
【
図6】レイアウトファイルの作成手順を説明する図である。
【
図7】実施形態に係る情報処理装置のラベル発行画面を示す図である。
【
図8】実施形態に係る情報処理装置の検査画面を示す図である。
【
図9】実施形態に係る情報処理装置の検査画面を示す図である。
【
図10】発行データのデータ構成例を示す図である。
【
図11】実施形態に係る検査システムの動作を示すシーケンスチャートである。
【
図12】実施形態に係る検査システムの動作を示すシーケンスチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の説明において「オブジェクト」とは、例えば、印字媒体の印字有効範囲内の所定領域で規定され、当該所定領域内に印字対象として文字列およびコードのうち少なくともいずれかを含むものである。ユーザが印字媒体における印字内容を決定するときに、オブジェクトは印字有効範囲内で移動可能であることが好ましい。オブジェクトが印字有効範囲内で移動した場合には、オブジェクトに含まれる文字列やコードも移動することになる。オブジェクトに含まれる印字対象として、文字列又はコードに限定するものではなく、それに加えて図形、記号若しくはマーク等を含むものであってもよい。
以下の説明において「検査基準データ」とは、例えば、オブジェクトに対応する印字結果に対する検査の基準となるデータである。検査の基準としては、例えば、印字媒体の印字有効範囲におけるオブジェクトの位置、又は、オブジェクトに含まれる文字列若しくはコードに関するデータである。ここで、印字媒体の印字有効範囲におけるオブジェクトの位置に関するデータは、印字有効範囲の基準位置に対する、オブジェクトに対応する上記所定領域の基準位置との相対的な位置関係によって定義されてもよい。オブジェクトに含まれる文字列に関するデータは、例えば当該文字列のサイズ、フォント等のデータを含んでもよい。オブジェクトに含まれるコードに関するデータは、例えば、バーコード又は2次元コードが準拠する様々な規格のうちのいずれかを指定するデータを含んでもよい。
【0010】
本実施形態の検査システムでは、印字媒体に印字すべき内容が1又は複数のオブジェクトに関するオブジェクトデータにより定義される。以下の実施形態では、印字媒体としてのラベルに印字すべき内容を設計するときに、1又は複数のオブジェクトに関するオブジェクトデータを含むレイアウトファイルが生成される。つまり、ラベルに対する印字内容とレイアウトファイルが対応付けられている。そして、ラベルの印字内容を検査するときには、その印字内容を検査するときの基準となる検査基準データとして検査パラメータがレイアウトファイルを基に自動生成され、当該検査パラメータを基に検査装置による検査が行われる。そのため、ユーザは、ラベルの印字内容の検査を行うに際して検査装置の設定作業を意識する必要がない。例えば、異なる印字内容のラベル(つまり、異なる品種のラベル)を1つの検査装置で検査する場合であっても、ユーザが各品種のラベルに対して検査基準データを設定する必要はないため、印字内容の検査のための設定の煩雑さが大幅に低減される。本実施形態の検査システムは、多品種少量のラベルの検査を行う場合に特に有用である。
【0011】
(1)検査システム
(1-1)システム概要
以下、本発明の検査システムの一実施形態である検査システム1について、
図1~
図10を参照して説明する。
図1は、実施形態に係る検査システム1のシステム構成図である。
図2は、実施形態に係る検査システム1で使用される連続紙CPの例を示す図である。
図3は、実施形態に係る検査システム1のブロック図である。
【0012】
図1に示すように、検査システム1は、情報処理装置2、プリンタ3、カメラ検査装置4、および、巻き取り機6を備える。巻き取り機6は、カメラ検査装置4を通過した連続紙CPをロール状に巻き取るように構成されている。
情報処理装置2は、プリンタ3およびカメラ検査装置4とそれぞれ通信可能に接続される。プリンタ3とカメラ検査装置4は通信可能に接続される。それぞれの通信形態あるいは通信規格を限定するものではなく、有線でも無線でもよい。一例では、情報処理装置2とカメラ検査装置4はLAN(Local Area Network;無線でも有線でもよい)によって接続され、情報処理装置2とプリンタ3がUSB(Universal Serial Bus)ケーブルによって接続され、プリンタ3とカメラ検査装置4がDIO(Digital Input Output)インタフェースによって接続される。
【0013】
図2に示すように、連続紙CPは、帯状の台紙PMと、台紙PM上に予め決められた間隔毎に仮着された複数枚のラベルPL(印字媒体の一例)とを備えている。連続紙CPは、プリンタ3内でロール状に巻回されたロール紙の状態で収容されており、印字が行なわれるときにはロール紙から引き出される。なお、
図2では、各ラベルPLに印字が行われた状態で示してある。
ラベルPLは、例えば医療材料の包装等に貼付されるため、その印字内容には厳しい精度が要求される。そのため、検査システム1では、ラベルPLの印字内容が適切か否かについて全数検査を行う。
【0014】
検査システム1では、印字されたラベルPLの印字内容の検査をカメラ検査装置4によって行なう。すなわち、カメラ検査装置4は、プリンタ3によって発行されたラベルPLの印字結果を撮像して得られる画像データの少なくとも一部を、検査の基準となる検査パラメータに基づいて検査する。カメラ検査装置4は、検査パラメータを情報処理装置2から受信する、
カメラ検査装置4による具体的な検査内容については後述する。
【0015】
次に、
図3を参照して、検査システム1に含まれる構成要素の概要について説明する。
【0016】
(1-2)情報処理装置2
図3に示すように、情報処理装置2は、制御部21、記憶部22、操作入力部23、表示部24、および、通信インタフェース(通信I/F)25を備える。通信インタフェース25は、プリンタ3およびカメラ検査装置4との間で通信を行う。
情報処理装置2は、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット型コンピュータ等の装置である。
【0017】
制御部21は、マイクロプロセッサを主体として構成され、情報処理装置2の全体を制御する。例えば、制御部21に含まれるマイクロプロセッサは、記憶部22に記録されているラベルプログラムおよび検査プログラムをロードして実行する。
制御部21は、第1データ生成部および第2生成部の一例である。本実施形態では、第1データ生成部は、ラベルプログラムの実行によって、ユーザの指示に応じて、レイアウトファイルと当該レイアウトファイルに基づくラベルの発行枚数のデータとを含む発行データを生成する。第2データ生成部は、検査プログラムの実行によって、発行データに基づいて、カメラ検査装置4による検査の基準となる検査パラメータ(検査基準データの例)を生成する。
制御部21は、記憶部22に記憶されたレイアウトファイルを変更するデータ変更部の一例である。
【0018】
ラベルプログラムを実行することで行われる処理は、例えば、以下の処理を含む。
(1-i) ラベル発行画面においてGUI(Graphical User Interface)を提供し、ユーザ操作に従ってレイアウトファイルを作成し、保存すること
レイアウトファイルを作成することには、例えば、ユーザ操作に基づく以下の処理が含まれる。
・ラベルの印字有効範囲内に1又は複数のオブジェクトを配置すること
・各オブジェクト内に含まれる文字列及び/又はコードのプロパティを定義すること
例えば、文字列のプロパティはサイズ、フォントの種別等であり、コードのプロパティはコードの種別等である。
・オブジェクトの配置結果およびオブジェクト内の文字列及び/又はコードのプロパティに基づいて、レイアウトファイルを作成し、変更し、保存すること
(1-ii) レイアウトファイルの文字列及び/又はコードの入力結果に基づいて、印字データを作成すること
(1-iii) 発行データ(後述する)を作成、変更すること
【0019】
検査プログラムを実行することで行なわれる処理については、例えば、以下の処理を含む。
(2-i) レイアウトファイルおよび発行データに基づいて、検査に必要な情報を取得し、検査パラメータを生成すること
(2-ii) ユーザの発行指示に応じて、印字データに基づくプレビュー画像を、検査対象となるオブジェクトを認識可能となる態様で表示部24に表示すること
(2-iii) カメラ検査装置4の検査設定のために検査パラメータをカメラ検査装置4に提供すること
(2-iv) 発行枚数のラベルが1枚ずつプリンタ3により発行され、かつカメラ検査装置4により検査可能となるように、プリンタ3によるラベルの印字タイミングを制御すること
(2-v) カメラ検査装置4から検査結果を取得し、OK枚数およびNG枚数をカウントすること
(2-vi) 検査結果のログ(検査ログ)を記憶部22に記録すること
【0020】
表示部24は、例えば液晶表示パネルを含み、ラベルプログラムおよび検査プログラムの実行結果を表示する。表示部24がタッチパネル入力用表示パネルを備える場合、表示部24は、操作入力部23の一部を構成する。ラベルプログラムおよび検査プログラムの実行結果は、それぞれ別々のウィンドウで表示されてもよい。
通信インタフェース25は、プリンタ3、カメラ検査装置4、および、バーコード検査装置5のうち少なくともいずれかと通信を行なう。
【0021】
記憶部22は、不揮発性のメモリであり、例えばフラッシュメモリ等のSSD(Solid State Drive)であってもよい。記憶部22は、レイアウトファイル、発行データ、および、検査ログを記憶する。
操作入力部23は、例えば、ポインティングデバイス、タッチパネル等の入力デバイスを含む。
【0022】
ここで、
図4~
図9を参照して、ラベルプログラムおよび検査プログラムが実行されるときに表示部24に表示される画面の例について説明する。
図4は、本実施形態に係る情報処理装置2のレイアウトファイル作成画面を示す図である。
図5および
図6はそれぞれ、レイアウトファイルの作成手順を説明する図である。
図7は、本実施形態に係る情報処理装置2のラベル発行画面を示す図である。
図8および
図9はそれぞれ、本実施形態に係る情報処理装置2の検査画面を示す図である。
【0023】
図4は、情報処理装置2においてラベルプログラムを実行したときに表示されるレイアウトファイル作成画面である。レイアウトファイル作成画面においてユーザは、ラベルの印字有効範囲に配置すべきオブジェクトを設定することで、プリンタ3によって発行されるラベルをデザインすることができる。
図4に示す画面G1は、タブT3(「デザイン」)が選択されたときに表示される。画面G1は、編集ボタン群101、配置設定ボタン群102、オブジェクト設定部201、プロパティ設定部202、変数設定部203、および、ラベルデザイン表示部301を含む。
ラベルデザイン表示部301は、ラベルの編集エリアに相当し、この編集エリア内にオブジェクトを配置する操作を行うことで、ラベルがデザインされる。本実施形態の例では、「品名」種目に対応するオブジェクト、「有効期限」種目に対応するオブジェクト、「製造番号」種目に対応するオブジェクト、および、バーコードに対応するオブジェクトからなる4つのオブジェクトを含むラベルがデザインされる場合が示される。
【0024】
オブジェクト設定部201は、オブジェクトを新たに設定する操作を行う部分であり、オブジェクトに含まれるデータとして文字列、バーコード、2次元コード、図形等が選択可能である。オブジェクトの位置、および、オブジェクトに含まれるデータの内容は、プロパティ設定部202において設定可能である。
図4に示す例では、文字列が含まれるオブジェクトの場合に、プロパティ設定部202の「基本設定」において文字列のフォント、サイズ等を変更可能である。また、プロパティ設定部202の「属性設定」においてオブジェクトの印字位置(つまり、印字開始位置)、オブジェクトの水平面に対する回転角、オブジェクト内の文字列の印字色等を設定可能である。オブジェクトの印字位置は、例えば、矩形の所定領域で規定されるオブジェクトの左上の頂点の位置であり、当該位置は、印字有効範囲の基準点に対する相対位置を示す。
【0025】
編集ボタン群101内のボタン操作を行うことで、オブジェクトを切り取り、コピーし、貼り付け、削除し、又は、すべて選択することが可能である。配置設定ボタン群102のボタン操作を行うことで、オブジェクトの位置を変更し、又は、オブジェクトを回転させることが可能である。配置設定ボタン群102のボタン操作を行った場合には、その結果がプロパティ設定部202の属性設定にも反映される。
【0026】
変数設定部203(設定部の一例)では、各オブジェクトに関連付ける変数を定義する部分である。この例では、変数名として「品名」、「有効期限」、「製造番号」、および、「JAN」がユーザ操作によって設定されている。この例では、各種目の名称が変数名と一致している。なお、JAN(Japanese Article Number)は、JANコード(バーコード)を意味する。
プロパティ設定部202において、「基本設定」の「項目名」の欄に「検査_***」といった形式で入力された場合には、対応するオブジェクト内のデータが検査対象であると解釈されるように構成されている。すなわち、この例では、「有効期限」種目に対応する「基本設定」の「項目名」の欄に「検査_***」といった形式で入力されているため、「有効期限」種目が検査対象となる。
「有効期限」、「製造番号」、「JAN」の各種目に対応するオブジェクトについても同様にして、検査対象とするか否かをプロパティ設定部202で設定することができる。そのため、ラベルに印字される複数の種目のうちユーザが検査を希望する種目を絞り込むことが可能となり、検査効率が向上する利点がある。
【0027】
なお、複数のオブジェクト、つまり、複数の種目の各々に対応する種目の中から検査対象となる項目を設定する方法は、上記項目名を変更する方法に限られない。例えば、「検査対象種目設定」ボタン等を設け、「品名」、「有効期限」、「製造番号」、および、「JAN」の選択肢の中からユーザ操作によって選択できるようにGUIを構成してもよい。
各変数の値の桁数および変数の区分は、ユーザによって設定される。変数の区分が「入力」である場合には、変数の値がユーザによって直接入力されることを示している。なお、ここでは記載されていないが、例えば、変数の区分として連番を設定することもでき、その場合カウントアップ数(例えば1つずつ等)などを設定することができる。
【0028】
図2に例示したラベルPLの印字内容に対応するレイアウトファイルを作成するには、以下の手順で行う。
図5Aに示すように、所定の形式の種目と枠が予め設定されたラベルデザインに対して、ユーザがオブジェクト設定部201を操作して新規のオブジェクトを作成し、「品名」種目に対応する、文字列を含むオブジェクトOBJ1を配置する。同様に、
図5Bに示すように、「有効期限」種目に対応するオブジェクトおよび「製造番号」に対応するオブジェクトを作成して配置する。
図5Bでは、「製造番号」に対応するオブジェクトOBJ2の配置が完了した状態を示している。
次いで
図6Aに示すように、ユーザがオブジェクト設定部201を操作して、バーコードに対応する新規のオブジェクトOBJ3を作成して配置する。これによって、ラベルの基本的なデザインが完了する。
次いで、ラベルデザイン表示部301においてタブをタブT4(「デザイン」)からタブT5(「入力定義」)に切り替えると、
図6Bの入力設定部302が表示される。入力設定部302において、各種目に対応する変数と発行枚数の値をユーザが直接入力する。
【0029】
次に、画面G1(
図4参照)においてタブT3(「デザイン」)からタブT2(「ホーム」)に切り替えると、
図7の画面G2が表示される。画面G2は、発行ボタン群401、データ表示部402、日付設定部403、および、プレビュー表示部404を含む。データ表示部402は、
図6Bの入力設定部302に入力された値が表示される。
日付設定部403は、基準日付を設定する部分である。
発行ボタン群401において「プレビュー」ボタンが操作されると、プレビュー表示部404に、データ表示部402に表示されたデータが対応する種目に対して入力された状態のラベルデザインがプレビュー表示される。なお、データ表示部402において新たにデータを入力することでデータを変更することもできる。
ラベルデザインが完成した場合、発行ボタン群401の「ファイル」ボタンを操作することによって当該ラベルデザインに基づくレイアウトファイルを記憶部22に保存することができる。なお、「ファイル」ボタンを操作することにより、記憶部22に保存されているレイアウトファイルを選択的に読み出して、編集のために、あるいは印字のためにレイアウトファイル作成画面に表示させることもできる。
【0030】
図7の画面G2において発行ボタン群401の「発行開始」ボタンが操作されると、レイアウトファイルを基に印字データが生成されてプリンタ3に送信される。なお、「発行開始」ボタンが操作された段階では、印字データがプリンタ3に送信されるだけで、プリンタ3による印字は開始されない。
また、「発行開始」ボタンが操作されると、発行データが生成される。発行データは、
図10に例示するように、「日付」、「時間」、「レイアウトファイル」、「発行枚数」、「基準日付」、「各種目のデータ」の各フィールドからなるデータである。ここで、「レイアウトファイル」のフィールドは、現在実行対象となっているレイアウトファイルである。
【0031】
次いで、ユーザが画面をラベル発行画面から検査画面に切り替える。検査画面は、
図8の画面G3に示すように、ボタンb1(「検査設定」)、ボタンb2(「検査開始」)、ボタンb3(「検査停止」)および、検査結果表示部501を含む。
画面G3では、ボタンb1(「検査設定」)を操作することによって、別ウィンドウとして検査設定のための画面G31が表示される。画面G31は、レイアウトファイルに対応するプレビュー画像が表示されるプレビュー表示部502と、レイアウトファイルから取得した検査に必要な情報を示す検査設定部503と、を含む。プレビュー表示部502のプレビュー画像は、レイアウトファイルを基に、検査の対象となる部分を太枠でユーザに認識可能となるようにした態様で表示される。この例では、オブジェクトによって確定する所定領域を太枠で囲んだ状態で表示する態様で表示されているが、その限りではない。例えば、オブジェクトによって確定する所定領域内を所定の色で着色して表示する態様であってもよい。かかる表示態様によってユーザは、ラベルの発行前に検査対象となる種目を認識することができる。
【0032】
画面G31の検査設定に問題がなければボタンb4(「反映」)を操作することにより、検査設定が決定される。
検査を開始するには、
図9の画面G4においてボタンb2(「検査開始」)を操作する。それによって、検査設定が反映された検査パラメータが情報処理装置2からカメラ検査装置4に送信され、カメラ検査装置4に設定される。そして、
図7の画面G2のデータ表示部402に表示されている発行枚数のラベルが1枚ずつプリンタ3で印字、発行され、カメラ検査装置4で検査される。
その場合、プレビュー表示部504には、カメラ検査装置4が撮像して得られた画像を画像処理した結果(ラベル1枚ずつの画像)が、検査対象となる部分をユーザに認識可能となる態様でプレビュー画像が表示される。なお、この例では、オブジェクトによって確定する所定領域を太枠で囲んだ状態で表示する態様で表示されているが、その限りではない。
【0033】
検査が開始されると、画面G4の検査結果表示部501において、ステータスが「初期化」から「検査中」に変化するとともに、ラベル1枚ずつの検査結果が「検査結果」の欄に表示される。ラベルの「検査数」の欄には、何枚目のラベルの検査をしているかについての情報が表示される。また、「ログ」の欄には、ラベル発行画面においてユーザによって入力されたデータ(つまり、
図7の画面G2のデータ表示部402に表示されたデータ)が含まれる。カメラ検査装置4では、プレビュー表示部504に表示される太枠内の画像と、「ログ」の欄に含まれるラベル発行画面での入力データとが照合される。
【0034】
(1-3)プリンタ3
再度
図3を参照する。
図3に示すように、プリンタ3は、制御部31、搬送部32、印字部33、記憶部34、および、通信インタフェース(通信I/F)35を備える。通信インタフェース35は、情報処理装置2およびカメラ検査装置4との間で通信を行う。プリンタ3には、連続紙CPが巻回されたロール紙が収容されている。
プリンタ3は、据置き型プリンタであってもよいし、携帯型プリンタであってもよい。プリンタ3は、例えば、感熱式プリンタ又は熱転写プリンタ等のサーマルプリンタである。
【0035】
制御部31は、マイクロプロセッサを主体として構成され、プリンタ3の全体を制御する。例えば、制御部31に含まれるマイクロプロセッサは、記憶部34に記録されているファームウェアをロードして実行することで、様々な機能を実現する。例えば、制御部31は、情報処理装置2から受信した印字データを解釈してビットマップデータを生成し、当該ビットマップデータに基づき搬送部32および印字部33に対する制御を行って印字を行う。
本実施形態の検査システム1では、各ラベルの印字および発行は、カメラ検査装置4からの発行指示に応じて行われる。なお、ラベルの発行とは、印字されたラベルをプリンタ3からカメラ検査装置4に向けて排出することを意味する。
【0036】
記憶部34は、不揮発性のメモリであり、例えばフラッシュメモリ等のSSDであってもよい。記憶部34は、情報処理装置2から受信した印字データを一時的に記憶するバッファとしても機能する。
【0037】
搬送部32は、図示しないプラテンローラ、モータ駆動回路、および、ステッピングモータを含み、プリンタ3内の連続紙の搬送を行う。例えば、制御部31による搬送要求に基づき、モータ駆動回路が、プラテンローラの回転を制御するステッピングモータを駆動することによって、連続紙CPを搬送させる。
【0038】
制御部31は、印字データに対応するビットマップデータのライン毎のデータであるラインデータを順次、印字部33へ送出する。
印字部33は、図示しないサーマルヘッドおよびヘッド駆動回路を含む。サーマルヘッドはライン上に配置された複数の発熱素子を含み、ヘッド駆動回路は、制御部31によって順次送出されるラインデータに基づき、サーマルヘッドの各発熱素子に選択的に電流を流すことで、ラベルPL上に印字を行う。
【0039】
(1-4)カメラ検査装置4
図3に示すように、カメラ検査装置4は、制御部41、画像処理部42、光源43、記憶部44、および、通信インタフェース(通信I/F)45を備える。
カメラ検査装置4は、情報処理装置2から受信する検査パラメータに基づいてプリンタ3から排出された連続紙の各ラベルを対象にして検査を行い、「検査OK」(検査合格)又は「検査NG」(検査不合格)のいずれかの検査結果を情報処理装置2へ送信する。情報処理装置2との通信は通信インタフェース45を介して行われる。
画像処理部42は、例えばCCD(Charge Coupled Device)方式のイメージセンサを含む。光源43による出射光がラベルPLを照射し、その反射光がイメージセンサで結像する。イメージセンサは、反射光を光の強弱を表す電気信号に変換する。当該電気信号は、制御部41に送られてデジタルの画像データに変換される。
記憶部44は、不揮発性のメモリであり、例えばフラッシュメモリ等のSSDであってもよい。記憶部44には、情報処理装置2から受信する検査パラメータが記録される。
【0040】
検査パラメータ(検査基準データの一例)には、少なくとも以下に関する情報が記述されている。
・検査対象の種目
・検査対象の各種目に対応するオブジェクトの所定領域の、ラベルの印字有効範囲内における位置
・検査対象の各種目に対応するオブジェクトに含まれるデータの種類(文字列又はコード)
・オブジェクトに文字列が含まれる場合の文字列のプロパティ(例えば、サイズ、フォント)
・オブジェクトにコードが含まれる場合のコードのプロパティ(例えば、コードの種別)
【0041】
制御部41は、検査パラメータに基づいて各ラベルの画像データの検査を行い、各ラベルの検査合格又は検査不合格を決定する。
制御部41は、検査対象となるオブジェクトに含まれるデータが文字列である場合には、画像データにおいてオブジェクトによって画定される所定領域の中から文字情報を1文字単位で抽出し(切り出し)、文字認識処理を行う。その際、文字が欠けている、あるいは文字に線が重なっている等によって文字認識ができない場合には、検査不合格と判断される。バーコードの下に印字される目視可能文字(ヒューマンリーダブル)についても同様に文字認識処理を行い、文字認識ができない場合には、検査不合格と判断される。
さらに制御部41は、画像データから文字認識された文字と、検査パラメータに含まれる検査の基準となる文字との類似度を決定し、類似度が所定値以上である場合に、正しい文字が印字されたと判断する。
【0042】
制御部41は、検査対象となるオブジェクトに含まれるデータがバーコードである場合には、画像データにおいてオブジェクトによって画定される所定領域の中からバーコードを切り出して、バーコードの読み取りが可能であるか否かの検査を行う。読み取りができない場合には、検査不合格となる。あるいは、制御部41は、バーコードのコントラスト、読み取り率等を検査し、バーコードの読み取り易さのグレード(例えば、JIS,ANSI等の規格に従ったバーコードのグレード)を決定してもよい。その場合には、制御部41は、所定のグレード以下である場合を検査不合格と判断してもよい。
さらに制御部41は、バーコードから読み取られたデータと、目視可能文字とが一致している場合に、検査合格であると判断する。あるいは、制御部41は、バーコードから読み取られたデータと、目視可能文字と、「有効期限」および「製造番号」といった種目に対応する文字列(検査の基準となる文字列)との間で、3点照合を行い、照合結果が一致する場合に検査合格であると判断してもよい。
【0043】
以上の検査の結果、発行された1枚のラベルについて、すべてのオブジェクトに対応する検査が合格である場合に限り、当該ラベルの検査結果が合格と判断される。発行された1枚のラベルについて、少なくとも1つのオブジェクトに対応する検査が不合格である場合には、当該ラベルの検査結果が不合格と判断される。
なお、カメラ検査装置4によって行なわれる検査は、台紙上のラベルの有無の検査、および、ラベルの印字の有無の検査を含んでもよい。
以上説明したように、本実施形態では、1枚のラベルに検査対象となる複数のオブジェクト(例えば、文字列とバーコード)が含まれる場合には、各オブジェクトに対する検査パラメータが作成され、各オブジェクトが対応する検査パラメータに基づいて検査される。そのため、オブジェクトの特性に応じた最適なパラメータを設定することができる。
【0044】
(2)検査システム1の動作
次に、検査システム1の動作について、
図11および
図12を参照して説明する。
図11および
図12はそれぞれ、本実施形態に係る検査システム1の動作を示すシーケンスチャートである。
なお、
図11では、情報処理装置2の動作について、ラベルプログラムを実行することにより行われる処理と、検査プログラムを実行することにより行われる処理とに分けて記載してある。
【0045】
先ず、ユーザがラベルプログラムを実行してレイアウトファイルを作成し(ステップS2)、保存済みである(ステップS4)場合を想定する。なお、他のユーザが作成したレイアウトファイルを取得して情報処理装置2に記録されてある場合も想定される。
そして、情報処理装置2の記憶部22からレイアウトファイルを選択して読み出すと(ステップS6)、情報処理装置2はラベルプログラムおよび検査パラメータを実行し、その結果、ラベル発行画面と検査画面が表示部24に表示される(ステップS10,S12)。
次いで、ラベル発行画面(
図7の画面G2参照)において、発行ボタン群401の「発行開始」ボタンを操作することにより発行指示がなされる(ステップS16)。なお、「発行開始」ボタンを操作する前に、データ表示部402のいずれかの種目に新たなデータを入力してデータを変更してもよい。
「発行開始」ボタンが操作されると、情報処理装置2は、印字データと発行データ(
図10参照)を生成し(ステップS18)、印字データをプリンタ3に送信する(ステップS20)。プリンタ3は、印字データを受信すると、バッファとしての記憶部34に記録するが(ステップS22)、この時点では印字を行わない。
【0046】
情報処理装置2は、発行データに基づいて、検査パラメータを生成する(ステップS26)。検査パラメータは前述したように、各種目に対応するオブジェクトの位置や、オブジェクトに含まれるデータ等、検査を行うときの基準となるデータである。
検査画面(
図8の画面G3参照)において、ボタンb1(「検査設定」)が操作された場合には、検査パラメータに基づき、検査設定のウィンドウ(
図8の画面G31参照)が表示される。また、情報処理装置2は、印字データに基づいてプレビュー画像を当該ウィンドウに表示する
(ステップS28)。
検査画面において、ボタンb2(「検査開始」)が操作されると(ステップS30:YES)、検査処理が開始される(ステップS32)。検査処理の詳細については、
図12に示すシーケンスチャートのとおりである。
【0047】
すなわち、検査処理では、情報処理装置2は、カメラ検査装置4に対して検査パラメータを送信し(ステップS100)、検査パラメータを受信したカメラ検査装置4が当該パラメータを設定する(ステップS102)。つまり、受信した検査パラメータに基づいて検査を行うときの基準が設定される。
ラベルの発行タイミングおよび検査のタイミングは、情報処理装置2の検査プログラムを実行することにより制御される。つまり、情報処理装置2は、検査パラメータのカメラ検査装置4に対する送信タイミングを制御することで、ラベルの発行タイミングおよび検査のタイミングを制御する。
検査パラメータを受信した後、カメラ検査装置4はプリンタ3に対して発行指示を送信する。プリンタ3は、当該発行指示を受信すると、記憶部34に記録されている印字データ(ステップS22で保存された印字データ)に基づいて1枚のラベルを印字、発行する(ステップS106)。1枚のラベルの発行が完了すると、プリンタ3はカメラ検査装置4に対して発行完了通知を送信する(ステップS108)。
カメラ検査装置4は、プリンタ3から発行完了通知を受信すると、発行されたラベルに対する検査を実行し(ステップS110)、その検査結果(検査合格(検査OK)又は検査不合格(検査NG))を情報処理装置2に送信する(ステップS112)。
以上の一連の処理が、情報処理装置2がカメラ検査装置4に対して検査パラメータを送信する度に、発行枚数分だけ繰り返し行われる。
【0048】
一例では、検査結果を受信した情報処理装置2は、OK枚数とNG枚数をそれぞれカウントする。つまり、検査結果が検査OKである場合には(ステップS114:YES)、OK枚数をカウントアップし(ステップS116)、検査結果が検査NGである場合には(ステップS114:NO)、NG枚数をカウントアップする(ステップS120)。
好ましくは、OK枚数が発行枚数(発行要求枚数)に達するまで、検査処理を繰り返してもよい(ステップS118)。1枚のラベルの発行および検査が終了するとステップS100に戻り、情報処理装置2は再度、検査パラメータを検査装置4に送信し、ステップS100~S112の処理が繰り返される。したがって、発行枚数のラベルが1枚ずつプリンタ3により発行され、かつカメラ検査装置4により検査可能となるように、プリンタ3によるラベルの印字タイミングが情報処理装置2によって制御される。
【0049】
以上説明したように、本実施形態に係る検査システム1では、ラベルに印字すべき内容が1又は複数の種目の各々に対応するオブジェクトに関するオブジェクトデータを含むレイアウトファイルが生成される。そして、ラベルの印字内容を検査するときには、検査パラメータがレイアウトファイルを基に自動生成され、当該検査パラメータを基にカメラ検査装置4による検査が行われる。そのため、ユーザは、ラベルの印字内容の検査を行うに際してカメラ検査装置4の設定作業を意識する必要がない。例えば、異なる印字内容のラベル(つまり、異なる品種のラベル)をカメラ検査装置4で検査する場合、ユーザが各品種のラベルに対して検査パラメータを設定する必要はないため、印字内容の検査のための設定の煩雑さが大幅に低減される。
【0050】
本実施形態に係る検査システム1では、ユーザがラベルプログラムを実行することでレイアウトファイルを変更した場合、変更後のレイアウトファイルに基づいて発行データが作成され、当該発行データに基づいて検査パラメータが生成される。例えば、印字有効範囲内で複数のオブジェクトの位置を変更し、及び/又は、オブジェクト内の文字サイズ、文字フォントを変更することでレイアウトファイルを変更した場合(つまり、ラベルのレイアウトや文字を変更した場合)でも、その変更内容に応じて検査パラメータが自動で設定される。また、新たな種目に対応するオブジェクトを追加した場合でも、その追加されたオブジェクトに対応する検査パラメータが自動で設定される。そのため、ユーザは、レイアウトファイルを変更する都度に検査パラメータを設定する操作は必要なく、検査の設定の煩雑さから解放される。
【0051】
以上、本発明の情報処理装置および情報処理方法の一実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されない。また、上記の実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更が可能である。
例えば、
図12のシーケンスチャートのステップS114~S118では、OK枚数が発行要求枚数に達するまでプリンタ3がラベルを発行するように構成したが、その限りではない。検査結果の如何に関わらず、発行要求枚数のラベルの発行した時点でプリンタ3のラベルの発行を中止するようにしてもよい。
上述した実施形態では、ラベルプログラムと検査プログラムがともに情報処理装置2によって実行される場合について説明したが、その限りではない。各プログラムは、それぞれ異なる装置によって実行されてもよい。その場合、検査プログラムを実行する一方の装置は、ラベルプログラムを実行する他方の装置から発行データを取得し、取得した発行データに基づいて検査パラメータを生成してもよい。
【符号の説明】
【0052】
1…検査システム
2…情報処理装置
21…制御部
22…記憶部
23…操作入力部
24…表示部
25…通信インタフェース
3…プリンタ
31…制御部
32…搬送部
33…印字部
34…記憶部
35…通信インタフェース
4…カメラ検査装置
41…制御部
42…画像処理部
43…光源
44…記憶部
45…通信インタフェース
6…巻き取り機
101…編集ボタン群
102…配置設定ボタン群
201…オブジェクト設定部
202…プロパティ設定部
203…変数設定部
301…ラベルデザイン表示部
302…入力設定部
401…発行ボタン群
402…データ表示部
403…日付設定部
404…プレビュー表示部
501…検査結果表示部
502,504…プレビュー表示部
503…検査設定部
G1~G4,G31…画面
T1~T5…タブ
b1~b4…ボタン
PL…ラベル
PM…台紙
CP…連続紙