(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-25
(45)【発行日】2024-10-03
(54)【発明の名称】クッション材、積層クッション材およびクッション材の製造方法
(51)【国際特許分類】
A47C 27/14 20060101AFI20240926BHJP
【FI】
A47C27/14 B
A47C27/14 A
(21)【出願番号】P 2020079529
(22)【出願日】2020-04-28
【審査請求日】2023-04-11
(73)【特許権者】
【識別番号】522345803
【氏名又は名称】株式会社アーケム
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(72)【発明者】
【氏名】古賀 義英
(72)【発明者】
【氏名】関川 輝一
(72)【発明者】
【氏名】萩原 翔
【審査官】松江 雅人
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-095067(JP,A)
【文献】特開2003-061789(JP,A)
【文献】実開昭63-091060(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 27/14-27/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの面を有したクッション材であって、
前記クッション材は、発泡樹脂によって形成された単一部材であり、
前記2つの面のいずれか一方の面に、一方面側凹凸形状を有しており、
前記2つの面のいずれか他方の面に、他方面側凹凸形状を有しており、
前記他方面側凹凸形状の配列ピッチは、前記一方面側凹凸形状の配列ピッチよりも長
く、
前記一方面側凹凸形状は、複数の一方面側凹凸部からなり、前記複数の一方面側凹凸部は、平面視において、所定方向と、前記所定の方向に対して交差する交差方向とのそれぞれの方向に配列されており、
前記他方面側凹凸形状は、複数の他方面側凹凸部からなり、前記複数の他方面側凹凸部は、平面視において、前記所定方向と前記交差方向とのいずれか一方の方向のみに配列されているとともに、前記所定方向と前記交差方向とのいずれか他方の方向に延在しており、
前記一方面側凹凸部は、一方面側凸部と一方面側凹部とを含み、前記一方面側凸部は、錐体状であり、前記一方面側凹部は、逆錐体状であり、
前記他方面側凹凸部は、他方面側凸部と他方面側凹部とを含み、前記他方面側凹凸形状は、前記他方の方向から視て滑らかな曲線状に連なる、平面波状である、クッション材。
【請求項2】
前記クッション材は、複数の当該クッション材が積層配置されることなく、1つの当該クッション材のみで使用される、請求項1に記載されたクッション材。
【請求項3】
前記クッション材は、マットレスである、請求項2に記載されたクッション材。
【請求項4】
2つのクッション材を備えており、
前記2つのクッション材の少なくとも1つは、請求項
1に記載された前記クッション材であり、
前記2つのクッション材の前記少なくとも1つの前記他方の面と、他方の前記クッション材が向かい合わせになるように、前記一方の前記クッション材と、前記他方の前記クッション材とが積層配置されている、積層クッション材。
【請求項5】
前記2つのクッション材は、それぞれ、請求項
1に記載された前記クッション材であり、
一方の前記クッション材の前記他方の面と、他方の前記クッション材の前記他方の面とが向かい合わせになるように、前記一方の前記クッション材と、前記他方の前記クッション材とが積層配置されている、請求項4に記載された積層クッション材。
【請求項6】
請求項1から3のいずれか1項に記載されたクッション材を得るための、クッション材の製造方法であって、
発泡樹脂によって形成された単一基材の一方面側表層部と他方面側表層部とのそれぞれに、2次元加工を行うことによって前記クッション材の前記他方の面を形成する、第1加工工程と、
前記第1加工工程で生じた前記基材の捨て材を、当該基材から除去する除去工程と、
前記除去工程後の前記基材にプロファイル加工を行うことによって前記クッション材の前記一方の面を形成する、第2加工工程と、
を含む、クッション材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クッション材、積層クッション材およびクッション材の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のクッション材には、表面と裏面との、2つの面のそれぞれに、異なる凹凸形状を有したクッション材がある(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のクッション材は、2枚のシート体を接着剤によって貼り合わせることによって形成されている。従って、上記従来のクッション材には、構造の簡素化という点で、改善の余地があった。
【0005】
本発明の目的は、2つの面のそれぞれに凹凸形状を有しつつ構造が簡素化された、クッション材および積層クッション材を提供することであり、また、前記クッション材を得るために好適な、クッション材の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るクッション材は、2つの面を有したクッション材であって、前記クッション材は、発泡樹脂によって形成された単一部材であり、前記2つの面のいずれか一方の面に、一方面側凹凸形状を有しており、前記2つの面のいずれか他方の面に、他方面側凹凸形状を有しており、前記他方面側凹凸形状の配列ピッチは、前記一方面側凹凸形状の配列ピッチよりも長い。本発明に係るクッション材によれば、2つの面のそれぞれに凹凸形状を有しつつ構造が簡素化される。
【0007】
また、本発明に係るクッション材において、前記一方面側凹凸形状は、複数の一方面側凹凸部からなり、前記複数の一方面側凹凸部は、平面視において、所定方向と、前記所定の方向に対して交差する交差方向とのそれぞれの方向に配列されており、前記他方面側凹凸形状は、複数の他方面側凹凸部からなり、前記複数の他方面側凹凸部は、平面視において、前記所定方向と前記交差方向とのいずれか一方の方向のみに配列されているとともに、前記所定方向と前記交差方向とのいずれか他方の方向に延在していることが好ましい。この場合、前記クッション材の一方の面は、圧力分散性に優れた面として使用することができ、また、前記クッション材の他方の面は、通気性に優れた面として使用することができる。
【0008】
また、本発明に係るクッション材において、前記一方面側凹凸部は、一方面側凸部と一方面側凹部とを含み、前記一方面側凸部は、錐体状であり、前記一方面側凹部は、逆錐体状であり、前記他方面側凹凸部は、他方面側凸部と他方面側凹部とを含み、前記他方面側凹凸形状は、平面波状であることが好ましい。この場合、前記クッション材の一方の面は、圧力分散性により優れた面として使用することができ、また、前記クッション材の他方の面は、通気性により優れた面として使用することができる。
【0009】
本発明に係る積層クッション材は、2つのクッション材を備えており、前記2つのクッション材の少なくとも1つは、上述したクッション材であり、前記2つのクッション材の前記少なくとも1つの前記他方の面と、他方の前記クッション材が向かい合わせになるように、前記一方の前記クッション材と、前記他方の前記クッション材とが積層配置されている。本発明に係る積層クッション材によれば、2つの面のそれぞれに凹凸形状を有しつつ構造が簡素化される。
【0010】
本発明に係る積層クッション材において、前記2つのクッション材は、それぞれ、上述したクッション材であり、一方の前記クッション材の前記他方の面と、他方の前記クッション材の前記他方の面とが向かい合わせになるように、前記一方の前記クッション材と、前記他方の前記クッション材とが積層配置されていることが好ましい。この場合、2つの面のそれぞれに凹凸形状を有しつつ構造がより簡素化される。
【0011】
本発明に係る、クッション材の製造方法は、上記クッション材を得るための、クッション材の製造方法であって、発泡樹脂によって形成された単一基材の一方面側表層部と他方面側表層部とのそれぞれに、2次元加工を行うことによって前記クッション材の前記他方の面を形成する、第1加工工程と、前記第1加工工程で生じた前記基材の捨て材を、当該基材から除去する除去工程と、前記除去工程後の前記基材にプロファイル加工を行うことによって前記クッション材の前記一方の面を形成する、第2加工工程と、を含む。本発明に係る、クッション材の製造方法は、上記クッション材を得るために好適である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、2つの面のそれぞれに凹凸形状を有しつつ構造が簡素化された、クッション材および積層クッション材を提供することができ、また、前記クッション材を得るために好適な、クッション材の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係るクッション材を概略的に示す斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る積層クッション材を概略的に示す平面図、正面図および右側面図である。
【
図6】本発明の他の実施形態に係る積層クッション材を概略的に示す平面図、正面図および右側面図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る、クッション材の製造方法の第1加工工程において、二次元加工された基材を、当該二次元加工によって生じた捨て材が残存したままの状態で概略的に示す側面図である。
【
図8】
図7の第1加工工程において行われる二次元加工の一例を概略的に正面から示す断面図である。
【
図9】
図7の第1加工工程において行われる二次元加工を概略的に側面から示す断面図である。
【
図10】
図7の第1加工工程後の除去工程において、
図7の二次元加工済の基材から捨て材を取り除いた後、さらに、前記除去工程後の第2加工工程において、プロファイル加工された当該基材を概略的に示す側面図である。
【
図11】
図10の第2加工工程において行われるプロファイル加工の一例を概略的に正面から示す、
図10のX-X断面図である。
【
図12】
図10の第2加工工程においてプロファイル加工の一例を概略的に側面から示す、
図11のX-X断面図である。
【
図13】
図10の2次加工済基材を用いて、本実施形態に係る積層クッション材を形成する工程を概略的に示す側面図である。
【
図14】本発明のさらに他の実施形態に係るクッション材の表面側凹凸形状の一例を、当該表面側凹凸形状の一部を拡大して示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係るクッション材、積層クッション材およびクッション材の製造方法について説明する。
【0015】
[クッション材]
図1中、符号1は、本発明の一実施形態に係るクッション材である。本実施形態では、クッション材1は、矩形のシートである。本実施形態では、クッション材1の長さLは、当該クッション材1の幅Wよりも長い。また、クッション材1の厚さTは、当該クッション材1の幅Wよりも薄い。本実施形態では、クッション材1は、マットレスである。
図1中、符号DLは、長さ方向(丈方向)である。また、
図1中、符号DWは、幅方向である。さらに、
図1中、符号DTは、厚み方向である。
【0016】
クッション材1は、2つの面を有している。本実施形態では、クッション材1は、表面F1と裏面F2との2つの面を有している。また、クッション材1は、発泡樹脂によって形成された単一部材である。前記発泡樹脂は、軟質発泡樹脂であることが好ましい。具体例としては、軟質ポリウレタンフォームが挙げられる。クッション材1は、表面F1と裏面F2とのいずれか一方の面に、一方面側凹凸形状を有している。本実施形態では、一方面側凹凸形状は、表面F1の側に設けられた表面側凹凸形状である。なお、
図1では、表面側凹凸形状の一部は、二点鎖線で省略されている。また、クッション材1は、表面F1と裏面F2とのいずれか他方の面に、他方面側凹凸形状を有している。本実施形態では、他方面側凹凸形状は、裏面F2の側に設けられた裏面側凹凸形状である。他方面側凹凸形状の配列ピッチP2は、一方面側凹凸形状の配列ピッチP1よりも長い。本実施形態では、一方面側凹凸形状の配列ピッチP1は、表面側凹凸形状の配列ピッチである。また、本実施形態では、他方面側凹凸形状の配列ピッチP2は、裏面側凹凸形状の配列ピッチである。
【0017】
本実施形態では、表面側凹凸形状は、複数の表面側凹凸部2からなる。本実施形態では、表面側凹凸部2は、一方面側凹凸部である。表面側凹凸形状の配列ピッチP1は、例えば、任意の表面側凸部(一方面側凸部)2aと当該表面側凸部2aに最も近い表面側凸部2aとの間のピッチP1p、任意の表面側凹部(一方面側凹部)2bと当該表面側凹部2bに最も近い表面側凹部2bとの間のピッチP1n、または、任意の表面側凸部2aもしくは表面側凹部2bと当該表面側凸部2aもしくは表面側凹部2bに最も近い表面側凹部2bもしくは表面側凸部2aとの間のピッチP1pnとすることができる。本実施形態では、複数の表面側凹凸部2は、平面視において、所定方向と、前記所定の方向に対して交差する交差方向とのそれぞれの方向に配列されている。本実施形態では、前記所定方向は、長さ方向DLと平行な方向である。
図2を参照すれば、表面側凹凸形状の配列ピッチP1は、長さ方向DLにおいて、例えば、表面側凸部2aと表面側凸部2aとの間のピッチP1p、表面側凹部2bと表面側凹部2bとの間のピッチP1n、または、表面側凸部2aと表面側凹部2bとの間のピッチP1pnとすることができる。また、前記交差方向は、平面視において、長さ方向DLに対して交差する方向である。本実施形態では、前記交差方向は、平面視において、長さ方向DLに対して直交する方向、即ち、幅方向DWと平行な方向である。
図3を参照すれば、表面側凹凸形状の配列ピッチP1は、幅方向DWにおいて、例えば、表面側凸部2aと表面側凸部2aとの間のピッチP1p、表面側凹部2bと表面側凹部2bとの間のピッチP1n、または、表面側凸部2aと表面側凹部2bとの間のピッチP1pnとすることもできる。
【0018】
また、本実施形態では、裏面側凹凸形状は、複数の裏面側凹凸部3からなる。本実施形態では、裏面側凹凸部3は、他方面側凹凸部である。
図2を参照すれば、裏面側凹凸形状の配列ピッチP2は、例えば、任意の裏面側凸部(他方面側凸部)3aと当該裏面側凸部3aに最も近い裏面側凸部3aとの間のピッチP2p、任意の裏面側凹部(他方面側凹部)3bと当該裏面側凹部3bに最も近い裏面側凹部3bとの間のピッチP2n、または、任意の裏面側凸部3aもしくは裏面側凹部3bと当該裏面側凸部3aもしくは裏面側凹部3bに最も近い裏面側凹部3bもしくは裏面側凸部3aとの間のピッチP2pnとすることができる。本実施形態では、複数の裏面側凹凸部3は、平面視において、前記所定方向と前記交差方向とのいずれか一方の方向のみに配列されている。本実施形態では、前記所定方向は、長さ方向DLと平行な方向である。
図2を参照すれば、裏面側凹凸形状の配列ピッチP2は、長さ方向DLにおいて、例えば、裏面側凸部3aと裏面側凸部3aとの間のピッチP2p、裏面側凹部3bと裏面側凹部3bとの間のピッチP2n、または、裏面側凸部3aと裏面側凹部3bとの間のピッチP2pnとすることができる。また、複数の裏面側凹凸部3は、前記所定方向と前記交差方向とのいずれか他方の方向に延在している。この場合、裏面側凹凸部3の一部は、前記所定方向と前記交差方向とのいずれか他方の方向に延在している溝部として機能することができる。本実施形態では、前記交差方向は、幅方向DWと平行な方向である。
図3を参照すれば、裏面側凹凸部3は、幅方向DWに延在している。本実施形態では、裏面側凸部3aと裏面側凹部3bとはそれぞれ、幅方向DWに延在している。この場合、裏面側凹部3bは、幅方向DWに延在している溝部として機能することができる。なお、本実施形態では、裏面側凹凸部3は、表面側凹凸部2と同じ所定方向(幅方向DWと平行な方向)に配列されているとして説明したが、裏面側凹凸部3は、表面側凹凸部2と異なる方向に配列することができる。また、
図3において、表面側凸部3aの輪郭線は、当該表面側凸部3aの頂点を示す。また、
図3において、裏面側凹部3bの輪郭線は、当該裏面側凹部3bの溝底を示す。すなわち、
図3に示す、表面側凸部3aの輪郭線と裏面側凹部3bの輪郭線との間は、裏面側凹凸部3の高低差を表している。
【0019】
本発明によれば、裏面側凹凸形状の配列ピッチP2は、表面側凹凸形状の配列ピッチP1よりも長い。即ち、P2>P1である。表面側凹凸形状の配列ピッチP1が異なる場合、裏面側凹凸形状の配列ピッチP2は、表面側凹凸形状の配列ピッチP1のうち、最も大きな配列ピッチP1よりも長くすることが好ましい。裏面側凹凸形状の配列ピッチP2が異なる場合、裏面側凹凸形状の配列ピッチP2のうち、最も小さな配列ピッチP2は、表面側凹凸形状の配列ピッチP1よりも長くすることが好ましい。即ち、表面側凹凸形状の配列ピッチP1が異なるとともに裏面側凹凸形状の配列ピッチP2が異なる場合、裏面側凹凸形状の配列ピッチP2のうち、最も小さな配列ピッチP2は、表面側凹凸形状の配列ピッチP1のうち、最も大きな配列ピッチP1よりも長くすることが好ましい。
【0020】
図2に示すように、本実施形態では、裏面側凹凸形状の配列ピッチP2は、長さ方向DLと平行な方向に配列された表面側凹凸形状の配列ピッチP1よりも長い。また、本実施形態では、裏面側凹凸形状の配列ピッチP2は、幅方向DWに配列された表面側凹凸形状の配列ピッチP1よりも長い。
【0021】
クッション材1は、発泡樹脂によって形成された単一部材である。クッション材1は、例えば、シート状の軟質ポリウレタンフォームを単一基材として、当該基材を機械加工することによって形成されている。クッション材1は、クッション材1は、2枚のシート材を貼り合わせることなく、当該クッション材1の表面F1および裏面F2のそれぞれに凹凸形状が設けられている。従って、クッション材1によれば、表面F1と裏面F2とのそれぞれに凹凸形状を有しつつ当該クッション材1の構造が簡素化される。
【0022】
また、クッション材1には、2つのシート材を接着したことによるテンションが発生しない。このため、クッション材1によれば、睡眠中の寝返り等の動作により、例えば、従来のクッション材のように、2つのシート材の間にズレ、引っ張りを生じることがない。従って、クッション材1によれば、当該クッション材1の内部に不要な応力を生じさせることなく、圧力分散性能(クッション材1の表面F1に加わる圧力を分散させる性能)を発揮することができる。
【0023】
また、クッション材1において、前記一方面側凹凸形状は、複数の一方面側凹凸部(2)からなり、前記複数の一方面側凹凸部(2)は、平面視において、所定方向と、前記所定の方向に対して交差する交差方向とのそれぞれの方向に配列されていることが好ましい。この場合、クッション材1の前記一方の面は、圧力分散性に優れた面として使用することができる。また、前記他方面側凹凸形状は、複数の他方面側凹凸部(3)からなり、前記複数の他方面側凹凸部(3)は、平面視において、前記所定方向と前記交差方向とのいずれか一方の方向のみに配列されているとともに、前記所定方向と前記交差方向とのいずれか他方の方向に延在していることが好ましい。この場合、クッション材1の前記他方の面は、通気性に優れた面として使用することができる。さらに、この場合、睡眠中の寝返り動作時の快適性も向上する。
【0024】
図2を参照すれば、本実施形態において、表面側凹凸形状は、複数の表面側凹凸部2からなる。複数の表面側凹凸部2は、平面視において、長さ方向DLと、幅方向DWとのそれぞれの方向に配列されている。この場合、クッション材1の表面F1は、圧力分散性に優れた面として使用することができる。また、
図2を参照すれば、本実施形態では、裏面側凹凸形状は、複数の裏面側凹凸部3からなる。複数の裏面側凹凸部3は、平面視において、長さ方向のみに配列されている。また、
図3を参照すれば、裏面側凹凸部3は、幅方向DWに延在している。本実施形態では、クッション材1の裏面F2には、幅方向DWに延在する複数の裏面側凹部3bが形成されている。この場合、クッション材1の裏面F2は、通気性に優れた面として使用することができる。なお、複数の表面側凹凸部2は、長さ方向DLに代えて、幅方向DWのみに配列することができる。さらに、複数の表面側凹凸部2は、平面視において、長さ方向DLと異なる所定方向と、当該所定方向と異なる方向とのそれぞれに配列することができる。
【0025】
[積層クッション材]
本発明によれば、上記クッション材1を用いることによって積層クッション材10を形成することができる。積層クッション材10は、2つのクッション材を備えている。積層クッション材10は、2つのクッション材の少なくとも1つは、クッション材1である。積層クッション材10は、クッション材1の他方の面(裏面)と、他方のクッション材が向かい合わせになるように、クッション材1と、他方のクッション材とが積層配置されている。
【0026】
図4は、本発明の一実施形態に係る積層クッション材10を概略的に示す平面図、正面図および右側面図である。
図4において、
図1~3の構成と実質的に同一の部分は、同一の符号を用いている。
【0027】
図4の平面図を参照すれば、積層クッション材10は、3つの積層クッション材10Aによって形成されている。3つの積層クッション材10Aは、例えば、バーチカルカッターを使用したバーチカル加工によって、積層クッション材シートを、1つの積層クッション材10を切り出し、さらに、3つの積層クッション材10Aに切断している。
【0028】
図4の正面図を参照すれば、積層クッション材10Aは、2つのクッション材1Aを備えている。2つのクッション材1Aは、それぞれ、クッション材1である。本実施形態では、一方のクッション材1Aの裏面(他方の面)F2と、他方のクッション材1Aの裏面(他方の面)F2と、が向かい合わせになるように、一方のクッション材1Aと、他方のクッション材1Aとが積層配置されている。これにより、積層クッション材10Aの、2つの面はそれぞれ、クッション材1Aの表面F1によって形成されている。なお、
図4の積層クッション材10Aにおいて、2つのクッション材1Aはそれぞれ、異なる材質によって形成することができる。また、2つのクッション材1Aの裏面F2はそれぞれ、異なる形状とすることができる。さらに、2つのクッション材1Aの表面F1もそれぞれ、異なる形状とすることができる。
図4では、積層クッション材10Aの表面F1の、凹凸形状は省略されている。
【0029】
図4の側面図を参照すれば、本実施形態において、積層クッション材10Aは、一方のクッション材1Aの裏面側凹凸形状と、他方のクッション材1Aの裏面側凹凸形状と、を嵌合させている。これにより、積層クッション材10Aは、2つのクッション材1Aを貼り合わせることなく、2つのクッション材1Aを積層配置することができる。従って、この場合、表面F1と裏面F2と2つの面のそれぞれに凹凸形状を有しつつ構造がより簡素化される。
【0030】
また、上述のとおり、積層クッション材10Aは、2つのクッション材1Aの裏面側凹凸形状を嵌合させることによって形成することができる。このため、積層クッション材10Aの製造時において、2つのクッション材1Aを、接着剤等を用いて貼り合わせるための工数を削減することができる。
【0031】
また、本実施形態において、2つのクッション材1Aは、従来のクッション材のように、接着剤等によって貼り合わされていない。従って、積層クッション材10Aには、2つのクッション材1Aを接着したことによるテンションが発生しない。このため、例えば、睡眠中の寝返り動作により、2つのクッション材1Aの間に、ズレ、引っ張りを生じるような場合でも、これらのいずれも許容することにより、圧力分散性能(積層クッション材10Aの表面に加わる圧力を分散させる性能)を発揮することができる。
【0032】
従来の積層クッション材は、2つのシート材(クッション材)を貼り合わせることによって形成されている。このため、従来の積層クッション材は、例えば、材質の特性と、一方のクッション材の一方面側凹凸形状と、他方のクッション材の一方面側凹凸形状とを適宜変更することにより、所望の効果を発揮させている。例えば、クッション材の材質を適当な材質に変更し、例えば、一方のクッション材の表面側凹凸形状と、他方のクッション材の表面側凹凸形状とを適当な凹凸形状に変更すれば、例えば、圧力分散性能を向上させることができ、例えば、寝心地を向上させることができる。
【0033】
これに対し、本実施形態に係る積層クッション材10Aは、2つのクッション材1Aを重ね合わせることによって形成されている。このため、積層クッション材10Aは、材質の特性と、一方のクッション材1Aの表面側凹凸形状と、他方のクッション材1Aの表面側凹凸形状とに加え、2つのクッション材1Aの重ね面(裏面F2)の裏面側凹凸形状による相互作用とによって所望の効果を発揮させることができる。例えば、
図5には、
図4の領域Aを拡大して示す。
図5を参照すれば、符号W10、符号D10、符号C10は、それぞれ、一方のクッション材1Aの裏面側凹凸形状と、他方のクッション材1Aの裏面側凹凸形状との、嵌合幅、嵌合深さ、嵌合隙間である。積層クッション材10Aによれば、嵌合幅W10、嵌合深さD10、嵌合隙間C10を適当な値に調整することにより、材料使用量を大幅に減らしつつ、例えば、従来の圧力分散性能と同等またはそれ以上に向上させることができ、例えば、従来の寝心地と同等またはそれ以上に向上させることができる。
【0034】
また、積層クッション材10Aは、一方のクッション材1Aの裏面F2と、他方のクッション材1Aの裏面F2とが向かい合わせになっている。このため、一方のクッション材1Aの裏面側凹凸形状と、他方のクッション材1Aの裏面側凹凸形状との間に形成された隙間(嵌合隙間C10)が空気の通り道となることによって、高い通気性を得ることができる。また、裏面側凹凸形状の複合的な組み合わせにより、寝返り等の動作の際に、ベンチレーション効果が得られることにより、積層クッション材10Aの内部に生じる蒸れの発生を抑制し、快適性を大きく改善することができる。
【0035】
また、積層クッション材10Aは、材料使用量を大幅に減らせることから、同等の性能を発揮する従来の製品群よりも、より軽量である。このため、積層クッション材10Aは、高い性能を有しながら、非常に取り回し易い製品となる。例えば、本実施形態のように、積層クッション材10Aが積層マットレスの場合、高い寝具性能を有しながら、取り扱いが容易な製品となる。
【0036】
積層クッション材10は、複数の積層クッション材10Aを備えている。このため、積層クッション材10は、上述したような、積層クッション材10Aと同様の効果を得ることができる。
【0037】
図6は、本発明の他の実施形態に係る積層クッション材20を概略的に示す平面図、正面図および右側面図である。
図6において、
図1~5の構成と実質的に同一の部分は、同一の符号を用いている。
【0038】
図6の平面図を参照すれば、積層クッション材20は、3つの積層クッション材20Aによって形成されている。
【0039】
図6の正面図を参照すれば、積層クッション材20Aは、クッション材1Aとクッション材1Bとの2つのクッション材を備えている。本実施形態において、クッション材1Aは、クッション材1である。また、本実施形態において、クッション材1Bは、本発明の他の実施形態に係るクッション材である。クッション材1Bは、クッション材1Aの変形例である。クッション材1Bにおいて、複数の裏面側凹凸部3は、平面視において、幅方向DWに対して平行な方向のみに配列されている。クッション材1Bにおいて、裏面側凹凸部3は、長さ方向DLに延在している。本実施形態では、クッション材1Aの裏面F2と、クッション材1Bの裏面F2とが、向かい合わせになるように、クッション材1Aと、クッション材1Bとが積層配置されている。これにより、積層クッション材20Aの、2つの面はそれぞれ、クッション材1Aの表面F1と、クッション材1Bの表面F1とによって形成されている。なお、
図6では、積層クッション材20Aの表面F1の、凹凸形状は省略されている。
【0040】
積層クッション材20Aのように、本発明に係る積層クッション材によれば、2つのクッション材の少なくとも1つを、2つの面のそれぞれに凹凸形状を有する単一部材とすることができる。従って、本発明に係る積層クッション材によれば、2つの面のそれぞれに凹凸形状を有しつつ構造が簡素化される。
【0041】
特に、積層クッション材20Aは、クッション材1Aの裏面側凹凸形状と、クッション材1Bの裏面側凹凸形状とによって形成された、幅方向DWに沿って延びる隙間(クッション材1Aの裏面側凹凸部3の裏面側凹部3bによって形成された隙間)に加えて、クッション材1Aの裏面側凹凸形状と、クッション材1Bの裏面側凹凸形状とによって形成された、長さ方向DLに沿って延びる隙間(クッション材1Bの裏面側凹凸部3の裏面側凹部3bによって形成された隙間)が空気の通り道となることによって、より高い通気性を得ることができる。また、裏面側凹凸形状の複合的な組み合わせにより、寝返り等の動作の際に、ベンチレーション効果がより得られることにより、積層クッション材10Aの内部に生じる蒸れの発生をより抑制し、快適性を大きく改善することができる。
【0042】
また、積層クッション材20Aも、材料使用量を大幅に減らせることから、同等の性能を発揮する従来の製品群よりも、より軽量である。このため、積層クッション材20Aも、高い性能を有しながら、非常に取り回し易い製品となる。積層クッション材20は、複数の積層クッション材20Aを備えている。このため、積層クッション材20は、上述したような、積層クッション材20Aと同様の効果を得ることができる。
【0043】
[クッション材の製造方法]
本発明の一実施形態に係る、クッション材の製造方法は、クッション材1を得るための、クッション材の製造方法である。本実施形態に係る、クッション材の製造方法は、発泡樹脂によって形成された単一基材の一方面側表層部と他方面側表層部とのそれぞれに、2次元加工を行うことによって前記クッション材の前記他方の面を形成する、第1加工工程と、前記第1加工工程で生じた前記基材の捨て材を、当該基材から除去する除去工程と、前記除去工程後の前記基材にプロファイル加工を行うことによって前記クッション材の前記一方の面を形成する、第2加工工程と、を含む。
【0044】
本実施形態に係る、クッション材の製造方法によれば、クッション材1の表面(一方の面)F1には綺麗な凹凸形状が形成される。従って、本実施形態に係る、クッション材の製造方法は、クッション材1を得るために好適である。
【0045】
以下、図面を参照して、本実施形態に係る、クッション材の製造方法について説明する。
【0046】
図7には、本実施形態に係る、クッション材の製造方法の第1加工工程において、二次元加工された基材100を、当該二次元加工によって生じた捨て材S1,S2が残存したままの状態で概略的に示す。
【0047】
図7を参照すれば、基材100は、単一部材である。本実施形態において、基材100は、矩形のシートである。第1加工工程では、発泡樹脂によって形成された単一基材100の一方面側表層部101と他方面側表層部102とのそれぞれに、2次元加工を行う。これによって、基材100から、クッション材1の裏面F2が形成された1次加工済みの基材103(以下、「1次加工済基材103」ともいう。)を得ることができる。本実施形態では、
図7に示すように、一方面側表層部101と他方面側表層部102とのそれぞれは、二次元加工によって平面波状に切断される。ここで、「二次元加工」としては、例えば、コンターマシンを数値制御によって操作する機械加工(コンター加工)が挙げられる。
【0048】
図8は、
図7の第1加工工程において行われる二次元加工の一例を概略的に正面から示す断面図である。
図8中、符号50は、コンターブレード(二次元カッター)である。本実施形態では、コンターブレード50は、単一基材100の幅方向DWに延在している。コンターブレード50は、数値制御によって、単一基材100の一方面側表層部101と他方面側表層部102とのそれぞれを所望の形状に切断する。なお、
図8は、単一基材100の一方面側表層部101を切断している状態を示す。
【0049】
図9には、
図7の第1加工工程において行われる二次元加工を概略的に側面から示す。本実施形態では、コンターブレード50は、数値制御によって、
図9に示すように、基材100の長さ方向DLに沿って移動するとともに厚さ方向DTに沿って上下動する。或いは、コンターブレード50を固定し、基材100を載せ置いたワークステーションを基材100の長さ方向DLに沿って移動させるとともに厚さ方向DTに沿って上下動させる。これによって、
図7の実線に示すように、単一基材100の一方面側表層部101と他方面側表層部102とのそれぞれは、平面波状に切断される。これにより、本実施形態に係る第1加工工程では、第1加工工程で生じた基材100の捨て材S1、S2を残したままの1次加工済基材103を得ることができる。
【0050】
図10には、
図7の第1加工工程後の除去工程において、
図7の二次元加工済の基材100から捨て材S1,S2を取り除いた後の、さらに、第2加工工程において、プロファイル加工された当該基材100を概略的に示す。
【0051】
第1加工工程後の、除去工程では、第1加工工程で生じた基材100の捨て材S1、S2を、当該基材100から除去する。
図10を参照すれば、捨て材S1、S2を除去した1次加工済基材103は、当該1次加工済基材103の一方面側表層部103aと他方面側表層部103bとのそれぞれに、クッション材1の裏面F2が形成される。
【0052】
さらに、本実施形態では、
図10に示すように、1次加工済基材103にプロファイル加工を行うことによって、クッション材1の表面F1を形成する。本実施形態では、
図10に示すように、1次加工済基材103の一方面側表層部103aと他方面側表層部103bとの間を所定方向(例えば、長さ方向DL)に沿って2つに切断する。1次加工済基材103の切断面には、プロファイル加工によって凹凸形状が形成される。ここで、「プロファイル加工」としては、例えば、基材を押圧ローラで圧縮した状態で、当該基材の圧縮部分を、前記押圧ローラの圧縮方向に対して直交する方向であって当該押圧ローラの押圧部分における接線方向に沿って切断する加工が挙げられる。
【0053】
図11には、
図10の第2加工工程において行われるプロファイル加工の一例を概略的に正面から示す。
図11中、符号60は、押圧ローラである。押圧ローラ60は、1次加工済基材103の一方面側表層部103aを押圧する上側押圧ローラ60aと、1次加工済基材103の他方面側表層部103bを押圧する下側押圧ローラ60bとを含む。1次加工済基材103は、2つの押圧ローラ60によって、圧縮した状態で所定方向に送られる。本実施形態では、前記所定方向は、長さ方向DLである。符号70は、コンターブレードである。本実施形態では、コンターブレード70は、1次加工済基材103の幅方向DWに延在している。コンターブレード70は、1次加工済基材103の一方面側表層部103aと他方面側表層部103bとの間で、当該1次加工済基材103を2つのクッション材1に切断する。
【0054】
押圧ローラ60には、複数の突起61が設けられている。本実施形態では、複数の突起61は、押圧ローラ60の延在方向DEに配列されている。また、
図12には、
図10の第2加工工程においてプロファイル加工の一例を概略的に側面から示す。本実施形態では、複数の突起61は、押圧ローラ60の周方向DCにも配列されている。複数の突起61の配列は、クッション材1の表面F1に形成される凹凸形状に応じて適宜選択することができる。
【0055】
第2加工工程では、コンターブレード70は、1次加工済基材103を押圧ローラ60によって、1次加工済基材103の厚さ方向DTに圧縮した状態で、当該1次加工済基材103の圧縮部分を、1次加工済基材103の長さ方向DLに沿って2つに切断する。
図10に示すように、2つに切断された1次加工済基材103のそれぞれの切断面は、押圧ローラ60に配列された突起61に応じた凹凸形状となる。これにより、1次加工済基材103からは、
図10に示すように、2つのクッション材1が重ね合わされた状態の2次加工済基材104を得ることができる。
【0056】
本実施形態に係る、クッション材の製造方法は 第2加工工程後の2次加工済基材104を2つのクッション材に分離する分離工程を含む。本実施形態では、分離工程において、2次加工済基材104に形成された切断面に沿って、当該2次加工済基材104を2つのクッション材1に分離する。これにより、本実施形態に係る、クッション材の製造方法によれば、2つのクッション材1を得ることができる。
【0057】
クッション材の製造方法としては、基材100に二次元加工を行った後、その捨て材S1,S2を1次加工済みの1次加工済基材103に残したまま、当該1次加工済基材103にプロファイル加工を行うことができる。しかしながら、この場合、プロファイル加工済みのクッション材の表面(一方の面)F1には綺麗な凹凸形状が形成されないことがある。
【0058】
これに対し、本実施形態に係る、クッション材の製造方法は、1次加工済みの1次加工済基材103から捨て材S1,S2を取り除いた後、当該1次加工済基材103にプロファイル加工を行う。この場合、プロファイル加工済みの2次加工済基材104の切断面は、綺麗な凹凸形状となる。即ち、本実施形態に係る、クッション材の製造方法によれば、クッション材1の表面(一方の面)F1には綺麗な凹凸形状が形成される。従って、本実施形態に係る、クッション材の製造方法は、クッション材1を得るために好適である。また、本実施形態によれば、1つの単一基材100から2つのクッション材1を製造することができる。
【0059】
[積層クッション材の製造方法]
図13には、
図10の2次加工済基材104を用いて、本実施形態に係る積層クッション材10を形成する工程を概略的に示す。
【0060】
本実施形態に係る、積層クッション材の製造方法は、第2加工工程後の2次加工済基材104を準備する、準備工程と、前記準備工程の後に、2次加工済基材104から2つのクッション材1を分離する分離工程と、前記分離工程の後に、2つのクッション材1を重ね合わせる重ね合わせ工程と、を含む。
【0061】
図13を参照すれば、本実施形態に係る、積層クッション材の製造方法において、前記準備工程では、2つの2次加工済基材104を準備する。次いで、前記分離工程では、2つの2次加工済基材104の一方を、2つのクッション材1a,1bに分離するとともに、2つの2次加工済基材104の他方を、2つのクッション材1c,1dに分離する。次いで、前記重ね合わせ工程では、クッション材1bの裏面F2と、クッション材1cの裏面F2とが向かい合わせになるように、クッション材1bと、クッション材と1cとを重ね合わせる。また、本実施形態に係る前記重ね合わせ工程では、クッション材1aの裏面F2と、クッション材1dの裏面F2とが向かい合わせになるように、クッション材1aと、クッション材と1dとを重ね合わせる。これにより、本実施形態に係る、積層クッション材の製造方法によれば、2つの積層クッション材10を製造することができる。
【0062】
なお、本実施形態に係る、積層クッション材の製造方法によれば、前記準備工程は、1つの2次加工済基材104を準備する工程とすることができる。この場合、前記分離工程で分離された2つの2つのクッション材1a,1b(1c,1d)は、互いの裏面F2が向かい合わせになるように重ね合わせる。これにより、1つの積層クッション材10を製造することができる。
【0063】
ところで、クッション材1において、前記一方面側凹凸部(2)は、一方面側凸部(2a)と一方面側凹部(2b)とを含み、一方面側凸部(2a)は、錐体状であり、一方面側凹部(2b)は、逆錐体状であり、前記他方面面側凹凸部(3)は、他方面側凸部(3a)と他方面側凹部(3b)とを含み、前記他方面側凹凸形状は、平面波状であることが好ましい。この場合、クッション材1の表面F1および裏面F2のいずれか一方の面は、圧力分散性により優れた面として使用することができ、また、クッション材1の表面F1および裏面F2のいずれか他方の面は、通気性により優れた面として使用することができる。
【0064】
図14には、本発明の更に他の実施形態に係るクッション材の表面側凹凸形状の一例を、当該表面側凹凸形状の一部を拡大して示す。また、
図15は、
図14の一部をさらに拡大して示す斜視図である。
【0065】
図14及び15を参照すれば、本実施形態では、表面側凹凸部2は、表面側凸部2aと表面側凹部2bとを含む。表面側凸部2aは、錐体状である。表面側凹部2bは、逆錐体状である。この場合、クッション材1の表面F1は、圧力分散性により優れた面として使用することができる。また、本実施形態では、裏面側凹凸部3は、裏面側凸部3aと裏面側凹部3bとを含む。裏面側凹凸形状は、平面波状である。この場合、クッション材1の裏面F2は、通気性により優れた面として使用することができる。なお、
図14及び15では、符号2a及び符号2bを一部省略している。
【0066】
本発明によれば、2つの面のそれぞれに凹凸形状を有しつつ構造が簡素化された、クッション材および積層クッション材を提供することができ、また、前記クッション材を得るために好適な、クッション材の製造方法を提供することができる。
【0067】
上述したところは、本発明のいくつかの実施形態を開示したにすぎず、特許請求の範囲に従えば、様々な変更が可能となる。例えば、上記の説明では、クッション材および積層クッション材は、それぞれ、人が横になることを想定したマットレスとして説明したが、単に座ることを想定した、クッション材および積層クッション材にも、適用することができる。
【符号の説明】
【0068】
1:クッション材, 1A~1B:クッション材, 1a~1d:クッション材, 2:表面側凹凸部(一方面側凹凸部), 2a:表面側凸部(一方面側凸部), 2b:表面側凹部(一方面側凹部), 3:裏面側凹凸部(他方面側凹凸部) 3a:裏面側凸部(他方面側凸部), 2b:裏面側凹部(他方面側凹部), 10:積層クッション材, 10A:積層クッション材, 20:積層クッション材, 20A:積層クッション材, 50:コンターブレード, 60:押圧ローラ, 60a~60b:押圧ローラ, 61:押圧ローラの突起, 70:コンターブレード, 100:基材, 101:一方面側表層部, 102:他方面側表層部, 103:1次加工済基材, 104:2次加工済基材, DL:長さ方向, DW:幅方向, DT:厚み方向, F1:表面(一方の面), F2:裏面(他方の面), L:方向, P1:表面側凹凸形状(一方面側凹凸形状)の配列ピッチ, P2:裏面側凹凸形状(他方面側凹凸形状)の配列ピッチ, S1~S2:捨て材, T:厚み, W:幅