(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-25
(45)【発行日】2024-10-03
(54)【発明の名称】官能化開始剤、開始剤を作製する方法、および官能化エラストマー
(51)【国際特許分類】
C08F 4/16 20060101AFI20240926BHJP
C08F 12/00 20060101ALI20240926BHJP
C08F 36/04 20060101ALI20240926BHJP
C08F 30/08 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
C08F4/16
C08F12/00
C08F36/04
C08F30/08
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020080236
(22)【出願日】2020-04-30
【審査請求日】2023-01-25
(32)【優先日】2019-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513158760
【氏名又は名称】ザ・グッドイヤー・タイヤ・アンド・ラバー・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100104374
【氏名又は名称】野矢 宏彰
(72)【発明者】
【氏名】アーロン・パトリック・マレー
【審査官】渡辺 陽子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-188598(JP,A)
【文献】特開平05-059072(JP,A)
【文献】特開平04-338396(JP,A)
【文献】特表2014-507405(JP,A)
【文献】特表2016-540730(JP,A)
【文献】国際公開第2009/113499(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F、C08C19、C07F7
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルキルリチウム化合物および式1の化合物
【化1】
(式中、R
1=アルキル(C1~C8)、アリール、または-SiR
3
(式中、R
3は、独立して、C1~C8アルキル
である)であり;R
2=C1~C8アルキル、アリール、または-SiR
3であり;n=0~3である)
の反応生成物であることを特徴とする、官能化重合開始剤。
【請求項2】
-SiR
3
が、SiMe
3
(式中、Meはメチルである)または-Si(CH
3
)
2
C(CH
3
)
3
である、請求項1に記載の官能化重合開始剤。
【請求項3】
R
2
が-CH
3
である、請求項1または2に記載の官能化重合開始剤。
【請求項4】
式1の前記化合物は、式2の化合物
【化2】
(式中、Rは、C1~C3アルキル基またはトリメチルシリル基である)
であることを特徴とする、請求項1に記載の官能化重合開始剤。
【請求項5】
前記アルキルリチウム化合物は、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、n-ヘキシルリチウム、n-オクチルリチウム、tertオクチルリチウム、n-デシルリチウム、フェニルリチウム、1-ナフチルリチウム、4-ブチルフェニルリチウム、p-トリルリチウム、4-フェニルブチルリチウム、シクロヘキシルリチウム、4-ブチルシクロヘキシルリチウム、および4-シクロヘキシルブチルリチウムからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の官能化重合開始剤。
【請求項6】
官能化重合開始剤を作製する方法であって、炭化水素溶媒中のアルキルリチウム化合物を、式1の化合物
【化3】
(式中、R
1=アルキル(C1~C8)、アリール、または-SiR
3
(式中、R
3は、独立して、C1~C8アルキル
である)であり;R
2=C1~C8アルキル、アリール、または-SiR
3であり;n=0~3である)
と反応させる工程を特徴
とする、方法。
【請求項7】
-SiR
3
が、SiMe
3
(式中、Meはメチルである)または-Si(CH
3
)
2
C(CH
3
)
3
である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
R
2
が-CH
3
である、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
官能化エラストマーを作製する方法であって、官能化重合開始剤が存在する状態で、少なくとも1つの共役ジエンモノマーおよび任意に芳香族ビニルモノマーを重合する工程を含むことを特徴とし、前記官能化重合開始剤は、アルキルリチウム化合物および式1の化合物
【化4】
(式中、R
1=アルキル(C1~C8)、アリール、または-SiR
3
(式中、R
3は、独立して、C1~C8アルキル
である)であり;R
2=C1~C8アルキル、アリール、または-SiR
3であり;n=0~3である)
の反応生成物を含む、方法。
【請求項10】
-SiR
3
が、SiMe
3
(式中、Meはメチルである)または-Si(CH
3
)
2
C(CH
3
)
3
である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
R
2
が-CH
3
である、請求項9または10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[001]近年、官能化ポリマーの需要が高まっている。官能化ポリマーは、様々なリビング/制御重合技術により合成できる。活性カルバニオン中心に基づくリビング重合プロセスでは、周期表の第I族および第II族の金属が、モノマーのポリマーへの重合を開始するために一般的に使用される。例えば、リチウム、バリウム、マグネシウム、ナトリウム、およびカリウムは、そのような重合において頻繁に利用される金属である。このタイプの開始剤系は、それらを、立体調節ポリマーを製造するために使用できるので、商業上重要である。例えば、リチウム開始剤は、合成ポリイソプレンゴムへのイソプレンのアニオン重合を開始するため、または所望のマイクロ構造を有するポリブタジエンゴムへの1,3-ブタジエンの重合を開始するために利用できる。
【背景技術】
【0002】
[002]そのような重合で形成されるポリマーは、それらのポリマー鎖の成長末端で重合を開始するために使用される金属を有し、リビングポリマーと呼ばれることもある。それらは、末端金属開始剤を含むそれらのポリマー鎖が、利用可能なモノマーのすべてが使い尽くされるまで成長または残り続けるので、リビングポリマーと呼ばれる。そのような金属開始剤を利用することにより調製されるポリマーは、通常は、本質的に直鎖状の構造体を持ち、通常は、多量の分岐を含まない。
【0003】
[003]本発明は、官能化ポリマーの合成を詳述する。一般的に、最良のタイヤ性能特性を達成するためには、官能化ポリマーが非常に望ましい。転がり抵抗を低減させ、タイヤのトレッド摩耗特性を改善するために、反発性の高い物理的性質(低いヒステリシス)を有する官能化エラストマーが、タイヤトレッドゴム組成物のために使用されてきた。しかしながら、タイヤトレッドのウエットスキッド抵抗性を増大させるために、反発性が比較的低い物理的性質(より高いヒステリシス)を有し、それによってより大きなエネルギー損失を受けるゴム状ポリマーが、そのようなトレッドゴム組成物のために使用されることもあった。タイヤトレッドゴム組成物のためのそのような比較的相反する粘弾性を達成するために、様々なタイプの合成および天然ゴムの配合物(混合物)を、タイヤトレッドに利用することができる。
【0004】
[004]リビング重合技術により作られた官能化ゴム状ポリマーは、典型的には、硫黄、促進剤、劣化防止剤、カーボンブラック、シリカ、またはでんぷんなどの充填剤、および他の所望のゴム化学薬品と配合され、その後、引き続き、タイヤまたは動力伝達ベルトなどの実用品の形態へと硫化または硬化される。そのような硬化されたゴムの物理的性質が、充填剤がゴム全体にわたって均質に分散する程度によることが立証されている。このことはさらに、特定のゴム状ポリマーに対する充填剤の親和性のレベルに関連する。このことは、そのようなゴム組成物を利用して作られるゴム物品の物理的特性を改善する際に、実践的に重要になることもある。例えば、タイヤの転がり抵抗およびトラクション特性は、タイヤに利用されるゴム状ポリマーに対する、カーボンブラックおよび/またはシリカの親和性を改善することにより改善できる。したがって、カーボンブラックおよびシリカなどの充填剤に対する、所与のゴム状ポリマーの親和性を改善することが非常に望ましいであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第6,242,534号
【文献】米国特許第6,207,757号
【文献】米国特許第6,133,364号
【文献】米国特許第6,372,857号
【文献】米国特許第5,395,891号
【文献】米国特許第6,127,488号
【文献】米国特許第5,672,639号
【文献】米国特許第6,608,125号
【文献】米国特許出願公開第2003/0130535号
【非特許文献】
【0006】
【文献】Standard Methods for Analysis & Testing of Petroleum and Related Products and British Standard 2000 Parts、2003年、第62版、Institute of Petroleum、United Kingdom
【文献】米国化学会誌、第60巻、304頁(1930)
【文献】The Vanderbilt Rubber Handbook(1978)、344~346頁
【発明の概要】
【0007】
[005]本発明は、アルキルリチウム化合物および式1の化合物
【0008】
【0009】
(式中、R1=アルキル(C1~C8)、アリール、置換アリール、または-SiR3であり、R3は、独立して、C1~C8アルキル、好ましくは-SiMe3であり、Meは、メチルまたは-Si(CH3)2C(CH3)3であり;R2=C1~C8アルキル、アリール、もしくは置換アリール、または-SiR3、好ましくは-CH3であり;n=0~3である)
の反応生成物を含む、官能化重合開始剤を対象とする。
【0010】
[006]本発明はさらに、官能化開始剤を作製する方法、および開始剤を使用して官能化エラストマーを作製する方法を対象とする。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[007]アルキルリチウム化合物および式1の化合物
【0012】
【0013】
(式中、R1=アルキル(C1~C8)、アリール、置換アリール、または-SiR3であり、式中、R3は、独立して、C1~C8アルキル、好ましくは-SiMe3であり、式中、Meは、メチルまたは-Si(CH3)2C(CH3)3であり;R2=C1~C8アルキル、アリール、もしくは置換アリール、または-SiR3、好ましくは-CH3であり;n=0~3である)
の反応生成物を含む、官能化重合開始剤が開示される。
【0014】
[008]官能化開始剤を作製する方法、および開始剤を使用して官能化エラストマーを作製する方法が、さらに開示される。
[009]一実施形態では、式1の化合物は、式2の化合物
【0015】
【0016】
(式中、Rは、C1~C3アルキル基またはトリメチルシリル基である)
である。
[010]官能性開始剤は、式1の化合物を、一般構造式P-Mを有する開始剤と反応させることにより作製することができ、式中、Pはヒドロカルビル基を示し、Mは、第I族または第II族の金属を示す。
【0017】
[011]官能性開始剤に使用される金属は、典型的には、バリウム、リチウム、マグネシウム、ナトリウム、およびカリウムからなる群から選択される。リチウムおよびカリウムは、金属で終端となるポリマー(リビングポリマー)の合成において最も一般的に利用される金属である。通常は、リチウム開始剤がより好ましい。
【0018】
[012]有機リチウム化合物は、官能化開始剤の調製において利用するのに好ましい開始剤である。利用される有機リチウム化合物は、通常は、有機モノリチウム化合物である。好ましい有機リチウム化合物は、式:R-Liにより示すことができる単官能性化合物であり、式中、Rは、1~約20個の炭素原子を含むヒドロカルビルラジカルを示す。一般的に、そのような単官能性有機リチウム化合物は、1~約10個の炭素原子を含むであろう。好ましい開始剤のいくつかの代表的な例は、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、n-ヘキシルリチウム、n-オクチルリチウム、tertオクチルリチウム、n-デシルリチウム、フェニルリチウム、1-ナフチルリチウム、4-ブチルフェニルリチウム、p-トリルリチウム、4-フェニルブチルリチウム、シクロヘキシルリチウム、4-ブチルシクロヘキシルリチウム、および4-シクロヘキシルブチルリチウムを含む。セカンダリーブチルリチウムが、非常に好ましい。
【0019】
[013]官能性開始剤を作製するために、式1の化合物は、ヘキサンなどの炭化水素溶媒中で、1:2~2:1の範囲のモル比で、有機リチウム化合物と合わせられる。TMEDA等などの重合調整剤は、混合物に添加されることがある。その後、式1の化合物および有機リチウム化合物の混合物は、1~10分の時間、40~80℃の範囲の温度で加熱されて、式1の化合物および有機リチウム化合物の反応生成物として、官能性開始剤を形成する。溶液中の反応生成物は、官能性ジエンエラストマーを形成するように、溶媒中のモノマーの重合混合物に移されてもよい。
【0020】
[014]重合中に利用される官能性開始剤の量は、合成されるゴム状ポリマーに対して所望な分子量、ならびに採用されるであろう正確な重合温度により異なるであろう。所望の分子量のポリマーを産生するのに必要である正確な量の有機リチウム化合物は、当業者により容易に確認できる。しかしながら、通例は、0.01~1phm(100重量部のモノマー当たりの部分)の有機リチウム開始剤が利用されるであろう。ほとんどの場合、0.01~0.1phmの有機リチウム開始剤が利用され、0.025~0.07phmの有機リチウム開始剤を利用するのが好ましい。
【0021】
[015]一実施形態では、官能化エラストマーを合成するために使用されるモノマーは、第1のモノマーおよび任意選択の第2のモノマーを含み、第1のモノマーは共役ジエンモノマーであり、第2のモノマーはビニル芳香族モノマーである。
【0022】
[016]第1のモノマーとして、適切な共役ジエンモノマーは、1,3-ブタジエン、イソプレン、1,3-ペンタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ペンタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ペンタジエン、2-フェニル-1,3-ブタジエン、および4,5-ジエチル-1,3-オクタジエン等を含む。
【0023】
[017]また、第2のモノマーとして、適切なビニル芳香族モノマーは、スチレン、1-ビニルナフタレン、3-メチルスチレン、3,5-ジエチルスチレン、4-プロピルスチレン、2,4,6-トリメチルスチレン、4-ドデシルスチレン、3-メチル-5-ノルマル-ヘキシルスチレン、4-フェニルスチレン、2-エチル-4-ベンジルスチレン、3,5-ジフェニルスチレン、2,3,4,5-テトラエチルスチレン、3-エチル-1-ビニルナフタレン、6-イソプロピル-1-ビニルナフタレン、6-シクロヘキシル-1-ビニルナフタレン、7-ドデシル-2-ビニルナフタレン、α-メチルスチレン等を含む。
【0024】
[018]一実施形態では、コポリマーを合成するために使用されるモノマーは、1,3-ブタジエンおよびスチレンを含む。
[019]コポリマーは、一般に、脂肪族飽和炭化水素類、芳香族炭化水素類、またはエーテル類などの不活性有機溶媒を利用する溶液重合により一般的に調製される。そのような溶液重合で使用される溶媒は、通常は、1分子当たり約4~約10個の炭素原子を含有し、重合の条件下で液体であろう。適切な有機溶媒のいくつかの代表的な例は、ペンタン、イソオクタン、シクロヘキサン、ノルマルヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、テトラヒドロフラン等を、単独で、または混合して含む。例えば、溶媒は、異なるヘキサン異性体の混合物であってもよい。そのような溶液重合は、ポリマーセメント(ポリマーの高粘度溶液)の形成をもたらす。
【0025】
[020]官能化エラストマーは、バッチまたは連続的なアニオン重合プロセスのいずれかを使用して産生できる。重合媒体は、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、ナトリウムメントレート(SMT)、ジテトラヒドロフルフリルプロパン(DTP)、テトラヒドロフラン(THF)、ポリエーテル、またはそれらの組み合わせのような調整剤を含んでもよい。分岐剤、例えばジビニルベンゼン、四塩化ケイ素等も、重合間に使用できる。
【0026】
[021]重合反応が終了した後、残っているあらゆるリビングポリジエン鎖を「殺す」ことが、通常は望ましいであろう。これは、あらゆるリビングポリマーを除去するために、官能化反応が終了した後に、水、有機酸、またはメタノールもしくはエタノールなどのアルコールをポリマーセメントに添加することにより成し遂げることができる。その後、ブロックコポリマーは、標準的な技術を利用して溶液から回収できる。
【0027】
[022]官能化エラストマーは、ゴム組成物へと配合されてもよい。ゴム組成物は、単独でブロックコポリマーを含むエラストマーを含むことがあり、または以下に記載されるような追加のエラストマーと共にブロックコポリマーを含むことがある。一般的に、ブロックコポリマーおよび追加のエラストマーを含む組成物では、ゴム組成物は、95~5phrのブロックコポリマー、および任意に5~95phrの追加のエラストマーを含んでもよい。
【0028】
[023]ゴム組成物は、任意に、官能性ポリマーに加えて、オレフィン性不飽和を含有する1つまたは複数のゴムまたはエラストマーを含んでもよい。「オレフィン性不飽和を含有するゴムまたはエラストマー」または「ジエン系エラストマー」という語句は、天然ゴムおよびその様々な未処理および再生利用形態の両方、ならびに様々な合成ゴムを含むことを意図する。本発明の説明では、「ゴム」および「エラストマー」という用語は、別段定められていない限り、交換可能に使用されてもよい。「ゴム組成物」、「配合されたゴム」、および「ゴムコンパウンド」という用語は、様々な成分および材料と配合または混合されたゴムを指すように交換可能に使用され、そのような用語は、ゴム混合またはゴム配合の当業者に周知である。代表的な合成ポリマーはブタジエンおよびその同族体および誘導体、例えばメチルブタジエン、ジメチルブタジエン、およびペンタジエンの単独重合生成物、ならびに他の不飽和モノマー類を用いてブタジエンまたはその同族体または誘導体から形成されたコポリマーなどのコポリマー類である。後者の中には、アセチレン類、例えばビニルアセチレン;オレフィン類、例えばイソプレンと共重合してブチルゴムを形成するイソブチレン;ビニル化合物類、例えばアクリル酸、アクリロニトリル(ブタジエンと重合してNBRを形成する)、メタクリル酸、およびスチレンがあり、後者の化合物は、ブタジエンと重合してSBRを形成し、ならびにビニルエステル類、および様々な不飽和アルデヒド類、ケトン類、およびエーテル類、例えばアクロレイン、メチルイソプロペニルケトン、およびビニルエチルエーテルがある。合成ゴムの特定の例は、ネオプレン(ポリクロロプレン)、ポリブタジエン(cis1,4ポリブタジエンを含む)、ポリイソプレン(cis1,4ポリイソプレンを含む)、ブチルゴム、クロロブチルゴムまたはブロモブチルゴムなどのハロブチルゴム、スチレン/イソプレン/ブタジエンゴム、スチレン、アクリロニトリル、およびメチルメタクリレートなどのモノマーとの、1,3-ブタジエンまたはイソプレンのコポリマー類、ならびにエチレン/プロピレン/ジエンモノマー(EPDM)としても公知であるエチレン/プロピレンターポリマー、特にエチレン/プロピレン/ジシクロペンタジエンターポリマーを含む。使用されてもよいゴムの追加の例は、アルコキシ-シリル末端官能化溶液重合ポリマー類(SBR、PBR、IBR、およびSIBR)、ケイ素カップリングおよびスズカップリング星状分枝ポリマー類を含む。好ましいゴムまたはエラストマーは、ポリイソプレン(天然または合成)、ポリブタジエン、およびSBRである。
【0029】
[024]一態様では、少なくとも1つの追加のゴムは、好ましくは、少なくとも2つのジエン系ゴムである。例えば、cis1,4-ポリイソプレンゴム(天然または合成であるが、天然が好ましい)3,4-ポリイソプレンゴム、スチレン/イソプレン/ブタジエンゴム、乳化および溶液重合誘導スチレン/ブタジエンゴム、cis1,4-ポリブタジエンゴム、ならびに乳化重合調整ブタジエン/アクリロニトリルコポリマーなどの、2つ以上のゴムの組み合わせが好ましい。
【0030】
[025]本発明の一態様では、約20~約28パーセントの結合スチレンの比較的慣例的なスチレン含有量を有する乳化重合誘導スチレン/ブタジエン(E-SBR)か、またはいくつかの用途に関しては、中程度~比較的高い結合スチレン含有量、すなわち約30~約45パーセントの結合スチレン含有量を有するE-SBRが使用されることがある。
【0031】
[026]乳化重合調製E-SBRとは、スチレンおよび1,3-ブタジエンが水性乳剤として共重合させられたものを意味する。そのようなことは、そのような当業者には周知である。結合スチレン含有量は、例えば、約5~約50パーセント変化することもある。一態様では、E-SBRはまた、E-SBARとしてターポリマーゴムを形成するために、例えば、ターポリマー中、約2~約30重量パーセントの結合アクリロニトリルの量で、アクリロニトリルを含有することもある。
【0032】
[027]コポリマー中、約2~約40重量パーセントの結合アクリロニトリルを含有する乳化重合調整スチレン/ブタジエン/アクリロニトリルコポリマーゴムはまた、本発明において使用するためのジエン系ゴムとして企図される。
【0033】
[028]溶液重合調製SBR(S-SBR)は、典型的には、約5~約50、好ましくは約9~約36パーセントの範囲の結合スチレン含有量を有する。S-SBRは、好都合に、例えば有機炭化水素溶媒が存在する状態での有機リチウム触媒化により調製できる。
【0034】
[029]一実施形態では、cis1,4-ポリブタジエンゴム(BR)を使用することができる。そのようなBRは、例えば、1,3-ブタジエンの有機溶液重合により調製できる。BRは、好都合に、例えば少なくとも90パーセントのcis1,4-含有量を有することを特徴とすることもある。
【0035】
[030]cis1,4-ポリイソプレンおよびcis1,4-ポリイソプレンの天然ゴムは、ゴム当業者には周知である。
[031]本明細書で使用される「phr」という用語は、慣行的実務に従って、「100重量部のゴムまたはエラストマー当たりの、それぞれの材料の重量部」を指す。
【0036】
[032]ゴム組成物はまた、最大70phrのプロセス油を含むこともある。プロセス油は、エラストマーを伸展させるために典型的に使用される伸展油として、ゴム組成物に含有されてもよい。プロセス油はまた、ゴム配合の間に油を直接添加することによりゴム組成物に含有されてもよい。使用されるプロセス油は、エラストマー中に存在する伸展油、および配合間に添加されるプロセス油の両方を含有してもよい。適切なプロセス油は、MES、TDAE、SRAE、および重ナフテン系油などの、芳香、パラフィン系、ナフテン系、植物油、および低PCA油を含む、当技術分野において公知であるような様々な油を含む。適切な低PCA油は、IP346の方法により測定されるような、3重量パーセント未満の多環式芳香族含有量を有するものを含む。IP346の方法に関する手順は、Institute of Petroleum、United Kingdomにより出版された、Standard Methods for Analysis & Testing of Petroleum and Related Products and British Standard 2000 Parts、2003年、第62版に見られる。
【0037】
[033]ゴム組成物は、シリカ、カーボンブラック、またはシリカおよびカーボンブラックの組み合わせを含有してもよい。
[034]ゴム組成物は、約1~約150phrのシリカを含有してもよい。別の実施形態では、10~100phrのシリカを使用してもよい。
【0038】
[035]ゴムコンパウンドに使用されてもよい一般的に採用されるケイ質顔料は、慣例的な焼成および沈降ケイ質顔料(シリカ)を含む。一実施形態では、沈降シリカが使用される。本発明で採用される慣例的なケイ質顔料は、例えば、可溶性シリケート(例えば、ケイ酸ナトリウム)の酸性化により得られるものなどの沈降シリカである。
【0039】
[036]そのような慣例的なシリカは、例えば、窒素ガスを使用して測定されるようなBET表面積を有することを特徴とすることもある。一実施形態では、BET表面積は、1g当たり約40~約600平方メートルの範囲内でもよい。別の実施形態では、BET表面積は、1g当たり約80~約300平方メートルの範囲内でもよい。表面積を測定するBET法は、米国化学会誌、第60巻、304頁(1930)に記載されている。
【0040】
[037]慣例的なシリカはまた、約100~約400、代替的に約150~約300の範囲のフタル酸ジブチル(DBP)吸収値を有することを特徴とすることもある。
[038]慣例的なシリカは、例えば、電子顕微鏡により測定されるような0.01~0.05ミクロンの範囲内の平均素粒子サイズを有することが予期されるが、シリカ粒子は、サイズがさらに小さいか、または場合によってはより大きいこともある。
【0041】
[039]本明細書中における単なる例として、およびそれに限定されるものではないが、呼称210、243等でHi-Sil商標により、PPG Industriesから市販されているシリカ;例えばZ1165MPおよびZ165GRの呼称でRhodiaから入手可能なシリカ、ならびに例えば呼称VN2およびVN3等でDegussa AGから入手可能なシリカなどの、様々な市販のシリカが使用されてもよい。PPGのAgilon 400等などの、オルガノシランで前処理および前反応したシリカが使用されてもよい。
【0042】
[040]一般的に採用されるカーボンブラックは、慣例的な充填剤として、1~150phrの範囲の量でシリカと組み合わせて使用できる。別の実施形態では、10~100phrのカーボンブラックを使用してもよい。カーボンブラックがシリカと共に使用されてもよいが、一実施形態では、本質的に、カーボンブラックは、1~10phrのタイヤに黒色を付与するのに必要な量を除いて使用されない。そのようなカーボンブラックの代表的な例は、N110、N121、N134、N220、N231、N234、N242、N293、N299、N315、N326、N330、N332、N339、N343、N347、N351、N358、N375、N539、N550、N582、N630、N642、N650、N683、N754、N762、N765、N774、N787、N907、N908、N990、およびN991を含む。これらのカーボンブラックは、9~145g/kgの範囲のヨウ素吸収、および34~150cm3/100gの範囲のDBP数を有する。
【0043】
[041]シリカおよびカーボンブラックの組み合わせは、組成物中で使用されてもよい。一実施形態では、シリカのカーボンブラックに対する重量比は、1以上である。
[042]それに限定されるものではないが、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)を含む微粒子充填剤、それに限定されるものではないが、米国特許第6,242,534号;米国特許第6,207,757号;米国特許第6,133,364号;米国特許第6,372,857号;米国特許第5,395,891号;または米国特許第6,127,488号に開示されているものを含む架橋微粒子ポリマーゲル、およびそれに限定されるものではないが、米国特許第5,672,639号に開示されているものを含む可塑化でんぷん複合充填剤を含む他の充填剤が、ゴム組成物で使用されてもよい。そのような他の充填剤は、1~30phrの範囲の量で使用されてもよい。
【0044】
[043]一実施形態では、ゴム組成物は、慣例的な硫黄含有有機ケイ素化合物を含有してもよい。一実施形態では、硫黄含有有機ケイ素化合物は、3,3’-ビス(トリメトキシまたはトリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィドである。一実施形態では、硫黄含有有機ケイ素化合物は、3,3’-ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、および/または3,3’-ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドである。
【0045】
[044]別の実施形態では、適切な硫黄含有有機ケイ素化合物は、米国特許第6,608,125号に開示されている化合物を含む。一実施形態では、硫黄含有有機ケイ素化合物は、Momentive Performance MaterialsからNXTとして市販されている、3-(オクタノイルチオ)-1-プロピルトリエトキシシラン、CH3(CH2)6C(=O)-S-CH2CH2CH2Si(OCH2CH3)3を含む。
【0046】
[045]別の実施形態では、適切な硫黄含有有機ケイ素化合物は、米国特許出願公開第2003/0130535号に開示されているものを含む。一実施形態では、硫黄含有有機ケイ素化合物は、DegussaのSi-363である。
【0047】
[046]ゴム組成物中の硫黄含有有機ケイ素化合物の量は、使用される他の添加剤の濃度に応じて変化するであろう。一般的に、化合物の量は、0.5~20phrの範囲であろう。一実施形態では、その量は、1~10phrの範囲であろう。
【0048】
[047]ゴム組成物が、様々な硫黄加硫可能構成ゴムを、様々な一般に使用される添加剤材料、例えば、硫黄供与体および硬化助剤など、活性剤および遅延剤など、ならびに加工添加剤、例えば油、粘着性付与樹脂を含む樹脂、および可塑剤、充填剤、顔料、脂肪酸、酸化亜鉛、ワックス、抗酸化剤およびオゾン劣化防止剤、ならびにペプタイザーなどと混合する工程などの、ゴム配合の技術分野において一般的に公知の方法により配合されるであろうことは、当業者により容易に理解される。当業者に公知であるように、硫黄加硫可能および硫黄硫化材料(ゴム)の意図した使用に応じて、上記の添加剤が選択され、慣例的な量が一般的に使用される。硫黄供与体の代表的な例は、元素の硫黄(遊離硫黄)、アミンジスルフィド、ポリマーポリスルフィド、および硫黄オレフィン付加物を含む。一実施形態では、硫黄硫化剤は、元素の硫黄である。硫黄硫化剤は、0.5~8phrの範囲、代替的に1.5~6phrの範囲の量で使用されてもよい。粘着性付与樹脂の典型的な量は、使用される場合、約0.5~約10phr、通常は約1~約5phrを含む。加工助剤の典型的な量は、約1~約50phrを含む。抗酸化剤の典型的な量は、約1~約5phrを含む。代表的な抗酸化剤は、例えば、The Vanderbilt Rubber Handbook(1978)、344~346頁に開示されているものなどの、ジフェニル-p-フェニレンジアミン等であってもよい。オゾン劣化防止剤の典型的な量は、約1~5phrを含む。ステアリン酸を含む脂肪酸の典型的な量は、使用される場合、約0.5~約3phrを含む。酸化亜鉛の典型的な量は、約2~約5phrを含む。ワックスの典型的な量は、約1~約5phrを含む。マイクロクリスタリンワックスがしばしば使用される。ペプタイザーの典型的な量は、約0.1~約1phrを含む。典型的なペプタイザーは、例えば、ペンタクロロチオフェノールおよびジベンズアミドジフェニルジスルフィドであってもよい。
【0049】
[048]促進剤は、加硫に必要な時間および/または温度を制御するため、および加硫物の特性を改善するために使用される。一実施形態では、単一の促進剤系、すなわち一次促進剤が使用されてもよい。一次促進剤は、約0.5~約4、代替的に約0.8~約1.5phrの範囲の合計量で使用されてもよい。別の実施形態では、一次および二次促進剤の組み合わせが使用されてもよく、二次促進剤は、加硫物の特性を活性化および改善するために、より少ない量、例えば約0.05~約3phrで使用される。これらの促進剤の組み合わせは、最終特性に対して相乗効果をもたらすことが予想され、いずれかの促進剤を単独で使用することにより産生されたものよりも多少良好である。さらに、標準的な加工温度によっては影響を受けないが、通常の加硫温度で満足な硬化をもたらす遅延作用促進剤を使用してもよい。加硫遅延剤も使用できる。本発明で使用されてもよい適切なタイプの促進剤は、アミン、ジスルフィド、グアニジン、チオ尿素、チアゾール、チウラム、スルフェンアミド、ジチオカルバメート、キサンテートである。一実施形態では、一次促進剤は、スルフェンアミドである。第2の促進剤が使用される場合、二次促進剤は、グアニジン、ジチオカルバメート、またはチウラム化合物であってもよい。
【0050】
[049]ゴム組成物を混合する工程は、ゴム混合の技術分野の当業者に公知の方法により成し遂げることができる。例えば、成分は、典型的には、少なくとも2つの段階、すなわち少なくとも1つの非生産的段階、その後の生産的混合段階で混合される。硫黄硫化剤を含む最終的な硬化剤は、典型的には、混合が、先の非生産的混合段階の混合温度よりも低いある温度または極限温度で典型的に生じる、「生産的」混合段階と従来呼ばれる最終段階で混合される。「非生産的」および「生産的」な混合段階という用語は、ゴム混合の技術分野の当業者に周知である。ゴム組成物は、熱力学的混合工程に供してもよい。熱力学的混合工程は、一般に、140℃~190℃の間のゴム温度を生じさせるために、適切な時間、混合機または押出機で機械加工する工程を含む。熱的機械加工の適切な期間は、作業条件、および成分の容積および性質に応じて変化する。例えば、熱的機械加工は、1~20分であってもよい。
【0051】
[050]ゴム組成物は、様々なタイヤのゴム部品に組み込まれてもよい。例えば、ゴム部品は、トレッド(トレッドキャップおよびトレッドベースを含む)、サイドウォール、アペックス、チェーファー、サイドウォールインサート、ワイヤコート、またはインナーライナーであってもよい。一実施形態では、部品はトレッドである。
【0052】
[051]本発明の空気入りタイヤは、レース用タイヤ、乗用車用タイヤ、航空機用タイヤ、農業用、土工機械用、オフロード用、トラック用タイヤ等であってもよい。一実施形態では、タイヤは、乗用車用またはトラック用タイヤである。タイヤはまた、ラジアルまたはバイアスであってもよい。
【0053】
[052]本発明の空気入りタイヤの加硫は、一般に、約100℃~200℃の範囲の、慣例的な温度で実行される。一実施形態では、加硫は、約110℃~180℃の範囲の温度で実行される。過熱蒸気または熱風で加熱して、プレスまたは成形において加熱する工程などの、通常の加硫プロセスのいずれかが使用されてもよい。そのようなタイヤは、公知で、そのような技術分野の当業者に容易に明らかであろう様々な方法によって、構築、形成、成形、および硬化できる。
【0054】
[053]本発明は、単に例示のためであり、本発明の範囲またはそれを実行できる様式を限定するとはみなされない下記の実施例により例示される。特に具体的に指示のない限り、部およびパーセンテージは重量により示される。
【実施例1】
【0055】
[054]この実施例では、式1のモノマーの合成を例示する。モノマーを、下記のスキーム
【0056】
【0057】
を使用して産生した。
【実施例2】
【0058】
[055]この実施例では、官能化開始剤を介する官能化エラストマーの合成を例示する。
[056]実施例1のコモノマーを、nBuLi(1:1)と反応させて、インサイチュ開始剤を産生した。TMEDA(360uL)を、nBuLi(0.5mL、1.6Mヘキサン)に添加し、65℃に予熱した。コモノマー1の溶液(0.5mL、1.6Mのヘキサン)を素早く添加し、溶液を、65℃で5分間熱老化させた。アリコート(240uL、約0.59Mの活性Li)を、ヘキサン(115.00g)中のブタジエン(12.6wt%)の溶液に添加し、重合を、1時間で65℃に加熱し、2-プロパノール中のBHTの溶液で終了させた。セメントをパンドライし、ポリマー収率は重量法で96%であった。GPC分析により、Mn=150,000/Mw=176,000g/mol(PDI=1.17)のポリマーであることが示された。
[発明の実施形態]
1. アルキルリチウム化合物および式1の化合物
【0059】
【0060】
(式中、R1=アルキル(C1~C8)、アリール、置換アリール、または-SiR3であり、式中、R3は、独立して、C1~C8アルキル、好ましくは-SiMe3であり、式中、Meは、メチルまたは-Si(CH3)2C(CH3)3であり;R2=C1~C8アルキル、アリール、もしくは置換アリール、または-SiR3、好ましくは-CH3であり;n=0~3である)
の反応生成物を含む、官能化重合開始剤。
2. 式1の化合物が、式2の化合物
【0061】
【0062】
(式中、Rは、C1~C3アルキル基またはトリメチルシリル基である)
である、1に記載の官能化重合開始剤。
3. アルキルリチウム化合物は、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、n-ヘキシルリチウム、n-オクチルリチウム、tertオクチルリチウム、n-デシルリチウム、フェニルリチウム、1-ナフチルリチウム、4-ブチルフェニルリチウム、p-トリルリチウム、4-フェニルブチルリチウム、シクロヘキシルリチウム、4-ブチルシクロヘキシルリチウム、および4-シクロヘキシルブチルリチウムからなる群から選択される、1に記載の官能化重合開始剤。
4. 官能化重合開始剤を作製する方法であって、炭化水素溶媒中のアルキルリチウム化合物を、式1の化合物
【0063】
【0064】
(式中、R1=アルキル(C1~C8)、アリール、置換アリール、または-SiR3であり、式中、R3は、独立して、C1~C8アルキル、好ましくは-SiMe3であり、式中、Meは、メチルまたは-Si(CH3)2C(CH3)3であり;R2=C1~C8アルキル、アリール、もしくは置換アリール、または-SiR3、好ましくは-CH3であり;n=0~3である)
と反応させる工程を含む、方法。
5. 式1の化合物が、式2の化合物
【0065】
【0066】
(式中、Rは、C1~C3アルキル基またはトリメチルシリル基である)
である、4に記載の方法。
6. アルキルリチウム化合物は、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、n-ヘキシルリチウム、n-オクチルリチウム、tertオクチルリチウム、n-デシルリチウム、フェニルリチウム、1-ナフチルリチウム、4-ブチルフェニルリチウム、p-トリルリチウム、4-フェニルブチルリチウム、シクロヘキシルリチウム、4-ブチルシクロヘキシルリチウム、および4-シクロヘキシルブチルリチウムからなる群から選択される、4に記載の方法。
7. 官能化エラストマーを作製する方法であって、官能化重合開始剤が存在する状態で、少なくとも1つの共役ジエンモノマーおよび任意に芳香族ビニルモノマーを重合する工程を含み、官能化重合開始剤は、アルキルリチウム化合物および式1の化合物
【0067】
【0068】
(式中、R1=アルキル(C1~C8)、アリール、置換アリール、または-SiR3であり、R3は、独立して、C1~C8アルキル、好ましくは-SiMe3であり、Meは、メチルまたは-Si(CH3)2C(CH3)3であり;R2=C1~C8アルキル、アリール、もしくは置換アリール、または-SiR3、好ましくは-CH3であり;n=0~3である)
の反応生成物を含む、方法。
8. 式1の化合物が、式2の化合物
【0069】
【0070】
(式中、Rは、C1~C3アルキル基またはトリメチルシリル基である)
である、7に記載の方法。
9. 重合する工程の前に、アルキルリチウム化合物および式1の化合物の反応生成物は、炭化水素溶媒中のアルキルリチウム化合物を式1の化合物と反応させる工程により形成される、7に記載の方法。
10. アルキルリチウム化合物および式1の化合物の反応生成物を形成する工程の後に、少なくとも1つのジエンモノマー、および任意に芳香族ビニルモノマーを添加する工程をさらに含む、9に記載の方法。
11. 共役ジエンモノマーは、1,3-ブタジエン、イソプレン、1,3-ペンタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ペンタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ペンタジエン、2-フェニル-1,3-ブタジエン、および4,5-ジエチル-1,3-オクタジエンからなる群から選択される、7に記載の方法。
12. ビニル芳香族モノマーは、スチレン、1-ビニルナフタレン、3-メチルスチレン、3,5-ジエチルスチレン、4-プロピルスチレン、2,4,6-トリメチルスチレン、4-ドデシルスチレン、3-メチル-5-ノルマル-ヘキシルスチレン、4-フェニルスチレン、2-エチル-4-ベンジルスチレン、3,5-ジフェニルスチレン、2,3,4,5-テトラエチルスチレン、3-エチル-1-ビニルナフタレン、6-イソプロピル-1-ビニルナフタレン、6-シクロヘキシル-1-ビニルナフタレン、7-ドデシル-2-ビニルナフタレン、およびα-メチルスチレンからなる群から選択される、7に記載の方法。
13. 第1のモノマーは、1,3-ブタジエンである、7に記載の方法。
14. 第1のモノマーは、1,3-ブタジエンおよびスチレンを含む、7に記載の方法。
15. アルキルリチウム化合物は、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、n-ヘキシルリチウム、n-オクチルリチウム、tertオクチルリチウム、n-デシルリチウム、フェニルリチウム、1-ナフチルリチウム、4-ブチルフェニルリチウム、p-トリルリチウム、4-フェニルブチルリチウム、シクロヘキシルリチウム、4-ブチルシクロヘキシルリチウム、および4-シクロヘキシルブチルリチウムからなる群から選択される、7に記載の方法。
16. 7に記載の方法により作られる官能化エラストマー。