(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-25
(45)【発行日】2024-10-03
(54)【発明の名称】燃料電池組立体
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04 20160101AFI20240926BHJP
H01M 8/2484 20160101ALI20240926BHJP
H01M 8/10 20160101ALN20240926BHJP
【FI】
H01M8/04 Z
H01M8/2484
H01M8/10 101
(21)【出願番号】P 2020130693
(22)【出願日】2020-07-31
【審査請求日】2023-02-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【氏名又は名称】山下 和也
(74)【代理人】
【識別番号】100208188
【氏名又は名称】榎並 薫
(72)【発明者】
【氏名】松永 温
(72)【発明者】
【氏名】山下 恭平
(72)【発明者】
【氏名】霜鳥 宗一郎
(72)【発明者】
【氏名】干鯛 将一
(72)【発明者】
【氏名】大塚 尚登
【審査官】大内 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2008/069326(WO,A1)
【文献】特開2018-073564(JP,A)
【文献】特開2004-207106(JP,A)
【文献】特開昭61-126775(JP,A)
【文献】特開2016-049009(JP,A)
【文献】特開2016-101020(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/00-8/2495
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の燃料電池セルを含む積層体と、前記積層体に供給される冷却水または前記積層体から排出される冷却水を収容するマニホールドと、を含む燃料電池スタックと、
前記燃料電池スタックを支持する架台と、
を備えた燃料電池組立体であって、
前記架台は、前記燃料電池組立体の設置面に対して前記マニホールドが傾斜した状態で前記燃料電池スタックを支持し、
前記マニホールドの前記設置面に最も近接する領域に、当該マニホールドの外部に通じる穴が形成され
、
前記燃料電池組立体は、当該燃料電池組立体を前記設置面に対して移動可能なように前記架台に設けられた車輪と、前記燃料電池組立体の前記設置面に対する移動を防止可能な固定装置と、を更に備える、燃料電池組立体。
【請求項2】
前記固定装置は、前記設置面に接触する第1位置と、前記設置面から離間する第2位置と、の間を移動可能な可動部を有する、請求項
1に記載の燃料電池組立体。
【請求項3】
前記固定装置は、前記車輪に当接して当該車輪の前記架台に対する回転を防止する第1位置と、前記車輪から離間して当該車輪の前記架台に対する回転を許容する第2位置と、の間を移動可能な可動部を有する、請求項
1に記載の燃料電池組立体。
【請求項4】
前記燃料電池組立体は免震装置を更に備えている、請求項1乃至
3のいずれか一項に記載の燃料電池組立体。
【請求項5】
複数の燃料電池セルを含む積層体と、前記積層体に供給される冷却水または前記積層体から排出される冷却水を収容するマニホールドと、を含む燃料電池スタックと、
前記燃料電池スタックを支持する架台と、
を備えた燃料電池組立体であって、
前記架台は、前記燃料電池組立体の設置面に対して前記マニホールドが傾斜した状態で前記燃料電池スタックを支持し、
前記マニホールドの前記設置面に最も近接する領域に、当該マニホールドの外部に通じる穴が形成され、
前記燃料電池組立体は免震装置を更に備えている、燃料電池組立体。
【請求項6】
前記燃料電池組立体は、前記穴を閉鎖する栓を更に備えている、請求項1
乃至5のいずれか一項に記載の燃料電池組立体。
【請求項7】
前記燃料電池組立体は、前記マニホールドに冷却水を導入するための入口配管または前記マニホールドから冷却水を排出するための出口配管を更に備え、
前記入口配管または前記出口配管は、前記穴に接続されている、請求項1
乃至5のいずれか一項に記載の燃料電池組立体。
【請求項8】
前記設置面に垂直な第1方向と、前記第1方向に垂直な第2方向と、前記第1方向及び前記第2方向に垂直な第3方向を規定した場合、前記マニホールドは、前記第2方向に対して傾斜し、且つ、前記第3方向に対して傾斜している、請求項1乃至
7のいずれか一項に記載の燃料電池組立体。
【請求項9】
前記架台は、前記燃料電池スタックを支持する支持面を有し、
前記支持面は、前記第2方向に対して傾斜し、且つ、前記第3方向に対して傾斜している、請求項
8に記載の燃料電池組立体。
【請求項10】
前記架台は、前記第3方向に並ぶ第1架台部分および第2架台部分を有し、
前記第1架台部分および前記第2架台部分は、それぞれ、前記燃料電池スタックを支持する支持面を有し、
前記第1架台部分の前記支持面の高さと前記第2架台部分の前記支持面の高さとは異なる、請求項
8又は
9に記載の燃料電池組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、燃料電池組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、燃料極に水素を含む燃料ガスを導入し、酸化剤極に酸素を含む酸化剤ガスを導入し、これらの反応ガスの電気化学反応により電気と水を生成する装置である。
【0003】
固体高分子電解質型燃料電池は、複数の燃料電池セルと複数のセパレータとが交互に積層された積層体を含む。燃料電池セルは、プロトン伝導性の高分子電解質膜の両面に燃料極と酸化剤極を有する。セパレータは、燃料電池セル同士を分離し、反応ガスの流路や、燃料電池セルを冷却する冷却水の流路を形成する。積層体と積層体の周りに配置されたマニホールドとにより、燃料電池スタックが形成される。
【0004】
燃料ガスおよび酸化剤ガスはそれぞれ、燃料電池スタックのガスマニホールドを通じて積層体に供給される。そして、積層体から排出される燃料ガスおよび酸化剤ガスは、ガスマニホールドを通じて燃料電池スタックから排出される。また、冷却水は、燃料電池スタックの冷却水マニホールドを通じて積層体に供給される。そして、積層体から排出される冷却水は、冷却水マニホールドを通じて燃料電池スタックから排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、このような燃料電池は、運転後、内部にドレン水や冷却水が残留する。この状態で燃料電池を長期間保管すると、燃料電池内に残留した水が外気温低下により凍結して膨張し、燃料電池を損傷させる虞がある。また、燃料電池内に残留した水に不純物が溶出して水質が劣化し、燃料電池の性能を低下させる虞がある。
【0007】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、燃料電池内に残留する水を効率よく除去可能な燃料電池組立体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本実施の形態による燃料電池組立体は、複数の燃料電池セルを含む積層体と、前記積層体に供給されるガス若しくは冷却水または前記積層体から排出されるガス若しくは冷却水を収容するマニホールドと、を含む燃料電池スタックと、前記燃料電池スタックを支持する架台と、を備えている。前記架台は、前記燃料電池組立体の設置面に対して前記マニホールドが傾斜した状態で前記燃料電池スタックを支持する。そして、前記マニホールドの前記設置面に最も近接する領域に、当該マニホールドの外部に通じる穴が形成されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、燃料電池スタック内に残留する水を容易に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態による燃料電池組立体を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す燃料電池組立体の第1締付板側の端面を示す図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す燃料電池組立体を第1マニホールドの側から示す側面図である。
【
図4】
図4は、燃料電池スタックの構造を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、
図1に示す燃料電池組立体の架台を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態による燃料電池組立体の変形例を示す図である。
【
図7】
図7は、
図5に対応する図であって、
図6に示す燃料電池組立体の架台を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、
図1に対応する図であって、本発明の第2実施形態による燃料電池組立体を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、
図2に対応する図であって、
図8に示す燃料電池組立体の第1締付板側の端面を示す図である。
【
図10】
図10は、
図3に対応する図であって、
図8に示す燃料電池組立体を第1マニホールドの側から示す側面図である。
【
図12A】
図12Aは、
図8に対応する図であって、第2実施形態による燃料電池組立体の変形例を示す図である。
【
図14】
図14は、
図8に対応する図であって、第2実施形態による燃料電池組立体の他の変形例を示す図である。
【
図16】
図16は、
図13及び
図15に対応する図であって、第2実施形態による燃料電池組立体のさらに他の変形例を説明するための図である。
【
図17】
図17は、
図8に対応する図であって、本発明の第3実施形態による燃料電池組立体を示す斜視図である。
【
図18】
図18は、
図17に示す燃料電池組立体を第2マニホールド15の側から示す図であって、第1位置に配置された可動部を示す図である。
【
図19】
図19は、
図18に対応する図であって、第2位置に配置された可動部を示す図である。
【
図20】
図20は、
図17に対応する図であって、第2実施形態による燃料電池組立体の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。以下に説明する燃料電池組立体は、燃料電池スタックの保管時あるいは保守点検時に、燃料電池スタック内の水を効率よく除去するための工夫がなされている。
【0012】
<第1実施形態>
図1乃至
図5を参照して、第1実施形態による燃料電池組立体について説明する。
図1は、第1実施形態による燃料電池組立体1を示す斜視図である。また、
図2および
図3は、それぞれ、
図1に示す燃料電池組立体1を、後述する-D3方向および-D2方向の側から見た側面図である。図示の単純化のため、
図3では、後述する配管14b,15b,16b,16d,17b,17dの図示を省略している。
図1乃至
図3に示すように、燃料電池組立体1は、燃料電池スタック10と、燃料電池スタック10を支持する架台20と、を備えている。
【0013】
図4を参照して、燃料電池スタック10の構成について説明する。
図4は、燃料電池スタック10の構造を示す斜視図である。
図4に示す燃料電池スタック10は、積層体11と、第1および第2集電板12a、13aと、第1および第2絶縁板12b、13bと、第1および第2締付板12c、13cと、第1から第4マニホールド14~17とを有する。
【0014】
積層体11は、複数の燃料電池セルと複数のセパレータとを交互に積層することで形成されている。
図4には、積層体11の積層方向に平行なX方向と、X方向に直交するY方向と、X方向およびY方向に直交するZ方向が示されている。本実施形態の燃料電池スタック10を水平面上に設置する場合、Z方向は重力方向に平行となる。
【0015】
各燃料電池セルは、おおむね平板状の形状を有し、高分子電解質膜と、高分子電解質膜の一方の側面に設けられた燃料極と、高分子電解質膜の他方の側面に設けられた酸化剤極と、を有する。各セパレータは、おおむね平板状の形状を有し、多孔質材で形成されている。セパレータの例は、反応ガスの流路を形成するガスセパレータや、冷却水の流路を形成する冷却水セパレータである。
図4の燃料電池スタック10は、各燃料電池セルや各セパレータの法線方向、長辺、短辺がそれぞれ、X方向、Y方向、Z方向に平行になるように設置されている。
【0016】
図示された例では、第1集電板12aは、積層体11の-X方向の側面に設けられている。また、第2集電板13aは、積層体11の+X方向の側面に設けられている。燃料電池セルにより発電された電力は、第1および第2集電板12a、13aに設置した電流端子(図示しない)を介して外部に取り出される。
【0017】
第1絶縁板12bは、第1集電板12aの-X方向の側板に設けられている。また、第2絶縁板13bは、第2集電板13aの+X方向の側面に設けられている。第1絶縁板12bは、第1集電板12aと第1締付板12cとを電気的に絶縁するために設置されている。また、第2絶縁板13bは、第2集電板13aと第2締付板13cとを電気的に絶縁するために設置されている。
【0018】
第1締付板12cは、第1絶縁板12bの-X方向の側面に設けられている。また、第2締付板13cは、第2絶縁板13bの+X方向の側面に設けられている。したがって、第1締付板12cは、積層体11の-X方向の側面に第1集電板12aと第1絶縁板12bとを介して面している。また、第2締付板13cは、積層体11の+X方向の側面に第2集電板13aと第2絶縁板13bとを介して面している。積層体11は、第1締付板12cと第2締付板13cとを用いて積層体11の積層方向に平行な加重をかけることで締め付けられている。
【0019】
第1マニホールド14は、積層体11の-Y方向の側面に設けられている。第1マニホールド14は、燃料ガスを一時的に収容するための燃料ガス入口マニホールド14aと、燃料ガス入口マニホールド14aに接続された燃料ガス入口配管14bとを有する。
【0020】
第2マニホールド15は、積層体11の+Y方向の側面に設けられている。第2マニホールド15は、燃料ガスを一時的に収容するための燃料ガス出口マニホールド15aと、燃料ガス出口マニホールド15aに接続された燃料ガス出口配管15bとを有する。
【0021】
第3マニホールド16は、積層体11の+Z方向の側面(上面)に設けられている。第3マニホールド16は、空気を一時的に収容するための空気入口マニホールド16aと、空気入口マニホールド16aに接続された空気入口配管16bと、冷却水を一時的に収容するための冷却水出口マニホールド16cと、冷却水出口マニホールド16cに接続された冷却水出口配管16dとを有する。
【0022】
第4マニホールド17は、積層体11の-Z方向の側面(下面)に設けられている。第4マニホールド17は、空気を一時的に収容するための空気出口マニホールド17aと、空気出口マニホールド17aに接続された空気出口配管17bと、冷却水を一時的に収容するための冷却水入口マニホールド17cと、冷却水入口マニホールド17cに接続された冷却水入口配管17dとを有する。
【0023】
各マニホールド14a,15a,16a,16c,17a,17cは、概ね立方体であり、その底面14ab,15ab,16ab,16cb,17ab,17cbはX方向とY方向とで規定される平面内を広がっている。
【0024】
燃料ガスは、燃料ガス入口配管14bから燃料ガス入口マニホールド14aを経由して燃料電池セルに供給される。一方、空気は、空気入口配管16bから空気入口マニホールド16aを経由して燃料電池セルに供給される。そして、燃料ガス中の水素と空気中の酸素が燃料電池セルで反応し、電気と水が生成される。燃料電池セルに供給された燃料ガスは、燃料ガス出口マニホールド15aを経由して燃料ガス出口配管15bに排出される。一方、燃料電池セルに供給された空気は、空気出口マニホールド17aを経由して空気出口配管17bに排出される。なお、本実施形態では、空気以外の酸化剤ガスを使用してもよい。
【0025】
冷却水は、冷却水入口配管17dから冷却水入口マニホールド17cを経由して燃料電池セルに供給され、燃料電池セルを冷却するために使用される。燃料電池セルに供給された冷却水は、冷却水出口マニホールド16cを経由して冷却水出口配管16dに排出される。
【0026】
ところで、燃料電池を運転すると、燃料電池スタック10内を冷却水が循環する。また、電極反応等によりドレン水が生成される。燃料電池の運転後、このような水を燃料電池スタック10内に残したまま燃料電池スタック10を長期間保管すると、外気温低下により燃料電池スタック10内に残留した水が凍結して膨張し、燃料電池スタック10を損傷させる虞がある。また、燃料電池スタック10内に残留した水に不純物が溶出して水質が劣化し、燃料電池の性能を低下させる虞がある。このため、本実施形態の燃料電池スタック10においては、このような水が残留しやすいマニホールドに、排水のための穴が形成されている。図示された例では、空気出口マニホールド17aおよび冷却水入口マニホールド17cに、それぞれ、排水のための穴17ah,17chが形成されている。より具体的には、各マニホールド17a,17cの底面17ab,17cbの-Y方向の端部領域に、それぞれ、当該マニホールド17a,17cの外部に通じる穴17ah,17chが形成されている。そして、各マニホールド17a,17cに貯まった水を、穴17ah,17chを通じて排出することができるようになっている。
【0027】
また、
図2に示すように、燃料電池組立体1は、各穴17ah,17chを閉鎖する栓18a,18cを更に有している。そして、燃料電池の運転時には、栓18a,18cで各穴17ah,17chを閉鎖することができるようになっている。
【0028】
次に、
図5を参照して、架台20について説明する。
図5は、架台20を示す斜視図である。
図5に示すように、架台20は、底面21と、燃料電池スタック10を支持する第1支持面22および第2支持面23とを有する。
図5並びに
図1乃至
図3には、底面21に垂直なD1方向と、D1方向に垂直なD2方向と、D1方向及びD2方向に垂直なD3方向が示されている。
【0029】
底面21は、燃料電池組立体1を設置面Sに設置する際、設置面Sに対面して配置される面である。底面21は、D2方向とD3方向とにより規定される平面内を広がっている。また、底面21は、架台20を設置面Sに設置する際、設置面Sに平行な面内を広がる。
【0030】
第1支持面22は、燃料電池スタック10を下方から支持する面である。第1支持面22は、底面21に対して傾斜している。図示された例では、第1支持面22は、D1方向およびD2方向に対して傾斜している。より具体的には、第1支持面22は、-D2方向に向かうにつれて-D1方向に向かうように、底面21に対して傾斜している。なお、
図1乃至
図5に示す例では、
図3から理解されるように、第1支持面22はD3方向と平行である。
【0031】
第2支持面23は、燃料電池スタック10を側方から支持する面である。第2支持面23は、第1支持面22の-D2方向の端縁(底面21に最も近接する端縁)に接続して、第1支持面22上に配置された燃料電池スタック10が第1支持面22からずり落ちることを防止している。図示された例では、第2支持面23は、-D2方向に向かうにつれて+D1方向に向かうように、底面21に対して傾斜している。
【0032】
図1乃至
図3に示すように、燃料電池組立体1において、燃料電池スタック10は架台20の第1支持面22上に配置されている。より詳しくは、燃料電池スタック10は、第4マニホールド17と第1支持面22とが対面し、第1マニホールド14と第2支持面23とが対面するように、架台20上に配置されている。そして、第1支持面22は、燃料電池スタック10を-Z方向の側から支持している。また、第2支持面23は、燃料電池スタック10を-Y方向の側から支持している。
【0033】
第1支持面22が底面21に対して傾斜していることにより、燃料電池スタック10は、設置面Sに対して傾いた状態で架台20に支持されている。より具体的には、燃料電池スタック10は、その-Y方向の端面が+Y方向の端面よりも低くなるように、設置面Sに対して傾斜している。
【0034】
燃料電池スタック10が上述したように設置面Sに対して傾斜していることにより、第4マニホールド17の空気出口マニホールド17aおよび冷却水入口マニホールド17c内の水は、自重により、各マニホールド17a,17cの-Y方向の端部領域に集められる。上述したように、各マニホールド17a,17cの底面17ab,17cbの-Y方向の端部領域には、排水のための穴17ah,17chが形成されている。このため、穴17ah,17chを閉鎖する栓18a,18cを外せば、当該穴17ah,17chを通じて各マニホールド17a,17c内の水を効率良く除去することができる。
【0035】
なお、
図1乃至
図5に示す例では、排水のための穴17ah,17chは、各マニホールド17a,17cの出口配管17bや入口配管17dが接続される穴とは別に設けられているが、これに限られない。すなわち、排水のための穴17ah,17chは、出口配管17bや入口配管17dが接続される穴を兼ねていてもよい。言い換えると、排水のための穴17ah,17chに、出口配管17bや入口配管17dが接続されていてもよい。
【0036】
また、
図1乃至
図5に示す例では、排水のための穴17ah,17chは空気出口マニホールド17aおよび冷却水入口マニホールド17cに設けられているが、これに限られない。排水のための穴は、他のマニホールドに設けられていてもよい。この場合も、排水のための各穴を当該穴が設けられるマニホールドの底面の-Y方向の端部領域に設けることにより、当該マニホールド内の水を効率よく除去することができる。
【0037】
また、
図1乃至
図5に示す例では、第1支持面22は、D1方向およびD2方向に対して傾斜し、D3方向と平行であるが、これに限られない。第1支持面22は、D1方向およびD3方向に対して傾斜し、D2方向と平行であってもよい。この場合、排水のための穴17ah,17chを、各マニホールド17a,17cの底面17ab,17cbの+X方向の端部領域および-X方向の端部領域のうち、設置面Sに最も近接する端部領域に形成すれば、当該穴17ah,17chを通じてマニホールド17a,17c水を効率よく除去することができる。
【0038】
さらに、
図1乃至
図5に示す例では、第4マニホールド17には空気出口マニホールド17aおよび冷却水入口マニホールド17cが設けられているが、これに限られない。例えば、第4マニホールド17に空気入口マニホールド16aおよび冷却水出口マニホールド16cを設け、第3マニホールド16に空気出口マニホールド17aおよび冷却水入口マニホールド17cを設けてもよい。或いは、第4マニホールド17に空気出口マニホールド17aおよび冷却水出口マニホールド16cを設け、第3マニホールド16に空気入口マニホールド16aおよび冷却水入口マニホールド17cを設けてもよい。或いは、第4マニホールド17に空気入口マニホールド16aおよび冷却水入口マニホールド17cを設け、第3マニホールド16に空気出口マニホールド17aおよび冷却水出口マニホールド16cを設けてもよい。
【0039】
<変形例1-1>
次に、
図6及び
図7を参照して、上述の第1実施形態による燃料電池組立体の変形例について説明する。
図6及び
図7に示す変形例1-1の燃料電池組立体1Aは、複数の燃料電池スタック10を含む点で異なっている。また、架台20Aは、複数の燃料電池スタック10を支持可能な点で異なっている。他の構成は、
図1乃至
図5に示す燃料電池組立体1と略同一である。
図6及び
図7に示す変形例1-1において、
図1乃至
図5に示す第1実施形態と同一の部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0040】
図6に示すように、変形例1-1の燃料電池組立体1Aの架台20Aは、複数の燃料電池スタック10を支持している。
図7に示すように、架台20Aは、複数の第1支持面22を有し、各第1支持面22上に燃料電池スタック10が配置されている。また、架台20Aは、複数の第1支持面22に対応して複数の第2支持面23を有している。各燃料電池スタック10は、対応する第1支持面22および第2支持面23によって、-Z方向の側および-Y方向の側から支持されている。
【0041】
各第1支持面22が底面21に対して傾斜していることにより、各燃料電池スタック10は、設置面Sに対して傾いた状態で架台20Aに支持されている。より具体的には、各燃料電池スタック10は、その-Y方向の端面が+Y方向の端面よりも低くなるように設置面に対して傾斜している。
【0042】
このような燃料電池組立体1Aによれば、複数の燃料電池スタック10のマニホールド17a,17c内の水を効率良く除去することができる。
【0043】
以上のように、第1実施形態および変形例1-1によれば、燃料電池組立体1,1Aは、複数の燃料電池セルを含む積層体11と、積層体11に供給されるガス若しくは冷却水または積層体11から排出されるガス若しくは冷却水を収容するマニホールド17a,17cと、を含む燃料電池スタック10と、燃料電池スタック10を支持する架台20,20Aと、を備えている。架台20,20Aは、燃料電池組立体1,1Aの設置面Sに対してマニホールド17a,17cが傾斜した状態で燃料電池スタック10を支持している。そして、マニホールド17a,17cの最も設置面Sに近接する領域に、マニホールド17a,17cの外部に通じる穴17ah,17chが形成されている。
【0044】
このような燃料電池組立体1,1Aによれば、マニホールド17a,17c内の水を自重により穴17ah,17chが形成された領域に集めることができ、当該水を穴17ah,17chを通じて効率よく除去することができる。
【0045】
また、燃料電池組立体1,1Aは、上記穴17ah,17chを閉鎖する栓18a,18cを更に備えている。これにより、燃料電池の運転時には、栓18a,18cで各穴17ah,17chを閉鎖することができる。
【0046】
或いは、燃料電池組立体1,1Aは、マニホールド17a,17cにガス若しくは冷却水を導入するための入口配管17dまたはマニホールド17a,17cからガス若しくは冷却水を排出するための出口配管17bを更に備えている。そして、入口配管17dまたは出口配管17bは、上記穴17ah,17chに接続されている。この場合、排水用の穴17ah,17chは、入口配管17dまたは出口配管17bが接続される穴を兼ねることができる。
【0047】
<第2実施形態>
次に、
図8乃至
図11を参照して、第2実施形態による燃料電池組立体について説明する。
図8乃至
図11に示す第2実施形態の燃料電池組立体1Bは、架台20Bの第1支持面22BがD2方向だけでなくD3方向に対しても傾斜している点で異なっている。他の構成は、
図1乃至
図5に示す燃料電池組立体1と略同一である。
図8乃至11に示す第2実施形態において、
図1乃至
図5に示す第1実施形態と同一の部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0048】
図8乃至
図11に示すように、第2実施形態の架台20Bの第1支持面22Bは、D1方向およびD2方向に対して傾斜している。また、第1支持面22Bは、D3方向に対して傾斜している。
【0049】
図9および
図10から理解されるように、空気出口マニホールド17aおよび冷却水入口マニホールド17cの底面17ab,17cbの-X方向の端部領域と-Y方向の端部領域とが重なる領域には、それぞれ、当該マニホールド17a,17cの外部に通じる穴(排水用の穴)17ah,17chが形成されている。
【0050】
第1支持面22Bが底面21に対して傾斜していることにより、燃料電池スタック10は、設置面Sに対して傾いた状態で架台20に支持されている。より具体的には、燃料電池スタック10は、その-X方向の端面が+X方向の端面よりも低くなるように、且つ、-Y方向の端面が+Y方向の端面よりも低くなるように、設置面Sに対して傾斜している。このため、第4マニホールド17の空気出口マニホールド17aおよび冷却水入口マニホールド17c内の水は、自重により、各マニホールド17a,17cの-X方向の端部領域と-Y方向の端部領域とが重なる領域に集められる。
【0051】
上述したように、各マニホールド17a,17cの底面17ab,17cbの-X方向の端部領域と-Y方向の端部領域とが重なる領域には、排水用の穴17ah,17chが形成されている。このため、穴17ah,17chを閉鎖する栓18a,18cを外せば、当該穴ah,17chを通じて各マニホールド17a,17c内の水を効率良く除去することができる。
【0052】
このような燃料電池組立体1Bによれば、マニホールド17a,17c内の水を効率良く除去することができる。とりわけ、
図1乃至
図5に示す燃料電池組立体1と比較して、各マニホールド17a,17c内において、水がより狭い領域に集められるため、当該水をより効率良く除去することができる。
【0053】
<変形例2-1>
次に、
図12A乃至
図13を参照して、上述の第2実施形態による燃料電池組立体の変形例について説明する。
図12A乃至
図13に示す変形例2-1の燃料電池組立体1Cは、架台20Cが2つの架台部分30,35を含む点で異なっている。他の構成は、
図8乃至
図11に示す燃料電池組立体1Bと略同一である。
図12A乃至
図13に示す変形例2-1において、
図8乃至
図11に示す第2実施形態と同一の部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0054】
図12A乃至
図13に示すように、変形例2-1の架台20Cは、D3方向に並ぶ第1架台部分30および第2架台部分35を有する。第1架台部分30および第2架台部分35は、互いから離間して配置されている。各架台部分30,35は、底面31,36と、燃料電池スタック10を支持する第1支持面32,37および第2支持面33a,38aとを有する。図示された例では、第1架台部分30と第2架台部分35とは連結部材39を介して互いに連結され、互いに対して相対移動不能となっている。なお、
図12A乃至
図13に示す例では連結部材39はプレートであるが、これに限られない。連結部材39は、後述する
図16に示すようなアングルやフレームであってもよい。
【0055】
底面31,36は、燃料電池組立体1Cを設置面Sに設置する際、設置面Sに対向して配置される面である。底面31,36は、D2方向とD3方向とにより規定される平面内を広がっている。また、底面31,36は、架台20Cを設置面Sに設置する際、設置面Sに平行な面内を広がる。
【0056】
第1支持面32,37は、燃料電池スタック10を下方から支持する面である。第1支持面32,37は、底面31,36に対して傾斜している。図示された例では、第1支持面32,37は、-D2方向に向かうにつれて-D1方向に向かうように、底面31,36に対して傾斜している。第1架台部分30の第1支持面32の高さ(底面31からの距離)と第2架台部分35の第1支持面37の高さ(底面36からの距離)とは、異なる。図示された例では、第1架台部分30および第2架台部分35は+D3方向に沿ってこの順で配置されている。そして、-D3方向の側に位置する第1架台部分30の第1支持面32は、+D3方向の側に位置する第2架台部分35の第1支持面37よりも低い。
【0057】
第2支持面33a,38aは、燃料電池スタック10を側方から支持する面である。第2支持面33a,38aは、第1支持面32,37の-D2方向の端縁(底面31,36に最も近接する端縁)に接続して、第1支持面32,37上に配置された燃料電池スタック10が第1支持面32,37からずり落ちることを防止している。図示された例では、第2支持面33a,38aは、-D2方向に向かうにつれて+D1方向に向かうように、底面31,36に対して傾斜している。
【0058】
燃料電池組立体1Cにおいて、燃料電池スタック10は、第1架台部分30および第2架台部分35の第1支持面32,37上に配置されている。より詳しくは、燃料電池スタック10は、第4マニホールド17と第1支持面32,37とが対面し、且つ、第1マニホールド14と第2支持面33a,38aとが対面するように配置されている。そして、第1支持面32,37は、燃料電池スタック10を-Z方向の側から支持している。また、第2支持面33a,38aは、燃料電池スタック10を-Y方向の側から支持している。
【0059】
各第1支持面32,37が底面31,36に対して傾斜しており、且つ、第1架台部分30の第1支持面32が第2架台部分35の第1支持面37よりも低いことにより、燃料電池スタック10は、設置面Sに対して傾いた状態で架台20に支持されている。より具体的には、燃料電池スタック10は、その-X方向の端面が+X方向の端面よりも低くなるように、且つ、-Y方向の端面が+Y方向の端面よりも低くなるように、設置面Sに対して傾斜している。このため、第4マニホールド17の空気出口マニホールド17aおよび冷却水入口マニホールド17c内の水は、自重により、各マニホールド17a,17cの-X方向の端部領域と-Y方向の端部領域とが重なる領域に集められる。
【0060】
上述したように、各マニホールド17a,17cの底面17ab,17cbの-X方向の端部領域と-Y方向の端部領域とが重なる領域には、当該マニホールド17a,17cの外部に通じる穴(排水用の穴)17ah,17chが形成されている。このため、穴17ah,17chを閉鎖する栓18a,18cを外せば、当該穴17ah,17chを通じて各マニホールド17a,17c内の水を効率良く除去することができる。
【0061】
このような燃料電池組立体1Cによっても、燃料電池スタック10のマニホールド17a,17c内の水を効率良く除去することができる。
【0062】
なお、変形例2-1では、
図13に示すように、各架台部分30,35は、第3支持面33b,38bを有する。
図12Aから理解されるように、第3支持面33b,38bは、燃料電池スタック10を第2支持面33a,38aの側とは反対の側から支持する面である。第3支持面33b,38bは、第1支持面32,37の+D2方向の端縁(底面31,36から最も離間する端縁)から+D1方向に延び出して、第1支持面32,37上に配置された燃料電池スタック10が架台20Cに対して+Y方向に移動することを防止している。第2支持面33a,38aと第3支持面33b,38bとにより、燃料電池スタック10が架台20Cに対してY方向に移動することを防止するずれ止め構造33,38が構成されている。
【0063】
さらに、変形例2-1では、燃料電池スタック10は架台20CにバンドMで固定されている。図示された例では、バンドMは第1マニホールド14の側から第3マニホールド16上を通って第2マニホールド15の側に延びている。バンドMの両端部は、それぞれ、架台20Cの-D方向の端面及び+D方向の端面にネジ等の固定具Nで固定されている。
【0064】
<変形例2-2>
次に、
図14及び
図15を参照して、上述の第2実施形態による燃料電池組立体の他の変形例について説明する。
図14及び
図15に示す変形例2-2の燃料電池組立体1Dは、複数の燃料電池スタック10を含む点で異なっている。また、架台20Dは、複数の燃料電池スタック10を支持可能な点で異なっている。他の構成は、
図8乃至
図11に示す燃料電池組立体1Bと略同一である。
図14及び
図15に示す変形例2-2において、
図8乃至
図11に示す第2実施形態と同一の部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0065】
図14に示すように、変形例2-2の燃料電池組立体1Dの架台20Dは、複数の燃料電池スタック10を支持している。
図15に示すように、架台20Dは、複数の第1支持面22Bを有し、各第1支持面22B上に燃料電池スタック10が配置されている。また、架台20Dは、複数の第1支持面22Bに対応して複数の第2支持面23を有している。各燃料電池スタック10は、対応する第1支持面22Bおよび第2支持面23によって、-Z方向の側および-Y方向の側から支持されている。
【0066】
各第1支持面22Bが底面21に対して傾斜していることにより、各燃料電池スタック10は、設置面Sに対して傾いた状態で架台20Dに支持されている。より具体的には、各燃料電池スタック10は、その-X方向の端面が+X方向の端面よりも低くなるように、且つ、-Y方向の端面が+Y方向の端面よりも低くなるように、設置面Sに対して傾斜している。
【0067】
このような燃料電池組立体1Dによれば、複数の燃料電池スタック10のマニホールド17a,17c内の水を効率良く除去することができる。
【0068】
<変形例2-3>
なお、複数の燃料電池スタック10は、
図16に示す架台20Eを用いることによっても、その-X方向の端面が+X方向の端面よりも低くなるように、且つ、-Y方向の端面が+Y方向の端面よりも低くなるように、設置面Sに対して傾斜させることができる。
図15に示す架台20Eは、
図12A乃至
図13に示す変形例2-1の架台20Cと同様に、D3方向に並ぶ第1架台部分30Eおよび第2架台部分35Eを有する。以下の説明おいて、
図12A乃至
図13に示す変形例2-1と同一の部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0069】
各架台部分30E,35Eは、底面31,36と、燃料電池スタック10を支持する複数の第1支持面32,37、複数の第2支持面33a,38aおよび複数の第3支持面33b,38bとを有する。第1架台部分30Eおよび第2架台部分35Eは+D3方向に沿ってこの順で配置されている。そして、第1架台部分30Eの各第1支持面32の高さ(底面31からの距離)は、第2架台部分35Eの、当該第1支持面32とD3方向に並ぶ第1支持面37の高さ(底面36からの距離)よりも低い。
【0070】
このような架台20Eを用いた燃料電池組立体によっても、複数の燃料電池スタック10のマニホールド17a,17c内の水を効率良く除去することができる。
【0071】
以上のように、第2実施形態並びに変形例2-1、2-2、2-3によれば、設置面Sに垂直な第1方向(D1方向)と、第1方向に垂直な第2方向(D2方向)と、第1方向及び第2方向に垂直な第3方向(D3方向)とを規定した場合、燃料電池スタック10のマニホールド17a,17cは、第2方向に対して傾斜し、且つ、第3方向に対して傾斜している。
【0072】
このような燃料電池組立体1B,1C,1Dによれば、マニホールド17a,17c内の水を穴17ah,17chを通じて効率よく除去することができる。
【0073】
具体的には、架台20B,20Dの支持面22Bは、D2方向に対して傾斜し、且つ、D3方向に対して傾斜している。
【0074】
或いは、架台20C,20Eは、第3方向(D3方向)に並ぶ第1架台部分30,30Eおよび第2架台部分35,35Eを有している。第1架台部分30,30Eおよび第2架台部分35,35Eは、それぞれ、燃料電池スタック10を支持する支持面32,37を有している。そして、第1架台部分30,30Eの支持面32の高さと第2架台部分35,35Eの支持面37の高さとは異なっている。
【0075】
<第3実施形態>
次に、
図17乃至
図19を参照して、第3実施形態による燃料電池組立体について説明する。
図17乃至
図19に示す第3実施形態の燃料電池組立体1Fは、主に、架台20Fに車輪40が設けられている点、及び、架台20Fが免震装置50を有する点で異なっている。他の構成は、
図8乃至
図11に示す燃料電池組立体1Bと略同一である。
図17に示す第3実施形態において、
図8乃至
図11に示す第2実施形態と同一の部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0076】
上述したように、
図17に示す燃料電池組立体1Fの架台20Fには、車輪40が取り付けられている。これにより、必要な時に(例えば、燃料電池組立体1Fのマニホールド17a,17cから水を除去する作業を行う際に)、燃料電池組立体1Fを設置面Sに対して移動させることが容易である。図示された例では、車輪40は、架台20Fに回転可能に取り付けられた回転軸41に固定され、回転軸41と共に回転可能である。なお、
図17に示すように、設置面Sに車輪40を受容するレール60を設けることで、燃料電池組立体1Fをレール60が延びる方向(図示された例ではD2方向)に沿って移動させることが容易になる。
【0077】
また、
図17に示す燃料電池組立体1Fは、燃料電池組立体1Fの設置面Sに対する移動を防止可能な固定装置45を備えている。図示された例では、
図18及び
図19に示すように、固定装置45は、架台20Fの底面21に取り付けられている。固定装置45は、設置面Sに接触する第1位置(
図18参照)と、設置面Sから離間する第2位置(
図19参照)と、の間を移動可能な可動部46を有する。図示された例では、可動部46は、底面21から-D1方向への延び出し量を変更可能な基部47と、基部47の-D1方向の端部に固定された接触部48と、を有する。接触部48は、基部47の延び出し量の変更に伴って、底面21に対して移動する。燃料電池組立体1Fを設置面Sに対して固定する際は、可動部46を第1位置に配置して接触部48を設置面Sに接触させる。これにより、燃料電池組立体1Fが車輪40の回転に伴って設置面S上を移動する、ということが防止される。一方、燃料電池組立体1Fを設置面Sに対して移動させる際は、可動部46を第2位置に配置して接触部48を設置面Sから離間させる。これにより、燃料電池組立体1Fは車輪40の回転に伴って設置面S上を移動可能となる。
【0078】
また、
図17乃至
図19に示す燃料電池組立体1Fの架台20Fは、免震装置50を有している。より具体的には、架台20Fは、底面21を含む下方部分25と、第1支持面22Bおよび第2支持面23を含む上方部分26とを有する。そして、下方部分25と上方部分26との間に、下方部分25から上方部分26への振動の伝達を抑制する免震装置50が配置されている。これにより、燃料電池組立体1Fを設置面Sに対して移動させる際の燃料電池スタック10の設置面Sに対する振動を、抑制することができる。
【0079】
<変形例3-1>
次に、
図20を参照して、上述の第3実施形態による燃料電池組立体の変形例について説明する。
図20に示す変形例3-1の燃料電池組立体1Gは、主に、架台20Gが
図12A乃至
図13に示す架台部分30,35を含み、車輪40による移動方向がD3方向の点で異なっている。他の構成は、
図17乃至
図19に示す燃料電池組立体1Fと略同一である。
図20に示す変形例3-1において、
図12A乃至
図13に示す実施形態並びに
図17乃至
図19と同一の部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0080】
図20に示すように、変形例3-1の燃料電池組立体1Gの架台20Gは、架台部分30,35と、車輪40が取り付けられる基部55と、架台部分30,35と基部55との間に配置された免震装置50と、を有している。免震装置50は、基部50から架台部分30,35への振動の伝達を防止する。
【0081】
図20に示すような燃料電池組立体1Gによっても、燃料電池組立体1Gを設置面Sに対して固定しつつ、必要な時には移動させることが容易である。また、燃料電池組立体1Gを設置面Sに対して移動させる際の燃料電池スタック10の設置面Sに対する振動を、抑制することができる。
【0082】
以上のように、第3実施形態および変形例3-1によれば、燃料電池組立体1F,1Gは、燃料電池組立体1F,1Gを設置面Sに対して移動可能なように架台20F,20Gに設けられた車輪40と、燃料電池組立体1F,1Gの設置面Sに対する移動を防止可能な固定装置45と、を更に備える。このような燃料電池組立体1F,1Gによれば、燃料電池組立体1F,1Gを設置面Sに対して固定することができると共に、所望のときに燃料電池組立体1F,1Gを設置面Sに対して容易に移動させることができる。
【0083】
具体的には、固定装置45は、設置面Sに接触する第1位置と、設置面Sから離間する第2位置と、の間を移動可能な可動部46を有する。このような固定装置45によれば、可動部46を第1位置に配置することにより、燃料電池組立体1F,1Gが車輪40の回転に伴って設置面S上を移動することを防止することができる。また、可動部46を第2位置に配置することにより、燃料電池組立体1F,1Gが車輪40の回転に伴って設置面S上を移動することを許容することができる。
【0084】
なお、固定装置45の可動部46は、上述したものに限られない。例えば、可動部46は、車輪40に当接して車輪40の架台20F,20Gに対する回転を防止する第1位置と、車輪40から離間して車輪40の架台20F,20Gに対する回転を許容する第2位置と、の間を移動可能であってもよい。このような固定装置45によれば、可動部46を第1位置に配置することにより、車輪40を架台20F,20Gに対して固定して、燃料電池組立体1F,1Gの設置面Sに対する移動を防止することができる。また、可動部46を第2位置に配置することにより、車輪40の架台20F,20Gに対する回転を許容することができ、車輪40の回転に伴って燃料電池組立体1F,1Gを設置面Sに対して移動させることができる。
【0085】
上述した実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、当然のことながら、本発明の要旨の範囲内で、上述した実施の形態やその変形を、部分的に適宜組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0086】
1,1A,1B,1C,1D,1F,1G:燃料電池組立体、10:燃料電池スタック、11:積層体、14:第1マニホールド、14a:燃料ガス入口マニホールド、15:第2マニホールド、15a:燃料ガス出口マニホールド、16:第3マニホールド、16a:空気入口マニホールド、16c:冷却水出口マニホールド、17:第4マニホールド、17a:空気出口マニホールド、17c:冷却水入口マニホールド、17ah,17ch:穴、18a,18c:栓、20,20A,20B,20C,20D,20E,20G:架台、21,31,36:底面、22,22B,32,37:第1支持面、23,33,38:第2支持面、30:第1架台部分、35:第2架台部分、40:車輪、45:固定装置、46:可動部、50:免震装置、S:設置面