(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-25
(45)【発行日】2024-10-03
(54)【発明の名称】立体式駐車設備
(51)【国際特許分類】
E04H 6/12 20060101AFI20240926BHJP
E04H 6/18 20060101ALI20240926BHJP
E04H 6/00 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
E04H6/12 A
E04H6/18 602
E04H6/18 601D
E04H6/00 A
(21)【出願番号】P 2020150972
(22)【出願日】2020-09-09
【審査請求日】2023-07-28
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 取材をした者 株式会社 日本経済新聞社 株式会社IHIの広報・IR部 取材場所 IHI運搬機械株式会社 沼津工場(静岡県沼津市原2440) 取材日 令和2年1月16日 発行者名 株式会社 日本経済新聞社 刊行物名 日本経済新聞 巻数 令和2年2月13日付 朝刊,第12面 発行年月日 令和2年2月13日 掲載年月日 令和2年2月13日 掲載アドレス https://www.nikkei.com/article/DGKKZO55546170S0A210C2TJ1000/
(73)【特許権者】
【識別番号】000198363
【氏名又は名称】IHI運搬機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097515
【氏名又は名称】堀田 実
(74)【代理人】
【識別番号】100136700
【氏名又は名称】野村 俊博
(72)【発明者】
【氏名】巽 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】坂野 瑛彦
(72)【発明者】
【氏名】小野 右季
【審査官】兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-533095(JP,A)
【文献】特開2018-190215(JP,A)
【文献】特開2011-174245(JP,A)
【文献】特開2018-204373(JP,A)
【文献】特開2019-035261(JP,A)
【文献】特開2020-051113(JP,A)
【文献】特開2021-110131(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/00-6/42
G08G 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入出庫レベル又はこれに隣接する階に設けられ人が運転する一般車両が駐車する一般フロアと、前記入出庫レベルから前記一般フロアへ前記一般車両が走行可能な一般スロープと、を有する立体式駐車設備であって、
前記一般フロアより上方又は下方に設けられ、自動バレー駐車機能を有する自動運転車が駐車する自動フロアと、
前記入出庫レベルから前記自動フロアへ前記自動運転車を直接搬送可能な昇降装置と、
前記自動運転車と双方向に通信し前記昇降装置を制御する制御装置と、を備え、
前記昇降装置は、前記自動運転車を載せて昇降する車両用ケージを有し、
前記制御装置は、前記入出庫レベルと前記自動フロアとの間で前記車両用ケージを昇降させ、かつ前記一般フロアを停止せずに通過させ
、
前記一般フロアには、前記一般スロープを介してのみ車両が出入り可能であり、
前記自動フロアには、前記車両用ケージを介してのみ車両が出入り可能である、立体式駐車設備。
【請求項2】
前記一般フロアと前記自動フロアとの間に設けられた中間フロアと、
前記一般フロアから前記中間フロアへ前記一般車両が走行可能な中間スロープと、
前記中間スロープに設けられ前記一般車両の走行
及び人の侵入を阻止する開閉可能な遠隔遮断器と、を備え、
前記昇降装置は、前記入出庫レベルから前記中間フロアへ前記一般フロアを介さずに前記自動運転車を搬送可能であり、
前記制御装置は、
前記遠隔遮断器を全開し、かつ前記中間フロアへの前記自動運転車の搬送を禁止する一般車両専用モードと、
前記遠隔遮断器を全閉し、かつ前記中間フロアへの前記自動運転車の搬送を許可する自動運転車専用モードと、を有する、請求項1に記載の立体式駐車設備。
【請求項3】
前記入出庫レベルに、自動運転車専用の自動入出庫口と一般車両専用の一般入出庫口とを有し、
前記自動入出庫口は、前記昇降装置に直接通じており、前記一般入出庫口は前記一般フロアに直接通じている、請求項1に記載の立体式駐車設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動バレー駐車機能を有する自動運転車と一般車両とが駐車する立体式駐車設備に関する。
【背景技術】
【0002】
「自動運転車」とは、無人で地上を自律的に走行する無人地上車両(UGV:Unmanned Ground Vehicle)を意味する。
自動運転車は、人を載せて、目的地(例えばホテル)まで人が操作せずに自動走行し、目的地で人が降車後、所定の駐車場まで自動運転して駐車場内に駐車することができる。また、自動運転車は、指令を受けて駐車場から指定位置まで人が操作せずに自動走行し、指定位置で停車(待機)して人を乗せ、別の目的地まで人が操作せずに自動運転することができる。
以下、人が降車後に無人で駐車場まで自動運転して駐車し、指令を受けて駐車場から無人で自動運転して指定位置で停車(待機)することを「自動バレー駐車」と呼ぶ。また以下、自動運転車は、自動バレー駐車機能を有するものとする。
【0003】
一方、「一般車両」とは、人が運転する車両(例えば、乗用車)を意味する。
【0004】
自動バレー駐車機能を有する自動運転車と一般車両が混在して同一の駐車場に駐車するために、例えば特許文献1が提案されている。
【0005】
特許文献1の「車両制御装置」は、駐車場データ取得部、画像データ取得部、位置推定部、及び走行制御部を備える。
駐車場データ取得部は、駐車場の各駐車区画に対応して路面に設置された区画識別文字の絶対位置を特定可能な駐車場データを取得する。画像データ取得部は、車両の周辺の状況を撮像する車載カメラによって得られる画像データを取得する。
位置推定部は、画像データから区画識別文字に関する路面文字データを検出することで、画像データ上における車両に対する区画識別文字の相対位置を算出し、算出した相対位置と、駐車場データの絶対位置と、に基づいて、車両の実位置を推定する。走行制御部は、推定した実位置に基づき、車両を駐車場内で自動走行させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の車両制御装置により、例えば、従来から各駐車区画に対応して設置された区画識別文字(例えば、番号やアルファベット等の文字)を用いて車両の実位置を推定できる。その結果、従来の駐車場に対して新たな指標を追加することなく、自動運転車の自動バレー駐車が可能となる。
【0008】
しかし自動運転車と一般車両が同一の駐車フロアを走行する場合、自動運転車と一般車両は走行時又は駐車時の運転操作が異なるため、混乱が生じる可能性がある。
例えば、自動運転車は、例えば、カメラ、レーダー、レーザー等で周囲を観察するが、駐車フロアの人の挙動は予測できない。特に、駐車中の車両の背後に人が隠れているような場合、その人の検出又は挙動予測が困難である。そのため、駐車フロアにおける自動運転車の走行速度は、従来の一般車両と比較して低速となる。
一方、一般車両は、自動運転車の挙動を予測できない。そのため、自動運転車が同一の駐車フロアを走行すると、その遅い速度に追従して一般車両も従来より低速となり、渋滞により駐車設備の利用率が低下する。
【0009】
さらに、自動運転車の普及に伴い一般車両に対する自動運転車の比率が、駐車設備の設置後に増加することが予想される。そのため、自動運転車の比率が変化しても、駐車設備の利用率を高く維持することが要望される。
【0010】
本発明は上述した問題点を解決するために創案されたものである。すなわち本発明の第1の目的は、自動運転車と一般車両が駐車することができ、かつ自動運転車及び一般車両が相互に影響を受けず、それぞれ円滑に走行し駐車できる駐車設備を提供することにある。
また、第2の目的は、自動運転車の比率が変化しても、駐車設備の利用率を高く維持できることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、入出庫レベル又はこれに隣接する階に設けられ人が運転する一般車両が駐車する一般フロアと、前記入出庫レベルから前記一般フロアへ前記一般車両が走行可能な一般スロープと、を有する立体式駐車設備であって、
前記一般フロアより上方又は下方に設けられ、自動バレー駐車機能を有する自動運転車が駐車する自動フロアと、
前記入出庫レベルから前記自動フロアへ前記自動運転車を直接搬送可能な昇降装置と、
前記自動運転車と双方向に通信し前記昇降装置を制御する制御装置と、を備え、
前記昇降装置は、前記自動運転車を載せて昇降する車両用ケージを有し、
前記制御装置は、前記入出庫レベルと前記自動フロアとの間で前記車両用ケージを昇降させ、かつ前記一般フロアを停止せずに通過させる、立体式駐車設備が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、一般フロアと、入出庫レベルから一般フロアへ一般車両が走行可能な一般スロープとを有するので、一般車両は、入出庫レベルから一般スロープを介して一般フロアへ、自動運転車の影響を受けずに直接走行して円滑に駐車することができる。
【0013】
また、自動運転車が駐車する自動フロアと、入出庫レベルから自動フロアへ自動運転車を直接搬送可能な昇降装置と、を備えるので、自動運転車は、入出庫レベルから昇降装置を介して自動フロアへ直接駐車することができる。
従って、本発明の立体式駐車設備に自動運転車と一般車両とが駐車することができる。
【0014】
また、昇降装置が、昇降する車両用ケージを有し、制御装置が、入出庫レベルと自動フロアとの間で車両用ケージを昇降させ、かつ一般フロアを停止せずに通過させる。これにより、一般フロアより上方又は下方に設けられた自動フロアへ自動運転車を短時間に搬送でき、自動運転車を一般車両の影響を受けずに、円滑に走行させ駐車させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明による第1実施形態の立体式駐車設備の正面図である。
【
図3】
図1の2F,3Fの一般フロアの平面図である。
【
図4】
図1の5F,RFの自動フロアの平面図である。
【
図6】本発明による第2実施形態の立体式駐車設備の正面図である。
【
図7】
図6の2F,3Fの一般フロアの平面図である。
【
図9】
図7の5F,RFの自動フロアの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0017】
図1は、本発明による第1実施形態の立体式駐車設備100の正面図である。
この図において、立体式駐車設備100は、1F~5F、及びRFの駐車フロアを有する。
この例において、1F~3Fは一般車専用フロア(以下、一般フロア10)、5F,RFは自動運転車専用フロア(以下、自動フロア20)、4Fは中間フロア30である。
中間フロア30は、一般車専用フロア又は自動運転車専用フロアに切り替えて使用する。
なお以下、自動バレー駐車機能を有する自動運転車Aを「ハッチング付き」で示し、人が運転する一般車両Bを「ハッチング無し」で示す。
【0018】
一般フロア10は、入出庫レベルFL又はこれに隣接する階に設けられ一般車両Bが駐車する駐車フロアである。
【0019】
入出庫レベルFLは、この例で地上レベルに位置する。
またこの例で、「入出庫レベルFL又はこれに隣接する階」とは、1F,2F,3Fの駐車フロアを意味する。
【0020】
なお、入出庫レベルFLは、地上レベルに限定されず、その他の階、例えば地下でもよい。
また、「これに隣接する階」とは、入出庫レベルFLに隣接する限りで地下でもよい。
また、「隣接する」とは、一般スロープ12を介して入出庫レベルFLから一般車両Bが移動できる駐車フロアを意味する。
【0021】
立体式駐車設備100は、1Fと2Fの間、及び2Fと3Fとの間に一般車専用ロープ(以下、一般スロープ12)を有する。
一般スロープ12は、入出庫レベルFLから2F,3Fの一般フロア10へ一般車両Bが走行可能な傾斜走行路である。一般スロープ12の勾配は、一般車両Bが走行可能な角度(例えば1/6以下)に設定されている。
【0022】
また、
図1において、立体式駐車設備100は、入出庫レベルFLに、一般車両専用の一般入出庫口14を有する。一般入出庫口14は一般フロア10(この例では1Fの駐車フロア)に直接通じている。
【0023】
図2は、
図1の1Fの一般フロア10の平面図である。
この図において、一般フロア10に複数の駐車領域16が区画線(例えば白線)で設定されている。駐車領域16にはそれぞれの駐車位置を示す位置番号(図示せず)が付されていることが好ましい。位置番号は、例えば文字と数字の組み合わせである。
【0024】
また、
図2において、一般スロープ12は、1Fと2Fの間を結ぶ傾斜走行路である。
この構成により、一般車両Bは、一般入出庫口14を通って1Fの一般フロア10に入り、空いている駐車領域16に駐車することができ、かつ一般スロープ12を自走して2Fに上がり、2Fの一般フロア10に入ることもできる。
【0025】
図3は、
図1の2F,3Fの一般フロア10の平面図である。
図3(A)において2Fの一般フロア10には、上述した一般入出庫口14がなく、一般スロープ12が上り用と下り用がある点で、
図2(1F)と相違する。
この構成により、1Fから上がった一般車両Bは、2Fの一般フロア10に入り、空いている駐車領域16に駐車することができ、かつ一般スロープ12を自走して上下の階の一般フロア10に入ることもできる。
【0026】
図3(B)において、3Fの一般フロア10は、下り用の一般スロープ12の他に上り用の中間スロープ32がある点で、
図3(A)と相違する。
【0027】
中間スロープ32は、
図3(B)において、一般フロア10(この例で3F)から中間フロア30(4F)へ一般車両Bが走行可能に構成されている。
さらに、中間スロープ32にはその下端近傍に遠隔遮断器34が設けられている。
【0028】
遠隔遮断器34は、一般車両Bの走行を開閉可能に阻止するようになっている。すなわち、遠隔遮断器34が全開しているときは一般車両Bが中間スロープ32を介して上階の4Fへ上がり、そこに駐車できるが、遠隔遮断器34が全閉しているときは一般車両Bが4Fへ上がれないようになっている。
【0029】
上述した構成により、人が運転する一般車両Bは、一般入出庫口14を通って1F,2F,3Fの一般フロア10に入り、空いている駐車領域16に駐車することができる。
また、一般フロア10は、入出庫レベルFL又はこれに隣接する階に設けられているので、一般入出庫口14から短時間に入庫し、或いは一般入出庫口14から短時間に出庫することができる。
さらに、後述する昇降路22が隔壁24により、一般フロア10と分離されているので、一般車両Bが自動運転車Aの影響を受けずに、円滑に走行し駐車することができる。
【0030】
図1において、自動フロア20は、一般フロア10より上方又は下方に設けられ、自動運転車Aが駐車する自動運転車専用の駐車フロアである。
自動フロア20は、この例で5FとRF(屋上)に設けられている。従って、この例で、自動フロア20は、一般フロア10より上方に設けられているが、一般フロア10より下方、例えば地下に設けてもよい。
【0031】
自動運転車Aは、無人で地上を自律的に自動運転し、自動バレー駐車機能を有する無人地上車両(UGV)である。自動運転車Aは、自動運転し自動バレー駐車機能を有する点を除き、一般車両Bと実質的に同一の機能と大きさを有する乗用車であることが好ましい。
「自動バレー駐車機能」とは、「人が降車後に無人で駐車場まで自動運転して駐車し、指令を受けて駐車場から無人で指定位置まで自動運転して指定位置で停車(待機)する」ことができる機能である。
【0032】
図1において、立体式駐車設備100は、さらに、昇降装置40、及び制御装置50を備える。
【0033】
昇降装置40は、入出庫レベルFLから自動フロア20へ自動運転車Aを直接搬送可能な車両用エレベータである。
昇降装置40は、自動運転車Aを載せて昇降する車両用ケージ42を有する。
車両用ケージ42は、この例では、屋上に設けられた巻上装置44により、複数のワイヤ46を介して吊り下げられている。この構成により、巻上装置44でワイヤ46を巻上げ、又は巻戻すことで、車両用ケージ42を入出庫レベルFLと自動フロア20との間で昇降させることができる。
なお、昇降装置40は、この例に限定されず、その他の構成、例えばチェーンとスプロケット、或いは油圧式、であってもよい。
【0034】
図1において、立体式駐車設備100は、車両用ケージ42が昇降する昇降路22を有する。
昇降路22は、車両用ケージ42が入出庫レベルFLと自動フロア20との間で昇降する吹抜空間である。また、この例で、昇降路22は、隔壁24により、1F,2F,3Fの一般フロア10と分離されている。
隔壁24は、昇降路22と一般フロア10との境界部に設けられた壁であり、人及び車両が通過できないようになっている。
【0035】
また、
図1において、立体式駐車設備100は、入出庫レベルFLに、自動運転車専用の自動入出庫口26Aを有する。自動入出庫口26Aは入出庫レベルFLに位置する車両用ケージ42に直接通じており、自動運転車Aが外部から自動入出庫口26Aを通って車両用ケージ42に自動運転で直接入り、或いはそこから外部に自動運転で出ることができるようになっている。
【0036】
立体式駐車設備100は、さらに、5F,RFの自動フロア20に、自動運転車専用の自動入出庫口26Bを有する。自動入出庫口26Bは自動フロア20に位置する車両用ケージ42に直接通じている。これにより、自動運転車Aが自動フロア20から自動入出庫口26Bを通って車両用ケージ42に自動運転で直接入り、或いはそこから自動フロア20に自動運転で出ることができるようになっている。
【0037】
また、この図に示すように、自動入出庫口26Bは、一般フロア10には設けられず、自動運転車Aは、一般フロア10には入れないようになっている。
【0038】
制御装置50は、自動運転車Aと双方向に通信し昇降装置40を制御する。
制御装置50は、入出庫レベルFLと自動フロア20との間で車両用ケージ42を昇降させ、かつ一般フロア10を停止せずに通過させる、ようになっている。
【0039】
上述した構成により、自動運転車Aは、自動入出庫口26Aから入出庫レベルFLに位置する車両用ケージ42に自動運転で直接入り、車両用ケージ42により自動フロア20まで上昇し、自動入出庫口26Bから自動フロア20に自動運転で入ることができる。
また、逆に、自動入出庫口26Bから自動フロア20に位置する車両用ケージ42に自動運転で直接入り、車両用ケージ42により入出庫レベルFLまで下降し、自動入出庫口26Aから外部に自動運転で出ることができる。
さらに、制御装置50が、自動運転車Aと双方向に通信することで、昇降装置40を制御すると共に、自動運転車Aに駐車領域16を指定して駐車させることができる。
【0040】
図4は、
図1の5F,RFの自動フロア20の平面図である。
この図において、自動フロア20にも複数の駐車領域16が区画線(例えば白線)で設定されていることが好ましい。また駐車領域16にはそれぞれの駐車位置を示す位置番号(図示せず)が付されていることが好ましい。位置番号は、例えば文字と数字の組み合わせである。
なお、自動フロア20の駐車領域16とその位置番号は、自動運転車Aが容易に検出できる形態(例えば、反射テープや画像認識しやすい文字)であることが好ましい。
【0041】
図4において、自動フロア20には、一般フロア10の一般スロープ12のようなスロープはなく、自動運転車Aは、車両用ケージ42によってのみ、自動フロア20に入り、或いはそこから車両用ケージ42を介して外部に出るようになっている。
【0042】
上述した構成により、自動運転車Aは、人が降車後、制御装置50から指定された立体式駐車設備100まで自動運転し、自動入出庫口26Aから1Fに位置する車両用ケージ42に自動運転で入ることができる。
次いで、自動運転車Aは、昇降装置40を介して自動フロア20に入り、制御装置50から指定された駐車領域16(又は空いている駐車領域16)に自動運転で駐車することができる。
また、自動運転車Aは、制御装置50から指令を受けて、自動フロア20から昇降装置40を介して入出庫レベルFLから外部に無人で自動運転して、指定位置で停車(待機)することができる。
【0043】
また、上述した構成により、昇降路22が隔壁24により一般フロア10と分離されており、かつ制御装置50が、車両用ケージ42を一般フロア10を停止せずに通過させるので、自動運転車Aが一般車両Bの影響を受けずに、円滑に自動走行し自動バレー駐車をすることができる。
【0044】
図5は、
図1の4Fの中間フロア30の平面図である。
この図において、中間フロア30は、中間スロープ32と自動入出庫口26Cを有する。
中間スロープ32は、上述した3Fの一般フロア10から一般車両Bが走行可能に構成されている。従って、上述した遠隔遮断器34が全開しているときは一般車両Bが中間スロープ32を介して上階の4Fへ上れるようになっている。
自動入出庫口26Cは、中間フロア30に位置する車両用ケージ42に直接通じており、中間フロア30に設けられている点のみで、自動入出庫口26Bと相違する。従って、昇降装置40は、入出庫レベルFLから中間フロア30へ一般フロア10を介さずに自動運転車Aを搬送可能になっている。
【0045】
上述した自動入出庫口26A,26B,26Cには、自動ドア27がそれぞれ設けられていることが好ましい。自動ドア27は制御装置50によりその開閉が制御される。
【0046】
制御装置50は、一般車両専用モードM1を有し、このモードにおいて、遠隔遮断器34を全開し、かつ中間フロア30への自動運転車Aの搬送を禁止する。
【0047】
図5は、一般車両専用モードM1の状態を示している。
一般車両専用モードM1では、中間フロア30を一般車両専用に設定する。
この場合、中間フロア30の自動入出庫口26Cの自動ドア27は全閉されたままであり、制御装置50は、入出庫レベルFLと自動フロア20との間で車両用ケージ42を昇降させ、かつ中間フロア30を停止せずに通過させる。
また、一般車両専用モードM1において、上述した遠隔遮断器34は全開したままであり、一般車両Bは、3Fの一般フロア10から中間スロープ32を通って4Fの中間フロア30へ、自由に入ることができる。
【0048】
上述した構成により、一般車両専用モードM1において、一般車両Bは、3Fの一般フロア10に入り、さらに中間スロープ32を通って自由に中間フロア30に入り、中間フロア30の空いている駐車領域16に駐車することができる。
また、自動入出庫口26Cの自動ドア27が全閉されているので、一般車両Bが自動運転車Aの影響を受けずに、円滑に走行し駐車することができる。
これにより、一般車両Bの駐車領域を中間フロア30まで拡大することができる。
【0049】
一方、制御装置50は、自動運転車専用モードM2を有し、このモードにおいて、遠隔遮断器34を全閉し、かつ中間フロア30への自動運転車Aの搬送を許可する。
【0050】
自動運転車専用モードM2では、中間フロア30を自動運転車専用に設定する。
この場合、
図3(B)に示す遠隔遮断器34は、全閉したままであり、一般車両Bは、3Fの一般フロア10から4Fの中間フロア30へは侵入できない。
一方、
図5において、中間フロア30において、自動入出庫口26Cの自動ドア27は制御装置50により開閉が制御される。制御装置50は、入出庫レベルFLと中間フロア30との間で車両用ケージ42を昇降させ、中間フロア30へ自動運転車Aを搬送する。
【0051】
上述した構成により、自動運転車専用モードM2において、中間フロア30を自動運転車専用に設定することで、自動運転車Aのみを中間フロア30に駐車させることができる。
また、遠隔遮断器34が全閉されているので、自動運転車Aが一般車両Bの影響を受けずに、円滑に走行し駐車することができる。
これにより、自動運転車Aの自動バレー駐車による駐車領域を中間フロア30まで拡大することができる。
【0052】
図6は、本発明による第2実施形態の立体式駐車設備100の正面図である。
この図において、2F,3Fが一般フロア10、5F,RFが自動フロア20、4Fが中間フロア30である。
この例では、1Fは、例えば店舗であり、一般フロア10に設定されていない。
【0053】
図6において、一般入出庫口14は1Fの左端に設けられ、1Fと2Fの間に設けられた一般スロープ12により、一般車両Bは、一般入出庫口14から一般スロープ12を介して2Fの一般フロア10に直接入るようになっている。
また、自動入出庫口26Aは、一般入出庫口14に隣接してその右側に設けられ、1Fの奥に設けられた車両用ケージ42(図示せず)に直接乗込むようになっている。
【0054】
図7は、
図6の2F,3Fの一般フロア10の平面図である。
図7(A)において、複数の駐車領域16が区画線(例えば白線)で設定されている。
また、この図で一般スロープ12は、1Fの一般入出庫口14から2Fの一般フロア10を結ぶ傾斜走行路と、2Fと3Fの間の傾斜走行路である。
この構成により、一般車両Bは、一般入出庫口14から一般スロープ12を介して2Fの一般フロア10に入り、空いている駐車領域16に駐車することができる。
その他の構成は
図3(A)と同様である。
【0055】
図7(B)は、
図6の3Fの一般フロア10の平面図である。
この図は、一般スロープ12、中間スロープ32及び昇降路22の位置が相違する点を除き、
図3(B)と同様である。
【0056】
図8は、
図6の4Fの中間フロア30の平面図である。
この図は、中間スロープ32と昇降装置40の位置が相違する点を除き、
図5と同様である。
なお
図8は、自動運転車専用モードM2の状態を示している。
【0057】
図9は、
図6の5FとRFの自動フロア20の平面図である。
この図は、昇降装置40の位置が相違する点を除き、
図4と同様である。
【0058】
上述した本発明の実施形態によれば、一般車両Bが駐車する一般フロア10と、入出庫レベルFLから一般フロア10へ一般車両Bが走行可能な一般スロープ12と、を有する。これにより、一般車両Bは、入出庫レベルFLから一般スロープ12を介して一般フロア10へ、自動運転車Aの影響を受けずに直接走行して円滑に駐車することができる。
【0059】
また、自動運転車Aが駐車する自動フロア20と、入出庫レベルFLから自動フロア20へ自動運転車Aを直接搬送可能な昇降装置40と、を備えるので、自動運転車Aは、入出庫レベルFLから昇降装置40を介して自動フロア20へ直接駐車することができる。
従って、本発明の立体式駐車設備100に自動運転車Aと一般車両Bとが駐車することができる。
【0060】
また、昇降装置40が、昇降する車両用ケージ42を有し、制御装置50が、入出庫レベルFLと自動フロア20との間で車両用ケージ42を昇降させ、かつ一般フロア10を停止せずに通過させる。これにより、一般フロア10より上方又は下方に設けられた自動フロア20へ自動運転車Aを短時間に搬送でき、自動運転車Aを一般車両Bの影響を受けずに、円滑に走行し駐車させることができる。
【0061】
さらに、一般車両専用モードM1において、中間フロア30を一般車両専用に設定することで、一般車両Bの駐車領域を中間フロア30まで拡大することができる。
また、逆に、自動運転車専用モードM2において、中間フロア30を自動運転車専用に設定することで、自動運転車Aの駐車領域を中間フロア30まで拡大することができる。
従って、自動運転車Aの比率が低いときに、一般車両Bの駐車領域を中間フロア30まで拡大し、自動運転車Aの比率が高くなったときに、自動運転車Aの駐車領域を中間フロア30まで拡大することで、駐車設備全体の利用率を高く維持することができる。
【0062】
上述の例において、中間フロア30は1フロアのみであるが、複数の中間フロア30を設けてもよい。この場合、上下に隣接する中間フロア30の間にも上述した中間スロープ32と遠隔遮断器34を設ける。また、制御装置50は、上方を自動運転車専用モードM2に維持したまま、下方から順に一般車両専用モードM1に切り替える。
【0063】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0064】
A 自動運転車、B 一般車両、FL 入出庫レベル、
10 一般フロア、12 一般スロープ、14 一般入出庫口、
16 駐車領域、20 自動フロア、22 昇降路、24 隔壁、
26A,26B,26C 自動入出庫口、27 自動ドア、
30 中間フロア、32 中間スロープ、34 遠隔遮断器、
40 昇降装置(車両用エレベータ)、42 車両用ケージ、
44 巻上装置、46 ワイヤ、50 制御装置、
100 立体式駐車設備