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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-25
(45)【発行日】2024-10-03
(54)【発明の名称】コエンザイムQ10含有水溶性組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/10 20160101AFI20240926BHJP
   A23L 33/28 20160101ALN20240926BHJP
【FI】
A23L33/10
A23L33/28
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020157162
(22)【出願日】2020-09-18
(65)【公開番号】P2022050955
(43)【公開日】2022-03-31
【審査請求日】2023-03-09
(73)【特許権者】
【識別番号】301049744
【氏名又は名称】日清ファルマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】金谷 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】安井 謙介
(72)【発明者】
【氏名】酒井 秀之
【審査官】三原 健治
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-000043(JP,A)
【文献】国際公開第2006/035900(WO,A1)
【文献】特開2007-209251(JP,A)
【文献】特開2015-105243(JP,A)
【文献】米国特許第04751241(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
A61K
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)コエンザイムQ10 1~10質量%、(B)ポリグリセリン脂肪酸エステル 1~20質量%、(C)グリセリン 60~90質量%及び(D)水 4.0~30質量%、からなり、成分(A)と(B)の質量比が、(A):(B)=1:0.8~1:2.4であり、かつ平均粒子径が70nm以下である水溶性組成物。
【請求項2】
成分(B)の脂肪酸がステアリン酸及びパルミチン酸から選ばれる1種以上である、請求項1に記載の水溶性組成物。
【請求項3】
成分(C)と(D)の質量比が、(C):(D)=19:1~2:1である、請求項1又は2に記載の水溶性組成物。
【請求項4】
コエンザイムQ10、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びグリセリンを水中で分散又は乳化させる工程を含む、(A)コエンザイムQ10 1~10質量%、(B)ポリグリセリン脂肪酸エステル 1~20質量%、(C)グリセリン 60~90質量%及び(D)水 4.0~30質量%、からなり、成分(A)と(B)の質量比が、(A):(B)=1:0.8~1:2.4である水溶性組成物の製造方法であって、平均粒子径が70nm以下である水溶性組成物を製造する方法。
【請求項5】
コラーゲン、水及び請求項1~のいずれか1項に記載された水溶性組成物を含有する水性組成物。
【請求項6】
コラーゲン濃度が5~25質量%である請求項に記載の水性組成物。
【請求項7】
コラーゲンを含有する水性溶液に、請求項1~のいずれか1項に記載の水溶性組成物を添加することにより、請求項又はに記載の水性組成物を製造する方法。
【請求項8】
水性組成物中のコラーゲン濃度が5~25質量%である、請求項に記載の方法。
【請求項9】
コラーゲンを含有する水性溶液に、請求項1~のいずれか1項に記載の水溶性組成物
を添加することにより、コエンザイムQ10を安定化する方法。
【請求項10】
水性溶液及び水溶性組成物の合計量を100質量%としたときのコラーゲンの量が5~25質量%である、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コエンザイムQ10含有水溶性組成物に関する。
詳細には、脂溶性のコエンザイムQ10を含みながら、水性液体、特にコラーゲンを含有する水性溶液に添加した際に、これによって生成した、コラーゲンが高濃度で存在する水性組成物中であっても、コエンザイムQ10が分離、沈殿、析出又は浮上しない等、長期間の保存安定性に優れたコエンザイムQ10含有水溶性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、健康食品市場の成長に伴い、商品の差別化が進み、配合される機能性素材が多様化し、また、機能性素材の高含有化した製品が多数開発されている。コエンザイムQ10に代表されるような脂溶性の機能性素材は、生体にとって必須もしくは重要な役割を示すものが多く、これを健康食品に利用することについては、大きな需要がある。
【0003】
コエンザイムQ10は、ユビデカレノンまたは補酵素Q10とも呼ばれ、高等動物に存在する補酵素の1種である。コエンザイムQ10は、補酵素として生物活性をもつだけでなく、酸素利用効率を改善させる作用を有するビタミン様作用物質として知られている。コエンザイムQ10は、エネルギー産生や抗酸化等の作用を有し、種々の健康機能に関与するとされている。臨床的に狭心症、心不全、虚血性心疾患、筋ジストロフィーの症状改善に用いられ、高血圧、動脈硬化、心臓病、糖尿病、癌等に効果があるとされ、疲労回復や運動機能回復等にも有効であると報告されている。このようにコエンザイムQ10は高い生理活性を有し、且つ生体内に存在するため、安全性の高い物質である。
【0004】
しかし、コエンザイムQ10は融点の低い親油性固体であるため水に難溶性であり、光や熱に対して不安定であると同時に結晶性が高いため、一般的に乳化による製剤化には困難性が伴う。また、一旦乳化組成物を調製しても、コエンザイムQ10の再結晶化による分離、沈殿、析出または浮上が生じやすく、長期間の保存安定性が低いという問題がある。
【0005】
そのため、コエンザイムQ10の水性組成物中における乳化安定性を高める必要があり、これまでもいくつかの技術が提案されている。
【0006】
特許文献1には、ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリンとコエンザイムQ10を用いて撹拌後、高圧ホモジナイザーで乳化して得られる、長期間均一性が保たれた水性液剤が開示されている。
【0007】
特許文献2には、コエンザイムQ10、平均重合度10のポリグリセリンと炭素数18の脂肪酸のエステル、平均重合度3~6のポリグリセリンと炭素数18脂肪酸のエステル及び水を含む、耐熱、耐塩、耐酸性に優れた水溶性組成物が開示されている。
【0008】
特許文献3には、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル及びレシチンを含む乳化剤組成物とコエンザイムQ10を用いて得られる、耐熱、耐酸、耐アルコール性に優れた水中油型エマルジョンが開示されている。
【0009】
特許文献4には、グリセリンを含まずジグリセリンが3%以下のポリグリセリンと脂肪酸からなるポリグリセリン脂肪酸エステルとコエンザイムQ10を含有する、エタノールや塩類を高濃度に含む食品中でも安定に配合できる食品添加剤組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2000-212066号公報
【文献】特開2004-196781号公報
【文献】特開2008-245588号公報
【文献】特開2011-050255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
昨今の健康食品飲料は、配合の多様化や機能性素材の高含有化が進んでいる中で、コラーゲンは関節の動きや肌の潤い等に効果のある素材として特に人気が高く、コラーゲンを高い濃度で含有する健康飲料などが現れている。
しかしながら、本発明者らの研究によれば、コラーゲンとコエンザイムQ10を同時に含有する飲料では、コラーゲン含量が多い場合(例えば50mL中にコラーゲン5g以上)、コエンザイムQ10が分離、沈殿、析出したり、浮上してくる等の現象が生じ、その安定性に問題があることが分かった。
本発明の課題は、コラーゲンが高濃度で存在する水性組成物中においても、コエンザイムQ10が沈殿、析出、浮上することなく長期間に渡って均一性が保たれ、安定性が高いコエンザイムQ10含有水溶性組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題は、以下に示す組成物及び方法によって解決することができる。
(1)(A)コエンザイムQ10 1~10質量%、(B)ポリグリセリン脂肪酸エステル 1~20質量%、(C)グリセリン及び(D)水、からなり、成分(A)と(B)の質量比が、(A):(B)=1:0.8~1:2.4であり、かつ平均粒子径が70nm以下である水溶性組成物。
(2)成分(B)の脂肪酸がステアリン酸及びパルミチン酸から選ばれる1種以上である、(1)に記載の水溶性組成物。
(3)成分(C)が60~90質量%、(D)が3.2~40質量%である、(1)又は(2)に記載の水溶性組成物。
(4)成分(C)と(D)の質量比が、(C):(D)=19:1~2:1である、請求項1~3のいずれか1項に記載の水溶性組成物。
(5)コエンザイムQ10、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びグリセリンを水中で分散又は乳化させる工程を含む、(A)コエンザイムQ10 1~10質量%、(B)ポリグリセリン脂肪酸エステル 1~20質量%、(C)グリセリン及び(D)水、からなり、成分(A)と(B)の質量比が、(A):(B)=1:0.8~1:2.4である水溶性組成物の製造方法であって、平均粒子径が70nm以下である水溶性組成物の製造方法。
(6)コラーゲン、水及び(1)~(4)に記載の水溶性組成物を含有する水性組成物。(7)コラーゲン濃度が5~25質量%である(6)に記載の水性組成物。
(8)コラーゲンを含有する水性溶液に、(1)~(4)に記載の水溶性組成物を添加することにより、(6)又は(7)に記載の水性組成物を製造する方法。
(9)水性溶液中のコラーゲン濃度が5~25質量%である、(8)に記載の方法。
(10)コラーゲンを含有する水性溶液に、(1)~(4)に記載の水溶性組成物を添加することにより、コエンザイムQ10を安定化する方法。
(11)水性溶液及び水溶性組成物の合計量を100質量%としたときのコラーゲンの量が5~25質量%である、(10)に記載の方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明のコエンザイムQ10含有水溶性組成物は、通常は液状の乳化組成物であり、脂
溶性のコエンザイムQ10を含みながら、水性液体に添加した際に、コラーゲンが高濃度で存在する水性組成物中であっても、コエンザイムQ10が分離、沈殿、析出又は浮上することがなく、長期間の保存安定性に優れており、コラーゲンとコエンザイムQ10を同時に含有する飲料等の多様な健康食品飲料を提供することができる。
また、本発明のコエンザイムQ10含有水溶性組成物は、水溶性が高いためコエンザイムQ10の吸収性が良くなるという利点もある。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のコエンザイムQ10含有水溶性組成物は、(A)コエンザイムQ10 1~10質量%、(B)ポリグリセリン脂肪酸エステル 1~20質量%、(C)グリセリン及び(D)水、からなり、成分(A)と(B)の質量比が、(A):(B)=1:0.8~1:2.4であり、かつ平均粒子径が70nm以下である。
【0015】
以下に、本発明のコエンザイムQ10含有水溶性組成物に含まれる各成分の配合量等について、説明する。
【0016】
(コエンザイムQ10)
本発明のコエンザイムQ10含有水溶性組成物におけるコエンザイムQ10の配合量は、1~10質量%であるが、好ましくは2~8質量%、特に好ましくは、3~6質量%である。
【0017】
(ポリグリセリン脂肪酸エステル)
本発明のコエンザイムQ10含有水溶性組成物のポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、ジグリセリン、テトラグリセリン、ヘキサグリセリン、デカグリセリン等の様々な重合度のポリグリセリン又はそれらの混合物と、様々な鎖長の飽和又は不飽和の脂肪酸のエステルを使用することができる。
本発明のコエンザイムQ10含有水溶性組成物に使用するポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、例えば、ポリグリセリンステアリン酸エステル、ポリグリセリンパルミチン酸エステル、ポリグリセリンラウリン酸エステル、ポリグリセリンオレイン酸エステル、ポリグリセリンミリスチン酸、ポリグリセリンべへニン酸エステル、ポリグリセリンリノール酸エステル等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。このうち、ポリグリセリンステアリン酸エステル、ポリグリセリンパルミチン酸エステルから選ばれる1種以上であることが好ましい。
本発明のコエンザイムQ10含有水溶性組成物におけるポリグリセリン脂肪酸エステルの配合量は、1~20質量%、好ましくは2~15質量%、特に好ましくは3~10質量%である。
【0018】
本発明のコエンザイムQ10含有水溶性組成物のポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、市販されている様々な製品を適切に使用することができ、例えば、日光ケミカルズ製、商品名「DECAGLYN1-SVEX」、「DECAGLYN1-PVEX」等を挙げることができる。
【0019】
(グリセリン)
本発明のコエンザイムQ10含有水溶性組成物におけるグリセリンの配合量は、60~90質量%、好ましくは65~90質量%である。
【0020】
(水)
本発明のコエンザイムQ10含有水溶性組成物における水の配合量は、3.2~40質量%、好ましくは4.0~30質量%、特に好ましくは4.5~20質量%である。
【0021】
(配合比)
次に、本発明のコエンザイムQ10含有水溶性組成物における成分(A)と成分(B)の質量比及び成分(C)と成分(D)の質量比について説明する。
【0022】
本発明のコエンザイムQ10含有水溶性組成物において、(A):(B)=1:0.8~1:2.4であり、好ましくは1:1~1:2である。また、(C):(D)=19:1~2:1であり、好ましくは9:1~3:1である。
【0023】
本発明のコエンザイムQ10含有水溶性組成物は、平均粒子径が70nm以下の乳化組成物である。乳化組成物の平均粒子径を70nm以下にするために、組成物をホモミキサーや高圧ホモジナイザー等で攪拌・均質化する必要がある。好適なホモミキサー等の回転数および攪拌時間は、ホモミキサー等のタービン径や乳化液の処理量により変化するので一概には言えないが、例えば、2500~14000rpm、好ましくは3000~12000rpmで、1分~10時間、好ましくは4分~8時間撹拌することにより平均粒子径70nm以下の水溶性組成物を得ることができる。本発明で特定する配合成分及び配合量の組成物を、ホモミキサー等により高い回転数で長時間攪拌すると平均粒子径は小さくなるが、平均粒子径70nm以下であれば、所望の効果が得られるので、それを超えた長時間の攪拌を行う必要はない。
【0024】
本発明のコエンザイムQ10含有水溶性組成物は、水性液体、特にコラーゲンを含有する水性溶液に添加した際に、これによって生成した、コラーゲンが高濃度で存在する水性溶液と混合しても、コエンザイムQ10が分離、沈殿、析出又は浮上しないため、コラーゲンとコエンザイムQ10を同時に含有し、かつ保存安定性に優れた健康食品飲料を提供できるものである。
【0025】
(コラーゲン)
本発明のコエンザイムQ10含有水溶性組成物と共存させるコラーゲンとしては、経口摂取に適したものであれば特に制限なく用いることができる。例えば、コラーゲンそのものを用いてもよいし、加水分解、熱変性などの処理によって得られるコラーゲンペプチドなどの形態とされたコラーゲンを用いてもよく、これらから選択された1種以上を用いることができる。
本発明のコエンザイムQ10含有水溶性組成物と共存させるコラーゲンを含有する水性溶液中のコラーゲン濃度に特に制限はないが、コエンザイムQ10含有水溶性組成物を添加した後に、コラーゲン濃度が5~25質量%である水性組成物が生成するような濃度にしておくことが、特に好適である。なかでも、コラーゲン濃度が高いもの、例えば、コラーゲンを5g/50ml以上或いは10g/50mL以上の高濃度で含有する水性溶液を使用する場合において、本発明のコエンザイムQ10含有水溶性組成物を使用したことによる効果が顕著に表れるということができる。
【0026】
(製造方法)
本発明のコエンザイムQ10含有水性組成物の製造方法としては、脂溶性成分を分散又は乳化するなどの公知の方法を採用することができる。
【0027】
例えば、グリセリン(又はポリグリセリン脂肪酸エステル)にコエンザイムQ10を入れ、50℃以上80℃以下に加熱しコエンザイムQ10を溶解させた後、水とポリグリセリン脂肪酸エステル(又はグリセリン)を投入し、50℃以上80℃以下の湯浴中で混合する。液温を50℃以上70℃以下に保持しながらホモミキサーで撹拌、乳化を行い、平均粒子径70nm以下の水溶性組成物を得る。
【0028】
ホモミキサーの回転数および時間は、乳化液の処理量によるが、例えば0.2Lスケールであれば、TKホモミキサーMARKII(プライミクス社製)で4000~12000
rpm、5分以上撹拌すると平均粒子径70nm以下の水溶性組成物が得られる。ホモミキサー処理により得られた乳化液は40℃以下になるまで速やかに冷却することが好ましい。
【0029】
本発明のコエンザイムQ10含有水溶性組成物は、平均粒子径として、70nm以下になるまで分散・乳化処理を行う。平均粒子径を前記範囲とすることで、本発明のコエンザイムQ10含有水溶性組成物をコラーゲンを含有する水性溶液に均一に分散させることができる。
【実施例
【0030】
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0031】
(実施例1~6及び比較例1~5)
実施例1~6及び比較例1~5では、各成分の配合割合の違いによる本発明のコエンザイムQ10含有水溶性組成物のコラーゲン耐性の変化を評価した。
(試料調製)
下記表1の配合割合に従って、ポリグリセリン脂肪酸エステル(デカグリセリンモノステアレート:DECAGLYN1-SVEX(日光ケミカルズ製))とコエンザイムQ10をビーカーに入れ、60℃の湯浴中で混合した。
次に、グリセリンと水を入れて、60℃の湯浴中で軽く撹拌し、60℃に保持しながらTKホモミキサーMARKII(タービン径28mm、プライミクス社製)を用いて8000rpmで、15分間攪拌を行って、乳化させた後、乳化液を室温まで氷冷し、粒子径を測定した。
【0032】
(コラーゲンを含有する水性溶液中での安定性評価)
コラーゲンを最終濃度が10g/50mLとなるように水に溶解し、クエン酸でpH4.0に調整し、上で調製した試料(乳化液)をコエンザイムQ10の濃度が30mg/50mLとなるように添加して混合した後、ろ紙(No.6、アドバンテック製)でろ過した。ろ液を95℃の温浴で20分間加熱殺菌した後、冷却し、温度40℃、相対湿度75%の恒温槽に保管して、経時的に外観を観察した。
【0033】
(評価方法)
保管後1日、14日、30日、60日後の外観を下記の評価基準に従って、目視による評価を行った。
◎:調製直後からの変化なし
○:若干のもや・にごりの発生がある
△:浮遊物の発生がある
×:沈殿・分離・析出がある
【0034】
(平均粒子径測定方法)
上で調製した室温の試料(乳化液)を、水で100倍に希釈して、動的光散乱粒度分布計(ゼータサイザーPro:マルバーン製)により粒子径の測定を行い、Z-averageの値を平均粒子径(nm)とした。
【0035】
(結果)
【表1】
【0036】
(実施例7~9及び比較例6~9)
実施例7~9及び比較例6~9では、粒子径の違いによる本発明のコエンザイムQ10含有水溶性組成物のコラーゲン耐性の変化を評価した。
【0037】
(試料調製)
下記表2の配合割合に従って、ポリグリセリン脂肪酸エステル(デカグリセリンモノステアレート:DECAGLYN1-SVEX(日光ケミカルズ製))とコエンザイムQ10をビーカーに入れ、60℃の湯浴中で混合した。
次に、グリセリンと水を入れて、60℃の湯浴中で軽く撹拌し、TKホモミキサーMARKII(プライミクス社製)を用いて8000rpmで、攪拌を行って乳化させ、攪拌の途中で、適宜試料をサンプリングした。
サンプリングした乳化液を室温まで氷冷し、粒子径を測定した。
【0038】
実施例1~6と同様にして、コラーゲンを含有する水性溶液中での安定性の評価を行った。
【0039】
(結果)
【表2】
【0040】
(実施例10~11)
実施例10~11では、ポリグリセリン脂肪酸エステルの種類によるコラーゲン耐性の変化を評価した。
【0041】
(試料調製)
下記表3の配合割合に従って、グリセリン、コエンザイムQ10をビーカーに入れ、60℃の湯浴中に溶解させた。次に、ポリグリセリン脂肪酸エステル(デカグリセリンモノパルミテート:DECAGLYN1-PVEX(日光ケミカルズ製)、またはデカグリセリンモノステアレート:DECAGLYN1-SVEX(日光ケミカルズ製))と水を入れて、60℃の湯浴中で軽く撹拌し、TKホモミキサーMARKII(プライミクス社製)を用いて8000rpmで60分、60℃で攪拌を行って乳化させた。
サンプリングした乳化液を室温まで氷冷し、粒子径を測定した。
【0042】
実施例1~6と同様にして、コラーゲンを含有する水性溶液中での安定性の評価を行った。
【0043】
(結果)
【表3】