(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-25
(45)【発行日】2024-10-03
(54)【発明の名称】保温制御装置および保温制御方法
(51)【国際特許分類】
H02J 7/02 20160101AFI20240926BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240926BHJP
H01M 10/615 20140101ALI20240926BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20240926BHJP
H01M 10/6571 20140101ALI20240926BHJP
H01M 10/633 20140101ALI20240926BHJP
【FI】
H02J7/02 H
H02J7/00 P
H01M10/615
H01M10/625
H01M10/6571
H01M10/633
(21)【出願番号】P 2020176614
(22)【出願日】2020-10-21
【審査請求日】2023-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 健
(72)【発明者】
【氏名】山下 凌
【審査官】大濱 伸也
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-023270(JP,A)
【文献】特開2007-014148(JP,A)
【文献】特開2011-199949(JP,A)
【文献】特開2019-024285(JP,A)
【文献】特開2020-155218(JP,A)
【文献】特開2011-010406(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0040922(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H02J 7/02
H01M 10/44
H01M 10/615
H01M 10/625
H01M 10/633
H01M 10/6571
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のセルを有し、均等化回路によるセルバランスを実施可能に設けられたバッテリを加熱する加熱装置の状態、および、前記均等化回路の状態を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された各状態に基づき、前記加熱装置への電力供給が停止し、かつ、前記均等化回路のコンデンサに電力が蓄電済みであると判定される場合に、前記コンデンサに蓄電された電力を前記加熱装置へ供給する給電制御部と
を備えることを特徴とする保温制御装置。
【請求項2】
前記バッテリは、車両に搭載され、
前記給電制御部は、
前記車両のイグニッションスイッチがオンからオフへスイッチングされた場合に、ただちに前記コンデンサに蓄電された電力を前記加熱装置へ供給する
ことを特徴とする請求項1に記載の保温制御装置。
【請求項3】
前記給電制御部は、
前記加熱装置へ電力を供給する発電部がオフであり、かつ、前記セルバランスが実施完了の状態である場合に、前記コンデンサに蓄電された電力を前記加熱装置へ供給する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の保温制御装置。
【請求項4】
前記給電制御部は、
前記加熱装置へ電力を供給する電力源が存在しない、かつ、前記セルバランスが実施完了の状態である場合に、前記コンデンサに蓄電された電力を前記加熱装置へ供給する
ことを特徴とする請求項1、2または3に記載の保温制御装置。
【請求項5】
前記バッテリの近傍に蓄熱材が設けられる
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一つに記載の保温制御装置。
【請求項6】
複数のセルを有し、均等化回路によるセルバランスを実施可能に設けられたバッテリを加熱する加熱装置の状態、および、前記均等化回路の状態を取得する取得工程と、
前記取得工程において取得された各状態に基づき、前記加熱装置への電力供給が停止し、かつ、前記均等化回路のコンデンサに電力が蓄電済みであると判定される場合に、前記コンデンサに蓄電された電力を前記加熱装置へ供給する給電制御工程と
を含むことを特徴とする保温制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、保温制御装置および保温制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、HEV(Hybrid Electric Vehicle)やEV(Electric Vehicle)等にたとえば補機用のバッテリとして搭載されるLiB(Lithium-Ion rechargeable Battery)が知られている。
【0003】
かかるLiBには複数のセルが含まれるが、各セルの容量や、内部抵抗、自己放電率などが不均一であることに起因して、各セルの電圧(以下、「セル電圧」という)にバラツキが生じる。そこで通常、かかるバラツキを解消するために、均等化回路による均等化(いわゆるセルバランス)が行われる。
【0004】
なお、セルバランスでは、LiBを適度に温めることにより、セル間の自己充電速度差を拡大させることができるため、自己充電に伴ってセル間の電圧差を縮小させることができ、バラツキを効果的に解消することが可能となる。そこで、LiBを温めるためのヒータやファンといった加熱装置を設け、かかる加熱装置によりLiBを温めつつセルバランスを行う技術が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来技術には、電力を再利用しつつLiBを保温するうえで、更なる改善の余地がある。
【0007】
たとえば、車両がIG(イグニッション)オフされ、起動していない状態では、前述の加熱装置を含め、車両の各種の装置への電力の供給が停止しているため、LiBを温めることはできず、少なくとも保温することもできない。したがって、車両の起動直後からLiBが適度に温まるまでに、時間を要していた。
【0008】
一方で、均等化回路に含まれるコンデンサは、車両がIGオフされた直後に電荷が残っていることがある。ただし、かかる電荷は、時間の経過とともに自然放電されてしまうため、電力が無駄になっていた。
【0009】
実施形態の一態様は、上記に鑑みてなされたものであって、電力を再利用しつつバッテリを保温することができる保温制御装置および保温制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
実施形態の一態様に係る保温制御装置は、取得部と、給電制御部とを備える。前記取得部は、複数のセルを有し、均等化回路によるセルバランスを実施可能に設けられたバッテリを加熱する加熱装置の状態、および、前記均等化回路の状態を取得する。前記給電制御部は、前記取得部によって取得された各状態に基づき、前記加熱装置への電力供給が停止し、かつ、前記均等化回路のコンデンサに電力が蓄電済みであると判定される場合に、前記コンデンサに蓄電された電力を前記加熱装置へ供給する。
【発明の効果】
【0011】
実施形態の一態様によれば、電力を再利用しつつバッテリを保温することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、一般的な均等化回路の構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る保温制御方法の概要説明図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る保温制御システムの構成例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る保温制御装置の構成例を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、コンデンサに蓄電された電力をヒータへ供給する条件の説明図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る制御装置が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する保温制御装置および保温制御方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0014】
また、以下では、バッテリが車両に補機用バッテリとして搭載されるLiBである場合を例に挙げて説明する。また、以下では、
図1を用いて一般的な均等化回路2’の構成例について説明した後に、
図2以降を用いて本実施形態に係る保温制御システム1の構成例について、具体的に説明する。
【0015】
まず、一般的な均等化回路2’の構成例について、
図1を用いて説明する。
図1は、一般的な均等化回路2’の構成例を示す図である。
【0016】
図1に示すように、均等化回路2’は、コンデンサC1~C4,C
inと、ダイオードD1~D4と、インダクタL1~L4,L
inと、スイッチQとを含む。
【0017】
コンデンサC1~C4は均等化用のコンデンサであり、コンデンサCinは入力用のコンデンサである。インダクタLinは入力用のインダクタである。
【0018】
均等化回路2’は、スイッチQをスイッチングすることにより、LiB3のセルB1~B4からコンデンサCinへと入力された電圧が変換され、セルB1~B4のうち最も電圧の低いセルに対して出力される。以下、コンデンサCin、スイッチQおよびインダクタLinから構成される回路を入力回路と呼び、コンデンサC1~C4、ダイオードD1~D4およびインダクタL1~L4から構成される回路を出力回路と呼ぶ。
【0019】
セルB1~B4は直列接続されており、その各々に対し、ダイオードD1とインダクタL1、ダイオードD2とインダクタL2、ダイオードD3とインダクタL3、および、ダイオードD4とインダクタL4からなる第1~第4のダイオード-インダクタ回路がそれぞれ並列に接続されている。
【0020】
各ダイオード-インダクタ回路においては、インダクタがダイオードのアノード側と接続されており、かつ、それぞれのインダクタからダイオードへと向かう極性の電流を遮断しないように、各ダイオード-インダクタ回路は直列接続されている。
【0021】
また、コンデンサC1~C4は、第1~第4のダイオード-インダクタ回路におけるダイオードとインダクタの中間点と入力回路との間に、それぞれ接続されている。なお、セルB1は接地されている。
【0022】
なお、コンデンサC1~C4、ダイオードD1~D4、インダクタL1~L4がそれぞれ同一の素子である必要はなく、各コンデンサの容量、各ダイオードの特性、各インダクタのインダクタンスは互いに異なっていてもよい。同様に、LiB3のセルB1~B4の容量も互いに異なっていてもよい。
【0023】
また、セル、ダイオード-インダクタ回路、および、均等化用のコンデンサの数は、4に限らず2以上の任意の数であってよい。また、
図1では、スイッチはスイッチQ一つのみであるが、動作をカスタマイズする等の目的で任意の制御用スイッチを追加してもよい。
【0024】
ここで、セルB1~B4の各セル電圧をV1~V4とする。また、セルB1~B4の容量はコンデンサC1~C4の容量に比べて十分に大きく、スイッチQのスイッチングの一周期にわたってV1~V4は一定であるとみなす。また、コンデンサCinに印加される電圧(セルB1~B4それぞれに印加された電圧の合計電圧)のスイッチング周期に関する時間平均をVin(=V1+V2+V3+V4)とする。また、インダクタLinを流れる電流の時間平均をILinとする。
【0025】
かかる均等化回路2’において、たとえばセルB1~B4のうちセル電圧が最も低いセルをセルB1とすると、スイッチングの1周期においてセルB1~B4から入力回路へと流れ込んだ電流は、インダクタLinを経由してコンデンサC1~C4を含む出力回路とへと流れ込み、変換されたうえで最低電圧のセルB1へと優先的に出力される。
【0026】
エネルギーの授受に着目すれば、入力回路から出力回路へと伝送される入力電力はVin×ILinであり、出力回路においてはかかる入力電力が変換されたうえで、電圧の最も低いセルB1へと優先的に伝送される。このとき、セルB1へ流れ込む電流は、均等化回路2’における損失をゼロとみなせば、(Vin×ILin)/V*で表される。ただし、V*は当該最低電圧セルの電圧であり、ここでの例においてはV1と等しい。
【0027】
出力回路から最低電圧のセルB1に対して電力が供給されることでセルB1のセル電圧は上昇する一方、その他のセルB2~B4においては均等化回路2’へと電力を供給することによりセル電圧は低下する。したがって、時間の経過とともにセルB1とその他のセルB2~B4の電圧差は徐々に小さくなり、最終的には全てのセルB1~B4の電圧が等しくなる。
【0028】
ところで、このような均等化回路2’を用いたセルバランスにおいて、ヒータやファンといった加熱装置によりLiB3を適度に温めることにより、セル電圧のバラツキを速やかに解消しようとする既存技術が知られている。
【0029】
しかしながら、既存技術を用いた場合、たとえば、車両がIGオフされ、起動していない状態では、前述の加熱装置を含め、車両の各種の装置への電力の供給が停止しているため、LiB3を温めることはできず、少なくとも保温することもできない。したがって、車両の起動直後からLiB3が適度に温まるまでに、時間を要していた。
【0030】
一方で、均等化回路2’に含まれるコンデンサC1~C4は、車両がIGオフされた直後に電荷が残っていることがある。ただし、かかる電荷は、時間の経過とともに自然放電されてしまうため、電力が無駄になっていた。
【0031】
そこで、実施形態に係る保温制御方法では、ヒータへの電力供給が停止し、かつ、均等化回路2’のコンデンサC1~C4に電力が蓄電済みである場合に、かかるコンデンサC1~C4の電力をヒータに供給することとした。
【0032】
図2は、実施形態に係る保温制御方法の概要説明図である。具体的に、
図2に示すように、実施形態に係る保温制御システム1は、均等化回路2と、LiB3と、ヒータ4とを含む。ヒータ4は、加熱装置の一例である。
【0033】
かかる保温制御システム1を用い、実施形態に係る保温制御方法では、所定の条件を満たす場合に、コンデンサC1~C4へ蓄電された電力をヒータ4へ供給する。
【0034】
所定の条件は、
図2に示すように、ヒータ4への電力供給が停止し、かつ、均等化回路2のコンデンサC1~C4が蓄電済みである場合である。
【0035】
これにより、たとえば車両がIGオフされて、ヒータ4が通常の電力供給による駆動でLiB3を温めることができなくなった場合でも、コンデンサC1~C4へ蓄電された電力を受けて駆動し、少なくともこれまでより長くLiB3を保温することが可能となる。
【0036】
また、コンデンサC1~C4に蓄電された電力は、自然放電により無駄に消費されることがない。したがって、実施形態に係る保温制御方法によれば、電力を再利用しつつLiB3を保温することが可能となる。
【0037】
なお、
図2に示した所定の条件は、より詳細な条件#1~条件#3として表すことができる。かかる点については、
図5を用いた説明で後述する。
【0038】
このように、実施形態に係る保温制御方法では、ヒータ4への電力供給が停止し、かつ、均等化回路2のコンデンサC1~C4に電力が蓄電済みである場合に、かかるコンデンサC1~C4の電力をヒータに供給することとした。
【0039】
したがって、実施形態に係る保温制御方法によれば、電力を再利用しつつLiB3を保温することが可能となる。
【0040】
なお、
図2に示すように、保温制御システム1は、たとえばLiB3の近傍に、さらに蓄熱材5を含むこととしてもよい。これにより、LiB3の保温効果をさらに高めることが可能となる。
【0041】
以下、実施形態に係る保温制御システム1の構成例について、より具体的に説明する。
図3は、実施形態に係る保温制御システムの構成例を示すブロック図である。また、
図4は、実施形態に係る保温制御装置の構成例を示すブロック図である。
【0042】
なお、
図3および
図4では、本実施形態の特徴を説明するために必要な構成要素のみを表しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
【0043】
換言すれば、
図3および
図4に図示される各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。例えば、各ブロックの分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。
【0044】
また、
図3および
図4を用いた説明では、既に説明済みの構成要素については、説明を簡略するか、省略する場合がある。
【0045】
図3に示すように、保温制御システム1は、均等化回路2と、LiB3と、ヒータ4と、発電部6と、IGスイッチ7と、保温制御装置10と、スイッチQ1,Q2とを含む。スイッチQ1は、ヒータ4と発電部6との接続をスイッチングする。スイッチQ2は、均等化回路2とヒータ4との接続をスイッチングする。
【0046】
均等化回路2は、コンデンサC1~C4のそれぞれが、均等化回路2とスイッチQ2の接続経路に接続されている点が、上述した均等化回路2’とは異なる。LiB3およびヒータ4については説明済みのため、ここでの説明は省略する。
【0047】
発電部6は、発電機能を有する構成要素であって、たとえば車両に搭載されるモータジェネレータやオルタネータ、バッテリ等である。かかる発電部6が発電中は、スイッチQ1がオンされ、ヒータ4へ電力が供給される。なお、このとき、スイッチQ2は、保温制御装置10によりオフされる。IGスイッチ7は、イグニッションスイッチである。
【0048】
保温制御装置10は、スイッチQ1およびIGスイッチ7の状態を取得するとともに、均等化回路2の状態を取得し、取得した各状態に基づいてスイッチQ2のオン/オフを制御する。
【0049】
図4に示すように、保温制御装置10は、制御部11を備える。制御部11は、コントローラ(controller)であり、たとえば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、保温制御装置10内部の記憶デバイスに記憶されている各種プログラムがRAM(Random Access Memory)を作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部11は、たとえば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現することができる。
【0050】
制御部11は、取得部11aと、判定部11bと、給電制御部11cとを有して、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。
【0051】
取得部11aは、発電部6、IGスイッチ7およびスイッチQ1の状態を取得するとともに、均等化回路2の状態を取得する。また、取得部11aは、取得した各状態を判定部11bへ出力する。
【0052】
判定部11bは、取得部11aによって取得された各状態に基づいて、コンデンサC1~C4へ蓄電された電力をヒータ4へ供給するための所定の条件を満たすか否かを判定する。かかる所定の条件は、既に
図2を用いて説明したように、ヒータ4への電力供給が停止し、かつ、均等化回路2のコンデンサC1~C4が蓄電済みである場合である。
【0053】
かかる条件についてより詳細に説明する。
図5は、コンデンサC1~C4に蓄電された電力をヒータ4へ供給する条件の説明図である。
【0054】
前述の所定の条件、すなわちヒータ4への電力供給が停止し、かつ、均等化回路2のコンデンサC1~C4が蓄電済みである場合とは、たとえば
図5に「条件#1」として示すように、IGオフ時である。
【0055】
判定部11bは、IGスイッチ7の状態がIGオンからIGオフへ変化した場合、かかる「条件#1」を満たすと判定し、ただちに給電制御部11cにスイッチQ2をオンさせ、コンデンサC1~C4へ蓄電された電力をヒータ4へ供給させる。
【0056】
また、前述の所定の条件は、たとえば
図5に「条件#2」として示すように、発電部6がオフ(すなわち発電部6が停止)、かつ、セルバランス実施完了の状態の時である。
【0057】
判定部11bは、発電部6の状態および均等化回路2の状態が「条件#2」を満たす場合に、給電制御部11cにスイッチQ2をオンさせ、コンデンサC1~C4へ蓄電された電力をヒータ4へ供給させる。
【0058】
また、前述の所定の条件は、たとえば
図5に「条件#3」として示すように、ヒータ4の電力源が存在しない(すなわちスイッチQ1がオフ)、かつ、セルバランス実施完了の状態の時である。
【0059】
判定部11bは、スイッチQ1の状態および均等化回路2の状態が「条件#3」を満たす場合に、給電制御部11cにスイッチQ2をオンさせ、コンデンサC1~C4へ蓄電された電力をヒータ4へ供給させる。
【0060】
図4の説明に戻る。給電制御部11cは、判定部11bの判定結果に基づいてスイッチQ2のオン/オフを制御する。給電制御部11cは、判定部11bが前述の条件#1~#3のいずれかを満たすと判定した場合、スイッチQ2をオンすることによって、コンデンサC1~C4へ蓄電された電力をヒータ4へ供給させる。
【0061】
また、給電制御部11cは、判定部11bが前述の条件#1~#3のいずれも満たさないと判定した場合、スイッチQ2をオフする。
【0062】
次に、保温制御装置10が実行する処理手順について、
図6を用いて説明する。
図6は、実施形態に係る保温制御装置10の処理手順を示すフローチャートである。
【0063】
図6に示すように、保温制御装置10は、取得部11aが、発電部6、IGスイッチ7および均等化回路2の状態を取得する(ステップS101)。
【0064】
そして、判定部11bが、前述の条件#1~#3(
図5参照)の何れかを満たすか否かを判定する(ステップS102)。
【0065】
ここで、条件#1~#3の何れかを満たす場合(ステップS102,Yes)、給電制御部11cがスイッチQ2をオンし(ステップS103)、コンデンサC1~C4に蓄電された電力をヒータ4へ供給させる。
【0066】
一方、条件#1~#3の何れも満たさない場合(ステップS102,No)、給電制御部11cがスイッチQ2をオフする(ステップS104)。なお、かかるステップS104は、スイッチQ2が元々オフであれば、オフの状態を維持する場合を含む。
【0067】
そして、判定部11bが、IGスイッチ7がオフであるか否かを判定する(ステップS105)。ここで、オフでない場合(ステップS105,No)、ステップS101からの処理を繰り返す。オフである場合(ステップS105,Yes)、処理を終了する。
【0068】
上述してきたように、実施形態に係る保温制御装置10は、取得部11aと、給電制御部11cとを備える。取得部11aは、複数のセルB1~B4を有し、均等化回路2によるセルバランスを実施可能に設けられたLiB3(「バッテリ」の一例に相当)を加熱するヒータ4(「加熱装置」の一例に相当)の状態、および、均等化回路2の状態を取得する。給電制御部11cは、取得部11aによって取得された各状態に基づき、ヒータ4への電力供給が停止し、かつ、均等化回路2のコンデンサC1~C4に電力が蓄電済みであると判定される場合に、コンデンサC1~C4に蓄電された電力をヒータ4へ供給する。
【0069】
したがって、実施形態に係る保温制御装置10によれば、電力を再利用しつつLiB3を保温することができる。
【0070】
また、LiB3は、車両に搭載され、給電制御部11cは、車両のIGスイッチ7がオンからオフへスイッチングされた場合に、ただちにコンデンサC1~C4に蓄電された電力をヒータ4へ供給する。
【0071】
したがって、実施形態に係る保温制御装置10によれば、IGオフ時に、コンデンサC1~C4に蓄電された電力をただちに再利用しつつLiB3を保温することができる。
【0072】
また、給電制御部11cは、ヒータ4へ電力を供給する発電部6がオフであり、かつ、セルバランスが実施完了の状態である場合に、コンデンサC1~C4に蓄電された電力をヒータ4へ供給する。
【0073】
したがって、実施形態に係る保温制御装置10によれば、IGオフ時だけでなく、発電部6の停止時にもコンデンサC1~C4に蓄電された電力でLiB3を温めることができる。なお、発電部6の停止から稼働まで間隔が長いとヒータ4で温める効果が薄いが、間隔が短い場面も考えられるため、ヒータ4へ電力を供給すること自体に効果はある。
【0074】
また、給電制御部11cは、ヒータ4へ電力を供給する電力源が存在しない、かつ、セルバランスが実施完了の状態である場合に、コンデンサC1~C4に蓄電された電力をヒータ4へ供給する。
【0075】
したがって、実施形態に係る保温制御装置10によれば、IGオフ時や発電部6の停止時だけでなく、ヒータ4の電力源が存在しない場合にもコンデンサC1~C4に蓄電された電力でLiB3を温めることができる。
【0076】
また、LiB3の近傍に蓄熱材5が設けられる。したがって、LiB3の保温効果をさらに高めることが可能となる。
【0077】
また、そもそもLiB3が均等化回路2によるセルバランスを実施可能に設けられることにより、均等化回路2の内部で充放電が行われることでセルB1~B4そのものが発熱するので、ヒータ4とあわせて温めることにより、早急な昇温を可能にすることができる。
【0078】
なお、上述した実施形態では、バッテリとしてLiB3を例に挙げたが、均等化回路2によるセルバランスの対象となる複数のセルを含むものであればこれに限られるものではなく、たとえばバッテリとして構成される電気二重層コンデンサ等であってもよい。
【0079】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0080】
1 保温制御システム
2 均等化回路
3 LiB
4 ヒータ
5 蓄熱材
6 発電部
7 IGスイッチ
10 保温制御装置
11 制御部
11a 取得部
11b 判定部
11c 給電制御部
B1~B4 セル
C1~C4 コンデンサ
D1~D4 ダイオード
L1~L4 インダクタ
Q1,Q2 スイッチ