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特許7561002ソフトカプセル用収容容器、及び、ソフトカプセル入り収容容器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-25
(45)【発行日】2024-10-03
(54)【発明の名称】ソフトカプセル用収容容器、及び、ソフトカプセル入り収容容器
(51)【国際特許分類】
   A61J 1/03 20230101AFI20240926BHJP
   B65D 33/00 20060101ALI20240926BHJP
   B65D 33/25 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
A61J1/03 370
B65D33/00 C
B65D33/25 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020183120
(22)【出願日】2020-10-30
(65)【公開番号】P2022073250
(43)【公開日】2022-05-17
【審査請求日】2023-07-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000143880
【氏名又は名称】株式会社細川洋行
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100166981
【弁理士】
【氏名又は名称】砂田 岳彦
(72)【発明者】
【氏名】原 勉
(72)【発明者】
【氏名】森 崇真
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 翔太
【審査官】佐藤 智弥
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3191805(JP,U)
【文献】特開2004-351007(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0315567(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 1/03
B65D 33/00
B65D 33/25
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
経口により摂取されるソフトカプセルを収容する、少なくとも基材層と熱融着層とを備える積層体からなる収容容器であり、
前記ソフトカプセルを収容する収容空間と、
前記収容空間に面し、当該収容空間内の前記ソフトカプセルに接触する内面と、
前記ソフトカプセルのうちの前記内面に接触する接触領域の一部を当該内面から離間させる離間手段と、
を備え、
前記熱融着層は、前記内面を形成するとともに、当該熱融着層の全域に前記収容空間側に向かって突出した凸部と、前記収容空間側とは反対側に向かって窪んだ凹部とを有し、
前記離間手段は、前記凸部を用いて、前記接触領域の一部を前記内面から離間させ、
複数の前記凸部の各々の頂部間の距離は、0.5~2.0mmであり、
前記ソフトカプセルの長径は4~20mmであり、
前記ソフトカプセルの短径は4~10mmであり、
複数の前記凸部の各々の頂部間の距離は、前記ソフトカプセルの長径および短径よりも大きくないことを特徴とするソフトカプセル用収容容器。
【請求項2】
前記接触領域のうちの前記内面に接触する接触部分の面積の方が、当該接触領域のうちの当該内面から離間する離間部分の面積よりも小さい請求項1に記載のソフトカプセル用収容容器。
【請求項3】
前記収容容器の上縁部が設けられている側に、当該収容容器の開口を開閉するチャック部が設けられている請求項1または2に記載のソフトカプセル用収容容器。
【請求項4】
前記内面を正面から見た場合において、前記凸部は、矩形状に形成されている請求項1乃至の何れかの項に記載のソフトカプセル用収容容器。
【請求項5】
前記凸部は、凸部の一方の対角線が他方の対角線よりも長い請求項1乃至の何れかの項に記載のソフトカプセル用収容容器。
【請求項6】
前記内面には、複数の前記凸部が一方向に並んだ列である凸部列が当該一方向と交差する方向である交差方向に複数並んでいる請求項1乃至の何れかの項に記載のソフトカプセル用収容容器。
【請求項7】
前記交差方向に前記凸部が並び、当該交差方向に沿う凸部列が前記一方向に複数並び、
前記一方向に沿った前記凸部列間に、当該一方向に沿った溝が設けられ、前記交差方向に沿った前記凸部列間に、当該交差方向に沿った溝が設けられている請求項に記載のソフトカプセル用収容容器。
【請求項8】
前記基材層は、前記内面を挟み、前記収容空間の反対側に設けられ、
前記凸部と前記基材層との間に、空隙が設けられている請求項1に記載のソフトカプセル用収容容器。
【請求項9】
請求項1~の何れかに記載の前記ソフトカプセル用収容容器にソフトカプセルが収容されたソフトカプセル入り収容容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソフトカプセル用収容容器、ソフトカプセル入り収容容器、及び、ソフトカプセル用積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カプセル剤の皮膜基剤として、主に溶解性、速効性に優れるゼラチンを使用する構成が知られている。
特許文献1には、直鎖β-1,3-グルカンを若しくは直鎖β-1,3-グルカン及びゼラチンを含有する皮膜基剤からなるカプセル剤が開示されている。
カプセル剤は、吸湿性に富むため包装作業中に相互付着を起こしたり、保存中に容器に付着したりしやすい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平08―169817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
経口により摂取されるソフトカプセルは、袋体等の収容容器に収容されて販売されることがある。
ソフトカプセルを構成する材料にもよるが、ソフトカプセルは、吸湿すると収容容器の内面に付着しやすくなり、収容容器からの取り出しを行いにくくなる。
本発明の目的は、経口により摂取されるソフトカプセルの、収容容器の内面への付着を低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明が適用されるソフトカプセル用収容容器は、経口により摂取されるソフトカプセルを収容する、少なくとも基材層と熱融着層とを備える積層体からなる収容容器であり、前記ソフトカプセルを収容する収容空間と、前記収容空間に面し、当該収容空間内の前記ソフトカプセルに接触する内面と、前記ソフトカプセルのうちの前記内面に接触する接触領域の一部を当該内面から離間させる離間手段と、を備え、前記熱融着層は、前記内面を形成するとともに、当該熱融着層の全域に前記収容空間側に向かって突出した凸部と、前記収容空間側とは反対側に向かって窪んだ凹部とを有し、前記離間手段は、前記凸部を用いて、前記接触領域の一部を前記内面から離間させ、複数の前記凸部の各々の頂部間の距離は、0.5~2.0mmであり、前記ソフトカプセルの長径は4~20mmであり、前記ソフトカプセルの短径は4~10mmであり、複数の前記凸部の各々の頂部間の距離は、前記ソフトカプセルの長径および短径よりも大きくないことを特徴とするソフトカプセル用収容容器である。
【0006】
ここで、前記接触領域のうちの前記内面に接触する接触部分の面積の方が、当該接触領域のうちの当該内面から離間する離間部分の面積よりも小さいことを特徴とすることができる
た、前記収容容器の上縁部が設けられている側に、当該収容容器の開口を開閉するチャッ
ク部が設けられていることを特徴とすることができる。
また、前記内面を正面から見た場合において、前記凸部は、矩形状に形成されていることを特徴とすることができる。
また、前記凸部は、凸部の一方の対角線が他方の対角線よりも長いことを特徴とすることができる。
また、前記内面には、複数の前記凸部が一方向に並んだ列である凸部列が当該一方向と交差する方向である交差方向に複数並んでいることを特徴とすることができる。
また、前記交差方向に前記凸部が並び、当該交差方向に沿う凸部列が前記一方向に複数並び、前記一方向に沿った前記凸部列間に、当該一方向に沿った溝が設けられ、前記交差方向に沿った前記凸部列間に、当該交差方向に沿った溝が設けられていることを特徴とすることができる。
また、前記基材層は、前記内面を挟み、前記収容空間の反対側に設けられ、前記凸部と前記基材層との間に、空隙が設けられていることを特徴とすることができる。
また、上記に記載の前記ソフトカプセル用収容容器にソフトカプセルが収容されたソフトカプセル入り収容容器と捉えることもできる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、経口により摂取されるソフトカプセルの、収容容器の内面への付着を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係る収容容器を示した正面図である。
図2】ソフトカプセルを示した図である。
図3図1のIII-III線における収容容器の断面図である。
図4】チャック部の拡大図である。
図5図3の符号Vで示す部分の拡大図である。
図6】熱融着層の一方の面を正面から見た場合の図である。
図7図3の矢印VIIで示す方向から、収容容器を見た場合の図である。
図8】凸部の他の構成例を示した図である。
図9】実験の手順を説明する図である。
図10】実験結果を示した表である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る収容容器1を示した正面図である。
図1に示す収容容器1は、経口により人体に摂取されるソフトカプセル2を収容する収容容器1である。なお、図1では、図を見やすくするため、ソフトカプセル2の実際の収容数よりも少ない数のソフトカプセル2を表示している。
【0011】
「収容容器1」は、ソフトカプセル2を収容する空間を有する容器を指し、その形状は特に問わない。「収容容器1」には、後述するプラスチックフィルム等により構成され柔軟性を有する袋状の容器の他に、剛性を有するガラスまたはプラスチックにより構成された容器等も含まれる。
【0012】
本実施形態では、収容容器1に収容されたソフトカプセル2は、医薬品、特定保健用食品、健康食品等が内部に収容され、使用者が経口で摂取する。
ソフトカプセルは、液状の内容物を、ゼラチン、澱粉及びカラギナン等で形成した被膜(カプセル剤皮)で包み込むことにより構成される。
【0013】
図1に示すように、ソフトカプセル2の外形は、楕円形となっている。
より具体的には、本実施形態のソフトカプセル2は、ソフトカプセル2の長手方向に沿う中心軸2Cを有し、この中心軸2Cに直交する方向から、このソフトカプセル2を見た場合に、このソフトカプセル2は、楕円形となっている。
【0014】
ソフトカプセル2は、中心軸2Cが延びる方向における寸法L1が、例えば、10mm~20mmとなっている。また、この中心軸2Cが延びる方向と直交する方向である、ソフトカプセル2の短手方向における寸法L2は、例えば、5mm~10mmとなっている。
なお、ソフトカプセル2の形状は、使用者が飲み込みやすい形状であれば任意の形状を用いることができる。具体的には、ソフトカプセル2の形状は、楕円体に限らず、球体等、他の形状であってもよい。
【0015】
また、ソフトカプセル2の寸法(直径)の好ましい範囲は、以下の通りである。
長径a(図2参照):4~20mm、短径b:4~10mm、短径c:4~10mm
この寸法を採用すると、ソフトカプセル2の表面が凹部71E(図5参照)に接触することがないので、ソフトカプセル2と一方の面71Aとの密着を効果的に防止できる。
また、ソフトカプセルの焦点(原点Oからの距離)(図2参照)については、好ましい範囲は、2.0~12.0mmとなる。また、より好ましい範囲は、2.5~10.0mmとなる。
【0016】
ソフトカプセル2の形状は、球体であっても楕円体であってもよいので、楕円率は、「1も含む範囲」とする。
図2をもとに考えた場合において、且つ、a≧bを想定した場合において、辺abを成す面の楕円率(b/a)の好ましい範囲は、0.2~1である。また、より好ましい範囲は、0.3~1である。
なお、辺acを成す面、辺bcを成す面においても同様であり、楕円率の好ましい範囲は、0.2~1であり、また、より好ましい範囲は、0.3~1である。
【0017】
本実施形態の収容容器1は、図1に示すように、矩形状の袋体であって、底部(充填開口部)11、上縁部12、第1側部13、第2側部14を有する。
本実施形態の収容容器1は、後述する第1の積層体の周縁部と第2の積層体の周縁部とを貼り合わせることにより構成されている。この第1の積層体と第2の積層体との間に、ソフトカプセル2を収容する収容空間16が形成される。
「収容空間16」とは、ソフトカプセル2を内部に収容する空間を指し、ソフトカプセル2の体積よりも大きい容積を有すればよく、その形状は問わない。
【0018】
また、本実施形態の袋体は、いわゆる四方袋(平パウチ)となっており、底部11、上縁部12、第1側部13、第2側部14の4箇所にて、第1の積層体と第2の積層体とが接着(熱溶着)されている。
本実施形態では、底部11に沿って延びる底部シール部21、第1側部13に沿って延びる第1シール部23、第2側部14に沿って延びる第2シール部24、上縁部12に沿って延びる天部シール部22が設けられている。
【0019】
本実施形態では、上縁部12、第1側部13、第2側部14の3箇所が接着されている状態(天部シール部22、第1シール部23、第2シール部24が形成されている状態)にて、充填開口部11からソフトカプセル2が充填される。
その後、充填開口部11にて、第1の積層体と第2の積層体との接着(溶着)が行われる。これにより、底部シール部21が形成され、ソフトカプセル2が収容された四方袋が完成する。
なお、袋体の形態は、四方袋に限らず、三方袋、底ガゼット袋(スタンディングパウチ)等としてもよい。
【0020】
図1に示すように、収容容器1には、第1側部13、第2側部14の上部には、切り込み部31が設けられている。
切り込み部31は、天部シール部22とチャック部33との間に設けられている。
【0021】
収容容器1の開封が行われる際には、例えば、符号1Aで示す、一方の切り込み部31を始点に、図中矢印1Bで示す方向へ、収容容器1の切断が行われる。これにより、開口が形成され、内容物の取出しが可能になる。
切り込み部31の形状は、特に問わず、例えば、亀甲型、I型、U型またはV型等が挙げられる。
【0022】
また、収容容器1のうちの、天部シール部22が設けられている部分には、吊下げ用のフックを通すための貫通孔を設けてもよい。貫通孔の形状は、特に問わないが、例えば、丸形や多角形が挙げられる。
また、貫通孔の形成位置は、収容容器1の幅方向における中央部が好ましいが、これに限られず、貫通孔は、第1側部13側や第2側部14側に寄せて配置してもよい。
【0023】
図3は、図1のIII-III線における収容容器1の断面図である。なお、この図3では、ソフトカプセル2の図示を省略している。
収容容器1の内部には、ソフトカプセル2を収容する収容空間16が設けられている。
本実施形態では、この収容空間16を挟んだ両側に、第1の積層体50と、第2の積層体60とが設けられている。
本実施形態では、第1の積層体50と、第2の積層体60とは、符号2Aで示す線を中心に対称の構造となっている。以下では、第1の積層体50を中心に説明する。
【0024】
さらに、本実施形態では、収容容器1のうちの上縁部12が設けられている側に、チャック部33が設けられている。
チャック部33は、互いに離間した状態にある第1の積層体50と第2の積層体60とを固定する。本実施形態では、このチャック部33があることにより、収容容器1の開閉が可能になる。
【0025】
図4は、チャック部33の拡大図である。
チャック部33は、雄部材331と雌部材332とから構成される。
なお、本実施形態では、雄部材331が第1の積層体50に接着され、雌部材332が第2の積層体60に接着されているが、これに限らず、雄部材331を第2の積層体60に接着し、雌部材332を第1の積層体50に接着してもよい。
【0026】
雄部材331は、帯状に形成され第1の積層体50に接着される基部331Aと、この基部331Aにより支持される雄型篏合部331Bとを有する。
雌部材332は、帯状に形成され第2の積層体60に接着される基部332Aと、篏合部331Bが入り込む雌型篏合部332Bとを有する。
【0027】
本実施形態では、雌型篏合部332Bに雄型嵌合部331Bが嵌合することで、第1の積層体50と第2の積層体60とが互いに固定される。これにより、開口が閉じられる。
また、雌型篏合部332Bから雄型嵌合部331Bが外れることで、第1の積層体50と第2の積層体60との固定が解除され、開口が形成される。
【0028】
雄部材331、雌部材332の各々に設けられた基部331A,332Aの幅Wは、3mm~20mmとすることが好ましい。また、基部331A,332Aの厚みDは、100μm~400μmとすることが好ましい。
また、雄部材331、雌部材332の各々は、第1の積層体50、第2の積層体60の各々に設けられた熱融着層(後述)を構成する材料と同種の材料で構成することが好ましい。
雄部材331、雌部材332の各々を、熱融着層と同種の樹脂材料で構成すると、熱融着層と、雄部材331、雌部材332との接着(熱溶着)を行いやすくなる。
【0029】
図5は、図3の符号Vで示す部分の拡大図である。
なお、図5の符号4Aでは、第1の積層体50の一部を拡大して示しているが、この符号4Aで示す図は、模式図であり、実際の寸法比とは異なる。
第1の積層体50には、収容空間16に面する熱融着層71、収容容器1の外部に面する基材層72が設けられている。さらに、熱融着層71と基材層72との間には、中間層73が設けられている。
【0030】
本実施形態では、第1の積層体50と、第2の積層体60との熱融着層71同士を向かい合わせたうえで、上記の、底部シール部21、第1シール部23、第2シール部24、天部シール部22となる部分に熱と圧力とを加えて熱溶着する。
この場合、第1の積層体50の熱融着層71と第2の積層体60の熱融着層71(不図示)とが、熱溶着により互いに接着する。
これにより、底部シール部21、第1シール部23、第2シール部24、天部シール部22となる部分にて、第1の積層体50の熱融着層71と、第2の積層体60の熱融着層71とが互いに熱溶着によって固定される。
【0031】
本実施形態の収容容器1を構成する積層体(第1の積層体50、第2の積層体60)は、基材層72と中間層73と熱融着層71とから構成されている。
基材層72は、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアミドまたはポリプロピレン等のプラスチックからなる延伸フィルムにより構成される。また、基材層72は、その厚みを、例えば、5μm~50μmとすることが好ましい。
なお、基材層72として、プラスチックからなる延伸フィルムの一方の面に、アルミ等からなる金属やシリカまたはアルミナ等からなる金属酸化物を蒸着した蒸着層を設けた蒸着フィルムを用いてもよい。基材層に蒸着フィルムを用いることによって、気体透過性が低下するので、ソフトカプセル2の吸湿を効果的に防止できる。
また、本実施形態では、基材層72に、MD(Machine Direction)方向に直線引き裂き性の高い延伸フィルムを用いている。
【0032】
具体的には、本実施形態では、図1に示すように、収容容器1の幅方向と基材層72のMD方向とが一致している。
より具体的には、本実施形態では、図1に示すように、2つの切り込み部31同士を結ぶ直線LAに、基材層72のMD方向が沿っている。
これにより、収容容器1の幅方向にMD方向が沿っていない場合に比べ、一方の切り込み部31を始点として収容容器1を開封する際に、基材層72を引き裂きやすくなる。この場合、収容容器1の開封作業を行いやすくなる。
【0033】
中間層73(図5参照)は、例えば、金属箔またはプラスチックからなる延伸フィルムにより構成される。
本実施形態では、中間層73として、アルミニウム、マグネシウムまたは銅等からなる金属箔が設けられている。中間層73に金属箔を設けると、酸素や水蒸気等の気体が第1の積層体50を透過することを防止できる。
また、本実施形態の中間層73として、ポリエステル、ポリアミドまたはポリプロピレン等のプラスチックからなる延伸フィルムを設けてもよい。この場合、突刺し強度や落下強度等が向上する。
なお、中間層73として、プラスチックからなる延伸フィルムの一方の面にアルミ等からなる金属やシリカまたはアルミナ等からなる金属酸化物を蒸着することによって蒸着層を設けた蒸着フィルムを用いてもよい。
中間層に金属箔及び/または蒸着フィルムを設けることによって、気体透過性が低下するので、ソフトカプセル2の吸湿を効果的に防止できる。
【0034】
中間層73の厚みは、5μm~50μmの範囲にすることが好ましい。
また、中間層73は、1層に限らず、必要に応じて2層以上設けてもよい。
中間層73を2層以上とする場合は、例えば、延伸フィルムと金属箔、または、延伸フィルムと金属蒸着フィルムとを設ける。この場合、中間層73は、強靭性とガスバリア性を併せ持つ層となる。
なお、中間層73は、必須ではなく、中間層73は、省略してもよい。
【0035】
さらに、本実施形態では、基材層72の一方の面72A側(内側の面側)に、印刷層(インキ層)74が設けられている。より具体的には、基材層72と中間層73との間に、印刷層74が設けられている。なお、印刷層74は必須ではなく、必要に応じて設けられるものである。
本実施形態では、基材層72の一方の面72Aに対して、印刷処理を行い、この一方の面72A上に、印刷層74を形成している。さらに、本実施形態では、基材層72は、透明であり、本実施形態では、基材層72を介し、収容容器1の外側から、この印刷層74が見える。
【0036】
また、本実施形態では、基材層72と中間層73、中間層73と熱融着層71を接着する層として、それぞれの層の間に接着層が設けられている。
本実施形態では、基材層72の印刷層74と中間層73との間に、基材層72と中間層73とを接着する第1接着層75が設けられる。
より具体的には、中間層73が、延伸フィルムまたは金属箔により構成される場合、基材層72の印刷層74と中間層73との間に第1接着層75が設けられる。
また、本実施形態では、熱融着層71の他方の面71Bと、中間層73との間に、第2接着層76が設けられ、これにより、中間層73と熱融着層71とが接着されている。
【0037】
第1の積層体50及び第2の積層体60の各々は、例えば、ドライラミネート法や、押出しラミネート法等の公知の製造方法により積層される。ドライラミネート法は、複数のフィルム等を、接着剤を介して積層する積層法であり、押出しラミネート法は、複数のフィルム等を、溶融した熱可塑性樹脂を介して積層する積層法である。
なお、第1接着層75及び第2接着層76の一方を、押出ラミネート法により形成し、他方をドライラミネート法により形成してもよい。言い換えると、第1接着層75及び第2接着層76の形成にあたっては、異なる製造方法を組み合わせて積層体を形成してもよい。
【0038】
次に、熱融着層71について説明する。
本実施形態では、熱融着層71の一方の面71Aが、収容空間16に面し、この一方の面71Aの一部が、ソフトカプセル2に接触する。言い換えると、本実施形態では、熱融着層71の一方の面71Aが、収容容器1の内面1Xとなり、この内面1Xの一部が、収容空間16に面し、この収容空間16内のソフトカプセル2に接触する。
【0039】
図5の符号4Gで示すように、熱融着層71には、凹凸が付与されており、熱融着層71には、収容空間16側に向かって突出した複数の凸部71Dが設けられている。
より具体的には、熱融着層71は、少なくとも内容物接触面に凹凸が付与されたエンボスフィルムにより構成され、熱融着層71には、収容空間16側に向かって突出した複数の凸部71Dと、収容空間側とは反対側に向かって窪んだ複数の凹部71Eとが設けられている。
【0040】
これにより、本実施形態では、収容容器1の内面1Xに、収容空間16側に向かって突出した凸部71Dと、収容空間側とは反対側に向かって窪んだ複数の凹部71Eとが設けられた構成となっている。
凸部71Dは、複数設けられ、図中矢印4Bで示す方向に予め定められた一定の間隔で並んでいる。
また、凹部71Eは、互いに隣接する凸部71Dの間に複数設けられ、図中矢印4Bで示す方向に予め定められた一定の間隔で並んでいる。
【0041】
熱融着層71は、例えば、ヒートシール性を有する低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィンで形成される。
また、熱融着層71の形成に用いる樹脂材料の密度は、0.9~0.965g/cmとすることが好ましい。
また、熱融着層71の厚みTは、例えば、25μm~250μmの範囲とすることが好ましい。なお、この厚みTは、熱融着層71の素材自体の厚みを指し、凸部71Dの頂部71Pと、凹部71Eの底部71Sとの間の高低差を指すものではない。
【0042】
また、熱融着層71は、単層のフィルムにより構成してもよいし、多層共押出しフィルムにより構成してもよい。
また、熱融着層71の全域に凹凸を付与することは必須ではなく、凹凸の付与は、熱融着層71の一部に対して行ってもよい。具体的には、例えば、熱融着層71のうちの、収容空間16に面する箇所のみに、凹凸を付与してもよい。
【0043】
熱融着層71の一方の面71Aの濡れ張力は、36dyn/cm以下とすることが好ましい。一方の面71Aの濡れ張力が36dyn/cm以下であれば、ソフトカプセル2と一方の面71Aとの密着を効果的に防止できる。
逆に、一方の面71Aの濡れ張力が36dyn/cm超の場合は、ソフトカプセル2と一方の面71Aとの密着がよいため、収容容器1からの取り出しが困難になる場合がある。
【0044】
図6(A)は、熱融着層71の一方の面71Aを正面から見た場合の図であり、図5の矢印VIで示す方向から熱融着層71を見た場合の図である。
言い換えると、図6(A)は、熱融着層71の一方の面71Aの対向位置から、この一方の面71Aを見た場合の図である。
【0045】
本実施形態では、凸部71Dの各々は、熱融着層71の一方の面71Aを正面から見て矩形状に形成されている。さらに、本実施形態では、凸部71Dの一方の対角線TS1の長さTL1の方が、他方の対角線TS2の長さTL2よりも大きくなっている。言い換えると、凸部71Dの各々の形状は、菱形となっている。
凸部71Dの大きさについて説明すると、凸部71Dの各々は、対角線の平均値が、200μm~1000μmの範囲内に収まるようにすることが好ましく、400μm~800μmの範囲内に収まることがより好ましく、500μm~650μmの範囲に収まることが更に好ましい。
即ち、(対角線TS1の長さTL1+対角線TS2の長さTL2)/2が、200μm~1000μmの範囲内に収まるようにすることが好ましく、400μm~800μmの範囲内に収まることがより好ましく、500μm~650μmの範囲に収まることが更に好ましい。
【0046】
凸部71Dの頂部71P間の距離L31(図5参照)は、300~4000μm(0.3~4.0mm)とすることが好ましく、500~2000μm(0.5~2.0mm)とすることがより好ましい。凸部71Dの頂部71P間の距離L31をこの範囲とすることで、ソフトカプセル2の表面が凹部71Eに接触することがないので、ソフトカプセル2と一方の面71Aとの密着を効果的に防止できる。
また、凸部71Dの高さH31(図5参照)は、20~500μmとすることが好ましく、50~300μmとすることがより好ましい。ここで、高さH31は、一方の面71Aの最上部と最下部の差をいう。凸部71Dの高さH31をこの範囲とすることで、ソフトカプセル2の表面が凹部71Eに接触することがないので、ソフトカプセル2と一方の面71Aとの密着を効果的に防止できる。
【0047】
さらに、図6(A)に示すとおり、本実施形態では、凸部71Dが複数設けられている。より具体的には、一方の面71Aには、複数の凸部71Dが一方向に並んだ列である凸部列71G(以下、「第1凸部列71G」と称する)が設けられている。
さらに、本実施形態では、この第1凸部列71Gが、この一方向と交差する方向である交差方向に複数並んでいる。
第1凸部列71Gの各々では、凸部71Dが有する4つの辺のうちの一の辺71Kが延びる方向に沿って、凸部71Dが並んでいる。
【0048】
また、本実施形態では、上記の交差方向に、凸部71Dが並び、交差方向に沿う凸部列71H(以下、「第2凸部列71H」と称する)が設けられている。
この第2凸部列71Hは、一方向に複数並んでいる。また、第2凸部列71Hの各々では、凸部71Dが有する4つの辺のうちの他の一の辺71Jが延びる方向に沿って、凸部71Dが並んでいる。
【0049】
また、本実施形態では、一方向に沿った第1凸部列71Gと隣り合う第1凸部列71Gとの間に、一方向に沿った第1溝71Mが設けられている。
また、交差方向に沿った第2凸部列71Hと隣り合う第2凸部列71Hとの間に、交差方向に沿った第2溝71Nが設けられている。
ここで、第1溝71M、第2溝71Nの幅W6は、100μm~300μmの範囲内に収まるようにすることが好ましく、150μm~200μmの範囲内に収まることがより好ましい。
【0050】
図7は、図3の矢印VIIで示す方向から、収容容器1を見た場合の図である。なお、この図7では、1つのソフトカプセル2も併せて表示している。
本実施形態では、ソフトカプセル2の各々は、熱融着層71の一方の面71Aに接触する接触領域2Sを有する。この接触領域2Sは、楕円状であり、一方の面71A(内面1X)に対峙し、この一方の面71Aに接触する。
「接触領域2S」とは、ソフトカプセル2のうちの一方の面71Aに触れる部分とこの一方の面71Aに触れない部分との境界を結んでいくことにより得られる環状の線7Xよりも内側に位置する領域を指す。
【0051】
本実施形態では、この接触領域2Sに対し、熱融着層71に設けられた、複数凸部71D及び凹部71Eが対峙する。言い換えると、本実施形態では、接触領域2Sに対し、複数の凸部71Dが接触し、また、接触領域2Sに、凹部71Eが対峙する。
なお、図7では、熱融着層71に設けられた、凸部71D及び凹部71Eのうちの、接触領域2Sに対峙する箇所に位置する、凸部71D及び凹部71Eのみを表示している。
【0052】
本実施形態では、接触領域2Sに対して、凸部71Dが接触する。また、接触領域2Sの一部が、一方の面71Aから離れる。具体的には、本実施形態では、凸部71Dの隣に凹部71Eが設けられており、接触領域2Sのうちの凹部71Eに対峙する箇所が、一方の面71Aから離れる。
本実施形態では、凸部71D及び凹部71Eは、接触領域2Sの一部を、一方の面71Aから離間させる離間手段として機能する。本実施形態では、離間手段が設けられることによって、ソフトカプセル2が底部71Sに触れないようになる。
ここで、「離間手段」は、接触領域2Sの一部を、一方の面71Aから離間させる機能を有する。本実施形態では、凸部71Dを用いて、接触領域2Sの一部を、一方の面71Aから離間させるが、その他に、例えば、凸部71Dを設けずに、凹部71Eのみを設けて、接触領域2Sの一部を、一方の面71Aから離間させてもよい。
【0053】
ソフトカプセル2が吸湿した際には、ソフトカプセル2の表面が粘着性を帯び、一方の面71Aに付着しやすくなるため、収容容器1からソフトカプセル2を取り出しにくくなる。
これに対し、本実施形態では、上記のように、凸部71D及び凹部71Eが設けられた結果、一方の面71Aとソフトカプセル2との接触面積が小さくなるので、ソフトカプセル2に作用する抵抗が減り、ソフトカプセル2が移動しやすくなる。したがって、仮にソフトカプセル2が吸湿していたとしても収容容器1からの取り出しが容易になる。
【0054】
より具体的には、ソフトカプセル2は、高温、高湿度下で、表面が軟化し、表面が粘着質となりやすい。
収容容器1が未開封であり、収容容器1の内部にシリカゲル等の吸湿剤が入れられている場合は、ソフトカプセル2は吸湿しにくい。しかしながら、収容容器1を開封した後は、吸湿剤が入れられていても、ソフトカプセル2が吸湿する場合がある。このような場合、一方の面71Aにソフトカプセル2が付着し、収容容器1からソフトカプセル2を取り出しにくくなる。
これに対し、本実施形態の構成では、一方の面71Aとソフトカプセル2との間に作用する付着力が低減し、ソフトカプセル2の取り出しが容易になる。
【0055】
本実施形態では、熱融着層71の一方の面71Aのうち、図5の符号4Eで示す部分に、ソフトカプセル2の接触領域2Sが接触する。具体的には、本実施形態では、凸部71Dの頂部71Pに対して、接触領域2Sが接触する。
さらに、本実施形態では、この頂部71Pの面積の和(接触領域2Sが接触する複数の頂部71Pの各々の面積の和)が、接触領域2Sのうちの、一方の面71Aから離間する部分の面積よりも小さくなる。
【0056】
言い換えると、本実施形態では、ソフトカプセル2の接触領域2Sのうちの一方の面71Aに接触する接触部分の面積の方が、この接触領域2Sのうちのこの一方の面71Aから離間する離間部分の面積よりも小さくなる。
この場合、接触部分の面積の方が、離間部分の面積よりも大きくなる場合に比べ、ソフトカプセル2に作用する抗力がさらに小さくなり、ソフトカプセル2がさらに移動しやすくなる。
【0057】
さらに、本実施形態では、図6(A)に示すように、凸部71Dの各々は、頂部71Pから放射状に延びる4本の稜線71Qを有する四角錐状に形成されている。また、図6(B)は、凸部71Dを側方から見た場合の状態を示しており、凸部71Dの頂部71Pは、曲率を有し、緩やかな弧を描くように形成されている。
【0058】
図5にて示した断面は、図6(A)のV-V線における断面を示しており、図5に示すように、凸部71Dの各々は、頂部71Pから基材層72に向かって延びる稜線71Qを有し、四角錐状に形成されている。
言い換えると、凸部71Dの各々は、基材層72に向かって延び且つこの基材層72に対して傾斜した側部71Rを有している。言い換えると、凸部71Dの各々が有する側部71Rには、傾斜が付与されている。
【0059】
このように凸部71Dが四角錐状に形成されている場合は、図8に示す凸部71Dの他の構成例のように、凸部71Dの側部71Rに傾斜が付与されてない場合に比べ、ソフトカプセル2と凸部71Dとの接触面積がさらに小さくなり、ソフトカプセル2がさらに移動しやすくなる。
なお、本実施形態では、凸部71Dが、四角錐状となっている場合を一例に説明したが、凸部71Dの形状は、これに限らず、三角錐、五角錐等の他の多角錐または円錐としてもよく、凸部71Dの頂部71Pが略平面をなす四角錐台、三角錐台、五角錐台等の他の多角錐台または円錐台としてもよい。
【0060】
さらに、本実施形態では、図5に示すように、凸部71Dが形成された場所には、一方の面71A(内面1X)を挟み収容空間16とは反対側に、空隙71Vが形成されている。
具体的には、本実施形態では、熱融着層71とは異なる他の層である中間層73が設けられており、凸部71Dが形成された場所に対応する熱融着層71と中間層73との間には、他方の面71Bと中間層73とで区画される空隙71Vが形成されている。
本実施形態では、空隙71Vにより、ソフトカプセル2に作用する衝撃からソフトカプセル2が保護される。
また、空隙71Vが断熱層として機能するので、収容空間16内の温度が一定に保たれる。この空隙71Vによって、例えば収容容器1が高温条件下におかれた場合であっても、ソフトカプセル2が外気の温度変化の影響を受けて軟化することを効果的に防止できるので、一方の面71Aとソフトカプセル2とが密着し、ソフトカプセル2の取り出しが困難になることがない。
これらのような理由により、空隙71Vが形成されていることが好ましい。
【0061】
空隙71Vを形成する観点からは、第1の積層体50、及び、第2の積層体60の各々を、ドライラミネート法により形成することがより好ましい。第1の積層体50、及び、第2の積層体60の各々を、押出ラミネート法で形成しても、空隙71Vは形成されるが、押出ラミネート法による第1の積層体50、第2の積層体60とドライラミネート法による第1の積層体50、第2の積層体60とを比較すれば、空隙71Vが顕著に形成されるドライラミネート法による第1の積層体50、第2の積層体60の方がより好ましい。
【0062】
また、少なくとも、熱融着層と隣り合う接着層については、ドライラミネート法により積層される態様が好ましい。
印刷層及び中間層の有無にかかわらず、少なくとも熱融着層と隣り合う接着層が、ドライラミネート法によって形成されていれば、空隙71Vの効果を得ることができる。
言い換えると、本実施形態においては、第1の積層体50及び第2の積層体60のうち、少なくとも、それぞれの第2接着層76がドライラミネート法により積層される態様が好ましい。
なお、第1接着層75については、ドライラミネート法や押出しラミネート法等、公知の積載方法であれば、何れの方法を用いて積層しても構わないが、第2接着層76をドライラミネート法により積層する場合には、第1接着層75も同様にドライラミネート法により積層することが製造効率の観点で好ましい。
【0063】
なお、第1接着層75及び第2接着層76をドライラミネート法により積層する場合については、第1接着層75の形成に用いる接着剤の塗布量よりも、第2接着層76の形成に用いる接着剤の塗布量を多くすることが望ましい。
【0064】
本実施形態では、熱融着層71に凹凸が付与されており、熱融着層71と中間層73との間における接着面積が小さくなるため、熱融着層71と中間層73との間の接着強度が低下しやすい。
この場合に、本実施形態のように、第2接着層76の厚み(第2接着層76の部分に塗布する接着剤の量)を、第1接着層75の厚み(第1接着層75の部分に塗布する接着剤の量)よりも厚くすると、熱融着層71と中間層73との間における接着強度を確保しやすくなる。
なお、第1接着層75の接着剤の塗布量の好ましい範囲は2.0~3.5g/m、第2接着層76の接着剤の塗布量の好ましい範囲は3.0~6.0g/mである。
【0065】
なお、本実施例では、凸部71Dの正面視の形状が菱形となっている場合を一例に説明したが、菱形は一例であり、熱融着層71には、他の形状の凸部71Dを設けてもよい。
具体的には、例えば、凸部71Dの各々の正面視の形状を正方形としてもよい。また、凸部71Dの各々の正面視の形状を四角形以外の多角形または円形としてもよい。
【0066】
また、線状の凸部71Dを設け、この線状の凸部71Dにより囲まれた領域に凹部71Eを設けるようにしてもよい。
また、線状の凸部71Dを設けるにあたっては、凸部71Dの幅を小さくし、凸部71Dをより高い密度で設けてもよい。
【0067】
〔実施例〕
積層体50X(図5、6等にて示した第1の積層体50、第2の積層体60と同じ積層体)の構成は、以下の通りである。
(1)積層体50Xの構成:基材層72/印刷層74/第1接着層75/中間層73/第2接着層76/熱融着層71
(2)各層の詳細
基材層72:ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み:12μm)
印刷層74:グラビア印刷用印刷インキ
第1接着層75:ドライラミネート用2液硬化型ウレタン系接着剤
中間層73:アルミニウム箔(厚み:7μm)
第2接着層76:ドライラミネート用2液硬化型ウレタン系接着剤
熱融着層71:直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)からなるエンボスフィルム(厚みT:70μm、凸部71D及び凹部71Eの形状:図5にて示した形状)
【0068】
(3)製造方法
基材層72の一方の面72Aにグラビア印刷を行い、印刷層74を形成した。
次に、この印刷層74の上に接着剤を塗布し、ドライラミネート法により、印刷層74を有する基材層72と、中間層73(アルミニウム箔)とを貼り合わせた。
【0069】
次いで、中間層73のうちの、熱融着層71に対向する面に、接着剤を塗布し、ドライラミネート法により熱融着層71を貼り合せ、積層体50Xを得た。
【0070】
〔比較例〕
比較例においては、熱融着層71として、凹凸が付与されていない直鎖低密度ポリエチレン(厚みT:60μm)を用いた。
この凹凸が付与されていない直鎖低密度ポリエチレンを用いた以外は、実施例の構成と同様に積層体を作成した。
【0071】
〔実験結果〕
積層体50X及び比較例の積層体を用意し、これらの積層体の上に、ソフトカプセル2を置いたうえで、このソフトカプセル2の転がり具合を調べる実験を行った。なお、ソフトカプセルとして、市販の株式会社健康家族製「伝統にんにく卵黄」を用いた。
具体的には、100mm(横)×200mm(縦)の積層体を用意し、粘着テープを用いて、この積層体の四隅を、A4版大のステンレス板に固定した。
【0072】
ソフトカプセル2を、常温の水道水に1分間浸漬した後、このソフトカプセル2の表面の水分を拭き取った。
次いで、このソフトカプセル2を、ステンレス板に固定した積層体の上に載せた。そして、図9(実験の手順を説明する図)に示すように、このステンレス板の一端部11A側を持ち上げ、ソフトカプセル2が転がり始めたときのステンレス板の角度θを測定した。
【0073】
図10は、実験結果を示した表である。
実施例、比較例の各々について3回の実験を行った。実施例では、3回の実験の平均値(角度θの平均値)が、16°であったのに対し、比較例では、45°という結果だった。
即ち、実施例では、ソフトカプセル2と熱融着層71との接触面積が相対的に小さいため、ソフトカプセル2と熱融着層71との間に作用する付着力が小さく、ステンレス板の角度θが小さいときに、ソフトカプセル2が転がり始めた。
これに対し、比較例では、ソフトカプセル2と熱融着層71との接触面積が相対的に大きいため、ソフトカプセル2と熱融着層71との間に作用する付着力が大きく、ステンレス板の角度θが大きくならないと、ソフトカプセル2が転がらなかった。
【符号の説明】
【0074】
1…収容容器、1X…内面、2…ソフトカプセル、2S…接触領域、16…収容空間、71…熱融着層、71D…凸部、71E…凹部、71G…第1凸部列、71H…第2凸部列、71M…第1溝、71N…第2溝、71P…頂部、71V…空隙、72…基材層、73…中間層、TS1…一方の対角線、TS2…他方の対角線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10