(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-25
(45)【発行日】2024-10-03
(54)【発明の名称】アンテナ装置およびアンテナ装置の係脱方法
(51)【国際特許分類】
H01Q 1/50 20060101AFI20240926BHJP
H01Q 1/22 20060101ALI20240926BHJP
H01R 13/629 20060101ALI20240926BHJP
H01R 13/639 20060101ALI20240926BHJP
H01R 12/71 20110101ALI20240926BHJP
【FI】
H01Q1/50
H01Q1/22 Z
H01R13/629
H01R13/639 Z
H01R12/71
(21)【出願番号】P 2020186774
(22)【出願日】2020-11-09
【審査請求日】2023-10-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柳田 宗計
【審査官】齊藤 晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-186971(JP,A)
【文献】特開2013-051187(JP,A)
【文献】国際公開第2015/191317(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/50
H01Q 1/22
H01R 13/629
H01R 13/639
H01R 12/71
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナが形成された設置面に固定されるホルダと、
前記アンテナへの接続端子が底面から下方へ向けて突出するように設けられ、前記設置面に平行な後方方向を係脱方向として係脱可能に前記ホルダへ装着される本体部と
を備え、
前記本体部は、
当該本体部の幅方向へ向けて突出するように設けられるガイド部
を備え、
前記ホルダは、
前記係脱方向へ向けて上り傾斜となる傾斜面を有し、前記本体部の係脱時に前記ガイド部と当接して該ガイド部を案内するガイド受け部
を備えることを特徴とするアンテナ装置。
【請求項2】
前記ガイド部は、
前記係脱方向へ向けて上り傾斜となる傾斜角度を有する形状に形成される
ことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記ガイド部は、
前記本体部の前端部および後端部に左右1対ずつ設けられ、
前記ガイド受け部は、
前記ホルダの前端部および後端部に左右1対ずつ設けられる
ことを特徴とする請求項1または2に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記ホルダは、
前記本体部の係脱時に前記ガイド部が前記傾斜面を離脱した後、さらに前記本体部が前記係脱方向へ係脱される途中で前記ガイド部と当接するように設けられる突起部
をさらに備えることを特徴とする請求項1、2または3に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記突起部は、
前記ガイド部が当該突起部に当接した後、さらに前記本体部が前記係脱方向へ係脱される力が作用した場合に、前記ガイド部が当接しつつ当該突起部の先端部に乗り上げ可能な形状を有する
ことを特徴とする請求項4に記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記本体部は、
前記係脱方向とは逆向きの方向に延在するように設けられる係合爪
をさらに備え、
前記突起部は、
さらに前記係合爪と係合可能な形状を有し、前記本体部が前記ホルダへ装着された際に、前記係合爪と係合する
ことを特徴とする請求項4または5に記載のアンテナ装置。
【請求項7】
前記係合爪および前記突起部の係合力は、前記ホルダの前記設置面に対する固定力よりも小さい
ことを特徴とする請求項6に記載のアンテナ装置。
【請求項8】
前記突起部の高さは、前記ガイド部の高さよりも小さい
ことを特徴とする請求項4~7のいずれか一つに記載のアンテナ装置。
【請求項9】
前記ガイド部の傾斜角度は、前記ガイド受け部の前記傾斜面の傾斜角度以上である
ことを特徴とする請求項2~8のいずれか一つに記載のアンテナ装置。
【請求項10】
アンテナが形成された設置面に固定されるホルダと、前記アンテナへの接続端子が底面から下方へ向けて突出するように設けられ、前記設置面に平行な後方方向を係脱方向として係脱可能に前記ホルダへ装着される本体部とを備え、前記本体部は、当該本体部の幅方向へ向けて突出するように設けられるガイド部を備え、前記ホルダは、前記係脱方向へ向けて上り傾斜となる傾斜面を有するガイド受け部を備えるアンテナ装置の係脱方法であって、
前記本体部の係脱時に前記ガイド部を当接させて前記ガイド受け部に前記ガイド部を案内させる案内工程
を含むことを特徴とするアンテナ装置の係脱方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、アンテナ装置およびアンテナ装置の係脱方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の車両の窓ガラスに取り付けられ、テレビ放送などの電波を受信する車両用アンテナが知られている。かかる車両用アンテナと後段の機器との間には、車両用アンテナで受信した信号を後段の機器へ出力する出力部を備えた出力部ユニットが配置される。
【0003】
たとえば、特許文献1には、窓ガラスに配置されるホルダと、ケース部材およびカバー部材が係合して形成される空間内に出力部を収納し、ホルダに組み込まれることによってホルダを介し、出力部の接続端子が窓ガラスに配置されたアンテナエレメントに接続される出力部ユニットとを備えるアンテナ装置が開示されている。
【0004】
また、かかるアンテナ装置は、窓ガラスの平面方向に略直交する直交方向をケース部材とカバー部材との係合を解除する方向である係脱方向とし、かかる係脱方向へのケース部材の移動を規制する規制部を備えている。
【0005】
そして、出力部ユニットがホルダに組み込まれた状態で出力部ユニットに上記係脱方向への所定以上の力が作用した場合に、規制部によってケース部材の移動が規制されて、ケース部材に対するカバー部材の係合が解除されることによって、ホルダから出力部ユニットを容易に係脱することを可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した従来技術は、出力部ユニットの係脱時に接続端子が周囲に干渉してしまうのを防止するうえで、更なる改善の余地がある。
【0008】
たとえば、車両の車室内の構造や、上記出力部ユニットの配置位置、窓ガラスの形状等によっては、上記係脱方向が窓ガラスの平面方向に沿う方向である方が好ましい場合がある。ただし、かかる場合、出力部ユニットを窓ガラスの平面方向に沿って係脱しようとすれば、接続端子がたとえばホルダ等に干渉してしまい、取り外しが困難となるおそれがある。
【0009】
なお、かかる課題は、上述した出力部ユニットに限らず、アンテナエレメントへの接続端子を有し、ホルダに対し係脱可能な本体部を備えるアンテナ装置に共通する課題である。
【0010】
実施形態の一態様は、上記に鑑みてなされたものであって、本体部の係脱時に接続端子が周囲に干渉してしまうのを防止することができるアンテナ装置およびアンテナ装置の係脱方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
実施形態の一態様に係るアンテナ装置は、ホルダと、本体部とを備える。前記ホルダは、アンテナが形成された設置面に固定される。前記本体部は、前記アンテナへの接続端子が底面から下方へ向けて突出するように設けられ、前記設置面に平行な後方方向を係脱方向として係脱可能に前記ホルダへ装着される。また、前記本体部は、ガイド部を備える。前記ガイド部は、前記本体部の幅方向へ向けて突出するように設けられる。また、前記ホルダは、ガイド受け部を備える。前記ガイド受け部は、前記係脱方向へ向けて上り傾斜となる傾斜面を有し、前記本体部の係脱時に前記ガイド部と当接して該ガイド部を案内する。
【発明の効果】
【0012】
実施形態の一態様によれば、本体部の係脱時に接続端子が周囲に干渉してしまうのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、実施形態に係るアンプユニットの概要模式図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る出力部の概要模式図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るアンテナ装置の分解斜視図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係るアンテナ装置の斜視模式図である。
【
図5】
図5は、実施形態の比較例に係るアンテナ装置の係脱方法の説明図(その1)である。
【
図6】
図6は、実施形態の比較例に係るアンテナ装置の係脱方法の説明図(その2)である。
【
図7】
図7は、実施形態に係るアンプユニットの斜視模式図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係るホルダの斜視模式図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係るアンプユニットの係脱時の動作説明図(その1)である。
【
図10】
図10は、実施形態に係るホルダの開口部を示す斜視模式図である。
【
図13】
図13は、実施形態に係るアンプユニットの係脱時の動作説明図(その2)である。
【
図14】
図14は、ケース部材の突出部の角度を示す図である。
【
図15】
図15は、ホルダの切り欠き部の傾斜面の角度を示す図である。
【
図16】
図16は、ケース部材の突出部の高さとホルダの突起部の高さとの関係を示す図である。
【
図17】
図17は、係合爪および突起部の係合力と、窓ガラスに対する固定力との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本願の開示するアンテナ装置およびアンテナ装置の係脱方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0015】
また、以下では、ホルダに装着される本体部の一例として、出力部ユニットの1つであるアンプユニットを例に挙げるが、本体部はこれに限定されるものではない。例えば本体部は、インピーダンスを整合する整合回路を出力部として内蔵する出力部ユニットでもよく、また、アンテナが受信した信号を単に後段の機器に伝達する回路を出力部として内蔵する出力部ユニットでもよい。また、本体部は、電波を照射させるための信号をアンテナへ向けて送信するユニットであってもよい。
【0016】
また、以下に示す各図面には、説明を分かりやすくするために、設置面である車両の窓ガラスをYX平面とし、かかるXY平面に略直交する直交方向をZ軸方向とする3次元の直交座標系を図示している。したがって、XY平面に沿った方向は、窓ガラスの平面方向を指す。
【0017】
また、かかる直交座標系において、Y軸の負方向側が実施形態に係るアンテナ装置10の前方を指し、Y軸の正方向側が後方を指すものとする。
【0018】
また、以下で「平行」と言った場合、幾何学的に厳密に平行であることを指すものではなく、公差を有する略平行な場合を含むものとする。
【0019】
まず、
図1は、実施形態に係るアンプユニット11の斜視模式図である。また、
図2は、実施形態に係る出力部111の斜視模式図である。
【0020】
アンプユニット11は、車両用アンテナと後段の機器との間に設けられ、車両用アンテナで受信した信号を増幅して後段の機器へ出力する装置である。
図1に示すように、アンプユニット11は、出力部111と、カバー部材112と、ケース部材113とを備える。
【0021】
また、
図2に示すように、出力部111は、回路基板111aと、コネクタ部111bと、接続端子111c-1,111c-2とを備える。回路基板111aは、図示略の増幅回路を有しており、カバー部材112とケース部材113とが係合して形成される空間内に収納される。
【0022】
コネクタ部111bは、後段の機器への接続インタフェースであって、図示略のケーブルを介し、後段の機器、たとえばワンセグ放送や地上波デジタルテレビ放送の受信機等へ増幅された信号を出力する。
【0023】
接続端子111c-1,111c-2は、回路基板111aにY軸方向に沿って配置され、カバー部材112とケース部材113とが係合して出力部111を収納した状態において、ケース部材113から下方へ向けて突出するように設けられる。なお、接続端子111c-1,111c-2は、弾性を有する。
【0024】
このように構成されたアンプユニット11は、後述するホルダ12を介してたとえば車両の窓ガラスへ取り付けられる。
図1に示すように、カバー部材112は、係合爪112aを有する。アンプユニット11は、かかる係合爪112aによってホルダ12と係合する。
【0025】
図3は、実施形態に係るアンテナ装置10の分解斜視図である。また、
図4は、実施形態に係るアンテナ装置10の斜視模式図である。
図3に示すように、アンテナ装置10は、アンプユニット11と、ホルダ12とを備える。
【0026】
ホルダ12は、上面および後端部側が開口する略箱状の部材であり、1対の突起部121を有する。また、ホルダ12は、たとえば両面テープtp-1,tp-2を用いて車両の窓ガラスwへ固定される。
【0027】
そして、
図3に示すように、アンプユニット11は、かかるホルダ12を介し、接続端子111c-1,111c-2がそれぞれ、窓ガラスwへ形成されたアンテナエレメントe-1の給電部ps-1,同じくアンテナエレメントe-2の給電部ps-2へ接続されるように、窓ガラスwへ取り付けられる。
【0028】
図4に示すように、アンプユニット11は、前述の係合爪112aがホルダ12の突起部121と係合することによって、窓ガラスwに対し取り付けられる。係合爪112aは、引き上げる力が加わったときには上方へ向けて弾性変形し、除荷された状態においては元に戻り、Y軸方向に沿って延在するように設けられている。
【0029】
そして、たとえばアンプユニット11の故障時等には、かかる係合爪112aを引き上げてホルダ12との係合を解除することにより、アンプユニット11を交換のために係脱する、すなわち取り外すことが可能となる。
【0030】
ところで、車両の車室内の構造や、アンプユニット11の配置位置、窓ガラスwの形状等によっては、アンプユニット11を係脱する係脱方向が窓ガラスwの平面方向に沿う方向である方が好ましい場合がある。ただし、かかる場合、アンプユニット11を窓ガラスwの平面方向に沿って係脱しようとすれば、前述の接続端子111c-1,111c-2がたとえばホルダ12に干渉してしまい、取り外しが困難となるおそれがある。
【0031】
具体的に、
図5および
図6を用いて説明する。
図5は、実施形態の比較例に係るアンテナ装置10の係脱方法の説明図(その1)である。また、
図6は、実施形態の比較例に係るアンテナ装置10の係脱方法の説明図(その2)である。
【0032】
アンプユニット11を窓ガラスwの平面方向に沿って係脱する場合、
図5に示すように、まず係合爪112aを引き上げ(図中の矢印a1参照)、係合爪112aと突起部121との係合を解除し、アンプユニット11を係脱方向(図中の矢印a2参照)へ引き出すことになる。
【0033】
すると、
図5および
図6のM1,M2部に示すように、接続端子111c-1,111c-2がそれぞれ、接続端子111c-1,111c-2を突出させるために形成されたホルダ12の開口部122-1,122-2の周縁部分に干渉して引っ掛かるおそれがある。
【0034】
このように、接続端子111c-1,111c-2が、周囲(ここでは、開口部122-1,122-2の周縁部分)に引っ掛かると、アンプユニット11の取り外しは困難である。
【0035】
そこで、実施形態に係るアンテナ装置10の係脱方法では、アンテナ装置10が、アンテナエレメントeが形成された設置面に固定されるホルダ12と、ケース部材113およびカバー部材112が係合して形成される空間内にアンテナエレメントeで受信された信号を後段の機器へ出力する出力部111を収納し、設置面に平行な後方方向を係脱方向として係脱可能にホルダ12へ装着されるアンプユニット11とを備え、アンプユニット11は、アンプユニット11の底面から下方へ向けて突出するように設けられる接続端子111cと、アンプユニット11の幅方向へ向けて突出するように設けられる「ガイド部」とを備え、ホルダ12は、係脱方向へ向けて上り傾斜となる傾斜面123aを有する「ガイド受け部」を備え、アンプユニット11の係脱時に「ガイド部」を当接させて「ガイド受け部」に「ガイド部」を案内させることとした。
【0036】
図7は、実施形態に係るアンプユニット11の斜視模式図である。また、
図8は、実施形態に係るホルダ12の斜視模式図である。
【0037】
具体的には、
図7に示すように、アンプユニット11は、ケース部材113の前端部に突出部113aをさらに備える。また、ケース部材113の後端部に切り欠き部113bをさらに備える。なお、ケース部材113は、Y軸方向に平行な長手方向の中心線を中心とする対称形状であり、突出部113aおよび切り欠き部113bはそれぞれ、ケース部材113の左右で1対設けられる。
【0038】
突出部113aは、アンプユニット11の幅方向へ向けて突出するように設けられる。突出部113aは、アンプユニット11の前方へ向けて下り傾斜となる、すなわちアンプユニット11の後方である係脱方向へ向けては上り傾斜となる形状に形成されている。
【0039】
切り欠き部113bは、突出部113aと同様に、アンプユニット11の前方へ向けて下り傾斜となる、すなわちアンプユニット11の後方である係脱方向へ向けては上り傾斜となる形状に切り欠かれている。また、切り欠き部113bの下端部からはさらに、アンプユニット11の前方へ向けて水平面が延在している。
【0040】
なお、切り欠き部113bおよび切り欠き部113bから延在する水平面は、突出部113aと同様に、アンプユニット11の幅方向へ向けて突出するように設けられているため、「突出部」の一例に相当すると言える。
【0041】
また、
図8に示すように、ホルダ12は、前端部に切り欠き部123をさらに備える。また、ホルダ12は、後端部に突起部124をさらに備える。なお、ホルダ12は、Y軸方向に平行な長手方向の中心線を中心とする対称形状であり、切り欠き部123および突起部124はそれぞれ、ホルダ12の左右で1対設けられる。
【0042】
切り欠き部123は、ホルダ12の前方へ向けて下り傾斜となる、すなわちホルダ12の後方である係脱方向へ向けては上り傾斜となる傾斜面123aを有するように切り欠かれている。また、切り欠き部123はさらに、傾斜面123aの上端部から前述の突起部121へかけて延在する水平面を有するように切り欠かれている。
【0043】
突起部124は、傾斜面123aと同様に、ホルダ12の前方へ向けて下り傾斜となる、すなわちホルダ12の後方である係脱方向へ向けては上り傾斜となる傾斜面を有する形状に形成されている。
【0044】
そして、実施形態に係るアンテナ装置10の係脱方法では、アンプユニット11の係脱時に、アンプユニット11の突出部113aを切り欠き部123の傾斜面123aに沿って移動させるとともに、アンプユニット11の切り欠き部113bを突起部124の傾斜面に沿って移動させることによって、接続端子111c-1,111c-2を周囲へ干渉させることなくアンプユニット11をホルダ12から係脱させる。
【0045】
すなわち、実施形態に係るアンテナ装置10の係脱方法では、アンプユニット11の突出部113aおよび切り欠き部113bは、アンプユニット11をガイドする「ガイド部」として機能する。また、ホルダ12の切り欠き部123および突起部124は、かかる「ガイド部」を案内する「ガイド受け部」として機能する。
【0046】
かかる係脱時の動作例について、
図9~
図13を用いて説明する。
図9は、実施形態に係るアンプユニット11の係脱時の動作説明図(その1)である。また、
図10は、実施形態に係るホルダ12の開口部122を示す斜視模式図である。また、
図11は、
図9に示すM5部の拡大模式図である。また、
図12は、
図9に示すM6部の拡大模式図である。
【0047】
また、
図13は、実施形態に係るアンプユニット11の係脱時の動作説明図(その2)である。なお、
図9または
図13を用いた説明では、下向きの白抜き矢印で区切られた各図を、1段目、2段目、3段目…のように言い表す場合がある。
【0048】
図9の1段目に示すように、実施形態に係るアンテナ装置10の係脱方法では、
図5を用いて説明したのと同様に、まず係合爪112aを引き上げ(図中の矢印a1参照)、係合爪112aと突起部121との係合を解除し、アンプユニット11を係脱方向へ引き出す(図中の矢印a2参照)。
【0049】
すると、実施形態に係るアンテナ装置10の係脱方法では、
図9の2段目のM3部に示すように、アンプユニット11の突出部113aと、ホルダ12の傾斜面123aとが当接する。また、同時に、M4部に示すように、アンプユニット11の切り欠き部113bと、ホルダ12の突起部124の傾斜面とが当接する。
【0050】
なお、この時、突出部113aの一部と、傾斜面123aとが当接していればよい。同様に、切り欠き部113bの一部と、突起部124の傾斜面とが当接していればよい。すなわち、突出部113aと傾斜面123a、および、切り欠き部113bと突起部124の傾斜面はそれぞれ、少なくとも線接触していればよい。
【0051】
そして、実施形態に係るアンテナ装置10の係脱方法では、
図9の3段目および4段目に示すように、さらにアンプユニット11を係脱方向へ引き出すと(図中の矢印a2参照)、突出部113aは傾斜面123aに沿って案内される(図中の矢印a3,a5参照)。また、同様に、切り欠き部113bは突起部124の傾斜面に沿って案内される(図中の矢印a4,a6参照)。すなわち、アンプユニット11は、傾斜面123aおよび突起部124の傾斜面の案内により、斜行する。
【0052】
なお、その過程で、接続端子111c-1,111c-2はそれぞれ、
図10に示すように、ホルダ12の底面に開口された開口部122-1,122-2を通過する。ここで、
図11に示すように、開口部122-1は、接続端子111c-1が通過する際に十分なクリアランスi1が確保されるように開口されている。
【0053】
また、
図12に示すように、開口部122-2は、接続端子111c-2が通過する際に十分なクリアランスi2が確保されるように開口されている。これにより、アンプユニット11の係脱時に、接続端子111c-1,111c-2がホルダ12の開口部122-1,122-2に干渉するのを防止することができる。
【0054】
そして、実施形態に係るアンテナ装置10の係脱方法では、
図13の1段目に示すように、さらにアンプユニット11を係脱方向へ引き出すと(図中の矢印a2参照)、突出部113aはさらに傾斜面123aに沿って案内された後(図中の矢印a7参照)、傾斜面123aを離脱する。また、切り欠き部113bはさらに突起部124の傾斜面に沿って案内された後(図中の矢印a8参照)、突起部124の傾斜面を離脱する。
【0055】
そして、
図13の2段目に示すように、さらにアンプユニット11を係脱方向へ引き出すと(図中の矢印a2参照)、突出部113aは、傾斜面123aからさらにY軸方向に沿って延在する切り欠き部123の水平面に沿って案内される(図中の矢印a9参照)。
【0056】
また、ケース部材113は、切り欠き部113bからY軸方向に沿って延在する水平面が突起部124の先端部に沿って案内される(図中の矢印a10参照)。すると、図中のM7部に示すように、突出部113aと、ホルダ12の突起部121とが当接する。
【0057】
そして、
図13の3段目に示すように、さらにアンプユニット11を係脱方向へ引き出すと(図中の矢印a2参照)、突出部113aは、その傾斜した形状により、突起部121に当接しながらも引っ掛かることなくさらに移動する(図中の矢印a11参照。)。そして、図中のM8部に示すように、突出部113aは、突起部121の先端部へ乗り上げる。
【0058】
これにより、アンプユニット11の係脱時におけるケース部材113およびホルダ12の破損を防止することができる。
【0059】
そして、さらにアンプユニット11を係脱方向へ引き出せば、アンプユニット11をホルダ12から完全に係脱させることができる。
【0060】
次に、突出部113aの角度と傾斜面123aの角度との関係について、
図14および
図15を用いて説明する。
図14は、ケース部材113の突出部113aの角度を示す図である。また、
図15は、ホルダ12の切り欠き部123の傾斜面123aの角度を示す図である。
【0061】
図14に示すように、突出部113aとY軸方向とがなす角度、言い換えれば突出部113aの傾斜角度を角度aとする。また、
図15に示すように、傾斜面123aとY軸方向とがなす角度、言い換えれば傾斜面123aの傾斜角度を角度bとする。
【0062】
角度aは、ケース部材113の前方へ向けては下り傾斜、後方である係脱方向へ向けては上り傾斜となる角度であり、たとえば「5度≦a≦60度」となるように設けられる。また、角度bは、ホルダ12の前方へ向けては下り傾斜、後方である係脱方向へ向けては上り傾斜となる角度であり、角度aと同じく、たとえば「5度≦a≦60度」となるように設けられる。
【0063】
そして、角度a,bは、相対的には「a≧b」の関係となるように設けられる。これにより、アンプユニット11の係脱時に、突出部113aの下端部と傾斜面123aとを少なくとも線接触させることができる。
【0064】
なお、切り欠き部113bの傾斜角度を角度a、突起部124の傾斜面の傾斜角度を角度bとした場合についても、角度a,bのとりうる範囲、また、角度a,bの相対的な関係は、上述したのと同様である。
【0065】
次に、突出部113aの高さと突起部121の高さとの関係について、
図16を用いて説明する。
図16は、ケース部材113の突出部113aの高さとホルダ12の突起部121の高さとの関係を示す図である。なお、
図16は、突出部113aが突起部121へ当接した状態(
図13のM7部参照)を模式的に表している。
【0066】
図16に示すように、突出部113aの高さを高さh1とする。また、突起部121の高さを高さh2とする。かかる場合に、高さh1,h2は、相対的に「h1>h2」の関係となるように設けられる。
【0067】
これにより、アンプユニット11の係脱時に、傾斜面123aを離脱した突出部113aを突起部121で一旦止め、突起部121に当接させながら突起部121の先端部に乗り上げさせることができる。したがって、アンプユニット11の係脱時におけるケース部材113およびホルダ12の破損を防止することができる。
【0068】
次に、係合爪112aおよび突起部121の係合力と、窓ガラスwに対する固定力との関係について、
図17を用いて説明する。
図17は、係合爪112aおよび突起部121の係合力と、窓ガラスwに対する固定力との関係を示す図である。
【0069】
図17に示すように、図中のM9部にかかる係合爪112aおよび突起部121の係合力と、両面テープtp-1,tp-2により図中のM10部にかかる窓ガラスwに対する固定力とは、相対的に「係合力<固定力」となるように設けられる。
【0070】
これにより、アンプユニット11の係脱時に、ホルダ12から確実にアンプユニット11のみを離脱させることが可能となる。なお、ここでは、両面テープtp-1,tp-2によりホルダ12を窓ガラスwへ固定することとしたが、これに限られるものではなく、たとえば両面テープtp-1,tp-2の間などに接着剤を併用するようにしてもよい。
【0071】
上述したように、実施形態に係るアンテナ装置10は、ホルダ12と、アンプユニット11(「本体部」の一例に相当)とを備える。ホルダ12は、アンテナエレメントe(「アンテナ」の一例に相当)が形成された窓ガラスw(「設置面」の一例に相当)に固定される。アンプユニット11は、アンテナエレメントeへの接続端子111cが底面から下方へ向けて突出するように設けられ、窓ガラスwに平行な後方方向を係脱方向として係脱可能にホルダ12へ装着される。また、アンプユニット11は、突出部113aおよび切り欠き部113b(「ガイド部」の一例に相当)を備える。突出部113aおよび切り欠き部113bは、アンプユニット11の幅方向へ向けて突出するように設けられる。また、ホルダ12は、切り欠き部123および突起部124(「ガイド受け部」の一例に相当)を備える。切り欠き部123および突起部124は、係脱方向へ向けて上り傾斜となる傾斜面を有し、アンプユニット11の係脱時に突出部113aおよび切り欠き部113bと当接して突出部113aおよび切り欠き部113bを案内する。
【0072】
したがって、実施形態に係るアンテナ装置10によれば、アンプユニット11の係脱時に接続端子111cが周囲に干渉してしまうのを防止することができる。
【0073】
また、突出部113aおよび切り欠き部113bは、係脱方向へ向けて上り傾斜となる傾斜角度を有する形状に形成される。
【0074】
したがって、実施形態に係るアンテナ装置10によれば、アンプユニット11の係脱時に、接続端子111cが周囲を躱(かわ)すようにアンプユニット11を斜行させることが可能となる。
【0075】
また、突出部113aおよび切り欠き部113bは、アンプユニット11の前端部および後端部に左右1対ずつ設けられ、切り欠き部123および突起部124は、ホルダ12の前端部および後端部に左右1対ずつ設けられる。
【0076】
したがって、実施形態に係るアンテナ装置10によれば、アンプユニット11の係脱時に安定してアンプユニット11を案内することが可能となる。
【0077】
また、ホルダ12は、アンプユニット11の係脱時に突出部113aが傾斜面123aを離脱した後、さらにアンプユニット11が係脱方向へ係脱される途中で突出部113aと当接するように設けられる突起部121をさらに備える。
【0078】
したがって、実施形態に係るアンテナ装置10によれば、アンプユニット11の係脱時に、傾斜面123aを離脱した突出部113aを突起部121で一旦止めることができる。
【0079】
また、突起部121は、突出部113aが当該突起部121に当接した後、さらにアンプユニット11が係脱方向へ係脱される力が作用した場合に、突出部113aが当接しつつ当該突起部121の先端部に乗り上げ可能な形状を有する。
【0080】
したがって、実施形態に係るアンテナ装置10によれば、アンプユニット11の係脱時に、一旦止めた傾斜面123aを突起部121に当接させながら突起部121の先端部に乗り上げさせることができる。したがって、アンプユニット11の係脱時におけるケース部材113およびホルダ12の破損を防止することができる。
【0081】
また、アンプユニット11は、係脱方向とは逆向きの方向に延在するように設けられる係合爪112aをさらに備え、突起部121は、さらに係合爪112aと係合可能な形状を有し、アンプユニット11がホルダ12へ装着された際に、係合爪112aと係合する。
【0082】
したがって、実施形態に係るアンテナ装置10によれば、アンプユニット11がホルダ12へ装着された際に、所定の係合力をもってアンプユニット11をホルダ12に対し保持することができる。
【0083】
また、係合爪112aおよび突起部121の係合力は、ホルダ12の窓ガラスwに対する固定力よりも小さい。
【0084】
したがって、実施形態に係るアンテナ装置10によれば、アンプユニット11の係脱時に、ホルダ12から確実にアンプユニット11のみを離脱させることが可能となる。
【0085】
また、突起部121の高さh2は、突出部113aの高さh1よりも小さい。
【0086】
したがって、実施形態に係るアンテナ装置10によれば、アンプユニット11の係脱時に、傾斜面123aを離脱した突出部113aを突起部121で一旦止め、突起部121に当接させながら突起部121の先端部に確実に乗り上げさせることができる。
【0087】
また、突出部113aおよび切り欠き部113bの傾斜角度は、切り欠き部123および突起部124の傾斜角度以上である。
【0088】
したがって、実施形態に係るアンテナ装置10によれば、アンプユニット11の係脱時に、突出部113aおよび切り欠き部113bの下端部と、切り欠き部123および突起部124とを少なくとも線接触させることができる。
【0089】
なお、上述した実施形態では、「ガイド部」に相当する突出部113aおよび切り欠き部113bが、係脱方向へ向けて上り傾斜を有する形状である場合を例に挙げたが、これに限られるものではなく、「ガイド受け部」に沿って移動可能な形状であればよい。たとえば、アンプユニット11の幅方向へ向けて突出する軸状の部材であってもよい。
【0090】
また、上述した実施形態では、アンテナエレメントe-1,e-2が形成された車両の窓ガラスwに取り付けられるアンテナ装置10をアンテナ装置の一例として挙げたが、アンテナ装置はこれに限定されるものではない。たとえば、アンテナ装置は、窓ガラスwではないガラスや、車両の窓ガラスw以外の部材を含む箇所にアンテナエレメントが形成され、かかるアンテナエレメントに対し接続端子が接続されるように、ホルダを介して本体部が固定されたアンテナ装置であってもよい。
【0091】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0092】
10 アンテナ装置
11 アンプユニット
12 ホルダ
111 出力部
111a 回路基板
111b コネクタ部
111c 接続端子
112 カバー部材
112a 係合爪
113 ケース部材
113a 突出部
113b 切り欠き部
121 突起部
122 開口部
123 切り欠き部
123a 傾斜面
124 突起部
e アンテナエレメント
w 窓ガラス