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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-25
(45)【発行日】2024-10-03
(54)【発明の名称】車両用制御装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20240926BHJP
【FI】
H02J7/00 P
H02J7/00 301B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020199397
(22)【出願日】2020-12-01
(65)【公開番号】P2022087460
(43)【公開日】2022-06-13
【審査請求日】2023-11-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】尾嵜 一徳
【審査官】田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-241427(JP,A)
【文献】特開2017-073863(JP,A)
【文献】特開2011-015548(JP,A)
【文献】特開2022-064492(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気製品の電源プラグに給電する電力変換機器を備えた車両に適用される車両用制御装置であって、
前記電力変換機器に通電ケーブルを介して接続され、前記車両の内装部品に着脱自在に取り付けられる電源アウトレットと、
車両移動を禁止する禁止状態と車両移動を許容する許容状態とに作動するデバイスを制御するデバイス制御部と、
前記車両の外装部品である開閉体の開閉状況を判定する開閉判定部と、
前記内装部品に対する前記電源アウトレットの取付状況を判定する第1取付判定部と、
前記電源アウトレットに対する前記電源プラグの取付状況を判定する第2取付判定部と、
を有し、
前記デバイス制御部は、前記開閉体が開かれ、前記電源アウトレットが前記内装部品から取り外され、かつ前記電源プラグが前記電源アウトレットに取り付けられた場合に、前記デバイスを禁止状態に制御する、
車両用制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用制御装置において、
前記デバイス制御部は、前記開閉体が閉じられた場合、前記電源アウトレットが前記内装部品に取り付けられた場合、または前記電源プラグが前記電源アウトレットから取り外された場合に、前記デバイスを許容状態に制御する、
車両用制御装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の車両用制御装置において、
前記デバイス制御部は、前記開閉体が開かれた後に、前記電源アウトレットが前記内装部品から取り外され、かつ前記電源プラグが前記電源アウトレットに取り付けられた場合に、前記デバイスを禁止状態に制御する、
車両用制御装置。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載の車両用制御装置において、
前記デバイスは、
車輪を制動して車両移動を禁止するブレーキ装置と、
走行レンジを選択するセレクト操作部を固定して車両移動を禁止するロック装置と、
走行制御システムの起動を禁止して車両移動を禁止するシステム起動装置と、の少なくとも何れか1つである、
車両用制御装置。
【請求項5】
請求項1~4の何れか1項に記載の車両用制御装置において、
前記開閉体は、車両後部に設けられるリアゲートである、
車両用制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気製品の電源プラグに給電する電力変換機器を備えた車両に適用される車両用制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両として、家電等の電気製品に給電するインバータを備えた車両が提案されている(特許文献1または2参照)。インバータには通電ケーブルを介して電源アウトレットが接続されており、この電源アウトレットは車両の荷物室等に設置されることが多い。電源アウトレットに対して電気製品の電源プラグを接続することにより、インバータから電気製品に対して所定の交流電力を供給することができ、キャンプ場等の屋外であっても所望の電気製品を使用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-68952号公報
【文献】特開2013-233022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電源アウトレットに対して電気製品の電源プラグを接続する際には、車両のリアドアやリアゲート等を開くことが想定される。しかしながら、車両のリアドアやリアゲート等が開かれた場合には、車両発進を禁止して停車状態に保持することが一般的であった。このため、キャンプ場等における電気製品の使用中に停車位置を調整したい場合であっても、電源アウトレットから電源プラグを抜いてリアゲート等を閉じることが必要であった。このように、リアゲート等の開放に伴って車両移動を一律に禁止することは、使用者の利便性を低下させる要因となっていた。
【0005】
本発明の目的は、車両移動を禁止する条件を適切に設定することにより、使用者の利便性を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車両用制御装置は、電気製品の電源プラグに給電する電力変換機器を備えた車両に適用される車両用制御装置であって、前記電力変換機器に通電ケーブルを介して接続され、前記車両の内装部品に着脱自在に取り付けられる電源アウトレットと、車両移動を禁止する禁止状態と車両移動を許容する許容状態とに作動するデバイスを制御するデバイス制御部と、前記車両の外装部品である開閉体の開閉状況を判定する開閉判定部と、前記内装部品に対する前記電源アウトレットの取付状況を判定する第1取付判定部と、前記電源アウトレットに対する前記電源プラグの取付状況を判定する第2取付判定部と、を有し、前記デバイス制御部は、前記開閉体が開かれ、前記電源アウトレットが前記内装部品から取り外され、かつ前記電源プラグが前記電源アウトレットに取り付けられた場合に、前記デバイスを禁止状態に制御する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、デバイス制御部は、開閉体が開かれ、電源アウトレットが内装部品から取り外され、かつ電源プラグが電源アウトレットに取り付けられた場合に、デバイスを禁止状態に制御する。これにより、車両移動を禁止する条件を適切に設定することができ、使用者の利便性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】(A)~(C)は、本発明の一実施の形態である車両用制御装置が適用される車両の一例を示す図である。
図2】車両用制御装置の構成例を示す図である。
図3】(A)~(C)は、電源アウトレットの各種使用状況を示す図である。
図4】給電時停車保持制御の実行手順の一例を示すフローチャートである。
図5】電源アウトレットの使用状況を示す図である。
図6】電源アウトレットの使用状況を示す図である。
図7】給電時停車保持制御の実行状況の一例を示すタイミングチャートである。
図8】各条件の成立順序と車両移動の可否との関係の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0010】
[電源アウトレット]
図1(A)~(C)は、本発明の一実施の形態である車両用制御装置10が適用される車両11の一例を示す図である。図1(A)に示すように、自動車等の車両11には、外装部品である開閉体として、フロントドア12、リアドア13およびリアゲート14が設けられている。また、車両11には、外装部品である開閉体として、フロントドア12のウィンドウ15、およびリアドア13のウィンドウ16が設けられている。図1(B)に示すように、車両後部の荷物室には内装部品であるラゲッジサイドトリム17(以下、サイドトリムと記載する。)が設けられており、このサイドトリム17にはコンセントとも呼ばれる電源アウトレット18が着脱自在に取り付けられている。また、電源アウトレット18の近傍には、電源アウトレット18を使用する際に操作される給電スイッチ19が設けられている。
【0011】
図2は車両用制御装置10の構成例を示す図である。図2に示すように、サイドトリム17の内側には、リール20に巻かれた通電ケーブル21が収容されている。通電ケーブル21の一端には電源アウトレット18が接続されており、通電ケーブル21の他端にはインバータ22が接続されている。つまり、電力変換機器であるインバータ22には、通電ケーブル21を介して電源アウトレット18が接続されている。また、インバータ22には、リチウムイオンバッテリ等のバッテリ23が接続されている。前述したように、サイドトリム17に着脱自在に取り付けられる電源アウトレット18には、リール20に巻かれた通電ケーブル21が接続されている。このため、図1(C)に示すように、電源アウトレット18をサイドトリム17から取り外して引っ張ることにより、サイドトリム17内より通電ケーブル21を引き出しながら電源アウトレット18を所望の位置まで移動させることができる。
【0012】
図2に示すように、バッテリ23と電源アウトレット18との間に設けられるインバータ22は、バッテリ23からの直流電力を商用電源に相当する交流電力に変換し、この交流電力を電源アウトレット18に対して供給する。使用者がヘアドライヤー等の電気製品30を使用する際には、電気製品30の電源プラグ31が電源アウトレット18に対して接続される。これにより、電源アウトレット18から電気製品30に対して商用電源に相当する交流電力が供給され、キャンプ場等の屋外においても様々な電気製品30を使用することができる。なお、電源アウトレット18に接続される電気製品30としては、図示するヘアドライヤーに限られることなく、他の電気製品を電源アウトレット18に接続しても良いことはいうまでもない。
【0013】
[パーキングブレーキ装置]
図2に示すように、車両11には、車輪40を制動するパーキングブレーキ装置41が設けられている。このパーキングブレーキ装置41は、車輪40に固定されるディスクロータ42と、ブレーキパッドを押し込むピストン43を備えたキャリパ44と、ピストン43を押し出すパーキングアクチュエータ45と、を有している。パーキングアクチュエータ45を駆動してピストン43を押し出すことにより、ブレーキパッドによって車輪40のディスクロータ42が制動される。
【0014】
例えば、運転者がパーキングスイッチ46を押してブレーキ作動を選択すると、パーキングブレーキ装置41は、パーキングアクチュエータ45を駆動してピストン43を押し出す制動状態に制御される。一方、運転者がパーキングスイッチ46を引いてブレーキ解除を選択すると、パーキングブレーキ装置41は、パーキングアクチュエータ45を駆動してピストン43を戻す解除状態に制御される。
【0015】
このように、パーキングブレーキ装置(ブレーキ装置)41は、車輪40を制動して車両移動を禁止するデバイスとして機能している。つまり、パーキングブレーキ装置41は、車輪40を制動して車両移動を禁止する制動状態(禁止状態)と、車輪40の回転を許容して車両移動を許容する解除状態(許容状態)と、に作動するデバイスである。
【0016】
[レバーロック装置]
図2に示すように、車両11には、セレクトレバー50を固定するレバーロック装置51が設けられている。車両11には、走行レンジ(Dレンジ、Rレンジ)を選択するため、運転者によって操作されるセレクトレバー(セレクト操作部)50を備えたレバーユニット52が設けられている。また、レバーユニット52にはレバーロック装置51を構成するロックアクチュエータ53が設けられており、このロックアクチュエータ53はセレクトレバー50に向けて突出するロックピン54を備えている。
【0017】
レバーロック装置51は、ロックアクチュエータ53のロックピン54を突出させるロック状態と、ロックアクチュエータ53のロックピン54を格納する解除状態と、に作動する。セレクトレバー50がホーム位置PHに配置された状態のもとで、レバーロック装置51をロック状態に作動させることにより、ロックピン54をセレクトレバー50に係合させることができ、セレクトレバー50をホーム位置PHに固定することができる。一方、レバーロック装置51を解除状態に作動させることにより、セレクトレバー50に対するロックピン54の係合を解除することができ、セレクトレバー50をホーム位置PHから前進位置PD等に移動させることができる。
【0018】
このように、レバーロック装置(ロック装置)51は、セレクトレバー50を固定して車両移動を禁止するデバイスとして機能している。つまり、レバーロック装置51は、セレクトレバー50を固定して車両移動を禁止するロック状態(禁止状態)と、セレクトレバー50の操作を許容して車両移動を許容する解除状態(許容状態)と、に作動するデバイスである。
【0019】
なお、セレクトレバー50が前進位置PDや後退位置PRに操作され、DレンジやRレンジが選択されると、図示しないパワートレインは車輪40に動力を伝達する走行状態に制御される。つまり、レバーロック装置51によってセレクトレバー50を固定することにより、前進位置PDや後退位置PRへのセレクトレバー操作を禁止することができ、パワートレインの停止状態を維持して車両移動を禁止することができる。
【0020】
[電源コントローラ]
図2に示すように、車両11には、走行制御システムを起動する電源コントローラ60が設けられている。マイコン等からなる電源コントローラ60は、運転者によるスタートスイッチ61の操作に基づき、車両11のパワートレイン等を制御する走行制御システムを起動する。例えば、運転者がブレーキペダルを踏み込みながらスタートスイッチ61を押すと、電源コントローラ60は走行制御システムを起動して車両11を走行可能状態(ReadyON)に制御する。一方、車両11が走行可能状態(ReadyON)に制御された状態のもとで、運転者がブレーキペダルを踏み込みながらスタートスイッチ61を押すと、電源コントローラ60は走行制御システムを停止して車両11を走行機能停止状態(ReadyOFF)に制御する。
【0021】
この電源コントローラ(システム起動装置)60は、走行制御システムの起動を禁止して車両移動を禁止するデバイスとして機能している。後述するように、電源コントローラ60は、走行制御システムの起動を禁止して車両移動を禁止する禁止状態と、走行制御システムの起動を許容して車両移動を許容する許容状態と、に作動する。なお、走行制御システムは、パワートレイン等の駆動系デバイスやこれらを制御する各種コントローラ等によって構成される制御システムである。
【0022】
[給電コントローラ]
図2に示すように、車両用制御装置10は、マイコン等からなる給電コントローラ70を有している。給電コントローラ70には、各種機能部として、給電スイッチ判定部71、給電可否判定部72、インバータ制御部73、アウトレット状況判定部74、開閉状況判定部75、車外使用判定部76および停車保持制御部77が設けられている。以下、給電スイッチ判定部71、給電可否判定部72、インバータ制御部73、アウトレット状況判定部74、開閉状況判定部75、車外使用判定部76、停車保持制御部77の順に、その機能について説明する。
【0023】
[給電スイッチ判定部,給電可否判定部,インバータ制御部]
給電コントローラ70は、電源アウトレット18に対する電力供給を制御するため、給電スイッチ判定部71、給電可否判定部72およびインバータ制御部73を有している。給電スイッチ判定部71は、使用者による給電スイッチ19の操作状況を判定し、給電スイッチ19の操作状況を給電可否判定部72に対して送信する。給電可否判定部72は、給電スイッチ19の操作状況やバッテリ23のSOC(State Of Charge)等に基づき、電源アウトレット18に電力供給を行うか否かを判定する。例えば、使用者によって給電スイッチ19がON操作され、かつバッテリ23の充電状態であるSOCが所定値を上回る場合には、電源アウトレット18に対する電力供給が許可される。そして、給電可否判定部72によって電源アウトレット18に対する電力供給が許可されると、インバータ制御部73は電源アウトレット18に向けて出力する交流電力を安定させるようにインバータ22を制御する。
【0024】
[アウトレット状況判定部]
給電コントローラ70は、電源アウトレット18の使用状況を判定するため、アウトレット状況判定部74を有している。このアウトレット状況判定部(第1取付判定部,第2取付判定部)74は、サイドトリム17に対する電源アウトレット18の取付状況を判定するとともに、電源アウトレット18に対する電源プラグ31の取付状況を判定する。つまり、アウトレット状況判定部74は、サイドトリム17に対して電源アウトレット18が取り付けられているか否かを判定するとともに、電源アウトレット18に対して電源プラグ31が取り付けられているか否かを判定する。
【0025】
なお、以下の説明において、電源アウトレット18に電源プラグ31を取り付けるとは、電源アウトレット18に電源プラグ31を挿入すること、つまり電源アウトレット18に対する電源プラグ31の接続を意味している。また、電源アウトレット18から電源プラグ31を取り外すとは、電源アウトレット18から電源プラグ31を抜き取ること、つまり電源アウトレット18に対する電源プラグ31の接続を断つことを意味している。
【0026】
図3(A)~(C)は電源アウトレット18の各種使用状況を示す図である。図3(A)に示すように、電源アウトレット18の一端面には、ボタン部を備えた第1判定スイッチSW1が設けられており、電源アウトレット18の他端面には、ボタン部を備えた第2判定スイッチSW2が設けられている。図示する判定スイッチSW1,SW2は、ボタン部が押されるとON状態になり、ボタン部が突出するとOFF状態になる。
【0027】
図3(A)に示した状況では、電源アウトレット18がサイドトリム17に取り付けられるため、サイドトリム17によって判定スイッチSW1のボタン部が押され、判定スイッチSW1はON状態になる。また、図3(B)に示した状況では、電源アウトレット18がサイドトリム17から取り外されるため、判定スイッチSW1のボタン部は突出した状態になり、判定スイッチSW1はOFF状態になる。さらに、図3(C)に示した状況では、電源アウトレット18に対して電源プラグ31が取り付けられることから、電源プラグ31によって判定スイッチSW2のボタン部が押され、判定スイッチSW2はON状態になる。
【0028】
つまり、電源アウトレット18がサイドトリム17から取り外された場合には、判定スイッチSW1がON状態からOFF状態に切り替えられ、電源アウトレット18がサイドトリム17に取り付けられた場合には、判定スイッチSW1がOFF状態からON状態に切り替えられる。このように、アウトレット状況判定部74は、判定スイッチSW1の出力信号(ON信号,OFF信号)に基づいて、サイドトリム17に対する電源アウトレット18の取付状況を判定することができる。そして、アウトレット状況判定部74は、サイドトリム17に対する電源アウトレット18の取付状況を判定し、この判定結果を車外使用判定部76に送信する。
【0029】
また、電源アウトレット18に電源プラグ31が取り付けられた場合には、判定スイッチSW2がOFF状態からON状態に切り替えられ、電源アウトレット18から電源プラグ31が取り外された場合には、判定スイッチSW1がON状態からOFF状態に切り替えられる。このように、アウトレット状況判定部74は、判定スイッチSW2の出力信号(ON信号,OFF信号)に基づいて、電源アウトレット18に対する電源プラグ31の取付状況を判定することができる。そして、アウトレット状況判定部74は、電源アウトレット18に対する電源プラグ31の取付状況を判定し、この判定結果を車外使用判定部76に送信する。
【0030】
[開閉状況判定部]
給電コントローラ70には、リアゲート14、フロントドア12、リアドア13およびウィンドウ15,16の開閉状況を判定するため、開閉状況判定部(開閉判定部)75が設けられている。開閉状況判定部75には、各種開閉センサとして、リアゲート14の開閉状況を判定するゲート開閉センサ80、フロントドア12やリアドア13の開閉状況を判定するドア開閉センサ81、および各ウィンドウ15,16の開閉状況を判定するウィンドウ開閉センサ82が接続されている。開閉状況判定部75は、各種開閉センサからの出力信号に基づいて、リアゲート14等の開閉状況つまりリアゲート14等が開かれているか否かを判定し、この判定結果を車外使用判定部76に送信する。
【0031】
[車外使用判定部,停車保持制御部]
給電コントローラ70は、電源アウトレット18の使用状況を判定するため、車外使用判定部(デバイス制御部)76を有している。また、給電コントローラ70は、電源アウトレット18の使用状況に応じてパーキングブレーキ装置41等を制御するため、停車保持制御部(デバイス制御部)77を有している。車外使用判定部76は、アウトレット状況判定部74および開閉状況判定部75から送信される判定結果に基づき、電源アウトレット18の使用状況を判定する。そして、停車保持制御部77は、電源アウトレット18の使用状況が特定の状況である場合には、パーキングブレーキ装置41等を制御して車両移動を禁止する。つまり、車外使用判定部76および停車保持制御部77は、後述する給電時停車保持制御を実行することにより、電源アウトレット18の使用状況を判定してパーキングブレーキ装置41等を制御している。
【0032】
以下、給電時停車保持制御について説明する。図4は給電時停車保持制御の実行手順の一例を示すフローチャートであり、図5および図6は電源アウトレット18の使用状況1~4を示す図である。
【0033】
図4に示すように、ステップS10では、リアゲート14が開かれているか否かが判定される。ステップS10において、リアゲート14が開かれていると判定された場合には、ステップS11に進み、電源アウトレット18がサイドトリム17から取り外されているか否かが判定される。ステップS11において、電源アウトレット18が取り外されていると判定された場合には、ステップS12に進み、電源アウトレット18に対して電源プラグ31が取り付けられているか否かが判定される。ステップS12において、電源アウトレット18に電源プラグ31が取り付けられていると判定された場合には、ステップS13に進み、車両移動が禁止される。
【0034】
このように、リアゲート14が開かれ、電源アウトレット18がサイドトリム17から取り外され、かつ電源プラグ31が電源アウトレット18に取り付けられる状況とは、図5および図6(A)に「状況1」として示した状況である。この状況1においては、車外で電気製品30が使用されている可能性が高いことから、電気製品30の引き摺り等を防止して安全を確保するため、ステップS13に進んで車両移動が禁止される。このステップS13において、車両移動を禁止する際には、パーキングブレーキ装置41、レバーロック装置51および電源コントローラ60が次のように制御される。
【0035】
つまり、パーキングブレーキ装置41は、運転者によるパーキングスイッチ操作が行われた場合であっても、このパーキングスイッチ操作を受け付けることなく、車輪40を制動して車両移動を禁止する制動状態(禁止状態)に制御される。これにより、運転者がパーキングスイッチ46を引いてブレーキ解除を選択した場合であっても、車輪40の制動を継続して車両移動を禁止することができ、電気製品30の引き摺り等を防止することができる。
【0036】
また、レバーロック装置51は、セレクトレバー50を固定して車両移動を禁止するロック状態(禁止状態)に制御される。このように、レバーロック装置51によってセレクトレバー50を固定することにより、セレクトレバー50が前進位置PDや後退位置PRに操作されることがなく、パワートレインの停止状態を維持して車両移動を禁止することができ、電気製品30の引き摺り等を防止することができる。
【0037】
さらに、電源コントローラ60は、走行制御システムの起動を禁止して車両移動を禁止する禁止状態に制御される。これにより、運転者がスタートスイッチ61を押した場合であっても、走行制御システムの停止状態を維持することができるため、車両11の走行機能停止状態(ReadyOFF)を維持して車両移動を禁止することができ、電気製品30の引き摺り等を防止することができる。
【0038】
なお、前述の説明では、パーキングブレーキ装置41、レバーロック装置51および電源コントローラ60の全てを禁止状態に制御しているが、これに限られることはなく、パーキングブレーキ装置41、レバーロック装置51および電源コントローラ60の少なくとも何れか1つを禁止状態に制御しても良い。この場合であっても、パーキングブレーキ装置41、レバーロック装置51または電源コントローラ60によって、車両移動を禁止することができる。
【0039】
図4に示すように、ステップS10において、リアゲート14が閉じられていると判定された場合、ステップS11において、電源アウトレット18がサイドトリム17に取り付けられていると判定された場合、ステップS12において、電源プラグ31が電源アウトレット18から抜かれていると判定された場合には、ステップS14に進み、車両移動が許容される。
【0040】
すなわち、リアゲート14が閉じられていると判定された場合には、電源アウトレット18に接続された電気製品30が車外で使用されることが無いため、車両移動が許容される。また、リアゲート14が開かれていると判定された場合であっても、電源アウトレット18がサイドトリム17に取り付けられていると判定された場合には、図5および図6(C)に「状況3」として示した状況、つまり車内で電気製品30が使用される状況であることが想定されるため、車両移動が許容される。また、リアゲート14が開かれていると判定された場合であっても、電源プラグ31が電源アウトレット18に取り付けられていると判定された場合には、図5図6(B)および図6(D)に「状況2,状況4」として示した状況、つまり電源アウトレット18に電気製品30が接続されておらず、車両移動時に電気製品30の引き摺りが発生しない状況であることから、車両移動が許容される。
【0041】
なお、ステップS14において、車両移動を許容する際には、パーキングブレーキ装置41、レバーロック装置51および電源コントローラ60が次のように制御される。つまり、パーキングブレーキ装置41は、運転者によるパーキングスイッチ操作が行われてブレーキ解除が選択された場合には、車輪40の回転を許容して車両移動を許容する解除状態(許容状態)に制御される。また、レバーロック装置51は、セレクトレバー50の操作を許容して車両移動を許容する解除状態(許容状態)に制御される。さらに、電源コントローラ60は、走行制御システムの起動を許容して車両移動を許容する許容状態に制御される。このように、電源コントローラ60を許容状態に作動させることにより、運転者によるスタートスイッチ操作が行われた場合には、走行制御システムを起動して車両11が走行可能状態(ReadyON)に制御される。
【0042】
[給電時停車保持制御(タイミングチャート)]
続いて、前述した給電時停車保持制御をタイミングチャートに沿って説明する。図7は給電時停車保持制御の実行状況の一例を示すタイミングチャートである。なお、図7には、比較例として、リアゲート14が閉じられた場合に車両移動を許可する一方、リアゲート14が開かれた場合に車両移動を禁止する例が示されている。
【0043】
図7に示すように、比較例においては、時刻t1でリアゲート14が開かれており(符号a1)、時刻t4でリアゲート14が閉じられている(符号a2)。このため、矢印αで示すように、時刻t1から時刻t4に到達するまで、車両移動が禁止されている。これに対し、実施例においては、前述したように、リアゲート14が開かれ、電源アウトレット18がサイドトリム17から取り外され、かつ電源プラグ31が電源アウトレット18に取り付けられた場合に、車両移動が禁止される。これにより、実施例においては、車両移動の禁止期間を短くすることができ、電源アウトレット18を使用する際の利便性を高めることができる。
【0044】
つまり、時刻t1においては、リアゲート14が開かれており(符号b1)、電源プラグ31が電源アウトレット18に取り付けられるものの(符号c1)、電源アウトレット18がサイドトリム17に取り付けられるため(符号d1)、車両移動が許可されている。そして、時刻t2に進むと、リアゲート14が開かれ(符号b2)、電源アウトレット18がサイドトリム17から取り外され(符号d2)、電源プラグ31が電源アウトレット18に取り付けられるため(符号c2)、車両移動が禁止される。この車両移動の禁止は、時刻t3に示すように、電源アウトレット18がサイドトリム17に取り付けられるまで継続される(符号d3)。
【0045】
このように、実施例においては、矢印βで示すように、時刻t2から時刻t3に達するまで、車両移動が禁止される。つまり、実施例においては、矢印αで示した比較例に比べて、車両移動の禁止期間を大幅に短縮することができ、使用者の利便性を高めることができる。しかも、図6(A)に示すように、車外で電気製品30が使用される状況においては、パーキングブレーキ装置41等によって車両移動が禁止されるため、電気製品30等を引き摺ることなく安全を確保することができる。
【0046】
なお、車両移動が禁止された状況のもとで、運転者によってスタートスイッチ操作やパーキングスイッチ操作等が行われた場合には、ディスプレイ83等に車両移動の禁止状態であること表示しても良い。これにより、電気製品30の使用によって車両移動が禁止されたことを、運転者に対して適切に通知することができる。また、車両移動が禁止された状況であっても、運転者に対して移動禁止を解除するか否かを選択させても良い。つまり、電気製品の使用状況を把握している運転者に対し、移動禁止を解除するか否かを委ねることにより、電源アウトレット18を使用する際の利便性を高めることができる。
【0047】
[他の実施形態]
図5に示したように、前述の説明では、リアゲート14が開かれ、電源アウトレット18がサイドトリム17から取り外され、かつ電源プラグ31が電源アウトレット18に取り付けられた場合に、車両移動を禁止しているが、これに限られることはない。例えば、図5に「状況1」として示した状況であっても、各条件の成立順序によっては車両移動を許容しても良い。図8は各条件の成立順序と車両移動の可否との関係の一例を示す図である。
【0048】
図8に「状況1A」として示すように、リアゲート14が開かれ、その後に電源アウトレット18がサイドトリム17から取り外され、その後に電源プラグ31が電源アウトレット18に取り付けられた場合には、車両移動が禁止される。また、「状況1B」として示すように、リアゲート14が開かれ、その後に電源プラグ31が電源アウトレット18に取り付けられ、その後に電源アウトレット18がサイドトリム17から取り外された場合には、車両移動が禁止される。つまり、リアゲート14が開かれた後に、電源アウトレット18がサイドトリム17から取り外され、かつ電源プラグ31が電源アウトレット18に取り付けられた場合には、車両移動が禁止される。
【0049】
一方、「状況1C,状況1D」として示すように、リアゲート14が開かれる前に、電源アウトレット18がサイドトリム17から取り外された場合や、「状況1E,状況1F」として示すように、リアゲート14が開かれる前に、電源プラグ31が電源アウトレット18に取り付けられた場合には、車両移動が許可される。つまり、状況1C~1Fにおいては、リアゲート14が開かれる前に電気製品30の使用が進められており、車内で電気製品30が使用される可能性が高いことから、車両移動が許可されている。このように、各条件の成立順序に基づいて車両移動を禁止することにより、車両移動が許可される状況を拡大することができ、使用者の利便性を高めることができる。
【0050】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。前述の説明では、リアゲート14が開かれているか否かに基づき、車両移動を禁止する否かを判定しているが、これに限られることはない。例えば、リアドア13やフロントドア12が開かれているか否かに基づいて、車両移動を禁止する否かを判定しても良く、リアドア13やフロントドア12に設けられるウィンドウ15,16が開かれているか否かに基づいて、車両移動を禁止する否かを判定しても良い。また、前述の説明では、電源アウトレット18をサイドトリム17に対して着脱自在に設けているが、これに限られることはない。例えば、電源アウトレット18を、内装部品であるセンターコンソールに対して着脱自在に設けても良い。
【0051】
前述の説明では、電源アウトレット18に判定スイッチSW1を設けているが、これに限られることはなく、サイドトリム17に判定スイッチSW1を設けても良い。また、前述の説明では、ロックアクチュエータ53を用いて機械的にセレクトレバー50を固定しているが、これに限られることはない。例えば、セレクトレバー50が前進位置PDや後退位置PRに操作された場合であっても、セレクトレバー50の操作位置を検出するポジションセンサの出力信号をキャンセルすることにより、車両移動を禁止しても良い。また、前述の説明では、電源アウトレット18の近傍に給電スイッチ19を設置しているが、これに限られることはなく、運転席の周辺に給電スイッチ19を設置しても良い。
【符号の説明】
【0052】
10 車両用制御装置
11 車両
12 フロントドア(外装部品,開閉体)
13 リアドア(外装部品,開閉体)
14 リアゲート(外装部品,開閉体)
15 ウィンドウ(外装部品,開閉体)
16 ウィンドウ(外装部品,開閉体)
17 ラゲッジサイドトリム(内装部品)
18 電源アウトレット
21 通電ケーブル
22 インバータ(電力変換機器)
30 電気製品
31 電源プラグ
40 車輪
41 パーキングブレーキ装置(ブレーキ装置,デバイス)
50 セレクトレバー(セレクト操作部)
51 レバーロック装置(ロック装置,デバイス)
60 電源コントローラ(システム起動装置,デバイス)
74 アウトレット状況判定部(第1取付判定部,第2取付判定部)
75 開閉状況判定部(開閉判定部)
76 車外使用判定部(デバイス制御部)
77 停車保持制御部(デバイス制御部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8