(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-25
(45)【発行日】2024-10-03
(54)【発明の名称】情報処理システム、サーバ、情報処理方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0601 20230101AFI20240926BHJP
【FI】
G06Q30/0601 340
(21)【出願番号】P 2021003401
(22)【出願日】2021-01-13
【審査請求日】2023-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000165
【氏名又は名称】弁理士法人グローバル・アイピー東京
(72)【発明者】
【氏名】小口 健太郎
【審査官】野元 久道
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0214596(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0262549(US,A1)
【文献】特開2020-042462(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が所持する利用者端末と、前記利用者端末と通信可能なサーバと、を含む情報処理システムであって、
前記利用者端末は、
商品の商品情報及び前記商品の有効期限に関する期限情報を取得する取得部と、
前記サーバから取得した前記商品の提供価格を含む情報を表示部に表示させる表示制御部と、を有し、
前記サーバは、
前記利用者端末から取得した前記商品情報、前記期限情報、及び、前記商品の重量を計量する計量装置から得られた前記商品の計量情報に基づいて前記商品の提供価格を決定する価格決定部と、
前記価格決定部により決定された前記商品の提供価格を含む情報を前記利用者端末に提供する価格情報提供部と、を有する、
情報処理システム。
【請求項2】
前記価格決定部は、前記商品情報、前記期限情報、前記商品の計量情報、及び、前記利用者端末から取得した前記利用者に関する情報に基づいて、前記商品の提供価格を決定する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記価格決定部は、前記利用者端末から所定の組合せとなる複数の商品情報を取得した場合には、前記複数の商品情報に対応する各商品の価格を、前記複数の商品情報の各々を単独で取得する場合と比較して低くする、
請求項1又は2に記載された情報処理システム。
【請求項4】
前記サーバは、前記利用者が在庫として所有する1以上の商品の商品情報を含む在庫情報を記憶する記憶部を有し、
前記価格決定部は、前記在庫情報に基づいて前記商品の提供価格を決定する、
請求項1又は2に記載された情報処理システム。
【請求項5】
前記価格決定部は、前記商品情報と、前記商品を販売する店舗の閉店時刻とに基づいて前記商品の提供価格を決定する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記サーバは、前記利用者を複数のカテゴリーのいずれかに対応付ける対応付け部を有し、
前記価格決定部は、前記対応付け部により対応付けられたカテゴリーに基づいて前記商品の提供価格を決定する、
請求項1から5のいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記表示制御部は、前記商品の基準価格を示す情報、又は、前記商品の基準価格に対する前記提供価格の変動率を示す情報を前記表示部に表示させる、
請求項1から6のいずれか一項に記載された情報処理システム。
【請求項8】
前記価格決定部は、前記商品を販売する店舗の閉店時刻と、前記商品の残量とに基づいて前記商品の提供価格の開始時刻を決定し、
前記表示制御部は、前記商品の提供価格の開始時刻を示す情報を前記表示部に表示させる、
請求項1から7のいずれか一項に記載された情報処理システム。
【請求項9】
前記表示制御部は、前記商品を購入予定リストに追加する第1操作部、又は、前記購入予定リストに追加された商品の決済を指示する第2操作部を前記表示部に表示させる、
請求項1から8のいずれか一項に記載された情報処理システム。
【請求項10】
前記サーバは、前記利用者端末から得られる第2操作部の指示に応じて、前記購入予定リストに追加された商品の決済処理を行う決済処理部を有する、
請求項9に記載された情報処理システム。
【請求項11】
前記取得部は、前記期限情報を含むコード情報から前記期限情報を取得する、
請求項1から10のいずれか一項に記載された情報処理システム。
【請求項12】
前記サーバと通信可能な店舗端末を含み、
前記サーバは、前記利用者端末に利用者コード情報を提供し、
前記店舗端末は、前記利用者コード情報を読み取った場合に、前記サーバから、前記利用者端末に提供された商品の提供価格を含む情報を取得して、前記商品の決済処理を行う、
請求項1から11のいずれか一項に記載された情報処理システム。
【請求項13】
前記店舗端末は、商品の商品情報及び期限情報を読み取り、かつ前記利用者コードを読み取った場合に、前記サーバから、前記利用者端末に提供された商品の提供価格を含む情報を取得して、前記商品の決済処理を行う、
請求項12に記載された情報処理システム。
【請求項14】
利用者が所持する利用者端末と、情報処理装置と、前記利用者端末及び前記情報処理装置と通信可能なサーバと、を含む情報処理システムであって、
前記情報処理装置は、
商品の商品情報及び前記商品の有効期限に関する期限情報を取得する第1取得部と、
前記商品の重量を計量する計量装置から前記商品の計量情報を取得する第2取得部と、を有し、
前記サーバは、
前記情報処理装置から取得した前記商品情報、前記期限情報、及び、前記計量情報に基づいて前記商品の提供価格を決定する価格決定部と、
前記価格決定部により決定された前記商品の提供価格を含む情報を前記利用者端末に提供する価格情報提供部と、を有し、
前記利用者端末は、前記サーバから取得した前記商品の提供価格を含む情報を表示部に表示させる表示制御部と、を有する、
情報処理システム。
【請求項15】
利用者が所持する利用者端末と通信可能なサーバであって、
前記利用者端末から、商品の商品情報及び前記商品の有効期限に関する期限情報を取得する取得部と、
前記利用者端末から取得した前記商品情報、前記期限情報、及び、前記商品の重量を計量する計量装置から得られた前記商品の計量情報に基づいて前記商品の提供価格を決定する価格決定部と、
前記価格決定部により決定された前記商品の提供価格を含む情報を前記利用者端末に提供する価格情報提供部と、を有する、
サーバ。
【請求項16】
利用者が所持する利用者端末と、前記利用者端末と通信可能なサーバと、による情報処理方法であって、
前記利用者端末が、商品の商品情報及び前記商品の有効期限に関する期限情報を取得して前記サーバに提供し、
前記サーバが、前記利用者端末から取得した前記商品情報、前記期限情報、及び、前記商品の重量を計量する計量装置から得られた前記商品の計量情報に基づいて前記商品の提供価格を決定し、
前記サーバが、決定した前記商品の提供価格を含む情報を前記利用者端末に提供し、
前記利用者端末が、前記サーバから取得した前記商品の提供価格を含む情報を表示部に表示させる、
情報処理方法。
【請求項17】
利用者が所持する利用者端末と通信可能なサーバ
のコンピュータ
に、
前記利用者端末から、商品の商品情報及び前記商品の有効期限に関する期限情報を取得
する手順、
前記利用者端末から取得した前記商品情報、前記期限情報、及び、前記商品の重量を計量する計量装置から得られた前記商品の計量情報に基づいて前記商品の提供価格を決定
する手順、及び、
決定された前記商品の提供価格を含む情報を前記利用者端末に提供する
手順、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、サーバ、情報処理方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えばスーパーマーケット等において生鮮食品等の量り売りされる商品(量り売り商品)の値付けのために計量ラベルプリンタが使用されている。計量ラベルプリンタは、商品の量に応じた値段の情報を含むコード情報が印字されたラベルを発行し、このラベルが商品に貼付される。ラベルが貼付された商品は、ラベルのコード情報がレジでスキャンされ、決済が行われる。
計量ラベルプリンタについては、様々な提案がなされている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年では、購入する商品のバーコードを顧客に読み取らせ、精算まで行うセルフレジシステムが普及しているが、このセルフレジシステムよりもさらに省力化させることで業務効率化を図るべく、レジレスシステム(つまり、レジスタがないシステム)の実現が要請されている。レジレスシステムでは、例えば、利用者が自ら所持する利用者端末を使用して店舗内の商品の価格を表示させ、決済を行うことが想定されている。
しかし、上述したように、量り売り商品に対しては、計量ラベルプリンタによって発行されたラベルのバーコードをレジでスキャンする運用がなされてきたため、利用者端末を使用して価格を表示させることが難しい。また、従来の運用では、量り売り商品に対して柔軟に価格を変動させることも難しい。
【0005】
そこで、本発明は、量り売り商品の価格を容易に提示することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様は、利用者が所持する利用者端末と、前記利用者端末と通信可能なサーバと、を含む情報処理システムであって、前記利用者端末は、商品の商品情報及び前記商品の有効期限に関する期限情報を取得する取得部と、前記サーバから取得した前記商品の提供価格を含む情報を表示部に表示させる表示制御部と、を有し、前記サーバは、前記利用者端末から取得した前記商品情報、前記期限情報、及び、前記商品の重量を計量する計量装置から得られた前記商品の計量情報に基づいて前記商品の提供価格を決定する価格決定部と、前記価格決定部により決定された前記商品の提供価格を含む情報を前記利用者端末に提供する価格情報提供部と、を有する、情報処理システムである。
【発明の効果】
【0007】
本発明のある態様によれば、量り売り商品の価格を容易に提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施形態の価格提示システムのシステム構成を概略的に示す図である。
【
図2】利用者端末の店舗アプリケーションの画面遷移例を示す図である。
【
図3】利用者端末の店舗アプリケーションの画面遷移例を示す図である。
【
図4】第1の実施形態の価格提示システムの各装置の内部構成を示すブロック図である。
【
図5】利用者データベースのデータ構成例を示す図である。
【
図6】購入実績データベースのデータ構成例を示す図である。
【
図7】第1の実施形態の価格提示システムの動作を示すシーケンスチャートである。
【
図8】第1の実施形態の価格提示システムの動作を示すシーケンスチャートである。
【
図9】第2の実施形態の価格提示システムにおいて、利用者端末の店舗アプリケーションの画面例を示す図である。
【
図10】第2の実施形態の利用者データベースのデータ構成例を示す図である。
【
図11】第3の実施形態の価格提示システムにおいて、アプリケーションサーバの動作を示すフローチャートである。
【
図12】第4の実施形態の価格提示システムにおいて利用者在庫データベースのデータ構成例を示す図である。
【
図13】実施形態の変形例において利用者端末の店舗アプリケーションの画面遷移例を示す図である。
【
図14】実施形態の変形例において利用者端末の店舗アプリケーションの画面遷移例を示す図である。
【
図15】実施形態の変形例において利用者端末の店舗アプリケーションの画面遷移例を示す図である。
【
図16】実施形態の変形例において、利用者端末に利用者コードを表示させるときの動作を示すシーケンスチャートである。
【
図17】第5の実施形態の価格提示システムにおいて利用者端末に価格を表示させる手順を示す図である。
【
図18】第5の実施形態の価格提示システムにおいて利用者端末に価格を表示させる手順を示すとともに、システム構成を概略的に示す図である。
【
図19】第5の実施形態の価格提示システムの動作を示すシーケンスチャートである。
【
図20】第6の実施形態の価格提示システムのシステム構成を概略的に示す図である。
【
図21】第7の実施形態の価格提示システムのシステム構成を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示において、商品の「商品情報」とは、商品を特定する情報である。例えば、商品名称、商品コード、商品ID、商品型式等は、商品情報の一例である。商品IDは、商品を特定する識別情報である。
本開示において、商品の「期限情報」とは、利用者が当該商品を使用可能、賞味可能、又は、消費可能であるか否かの指標を示す有効期限に関する情報である。有効期限の例としては、使用期限、賞味期限、消費期限、品質保証期限等が挙げられる。また、青果等の商品の収穫日や店舗への入荷日、食べ頃、生鮮食品の生産日等は、商品の有効期限に関連した情報であるため、商品の収穫日や店舗への入荷日、食べ頃、生鮮食品の生産日等の情報も期限情報の一例である。
本開示において、商品の「基準価格」とは、店舗において値下げ等の価格変更を行う前の基準となる商品の価格を意味する。以下の説明において、通常価格は、基準価格の一例である。
【0010】
本開示において、商品から商品情報及び期限情報を取得する方法を限定せず、様々な方法を採ることができる。
例えば、商品情報及び期限情報に対応するコード情報が商品に表示されている場合には、当該コード情報を読み取ることで商品情報及び期限情報を取得することができる。また、商品情報及び期限情報に対応する文字情報(ヒューマンリーダブル文字)が商品に表示されている場合には、当該文字情報を含む画像を撮像し、当該画像から画像認識技術によって文字情報を取得することもできる。ここで、商品にコード情報又は文字情報が表示されている態様として、コード情報又は文字情報が商品の外装品に印刷されている態様や、コード情報又は文字情報が印字されているラベル等の印字媒体が商品自体、若しくは商品の外装品に貼付されている態様等が含まれる。コード情報は、1次元コード(バーコード)でも2次元コードでもよい。
なお、以下では、商品に表示されているバーコードを読み取ることにより商品情報及び期限情報を取得する場合を例として説明する。
【0011】
(1)第1の実施形態
(1-1)システム構成
図1を参照して、本実施形態の価格提示システム1のシステム構成を説明する。価格提示システム1は、店舗の利用者に対して店舗で販売されている量り売り商品(以下、適宜、単に「商品」という。)の価格を提示可能となるように構成されている。
図1に示すように、本実施形態の価格提示システム1は、店舗で買い物を行う利用者が所持する利用者端末3と、商品を計量する計量装置4と、アプリケーションサーバ5と、決済代行サーバ7とを含み、利用者に店舗内の商品の価格を提示可能とするように構成される。本実施形態の例では、店舗は、商品として賞味期限を有する生鮮食品等を扱うスーパーマーケット等の小売業である。
【0012】
利用者端末3には、店舗で買い物を行うときに当該店舗内の商品の価格を利用者に提示するための店舗アプリケーションがインストールされている。利用者端末3は、ネットワークNWを介してアプリケーションサーバ5と通信可能である。ネットワークNWは、例えばインターネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等である。
【0013】
計量装置4は、量り売り商品の計量を行う装置であり、利用者端末3と通信可能に構成されている。通信プロトコルは限定しないが、例えばBluetooth (登録商標) Low Energy(BLE)を利用することができる。
【0014】
アプリケーションサーバ5は、利用者端末3の店舗アプリケーションからの問合せ、又は要求に応じて、所定の処理を行い、処理結果を店舗アプリケーションに返すように構成される。所定の処理は、例えば、店舗アプリケーションが商品から取得した商品情報や賞味期限等の期限情報、計量情報に基づいて、利用者に対する提供価格を決定する処理等である。
【0015】
決済代行サーバ7は、ネットワークNWを介してアプリケーションサーバ5と通信可能であり、店舗内の利用者の商品の決済を代行するサービスを提供する。利用者が店舗アプリケーションを介して商品の決済を行わない場合、本実施形態の価格提示システム1には、決済代行サーバ7は必要ない。
【0016】
店舗には、例えば、量り売り商品に対応する電子棚札ESLが配置される。電子棚札ESLには、対応する商品の商品ID(商品情報の一例)と収穫日や入荷日等の期限情報を含むコード情報C2が表示されている。商品IDと期限情報が含まれる限り、コード情報C2のコード形式は問わないが、バーコード(1次元コード)とする場合には、例えばGS1-128等のCODE128を採用することができる。CODE128は、アスキーコード128文字を全てバーコード化できるため、商品IDと期限情報を含むように構成することができる。コード情報C2は、GS1データマトリックス等の2次元コードであってもよい。
なお、電子棚札ESLはコード情報C2を表示させるための一例に過ぎず、例えば紙のラベルにコード情報C2が印字されていてもよい。また、コード情報C2の代わりに、電子棚札ESLや紙のラベル等に、商品情報や期限情報が示されていてもよい。
【0017】
次に、
図2を参照して、利用者端末3の店舗アプリケーションの利用方法の一例について説明する。
図2は、利用者端末3の店舗アプリケーションの画面遷移例を示す図である。
店舗アプリケーションを実行することで利用者は、店舗内の各商品の通常価格と値下げ価格とを確認でき、自身が選択した商品の決済を行うことができる。
図2の画面G1~G3は、利用者が商品の価格を確認し、購入予定リスト(カゴ)に商品を追加する場合の店舗アプリケーションの利用方法を示している。
【0018】
利用者が利用者端末3において店舗アプリケーションを起動すると、
図2の画面G1に示すように、利用者端末3に備わる撮像機能が連動し、撮像された画像がウィンドウw1に表示される。画面G1では、量り売り商品に対応する電子棚札ESLのコード情報C2をウィンドウw1に表示させた状態を示している。
店舗アプリケーションは、コード情報C2の読み取り(スキャン)を行う。次いで利用者が、
図1に示すように、電子棚札ESLに対応する量り売り商品Pを計量装置4に載せると、店舗アプリケーションは、計量装置4から送信される量り売り商品Pの計量情報を受信し、受信した計量情報と、コード情報C2から得られた商品ID及び期限情報と、を含む価格問合せをアプリケーションサーバ5に送信する。店舗アプリケーションは、アプリケーションサーバ5から量り売り商品Pの通常価格と値下げ価格の情報を取得して表示する。
【0019】
画面G1に続いて表示される画面G2のウィンドウw2には、商品IDに対応する商品名称(「シャインマスカット」)、1キログラム当たりの通常価格、1キログラム当たりの値下げ価格、計量情報としての正味量、正味量に対応する価格、及び、賞味期限の情報が含まれる。なお、コード情報C2が読み取られた商品Pが値下げ対象の商品でない場合には、当該商品が値下げ対象でないことを表示してもよい。ウィンドウw2には、値下げ価格と通常価格からの値引き率(あるいは変動率)の情報を含めてもよい。
【0020】
利用者は、ウィンドウw2に含まれる情報を見て、購入予定リスト(カゴ)に量り売り商品Pを追加するか否かの選択を行うことができる。量り売り商品Pを購入予定リストに追加する場合には、利用者が画面G2に表示されているボタンb1(「カゴに入れる」;第1操作部の一例)を操作することで画面G3が表示され、量り売り商品Pが購入予定リストに追加されたことが利用者に通知される(ウィンドウw3)。その場合、利用者は、計量装置4に載せた量り売り商品Pを店舗の実際のカゴ又は買い物カートの中に入れる。
【0021】
図2の画面G1~G3では、量り売り商品の価格を表示し、量り売り商品を購入予定リストに追加する場合を記載しているが、店舗アプリケーションは、量り売りではない商品に対しても利用することができる。例えば、店舗アプリケーションは、量り売りではない商品、又は、当該商品に対応する電子棚札に付されているコード情報をスキャンすることで、アプリケーションサーバ5に対して価格問合せを行って商品の価格を表示させ、利用者の操作に応じて商品を購入予定リストに追加することができる。
【0022】
図3の画面G4,G5は、利用者が購入予定リストを確認し、商品の決済を行う場合の店舗アプリケーションの利用方法を示している。
利用者は、商品の価格を確認して購入予定リストに追加した後に決済を行う場合には、画面G2又はG3においてボタンb2(「カゴの中を見る」)を操作し、購入予定リストBLを含む画面G4を表示させる。購入予定リストBLには、それまでに追加された商品の一覧(各商品の商品名称、数量又は重量、価格)と価格の合計金額とが含まれる。購入予定リストBLに表示される商品の価格は、当該商品が値下げ対象商品である場合には値下げ価格であり、値下げ対象商品でない場合には通常価格である。
図示しないが、利用者は、例えば予算オーバーのため購入予定リストBLから特定の商品の購入を中止する場合には、当該商品を購入予定リストBLから削除する操作を行うことができる。その場合、利用者は、店舗のカゴ又は買い物カートの中から購入を中止する商品を店舗の棚に戻す。
【0023】
画面G4において、購入予定リストBLが確定した場合、利用者がボタンb3(決済ボタン;第2操作部の一例)を操作することで、店舗アプリケーションは、アプリケーションサーバ5に対して決済要求(又は決済指示)を行い、後述するようにネットワーク上で決済処理が完了する。決済処理が完了すると、店舗アプリケーションは、決済済コードとしてコード情報C4を含む画面G5を表示する。決済済コードは、商品の決済が完了したことを示しており、決済を特定する決済ID(後述する)を含む。ここでは、決済済コードとして2次元コードの例を示しているが、バーコード等であってもよい。
【0024】
決済済コードは、カゴの中の商品の決済が完了したことを店舗又は店舗スタッフに対して通知するために利用される。
例えば、決済済コードを店舗スタッフに見せることで利用者が店舗を退出ことができるように構成してもよいし、決済済コードを店舗内の所定の装置に読み取らせることで店舗を退出できるようにゲートが開くように構成してもよい。その場合、利用者はレジ待ちの列に並ぶ必要がなく、店舗のレジスタッフが商品の決済を行う必要がないため、利用者と店舗の双方に利点がある。
店舗のレジスタッフがスキャナ等で決済済コードを読み取ることで利用者がレジを通過できるように構成してもよい。その場合でも、店舗のレジスタッフがカゴの中の個々の商品のコード情報を読み取る作業を行う必要がなく、また、利用者は短時間でレジを通過できるため、利用者と店舗の双方に利点がある。
【0025】
(1-2)システム内の各装置の構成
次に、
図4を参照して、本実施形態の価格提示システム1内の各装置の構成について説明する。
図4は、本実施形態の価格提示システム1において利用者端末3、計量装置4、及び、アプリケーションサーバ5の内部構成を含むブロック図である。
【0026】
(1-2-1)利用者端末3
図4に示すように、利用者端末3は、制御部31、ストレージ32、操作入力部33、表示部34、撮像部35、コードリーダ36、及び、通信部37を備える。
制御部31は、マイクロプロセッサを主体として構成され、利用者端末3全体を制御する。例えば、制御部31に含まれるマイクロプロセッサは、ストレージ32に記録されている店舗アプリケーションのプログラムをロードして実行し、その実行結果を表示部34に表示する。
ストレージ32は、不揮発性のメモリであり、例えばフラッシュメモリ等のSSD(Solid State Drive)であってもよい。ストレージ32は、店舗アプリケーションのプログラムのほか、店舗アプリケーションを実行することで作成されたデータ、ファイル等を記憶する。
【0027】
店舗アプリケーションを実行することで、制御部31は、以下の機能を実現する。
(1-i) 商品、電子棚札、あるいは、商品に付随されているラベル等に表示されているコード情報等から商品の商品情報や期限情報等を取得する機能
(1-ii) 商品の利用者に対する提供価格の価格問合せをアプリケーションサーバ5に送信する機能
(1-iii) 商品の提供価格の情報(後述する価格データ)をアプリケーションサーバ5から受信し(取得し)、取得した商品の提供価格の情報を表示部34に表示させる表示制御部としての機能
(i-iv) 決済要求をアプリケーションサーバ5に送信する機能
なお、表示制御部は、提供価格の情報に限られず、店舗アプリケーションを実行することで様々な情報を表示部34に表示させる機能を有する。
また、制御部31は、商品の提供価格の情報を表示部34に表示させることに代えて、あるいは、表示部34に表示させるとともに、商品の提供価格を音声出力する機能を備えてもよい。その場合は、利用者端末3は、音声処理部及びスピーカを備える。
【0028】
操作入力部33は、例えば、利用者端末3の表示パネルに設けられたタッチパネル型入力デバイスである。操作入力部33は、表示パネルに対する操作入力を店舗アプリケーションに通知する。
表示部34は、例えば液晶表示パネルや有機ELパネルを含み、店舗アプリケーションの実行結果を表示する。また、表示部34は、撮像部35によって生成されるデジタル画像信号を表示する。
撮像部35は、例えば、光学レンズと、光学レンズからの入射光を電気信号に変換する撮像素子(イメージセンサ)と、を有し、デジタル画像を逐次生成し、表示部34に出力する。
【0029】
コードリーダ36は、撮像部35によって生成される画像信号に含まれるコード情報を解析して、コード情報からデータ(つまり、商品ID等の商品情報や期限情報)を抽出(取得)する。
通信部37は、アプリケーションサーバ5との間で通信を行うための通信インタフェースと、計量装置4との間で通信を行うための通信インタフェースと、を含む。通信部37は、計量装置4と通信を行うことで量り売り商品の計量情報を受信する。
【0030】
(1-2-2)計量装置4
図4に示すように、計量装置4は、制御部41、測定部42、操作入力部43、表示部44、及び、通信部45を備える。
制御部41は、マイクロプロセッサを主体として構成され、計量装置4全体を制御する。例えば、制御部41は、測定部42によって測定値が得られると、測定値を含む計量情報を、計量装置4の近くにある利用者端末3に送信するようにプログラムされている。
測定部42は、所定の計測領域に載せられた商品の重量を測定する重量センサを有する。
操作入力部43は、例えば電源ボタンや表示切替ボタン(例えば、重量単位の切り替え)等の操作ボタンと、操作ボタンに対する入力を制御部41に送信する入力回路とを有する。
表示部44は、例えば液晶表示パネルや有機ELパネルを含み、測定部42による測定値を表示する。
通信部45は、利用者端末3と通信を行うための通信インタフェースである。
【0031】
(1-2-3)アプリケーションサーバ5
図4に示すように、アプリケーションサーバ5は、制御部51、ストレージ52、及び、通信部53を備える。
制御部51は、マイクロプロセッサを主体として構成され、アプリケーションサーバ5全体を制御する。例えば、制御部51に含まれるマイクロプロセッサは、ストレージ52に記録されているサーバプログラムをロードして実行する。
ストレージ52は、例えばHDD(Hard Disk Drive)等の大容量記憶装置であり、サーバプログラムのほか、利用者データベース(利用者DB)及び購入実績データベース(購入実績DB)を記憶する。利用者データベース及び購入実績データベースは、サーバプログラムを実行するときに、適宜、制御部51からアクセスされる。利用者データベース及び購入実績データベースについては、後で例示により説明する。
図示しないが、ストレージ52は、店舗で販売される各商品の通常価格のデータ(つまり、各商品IDに対応する通常価格のデータ;量り売り商品の場合には、1キログラム等の基準重量当たりの通常価格のデータ)を記憶している。通常価格のデータは、値下げ価格を決定するときに制御部51によって参照される。ストレージ52は、店舗に陳列されている各商品IDに期限情報(例えば、収穫日や入荷日、食べ頃、生産日の情報)を対応付けた在庫情報を記憶することが好ましい。
通信部53は、利用者端末3及び決済代行サーバ7との間で通信を行うための通信インタフェースである。
【0032】
図5に、利用者データベースの構成例を示す。
図5に例示する利用者データベースの各レコードは、「利用者ID」、「利用者名称」、「決済手段」の各フィールドの値を含む。ここで、「利用者ID」フィールドの値は、利用者に割り当てられる識別情報である。「利用者名称」フィールドの値は、利用者が店舗アプリケーションを利用者端末3にインストールするタイミングで、利用者の操作入力に基づいて取得され、利用者データベースに記録される。「決済手段」フィールドの値は、利用者が店舗アプリケーションを利用者端末3にインストールするタイミング、又は、インストール後の任意のタイミングで、利用者の操作入力に基づいて取得され、利用者データベースに記録あるいは更新される。
「決済手段」フィールドの値は、利用者に対して商品の決済を行うのに必要なデータであり、例えば、クレジットカード番号の情報、及び/又は、電子マネーに関連する情報(プリペイド番号等)である。「決済手段」フィールドの値は、利用者IDに対応する利用者が決済を行うときに決済代行サーバ7に提供される。
【0033】
図6に、購入実績データベースの構成例を示す。
図6に例示する購入実績データベースの各レコードは、「利用者ID」、「決済ID」、「決済発生日時」、及び、「購入内容」の各フィールドの値を含む。ここで、「決済ID」フィールドの値は、対応する利用者の個々の決済ごとに一意に割り当てられるデータである。「決済発生日時」フィールドの値は、決済IDによって特定される決済が発生した日時を示す。
「購入内容」フィールドは、「商品ID」、「商品名称」、「価格」、及び、「個数」の各サブフィールドを含む。各サブフィールドの値は、決済IDによって特定される決済の対象となる購入内容の詳細のデータを示す。
なお、店舗のPOS(図示せず)は、購入実績データベースからデータを読み出すことで、店舗アプリケーションを利用した売上データと、店舗アプリケーションを利用せずに決済された売上げデータとを集計することができる。
【0034】
再度
図4を参照すると、アプリケーションサーバ5の制御部51は、サーバプログラムを実行することで、価格決定部511、価格情報提供部512、及び、決済処理部513の機能を実現する。
価格決定部511は、利用者端末3の店舗アプリケーションによって取得された商品ID、期限情報、及び、計量装置4から得られた計量情報に基づいて商品の提供価格を決定する機能である。量り売り商品の基準重量(例えば1キログラム)当たりの価格については、商品IDごとに決められており、計量情報に応じて量り売り商品の正味量に応じた通常価格が決定される。価格決定部511は、期限情報に応じて提供価格を通常価格から値下げ価格に変動させることがある。
例えば、商品の売れ残りを無くすために、賞味期限に近ければ近いほど値下げ価格が低くなるようにする。一部の商品を賞味期限に関わらず値下げしてもよく、その場合には、商品IDのみに基づいて値下げ価格が決定される。
商品の値下げ価格は、店舗における当該商品の在庫状況に応じて決定されてもよい。例えば、商品の店舗への入荷日に応じて店舗の在庫状況が変動するため、商品の値下げ価格は、期限情報としての当該入荷日に応じて変動しうる。
価格決定部511は、好ましくは、所定のアルゴリズムを用いて提供価格を算出する。アルゴリズムを用いた商品の提供価格の算出は、商品の賞味期限だけでなく、気候や立地、在庫状況、過去の販売履歴などのさまざまな情報を考慮して行われる。このようなアルゴリズムでは、人工知能を利用することもできる。
なお、価格決定部511は、利用者端末3の店舗アプリケーションから商品IDのみを取得することで提供価格を決定してもよい。この場合、価格決定部511は、店舗アプリケーションから商品IDを取得した後、在庫情報を参照して商品IDに対応する期限情報を特定し、商品の提供価格を算出する。
【0035】
商品の値下げ価格の決定は様々な観点から行うことができる。
例えば、価格決定部511は、商品ID、期限情報、及び利用者に関する情報(利用者ID等)のうち少なくとも一つに基づいて、商品の値下げ価格を決定してもよい。それによって、利用者の属性に応じて柔軟に値下げ価格を決定することができる。
ここで、利用者に関する情報は、例えば、利用者の年令、性別、住所等の情報である。店舗アプリケーションは、例えば利用者の入力操作によって利用者に関する情報を取得し、取得した利用者に関する情報をアプリケーションサーバ5に送信する。アプリケーションサーバ5は、受信した利用者に関する情報を例えば利用者データベースに記録する。
例えば、利用者に関する情報が示す利用者の年令が商品の対象年令の範囲内に含まれる場合には、当該商品の対象年令の範囲内に含まれない年令の利用者よりも大きく値引きしてもよい。利用者に関する情報が示す利用者の性別が男性の場合には、女性の利用者よりも男性向け商品を大きく値引きしてもよい。
【0036】
価格決定部511は、商品IDと、商品を販売する店舗の閉店時刻とに基づいて、当該商品の提供価格を決定してもよい。それによって、店舗の閉店までに商品を売り尽くす可能性を高めることができる。例えば、特定の商品の値下げ価格を、店舗の閉店時刻に近くなればなるほど低下させるようにする。特定の商品は、店舗がその日のうちに売り切りたい商品であり、例えば総菜等である。
【0037】
価格決定部511は、商品IDと、店舗アプリケーションから価格問合せを受けた時刻(つまり、利用者が商品のスキャン操作を行った時刻)と、店舗の閉店時刻と、当該商品IDに対応する商品の店舗での残量とに基づいて、提供価格を決定してもよい。それによって、店舗の閉店までに商品を売り尽くす可能性をさらに高めることができる。例えば、価格問合せを受けた時刻と店舗の閉店時刻の時間が短いほど値下げ価格を低くし、商品の残量が多いほど値下げ幅を大きくする。商品に応じて、価格問合せを受けた時刻と店舗の閉店時刻の時間と値下げ幅の関係、又は、商品の残量と値下げ幅の関係を変動させてもよい。どうしても売り切りたい商品については、より値下げ幅を大きくすることが好ましい。
【0038】
価格情報提供部512は、価格決定部511により決定された商品の提供価格を含む情報を利用者端末3に提供する機能である。価格情報提供部512は、例えば利用者端末3の店舗アプリケーションに対して商品の通常価格及び値下げ価格を含む情報を提供する。例えば
図2の画面G2に含まれる情報が価格情報提供部512によって提供される。
【0039】
決済処理部513は、利用者端末3から得られる決済ボタンの操作指示(つまり、決済要求)に応じて、購入予定リストに追加された決済処理を、決済代行サーバ7と協働して行う機能である。決済処理部513は、利用者名称及び決済手段のデータを利用者データベースから読み出して、決済代行サーバ7に提供する。決済処理部513はまた、店舗アプリケーションから決済要求を受信したときに、購入実績データベースに新たなレコードを作成する。決済処理部513によりレジレスでの決済が可能となる。
【0040】
(1-3)価格提示システム1の動作
次に、
図7及び
図8を参照して、本実施形態の価格提示システム1の動作について説明する。
図7は、利用者が量り売り商品の価格を確認し、購入予定リストに商品を追加する場合の価格提示システム1の動作を示すシーケンスチャートである。
図8は、利用者が量り売り商品の決済を行う場合の価格提示システム1の動作を示すシーケンスチャートである。
【0041】
先ず
図7を参照すると、例えば
図2の画面G1に示したように、利用者が量り売り商品の電子棚札に表示されているコード情報を利用者端末3に表示させることで、店舗アプリケーションは、コード情報の読み取り(スキャン)を行う(ステップS2)。このコード情報には、商品の商品IDと期限情報が含まれる。
【0042】
次いで、利用者が商品を計量装置4に載せる操作を行うと、計量装置4が商品の重量を測定して計量情報を取得するとともに(ステップS4)、利用者の利用者端末3との間でBLEによる通信を確立して計量情報を利用者端末3の店舗アプリケーションに送る(ステップS6)。
店舗アプリケーションは、ステップS2において商品IDと期限情報を取得し、ステップS4において計量情報を取得すると、商品ID、期限情報、及び、計量情報を含む価格問合せをアプリケーションサーバ5に送信する(ステップS8)。アプリケーションサーバ5は、受信した価格問合せに含まれる商品ID、期限情報、及び、計量情報等に基づいて、利用者に対する提供価格を決定し(ステップS10)、店舗アプリケーションに価格データを返す(ステップS12)。
【0043】
ステップS10において決定される提供価格は、商品IDごとに定められた基準重量(例えば1キログラム)当たりの価格と計量情報とに基づく正味量に応じた通常価格、又は、例えば期限情報に応じて通常価格から値下げがなされた値下げ価格である。アプリケーションサーバ5は、更に利用者IDに対応する値下げ価格を決定してもよい。
ステップS12において送信される価格データには、通常価格と値下げ価格のデータ等が含まれる。値下げ対象でない商品に対する価格データには、通常価格のデータが含まれる。
【0044】
価格データを受信すると、店舗アプリケーションは、例えば
図2の画面G2に示したように、商品の通常価格、値下げ価格、及び、期限情報等を利用者端末3に表示する(ステップS14)。
例えば
図2の画面G2において利用者がボタンb1(「カゴに入れる」)を操作すると(ステップS16:YES)、店舗アプリケーションは、ステップS14に表示された商品を購入予定リストに追加するように、購入予定リストを更新する(ステップS18)。
【0045】
次に
図8を参照すると、例えば
図3の画面G4に示したように、利用者が決済ボタンを操作すると(ステップS20:YES)、店舗アプリケーションは、表示されている購入予定リストを含む決済要求をアプリケーションサーバ5に送信する(ステップS22)。アプリケーションサーバ5は、店舗アプリケーションから決済要求を受信すると、利用者名称及び決済手段のデータを利用者データベースから読み出し、読み出した利用者名称及び決済手段のデータと、決済額(購入予定リストの合計金額)のデータとを含む決済要求を決済代行サーバ7に送信する(ステップS24)。決済代行サーバ7は、アプリケーションサーバ5から提供されたデータを基に決済処理を行い(ステップS26)、決済処理が完了すると、アプリケーションサーバ5に決済完了通知を送信する(ステップS28)。
決済が完了すると、アプリケーションサーバ5は、新たな決済IDを発行するとともに(ステップS30)、購入実績データベースに新たなレコードを作成することで購入実績データベースを更新する(ステップS32)。
【0046】
次いで、アプリケーションサーバ5は、ステップS22の決済要求に対応する決済完了通知を店舗アプリケーションに送信する(ステップS34)。この決済完了通知には、ステップS30で発行された決済IDが含まれる。店舗アプリケーションは、受信した決済完了通知に含まれる決済IDを含む2次元コードである決済済コードを作成し(ステップS36)、例えば
図3の画面G5に示したように、利用者端末3に表示する(ステップS38)。
【0047】
以上説明したように、本実施形態の価格提示システム1によれば、店舗内において利用者は、利用者端末3を利用して量り売り商品の提供価格を認識することができる。すなわち、店舗の利用者が自ら所持する利用者端末3を使用することで、従来の運用のようにラベルを介することなく店舗内の量り売り商品の価格を表示させることができる。
利用者は、利用者端末3に店舗アプリケーションがインストールされていれば、自ら量り売り商品を計量装置4に載せることで、商品の提供価格を利用者端末に表示させることができ、さらに決済を行うことができる。つまり、量り売り商品に対するレジレス機能を実現することができる。また、利用者に対する提供価格は、商品情報、期限情報、及び、計量情報等に基づいてアプリケーションサーバで決定される。そのため、店舗側にとっても、量り売り商品の提供価格を例えば賞味期限を考慮して柔軟に変動させる(例えば、値下げする)ことが可能となるため、期限情報に対応させた商品の販促を図ることができる。
また、店舗側では、商品の期限情報に基づいて、当該商品の適正在庫に応じた適用価格を決定することができるため、例えば食品ロスを低減させることができる。
【0048】
(2)第2の実施形態
次に、第2の実施形態の価格提示システムについて、
図9及び
図10を参照して説明する。なお、以下の各実施形態の説明は、第1の実施形態とは異なる点に注目して行う。
本実施形態の価格提示システムは、利用者ステータス(カテゴリーの一例)に応じて利用者に対する提示価格が異なる場合がある点で第1の実施形態の価格提示システム1とは異なる。利用者ステータスは、様々な観点で設定することが可能である。例えば、利用者ステータスは、利用者による商品の購入実績、利用者の属性(年令、性別、要介護者であるか否か等)、利用者が別の利用者を勧誘した実績などによって決定することができる。
本実施形態では、アプリケーションサーバ5の制御部51は、利用者を複数の利用者ステータスのいずれかに対応付ける対応付け部として機能する。価格決定部511(
図4参照)は、対応付け部により対応付けられた利用者ステータスに基づいて商品の値下げ価格を決定する。
【0049】
例えば、利用者ステータスがプラチナ、ゴールド、シルバー(この順に優良顧客であるとする。)に分類される場合を想定する。この場合、
図9には、利用者ステータスがゴールドの場合(画面G6)と、利用者ステータスがプラチナの場合(画面G7)とで、利用者に対する提供価格の例を示す。画面G6及び画面G7は、それぞれ
図2の画面G2に対応する画面である。
図9の例では、画面G7のウィンドウw2bに含まれるプラチナ会員向け価格が、画面G6のウィンドウw2aに含まれるゴールド会員向け価格よりも低くなっており、プラチナ会員の方が優遇されていることがわかる。
【0050】
本実施形態の利用者データベースの例を
図10に示す。
図10の利用者データベースは、第1の実施形態の利用者データベース(
図5参照)と比較して、各レコードに「利用者ステータス」フィールドの値が追加された点が異なる。「利用者ステータス」フィールドの値は、例えば、プラチナ、ゴールド、シルバー等を示すデータである。
例えば、利用者ステータスを利用者による商品の購入実績で決定する場合、アプリケーションサーバ5の制御部51は、購入実績データベース(
図6参照)を参照する。購入実績データベースに基づいて各利用者の購入実績の総額を算出し、算出した総額を各利用者ステータスに応じた閾値と比較することで、利用者ごとに利用者ステータスを決定することができる。
本実施形態の価格提示システムでは、アプリケーションサーバ5は、利用者ステータスに応じて提供価格(値下げ価格)を決定する。例えば、第1の実施形態のアプリケーションサーバ5において価格決定部511が算出した値下げ価格がシルバー会員用の価格である場合、ゴールド会員用、及び、プラチナ会員用の値下げ価格を、シルバー会員用の値下げ価格から所定量又は所定比率低下させた価格とすることができる。
【0051】
本実施形態の価格提示システムによれば、利用者ステータスに応じて利用者に提供される値下げ価格を柔軟に設定することができる。特に、利用者ステータスを利用者による商品の購入実績によって決定、更新する場合には、店舗における利用者の商品の購入を促進することができる。また、上位の利用者ステータスの利用者を優遇することで優良顧客の囲い込みを図ることができる。
【0052】
(3)第3の実施形態
次に、第3の実施形態の価格提示システムについて、
図11を参照して説明する。
本変形例の店舗アプリケーションは、利用者に対して商品の販促のためのキャンペーン情報を表示するように構成される。例えば、カレー粉の販売を促進するためにカレーキャンペーンが行われる場合には、店舗アプリケーションは、カレーの具材となるジャガイモ、玉葱、人参のいずれかを利用者が購入した場合に通常より値下げして販売することを利用者に告知する。ジャガイモ、玉葱、人参を組み合わせて購入した場合に、ジャガイモ、玉葱、人参の価格をさらに値下げして販売することを利用者に告知してもよい。
【0053】
例えば、ジャガイモ、玉葱、人参が量り売り商品である場合、各商品を店舗アプリケーションの購入予定リストに含める操作は、第1の実施形態に示した通りである。本実施形態では、購入予定リストを含む決済要求をアプリケーションサーバ5が受信した場合に(
図8のステップS22参照)、購入予定リストに含まれる商品の組合せに応じて決済額が調整される。
【0054】
アプリケーションサーバ5によって実行される決済額の調整処理のフローチャートを
図11に示す。
図11のフローチャートは、
図8のステップS22においてアプリケーションサーバ5が決済要求を受信した場合の処理を示している。
アプリケーションサーバ5は、決済要求を受信すると(ステップS23a)、決済要求に含まれる購入予定リストにキャンペーンに対応する商品IDが含まれるか否か判断する(ステップS23b)。例えば、上述したカレーキャンペーンの例では、購入予定リストにジャガイモ、玉葱、人参に対応する商品IDの少なくともいずれかが含まれるか否か判断する。
【0055】
購入予定リストにキャンペーンに対応する所定の組合せの商品が含まれていない場合には(ステップS23b:NO)、アプリケーションサーバ5は、決済額を調整しない(ステップS23d)。
他方、購入予定リストにキャンペーンに対応する商品IDが含まれている場合には(ステップS23b:YES)、アプリケーションサーバ5は、決済額を調整する(ステップS23c)。具体的には、所定の組合せを構成する各商品の提供価格を、例えばキャンペーンで規定される値下げ率に応じて値下げした価格として、決済額を算出する。例えば、ジャガイモの正味量に応じた提供価格が300円であって、キャンペーンで規定される値下げ率が20%である場合、提供価格を240円に値下げする。例えば、提供価格が値下げ価格であれば、そこからさらに20%値下げする。そして、ジャガイモ、玉葱、人参の各商品をそれぞれ個別に購入する場合(つまり、購入予定リストに各商品が単独で含まれている場合)に決定される提供価格を比較して低額となるように、決済額が調整される。
ステップS23b及びステップS23cでは、購入予定リストに所定の商品IDの組合せ(カレーキャンペーンの例では、ジャガイモ、玉葱、人参に対応する商品IDの組合せ)が含まれている場合、決済額がさらに低くなるように調整される。
【0056】
本実施形態によれば、店舗アプリケーションを通して利用者がキャンペーンに対応する量り売り商品やキャンペーンに対応する量り売り商品を組み合わせて購入することを促進することができる。また、決済額の調整がアプリケーションサーバ5で行われるため、店舗側において決済額を調整する負担がないという利点がある。
【0057】
商品の組合せによって値下げを行うのは、上記キャンペーンに限られない。例えば、店舗アプリケーションにおいて、例えば夜の献立を紹介し、当該献立のレシピを構成する商品を購入する場合、またその組合せで購入する場合に段階的に値下げするようにしてもよい。
【0058】
(4)第4の実施形態
次に、第4の実施形態の価格提示システムについて、
図12を参照して説明する。
本変形例では、店舗アプリケーションが、利用者の自宅在庫の管理を行う機能を有する。
本変形例では、例えば、利用者端末3の店舗アプリケーションが、商品の自宅在庫を管理する。例えば、アプリケーションサーバ5のストレージ52(記憶部の一例)は、利用者在庫データベースを記憶する。
図12は、利用者在庫データベースの構成例を示す。
図12に示すように、利用者在庫データベースは、利用者IDごとに、利用者が在庫として所有する1以上の商品に関する情報を含む在庫情報を有する。アプリケーションサーバ5は、商品の購入予定リストに対する決済が完了する都度、購入予定リストに含まれる各商品のデータを利用者在庫データベースに追加する。利用者による商品の消費又は廃棄が行われた場合、店舗アプリケーションは、例えば利用者による操作に基づいて、利用者在庫データベースのうち選択された商品を自宅在庫データベースから削除することをアプリケーションサーバ5に要求する。
【0059】
アプリケーションサーバ5が利用者在庫データベースを記憶しているため、アプリケーションサーバ5は、各利用者の自宅の商品在庫を可視化でき、店舗アプリケーションを通して各利用者に応じた商品の販売を促進することができる。
例えば、利用者在庫データベースを参照し、利用者が在庫として通常所有する特定の商品(例えば、卵やトマト)の数量が少ない場合には、当該商品の販売を促進するために、当該利用者に対して店舗アプリケーションを通して商品の販促を行う。店舗アプリケーションには、例えば「トマトが少なくなっています。」というメッセージを通知してもよいし、さらに「今ならトマトを購入すると値下げします。」というメッセージを通知してもよい。後者の場合、アプリケーションサーバ5は、決済要求に含まれる購入予定リストに、値下げ対象となる商品が含まれている場合に、正味量に応じて決定される価格を値下げして決済額を決定する。
【0060】
利用者在庫データベースを参照して、利用者の1以上の商品の賞味期限が近い場合には、所定の複数の献立の中から、当該1以上の商品を含むレシピの献立を選択して、選択した献立を店舗アプリケーションを通して当該利用者に提案するように構成してもよい。その場合、選択された献立のレシピに含まれる商品を利用者が購入する場合に、当該商品を値下げしてもよい。この場合、アプリケーションサーバ5は、利用者に対して予め提案した献立に含まれるレシピを構成する商品群と、決済要求に含まれる購入予定リストに含まれる商品とを比較することにより、決済額を調整する処理を行う。
【0061】
(5)実施形態の変形例
次に、実施形態の変形例に係る価格提示システムについて説明する。
【0062】
(5-1)第1変形例
以下、第1変形例について説明する。
アプリケーションサーバ5の価格決定部511は、量り売り商品を値下げする場合、値下げ価格の開始時刻を決定してもよい。決定された値下げ価格の開始時刻を示す情報は、アプリケーションサーバ5から店舗アプリケーションに送信されて利用者端末3の表示部34に表示される。つまり、利用者端末3の制御部31は、商品の値下げ価格の開始時刻を示す情報を表示部34に表示させる表示制御部として機能してもよい。
【0063】
本変形例では、アプリケーションサーバ5の価格決定部511は、商品を販売する店舗の閉店時刻と、当該商品の残量とに基づいて、当該商品の値下げ価格の開始時刻を決定する。
例えば、商品の値下げ価格の開始時刻は、店舗の閉店時刻の所定時間前としてもよい。このとき、所定時間は、商品の残量(売れ残り数量)が多いほど長くすることが好ましい。つまり、商品の残量が多い場合には開始時刻を早めることで、閉店時刻までに商品を売り尽くすことができる可能性を高くできる。
【0064】
また、第2の実施形態において、ある商品に対する値下げ価格の開始時刻を、利用者ステータスが下位の利用者よりも利用者ステータスが上位の利用者に対して早くしてもよい。例えば、値下げ価格の開始時刻を、プラチナ会員様:本日の15時、ゴールド会員様:本日の16時、シルバー会員様:本日の17時といった具合に変更する。店舗アプリケーションによって値下げ価格の開始時刻が利用者に通知されるタイミングは、例えば、
図9の画面G6又は画面G7が表示される時点であるが、これには限定されない。例えば店舗から利用者(会員)向けに値下げ商品等の通知がある場合に、顧客ステータスごとの値下げ価格、値下げ開始時刻を事前に利用者に通知してもよい。
なお、利用者の利用者ステータスに関わらず、各利用者ステータスに対する値下げ価格の開始時刻を表示してもよい。それによって、相対的に利用者ステータスが上位の利用者が、自分に対して他の人よりも早く値下げ価格が提供される、という優越感を得ることに繋がり、店舗に再度来店する動機付けとなる。他方、店舗側には、利用者ステータスが上位の利用者を囲い込むことができるという利点がある。
利用者ステータスに応じて値下げ価格が提供される時間を変動させてもよい。例えば、プラチナ会員様:3時間、ゴールド会員様:2時間、シルバー会員様:1時間といった具合に変更する。このようにしても、上位の利用者ステータスの利用者を下位の利用者ステータスの利用者よりも優遇させることができる。
【0065】
(5-2)第2変形例
次に、第2変形例について説明する。
第1の実施形態の価格提示システム1は、店舗において利用者が商品若しくは電子棚札のスキャン操作を行い、当該商品をかご又は買い物カートに入れ、キャッシュレスにより商品の決済が完了する仕組みである。しかし、この仕組みでは、利用者が商品若しくは電子棚札のスキャン操作をせずに当該商品を例えば自身のマイバッグ等に入れ、退店することも可能である。このような万引き行為を防止するための追加の仕組みについて、第2変形例として説明する。
【0066】
この変形例では、店舗内に1又は複数の監視カメラが設置される。各監視カメラは、店内の定点の画像を逐次取得し、各監視カメラに接続されたコンピュータ装置に送信する。コンピュータ装置は、人工知能を利用した画像解析を行い、利用者の不審な行動を検出するように構成されている。
【0067】
コンピュータ装置は、画像から利用者の不審な行動を検出できるが、不審な行動を行った利用者を特定することはできない。そこで、店内の各買い物カートにビーコン信号を定期的に発信する無線タグを取り付け、ビーコン信号を受信する受信機を例えば店舗の天井等に設置する。無線タグと受信機との通信プロトコルは限定しないが、例えばBLEを利用することができる。受信機は、ビーコン信号の到来角度を算出して、到来角度のデータをコンピュータ装置に通知する。コンピュータ装置は、受信した到来角度のデータに基づいて各買い物カートの店内の位置(座標)を実時間で特定する。
【0068】
コンピュータ装置は、利用者の不審な行動の検出結果(時刻、定点の座標)と、各買い物カートの店内の時刻に応じた位置情報とを突合させることで、不審な行動を行った利用者を特定することができる。不審な行動を行った利用者を特定した場合には、コンピュータ装置は、店舗スタッフが認識できるようにアラート通知を出力(表示出力、又は音声出力)する。
アラート通知が出力された場合、万引き行為を間接的に抑止するために、店舗からの退店時のランダムチェックを行うことが好ましい。ランダムチェックでは、例えば10人の利用者のうちランダムに選択された1人のマイバッグを店舗スタッフが目視で確認する。ランダムチェックを行うことで、万引き行為を行った利用者が退店する前に未決済の商品を自発的に棚に戻すことが期待される。
【0069】
(5-3)第3変形例
次に、第3変形例について説明する。
上述した各実施形態では、商品若しくは電子棚札から商品IDや期限情報を取得する方法として、商品のコード情報を読み取る場合について説明したが、その限りではない。
商品から商品IDや期限情報を取得する他の方法として、商品や棚札、若しくは商品の外装品に取り付けられている無線タグ、又は、商品の近傍に配置されている無線タグ等から商品IDや期限情報を受信する方法を採ることができる。この場合、情報を受信するときの通信方法(例えば、通信プロトコルや使用周波数等)は問わない。通信方法の例として、例えばNFC(Near field communication)等のRFID(Radio Frequency Identification)やBluetooth(登録商標)等が挙げられる。
【0070】
例えば商品や棚札等に、当該商品の商品IDや期限情報が記録されたNFCタグが取り付けられ、利用者端末3にNFCリーダが搭載されている場合を想定する。その場合、利用者が商品に自身の利用者端末3を近付けることで、利用者端末3のNFCリーダが商品のNFCタグから商品の商品IDや期限情報を受信する。利用者端末3の店舗アプリケーションは、受信した商品の商品IDや期限情報を含む価格問合せをアプリケーションサーバ5に送信する。価格問合せを受信したアプリケーションサーバ5は、上述した実施形態と同様に、商品の値下げ価格を決定し、値下げ価格を示す情報を店舗アプリケーションに返す。
【0071】
商品の外観の画像から当該商品の商品IDを特定することもできる。例えば、利用者端末3が撮像部を有する場合、撮像部によって取得した商品の画像を店舗アプリケーションがアプリケーションサーバ5に送信する。アプリケーションサーバ5は、取得した商品の画像から当該商品の商品IDを特定する。商品IDの特定に際しては、学習済みモデルを用いた人工知能を利用することができる。この場合、商品の画像は、商品情報の一例である。このとき、アプリケーションサーバ5は、商品IDと商品の期限情報とが対応付けられたデータベースにアクセスして、特定した商品IDに対応する期限情報を取得できるように構成することができる。
商品から取得できる複数の情報を組み合わせて、当該商品の商品IDや期限情報を取得してもよい。例えば、商品や棚札等から取得するコード情報、文字情報、無線タグから得られる情報、商品の外観の画像等のうち少なくとも2以上の情報を組み合わせて、商品の商品IDや期限情報を取得することができる。
【0072】
(5-4)第4変形例
次に、第4変形例について説明する。
上述した実施形態では、利用者が利用者端末3で商品に対するスキャン操作を行って決済を行う(つまり、セルフ決済を行う)場合について説明したが、その限りではない。利用者は、利用者端末3で商品に対するスキャン操作を行って商品の価格を確認した後に店舗内の通常レジ(有人レジ)やセルフレジ(無人レジ)によって商品の決済を行うこともできる。
通常レジとは、利用者が購入しようとする商品のコード情報をコードリーダにより店舗スタッフが読み取って、店舗スタッフの操作に基づいて商品の総額を現金又はクレジットカード等によって決済するレジスタ端末を意味する。セルフレジは、利用者が購入しようとする商品のコード情報を利用者自身がコードリーダを用いて読み取るか、あるいは、一括読み取り装置に読み取らせて、利用者の操作に基づいて商品の総額を現金又はクレジットカード等によって決済するレジスタ端末を意味し、基本的に店舗スタッフが操作を行うことなく決済を完了させることが可能なレジスタ端末を意味する。
【0073】
本変形例の場合の利用者端末の店舗アプリケーションの画面例を
図13及び
図14に示す。
図13は、本変形例において店舗アプリケーションを起動した後に表示される画面例である。
図13の画面G0では、セルフ決済を行うためのボタンb11と、商品の価格を確認するための価格チェッカーのボタンb12と、を含む。利用者がボタンb11を操作した場合には、
図2の画面G1に遷移し、第1の実施形態で説明したようにセルフ決済を行うことが可能となる。
他方、
図13の画面G0で利用者がボタンb12を操作した場合には、利用者は、商品の価格を確認することができ、当該価格で商品を通常レジ又はセルフレジで購入する際に必要となる利用者コードを取得することができる。利用者コードは、利用者ID(
図5参照)に対応付けられたコードでもよく、店舗のポイントカード、会員証等において利用者に割り当てられた会員番号に対応付けられたコードであってもよい。
【0074】
画面G0で利用者がボタンb12を操作した場合には、
図14の画面G21,G22に示すように、
図2の画面G1,G2と同様、ウィンドウw1に表示される電子棚札ESLの画像からコード情報C2の読み取り(スキャン)を行うことで、利用者は、上述したように利用者ごとの商品の提供価格や、賞味期限の情報を表示させることができる。画面G22には、画面G2(
図2参照)のボタンb1,b2に加え、利用者コードを発行させるためのボタンb13が含まれる。
画面G22においてボタンb13が操作されると、画面G23に示すように、利用者コードC5が表示される。
利用者コードC5は、通常レジやセルフレジに配置されているコードリーダで読み取られる。通常レジでは、利用者は、利用者コードC5を店員に提示し、店員がコードリーダを用いて利用者コードC5のみ読み取ることで、画面G22で表示された値下げ価格で商品の決済が行われる。このとき、レジ端末は、コードリーダから読み取られた利用者コードC5に基づいて、アプリケーションサーバ5に問合せを行い、利用者に対する提供価格の情報を取得する。セルフレジの場合も同様であり、店員の代わりに利用者自身がセルフレジに接続されているコードリーダで利用者コードC5のみ読み取る操作を行う。
【0075】
なお、画面G22においてボタンb2が操作された場合には、例えば
図15の画面G4aが表示される。画面G4aは、
図3の画面G4と同様の表示内容を含むが、ボタンb3の代わりにボタンb14(「コード発行」)を含む点が異なる。ボタンb14を操作すると、
図14の画面G23と同様に利用者コードC5が表示される。この利用者コードは、通常レジ又はセルフレジにおいて、カゴの中に含まれる商品の決済を行うときに必要となるコードである。
【0076】
この一連の流れについて、
図16のシーケンスチャートを参照してさらに説明する。
図15の画面G4aにおいてボタンb14(コード発行ボタン)が操作されると(ステップS50:YES)、利用者端末3の店舗アプリケーションは、アプリケーションサーバ5に対してコード発行要求を送信する(ステップS52)。コード発行要求は、表示されている購入予定リストを含む。アプリケーションサーバ5は、店舗アプリケーションからコード発行要求を受信すると、利用者コードを発行するとともに(ステップS54)、発行した利用者コードと、ステップS52のコード発行要求に含まれる購入予定リストの各商品の提供価格(商品リストの提供価格)とを対応付けて記録する(ステップS56)。次いで、アプリケーションサーバ5は、ステップS54で発行した利用者コードを店舗アプリケーションに返す(ステップS58)。
店舗アプリケーションは、利用者コードを2次元コード化し(ステップS60)、
図15の画面G23に示すように、利用者端末3の表示部34に利用者コードC5を表示させる(ステップS62)。
【0077】
利用者が購入対象の商品を例えば通常レジに運び、店舗スタッフに対して利用者端末3に表示された利用者コードを提示すると、店舗スタッフがレジに接続されたコードリーダを用いて利用者コードを読み取る。すると、レジは、読み取った利用者コードをアプリケーションサーバ5に送信して問合せを行う(ステップS64)。アプリケーションサーバ5は、ステップS56により受信した利用者コードに対応して記録されている商品リストの提供価格を読み出してレジに返す(ステップS66)。レジは、受信した商品リストの提供価格に基づいて決済処理を行う(ステップS68)。そのため、利用者が、決済前に店舗アプリケーション上で確認した商品の価格によって効率的に決済することができる。
セルフレジの場合も同様である。店舗スタッフの代わりに利用者自らがセルフレジに接続されたコードリーダで利用者コードを読み取る点が異なる。
【0078】
なお、利用者コードは、利用者に割り当てられた会員番号のみではなく、店舗に来店したときの日時等の情報を含むようにすることで、利用者が利用者コードを使用(要求)するタイミングに応じて異なる情報を含むようにすることが好ましい。同一の商品であっても日々価格が変動する可能性があるところ、利用者が取得する利用者コードを要求タイミングに応じて異ならせることで、アプリケーションサーバ5側で、利用者コードと利用者に対する商品価格とを適切に管理することができるようになる。
通常レジやセルフレジは、店舗端末の一例である。
【0079】
利用者が複数の商品を通常レジ又はセルフレジで購入する場合には、1つの商品に対して発行された利用者用コードを読み取ることで、当該複数の商品のすべてに対してアプリケーションサーバ5に対して問合せを行って、値下げ価格に基づく決済を行ってもよい。
【0080】
(5-5)第5変形例
次に、第5変形例について説明する。
第4変形例では、通常レジ又はセルフレジで決済を行う前に予め利用者と商品リストの提供価格との対応付けを行う場合について説明したが、その限りではない。第5変形例では、上記価格チェッカーで自身に対する商品や商品リストの提供価格のみ確認し、通常レジ又はセルフレジにおいて、実際に購入対象の商品を読み取るとともに、利用者端末3に表示される利用者コードや会員コード等、利用者を識別するコードを読み取り、利用者に応じた商品の提供価格で決済を行うようにしてもよい。
【0081】
例えば、店舗の利用者は、
図13及び
図14で参照した価格チェッカーの機能を利用して、自身に対する商品の提供価格を認識できるため、当該商品を購入するか否か判断できる。その場合、
図9に示したように、利用者ステータスに応じて異なる商品価格が提示されてもよい。
価格チェッカーにより商品を購入することを決定した場合には、利用者は、商品を例えば店舗のカゴ又は買い物カートに入れ、通常レジ又はセルフレジに行き、実際に購入対象の商品バーコード等が読み取られることで、商品の決済を行う。このとき、例えば、画面G22(
図14参照)のボタンb13を操作することで店舗アプリケーションにおいて利用者を識別する利用者コードを表示させ、この利用者コードを、店舗スタッフにコードリーダで読み取ってもらうか(通常レジの場合)、又は、自らコードリーダで読み取る(セルフレジの場合)。すると、通常レジ又はセルフレジは、読み取った利用者を識別する利用者コードの利用者ステータスに基づいて、購入対象の商品バーコード等が読み取られた商品の提供価格をアプリケーションサーバ5に問い合わせ、アプリケーションサーバ5が当該利用者に対する提供価格を決定して、提供価格の情報を通常レジ又はセルフレジに返す。通常レジ又はセルフレジは、アプリケーションサーバ5から受信した提供価格の情報に基づいて決済処理を行う。
このように、本変形例では、利用者は、利用者端末3で商品に対するスキャン操作を行って商品の価格を確認し、実際に店舗内の通常レジやセルフレジで読み取られた購入対象の商品の決済を行うこともできる。
【0082】
(6)第5の実施形態
次に、第5の実施形態の価格提示システム1Aについて、
図17~
図19を参照して説明する。
本実施形態の価格提示システム1Aは、利用者が店舗内の情報処理装置を利用して、商品ID、期限情報、及び、計量情報等をアプリケーションサーバ5に提供する点で、上述した各実施形態とは異なる。情報処理装置としては、例えばコンピュータ装置でもよいが、好ましくはラベルプリンタや計量プリンタ等のプリンタである。プリンタは、店舗内において量り売り商品を販売する場所に配置されており、利用者端末3に店舗アプリケーションがインストールされていない利用者に提供する商品に貼付するラベルを発行することができる。
【0083】
図17及び
図18は、価格提示システム1Aにおいて、店舗アプリケーションにより量り売り商品の提供価格を表示させる場合の手順を示している。
図18は、価格提示システム1Aの概略的なシステム構成も示している。
利用者は、先ず店舗アプリケーション等を起動して利用者の会員コードを示すコード情報C3を利用者端末3に表示させる。プリンタ2にはコードリーダ8が接続されており、利用者は、コードリーダ8を用いて、利用者端末3に表示されているコード情報C3を読み取る操作を行う(状態ST1)。それによって、プリンタ2は、利用者の利用者IDを取得する。さらに、利用者は、コードリーダ8を用いて、購入しようとする商品の電子棚札ESLに表示されているコード情報C2を読み取る操作を行う(状態ST2)。それによって、プリンタ2は、商品の商品ID及び期限情報を取得する。
【0084】
次に、
図18の状態ST3に示すように、利用者は、商品Pを計量装置4に載せる操作を行う。価格提示システム1Aでは、プリンタ2と計量装置4が通信可能に構成されている。通信プロトコルは限定しないが、例えばBLEを利用することができる。利用者が商品Pを計量装置4に載せることで、計量装置4は商品Pの重量を測定するとともに、プリンタ2との間で通信を確立するように構成されている。それによって、プリンタ2は、計量装置4から商品Pの計量情報を取得する。
すると、
図18に示すように、利用者端末3の店舗アプリケーションは、利用者の商品Pの提供価格を表示する。ここで、利用者端末3に表示される画面は、例えば
図2の画面G2と同一の内容である。
【0085】
本実施形態の価格提示システム1Aでは、プリンタ2の制御部は、マイクロコントローラを有し、マイクロコントローラが所定のプログラムを実行することで、商品の商品ID及び期限情報を取得する第1取得部、及び、計量装置4から商品の計量情報を取得する第2取得部として機能する。
【0086】
図19のシーケンスチャートは、利用者が量り売り商品の価格を確認し、購入予定リストに商品を追加する場合の価格提示システム1Aの動作を示す。
図19を参照すると、利用者がコードリーダ8(
図17参照)を操作することで、プリンタ2は、利用者端末3に表示されているコード情報を読み取り、利用者IDを含む会員情報を取得する(ステップS72)。次いで、利用者がコードリーダ8を操作することで、プリンタ2は、商品の電子棚札に表示されているコード情報を読み取り、商品の商品ID及び期限情報を取得する(ステップS74)。
【0087】
次に、利用者が商品を計量装置4に載せる操作を行うと、計量装置4が商品の重量を測定するとともに、プリンタ2が計量装置4と通信を行って計量情報を取得する(ステップS76:YES)。
プリンタ2は、利用者ID、商品の商品ID、期限情報、及び、計量情報を含む価格問合せをアプリケーションサーバ5に送信する(ステップS78)。アプリケーションサーバ5は、受信した価格問合せに含まれる商品ID、期限情報、及び、計量情報に基づいて、利用者IDの利用者に対する提供価格を決定し(ステップS80)、当該利用者の店舗アプリケーションに価格データを返す(ステップS82)。
ステップS84,S86,S88は、それぞれ
図7のS14,S16,S18と同じである。
【0088】
(7)第6の実施形態
次に、第6の実施形態の価格提示システム1Bについて、
図20を参照して説明する。
本実施形態の価格提示システム1Bは、計量装置4がネットワークNWを介してアプリケーションサーバ5と通信可能に構成されている点で、第1の実施形態の価格提示システム1(
図1参照)と異なる。本実施形態では、計量装置4は、利用者端末3と通信可能でなくてもよい。
利用者端末3が商品の電子棚札ESLに表示されているコード情報C2から商品の商品IDと期限情報を取得し、アプリケーションサーバ5に送信する点は、第1の実施形態と同じである。
【0089】
本実施形態の価格提示システム1Bは、さらに以下の点で第1の実施形態と異なる。
計量装置4には、コード情報C6が表示されている。コード情報C6に含まれる情報は、計量装置4を識別する情報(「計量装置ID」という。)であり、例えば、計量装置4のIPアドレスやロケーション番号等である。
利用者が商品Pを計量装置4に載せると、計量装置4は、当該商品の計量情報と、計量装置IDとをアプリケーションサーバ5に送信する。
利用者端末3の店舗アプリケーションは、電子棚札ESLのコード情報C2を読み取るとともに、計量装置4のコード情報C6を読み取って、計量装置IDをアプリケーションサーバ5に送信する。
すなわち、アプリケーションサーバ5は、店舗アプリケーションから商品の商品ID、期限情報、及び、計量装置IDを取得し、計量装置4から計量装置IDと計量情報を取得する。アプリケーションサーバ5は、店舗アプリケーションからの情報と計量装置4からの情報を突合させて、商品の価格を決定し、価格データを店舗アプリケーションに返す。なお、アプリケーションサーバ5は、価格データとともに計量情報を店舗アプリケーションに送信しておよい。その場合、店舗アプリケーションは、商品の提供価格とともに商品の計量情報を表示部34に表示させる。
【0090】
(8)第7の実施形態
次に、第7の実施形態の価格提示システム1Cについて、
図21を参照して説明する。
本実施形態の価格提示システム1Cは、計量装置4がネットワークNWを介してアプリケーションサーバ5と通信可能に構成されている点で、第6の実施形態の価格提示システム1B(
図20参照)と同じであるが、計量装置4にコードリーダ8Aが設けられている点で価格提示システム1Bとは異なる。
【0091】
本実施形態の価格提示システム1Cが第6の実施形態と異なるのは、以下の点である。
利用者が先ず、コードリーダ8Aによって電子棚札ESLに表示されているコード情報C2を読み取る操作を行うことで、計量装置4は、商品の商品IDと期限情報を取得する。
次いで、利用者が商品Pを計量装置4に載せると、計量装置4は、当該商品の重量を測定した後、商品ID、期限情報、計量装置ID、及び、計量情報をアプリケーションサーバ5に送信する。
利用者端末3の店舗アプリケーションは、計量装置4のコード情報C6を読み取って、計量装置IDをアプリケーションサーバ5に送信する。
すなわち、アプリケーションサーバ5は、店舗アプリケーションから計量装置IDを取得し、計量装置4から商品ID、期限情報、計量装置ID、及び、計量情報を取得する。アプリケーションサーバ5は、店舗アプリケーションからの情報と計量装置4からの情報を突合させて、商品の価格を決定し、価格データを店舗アプリケーションに返す。
【0092】
以上、本発明の情報処理システム、サーバ、情報処理方法、及び、プログラムの実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されない。また、上記の実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更が可能である。例えば、上述した各実施形態及び各変形例に記載した個々の技術的特徴は、技術的矛盾がない限り、適宜組み合わせることが可能である。
上述した実施形態及び変形例において、アプリケーションサーバ5による機能の少なくとも一部を利用者端末3のソフトウェアにより実現してもよいし、利用者端末3による機能の少なくとも一部をアプリケーションサーバ5のソフトウェアにより実現してもよい。また、利用者端末3の機能、及び、アプリケーションサーバ5の機能の各々を、必要に応じて、利用者端末3及びアプリケーションサーバ5の間で分散させて実現してもよい。アプリケーションサーバ5で実行される機能を複数の装置で分散させて実行されてもよい。
【符号の説明】
【0093】
1,1A,1B,1C…価格提示システム
2…プリンタ
3…利用者端末
31…制御部
32…ストレージ
33…操作入力部
34…表示部
35…撮像部
36…コードリーダ
37…通信部
4…計量装置
41…制御部
42…測定部
43…操作入力部
44…表示部
45…通信部
5…アプリケーションサーバ
51…制御部
511…価格決定部
512…価格情報提供部
513…決済処理部
52…ストレージ
53…通信部
7…決済代行サーバ
8,8A…コードリーダ
100…スキャン領域
CT…利用者
NW…ネットワーク
P…商品
ESL…電子棚札
C2~C6…コード情報