(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-25
(45)【発行日】2024-10-03
(54)【発明の名称】コンセント
(51)【国際特許分類】
H01R 25/00 20060101AFI20240926BHJP
H01R 31/06 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
H01R25/00 A
H01R31/06 B
(21)【出願番号】P 2021036769
(22)【出願日】2021-03-08
【審査請求日】2023-11-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】工藤 弘行
(72)【発明者】
【氏名】豊田 一郎
【審査官】岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-003872(JP,A)
【文献】特開2020-071137(JP,A)
【文献】特開2020-054098(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0195237(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 25/00
H01R 31/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷器具のプラグが接続可能なコンセントであって、
前記コンセントの外部にある前記負荷器具のプラグが有する複数の接触子がそれぞれ接続される複数の負荷端子と、
外部電源からの複数の給電線がそれぞれ接続される複数の電源端子と、
前記複数の負荷端子と前記複数の電源端子との間をそれぞれ接続する複数の給電路と、
前記複数の負荷端子の
うち少なくとも1つの
負荷端子の温度を計測期間が経過するごとに検出する温度検出部と、
判定開始条件が成立すると、前記温度検出部の検出結果に基づいて、
前記複数の負荷端子に前記複数の接触子がそれぞれ接続される前記プラグでの異常
な温度上昇の有無を検出する処理を行う異常検出部と、を備え、
前記判定開始条件は、前記少なくとも1つの負荷端子の温度の検出値の前記計測期間ごとの差分値が所定回数以上連続して増加するという条件を含む、
コンセント。
【請求項2】
前記温度検出部は、前記複数の負荷端子のうちの2つ
の負荷端子の温度を測定し、
前記異常検出部は、前記判定開始条件が成立し、かつ、前記2つの負荷端子の温度差が第1閾値を超えると、異常有りと検出する、
請求項1に記載のコンセント。
【請求項3】
前記異常検出部は、前記判定開始条件が成立し、かつ、前記少なくとも1つの負荷端子の温度の前記計測期間ごとの差分値が第2閾値を超えると、異常有りと検出する、
請求項1に記載のコンセント。
【請求項4】
前記判定開始条件が成立するときの前記少なくとも1つの負荷端子の温度変化特性は、時間に対して指数比例するような、正の微分係数を有する温度変化特性である、
請求項1~3のいずれか1項に記載のコンセント。
【請求項5】
前記異常検出部が異常有りと検出すると前記給電路を遮断する開閉部を、更に備える、
請求項1~4のいずれか1項に記載のコンセント。
【請求項6】
前記異常検出部の検出結果を通知する通知部を、更に備える、
請求項1~5のいずれか1項に記載のコンセント。
【請求項7】
前記通知部は、前記異常検出部の検出結果を表示部に表示させる、
請求項6に記載のコンセント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、コンセントに関する。より詳細には、本開示は、負荷器具のプラグが接続されるコンセントに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の電源コンセント(コンセント)は、トラッキング前の放電を検知する機能を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の電源コンセントは、トラッキング前の放電を検知するものであるが、例えば電源コンセントに接続される接続プラグ(プラグ)等、電源コンセントの外部での異常な温度上昇を検出したいという要望があった。
【0005】
本開示の目的は、コンセントの外部での異常な温度上昇を検出できるコンセントを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るコンセントは、負荷器具のプラグが接続可能なコンセントであって、複数の負荷端子と、複数の電源端子と、複数の給電路と、温度検出部と、異常検出部と、を備える。前記複数の負荷端子には、前記コンセントの外部にある負荷器具のプラグが有する複数の接触子がそれぞれ接続される。前記複数の電源端子には、外部電源からの複数の給電線がそれぞれ接続される。前記複数の給電路は、前記複数の負荷端子と前記複数の電源端子との間をそれぞれ接続する。前記温度検出部は、前記複数の負荷端子のうち少なくとも1つの負荷端子の温度を計測期間が経過するごとに検出する。前記異常検出部は、判定開始条件が成立すると、前記温度検出部の検出結果に基づいて、前記複数の負荷端子に前記複数の接触子がそれぞれ接続される前記プラグでの異常な温度上昇の有無を検出する処理を行う。前記判定開始条件は、前記少なくとも1つの負荷端子の温度の検出値の計測期間ごとの差分値が、所定回数以上連続して増加するという条件を含む。
【発明の効果】
【0007】
本開示では、コンセントの外部での異常な温度上昇を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態に係るコンセントの構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、同上のコンセントの分解斜視図である。
【
図3】
図3は、同上のコンセントの使用例を示し、開閉部が導通状態にあるときの外観斜視図である。
【
図4】
図4は、同上のコンセントの使用例を示し、開閉部が遮断状態にあるときの外観斜視図である。
【
図5】
図5は、同上のコンセントの外カバー及び内カバーを外した状態の正面図である。
【
図6】
図6は、同上のコンセントの外カバー及び内カバーを外した状態の背面図である。
【
図7】
図7は、同上のコンセントの要部の構成を示す
図5のX1-X1線断面に相当する概略的な断面図である。
【
図8】
図8は、同上のコンセントの要部の構成を示す
図6のX2-X2線断面に相当する概略的な断面図である。
【
図9】
図9は、同上のコンセントの要部の構成を示す
図5のZ1-Z1線断面に相当する概略的な断面図である。
【
図10】
図10は、同上のコンセントの動作を説明するフローチャートである。
【
図11】
図11は、同上のコンセントが備える負荷端子及び電源端子の異常発生時の温度変化特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に説明する実施形態及び変形例は、本開示の一例に過ぎず、本開示は、実施形態及び変形例に限定されない。この実施形態及び変形例以外であっても、本開示の技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0010】
(実施形態)
(1)概要
まず、本実施形態のコンセント1の概要について、
図1、
図2及び
図7を参照して説明する。
【0011】
本実施形態のコンセント1は、複数の負荷端子3と、複数の電源端子4と、複数の給電路L1と、温度検出部92と、異常検出部101と、を備える。複数の負荷端子3には、負荷器具2のプラグ21が有する複数の接触子211がそれぞれ接続される。複数の電源端子4には、外部電源5からの複数の給電線51がそれぞれ接続される。複数の給電路L1は、複数の負荷端子3と複数の電源端子4との間をそれぞれ接続する。温度検出部92は、複数の負荷端子3の少なくとも1つの温度を計測期間が経過するごとに検出する。異常検出部101は、判定開始条件が成立すると、温度検出部92の検出結果に基づいて、異常の有無を検出する処理を行う。判定開始条件は、少なくとも1つの負荷端子3の温度の検出値の計測期間ごとの差分値が、所定回数以上連続して増加するという条件を含む。
【0012】
異常検出部101の検出対象の「異常」は、コンセント1の外部での異常な温度上昇を含み、より詳細には、コンセント1に接続される負荷器具2のプラグ21での異常な温度上昇を含む。プラグ21での異常な温度上昇は、例えば、プラグ21の接触子(いわゆる栓刃)211と電線213とをかしめて接続した接続箇所での接触不良、又は、プラグ本体215から引き出される電線216の根元付近での断線等により発生する。ここで、コンセント1の外部、例えばプラグ21の内部で異常な温度上昇が発生した場合、コンセント1の内部に配置されている温度検出部92からコンセント1の外部の発熱部位が離れているため、温度検出部92での検出温度には僅かな温度上昇しか発生しない。また、コンセント1の内部で異常な温度上昇が発生した場合、温度検出部92の検出温度は、ある温度に収束するように変化する。そのため、温度検出部92による温度の検出値の計測期間ごとの差分値(つまり計測期間が経過する間の温度の変化分)は徐々に小さくなり、前回検出時の差分値よりも小さくなる。一方、コンセント1の外部で異常な温度上昇が発生した場合、温度検出部92の検出温度は時間に比例して増加する場合よりも大きくなり、時間に対して指数関数的に増加する。そのため、温度検出部92による温度の検出値の計測期間ごとの差分値は、前回検出時の差分値(1つ前の計測期間での温度の変化分)よりも大きくなる。
【0013】
本実施形態では、異常検出部101が異常の有無を検出する処理を開始する判定開始条件は、少なくとも1つの負荷端子3の温度の検出値の計測期間ごとの差分値が、所定回数以上連続して増加するという条件を含む。言い換えると、判定開始条件は、少なくとも1つの負荷端子3の温度の検出値の計測期間ごとの差分値(変化分)が、1つ前の計測期間での温度の変化分よりも増加する状態が所定回数以上連続して発生するという条件を含む。負荷端子3の温度の検出値の計測期間ごとの差分値が、1つ前の計測期間での温度の差分値よりも増加する増加状態が所定回数以上連続して発生する場合、この負荷端子3の温度は時間に対して指数比例するように変化している。したがって、異常検出部101は、判定開始条件が成立した場合に異常の有無を検出する処理を行うことで、コンセント1の外部での異常(例えばプラグ21での異常等)を検出することができる、という利点がある。
【0014】
なお、本実施形態のコンセント1は、例えば、戸建住宅若しくは集合住宅等の住宅施設、又は事務所、店舗、学校若しくは介護施設等の非住宅施設等に設置される。コンセント1は、例えば、施設(建物)の壁面のような造営面100(
図3及び
図4参照)に設置される。なお、コンセント1は、天井面又は床面等の造営面に設置されてもよい。また、コンセント1は、造営面に設置されるものに限定されず、机などの什器に取り付けられるものでもよいし、載置面(例えば床面)に置かれた状態で使用されるものでもよい。
【0015】
(2)詳細
以下に、本実施形態に係るコンセント1について
図1~
図11を参照して、より詳細に説明する。
【0016】
(2.1)全体構成
コンセント1は、
図1に示すように、第1接続部8と、第2接続部17と、温度検出部92と、処理部10と、通知部11と、開閉部12と、操作部材13と、スイッチ16と、電源回路22と、を備えている。
【0017】
第1接続部8には、商用交流電源(例えばAC100/200V、50/60Hz)のような交流電源である外部電源5からの電線W1が接続される。電線W1は、L極(Live)及びN極(Neutral)の2本の給電線51と、アース線78と、を含む。したがって、第1接続部8は、2本の給電線51がそれぞれ接続される2つの電源端子4と、アース線78が接続されるアース端子7と、を含む。
【0018】
また、第2接続部17には、負荷器具2のプラグ21が備える3本の接触子210が接続可能である。3本の接触子210は、L極用及びN極用の2本の接触子211と、アース用の接触子212とを備えている。L極用及びN極用の接触子211は細長い板状に形成され、アース用の接触子212は丸棒形状に形成されている。したがって、第2接続部17は、L極用及びN極用の2本の接触子211がそれぞれ接続される2つの負荷端子3と、アース用の接触子212が接続される1つのアースピン端子19と、を備えている。なお、本実施形態のコンセント1は負荷端子3及び電源端子4を2つずつ備えているが、負荷端子3及び電源端子4の各々の数は2つに限定されず、3つ以上でもよい。
【0019】
第1接続部8の2つの電源端子4と、第2接続部17の2つの負荷端子3との間は、それぞれ、給電路L1を介して電気的に接続されている。また、第1接続部8のアース端子7と、第2接続部17のアースピン端子19との間は、導電部材77を介して電気的に接続されている。したがって、第1接続部8に外部電源5からの電線W1が接続され、第2接続部17に負荷器具2のプラグ21が接続されると、外部電源5からコンセント1を介して負荷器具2に電力が供給されるのである。
【0020】
コンセント1は、
図2~
図9に示すように、負荷端子3、電源端子4、及び給電路L1等の内部部品と、内部部品を保持する筐体1Aとを有している。なお、筐体1Aは、温度検出部92、処理部10、通知部11、開閉部12、操作部材13、及びスイッチ16等を更に保持している。
【0021】
開閉部12は、2つの負荷端子3と、2つの電源端子4との間にそれぞれ電気的に接続される2つの接点と、制御部102からの遮断指令に応じて2つの接点を開極させる開閉回路を有している。ここで、開閉部12は、2つの接点を有するラッチングリレーであり、2つの接点はノーマリオン接点である。したがって、制御部102から遮断指令が入力されていない状態では、2つの接点は導通している。一方、開閉部12は、制御部102から遮断指令が入力されると、2つの接点を開極させ、2つの接点は開極状態で保持される。2つの接点が開極すると、外部電源5から負荷器具2への電力供給が遮断される。
【0022】
操作部材13は、開極状態となっている2つの接点を手動で閉極させるためのものである。制御部102からの遮断指令によって開閉部12の2つの接点が遮断状態に切り替えられた場合、ユーザは、異常状態が解消した後に、操作部材13を用いて2つの接点を閉極させることで、負荷器具2への電力供給を再開させることができる。
【0023】
通知部11は、異常検出部101の検出結果を通知する。通知部11は、例えばLED等の点灯状態で通知を行う表示部14と、音で通知を行うブザー15と、を備える。なお、表示部14は、文字又は記号等を画面に表示することで通知を行うディスプレイ装置を備えてもよい。また通知部11は、警報音又は音声メッセージをスピーカから出力することで通知を行うものでもよい。また通知部11は、異常検出部101の検出結果を外部の表示端末(例えば施設に設置された端末又はスマートフォン等)に送信することで、端末装置のディスプレイ装置に異常検出部101の検出結果を表示させたり、端末装置のスピーカから異常検出部101の検出結果を音声等で出力させたりしてもよい。
【0024】
スイッチ16は、通知部11の通知処理を停止する操作を受け付けるために設けられている。スイッチ16はユーザの操作を受け付けると、操作信号を制御部102に出力する。
【0025】
温度検出部92は、2つの負荷端子3の温度を検出し、検出結果を異常検出部101に出力する。温度検出部92は、例えば、サーミスタ、熱電対、又はサーモパイル等で実現される。各負荷端子3は側面視の形状がC型に形成された保持部96(
図7参照)を有している。この保持部96にブロック形状の温度検出部92が保持されており、温度検出部92が検出対象の負荷端子3に熱的に結合されている。温度検出部92は、負荷端子3の温度に応じた検出信号を異常検出部101に出力する。温度検出部92が出力する検出信号は、温度情報を伝える電気信号であればよく、例えば、温度情報に応じて変化する、抵抗値、電圧値又は電流値等の信号である。以下の説明において、L極側の負荷端子3の温度を検出する温度検出部92を温度検出部921、N極側の負荷端子3の温度を検出する温度検出部92を温度検出部922と表記する場合もある。なお、本実施形態では温度検出部92が、L極側の負荷端子3の温度と、N極側の負荷端子3の温度とをそれぞれ検出しているが、いずれか一方の負荷端子3の温度のみを検出してもよい。
【0026】
処理部10は、例えばプロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムを有している。そして、プロセッサがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、コンピュータシステムが処理部10として機能する。プロセッサが実行するプログラムは、ここではコンピュータシステムのメモリに予め記録されているが、メモリカード等の記録媒体に記録されて提供されてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて提供されてもよい。
【0027】
処理部10は、上述した異常検出部101と、制御部102の機能を有している。処理部10は、例えば、第1内ボディ184の後方に配置された制御基板23(
図7参照)に実装されている。
【0028】
異常検出部101は、温度検出部92の検出結果に基づいて異常の有無を検出する。異常検出部101の検出動作は、「(2.2)動作説明」で詳細に説明する。
【0029】
制御部102は、異常検出部101が異常の発生を検出すると、給電路L1を遮断する遮断指令を開閉部12に対して出力する。つまり、コンセント1は、異常検出部101が異常有りと検出すると給電路L1を遮断する開閉部12を、更に備えている。また、制御部102は、異常検出部101が異常の発生を検出すると、異常検出部101の検出結果に関する通知を指示する通知指令を通知部11に出力する。通知部11は、通知指令を受け取ると、異常が発生したことを通知する通知処理を行う。また、通知部11が通知を行っている状態で、スイッチ16から制御部102に操作信号が入力されると、制御部102は通知部11に停止指令を出力し、停止指令を受けた通知部11は通知処理を停止する。
【0030】
電源回路22は、外部電源5から入力される交流電圧を所定の電圧値の直流電圧に変換し、処理部10及び温度検出部92等に供給する。
【0031】
図3及び
図4は、コンセント1が造営面100に取り付けられた状態の斜視図である。本実施形態では、コンセント1は、例えば日本工業規格で規格化された大角形連用コンセントの取付枠に取り付けられる埋込形コンセントである。具体的には、コンセント1は、取付枠を介して造営面100に取り付けられる。ここで、取付枠は、埋込ボックスを介して又は直接的に、造営面100に固定される。つまり、取付枠が造営面100に固定されることにより、コンセント1が取付枠を介して造営面100に取り付けられる。取付枠には化粧プレート111が取り付けられ、
図3及び
図4に示すように、化粧プレート111の前面の開口窓112からコンセント1の前面が露出する。ここで、取付枠は、コンセント1と別部材であってもよいし、一部材であってもよい。本実施形態では、コンセント1が屋内用である場合、つまり造営面100が建物(施設)の内壁面である場合について説明するが、この例に限らず、コンセント1は屋外用であってもよい。
【0032】
以下では、造営面100である建物の内壁面にコンセント1が取り付けられた状態での、水平面に対して垂直な方向を「上下方向」とし、コンセント1を正面から見た場合の下(鉛直方向)をコンセント1の「下」として説明する。また、上下方向と直交し、かつ造営面100に平行な方向を「左右方向」とし、コンセント1を正面から見た場合の右をコンセント1の「右」として説明する。さらに、上下方向と左右方向との両方に直交する方向、つまり造営面100に直交する方向を「前後方向」とし、造営面100の裏側(壁裏側)を「後」として説明する。ただし、これらの方向はコンセント1の使用方向を限定する趣旨ではない。なお、本開示における「垂直」とは、完全な垂直だけでなく、垂直方向に対して所定の誤差範囲(例えば数度程度)内で傾いている状態を含み得る。また、本開示における「平行」とは、完全な平行だけでなく、平行な状態から所定の誤差範囲内で傾いている状態を含み得る。
【0033】
また本実施形態では、1個のプラグ21(
図7参照)を接続可能な1個口タイプのコンセント1を例示する。すなわち、コンセント1は、1個のプラグ21の接触子211,212に対応するように、1口の接続口170を有している。
【0034】
接続口170はコンセント1の前面に配置されている。接続口170は、L極及びN極用の接触子211とアース用の接触子212を有する2極アース付きのプラグ21に対応しており、2つの栓刃挿入孔171と1つのアースピン挿入孔172を有している(
図2~
図4参照)。
【0035】
また、コンセント1の第2接続部17は、互いに異極性となる一対の負荷端子3と、アースピン端子19とを備えている。一対の負荷端子3のうち、一方の負荷端子3にはL極側の接触子211が接続され、他方の負荷端子3にはN極側の接触子211が接続される。また、コンセント1の第1接続部8は、互いに異極性となる一対の電源端子4と、アース端子7とを備えている。一対の電源端子4のうち、一方の電源端子4にはL極側の給電線51が接続され、他方の電源端子4にはN極側の給電線51が接続される。アース端子7には、アース線78が接続される。さらに、互いに同極性である負荷端子3と電源端子4とは、開閉部12を介して、それぞれ給電路L1で電気的に接続されている。また、アース端子7とアースピン端子19とは、導電部材77を介して、電気的に接続されている。
【0036】
筐体1Aは、
図2に示すように、外ボディ181と、外カバー182と、内カバー183と、第1内ボディ184と、第2内ボディ185とを有している。ここで、外ボディ181、外カバー182、内カバー183、第1内ボディ184及び第2内ボディ185は、例えば合成樹脂等の絶縁材料製である。
【0037】
外ボディ181は、前面に開口を有する箱状に形成されている。外ボディ181の開口面(前面)は、上下方向の寸法が左右方向の寸法よりも長い長方形状である。第1内ボディ184は、負荷端子3及びアースピン端子19を保持した状態で、他の内部部品(電源端子4及び開閉部12等)と共に外ボディ181に収容される。また、第2内ボディ185は、
図2、
図8及び
図9に示すように、電源端子4及びアース端子7を保持した状態で、他の内部部品と共に外ボディ181に収容される。外ボディ181の前面には内カバー183が取り付けられる。これにより、外ボディ181と内カバー183との間には、第1内ボディ184に保持された状態の負荷端子3及びアースピン端子19、及び第2内ボディ185に保持された状態の電源端子4及びアース端子7を含む内部部品が収容されることになる。外カバー182は、内カバー183の前面に取り付けられる。これにより、第1内ボディ184と外カバー182との間に負荷端子3、アースピン端子19、電源端子4及びアース端子7が収容され、第1内ボディ184及び第2内ボディ185の前面は外カバー182で覆われることになる。ここで、内カバー183のうち、負荷端子3、アースピン端子19、及びアース端子7に対応する部位には、前後方向に貫通する開口窓183Aが形成されている。そのため、外カバー182を外した状態では、負荷端子3、アースピン端子19、及びアース端子7は開口窓183Aを通して前方に露出する。
【0038】
さらに本実施形態では、外カバー182は、複数の部材(例えば、第1部位182A、第2部位182B、及びアース蓋182Cの3つの部材)に分割可能に構成されている。
【0039】
外カバー182のうち第1内ボディ184を覆う第1部位182Aには、上述した1口の接続口170が形成されている。接続口170は、上述のように、一対の栓刃挿入孔171と、アースピン挿入孔172とを有する。第1部位182Aには、第1接続部8の下側にアース蓋182Cが設けられている。筐体1Aの内部において、一対の栓刃挿入孔171にそれぞれ対応する位置に負荷端子3が配置され、アースピン挿入孔172に対応する位置にはアースピン端子19が配置され、アース蓋182Cに対応する位置にはアース端子7が配置される。ここで、アースピン端子19とアース端子7は電気的に接続されている。アースピン端子19は、プラグ21の接触子212が接続されるばね部材である。アース端子7は、アース蓋182Cに対向する側に負荷器具2のアース線が接続される第1アース端子71(
図2及び
図5参照)を備える。また、アース端子7は、外部電源5のアース線78が接続される第2アース端子72(
図6参照)を一体に備える。
【0040】
また、外ボディ181と内カバー183との間の空間であって第1内ボディ184の左方には、開閉部12及び基板20等が収容されている。基板20は、開閉部12の上方に配置されている。基板20には、表示部14を構成する第1表示灯141及び第2表示灯142、並びにスイッチ16等が実装されている。一例として、第1表示灯141及び第2表示灯142は、互いに発光色の異なるLED(Light Emitting Diode)であって、スイッチ16は、押ボタンスイッチである。また、表示部14の光がコンセント1の前方から視認可能となり、かつコンセント1の前方からスイッチ16の押操作が可能となるように、内カバー183には透光用の窓孔183C及びカンチレバー183Dが形成されている。また、外カバー182には、第1表示灯141及び第2表示灯142の光を前方から視認可能にするための窓孔182Eと、スイッチ16の押操作を行うための貫通孔182Fとが設けられている。つまり、表示部14の光は窓孔183C及び窓孔182Eを通してコンセント1の前方から視認可能である。また、コンセント1の前方から貫通孔182Fを通してカンチレバー183Dを押操作することで、カンチレバー183Dを介してスイッチ16を間接的に押操作可能である。なお、
図3及び
図4では、便宜上、コンセント1の前面における、表示部14(第1表示灯141及び第2表示灯142)及びスイッチ16に対応する各位置に、表示部14及びスイッチ16の符号を付している。
【0041】
本実施形態で、コンセント1が備える2つの負荷端子3は、
図5及び
図7に示すように、第1内ボディ184に保持されている。また、第1内ボディ184にはアースピン端子19も保持されている。ここで、一対の負荷端子3は、外カバー182に形成された1対の栓刃挿入孔171にそれぞれ対応する位置に配置されている。アースピン端子19は、外カバー182に形成されたアースピン挿入孔172に対応する位置に配置されている。
【0042】
負荷端子3は、プラグ21のL極側及びN極側の接触子211が差し込まれる刃受部材である。また、アースピン端子19は、プラグ21のアース用の接触子212が差し込まれるばね部材である。負荷端子3及びアースピン端子19は、導電性及び弾性を有する金属、例えば、銅又は銅合金等からなる。負荷端子3は、接触子211と電気的に接続され、かつ接触子211を機械的に保持する。アースピン端子19は、接触子212と電気的に接続され、かつ接触子212を機械的に保持する。
【0043】
一対の電源端子4は、
図6及び
図8に示すように、第2内ボディ185に保持されている。また、
図5に示すように、第2内ボディ185には、アース端子7も保持されている。ここで、一対の電源端子4は、第2内ボディ185の後面に形成された一対の電源端子孔185Aにそれぞれ対応する位置に配置されている。アース端子7はアースピン端子19と一体に形成されている。アース端子7は、第2内ボディ185の後面に形成されたアース端子孔185Bに対応する位置に配置されている。各電源端子4は、給電線51の心線52が差し込まれることで給電線51が接続される差込式の速結端子である。具体的には、各電源端子4は、
図8に示すように、端子板41及び鎖錠ばね42を有している。端子板41は、導電性を有する金属、例えば、銅又は銅合金等からなる。鎖錠ばね42は、弾性を有する金属、例えば、ステンレス等からなる。各電源端子4は、給電線51が、対応する電源端子孔185Aに挿入されると、端子板41と鎖錠ばね42との間に給電線51の心線52を挟んだ状態で、給電線51と電気的に接続され、かつ給電線51を機械的に保持する。また、各電源端子4の端子板41は、コンセント1の前方側において、基板6の一面(例えば後面62)に実装される。ここで、各電源端子4と基板6とは、熱的に結合されている。
【0044】
アース端子7は、負荷器具2のアース線が接続される第1アース端子71(
図2及び
図5)と、外部電源5のアース線78が接続される第2アース端子72(
図6及び
図9参照)を備える。第1アース端子71及び第2アース端子72は、共通の台座部材73を備える。第1アース端子71は、負荷器具2のアース線を台座部材73に固定する保持部材74とネジ75を備え、第2アース端子72は、台座部材73に保持される鎖錠ばね76を備える。台座部材73は導電性を有する金属、例えば、銅又は銅合金等からなる。鎖錠ばね76は、弾性を有する金属、例えば、ステンレス等からなる。第2アース端子72は電源端子4と同様の差込式の速結端子であって、第2内ボディ185の後面に形成されたアース端子孔185Bに対応する位置に配置されている。ここで、第1アース端子71と第2アース端子72とアースピン端子19とは電気的に接続されている。なお、台座部材73は、第1アース端子71及び第2アース端子72において、それぞれ別部材で設けられてもよい。
【0045】
(2.2)動作説明
本実施形態のコンセント1が造営面100に設置され、第1接続部8の電源端子4及びアース端子7に外部電源5からの電線W1が接続されると、電源回路22が、処理部10及び温度検出部92等に動作電圧を供給し、処理部10の異常検出部101及び制御部102が動作を開始する。
【0046】
ここで、コンセント1の処理部10の動作を
図10及び
図11に基づいて説明する。なお、
図11中のT1(n)はL極側の負荷端子3の温度、T2(n)はN極側の負荷端子3の温度、T3(n)はL極側の電源端子4の温度、T4(n)はN極側の電源端子4の温度の一例をそれぞれ示している。
【0047】
処理部10は、所定の計測期間(例えば1秒)が経過するごとに、温度検出部92から温度の検出信号を取り込む。このとき、異常検出部101は、温度検出部921からL極側の負荷端子3の温度の検出結果を取得し、温度検出部922からN極側の負荷端子3の温度の検出結果を取得する(ステップST1)。ここで、時点t(n)におけるL極側の負荷端子3の検出温度をT1(n)と表記し、時点t(n)におけるN極側の負荷端子3の検出温度をT2(n)と表記する。
【0048】
異常検出部101は、時点t(n)での検出温度T1(n),T2(n)を取得すると、検出温度T1(n),T2(n)のデータをメモリに記憶する。異常検出部101は、前回検出時、つまり時点t(n-1)での検出温度T1(n),T2(n)のデータをメモリから読み出し、2つの負荷端子3のそれぞれで前回検出時からの差分値(つまり温度の検出値の計測期間ごとの差分値)ΔT1(n),ΔT2(n)を算出する(ステップST2)。ここで、差分値ΔT1(n),ΔT2(n)は下記の式(1)、式(2)で示される。
【0049】
ΔT1(n)=T1(n)-T1(n-1) …(1)
ΔT2(n)=T2(n)-T2(n-1) …(2)
異常検出部101は、2つの負荷端子3のそれぞれで前回検出時からの差分値ΔT1(n),ΔT2(n)を算出すると、差分値ΔT1(n),ΔT2(n)の算出結果をメモリに記憶する。そして、異常検出部101は、差分値ΔT1(n)又はΔT2(n)が、前回検出時の差分値ΔT1(n-1)又はΔT2(n-1)を上回る増加状態が所定回数(例えば4回)以上連続して発生してるか否かを判断する(S3)。つまり、異常検出部101は、2つの負荷端子3のそれぞれで、温度の検出値の計測期間ごとの差分値ΔT1(n),ΔT2(n)が所定回数以上連続して増加しているか否かを判断する。ここで、異常の有無を検出する処理を開始する場合の判定開始条件は、少なくとも1つの負荷端子3の温度の検出値の計測期間ごとの差分値ΔT1(n)又はΔT2(n)が、所定回数以上連続して増加するという条件である。この判定開始条件が成立する場合、負荷端子3の温度は時間に対して指数比例するように変化する。つまり、判定開始条件が成立するときの少なくとも1つの負荷端子3の温度変化特性は、時間に対して指数比例するような正の微分係数を有する温度変化特性である。コンセント1の外部、例えばコンセント1に接続されるプラグ21の内部で異常な温度上昇が発生する場合、負荷端子3の温度変化特性は、時間に対して指数比例するような正の微分係数を有する温度変化特性となる。上記の判定開始条件が成立する場合、コンセント1の外部で異常な温度上昇が発生している可能性があるので、異常検出部101は、異常の有無を検出する処理を行うことで、コンセント1の外部での異常な温度上昇を検出することができる。
【0050】
ここで、異常検出部101は、検出温度T1(n),T2(n)を取得するごとに判定開始条件が成立しているか否かを検出し、計測期間ごとの温度の差分値ΔT1(n)又はΔT2(n)が所定回数以上連続して増加しておらず、判定開始条件が不成立の場合(ステップST3:No)はステップST1に戻り、処理を継続する。
【0051】
一方、上記の判定開始条件が成立した場合(ステップST3:Yes)、異常検出部101は、2つの負荷端子3の温度T1(n),T2(n)の温度差の絶対値|T1(n)-T2(n)|と第1閾値Tth1との高低を比較する(ステップST4)。なお、第1閾値Tth1は例えば15℃に設定されているが、第1閾値Tth1の値は適宜変更が可能である。
【0052】
ここで、温度差の絶対値|T1(n)-T2(n)|が第1閾値Tth1以下であれば(ステップST4:No)、異常検出部101は、異常が発生していないと判断してステップST1に戻り、処理を継続する。
【0053】
一方、温度差の絶対値|T1(n)-T2(n)|が第1閾値Tth1を超えていれば(ステップST4:Yes)、異常検出部101は異常が発生していると判断する。つまり、温度検出部92が、複数の負荷端子3のうちの2つ(L極側及びN曲側)の負荷端子3の温度を測定している場合に、異常検出部101は、判定開始処理が成立し、かつ、2つの負荷端子3の温度差|T1(n)-T2(n)|が第1閾値Tth1を超えると、異常有りと判断する。このとき、制御部102は、異常検出部101の検出結果に基づき、開閉部12に遮断指令を出力して、開閉部12の2つの接点を開極させる遮断処理を実行する(ステップST5)。開閉部12の2つの接点が開極することで、外部電源5から負荷器具2への電力供給が遮断される。なお、開閉部12の2つの接点が開極した状態では、
図4に示すように、操作部材13の上端部が、操作部材13の下部の軸を中心に回転し、前方に突出した状態となる。
【0054】
また、制御部102は、異常検出部101の検出結果に基づき、通知部11に通知指令を出力する。通知部11は、制御部102から通知指令を受け取ると、異常の発生を通知する通知処理を行う(ステップST6)。通知部11では、表示部14が第1表示灯141及び第2表示灯142のうちの少なくとも一方を点灯又は点滅させることで、異常の発生を通知する。つまり、通知部11は、異常検出部101の検出結果を表示部14に表示させており、ユーザは異常検出部101の検出結果を視覚的に確認することができる。また、通知部11では、ブザー15を鳴動させることによって、異常の発生を通知しており、ユーザは異常検出部101の検出結果を音で確認することができる。
【0055】
ここで、通知部11の通知を確認したユーザがスイッチ16を押操作すると、スイッチ16から制御部102に操作信号が入力され、制御部102は、スイッチ16からの操作信号に応じて通知部11による通知処理を停止させる。
【0056】
また、通知部11の通知を確認したユーザが異常の原因を解消した後に、操作部材13の上端部を、筐体1Aの前面と面一になる位置(
図3に示す位置)まで、後方に倒すと、開閉部12の2つの接点が閉極し、外部電源5から負荷器具2への電力供給が再開する。
【0057】
(3)変形例
上記実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0058】
以下、上記の実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0059】
本開示におけるコンセント1は、例えば処理部10等にコンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における処理部10としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0060】
上記実施形態では、異常検出部101は、判定開始条件が成立した状態で、複数の負荷端子3のうちの2つの負荷端子3の温度差|T1(n)-T2(n)|が第1閾値Tth1を超えると、異常有りと検出しているので、誤検出の発生をさらに抑制できるが、判定開始条件が成立したことをもって異常有りと検出してもよい。
【0061】
また、異常検出部101は、判定開始条件が成立し、かつ、少なくとも1つの負荷端子3の温度の計測期間ごとの差分値ΔT1(n)又はΔT2(n)が第2閾値Vth2を超えると、異常有りと検出してもよい。例えば、2つの負荷端子3の温度T1(n),T2(n)が
図11のように変化している場合、異常検出部101は、上述のように時点t(n)において判定開始条件が成立したと判断する。このとき、異常検出部101は、時点t(n)での各負荷端子3の温度の差分値ΔT1(n)又はΔT2(n)と第2閾値Vth2との高低を比較し、差分値ΔT1(n)又はΔT2(n)が第2閾値Vth2を超えると異常有りと検出する。つまり、判定開始条件が成立している場合、各負荷端子3の温度の差分値ΔT1(n)又はΔT2(n)が第2閾値Vth2を超えていれば、異常検出部101は、異常有りと判断することができる。なお、第2閾値Tth2は例えば0.5℃以上かつ5℃以下に設定されているが、第2閾値Tth1の値は適宜変更が可能である。
【0062】
また、判定開始条件は、複数の負荷端子3のうち少なくとも1つの負荷端子3の温度の計測期間ごとの差分値が、前回検出時の差分値を所定の第3閾値以上上回る増加状態が所定回数以上連続して発生するという条件でもよく、コンセント1の外部での異常な温度上昇を確実に検出することができる。なお、第3閾値は、例えば0.3℃以上かつ1℃以下の値に設定されるのが好ましく、第3閾値の値は適宜変更が可能である。
【0063】
上記の実施形態において、温度の測定結果などの2値の比較において、「より大きい」としているところは「以上」であってもよい。つまり、2値の比較において、2値が等しい場合を含むか否かは、基準値等の設定次第で任意に変更できるので、「より大きい」か「以上」かに技術上の差異はない。同様に、「以下」としているところは「未満」であってもよい。
【0064】
また、コンセント1は、互いに異極性となる負荷端子3の対と、負荷器具2のプラグ21が接続される第1接続部8をそれぞれ複数備えてもよい。
【0065】
(4)まとめ
以上説明したように、第1の態様のコンセント(1)は、複数の負荷端子(3)と、複数の電源端子(4)と、複数の給電路(L1)と、複数の温度検出部(92)と、異常検出部(101)と、を備える。複数の負荷端子(3)には、負荷器具(2)のプラグ(21)が有する複数の接触子(211)がそれぞれ接続される。複数の電源端子(4)には、外部電源(5)からの複数の給電線(51)がそれぞれ接続される。複数の給電路(L1)は、複数の負荷端子(3)と複数の電源端子(4)との間をそれぞれ接続する。温度検出部(92)は、複数の負荷端子(3)の少なくとも1つの温度を、計測期間が経過するごとに検出する。異常検出部(101)は、判定開始条件が成立すると、複数の温度検出部(92)の検出結果に基づいて異常の有無を検出する処理を行う。判定開始条件は、少なくとも1つの負荷端子(3)の温度の検出値の計測期間ごとの差分値が、所定回数以上連続して増加するという条件を含む。
【0066】
この態様によれば、判定開始条件が成立した場合に異常検出部(101)が異常の有無を検出する処理を行うことで、コンセント(1)の外部での異常な温度上昇を検出することができる。
【0067】
第2の態様のコンセント(1)では、第1の態様において、温度検出部(92)は、複数の負荷端子(3)のうちの2つの負荷端子(3)の温度を測定している。異常検出部(101)は、判定開始条件が成立し、かつ、2つの負荷端子(3)の温度差が第1閾値を超えると、異常有りと検出する。
【0068】
この態様によれば、誤検出を抑制できる。
【0069】
第3の態様のコンセント(1)では、第1の態様において、異常検出部(101)は、判定開始条件が成立し、かつ、少なくとも1つの負荷端子(3)の温度の計測期間ごとの差分値が第2閾値を超えると、異常有りと検出する。
【0070】
この態様によれば、誤検出を抑制できる。
【0071】
第4の態様のコンセント(1)では、第1~3のいずれかの態様において、判定開始条件が成立するときの少なくとも1つの負荷端子(3)の温度変化特性は、時間に対して指数比例するような、正の微分係数を有する温度変化特性である。
【0072】
この態様によれば、コンセント(1)の外部での異常な温度上昇を検出することができる。
【0073】
第5の態様のコンセント(1)では、第1~4のいずれかの態様において、異常検出部(101)が異常有りと検出すると給電路(L1)を遮断する開閉部(12)を、更に備える。
【0074】
この態様によれば、異常が発生した場合に負荷器具(2)への電力供給を遮断することができる。
【0075】
第6の態様のコンセント(1)では、第1~5のいずれかの態様において、異常検出部(101)の検出結果を通知する通知部(11)を、更に備える。
【0076】
この態様によれば、異常検出部(101)の検出結果を外部に通知することができる。
【0077】
第7の態様のコンセント(1)では、第6の態様において、通知部(11)は、異常検出部(101)の検出結果を表示部(14)に表示させる。
【0078】
この態様によれば、異常検出部(101)の検出結果を視覚的に通知することができる。
【0079】
上記態様に限らず、実施形態に係るコンセント(1)の種々の構成(変形例を含む)は、コンセント(1)の制御方法、(コンピュータ)プログラム、又はプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化可能である。
【0080】
第2~第6の態様に係る構成については、コンセント(1)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0081】
1 コンセント
2 負荷器具
3 負荷端子
4 電源端子
5 外部電源
11 通知部
14 表示部
21 プラグ
51 給電線
92 温度検出部
101 異常検出部
211 接触子
L1 給電路