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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-25
(45)【発行日】2024-10-03
(54)【発明の名称】カテーテルおよびカテーテルシステム
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/06 20060101AFI20240926BHJP
【FI】
A61M25/06 550
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021040768
(22)【出願日】2021-03-12
(65)【公開番号】P2022140108
(43)【公開日】2022-09-26
【審査請求日】2024-01-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(72)【発明者】
【氏名】金子 卓弥
【審査官】鈴木 洋昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-66636(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0076455(US,A1)
【文献】特開2004-229812(JP,A)
【文献】特表2009-504203(JP,A)
【文献】特開2014-176651(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠位端と近位端とを有し、長手方向に延在し、遠位側に湾曲部を有するカテーテルシャフトと、
前記カテーテルシャフトの近位側に配置されたハンドルと、
前記カテーテルシャフトの表面に配置され、遠位端と近位端とを有し、長手方向に延在し、前記カテーテルシャフトが挿通される内腔を有するインサータとを備え、
前記インサータは、光透過性を有する第1層と、前記第1層上に配置され、光吸収性を有する第2層とを有し、前記第2層の遠位端は、前記第1層の遠位端より近位側に配置されており、前記インサータの遠位端を含む遠位部分は光透過性を有するカテーテル。
【請求項2】
前記第2層の近位端は、前記第1層の近位端より遠位側に配置されており、前記インサータの近位端を含む近位部分が光透過性を有し、前記近位部分は、近位端に向かって外径および内径が大きくなる近位フレア部を有する請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記インサータは、前記遠位部分が、遠位端に向かって外径が小さくなる遠位テーパ部を有する請求項1または2に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記インサータは、遠位端が近位側に隣接する部分より外径が大きい遠位口を有する請求項1から3のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記第1層は、前記第2層よりも表面の滑り性が高い請求項1から4のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項6】
前記カテーテルは、前記湾曲部に発光部を有する請求項1から5のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載されたカテーテルと、前記カテーテルを体内に案内するためのシースイントロデューサを含むカテーテルシステムであって、
前記シースイントロデューサは、近位端に配置されたカテーテル挿入口と、前記カテーテル挿入口に配置された止血弁を備え、前記カテーテル挿入口および前記止血弁は、光透過性を有するカテーテルシステム。
【請求項8】
前記インサータの前記第2層の遠位端は、前記止血弁の近位端に接触する接触面を有する請求項7に記載されたカテーテルシステム。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インサータを備えるカテーテルおよびカテーテルシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
不整脈治療における様々な診断や治療方法が模索・確立される中で、使用されるカテーテルの種類の多様化が進んでいる。カテーテルの先端形状においても心臓組織の解剖学的構造に合わせるように、カーブ形状やループ形状等、予め形状付けされたものが数多く開発されている。
【0003】
これらのカテーテルは、シースイントロデューサを介して、心臓等の治療部位へ挿通される。カテーテルに併用されるシースイントロデューサは、挿通するカテーテルの形状や種類を問わず、共通のものを使用する例が大半である。使用者は、カテーテルシャフトの先端を直接把持して、シースイントロデューサなどの併用機器に挿入することが多かった。
【0004】
しかし、上述のように先端部に形状付けがなされたカテーテルシャフトを併用機器に挿入する際には、カテーテルシャフト先端部の形状によって挿入が困難になり、シャフトの押し込み時にシャフトの折れ曲がりや、圧迫などによる破損のリスクがあり、また挿入作業の効率が悪いという問題があった。
【0005】
特許文献1には、インサータとして、カテーテルシャフトの位置が見やすく、湿潤環境で、インサータ内に配置された血管内機器を使用者が目視で点検することができる透明なインサータが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2014-176651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
遠位端に予め湾曲形状が付与されたカテーテルシャフトをシースイントロデューサに挿入する際には、カテーテルシャフトの湾曲部分を直接把持して、湾曲部分を直線状に変形させ、シースイントロデューサ内に導入する必要がある。
【0008】
特許文献1のようなインサータでは、カテーテルシャフトの遠位端をインサータの近位端に挿入する作業が必要となり、上記と同様に、カテーテルの湾曲部分を直接把持等する必要がある。この時、湾曲部分を破損したり、作業性が悪いという問題があった。
【0009】
本発明の目的は、インサータにカテーテルシャフトを挿入する場合も、インサータに予めカテーテルシャフトが挿通されており、カテーテルとインサータの相対的位置を変化させることで、インサータの内腔に湾曲したカテーテルシャフトの遠位端を配置する場合に、インサータを用いて挿通が容易なカテーテルおよびカテーテルシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決することができたカテーテルは、遠位端と近位端とを有し、長手方向に延在し、遠位側に湾曲部を有するカテーテルシャフトと、カテーテルシャフトの近位側に配置されたハンドルと、カテーテルシャフトの表面に配置され、遠位端と近位端とを有し、長手方向に延在し、カテーテルシャフトが挿通される内腔を有するインサータとを備え、インサータは、光透過性を有する第1層と、第1層上に配置され、光吸収性を有する第2層とを有し、第2層の遠位端は、第1層の遠位端より近位側に配置されており、インサータの遠位端を含む遠位部分は光透過性を有するカテーテルである。
【0011】
第2層の近位端は、第1層の近位端より遠位側に配置されており、インサータの近位端を含む近位部分が光透過性を有し、近位部分は、近位端に向かって外径および内径が大きくなる近位フレア部を有することが好ましい。インサータは、遠位部分が、遠位端に向かって外径が小さくなる遠位テーパ部を有することが好ましい。
【0012】
インサータは、遠位端が近位側に隣接する部分より外径が大きい遠位口を有することが好ましい。第1層は、第2層よりも表面の滑り性が高いことが好ましい。カテーテルは、湾曲部に発光部を有することが好ましい。
【0013】
上記課題を解決することができたカテーテルシステムは、本発明のカテーテルと、カテーテルを体内に案内するためのシースイントロデューサを含むカテーテルシステムであって、シースイントロデューサは、近位端に配置されたカテーテル挿入口と、カテーテル挿入口に配置された止血弁を備え、カテーテル挿入口および止血弁は、光透過性を有するカテーテルシステムである。
【0014】
インサータの第2層の遠位端は、止血弁の近位端に接触する接触面を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明のカテーテルおよびカテーテルシステムによれば、遠位側に湾曲部のあるカテーテルを遠位側あるいは近位側からインサータに挿入しやすく、カテーテルの破損リスクを低減し、作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明のカテーテルの一実施形態に係る平面図を示す。
図2】本発明のインサータの一実施形態に係る平面図を示す。
図3】本発明のインサータの異なる実施形態に係る長手方向に沿った断面図を示す。
図4図3に示したインサータのIV-IV断面図を示す。
図5】本発明のインサータの異なる実施形態に係る遠位側部分の長手方向に沿った断面図を示す。
図6】本発明のカテーテルの一実施形態に係る遠位側部分の長手方向に沿った断面図を示す。
図7】本発明のカテーテルシステムの一実施形態の一部分に係る長手方向に沿った断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明のカテーテルは、遠位端と近位端とを有し、長手方向に延在し、遠位側に湾曲部を有するカテーテルシャフトと、カテーテルシャフトカテーテルシャフトの近位側に配置されたハンドルと、カテーテルシャフトの表面に配置され、遠位端と近位端とを有し、長手方向に延在し、カテーテルシャフトが挿通される内腔を有するルインサータとを備える。インサータは、光透過性を有する第1層と、第1層上に配置され、光吸収性を有する第2層とを有し、第2層の遠位端は、第1層の遠位端より近位側に配置されており、インサータの遠位端を含む遠位部分は光透過性を有する。
【0018】
本発明において、遠位側とは治療部位のある体内側であり、近位側とは使用者の手元側を指す。長手方向は、遠位側から近位側または、近位側から遠位側へ向う方向である。図1は本発明のカテーテルの一実施形態を示す図であり、図の左側が遠位側であり、右側が近位側である。本発明のカテーテルにおいて、遠位側とは、カテーテルの全長において、中央より遠位端側を遠位側、中央より近位端側を近位側という。
【0019】
図1に示すように、カテーテル1は、遠位端と近位端とを有し、長手方向に延在するカテーテルシャフト20を備える。カテーテル1は、カテーテルシャフト20の遠位側に湾曲部21を有する。湾曲部21の形状や位置は、カテーテルに求められる機能や処置方法に応じて設定することができる。例えば、心臓の血管の周囲の電位を測定するために、遠位端を含むカテーテルシャフト20がループ形状である電位測定用のカテーテルがある。図 1のカテーテル1では、カテーテルシャフト20の遠位端を含む遠位部分にループ側の湾曲部21が設けられ、かつ湾曲部21がカテーテルシャフト20の長手軸に対して約90度曲がって配置されている。
【0020】
図6に示すように、カテーテルシャフト20は遠位側の表面に、電極22やセンサが設けられていてもよい。カテーテルシャフト20は、内腔を備えていてもよい。カテーテルシャフト20の内腔は、処置に用いる処置具を通す経路や、処置部へ流体を送出するための経路としたり、表面にセンサ類が配置されている場合に導線を配置したりすることができる。
【0021】
カテーテルシャフト20は、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ナイロン等のポリアミド系樹脂等の合成樹脂を用いることができる。また、カテーテルシャフト20を補強するためや機能を付加するために、金属や合成樹脂の線材や繊維が付加されていてもよい。カテーテルシャフト20は、単層構造であってもよく、複層構造であってもよい。また、カテーテルシャフト20の長さや外径は、カテーテル1に求められる機能や処置方法に応じて、設定することができる。
【0022】
カテーテルシャフト20の遠位端は、処置具や流体を挿通すための開口が設けられていてもよい。また、カテーテルシャフト20の遠位端に電極22やセンサを配置して開口していない状態であってもよい。カテーテルシャフト20の近位端側にはハンドル30を配置する。ハンドル30は、カテーテル1の取り扱い性を向上させるものであり、カテーテル1の持つ機能に合わせて、種々の部材を備えたり、操作が可能であってもよい。
【0023】
カテーテルシャフト20の近位端または近位端付近が、ハンドル30の内部に固定されることが好ましい。カテーテルシャフト20とハンドル30の外径の変化や硬さの変化を緩和するために、ハンドル30の遠位端側のカテーテルシャフト20の外側表面に、カテーテルシャフト20とハンドル30の境界部分を覆うカバーチューブ31が配置されていてもよい。カテーテルシャフト20の表面には、インサータ10が配置される。インサータ10は、遠位端と近位端とを有し、長手方向に延在し、カテーテルシャフト20が挿通される内腔を有する。
【0024】
インサータ10は、カテーテル1を別のカテーテル等に挿通する際に用いられる。別のカテーテルとは、例えば、シースイントロデューサやガイドカテーテルと呼ばれ、体内へカテーテル等の治療器具を導入する際に、治療器具を体内へ挿通する前に事前に体内へ挿通されるシース状の器具で、治療器具を使用する際に補助的に用いられる補助デバイスである。
【0025】
シースイントロデューサの近位端部には、血液等の逆流を防ぐために、止血弁が設けられていることが多い。止血弁は血液等が近位側へ流出しないように閉じられており、カテーテル等の治療器具をシースイントロデューサ内に挿入するためには、止血弁の抵抗に反して治療器具を押し込む必要がある。この時、治療器具のカテーテルシャフトの遠位側に湾曲がある場合、直線状の部分を押し込むのに比べて形状が安定せず、押し込むことが困難である。
【0026】
そのような場合に、図6および7に示すように、カテーテルシャフト20の湾曲部21をインサータ10の内腔に挿入し直線状にしたうえで、インサータ10とともにシースイントロデューサ100の止血弁120に挿入することによって、湾曲したカテーテルシャフト20を円滑にシースイントロデューサ内に挿入することができる。インサータ10は、その遠位端の一部がシースイントロデューサ100の止血弁120より遠位側へ挿入されることが好ましい。これにより、カテーテルシャフト20を確実に止血弁120より遠位側へ挿通することができる。インサータ10は、その全体が止血弁120より遠位側へ挿入できない外径であることが好ましい。シースイントロデューサ100内にカテーテルシャフト20を挿入した後のインサータ10は、カテーテルシャフト20が体内側へ移動するに伴ってカテーテルシャフト20のハンドル30側へ移動させる。インサータ10の全体が、止血弁120より遠位側へ挿入されないようにするために、インサータ10には、止血弁120の近位端と接触する接触面16が設けられることが好ましい。
【0027】
インサータ10の長さや内径は、カテーテルシャフト20の湾曲部21の位置やカテーテルシャフト20の外径に応じて、設定することができる。インサータ10の長さは、遠位側に湾曲部21のあるカテーテルシャフト20を直線状に伸ばしたときに、カテーテルシャフト20の遠位端から、少なくとも湾曲部21の近位端までを覆う長さであることが好ましい。カテーテルシャフト20を直線状に保ったまま、シースイントロデューサ内に挿入することができるためである。インサータ10の内径は、カテーテルシャフト20の遠位端から近位端までを摺動できる程度の大きさであることが好ましい。インサータ10の内径が大きすぎると、シースイントロデューサ内へ挿入する際に、カテーテルシャフト20の湾曲部21を直線状に保つことができない。インサータ10の内径が小さすぎると、カテーテルシャフト20上を円滑に移動させることができない。
【0028】
図2から4に示すように、インサータ10は、光透過性を有する第1層11と、第1層11の外側に配置され、光吸収性を有する第2層12とを有する。第2層12の遠位端12dは、第1層11の遠位端11dより近位側に配置されており、インサータ10の遠位端を含む遠位部分111は光透過性を有する。これにより、カテーテルシャフト20をインサータ10内に挿入する際に、カテーテルシャフト20の遠位端の位置を確認しながら挿入することができる。予めカテーテルシャフト20に挿通されたインサータ10をカテーテルシャフト20の遠位側へ移動させてカテーテルシャフト20の遠位端をインサータ10内に挿入する場合に、インサータ10を遠位側へ移動させすぎるとカテーテルシャフト20からインサータ10が抜けてしまうことがある。カテーテルシャフト20の湾曲部21の内部には、導線や湾曲形状を保つための構造など内部部材が配置されており、湾曲部21へのインサータ10の抜き差しを繰り返すことにより、内部部材の破損を引き起こすことがある。このため、なるべく少ない回数でインサータ10をカテーテルシャフト20の遠位側部分へセットできることが好ましい。インサータ10の遠位部分111が光透過性を有することにより、カテーテルシャフト20の遠位端がインサータの遠位部分111に到達したことを容易に確認することができる。
【0029】
インサータ10の第1層11は、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ナイロン等のポリアミド系樹脂、PTFE、PFA、ETFE等のフッ素系樹脂等の合成樹脂を用いることができる。インサータ10の第1層11は、インサータ10の最も内側の層であるため、カテーテルシャフト20の挿入、抜去が容易になるように、滑り性の良い材料を用いることが好ましく、例えばPTFE、PFA、ETFE等のフッ素系樹脂を挙げることができる。インサータの第1層11は、第2層12よりも表面の滑り性が高いことが好ましい。
【0030】
インサータ10の第2層12は、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ナイロン等のポリアミド系樹脂、PTFE、PFA、ETFE等のフッ素系樹脂等の合成樹脂を用いることができる。インサータ10の第2層12は、インサータ10の最も外側の層であるため、カテーテルシャフト20の挿入、抜去時に使用者が操作しやすいように、滑り止め性能の高い材料を用いることが好ましく、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂を挙げることができる。
【0031】
第1層11に光透過性を付与するために、透明性を有する樹脂を用いることができる。第2層12に光吸収性を付与するために、顔料等の着色剤や、光吸収性のフィラーを添加した樹脂を用いることができる。インサータ10の第1層11と第2層12との間に、さらに層が配置されていてもよい。第1層11と第2層12の間の層は、材料、サイズを適宜選択することができるが、インサータ10の遠位部分111の光透過性を損なわないことが必要である。
【0032】
図3に示すように、インサータ10の第2層12の近位端12pは、第1層11の近位端11pよりも遠位側に配置されており、インサータ10の近位端を含む近位部分112が光透過性を有し、近位部分112は、インサータ10の近位端に向かって外径および内径が大きくなる近位フレア部13を有することが好ましい。インサータ10が近位フレア部13を有することにより、インサータ10がカテーテルシャフト20の遠位端から脱落した場合に、インサータ10を再度カテーテルシャフト20に取り付けやすくなる。インサータ10をカテーテルシャフト20に取り付ける際には、カテーテルシャフト20の遠位端からインサータ10の近位端を挿入する。この際に近位フレア部13が、カテーテルシャフト20の遠位端をインサータ10の内腔へガイドすることにより挿入が容易になる。
【0033】
なお、近位フレア部13は、インサータ10の近位端を含む部分に配置されていればよく、インサータ10の近位端が第1層11および第2層12を有する場合は、光透過性のない部分に近位フレア部13が配置されていてもよく、インサータ10の第2層12を有する部分から、インサータ10の近位端に向かって、近位フレア部13が設けられていてもよい。
【0034】
図3に示すように、インサータ10は、遠位部分111が、インサータ10の遠位端に向かって外径が小さくなる遠位テーパ部14を有することが好ましい。遠位テーパ部14により、インサータ10の遠位端をシースイントロデューサ等の補助デバイスに挿入することが容易になる。遠位テーパ部14の内腔は、遠位テーパ部14より近位側の部分と比べて同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0035】
図5に示すように、インサータ10の遠位端は、近位側に隣接する部分より外径が大きい遠位口15を有することが好ましい。遠位口15により、インサータ10の遠位端部を補強することができ、インサータ10の遠位端部が割けたり、ちぎれたりすることを防ぐことができる。図5に示すように、インサータ10は、遠位テーパ部14と遠位口15の両方を備えていてもよい。
【0036】
カテーテル1は、カテーテルシャフト20の湾曲部21に発光部23を有していてもよい。インサータ10にカテーテルシャフト20を挿入する際に、発光部23が発光することにより、インサータ10の遠位部分111から発光を確認することができ、インサータ10がカテーテルシャフト20の遠位端から脱落することを防ぐことができる。
【0037】
図7は、本発明のカテーテルシステムを示す図である。本発明のカテーテル1は、カテーテル1を体内に案内するための補助デバイスであるシースイントロデューサ100とともにカテーテルシステムを構成することができる。本発明のカテーテルシステムに含まれるシースイントロデューサ100は、近位端にカテーテル挿入口110と、カテーテル挿入口110配置された止血弁120を備える。カテーテル挿入口110と止血弁120は、光透過性を備える。シースイントロデューサ100のカテーテル挿入口110および止血弁120に、本発明のインサータ10が挿入され、カテーテル1がシースイントロデューサ100内に挿通される際に、カテーテルシャフト20の遠位端を確認することができ、カテーテルの破損リスクを低減し、作業性を向上させることができる。
【0038】
インサータ10の第2層12の遠位端12dは、シースイントロデューサ100の止血弁120の近位端に接触する接触面16を有することが好ましい。これにより、インサータ10が止血弁120に接触し、第2層12が、止血弁120より遠位側へ移動することを防ぐことができる。
【符号の説明】
【0039】
1:カテーテル
10:インサータ、111:遠位部分、112近位部分
11:第1層、12:第2層、11d:第1層の遠位端、12d:第2層の遠位端、11p:第1層の近位端、12p:第2層の近位端
13:近位フレア部、14:遠位テーパ部、15:遠位口、16接触面
20:カテーテルシャフト、21:湾曲部、22:電極、23発光部
30:ハンドル
100:シースイントロデューサ、110カテーテル挿入口、120止血弁




図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7