(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-25
(45)【発行日】2024-10-03
(54)【発明の名称】予混合装置
(51)【国際特許分類】
F23D 14/62 20060101AFI20240926BHJP
F23N 5/24 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
F23D14/62
F23N5/24 101A
(21)【出願番号】P 2021052665
(22)【出願日】2021-03-26
【審査請求日】2023-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】弁理士法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】則竹 克哉
(72)【発明者】
【氏名】三浦 卓也
【審査官】礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-025722(JP,A)
【文献】特開2003-130333(JP,A)
【文献】特開2015-048966(JP,A)
【文献】特開2019-039647(JP,A)
【文献】特開平07-293865(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23D 1/00 - 99/00
F23N 1/00 - 5/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気に燃料ガスを混合し、混合気をファンを介してバーナに供給する予混合装置であって、ファンの上流側の空気供給路の部分に設けられたガス吸引部に下流端が接続されたガス供給路に介設された、二次ガス圧を大気圧に調圧するゼロガバナと、ゼロガバナの下流側のガス供給路の部分に介設されたモータ駆動式の流量調節弁と、混合気の空気過剰率を検出する空気過剰率検出手段と、制御手段とを備え、制御手段は、空気過剰率検出手段で検出される混合気の空気過剰率が所定値になるように流量調節弁の開度を調節する制御を行うように構成されるものにおいて、
流量調節弁に、流量調節弁の弁体の移動を検知する検知手段が付設され、
制御手段は、バーナに点火する際に、流量調節弁のモータを閉弁方向と開弁方向との一方と他方に順に回転させ、この回転による流量調節弁の弁体の移動が検知手段で検知されたときにのみ点火制御を行うように構成され
、
流量調節弁の弁体は、流量調節弁の弁座に形成した弁孔に挿入可能なニードル部を有し、
流量調節弁に、弁座の下流側に位置させて、ニードル部に対向するダイヤフラムが設けられ、流量調節弁の弁体の閉弁方向への移動でダイヤフラムが弁体に押されて変位するようにし、検知手段は、ダイヤフラムの変位を検出するように構成されることを特徴とする予混合装置。
【請求項2】
前記バーナに点火する際に、前記流量調節弁のモータを閉弁方向に回転させてから開弁方向に回転させて、流量調節弁の前記弁体を所定の点火位置まで移動させることを特徴
とする請求項1記載の予混合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気に燃料ガスを混合し、混合気をファンを介してバーナに供給する予混合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の予混合装置として、ファンの上流側の空気供給路の部分に設けられたガス吸引部に下流端が接続されたガス供給路に、二次ガス圧を大気圧に調圧するゼロガバナを介設したものが知られている。ここで、燃料ガスの供給量は、二次ガス圧である大気圧と空気供給路内の負圧との差圧に応じて変化する。そして、空気供給路内の負圧がファン回転数に応じて変化するため、燃料ガスの供給量はファン回転数、即ち、空気の供給量に比例して変化する。従って、要求燃焼量に応じてファン回転数を制御することにより、要求燃焼量に応じた量の混合気がバーナに供給され、混合気の空気過剰率(一次空気量/理論空燃比の空気量)は一定になる。
【0003】
ところで、外国では、燃料ガスとして同じガス種を使用していても、時間により燃料ガスの発熱量(ウォッベ指数)が変動することがある。上記従来例のものでは、燃料ガスの発熱量が変動しても、空気の供給量に対する燃料ガスの供給量の比は一定であるため、燃料ガスの発熱量の変動で混合気の空気過剰率が変動して、燃焼不良が発生してしまう。
【0004】
そこで、従来、特許文献1により、ゼロガバナの下流側のガス供給路の部分に介設されたモータ駆動式の流量調節弁と、混合気の空気過剰率を検出する空気過剰率検出手段と、制御手段とを備え、制御手段により、空気過剰率検出手段で検出される混合気の空気過剰率が所定値になるように流量調節弁の開度を調節する制御を行うようにした予混合装置も知られている。これによれば、燃料ガスの発熱量が変動しても、流量調節弁の制御により混合気の空気過剰率が一定に保たれ、燃焼不良の発生を防止できる。
【0005】
然し、特許文献1に記載のものでは、流量調節弁の故障を生じても、点火後に空気過剰率検出手段で混合気の空気過剰率を検出できるようになるまでは、流量調節弁の異常を検知できない。そのため、流量調節弁の開故障や閉故障により、混合気の空気過剰率が過少になったり過大になったりした状態で点火動作が行われて、点火不良を生ずる恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上の点に鑑み、流量調節弁の故障を点火前に検知できるようにして安全性を高めた予混合装置を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、空気に燃料ガスを混合し、混合気をファンを介してバーナに供給する予混合装置であって、ファンの上流側の空気供給路の部分に設けられたガス吸引部に下流端が接続されたガス供給路に介設された、二次ガス圧を大気圧に調圧するゼロガバナと、ゼロガバナの下流側のガス供給路の部分に介設されたモータ駆動式の流量調節弁と、混合気の空気過剰率を検出する空気過剰率検出手段と、制御手段とを備え、制御手段は、空気過剰率検出手段で検出される混合気の空気過剰率が所定値になるように流量調節弁の開度を調節する制御を行うように構成されるものにおいて、流量調節弁に、流量調節弁の弁体の移動を検知する検知手段が付設され、制御手段は、バーナに点火する際に、流量調節弁のモータを閉弁方向と開弁方向との一方と他方に順に回転させ、この回転による流量調節弁の弁体の移動が検知手段で検知されたときにのみ点火制御を行うように構成され、流量調節弁の弁体は、流量調節弁の弁座に形成した弁孔に挿入可能なニードル部を有し、流量調節弁に、弁座の下流側に位置させて、ニードル部に対向するダイヤフラムが設けられ、流量調節弁の弁体の閉弁方向への移動でダイヤフラムが弁体に押されて変位するようにし、検知手段は、ダイヤフラムの変位を検出するように構成されることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、流量調節弁の開故障や閉故障でモータを回転させても弁体が移動しない場合、検知手段が弁体の移動を検知しないため、点火制御が行われない。従って、流量調節弁の開故障や閉故障による点火不良を未然に防止することができ、安全である。また、ゼロガバナの故障で二次ガス圧が大気圧よりも高くなった場合、流量調節弁の弁体の移動に拘わらず、ダイヤフラムが大気圧より高い二次ガス圧に押されて変位して、これを検知手段が検知する。従って、ゼロガバナの故障も検知でき、より安全である。
【0010】
また、本発明においては、バーナに点火する際に、流量調節弁のモータを閉弁方向に回転させてから開弁方向に回転させて、流量調節弁の弁体を所定の点火位置まで移動させることが望ましい。これによれば、流量調節弁の故障検知のための制御開始から点火制御までの待ち時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態の予混合装置を示す説明図。
【
図3】実施形態の予混合装置に設けられる流量調節弁の要部の分解斜視図。
【
図4】実施形態の予混合装置における制御手段による制御内容を示すフロー図。
【
図5】他の実施形態の予混合装置の
図2に対応する断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1に示す燃焼装置は、全一次燃焼式のバーナ1と、バーナ1の燃焼面1aから噴出する混合気の燃焼空間を囲う燃焼筐2と、燃焼筐2内に配置した熱交換器3とを備える熱源機である。熱交換器3には、上流側の給水管31と、下流側の出湯管32とが接続されている。混合気の燃焼で生ずる燃焼ガスは、熱交換器3を加熱した後に燃焼筐2の端部に接続される排気筒4を介して外部に排出される。また、本発明の実施形態の予混合装置Aにより、空気に燃料ガスを混合し、混合気をファン5を介してバーナ1に供給している。
【0014】
予混合装置Aは、ファン5の上流側の空気供給路6と、燃料ガスを供給するガス供給路7と、制御手段たるコントローラ8とを備えている。ガス供給路7の下流端は、空気供給路6に設けられたガス吸引部61に接続されている。ガス吸引部61の上流側に隣接する空気供給路6の部分には、後述するバタフライ弁62を配置した部分よりも小径なベンチュリ部63が設けられている。ベンチュリ部63の下流側に隣接する空気供給路6の部分は、ベンチュリ部63より大径の筒部64で囲われている。そして、ベンチュリ部63の下流端部を筒部64の上流端部に環状の隙間を存して挿入し、この隙間でガス吸引部61を構成している。ガス供給路7の下流端には、筒部64を囲うようにして、ガス吸引部61に連通するガス室71が設けられている。また、ガス供給路7には、上流側から順に、元弁72と、二次ガス圧を大気圧に調圧するゼロガバナ73と、流量調節弁74とが介設されている。
【0015】
ガス吸引部61を介して供給される燃料ガスの量は、二次ガス圧である大気圧と空気供給路6内の負圧との差圧に応じて変化する。ここで、空気供給路6内の負圧は、ファン5の回転数に応じて変化する。そのため、燃料ガスの供給量はファン5の回転数、即ち、空気の供給量に比例して変化する。また、燃料ガスの供給量と空気の供給量との比率は、流量調節弁74の開度によって変化する。流量調節弁74の開度を使用するガス種に応じた所定の基準開度にすることで、混合気の空気過剰率が所定の適正値(例えば、1.3)になる。そして、要求燃焼量(設定湯温の温水を出湯するために必要な燃焼量)に応じてファン5の回転数を制御することにより、空気過剰率が適正値で要求燃焼量に応じた量の混合気がバーナ1に供給される。
【0016】
尚、排気筒4への風の侵入で排気不良を生じないようにするため、即ち、耐風性能を確保するため、ファン5の下限回転数をあまり低く設定することはできない。そして、要求燃焼量がファン5の下限回転数に対応する所定値以下になった場合には、要求燃焼量に対応する量の空気を供給できなくなる。
【0017】
そこで、ガス吸引部61より上流側の空気供給路6の部分に、当該部分の通気抵抗を大小2段に切換えるために、
図1に実線で示す閉じ姿勢と仮想線で示す開き姿勢とにモータ621(
図2参照)により切換えられるバタフライ弁62を配置している。そして、要求燃焼量が上記所定値以下になった場合には、バタフライ弁62を閉じ姿勢にして、空気供給路6の通気抵抗を大きくし、ファン5の回転数を下限回転数以下にせずに、所定値以下の要求燃焼量に対応する量の空気を供給できるようにしている。
【0018】
但し、バタフライ弁62を閉じ姿勢にして、空気供給路6の通気抵抗を大きくするだけでは、空気供給路6内の負圧が増加して、燃料ガスの供給量が過大となり、バーナ1に供給される混合気の空気過剰率が適正値を下回ってしまう。そのため、要求燃焼量が比較的小さな場合には、バタフライ弁62を閉じ姿勢にすると共に、流量調節弁74の開度を基準開度よりも小さな所定の小能力開度にすることで、燃焼能力を小能力に切換えて、空気過剰率が適正値で比較的小さな要求燃焼量に対応する量の混合気がバーナ1に供給されるようにし、要求燃焼量が比較的大きな場合には、バタフライ弁62を開き姿勢にすると共に、流量調節弁74の開度を基準開度たる大能力開度にすることで、燃焼能力を大能力に切換えて、空気過剰率が適正値で比較的大きな要求燃焼量に対応する量の混合気がバーナ1に供給されるようにしている。
【0019】
ところで、燃料ガスとして同じガス種を使用していても、時間により燃料ガスの発熱量(ウォッベ指数)が変動することがある。この場合、空気の供給量に対する燃料ガスの供給量の比が一定であると、燃料ガスの発熱量の変動で混合気の空気過剰率が変動して、燃焼不良が発生してしまう。
【0020】
そこで、混合気の空気過剰率を検出する空気過剰率検出手段9を設けている。本実施形態では、バーナ1の燃焼面1aに臨ませて設けたフレームロッドで空気過剰率検出手段9を構成し、フレームロッドに流れるフレーム電流から混合気の空気過剰率を検出するようにしている。尚、混合気の空気過剰率に応じて火炎が燃焼面1aに近づいたり離れたりするため、燃焼面1aの裏面温度が混合気の空気過剰率に応じて変化する。従って、燃焼面1aの裏面温度を検出する温度センサで空気過剰率検出手段9を構成することも可能である。
【0021】
そして、コントローラ8は、空気過剰率検出手段9で検出される混合気の空気過剰率が一定になるように、即ち、所定の適正値に保たれるように流量調節弁74の開度を調節するフィードバック制御を行う。具体的には、燃料ガスの発熱量の増加で混合気の空気過剰率が減少したときは、流量調節弁74の開度を減少させて、空気の供給量に対する燃料ガスの供給量の比を空気過剰率が適正値になるように減少させ、また、燃料ガスの発熱量の減少で混合気の空気過剰率が増加したときは、流量調節弁74の開度を増加させて、空気の供給量に対する燃料ガスの供給量の比を空気過剰率が適正値になるように増加させる。これによれば、燃料ガスの発熱量が変動しても、混合気の空気過剰率が適正値に保たれ、燃焼不良の発生を防止できる。
【0022】
次に、流量調節弁74の構造について説明する。
図2、
図3を参照して、流量調節弁74は、モータ駆動式であって、弁筐741内の弁座7411に向けて軸方向に接近、離間する弁体742と、ステッピングモータから成るモータ743と、モータ743の回転で弁体742を軸方向に移動させる運動変換機構とを備えている。弁筐741内には、ガス流入口7412aを有する一次側ガス室7412と、上記ガス室71に連通するガス流出口7413aを有する二次側ガス室7413とが設けられている。そして、二次側ガス室7413に、一次側ガス室7412と二次側ガス室7413とを仕切る弁座7411が形成された部材744を装着している。
【0023】
運動変換機構は、弁体742に固定のカムピン7421と、カムピン7421が摺動自在に係合する、軸方向にのびる長孔7451が形成されたガイド筒745と、カムピン7421が長孔7451を通して係合する螺旋状のカム部7461を有する筒状のカム体746とを備えている。そして、モータ743の出力軸7431に連結される連結子7432の断面非円形の軸部をガイド筒745の端部に嵌合させ、モータ743の回転でガイド筒745が回転するようにしている。
【0024】
また、弁体742は、弁座7411に形成した弁孔7411aに挿入可能なニードル部742aを有すると共に、ガイド筒745内に挿入される筒部7422を有している。そして、この筒部7422の端部に、径方向外方に突出するようにカムピン7421が突設されている。また、カムピン7421の基端部をガイド筒745に形成した長孔7451に摺動自在に係合させている。そのため、弁体742は、ガイド筒745に対し軸方向に移動自在で、且つ、一緒に回転するように連結される。
【0025】
カム体746は、弁筐741に対し回り止めされている。具体的には、カム体746の外周面に突設したリブ7462を弁筐741の内周面に形成した溝7414に係合することで、カム体746を弁筐741に対し回り止めしている。また、部品点数を削減するため、カム体746は、弁座7411を形成した部材744に一体に形成されている。カム体746に設けられるカム部7461は、カムピン7421が当接可能な螺旋状の傾斜辺で構成されている。また、カムピン7421をカム部7461に向けて付勢するバネ部材7423を設けている。そして、モータ743の正逆転により、カムピン7421が回転しつつカム部7461に案内されて軸方向一方と他方に動き、弁体742が弁座7411に接近する閉弁方向と弁座7411から離隔する開弁方向とに動く。
【0026】
バーナ1への点火は、燃焼能力を小能力(バタフライ弁62を閉じ姿勢、流量調節弁74の開度を小能力開度)にし、ファン5の回転数を所定の点火回転数にして行う。ここで、流量調節弁74の故障を生じても、点火後に空気過剰率検出手段9で混合気の空気過剰率を検出できるようになるまでは、流量調節弁74の異常を検知できない。そのため、流量調節弁74の開故障や閉故障により、混合気の空気過剰率が過少になったり過大になったりした状態で点火動作が行われて、点火不良を生ずる恐れがある。
【0027】
そこで、本実施形態では、流量調節弁74に、流量調節弁74の弁体742の移動を検知する検知手段747を付設している。具体的に説明すれば、流量調節弁74に、弁座7411の下流側に位置させて、弁体742のニードル部742aに対向するダイヤフラム748を設け、弁体742の閉弁方向への移動でダイヤフラム748が弁体742(ニードル部742a)に押されて閉弁方向に変位するようにしている。そして、検知手段747は、ダイヤフラム748の変位を検出できるように、ダイヤフラム748に連結されたドグ748aと協働するマイクロスイッチ747aで構成されている。マイクロスイッチ747aは、弁体742が小能力位置(流量調節弁74の開度が小能力開度となる弁体742の位置)よりも閉弁方向に移動して、閉弁方向のストローク端位置(
図2に示す位置)の近傍に到達したところでオンするように設定されている。
【0028】
次に、
図4を参照して、コントローラ8が行う制御について説明する。コントローラ8は、出湯管32の下流端の出湯栓(図示せず)が開かれて、熱交換器3への通水が給水管31に介設した水量センサ(図示せず)で検知されたとき(STEP1)、プリパージのためにファン5を駆動すると共に(STEP2)、流量調節弁74のモータ743を閉弁方向(弁体742が閉弁方向に移動する回転方向)に規定角度回転させる(STEP3)。この規定角度は、弁体742を大能力位置(流量調節弁74の開度が大能力開度となる弁体742の位置)から閉弁方向のストローク端位置まで移動させるのに必要な角度より若干大きな角度に設定されており、弁体742が閉弁方向のストローク端位置に到達した後にモータ743が脱調回転して、原点出しが行われる。次に、マイクロスイッチ747aがオンしたか否かを判別する(STEP4)。流量調節弁74が正常であれば、マイクロスイッチ747aはオンするが、流量調節弁74の開故障を生じていれば、マイクロスイッチ747aはオンせず、この場合はエラー停止する(STEP7)。
【0029】
マイクロスイッチ747aがオンしたときは、流量調節弁74のモータ743を開弁方向に回転させて、弁体742を点火位置たる小能力位置に移動させ(STEP5)、この状態でマイクロスイッチ747aがオフしたか否かを判別する(STEP6)。流量調節弁74が正常であれば、マイクロスイッチ747aはオフするが、流量調節弁74が閉故障を生じていれば、マイクロスイッチ747aはオフせず、この場合はエラー停止する(STEP7)。
【0030】
マイクロスイッチ747aがオフしたときは、ファン5を点火回転数で駆動し、更に、元弁72を開弁させると共にスパーカ(図示せず)をオンする点火制御を行う(STEP8)。本実施形態によれば、流量調節弁74の開故障や閉故障でモータ743を回転させても弁体742が移動しない場合、点火制御が行われない。従って、流量調節弁74の開故障や閉故障による点火不良を未然に防止することができ、安全である。
【0031】
尚、流量調節弁74のモータ743を先ず開弁方向に回転させて、マイクロスイッチ747aがオフしたか否かを判別し、次に、モータ743を閉弁方向に回転させて、マイクロスイッチ747aがオンしたか否かを判別し、その後、モータ743を再び開弁方向に回転させて、弁体742を小能力位置に移動させることも可能である。然し、これでは、流量調節弁74の故障検知のための制御開始から点火制御までの待ち時間が長くなってしまう。これに対し、本実施形態では、流量調節弁74の故障検知のための制御として、モータ743の最初の開弁方向の回転が不要となり、流量調節弁74の故障検知のための制御開始から点火制御までの待ち時間を短くすることができる。
【0032】
上記の如く点火制御を行うと、次に、マイクロスイッチ747aがオフしているか否かを判別する(STEP9)。ここで、ゼロガバナ73の故障で二次ガス圧が大気圧よりも高くなった場合、ダイヤフラム748が大気圧より高い二次ガス圧に押されて閉弁方向に変位して、マイクロスイッチ747aがオンする。そこで、マイクロスイッチ747aがオンしたときは、元弁72の閉弁を含むエラー停止を行う(STEP10)。このように本実施形態では、ゼロガバナ73の故障も検知でき、安全性が一層向上する。
【0033】
マイクロスイッチ747aがオフしたままであれば、次に、設定湯温の温水を出湯するために燃焼能力の切換えを含む温調制御を行う(STEP11)。その後、通水が停止されたときは(STEP12)、元弁72を閉弁させると共に(STEP13)、流量調節弁74のモータ743を閉弁方向に上記規定角度回転させ(STEP14)、その後、マイクロスイッチ747aがオンしたか否かを判別する(STEP15)。そして、マイクロスイッチ747aがオンした場合は、ファン5を停止し(STEP17)、マイクロスイッチ747aがオンしない場合は、流量調節弁74の開故障を生じたと判断して、エラー表示を行った後(STEP16)、ファン5を停止する(STEP17)。
【0034】
次に、
図5を参照して、流量調節弁74の弁体742の移動を検知する検知手段747の構成を変更した他の実施形態について説明する。この実施形態では、弁体742のニードル部742aに永久磁石749を内蔵させ、検知手段747を、二次側ガス室7413の外面のニードル部742aに対向する位置に設けたリードスイッチ747bで構成している。そして、弁体742が小能力位置よりも閉弁方向に移動して、閉弁方向のストローク端位置(
図5に示す位置)の近傍に到達したところで、リードスイッチ747bが永久磁石749の磁力を受けてオンするように設定している。
【0035】
このものでも、バーナ1に点火する際に、流量調節弁74のモータ743を閉弁方向と開弁方向との一方と他方に順に回転させ、この回転による流量調節弁74の弁体742の移動がリードスイッチ747bのオンオフで検知されたときにのみ点火制御を行う。これにより、流量調節弁74の開故障や閉故障による点火不良を未然に防止することができる。
【0036】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0037】
A…予混合装置、1…バーナ、5…ファン、6…空気供給路、61…ガス吸引部、7…ガス供給路、73…ゼロガバナ、74…流量調節弁、7411…弁座、7411a…弁孔、742…弁体、742a…ニードル部、743…モータ、747…検知手段、748…ダイヤフラム、8…コントローラ(制御手段)、9…空気過剰率検出手段。