(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-25
(45)【発行日】2024-10-03
(54)【発明の名称】ナースコール親機
(51)【国際特許分類】
A61G 12/00 20060101AFI20240926BHJP
H04M 9/00 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
A61G12/00 E
H04M9/00 D
(21)【出願番号】P 2021060162
(22)【出願日】2021-03-31
【審査請求日】2023-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】森田 和幸
(72)【発明者】
【氏名】飯田 直紀
(72)【発明者】
【氏名】楠 浩和
【審査官】丸山 裕樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-060068(JP,A)
【文献】特開2015-088781(JP,A)
【文献】特開2020-160877(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 12/00
H04M 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベッド毎に設置されたナースコール子機の呼出操作を受けて、ナースステーションにおいて看護師が応答するためのナースコール親機であって、
個々の患者の氏名と各患者の看護のための情報とを少なくとも含む患者情報を表示するモニタと、
空中画像を前記看護師に向けて表示するための空中タッチディスプレイと、
前記患者情報及び前記空中画像の表示を制御する表示制御部と、
を備え、
前記表示制御部は、前記モニタに表示される前記患者情報に関連する第二情報を前記空中画像として表示するよう前記空中タッチディスプレイを制御する、ナースコール親機。
【請求項2】
前記第二情報は、患者情報の詳細を示す詳細情報を含み、
前記表示制御部は、前記モニタに表示された特定の患者情報に対して前記看護師による操作入力を受け付けた場合には、前記特定の患者情報に対応する前記詳細情報を前記空中画像として表示するよう前記空中タッチディスプレイを制御する、請求項1に記載のナースコール親機。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記呼出操作を受け付けた場合には、前記呼出操作に対応する患者情報を前記空中画像として表示するよう前記空中タッチディスプレイを制御する、請求項1または2に記載のナースコール親機。
【請求項4】
前記表示制御部は、複数の前記呼出操作を受け付けた場合には、各呼出操作に対応するそれぞれの前記第二情報の前記空中画像内における表示位置を呼出順または緊急度に応じて決定する、請求項3に記載のナースコール親機。
【請求項5】
前記空中タッチディスプレイは、
前記空中画像を生成するための光を出射する光源と、
前記光を反射及び透過して前記空中画像を所定の空間に結像する光学部材と、
前記空中画像に対する前記看護師の操作入力を検知する検知部と、
を有している、請求項1から4のいずれか一項に記載のナースコール親機。
【請求項6】
前記表示制御部は、前記モニタに対する前記看護師の操作入力と前記空中画像に対する前記看護師の操作入力との双方を受け付けた場合には、最初に受け付けた方の操作入力に基づく処理をキャンセルして、後に受け付けた方の操作入力に基づく処理を実行する、請求項5に記載のナースコール親機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナースコール親機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、個々の患者の氏名とパネル化した患者情報とが一体表示された患者情報表示枠の一覧が映像として表示された一覧表示部等を有する液晶ディスプレイと、患者と通話するための通話部と、液晶ディスプレイの表示を制御するCPUと、を備えたナースコール親機を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、空中画像を表示可能な非接触タイプの空中タッチディスプレイを用いることが検討されている。
【0005】
そこで、本発明は、モニタと空中タッチディスプレイとを併用することで被視認性や操作性を向上可能なナースコール親機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のナースコール親機は、
ベッド毎に設置されたナースコール子機の呼出操作を受けて、ナースステーションにおいて看護師が応答するためのナースコール親機であって、
個々の患者の氏名と各患者の看護のための情報とを少なくとも含む患者情報を表示するモニタと、
空中画像を前記看護師に向けて表示するための空中タッチディスプレイと、
前記患者情報及び前記空中画像の表示を制御する表示制御部と、
を備え、
前記表示制御部は、前記モニタに表示される前記患者情報に関連する第二情報を前記空中画像として表示するよう前記空中タッチディスプレイを制御する。
【0007】
上記構成によれば、モニタと空中タッチディスプレイとを併用することで被視認性や操作性を向上可能なナースコール親機を提供することができる。
【0008】
また、本発明のナースコール親機は、
前記第二情報は、患者情報の詳細を示す詳細情報を含み、
前記表示制御部は、前記モニタに表示された特定の患者情報に対して前記看護師による操作入力を受け付けた場合には、前記特定の患者情報に対応する前記詳細情報を前記空中画像として表示するよう前記空中タッチディスプレイを制御してもよい。
【0009】
上記構成によれば、モニタの表示を変更することなく、空中画像として詳細情報を表示することができるので、ナースコール親機全体としての被視認性を向上できる。
【0010】
また、本発明のナースコール親機において、
前記表示制御部は、前記呼出操作を受け付けた場合には、前記呼出操作に対応する患者情報を前記空中画像として表示するよう前記空中タッチディスプレイを制御してもよい。
【0011】
上記構成によれば、モニタに表示される呼出情報と連動して、またはモニタの表示とは独立して、空中画像として呼出操作に対応する患者情報を表示することができる。これにより、ナースコール親機の被視認性や操作性をさらに向上できる。
【0012】
また、本発明のナースコール親機において、
前記表示制御部は、複数の前記呼出操作を受け付けた場合には、各呼出操作に対応するそれぞれの前記第二情報の前記空中画像内における表示位置を呼出順または緊急度に応じて決定してもよい。
【0013】
上記構成によれば、空中画像を視認した看護師が、呼出の順序や緊急度を容易に把握することができる。
【0014】
また、本発明のナースコール親機において、
前記空中タッチディスプレイは、
前記空中画像を生成するための光を出射する光源と、
前記光を反射及び透過して前記空中画像を所定の空間に結像する光学部材と、
前記空中画像に対する前記看護師の操作入力を検知する検知部と、
を有してもよい。
【0015】
上記構成によれば、看護師は、モニタを操作する代わりに空中画像を操作することで、呼出操作等に対応できるため、より衛生的なオペレーションが可能となる。
【0016】
また、本発明のナースコール親機において、
前記表示制御部は、前記モニタに対する前記看護師の操作入力と前記空中画像に対する前記看護師の操作入力との双方を受け付けた場合には、最初に受け付けた方の操作入力に基づく処理をキャンセルして、後に受け付けた方の操作入力に基づく処理を実行してもよい。
【0017】
上記構成によれば、ハード機器であるモニタに対する操作入力と空中タッチディスプレイに対する操作入力とが混在した場合でも、後の操作入力を優先させることで、ハード機器と空中タッチディスプレイが併存する場合の制御品質を向上可能である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、モニタと空中タッチディスプレイとを併用することで被視認性や操作性を向上可能なナースコール親機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明に係るナースコールシステムの一例を示す構成図である。
【
図2】
図1のナースコールシステムが備えるナースコール親機のブロック図である。
【
図3】ナースコール親機のモニタに患者情報を表示した状態を示す図である。
【
図4】ナースコール親機が備える空中タッチディスプレイの一例を示す図である。
【
図5】空中タッチディスプレイにより表示される空中画像の表示例を示す図である。
【
図7】ナースコール親機の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係るナースコール親機について図面を参照して説明する。
図1は本発明に係るナースコールシステムの一例を示す構成図である。
【0021】
ナースコールシステム10は、患者が看護師を呼び出して通話するためのナースコール子機1と、病室の出入口に設置されて患者からの呼出発生を通知するための廊下灯2と、ナースステーションに設置されて呼出発生を受けて応答するためのナースコール親機3と、呼出/応答など機器間の通信を制御する制御機4とを備えている。ナースコールシステム10は、さらに、看護師が携行して呼び出しに応答するための携帯端末5と、携帯端末5との通信を管理する交換機6と、携帯端末5と通信するために、所定の間隔で複数設置された基地局7とを備えている。
【0022】
ナースコール子機1は、病院内の病床(ベッド)毎、あるいは病院内のトイレ及び浴室等に設置されている。ナースコール子機1には、例えば、患者等が看護師を呼び出すための通常のナースコールボタン、トイレにいる患者が看護師を呼び出すトイレコールボタン、入浴中の患者が看護師を呼び出すバスコールボタン等の少なくとも一つが設けられている。なお、ナースコール子機1には、看護師が他の看護師を呼び出すためのスタッフコールボタンが設けられていてもよい。
【0023】
廊下灯2、ナースコール親機3、制御機4等はそれぞれHUB9を介して互いにLAN接続されている。ナースコール子機1は、廊下灯2に伝送線L1を介して接続されている。交換機6は、制御機4に伝送線L2で接続されている。また、基地局7は、交換機6に接続されている。
【0024】
図2は、ナースコール親機3のブロック図である。
図2に示すように、ナースコール親機3は、ディスプレイ機器としてのモニタ31と、空中画像を表示する空中タッチディスプレイ32と、モニタ31が表示する画像及び空中タッチディスプレイ32が表示する空中画像の表示を制御する親機CPU33(表示制御部の一例)とを備えている。モニタ31は、表示された画像に対して看護師が各種設定や操作を行うためのタッチパネルディスプレイとして構成されている。なお、モニタ31としては、例えば24型の液晶モニタが使用される。
【0025】
ナースコール親機3は、さらに、モニタ31及び空中タッチディスプレイ32により表示される患者情報や各種設定情報等を記憶する情報記憶部34と、患者からの呼び出しに応答したり一斉放送したりするためのハンドセットを備えた通話部35と、音声信号を処理する音声処理部36と、制御機4等の他のナースコール機器とLAN接続するための通信インターフェース(通信IF)37を備えている。なお、
図1に示すように、モニタ31に加えて、小型(例えば7型)の液晶モニタ38が、モニタ31の近傍等に配置されていてもよい。
【0026】
図3は、モニタ31に患者情報の一覧を表示した状態の図である。モニタ31には、例えば、患者情報が患者ごとに表示される。具体的には、
図3において、患者情報表示枠Jのそれぞれに患者情報が表示されている。なお、図示の簡略化のため、すべての患者情報表示枠J内に同一の情報が表示されているが、実際は、各患者情報表示枠J内には異なる患者の情報がそれぞれ表示可能である。看護師は、モニタ31に表示された患者情報等の各種情報に対して、直接タッチすることで各種設定や操作を行うことができる。
【0027】
図4は、ナースコール親機3において、モニタ31の近傍に設置される空中タッチディスプレイ32の模式図である。
図4に示すように、空中タッチディスプレイ32は、非接触タイプの空中表示型タッチディスプレイであり、看護師Wに向けて空中画像Gを表示可能である。空中画像Gは、モニタ31に対して操作入力を行う看護師Wが空中画像Gに対しても操作入力が可能となるような位置、すなわち、モニタ31のできるだけ近傍に表示されることが好ましい。
【0028】
空中タッチディスプレイ32は、表示装置101と、光学部材102と、検知部103と、これらの部材を収容する筐体104と、を備える。
表示装置101は、空中画像Gを生成するための光Pを出射する装置である。表示装置101は、例えば、光源(LED(Light Emitting Diode)など)、レンズユニット、液晶ディスプレイ等で構成されている。表示装置101は、制御部110に通信可能に接続されている。空中画像Gは、例えば、矩形状(
図5及び
図6参照)に形成されている。
【0029】
光学部材102は、表示装置101から出射された光Pを反射及び透過し、来訪者Wに向けて表示する空中画像Gを所定の空間に結像する部材である。表示装置101から出射された光は、光学部材102で反射及び透過して光学部材102と面対称の位置で集光する。集光した光は、再度発散して、空中タッチディスプレイ32の上方空間において空中画像Gとして看護師Wに観測される。
【0030】
検知部103は、空中画像Gに対する看護師Wの操作入力を検知する。検知部103は、空間にある物体までの距離を測定することが可能な三次元距離センサで構成される。検知部103は、制御部110に通信可能に接続されている。
【0031】
制御部110は、空中タッチディスプレイ32の表示装置101及び検知部103を制御する。例えば、制御部110は、検知部103が取得する情報に基づいて看護師Wの指先の空間的な位置や動きを判別する。また、制御部110は、看護師Wからの空中画像Gへの操作入力に応じて、表示装置101から出射する光Pにより生成される空中画像Gの表示内容を変化させる。また、制御部110は、空中画像Gを操作する看護師Wに応じて、表示装置101から出射する光Pにより生成される空中画像Gの表示位置、表示角度、及び表示態様などを変更させる。制御部110は、親機CPU33と通信可能に接続されており、親機CPU33からの信号に応じて、空中タッチディスプレイ32における空中画像Gの表示や検知部103による操作入力の検知などの各種処理を制御する。
【0032】
次に、
図5及び
図6を参照して、本実施形態のナースコール親機3の空中タッチディスプレイ32が表示する空中画像の例について説明する。
【0033】
図5は、空中タッチディスプレイ32により表示される空中画像Gの表示例を示す図である。
図5に示すように、空中画像Gには、患者情報の詳細を示す患者詳細情報Sが表示される。具体的には、患者詳細情報Sは、患者の氏名、ベッド番号、診療科目、救護区分、感染症の有無、転倒転落危険度、担当看護師名、飲物情報等が含まれる。
【0034】
例えば、看護師Wが、
図3に示すモニタ31に表示された患者情報表示枠Jのうち特定の患者情報表示枠Jに対する操作入力を行った場合、親機CPU33は、当該特定の患者情報表示枠Jに対応する患者詳細情報Sを空中画像Gとして表示するよう、空中タッチディスプレイ32を制御する。具体的には、親機CPU33から、患者詳細情報Sに関するデータを受信した空中タッチディスプレイ32の制御部110は、表示装置101を制御して、患者詳細情報Sを含む空中画像Gを表示する。なお、空中タッチディスプレイ32は、親機CPU33からの表示信号を受信した場合のみに空中画像Gを表示するように構成されていてもよい。また、空中タッチディスプレイ32は、親機CPU33からの表示信号を受信していない状況においても、空中画像Gを常時表示するように構成されていてもよい。
【0035】
図6は、空中画像の別の表示例を示す図である。
図6に示すように、変形例に係る空中画像G1には、患者からの呼出操作に応じて呼出情報を表示するための呼出情報表示枠S1~S3が表示されている。例えば、ベッドやトイレ、浴室等に設置されたナースコール子機1を患者が操作することで、ナースコール親機3が呼出操作入力を受け付けた場合、親機CPU33は、モニタ31に呼出操作入力に対応する呼出情報を表示するとともに、空中画像G1を表示するよう空中タッチディスプレイ32を制御する。なお、モニタ31に表示される呼出情報の図示は省略する。
【0036】
図6では、例えば、3名の患者から重複して呼出操作を受け付けた場合の空中画像G1の表示例を示している。この場合、空中画像G1には、第一表示枠S1と、第二表示枠S2と、第三表示枠S3とが表示されている。各表示枠S1~S3の左上には、呼出操作のコール種別が表示される。具体的には、第一表示枠S1のコール種別は、ベッドに配置されるナースコール子機1のナースコールボタンを患者が押下することで呼出操作がなされたことを示すナースコールC1である。第二表示枠S2のコール種別は、トイレに配置されたナースコール子機1のトイレコールボタンを患者が押下することで呼出操作がなされたことを示すトイレコールC2である。第三表示枠S3のコール種別は、浴室に配置されたナースコール子機1のバスコールボタンを患者が押下することで呼出操作がなされたことを示すバスコールC3である。
【0037】
ここで、第一表示枠S1と、第二表示枠S2と、第三表示枠S3とは呼出の優先順位が識別できるよう、表示サイズを異ならせることが好ましい。例えば、各表示枠S1~S3は、呼出操作の早い順に大きなサイズで表示されてもよい。
図6に示す例では、重複する呼出のうち第一表示枠S1に表示された呼出が最も早い呼出であり、第二表示枠S2に表示された呼出が次に早い呼出であり、第三表示枠S3に表示された呼出が最も遅い呼出である。あるいは、各表示枠S1~S3は、コール種別に応じて緊急度の高い順に大きなサイズで表示されてもよい。例えば、通常のナースコールよりもトイレコールやバスコールの方が緊急度が高い場合には、呼出順の早い第一表示枠S1よりも、第二表示枠S2または第三表示枠S3の方を大きなサイズで表示してもよい。
【0038】
上記のような構成を有するナースコール親機3の動作例について、
図7を参照して説明する。
図7は、ナースコール親機3の動作例を示すフローチャートである。
先ず、親機CPU33は、モニタ31に表示された複数の患者情報表示枠Jのうち特定の患者情報表示枠Jに対して看護師Wからの操作入力を受け付ける(ステップS10)。次に、親機CPU33は、操作入力を受け付けたことに応じて当該特定の患者情報表示枠Jに表示された患者情報に対応する患者詳細情報Sに関する信号を空中タッチディスプレイ32に送信する(ステップS11)。
【0039】
次に、空中タッチディスプレイ32の制御部110は、親機CPU33から受信した信号に基づいて、患者詳細情報Sを空中画像Gとして表示する(ステップS12)。これにより、空中タッチディスプレイ32は、看護師Wからの操作入力を待つ入力待ち状態になる。
【0040】
次に、例えば、モニタ31に対して看護師Wの第一操作入力があり、さらには、空中画像Gに対しても看護師Wの第二操作入力があったとする。この場合、親機CPU33は、第一操作入力を受け付ける(ステップS13)。また、空中タッチディスプレイ32の制御部110は、第二操作入力を受け付け(ステップS14)、第二操作入力を受け付けたことを親機CPU33へ送信する。
【0041】
次に、親機CPU33は、受け付けた第一操作入力及び第二操作入力のうち、後に受け付けた方の操作入力を判別する。具体的には、親機CPU33は、第一操作入力を第二操作入力よりも後に受け付けたか否かを判定する(ステップS15)。
【0042】
第一操作入力を第二操作入力よりも後に受け付けたと判定された場合(ステップS15のYes)、親機CPU33は、最初に受け付けた第二操作入力に基づく処理をキャンセルして、後に受け付けた第一操作入力に基づく処理を実行する(ステップS16)。一方、第一操作入力を第二操作入力よりも後に受け付けていないと判定された場合(ステップS15のNo)、親機CPU33は、最初に受け付けた第一操作入力に基づく処理をキャンセルして、後に受け付けた第二操作入力に基づく処理を実行する(ステップS17)。
【0043】
例えば、看護師Wが最初に空中画像Gに対して第二操作入力を行っていたが、その操作途中で操作方法が分かりにくくなったため、その第二操作入力を止めて、モニタ31に対する第一操作入力を行ったとする。この場合には、親機CPU33は、最初に行った空中画像Gに対する第二操作入力に基づく処理をキャンセルして、後に行ったモニタ31に対する第一操作入力に基づく処理を実行する。
【0044】
例えば、看護師Wが最初にモニタ31に対して第一操作入力を開始したが、その操作途中でモニタ31への接触操作を止めて、空中画像Gに対する第二操作入力を行ったとする。この場合には、親機CPU33は、最初に行ったモニタ31に対する第一操作入力に基づく処理をキャンセルして、後に行った空中画像Gに対する第二操作入力に基づく処理を実行する。
【0045】
以上説明したように、本実施形態のナースコールシステム10におけるナースコール親機3は、個々の患者の氏名と各患者の看護のための情報とを少なくとも含む患者情報を表示するモニタ31と、空中画像Gを看護師Wに向けて表示するための空中タッチディスプレイ32と、患者情報J及び空中画像Gの表示を制御する親機CPU33(表示制御部の一例)と、を備えている。そして、親機CPU33は、モニタ31に表示される患者情報Jに関連する情報(例えば、患者詳細情報S)(第二情報の一例)を空中画像Gとして表示するよう空中タッチディスプレイ32を制御する。この構成によれば、接触タイプのモニタ31と、非接触タイプの空中タッチディスプレイ32とを併用することで、ナースコール親機3の操作性や被視認性が大きく向上する。
【0046】
また、ナースコール親機3によれば、親機CPU33は、モニタ31に表示された特定の患者情報に対して看護師Wによる操作入力を受け付けた場合には、特定の患者情報に対応する患者詳細情報Sを空中画像Gとして表示するよう空中タッチディスプレイ32を制御する。この構成によれば、モニタ31の表示を変更することなく、空中画像Gとして患者詳細情報Sを表示することができるので、ナースコール親機3全体としての被視認性を向上できる。
【0047】
また、ナースコール親機3によれば、親機CPU33は、患者からの呼出操作を受け付けた場合には、当該呼出操作に対応する呼出情報(呼出情報表示枠S1~S3)を空中画像G1として表示するよう空中タッチディスプレイ32を制御する。この構成によれば、モニタ31に表示される呼出情報と連動して、またはモニタ31の表示とは独立して、空中画像G1として呼出情報を表示することができる。これにより、ナースコール親機3の被視認性や操作性をさらに向上できる。
【0048】
また、ナースコール親機3によれば、親機CPU33は、複数の患者からの呼出操作を受け付けた場合には、各呼出操作に対応するそれぞれの呼出情報表示枠S1~S3の空中画像G1内における表示位置を、呼出順または緊急度に応じて決定する。これにより、空中画像G1を視認した看護師Wは、重複して表示される呼出情報のうち呼出順の早い呼出情報や緊急度の高い呼出情報を容易に把握することができる。
【0049】
また、ナースコール親機3によれば、空中タッチディスプレイ32は、空中画像G,G1を生成するための光を出射する表示装置101(光源の一例)と、表示装置101からの光を反射及び透過して空中画像G,G1を所定の空間に結像する光学部材102と、空中画像G,G1に対する看護師Wの操作入力を検知する検知部103と、を有している。この構成によれば、看護師Wは、モニタ31を直接タッチする代わりに、非接触タイプのタッチディスプレイとしての空中画像G,G1を操作することができる。これにより、衛生的なオペレーションが可能となり、感染症予防対策にもつながる。
【0050】
また、ナースコール親機3によれば、親機CPU33は、モニタ31に対する看護師Wの操作入力と空中画像G,G1に対する看護師Wの操作入力との双方を受け付けた場合には、最初に受け付けた方の操作入力に基づく処理をキャンセルして、後に受け付けた方の操作入力に基づく処理を実行する。ハード機器であるモニタ31に対する第一操作入力と空中タッチディスプレイ32(空中画像G,G1)に対する第二操作入力とが混在した場合でも、後の操作入力を優先させることで、モニタ31と空中タッチディスプレイ32とが併存する場合の制御品質を向上可能である。
【0051】
なお、上記の例では、モニタ31への第一操作入力と空中画像G,G1への第二操作入力とが混在した場合には、後の操作入力を優先する構成を説明したが、この例に限られない。例えば、親機CPU33は、第一操作入力及び第二操作入力の一方を受け付けることで患者からの呼出操作への応答処理を開始した後に、第一操作入力及び第二操作入力の他方を受け付けた場合には、他方の操作入力を受け付けることなく一方の操作入力に基づく処理を実行する。一方の操作入力による応答処理が開始された後で他方の操作入力がなされた場合に当該他方の操作入力を優先すると、処理が混乱して適切な制御ができなくなるおそれがある。これに対して、一方の操作入力による応答処理が開始された後は、他方の操作入力を受け付けることなくキャンセルして、一方の操作入力に基づく処理を継続することで、混乱のない適切な応答処理を実行できる。
【0052】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されず、適宜、変形、改良等が自在である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置場所等は、本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【符号の説明】
【0053】
1:ナースコール子機、2:廊下灯、3:ナースコール親機、4:制御機、5:携帯端末、6:交換機、7:基地局、10:ナースコールシステム、31:モニタ、32:空中タッチディスプレイ、33:親機CPU(表示制御部の一例)、34:情報記憶部、35:通話部、36:音声処理部、37:通信インターフェース(通信IF)、38:小型モニタ、101:表示装置、102:光学部材、103:検知部、104:筐体、110:制御部、G,G1:空中画像、J:患者情報表示枠、S:患者詳細情報