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特許7561094二酸化炭素回収システムの加熱蒸気系統、二酸化炭素回収システムおよび二酸化炭素回収システムの加熱蒸気系統の運用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-25
(45)【発行日】2024-10-03
(54)【発明の名称】二酸化炭素回収システムの加熱蒸気系統、二酸化炭素回収システムおよび二酸化炭素回収システムの加熱蒸気系統の運用方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/62 20060101AFI20240926BHJP
   B01D 53/78 20060101ALI20240926BHJP
   B01D 53/14 20060101ALI20240926BHJP
   F22B 35/00 20060101ALI20240926BHJP
   F01K 17/02 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
B01D53/62 ZAB
B01D53/78
B01D53/14 200
B01D53/14 220
F22B35/00 Z
F01K17/02
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021104393
(22)【出願日】2021-06-23
(65)【公開番号】P2023003302
(43)【公開日】2023-01-11
【審査請求日】2024-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 和也
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 尚美
(72)【発明者】
【氏名】長野 敬太
(72)【発明者】
【氏名】宇田津 満
(72)【発明者】
【氏名】千葉 典子
(72)【発明者】
【氏名】柴田 遼介
(72)【発明者】
【氏名】半田 優介
【審査官】池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-111925(JP,A)
【文献】特開2019-081121(JP,A)
【文献】国際公開第2011/104759(WO,A1)
【文献】特開2012-158996(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/00-53/96
F22B 35/00-35/18
F01K 17/00-17/06
C01B 32/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化炭素回収システムのリボイラーに、吸収液を加熱するための加熱蒸気を供給する加熱蒸気系統であって、
前記リボイラーに前記加熱蒸気を供給する蒸気供給ラインと、
前記リボイラーにおいて前記加熱蒸気から生成された凝縮水を貯留するドレンタンクと、
前記蒸気供給ラインから分岐した第1バイパスラインと、
前記第1バイパスラインに供給された前記加熱蒸気を凝縮して、前記ドレンタンクに貯留される凝縮水を生成する加熱蒸気熱交換器と、
前記加熱蒸気熱交換器に冷却媒体を供給する冷却媒体供給ラインと、
前記加熱蒸気熱交換器から前記冷却媒体を排出する冷却媒体排出ラインと、
前記蒸気供給ラインのうち前記第1バイパスラインとの分岐位置よりも下流側に設けられた蒸気入口弁と、
前記第1バイパスラインに設けられた第1バイパス弁と、
前記蒸気入口弁および前記第1バイパス弁を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記蒸気入口弁を閉じる場合、前記第1バイパス弁を開く、二酸化炭素回収システムの加熱蒸気系統。
【請求項2】
前記冷却媒体供給ラインに設けられ、前記制御装置によって制御される冷却媒体入口弁を更に備え、
前記制御装置は、前記蒸気入口弁を閉じる場合、前記冷却媒体入口弁を開く、請求項1に記載の二酸化炭素回収システムの加熱蒸気系統。
【請求項3】
前記冷却媒体排出ラインに設けられ、前記加熱蒸気熱交換器から排出された前記冷却媒体の温度を計測する冷却媒体温度計を更に備え、
前記制御装置は、前記冷却媒体温度計により計測された前記冷却媒体の温度に基づいて、前記冷却媒体入口弁の開度を調節する、請求項2に記載の二酸化炭素回収システムの加熱蒸気系統。
【請求項4】
前記蒸気供給ラインのうち前記第1バイパスラインとの分岐位置よりも上流側の分岐位置から分岐し、復水器に連結された第2バイパスラインと、
前記第2バイパスラインに設けられ、前記制御装置によって制御される第2バイパス弁と、を更に備え、
前記制御装置は、前記蒸気入口弁を閉じる場合、前記第2バイパス弁を開く、請求項1~3のいずれか一項に記載の二酸化炭素回収システムの加熱蒸気系統。
【請求項5】
前記蒸気入口弁を閉じた場合に前記加熱蒸気熱交換器に供給される前記加熱蒸気の流量を調節可能な第1加熱蒸気流量調節弁であって、前記制御装置により制御される第1加熱蒸気流量調節弁と、
前記復水器に設けられ、前記復水器の内部圧力を計測する復水器圧力計と、を更に備え、
前記制御装置は、前記復水器圧力計により計測された前記復水器の内部圧力に基づいて、前記第1加熱蒸気流量調節弁の開度を調節する、請求項4に記載の二酸化炭素回収システムの加熱蒸気系統。
【請求項6】
前記蒸気供給ラインのうち前記第1バイパスラインとの分岐位置よりも上流側の位置から分岐し、給水加熱器に連結された第3バイパスラインと、
前記第3バイパスラインに設けられ、前記制御装置により制御される第3バイパス弁と、を更に備え、
前記制御装置は、前記蒸気入口弁を閉じる場合、前記第3バイパス弁を開く、請求項1~5のいずれか一項に記載の二酸化炭素回収システムの加熱蒸気系統。
【請求項7】
前記加熱蒸気熱交換器は、前記ドレンタンクに内蔵されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の二酸化炭素回収システムの加熱蒸気系統。
【請求項8】
前記加熱蒸気熱交換器は、前記ドレンタンクと別体に構成されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の二酸化炭素回収システムの加熱蒸気系統。
【請求項9】
処理対象排ガスに含有される二酸化炭素を吸収液に吸収させる吸収塔と、
前記吸収塔から排出された前記吸収液から前記二酸化炭素を放出させる再生塔と、
前記再生塔内の前記吸収液を加熱蒸気で加熱するとともに、前記加熱蒸気を凝縮して凝縮水を生成するリボイラーと、
請求項1~8のいずれか一項に記載の二酸化炭素回収システムの加熱蒸気系統と、を備えた、二酸化炭素回収システム。
【請求項10】
請求項1~8のいずれか一項に記載の二酸化炭素回収システムの加熱蒸気系統を運用する運用方法であって、
前記蒸気入口弁を開くとともに前記第1バイパス弁を閉じる第1工程と、
前記第1工程の後、前記蒸気入口弁を閉じるとともに前記第1バイパス弁を開く第2工程と、を備えた、二酸化炭素回収システムの加熱蒸気系統の運用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、二酸化炭素回収システムの加熱蒸気系統、二酸化炭素回収システムおよび二酸化炭素回収システムの加熱蒸気系統の運用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化問題に対する有効な対策として、二酸化炭素(CO)を回収して貯留する二酸化炭素回収貯留技術(CCS:Carbon Dioxide Capture and Storage)が注目されている。具体的には、各種プラントから排出されるプラント排ガス(処理対象排ガス)中の二酸化炭素を、吸収液により回収する二酸化炭素回収システムが検討されている。プラントの例としては、火力発電プラント、余剰熱源などを用いた発電設備を併設した製鉄プラント、清掃工場などのゴミ焼却プラント、および、製造設備などの燃焼設備プラントなどが挙げられる。
【0003】
二酸化炭素回収貯留技術の一つとして、化学吸収法による二酸化炭素回収システムが知られている。二酸化炭素回収システムは、吸収塔と、再生塔と、を備えている。吸収塔において、プラント排ガスに含有されている二酸化炭素が、例えばアミンなどの吸収液成分および水分を含有する吸収液に吸収される。このことにより、吸収液がリッチ液となる。吸収塔からは、二酸化炭素を放出したプラント排ガスが排出される。二酸化炭素を吸収したリッチ液は再生塔に供給される。再生塔に供給されたリッチ液は加熱されて二酸化炭素を放出し、リーン液となる。再生塔からは、放出された二酸化炭素が蒸気とともに排出される。このことにより、二酸化炭素を分離して回収することができる。リーン液は、吸収塔に戻されて、吸収塔において再び二酸化炭素を吸収してリッチ液となる。二酸化炭素回収システムにおいては、吸収液が吸収塔と再生塔とを循環し、プラント排ガスに含有される二酸化炭素が連続的に回収される。
【0004】
再生塔におけるリッチ液の加熱は、リボイラーによって行われる。リボイラーには、発電所などの上位設備から蒸気が供給される。上位設備から供給される蒸気としては、例えば、主蒸気、補助蒸気、蒸気タービンから抽気若しくは排気された蒸気などが挙げられる。このような蒸気を、以下、加熱蒸気と記すが、過熱蒸気と称される場合もある。リボイラーでは、この加熱蒸気で、再生塔から排出されたリーン液の一部を加熱して蒸気(以下、吸収液蒸気と記す)を発生させる。発生した吸収液蒸気は再生塔に供給され、再生塔内のリッチ液を加熱する。
【0005】
リボイラーにおいてリーン液を加熱した加熱蒸気は凝縮されて凝縮水が生成される。凝縮水は、火力発電プラントの復水器に戻される。
【0006】
二酸化炭素回収システムは、何らかの異常が発生すると緊急停止する。この場合、火力発電プラントからリボイラーへの加熱蒸気の供給が遮断される。このことにより、火力発電プラントにおいて、加熱蒸気の供給元である蒸気が急激に増加し、火力発電プラントの制御が困難になり得る。この場合、例えば、火力発電プラントの安全弁が作動したり、出力が大幅に変動したりする恐れがあり、火力発電プラントの運転に影響を及ぼし得る。このため、二酸化炭素回収システムを安全に緊急停止することが困難になる恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開平4-148897号公報
【文献】特開2012-158996号公報
【文献】国際公開第2011/104759号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、二酸化炭素回収システムの緊急停止がプラントの運転に影響を及ぼすことを防止できる二酸化炭素回収システムの加熱蒸気系統、二酸化炭素回収システムおよび二酸化炭素回収システムの加熱蒸気系統の運用方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施の形態による二酸化炭素回収システムの加熱蒸気系統は、二酸化炭素回収システムのリボイラーに、吸収液を加熱するための加熱蒸気を供給する系統である。加熱蒸気系統は、リボイラーに加熱蒸気を供給する蒸気供給ラインと、リボイラーにおいて加熱蒸気から生成された凝縮水を貯留するドレンタンクと、蒸気供給ラインから分岐した第1バイパスラインと、加熱蒸気熱交換器と、冷却媒体供給ラインと、冷却媒体排出ラインと、蒸気入口弁と、第1バイパス弁と、制御装置と、を備えている。加熱蒸気熱交換器は、第1バイパスラインに供給された加熱蒸気を凝縮して、ドレンタンクに貯留される凝縮水を生成する。冷却媒体供給ラインは、加熱蒸気熱交換器に冷却媒体を供給する。冷却媒体排出ラインは、加熱蒸気熱交換器から冷却媒体を排出する。蒸気入口弁は、蒸気供給ラインのうち第1バイパスラインとの分岐位置よりも下流側に設けられている。第1バイパス弁は、第1バイパスラインに設けられている。制御装置は、蒸気入口弁および第1バイパス弁を制御する。制御装置は、蒸気入口弁を閉じる場合、第1バイパス弁を開く。
【0010】
実施の形態による二酸化炭素回収システムは、処理対象排ガスに含有される二酸化炭素を吸収液に吸収させる吸収塔と、吸収塔から排出された吸収液から二酸化炭素を放出させる再生塔と、再生塔内の吸収液を加熱蒸気で加熱するとともに、加熱蒸気を凝縮して凝縮水を生成するリボイラーと、上述した二酸化炭素回収システムの加熱蒸気系統と、を備えている。
【0011】
実施の形態による二酸化炭素回収システムの加熱蒸気系統の運用方法は、上述した載の二酸化炭素回収システムの加熱蒸気系統を運用する方法である。この運用方法は、蒸気入口弁を開くとともに第1バイパス弁を閉じる第1工程と、第1工程の後、蒸気入口弁を閉じるとともに第1バイパス弁を開く第2工程と、を備えている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、二酸化炭素回収システムの緊急停止がプラントの運転に影響を及ぼすことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、第1の実施の形態における二酸化炭素回収システムが適用される火力発電プラントの一例を示す図である。
図2図2は、第1の実施の形態における二酸化炭素回収システムの一例を示す図である。
図3図3は、第1の実施の形態における二酸化炭素回収システムの加熱蒸気系統の一例を示す図である。
図4図4は、第2の実施の形態における二酸化炭素回収システムの加熱蒸気系統の一例を示す図である。
図5図5は、第3の実施の形態における二酸化炭素回収システムの加熱蒸気系統の一例を示す図である。
図6図6は、図5の変形例を示す図である。
図7図7は、第4の実施の形態における二酸化炭素回収システムの加熱蒸気系統の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態における二酸化炭素回収システムの加熱蒸気系統、二酸化炭素回収システムおよび二酸化炭素回収システムの加熱蒸気系統の運用方法について説明する。
【0015】
(第1の実施の形態)
まず、図1を用いて、第1の実施の形態における二酸化炭素回収システムが適用される火力発電プラントについて説明する。
【0016】
図1に示すように、火力発電プラント100は、ボイラー101と、高圧タービン102と、中圧タービン103と、低圧タービン104と、復水器105と、を備えている。
【0017】
ボイラー101は、復水器105から供給された復水を加熱して主蒸気S1を発生させる蒸気発生器106と、高圧タービン102で膨張仕事を終えた主蒸気S1を再加熱する再熱器107と、を含んでいる。蒸気発生器106において発生した主蒸気S1は、主蒸気ライン108を介して高圧タービン102に供給される。なお、「ライン」の一例としては、流体が通流する配管などが挙げられる。
【0018】
ボイラー101は、燃料を燃焼させることにより、主蒸気S1を発生させるとともに、主蒸気S1を加熱するように構成されている。燃料を燃焼することにより、二酸化炭素を含有するプラント排ガスG1が生成される。プラント排ガスG1は、ボイラー101からプラント排ガスライン109に排出される。
【0019】
主蒸気ライン108は、主蒸気止め弁110と、主蒸気止め弁110の下流側に設けられた蒸気加減弁111と、を含んでいる。主蒸気止め弁110は、主に非常時に主蒸気S1の流れを止めるための弁である。蒸気加減弁111は、主に高圧タービン102に供給される主蒸気S1の流量を調節するための弁である。高圧タービン102に供給された主蒸気S1は、膨張仕事を行い、高圧タービン102は回転駆動力を得る。膨張仕事を終えた主蒸気S1は、再熱器107に供給される。
【0020】
再熱器107に供給された蒸気は加熱されて、再熱蒸気S2として、再熱蒸気ライン112を介して中圧タービン103に供給される。再熱蒸気ライン112は、再熱蒸気弁113を含んでいる。再熱蒸気弁113は、非常時に再熱蒸気S2の流れを止める弁であるとともに、中圧タービン103に供給される再熱蒸気S2の流量を調節するための弁である。再熱蒸気弁113は、2つの弁で別体に構成されていてもよい。中圧タービン103に供給された再熱蒸気S2は膨張仕事を行い、中圧タービン103は回転駆動力を得る。膨張仕事を終えた再熱蒸気S2は、低圧タービン104に供給されて更に膨張仕事を行う。再熱蒸気S2は、その後、タービン排気として復水器105に供給される。
【0021】
復水器105に供給されたタービン排気は、凝縮されて復水となる。復水器105とボイラー101の蒸気発生器106は、給水ライン114によって連結されている。給水ライン114は、給水ポンプ115と、給水加熱器116と、を含んでいる。復水器105内の復水は、給水ポンプ115によって加圧されて給水加熱器116に供給される。給水加熱器116には、低圧タービン104から抽気された抽気蒸気S3が、抽気蒸気ライン117を介して供給される。抽気蒸気S3は、給水Wを加熱するための熱源として作用する。給水加熱器116において抽気蒸気S3は凝縮され、復水器105に供給される。加熱された給水Wは、ボイラー101の蒸気発生器106に供給される。
【0022】
火力発電プラント100は、タービン102、103、104の回転駆動力で発電を行う発電機118を更に備えている。高圧タービン102、中圧タービン103および低圧タービン104の回転駆動力を得ることにより、発電機118が駆動されて、発電が行われる。
【0023】
火力発電プラント100は、補助ボイラー119を更に備えている。補助ボイラー119は、火力発電プラント100において用いられる補助蒸気S4を発生させる。例えば、プラントの起動時に、補助ボイラー119において生成された補助蒸気S4が、補助蒸気ライン120を介して高圧タービン102に供給される。
【0024】
次に、図1に示す火力発電プラント100に適用される二酸化炭素回収システム10について図2を用いて説明する。二酸化炭素回収システム10は、ボイラー101から排出されたプラント排ガスG1に含有されている二酸化炭素を回収するためのシステムである。
【0025】
図2に示すように、二酸化炭素回収システム10は、吸収部21(充填層)を含む吸収塔20と、再生部31(充填層)を含む再生塔30と、を備えている。このうち吸収部21は、プラント排ガスG1に含有される二酸化炭素をリーン液L2(吸収液)に吸収させるように構成されている。再生部31は、吸収塔20から排出されたリッチ液L1(吸収液)から二酸化炭素を放出させるように構成されている。再生部31において、リッチ液L1がリーン液L2に再生される。吸収部21は、1つの充填層で構成されていてもよく、2つ以上の充填層で構成されていてもよい。再生部31も同様である。吸収部21および再生部31は、充填層の代わりに、図示しないトレイなどの反応部で構成されていてもよい。
【0026】
吸収塔20には、二酸化炭素を含有するプラント排ガスG1(処理対象排ガス)が、プラント排ガスライン109を介して供給される。プラント排ガスG1は、吸収塔20の下部に供給されて、吸収塔20の内部で吸収部21に向かって上昇する。一方、吸収塔20の上部には、後述するリーン液ライン42を介してリーン液L2が供給される。リーン液L2は、吸収塔20の内部で吸収部21に向かって分散落下する。吸収部21は、向流型気液接触装置として構成されており、吸収部21において、プラント排ガスG1とリーン液L2とが気液接触する。プラント排ガスG1に含有される二酸化炭素がリーン液L2に吸収され、これにより、リッチ液L1が生成される。リッチ液L1は、吸収塔20の底部に一旦貯留され、当該底部から、後述するリッチ液ライン41に排出される。プラント排ガスG1は、リーン液L2と気液接触することにより二酸化炭素が除去される。プラント排ガスG1は、吸収塔排ガスG2として吸収塔20の頂部から排出される。
【0027】
吸収塔20と再生塔30との間には、再生熱交換器40が設けられている。吸収塔20と再生塔30とは、リッチ液ライン41およびリーン液ライン42によって連結されている。リッチ液ライン41およびリーン液ライン42には再生熱交換器40が設けられている。リッチ液ライン41に、リッチ液ポンプ43が設けられている。吸収塔20から排出されたリッチ液L1は、リッチ液ポンプ43によって再生熱交換器40を介して再生塔30に供給される。再生熱交換器40は、リッチ液ライン41を流れるリッチ液L1を、リーン液ライン42を流れるリーン液L2と熱交換させる。リーン液L2が熱源となってリッチ液L1が加熱される。再生熱交換器40から排出されたリッチ液L1は、再生塔30に供給される。
【0028】
再生塔30には、リボイラー44が連結されている。このリボイラー44は、加熱蒸気Sで再生塔30内のリーン液L2を加熱する。より具体的には、再生塔30の底部からリーン液ライン42にリーン液L2が排出され、排出されたリーン液L2の一部が、第1リボイラーライン45を介してリボイラー44に供給される。リボイラー44に、火力発電プラント100から、後述する蒸気供給ライン51を介して加熱蒸気Sが供給される。
【0029】
リボイラー44に供給されたリーン液L2は、加熱蒸気Sと熱交換する。加熱蒸気Sが熱源となってリーン液L2が加熱されて、吸収液蒸気S5が生成される。リボイラー44において、加熱蒸気Sは冷却されて凝縮され、凝縮水C1が生成される。生成された凝縮水C1は、後述する加熱蒸気系統50の第1凝縮水排出ライン52に排出される。
【0030】
吸収液蒸気S5は、第2リボイラーライン46を介して再生塔30の下部に供給される。吸収液蒸気S5は、再生塔30の内部で再生部31に向かって上昇する。一方、再生塔30の上部には、リッチ液ライン41を介してリッチ液L1が供給される。リッチ液L1は、再生塔30の内部で再生部31に向かって分散落下する。再生部31は、向流型気液接触装置として構成されており、再生部31において、吸収液蒸気S5とリッチ液L1とが気液接触する。リッチ液L1から二酸化炭素が放出され、これにより、リーン液L2が生成される。リーン液L2は、再生塔30の底部に一旦貯留され、当該底部からリーン液ライン42に排出される。吸収液蒸気S5は、リッチ液L1と気液接触することにより二酸化炭素を同伴して上昇する。吸収液蒸気S5は、再生塔排ガスG3として再生塔30の頂部から排出される。
【0031】
リーン液ライン42には、リーン液ポンプ47が設けられている。再生塔30から排出されたリーン液L2は、リーン液ポンプ47によって再生熱交換器40を介して吸収塔20に供給される。再生熱交換器40は、リーン液ライン42を流れるリーン液L2を、リッチ液ライン41を流れるリッチ液L1と熱交換させる。リーン液L2は、リッチ液L1によって冷却される。リーン液ライン42に、リーン液冷却器48が設けられている。リーン液L2は、リーン液冷却器48によって、更に冷却される。リーン液冷却器48に、外部から冷却水が供給され、リーン液L2を冷却する。
【0032】
リーン液冷却器48において冷却されたリーン液L2は、吸収塔20に供給される。このようにして、二酸化炭素回収システム10は、吸収液がリーン液L2となる状態とリッチ液L1となる状態とを繰り返しながら循環するように構成されている。
【0033】
このようにして、吸収液L1、L2は、吸収塔20と再生塔30とを循環し、吸収塔20において二酸化炭素を吸収してリッチ液L1となり、再生塔30において二酸化炭素を放出してリーン液L2となる。なお、吸収液には、例えば、モノエタノールアミン(monoethanolamin)、ジエタノールアミン(diethanolamin)などのアミン化合物水溶液を好適に用いることができるが、このようなアミンの種類に限定されない。また、1種類以上のアミンを含有する水溶液で構成されていてもよい。
【0034】
図示しないが、吸収塔20は、1つ以上の洗浄部を有していてもよい。洗浄部は、吸収部21から排出されるプラント排ガスG1を洗浄水で洗浄して、プラント排ガスG1に同伴する吸収液成分を回収する。吸収塔20は、プラント排ガスG1を冷却する冷却部を有していてもよい。
【0035】
図2に示す二酸化炭素回収システム10は、リボイラー44にリーン液L2を加熱するための加熱蒸気Sを供給する加熱蒸気系統50を更に備えている。この加熱蒸気系統50について、図3を用いて以下に説明する。
【0036】
図3に示すように、加熱蒸気系統50は、蒸気供給ライン51と、第1凝縮水排出ライン52と、ドレンタンク53と、第1バイパスライン54と、加熱蒸気熱交換器55と、凝縮水戻りライン56と、冷却水供給ライン58と、冷却水排出ライン59と、蒸気入口弁60と、第1バイパス弁61と、制御装置65と、を備えている。
【0037】
蒸気供給ライン51は、加熱蒸気Sをリボイラー44に供給するように構成されている。蒸気供給ライン51は、例えば、火力発電プラント100の加熱蒸気ライン121から分岐していてもよい。このことにより、加熱蒸気ライン121を流れる蒸気の一部が、加熱蒸気Sとして、蒸気供給ライン51を介してリボイラー44に供給される。加熱蒸気ライン121は、例えば、上述した主蒸気ライン108、再熱蒸気ライン112、抽気蒸気ライン117、または補助蒸気ライン120であってもよい。
【0038】
第1凝縮水排出ライン52は、リボイラー44において生成された凝縮水C1をリボイラー44から排出する。第1凝縮水排出ライン52は、リボイラー44とドレンタンク53とを連結している。リボイラー44から排出された凝縮水C1は、第1凝縮水排出ライン52を介してドレンタンク53に供給される。
【0039】
ドレンタンク53は、リボイラー44において加熱蒸気Sから生成された凝縮水C1を貯留する。ドレンタンク53には、第1凝縮水排出ライン52から凝縮水C1が供給される。また、ドレンタンク53は、後述するように、加熱蒸気熱交換器55において加熱蒸気Sから生成された凝縮水C2を貯留する。本実施の形態においては、ドレンタンク53に、加熱蒸気熱交換器55が内蔵されている。
【0040】
第1バイパスライン54は、蒸気供給ライン51から分岐している。第1バイパスライン54は、加熱蒸気熱交換器55に加熱蒸気Sを供給する。本実施の形態においては、第1バイパスライン54は、加熱蒸気熱交換器55が内蔵されたドレンタンク53に連結されている。第1バイパスライン54は、リボイラー44をバイパスして、加熱蒸気Sをドレンタンク53に供給する。
【0041】
加熱蒸気熱交換器55は、第1バイパスライン54に供給された加熱蒸気Sを凝縮して、ドレンタンク53に貯留される凝縮水C2を生成する。加熱蒸気熱交換器55は、後述する冷却水C3により加熱蒸気Sを冷却して、凝縮水C2を生成する。上述したように、本実施の形態においては、加熱蒸気熱交換器55はドレンタンク53に内蔵されている。加熱蒸気熱交換器55は、シェル・チューブ式の熱交換器であってもよい。第1バイパスライン54から供給された加熱蒸気Sは、ドレンタンク53内に位置する加熱蒸気熱交換器55で凝縮される。生成された凝縮水C2はドレンタンク53に貯留される。
【0042】
冷却水供給ライン58は、加熱蒸気Sを冷却するための冷却水C3を加熱蒸気熱交換器55に供給する。冷却水供給ライン58は、冷却媒体供給ラインの一例であり、冷却水C3は、冷却媒体の一例である。冷却水供給ライン58には、外部から冷却水C3が供給される。冷却水排出ライン59は、加熱蒸気熱交換器55に供給された冷却水C3を排出する。冷却水排出ライン59は、冷却媒体排出ラインの一例である。このような構成により、加熱蒸気熱交換器55は、冷却水供給ライン58から供給された冷却水C3を用いて、加熱蒸気Sを冷却する。加熱蒸気Sを冷却した冷却水C3は、加熱蒸気熱交換器55から冷却水排出ライン59に排出される。
【0043】
凝縮水戻りライン56は、ドレンタンク53と復水器105とを連結していてもよい。凝縮水戻りライン56には、戻りポンプ57が設けられている。本実施の形態においては、ドレンタンク53に貯留された凝縮水C1、C2は、凝縮水戻りライン56を介して復水器105に供給されて、復水に混入される例について説明する。
【0044】
蒸気入口弁60は、蒸気供給ライン51に設けられている。蒸気入口弁60は、蒸気供給ライン51のうち第1バイパスライン54との分岐位置P1よりも下流側に配置されている。蒸気入口弁60は、主にリボイラー44への加熱蒸気Sの供給を制御するための弁である。例えば、二酸化炭素回収システム10を緊急停止する場合に蒸気入口弁60を急速に閉じて、リボイラー44への加熱蒸気Sの流れを急速に遮断する。蒸気入口弁60は、制御装置65により制御される。蒸気入口弁60は、電動操作弁であってもよい。
【0045】
第1バイパス弁61は、第1バイパスライン54に設けられている。第1バイパス弁61は、主にドレンタンク53への加熱蒸気Sの供給を制御するための弁である。例えば、二酸化炭素回収システム10を急停止する場合に第1バイパス弁61を開いて、加熱蒸気Sをドレンタンク53に供給する。第1バイパス弁61は、制御装置65により制御される。第1バイパス弁61は、電動操作弁であってもよい。
【0046】
蒸気供給ライン51に、取合弁62が設けられていてもよい。取合弁62は、主に、加熱蒸気系統50の保守点検時などで用いられる弁である。二酸化炭素回収システム10の通常運転時、および二酸化炭素回収システム10の緊急停止時には、取合弁62は開いている。取合弁62は、手動操作弁であってもよい。
【0047】
冷却水供給ライン58に、冷却水入口弁63が設けられていてもよい。冷却水入口弁63は、冷却媒体入口弁の一例である。冷却水入口弁63は、加熱蒸気熱交換器55への冷却水C3の供給を制御するための弁である。冷却水入口弁63は、開度調節可能に構成されていてもよい。冷却水入口弁63は、制御装置65により制御される。冷却水入口弁63は、電動操作弁であってもよい。
【0048】
冷却水排出ライン59に、冷却水温度計64が設けられていてもよい。冷却水温度計64は、冷却媒体温度計の一例である。冷却水温度計64は、加熱蒸気熱交換器55から排出される冷却水C3の温度を計測する。冷却水温度計64により計測された温度情報は、制御装置65に送信される。
【0049】
制御装置65は、蒸気入口弁60、第1バイパス弁61および冷却水入口弁63を制御する。制御装置65は、蒸気入口弁60を閉じる場合、第1バイパス弁61および冷却水入口弁63を開く。制御装置65は、蒸気入口弁60を開く場合には、第1バイパス弁61および冷却水入口弁63を閉じてもよい。制御装置65は、冷却水温度計64により計測された冷却水C3の温度に基づいて、冷却水入口弁63の開度を調節してもよい。
【0050】
次に、本実施の形態における二酸化炭素回収システム10の加熱蒸気系統50を運用する運用方法について説明する。
【0051】
二酸化炭素回収システム10の通常運転時、第1工程として、蒸気入口弁60を開くとともに第1バイパス弁61および冷却水入口弁63を閉じる。このことにより、加熱蒸気Sは、蒸気供給ライン51を介してリボイラー44に供給される。ドレンタンク53には加熱蒸気Sは供給されない。リボイラー44に供給された加熱蒸気Sは、リーン液L2と熱交換し、加熱蒸気Sは冷却される。このことにより、加熱蒸気Sは凝縮されて、凝縮水C1が生成される。凝縮水C1は、リボイラー44から第1凝縮水排出ライン52に排出されて、ドレンタンク53に貯留される。ドレンタンク53内の凝縮水C1は、凝縮水戻りライン56を介して復水器105に供給される。
【0052】
二酸化炭素回収システム10の通常運転時に何らかの異常が発生した場合、二酸化炭素回収システム10は緊急停止する。この場合、第2工程として、蒸気入口弁60を閉じるとともに第1バイパス弁61および冷却水入口弁63を開く。このことにより、加熱蒸気Sの流れは、蒸気供給ライン51から分岐した第1バイパスライン54に向けられて、加熱蒸気Sが、ドレンタンク53に内蔵された加熱蒸気熱交換器55に供給される。リボイラー44への加熱蒸気Sの供給は遮断される。加熱蒸気熱交換器55において、加熱蒸気Sが冷却されて凝縮され、凝縮水C2が生成される。生成された凝縮水C2は、ドレンタンク53に貯留される。ドレンタンク53に貯留された凝縮水C2は、凝縮水戻りライン56を介して復水器105に供給される。冷却水C3は、加熱蒸気熱交換器55から冷却水排出ライン59に排出される。
【0053】
第2工程において、加熱蒸気熱交換器55から排出された冷却水C3の温度が、冷却水温度計64により計測される。冷却水温度計64により計測された冷却水C3の温度に基づいて、冷却水入口弁63の開度が調節される。例えば、冷却水C3の温度が所定の閾値よりも高くなると、冷却水入口弁63の開度を大きくし、加熱蒸気熱交換器55に供給される冷却水C3の流量を増大させてもよい。冷却水C3の温度が上述の閾値以下になると、冷却水入口弁63の開度を小さくし、加熱蒸気熱交換器55に供給される冷却水C3の流量を低減させてもよい。このことにより、加熱蒸気熱交換器55に供給される加熱蒸気Sを凝縮するために適した流量の冷却水C3を、加熱蒸気熱交換器55に供給することができる。
【0054】
このように本実施の形態によれば、蒸気供給ライン51に蒸気入口弁60が設けられ、第1バイパスライン54に第1バイパス弁61が設けられている。蒸気入口弁60を閉じるとともに第1バイパス弁61を開いた場合、蒸気供給ライン51に供給された加熱蒸気Sを加熱蒸気熱交換器55において凝縮させて、凝縮水C2をドレンタンク53に貯留することができる。このことにより、二酸化炭素回収システム10を緊急停止する場合であっても、加熱蒸気Sを、第1バイパスライン54に引き込むことができる。このため、火力発電プラント100の加熱蒸気ライン121において、加熱蒸気Sの流量が増大したり、圧力が増大したりすることを防止できる。この結果、二酸化炭素回収システム10の緊急停止が火力発電プラント100の運転に影響を及ぼすことを防止できる。
【0055】
また、本実施の形態によれば、加熱蒸気熱交換器55には、冷却水供給ライン58から冷却水C3が供給され、加熱蒸気Sを冷却した冷却水C3は、冷却水排出ライン59に排出される。このことにより、冷却水C3を用いて加熱蒸気Sを凝縮して凝縮水C2を生成することができる。
【0056】
また、本実施の形態によれば、冷却水供給ライン58に冷却水入口弁63が設けられている。蒸気入口弁60を閉じた場合に、冷却水入口弁63を開く。このことにより、加熱蒸気熱交換器55に加熱蒸気Sが供給される場合に、加熱蒸気熱交換器55に冷却水C3を供給することができる。加熱蒸気Sがリボイラー44に供給される場合には、加熱蒸気熱交換器55に冷却水C3が供給されることを防止でき、無用な冷却水C3が加熱蒸気熱交換器55に供給されることを防止できる。
【0057】
また、本実施の形態によれば、加熱蒸気熱交換器55から排出された冷却水C3の温度が冷却水温度計64により計測される。この冷却水C3の温度に基づいて、冷却水入口弁63の開度が調節される。このことにより、加熱蒸気熱交換器55に供給された加熱蒸気Sの凝縮効率を向上させることができる。すなわち、加熱蒸気熱交換器55から排出された冷却水C3の温度が高い場合には、加熱蒸気Sの凝縮が不十分になっている可能性がある。これに対して本実施の形態によれば、冷却水入口弁63の開度が調節され、加熱蒸気熱交換器55に供給される冷却水C3の流量を増大させることができる。このため、加熱蒸気熱交換器55に供給された加熱蒸気Sの凝縮効率を向上させることができる。
【0058】
なお、上述した本実施の形態においては、蒸気入口弁60を開く場合、冷却水入口弁63を閉じる例について説明した。しかしながら、このことに限られることはない。例えば、蒸気入口弁60を開く場合、冷却水入口弁63を開いて、加熱蒸気熱交換器55に冷却水が供給されていてもよい。
【0059】
また、上述した本実施の形態においては、一例として、加熱蒸気ライン121が、図1に示す補助蒸気ライン120であってもよい旨説明した。しかしながら、加熱蒸気ライン121に適用可能な補助蒸気ライン120は、他の用途の補助蒸気ラインであってもよい。例えば、補助蒸気ラインは、任意の機器から供給される補助蒸気を、リボイラー44を含む任意の機器に分配するためのラインであってもよい。
【0060】
また、上述した本実施の形態においては、凝縮水戻りライン56が復水器105に連結されている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはない。例えば、凝縮水戻りライン56は、図1に示す給水ライン114の任意の位置に連結されていてもよい。この場合、凝縮水C1、C2は、給水ライン114中の給水Wに混入される。あるいは、凝縮水戻りライン56は、給水加熱器116に供給されて、凝縮水C1、C2が給水Wに混入されるようにしてもよい。
【0061】
また、上述した本実施の形態においては、蒸気供給ライン51が、火力発電プラント100の加熱蒸気ライン121から分岐している例について説明した。しかしながら、このことに限られることはない。蒸気供給ライン51は、火力発電プラント以外の各種プラントの加熱蒸気ラインから分岐していてもよい。プラントの例としては、余剰熱源などを用いた発電設備を併設した製鉄プラント、清掃工場などのゴミ焼却プラント、および、製造設備などの燃焼設備プラントなどが挙げられる。
【0062】
(第2の実施の形態)
次に、図4を用いて、本発明の第2の実施の形態における二酸化炭素回収システムの加熱蒸気系統、二酸化炭素回収システムおよび二酸化炭素回収システムの加熱蒸気系統の運用方法について説明する。
【0063】
図4に示す第2の実施の形態においては、熱交換器が、ドレンタンクと別体に構成されている点が主に異なり、他の構成は、図1図3に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図4において、図1図3に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0064】
図4に示すように、本実施の形態においては、加熱蒸気熱交換器55は、ドレンタンク53と別体に構成されている。より具体的には、加熱蒸気熱交換器55に第1バイパスライン54が連結されている。加熱蒸気熱交換器55とドレンタンク53は、第2凝縮水排出ライン70で連結されている。第1バイパスライン54から加熱蒸気熱交換器55に加熱蒸気Sが供給され、加熱蒸気熱交換器55において凝縮水C2が生成される。生成された凝縮水C2は、第2凝縮水排出ライン70を介してドレンタンク53に供給されて、貯留される。
【0065】
このように本実施の形態によれば、加熱蒸気熱交換器55が、ドレンタンク53と別体に構成されている。このことにより、ドレンタンク53に、加熱蒸気Sが流入することを防止でき、ドレンタンク53を加熱蒸気Sから保護することができる。このため、リボイラー44への加熱蒸気Sの遮断を安全に行うことができる。また、ドレンタンク53に、加熱蒸気熱交換器55を内蔵させることを不要にすることができ、ドレンタンク53を小型化することができる。また、ドレンタンク53に、加熱蒸気Sの温度に耐えるための耐熱性を不要とすることができる。このため、ドレンタンク53の構造を簡素化することができ、低コスト化を図ることができる。
【0066】
(第3の実施の形態)
次に、図5および図6を用いて、本発明の第3の実施の形態における二酸化炭素回収システムの加熱蒸気系統、二酸化炭素回収システムおよび二酸化炭素回収システムの加熱蒸気系統の運用方法について説明する。
【0067】
図5および図6に示す第3の実施の形態においては、蒸気供給ラインから第2バイパスラインが分岐して復水器に連結されている点が主に異なり、他の構成は、図1図3に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図5および図6において、図1図3に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0068】
図5に示すように、本実施の形態における加熱蒸気系統50は、第2バイパスライン71と、第2バイパス弁72と、を更に備えている。
【0069】
第2バイパスライン71は、蒸気供給ライン51から分岐している。第2バイパスライン71は、蒸気供給ライン51のうち第1バイパスライン54との分岐位置P1よりも上流側の分岐位置P2から分岐している。第2バイパスライン71は、復水器105に連結されている。第2バイパスライン71は、リボイラー44をバイパスするとともに、ドレンタンク53をバイパスしている。
【0070】
第2バイパス弁72は、第2バイパスライン71に設けられている。第2バイパス弁72は、主に復水器105への加熱蒸気Sの供給を制御するための弁である。例えば、二酸化炭素回収システム10を急停止する場合に第2バイパス弁72を開いて、加熱蒸気Sを復水器105に直接的に供給する。第2バイパス弁72は、開度調節可能に構成されていてもよい。第2バイパス弁72は、制御装置65により制御される。第2バイパス弁72は、電動操作弁であってもよい。
【0071】
第1加熱蒸気流量調節弁73は、蒸気入口弁60を閉じた場合に加熱蒸気熱交換器55に供給される加熱蒸気Sの流量を調節可能に構成されている。第1加熱蒸気流量調節弁73は、蒸気供給ライン51に設けられていてもよい。第1加熱蒸気流量調節弁73は、蒸気供給ライン51のうち第2バイパスライン71との分岐位置P2と、第1バイパスライン54との分岐位置P1との間に配置されていてもよい。このことにより、蒸気入口弁60を閉じた場合に、第1加熱蒸気流量調節弁73は、第2バイパスライン71に供給される加熱蒸気Sの流量を調節することができる。第1加熱蒸気流量調節弁73は、制御装置65により制御される。第1加熱蒸気流量調節弁73は、電動操作弁であってもよい。
【0072】
復水器105に、復水器圧力計74が設けられていてもよい。復水器圧力計74は、復水器105の内部圧力を計測する。復水器圧力計74により計測された圧力情報は、制御装置65に送信される。
【0073】
制御装置65は、蒸気入口弁60を閉じる場合、第1バイパス弁61とともに第2バイパス弁72を開いてもよい。制御装置65は、蒸気入口弁60を開く場合には、第2バイパス弁72を閉じてもよい。第1加熱蒸気流量調節弁73は、蒸気入口弁60が開く場合および閉じる場合のいずれにおいても開いてもよい。制御装置65は、復水器圧力計74により計測された復水器105の内部圧力に基づいて、第1加熱蒸気流量調節弁73の開度を調節してもよい。
【0074】
二酸化炭素回収システム10を緊急停止する場合、リボイラー44への加熱蒸気Sの供給を停止する。加熱蒸気Sは、第1バイパスライン54を介して加熱蒸気熱交換器55に供給されるとともに、第2バイパスライン71を介して復水器105に供給される。
【0075】
より具体的には、蒸気入口弁60を閉じるとともに、第1バイパス弁61および第2バイパス弁72を開く。このことにより、加熱蒸気Sの流れは、第1バイパスライン54および第2バイパスライン71に分流される。リボイラー44への加熱蒸気Sの供給は遮断される。第2バイパスライン71に供給された加熱蒸気Sは、復水器105に直接的に供給されて冷却される。このことにより、復水器105において加熱蒸気Sが凝縮され、復水器105に貯留される。第2バイパス弁72は、第1バイパス弁61と同時に開いてもよいが、第1バイパス弁61が開いた後に開くようにしてもよい。
【0076】
第2バイパス弁72を開いている間、復水器105の内部圧力が、復水器圧力計74により計測される。復水器圧力計74により計測された復水器105の内部圧力に基づいて、第1加熱蒸気流量調節弁73の開度が調節される。例えば、復水器105の内部圧力が所定の閾値よりも高くなると、第1加熱蒸気流量調節弁73の開度を大きくし、復水器105に供給される加熱蒸気Sの流量を低減させてもよい。復水器105の内部圧力が上述の閾値以下になると、第1加熱蒸気流量調節弁73の開度を小さくし、復水器105に供給される加熱蒸気Sの流量を増大させてもよい。第1加熱蒸気流量調節弁73の開度調節範囲は、発電機18の出力変動が送電に影響を及ぼさない程度の範囲とすることが好ましい。
【0077】
このように本実施の形態によれば、蒸気供給ライン51から第2バイパスライン71が分岐し、第2バイパスライン71に供給された加熱蒸気Sが、復水器105に供給される。このことにより、加熱蒸気熱交換器55に供給される加熱蒸気Sの流量を低減することができ、ドレンタンク53に供給される凝縮水C2の供給量を低減することができる。このため、ドレンタンク53の容積を低減することができ、低コスト化を図ることができる。
【0078】
また、本実施の形態によれば、復水器105の内部圧力が復水器圧力計74により計測される。この内部圧力に基づいて、第1加熱蒸気流量調節弁73の開度が調節される。このことにより、第2バイパスライン71を介して復水器105に供給される加熱蒸気Sの流量を調節することができる。このため、復水器105の内部圧力が上昇することを抑制でき、各タービン102、103、104の効率が低下することを抑制できる。
【0079】
なお、上述した本実施の形態においては、図5に示すように、加熱蒸気熱交換器55がドレンタンク53に内蔵されている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、図6に示すように、加熱蒸気熱交換器55はドレンタンク53と別体に構成されていてもよい。この場合、加熱蒸気熱交換器55は、図4と同様にして、ドレンタンク53と別体に構成されていてもよい。
【0080】
(第4の実施の形態)
次に、図7を用いて、本発明の第4の実施の形態における二酸化炭素回収システムの加熱蒸気系統、二酸化炭素回収システムおよび二酸化炭素回収システムの加熱蒸気系統の運用方法について説明する。
【0081】
図7に示す第4の実施の形態においては、蒸気供給ラインから第3バイパスラインが分岐して給水加熱器に連結されている点が主に異なり、他の構成は、図5および図6に示す第3の実施の形態と略同一である。なお、図7において、図5および図6に示す第3の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0082】
図7に示すように、本実施の形態における加熱蒸気系統50は、第3バイパスライン75と、第3バイパス弁76と、を更に備えている。
【0083】
第3バイパスライン75は、蒸気供給ライン51から分岐している。第3バイパスライン75は、蒸気供給ライン51のうち第1バイパスライン54との分岐位置P1よりも上流側の分岐位置P3から分岐している。分岐位置P3は、第2バイパスライン71との分岐位置P2よりも下流側の位置であってもよい。第3バイパスライン75は、給水加熱器116に連結されている。第3バイパスライン75は、抽気蒸気ライン117を介して給水加熱器116に連結されていてもよい。第3バイパスライン75は、リボイラー44をバイパスするとともに、ドレンタンク53をバイパスしている。
【0084】
第3バイパス弁76は、第3バイパスライン75に設けられている。第3バイパス弁76は、主に給水加熱器116への加熱蒸気Sの供給を制御するための弁である。例えば、二酸化炭素回収システム10を急停止する場合に、第3バイパス弁76を開いて、加熱蒸気Sを給水加熱器116に直接的に供給する。第3バイパス弁76は、開度調節可能に構成されていてもよい。第3バイパス弁76は、制御装置65により制御される。第3バイパス弁76は、電動操作弁であってもよい。
【0085】
第2加熱蒸気流量調節弁77は、蒸気入口弁60を閉じた場合に加熱蒸気熱交換器55に供給される加熱蒸気Sの流量を調節可能に構成されている。第2加熱蒸気流量調節弁77は、蒸気供給ライン51に設けられていてもよい。第2加熱蒸気流量調節弁77は、蒸気供給ライン51のうち第3バイパスライン75との分岐位置P3と、第1バイパスライン54との分岐位置P1との間に配置されていてもよい。このことにより、蒸気入口弁60を閉じた場合に、第2加熱蒸気流量調節弁77は、第3バイパスライン75に供給される加熱蒸気Sの流量を調節することができる。第2加熱蒸気流量調節弁77は、制御装置65により制御される。第2加熱蒸気流量調節弁77は、電動操作弁であってもよい。
【0086】
制御装置65は、蒸気入口弁60を閉じる場合、第1バイパス弁61および第2バイパス弁72とともに第3バイパス弁76を開く。制御装置65は、蒸気入口弁60を開く場合には、第3バイパス弁76を閉じてもよい。第2加熱蒸気流量調節弁77は、蒸気入口弁60が開く場合および閉じる場合のいずれにおいても開いてもよい。制御装置65は、第2加熱蒸気流量調節弁77の開度を調節してもよい。第2加熱蒸気流量調節弁77の開度の調節は、任意の指標に基づいて行われてもよい。例えば、給水加熱器116から排出される給水Wの温度に基づいて行ってもよい。
【0087】
二酸化炭素回収システム10を緊急停止する場合、リボイラー44への加熱蒸気Sの供給を停止するとともに、第1バイパスライン54を介して加熱蒸気熱交換器55に供給される。加熱蒸気Sは、第2バイパスライン71を介して復水器105に供給されるとともに、第3バイパスライン75を介して給水加熱器116に供給される。
【0088】
より具体的には、蒸気入口弁60を閉じるとともに、第1バイパス弁61、第2バイパス弁72および第3バイパス弁76を開く。このことにより、加熱蒸気Sの流れは、第1バイパスライン54、第2バイパスライン71および第3バイパスライン75に分流される。リボイラー44への加熱蒸気Sの供給は遮断される。第3バイパスライン75に供給された加熱蒸気Sは、抽気蒸気ライン117を介して給水加熱器116に直接的に供給される。加熱蒸気Sは、給水加熱器116において、給水Wを加熱するための熱源として作用する。加熱蒸気Sは凝縮され、凝縮水C2となって復水器105に供給される。第3バイパス弁76は、第1バイパス弁61と同時に開いてもよいが、第1バイパス弁61が開いた後に開くようにしてもよい。第3バイパス弁76は、第2バイパス弁72と同時に開いてもよい。第3バイパス弁76を開いている間、第2加熱蒸気流量調節弁77の開度が調節されてもよい。
【0089】
このように本実施の形態によれば、蒸気供給ライン51から第3バイパスライン75が分岐し、第3バイパスライン75に供給された加熱蒸気Sが、給水加熱器116に供給される。このことにより、加熱蒸気熱交換器55に供給される加熱蒸気Sの流量を低減することができ、ドレンタンク53に供給される凝縮水C2の供給量を低減することができる。このため、ドレンタンク53の容積を低減することができ、低コスト化を図ることができる。
【0090】
なお、上述した本実施の形態においては、加熱蒸気熱交換器55がドレンタンク53に内蔵されている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、加熱蒸気熱交換器55はドレンタンク53と別体に構成されていてもよい。この場合、加熱蒸気熱交換器55は、図4と同様にして、ドレンタンク53と別体に構成されていてもよい。
【0091】
また、上述した本実施の形態においては、加熱蒸気系統50が第2バイパスライン71を備えている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、加熱蒸気系統50は、第2バイパスライン71を備えていなくてもよい。
【0092】
以上述べた実施の形態によれば、二酸化炭素回収システムの緊急停止がプラントの運転に影響を及ぼすことを防止できる。
【0093】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、当然のことながら、本発明の要旨の範囲内で、これらの実施の形態を、部分的に適宜組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0094】
10:二酸化炭素回収システム、20:吸収塔、30:再生塔、44:リボイラー、50:加熱蒸気系統、51:蒸気供給ライン、53:ドレンタンク、54:第1バイパスライン、55:加熱蒸気熱交換器、58:冷却水供給ライン、59:冷却水排出ライン、60:蒸気入口弁、61:第1バイパス弁、63:冷却水入口弁、64:冷却水温度計、65:制御装置、71:第2バイパスライン、72:第2バイパス弁、73:第1加熱蒸気流量調節弁、74:復水器圧力計、75:第3バイパスライン、76:第3バイパス弁、100:火力発電プラント、105:復水器、116:給水加熱器、121:加熱蒸気ライン、S:加熱蒸気、L1:リッチ液、L2:リーン液、C1、C2:凝縮水、C3:冷却水、P1~P3:分岐位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7