(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-25
(45)【発行日】2024-10-03
(54)【発明の名称】耐クリープ性が向上したエチレン酸コポリマーのアイオノマー
(51)【国際特許分類】
C08F 8/44 20060101AFI20240926BHJP
C08F 210/02 20060101ALI20240926BHJP
C08L 23/26 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
C08F8/44
C08F210/02
C08L23/26
(21)【出願番号】P 2021501275
(86)(22)【出願日】2019-07-26
(86)【国際出願番号】 US2019043586
(87)【国際公開番号】W WO2020028159
(87)【国際公開日】2020-02-06
【審査請求日】2022-07-14
(32)【優先日】2018-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】チョウ、リチャード ティエンファ
【審査官】古妻 泰一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0364253(US,A1)
【文献】特開2008-163331(JP,A)
【文献】特開2008-023332(JP,A)
【文献】特開平07-018136(JP,A)
【文献】特表2002-513434(JP,A)
【文献】特表2002-527597(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 8/44
C08F 210/02
C08L 23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン酸コポリマーを含むアイオノマーであって、
前記エチレン酸コポリマーが、
エチレンと、
前記エチレン酸コポリマー中に存在するモノマーの総重量%に基づいて、2~20重量%のモノカルボン酸モノマーと、
前記エチレン酸コポリマー中に存在するモノマーの総重量%に基づいて、2~15重量%の不飽和ジカルボン酸モノマーまたは不飽和ジカルボン酸モノマーのハーフエステルと、の重合反応生成物を含み、
前記エチレン酸コポリマーの総酸単位の10~70モルパーセントが、マグネシウムカチオンによって中和され、
前記アイオノマーが、100℃の温度での20psi(1.406Kg/cm
2)の応力下で30分間にわたって、25%未満の寸法変化を示し、
前記不飽和ジカルボン酸モノマーのハーフエステルは、無水マレイン酸モノメチルエステル、無水マレイン酸モノエチルエステル、無水マレイン酸モノプロピルエステル、無水マレイン酸モノブチルエステル、及びそれらの組み合わせから選択されるジカルボン酸誘導体モノマーである、
、アイオノマー。
【請求項2】
第1のエチレン酸コポリマーおよび第2のエチレン酸コポリマーを含むアイオノマーであって、
前記第1のエチレン酸コポリマーが、
エチレンと、
前記第1のエチレン酸コポリマー中に存在するモノマーの総重量%に基づいて、2~20重量%のモノカルボン酸と、
前記第1のエチレン酸コポリマー中に存在するモノマーの総重量%に基づいて、0~40重量%のアクリル酸アルキルと、の重合反応生成物であり、
前記第2のエチレン酸コポリマーが、
エチレンと、
第2のエチレン系ポリマー中に存在するモノマーの総重量%に基づいて、0~20重量%のモノカルボン酸と、
前記第2のエチレン酸コポリマー中に存在するモノマーの総重量%に基づいて、0~40重量%のアクリル酸アルキルと、
前記第2のエチレン酸コポリマー中に存在するモノマーの総重量%に基づいて、2~15重量%の不飽和ジカルボン酸モノマーまたは不飽和ジカルボン酸モノマーのハーフエステルと、の重合反応生成物であり、
前記第1のエチレン酸コポリマーと前記第2のエチレン酸コポリマーとの比率が、90/10重量%~10/90重量%であり、
前記第1のエチレン酸コポリマーと前記第2のエチレン酸コポリマーのブレンドの総酸単位の少なくとも70モルパーセントが、中和され、
前記ブレンドの総酸単位の10~70モルパーセントが、マグネシウムカチオンによって中和され、
前記不飽和ジカルボン酸モノマーのハーフエステルは、無水マレイン酸モノメチルエステル、無水マレイン酸モノエチルエステル、無水マレイン酸モノプロピルエステル、無水マレイン酸モノブチルエステル、及びそれらの組み合わせから選択されるジカルボン酸誘導体モノマーである、
アイオノマー。
【請求項3】
前記モノカルボン酸モノマーが、アクリル酸、メタクリル酸、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上を含む、請求項1に記載のアイオノマー。
【請求項4】
前記不飽和ジカルボン酸モノマーが、無水マレイン酸である、請求項1~3のいずれかに記載のアイオノマー。
【請求項5】
前記ブレンドが、Zn、Li、およびNaからなる群から選択される少なくとも1つの追加の金属カチオンでさらに中和される、請求項2に記載のアイオノマー。
【請求項6】
前記ブレンドの総酸単位が、
70~80モルパーセントの範囲で中和され、前記ブレンドの総酸単位の20~60モルパーセントが、マグネシウム塩の前記マグネシウムカチオンで中和される、請求項
2または5に記載のアイオノマー。
【請求項7】
前記アクリル酸アルキルが、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-ブチルもしくはアクリル酸イソブチル、またはそれらの組み合わせを含む、請求項2に記載のアイオノマー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年7月31日に出願された米国仮特許出願第62/712,596号に対する優先権を主張するものであり、その全開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示の実施形態は、一般にアイオノマー樹脂に関し、具体的には、エチレン、モノカルボン酸モノマー、不飽和ジカルボン酸モノマー、アクリル酸アルキルモノマー、およびそれらの組み合わせの重合反応生成物を含むアイオノマーに関し、これらは、マグネシウムカチオンで少なくとも部分的に中和される。
【背景技術】
【0003】
アイオノマーは、前駆体の酸コポリマーよりも高い引張強度、優れた透明度、良好な耐摩耗性、および高い剛性を有するため、様々な用途で一般的に使用される材料である。例えば、エチレン酸コポリマーのアイオノマーは、食品包装、発泡部品、射出成型部品(例えば、化粧品容器)、およびゴルフボールの構成成分などの多くの用途で有用性を見出した。
【0004】
アイオノマーは、多くの用途に利用され得るが、アイオノマーは、使用温度が限られているため、60℃を超える温度で耐クリープ性が要求される用途ではアイオノマーの使用が制限される。例えば、アイオノマーは、60℃を超える温度の応力下で変形する場合がある。動的機械熱分析により、約60℃でのアイオノマーの機械的強度における大幅な低下が明らかになり、これは、イオン凝集体の解離の開始と相関している。
【発明の概要】
【0005】
したがって、光学的透明度および靭性などのアイオノマーの物理的および化学的特性を維持しながら、耐クリープ性が改善された代替的なアイオノマーを開発することが有益であり得る。
【0006】
1つ以上の実施形態では、本開示のアイオノマーは、エチレン酸コポリマーを含み、エチレン酸コポリマーは、エチレンと、エチレン酸コポリマー中に存在するモノマーの総重量%に基づいて、2~20重量%のモノカルボン酸モノマーと、エチレン酸コポリマー中に存在するモノマーの総重量%に基づいて、2~15重量%の不飽和ジカルボン酸モノマーとの重合反応生成物を含む。アイオノマーは、エチレン酸コポリマーの総酸単位の10~70モルパーセントが、マグネシウムカチオンによって中和されていることを含む。アイオノマーは、100℃の温度での20psiの応力下で30分間にわたって、25%未満の寸法変化を示す。
【0007】
1つ以上の実施形態では、アイオノマーは、第1のエチレン酸コポリマーおよび第2のエチレン酸コポリマーを含む。第1のエチレン酸コポリマーは、エチレンと、第1のエチレン酸コポリマー中に存在するモノマーの総重量%に基づいて、2~20重量%のモノカルボン酸と、第1のエチレン酸コポリマー中に存在するモノマーの総重量%に基づいて、0~40重量%のアクリル酸アルキルとの重合反応生成物である。アイオノマーの第2のエチレン酸コポリマーは、エチレンと、第2のエチレン系ポリマー中に存在するモノマーの総重量%に基づいて、0~20重量%のモノカルボン酸と、第2のエチレン酸コポリマー中に存在するモノマーの総重量%に基づいて、0~40重量%のアクリル酸アルキルと、第2のエチレン酸コポリマー中に存在するモノマーの総重量%に基づいて、2~15重量%の不飽和ジカルボン酸モノマーとの重合反応生成物である。アイオノマー中の第1のエチレン酸コポリマーと第2のエチレン酸コポリマーとの比率は、90/10重量%~10/90重量%である。アイオノマー中の総酸単位の少なくとも70モルパーセントが、中和され、ブレンドの総酸単位の10~70モルパーセントがマグネシウムカチオンによって中和される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、定義を含む本明細書が優先される。
【0009】
本明細書に記載のものと類似または同等の方法および材料を、様々な実施形態の実施または試験に使用することができるが、好適な方法および材料が本明細書に記載されている。
【0010】
特に明記しない限り、すべての割合、部分、比率などは、重量による。量、濃度、または他の値もしくはパラメータが、範囲、好ましい範囲、またはより低い好ましい値およびより高い好ましい値のリストのいずれかとして与えられる場合、範囲が別個に開示されているかどうかに関係なく、これは、任意のより低い範囲の制限または好ましい値と、任意のより高い範囲の制限または好ましい値との任意の対から形成されるすべての範囲を具体的に開示するものと理解されるべきである。本明細書で数値の範囲が列挙されている場合、特に指示しない限り、範囲は、その端点、ならびに範囲内のすべての整数および分数を含むことを意図している。本発明の範囲は、範囲を定義するときに列挙された特定の値に限定されることを意図するものではない。
【0011】
用語「約」が、範囲の値または端点を記述する際に使用される場合、本開示は、言及される特定の値または端点を含むと理解されるべきである。
【0012】
本明細書で使用される用語「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「含有する」、「を特徴とする」、「有する(has)」、「有する(having)」、または他の任意の変形は、非排他的包含を網羅することを目的としている。例えば、要素のリストを含むプロセス、方法、物品、もしくは装置は、必ずしもそれらの要素に限定されず、明示的にリストされていないか、またはそのようなプロセス、方法、物品、もしくは装置に固有の他の要素を含んでもよい。さらに、明示的に別途記載がない限り、「または」は、包括的なまたはを指し、排他的なまたはではない。
【0013】
移行句「から本質的になる」は、特許請求の範囲を特定の材料またはステップ、および本開示の基本的で新規の特性(複数可)に実質的に影響しないものに限定する。出願人が、「含む」などの開放型用語で実施形態またはその一部を定義した場合、特に明記しない限り、説明は、用語「から本質的になる」を使用して、そのような実施形態も説明すると解釈されるべきである。
【0014】
「a」または「an」の使用は、様々な実施形態の要素および構成要素を説明するために用いられる。これは、単に便宜上のものであり、様々な実施形態の一般的な意味を与えるものである。この説明は、1つまたは少なくとも1つを含むように読まれるべきであり、単数形が他を意味することが明らかでない限り、それには複数形も含まれる。
【0015】
用語「ポリマー」は、同一または異なる種類のモノマーに関わらず、モノマーを重合することによって調製されたポリマー化合物を指す。したがって、一般的な用語のポリマーは、用語「ホモポリマー」および「コポリマー」を包含する。用語「ホモポリマー」は、1つの種類のモノマーのみから調製されたポリマーを指し、用語「コポリマー」は、2つ以上の異なるモノマーから調製されたポリマーを指し、本開示の目的のために、「ターポリマー」および「インターポリマー」を含み得る。
【0016】
用語「モノカルボン酸モノマー」は、ビニルまたはビニレンなどの反応性部分を有する分子を意味し、これは他のモノマーと結合して、ポリマーおよび反応性部分に含まれないカルボン酸(-C(O)OH)部分を形成し得る。例えば、(メタ)アクリル酸は、ビニレンが反応性部分であり、カルボン酸が存在するモノカルボン酸モノマーである。用語「(メタ)アクリル酸」は、メタクリル酸および/またはアクリル酸を含み、「(メタ)アクリレート」は、メタクリレート、アクリレート、またはメタクリレートとアクリレートとの組み合わせを含む。
【0017】
本開示において使用される用語「不飽和ジカルボン酸モノマー」は、ビニルまたはビニレンなどの反応性部分を有する分子を意味し、これは他のモノマーと結合して、ポリマーおよび反応性部分に含まれない2つのカルボン酸(-C(O)OH)部分を形成し得る。さらに、「不飽和ジカルボン酸モノマー」には、ジカルボン酸誘導体モノマー(ハーフエステルおよび無水物)が含まれる。
【0018】
様々な実施形態は、エチレン酸コポリマーの中和されたブレンドを含む、耐クリープ性が改善されたアイオノマーを対象とする。エチレン酸コポリマーは、エチレンと、モノカルボン酸モノマーと、不飽和ジカルボン酸モノマーとの重合反応生成物を含む。アイオノマーでは、エチレン酸コポリマーの総酸単位の10%~70%がマグネシウムカチオンによって中和される。耐クリープ性が改善されたアイオノマーは、100℃の温度での20psiで30分間にわたって、25%未満の寸法変化を示す。1つ以上の実施形態では、アイオノマーは、100℃での20psiの応力下で、30分間、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満の寸法変化を示す。
【0019】
1つ以上の実施形態では、エチレン酸コポリマーは、エチレンと、モノカルボン酸モノマーと、不飽和ジカルボン酸モノマーとの重合生成物である。モノカルボン酸モノマーは、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上を含み得る。
【0020】
1つ以上の実施形態では、モノカルボン酸モノマーは、エチレン酸コポリマー中に存在するモノマーの総重量に基づいて、2重量%~20重量%の量で存在し得る。「2重量%~20重量%」に包含されるすべての個々の値および部分範囲は、別個の実施形態として開示される。例えば、モノカルボン酸モノマーは、エチレン酸コポリマー中に存在するモノマーの総重量に基づいて、5重量%~15重量%、3重量%~19重量%、または4重量%~10重量%の量で存在し得る。
【0021】
1つ以上の実施形態では、不飽和ジカルボン酸モノマーの量は、エチレン酸コポリマー中に存在するモノマーの総重量%に基づいて、2~15重量%の不飽和ジカルボン酸モノマーであり得る。「2重量%~15重量%」に包含されるすべての個々の値および部分範囲は、別個の実施形態として開示される。例えば、不飽和ジカルボン酸モノマーは、エチレン酸コポリマー中に存在するモノマーの総重量に基づいて、5重量%~15重量%、3重量%~10重量%、または4重量%~10重量%の量で存在し得る。実施形態では、ジカルボン酸は、無水マレイン酸、無水マレイン酸モノメチルエステル、無水マレイン酸モノエチルエステル、無水マレイン酸モノプロピルエステル、無水マレイン酸モノブチルエステル、またはそれらの組み合わせを含み得る。
【0022】
本開示のアイオノマーの実施形態では、アイオノマーは、2つのポリマー樹脂と、第1のエチレン酸コポリマーと、第2のエチレン酸コポリマーとのブレンドを含み得る。第1のエチレン酸コポリマーまたは第2のエチレン酸コポリマーのうちの1つは、不飽和ジカルボン酸モノマーを含有する。
【0023】
1つ以上の実施形態では、アイオノマーは、第1のエチレン酸コポリマーと、第2のエチレン酸コポリマーとの中和されたブレンドを含み得る。1つ以上の実施形態では、第1のエチレン酸コポリマーと第2のエチレン酸コポリマーとの比率は、90/10重量%~10/90重量%である。様々な実施形態では、中和されたブレンドは、ブレンドの総重量に基づいて、60~90重量%の第1のエチレン酸コポリマーまたは60~80重量%の第1のエチレン酸コポリマーを含む。いくつかの実施形態では、中和されたブレンドは、ブレンドの総重量に基づいて、60~90重量%の第2のエチレン酸コポリマーまたは60~80重量%の第2のエチレン酸コポリマーを含む。
【0024】
本開示のアイオノマーは、ブレンドの総酸単位の10~60%が、マグネシウムカチオンによって中和されることを含み得る。アイオノマーのいくつかの実施形態では、ブレンドの総酸単位の20%~50%、20%~60%、25%~60%、または30%~55%がマグネシウムカチオンによって中和される。
【0025】
様々な実施形態では、第1のエチレン酸コポリマーは、エチレンと、第1のエチレン酸コポリマー中に存在するモノマーの総重量%に基づいて、2~20重量%のモノカルボン酸と、第1のエチレン酸コポリマー中に存在するモノマーの総重量%に基づいて、0~40重量%のアクリル酸アルキルとの重合反応生成物である。
【0026】
1つ以上の実施形態では、第2のエチレン酸コポリマーは、エチレンと、第2のエチレン酸コポリマー中に存在するモノマーの総重量%に基づいて、0~20重量%のモノカルボン酸と、第2のエチレン酸コポリマー中に存在するモノマーの総重量%に基づいて、0~40重量%のアクリル酸アルキルと、エチレン酸コポリマー中に存在するモノマーの総重量%に基づいて、2~15重量%の不飽和ジカルボン酸モノマーとの重合反応生成物である。
【0027】
1つ以上の実施形態では、モノカルボン酸モノマーは、エチレン酸コポリマー中に存在するモノマーの総重量に基づいて、0重量%~20重量%の量で第1のエチレン酸コポリマーまたは第2のエチレン酸コポリマー中に存在し得る。「0重量%~20重量%」に包含されるすべての個々の値および部分範囲は、別個の実施形態として開示される。例えば、モノカルボン酸モノマーは、エチレン酸コポリマー中に存在するモノマーの総重量に基づいて、2重量%~20重量%、5重量%~30重量%、または4重量%~10重量%の量で存在し得る。
【0028】
1つ以上の実施形態では、第2のエチレン酸コポリマー中の不飽和ジカルボン酸モノマーの量は、エチレン酸コポリマー中に存在するモノマーの総重量%に基づいて、2~15重量%の不飽和ジカルボン酸モノマーであり得る。「2重量%~15重量%」に包含されるすべての個々の値および部分範囲は、別個の実施形態として開示される。例えば、不飽和ジカルボン酸モノマーは、第2のエチレン酸コポリマー中に存在するモノマーの総重量に基づいて、5重量%~15重量%、3重量%~10重量%、または4重量%~10重量%の量で存在し得る。実施形態では、ジカルボン酸は、無水マレイン酸、無水マレイン酸モノメチルエステル、無水マレイン酸モノエチルエステル、無水マレイン酸モノプロピルエステル、無水マレイン酸モノブチルエステル、またはそれらの組み合わせを含み得る。
【0029】
様々な実施形態では、第1のエチレン酸コポリマーまたは第2のエチレン酸コポリマーは、アクリル酸アルキルを含み得る。いくつかの実施形態では、第1のエチレン酸コポリマーは、エチレン酸コポリマー中に存在するモノマーの総重量に基づいて、0重量%~40重量%のアクリル酸アルキルをさらに含む。「0重量%~40重量%」に包含されるすべての個々の値および部分範囲は、別個の実施形態として開示される。第1のエチレン酸コポリマーまたは第2のエチレン酸コポリマーは、例えば、1重量%~30重量%のアクリル酸アルキルを含み得る。アクリル酸アルキルは、例として限定されないが、アクリル酸エチル、アクリル酸メチル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、またはそれらの組み合わせであり得る。様々な実施形態では、アクリル酸アルキルは、1~8個の炭素を有するアルキル基を有する。これは、C2-C8-アクリル酸アルキルと呼ばれる。特定の実施形態では、アクリル酸アルキルは、アクリル酸n-ブチルである。
【0030】
エチレン酸コポリマー、第1のエチレン酸コポリマー、または第2のエチレン酸コポリマーの1つ以上の実施形態では、不飽和ジカルボン酸モノマーは、ジカルボン酸の前駆体酸コポリマーまたはジカルボン酸の誘導体の反応生成物を含む。不飽和ジカルボン酸モノマーには、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸モノエチルエステル(MAME)、無水マレイン酸モノプロピルエステル、無水マレイン酸モノエチルエステル、無水マレイン酸モノブチルエステル、またはそれらの組み合わせ、およびこれらの酸のC1-C4-アルキルハーフエステル、ならびに無水マレイン酸、無水マレイン酸モノメチルエステル、無水マレイン酸モノエチルエステル、および無水イタコン酸を含むこれらの酸の無水物が含まれ得る。いくつかの実施形態では、不飽和ジカルボン酸モノマーには、無水マレイン酸、マレイン酸水素エチル、およびマレイン酸水素メチルが含まれ得るが、これらに限定されない。これらのモノマーのカルボン酸または無水物単位は、全く同様にモノカルボン酸カルボン酸単位が示されているように、金属イオンで中和することができるが、不飽和ジカルボン酸モノマーの中和は、その性質および溶融挙動を含むポリマー特性への影響が異なる場合がある。ジカルボン酸を脱水して、ポリマー内に(すなわち、鎖間無水物単位を架橋するのではなく、鎖内に)鎖内無水物単位を形成することができる。
【0031】
エチレン酸コポリマーの様々な実施形態では、第1のエチレン酸コポリマーおよび第2のエチレン酸コポリマーは、エチレンに由来する少なくとも60重量パーセントのモノマーを含み得る。「60重量パーセント」によって包含されるすべての個々の値および部分範囲は、別個の実施形態として本明細書に開示され、例えば、本開示のエチレン酸コポリマー、第1のエチレン酸コポリマー、および第2のエチレン酸コポリマーは、エチレンに由来する少なくとも60重量パーセントの単位、エチレンに由来する少なくとも70重量パーセントの単位、エチレンに由来する少なくとも80重量パーセントの単位、またはエチレンに由来する60~95重量パーセントの単位、またはエチレンに由来する80~98重量パーセントの単位を含み得る。
【0032】
本開示のアイオノマーは、エチレン酸コポリマーの中和されたブレンド、または第1のエチレン酸コポリマーと第2のエチレン酸コポリマーとの中和されたブレンドを含む。用語「中和されたブレンド」は、完全にまたは部分的に中和されたエチレン酸コポリマーを含む。エチレン酸コポリマーは、中和されたおよび非中和のモノカルボン酸単位、中和された、モノ中和された、および非中和のジカルボン酸単位、ならびに鎖内無水物単位を含有し得る。
【0033】
中和された総酸単位を参照すると、モノカルボン酸は、1つの酸単位を提供し、ジカルボン酸は、2つの酸単位を提供し、無水マレイン酸などの無水物は、2つの酸単位を提供すると見なされ、ハーフエステルは、1つの酸単位を提供すると見なされる。中和率の計算は、上記のように存在すると見なされる酸単位の数、および追加された金属当量の数に基づく。実際、無水物単位は、酸単位に変化させるのではなく、無水物単位のままであり得る。中和を受けると、無水物モノマー単位は、二金属塩、一金属塩を形成するか、非中和の不飽和ジカルボン酸モノマーを形成するか、または無水物単位を無水物単位として変更せずに、酸官能基がないかのように機能する。不飽和ジカルボン酸モノマーのハーフエステルは、酸を1つしか有さないものとして数えられるが、実際には、上記の中和に関連する様々な可能性で、不飽和ジカルボン酸モノマーまたは無水物に変換され得る。しかしながら、前述のように、実際に存在する酸基(遊離または中和された)の数に関係なく、計算された中和率は、モノカルボン酸およびジカルボン酸コモノマーの既知のモル量に基づく酸単位の数に基づく。したがって、可能性のある不飽和ジカルボン酸モノマーおよび塩の様々な変異を考慮して、実際の中和されたおよび非中和の遊離酸基の合計のパーセントとしての中和された酸基の実際のパーセントは、計算された中和率とは異なる場合があり、これはアイオノマー中のモノカルボン酸モノマーまたは不飽和ジカルボン酸モノマーの量に基づく。差は、酸単位ではなく、2つの酸単位として数えられる無水物単位によるものである。
【0034】
いくつかの実施形態では、アイオノマーは、ブレンド中のMgカチオンに加えて、Mgカチオン以外のカチオンを含み得る。ブレンドは、中和塩の少なくとも1つの追加のカチオンによって中和され得る。少なくとも1つの追加の金属カチオンの中和塩は、亜鉛塩、リチウム塩、およびナトリウム塩の群から選択され得る。いくつかの実施形態では、アイオノマーは、ブレンドの総酸単位の0%~10%、1%~10%、5%~20%、5%~30%、または10%~50%が、中和塩のナトリウムカチオン、中和塩のリチウムカチオン、中和塩の亜鉛カチオン、またはそれらの組み合わせで中和されることを含み得る。
【0035】
様々な実施形態では、アイオノマーは、それらの弾力性および発泡性を維持しながら、高温で改善された耐クリープ性を示す。
【0036】
エチレン酸コポリマーは、高圧を使用し、連続的に操作する標準的なフリーラジカル共重合法によって調製することができる。モノマーは、モノマーの活性、および組み込まれることが望まれる量に関連する割合で反応混合物に供給される。このようにして、鎖に沿ったモノマー単位の均一でほぼランダムな分布が実現される。未反応のモノマーは、リサイクルされ得る。アクリル酸アルキルモノマーを含むエチレン酸コポリマーの調製に関する追加情報は、米国特許第3,264,272号および米国特許第4,766,174号に見出すことができ、これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0037】
ブレンドは、当業者に既知の任意の手段によって製造することができる。それは、実質的に溶融加工可能であり、1つ以上のエチレン酸コポリマーまたはエチレン酸コポリマーのアイオノマー、1つ以上の脂肪酸またはその塩、塩基性金属化合物、および三価金属カチオンを含む中和組成物を組み合わせて、混合物を製造し、組成物を製造するのに十分な条件下で混合物を加熱することによって製造することができる。加熱は、80℃~350℃、120℃~300℃、または160℃~260℃の範囲の温度で、温度に対応する圧力下で30秒~2または3時間行うことができる。ブレンドは、エチレン酸コポリマーおよび/またはそのアイオノマーを1つ以上の脂肪酸またはその塩と溶融ブレンドし、同時にまたはその後、十分な量の塩基性金属化合物と三価金属カチオンとを組み合わせることによって製造することができる。構成成分の塩ブレンドを作製するか、または構成成分を押出機で溶融ブレンドすることができる。例えば、Werner&Pfleidererの二軸押出機を使用して、エチレン酸コポリマーおよび有機酸(または塩)を金属化合物と同時に混合および処理することができる。
【0038】
ブレンドは、可塑剤を含む少量の添加剤、粘度安定剤、加水分解安定剤を含む安定剤、一次および二次抗酸化剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、染料、顔料もしくは他の着色剤、無機充填剤、難燃剤、潤滑剤、ガラス繊維およびフレークなどの強化剤、合成(例えば、アラミド)繊維もしくはパルプ、発泡剤もしくはブロー剤、加工助剤、スリップ添加剤、シリカもしくはタルクなどのブロック防止剤、放出剤、粘着付与樹脂、またはそれらの2つ以上の組み合わせをさらに含むことができる。炭酸カルシウムなどのような無機充填剤もブレンドに組み込むことができる。
【0039】
これらの添加剤は、0.01重量%~40重量%、0.01重量%~25重量%、0.01重量%~15重量%、0.01重量%~10重量%、または0.01重量%~5重量%の範囲の量でブレンド中に存在し得る。添加剤の組み込みは、例えば、乾式ブレンド、様々な成分の混合物の押出し、従来のマスターバッチ技術などのような任意の既知のプロセスによって行うことができる。
【0040】
いくつかの実施形態では、本開示によるアイオノマーは、示差走査熱量測定(DSC)によって測定された際に、アイオノマーの溶融温度を超える温度で耐荷重能力を示す。
【0041】
様々な実施形態によれば、アイオノマーを使用して、発泡体または成型品を形成し得る。例えば、実施形態では、アイオノマーは、発泡体の特性を制御するために使用される添加剤と組み合わせて、様々な形状の発泡体を形成することができる。いくつかの実施形態では、発泡体は、当業者に既知であるように、二軸スクリュー押出機などから押出され得る。
【0042】
発泡体の製造に使用される発泡剤(ブロー剤とも呼ばれる)は、物理的発泡剤または化学的発泡剤であり得る。本明細書で使用される場合、「物理的発泡剤」は、硬化条件下で揮発して発泡ガスを形成する低沸点液体である。例示的な物理的発泡剤には、炭化水素、フルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、ヒドロフルオロオレフィン、ヒドロクロロフルオロオレフィン、および他のハロゲン化化合物が含まれる。他の好適な化学発泡剤には、例えば、重炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、アゾジカルボンアミド、ジニトロソペンタメチレンジアミン、およびスルホニルヒドラジドが含まれ得る。気体もしくは液体として添加される、または水とポリイソシアネートとの反応によってその場で生成される、水または二酸化炭素などの発泡剤も使用され得る。発泡剤は、2つ以上の混合物で使用することができ、化学的および物理的発泡剤を一緒に使用して、膨張分解温度および発泡プロセスを調整することができる。
【0043】
発泡体組成物は、フリーラジカル開始剤または架橋剤、共硬化剤、活性剤、ならびに顔料、接着促進剤、充填剤、核剤、ゴム、安定剤、および加工助剤を含むがこれらに限定されない類似の組成物で通常使用される任意の他のタイプの添加剤をさらに含むことができる。
【0044】
フリーラジカル開始剤または架橋剤は、例として限定されないが、ジアルキル有機過酸化物などの有機過酸化物を含むことができる。使用に適した有機過酸化物の例には、1,1-ジ-t-ブチルペルオキシ-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、t-ブチル-クミルペルオキシド、ジクミル-ペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(三級-ブチル-ペルオキシル)ヘキサン、1,3-ビス(三級-ブチル-ペルオキシル-イソプロピル)ベンゼン、またはそれらの2つ以上の組み合わせが含まれる。
【0045】
共硬化剤には、トリメチロールプロパントリアクリレート(および類似の化合物)、N,N-m-フェニレンジマレイミド、トリアリルシアヌレート、またはそれらの2つ以上の組み合わせが含まれる。
【0046】
活性剤は、ブロー剤用の活性剤を含むことができ、1つ以上の金属酸化物、金属塩、または有機金属錯体を含むことができる。例には、ZnO、ステアリン酸Zn、MgO、またはそれらの2つ以上の組み合わせが含まれる。
【0047】
発泡体は、圧縮成型、射出成型、および押出と成型との組み合わせなどの多くの方法によって製造され得る。このプロセスは、発泡体組成物の構成成分を熱下で混合して、溶融物を形成することを含むことができる。構成成分は、Banbury、インテンシブミキサー、2ロールミル、および押出機を含む、当技術分野で既知で使用されている任意の技術を使用して混合およびブレンドされ得る。時間、温度、およびせん断速度を調節して、早期の架橋または発泡なしに分散を確保することができる。
【0048】
混合後に、成形を行うことができる。シーティングロールまたはカレンダーロールは、発泡のために適切な寸法のシートを作製するために使用することができる。押出機は、組成物をペレットに成形するために使用され得る。
【0049】
発泡は、過酸化物およびブロー剤の分解を完了させるための温度および時間で圧縮成型で行うことができる。圧力、成型温度、および加熱時間を制御することができる。発泡は、発泡組成物から作製されたペレットを使用することにより、射出成型装置を使用して行うことができる。得られる発泡体は、熱成型および圧縮成型を含む当技術分野で既知の任意の手段によって、最終製品の寸法にさらに成形することができる。
【0050】
様々な実施形態では、得られるポリマー発泡体組成物は、実質的に独立気泡であり得、種々の物品、例えば、ミッドソールまたはインソールを含む履物用途に有用であり得る。
【0051】
1つ以上の実施形態では、成型品は、100℃での20psiの応力下で、30分間、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満の寸法変化を示す。
【0052】
本発明のアイオノマーは、米国特許第3.264.272号(Rees)に開示されているように、標準的な中和技術によって調製され得、これは参照により本明細書に組み込まれる。得られたアイオノマーである本開示の組成物は、2160グラムの重量、210℃を使用して測定されたASTM D-1238に従って、0.01~100グラム/10分、好ましくは0.1~30グラム/10分のMIを有し得る。1つ以上の実施形態では、アイオノマーは、0.920~0.980g/ccの密度を有する。
【0053】
エチレン酸コポリマー、第1のエチレン酸コポリマー、および第2のエチレン酸コポリマー本開示は、連続的に操作する高圧を使用して、標準的なフリーラジカル共重合法によって調製され得る。モノマーは、モノマーの反応性、および組み込まれることが望まれる量に関連する割合で反応混合物に供給される。このようにして、鎖に沿ったモノマー単位の均一でほぼランダムな分布が実現される。この方法での重合は、周知であり、米国特許第4.351.931号(Armitage)に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。他の重合技術は、米国特許第5,028,674号(Hatchら)および米国特許第5,057,593号(Statz)に記載されており、これらは両方とも参照により本明細書に組み込まれる。
【実施例】
【0054】
試験手順
メルトインデックス(MI)を、2160グラムの重量を使用するASTM D-1238を使用して測定する。
【0055】
融点(Tm)を、示差走査熱量測定(DSC)を使用して測定した。示差走査熱量測定(DSC)を、RCS冷却付属品およびオートサンプラーを装備したTA Instruments Q1000 DSCで測定する。サンプルの融点(Tm)を、ASTM D3418に従って測定する。
【0056】
アイオノマーの組成を、パーキンエルマーフーリエ変換赤外分光法(FTIR)を使用して決定した。FTIR分析には、厚さ5ミルの圧縮成型フィルムを使用した。
【0057】
以下の実施例は、様々な実施形態を例示するために提供されるが、特許請求の範囲を制限することを意図するものではない。すべての部およびパーセンテージは、特に指示がない限り重量による。様々な実施例、比較例、ならびに実施例および比較例で使用される材料に関して、おおよその特性(properties)、特性(characters)、パラメータなどを以下に提供する。さらに、実施例で使用した原料の説明は、以下の通りである。
【0058】
実施例1-エチレン酸コポリマーの耐クリープ性
耐クリープ性は、時間、温度、および荷重重量(応力)の関数である。簡単な試験を採用して、MAMEがある場合とない場合の様々な金属カチオンで中和されたジカルボン酸コモノマーMAMEがある場合とない場合のアイオノマーの耐クリープ性を区別した。クリープ試験は、試験片ホルダーを保持するためのシェルフラックを備えたクロスフローエアオーブンで、死荷重に取り付けられたフィルム試験片の寸法変化(垂直)を測定することによって実施した。クリープ試験は、圧縮成型フィルムから切り出された、厚さ10ミル、幅1インチ、および長さ3インチのプレス成型フィルムストリップで実行した。フィルムは、100℃に初期設定されたオーブンで100グラムの死荷重で吊るした。フィルム試験片の変形は、オーブン中で30分後に測定した。次いで、オーブン温度を120℃に上げて試験した。
【0059】
表1に要約されているように、結果には、発明の実施例1.1~1.2、比較ターポルマーの例CT1.1~CT1.4、および比較コポリマーの例CC1.1~CC1.3から導出されたデータが含まれる。実施例1.1~1.2のポリマー組成物は、エチレン/アクリル酸メチル/マレイン酸モノエチルエステル(E/MAA/MAME)ターポリマーのマグネシウム金属カチオン(Mg)中和されたサンプルである。発明の実施例1.1~1.2、比較ターポリマーの例CT1.1~CT1.4はすべて、190℃で2.16kgを使用してASTM D1238に従って測定した際に、MIが約100g/10分であるE/MAA/MAME(73/11/6重量%)ターポリマーに基づいて、様々な中和度まで様々な金属カチオンで中和されたアイオノマーである。
【0060】
比較CC1~CC3のポリマー組成には、Na、Zn、およびMgカチオンで中和されたE/MAA(85/15重量%)が含まれる。サンプルの溶融温度を報告する。耐クリープ試験は、試験片ホルダーを保持するためのシェルフラックを備えたクロスフローエアオーブン中で実施した。各サンプルは、厚さ10ミル(1ミル=1/1000インチ)のフィルムの形態で、長さ3インチ×幅1インチの試験片を100グラムの死荷重で吊るした。フィルムは、耐荷重能力を失ったため、オーブンの底に落ちた。
【表1】
【0061】
表1の結果は、比較CC1.1~CC1.3のNa、Zn、およびMg中和されたサンプルがすべて100℃で失敗したことを示している。耐荷重能力を失ったためにオーブンの底に落ちたフィルム試験片については、サンプルの溶融温度を超える温度である100℃でのクリープ試験に失敗したと見なした。アイオノマーサンプルは、その溶融温度を超える温度で耐荷重能力を失うことが予想される。酸E/MAA/MAMEターポリマーを中和するためにNa、Li、Zn、およびNa/Znカチオンを含んだ比較CT1.1~CT1.4は、100℃で失敗した。実施例1.1の結果は、E/MAA/MAMEターポリマーのMgアイオノマーが100℃でのクリープ試験に合格したことを示した。実施例1.2の結果は、Mg(40%中和された)が100℃および120℃でのクリープ試験に合格したことを示した。表1の結果に基づくと、EE/MAA/MAMEの酸性ターポリマーを含むMgアイオノマーは、これらのサンプルNa、Zn、Li、またはNa/Znアイオノマーから良好な物理的特性を有した。実施例1.1および1.2におけるMgアイオノマーは、サンプルの融点を超える耐クリープ性を有する唯一の樹脂であった。
【0062】
実施例2-アイオノマーブレンドの耐クリープ性
表2に要約されているように、結果は、E/MAA/MAMEターポリマーおよびE/MAAコポリマーの両方の様々なアイオノマーサンプルのブレンドである。ブレンドは、混合スクリューを備えた26mm二軸押出機で、220℃~250℃の溶融温度を使用して調製した。クリープ温度は、110グラムの荷重下でフィルムが25%のひずみの変形に達した際に定義される。
【0063】
実施例2.1.~2.6には、エチレン酸コポリマーAと、エチレン酸コポリマーBと、エチレン酸コポリマーCとのポリマー樹脂ブレンドが含まれる。
【0064】
エチレン酸コポリマーA(「ポリマーA」)は、エチレンと15重量%のメタクリル酸との重合反応生成物を含むエチレン酸コポリマーのMgアイオノマーであり、総酸単位の公称50モル%が、Mgカチオンで中和される。アイオノマーは、190℃、2.16kgでASTM D1238に準拠して測定した際に、0.8g/10分のメルトインデックス(MI)を有する。
【0065】
エチレン酸コポリマーB(「ポリマーB」)は、エチレンと、11重量%のメタクリル酸と、6重量%の無水マレイン酸モノエチルエステルとの重合反応生成物を含むエチレン酸コポリマーのZnアイオノマーであり、総酸単位の公称50%が、亜鉛カチオンで中和される。アイオノマーは、210℃、2.16kgでASTM D1238に準拠して1.0g/10分のMIを有する。
【0066】
エチレン酸コポリマーC(「ポリマーC」)は、エチレンと、11 重量%のメタクリル酸と、6重量%の無水マレイン酸モノエチルエステルとの重合反応生成物を含むエチレン酸コポリマーのMgアイオノマーであり、総酸単位の公称18%が、亜鉛カチオンで中和される。アイオノマーは、210℃、2.16kgでASTM D1238に準拠して1.1g/10分のMIを有する。
【表2】
【0067】
表2の結果は、MAMEおよびMgカチオンの両方を含有する2.2、2.5、および2.6の実施例が、その溶融温度を超えると耐クリープ性を達成したことを示した。実施例2.2、2.5、および2.6のアイオノマーは、MAMEおよびMgカチオンを含有していた。これらの実施例のポリマーは、溶融温度よりも高い温度で耐クリープ性を実現する唯一のポリマーであったため、MAME含有量およびMg含有量は、相乗的に作用して耐クリープ性を高めると考えられる。したがって、データは、Mgカチオン含有量およびMAME含有量が、より高い耐クリープ性につながる2つの変数であることを示した。
【0068】
表2についてのクリープ試験は、試験片ホルダーを保持するためのシェルフラックを備えたクロスフローエアオーブン中で、死荷重に取り付けられたフィルム試験片の寸法変化(垂直)を測定することによって実施した。クリープ試験は、厚さ10ミルの圧縮成型フィルムから切り出した厚さ10ミル、幅1インチ、および長さ3インチのプレス成型フィルムストリップで実行した。フィルムは、80℃に初期設定されたオーブンで110グラムの死荷重で吊るした。オーブン中で30分後にフィルム試験片の変形を測定し、次いでオーブン温度を10℃上昇させた。クリープ温度は、フィルム試験片が25%のひずみの変形に達したときに決定した。