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特許7561120複合体が表面結合されたトランスポソーム複合体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-25
(45)【発行日】2024-10-03
(54)【発明の名称】複合体が表面結合されたトランスポソーム複合体
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/09 20060101AFI20240926BHJP
   C40B 40/06 20060101ALI20240926BHJP
   C12Q 1/6869 20180101ALI20240926BHJP
【FI】
C12N15/09 Z ZNA
C40B40/06
C12Q1/6869 Z
【請求項の数】 52
(21)【出願番号】P 2021517266
(86)(22)【出願日】2020-01-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-03
(86)【国際出願番号】 EP2020050612
(87)【国際公開番号】W WO2020144373
(87)【国際公開日】2020-07-16
【審査請求日】2023-01-06
(31)【優先権主張番号】62/791,509
(32)【優先日】2019-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/840,610
(32)【優先日】2019-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502279294
【氏名又は名称】イルミナ ケンブリッジ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】スラッター, アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】マスグレイブ-ブラウン, エスター
(72)【発明者】
【氏名】ベリティ, スーザン シー.
(72)【発明者】
【氏名】ゴームリー, ナイル
【審査官】松村 真里
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0340169(US,A1)
【文献】国際公開第2018/156519(WO,A1)
【文献】特表2018-501776(JP,A)
【文献】Nature Biotechnology,2017年,Vol.35, No.9,p.852-857, ONLINE METHODS
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N
C12Q
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アニーリングされたトランスポゾン/付着ポリヌクレオチドハイブリッドであって、
(a)3’トランスポゾン末端配列及び5’アダプタ配列を含む第1のトランスポゾンと、
(b)5’トランスポゾン末端配列及び3’アダプタ配列を含む第2のトランスポゾンであって、前記5’トランスポゾン末端配列が、前記3’トランスポゾン末端配列に対して相補的である、第2のトランスポゾンと、
)付着ポリヌクレオチドであって、
(i)前記2つのアダプタ配列のうちの1つにハイブリダイズする付着アダプタ配列、及び
(ii)結合要素、を含む付着ポリヌクレオチドと、を含む、アニーリングされたトランスポゾン/付着ポリヌクレオチドハイブリッド。
【請求項2】
トランスポソーム複合体であって、
(a)トランスポザーゼと、
(b)3’トランスポゾン末端配列及び5’アダプタ配列を含む第1のトランスポゾンと、
(c)5’トランスポゾン末端配列及び3’アダプタ配列を含む第2のトランスポゾンであって、前記5’トランスポゾン末端配列が、前記3’トランスポゾン末端配列に対して相補的である、第2のトランスポゾンと、
(d)付着ポリヌクレオチドであって、
(i)前記2つのアダプタ配列のうちの1つにハイブリダイズする付着アダプタ配列、及び
(ii)結合要素、を含む付着ポリヌクレオチドと、を含む、トランスポソーム複合体。
【請求項3】
固定化されたトランスポソーム複合体であって、
固体支持体と、
前記固体支持体に固定化されたトランスポソーム複合体と、を含み、
前記トランスポソーム複合体が、
(a)トランスポザーゼと、
(b)3’トランスポゾン末端配列及び5’アダプタ配列を含む第1のトランスポゾンと、
(c)5’トランスポゾン末端配列及び3’アダプタ配列を含む第2のトランスポゾンであって、前記5’トランスポゾン末端配列が、前記3’トランスポゾン末端配列の少なくとも一部に対して相補的である、第2のトランスポゾンと、
(d)付着ポリヌクレオチドであって、
(i)前記2つのアダプタ配列のうちの1つにハイブリダイズする付着アダプタ配列、及び
(ii)結合要素、を含む付着ポリヌクレオチドと、を含み、
前記結合要素が、前記固体支持体に固定化されている、固定化されたトランスポソーム複合体。
【請求項4】
前記結合要素が、開裂可能なリンカーを介して前記5’アダプタ配列に付着している、請求項3に記載の固定化されたトランスポソーム複合体。
【請求項5】
前記付着ポリヌクレオチドが、スペーサ領域、アンカー領域、プライマー配列、若しくはインデックスタグ配列、又はこれらの組み合わせを更に含、請求項2~4のいずれか一項に記載のトランスポソーム複合体。
【請求項6】
前記第1のトランスポゾンが、前記5’アダプタ配列の5’にプライマー配列を更に含み、前記付着ポリヌクレオチドが、(i)前記5’アダプタ配列と相補的であり、かつ前記5’アダプタ配列にハイブリダイズする部分と、(ii)相補的プライマー配列と、を含む、請求項5に記載のトランスポソーム複合体。
【請求項7】
前記第1のトランスポゾンが、前記5’アダプタ配列の5’にプライマー配列を更に含み、前記付着ポリヌクレオチドが、インデックスタグ配列及びプライマー配列を含む、請求項5に記載のトランスポソーム複合体。
【請求項8】
前記第2のトランスポゾンが、前記3’アダプタ配列を含み、前記付着ポリヌクレオチドが、(i)前記3’アダプタ配列に対して相補的であり、かつ前記3’アダプタ配列とハイブリダイズする部分と、(ii)インデックスタグ配列と、(iii)プライマー配列と、を含む、請求項5に記載のトランスポソーム複合体。
【請求項9】
前記付着ポリヌクレオチドが、スペーサ領域又はスペーサ領域及びアンカー領域を含む、請求項5に記載のトランスポソーム複合体。
【請求項10】
前記第1のトランスポゾンが、前記5’アダプタ配列を含み、前記付着ポリヌクレオチドが、(i)前記5’アダプタ配列と相補的であり、かつ前記5’アダプタ配列にハイブリダイズする部分と、(ii)スペーサ領域と、(iii)プライマー配列と、を含む、請求項9に記載のトランスポソーム複合体。
【請求項11】
前記付着ポリヌクレオチドが、A14’配列を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のトランスポソーム複合体。
【請求項12】
前記スペーサ領域が、非DNAスペーサである、請求項9~11のいずれか一項に記載のトランスポソーム複合体。
【請求項13】
前記スペーサ領域が、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、15、20、又は30塩基対と同等の長さであ、請求項9~12のいずれか一項に記載のトランスポソーム複合体。
【請求項14】
前記スペーサ領域が、ユニバーサル塩基を含、請求項9~13のいずれか一項に記載のトランスポソーム複合体。
【請求項15】
前記スペーサ領域が、1つ以上のC18スペーサ、1つ以上のC9スペーサ、又はこれらの組み合わせを含む、請求項9~13のいずれか一項に記載のトランスポソーム複合体。
【請求項16】
前記スペーサ領域が、2×sp18合成リンカー、2つのC18スペーサ、C9スペーサ、又は2つのC18スペーサ及び1つのC9スペーサを含む、請求項15に記載のトランスポソーム複合体。
【請求項17】
前記アンカー領域が、インデックス付けオリゴヌクレオチドのアンカー領域相補体に対して相補的であり、前記インデックス付けオリゴヌクレオチドが、前記アンカー領域相補体及びインデックスタグ配列(-アンカー’-インデックスタグ配列-)を含む、請求項5~16のいずれか一項に記載のトランスポソーム複合体。
【請求項18】
前記アンカー領域相補体が、複数のインデックス付けオリゴヌクレオチドに共通である、請求項17に記載のトランスポソーム複合体。
【請求項19】
前記複数のインデックス付けオリゴヌクレオチドの各インデックスタグ配列が、同じであるか又は異なっている、請求項17に記載のトランスポソーム複合体。
【請求項20】
前記結合要素が、ビオチンを含む、請求項2~19のいずれか一項に記載のトランスポソーム複合体。
【請求項21】
前記結合要素が、前記付着ポリヌクレオチドの3’末端におけるビオチンである、請求項20に記載のトランスポソーム複合体。
【請求項22】
前記トランスポザーゼが、Tn5トランスポザーゼ、野生型Tn5トランスポザーゼ、又は過剰活性Tn5トランスポザーゼ、又はこれらの変異体である、請求項2~10のいずれか一項に記載のトランスポソーム複合体。
【請求項23】
前記付着ポリヌクレオチドの前記プライマー配列が、前記インデックス付けポリヌクレオチドのインデックスプライマー配列に対して相補的である、請求項2~22のいずれか一項に記載のトランスポソーム複合体。
【請求項24】
前記固体支持体が、ビーズ、常磁性ビーズ、フローセル、マイクロ流体デバイスの表面、チューブ、プレートのウェル、スライド、パターン化表面、又はマイクロ粒子である、請求項3~23のいずれか一項に記載のトランスポソーム複合体。
【請求項25】
前記固体支持体が、複数の固体支持体を含む、請求項24に記載のトランスポソーム複合体。
【請求項26】
前記複数の固体支持体が、複数のビーズを含む、請求項25に記載のトランスポソーム複合体。
【請求項27】
キットであって、
請求項2~26のいずれか一項に記載のトランスポソーム複合体と、
インデックス配列を含むインデックスミックスと、を含む、キット。
【請求項28】
前記インデックスミックスが、i5インデックス配列及びi7インデックス配列を含み、前記i5インデックス配列が、前記付着ポリヌクレオチドにハイブリダイズし、前記i7インデックス配列が、前記3’アダプタ配列にハイブリダイズする、請求項27に記載のキット。
【請求項29】
タグ付き核酸断片のライブラリを生成する方法であって、標的核酸を複数の標的断片に断片化し、かつ前記第1のトランスポゾンの前記3’末端を前記標的断片の前記5’末端に結合して複数の5’タグ付き標的断片を産生するのに十分な条件下で、請求項3~26のいずれか一項に記載の固定化されたトランスポソーム複合体を前記標的核酸と接触させることを含む、方法。
【請求項30】
非結合核酸を除去するように前記固体支持体を処理すること、又は、
記トランスポザーゼを前記複合体から除去するように前記固体支持体を処理すること、を更に含、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記接触させることが、生体試料を前記トランスポソーム複合体と混合することを含む、請求項29又は請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記生体試料が、細胞溶解物若しくは全細胞を含むか、又は血液、血漿、血清、リンパ液、粘液、痰、尿、精液、脳脊髄液、気管支吸引液、糞便、浸軟組織、及び固定された組織FFPEから選択される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記接触させることが、複数のインデックス付けオリゴヌクレオチドを前記付着ポリヌクレオチドにハイブリダイズさせることを更に含み、前記複数のインデックス付けオリゴヌクレオチドが、同じ又は異なるインデックス配列を含む、請求項29~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記鎖を伸張かつライゲーションして、完全二本鎖タグ付き断片を産生するように、前記複数の5’タグ付き標的断片をポリメラーゼ及びリガーゼで処理することを更に含む、請求項29~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
ポリメラーゼ及びリガーゼで前記処理することが、DNA二次構造破壊剤の存在下で行われ、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
ポリメラーゼ及びリガーゼで前記処理することが、前記プライマー配列の相補体であるオリゴヌクレオチドの存在下で行われ、前記オリゴヌクレオチドが、P7’オリゴヌクレオチドであり、前記プライマー配列が、P7配列である、請求項34又は請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記ポリメラーゼが、エキソヌクレアーゼ活性を欠くT4 DNAポリメラーゼ変異体を含む、請求項34~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記完全二本鎖タグ付き断片を前記固体支持体から除去することを更に含む、請求項29~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記除去することが、前記完全二本鎖タグ付き断片を前記固体支持体から開裂するのに十分な熱及び/又は変性剤を適用することを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記5’タグ付き標的断片又は完全二本鎖タグ付き断片のうちの1つ以上を配列決定することを更に含む、請求項29~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記断片が、前記接触することの後及び前記配列決定することの前に、PCRにより定量化されない、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記核酸が、DNA又はRNAである、請求項29~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記3’アダプタ配列が、インデックスアダプタ配列の少なくとも一部に対して相補的である、請求項29に記載の方法。
【請求項44】
前記付着ポリヌクレオチドの前記プライマー配列が、インデックスプライマー配列の少なくとも一部に対して相補的である、請求項29に記載の方法。
【請求項45】
タグ付き核酸断片のライブラリを生成する方法であって、
a)標的核酸を複数の標的断片に断片化し、かつ前記第1のトランスポゾンの前記3’末端を前記標的断片の前記5’末端に結合して複数の5’タグ付き標的断片を産生するのに十分な条件下で、請求項3~26のいずれか一項に記載の固定化されたトランスポソーム複合体を前記標的核酸と接触させることと、
)非結合核酸を除去するように前記固体支持体を処理すること、又は前記トランスポザーゼを前記複合体から除去するように前記固体支持体を処理することと
c)前記5’タグ付き標的断片を伸張及びライゲーションして完全二本鎖タグ付き断片を産生するように、前記複数の5’タグ付き標的断片をポリメラーゼ及びリガーゼで処理することと
d)前記完全二本鎖タグ付き断片を前記固体支持体から除去することと
e)捕捉ビーズを使用して前記完全二本鎖タグ付き断片を選択することと、を含む、方法。
【請求項46】
前記固定化されたトランスポソーム複合体が、
固体支持体と、
前記固体支持体に固定化されたトランスポソーム複合体であって、
前記トランスポソーム複合体が、
(a)トランスポザーゼと、
(b)3’トランスポゾン末端配列及びアンカー配列(Anchor)を含む第1のトランスポゾンと、
(c)5’トランスポゾン末端配列及びB15’配列を含む第2のトランスポゾンと、
(d)付着ポリヌクレオチドであって、
(i)アンカー配列相補体(Anchor’)、A14’配列、スペーサ、及びP5’配列、並びに
(ii)ビオチンを含む結合要素であって、前記ビオチンが、前記固体支持体に固定化されている、結合要素、を含む、付着ポリヌクレオチドと、を含む、トランスポソーム複合体と、を含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記完全二本鎖タグ付き結合断片のうちの1つ以上を配列決定することを更に含む、請求項45又は46に記載の方法。
【請求項48】
タグ付き核酸断片のライブラリを生成する方法であって、
a.標的核酸を複数の標的断片に断片化し、かつ前記標的断片の前記5’末端に各第1のトランスポゾンの前記3’末端を結合して第1の固定化されたトランスポソーム複合体から生成された複数の第1の5’タグ付き標的断片及び第2の固定化されたトランスポソーム複合体から生成された複数の第2の5’タグ付き標的断片を産生するのに十分な条件下で、請求項3~26のいずれか一項に記載の第1の固定化されたトランスポソーム複合体及び請求項3~26のいずれか一項に記載の第2の固定化されたトランスポソーム複合体を前記標的核酸と接触させることであって、
前記第1の固定化されたトランスポソーム複合体が、固体支持体と、前記固体支持体に固定化された第1のトランスポソーム複合体と、を含み、前記第1のトランスポソーム複合体が、
i.トランスポザーゼと、
ii.3’トランスポゾン末端配列及びアンカー配列を含む第1のトランスポゾンと、
iii.5’トランスポゾン末端配列を含む第2のトランスポゾンと、
iv.(i)アンカー配列相補体、A14’配列、スペーサ、及びP5’配列、並びに(ii)ビオチンを含む結合要素であって、前記ビオチンが前記固体支持体に固定化されている、結合要素、を含む、第1の付着ポリヌクレオチドと、を含み、
前記第2の固定化されたトランスポソーム複合体が、固体支持体、及び前記固体支持体に固定化された第2のトランスポソーム複合体を含み、前記第2のトランスポソーム複合体が、
i.トランスポザーゼと、
ii.3’トランスポゾン末端配列及びアンカー配列を含む第1のトランスポゾンと、
iii.5’トランスポゾン末端配列を含む第2のトランスポゾンと、
iv.(i)アンカー配列相補体、B15’配列、スペーサ、及びP7’配列、並びに(ii)ビオチンを含む結合要素であって、前記ビオチンが前記固体支持体に固定化されている、結合要素、を含む、第2の付着ポリヌクレオチドと、を含む、接触させることと、
b.前記5’タグ付き標的断片を第1及び第2のインデックス付けオリゴヌクレオチドのプールと接触させることによって、各5’タグ付き標的断片を第1のインデックス付けオリゴヌクレオチド又は第2のインデックス付けオリゴヌクレオチドのいずれかにライゲーションするように、前記複数の5’タグ付き標的断片をリガーゼで処理することであって、各第1のインデックス付けオリゴヌクレオチドが、A14配列、i5配列、及びP5配列を含み、第1の5’タグ付き標的断片と会合することができ、各第2のインデックス付けオリゴヌクレオチドが、B15配列、i7配列、及びP7配列を含み、第2の5’タグ付き標的断片と会合して、インデックス付けオリゴヌクレオチドにライゲーションされた複数の5’タグ付き標的断片を産生することができる、処理することと、
.前記トランスポザーゼを前記複合体から除去するように前記固体支持体を処理することと
d.完全二本鎖タグ付き断片を伸張かつ産生するようにポリメラーゼでインデックス付けオリゴヌクレオチドにライゲーションされた前記複数の5’タグ付き標的断片を処理することと、を含む、方法。
【請求項49】
第1の固定化されたトランスポソーム複合体と第2の固定化されたトランスポソーム複合体とを前記接触させること、及び前記複数の5’タグ付き標的断片をリガーゼで前記処理することが、単一の反応において実行される、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記二本鎖タグ付き断片が、溶液中で産生される、請求項48又は請求項49に記載の方法。
【請求項51】
捕捉ビーズを使用して前記完全二本鎖タグ付き断片を選択することを更に含、請求項48~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記完全二本鎖タグ付き断片のうちの1つ以上を配列決定することを更に含む、請求項48~51のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(任意の優先権出願の参照による引用)
本出願は、2019年1月11日に出願された米国特許仮出願第62/791,509号及び2019年4月30日に出願された米国特許仮出願第62/840,610号に対する優先権の利益を主張するものである。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、固体支持体に固定化されたトランスポソーム複合体を使用して、核酸(例えば、DNA)を断片化及びタグ付けするための方法及び組成物を含む、PCR増幅を使用せずにタグ付けされた核酸断片のライブラリを生成するための方法、組成物、及びキットに関する。
【背景技術】
【0003】
現在の核酸試料の次世代配列決定(NGS)のためのプロトコルにおいては、DNA又はRNAを配列決定され得る断片化テンプレートのライブラリに変換する試料調製プロセスが日常的に採用されている。試料調製方法においては、多くの場合、断片化をもたらすために複数の工程及び材料の移動及び高価な器具を必要とし、これにより、これらの方法を困難、要長時間、高費用、及び非効率的にし得る。更に、プライマーを使用した増幅により、ライブラリ含有量のバイアスが導入され、したがって結果として得られる配列決定データにバイアスが導入される。例えば、PCR増幅工程により、GCリッチ領域を効率的にコピーする重合ができないために、GCリッチ領域において悪化する間隙が生成され得る。これらの間隙は、ライブラリから結果として得られた配列決定データにおけるバイアスを生成する。PCR増幅工程によるライブラリ調製プロセスは、有意に低減された挿入及び欠失(インデル)コーリング性能を有し得る。複数の伸張したリピートを有するいくつかの領域は、正確に配列決定することが困難であり得、GCリッチなプロモータを有するDNAは、ゲノム内で低いカバレッジを呈し得る。更に、多くのライブラリ調製方法は、試料インデックスの組み込みと適合しないか、又はそのようなインデックスを導入するために複数の追加の工程を必要とする。
【0004】
短い、効率的かつ正確なライブラリ調製手順が必要である。本明細書では、これらの問題に対処し、かつシングル及びデュアルインデックス付けアプローチを適応させる様々な方法、組成物、及びキットが記載されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、固体支持体上に固定化されたトランスポソーム複合体を使用して核酸(例えば、DNA)を断片化及びタグ付けするための方法及び組成物を含む、プライマー配列及び/又はインデックス配列などの断片タグを組み込むためにPCR増幅を使用せずにタグ付き核酸断片のライブラリを生成するための方法、組成物、及びキットに関する。
【0006】
本明細書で提供されるいくつかの実施形態は、付着ポリヌクレオチドを含むトランスポソーム複合体に関する。いくつかの態様では、本開示は、(a)トランスポザーゼと、(b)3’トランスポゾン末端配列及び5’アダプタ配列を含む第1のトランスポゾンと、(c)5’トランスポゾン末端配列及び3’アダプタ配列を含む第2のトランスポゾンであって、5’トランスポゾン末端配列が、3’トランスポゾン末端配列の少なくとも一部に対して相補的である、第2のトランスポゾンと、(d)付着ポリヌクレオチドであって、(i)2つのアダプタ配列のうちの1つにハイブリダイズする付着アダプタ配列、及び(ii)結合要素、を含む付着ポリヌクレオチドと、を含む、トランスポソーム複合体に関する。典型的には、トランスポゾン末端配列は一緒にアニーリングされ、トランスポザーゼによって認識される二本鎖トランスポゾン末端配列を形成する。いくつかの態様では、結合要素は、固定化されたトランスポソーム複合体を提供するために、固体支持体に固定化される。
【0007】
いくつかの態様では、本開示は、第1のトランスポゾンと、第2のトランスポゾンと、付着ポリヌクレオチドと、を含むアニーリングされたトランスポゾン/付着ポリヌクレオチドハイブリッドに関する。
【0008】
いくつかの態様では、本開示は、第1のトランスポゾン、第2のトランスポゾン、及び付着ポリヌクレオチドをアニーリングすることを含む、トランスポソーム複合体を含むアニーリングされたトランスポゾン/付着ポリヌクレオチドハイブリッドの製造方法に関する。いくつかの態様では、本開示は、アニーリングされたトランスポゾン/付着ポリヌクレオチドハイブリッドをトランスポザーゼで処理することを含む、トランスポソーム複合体の製造方法に関する。いくつかの態様では、本方法は、トランスポソーム複合体を結合要素を介して固体支持体に固定化することによって、固定化されたトランスポソーム複合体の製造方法を提供する。
【0009】
いくつかの態様では、本開示は、(a)トランスポザーゼと、(b)3’トランスポゾン末端配列及び5’アダプタ配列を含む第1のトランスポゾンと、(c)3’トランスポゾン末端配列の少なくとも一部に対して相補的な5’トランスポゾン末端配列及び3’アダプタ配列を含む第2のトランスポゾンと、(d)開裂可能なリンカーを介して5’アダプタ配列に付着した結合要素と、を含む、トランスポソームに関する。いくつかの態様では、結合要素は固体支持体に固定化され、固定化されたトランスポソーム複合体を提供する。いくつかの態様では、本開示は、第1のトランスポゾンと、第2のトランスポゾンと、結合要素と、を含むアニーリングされたオリゴヌクレオチド構築物に関する。
【0010】
いくつかの態様では、本開示は、標的核酸を複数の標的断片に断片化し、かつ3’トランスポゾン末端配列の3’末端を標的断片の5’末端に結合して複数の5’タグ付き標的断片を生成するのに十分な条件下で、標的核酸を、本明細書に記載される複数の固定化されたトランスポソーム複合体と接触させることを含む、タグ付き核酸断片のライブラリを生成する方法に関する。
【0011】
本明細書で提供されるいくつかの実施形態は、PCR増幅を使用せずに、タグ付き核酸断片のライブラリを生成するためのキットに関する。いくつかの実施形態では、キットは、本明細書に記載される固定化されたトランスポソーム複合体を含む。
【0012】
いくつかの態様では、本開示は、タグ付き核酸断片のライブラリを生成する方法であって、標的核酸を複数の標的断片に断片化し、かつ第1のトランスポゾンの3’末端を標的断片の5’末端に結合させて複数の5’タグ付き標的断片を産生するのに十分な条件下で、固定化されたトランスポソーム複合体を標的核酸と接触させることと、任意選択的に、(a)固体支持体を加熱すること、及び/若しくは(b)固体支持体を酵素変性剤で洗浄することによって、非結合核酸を除去するために固体支持体を処理すること、又はトランスポザーゼを複合体から除去するように固体支持体を処理ことであって、酵素変性剤が任意選択的に、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、グアニジン塩酸塩、尿素、又はプロテイナーゼを含む、処理することと、複数の5’タグ付き標的断片をポリメラーゼ及びリガーゼで処理して、5’タグ付き標的断片を伸張及びライゲーションして、完全二本鎖タグ付き断片を産生することであって、任意選択的に、ポリメラーゼ及びリガーゼでの処理が、DNA二次構造破壊剤の存在下で行われ、破壊剤が任意選択的にDMSOである、産生することと、完全二本鎖タグ付き断片を固体支持体から除去することであって、任意選択的に、除去することが、固体支持体から完全二本鎖タグ付き断片を切断するのに十分な熱及び/又は変性剤を適用することを含み、任意選択的に、変性剤がNaOHである、除去することと、捕捉ビーズを使用して完全二本鎖タグ付き断片を選択することであって、任意選択的に、捕捉ビーズが磁気ビーズであり、更に任意選択的に、2つの別個の選択工程が実行される、選択することと、を含む、方法に関する。
【0013】
いくつかの実施形態では、固定化されたトランスポソーム複合体は、固体支持体と、固体支持体に固定化されたトランスポソーム複合体と、を含み、トランスポソーム複合体は、トランスポゾンと、3’トランスポゾン末端配列及びアンカー配列(Anchor)を含む第1のトランスポゾンと、5’トランスポゾン末端配列及びB15’配列を含む第2のトランスポゾンと、アンカー配列相補体(Anchor’)と、A14’配列と、スペーサと、P5’配列と、ビオチンを含む結合要素と、を含み、ビオチンは、固体支持体に固定化される。いくつかの実施形態では、方法は、完全二本鎖タグ付き断片のうちの1つ以上を配列決定することを更に含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、方法は、標的核酸を複数の標的断片に断片化し、かつ各第1のトランスポゾンの3’末端を標的断片の5’末端に結合して、第1の固定化されたトランスポソーム複合体から生成された複数の第1の5’タグ付き標的断片及び第2の固定化されたトランスポソーム複合体から生成された複数の第2の5’タグ付き標的断片を産生するのに十分な条件下で、第1の固定化されたトランスポソーム複合体及び第2の固定化されたトランスポソーム複合体を標的核酸と接触させることを含む。いくつかの実施形態では、第1の固定化されたトランスポソーム複合体は、固体支持体と、固体支持体に固定化された第1のトランスポソーム複合体と、を含み、第1のトランスポソーム複合体は、トランスポザーゼと、3’トランスポゾン末端配列及びアンカー配列を含む第1のトランスポゾンと、5’トランスポゾン末端配列を含む第2のトランスポゾンと、(i)アンカー配列相補体、A14’配列、スペーサ、並びにP5’配列、及び(ii)ビオチンを含む結合要素であって、ビオチンが固体支持体に固定化される、結合要素、を含む、第1の付着ポリヌクレオチドと、を含む。いくつかの実施形態では、第2の固定化されたトランスポソーム複合体は、固体支持体と、固体支持体に固定化された第2のトランスポソーム複合体と、を含み、第2のトランスポソーム複合体は、トランスポザーゼと、3’トランスポゾン末端配列及びアンカー配列を含む第1のトランスポゾンと、5’トランスポゾン末端配列を含む第2のトランスポゾンと、(i)アンカー配列相補体、B15’配列、スペーサ、並びにP7’配列、及び(ii)ビオチンを含む結合要素であって、ビオチンが固体支持体に固定化されている、結合要素、を含む、第2の付着ポリヌクレオチドと、を含む。いくつかの実施形態では、本方法は、複数の5’タグ付き標的断片をリガーゼで処理して、5’タグ付き標的断片を第1及び第2のインデックス付けオリゴヌクレオチドのプールと接触させることによって、各5’タグ付き標的断片を第1のインデックス付けオリゴヌクレオチド又は第2のインデックス付けオリゴヌクレオチドのいずれかにライゲーションすることであって、各第1のインデックス付けオリゴヌクレオチドは、A14配列と、i5配列と、P5配列とを含み、第1の5’タグ付き標的断片と会合することができ、各第2のインデックス付けオリゴヌクレオチドは、B15配列と、i7配列と、P7配列とを含み、第2の5’タグ付き標的断片と会合して、インデックス付けオリゴヌクレオチドにライゲーションされた複数の5’タグ付き標的断片を産生することができる、ライゲーションすることと、任意選択的に、(a)固体支持体を加熱すること、及び/又は(b)固体支持体を酵素変性剤で洗浄することによって、固体支持体を処理して、複合体からトランスポザーゼを除去することであって、酵素変性剤が、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、グアニジン塩酸塩、尿素、又はプロテイナーゼを任意選択的に含む、除去することと、インデックス付けオリゴヌクレオチドにライゲーションされた複数の5’タグ付き標的断片をポリメラーゼで処理して、完全二本鎖タグ付き断片を伸張かつ産生することと、を含む。いくつかの実施形態では、第1の固定化されたトランスポソーム複合体及び第2の固定化されたトランスポソーム複合体を接触させること、及び複数の5’タグ付き標的断片をリガーゼで治療することが、単一の反応で実行される。いくつかの実施形態では、二本鎖タグ付き断片が、溶液中で産生される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】PCR増幅を使用せずにタグ付き核酸断片のライブラリを生成する方法の一実施形態を示すフロー図である。第1の工程では、本明細書に記載され、固体支持体上に固定化されたトランスポソーム錯体が提供される。標的核酸が固体支持体に適用され、タグメンテーション(tagmentation)反応が起こり、タグ付き及び断片化核酸が生成される。インデックス配列を有するインデックスミックスを適用し、伸張及びライゲーションが起こる。最終的に、タグ付き核酸断片のインデックス付けが起こる。いくつかの実施形態では、インデックス付けは、伸張及びライゲーションと同時に起こり、他の実施形態では、インデックス付けは、伸張及びライゲーション後に起こる。他の実施形態では、実施例9に示されるように、工程の配置は異なる。
【0016】
図2A】PCR増幅を使用せずにタグ付き核酸断片のライブラリを調製する概略図及び方法を示す。図2Aは、開裂可能なリンカーを介して1つのトランスポゾンに付着されたビオチン(B)を有するトランスポソーム複合体の例示的な構成である。この例示的な実施形態では、トランスポソーム複合体は、トランスポザーゼと、3’トランスポゾン末端配列及び5’アダプタ配列を含む第1のトランスポゾンと、3’トランスポゾン末端配列の少なくとも一部に対して相補的な5’トランスポゾン末端配列及び3’アダプタ配列を含む第2のトランスポゾンと、開裂可能なリンカーを介して5’アダプタ配列に付着されている結合要素と、を含む(図2A)。図2Bは、タグメンテーション及び洗浄する工程、伸張及びライゲーションする工程、並びにビーズを除去する工程を含む、固体支持体(固体支持体は図示せず)に固定化されている図2Aからの例示的なトランスポソーム複合体を使用して、PCR増幅を使用せずにタグ付き核酸断片のライブラリを調製する方法の例示的な工程を概略的に示す。図2Bは、標的核酸からのインサートが、タグ、伸張及びライゲーション、並びに固体支持体による開裂を付加する、タグメンテーションの工程を示す。
図2B】PCR増幅を使用せずにタグ付き核酸断片のライブラリを調製する概略図及び方法を示す。図2Aは、開裂可能なリンカーを介して1つのトランスポゾンに付着されたビオチン(B)を有するトランスポソーム複合体の例示的な構成である。この例示的な実施形態では、トランスポソーム複合体は、トランスポザーゼと、3’トランスポゾン末端配列及び5’アダプタ配列を含む第1のトランスポゾンと、3’トランスポゾン末端配列の少なくとも一部に対して相補的な5’トランスポゾン末端配列及び3’アダプタ配列を含む第2のトランスポゾンと、開裂可能なリンカーを介して5’アダプタ配列に付着されている結合要素と、を含む(図2A)。図2Bは、タグメンテーション及び洗浄する工程、伸張及びライゲーションする工程、並びにビーズを除去する工程を含む、固体支持体(固体支持体は図示せず)に固定化されている図2Aからの例示的なトランスポソーム複合体を使用して、PCR増幅を使用せずにタグ付き核酸断片のライブラリを調製する方法の例示的な工程を概略的に示す。図2Bは、標的核酸からのインサートが、タグ、伸張及びライゲーション、並びに固体支持体による開裂を付加する、タグメンテーションの工程を示す。
【0017】
図3A】PCR増幅を使用せずにタグ付き核酸断片のライブラリを生成する方法の例示的な工程を示す。図3Aは、ビオチン(B、固体支持体は図示せず)を有する付着ポリヌクレオチドを介して固体支持体に固定化されたトランスポソーム複合体を示す。簡単にするために、二量体の描写を図3Aに示すが、図3B図3Cには示していない。図3Bは、トランスポザーゼに尚も複合化されているタグ付き及び断片化核酸(上部パネル)、及びトランスポザーゼ除去後の構造(下部パネル)を示す。図3Bは、3’トランスポゾン末端配列に付着されたインサートの5’末端を有する、第1のトランスポゾンに結合された核酸断片(インサート)を有するトランスポソーム複合体を示す。トランスポザーゼは、本明細書に記載の方法を使用して、例えば、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)などのトランスポザーゼを除去する作用剤を使用して、除去される。図3Cは、間隙充填及び伸張(伸張及びライゲーション)後の構造(上部パネル)、及び生成された断片を固体支持体から除去する脱ハイブリダイゼーション後の構造(下部パネル)を示す。図3Cに示されるように、インデックスは、固体支持体に加えられ、第2のトランスポゾンの付着ポリヌクレオチドにハイブリダイズする。具体的には、図3Cの実施形態に示されるように、P5はP5’にハイブリダイズし、アンカーはアンカー’にハイブリダイズするように、プライマー配列(P5配列)、インデックス配列(i5配列)、及びアンカー配列を有するi5インデックスは、相補的配列で付着ポリヌクレオチドにハイブリダイズする。同様に、図3Cの実施形態では、P7はP7’にハイブリダイズし、i7はi7’にハイブリダイズし、B15はB15’にハイブリダイズするように、プライマー配列(P7)、インデックス配列(i7)、及びアダプタ配列(B15配列)を有するi7インデックスは、相補的配列で第2のトランスポゾンにハイブリダイズする。固体支持体をインデックスと接触させた後、断片は、伸張及びライゲーションミックス(ELM)を使用して、伸張及びライゲーションされる。次いで、この固体支持体は、NaOHなどの鎖配列を変性させる作用剤で処理され、それによってタグ付き核酸断片が生成される。第1及び第2のトランスポゾンを有するTn5トランスポザーゼを有するトランスポソーム複合体の一実施形態が示されている。第1のトランスポゾンは、第2のトランスポゾンの5’トランスポゾン末端配列(ME’配列)にハイブリダイズする3’トランスポゾン末端配列(ME配列)を含む。第2のトランスポゾンはまた、3’アダプタ配列(B15’配列)を含む。第1のトランスポゾンは、付着ポリヌクレオチドの付着アダプタ配列(A14’配列)にハイブリダイズして示される、5’アダプタ配列(A14配列)を含む。付着ポリヌクレオチドはまた、アンカー配列(アンカー’)、スペーサ領域、プライマー配列(P5’配列)、及び結合要素(B)に付着されたリンカーを含む。トランスポソーム複合体は二量体であり、二量体化された2つのトランスポザーゼ単量体を有する二量体である。
図3B】PCR増幅を使用せずにタグ付き核酸断片のライブラリを生成する方法の例示的な工程を示す。図3Aは、ビオチン(B、固体支持体は図示せず)を有する付着ポリヌクレオチドを介して固体支持体に固定化されたトランスポソーム複合体を示す。簡単にするために、二量体の描写を図3Aに示すが、図3B図3Cには示していない。図3Bは、トランスポザーゼに尚も複合化されているタグ付き及び断片化核酸(上部パネル)、及びトランスポザーゼ除去後の構造(下部パネル)を示す。図3Bは、3’トランスポゾン末端配列に付着されたインサートの5’末端を有する、第1のトランスポゾンに結合された核酸断片(インサート)を有するトランスポソーム複合体を示す。トランスポザーゼは、本明細書に記載の方法を使用して、例えば、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)などのトランスポザーゼを除去する作用剤を使用して、除去される。図3Cは、間隙充填及び伸張(伸張及びライゲーション)後の構造(上部パネル)、及び生成された断片を固体支持体から除去する脱ハイブリダイゼーション後の構造(下部パネル)を示す。図3Cに示されるように、インデックスは、固体支持体に加えられ、第2のトランスポゾンの付着ポリヌクレオチドにハイブリダイズする。具体的には、図3Cの実施形態に示されるように、P5はP5’にハイブリダイズし、アンカーはアンカー’にハイブリダイズするように、プライマー配列(P5配列)、インデックス配列(i5配列)、及びアンカー配列を有するi5インデックスは、相補的配列で付着ポリヌクレオチドにハイブリダイズする。同様に、図3Cの実施形態では、P7はP7’にハイブリダイズし、i7はi7’にハイブリダイズし、B15はB15’にハイブリダイズするように、プライマー配列(P7)、インデックス配列(i7)、及びアダプタ配列(B15配列)を有するi7インデックスは、相補的配列で第2のトランスポゾンにハイブリダイズする。固体支持体をインデックスと接触させた後、断片は、伸張及びライゲーションミックス(ELM)を使用して、伸張及びライゲーションされる。次いで、この固体支持体は、NaOHなどの鎖配列を変性させる作用剤で処理され、それによってタグ付き核酸断片が生成される。第1及び第2のトランスポゾンを有するTn5トランスポザーゼを有するトランスポソーム複合体の一実施形態が示されている。第1のトランスポゾンは、第2のトランスポゾンの5’トランスポゾン末端配列(ME’配列)にハイブリダイズする3’トランスポゾン末端配列(ME配列)を含む。第2のトランスポゾンはまた、3’アダプタ配列(B15’配列)を含む。第1のトランスポゾンは、付着ポリヌクレオチドの付着アダプタ配列(A14’配列)にハイブリダイズして示される、5’アダプタ配列(A14配列)を含む。付着ポリヌクレオチドはまた、アンカー配列(アンカー’)、スペーサ領域、プライマー配列(P5’配列)、及び結合要素(B)に付着されたリンカーを含む。トランスポソーム複合体は二量体であり、二量体化された2つのトランスポザーゼ単量体を有する二量体である。
図3C】PCR増幅を使用せずにタグ付き核酸断片のライブラリを生成する方法の例示的な工程を示す。図3Aは、ビオチン(B、固体支持体は図示せず)を有する付着ポリヌクレオチドを介して固体支持体に固定化されたトランスポソーム複合体を示す。簡単にするために、二量体の描写を図3Aに示すが、図3B図3Cには示していない。図3Bは、トランスポザーゼに尚も複合化されているタグ付き及び断片化核酸(上部パネル)、及びトランスポザーゼ除去後の構造(下部パネル)を示す。図3Bは、3’トランスポゾン末端配列に付着されたインサートの5’末端を有する、第1のトランスポゾンに結合された核酸断片(インサート)を有するトランスポソーム複合体を示す。トランスポザーゼは、本明細書に記載の方法を使用して、例えば、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)などのトランスポザーゼを除去する作用剤を使用して、除去される。図3Cは、間隙充填及び伸張(伸張及びライゲーション)後の構造(上部パネル)、及び生成された断片を固体支持体から除去する脱ハイブリダイゼーション後の構造(下部パネル)を示す。図3Cに示されるように、インデックスは、固体支持体に加えられ、第2のトランスポゾンの付着ポリヌクレオチドにハイブリダイズする。具体的には、図3Cの実施形態に示されるように、P5はP5’にハイブリダイズし、アンカーはアンカー’にハイブリダイズするように、プライマー配列(P5配列)、インデックス配列(i5配列)、及びアンカー配列を有するi5インデックスは、相補的配列で付着ポリヌクレオチドにハイブリダイズする。同様に、図3Cの実施形態では、P7はP7’にハイブリダイズし、i7はi7’にハイブリダイズし、B15はB15’にハイブリダイズするように、プライマー配列(P7)、インデックス配列(i7)、及びアダプタ配列(B15配列)を有するi7インデックスは、相補的配列で第2のトランスポゾンにハイブリダイズする。固体支持体をインデックスと接触させた後、断片は、伸張及びライゲーションミックス(ELM)を使用して、伸張及びライゲーションされる。次いで、この固体支持体は、NaOHなどの鎖配列を変性させる作用剤で処理され、それによってタグ付き核酸断片が生成される。第1及び第2のトランスポゾンを有するTn5トランスポザーゼを有するトランスポソーム複合体の一実施形態が示されている。第1のトランスポゾンは、第2のトランスポゾンの5’トランスポゾン末端配列(ME’配列)にハイブリダイズする3’トランスポゾン末端配列(ME配列)を含む。第2のトランスポゾンはまた、3’アダプタ配列(B15’配列)を含む。第1のトランスポゾンは、付着ポリヌクレオチドの付着アダプタ配列(A14’配列)にハイブリダイズして示される、5’アダプタ配列(A14配列)を含む。付着ポリヌクレオチドはまた、アンカー配列(アンカー’)、スペーサ領域、プライマー配列(P5’配列)、及び結合要素(B)に付着されたリンカーを含む。トランスポソーム複合体は二量体であり、二量体化された2つのトランスポザーゼ単量体を有する二量体である。
【0018】
図4A】トランスポソーム複合体の変異を使用して、PCR増幅を使用せずにタグ付き核酸断片のライブラリを生成する方法の実施形態について、各々がシングルインデックス付けモード及びデュアルインデックス付けモードの両方で示される、インデックス付きビーズ及びユニバーサルビーズを含む、例示的なビオチン(B、固体支持体を図示せず)を介して固体支持体に固定化されたトランスポソーム複合体の様々な構成を比較する概略図を示し、トランスポゾン及び/又は付着ポリヌクレオチドの構成要素は、互いに比較して、変更、配列、又は変化される。図4Aは、固体支持体に付着されたトランスポソーム複合体の様々な構成を示す。図4Aは、第1及び第2のトランスポゾンを有するトランスポザーゼを示し、付着ポリヌクレオチドを介して固体支持体に付着されたトランスポソーム複合体の実施形態を示す。図4Bは、タグメンテーション後の様々な構成を示す。図4Bは、シングル又はデュアルインデックス付けを有するインデックス付き又はユニバーサルビーズのためのタグメンテーション反応を示し、固体支持体は、第1のトランスポゾンの3’トランスポゾン末端に結合する核酸断片(インサート)と接触される。図4Cは、伸張及びライゲーション後の様々な構成を示す。図4Cは、シングル又はデュアルインデックス付けを有するインデックス付き又はユニバーサルビーズのための伸張及びライゲーションを示し、固体支持体は、トランスポゾン又は付着ポリヌクレオチドにハイブリダイズするインデックスミックスと接触し、及び核酸断片は伸張される。図4Dは、インデックス付け後の様々な構成を示す(シングルインデックス付けのためのインデックス付きビーズは、インデックス付けが図4Cのこの構成について完了されたために、示されていない)。図4Dは、デュアルインデックス付けを有するインデックス付きビーズ、又はシングル若しくはデュアルインデックス付けを有するユニバーサルビーズに対するインデックス付けを示す。図4Dに示すように、図4Cの伸張-ライゲーション工程において、シングルインデックス付けを有するインデックス付きビーズが完了された。固体支持体をインデックスミックスと接触させ、核酸断片をインデックス付けのためにタグ付けされる。図4Eは、インサートサイズの関数として正規化されたリード頻度を示す、様々な構成の例示的な結果を示す。図4Eは、シングル又はデュアルインデックス付けを有するインデックス付き又はユニバーサルビーズからのタグ付き核酸断片の正規化されたリード頻度を示す。図4A図4Eは、具体的には、シングルインデックス付けのためのインデックス付きビーズ(左上)、シングルインデックス付けのためのユニバーサルビーズ(右上)、デュアルインデックス付けのためのインデックス付きビーズ(左下)、及びデュアルインデックス付けのためのユニバーサルビーズとして配置されたトランスポソーム複合体の実施形態を示す。図4A図4Eに示されるインデックス付きビーズの実施形態では、シングル及びデュアルインデックス付け(左)の両方について、付着ポリヌクレオチドは、3’アダプタ配列(B15’配列)で第2のトランスポゾンにハイブリダイズされる。図4A図4Eに示されるユニバーサルビーズの実施形態では、シングル及びデュアルインデックス付け(右)の両方について、付着ポリヌクレオチドは、5’アダプタ配列(A14配列)で第1トランスポゾンにハイブリダイズされる。いくつかの実施形態では、核酸が生試料から抽出され、本明細書に記載のシステム又は方法に直接入力されるように、正規化されたライブラリを生試料から調製することができ、自己正規化試料は、試料種類の範囲にわたってタイトなCVを提供する。
図4B】トランスポソーム複合体の変異を使用して、PCR増幅を使用せずにタグ付き核酸断片のライブラリを生成する方法の実施形態について、各々がシングルインデックス付けモード及びデュアルインデックス付けモードの両方で示される、インデックス付きビーズ及びユニバーサルビーズを含む、例示的なビオチン(B、固体支持体を図示せず)を介して固体支持体に固定化されたトランスポソーム複合体の様々な構成を比較する概略図を示し、トランスポゾン及び/又は付着ポリヌクレオチドの構成要素は、互いに比較して、変更、配列、又は変化される。図4Aは、固体支持体に付着されたトランスポソーム複合体の様々な構成を示す。図4Aは、第1及び第2のトランスポゾンを有するトランスポザーゼを示し、付着ポリヌクレオチドを介して固体支持体に付着されたトランスポソーム複合体の実施形態を示す。図4Bは、タグメンテーション後の様々な構成を示す。図4Bは、シングル又はデュアルインデックス付けを有するインデックス付き又はユニバーサルビーズのためのタグメンテーション反応を示し、固体支持体は、第1のトランスポゾンの3’トランスポゾン末端に結合する核酸断片(インサート)と接触される。図4Cは、伸張及びライゲーション後の様々な構成を示す。図4Cは、シングル又はデュアルインデックス付けを有するインデックス付き又はユニバーサルビーズのための伸張及びライゲーションを示し、固体支持体は、トランスポゾン又は付着ポリヌクレオチドにハイブリダイズするインデックスミックスと接触し、及び核酸断片は伸張される。図4Dは、インデックス付け後の様々な構成を示す(シングルインデックス付けのためのインデックス付きビーズは、インデックス付けが図4Cのこの構成について完了されたために、示されていない)。図4Dは、デュアルインデックス付けを有するインデックス付きビーズ、又はシングル若しくはデュアルインデックス付けを有するユニバーサルビーズに対するインデックス付けを示す。図4Dに示すように、図4Cの伸張-ライゲーション工程において、シングルインデックス付けを有するインデックス付きビーズが完了された。固体支持体をインデックスミックスと接触させ、核酸断片をインデックス付けのためにタグ付けされる。図4Eは、インサートサイズの関数として正規化されたリード頻度を示す、様々な構成の例示的な結果を示す。図4Eは、シングル又はデュアルインデックス付けを有するインデックス付き又はユニバーサルビーズからのタグ付き核酸断片の正規化されたリード頻度を示す。図4A図4Eは、具体的には、シングルインデックス付けのためのインデックス付きビーズ(左上)、シングルインデックス付けのためのユニバーサルビーズ(右上)、デュアルインデックス付けのためのインデックス付きビーズ(左下)、及びデュアルインデックス付けのためのユニバーサルビーズとして配置されたトランスポソーム複合体の実施形態を示す。図4A図4Eに示されるインデックス付きビーズの実施形態では、シングル及びデュアルインデックス付け(左)の両方について、付着ポリヌクレオチドは、3’アダプタ配列(B15’配列)で第2のトランスポゾンにハイブリダイズされる。図4A図4Eに示されるユニバーサルビーズの実施形態では、シングル及びデュアルインデックス付け(右)の両方について、付着ポリヌクレオチドは、5’アダプタ配列(A14配列)で第1トランスポゾンにハイブリダイズされる。いくつかの実施形態では、核酸が生試料から抽出され、本明細書に記載のシステム又は方法に直接入力されるように、正規化されたライブラリを生試料から調製することができ、自己正規化試料は、試料種類の範囲にわたってタイトなCVを提供する。
図4C】トランスポソーム複合体の変異を使用して、PCR増幅を使用せずにタグ付き核酸断片のライブラリを生成する方法の実施形態について、各々がシングルインデックス付けモード及びデュアルインデックス付けモードの両方で示される、インデックス付きビーズ及びユニバーサルビーズを含む、例示的なビオチン(B、固体支持体を図示せず)を介して固体支持体に固定化されたトランスポソーム複合体の様々な構成を比較する概略図を示し、トランスポゾン及び/又は付着ポリヌクレオチドの構成要素は、互いに比較して、変更、配列、又は変化される。図4Aは、固体支持体に付着されたトランスポソーム複合体の様々な構成を示す。図4Aは、第1及び第2のトランスポゾンを有するトランスポザーゼを示し、付着ポリヌクレオチドを介して固体支持体に付着されたトランスポソーム複合体の実施形態を示す。図4Bは、タグメンテーション後の様々な構成を示す。図4Bは、シングル又はデュアルインデックス付けを有するインデックス付き又はユニバーサルビーズのためのタグメンテーション反応を示し、固体支持体は、第1のトランスポゾンの3’トランスポゾン末端に結合する核酸断片(インサート)と接触される。図4Cは、伸張及びライゲーション後の様々な構成を示す。図4Cは、シングル又はデュアルインデックス付けを有するインデックス付き又はユニバーサルビーズのための伸張及びライゲーションを示し、固体支持体は、トランスポゾン又は付着ポリヌクレオチドにハイブリダイズするインデックスミックスと接触し、及び核酸断片は伸張される。図4Dは、インデックス付け後の様々な構成を示す(シングルインデックス付けのためのインデックス付きビーズは、インデックス付けが図4Cのこの構成について完了されたために、示されていない)。図4Dは、デュアルインデックス付けを有するインデックス付きビーズ、又はシングル若しくはデュアルインデックス付けを有するユニバーサルビーズに対するインデックス付けを示す。図4Dに示すように、図4Cの伸張-ライゲーション工程において、シングルインデックス付けを有するインデックス付きビーズが完了された。固体支持体をインデックスミックスと接触させ、核酸断片をインデックス付けのためにタグ付けされる。図4Eは、インサートサイズの関数として正規化されたリード頻度を示す、様々な構成の例示的な結果を示す。図4Eは、シングル又はデュアルインデックス付けを有するインデックス付き又はユニバーサルビーズからのタグ付き核酸断片の正規化されたリード頻度を示す。図4A図4Eは、具体的には、シングルインデックス付けのためのインデックス付きビーズ(左上)、シングルインデックス付けのためのユニバーサルビーズ(右上)、デュアルインデックス付けのためのインデックス付きビーズ(左下)、及びデュアルインデックス付けのためのユニバーサルビーズとして配置されたトランスポソーム複合体の実施形態を示す。図4A図4Eに示されるインデックス付きビーズの実施形態では、シングル及びデュアルインデックス付け(左)の両方について、付着ポリヌクレオチドは、3’アダプタ配列(B15’配列)で第2のトランスポゾンにハイブリダイズされる。図4A図4Eに示されるユニバーサルビーズの実施形態では、シングル及びデュアルインデックス付け(右)の両方について、付着ポリヌクレオチドは、5’アダプタ配列(A14配列)で第1トランスポゾンにハイブリダイズされる。いくつかの実施形態では、核酸が生試料から抽出され、本明細書に記載のシステム又は方法に直接入力されるように、正規化されたライブラリを生試料から調製することができ、自己正規化試料は、試料種類の範囲にわたってタイトなCVを提供する。
図4D】トランスポソーム複合体の変異を使用して、PCR増幅を使用せずにタグ付き核酸断片のライブラリを生成する方法の実施形態について、各々がシングルインデックス付けモード及びデュアルインデックス付けモードの両方で示される、インデックス付きビーズ及びユニバーサルビーズを含む、例示的なビオチン(B、固体支持体を図示せず)を介して固体支持体に固定化されたトランスポソーム複合体の様々な構成を比較する概略図を示し、トランスポゾン及び/又は付着ポリヌクレオチドの構成要素は、互いに比較して、変更、配列、又は変化される。図4Aは、固体支持体に付着されたトランスポソーム複合体の様々な構成を示す。図4Aは、第1及び第2のトランスポゾンを有するトランスポザーゼを示し、付着ポリヌクレオチドを介して固体支持体に付着されたトランスポソーム複合体の実施形態を示す。図4Bは、タグメンテーション後の様々な構成を示す。図4Bは、シングル又はデュアルインデックス付けを有するインデックス付き又はユニバーサルビーズのためのタグメンテーション反応を示し、固体支持体は、第1のトランスポゾンの3’トランスポゾン末端に結合する核酸断片(インサート)と接触される。図4Cは、伸張及びライゲーション後の様々な構成を示す。図4Cは、シングル又はデュアルインデックス付けを有するインデックス付き又はユニバーサルビーズのための伸張及びライゲーションを示し、固体支持体は、トランスポゾン又は付着ポリヌクレオチドにハイブリダイズするインデックスミックスと接触し、及び核酸断片は伸張される。図4Dは、インデックス付け後の様々な構成を示す(シングルインデックス付けのためのインデックス付きビーズは、インデックス付けが図4Cのこの構成について完了されたために、示されていない)。図4Dは、デュアルインデックス付けを有するインデックス付きビーズ、又はシングル若しくはデュアルインデックス付けを有するユニバーサルビーズに対するインデックス付けを示す。図4Dに示すように、図4Cの伸張-ライゲーション工程において、シングルインデックス付けを有するインデックス付きビーズが完了された。固体支持体をインデックスミックスと接触させ、核酸断片をインデックス付けのためにタグ付けされる。図4Eは、インサートサイズの関数として正規化されたリード頻度を示す、様々な構成の例示的な結果を示す。図4Eは、シングル又はデュアルインデックス付けを有するインデックス付き又はユニバーサルビーズからのタグ付き核酸断片の正規化されたリード頻度を示す。図4A図4Eは、具体的には、シングルインデックス付けのためのインデックス付きビーズ(左上)、シングルインデックス付けのためのユニバーサルビーズ(右上)、デュアルインデックス付けのためのインデックス付きビーズ(左下)、及びデュアルインデックス付けのためのユニバーサルビーズとして配置されたトランスポソーム複合体の実施形態を示す。図4A図4Eに示されるインデックス付きビーズの実施形態では、シングル及びデュアルインデックス付け(左)の両方について、付着ポリヌクレオチドは、3’アダプタ配列(B15’配列)で第2のトランスポゾンにハイブリダイズされる。図4A図4Eに示されるユニバーサルビーズの実施形態では、シングル及びデュアルインデックス付け(右)の両方について、付着ポリヌクレオチドは、5’アダプタ配列(A14配列)で第1トランスポゾンにハイブリダイズされる。いくつかの実施形態では、核酸が生試料から抽出され、本明細書に記載のシステム又は方法に直接入力されるように、正規化されたライブラリを生試料から調製することができ、自己正規化試料は、試料種類の範囲にわたってタイトなCVを提供する。
図4E】トランスポソーム複合体の変異を使用して、PCR増幅を使用せずにタグ付き核酸断片のライブラリを生成する方法の実施形態について、各々がシングルインデックス付けモード及びデュアルインデックス付けモードの両方で示される、インデックス付きビーズ及びユニバーサルビーズを含む、例示的なビオチン(B、固体支持体を図示せず)を介して固体支持体に固定化されたトランスポソーム複合体の様々な構成を比較する概略図を示し、トランスポゾン及び/又は付着ポリヌクレオチドの構成要素は、互いに比較して、変更、配列、又は変化される。図4Aは、固体支持体に付着されたトランスポソーム複合体の様々な構成を示す。図4Aは、第1及び第2のトランスポゾンを有するトランスポザーゼを示し、付着ポリヌクレオチドを介して固体支持体に付着されたトランスポソーム複合体の実施形態を示す。図4Bは、タグメンテーション後の様々な構成を示す。図4Bは、シングル又はデュアルインデックス付けを有するインデックス付き又はユニバーサルビーズのためのタグメンテーション反応を示し、固体支持体は、第1のトランスポゾンの3’トランスポゾン末端に結合する核酸断片(インサート)と接触される。図4Cは、伸張及びライゲーション後の様々な構成を示す。図4Cは、シングル又はデュアルインデックス付けを有するインデックス付き又はユニバーサルビーズのための伸張及びライゲーションを示し、固体支持体は、トランスポゾン又は付着ポリヌクレオチドにハイブリダイズするインデックスミックスと接触し、及び核酸断片は伸張される。図4Dは、インデックス付け後の様々な構成を示す(シングルインデックス付けのためのインデックス付きビーズは、インデックス付けが図4Cのこの構成について完了されたために、示されていない)。図4Dは、デュアルインデックス付けを有するインデックス付きビーズ、又はシングル若しくはデュアルインデックス付けを有するユニバーサルビーズに対するインデックス付けを示す。図4Dに示すように、図4Cの伸張-ライゲーション工程において、シングルインデックス付けを有するインデックス付きビーズが完了された。固体支持体をインデックスミックスと接触させ、核酸断片をインデックス付けのためにタグ付けされる。図4Eは、インサートサイズの関数として正規化されたリード頻度を示す、様々な構成の例示的な結果を示す。図4Eは、シングル又はデュアルインデックス付けを有するインデックス付き又はユニバーサルビーズからのタグ付き核酸断片の正規化されたリード頻度を示す。図4A図4Eは、具体的には、シングルインデックス付けのためのインデックス付きビーズ(左上)、シングルインデックス付けのためのユニバーサルビーズ(右上)、デュアルインデックス付けのためのインデックス付きビーズ(左下)、及びデュアルインデックス付けのためのユニバーサルビーズとして配置されたトランスポソーム複合体の実施形態を示す。図4A図4Eに示されるインデックス付きビーズの実施形態では、シングル及びデュアルインデックス付け(左)の両方について、付着ポリヌクレオチドは、3’アダプタ配列(B15’配列)で第2のトランスポゾンにハイブリダイズされる。図4A図4Eに示されるユニバーサルビーズの実施形態では、シングル及びデュアルインデックス付け(右)の両方について、付着ポリヌクレオチドは、5’アダプタ配列(A14配列)で第1トランスポゾンにハイブリダイズされる。いくつかの実施形態では、核酸が生試料から抽出され、本明細書に記載のシステム又は方法に直接入力されるように、正規化されたライブラリを生試料から調製することができ、自己正規化試料は、試料種類の範囲にわたってタイトなCVを提供する。
【0019】
図5A】非インデックス付けのための例示的なトランスポソーム複合体の概略図を示し、P7配列含有トランスポゾン(図5A)又はP5配列含有トランスポゾン(図5B)のいずれかにハイブリダイズする付着ポリヌクレオチドを示す。具体的には、図5A及び図5Bは、第1のトランスポゾン上の5’アダプタ配列(A14配列)に結合されたプライマー配列(P5配列)、及び第2のトランスポゾン上の3’アダプタ配列(B15’配列)に結合されたプライマー配列(P7’配列)を示し、それによって非インデックス付けトランスポソーム複合体を提供する。付着ポリヌクレオチドは、5’結合要素(B)を使用する第2のトランスポゾン(図5A)又は3’結合要素(B)を使用する第1のトランスポゾン(図5B)のいずれかにハイブリダイズされ得る。
図5B】非インデックス付けのための例示的なトランスポソーム複合体の概略図を示し、P7配列含有トランスポゾン(図5A)又はP5配列含有トランスポゾン(図5B)のいずれかにハイブリダイズする付着ポリヌクレオチドを示す。具体的には、図5A及び図5Bは、第1のトランスポゾン上の5’アダプタ配列(A14配列)に結合されたプライマー配列(P5配列)、及び第2のトランスポゾン上の3’アダプタ配列(B15’配列)に結合されたプライマー配列(P7’配列)を示し、それによって非インデックス付けトランスポソーム複合体を提供する。付着ポリヌクレオチドは、5’結合要素(B)を使用する第2のトランスポゾン(図5A)又は3’結合要素(B)を使用する第1のトランスポゾン(図5B)のいずれかにハイブリダイズされ得る。
【0020】
図6A】i5インデックス付け配列を含む例示的なトランスポソーム複合体の概略図を示す。図6Aは、ニトロ配列及びアンカー配列を含む付着ポリヌクレオチドが、インデックス付けオリゴヌクレオチドにハイブリダイズし得、次いで、第1のトランスポゾンの5’末端にライゲーションされ得る複合体を示す。図6Aでは、トランスポソーム複合体は、3’トランスポゾン末端配列(ME)及び5’アダプタ配列(A14)を含む第1のトランスポゾンと、5’トランスポゾン末端配列(ME’)及び3’アダプタ配列(B15’)を含む第2のトランスポゾンと、第1のトランスポゾン内のA14にハイブリダイズする付着アダプタ配列(A14’)を含む付着ポリヌクレオチドと、結合要素(ビオチン)と、を含む。この場合、付着ポリヌクレオチドは、ニトロインドール配列(任意のi5インデックス領域に結合するユニバーサル配列)及びプライマー配列(P5’)を更に含む。第2のトランスポゾンのB15’領域は、相補体(B15)、インデックス領域、及びP7プライマー配列を含むポリヌクレオチドにハイブリダイズすることができ、それ自体がP7’~i7’インデックス分子にアニーリングされる。i7’インデックス領域の5’末端の3’アダプタ配列の3’末端へのライゲーションは、完全二本鎖領域を生成する役割を果たす。
【0021】
図6B】i5インデックス付け配列を含む例示的なトランスポソーム複合体の概略図を示す。アンカー配列と、第1のトランスポゾンの5’末端にライゲーションされ得るインデックス付けオリゴヌクレオチドにハイブリダイズし得る、アンカー配列及びスペーサ領域と、を含む付着ポリヌクレオチドを示す。図6Bでは、第1のトランスポゾンは、3’トランスポゾン末端配列(ME)及び5’アダプタ配列(A14)を含み、第2のトランスポゾンは、図6Aのように、5’トランスポゾン末端配列(ME’)及び3’アダプタ配列(B15’)を含む。しかしながら、この場合、付着ポリヌクレオチドは、アダプタ相補体(A14’)、アンカー配列、2×sp18スペーサ領域、プライマー相補体(P5’)、及びビオチン結合要素を含む。i5インデックスは、アンカー配列(アンカー’に対して相補的)、i5インデックス領域、及びプライマー配列(P5)を含む。i5インデックスは、スペーサを横切る付着ポリヌクレオチド上の相補的なアンカー及びプライマー配列にハイブリダイズする。
【0022】
図6C】i5インデックス付け配列を含む例示的なトランスポソーム複合体の概略図を示す。インデックス付けオリゴヌクレオチドにハイブリダイズし得、次いで第1のトランスポゾンの5’末端で配列Xにライゲーションされ得る、スペーサ及びA14’配列を含む付着ポリヌクレオチドを示す。図6Cでは、第1のトランスポゾンは、3’トランスポゾン末端配列(ME)及び5’アダプタ配列Xを含み、第2のトランスポゾンは、5’トランスポゾン末端配列(ME’)及び3’アダプタ配列(B15’)を含む。付着ポリヌクレオチドは、5’アダプタ配列(X’)、第2のアダプタ配列(A14’)、スペーサ領域(2×sp18)、プライマー相補体(P5’)、及びビオチン結合要素に対する相補体を含む。5’アダプタ配列(X’)は、第1のトランスポゾン5’アダプタ配列(X)にハイブリダイズする。i5インデックスは、第2のアダプタ配列(A14)に対する相補体、2×sp18スペーサ領域、及びプライマー配列(P5)を含む。i5インデックスは、第2のアダプタ配列及び付着ポリヌクレオチド上のプライマー相補体を、スペーサ領域を横切ってハイブリダイズし、第2のアダプタ配列に対する相補体の3’末端は、配列Xにライゲーションされる。加えて、5’プライマー配列(P7)、i7指数領域、及び3’アダプタ配列(B15)に対する相補体を含むi7インデックスがアニーリングされ、3’アダプタ配列の3’末端は、二本鎖領域を産生するように伸張される。
【0023】
図6D】i5インデックス付け配列を含む例示的なトランスポソーム複合体の概略図を示す。インデックス付けオリゴヌクレオチドにハイブリダイズし得、次いで第1のトランスポゾンの5’末端で配列Xにライゲーションされ得る、スペーサ及びA14’配列を含む付着ポリヌクレオチドを示す。この場合、インデックス付けオリゴヌクレオチドは、二本鎖プライマー領域を含む。図6Dでは、第1のトランスポゾン、第2のトランスポゾン、及び付着ポリヌクレオチドは、図6Cの通りである。i7インデックスは、二本鎖プライマー(P7/P7’)、i7インデックス領域、及び3’アダプタ配列(B15)に対する相補体を含む。i7インデックス内の二本鎖領域は、伸張ライゲーション反応中に生成(アニーリング)され得、例えば、反応自体の前にi7インデックスをアニーリングする必要はない。P7’オリゴは、反応混合物中に含まれ得る。i7インデックスは、B15領域を介してアニーリングされ、第2のトランスポゾンからの伸張及びライゲーションは、二本鎖領域を生成する。本方法の実施例については、実施例5に記載している。
【0024】
図7A】改善されたインデル精度及び再現性(図7A)及びGCリッチプロモータにおけるカバレッジの改善(図7B)についての結果を含む、PCR増幅を使用して及び使用せずにタグ付き核酸断片のライブラリを生成する方法を実行するための例示的な結果を示す。これらのデータを生成するために4つの方法を使用し、2つの方法はPCR(TruSeq(商標)Nano及びNextera(商標)DNA Flex)を用い、2つの方法はPCRを含まない(本方法及びTruSeq(商標)PCR-Free)。1つの方法当たり2つの複製物が存在し、合計で8つのライブラリが生成された。配列決定後に、データを25Xにダウンサンプリングした。図7Aは、本明細書に記載のPCRを含まない方法についての、高い割合のインデル精度及び再現性を示す。左から右に、試料は、(重複して)TruSeq(商標)Nano(黒色)、Nextera(商標)DNA Flex(白色)、本明細書に記載の本発明のPCRを含まない方法(平行線模様)、及びTruSeq(商標)PCR-Free(チェック模様)を含む。図7Bは、他の方法と比較して、本明細書に記載の本PCRを含まない方法のGCリッチプロモータにおけるカバレッジの改善を示し、Nextera(商標)DNA Flex(左上)、TruSeq(商標)Nano(右上)、本明細書に記載の本PCRを含まない方法(左下)、及びTruSeq(商標)PCR-Free(右下)を含む。
図7B】改善されたインデル精度及び再現性(図7A)及びGCリッチプロモータにおけるカバレッジの改善(図7B)についての結果を含む、PCR増幅を使用して及び使用せずにタグ付き核酸断片のライブラリを生成する方法を実行するための例示的な結果を示す。これらのデータを生成するために4つの方法を使用し、2つの方法はPCR(TruSeq(商標)Nano及びNextera(商標)DNA Flex)を用い、2つの方法はPCRを含まない(本方法及びTruSeq(商標)PCR-Free)。1つの方法当たり2つの複製物が存在し、合計で8つのライブラリが生成された。配列決定後に、データを25Xにダウンサンプリングした。図7Aは、本明細書に記載のPCRを含まない方法についての、高い割合のインデル精度及び再現性を示す。左から右に、試料は、(重複して)TruSeq(商標)Nano(黒色)、Nextera(商標)DNA Flex(白色)、本明細書に記載の本発明のPCRを含まない方法(平行線模様)、及びTruSeq(商標)PCR-Free(チェック模様)を含む。図7Bは、他の方法と比較して、本明細書に記載の本PCRを含まない方法のGCリッチプロモータにおけるカバレッジの改善を示し、Nextera(商標)DNA Flex(左上)、TruSeq(商標)Nano(右上)、本明細書に記載の本PCRを含まない方法(左下)、及びTruSeq(商標)PCR-Free(右下)を含む。
【0025】
図8】実施例3に記載するような、本明細書に記載の方法(4つの複製サンプル1~4)と比較して、Nextera(商標)DNA Flex又はTruSeq(商標)DNA PCR-Free Library Prep Kitを使用して調製された既知の100% GCリピート伸張(FMR1)を含有する試料からの配列決定ライブラリの結果を示す。
【0026】
図9A】実施例5に記載するような、6C(図9Aのデータ)及び6D(図9B及び図9Cにおける2つの反応条件についてのデータ)のシステムとともに8つのインデックスペアを使用して調製されたライブラリの%CVの結果を示す。
図9B】実施例5に記載するような、6C(図9Aのデータ)及び6D(図9B及び図9Cにおける2つの反応条件についてのデータ)のシステムとともに8つのインデックスペアを使用して調製されたライブラリの%CVの結果を示す。
図9C】実施例5に記載するような、6C(図9Aのデータ)及び6D(図9B及び図9Cにおける2つの反応条件についてのデータ)のシステムとともに8つのインデックスペアを使用して調製されたライブラリの%CVの結果を示す。
【0027】
図10】PCRライブラリ調製法(Nextera Flex又はチューブベースのNextera)については遺伝子RNPEPL1の領域内に間隙を有するが、本明細書に記載のPCRを含まない方法(2つの下のパネル)を使用するとより少ない間隙を有する配列決定カバレッジのグラフ表示を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
断片化核酸のライブラリは、多くの場合、次世代配列決定(NGS)用途で使用するためのゲノム核酸から生成される。本開示は、増幅によって配列を加えるためにPCRを使用せずに(本明細書においてはPCRフリーライブラリ生成又はPCRフリーライブラリ調製とも呼ばれる)、インデックスを含む、配列決定操作を実行するのに必要な配列を付加する断片化核酸のライブラリを生成するための方法、組成物、及びキットを提供する。このPCRフリートランスポソームライブラリ調製法は、ライブラリ調製のための現在のタグメンテーションアプローチにおいてPCRによって引き起こされるバイアスを低減及び/又は排除することができる。
【0029】
タグメンテーションは、断片及びタグ核酸に対するトランスポザーゼの使用を指す。タグメンテーションは、トランスポゾン末端配列(本明細書においてトランスポゾンと呼ばれる)を含むアダプタで複合体化されたトランスポザーゼ酵素を含むトランスポソーム複合体によるDNAの修飾を含む。タグメンテーションは、二重断片の両方の鎖の5’末端へのDNAの同時フラグメンテーション及びアダプタのライゲーションもたらす。一般に、トランスポザーゼ酵素を除去する精製工程に続いて、PCRにより適合された断片の末端に追加の配列を加える。
【0030】
本明細書に記載される方法、組成物、システム、及びキットは、複合体ハイブリダイズドオリゴヌクレオチド、及び、表面上に固定化された複合体を含むこれらのハイブリッドを含むトランスポソーム複合体、並びにPCRフリーライブラリ生成のためのトランスポソーム複合体の使用に関する。本明細書に記載されるように、トランスポソーム複合体は、標的DNA分子を断片化及びタグ付けするトランスポザーゼ及び関連するトランスポゾンを含む。いくつかの態様では、複合体ハイブリダイズドオリゴヌクレオチドは開裂可能であり、結合要素を含み、他の態様では、複合体ハイブリダイズドオリゴヌクレオチドは、結合要素を有する付着ポリヌクレオチドを含む。いくつかの態様では、付着ポリヌクレオチドは、トランスポソーム複合体中のトランスポゾンにハイブリダイズし、スライド、フローセル、又はビーズなどの固体支持体上に固定化される核酸配列である。トランスポゾンへの付着ポリヌクレオチドのハイブリダイゼーションにより、トランスポソーム複合体は、付着ポリヌクレオチドを介して間接的に固体支持体上に固定化され得る。固体支持体への付着ポリヌクレオチドの結合は、付着ポリヌクレオチド上の結合要素を介して行われる。標的核酸は、トランスポソーム複合体によって捕捉され、次いで、核酸は断片化され、タグ付けされる(「タグメンテーション」)。オリゴヌクレオチドシステムは、PCR増幅なしで、タグメンテーション工程、伸張工程、及び/又はライゲーション工程を介して、インデックス付け及び配列決定に必要な任意のタグの組み込みを可能にするようにデザインされる。したがって、いくつかの態様では、タグ付き断片は、PCR増幅を使用せずに核酸断片のライブラリを生成するために、増幅なしで伸張され、ライゲーションされ、インデックス化されてもよい。
【0031】
溶液ベースのタグメンテーションは欠点を有し、いくつかの手間を要する工程を必要とする。追加的に、タグ配列を導入するために使用されるPCR増幅工程中にバイアスを導入することができる。例えば、縮小されたインデルは、ポリメラーゼのずれによるPCRの結果であり得る。更に、PCRポリメラーゼは、高GC領域又はAT若しくは配列リピート領域などの一部の領域において困難を有し、ゲノム中の間隙若しくは偽構造変位コールが生じるか、又はリピート伸張の欠損をもたらす。
【0032】
本明細書に提示される方法、組成物、システム、及びキットは、これらの欠点を克服し、試料操作又は移動の必要条件が最小限に抑えられた、バイアスされていない試料調製及び配列決定を可能にする。本明細書に記載される方法、組成物、システム、及びキットは、PCR増幅を使用せずにライブラリを生成することに関する。PCRを含まないアプローチは、PCRによって引き起こされるバイアスを低減及び/又は排除し、特にPCRが困難なGCリッチ領域において、間隙の数及び頻度を低減することと、インデル再現性及びインデル精度を改善することを含むインデルコール性能を改善することと、リピート伸張のコールを改善することと、GCリッチプロモータにおけるカバレッジを改善することと、を含む。本出願は、核酸ライブラリの生成を改善するためのPCRを含まないタグメンテーションを実行するための様々なトランスポソーム複合体デザインを開示する。
【0033】
更に、本明細書に記載される方法、組成物、システム、及びキットは、PCRベースの方法などの他の方法を使用して、核酸試料調製及び分析よりも短い期間で実行されてもよい。したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるタグ付き核酸断片のライブラリを生成する方法は、約5時間未満、例えば、5時間未満、4時間未満、3時間未満、又は2時間未満の期間で実行されてもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のタグ付き核酸断片のライブラリを生成する方法は、約90分~約300分の範囲、例えば、90、105、120、135、150、165、180、195、210、225、240、255、270、285、若しくは300分、又は前述の値のうちのいずれか2つによって規定される範囲内の時間にわたって実行されてもよい。
【0034】
更に、いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法、組成物、システム、及びキットの使用は、時間依存性ではない核酸の断片化をもたらし、トランスポソームの固定化は、一貫したインサートサイズをもたらし、飽和は、統合抽出及び定量化フリーのライブラリ調製を可能にする。
【0035】
本明細書に記載される方法、組成物、システム、及びキットの追加の利点は、固体表面上のトランスポソーム複合体の固定化に関するものであり、例えば、ハンズオン並びに全体ライブラリ調製時間、コスト、及び試薬の要件を低減することと、サンプル入力要件を軽減させ、ライブラリ調製の開始点として未精製の又は分解されたサンプルの使用を可能にすることと、を含む。加えて、本明細書に記載のトランスポソーム複合体はまた、様々な試料入力濃度が使用される場合であっても、溶液相法に対してより一貫したインサートサイズを用いるライブラリを産生する。
【0036】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法によって得られる核酸ライブラリは、任意の好適な核酸配列決定プラットフォームを使用して、標的配列の核酸配列を決定することができる。いくつかの態様では、対象となる配列は、1つ以上の先天性又は遺伝性疾患、病原性、抗生物質耐性、若しくは遺伝子修飾と相関するか、又は関連している。配列決定は、短いタンデムリピート、一塩基多型、遺伝子、エキソン、コード領域、エクソーム、又はそれらの一部の核酸配列を決定するために使用することができる。したがって、本明細書に記載される方法及び組成物は、癌及び疾患診断、予後及び治療法、DNAフィンガープリンティング用途(例えば、DNAデータバンキング、犯罪ケースワーク)、メタゲノム研究及び発見、アグライゲノム用途、並びに病原体同定及びモニタリングにおいて有用な配列決定可能なライブラリを作成することに関する。
【0037】
いくつかの実施形態では、付着アダプタ配列は、5’アダプタ配列の少なくとも一部にハイブリダイズし、結合要素は、付着ポリヌクレオチドの3’末端にある。いくつかの実施形態では、付着アダプタ配列は、3’アダプタ配列の少なくとも一部にハイブリダイズし、結合要素は、付着オリゴヌクレオチドの5’末端にある。
【0038】
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で参照される全ての特許、出願、公開出願、及び他の刊行物は、別途記載のない限り、その全体が参照により組み込まれる。本明細書において用語のための複数の定義が存在する場合、別途記載のない限り、このセクション内の定義が優先的である。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈がそうでない旨を明確に指示しない限り、複数の指示対象を含む。別途記載のない限り、質量分析法、NMR、HPLC、タンパク質化学、生化学、組み換えDNA技術及び薬理学の従来の方法が採用される。「又は」又は「及び」の使用は、別途記載のない限り、「及び/又は」を意味する。更に、用語「含む(including)」、並びに他の形態、例えば、「含む(include)」、「含む(includes)」、及び「含まれる(included)」などの他の形態の使用は、限定的ではない。本明細書で使用されるとき、移行句又は請求項の本文において、用語「含む(comprise)(複数可)」及び「含む(comprising)」は、オープンエンドの意味を有するものとして解釈されるべきである。すなわち、これらの用語は、語句「少なくとも」又は「少なくとも含む」と同義であると解釈されるべきである。プロセスの文脈において使用される場合、用語「含む(comprising)」は、プロセスが少なくとも列挙された工程を含むが、追加の工程を含み得ることを意味する。化合物、組成物、又はデバイスの文脈で使用される場合、用語「含む(comprising)」は、化合物、組成物、又はデバイスが少なくとも列挙された特徴又は構成要素を含むが、追加の特徴又は構成要素も含み得ることを意味する。
【0039】
本明細書で使用されるセクションの見出しは、構成目的のみのためであり、記載される主題を限定するものとして解釈されるべきではない。
トランスポソーム複合体
【0040】
本明細書で提供されるいくつかの実施形態は、PCR増幅なしにタグ付き核酸断片のライブラリを生成するための組成物に関する。いくつかの実施形態では、組成物は、固体支持体と、固体支持体に固定化されたトランスポソーム複合体と、を含む。いくつかの実施形態では、トランスポソーム複合体は、トランスポゾン、第1のトランスポゾン、付着ポリヌクレオチド、及び第2のトランスポゾンを含む。いくつかの実施形態では、第1のトランスポゾンは、3’トランスポゾン末端配列及び5’アダプタ配列を含む。いくつかの実施形態では、付着ポリヌクレオチドは、5’アダプタ配列及び結合要素にハイブリダイズする付着アダプタ配列を含む。いくつかの実施形態では、第2のトランスポゾンは、5’トランスポゾン末端配列及び3’アダプタ配列を含む。いくつかの実施形態では、トランスポソーム複合体は、付着ポリヌクレオチドを介して固体支持体に固定化される。いくつかの実施形態では、付着ポリヌクレオチドは、プライマー配列を更に含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、結合要素は、任意選択的に置換されたビオチンを含むか、又は任意選択的に置換されたビオチンである。いくつかの実施形態では、結合要素は、リンカーを介して付着ポリヌクレオチドに連結される。いくつかの実施形態では、結合要素は、ビオチンリンカーを含むか、又はビオチンリンカーである。いくつかの実施形態では、結合要素は、3’、5’、若しくは内部ビオチンを含むか、又は3’、5’、若しくは内部ビオチンである。
【0042】
いくつかの実施形態では、3’トランスポゾン末端配列はモザイク末端(ME)配列を含み、5’トランスポゾン末端配列はME’配列を含む。いくつかの実施形態では、5’アダプタ配列はA14配列を含み、付着アダプタ配列はA14’配列を含む。いくつかの実施形態では、3’アダプタ配列は、B15’配列を含む。いくつかの実施形態では、3’アダプタ配列は、インデックスアダプタ配列の少なくとも一部に対して相補的である。いくつかの実施形態では、インデックスアダプタ配列は、B15配列を含む。いくつかの実施形態では、付着ポリヌクレオチドの一部は、P5’プライマー配列などのプライマー配列を含む。いくつかの実施形態では、付着ポリヌクレオチドのプライマー配列は、P5プライマー配列などのインデックス付けオリゴヌクレオチド配列の少なくとも一部に対して相補的である。
【0043】
いくつかの実施形態では、トランスポソーム錯体は、本明細書に記載の結合要素(及び任意選択のリンカー)を介して固体支持体上に固定化される。いくつかの実施形態では、固体支持体は、ビーズ、常磁性ビーズ、フローセル、マイクロ流体デバイスの表面、チューブ、プレートのウェル、スライド、パターン化表面、又はマイクロ粒子である。いくつかの実施形態では、固体支持体はビーズを含むか、又はビーズである。一実施形態では、ビーズは、常磁性ビーズである。いくつかの実施形態では、固体支持体は、複数の固体支持体を含む。いくつかの実施形態では、トランスポソーム複合体は、複数の固体支持体上に固定化される。いくつかの実施形態では、複数の固体支持体は、複数のビーズを含む。いくつかの実施形態では、複数のトランスポソーム複合体は、1mm当たり少なくとも10、10、10、10個の複合体の密度で固体支持体上に固定化される。いくつかの実施形態では、固体支持体は、ビーズ又は常磁性ビーズであり、各ビーズに結合した10,000、20,000、30,000、40,000、50,000、又は60,000超のトランスポソーム複合体が存在する。
【0044】
トランスポゾンベースの技術は、例えば、NEXTERA(商標)FLEX DNA試料調製キット(Illumina,Inc.)のワークフローに例示されるように、DNAを断片化するために利用することができ、ゲノムDNAなどの標的核酸は、標的を同時に断片化及びタグ付けする(「タグメンテーション」)トランスポソーム複合体で処理され、それによって、断片の末端に特異なアダプタ配列でタグ付けされた断片化核酸分子の集団を生成する。
【0045】
転移反応は、1つ以上のトランスポゾンがランダムな部位又はほぼランダムな部位で標的核酸に挿入される反応である。転移反応の構成要素としては、トランスポザーゼ(又は本明細書に記載の核酸(例えば、インテグラーゼ)を断片化及び標識化することができる他の酵素)、トランスポザーゼ(又は本明細書に記載の他の酵素)に結合する二本鎖トランスポゾン末端配列を含むトランスポゾン要素、2つのトランスポゾン末端配列のうちの1つに付着されたアダプタ配列が挙げられる。二本鎖トランスポゾン末端配列の1つの鎖が、標的核酸の1つの鎖に転写され、相補的なトランスポゾン末端配列鎖は(非転写トランスポゾン配列)ではない。アダプタ配列は、必要に応じて又は所望に応じて、1つ以上の機能的配列又は構成要素(例えば、プライマー配列、アンカー配列、ユニバーサル配列、スペーサ領域、又はインデックスタグ配列)を含み得る。
【0046】
「トランスポソーム複合体」は、少なくとも1つのトランスポザーゼ(又は本明細書に記載の他の酵素)及びトランスポゾン認識配列から構成される。いくつかのそのようなシステムでは、トランスポザーゼは、転移反応を触媒することができる機能的複合体を形成するために、トランスポゾン認識配列に結合する。いくつかの態様では、トランスポゾン認識配列は、二本鎖トランスポゾン末端配列である。トランスポザーゼは、標的核酸内のトランスポザーゼ認識部位に結合し、トランスポゾン認識配列を標的核酸に挿入する。いくつかのそのような挿入事象では、トランスポゾン認識配列(又は末端配列)の1つの鎖が標的核酸に転写され、開裂事象が生じる。例示的な経位置手順及びシステムは、トランスポザーゼでの使用に容易に適合され得る。
【0047】
本明細書で提供される特定の実施形態とともに使用され得る例示的なトランスポザーゼとしては、Tn5トランスポザーゼ、Sleeping Beauty(SB)トランスポザーゼ、ビブリオハーベイ(Vibrio harveyi)、R1及びR2末端配列を含むMuAトランスポザーゼ及びMuトランスポザーゼ認識部位、Staphylococcus aureus Tn552、Ty1、Tn7トランスポザーゼ、TN/O及びIS10、Mariner transposase、Tc1、P Element、Tn3、細菌挿入配列、レトロウイルス、及び酵母のレトロトランスポゾンが挙げられる。より多くの例としては、IS5、Tn10、Tn903、IS911、及びトランスポザーゼファミリー酵素の設計されたバージョンが挙げられる。本明細書に記載される方法はまた、トランスポザーゼの組み合わせを含み、シングルトランスポザーゼのみを含むのではない。
【0048】
いくつかの実施形態では、トランスポザーゼは、Tn5、Tn7、MuA、若しくはビブリオハーベイトランスポザーゼ、又はこれらの活性変異体である。他の実施形態では、トランスポザーゼは、Tn5トランスポザーゼ又はその変異体である。他の実施形態では、トランスポザーゼは、Tn5トランスポザーゼ又はその変異体である。他の実施形態では、トランスポザーゼは、Tn5トランスポザーゼ又はその活性変異体である。いくつかの実施形態では、Tn5トランスポザーゼは、過活性Tn5トランスポザーゼ、又はその活性変異体である。いくつかの態様では、Tn5トランスポザーゼは、参照により本明細書に組み込まれるPCT国際出願第WO2015/160895号に記載されているTn5トランスポザーゼである。いくつかの態様では、Tn5トランスポザーゼは、野生型Tn5トランスポザーゼに対する54、56、372、212、214、251、及び338位での突然変異を有する、過剰活性Tn5である。いくつかの態様では、Tn5トランスポザーゼは、野生型Tn5トランスポザーゼに対する以下の変異を有する高活性Tn5である:E54K、M56A、L372P、K212R、P214R、G251R、及びA338V。いくつかの実施形態では、Tn5トランスポザーゼは、融合タンパク質である。いくつかの実施形態では、Tn5トランスポザーゼ融合タンパク質は、融合伸張因子Ts(Tsf)タグを含む。いくつかの実施形態では、Tn5トランスポザーゼは、野生型配列に対するアミノ酸54、56、及び372における変異を含む過剰活性Tn5トランスポザーゼである。いくつかの実施形態では、過剰活性Tn5トランスポザーゼは融合タンパク質であり、所望により、融合タンパク質は伸張率Ts(Tsf)である。いくつかの実施形態では、認識部位は、Tn5型トランスポザーゼ認識部位である(Goryshin and Reznikoff,J.Biol.Chem.,273:7367,1998)。一実施形態では、過剰活性Tn5トランスポザーゼとの複合体を形成するトランスポザーゼ認識部位が使用される(例えば、EZ Tn5(商標)Transposase,Epicentre Biotechnologies,Madison,Wis.)。いくつかの実施形態では、Tn5トランスポザーゼは野生型Tn5トランスポザーゼである。
【0049】
いくつかの実施形態では、トランスポソーム複合体は、トランスポザーゼの2つの分子のダイマーを含む。いくつかの実施形態では、トランスポソーム複合体は、ホモダイマーであり、トランスポザーゼの2つの分子は各々、同じ型の第1及び第2のトランスポゾンに結合している(例えば、各モノマーに結合した2つのトランスポゾンの配列は同じであり、「ホモダイマー」を形成する)。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法は、2つの集団のトランスポソーム複合体を採用する。いくつかの実施形態では、各集団におけるトランスポゾンは同じである。いくつかの実施形態では、各集団におけるトランスポソーム複合体は、ホモダイマーであり、第1の集団は、各モノマーにおいて第1のアダプタ配列を有し、第2の集団は、各モノマー中に異なるアダプタ配列を有する。
【0050】
いくつかの実施形態では、トランスポザーゼ複合体は、第1及び第2のモノマーを含むトランスポザーゼ(例えば、Tn5トランスポザーゼ)ダイマーを含む。いくつかの態様では、各モノマーは、第1のトランスポゾン、第2のトランスポゾン、及び付着ポリヌクレオチドを含み、第1のトランスポゾンは、その3’末端におけるトランスポゾン末端配列(3’トランスポゾン末端配列とも称される)及びその5’末端におけるアダプタ配列(5’アダプタ配列とも称される)を含み、第2のトランスポゾンは、その5’末端におけるトランスポゾン末端配列(5’トランスポゾン末端配列とも称される)及び3’末端におけるアダプタ配列(3’アダプタ配列とも称される)を含み、付着ポリヌクレオチドは、第1のトランスポゾンの5’アダプタ配列、プライマー配列、及びリンカーにハイブリダイズする付着アダプタ配列を含む。いくつかの実施形態では、第2のトランスポゾンの5’トランスポゾン末端配列は、第1トランスポゾンの3’トランスポゾン末端配列と少なくとも部分的に対して相補的である。いくつかの実施形態では、付着ポリヌクレオチドの付着アダプタ配列は、第1のトランスポゾンの5’アダプタ配列と少なくとも部分的に対して相補的である。いくつかの実施形態では、付着ポリヌクレオチドのリンカーは、結合要素を含む。
末端配列
【0051】
本明細書に記載される方法の実施形態のいずれにおいても、第1のトランスポゾンは3’トランスポゾン末端配列を含み、第2トランスポゾンは5’トランスポゾン末端配列を含む。いくつかの実施形態では、5’トランスポゾン末端配列は、3’トランスポゾン末端配列と少なくとも部分的に対して相補的である。いくつかの実施形態では、相補的トランスポゾン末端配列は、トランスポザーゼ(又は本明細書に記載される他の酵素)に結合する二本鎖トランスポゾン末端配列を形成するようにハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、トランスポゾン末端配列は、モザイク末端(ME)配列である。したがって、いくつかの実施形態では、3’トランスポゾン末端配列はME配列であり、5’トランスポゾン末端配列はME’配列である。
アダプタ配列
【0052】
本明細書に記載される方法の任意の実施形態では、第1のトランスポゾンは5’アダプタ配列を含み、第2トランスポゾンは3’アダプタ配列を含む。アダプタ配列は、プライマー配列、アンカー配列、ユニバーサル配列、スペーサ領域、インデックス配列、捕捉配列、バーコード配列、開裂配列、配列決定関連配列、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の機能的配列又は構成要素を含んでもよい。いくつかの実施形態では、アダプタ配列はプライマー配列を含む。他の実施形態では、アダプタ配列は、プライマー配列とインデックス又はバーコード配列とを含む。プライマー配列はまた、ユニバーサル配列であってもよい。本開示は、使用することができるアダプタ配列の種類に限定されず、当業者であれば、ライブラリ調製及び次世代配列決定に使用することができる追加の配列を認識するであろう。ユニバーサル配列は、2つ以上の核酸断片に共通のヌクレオチド配列の領域である。任意選択的に、2つ以上の核酸断片はまた、配列差の領域を有する。複数の核酸断片の異なるメンバーにおいて存在し得るユニバーサル配列は、ユニバーサル配列に対して相補的であるシングルユニバーサルプライマーを使用して、複数の異なる配列の複製又は増幅を可能にすることができる。
【0053】
いくつかの実施形態では、付着ポリヌクレオチドは、5’アダプタ配列にハイブリダイズする付着アダプタ配列を含む。いくつかの実施形態では、付着アダプタ配列は、5’アダプタ配列と少なくとも部分的に対して相補的である。いくつかの実施形態では、アダプタ配列は、A14配列又はB15配列である。したがって、いくつかの実施形態では、5’アダプタ配列はA14配列であり、付着アダプタ配列はA14’配列である。いくつかの実施形態では、3’アダプタ配列は、B15’配列である。いくつかの実施形態では、アダプタ配列は、ハイブリダイゼーションのための任意の配列である(本明細書では配列Xと呼ばれる)。いくつかの実施形態では、配列Xは16~20個のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、配列Xは、アダプタ配列と同様の融解温度(Tm)を有する。いくつかの実施形態では、配列XのTmがアダプタ配列と同様の融解温度を有するときに、配列決定結果が改善される。いくつかの実施形態では、配列Xは、A14配列又はB15配列と同様の融解温度を有する。いくつかの実施形態では、配列XのTmは53°~56°である。いくつかの実施形態では、アダプタ配列は、タグメンテーション反応によって核酸断片の5’末端に転写される。
【0054】
任意の実施形態では、A14-ME、ME、B15-ME、ME’、A14、B15、及びMEを含むアダプタ配列又はトランスポゾン末端配列が以下に提供される:
A14-ME:5’-TCGTCGGCAGCGTCAGATGTGTATAAGAGACAG-3’(配列番号:1)
B15-ME:5’-GTCTCGTGGGCTCGGAGATGTGTATAAGAGACAG-3’(配列番号:2)
ME’:5’-phoS-CTGTCTCTTATACACATCT-3’(配列番号:3)
A14:5’-TCGTCGGCAGCGTC-3’(配列番号:4)
B15:5’-GTCTCGTGGGCTCGG-3’(配列番号:5)
ME:AGATGTGTATAAGAGACAG(配列番号:6)
付着ポリヌクレオチド
【0055】
本明細書に記載のトランスポソーム複合体の実施形態は、付着ポリヌクレオチドを含む。本明細書で使用するとき、付着ポリヌクレオチドは、一方の末端上のトランスポゾンにハイブリダイズし、第2の末端上の表面に結合するポリヌクレオチドである。したがって、本明細書に記載のトランスポソーム複合体は、付着ポリヌクレオチドを介して固体支持体に固定化される。いくつかの実施形態では、付着ポリヌクレオチドは、第1のトランスポゾンのアダプタ配列又は第2のトランスポゾンのアダプタ配列、プライマー配列、及びリンカーにハイブリダイズする付着アダプタ配列を含む。いくつかの実施形態では、リンカーは結合要素を含む。
【0056】
本明細書に記載されるように、付着アダプタ配列は、第1又は第2のトランスポゾンのアダプタ配列と少なくとも部分的に対して相補的であってもよい。いくつかの実施形態では、付着アダプタ配列は、5’アダプタ配列にハイブリダイズする。付着アダプタ配列が5’アダプタ配列にハイブリダイズする実施形態では、5’アダプタ配列はA14配列であり、付着アダプタ配列はA14’配列である。いくつかの実施形態では、アダプタ配列は配列Xである。いくつかの実施形態では、付着アダプタ配列は、3’アダプタ配列にハイブリダイズする。付着アダプタ配列が3’アダプタ配列にハイブリダイズする実施形態では、3’アダプタ配列はB15’配列であり、付着アダプタ配列はB15配列である。これらの実施形態のいずれにおいても、付着アダプタ配列は、第1又は第2のトランスポゾンのアダプタ配列に対して完全に相補的であってもよいか、又は第1又は第2のトランスポゾンのアダプタ配列に対して部分的に相補的であってもよい。
【0057】
いくつかの実施形態では、付着ポリヌクレオチドは、プライマー配列を含む。いくつかの実施形態では、プライマー配列は、P5プライマー配列又はP7プライマー配列又はその相補体(例えば、P5’又はP7’)である。P5及びP7プライマーは、様々なIlluminaプラットフォーム上で配列決定するためにIllumina,Inc.が販売している市販のフローセルの表面に使用される。プライマー配列は、米国特許出願公開第2011/0059865号に記載されており、この全体が参照により本明細書に組み込まれる。5’末端でアルキン末端であり得るP5及びP7プライマーの例としては、以下が挙げられる:
P5:AATGATACGGCGACCACCGAGAUCTACAC(配列番号:7)
P7:CAAGCAGAAGACGGCATACGAGAT(配列番号:8)
及びこれらの誘導体。いくつかの実施例では、P7配列は、G位、例えば、8オキソ-グアニンにおける修飾グアニンを含む。他の実施例では、は、Gと隣接する3’Aとの間の結合がホスホロチオエート結合であることを示す。いくつかの実施例では、P5及び/又はP7プライマーは、非天然リンカーを含む。任意選択的に、P5及びP7プライマーの一方又は両方は、ポリTテールを含み得る。ポリTテールは、一般に、上記の配列の5’末端に、例えば、5’塩基と末端アルキン単位との間に位置するが、場合によっては3’末端に位置し得る。ポリT配列は、任意の数、例えば、2~20個のTヌクレオチドを含み得る。P5及びP7プライマーが実施例として与えられるが、本明細書に提示される実施例では、任意の好適なプライマーが使用され得ることを理解されたい。P5及びP7プライマー配列を含むプライマー配列を有するインデックス配列は、配列決定のためのライブラリを活性化するためにP5及びP7を加える役割を果たす。P5及びP7プライマーが実施例として与えられるが、本明細書に提示される実施例では、任意の好適な増幅プライマーが使用され得ることを理解されたい。
【0058】
本明細書で使用するとき、リンカーの一例は、結合要素を、付着ポリヌクレオチドのヌクレオチド部分の末端に共有結合する部分であり、付着ポリヌクレオチドを固体支持体に固定化するために使用されてもよい。リンカーは、開裂可能なリンカー、例えば、付着ポリヌクレオチドを除去するために開裂されることが可能なリンカー、したがって、固体支持体からのトランスポソーム複合体又はタグメンテーション産物であってもよい。本明細書で使用するとき、開裂可能なリンカーは、例えば、光分解、化学的開裂、熱開裂、又は酵素開裂などの化学的又は物理的手段によって開裂され得るリンカーである。いくつかの実施形態では、開裂は、生化学的、化学的、酵素的、求核性、還元感受性剤、又は他の手段によってもよい。開裂可能なリンカーは、制限エンドヌクレアーゼ部位、RNAseにより開裂可能な少なくとも1つのリボヌクレオチド、特定の化学剤(複数可)の存在下で開裂可能なヌクレオチド類似体、光開裂可能なリンカー単位、(例えば)過ヨウ素酸塩での処理により開裂可能なジオール結合、化学還元剤で開裂可能なジスルフィド基、光化学的開裂を受け得る開裂可能部分、及びペプチダーゼ酵素又は他の好適な手段により開裂可能なペプチドを含む群から選択される部分を含んでもよい。開裂は、開裂可能なヌクレオチド又は核酸塩基を、ウラシル又は8オキソ-グアニンなどの開裂可能なリンカーに組み込むことによって酵素的に媒介されてもよい。
【0059】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるリンカーは、例えば、-O-結合を形成する、付着ヌクレオチドを共有的かつ直接的に付着させてもよいか、又はリン酸塩若しくはエステルなどの別の基を介して共有的に付着されてもよい。代替的に、本明細書に記載されるリンカーは、結合ポリヌクレオチドのリン酸基に共有的に付着されてもよく、例えば、リン酸基を介して3’ヒドロキシルに共有的に付着されても、したがって、-O-P(O)-結合を形成してもよい。
【0060】
本明細書で使用するとき、結合要素は、結合パートナーに共有結合又は非共有結合するために使用することができる部分である。いくつかの態様では、結合要素は、トランスポソーム複合体上にあり、結合パートナーは固体支持体上にある。いくつかの実施形態では、結合要素は、固体支持体上の結合パートナーに結合するか、又は非共有結合することができ、それによって、トランスポソーム複合体を固体支持体に非共有結合的に付着させることができる。いくつかの実施形態では、結合要素は、固体支持体上の結合パートナーに結合(共有結合又は非共有結合)することができる。いくつかの態様では、結合要素は、固体支持体上の結合パートナーに結合(共有結合又は非共有結合)され、固定化されたトランスポソーム複合体をもたらす。
【0061】
このような実施形態では、結合要素は、例えば、ビオチンを含むか、又はビオチンであり、結合パートナーは、アビジン若しくはストレプトアビジンを含むか、又はアビジン若しくはストレプトアビジンである。他の実施形態では、結合要素/結合パートナーの組み合わせは、FITC/抗FITC、ジオキシゲニン/ジオキシゲニン抗体、若しくはハプテン/抗体を含むか、又はFITC/抗FITC、ジオキシゲニン/ジオキシゲニン抗体、若しくはハプテン/抗体である。更なる好適な結合対としては、ジチオビオチン-アビジン、イミノビオチン-アビジン、ビオチン-アビジン、ジチオビオチン-スクシニル化アビジン、イミノビオチン-スクシニル化アビジン、ビオチン-ストレプトアビジン、及びビオチン-スクシニル化アビジンが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、結合要素はビオチンであり、結合パートナーはストレプトアビジンである。
【0062】
いくつかの実施形態では、結合要素は、化学反応を介して結合パートナーに結合することができるか、又は固体支持体上の結合パートナーとの反応によって共有結合され、それによって、トランスポソーム複合体を固体支持体に共有的に付着する。いくつかの態様では、結合要素/結合パートナーの組み合わせは、アミン/カルボン酸(例えば、EDC又はNHS媒介カップリングなどの当業者に既知の条件下での標準的なペプチドカップリング反応による結合)を含むか、又はアミン/カルボン酸である。2つの構成要素の反応は、結合要素と結合パートナーとをアミド結合によって結合させる。代替的に、結合要素及び結合パートナーは、2つのクリック化学パートナー(例えば、トリアゾール結合を形成するように反応するアジド/アルキン)であってもよい。
【0063】
いくつかの実施形態では、付着ポリヌクレオチドは、ユニバーサル配列、スペーサ領域、アンカー配列、又はインデックスタグ配列、又はこれらの組み合わせなどの追加の配列又は構成要素を更に含む。ユニバーサル配列は、2つ以上の核酸断片に共通のヌクレオチド配列の領域である。任意選択的に、2つ以上の核酸断片はまた、配列差の領域を有する。複数の核酸断片の異なるメンバーにおいて存在し得るユニバーサル配列は、ユニバーサル配列に相補的であるシングルユニバーサルプライマーを使用して、複数の異なる配列の複製又は増幅を可能にすることができる。
【0064】
いくつかの実施形態では、第1トランスポゾンは、5’アダプタ配列の5’にプライマー配列を更に含み、付着ポリヌクレオチドは、(i)5’アダプタ配列に対して相補的であり、かつ5’アダプタ配列にハイブリダイズする部分と、(ii)相補的プライマー配列(例えば、図4A、シングルインデックス、ユニバーサルビーズを参照されたい)とを含む。このような構造体は、使用されるインデックスタグ配列が存在しないため、シングルインデックス付け適用のためのユニバーサルビーズとして有用である。
【0065】
いくつかの実施形態では、第1のトランスポゾンは、5’アダプタ配列の5’にプライマー配列を更に含み、付着ポリヌクレオチドは、インデックスタグ配列及びプライマー配列(例えば、図4A、シングルインデックス付け、インデックス付きビーズを参照されたい)を含む。
【0066】
いくつかの実施形態では、第1のトランスポゾンは、5’アダプタ配列を含み、付着ポリヌクレオチドは、(i)5’アダプタ配列に対して相補的であり、かつ5’アダプタ配列にハイブリダイズする部分と、(ii)スペーサ領域と、(iii)プライマー配列(例えば、図4A、ユニバーサルビーズ、デュアルインデックス付け)とを含む。
【0067】
いくつかの実施形態では、第2のトランスポゾンは、3’アダプタ配列を含み、付着ポリヌクレオチドは、(i)3’アダプタ配列に対して相補的であり、かつ3’アダプタ配列とハイブリダイズする部分と、(ii)インデックスタグ配列と、(iii)プライマー配列(例えば、図4A、二重インデックス付け、インデックス付きビーズを参照されたい)とを含む。
【0068】
いくつかの実施形態では、付着ポリヌクレオチドは、スペーサ領域(例えば、図4Aを参照)又はスペーサ領域及びアンカー領域(例えば、図3を参照)を含む。本明細書で使用するとき、スペーサ領域は、既知の遺伝子機能のための任意の構造的又は分類情報を担持しない核酸配列を指す。付着ポリヌクレオチド上のスペーサ領域は、様々な配列を有する(例えば、i5配列の範囲を有する)インデックス付けオリゴヌクレオチドと整列することができる。いくつかの実施形態では、スペーサ領域は、ユニバーサル配列である。いくつかの実施形態では、スペーサ領域は、非DNAスペーサである。いくつかの実施形態では、スペーサ領域は、イノシン又はニトロインドールなどのユニバーサル塩基を含む。いくつかの実施形態では、スペーサは、sp18リンカーを含む。本明細書で使用するとき、sp18リンカーは、C18スペーサ(18原子ヘキサ-エチレングリコールスペーサ)を有する標準的な修飾リンカーであり、4塩基対の長さに等しい。したがって、2×sp18リンカーは、長さが8塩基対と同等である。いくつかの実施形態では、スペーサ領域は、2×sp18合成リンカーを含む。いくつかの実施形態では、スペーサ領域は、1、2、3、4、5、6個以上のC18スペーサなどの、1つ以上のC18スペーサを含む。いくつかの実施形態では、スペーサ領域は、2つのC18スペーサ(長さが8ヌクレオチドと同等)を含む。いくつかの実施形態では、スペーサは、長さが2塩基対と同等のC9スペーサである。いくつかの実施形態では、スペーサ領域は、1、2、3、4、5、6個以上のC9スペーサなどの、1つ以上のC9スペーサ(トリエチレングリコールスペーサ)を含む。いくつかの実施形態では、スペーサは、10塩基対スペーサなどの既存のインデックスとともに使用される従来のスペーサである。いくつかの実施形態では、スペーサ領域は、スペーサの組み合わせ、例えば、1つ以上のC18スペーサと1つ以上のC9スペーサとの組み合わせ、又は本明細書に記載の任意のスペーサの任意の組み合わせである。いくつかの実施形態では、スペーサ領域は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、15、20、又は30塩基対と同等の長さである。いくつかの実施形態では、スペーサ領域は、8又は10塩基対又はヌクレオチドにほぼ同等の長さである。いくつかの実施形態では、スペーサ領域は、インデックス領域と同じ長さであるように具体的に選択される。いくつかの実施形態では、インデックス領域は、8ヌクレオチドの長さであり、スペーサ領域は、2つのC18スペーサを含む。いくつかの実施形態では、インデックス領域は、10ヌクレオチドの長さであり、スペーサ領域は、2つのC18スペーサ及び1つのC9スペーサを含む。
【0069】
いくつかの態様では、付着ポリヌクレオチドは、アンカー配列を含む。いくつかの実施形態では、アンカー配列は、GGATATGCTCGG(配列番号:22)である。いくつかの実施形態では、アンカー配列は、A14配列(配列番号:4)である。本明細書で使用するとき、アンカー領域は、インデックス付けオリゴヌクレオチドにおけるアンカー相補体領域に対して相補的であり、かつ2つの構成要素のハイブリダイゼーションを可能にするDNA配列を意味する(例えば、図3Bを参照)。いくつかの態様では、アンカー領域は、インデックス付けオリゴヌクレオチドのアンカー相補体領域の一部分に対して相補的であり、インデックス付けオリゴヌクレオチドは、アンカー領域相補体及びインデックスタグ配列(--アンカー’-インデックスタグ配列-)を含む。いくつかの実施形態では、アンカー配列は、複数のインデックス付けオリゴヌクレオチドに共通のアンカー相補体領域に対して相補的である。いくつかの実施形態では、複数のインデックス付けオリゴヌクレオチドにおける各インデックスタグ配列は、同じである(インデックス付けなし)又は異なる(インデックス付け)。いくつかの実施形態では、インデックスタグ配列は、i5配列である。付着ポリヌクレオチドは、例えば、プライマー配列、アンカー配列、ユニバーサル配列、スペーサ領域、インデックス配列、捕捉配列、バーコード配列、開裂配列、配列決定関連配列、及びこれらの組み合わせを含む、インデックスに結合するための付着ポリヌクレオチドの効率及び機能性を改善するための追加の配列要素又は構成要素を更に含んでもよい。いくつかの実施形態では、付着ポリヌクレオチドは、A14’配列を含む。
【0070】
トランスポザーゼ、トランスポゾン、及び付着ポリヌクレオチドを含む、トランスポソーム複合体の変異が実現され得る。例えば、構成、デザイン、ハイブリダイゼーション、構造要素、及びトランスポソーム複合体の全体的な配置の変異が実現され得る。本明細書で提供される開示及び図面はいくつかのバリエーションを提供するが、本開示の範囲内の更なる変異が容易に実現され得ることが理解される。
固体支持体
【0071】
用語「固体表面」、「固体支持体」、及び他の文法的等価物は、トランスポソーム複合体の付着に適切であるか、又は適切であるように修飾され得る任意の材料を指す。当該技術分野において理解されるように、可能な基材の数は多数である。可能な基材としては、ガラス及び変性又は機能化ガラス、プラスチック(アクリル、ポリスチレン、並びにスチレン及び他の材料のコポリマー、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリウレタン、テフロン(登録商標)など)、多糖類、多面体有機シルセスキオキサン(POSS)材料、ナイロン又はニトロセルロース、セラミックス、樹脂、シリカ、又はシリコン並びに変性シリコン、炭素、金属、無機ガラス、プラスチック、光ファイバ束、ビーズ、常磁性ビーズ、及び様々な他のポリマーを含むシリカ系材料を含む。
【0072】
好適なビーズ組成物としては、プラスチック、セラミックス、ガラス、ポリスチレン、メチルスチレン、アクリルポリマー、常磁性材料、トリアゾル(thoria sol)、炭素黒鉛、二酸化チタン、ラテックス、又はセファロース、セルロース、ナイロン、架橋ミセル、及びテフロン(登録商標)などの架橋デキストラン、並びに固体支持体について本明細書に概説される任意の他の材料が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、微小球は、磁気微小球又はビーズ、例えば、常磁性粒子、球体、又はビーズである。ビーズは球状である必要はなく、不規則な粒子が使用されてもよい。代替的に又は追加的に、ビーズは多孔質であってもよい。ビーズサイズは、ナノメートル、例えば、100nm~ミリメートル、例えば、1mmの範囲であり、ビーズは約0.2ミクロン~約200ミクロンが好ましく、約0.5~約5マイクロメートルが特に好ましいが、いくつかの実施形態では、より小さい又はより大きいビーズが使用されてもよい。ビーズは、結合パートナーがコーティングされてもよく、例えば、ビーズは、ストレプトアビジンがコーティングされてもよい。いくつかの実施形態では、ビーズは、ストレプトアビジンがコーティングされた常磁性ビーズ、例えば、Dynabeads MyOneストレプトアビジンC1ビーズ(Thermo Scientificカタログ番号65601)、Streptavidin MagneSphere Paramagnetic粒子(Promegaカタログ番号Z5481)、Streptavidin Magneticビーズ(NEBカタログ番号S1420S)及びMaxBead Streptavidin(Abnovaカタログ番号U0087)である。固体支持体はまた、スライド、例えば、トランスポソーム複合体体がその上に固定化され得るように修飾された、フローセル又は他のスライドであってもよい。
【0073】
いくつかの実施形態では、結合パートナーは、1000~約6000pmol/mg、又は約2000~約5000pmol/mg、又は約3000~約5000pmol/mg、又は約3500~約4500pmol/mgの密度で固体支持体又はビーズ上に存在する。
【0074】
一実施形態では、固体表面は、試料管の内面である。別の実施形態では、固体表面は捕捉膜である。一実施例では、捕捉膜は、ビオチン捕捉膜(例えば、Promega Corporationから入手可能)である。別の例では、捕捉膜は、濾紙である。本開示のいくつかの実施形態では、不活性基材又はマトリックス(例えば、ガラススライド、ポリマービーズなど)からなる固体支持体は、例えば、ポリヌクレオチドなどの分子への共有結合を可能にする反応性基を含む中間材料の層又はコーティングの適用によって官能化された。このような支持体の例としては、ガラスなどの不活性基材上に支持されるポリアクリルアミドヒドロゲル、特に国際公開第2005/065814号及び米国特許出願公開第2008/0280773号に記載されているポリアクリルアミドヒドロゲルが挙げられるが、これらに限定されず、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。タグメンテーションされたDNAライブラリの構築のための、固体表面上でDNAをタグメンテーション(断片化及びタグ付け)する方法については、国際公開第2016/189331号及び米国特許出願公開第2014/0093916(A1)号に記載されており、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のトランスポソーム錯体は、結合要素を介して固体支持体に固定化される。いくつかのこのような実施形態では、固体支持体は、結合パートナーとしてストレプトアビジンを含み、結合要素はビオチンである。
【0075】
いくつかの実施形態では、トランスポソーム複合体は、ビーズなどの固体支持体上に、特定の密度又は密度範囲で固定化される。いくつかの実施形態では、固体担体上の複合体の密度は、固定化反応中の溶液中のトランスポソーム複合体の濃度を指す。複合体密度は、固定化反応が定量的であることを前提とする。複合体が特定の密度で形成されると、表面結合したトランスポソーム複合体のバッチでは密度は一定のままである。得られたビーズを希釈することができ、希釈された溶液中の複合体の得られた濃度は、ビーズの調製密度を希釈係数で割ったものである。希釈されたビーズストックは、それらの調製物からの複合体密度を保持するが、複合体は希釈溶液におけるより低い濃度で存在する。希釈工程は、ビーズ上の複合体の密度を変化させず、したがって、ライブラリの収率に影響を及ぼすが、インサート(断片)のサイズに影響を及ぼさない。いくつかの実施形態では、密度は、約5nM~約1000nM、又は約5~150nM、又は約10nM~800nMである。他の実施形態では、密度は、約10nM、又は約25nM、又は約50nM、又は約100nM、又は約200nM、又は約300nM、又は約400nM、又は約500nM、又は約600nM、又は約700nM、又は約800nM、又は約900nM、又は約1000nMである。いくつかの実施形態では、密度は約100nMである。いくつかの実施形態では、密度は約300nMである。いくつかの実施形態では、密度は約600nMである。いくつかの実施形態では、密度は約800nMである。いくつかの実施形態では、密度は約100nMである。いくつかの実施形態では、密度は約1000nMである。
【0076】
本明細書で提供されるいくつかの実施形態は、本明細書に記載される、トランスポソーム複合体を含むキット、及びインデックス配列を含むインデックスミックスに関する。本明細書で提供されるいくつかの実施形態は、本明細書に記載される、その上に固定化されたトランスポソーム錯体を有する固体支持体を有する組成物、及びインデックス配列を含むインデックスミックスを含むキットに関する。いくつかの実施形態では、インデックスミックスは、i5インデックス配列及びi7インデックス配列を含み、i5インデックス配列は、付着ポリヌクレオチドに対して相補的であり、かつ付着ポリヌクレオチドにハイブリダイズし、i7インデックス配列は、3’アダプタ配列に対して相補的であり、かつ3’アダプタ配列にハイブリダイズする。
タグ付き核酸断片を生成する固定化されたトランスポソーム複合体/方法
【0077】
本開示は、本明細書に記載される固定化されたトランスポソーム複合体を調製する方法を更に提供する。本明細書で提供されるいくつかの実施形態は、タグ付き核酸断片のライブラリを生成する方法に関する。いくつかの実施形態では、本方法は、固体支持体上に固定化されたトランスポソーム複合体を有する固体支持体を提供することと、標的核酸を複数の標的断片に断片化し、かつ第1のトランスポゾンの3’末端を標的断片の5’末端に結合させて複数の5’タグ付き標的断片を生成するのに十分な条件下で、標的核酸を固体支持体に適用することと、インデックス配列を含むインデックスミックスを適用して配列決定のためのライブラリを活性化することと、を含む。いくつかの実施形態では、トランスポソーム複合体は、第1及び第2のトランスポゾンに結合されたトランスポゾンと、3’トランスポゾン末端配列及び5’アダプタ配列を含む第1のトランスポゾンと、付着アダプタ配列及び結合要素を含む付着ポリヌクレオチドと、5’トランスポゾン末端配列及び3’アダプタ配列を含む第2のトランスポゾンと、を含む。
【0078】
いくつかの実施形態では、方法は、標的核酸を複数の標的断片に断片化し、かつ第1のトランスポゾンの3’末端を標的断片の5’末端に結合して複数の5’タグ付き標的断片を生成するのに十分な条件下で、固定化されたトランスポソーム複合体を標的核酸と接触させることを含む、タグ付き核酸配列のライブラリを生成することを含む。
【0079】
いくつかの態様では、本方法は、固体支持体を処理して非結合核酸を除去すること、又は、任意選択的に、(a)固体支持体を加熱すること、及び/又は(b)固体支持体を酵素変性剤で洗浄することによって、固体支持体を処理して、トランスポザーゼを複合体から除去することを更に含み、酵素変性剤は、任意選択的に、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、グアニジン塩酸塩、尿素、又はプロテイナーゼを含む。
【0080】
いくつかの実施形態では、接触させることは、生体試料をトランスポソーム錯体に加えることを含む。いくつかの実施形態では、生体試料は、細胞溶解物若しくは全細胞を含むか、又は血液、血漿、血清、リンパ液、粘液、痰、尿、精液、脳脊髄液、気管支吸引液、糞便、浸軟組織、及び固定組織FFPEから選択される。
【0081】
いくつかの態様では、接触させることは、複数のインデクシングオリゴヌクレオチドを付着ポリヌクレオチドにハイブリダイズすることを更に含み、複数のインデックス形成オリゴヌクレオチドは、同じ又は異なるインデックス配列を含む。
【0082】
いくつかの態様では、本方法は、複数の5’タグ付き標的断片をポリメラーゼ及びリガーゼで処理して、鎖を伸張かつライゲーションして、完全二本鎖タグ付き断片を産生することを更に含む。いくつかの態様では、ポリメラーゼ及びリガーゼで処理することは、DNA二次構造破壊剤の存在下で行われ、破壊剤は任意選択的にDMSOである。いくつかの態様では、ポリメラーゼ及びリガーゼで処理することは、プライマー配列の相補体であるオリゴヌクレオチドの存在下で行われ、オリゴヌクレオチドはP7’オリゴヌクレオチドであり、プライマー配列はP7配列である。いくつかの実施形態では、ポリメラーゼは、エキソヌクレアーゼ活性を欠くT4 DNAポリメラーゼ変異体を含む。
【0083】
いくつかの態様では、本方法は、完全二本鎖タグ結合断片を固体支持体から除去することを更に含む。いくつかの態様では、除去することは、固体支持体から完全二本鎖タグ付き断片を開裂するのに十分な熱及び/又は変性剤を適用することを含む。
【0084】
いくつかの態様では、本方法は、5’タグ付き標的断片又は完全二本鎖タグ付き断片のうちの1つ以上を配列決定することを更に含む。いくつかの態様では、断片は、接触後及び配列決定前にPCRによって定量化されない。いくつかの態様では、核酸は、DNA又はRNAである。いくつかの態様では、3’アダプタ配列は、インデックスアダプタ配列の少なくとも一部に対して相補的である。いくつかの態様では、付着ポリヌクレオチドのプライマー配列は、インデックスプライマー配列の少なくとも一部に対して相補的である。いくつかの態様では、付着ポリヌクレオチドのプライマー配列は、インデックス付けポリヌクレオチドのインデックスプライマー配列に対して相補的である。
【0085】
いくつかの実施形態では、本方法は、固体支持体を洗浄して、非結合核酸を除去することを更に含む。いくつかの実施形態では、本方法は、固体支持体を処理して、トランスポザーゼを除去することを更に含む。いくつかの実施形態では、固体支持体を処理することは、固体支持体を酵素変性剤で洗浄することを含む。いくつかの実施形態では、酵素変性剤には、酢酸、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジチオスレイトール、エタノール、ホルムアルデヒド、ホルムアミド、グルタルアルデヒド、グアニジン塩酸塩、過塩素酸リチウム、メルカプトエタノール、プロピレングリコール、プロテイナーゼ、重炭酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、サリチル酸ナトリウム、スルホサリチル酸、トリクロロ酢酸、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン)(TCEP)、又は尿素が含まれる。いくつかの実施形態では、固体支持体を処理することは、固体支持体を加熱してトランスポザーゼを除去することを含む。いくつかの実施形態では、標的核酸を適用することは、生体試料をトランスポソーム複合体と混合することを含む。核酸は、完全に精製される必要はなく又は全く精製される必要はなく、生物学的試料又はタンパク質との混合物、他の核酸種、他の細胞成分、及び/又は任意の他の汚染物質の一部であり得る。いくつかの実施形態では、生体試料は、細胞溶解物を含む。いくつかの実施形態では、生体試料は、全細胞を含む。いくつかの実施形態では、生体試料は、体液、血液、血漿、血清、リンパ液、粘液、痰、尿、精液、脳脊髄液、気管支吸引液、糞便、浸軟組織、及び固定組織ホルマリン-固定パラフィン-包埋組織(FFPE)から選択される。
【0086】
いくつかの実施形態では、インデックスミックスを適用することは、インデックス配列を付着ポリヌクレオチド及び第2のトランスポゾンにハイブリダイズすることを含む。いくつかの実施形態では、インデックスミックスは、伸張ライゲーションミックス(ELM)を含む。いくつかの実施形態では、ELMは、ポリメラーゼ及びリガーゼを含む。いくつかの実施形態では、ELMは、インデックスの分離ライゲーションのためのスプリットELMである。いくつかの実施形態では、ポリメラーゼは、T4 DNAポリメラーゼ又はその変異体(エキソヌクレアーゼ活性を欠くT4 DNAポリメラーゼ、又は突然変異体T4 DNAポリメラーゼ、又はエキソヌクレアーゼ活性を欠く突然変異体T4 DNAポリメラーゼなど)を含む。いくつかの実施形態では、リガーゼは、大腸菌DNAリガーゼを含む。いくつかの実施形態では、伸張ライゲーション反応は、DMSOなどのDNA二次構造破壊剤の存在下で行われる。いくつかの実施形態では、本方法は、複数の5’タグ付き標的断片を固体支持体から変性することを更に含む。いくつかの実施形態では、変性は、5’タグ付き標的断片を固体支持体から開裂するのに十分な熱及び/又は変性剤を適用することによって達成され得る。いくつかの実施形態では、本方法は、5’タグ付き標的断片又はそのライゲーション産物のうちの1つ以上を配列決定することを更に含む。いくつかの実施形態では、核酸は、DNA又はRNAである。
【0087】
いくつかの態様では、このような方法は、第1のトランスポゾン及び第2のトランスポゾンを、付着ポリヌクレオチドを第1又は第2のトランスポゾンにハイブリダイズするのに好適な条件下で、表面に結合された付着ポリヌクレオチドと接触させることを含む。いくつかの態様では、固体支持結合トランスポソーム複合体を調製するための方法は、結合要素が結合パートナーと結合(共有結合又は非共有結合)するのに十分な条件下で、結合パートナーを含む固体支持体とともに、本明細書に記載のトランスポソーム複合体をインキュベートすることを含む。次いで、付着ポリヌクレオチドと第1及び第2のトランスポゾンとを含む固定化されたハイブリダイズされたポリヌクレオチドは、トランスポソーム複合体を形成するのに好適な条件下で、トランスポザーゼと接触される。
【0088】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の第1及び第2のトランスポゾンは、互いにアニーリングされ、第1のトランスポゾンは、付着ポリヌクレオチドにアニーリングされる。次いで、アニーリングされたポリヌクレオチドを、Tn5トランスポザーゼなどのトランスポザーゼ上に装填し、それによってトランスポソーム複合体を形成し、次いで、ビーズなどの固体支持体と接触され、これに結合される。いくつかの実施形態では、アニーリングされたトランスポゾンは、ビーズなどの固体支持体に結合され、次いで、トランスポザーゼは、トランスポゾンと複合体化され、それによって、固体支持体に結合されるトランスポソームを生成する。
【0089】
いくつかの態様では、標的核酸から断片を調製するための方法が提供され、この方法は、本明細書に記載されるように、その上に固定化されたトランスポソーム複合体を含む固体支持体を提供することと、標的核酸を複数の標的断片に断片化し、かつ標的断片の5’末端に第1のトランスポゾンの3’末端を結合して、複数の5’タグ付き標的断片を生成するのに十分な条件下で標的核酸を固体支持体に適用することと、を含む。いくつかの態様では、方法は、インデックス配列を含むインデックスミックスを適用することを更に含む。いくつかの実施形態では、配列条件は、標的核酸を断片化及びタグ付きするためにトランスポソーム複合体を使用することによって、タグメンテーションに好適な条件である。
【0090】
本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、断片化及び標識化後に、本方法は、固体支持体を洗浄して非結合核酸を除去することを更に含む。本明細書に記載される方法のいくつかの実施形態では、断片化及びタグ付けに続いて、本方法は、トランスポザーゼを除去することを更に含む。トランスポザーゼの除去は、固体支持体を、トランスポザーゼを除去するための薬剤で洗浄するなどの化学的条件下で達成され得る。いくつかの実施形態では、この薬剤は、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)である。
【0091】
いくつかの実施形態では、本方法は、固体支持体をインデックスミックスと接触させることを更に含む。インデックスミックスと接触させることは、断片を特定のインデックスでタグ付けし、配列決定のためにライブラリを活性化する役割を果たす。いくつかの実施形態では、インデックスミックスは、核酸断片をタグ付け又はインデックス付けするために、トランスポゾン又は付着ポリヌクレオチドにハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを含む。したがって、例えば、インデックス及びオリゴヌクレオチドの他の領域を含むオリゴヌクレオチドは、トランスポゾン又は付着ポリヌクレオチドに対して相補的であり、かつそれにハイブリダイズする。一例として、一実施形態では、プライマー配列(P5配列)、インデックス配列(i5配列)、及びアンカー配列を有するi5インデックスは、P5がP5’にハイブリダイズし、アンカーがアンカー’にハイブリダイズするように、相補的配列で付着ポリヌクレオチドにハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、i5配列は、付着ポリヌクレオチドのニトロインドール(ニトロ)配列に結合する。いくつかの実施形態では、ニトロインドール配列は、任意のi5インデックス配列に相補的であり、かつハイブリダイズする。一実施形態では、P7がP7’にハイブリダイズし、i7がi7’にハイブリダイズし、B15がB15’にハイブリダイズするように、プライマー配列(P7)、インデックス配列(i7)、及びアダプタ配列(B15配列)を有するi7インデックスは、相補的配列で第2のトランスポゾンにハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、インデックスミックスは、二本鎖インデックスを含む。固体支持体をインデックスミックスと接触させた後、断片をライゲーションし、かつ伸張及びライゲーションミックス(ELM)を使用して伸張する。ELMは、例えば、T4 DNAポリメラーゼ及び 大腸菌 DNAリガーゼを含み得る。例示的なポリメラーゼとしては、Bst DNAポリメラーゼI、大腸菌DNAポリメラーゼI(Klenow断片)、Klenow断片(3’-5’エキソ)、T4 DNAポリメラーゼ、T7 DNAポリメラーゼ、Deep VentRが挙げられるが、これらに限定されない。(エキソ)DNAポリメラーゼ、Deep VentR DNAポリメラーゼ、Therminator II DNAポリメラーゼ、AmpliTherm DNAポリメラーゼ、SP6 DNAポリメラーゼ、又はTaqポリメラーゼ、又は前述のポリメラーゼのいずれかの突然変異体、類似体、若しくは誘導体。例示的なリガーゼとしては、T4 DNAリガーゼ、T4 RNAリガーゼ、Taq DNAリガーゼ、大腸菌DNAリガーゼ、Pfu DNAリガーゼ、及びTth DNAリガーゼが挙げられるが、これらに限定するものではない。いくつかの実施形態では、ELMは、例えば、別個のi5ライゲーション及びi7伸張を可能にするために、インデックスライゲーション及び差分インデックスのインデックス伸張を可能にするスプリットELM反応である。次いで、この固体支持体は、NaOHなどの鎖配列を変性させる作用剤で処理され、それによって、タグ付き核酸断片を生成する。
【0092】
いくつかの実施形態では、断片は、フローセル上に堆積される。いくつかの実施形態では、断片は、フローセル又は表面にグラフトされた相補的プライマーにハイブリダイズされる。いくつかの実施形態では、配列決定断片の配列は、アレイ配列決定法又は合成しながらの配列決定などの次世代配列決定法によって検出される。
【0093】
表1は、タグ付き核酸断片のライブラリを生成するための、トランスポソーム複合体に使用される例示的な配列を示す。
【表1】
【0094】
いくつかの態様では、タグ付き核酸断片のライブラリを生成する方法は、標的核酸を複数の標的断片に断片化し、かつ第1のトランスポゾンの3’末端を標的断片の5’末端に結合させて複数の5’タグ付き標的断片を産生するのに十分な条件下で、固定化されたトランスポソーム複合体を標的核酸と接触させることと、任意選択的に、(a)固体支持体を加熱すること、及び/若しくは(b)固体支持体を酵素変性剤で洗浄することによって、非結合核酸を除去するために固体支持体を処理すること、又はトランスポザーゼを複合体から除去するために固体支持体を処理することであって、酵素変性剤が任意選択的に、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、グアニジン塩酸塩、尿素、又はプロテイナーゼを含む、処理することと、複数の5’タグ付き標的断片をポリメラーゼ及びリガーゼで処理して、5’タグ付き標的断片を伸張及びライゲーションして、完全二本鎖タグ付き断片を産生することであって、任意選択的に、ポリメラーゼ及びリガーゼでの処理が、DNA二次構造破壊剤の存在下で行われ、破壊剤が任意選択的にDMSOである、産生することと、完全二本鎖タグ付き断片を固体支持体から除去することであって、任意選択的に、除去することが、固体支持体から完全二本鎖タグ付き断片を切断するのに十分な熱及び/又は変性剤を適用することを含み、任意選択的に、変性剤がNaOHである、除去することと、捕捉ビーズを使用して完全二本鎖タグ付き断片を選択することであって、任意選択的に。捕捉ビーズが磁気ビーズであり、更に任意選択的に、2つの別個の選択工程が実行される、選択することと、を含む。
【0095】
いくつかの実施形態では、固定化されたトランスポソーム複合体は、固体支持体と、固体支持体に固定化されたトランスポソーム複合体と、を含み、トランスポソーム複合体は、トランスポゾンと、3’トランスポゾン末端配列及びアンカー配列(Anchor)を含む第1のトランスポゾンと、5’トランスポゾン末端配列及びB15’配列を含む第2のトランスポゾンと、アンカー配列相補体(Anchor’)と、A14’配列と、スペーサと、P5’配列と、ビオチンを含む結合要素と、を含み、ビオチンは、固体支持体に固定化される。いくつかの実施形態では、方法は、完全二本鎖タグ付き断片のうちの1つ以上を配列決定することを更に含む。
組み合わされたタグメンテーション及びインデックス付けを介してタグ付き核酸配列を生成する方法
【0096】
いくつかの実施形態では、デュアルインデックス付きペア-エンドライブラリは、組み合わされたタグメンテーション及びインデックス付け工程を使用して、DNAサンプルから調製され得る。別個のタグメンテーション及びインデックス付け工程を回避することによって、このプロトコルは、使いやすさ及びより短い持続時間の利点を有する。更に、このプロトコルは、変性工程を回避し、変性された一本鎖試料から二本鎖試料を産生する別個の工程を必要とせずに二本鎖ライブラリを産生し得る。このプロトコルはまた、特定の洗浄工程を回避し、ワークフローに必要な時間を更に短縮し得る。
【0097】
この方法においては、第1の固定化されたトランスポゾン複合体及び第2の固定化されたトランスポゾン複合体を使用する。第1の固定化されたトランスポゾン複合体において、第1のトランスポゾンにおける配列Xはアンカー配列であり、付着ポリヌクレオチドにおける配列X’はアンカー配列相補体である。第2の固定化されたトランスポゾン複合体において、第1のトランスポゾンにおける配列Xはアンカー配列であり、付着ポリヌクレオチドにおける配列X’はアンカー配列相補体である。第1及び第2の固定化されたトランスポゾン複合体のアンカー配列は、交差ハイブリダイゼーションを回避するように非相補的であってもよい。第1のトランスポゾン複合体は、(i)アンカー配列相補体、A14’配列、スペーサ、及びP5’配列と、(ii)ビオチンを含む結合要素と、を含む例示的な第1の付着ポリヌクレオチドを含み得、第2のトランスポゾン複合体は、(i)アンカー配列相補体、B15’配列、スペーサ、及びP7’配列と、(ii)ビオチンを含む結合要素と、を含む例示的な第2の付着ポリヌクレオチドを含み得る。
【0098】
組み合わされたタグメンテーション及びインデックス付けにおいて、第1及び第2のトランスポソーム複合体を含む固体支持結合トランスポソーム(BLT、すなわち、固定化されたトランスポゾン複合体)の懸濁液を、各ウェルに加えてもよい。インデックス付け工程は、次いで、インデックス1(i7)アダプタ、インデックス2(i5)アダプタ、及びタグメンテーションと同じ反応溶液中でライゲーションされたクラスタ生成を決定するために必要な配列を用いて、単一の反応溶液中で実行され得る。第1のインデックス付けオリゴヌクレオチドは、A14配列、i5配列、及びP5配列を含んでもよく、第2のインデックス付けオリゴヌクレオチドは、B15配列、i7配列、及びP7配列を含んでもよい。タグメンテーション/ライゲーション工程の条件としては、標的DNA、第1及び第2のトランスポソーム複合体、並びに第1及び第2のインデックス付けオリゴヌクレオチドの混合物に加えられる、タグメンテーション緩衝液及び大腸菌DNAリガーゼが挙げられる。この組み合わせたタグメンテーション及びインデックス付け工程は、少なくとも1分~少なくとも15分、又は少なくとも5分~少なくとも15分など、様々な時間にわたって進行し得る。
【0099】
次いで、タグメンテーション及びインデックス付けは、任意選択的に、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、グアニジン塩酸塩、尿素、又はプロテイナーゼを使用して、固体支持体を加熱すること、及び/又は固体支持体体を酵素変性剤で洗浄することを含む、様々な方法を使用して停止され得る。反応を停止させる時間は、加熱することにより及び/又は洗浄工程を通して、少なくとも1分~少なくとも5分で変化し得る。
【0100】
インデックス付けオリゴヌクレオチドに連結された5’タグ付き標的断片は、ポリメラーゼで処理されて、完全二本鎖タグ付き断片を産生し得る。伸張反応は、少なくとも1分~少なくとも10分、又は少なくとも2分~少なくとも10分など、様々な時間にわたって進行し得る。
【0101】
更に、組み合わせたタグメンテーション及びインデックス付けを含むライブラリ調製はまた、最終産生物が溶液中の二本鎖DNAライブラリであるため、qPCR工程を回避してもよい。
【0102】
いくつかの実施形態では、第1の固定化されたトランスポソーム複合体と第2の固定化されたトランスポソーム複合体とを接触させること及びリガーゼで複数の5’タグ付き標的断片を処理することは、単一の反応で実行される。
【0103】
いくつかの実施形態では、二本鎖タグ付き断片が、溶液中で産生される。
【0104】
いくつかの実施形態は、捕捉ビーズを使用して完全二本鎖タグ付き断片を選択することを更に含み、任意選択的に、捕捉ビーズは磁気ビーズであり、更に任意選択的に、2つの別個の選択工程が実行される。
【0105】
いくつかの実施形態では、本方法は、完全二本鎖タグ付き断片のうちの1つ以上を配列決定することを更に含む。
標的核酸
【0106】
標的核酸は、DNA、RNA、cDNAなどを含む任意の種類であってもよい。例えば、標的核酸は、精製核酸を含む様々な精製状態であってもよい。いくつかの実施形態では、生体サンプルは、インビボで見られるものとほぼ同じ割合で存在する核酸(DNAなど)、タンパク質、他の核酸種、他の細胞成分、及び/又は任意の他の汚染物質の混合物を含む。例えば、いくつかの実施形態では、成分は、無傷細胞に見られるものと同じ割合で見出される。本明細書で提供される方法により、核酸又はDNAが、タグメンテーションプロセスを介して固体支持体に結合することが可能であるため、他の汚染物質は、タグメンテーションが生じた後に固体支持体を洗浄することによって除去され得る。生体試料は、例えば、粗細胞溶解物又は全細胞を含み得る。例えば、本明細書に記載の方法において固体支持体に適用される粗細胞溶解物は、他の細胞構成要素から核酸を単離するために従来から使用している分離工程のうちの1つ以上が行われる必要はない。
【0107】
したがって、いくつかの実施形態では、生体試料は、任意の供給源からの精製された核酸のみならず、例えば、血液、血漿、血清、リンパ液、粘液、痰、尿、精液、脳脊髄液、気管支吸引物、糞便、及びそれらの浸軟組織、又は核酸若しくはDNA物質を含む任意の他の生体標本を含み得る。標的核酸は、組織試料、腫瘍試料、癌細胞、又は生検試料から得られ得る。標的核酸は、無細胞DNA(cfDNA)であってもよい。
【0108】
標的核酸は、種の混合物からの任意の種に由来してもよい。例えば、標的核酸は、哺乳動物(ヒト、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、ヒツジ、若しくは他の家畜など)、又は魚、細菌、ウイルス、真菌、若しくは古細菌などの他の種由来であってもよい。核酸は、土壌又は水などの環境試料由来であってもよい。
【0109】
いくつかの実施形態では、標的核酸は、DNAである。このような一実施形態では、DNAは二本鎖である。いくつかの更なる実施形態では、二本鎖DNAは、ゲノムDNAを含む。いくつかの他の実施形態では、標的核酸は、RNA若しくはその誘導体、又はcDNAである。いくつかの実施形態では、標的核酸は、増幅又は複製事象などの上流反応、例えば、アンプリコンの産生物である。いくつかの実施形態では、標的核酸は、バイサルファイトで処理されたDNAである。
【0110】
いくつかの実施形態では、生体試料(生試料又は抽出物)は、本明細書に記載のタグメンテーション方法の前に標的核酸を精製するように処理される。いくつかの実施形態では、生体試料は、生試料又は生試料溶解物(例えば、血液、唾液、単又は複数細胞)である。いくつかの実施形態では、処理方法には、生試料、生試料溶解物、又は前処理試料(例えば、血液若しくは唾液試料)を提供すること、試料を溶解緩衝液及びプロテイナーゼKと混合すること、試料中の細胞を溶解させて細胞からDNAを放出するように混合物をインキュベートすること、それによって、本明細書に記載のタグメンテーション方法のために標的核酸(複数可)を提供することが含まれる。生体試料の量は、生体試料が分析のために十分な核酸を含有する限り、特に必要とされない。したがって、生体試料の量は、約1μL~約500μL、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、若しくは500μL、又は前述の値のうちのいずれか2つによって規定される範囲内の量を含んでもよい。
【0111】
生試料若しくは生試料用怪物中の構成要素、又はOragene採取チューブ中に採取された唾液などの前処理された試料中の添加剤(採取チューブ中の安定化剤)は、タグメンテーション反応を阻害する場合がある。したがって、本明細書では、この問題を克服するために、生試料、生試料溶解物、又は前処理された試料を処理する方法が提供される。いくつかの実施形態では、本方法は、生試料、生試料溶解物、又は前処理された試料(例えば、血液若しくは唾液試料)を提供することと、試料を溶解緩衝液、プロテイナーゼK、及びDNA捕捉ビーズ又は精製ビーズ(例えば、ビーズが任意選択的に磁気ビーズである場合に、SPRIビーズ、カルボキシル基を含むビーズ)と混合することと、混合物をインキュベートして試料中の細胞を溶解させて、細胞からDNAを放出すること、それによって、DNA精製ビーズ又はSPRIビーズ上でDNAを捕捉することと、捕捉されたDNAを含むビーズを混合物から分離することと、を含む。分離は、上清中に存在する潜在的なタグメンテーション阻害剤を除去する役割を果たす。本方法は、任意選択的に、捕捉されたDNAを含むビーズを洗浄することと、標的核酸(複数可)を提供するためにビーズからDNAを溶出させることと、を更に含む。
【0112】
いくつかの実施形態では、標的核酸は、配列決定のためのライブラリを生成するのに十分な量で存在する。いくつかの実施形態では、標的核酸の量は、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、若しくは500ngなどの10~500ngのgDNAの量、又は前述の値のうちのいずれか2つによって規定される範囲内の量である。いくつかの実施形態では、標的核酸は、50ngの量で存在するgDNAである。
配列決定方法
【0113】
本明細書で提供される方法のいくつかは、核酸を分析する方法を含む。このような方法は、標的核酸のテンプレート核酸のライブラリを調製することと、テンプレート核酸のライブラリから配列データを得ることと、任意選択的に標的核酸の配列表現をアセンブリすることと、を含む。トランスポソームにより媒介されるタグメンテーションによって産生されるDNA断片は、合成による配列決定、ライゲーションによる配列決定、ハイブリダイゼーションによる配列決定、Ion Torrent(Guilford,CT,Life Technologiesの子会社)から市販されている電気検出器及び関連技術を使用し得る放出されたプロトンの検出に基づく配列決定、ナノ細孔配列決定などを含む、直接配列決定又は次世代配列決定などの、任意の好適な配列決定方法論に従って配列決定され得る。いくつかの実施形態では、DNA断片は、フローセルなどの固体支持体上で配列決定される。本開示の方法により産生される核酸ライブラリとともに使用されるように容易に適合され得る例示的なSBS手順、流体システム、及び検出プラットフォームは、例えば、Bentley et al.,Nature 456:53-59(2008)、国際公開第04/018497号、米国特許第7,057,026号、国際公開第91/06678号、同第07/123744号、米国特許第7,329,492号、同第7,211,414号、同第7,315,019号、同第7,405,281号、及び同第2008/0108082号に記載されており、これらの各々は参照により本明細書に組み込まれる。
【0114】
本明細書に記載される方法は、使用される任意の特定の種類の配列決定計装系に限定されない。
【実施例
【0115】
以下の実施例は、本明細書に提供される開示を説明するのに役立つが、それを限定するものではない。
実施例1:ユーザの開裂可能なリンカーを有する付着オリゴヌクレオチドなし
【0116】
PCRを含まない配列決定データをPCR配列決定データと比較するために実験を行った。TruSeq PCRフリー、TruSeq Nano(+PCR)、Nextera Flex(+PCR)、及び本方法を使用して、ライブラリを調製した後に、25Xのカバレッジに配列した。各方法で2つの複製が存在し、合計8つのライブラリが存在した。図7Aは、PCRを含まない方法(それぞれ、本方法及びTruSeqのPCRフリーを表すストライプバー及びチェックバー)が、PCR(それぞれ、TruSeq Nano及びNextera Flexを表す黒色バー及び白色バー)を有する方法と比較して、改善されたインデル精度及び再現性を有することを示す。図7Bは、GCに富んだプロモータ領域のカバレッジはまた、PCRを含まない方法(下側の2つのパネル、左下のパネルにおける本方法及び右下のパネルにおけるTruSeq PCRフリー)において改善されていることを示す。
実施例2:PCR増幅を使用しない、タグ付き核酸断片のライブラリの生成
【0117】
工程A1.固定化されたトランスポソーム複合体の形成-インデックス付きビーズ.(1)3’モザイク末端(ME)配列(配列番号:6)、第1のタグ配列(A14)、及び5’プライマー配列(P5’)(最終濃度25μM)を有する第1のトランスポゾンと、(2)5’相補的モザイク末端配列(ME’;配列番号:3)及び第2のタグ配列(B15’)(最終濃度37.5μM)を有する第2のトランスポゾンと、(3)第2のタグ配列(B15)に対して相補的な3’配列、インデックス配列(この場合、表1のi701)、5’末端にビオチンを有する5’プライマー配列(P7)(最終濃度25μM)を含む付着ポリヌクレオチドと、からなる混合物を、10mM Tris-HCl(pH8.0)、1mM EDTA、及び25mM NaClで処理し、95℃で10分間加熱処理し、次いで約15分間かけて10℃まで冷却することによってアニーリングした。次いで、アニーリングされたトランスポゾン/付着ポリヌクレオチド(付着ポリヌクレオチドに基づく最終濃度2μM)を、トランスポザーゼ酵素(最終濃度6.1μM)と混合し、37℃で一晩インキュベートして、溶液相トランスポソーム複合体を形成した(図4A、インデックス付きビーズの図)。次いで、溶液相トランスポソーム複合体を、ストレプトアビジンがコーティングされたビーズと混合することによって固体支持体上に固定化した。いくつかの実施例では、固定化を、ビオチン-ストレプトアビジン結合の形成を補助する高濃度塩緩衝剤であるHT1緩衝液(Illumina)の存在下で実施することができる。HT1中で1時間回転させた後、ビーズをペレット化し、HT1緩衝液と50%グリセロール標準保存緩衝液(Illumina)(9:1)の混合物中で1回洗浄した。次いで、50mM Tris pH7.5、30mM NaCl、及び0.1%Tween20を含有する360μLの緩衝液中にビーズを再懸濁させた。40μLのEPX2(Illumina)を添加し、ビーズを室温で更に10分間回転させた。ビーズを再びペレット化した後、396μLの同じ緩衝液中に再懸濁させ、4μLの一本鎖結合タンパク質(5mg/mL)で処理し、再び10分間回転させた。ビーズを再びペレット化し、9:1のHT1緩衝液:標準保存緩衝液の混合液中で1回洗浄し、15%グリセロール標準保存緩衝液(Illumina)中に再懸濁させた。結果として得られたインデックス付きビーズを、シングルインデックス付け及びデュアルインデックス付けタグメンテーションプロトコルで使用した。
【0118】
工程A2.固定化されたトランスポソーム複合体-ユニバーサルビーズの形成.アニーリングされたトランスポゾンは、付着ポリヌクレオチドが、第1のタグ配列(A14’)に相補的な5’配列、及び3’末端にビオチンを有する3’プライマー配列(P5’)と、任意選択的に、介在するユニバーサルニトロインドール配列(デュアルインデックス付けのための)を含むことを除いて、工程A1に記載されるように、アニーリングされたトランスポゾンを調製した。アニーリングされたトランスポゾンからトランスポソーム錯体を調製し、工程A1に記載の固体支持体上に固定化した。結果として得られたユニバーサルビーズを、示されるように、シングルインデックス付け及びデュアルインデックス付けタグメンテーションプロトコルで使用した。
【0119】
工程B.タグメンテーション.DNA(例えば、約50pg~5μg)を、各々が参照により組み込まれる、米国特許第9,080,211号、同第9,085,801号、及び同第9,115,396号に記載される、ランスポソーム複合体及び50μLのタグメンテーション緩衝液(10mM Trisアセテート(pH7.6)、5mM酢酸マグネシウム、及び10%ジメチルホルムアミド)と混合し、結果として得られた混合物を、55℃で5分間インキュベートした。ビーズ上に固定化されたタグ付きDNA断片のライブラリが生成された。タグメンテーション反応混合物を、5%SDS、100mM Tris-HCl(pH7.5)、100mM NaCl、及び0.1%Tween20を含む10μLの停止緩衝液で処理し、結果として得られた混合物を37℃で5分間インキュベートして、トランスポザーゼ酵素をトランスポソーム複合体から変性させた。次いで、固定化されたDNA断片を有するビーズを、磁石上でペレット化し、洗浄緩衝液(100mM Tris-HCl(pH7.5)、100mM NaCl、及び0.1%Tween)中で3回洗浄して、残留SDSを除去した。ビーズを磁気捕捉によって上清から分離し、100mM Tris-HCl(pH7.5)、100mM NaCl、及び0.1%Tween20を使用して更に洗浄した。4つのアプローチ全てについて得られたタグメンテーションされた断片を図4Bに示す。
【0120】
工程C.伸張、ライゲーション、及びインデックス付け.T4 DNAポリメラーゼ(エキソヌクレアーゼ-マイナス)及び大腸菌DNAリガーゼを含む伸張及びライゲーションミックス(ELM)と接触させ、30℃で15分間、続いて16℃で15分間インキュベートし、それにより、断片の3’末端とME’配列の5’末端との間のDNA断片の間隙が埋められ、かつ1本鎖領域を伸張させて、残りの配列を付着ポリヌクレオチドから組み込むことにより完全二本鎖産生物を生成することによって、伸張及びライゲーションを実行した(図4C)。特定の場合には、インデックスは、この工程中にも追加された。図4Dの右上の図に示されるように、二本鎖プライマー配列(P7/P7’)を有するオリゴヌクレオチド、二本鎖インデックス配列(この場合は、i701/i701’)、及び第2のタグ配列(B15)に対して相補的な3’配列を有する一本鎖オーバーハング領域を追加することにより、インデックスをユニバーサルビーズ/シングルインデックス構築物に添加した。インデックス付きビーズ/デュアルインデックス付けアプローチ(図4D、左下の図)の場合、インデックス試薬は、二本鎖プライマー配列(P5/P5’)と、二本鎖インデックス配列(この場合、i501/i501’)と、第1の配列タグ(A14’)に対して相補的な5’配列を有する一本鎖オーバーハング領域と、を含んでいた。ユニバーサルビーズ/デュアルインデックス付けアプローチ(図4D、右下の図)では、インデックス試薬は、ユニバーサルビーズ/シングルインデックスの場合と同じであったが、相補的プライマー配列(P5)及びインデックス配列(i5)を含む追加の第2のインデックス試薬をハイブリダイズさせ、A14配列の5’末端にライゲーションされた。
【0121】
反応混合物を、5%SDS、100mM Tris-HCl(pH7.5)、100mM NaCl、及び0.1%Tween20を含む10μLの停止緩衝液で処理し、結果として得られた混合物を37℃で5分間インキュベートして、トランスポザーゼ酵素をトランスポソーム複合体から変性させた。次いで、固定化されたDNA断片を有するビーズを、磁石上でペレット化し、洗浄緩衝液(100mM Tris-HCl(pH7.5)、100mM NaCl、及び0.1%Tween)中で3回洗浄して、残留SDSを除去した。ビーズを磁気捕捉によって上清から分離し、100mM Tris-HCl(pH7.5)、100mM NaCl、及び0.1%Tween20を使用して更に洗浄した。
【0122】
工程D.タグ付き断片の放出.第3の洗浄後、ビーズを100μLの0.2N NaOH中に再懸濁して、ライブラリ断片を変性させ、ビーズからそれらを放出した。標準的なSPRI精製プロトコルに従って、100μLの上清を180μLのSPRIビーズに直接添加し、15μLのIllumina再懸濁緩衝液で溶出させることによって、ライブラリを精製した。ライブラリを、qPCRにより定量化した後、5μLの約3200pMに希釈し、室温で5分間5μLの0.2N NaOHで変性させることにより、MiSeq(登録商標)で配列決定するために調製した。冷却したIllumina HT1緩衝液(990μL)を添加し、1mLの完全混合物をMiSeq(登録商標)カートリッジ内に装填した。
【0123】
シングル又はデュアルインデックス付けを有するインデックス付きビーズ又はユニバーサルビーズについて、結果を図4Eに示し、以下の表2にまとめている。
【表2】
【0124】
本明細書に記載の方法を使用して、PCRにより典型的に導入される配列決定データにおけるバイアスが克服された。例えば、本明細書に記載のPCRを含まない方法を使用して、得られた核酸断片のライブラリを配列決定し、PCRが使用されるときに典型的に観察されるように、配列はGCに富む領域に有意な間隙を有しなかった。
実施例3:試験ライブラリの配列決定比較
【0125】
この実施例では、既知の100%GCリピート伸張(FMR1)を含有するサンプルからの2つの比較ライブラリを、Nextera(商標)DNA Flex(PCRを含む)及びTruSeq(商標)PCRフリーライブラリPrep Kitsを含む)を使用して調製し、4つの試験ライブラリを、図4Dに示すように、ユニバーサルビーズ/デュアルインデックス付け法を使用して、本明細書に記載されているように調製した。図8に示されるように、Nextera(商標)DNA Flex(第1カラム、0である結果として示されるバーはない)を使用して調製されたライブラリからの配列決定データにおいて呼び出される反復はなかった。本明細書に記載の方法を使用して、TruSeq(商標)PCR-Free(カラム2)及び4つの試験ライブラリを使用して、リピートがコールされた(サンプル1~4、カラム3~6)。したがって、本方法は、100%GC領域を有するリピート伸張試料のコールの改善を示す。
実施例4:開裂可能なリンカーを有する二股オリゴヌクレオチド
【0126】
工程1.トランスポソーム複合体の形成.5’ビオチンと、3つのT残基と、次いで3つのU残基と、P5と、A14と、配列:/5Biosg/TTUUUAATGATACGGCGACCACCGAGATCTACACTCGTCGGCAGCGTCAGATGTGTATAAGAGACA(配列番号:20)を有するMEと、
配列:CTGTCTCTTATACACATCTCCGAGCCCACGAGACATCTCGTATGCCGTCTTCTGCTTG(配列番号:21)を有するME’_B15’_P7’(75μM)を含むオリゴヌクレオチドと、を含むビオチン化オリゴヌクレオチド(50μM)を、
10mM Tris-HCl(pH8.0)、1mM EDTAで、及び25mM NaClで処理し、95℃で10分間加熱し、次いで1秒当たり-0.1℃で10℃まで冷却した。次いで、ビオチン化オリゴの最終濃度が2μMであり、トランスポザーゼの濃度が4μMであるように、アニーリングされたトランスポゾンをトランスポザーゼ酵素と混合した。混合物を37℃で一晩インキュベートして、溶液相トランスポソーム複合体を形成した。次いで、溶液相トランスポソーム複合体を、ストレプトアビジンがコーティングされたビーズ及びHT1緩衝液(Illumina)と混合し、室温で1時間回転させることによって固相支持体上に固定化した。次いで、15%グリセロール標準保存緩衝液(Illumina)中に再懸濁させる前に、ビーズをHT1緩衝液中で3回洗浄した(図2A)。
【0127】
工程2.タグメンテーション.DNA(例えば、約50pg~5μg)を、各々が参照により組み込まれる、米国特許第9,080,211号、同第9,085,801号、及び同第9,115,396号に記載される、ランスポソーム複合体及び50μLのタグメンテーション緩衝液(10mM Trisアセテート(pH7.6)、5mM酢酸マグネシウム、及び10%ジメチルホルムアミド)と混合し、結果として得られた混合物を、55℃で5分間インキュベートした。ビーズ上に固定化されたタグ付きDNA断片のライブラリが生成された。タグメンテーション反応混合物を、5%SDS、100mM Tris-HCl(pH7.5)、100mM NaCl、及び0.1%Tween20を含む10μLの停止緩衝液で処理し、結果として得られた混合物を37℃で5分間インキュベートして、トランスポザーゼ酵素をトランスポソーム複合体から変性させた。次いで、固定化されたDNA断片を有するビーズを、磁石上でペレット化し、洗浄緩衝液(100mM Tris-HCl(pH7.5)、100mM NaCl、及び0.1%Tween)中で3回洗浄して、残留SDSを除去した。ビーズを磁気捕捉によって上清から分離し、100mM Tris-HCl(pH7.5)、100mM NaCl、及び0.1%Tween20を使用して更に洗浄した。
【0128】
工程3.伸張及びライゲーション.T4 DNAポリメラーゼ(エキソヌクレアーゼマイナス)及び大腸菌DNAリガーゼを含む伸張及びライゲーションミックス(ELM)とビーズを接触させ、30℃で15分間、続いて16℃で15分間インキュベートし、それにより、断片の3’末端とME’配列の5’末端との間のDNA断片の間隙を埋めることによって、伸張及びライゲーションを実行した。反応混合物を、5%SDS、100mM Tris-HCl(pH7.5)、100mM NaCl、及び0.1%Tween20を含む10μLの洗浄緩衝液で処理し、結果として得られた混合物を37℃で5分間インキュベートして、トランスポザーゼ酵素をトランスポソーム複合体から変性させた。次いで、固定化されたDNA断片を有するビーズを、磁石上でペレット化し、洗浄緩衝液(100mM Tris-HCl(pH7.5)、100mM NaCl、及び0.1%Tween)中で3回洗浄して、残留SDSを除去した。ビーズを磁気捕捉によって上清から分離し、100mM Tris-HCl(pH7.5)、100mM NaCl、及び0.1%Tween20を使用して更に洗浄した。
【0129】
工程4.タグ付き断片の放出.第3の洗浄後、ビーズを、50mM酢酸カリウム、20mM酢酸トリス、10mM酢酸マグネシウム、及び100μg/mL BSAを含有する緩衝液中に再懸濁した。ウラシルDNAグリコシル化酵素及びエンドヌクレアーゼVIIIを含有する酵素混合物5μLを加え、ライブラリを37℃で30分間インキュベートした。酵素は一緒に作用して、付着オリゴヌクレオチド内のUを開裂させ、ライブラリ断片を溶液中に放出する。標準的なサイズ選択SPRI精製プロトコル(0.5x右及び0.7~0.8x左)に続いて、100μLの上清をSPRIビーズに直接添加し、15μLのIllumina再懸濁緩衝液で溶出させることによって、ライブラリを精製した。得られたライブラリをqPCRによって定量化した(図2B)。
実施例5:修飾された伸張-ライゲーションプロトコル
【0130】
インデックス付き変動伸張-ライゲーション反応(実施例2C)の代替的なプロトコルを使用してもよい。場合によっては、i7インデックスの拡張は、特定のインデックス配列における二次構造により、非効率的である。したがって、図6Cの構造体について、8つの異なるインデックス対を調査した。図9Aに示すように、インデックスプールの%CVは76%.であった。伸張-インデックス付け反応中にP7’オリゴヌクレオチドを添加することは、恐らく二次構造の形成を妨害又は防止し得るP7配列へのハイブリダイゼーションに起因して、特定のインデックス対の性能を増強することが発見された。この例では、伸張-インデックス付け反応はまた、ライゲーションを含む。伸張-ライゲーション-インデックス付け反応中に、P7’(ライゲーションのために5’リン酸塩を含む)を2.5μMで添加する。図6Dに示される構造体について、図9Bは、30%未満の8つのインデックス対に対する%CVを示す。
【0131】
P7’オリゴ伸張-ライゲーション-インデックス付け反応へのDMSOの添加は、更に%CVを改善する。この実施例では、図6Dの構造体について、伸張-ライゲーション-インデックス付け反応に、DMSOを5%で添加する。伸張-ライゲーション反応は、伸張及びライゲーションのための必要な酵素及び構成要素の全てを含有する。反応物を37℃で30分間インキュベートした後、ワークフローを通常の通りに進行させる。図9Cに示すように、8つの異なるインデックス対についての%CVは20%未満であった。この結果により、各試料についてライブラリからのDNA出力を定量化することなくシステムを使用して、インデックス付け性能に対する変異を調整することが可能になる。
実施例6:チューブ内でのPCRフリー固定化トランスポソーム
【0132】
この実施例は、PCRを含まない全ゲノム配列決定のために、PCRチューブなどのチューブ内のトランスポソーム複合体を固定するための方法及びシステムを示す。この方法は、実施例2に記載される方法と同様に実行され、調製全体が同じチューブ内で実行されてもよい。
【0133】
チューブ内での固定化されたトランススプーム複合体の形成.(1)3’モザイク末端(ME)配列(配列番号:6)、第1のタグ配列(A14)、及び5’プライマー配列(P5)(最終濃度25μM)を有する第1のトランスポゾンと、(2)5’相補的モザイク末端配列(ME’;配列番号:3)及び第2のタグ配列(B15’)(最終濃度37.5μM)を有する第2のトランスポゾンと、(3)第2のタグ配列(B15)に対して相補的な3’配列を含む付着ポリヌクレオチド、インデックス配列、及び5’末端にビオチンを有する5’プライマー配列(P7)(最終濃度25μM)とからなる混合物を、10mM Tris-HCl(pH8.0)、1mM EDTA、及び25mM NaClで処理し、95℃で10分間加熱し、次いで約15分間かけて10℃まで冷却することによってアニーリングした。付着ポリヌクレオチドは、第1のタグ配列(A14’)に対して相補的な5’配列及び3’末端にビオチンを有する3’プライマー配列(P5’)を含んでいた(シングルインデックスのため)。いくつかの実施形態では、付着ポリヌクレオチドは、介在するユニバーサルニトロインドール配列(デュアルインデックス付けのための)を含む。次いで、アニーリングされたトランスポゾン/付着ポリヌクレオチド(付着ポリヌクレオチドに基づく最終濃度2μM)を、トランスポザーゼ酵素(最終濃度6.1μM)と混合し、37℃で一晩インキュベートして、溶液相トランスポソーム複合体を形成した。次いで、ストレプトアビジンがコーティングされた表面を有するPCRチューブ内で複合体(ビオチンを有する)を混合することにより、溶液相トランスポソーム複合体をPCRチューブの表面上に固定化した。いくつかの実施例では、固定化は、ビオチン-ストレプトアビジン結合の形成を補助する高濃度塩緩衝剤であるHT1緩衝液(Illumina、カリフォルニア州サンディエゴ)の存在下で実施することができる。1時間インキュベートした後、PCRチューブをTWB緩衝液(Illumina、カリフォルニア州サンディエゴ)の混合物中で洗浄した。その上に固定化されたトランスポソームを有する得られたチューブを、シングルデュアル付け及びデュアルインデックス付けタグメンテーションプロトコルで使用した。
【0134】
タグメンテーション、伸張、ライゲーション、及びインデックス付けの工程を含むライブラリ調製ワークフローを、実施例2に概説されるように実行した。実施例2に概説される工程の完了後に、チューブの表面に固定化されたライブラリ断片が生成されていた。チューブを50μLの0.2N NaOHですすぎ、ライブラリ断片を変性させ、それらをチューブの表面から放出させた。ライブラリを、qPCRにより定量化した後、5μLの約3200pMに希釈し、室温で5分間5μLの0.2N NaOHで変性させることにより、MiSeq(登録商標)で配列決定するために調製した。冷却したIllumina HT1緩衝液(990μL)を添加し、1mLの完全混合物をMiSeq(登録商標)カートリッジ内に装填した。
【0135】
配列決定の結果を図10に示し、これは、配列決定するのが困難であると知られているゲノム(遺伝子RNPEPL1)の領域におけるカバレッジを示している。PCR(Nextera Flex及びチューブベースのNextera)を用いる2つのライブラリプリップ法においては、矩形の境界ボックスで示された、遺伝子の領域がカバーされた配列がない間隙が示されている。2つのPCRを含まない方法は、「PCRを含まないFlex」及びPCRを含まないチューブベースのNexteraとして図10に示される切片によって示されるように、この領域において良好な被覆率を有することが見出された。
実施例7:開裂可能なリンカーを有しないPCRフリーの調製
【0136】
以下の実施例は、PCRを含まない全ゲノム配列決定のために、PCRチューブなどのチューブ内にトランスポソーム複合体を固定するための方法及びシステムを示す。本方法は、実施例2に記載の方法と同様に実行されるが、開裂可能なリンカーを含む付着ヌクレオチド又はリンカーを開裂させる工程を含まない。この方法は、3つの別個のオリゴヌクレオチドを採用する。本方法の追加の構成要素としては、Tn5トランスポゾン、SDS、伸張-ライゲーション混合物(ELM)、及びストレプトアビジンがコーティングされた表面(ビーズ又はプレートなど)が挙げられる。
【0137】
(1)ME配列を有する第1のトランスポゾン、第1のタグ配列(A14)、i5配列、及び5’プライマー配列(P5)と、(2)5’相補的モザイク末端配列(ME’)を有する第2トランスポゾン、第2のタグ(B15’)、i7’配列、及び3’プライマー配列(P7’)と、(3)P7配列及び結合要素(ビオチンなど)を含む付着ポリヌクレオチドと、からなる混合物を調製し、表面(ストレプトアビジンがコーティングされたプレート又はビーズなど)に付着させることができる。トランスポソームは、タグメンテーション緩衝液中のテンプレート核酸の存在下で、単一の工程で表面に構築及び付着させることができる。
【0138】
タグメンテーションは、55℃で5分間実行され、PEGは、タグメンテーション反応に含まれてもよい。混合物をSDSで処理して、Tn5トランスポザーゼを除去する。ELMを実行し、上清を除去する。この方法では、SPRI捕捉ビーズは必要とされず、したがって、ビーズ充填密度によりインサートサイズを調整する必要はない。断片は、配列決定調製のためにNaOH中で溶出され得る。
実施例8:96ウェルライブラリのPCRフリー調製
【0139】
以下の実施例は、DNA試料から最大96のデュアルインデックス付けペアリング末端ライブラリを調製するための方法及びシステムを示す。本方法は、実施例2に記載される方法と同様に実行されるが、最終qPCR工程なしで調製を可能にするために捕捉ビーズを用いるインキュベーションの2つの工程を使用する。qPCRが時間を要し得る(最大2時間)ため、このプロトコルは、使いやすさ及びより短い持続時間の利点を有する。この方法は、25~1000ngのDNA入力と適合していた。ヒトDNA試料及び他の大きな複雑なゲノムについて、DNA入力は、200ng超であり得る。200~1000ngのDNA入力の場合、初期DNA試料の定量化及び正規化は必須ではない。25~200ngのDNA入力については、配列決定前に、ライブラリを定量化し、正規化する。
【0140】
この方法は、図6Dに表示の第1のトランスポゾンを使用し、第1のトランスポゾン内の配列Xは、ATCTGACTATCCCCTGCG(配列番号:23)であり、付着ポリヌクレオチド内の配列X’は、CGCAGGGGATAGTCAGAT(配列番号:24)である。アンカー配列は、A14であり、スペーサ領域は、2C18及び1C9の炭素スペーサ(非DNA配列)で構成される。
【0141】
タグメンテーション.10mM Tris-HCl(約2~30μL)中のDNAを、総入力量(ng)が所望の範囲内にあるように、96ウェルPCRプレートの各ウェルに添加する。DNA体積が30μL未満である場合、ヌクレアーゼを含まない水をDNA試料に添加して、総容量を30μLにする。ビーズ結合トランスポソーム(BLT)(10μL)の懸濁液を各ウェルに添加し、続いて10μLのタウリン緩衝液を添加する。BLTが、約50~1000nMの濃度でビーズ上に装填される。それらは、15%グリセロール、100mM NaCl、50mM Tris HCl(pH7.5)、0.1mM EDTA、1mM DTT、0.1% triton X-100からなる15%グリセロール標準保存緩衝液中に再懸濁される。ビーズが完全に再懸濁されるまで試料をピペットで混合し、プレートを密封し、41℃で5分間加サーマルサイクラー上に置き、続いて10℃で保持する。15、30、45、60、75、90、105、120、及び300秒のタグメンテーション時間により、同様の収率がもたらされ、より短いインキュベーション時間(例えば、15秒において、60、120、又は300秒におけるより長いインサートサイズが生成された)について、より長いインサート長さへのシフトが得られた。いくつかの実施例では、タグメンテーション時間は、1分に短縮される。
【0142】
各ウェルに、SDSを含む10μLの停止タグメンテーション緩衝液を添加し、得られた混合物を、ビーズが完全に再懸濁されるまでピペットで移し、混合物を1~5分間インキュベートする。プレートを磁気スタンド上に2~5分間配置し、上清を除去し、廃棄する。プレートを磁石から取り外し、各ウェル内のビーズに直接、150μLのタグメンテーション洗浄緩衝液を添加する。試料をピペットで混合し、プレートを、溶液が透明になるまで磁気スタンド上に置く(約2~5分間)。この工程によって、試料からSDSが除去される。
【0143】
伸張/ライゲーション.インデックス1(i7)アダプタ、インデックス2(i5)アダプタ、及び配列決定クラスタ生成に必要な配列が、伸張/ライゲーションにより追加される。プレートが依然として磁気スタンド上にある間に、上清を除去し、廃棄する。プレートを磁気スタンドから取り外し、45μLの伸張ライゲーション混合物を各ウェルに加え、続いてピペットでビーズを再懸濁させる。次に、適切なインデックスアダプタ(5μL)を各試料に添加し、プレートを封止し、37℃で5分間、50℃で5分間サーマルサイクラー上に置き、次いで10℃に保持する。37℃及び50℃でのインキュベーション期間を各々、1、3、又は5分で実行することができ、全ての変異が同様のライブラリ収率を生成する。より短いインキュベーション期間は、増加した断片サイズを有するライブラリを生成する一方で、より長いインキュベーションは、より高い濃度のライゲーション産生物をもたらす。次いで、プレートを磁気スタンド上に2~5分間置き、次いで上清を除去する。
【0144】
ウェルに、75μLのタウリン洗浄緩衝液を添加し、混合物をピペットで移して、タグメンテーションビーズを再懸濁する。上清を廃棄し、プレートをスピンダウンし、磁石上に2~5分間置く。各ウェルに、45μLの0.2N NaOHを添加して、断片を変性させる。各ウェル中の混合物をピペットで移して、タグメンテーションビーズを再懸濁させ、プレートを室温で1~5分間インキュベートする。
【0145】
ライブラリの清浄化.各ウェルに、36μLの捕捉ビーズ(Ampure XPビーズなど)を添加し、ウェル内容物を混合して、ビーズを再懸濁し、次いで1、3、又は5分間インキュベートした。プレートを、上清が透明になるまで約1~5分間磁気スタンド上に置く。
【0146】
第2の96ウェルプレートの各ウェルに、42μLの捕捉ビーズを添加する。次いで、第1の96ウェルプレートの各ウェルからの上清76μLを、捕捉ビーズを有する第2の96ウェルプレートに添加する。試料をピペットで混合し、1、3、又は5分間インキュベートした後、上清が透明になるまで磁気スタンド上に置く(約1~5分間)。いくつかの実施例では、第2の捕捉ビーズ工程は省略される。
【0147】
シングル又はデュアル捕捉ビーズ清浄化プロトコル、及び各ビーズ清浄化工程のための1、3、又は5分間のインキュベーションが好適である。
【0148】
捕捉ビーズ精製後に、上清を廃棄し、捕捉ビーズを、混合せずに180μLの新鮮な80%エタノールで2回洗浄し、室温でインキュベートした後、上清を廃棄する。残留エタノールをピペットで除去し、プレートを空気乾燥し、磁気スタンドから取り外す。
【0149】
各ウェルに、15μL~22μLの再懸濁緩衝液を添加し、ウェル内容物をピペットで混合して、ビーズを再懸濁させる。プレートを室温で2分間インキュベートした後、上澄みが透明になるまで磁気スタンド上に置く(約2分間)。各ウェルからの合計14μL~20μLの上清を、第3の96ウェルPCRプレートに移す。このプレートは最終DNAライブラリであり、上記の配列決定のために調製される。
【0150】
このプロトコルにおいては、捕捉ビーズを用いた2つの精製工程が採用され、qPCR工程は使用されず、より短い時間でのライブラリ調製の完了が可能になる。例えば、合計20分の短い磁石インキュベーション工程を使用する場合に、これらの方法を30分未満で使用して、試料を調製する。
【0151】
プロトコルは、マイクロ遠心チューブなどの他の容器内で実行され得る。
【0152】
いくつかの実施形態では、最適なクラスタ密度を達成するために、等しいライブラリ容積がプールされ、経配列決定前にプールが定量化される。200~1000ngのDNA入力を使用する場合、場合によっては、1.7mLのマイクロ遠心チューブ内の各ライブラリから等溶量をプールし、攪拌して混合し、次いで遠心分離することによってライブラリを組み合わせる。ssDNA Qubitキットを使用してライブラリプールを定量化し、プールの濃度を決定する。25~200ngのDNA入力を使用する場合、いくつかの実施例では、各ライブラリは、ssDNA Quibitキットを使用して個別に定量化される。
【0153】
いくつかの実施例では、配列決定は、NovaSeq6000カートリッジ上で行われる。
実施例9:組み合わされたタグメンテーション及びインデックス付けによるライブラリの調製
【0154】
以下の実施例において、組み合わされたタグメンテーション及びインデックス付け工程を使用して、DNA試料からデュアルインデックス付きペアリング末端ライブラリを調製するための方法及びシステムを示す。本方法は、実施例2に記載される方法と同様に実行されたが、1つの工程でタグメンテーション及びインデックス付けが組み合わされた。別個のタグメンテーション及びインデックス付け工程を回避することによって、このプロトコルは、使いやすさ及びより短い持続時間の利点を有する。更に、このプロトコルは、変性工程を回避し、変性された一本鎖試料から二本鎖試料を産生する別個の工程を必要とせずに二本鎖ライブラリを産生し得る。このプロトコルはまた、特定の洗浄工程を回避し、ワークフローに必要な時間を更に短縮し得る。
【0155】
進行させるために長い、中程度の、又は短い期間のいずれかで与えられる反応を使用してこれらのライブラリを調製することができることを示すために、3セットの試料を、それぞれ、通常のワークフロー速度、速いワークフロー速度、及び超高速ワーク速度で処理することができる。
【0156】
この方法においては、第1の固定化されたトランスポゾン複合体及び第2の固定化されたトランスポゾン複合体を使用する。第1の固定化されたトランスポゾン複合体において、第1のトランスポゾンにおける配列Xはアンカー配列であり、付着ポリヌクレオチドにおける配列X’はアンカー配列相補体である。第2の固定化されたトランスポゾン複合体において、第1のトランスポゾンにおける配列Xはアンカー配列であり、付着ポリヌクレオチドにおける配列X’はアンカー配列相補体である。第1及び第2の固定化されたトランスポゾン複合体に含まれるアンカー配列は、クロスハイブリダイゼーションを回避ために非相補的であってもよい。第1のトランスポゾン複合体は、(i)アンカー配列相補体、A14’配列、スペーサ、及びP5’配列と、(ii)ビオチンを含む結合要素と、を含む例示的な第1の付着ポリヌクレオチドを含み得、第2のトランスポゾン複合体は、(i)アンカー配列相補体、B15’配列、スペーサ、及びP7’配列と、(ii)ビオチンを含む結合要素と、を含む例示的な第2の付着ポリヌクレオチドを含み得る。
【0157】
タグメンテーション及びインデックス付け.10mM Tris-HCl(約2~30μL)中のDNAを、総入力量(ng)が所望の範囲内にあるように、96ウェルPCRプレートの各ウェルに添加する。第1及び第2のトランスポソーム複合体を含むビーズ結合トランスポソーム(BLT、すなわち、固定化されたトランスポゾン複合体)の懸濁液を、各ウェルに添加する。インデックス付け工程が、タグメンテーションと同じ反応溶液中でライゲーションされたクラスタ生成を配列決定するために必要なインデックス1(i7)アダプタ、インデックス2(i5)アダプタ、及び配列を用いて、単一の反応溶液中で実行される。この実施例では、第1のインデックス付けオリゴヌクレオチドは、A14配列、i5配列、及びP5配列を含み、第2のインデックス付けオリゴヌクレオチドは、B15配列、i7配列、及びP7配列を含む。タグメンテーション/ライゲーション工程の条件としては、標的DNA、第1及び第2のトランスポソーム複合体の混合物に添加されるタグメンテーション緩衝液及び大腸菌DNAリガーゼと、合計容積が20μLの第1及び第2のインデックス付けオリゴヌクレオチドと、が挙げられる。タグメンテーション及びインデクシング反応は、3つの異なる時間間隔(3つの異なる試料について)41℃の温度、15分間(通常のワークフロー)、5分間(高速ワークフロー)、及び1分間(超高速ワークフロー)で実施される。
【0158】
組み合わせたタグメンテーション及びインデックス付け反応に続いて、各ウェルに対して、5μLの0.6%SDSを添加し、37℃でインキュベートし、SDSで洗浄することによりタウリン反応を停止させて、トランスポザーゼを変性させる。停止工程は、3つの異なる時間間隔(3つの異なるサンプルについて)、5分間(通常のワークフロー)、5分間(高速ワークフロー)、及び1分間(超高速ワークフロー)実施した。停止工程は、通常のワークフロー及び高速ワークフローの場合には同じ時間期間実施されるが、高速ワークフローの全体時間は、他の工程における時間差分のために、依然としてより短くなる。
【0159】
伸張.各ウェルに、75μLの伸張混合物(DNAポリメラーゼ、dNTP、及び緩衝液)を添加し、伸張反応は、100μLの反応容積において<68℃で進行する。伸張工程は、3つの異なる時間間隔(3つの異なるサンプルについて)、10分間(通常のワークフロー)、2分間(速いワークフロー)、及び1分間(スーパー高速ワークフロー)実施される。この伸張工程は、溶液中に二本鎖DNAライブラリを生成することができる。ライブラリ清浄化が、捕捉ビーズを用いて実行されてもよい。
【0160】
全体的に、通常のワークフロー及び高速ワークフローのライブラリ収率は、別個のタグメンテーション工程及びインデックス付け工程を有する方法に匹敵するが、超拘束ワークフローのライブラリ収率は、特に、更に速いワークフローの更なる利便性を考慮して、多くの使用のために十分である可能性が高い。組み合わせたタグメンテーション及びインデックス付けを用いる方法は、DNA試料(すなわち、側張生成物)をうまく断片化しなかった、トランスポザーゼと関連させることを可能にすることができる。更に、組み合わせたタグメンテーション及びインデックス付けは、両方の末端にP5/P5配列又はP7/P7配列を有するライブラリ産生物を生成することができ、これらのホモ接合型末端を有するライブラリ産性物は、適切に配列決定しなくてもよい。しかしながら、多くの用途では、出発DNAサンプルの量は、いくつかの副生成物が生成される場合であっても、並列決定結果を可能にするのに十分である。
【0161】
いくつかの実施形態が記載された。それにもかかわらず、様々な修飾が行われ得ることが理解されるであろう。したがって、他の実施形態は、以下の特許請求の範囲内にある。
配列表
配列番号:1-A14-ME
TCGTCGGCAGCGTCAGATGTGTATAAGAGACAG
配列番号:2-B15-ME
GTCTCGTGGGCTCGGAGATGTGTATAAGAGACAG
配列番号:3-ME’
phos-CTGTCTCTTATACACATCT
配列番号:4-A14
TCGTCGGCAGCGTC
配列番号:5-B15
GTCTCGTGGGCTCGG
配列番号:6-ME
AGATGTGTATAAGAGACAG
配列番号:7-P5
AATGATACGGCGACCACCGAGAUCTACAC
配列番号:8-P7
CAAGCAGAAGACGGCATACGAG
配列番号:9-P5_A14_ME
AATGATACGGCGACCACCGAGATCTACACTCGTCGGCAGCGTCAGATGTGTATAAGAGACAG
配列番号:10-P_ME’_B15
5Phos/CTGTCTCTTATACACATCTCCGAGCCCACGAGAC
配列番号:11-Bio_P7_i701_B1_5_ddC
5Biosg/CAAGCAGAAGACGGCATACGAGATTCGCCTTAGTCTCGTGGGCTCGG/3ddC/
配列番号:12-A14’_P5’_bio
GACGCTGCCGACGAGTGTAGATCTCGGTGGTCGCCGTATCATT/3Bio/
配列番号:13-P_A14_ME
5Phos/TCGTCGGCAGCGTCAGATGTGTATAAGAGACAG
配列番号:14-A14’_nitro_P5’_bio
GACGCTGCCGACGACCC/i5NitInd//i5NitInd//i5NitInd//i5NitInd//i5NitInd//i5NitInd//i5NitInd//i5NitInd/GTGTAGATCTCGGTGGTCGCCGTATCATT/3Bio/
配列番号:15-A14’_12anc’_2sp_P5’_bio
GACGCTGCCGACGACCGAGCATATCC/iSp18//iSp18/GTGTAGATCTCGGTGGTCGCCGTATCATT/3BioTEG/
配列番号:16-P5_i501
AATGATACGGCGACCACCGAGATCTACACTAGATCGC
配列番号:17-P_i701’_P7_ddC
5Phos/TAAGGCGAATCTCGTATGCCGTCTTCTGCTTG/3ddC/
配列番号:18-P7_i701_B15_ddC
CAAGCAGAAGACGGCATACGAGATTCGCCTTAGTCTCGTGGGCTCGG/3ddC/
配列番号:19-P5_i501_12anc
AATGATACGGCGACCACCGAGATCTACACTAGATCGCGGATATGCTCGG
配列番号:20-ビオチン化オリゴヌクレオチド
/5Biosg/TTUUUAATGATACGGCGACCACCGAGATCTACACTCGTCGGCAGCGTCAGATGTGTATAAGAGACA
配列番号:21-ME’_B15’_P7’
CTGTCTCTTATACACATCTCCGAGCCCACGAGACATCTCGTATGCCGTCTTCTGCTTG
配列番号:22-例示的なアンカー配列
GGATATGCTCGG
配列番号:23:例示的な配列X
ATCTGACTATCCCCTGCG
配列番号:24:例示的な配列X’
CGCAGGGGATAGTCAGAT
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図9C
図10
【配列表】
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