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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-25
(45)【発行日】2024-10-03
(54)【発明の名称】新規のエアロゾル発生基体
(51)【国際特許分類】
   A24B 15/14 20060101AFI20240926BHJP
   A24F 40/20 20200101ALI20240926BHJP
   A24F 40/70 20200101ALI20240926BHJP
【FI】
A24B15/14
A24F40/20
A24F40/70
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021564123
(86)(22)【出願日】2020-05-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-27
(86)【国際出願番号】 EP2020064178
(87)【国際公開番号】W WO2020239597
(87)【国際公開日】2020-12-03
【審査請求日】2023-05-15
(31)【優先権主張番号】19176618.7
(32)【優先日】2019-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】アルント ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】カンパノーニ プリスカ
(72)【発明者】
【氏名】クノール アルノ
(72)【発明者】
【氏名】ラング ゲルハルト
(72)【発明者】
【氏名】シャーラー ジャン-ピエール
【審査官】吉澤 伸幸
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-534266(JP,A)
【文献】国際公開第2019/043119(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0038629(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第101156712(CN,A)
【文献】特表2019-509081(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24B 1/00 - 15/42
A24F 40/00 - 47/00
A61M 11/00 - 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生基体を含むエアロゾル発生物品であって、前記エアロゾル発生基体が均質化した植物材料を含み、前記均質化した植物材料が、乾燥重量基準で少なくとも2.5重量パーセントのユーカリ粒子、エアロゾル形成体、および結合剤を含み、前記エアロゾル発生基体が、
乾燥重量基準で、前記基体1グラム当たり少なくとも0.04mgのユーカリプトールと、
乾燥重量基準で、前記基体1グラム当たり少なくとも0.2mgのユーカリプチンと、
乾燥重量基準で、前記基体1グラム当たり少なくとも0.2mgの8-デスメチルユーカリプチンを含む、エアロゾル発生物品。
【請求項2】
前記基体1グラム当たりの前記ユーカリプチンの量が、前記基体1グラム当たりの前記ユーカリプトールの量の少なくとも3倍であり、前記基体1グラム当たりの前記8-デスメチルユーカリプチンの量が、前記基体1グラム当たりの前記ユーカリプトールの量の少なくとも3倍である、請求項1に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項3】
試験方法Aによる前記エアロゾル発生基体の加熱に伴い、
乾燥重量基準で、前記基体1グラム当たり少なくとも10マイクログラムのユーカリプトールと、
乾燥重量基準で、前記基体1グラム当たり少なくとも10マイクログラムのユーカリプチンと、
乾燥重量基準で、前記基体1グラム当たり少なくとも10マイクログラムの8-デスメチルユーカリプチンと、を含むエアロゾルが発生され、
前記基体1グラム当たりの前記ユーカリプトールの量が、前記基体1グラム当たりの前記ユーカリプチンの量の2倍以下であり、前記基体1グラム当たりの前記ユーカリプトールの量が、前記基体1グラム当たりの前記8-デスメチルユーカリプチンの量の2倍以下である、請求項1または2に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項4】
前記エアロゾル発生基体の加熱に伴い発生される前記エアロゾルが、前記基体1グラム当たり少なくとも0.1ミリグラムのニコチンをさらに含む、請求項3に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項5】
前記基体1グラム当たりの前記ユーカリプトールの量が、前記基体1グラム当たりの前記ユーカリプチンの量の1.2倍以下であり、前記基体1グラム当たりの前記ユーカリプトールの量が、前記基体1グラム当たりの前記8-デスメチルユーカリプチンの量の1.2倍以下である、請求項3または4に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項6】
前記均質化した植物材料が、乾燥重量基準で最大で97重量パーセントのたばこ粒子をさらに含む、請求項1~5のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項7】
前記ユーカリ粒子と前記たばこ粒子の重量比が1:4以下である、請求項6に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項8】
前記結合剤がグアーガムを含む、請求項1~7のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項9】
前記エアロゾル発生基体中の前記均質化した植物材料が、キャストリーフの形態である、請求項1~8のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項10】
前記エアロゾル発生基体が、前記均質化した植物材料の一つ以上のシートを含み、前記均質化した植物材料の一つ以上のシートが各々個別に、
100μm~600μmの厚さ、または、
100g/m 2 ~300g/m 2 の坪量、のうちの一つ以上を含む、請求項1~のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項11】
前記エアロゾル発生基体がサセプタを含む、請求項1に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項12】
試験方法Aによる前記エアロゾル発生基体の加熱に伴い、前記エアロゾル発生基体から発生される前記エアロゾルが、
エアロゾルの吸煙当たり少なくとも0.2マイクログラムの量のユーカリプトールと、
エアロゾルの吸煙当たり少なくとも0.2マイクログラムの量のユーカリプチンと、
エアロゾルの吸煙当たり少なくとも0.2マイクログラムの量の8-デスメチルユーカリプチンと、を含み、
エアロゾルの吸煙が、喫煙機械によって発生される55ミリリットルの容積を有し、吸煙当たりの前記ユーカリプトールの量が、吸煙当たりの前記ユーカリプチンの量の2倍以下であり、吸煙当たりの前記ユーカリプトールの量が、吸煙当たりの前記8-デスメチルユーカリプチンの量の2倍以下である、請求項1~1のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項13】
乾燥重量基準で、少なくとも2.5重量パーセントのユーカリ粒子、エアロゾル形成体、および結合剤を含む均質化した植物材料を含むエアロゾル発生基体であって、前記エアロゾル発生基体が、
乾燥重量基準で、前記基体1グラム当たり少なくとも0.04mgのユーカリプトールと、
乾燥重量基準で、前記基体1グラム当たり少なくとも0.2mgのユーカリプチンと、
乾燥重量基準で、前記基体1グラム当たり少なくとも0.2mgの8-デスメチルユーカリプチンと、を含む、エアロゾル発生基体。
【請求項14】
発熱体を備えるエアロゾル発生装置と、
請求項1~1のいずれかに記載のエアロゾル発生物品と、を備える、エアロゾル発生システム。
【請求項15】
請求項1に記載のエアロゾル発生基体の加熱に伴い生成されるエアロゾルであって、前記エアロゾルが、
エアロゾルの吸煙当たり少なくとも0.2マイクログラムの量のユーカリプトールと、
エアロゾルの吸煙当たり少なくとも0.2マイクログラムの量のユーカリプチンと、
エアロゾルの吸煙当たり少なくとも0.2マイクログラムの量の8-デスメチルユーカリプチンと、を含み、
エアロゾルの吸煙が、喫煙機械によって発生される55ミリリットルの容積を有し、吸煙当たりの前記ユーカリプトールの量が、吸煙当たりの前記ユーカリプチンの量の2倍以下であり、前記均質化した植物材料1グラム当たりの前記ユーカリプトールの量が、吸煙当たりの前記8-デスメチルユーカリプチンの量の2倍以下である、エアロゾル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーカリ粒子から形成された均質化した植物材料を備えたエアロゾル発生基体、およびこうしたエアロゾル発生基体を組み込んだエアロゾル発生物品に関する。本発明はさらに、ユーカリ粒子を含むエアロゾル発生基体に由来するエアロゾルに関する。
【背景技術】
【0002】
たばこ含有基体などのエアロゾル発生基体が燃焼されるのではなく加熱されるエアロゾル発生物品は、当業界で公知である。典型的に、こうした物品においてエアロゾルは、熱源からの熱を、物理的に分離されたエアロゾル発生基体または材料に伝達することによって発生され、このエアロゾル発生基体または材料は熱源に接触して、または熱源の中に、または熱源の周囲に、または熱源の下流に位置していてもよい。エアロゾル発生物品の使用中、揮発性化合物は、熱源からの熱伝達によって基体から放出され、物品を通して引き出された空気中に混入される。放出された化合物は冷えるにつれて凝縮してエアロゾルを形成する。
【0003】
一部のエアロゾル発生物品は、消費者に異なる感覚体験を提供するため、例えば、エアロゾルの風味を高めるために物品の使用中に消費者に送達される風味剤を備える。風味剤は、エアロゾルを吸入するユーザーに、味覚(味わい)、嗅覚(匂い)、または味覚および嗅覚の両方を送達するのに使用されうる。風味剤を含む加熱式エアロゾル発生物品を提供することは公知である。
【0004】
また、たばこロッドが燃焼するように、紙巻きたばこのマウスピースの反対端を点火して吸入可能な煙を発生させることによって喫煙される従来の可燃性紙巻たばこに、風味剤を提供することも公知である。たばこが燃焼されるにつれて主流煙に追加的な風味を提供するために、典型的には一つ以上の風味剤がたばこロッド内のたばこと混合される。こうした風味剤は、例えば、精油として提供されうる。
【0005】
口内に位置する受容体と相互作用する多数の成分を含む従来の紙巻たばこからのエアロゾルは、「こく」という感覚、すなわち比較的強い口あたりを提供する。「口あたり」とは、本明細書で使用される場合、食物、飲料、またはエアロゾルによって引き起こされる口内の物理的な感覚を指し、味わいとは異なる。口あたりは、味わいや匂いとともに、食品やエアロゾルの全体的な風味を決定する基本的な感覚属性である。
【0006】
従来の可燃性紙巻たばこによって提供される消費者体験を、エアロゾル発生基体が燃焼されるのではなく加熱されるエアロゾル発生物品によって再現することには困難さがある。これは、こうしたエアロゾル発生物品の加熱中に達する温度がより低温であり、それによって異なるプロファイルの揮発性化合物が放出されることに部分的に起因する。
【0007】
改善された風味およびこくを有するエアロゾルを提供する加熱式エアロゾル発生物品のための新規なエアロゾル発生基体を提供することが望ましい。こうしたエアロゾル発生基体は、従来の可燃性紙巻たばこによって提供されるものに匹敵する感覚体験を有するエアロゾルを提供することができる場合に特に望ましい。
【0008】
エアロゾル発生物品に容易に組み込むことができ、かつ既存の高速な方法および装置を使用して製造することができる、こうしたエアロゾル発生基体を提供することがさらに望ましい。
【発明の概要】
【0009】
本発明によれば、エアロゾル発生基体を備え、エアロゾル発生基体がユーカリ粒子を含む均質化した植物材料を含む、エアロゾル発生物品が提供されている。本発明によれば、エアロゾル発生基体は、乾燥重量基準で、基体1グラム当たり少なくとも0.04mgのユーカリプトールと、乾燥重量基準で、基体1グラム当たり少なくとも0.2mgのユーカリプチンと、乾燥重量基準で、基体1グラム当たり少なくとも0.2mgの8-デスメチルユーカリプチンとを含む。
【0010】
本発明によれば、エアロゾル発生基体を備え、エアロゾル発生基体がユーカリ粒子を含む均質化した植物材料を含んでいる、エアロゾル発生物品がさらに提供されている。以下に記載する試験方法Aによるエアロゾル発生基体の加熱に伴い、乾燥重量基準で、基体1グラム当たり少なくとも10マイクログラムのユーカリプトールと、乾燥重量基準で、基体1グラム当たり少なくとも10マイクログラムのユーカリプチンと、乾燥重量基準で、基体1グラム当たり少なくとも10マイクログラムの8-デスメチルユーカリプチンとを含むエアロゾルが発生される。本発明によれば、基体1グラム当たりのユーカリプトールの量は、基体1グラム当たりのユーカリプチンの量の2倍以下であり、基体1グラム当たりのユーカリプトールの量は、基体1グラム当たりの8-デスメチルユーカリプチンの量の2倍以下である。
【0011】
本発明によれば、エアロゾル発生基体を備え、エアロゾル発生基体が乾燥重量基準で少なくとも2.5重量パーセントのユーカリ粒子を含む均質化した植物材料を含んでいる、エアロゾル発生物品がさらに提供されている。
【0012】
本発明によれば、エアロゾル発生基体を備え、エアロゾル発生基体が均質化した植物材料を含み、試験方法Aによるエアロゾル発生基体の加熱に伴い、エアロゾル発生基体から発生されるエアロゾルは、エアロゾルの吸煙当たり少なくとも0.2マイクログラムの量のユーカリプトールと、エアロゾルの吸煙当たり少なくとも0.2マイクログラムの量のユーカリプチンと、エアロゾルの吸煙当たり少なくとも0.2マイクログラムの量の8-デスメチルユーカリプチンとを含み、エアロゾルの吸煙は、喫煙機械によって発生される55ミリリットルの容積を有する、エアロゾル発生物品がさらに提供されている。本発明によれば、吸煙当たりのユーカリプトールの量は、吸煙当たりのユーカリプチンの量の2倍以下であり、均質化した植物材料1グラム当たりのユーカリプトールの量は、吸煙当たりの8-デスメチルユーカリプチンの量の2倍以下である。
【0013】
本発明によれば、ユーカリ粒子を含む均質化した植物材料を備えたエアロゾル発生基体がさらに提供されている。試験方法Aによるエアロゾル発生基体の加熱に伴い、乾燥重量基準で、エアロゾル発生基体1グラム当たり少なくとも10マイクログラムのユーカリプトールと、乾燥重量基準で、エアロゾル発生基体1グラム当たり少なくとも10マイクログラムのユーカリプチンと、乾燥重量基準で、エアロゾル発生基体1グラム当たり少なくとも10マイクログラムの8-デスメチルユーカリプチンとを含むエアロゾルが発生される。本発明によれば、エアロゾル発生基体1グラム当たりのユーカリプトールの量は、エアロゾル発生基体1グラム当たりのユーカリプチンの量の2倍以下であり、エアロゾル発生基体1グラム当たりのユーカリプトールの量は、エアロゾル発生基体1グラム当たりの8-デスメチルユーカリプチンの量の2倍以下である。
【0014】
本発明によれば、上記に定義する本発明によるエアロゾル発生物品を提供することと、エアロゾル発生物品のエアロゾル発生基体を摂氏150度~摂氏400度の範囲の温度に加熱することとを含む、エアロゾルを発生させる方法がさらに提供されている。
【0015】
本発明は、エアロゾル発生基体の加熱に伴い生成されるエアロゾルをさらに提供し、エアロゾルは、エアロゾルの吸煙当たり少なくとも0.2マイクログラムの量のユーカリプトールと、エアロゾルの吸煙当たり少なくとも0.2マイクログラムの量のユーカリプチンと、エアロゾルの吸煙当たり少なくとも0.2マイクログラムの量の8-デスメチルユーカリプチンとを含み、エアロゾルの吸煙は、試験方法Aの喫煙機械によって発生される55ミリリットルの容積を有する。本発明によれば、吸煙当たりのユーカリプトールの量は、吸煙当たりのユーカリプチンの量の2倍以下であり、均質化した植物材料1グラム当たりのユーカリプトールの量は、吸煙当たりの8-デスメチルユーカリプチンの量の2倍以下である。
【0016】
本発明は、ユーカリ粒子、随意にたばこ粒子、水、結合剤、およびエアロゾル形成体を含むスラリーを形成することと、スラリーをシートまたはストランドの形態でキャスティングまたは押出成形することと、シートまたはストランドを摂氏80度~摂氏160度で乾燥させることとを含む、エアロゾル発生基体を作製する方法をさらに提供する。エアロゾル発生基体のシートが形成される場合、シートは、随意にストランドに切断されてもよく、またはシートを集合してロッドを形成してもよい。シートは、随意に、集合工程の前に捲縮されてもよい。
【0017】
本発明のエアロゾル発生基体およびエアロゾルに対する以下の言及は、別途記載のない限り、本発明のすべての態様に適用可能であると考えられる。
【0018】
本明細書で使用される場合、「エアロゾル発生物品」という用語は、エアロゾルを生成するための物品を指し、ここで物品は、エアロゾルを形成できる揮発性化合物を放出するために、加熱または燃焼されることが適切であって意図されるエアロゾル発生基体を備える。従来の紙巻たばこは、ユーザーが紙巻たばこの一方の端に炎を当てて、もう一方の端を通して空気を引き出す時に点火される。炎と紙巻たばこを通して引き出された空気中の酸素によって提供された局在化した熱は、紙巻たばこの端部を点火させて、その結果生じる燃焼は吸入可能な煙を発生する。対照的に、「加熱式エアロゾル発生物品」では、エアロゾル発生基体を燃焼することによってではなく、エアロゾル発生基体を加熱することによってエアロゾルが発生される。公知の加熱式エアロゾル発生物品としては例えば、電気加熱式エアロゾル発生物品と、可燃性燃料要素または熱源からの熱を、物理的に分離されたエアロゾル発生基体に伝達することによってエアロゾルが発生されるエアロゾル発生物品とが挙げられる。
【0019】
また、エアロゾル発生物品にエアロゾル形成体を供給するエアロゾル発生システムで使用されるように適合されたエアロゾル発生物品も公知である。こうしたシステムでは、エアロゾル発生物品中のエアロゾル発生基体は、動作中にエアロゾルを形成するために使用される実質的にすべてのエアロゾル形成体を搬送および提供するエアロゾル発生基体に対して、実質的により少ないエアロゾル形成体を含む。
【0020】
本明細書で使用される「エアロゾル発生基体」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を加熱に伴い生成する能力を有する基体を指す。エアロゾル発生基体から発生されるエアロゾルは、人の目で見えても見えなくてもよく、ベイパー(例えば、室温では通常、液体または固体である物質の気体状の微粒子)、ならびに凝縮されたベイパーの気体および液滴を含んでもよい。
【0021】
本明細書で使用される「均質化した植物材料」という用語は、植物の粒子の凝集によって形成された任意の植物材料を包含する。例えば、本発明のエアロゾル発生基体のための均質化した植物材料のシートまたはウェブは、ユーカリ植物材料および随意に、たばこ葉身およびたばこ葉茎のうちの一つ以上をすり潰す、粉砕する、または細分することによって取得された植物材料の粒子を凝集することによって形成されうる。均質化した植物材料は、キャスティング、押出成形、製紙プロセス、または当業界で公知の他の任意の適切なプロセスによって生成されてもよい。
【0022】
本明細書で使用される「ユーカリ粒子」という用語は、ユーカリ属の植物に由来する粒子、好ましくは、好ましくは、E.グロブルス、E.ラディアータ、E.シトリオドラ、およびE.スミスイのうちの一つ以上に由来する粒子、最も好ましくは、粉砕または粉末状態のユーカリ葉身などのE.グロブルスに由来する粒子、ならびに粉砕または粉末状態のユーカリ葉茎に由来する粒子を包含する。ユーカリ葉粒子は、ユーカリ植物の葉だけからなる。ユーカリ茎粒子は、ユーカリ植物の茎だけからなる。本発明のエアロゾル発生基体中のユーカリ粒子は、ユーカリ葉粒子、ユーカリ茎粒子、またはユーカリ葉粒子およびユーカリ茎粒子の両方を含みうる。
【0023】
対照的に、ユーカリ精油は蒸留物であり、ユーカリプトールはユーカリ由来の化合物である。これらはユーカリ粒子とはみなされず、粒子状植物材料の割合には含まれない。
【0024】
本発明は、ユーカリ粒子を含む均質化した植物材料で形成されたエアロゾル発生基体と、こうしたエアロゾル発生基体に由来するエアロゾルとを組み込んだエアロゾル発生物品を提供する。本発明の発明者らは、ユーカリ粒子をエアロゾル発生基体に組み込むことによって、有利なことに、新規な感覚体験を提供するエアロゾルを生成することができることを見出した。こうしたエアロゾルは、独特の風味を提供し、増大したレベルのこくを提供しうる。
【0025】
さらに、発明者らは、ユーカリ油などのユーカリ添加剤の添加によって生成されるエアロゾルと比較して、有利なことに、改善されたユーカリ芳香および風味を有するエアロゾルを生成することが可能であることを見出した。ユーカリ油はユーカリ植物の葉から蒸留され、おそらくは特定の風味剤を選択的に除去または保持しうる蒸留プロセスに起因して、ユーカリ粒子とは異なる風味剤の組成を有する。さらに、本明細書で提供される特定のエアロゾル発生基体では、ユーカリ粒子は望ましいユーカリ風味を提供するのに十分なレベルで組み込まれ、一方で消費者に望ましいレベルのニコチンを提供するのに十分なたばこ材料を維持する。
【0026】
さらに、驚くべきことに、エアロゾル発生基体中にユーカリ粒子を含めることは、ユーカリ粒子を有さない、100パーセントのたばこ粒子を含むエアロゾル発生基体から生成されるエアロゾルと比較して、特定の望ましくないエアロゾル化合物の有意な低減を提供することが見出された。
【0027】
ユーカリによって放出される風味は、加熱に伴い揮発されてエアロゾルに伝達される一つ以上の揮発性風味剤の存在に起因する。ユーカリプトール(1-8-シネオール、化学式:C1018O、Chemical Abstracts Service Registry Number 470-82-6)は、典型的には、質量で、ユーカリ精油(Chemical Abstracts Service Registry Number 8000-48-4)の約62.4%~約82.2%を占める。ユーカリプトールに加えて、ユーカリは、テルピネオール、セスキテルペンアルコール、各種脂肪族アルデヒド、イソアミルアルコール、エタノール、およびテルペンを含有する(Fenaroli’s Handbook of Flavour Ingredients,6th Ed./George A.Burdock,2010.ISBN 978-1-4200-9077-2)。
【0028】
均質化した植物材料(キャストリーフなど)中のユーカリの存在は、DNAバーコーディングによって確実に識別されうる。核遺伝子ITS2、rbcLおよびmatK系統、ならびに色素体遺伝子間スペーサーtrnH-psbAに基づいてDNAバーコーディングを実施するための方法は、当該技術分野で公知であり、使用することができる(Chen S,Yao H,Han J,Liu C,Song J,et al.(2010)Validation of the ITS2 Region as a Novel DNA Barcode for Identifying Medicinal Plant Species.PLoSONE 5(1):e8613;Hollingsworth PM,Graham SW,Little DP(2011)Choosing and Using a Plant DNA Barcode.PLoS ONE 6(5):e19254)。
【0029】
発明者らは、ユーカリ粒子およびユーカリ粒子とたばこ粒子の混合物を組み込んだ本発明のエアロゾル発生基体から発生されたエアロゾルの複雑な分析および特徴付け、およびこうしたエアロゾルと、ユーカリ粒子を有さないたばこ材料から形成された既存のエアロゾル発生基体から生成されたエアロゾルとの比較を実行した。これに基づいて、発明者らは、エアロゾル中に存在し、ユーカリ粒子に由来する化合物である「特徴的な化合物」の群を識別することができた。したがって、特定の範囲内の重量割合のエアロゾル内における特徴的な化合物の検出を使用して、ユーカリ粒子を含むエアロゾル発生基体に由来するエアロゾルを識別することができる。これらの特徴的な化合物は特に、たばこ材料から発生されるエアロゾル中には存在しない。さらに、エアロゾル内における特徴的な化合物の割合および特徴的な化合物の互いに対する比は、ユーカリ油ではなく、ユーカリ植物材料の使用を明確に示している。同様に、これらの特徴的な化合物が特定の割合でエアロゾル発生基体内に存在することは、基体内にユーカリ粒子が含まれていることを示している。
【0030】
基体およびエアロゾル内の特徴的な化合物の定義されたレベルは、均質化した植物材料内に存在するユーカリ粒子に特異的である。特徴的な化合物それぞれのレベルは、均質化した植物材料の製造中にユーカリ粒子が処理された方法に依存する。レベルはまた、均質化した植物材料の組成にも依存し、特に、均質化した植物材料内の他の成分のレベルによって影響を受ける場合がある。均質化した植物材料内の特徴的な化合物のレベルは、開始ユーカリ材料内の同じ化合物のレベルとは異なりうる。また、これは、ユーカリ粒子を含有するが、本明細書に定義される本発明によらない材料内の特徴的な化合物のレベルとは異なりうる。
【0031】
エアロゾルの特徴付けを実行するために、発明者らは、飛行時間型質量分析計(GCxGC-TOFMS)に結合された二次元ガスクロマトグラフィーと並行して、高分解能精密質量分析計(LC-HRAM-MS)に結合された液体クロマトグラフィーを使用する相補的な非標的ディファレンシャルスクリーニング(NTDS)を使用した。
【0032】
非標的スクリーニング(NTS)は、未知の検出された化合物の特徴をスペクトルデータベースと一致させる(サスペクトスクリーニング[SSA])、または事前知識の一致がない場合に、例えば、化合物データベースからのインシリコの予測フラグメントに一致する一次フラグメンテーション(MS/MS)由来情報を使用して未知の構造を解明する(非標的分析[NTA])、のいずれかによって、複雑なマトリクスの化学組成を特徴付けるための重要な方法である。NTSは、公平なアプローチを使用して、サンプルから多数の小分子を半定量するための同時測定と能力を可能にする。
【0033】
上述の通り、サンプル間の化学組成の有意な差を管理されていない方法で評価するために二つ以上のエアロゾルサンプルの比較に焦点を当てる場合、または事前知識に関連する群がサンプル群間で入手可能な場合には、非標的ディファレンシャルスクリーニング(NTDS)が実施されうる。飛行時間型質量分析計(GCxGC-TOFMS)に結合された二次元ガスクロマトグラフィーと並行して、高分解能精密質量分析計(LC-HRAM-MS)に結合された液体クロマトグラフィーを使用する相補的なディファレンシャルスクリーニングは、粒子状植物材料としてユーカリを100重量%含む物品に由来するエアロゾルと、粒子状植物材料としてたばこを100重量%含む物品に由来するエアロゾルとの間のエアロゾル組成物の最も関連性がある差を識別するための包括的な分析範囲を確実とするために適用される。
【0034】
エアロゾルを、以下に詳細に記載する装置および方法を使用して発生および収集した。
【0035】
フルスキャンモードとデータ依存型モードの両方で、Thermo QExactive(商標)高分解能質量分析計を使用してLC-HRAM-MS分析を実行した。よって、異なるイオン化特性および化合物クラスを有する広範囲の物質を網羅するために、三つの異なる方法を適用した。正のモードおよび負のモードの加熱式エレクトロスプレーイオン化(HESI)、および正のモードの大気圧化学イオン化(APCI)によるRPクロマトグラフィーを使用してサンプルを分析した。方法は:Arndt,D.et al,“Indepth characterization of chemical differences between heat-not-burn tobacco products and cigarettes using LC-HRAM-MS-based non-targeted differential screening”(DOI:10.13140/RG.2.2.11752.16643)、Wachsmuth,C.et al,“Comprehensive chemical characterisation of complex matrices through integration of multiple analytical modes and databases for LC-HRAM-MS-based non-targeted screening”(DOI:10.13140/RG.2.2.12701.61927)、および“Buchholz,C.et al,“Increasing confidence for compound identification by fragmentation database and in silico fragmentation comparison with LC-HRAM-MS-based non-targeted screening of complex matrices”(DOI:10.13140/RG.2.2.17944.49927)(全て、66th ASMS Conference on Mass Spectrometry and Allied Topics,San Diego,USA(2018)より)に記載されている。
【0036】
GCxGC-TOFMS分析を、エアロゾル内の非極性化合物、極性化合物、または高揮発性化合物に対して三つの異なる方法で、オート液体インジェクター(モデル7683B)を備えたAgilent GC Model 6890Aまたは 7890A測定器、およびLECO Pegasus 4D(商標)質量分析計に結合された熱変調器を使用して実行した。方法は:Almstetter et al,“Non-targeted screening using GC×GC-TOFMS for in-depth chemical characterization of aerosol from a heat-not-burn tobacco product”(DOI:10.13140/RG.2.2.36010.31688/1)、および Almstetter et al,“Non-targeted differential screening of complex matrices using GC×GC-TOFMS for comprehensive characterization of the chemical composition and determination of significant differences”(DOI:10.13140/RG.2.2.32692.55680)(それぞれ、66th and 64th ASMS Conferences on Mass Spectrometry and Allied Topics,San Diego,USAより)に記載されている。
【0037】
分析方法からの結果は、こうした物品によって発生されるエアロゾルの差の原因である主要な化合物に関する情報を提供した。分析プラットフォームLC-HRAM-MSおよびGCxGC-TOFMSの両方を使用する非標的ディファレンシャルスクリーニングの焦点は、100パーセントのたばこ粒子を含むエアロゾル発生基体の比較サンプルに対して、100パーセントのユーカリ粒子を含む本発明によるエアロゾル発生基体のサンプルのエアロゾル中に、より多い量で存在した化合物に置かれた。NTDS方法は、上記に列挙した文献で説明されている。
【0038】
この情報に基づいて、発明者らは、基体中のユーカリ粒子に由来する「特徴的な化合物」と考えられうるエアロゾル内の特定の化合物を識別することができた。ユーカリに特有の特徴的な化合物としては、ユーカリプチン、8-デスメチルユーカリプチン、およびユーカリプトールが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の目的のために、標的スクリーニングを、エアロゾル発生基体のサンプルに実施して、基体中の特徴的な化合物のそれぞれの存在および量を識別しうる。こうした標的スクリーニング方法について以下に説明する。記載の通り、特徴的な化合物は、エアロゾル発生基体およびエアロゾル発生基体に由来するエアロゾルの両方において検出および測定されうる。
【0039】
上記で定義されるように、本発明のエアロゾル発生物品は、ユーカリ粒子を含む均質化した植物材料から形成されたエアロゾル発生基体を含む。ユーカリ粒子を包含する結果として、エアロゾル発生基体は、上述の通り、特定の割合のユーカリの「特徴的な化合物」を含む。特に、エアロゾル発生基体は、乾燥重量基準で、基体1グラム当たり少なくとも約0.04mgのユーカリプトールと、基体1グラム当たり少なくとも約0.2mgのユーカリプチンと、基体1グラム当たり少なくとも約0.2mgの8-デスメチルユーカリプチンとを含む。
【0040】
望ましいレベルの特徴的な化合物に対してエアロゾル発生基体を定義することによって、原材料中の特徴的な化合物のレベルの潜在的な差にもかかわらず、製品間の一貫性を確実にすることが可能である。これにより、有利なことに、製品の品質をより効果的に制御することが可能になる。
【0041】
エアロゾル発生基体は、乾燥重量基準で、基体1グラム当たり少なくとも約0.1mgのユーカリプトールを含むことが好ましく、基体1グラム当たり少なくとも約0.5mgのユーカリプトールを含むことがより好ましい。別の方法として、または追加的に、エアロゾル発生基体は、基体1グラム当たり約4mg以下のユーカリプトールを含むことが好ましく、基体1グラム当たり約2mg以下のユーカリプトールを含むことがより好ましく、基体1グラム当たり約1mg以下のユーカリプトールを含むことがより好ましい。例えば、エアロゾル発生基体は、乾燥重量基準で、基体1グラム当たり約0.04mg~約4mgのユーカリプトール、または基体1グラム当たり約0.1mg~約2mgのユーカリプトール、または基体1グラム当たり約0.5mg~約1mgのユーカリプトールを含んでもよい。
【0042】
エアロゾル発生基体は、乾燥重量基準で、基体1グラム当たり少なくとも約2mgのユーカリプチンを含むことが好ましく、基体1グラム当たり少なくとも約4mgのユーカリプチンを含むことがより好ましい。別の方法として、または追加的に、エアロゾル発生基体は、基体1グラム当たり約8mg以下のユーカリプチンを含むことが好ましく、基体1グラム当たり約7mg以下のユーカリプチンを含むことがより好ましく、基体1グラム当たり約6mg以下のユーカリプチンを含むことがより好ましい。例えば、エアロゾル発生基体は、乾燥重量基準で、基体1グラム当たり約0.2mg~約8mgのユーカリプチン、または基体1グラム当たり約2mg~約7mgのユーカリプチン、または基体1グラム当たり約4mg~約6mgのユーカリプチンを含んでもよい。
【0043】
エアロゾル発生基体は、乾燥重量基準で、基体1グラム当たり少なくとも約2mgの8-デスメチルユーカリプチンを含むことが好ましく、基体1グラム当たり少なくとも約4mgの8-デスメチルユーカリプチンを含むことがより好ましい。別の方法として、または追加的に、エアロゾル発生基体は、基体1グラム当たり約8mg以下の8-デスメチルユーカリプチンを含むことが好ましく、基体1グラム当たり約7mg以下の8-デスメチルユーカリプチンを含むことがより好ましく、基体1グラム当たり約6mg以下の8-デスメチルユーカリプチンを含むことがより好ましい。例えば、エアロゾル発生基体は、乾燥重量基準で、基体1グラム当たり約0.2mg~約8mgの8-デスメチルユーカリプチン、または基体1グラム当たり約2mg~約7mgの8-デスメチルユーカリプチン、または基体1グラム当たり約4mg~約6mgの8-デスメチルユーカリプチンを含んでもよい。
【0044】
エアロゾル発生基体中の特徴的な化合物の比は、乾燥重量基準で、基体1グラム当たりのユーカリプチンの量が基体1グラム当たりのユーカリプトールの量の少なくとも3倍であることが好ましく、基体1グラム当たりのユーカリプトールの量の少なくとも4倍であることがより好ましい。別の方法として、または追加的に、乾燥重量基準で、基体1グラム当たりの8-デスメチルユーカリプチンの量は、基体1グラム当たりのユーカリプトールの量の少なくとも3倍である。ユーカリプチンおよび8-デスメチルユーカリプチンがユーカリプトールよりも高レベルで存在することは、ユーカリ粒子の包含の特徴である。対照的に、ユーカリ油は、ユーカリプチンおよび8-デスメチルユーカリプチンのレベルよりも有意に高いユーカリプトールのレベルを含む。
【0045】
上記で定義されるように、本発明はまた、ユーカリ粒子を含む均質化した植物材料から形成されたエアロゾル発生基体を備え、エアロゾル発生基体の加熱に伴い、ユーカリの「特徴的な化合物」を含むエアロゾルが発生される、エアロゾル発生物品を提供する。
【0046】
本発明の目的のために、エアロゾル発生基体は「試験方法A」に従って加熱される。試験方法Aにおいて、エアロゾル発生基体を組み込んだエアロゾル発生物品は、カナダ保健省の機械式喫煙レジメン下で、たばこ加熱システム2.2ホルダー(THS2.2ホルダー)で加熱される。
【0047】
たばこ加熱システム2.2ホルダー(THS2.2ホルダー)は、Smith et al.,2016,Regul.Toxicol.Pharmacol.81(S2)S82-S92に記載される市販のiQOS装置(Philip Morris Products SA、スイス)に対応する。
【0048】
カナダ保健省の喫煙レジメンは、カナダ保健省2000年たばこ製品情報規則SOR/2000-273、別表2(カナダ法務省発行)で明確に定義され、受け入れられている喫煙プロトコルである。試験方法はISO/TR 19478-1:2014に説明されている。カナダ保健省の喫煙試験では、換気が存在する場合には、全ての換気を遮断した状態で、55ミリメートルの吸煙容積、2秒の吸煙持続時間、および30秒の吸煙間隔による12回の吸煙にわたってサンプルのエアロゾル発生基体からエアロゾルが収集される。
【0049】
したがって、本発明の文脈において、「試験方法Aによるエアロゾル発生基体の加熱に伴い」という表現は、カナダ保健省2000年たばこ製品情報規則SOR/2000-273、別表2(カナダ法務省発行)、カナダ保健省の機械式喫煙レジメン下で、THS2.2ホルダーでエアロゾル発生基体を加熱したときのことを意味し、この試験方法はISO/TR 19478-1:2014に説明されている。
【0050】
分析の目的のために、エアロゾル発生基体の加熱から発生されるエアロゾルを、使用される分析方法に応じて、適切な装置を使用して閉じ込める。
【0051】
LC-HRAM-MSによる分析のためにサンプルを生成する適切な方法では、粒子相は、調整された44mmのCambridgeガラス繊維フィルターパッド(ISO 3308に準拠)およびフィルターホルダー(ISO 4387およびISO 3308に準拠)を使用して閉じ込められる。残りの気相は、それぞれメタノール及び内部標準(ISTD)溶液(10mL)を含有する二つの連続したマイクロインピンジャー(20mL)を使用して、フィルターパッドから下流に収集され、ドライアイスとイソプロパノールの混合物を使用して摂氏-60度に維持した。次いで、閉じ込められた粒子相及び気相を再び組み合わせ、サンプルを振とうし、5分間攪拌して遠心分離(4500g、5分間、摂氏10度)することによって、メタノールを用いてマイクロインピンジャーから抽出する。結果として得られた抽出物をメタノールで希釈し、Eppendorf ThermoMixer で混合する(摂氏5度、2000 rpm)。抽出物からの試験サンプルを、特徴的な化合物を識別するために、フルスキャンモードおよびデータ依存型フラグメンテーションモードの組み合わせで LC-HRAM-MS によって分析する。本発明の目的のため、LC-HRAM-MS分析は、ユーカリプチン、および8-デスメチルユーカリプチンの識別および定量に適している。
【0052】
GCxGC-TOFMSによる分析のためのサンプルは、同様の方法で発生されうるが、GCxGC-TOFMS分析については、異なる溶媒が、エアロゾル全体から分離された極性化合物、非極性化合物、および揮発性化合物の抽出および分析に適切である。
【0053】
非極性化合物および極性化合物については、エアロゾル全体は、調整された44mmのCambridgeガラス繊維フィルターパッド(ISO 3308に準拠)およびフィルターホルダー(ISO 4387およびISO 3308に準拠)を使用して収集され、続いて、二つのマイクロインピンジャーが直列に接続されて密封される。各マイクロインピンジャー(20mL)は、内部標準(ISTD)および保持指標マーカー(RIM)化合物を含む10mLのジクロロメタン/メタノール(80:20 v/v)を含有する。マイクロインピンジャーは、ドライアイスとイソプロパノールの混合物を使用して摂氏-80度に維持される。非極性化合物の分析のために、エアロゾル全体の粒子相を、マイクロインピンジャーの内容物を使用してガラス繊維フィルターパッドから抽出する。結果として得られる抽出物のアリコート(10mL)に水を添加し、上述のようにサンプルを振とうして遠心分離する。ジクロロメタン層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥させて、フルスキャンモードでGCxGC-TOFMSにより分析する。極性化合物の分析については、上述の非極性サンプル調製からの残りの水層を使用する。ISTDおよびRIM化合物を水層に添加し、次いでこれをフルスキャンモードでGCxGC-TOFMSにより直接分析する。
【0054】
揮発性化合物については、エアロゾル全体は、それぞれISTDおよびRIM化合物を含む10mLのN,N-ジメチルホルムアミドで充填された、直列に接続および密封された二つのマイクロインピンジャー(20mL)を使用して収集される。マイクロインピンジャーは、ドライアイスとイソプロパノールの混合物を使用して、摂氏-50度~摂氏-60度に維持される。収集後、二つのマイクロインピンジャーの内容物を組み合わせ、フルスキャンモードでGCxGC-TOFMSによって分析する。
【0055】
本発明の目的のため、GCxGC-TOFMS分析は、ユーカリプトールの識別および定量に適している。
【0056】
試験方法Aによる本発明にエアロゾル発生基体の加熱に伴い発生されるエアロゾルは、上記に定義したように、特徴的な化合物、ユーカリプトール、ユーカリプチンおよび8-デスメチルユーカリプチンの量および比によって特徴付けられる。
【0057】
本発明によれば、エアロゾルは、乾燥重量基準で、エアロゾル発生基体1グラム当たり少なくとも10ミリグラムのユーカリプトール、エアロゾル発生基体1グラム当たり少なくとも10ミリグラムのユーカリプチン、およびエアロゾル発生基体1グラム当たり少なくとも10ミリグラムのユーカリプチンを含む。
【0058】
範囲は、エアロゾル発生基体(本明細書では「基体」とも称される)1グラム当たりの発生されたエアロゾル中の特徴的な化合物のそれぞれの量を定義する。これは、試験方法A中に収集されたエアロゾルにおいて測定された特徴的な化合物の総量を、加熱前のエアロゾル発生基体の乾燥重量で割った量と等しい。
【0059】
本発明によるエアロゾル発生基体から発生されるエアロゾルは、基体1グラム当たり少なくとも約50マイクログラムのユーカリプトールを含むことが好ましく、基体1グラム当たり少なくとも約200マイクログラムのユーカリプトールを含むことがより好ましい。別の方法として、または追加的に、エアロゾル発生基体から発生されるエアロゾルは、基体1グラム当たり最大で約750マイクログラムのユーカリプトール、好ましくは基体1グラム当たり最大で約600マイクログラムのユーカリプトール、より好ましくは基体1グラム当たり最大で約450マイクログラムのユーカリプトールを含む。例えば、エアロゾル発生基体から発生されるエアロゾルは、基体1グラム当たり約10マイクログラム~約750マイクログラムのユーカリプトール、または基体1グラム当たり約50マイクログラム~約600マイクログラムのユーカリプトール、または基体1グラム当たり約200マイクログラム~約450マイクログラムのユーカリプトールを含みうる。
【0060】
本発明によるエアロゾル発生基体から発生されるエアロゾルは、基体1グラム当たり少なくとも約50マイクログラムのユーカリプチンを含むことが好ましく、基体1グラム当たり少なくとも約200マイクログラムのユーカリプチンを含むことがより好ましい。別の方法として、または追加的に、エアロゾル発生基体から発生されるエアロゾルは、基体1グラム当たり最大で約750マイクログラムのユーカリプチン、好ましくは基体1グラム当たり最大で約600マイクログラムのユーカリプチン、より好ましくは基体1グラム当たり最大で約450マイクログラムのユーカリプチンを含む。例えば、エアロゾル発生基体から発生されるエアロゾルは、基体1グラム当たり約10マイクログラム~約750マイクログラムのユーカリプチン、または基体1グラム当たり約50マイクログラム~約600マイクログラムのユーカリプチン、または基体1グラム当たり約200マイクログラム~約450マイクログラムのユーカリプチンを含みうる。
【0061】
本発明によるエアロゾル発生基体から発生されるエアロゾルは、基体1グラム当たり少なくとも約50マイクログラムの8-デスメチルユーカリプチンを含むことが好ましく、基体1グラム当たり少なくとも約200マイクログラムの8-デスメチルユーカリプチンを含むことがより好ましい。別の方法として、または追加的に、エアロゾル発生基体から発生されるエアロゾルは、基体1グラム当たり最大で約750マイクログラムの8-デスメチルユーカリプチン、好ましくは基体1グラム当たり最大で約600マイクログラムの8-デスメチルユーカリプチン、より好ましくは基体1グラム当たり最大で約450マイクログラムの8-デスメチルユーカリプチンを含む。例えば、エアロゾル発生基体から発生されるエアロゾルは、基体1グラム当たり約10マイクログラム~約750マイクログラムの8-デスメチルユーカリプチン、または基体1グラム当たり約50マイクログラム~約600マイクログラムの8-デスメチルユーカリプチン、または基体1グラム当たり約200マイクログラム~約450マイクログラムの8-デスメチルユーカリプチンを含みうる。
【0062】
本発明によれば、試験方法A中にエアロゾル発生基体から発生されるエアロゾルは、基体1グラム当たりのユーカリプチンの量の2倍以下である、基体1グラム当たりのユーカリプトールの量を有する。したがって、ユーカリプトールとユーカリプチンの比は2:1以下である。
【0063】
基体1グラム当たりのユーカリプトールの量は、ユーカリプトールとユーカリプチンの比が1.5:1以下となるように、基体1グラム当たりのユーカリプチンの量の1.5倍以下であることが好ましい。基体1グラム当たりのユーカリプトールの量は、ユーカリプトールとユーカリプチンの比が1.2:1以下となるように、基体1グラム当たりのユーカリプチンの量の1.2倍以下であることがより好ましい。基体1グラム当たりのユーカリプトールの量は、ユーカリプトールとユーカリプチンの比が1:1以下となるように、基体1グラム当たりのユーカリプチンの量以下であることがより好ましい。
【0064】
本発明によれば、試験方法A中にエアロゾル発生基体から発生されるエアロゾルは、基体1グラム当たりの8-デスメチルユーカリプチンの量の2倍以下である、基体1グラム当たりのユーカリプトールの量を有する。したがって、ユーカリプトールと8-デスメチルユーカリプチンの比は2:1以下である。
【0065】
基体1グラム当たりのユーカリプトールの量は、ユーカリプトールと8-デスメチルユーカリプチンの比が1.5:1以下となるように、基体1グラム当たりの8-デスメチルユーカリプチンの量の1.5倍以下であることが好ましい。基体1グラム当たりのユーカリプトールの量は、ユーカリプトールと8-デスメチルユーカリプチンの比が1.2:1以下となるように、基体1グラム当たりのユーカリプトールの量の1.2倍以下であることがより好ましい。基体1グラム当たりのユーカリプトールの量は、ユーカリプトールと8-デスメチルユーカリプチンの比が1:1以下となるように、基体1グラム当たりの8-デスメチルユーカリプチンの量以下であることがより好ましい。
【0066】
エアロゾル中のユーカリプチンと8-デスメチルユーカリプチンの比は、1.2:1~1:1であることが好ましい。
【0067】
ユーカリプトールとユーカリプチンおよび8-デスメチルユーカリプチンの定義された比は、ユーカリ粒子に由来するエアロゾルを特徴付ける。対照的に、ユーカリ油から生成されるエアロゾルでは、ユーカリプトールとユーカリプチンの比、およびユーカリプトールと8-デスメチルユーカリプチンの比は、2:1よりも有意に大きくなるであろう。これは、ユーカリ植物材料と比較して、ユーカリ油中のユーカリプトールの割合が比較的高いことに起因する。
【0068】
試験方法A中に本発明のエアロゾル発生基体から生成されるエアロゾルは、エアロゾル発生基体1グラム当たり少なくとも約5ミリグラムのエアロゾル形成体、または基体1グラム当たり少なくとも約10ミリグラムのエアロゾル、または基体1グラム当たり少なくとも約15ミリグラムのエアロゾル形成体をさらに含みうる。別の方法として、または追加的に、エアロゾルは、基体1グラム当たり最大で約30ミリグラムのエアロゾル形成体、または基体1グラム当たり最大で約25ミリグラムのエアロゾル形成体、または基体1グラム当たり最大で約20ミリグラムのエアロゾル形成体を含みうる。例えば、エアロゾルは、基体1グラム当たり約5ミリグラム~約30ミリグラムのエアロゾル形成体、または基体1グラム当たり約10ミリグラム~約25ミリグラムのエアロゾル形成体、または基体1グラム当たり約15ミリグラム~約20ミリグラムのエアロゾル形成体を含みうる。代替的な実施形態において、エアロゾルは、基体1グラム当たり5ミリグラム未満のエアロゾル形成体を含んでもよい。これは、例えば、エアロゾル形成体が別個にエアロゾル発生物品またはエアロゾル発生装置内に提供される場合に適切でありうる。
【0069】
本発明で使用するための適切なエアロゾル形成体を、以下に記載する。
【0070】
当技術分野で公知の様々な方法を適用して、エアロゾル中のエアロゾル形成体の量を測定することができる。
【0071】
試験方法A中に本発明のエアロゾル発生基体から生成されるエアロゾルは、基体1グラム当たり少なくとも約0.1マイクログラムのニコチンを含むことが好ましく、基体1グラム当たり少なくとも約1マイクログラムのニコチンを含むことがより好ましく、基体1グラム当たり少なくとも約2マイクログラムのニコチンを含むことがより好ましい。エアロゾルは、基体1グラム当たり最大で約10マイクログラムのニコチンを含むことが好ましく、基体1グラム当たり最大で約7.5マイクログラムのニコチンを含むことがより好ましく、基体1グラム当たり最大で約4マイクログラムのニコチンを含むことがより好ましい。例えば、エアロゾルは、基体1グラム当たり約0.1マイクログラム~約10マイクログラムのニコチン、または基体1グラム当たり約1マイクログラム~約7.5マイクログラムのニコチン、または基体1グラム当たり約2マイクログラム~約4マイクログラムのニコチンを含みうる。本発明の一部の実施形態において、エアロゾルは、ゼロマイクログラムのニコチンを含んでもよい。
【0072】
当技術分野で公知の様々な方法を適用して、エアロゾル中のニコチンの量を測定することができる。
【0073】
代替的に、または追加的に、試験方法A中に本発明によるエアロゾル発生基体から生成されるエアロゾルは、随意に、基体1グラム当たり少なくとも約20ミリグラムのカンナビノイド化合物、より好ましくは基体1グラム当たり少なくとも約50ミリグラムのカンナビノイド化合物、より好ましくは基体1グラム当たり少なくとも約100ミリグラムのカンナビノイド化合物をさらに含みうる。エアロゾルは、基体1グラム当たり最大で約250ミリグラムのカンナビノイド化合物を含むことが好ましく、基体1グラム当たり最大で約200ミリグラムのカンナビノイド化合物を含むことがより好ましく、基体1グラム当たり最大で約150ミリグラムのカンナビノイド化合物を含むことがより好ましい。例えば、エアロゾルは、基体1グラム当たり約20ミリグラム~約250ミリグラムのカンナビノイド化合物、または基体1グラム当たり約50ミリグラム~約200ミリグラムのカンナビノイド化合物、または基体1グラム当たり約100ミリグラム~約150ミリグラムのカンナビノイド化合物を含みうる。本発明の一部の実施形態において、エアロゾルは、ゼロマイクログラムのカンナビノイド化合物を含んでもよい。
【0074】
カンナビノイド化合物は、CBD及びTHCから選択されることが好ましい。カンナビノイド化合物はCBDであることがより好ましい。
【0075】
当技術分野で公知の様々な方法を適用して、エアロゾル中のカンナビノイド化合物の量を測定することができる。
【0076】
また、試験方法A中に本発明によるエアロゾル発生基体から発生されるエアロゾル中に一酸化炭素が存在する場合があり、エアロゾルをさらに特徴付けるために測定および使用されうる。酸化窒素および二酸化窒素などの窒素の酸化物もエアロゾル中に存在する場合があり、エアロゾルをさらに特徴付けるために測定および使用されうる。
【0077】
上述のように、エアロゾル中の特徴的な化合物の存在および定義された量および比は、エアロゾル発生基体を形成する均質化した植物材料におけるユーカリ粒子の包含を示している。
【0078】
本発明によるエアロゾル発生基体は、乾燥重量基準で少なくとも約2.5重量パーセントのユーカリ粒子を含む均質化した植物材料を含むことが好ましい。粒子状植物材料は、乾燥重量基準で、少なくとも約5重量パーセントのユーカリ粒子、より好ましくは少なくとも約10重量パーセントのユーカリ粒子、より好ましくは少なくとも約15重量パーセントのユーカリ粒子、より好ましくは少なくとも約20重量パーセントのユーカリ粒子、より好ましくは少なくとも約30重量パーセントのユーカリ粒子を含むことが好ましい。
【0079】
本発明の特定の実施形態において、均質化した植物材料を形成する植物粒子は、植物粒子の乾燥重量に基づいて、少なくとも98重量パーセントのユーカリ粒子、または少なくとも95重量パーセントのユーカリ粒子、または少なくとも90重量パーセントのユーカリ粒子を含みうる。したがって、こうした実施形態において、エアロゾル発生基体はユーカリ粒子を含み、実質的に他の植物粒子は有さない。
【0080】
本発明の代替的な実施形態において、均質化した植物材料は、以下に記述されるように、たばこ粒子またはカンナビス粒子のうちの少なくとも一つと組み合わせてユーカリ粒子を含みうる。
【0081】
本発明の以下の説明では、「粒子状植物材料」という用語は、均質化した植物材料を形成するために使用される植物材料の粒子を集合的に指すために使用される。粒子状植物材料は、ユーカリ粒子から実質的に成ってもよく、または、ユーカリ粒子と、たばこ粒子、カンナビス粒子、またはたばこ粒子およびカンナビス粒子の両方との混合物であってもよい。
【0082】
均質化した植物材料は、乾燥重量基準で、最大で約95重量パーセントのユーカリ粒子を含んでもよい。均質化した植物材料は、乾燥重量基準で、最大で約90重量パーセントのユーカリ粒子を含むことが好ましく、最大で約80重量パーセントのユーカリ粒子を含むことがより好ましく、最大で約70重量パーセントのユーカリ粒子を含むことがより好ましく、最大で約60重量パーセントのユーカリ粒子を含むことがより好ましく、最大で約50重量パーセントのユーカリ粒子を含むことがより好ましい。
【0083】
例えば、均質化した植物材料は、乾燥重量基準で、約2.5重量パーセント~約95重量パーセントとのユーカリ粒子、または約5重量パーセント~約90重量パーセントのユーカリ粒子、または約10重量パーセント~約80重量パーセントのユーカリ粒子、または約15重量パーセント~約70重量パーセントのユーカリ粒子、または約20重量パーセント~約60重量パーセントのユーカリ粒子、または約30重量パーセント~約50重量パーセントのユーカリ粒子を含みうる。
【0084】
上述のように、発明者らは、ユーカリ植物の特徴であり、したがって、エアロゾル発生基体内にユーカリ植物粒子が含まれていることを示す化合物である、多数の「特徴的な化合物」を識別した。
【0085】
純粋なユーカリ粒子中に存在する特徴的な化合物の量は、エアロゾル発生基体中に存在する量とは異なることが期待される。スラリーまたは懸濁液中の水和、および高温での乾燥を含む基体の作製プロセス、および、エアロゾル形成体および結合剤を含む他の成分の存在は、特徴的な化合物のそれぞれの量を差示的に修正する。製造中の温度および操作対象下にあるユーカリ粒子の完全性および化合物の安定性は、基体中に存在する特徴的な化合物の最終的な量に影響を与えうる。したがって、ユーカリ粒子が様々な物理的形態、例えば、シート、ストランド、および顆粒などの基体に組み込まれた後、特徴的な化合物の互いに対する比は異なることが意図される。
【0086】
エアロゾル発生基体内のユーカリの存在およびエアロゾル発生基体内に提供されるユーカリの割合は、基体内の特徴的な化合物の量を測定し、これを純粋なユーカリ材料中の特徴的な化合物の対応する量と比較することによって決定することができる。特徴的な化合物の存在および量は、当業者に公知であろう任意の好適な技術を使用して実施されうる。
【0087】
適切な技術では、250ミリグラムのエアロゾル発生基体のサンプルを5ミリリットルのメタノールと混合し、振とう、5分間の攪拌および遠心分離(4500g、5分間、摂氏10度)によって抽出する。抽出物のアリコート(300マイクロリットル)をシラン処理されたクロマトグラフィーバイアルに移し、メタノール(600マイクロリットル)および内部標準(ISTD)溶液(100マイクロリットル)で希釈する。バイアルを閉じ、Eppendorf ThermoMixerを使用して5分間混合する(摂氏5度、2000 rpm)。結果として得られる抽出物からのサンプルを、特徴的な化合物の識別のために、フルスキャンモードとデータ依存型フラグメンテーションモードの組み合わせでLC-HRAM-MSにより分析する。
【0088】
均質化した植物材料は、乾燥重量基準で最大で約92重量パーセントのたばこ粒子をさらに含むことが好ましい。
【0089】
たとえば、均質化した植物材料は、乾燥重量基準で、約10重量パーセント~約92重量パーセントのたばこ粒子を含むことが好ましく、約20重量パーセント~約90重量パーセントのたばこ粒子を含むことがより好ましく、約30重量パーセント~約85重量パーセントのたばこ粒子を含むことがより好ましく、約40重量パーセント~約80重量パーセントのたばこ粒子を含むことがより好ましく、約50重量パーセント~約70重量パーセントのたばこ粒子を含むことがより好ましい。
【0090】
均質化した植物材料を形成する粒子状植物材料中のユーカリ粒子およびたばこ粒子の重量比は、エアロゾルの望ましい風味特性および組成に応じて変化しうる。
【0091】
ユーカリ粒子とたばこ粒子の比は、約1:4以下、より好ましくは約1:5以下、より好ましくは約1:6以下、より好ましくは約1:7以下、より好ましくは約1:8以下であることが好ましい。一つの特に好ましい実施形態において、均質化した植物材料は、1:4のユーカリ粒子とたばこ粒子の重量比を含み、これは、約20重量パーセントのユーカリ粒子と約80重量パーセントのたばこ粒子からなる粒子状植物材料に対応する。約75重量パーセントの粒子状植物材料で形成された均質化した植物材料については、これは、乾燥重量に基づいて、均質化した植物材料中の約15重量パーセントのユーカリ粒子、および約60重量パーセントのたばこ粒子に対応する。
【0092】
別の実施形態において、均質化した植物材料は、1:9のユーカリ粒子とたばこ粒子の重量比を含む。さらに別の実施形態において、均質化した植物材料は、1:30のユーカリ粒子とたばこ粒子の重量比を含む。
【0093】
本発明に関して「たばこ粒子」という用語は、Nicotiana属の任意の植物部材の粒子を説明する。「たばこ粒子」という用語は、たばこの処理、取り扱い、および発送中に形成された粉砕または粉末たばこ葉ラミナ、粉砕または粉末たばこ葉茎、たばこダスト、たばこの微粉、およびその他の粒子状たばこ副産物を包含する。好ましい実施形態において、たばこ粒子は実質的に全てがたばこ葉ラミナに由来する。対照的に、分離されたニコチンおよびニコチン塩は、たばこに由来する化合物であるが、本発明の目的上、たばこ粒子とは見なされず、粒子状植物材料の割合には含まれない。
【0094】
たばこ粒子は、一つ以上のたばこ植物の品種から調製されうる。任意のタイプのたばこがブレンドに使用されうる。使用されうるタイプのたばこ材料の例には、日光乾燥たばこ、火力乾燥たばこ、バーレー種たばこ、メリーランド種たばこ、オリエント種たばこ、バージニア種たばこ、およびその他の特殊たばこが含まれるが、これに限定されない。
【0095】
火力乾燥は、バージニア種たばこで特に使用されるたばこの乾燥方法である。火力乾燥プロセス中、加熱された空気が密集したたばこを通して循環する。第一の段階中に、たばこ葉が黄色くなって枯れる。第二の段階中に、葉のラミナが完全に乾燥する。第三の段階中に、葉の茎が完全に乾燥する。
【0096】
バーレー種たばこは、多くのたばこブレンドにおいて重要な役割を果たしている。バーレー種たばこは独特の風味と芳香を有し、大量のケーシングを吸収する能力を有する。
【0097】
オリエント種は、小さな葉を有し、高い芳香品質を有するたばこの一種である。ただし、オリエント種たばこは、例えばバーレー種よりもマイルドな風味を有する。したがって、概して、オリエント種たばこは、たばこブレンドにおいて比較的少ない割合で使用される。
【0098】
カストリ(Kasturi)、マドゥラ(Madura)、ジャティム(Jatim)は、使用可能な日光乾燥たばこのサブタイプである。カストリたばこおよび火力乾燥たばこがブレンドに使用されてたばこ粒子を生成することが好ましい。したがって、粒子状植物材料中のたばこ粒子は、カストリたばこと火力乾燥たばこのブレンドを含みうる。
【0099】
たばこ粒子は、乾燥重量に基づいて少なくとも約2.5重量パーセントのニコチン含有量を有しうる。たばこ粒子は、乾燥重量に基づいて、少なくとも約3重量パーセントのニコチン含有量を有しうることがより好ましく、少なくとも約3.2重量パーセントのニコチン含有量を有することがさらにより好ましく、少なくとも約3.5重量パーセントのニコチン含有量を有することがさらにより好ましく、少なくとも約4重量パーセントのニコチン含有量を有しうることが最も好ましい。エアロゾル発生基体がたばこ粒子をユーカリ粒子と組み合わせて含む場合、高いニコチン含有量を有するたばこは、ユーカリ粒子を有さない典型的なエアロゾル発生基体に対して類似のレベルのニコチンを維持することが好ましいが、これは、そうでなければニコチンの総量がたばこ粒子をユーカリ粒子と置換することに起因して低減されるためである。
【0100】
ニコチンは、随意にエアロゾル発生基体に組み込まれてもよいが、これは本発明の目的上、非たばこ材料とみなされる。ニコチンは、ニコチン乳酸塩、クエン酸ニコチン、ピルビン酸ニコチン、重酒石酸ニコチン、安息香酸ニコチン、ペクチン酸ニコチン、アルギン酸ニコチン、およびサリチル酸ニコチンから成るリストから選択された一つ以上のニコチン塩を含みうる。ニコチンは、低ニコチン含有量のたばこに加えて組み込まれてもよく、またはニコチンは、低減されたたばこ含有量またはゼロのたばこ含有量を有するエアロゾル発生基体に組み込まれてもよい。
【0101】
または本発明によるエアロゾル発生基体の均質化した植物材料のたばこ粒子を含めることの別の方法として、またはこれに追加的に、均質化した植物材料は、乾燥重量基準で最大で92重量パーセントのカンナビス粒子を含んでもよい。「カンナビス粒子」という用語は、カンナビス・サティバ(Cannabis sativa)、カンナビス・インディカ(Cannabis indica)、およびカンナビス・ルデラリス(Cannabis ruderalis)などのカンナビス植物の粒子を指す。
【0102】
たとえば、粒子状植物材料は、乾燥重量基準で、約10重量パーセント~約92重量パーセントのカンナビス粒子を含んでもよく、約20重量パーセント~約90重量パーセントのたばこ粒子を含むことがより好ましく、約30重量パーセント~約85重量パーセントのたばこ粒子を含むことがより好ましく、約40重量パーセント~約80重量パーセントのたばこ粒子を含むことがより好ましく、約50重量パーセント~約70重量パーセントのたばこ粒子を含むことがより好ましい。
【0103】
一つ以上のカンナビノイド化合物は、随意にエアロゾル発生基体に組み込まれてもよいが、これは本発明の目的上、非カンナビス材料とみなされる。本発明に関して本明細書で使用される場合、「カンナビノイド化合物」という用語は、カンナビス植物、すなわち、カンナビス・サティバ(Cannabis sativa)、カンナビス・インディカ(Cannabis indica)、およびカンナビス・ルデラリス(Cannabis ruderalis)の一部に見られる天然の化合物の任意の一つの種類を説明する。カンナビノイド化合物は雌の頭状花で特に濃縮され、カンナビス油として一般に販売される。カンナビス植物における天然のカンナビノイド化合物は、テトラヒドロカンナビノール(THC)およびカンナビジオール(CBD)を含む。本発明の文脈において、「カンナビノイド化合物」という用語は、天然由来のカンナビノイド化合物および合成的に製造されたカンナビノイド化合物の両方を説明するために使用される。
【0104】
例えば、エアロゾル発生基体は、テトラヒドロカンナビノール(THC)、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)、カンナビジオール(CBD)、カンナビジオール酸(CBDA)、カンナビノール(CBN)、カンナビゲロール(CBG)、カンナビゲロールモノメチルエーテル(CBGM)、カンナビバリン(CBV)、カンナビジバリン(CBDV)、テトラヒドロカンナビバリン(THCV)、カンナビクロメン(CBC)、カンナビシクロル(CBL)、カンナビクロムバリン(CBCV)、カンナビゲロバリン(CBGV)、カンナビエルソイン(CBE)、カンナビシトラン(CBT)、およびその組み合わせからなる群から選択されるカンナビノイド化合物を含みうる。
【0105】
均質化した植物材料は、ユーカリ粒子、またはユーカリ粒子とたばこ粒子およびカンナビス粒子のうちの少なくとも一つとの組み合わせ(「粒子状植物材料」)に加えて、ある割合のその他の植物風味粒子をさらに含みうる。
【0106】
本発明の目的のために、「その他の植物風味粒子」という用語は、加熱に伴い一つ以上の風味剤を発生する能力を有する非ユーカリ、非たばこ、および非カンナビス植物材料の粒子を指す。この用語は、エアロゾル発生基体の感覚出力に寄与しない、セルロースなどの不活性植物材料の粒子を除外するものと考えられる。粒子は、その他の植物からの粉砕または粉末葉ラミナ、果実、葉柄、茎、根、種子、蕾または皮に由来しうる。本発明によるエアロゾル発生基体に含めるための好適な植物風味粒子は、当業者に公知であり、クローブ粒子および茶粒子を含むがこれに限定されない。
【0107】
均質化した植物材料の組成物は、有利なことに、異なる植物粒子の望ましい量および種類をブレンドすることによって調整されうる。これは、エアロゾル発生基体は、例えば従来のカットフィラーの製造の場合のように、異なるブレンドの組み合わせまたは混合を必要とせずに、望ましい場合、単一の均質化した植物材料から形成することを可能にする。したがって、エアロゾル発生基体の製造が潜在的に簡略化されうる。
【0108】
本発明のエアロゾル発生基体に使用される粒子状植物材料は、望ましい粒子サイズ分布を提供するように適合されうる。本明細書の粒子サイズ分布は、D値として述べられ、これによってD値は、所与のD値以下の直径を有する粒子の数の割合を指す。例えば、D95粒子サイズ分布では、粒子の95パーセントの数が所与のD95値以下の直径であり、粒子の5パーセントの数が所与のD95値よりも大きい直径である。
【0109】
粒子状植物材料は、20ミクロン以上のD95値~300ミクロン以下のD95値を有しうる。これは、粒子状植物材料が所与の範囲内の任意のD95値によって表される分布のものでありうることを意味しており、すなわち、D95は、20ミクロン、またはD95は25ミクロン等であってもよく、D95は最大で300ミクロンまででありうる。この範囲内のD95値を提供することによって、比較的大きな植物粒子を均質化した植物材料内に包含することが回避される。このような大きな植物粒子からのエアロゾルの発生は比較的非効率である可能性が高いため、これは望ましい。さらに、均質化した植物材料に大きな植物粒子を包含することは、材料の一貫性に悪影響を及ぼしうる。
【0110】
粒子状植物材料は、約30ミクロン以上のD95値~約120ミクロン以下のD95値を有しうることが好ましく、約40ミクロン以上のD95値~約80ミクロン以下のD95値を有することがより好ましい。粒子状ユーカリ材料および粒子状たばこ材料は両方とも、約20ミクロン以上のD95値~約300ミクロン以下のD95値を有してもよく、30ミクロン以上のD95値~約120ミクロン以下のD95値を有することが好ましく、約40ミクロン以上のD95値~約80ミクロン以下のD95値を有することがより好ましい。
【0111】
一部の実施形態において、粒子状植物材料は、望ましい粒子サイズ分布を有する粒子を形成するために故意に粉砕されてもよい。故意に粉砕されたたばこの使用は有利なことに、粒子状植物材料の均質性および均質化した植物材料の一貫性を改善する。
【0112】
粒子状植物材料の100パーセントの直径は、約350ミクロン以下、より好ましくは約400ミクロン以下であってもよい。粒子状ユーカリ材料の100パーセントおよび粒子状たばこ材料の100パーセントの直径は、約400ミクロン以下であってもよく、約200ミクロン以下であることがより好ましい。ユーカリ粒子の粒子サイズ範囲は、ユーカリ粒子を既存のキャストリーフプロセスにおいてたばこ粒子と組み合わせることを可能にする。
【0113】
均質化した植物材料は、上述のように、乾燥重量基準で、ユーカリ粒子を含む粒子状植物材料の少なくとも約55重量パーセントを含むことが好ましく、粒子状植物材料の少なくとも約60重量パーセントを含むことがより好ましく、粒子状植物材料の少なくとも約65重量パーセントを含むことがより好ましい。均質化した植物材料は、乾燥重量基準で、約95重量パーセント以下の粒子状植物材料を含むことが好ましく、約90重量パーセント以下の粒子状植物材料を含むことがより好ましく、約85重量パーセント以下の粒子状植物材料を含むことがより好ましい。例えば、均質化した植物材料は、乾燥重量基準で、約55重量パーセント~約95重量パーセントの粒子状植物材料、または約60重量パーセント~約90重量パーセントの粒子状植物材料、または約65重量パーセント~約85重量パーセントの粒子状植物材料を含みうる。一つの特に好ましい実施形態において、均質化した植物材料は、乾燥重量基準で約75重量パーセントの粒子状植物材料を含む。
【0114】
したがって、粒子状植物材料は、典型的には、一つ以上の他の成分と組み合わされて、均質化した植物材料を形成する。
【0115】
均質化した植物材料は、粒子状植物材料の機械的特性を変化させるための結合剤をさらに含んでもよく、ここで、結合剤は、本明細書に記載のように、製造中に均質化した植物材料に含まれる。当業者に公知である適切な外来性結合剤は、当業界で公知であり、例えばグアーガム、キサンタンガム、アラビアゴムおよびローカストビーンガムなどのガム、例えばヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロースおよびエチルセルロースなどのセルロース結合剤、例えばデンプン、アルギン酸などの有機酸、アルギン酸ナトリウム、寒天およびペクチンなどの有機酸の共役塩基塩などの多糖類、およびこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。結合剤はグアーガムを含むことが好ましい。
【0116】
結合剤は、均質化した植物材料の乾燥重量に基づいて、約1重量パーセント~約10重量パーセントの量、好ましくは、均質化した植物材料の乾燥重量に基づいて、約2重量パーセント~約5重量パーセントの量で存在してもよい。
【0117】
別の方法として、または追加的に、均質化した植物材料は、揮発性成分(例えば、エアロゾル形成体、ユーカリプトール、およびニコチン)の拡散率を促進するための一つ以上の脂質をさらに含んでもよく、ここで、脂質は、本明細書に記載する製造中に均質化した植物材料に含まれる。均質化した植物材料に含めるための好適な脂質には、以下に限定されないが、中鎖トリグリセリド、ココアバター、パーム油、核油、マンゴー油、シアバター、大豆油、綿実油、ココナッツ油、水素化されたココナッツ油、カンデリラワックス、カルナウバワックス、シェラック、ヒマワリワックス、ヒマワリ油、ライスブラン、およびRevel A、ならびにそれらの組み合わせが含まれる。
【0118】
別の方法として、または追加的に、均質化した植物材料は、pH調製剤をさらに含んでもよい。
【0119】
別の方法として、または追加的に、均質化した植物材料は、均質化した植物材料の機械的特性を変化させるために繊維をさらに含んでもよく、ここで、繊維は、本明細書に記載する製造中に均質化した植物材料に含まれる。均質化した植物材料に含めるための適切な外来性繊維は当業界で公知であり、セルロース繊維、柔らかい木材繊維、堅い木材繊維、ジュート繊維およびこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない、非たばこ材料および非ユーカリ材料から形成された繊維を含む。また、たばこおよび/またはユーカリ由来の外来性繊維を添加してもよい。均質化した植物材料に添加される任意の繊維は、上記に定義された「粒子状植物材料」の一部を形成するとはみなされない。均質化した植物材料に含める前に、繊維は当業界で公知の適切なプロセスによって処理されてもよく、これには機械式パルプ化、精製、化学的パルプ化、漂白化、硫酸塩パルプ化、およびこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。典型的には、繊維は、その幅よりも大きな長さを有する。
【0120】
好適な繊維は、典型的には、400マイクロメートルよりも大きく、4mm以下の長さを有し、0.7mm~4mmの範囲内の長さを有することが好ましい。繊維は、基体の乾燥重量に基づいて、約2重量パーセント~約15重量パーセントの量、最も好ましくは約4重量パーセントの量で存在することが好ましい。
【0121】
別の方法として、または追加的に、均質化した植物材料は、一つ以上のエアロゾル形成体をさらに含んでもよい。揮発に伴い、エアロゾル形成体は、エアロゾル中のニコチンおよび風味剤などの、加熱に伴いエアロゾル発生基体から放出される他の気化した化合物を搬送することができる。エアロゾル発生基体からの特定の化合物のエアロゾル化は、その沸点によってのみ決定されるものではない。エアロゾル化される化合物の量は、基体の物理的形態、ならびに基体中にも存在する他の成分によって影響を受けうる。エアロゾル化の温度および時間枠下の化合物の安定性はまた、エアロゾル中に存在する化合物の量にも影響を与える。
【0122】
均質化した植物材料に含めるのに適切なエアロゾル形成体は当技術分野で公知であり、多価アルコール(トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオールおよびグリセロールなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノ-、ジ-またはトリアセテート)、およびモノ-、ジ-またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸およびテトラデカン二酸ジメチルなど)を含むが、これらに限定されない。
【0123】
均質化した植物材料は、乾燥重量基準で、約10重量パーセント~約25重量パーセント、または乾燥重量基準で、約15重量パーセント~約20重量パーセントなど、乾燥重量基準で、約5重量パーセント~約30重量パーセントのエアロゾル形成体含有量を有しうる。
【0124】
例えば、基体が発熱体を有する電気的に作動するエアロゾル発生システムのためのエアロゾル発生物品での使用が意図されている場合、乾燥重量基準で約5重量パーセント~約30重量パーセントのエアロゾル形成体含有量を含みうることが好ましい。基体が発熱体を有する電気的に作動するエアロゾル発生システムのためのエアロゾル発生物品での使用が意図されている場合、エアロゾル形成体はグリセロールであることが好ましい。
【0125】
別の実施形態において、均質化した植物材料は、乾燥重量基準で約1重量パーセント~約5重量パーセントのエアロゾル形成体含有量を有しうる。例えば、基体が、エアロゾル形成体が基体から分離された貯蔵部内に保持されるエアロゾル発生物品での使用を意図される場合、基体は、1パーセントよりも大きく、約5パーセントよりも小さいエアロゾル形成体含有量を有してもよい。こうした実施形態において、エアロゾル形成体は加熱に伴い揮発し、エアロゾル形成体の流れは、エアロゾル中のエアロゾル発生基体からの風味を混入するようにエアロゾル発生基体と接触する。
【0126】
エアロゾル形成体は、エアロゾル発生基体において湿潤剤として作用しうる。
【0127】
本発明によるエアロゾル発生基体の均質化した植物材料は、単一のタイプの均質化した植物材料、または相互に異なる組成または形態を有する二つ以上の種類の均質化した植物材料を含みうる。例えば、一実施形態において、エアロゾル発生基体は、同一の均質化した植物材料のシート内に含有されるユーカリ粒子およびたばこ粒子またはカンナビス粒子を含む。しかしながら、他の実施形態において、エアロゾル発生基体は、相互に異なるシート内に、たばこ粒子またはカンナビス粒子、およびユーカリ粒子を含んでもよい。
【0128】
均質化した植物材料は、任意の好適な形態で提供されうる。例えば、均質化した植物材料は、一つ以上のシートの形態であってもよい。本発明に関して本明細書で使用される「シート」という用語は、その厚さよりもかなり大きい幅および長さを有する薄層状の要素を説明する。
【0129】
別の方法として、または追加的に、均質化した植物材料は、複数のペレットまたは顆粒の形態であってもよい。
【0130】
別の方法として、または追加的に、均質化した植物材料は、カートリッジまたはシーシャ消耗品を充填することができる、またはシーシャ装置で使用されうる形態であってもよい。本発明は、均質化した植物材料を含むカートリッジまたはシーシャ装置を含む。
【0131】
別の方法として、または追加的に、均質化した植物材料は、複数のストランド、細片、または断片の形態であってもよい。本明細書で使用される「ストランド」という用語は、その幅および厚さより実質的に大きい長さを有する材料の細長い要素を説明する。「ストランド」という用語は、細片、断片、および類似の形態を有する任意のその他の均質化した植物材料を包含するものとみなされる。均質化した植物材料のストランドは、均質化した植物材料のシートの切断もしくは細断によって、または他の方法、例えば、押出成形方法によって形成されてもよい。
【0132】
一部の実施形態において、ストランドは、エアロゾル発生基体の形成中の均質化した植物材料のシートの分割またはひびの結果として、例えば、捲縮の結果として、エアロゾル発生基体内でin situで形成されうる。エアロゾル発生基体内の均質化した植物材料のストランドは、相互から分離されてもよい。別の方法として、エアロゾル発生基体内の均質化した植物材料のストランドそれぞれは、ストランドの長さに沿った隣接したストランド(複数可)に少なくとも部分的に接続されてもよい。例えば、隣接したストランドは、一つ以上の繊維によって接続されてもよい。これは、例えば、上述したエアロゾル発生基体の製造中の均質化した植物材料のシートの分割に起因してストランドが形成される場合に生じうる。
【0133】
エアロゾル発生基体は、均質化した植物材料の一つ以上のシートの形態であることが好ましい。本発明の様々な実施形態において、均質化した植物材料の一つ以上のシートは、キャスティングプロセスによって生成されてもよい。本発明の様々な実施形態において、均質化した植物材料の一つ以上のシートは、製紙プロセスによって生成されてもよい。本明細書に記載の一つ以上のシートは、各々個別に、100マイクロメートル~600マイクロメートル、好ましくは150マイクロメートル~300マイクロメートル、最も好ましくは200マイクロメートル~250マイクロメートルの厚さを有しうる。個々の厚さは個々のシートの厚さを指し、組み合わされた厚さはエアロゾル発生基体を構成するすべてのシートの合計厚さを指す。例えば、エアロゾル発生基体が二つの個々のシートから形成される場合、組み合わされた厚さは、二つの個々のシートの厚さ、または二つのシートの測定された厚さの合計であり、二つのシートはエアロゾル発生基体内に積み重ねられる。
【0134】
本明細書に記載の一つ以上のシートは、各々個別に、約100g/m2~約300g/m2の坪量を有しうる。
【0135】
本明細書に記載の一つ以上のシートは、各々個別に、約0.3g/cm3~約1.3g/cm3の密度を有してもよく、約0.7g/cm3~約1.0g/cm3の密度を有することが好ましい。
【0136】
「引張強さ」という用語は、本明細書を通して、均質化した植物材料のシートを破壊するまで引き伸ばすために必要な力の測定値を示すために使用される。より具体的には、引張強さはシート材料が破壊する前に耐えることになる単位幅当たりの最高引張り力であり、シート材料の機械方向または交差方向で測定される。これはニュートン/材料のメートル(N/m)の単位で表現される。シート材料の引張強さ測定のための試験は周知である。好適な試験は、下記の表題で2014年版国際標準ISO1924-2に説明されている。「紙および板紙-引張特性試験方法-第2部:定速伸長法」。
【0137】
ISO1924-2に従って試験を実施するために必要な材料および設備は、汎用引張/圧縮試験機(Instron 5566、または同等品)と、100ニュートンの引張ロードセル(インストロン、または同等品)と、二つの空圧作動式のグリップと、180±0.25ミリメートルの長さの鋼ゲージブロック(幅:約10ミリメートル、厚さ:約3ミリメートル)と、ダブルブレードストリップカッター(サイズ15±0.05x約250ミリメートル、Adamel Lhomargy、または同等品)と、外科用メスと、コンピュータ作動取得ソフトウェア(マーリン、または同等品)と、圧縮空気とである。
【0138】
サンプルを、まず、試験の前に、均質化した植物材料のシートを摂氏22±2度、相対湿度60±5%で少なくとも24時間調整することによって調製する。次いで、ダブルブレードストリップカッターで、機械方向または横断方向にサンプルを約250×15±0.1ミリメートルに切断する。試験片の端は、三つを越える試験用標本を同時に切断しないように、きちんと切断しなければならない。
【0139】
引張/圧縮試験装置は、100ニュートンの引張ロードセルを設置し、汎用引張/圧縮試験機とコンピュータの電源を入れ、ソフトウェアで事前定義された測定方法を選択し、試験速度を8ミリメートル/分に設定することでセットアップされる。次いで、引張ロードセルを較正し、空気圧作用グリップを取り付ける。空圧作動式のグリップ間の試験距離を鋼ゲージブロックによって180±0.5ミリメートルに調節し、距離および力をゼロに設定する。
【0140】
次いで、試験用標本をグリップ間にまっすぐにかつ中央に置き、試験対象の領域に指が触れることを回避する。上側グリップを閉じ、紙細片を開かれた下側グリップ内につるす。力をゼロに設定する。紙細片を軽く引き下げてから、下側グリップを閉じるが、開始時の力は0.05~0.20ニュートンでなければならない。上側グリップが上方向に移動する間、試験用標本が破断するまで徐々に増大する力がかけられる。残りの試験用標本で同じ手順を繰り返す。結果は、試験用標本が、グリップが10ミリメートルを越える距離で離れるよう移動する時に破断した時に有効である。そうでない場合、その結果を不合格にして、追加的な測定を実施する。
【0141】
本明細書に記載する均質化した植物材料の一つ以上のシートは、各々個別に、公差方向のピークにおいて、50N/m~400N/m、または好ましくは150N/m~350N/mの引張強さを有しうる。シート厚さが引張強さに影響を与えること、およびシートのバッチが厚さの変動を示す場合を考慮すると、値を特定のシート厚さに正規化することが望ましい場合がある。
【0142】
本明細書に記載する一つ以上のシートは、各々個別に、機械方向のピークにおいて100N/m~800N/m、または好ましくは280N/m~620N/mの引張強さを有して、215μmのシート厚さに正規化されうる。機械方向とは、シート材料がボビン上に巻かれる、またはボビンから巻き出されて機械に供給される方向を指し、公差方向とは、機械方向に直角を成す。引張強さのこうした値は、本明細書に記載のシートおよび方法を、機械的応力を伴う後続動作に対して特に好適にする。
【0143】
上記に定義するレベルの厚さ、坪量、および引張強さを有するシートの提供は、有利なことに、エアロゾル発生基体を形成するためのシートの機械加工性を最適化し、シートの引き裂きなどの損傷がシートの高速処理中に回避されることを確実にする。
【0144】
エアロゾル発生基体が均質化した植物材料の一つ以上のシートを含む本発明の実施形態において、シートは、一つ以上のシートの集合体の形態であることが好ましい。本明細書で使用される「集合」という用語は、均質化した植物材料のシートが、プラグまたはロッドの円筒軸に対して実質的に横断方向に渦巻き状にされる、折り畳まれる、または別の方法で圧縮または収縮されていることを意味する。本明細書で使用される「長軸方向」という用語は、エアロゾル発生物品の上流端と下流端の間に延びる、エアロゾル発生物品の主要な長軸方向軸に対応する方向を指す。使用中、空気は長軸方向でエアロゾル発生物品を通して引き出される。「横断方向」という用語は、長軸方向軸に対して直角を成す方向を指す。本明細書で使用される「長さ」という用語は、長軸方向における構成要素の寸法を指し、また「幅」という用語は、横断方向における構成要素の寸法を指す。例えば、円形断面を有するプラグまたはロッドの場合、最大幅は円の直径に対応する。
【0145】
本明細書で使用される「プラグ」という用語は、実質的に多角形、円形、長円形、または楕円形の断面を有する概して円筒状の要素を意味する。本明細書で使用される「ロッド」という用語は、実質的に多角形の断面、および好ましくは円形状、長円形状または楕円形状の断面の、概して円筒状の要素を指す。ロッドは、プラグの長さ以上の長さを有してもよい。典型的には、ロッドは、プラグの長さよりも大きい長さを有する。ロッドは、長軸方向に整列していることが好ましい、一つ以上のプラグを含んでもよい。
【0146】
本明細書で使用される「上流」および「下流」という用語は、使用中にエアロゾル発生物品を通してエアロゾルが搬送される方向に対する、エアロゾル発生物品の要素(または要素の部分)の相対的な位置を説明する。気流経路の下流端は、エアロゾルが物品のユーザーに送達される端である。
【0147】
均質化した植物材料の一つ以上のシートは、その長軸方向軸に対して横断方向に集合され、ラッパーで取り囲まれて連続的なロッドまたはプラグを形成しうる。連続的なロッドは、複数の個別のロッドまたはプラグに切り離されてもよい。ラッパーは、紙ラッパーまたは非紙ラッパーとしうる。本発明の特定の実施形態で使用するための適切な紙ラッパーは当業界で公知であり、紙巻たばこペーパーおよびフィルタープラグラップを含むが、これに限定されない。本発明の特定の実施形態で使用するための適切な紙以外のラッパーは当業界で公知であり、均質化したばこ材料のシートを含むがこれに限定されない。均質化したたばこラッパーは、エアロゾル発生基体が粒子状植物材料で形成された均質化した植物材料の一つ以上のシートを含む実施形態での使用に特に好適であり、粒子状植物材料は、乾燥重量に基づいて、20重量パーセント~0重量パーセントのたばこ粒子などの低い重量パーセントのたばこ粒子と組み合わせてユーカリ粒子を含有する。
【0148】
別の方法として、均質化した植物材料の一つ以上のシートは、上記で言及されるように、ストランドに切断されてもよい。こうした実施形態において、エアロゾル発生基体は、均質化した植物材料の複数のストランドを含む。ストランドは、プラグを形成するために使用されうる。典型的には、こうしたストランドの幅は、約5mm、または約4mm、または約3mm、または約2mm以下である。ストランドの長さは、約5mmよりも大きく、約5mm~約15mm、約8mm~約12mm、または約12mmであってもよい。ストランドの長さは、それによってロッドがより短いプラグに切断される製造プロセスによって決定されてもよく、ストランドの長さはプラグの長さに対応する。ストランドは壊れやすく、特に移送中に破損する可能性がある。こうした場合、ストランドの一部の長さは、プラグの長さよりも短くなりうる。
【0149】
均質化した植物材料の一つ以上のシートは、捲縮、エンボス加工、または穿孔によってテクスチャ加工されてもよい。一つ以上のシートは、集合される前に、またはストランドに切断される前に、テクスチャ加工されてもよい。均質化した植物材料の一つ以上のシートは、均質化した植物材料が捲縮したシートの形態、より好ましくは捲縮したシートの集合体の形態となりうるように、集合の前に捲縮されることが好ましい。本明細書で使用される場合、「捲縮したシート」という用語は、通常物品の長軸方向に整列されている複数の実質的に平行な隆起または波形を有するシートを意味する。
【0150】
一実施形態において、エアロゾル発生基体は、エアロゾル発生基体の単一のプラグの形態であってもよい。エアロゾル発生基体のプラグは、均質化した植物材料の複数のストランドを含みうることが好ましい。エアロゾル発生基体のプラグは、均質化した植物材料の一つ以上のシートを含みうることが最も好ましい。均質化した植物材料の一つ以上のシートは、実質的にプラグの円筒軸に平行な複数の隆起または波形を有するように捲縮されうることが好ましい。この処理は、有利なことに、均質化した植物材料の捲縮したシートを集合してプラグを形成することを容易にする。均質化した植物材料の一つ以上のシートが集合されうることが好ましい。当然のことながら、均質化した植物材料の捲縮したシートは、別の方法としてまたは追加的に、プラグの円筒軸に対して鋭角または鈍角を成す複数の実質的に平行な隆起または波形を有しうる。シートは、シートの完全性が複数の平行な隆起部または波形において中断され、材料の分離を引き起こし、均質化した植物材料の断片、ストランドまたは細片の形成をもたらす程度に捲縮されうる。
【0151】
エアロゾル発生基体の別の実施形態において、均質化した植物材料は、第一の均質化した植物材料を含む第一のプラグおよび第二の均質化した植物材料を含む第二のプラグを備え、第一の均質化した植物材料は、乾燥重量基準で約50重量パーセント~約95重量パーセントのユーカリ粒子を含み、第二の均質化した植物材料は、乾燥重量基準で約50重量パーセント~約95重量パーセントのたばこ粒子を含む。概して、本発明によれば、エアロゾル発生基体内の均質化した植物材料は、乾燥重量基準で少なくとも2.5重量パーセントのユーカリ粒子および最大で95重量パーセントのたばこ粒子を含む。
【0152】
随意に、第一の均質化した植物材料は、少なくとも60重量パーセントのユーカリ粒子を含んでもよく、第二の均質化した植物材料は、少なくとも60重量パーセントのたばこ粒子を含んでもよい。随意に、第一の均質化した植物材料は、少なくとも約90重量パーセントのユーカリ粒子を含んでもよく、第二の均質化した植物材料は、少なくとも約90重量パーセントのたばこ粒子を含んでもよい。
【0153】
こうした配設では、第一の均質化した植物材料は、主な割合のユーカリ粒子を有する第一の粒子状植物材料を含み、第二の均質化した植物材料は、主な割合のたばこ粒子を有する第二の粒子状植物材料を含む。
【0154】
第一の均質化した植物材料は、一つ以上のシートの形態であってもよく、第二の均質化した植物材料は、一つ以上のシートの形態であってもよい。
【0155】
随意に、エアロゾル発生基体は、一つ以上のプラグを備えてもよい。基体は、第一のプラグおよび第二のプラグを含んでもよく、第一の均質化した植物材料は第一のプラグ内に位置し、第二の均質化した植物材料は第二のプラグ内に位置しうることが好ましい。
【0156】
二つ以上のプラグは、端と端をつないで当接関係で組み合わせられてロッドを形成するように延在してもよい。二つのプラグは、それらの間に隙間を有して長軸方向に定置され、それによってロッド内にくぼみを作り出してもよい。プラグは、ロッド内の任意の適切な配設にあってもよい。
【0157】
例えば、好ましい配設では、主な割合のユーカリ粒子を含む下流プラグが、主な割合のたばこ粒子を含む上流プラグに当接してロッドを形成してもよい。また、それぞれのプラグの上流および下流位置が互いに対して変更される代替な構成も想定される。第三の均質化した植物材料が主な割合のユーカリ粒子、または主な割合のたばこ粒子のいずれかを含有して第三のプラグを形成する、代替的な構成もまた想定される。例えば、重量の主な割合のユーカリ粒子を含むプラグは、それぞれが重量の主な割合のたばこ粒子を含む二つのプラグの間に挟まれてもよく、または、重量の主な割合のたばこ粒子を含むプラグは、それぞれが重量の主な割合のユーカリ粒子を含む二つのプラグの間に挟まれてもよい。さらなる構成が当業者によって想定されうる。二つ以上のプラグが提供される場合、均質化した植物材料は、各プラグにおいて同じ形態で、または各プラグにおいて異なる形態で、すなわち、集合されて、または細断されて提供されうる。一つ以上のプラグは、随意に、アルミ箔または金属化紙などの金属箔で個別にまたは一緒に巻かれてもよい。金属箔または金属化紙は、エアロゾル発生基体全体にわたって熱を急速に伝導させる目的を果たす。金属箔または金属化紙は、鉄粒子などの金属粒子を含んでもよい。
【0158】
第一のプラグは、第一の均質化した植物材料の一つ以上のシートを含んでもよく、第二のプラグは、第二の均質化した植物材料の一つ以上のシートを含んでもよい。プラグの長さの合計は、約10mm~約40mm、好ましくは約10~約15mm、より好ましくは約12mmであってもよい。第一のプラグおよび第二のプラグは、同じ長さであってもよく、または異なる長さを有してもよい。第一のプラグおよび第二のプラグが同じ長さを有する場合、各プラグの長さは、好ましくは約6mm~約20mmでありうる。第二のプラグは、基体におけるたばこ粒子とユーカリ粒子の望ましい比を提供するために、第一のプラグよりも長くてもよいことが好ましい。概して、基体は、乾燥重量基準で、0~72.5重量パーセントのたばこ粒子および75~2.5重量パーセントのユーカリ粒子を含むことが好ましい。第二のプラグは、第一のプラグよりも少なくとも40パーセント~50パーセント長いことが好ましい。
【0159】
第一の均質化した植物材料および第二の均質化した植物材料が一つ以上のシートの形態である場合、第一の均質化した植物材料および第二の均質化した植物材料の一つ以上のシートは、シートの集合体でありうることが好ましい。第一の均質化した植物材料および第二の均質化した植物材料の一つ以上のシートは、捲縮したシートでありうることが好ましい。当然のことながら、単一の均質化した植物材料が存在する実施形態に関して説明される他のすべての物理的特性は、第一の均質化した植物材料および第二の均質化した植物材料が存在する実施形態に等しく適用可能である。さらに、当然のことながら、単一の均質化した植物材料に関する添加剤(例えば、結合剤、脂質、繊維、エアロゾル形成体、湿潤剤、可塑剤、風味剤、充填剤、水性および非水性の溶媒、およびそれらの組み合わせ)の説明は、第一の均質化した植物材料および第二の均質化した植物材料が存在する実施形態に等しく適用可能である。
【0160】
エアロゾル発生基体のさらなる別の実施形態において、第一の均質化した植物材料は第一のシートの形態であり、第二の均質化した植物材料は第二のシートの形態であり、第二のシートは少なくとも部分的に第一のシートの上にある。
【0161】
第一のシートがテクスチャ加工されたシートであって、第二のシートがテクスチャ加工されていないシートであってもよい。
【0162】
第一および第二のシートの両方は、テクスチャ加工されたシートであってもよい。
【0163】
第一のシートは、第二のシートとは異なる方法でテクスチャ加工されたテクスチャ加工されたシートであってもよい。例えば、第一のシートが捲縮されて、第二のシートが穿孔されてもよい。別の方法として、第一のシートが穿孔されて、第二のシートが捲縮されてもよい。
【0164】
第一および第二のシートの両方は、互いに形態的に異なる捲縮したシートであってもよい。例えば、第二のシートは、第一のシートと比較して、異なる数の単位幅当たりの捲縮を有して捲縮されてもよい。
【0165】
シートを集合してプラグを形成してもよい。集合してプラグを形成するシートは、異なる物理的寸法を有してもよい。シートの幅および厚さは変化してもよい。
【0166】
それぞれが異なる厚さを有する、またはそれぞれが異なる幅を有する二つのシートを集合することが望ましい場合がある。これにより、プラグの物理的特性が変化しうる。これは、異なる化学的組成のシートからの、エアロゾル発生基体のブレンドされたプラグの形成を容易にしうる。
【0167】
第一のシートは第一の厚さを有してもよく、第二のシートは第一の厚さの倍数である第二の厚さを有してもよく、例えば、第二のシートは、第一の厚さの二倍または三倍の厚さを有してもよい。
【0168】
第一のシートが第一の幅を有してもよく、第二のシートが第一の幅とは異なる第二の幅を有してもよい。
【0169】
第一のシートおよび第二のシートは、一緒に集合される前、または一緒に集合される時に、重なり合う関係で配置されてもよい。シートは、同じ幅および厚さを有してもよい。シートは異なる厚さを有してもよい。シートは異なる幅を有してもよい。シートは、異なるようにテクスチャ加工されてもよい。
【0170】
第一のシートおよび第二のシートの両方がテクスチャ加工されることが望ましい場合、シートは、集合される前に同時にテクスチャ加工されてもよい。例えば、シートは、重なり合う関係にされて一対の捲縮ローラーなどのテクスチャ加工手段を通過してもよい。同時捲縮のための適切な装置およびプロセスは、WO-A-2013/178766の図2を参照して説明される。好ましい実施形態において、第二の均質化した植物材料の第二のシートは、第一の均質化した植物材料の第一のシートの上にあり、組み合わされたシートは、集合してエアロゾル発生基体のプラグを形成する。随意に、シートは、集合の前に一緒に捲縮されて集合を容易にしてもよい。
【0171】
別の方法として、各シートは別個にテクスチャ加工された後、一緒にプラグへと集合されてもよい。例えば、二つのシートが異なる厚さを有する場合、第一のシートを第二のシートに対して異なるように捲縮することが望ましい場合がある。
【0172】
当然のことながら、単一の均質化した植物材料が存在する実施形態に関して説明される他のすべての物理的特性は、第一の均質化した植物材料および第二の均質化した植物材料が存在する実施形態に等しく適用可能である。さらに、当然のことながら、単一の均質化した植物材料に関する添加剤(例えば、結合剤、脂質、繊維、エアロゾル形成体、湿潤剤、可塑剤、風味剤、充填剤、水性および非水性の溶媒、およびそれらの組み合わせ)の説明は、第一の均質化した植物材料および第二の均質化した植物材料が存在する実施形態に等しく適用可能である。
【0173】
本発明によるエアロゾル発生基体で使用される均質化した植物材料は、製紙、キャスティング、軟塊再構成、押出成形または任意のその他の適切なプロセスを含む様々な方法によって生成されうる。
【0174】
ある特定の実施形態において、キャスティングプロセスが「キャストリーフ」を製造するために行われる。「キャストリーフ」という用語は、植物粒子(例えば、ユーカリ粒子、またはたばこ粒子とユーカリ粒子との混合物で)および結合剤(例えば、グアーガムなど)を含むスラリーを支持表面(ベルトコンベアなど)の上へとキャスティングすること、スラリーを乾燥させること、および乾燥したシートを支持表面から取り外すことに基づくキャスティングプロセスによって作製されるシート製品を指す。キャスティングまたはキャストリーフプロセスの例は、例えば、キャストリーフたばこを作製するためのUS-A-5,724,998号に記載されている。キャストリーフプロセスでは、粒子状植物材料を液体成分、典型的には水と混合してスラリーを形成する。スラリー中のその他の添加される成分は、繊維、結合剤およびエアロゾル形成体を含みうる。粒子状植物材料は、結合剤の存在下で凝集されうる。スラリーを支持表面の上へとキャストし、乾燥させて均質化した植物材料のシートを形成する。
【0175】
ある特定の好ましい実施形態において、本発明による物品で使用される均質化した植物材料は、キャスティングによって生成される。キャスティングプロセスによって作製される均質化した植物材料は、典型的には、凝集した粒子状植物材料を含む。
【0176】
キャストリーフプロセスでは、実質的にすべての可溶性分画が植物材料内に保持されるため、ほとんどの風味が有利なことに保たれる。また、エネルギー集約的な製紙工程も回避される。
【0177】
本発明の一つの好ましい実施形態において、均質化した植物材料を形成するために、粒子状植物材料、水、結合剤、及びエアロゾル形成体を含む混合物が形成される。粒子状植物材料およびエアロゾル形成体はいずれも、本発明の第一の態様に関して上述したとおりである。混合物からシートを形成し、次いで、シートを乾燥させる。混合物は水性混合物であることが好ましい。本明細書で使用される場合、「乾燥重量」とは、割合で表される、混合物における全ての水以外の成分の重量の合計に対する粒子状の水以外の成分の重量を指す。水性混合物の組成物は、「乾燥重量パーセント」によって言及されうる。これは、割合として表される、水性混合物全体の重量に対する水以外の成分の重量を指す。
【0178】
混合物はスラリーであってもよい。本明細書で使用される場合、「スラリー」とは、比較的低い乾燥重量を有する均質化した水性混合物である。本明細書の方法で使用されるスラリーは、5パーセント~60パーセントの乾燥重量を有しうることが好ましい。
【0179】
別の方法として、混合物は軟塊であってもよい。本明細書で使用される場合、「軟塊」とは、比較的高い乾燥質量を有する水性混合物である。本明細書の方法で使用される軟塊は、少なくとも60パーセント、より好ましくは少なくとも70パーセントの乾燥重量を有しうることが好ましい。
【0180】
30パーセントを超える乾燥重量および軟塊を含むスラリーが、本発明の方法の特定の実施形態において好ましい。
【0181】
粒子状植物材料、水、およびその他の随意の成分を混合する工程は、任意の適切な手段によって実行されうる。低粘度の混合物、すなわち一部のスラリーについて、混合は、高エネルギーミキサーまたは高剪断ミキサーを用いて実施されることが好ましい。こうした混合は、混合物の様々な相を壊して均一に分布させる。高粘度の混合物、すなわち一部の軟塊について、混練プロセスは、混合物の様々な相を均一に分布させるのに使用されうる。
【0182】
本発明による方法は、混合物を振動させて様々な成分を分布させる工程をさらに含みうる。混合物を振動させること、すなわち、例えば、均質化した混合物が存在するタンクまたはサイロを振動させることは、特に混合物が低粘度の混合物、すなわち、一部のスラリーである場合に混合物の均質化に役立ちうる。混合と共に振動も実施される場合、キャスティングするために最適な標的値まで混合物を均質化するために必要とされる混合時間がより短くなる場合がある。
【0183】
混合物がスラリーである場合、均質化した植物材料のウェブは、ベルトコンベアなどの支持表面上にスラリーをキャスティングすることを含むキャスティングプロセスによって形成されることが好ましい。均質化した植物材料の製造方法は、該キャストウェブを乾燥させてシートを形成する工程を含む。キャストウェブは、室温で、または摂氏80~160度の周囲温度で、好適な長さの時間乾燥させてもよい。乾燥後のシートの含水量は、シートの総重量に基づいて約5パーセント~約15パーセントであることが好ましい。次いで、シートは、乾燥後に支持表面から取り外されてもよい。キャストシートは、機械的に操作され、破損または変形することなくボビンに巻く、またはボビンから巻き出されうるように、引張強さを有する。
【0184】
混合物が軟塊である場合、押出成形された混合物を乾燥する工程の前に、軟塊をシート、ストランド、または細片の形態で押出成形してもよい。軟塊は、シートの形態で押出成形されうることが好ましい。押出成形された混合物は、室温で、または摂氏80~160度の温度で適切な時間乾燥させてもよい。乾燥後の押出成形された混合物の含水量は、シートの総重量に基づいて約5パーセント~約15パーセントであることが好ましい。スラリーから形成されたウェブに対して有意に低い含水量の結果として、軟塊から形成されたシートは、より少ない乾燥時間および/またはより低い乾燥温度を必要とする。
【0185】
シートを乾燥させた後、本方法は、WO-A-2015/082652の開示に記載されるように、好ましくはエアロゾル形成体と共に、ニコチン塩をシート上に被覆する工程を随意に含んでもよい。
【0186】
シートを乾燥させた後、本発明による方法は、随意に、上述のエアロゾル発生基体の形成のためにシートをストランド、断片または細片に切断する工程を含んでもよい。ストランド、断片または細片は、適切な手段を使用して一緒にされて、エアロゾル発生基体のロッドを形成してもよい。エアロゾル発生基体の形成されたロッドでは、ストランド、断片または細片は、例えば、ロッドの長軸方向に実質的に整列されてもよい。別の方法として、ストランド、断片または細片は、ロッド内でランダムに配向されてもよい。
【0187】
ある特定の好ましい実施形態において、方法は、シートを捲縮する工程をさらに含む。これは、以下に記載する通り、シートを集合してロッドを形成することを容易にしうる。「捲縮」工程は、複数の隆起また波形を有するシートを生成する。
【0188】
ある特定の好ましい実施形態において、方法は、シートを集合してロッドを形成する工程をさらに含む。用語「集合」は、巻き込まれ、折り畳まれ、または別の方法でエアロゾル発生基体の長軸方向軸に対して実質的に横断方向に圧縮され、または収縮したシートを意味する。シートを「集合する」工程は、シートの必要な横断方向の圧縮を提供する任意の適切な手段によって実行されうる。
【0189】
本発明による方法は、随意に、乾燥工程の後に、シートをボビン上に巻く工程をさらに含んでもよい。
【0190】
本発明はさらに、均質化した植物材料のシートを生成するための代替的な紙製方法を提供する。方法は、植物材料と水を混合して希釈懸濁液を形成する第一のステップを含む。希釈懸濁液は、主に別個のセルロース繊維を含む。懸濁液は、キャスティングプロセスで製造されるスラリーよりも粘度が低く、含水量が高い。この第一のステップは、随意で水酸化ナトリウムなどのアルカリの存在下で浸漬すること、および随意で熱を印加することを伴いうる。
【0191】
方法は、懸濁液を、不溶性繊維状植物材料を含む不溶性部分と、可溶性植物物質を含む液体または水性部分とに分離する第二の工程をさらに含む。不溶性繊維状植物材料内に残っている水は、シーブとして作用するスクリーンを通して排出されてもよく、ランダムに織り込まれた繊維のウェブが配置されてもよい。場合によっては吸引または真空による支援を受けてローラーで押し付けることにより、水はこのウェブからさらに除去されうる。
【0192】
水性部分及び水を除去した後、不溶性部分をシートへと形成する。概して平坦で均一な植物繊維のシートが形成されることが好ましい。
【0193】
方法は、シートから除去された可溶性植物物質を濃縮し、濃縮された植物物質を不溶性繊維状植物材料のシートに添加して均質化した植物材料のシートを形成する工程をさらに含むことが好ましい。別の方法として、または追加的に、別のプロセスからの可溶性植物物質または濃縮植物物質をシートに添加してもよい。可溶性植物物質または濃縮植物物質は、同じ種の植物の別の品種から、または別の種の植物からであってもよい。
【0194】
このプロセスは、US-A-3,860,012号に記載される通り、たばこ紙としても公知の再構成たばこ製品を作製するためにたばこで使用されてきた。同じプロセスを一つ以上の植物で使用して、ユーカリ紙のシートなどの紙様シート材料を生成しうる。
【0195】
ある特定の好ましい実施形態において、本発明による物品で使用される均質化した植物材料は、上記に定義される紙製プロセスによって生成される。均質化したたばこ材料またはこうしたプロセスによって生成される均質化したユーカリ材料は、たばこ紙またはユーカリ紙と呼ばれる。製紙プロセスによって作製された均質化した植物材料は、特に紙が水によって湿らされている場合、目で、または光額顕微鏡下で見える材料全体にわたる複数の繊維の存在によって識別可能である。対照的に、キャスティングプロセスによって作製される均質化した植物材料は、紙よりも少ない繊維を含み、湿らされるとスラリーに分離する傾向がある。混合されたたばこユーカリ紙は、たばこ材料とユーカリ材料の混合物を使用したこうしたプロセスによって生成される均質化した植物材料を指す。
【0196】
エアロゾル発生基体がユーカリ粒子およびたばこ粒子の組み合わせを含む実施形態において、エアロゾル発生基体は、ユーカリ紙の一つ以上のシートおよびたばこ紙の一つ以上のシートを含みうる。ユーカリ紙およびたばこ紙のシートは、集合してロッドを形成する前に、相互に交互に配置される、または重ねられてもよい。随意に、シートを捲縮してもよい。別の方法として、ユーカリ紙およびたばこ紙のシートを、ストランド、細片、または断片に切断した後、組み合わせてロッドを形成してもよい。エアロゾル発生基体中のたばこおよびユーカリの相対量は、たばこおよびユーカリシートのそれぞれの数、またはロッド内のユーカリおよびたばこストランド、細片または断片のそれぞれの量を変更することによって調整することができる。
【0197】
均質化した植物材料の製造に適用されうるその他の公知のプロセスは、例えば、US-A-3,894,544号に記載されるタイプの軟塊再構成プロセス、ならびに例えばGB-A-983,928号に記載されるタイプの押出成形プロセスである。一般に、押出成形プロセスおよび軟塊再構成プロセスにより生成された均質化した植物材料の密度は、キャスティングプロセスにより生成された均質化した植物材料の密度よりも大きい。
【0198】
本発明によるエアロゾル発生物品は、上述のエアロゾル発生基体を備え、随意にマウスピースをさらに備えてもよい。マウスピースは、物品の製造中に組み合わされる一つ以上のフィルターセグメントを含みうる。エアロゾル発生物品は、ロッドを備えてもよく、ロッドは一つ以上のプラグに基体を備える。ロッドが随意のフィルターセグメントを含む場合、約5mm~約130mmのロッド長さを有しうる。ロッドが随意のフィルターセグメントを含まない場合、約5mm~約120mmの長さを有しうる。ロッドは、エアロゾル発生基体の一つ以上のプラグを備えてもよい。エアロゾル発生基体の単一のプラグがロッドを形成する場合、ロッドおよびプラグの両方が、約10~約40mm、より好ましくは約10mm~15mm、最も好ましくは約12mmの長さを有することが好ましい。ロッドは、それらの意図される用途に応じて約5mm~約10mmの直径を有しうる。
【0199】
本発明によるエアロゾル発生物品はまた、カートリッジまたはシーシャ消耗品を含むが、これらに限定されない。
【0200】
本発明によるエアロゾル発生物品は随意に、エアロゾル発生基体のすぐ下流に少なくとも一つの中空管を備えうる。管の一つの機能は、エアロゾル発生基体を、発熱体と接触できるように、エアロゾル発生物品の遠位端に向けて位置付けることである。管は、発熱体がエアロゾル発生基体の中に挿入された時に、エアロゾル発生基体が他の下流要素に向かってエアロゾル発生物品に沿って強制されるのを防止するように作用する。また、管は、下流要素をエアロゾル発生基体から分離するためのスペーサー要素として作用する。管は、セルロースアセテート、ポリマー、厚紙、または紙などの任意の材料で作製されうる。
【0201】
本発明によるエアロゾル発生物品は、随意に、エアロゾル発生基体の下流かつ中空管のすぐ下流に、一つ以上のスペーサーまたはエアロゾル冷却要素を備える。使用時に、エアロゾル発生基体から放出された揮発性化合物によって形成されたエアロゾルは、ユーザーによって吸入される前にエアロゾル冷却要素を通り過ぎ、かつエアロゾル冷却要素によって冷却される。低温は、ベイパーがエアロゾルに凝縮されることを可能にする。スペーサーまたはエアロゾル冷却要素は、エアロゾル発生基体のすぐ下流にあるものと類似しうる、中空のセルロースアセテートチューブまたはボール紙管などの中空管であってもよい。スペーサーは、中空のセルロースアセテートチューブと等しい外径であるが、これよりも小さい、または大きい内径の中空管でありうる。一実施形態において、紙で巻かれたエアロゾル冷却要素は、金属箔、箔でラミネートされた紙、好ましくは合成ポリマーで作製された高分子シート、および実質的に非多孔質の紙または厚紙などの、任意の適切な材料で作製された一つ以上の長軸方向チャネルを備える。一部の実施形態において、ラッパーで巻かれたエアロゾル冷却要素は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリ乳酸(PLA)、セルロースアセテート(CA)およびアルミ箔から成る群から選択される材料で作製された一つ以上のシートを含んでもよい。別の方法として、エアロゾル冷却要素は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリ乳酸(PLA)、およびセルロースアセテート(CA)から成る群から選択される材料の織られた繊維、または不織フィラメントで作製されてもよい。好ましい実施形態において、エアロゾル冷却要素は、フィルター紙内に巻かれた捲縮して集合したポリ乳酸シートである。別の好ましい実施形態において、エアロゾル冷却要素は、長軸方向チャネルを含み、紙で巻かれたポリ乳酸フィラメントなどの合成ポリマーの織られたフィラメントで作製される。
【0202】
本発明によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル発生基体および中空のアセテートチューブ、スペーサーまたはエアロゾル冷却要素の下流にフィルターまたはマウスピースをさらに備えてもよい。フィルターは、粒子状成分、ガス状成分、またはそれらの組み合わせを除去するための一つ以上の濾過材料を含みうる。適切な濾過材料は当業界で公知であり、例えば、セルロースアセテートトウなどの繊維質の濾過材料、および紙、例えば活性化アルミナ、ゼオライト、分子ふるいおよびシリカゲルなどの吸着剤、例えば、ポリ乳酸(PLA)、マタビー(登録商標)、疎水性ビスコース繊維およびバイオプラスチックを含む生分解性高分子、およびそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。フィルターはエアロゾル発生物品の下流端に位置してもよい。フィルターは、セルロースアセテートフィルタープラグであってもよい。一実施形態において、フィルターは約7mmの長さであるが、約5mm~約10mmの長さを有してもよい。
【0203】
一実施形態において、エアロゾル発生物品は約45mmの全長を有する。エアロゾル発生物品は、7mm~8mm、好ましくは約7.3mmの外径を有しうる。
【0204】
本発明によるエアロゾル発生物品は、一つ以上のエアロゾル修飾要素をさらに備えてもよい。エアロゾル修飾要素は、エアロゾル修飾剤を提供しうる。本明細書で使用される場合、エアロゾル修飾剤という用語は、使用時に、フィルターを通過するエアロゾルの一つ以上の特徴または特性を修正する任意の物質を説明するために使用される。適切なエアロゾル修飾要素には、限定はされないが、使用中に、フィルターを通過するエアロゾルに味わいまたは芳香を付与する物質が含まれる。
【0205】
エアロゾル修飾要素は、水分または液体風味剤のうちの一つ以上であってもよい。水または水分は、例えば、発生されたエアロゾルを湿らせることによって、ユーザーの感覚的体験を修正してもよく、これはエアロゾルに冷却効果をもたらし、ユーザーによって経験されるえぐみの知覚を低減しうる。エアロゾル修飾要素は、一つ以上の液体風味剤を送達するための風味送達要素の形態であってもよい。
【0206】
一つ以上の液体風味剤は、エアロゾル発生物品の使用中に生成されるエアロゾルの味わいを高めるために、風味送達要素内に液体の形態で放出可能なように配置するのに適した任意の風味化合物または植物抽出物を含みうる。液体または固体の風味剤はまた、セルロースアセテートトウなどのフィルターを形成する材料に直接配置されうる。適切な風味または風味剤としては、メントール、ミント(ハッカおよびオランダハッカなど)、チョコレート、甘草、柑橘類およびその他の果物風味、γオクタラクトン、バニリン、エチルバニリン、口臭消臭風味、スパイス風味(シナモンなど)、サルチル酸メチル、リナロール、オイゲノール、ベルガモット油、ゼラニウム油、レモン油、カンナビス油、およびたばこ風味などが挙げられるが、これらに限定されない。その他の適切な風味としては、酸、アルコール、エステル、アルデヒド、ケトン、ピラジン、これらの組み合わせ、またはこれらのブレンド、およびこれに類するものから成る群から選択される風味化合物が挙げられうる。
【0207】
一つ以上のエアロゾル修飾要素は、エアロゾル発生基体の下流、またはエアロゾル発生基体内に位置しうる。エアロゾル発生基体は均質化した植物材料およびエアロゾル修飾要素を含みうる。様々な実施形態において、エアロゾル修飾要素は、均質化した植物材料に隣接して配置されてもよく、または均質化した植物材料に埋め込まれてもよい。典型的には、エアロゾル修飾要素は、エアロゾル発生基体の下流、最も典型的には、エアロゾル冷却要素内、エアロゾル発生物品のフィルター内、例えば、フィルタープラグ内、またはフィルタープラグ間のくぼみ内に位置しうる。一つ以上のエアロゾル修飾要素は、スレッド、カプセル、マイクロカプセル、ビーズまたは高分子マトリクス材料、またはそれらの組み合わせのうちの一つ以上の形態であってもよい。
【0208】
エアロゾル修飾要素がスレッドの形態である場合、WO-A-2011/060961に記載されるように、スレッドは、フィルタープラグラップなどの紙から形成されてもよく、スレッドは、少なくとも一つのエアロゾル修飾剤を装填され、フィルターの本体内に位置してもよい。スレッドを形成するために使用できるその他の材料には、セルロースアセテートおよび綿が含まれる。
【0209】
エアロゾル修飾要素がカプセルの形態である場合、WO-A-2007/010407、WO-A-2013/068100およびWO-A-2014/154887に記載されるように、カプセルは、フィルター内に位置した壊れやすいカプセルであってもよく、カプセルの内部コアは、フィルターが外力に供されたときにカプセルの外部シェルの破損に伴い放出されうるエアロゾル修飾剤を含有する。カプセルは、フィルタープラグ内、またはフィルタープラグ間のくぼみ内に位置しうる。
【0210】
エアロゾル修飾要素が高分子マトリクス材料の形態である場合、高分子マトリクス材料は、WO-A-2013/034488に記載されるように、高分子マトリクスが高分子マトリクス材料の融点を超えて加熱されるときなど、エアロゾル発生物品が加熱されると、風味剤を放出する。典型的には、こうした高分子マトリクス材料は、エアロゾル発生基体内のビーズ内に位置しうる。別の方法として、または追加的に、風味剤は、高分子マトリクス材料のドメイン内に閉じ込められ、高分子マトリクス材料の圧縮に伴い高分子マトリクス材料から放出可能であってもよい。こうした風味修飾要素は、WO2013/068304に記載されるように、5N~20Nなど、少なくとも5ニュートンの範囲の力にわたって、液体風味剤の持続的な放出を提供しうる。典型的には、こうした高分子マトリクス材料は、フィルター内のビーズ内に位置しうる。
【0211】
エアロゾル発生物品は、可燃性熱源と、可燃性熱源の下流にあるエアロゾル発生基体とを備えてもよく、エアロゾル発生基体は、本発明の第一の態様に関して上述した通りである。
【0212】
例えば、本明細書に記載の基体は、WO-A-2009/022232号で開示されたタイプの加熱式エアロゾル発生物品で使用されうるが、これは可燃性炭素系熱源と、可燃性熱源の下流にあるエアロゾル発生基体と、可燃性炭素系熱源の後方部分およびエアロゾル発生基体の隣接した前方部分の周りにありそれらと接触した熱伝導性要素とを備える。ただし、当然のことながら、本明細書に記載の基体はまた、その他の構造を有する可燃性熱源を備えた加熱式エアロゾル発生物品で使用されうる。
【0213】
本発明は、発熱体を含むエアロゾル発生装置と、エアロゾル発生装置で使用するためのエアロゾル発生物品とを備えるエアロゾル発生システムを提供し、エアロゾル発生物品は、上述するエアロゾル発生基体を含む。
【0214】
好ましい実施形態において、本明細書に記載のエアロゾル発生基体は、加熱式エアロゾル発生物品のエアロゾル発生基体が電気的な熱源により加熱される電気的に作動するエアロゾル発生システムで使用するための加熱式エアロゾル発生物品で使用されうる。
【0215】
例えば、本明細書に記載のエアロゾル発生基体は、EP-A-0 822 760で開示されたタイプの加熱式エアロゾル発生物品で使用されうる。
【0216】
こうしたエアロゾル発生装置の発熱体は、熱を伝導する任意の適切な形態であってもよい。エアロゾル発生基体の加熱は、内部から、外部から、または両方から達成されうる。発熱体は、基体が内部から加熱されるように、基体に挿入されるように適合されたヒーターブレードまたはピンでありうることが好ましい。別の方法として、発熱体は、基体を部分的または完全に取り囲み、基体を外部から円周方向に加熱してもよい。
【0217】
エアロゾル発生システムは、誘導加熱装置を備えた電気的に作動するエアロゾル発生システムであってもよい。誘導加熱装置は一般に、サセプタに結合されるように構成された誘導源を備える。誘導源により交流電磁場が発生し、これがサセプタ内に磁化または渦電流を誘起する。サセプタは、ヒステリシス損失または誘起された渦電流の結果として加熱されてもよく、これはオーム加熱または抵抗加熱を通してサセプタを加熱する。
【0218】
誘導加熱装置を備える電気的に作動するエアロゾル発生システムはまた、エアロゾル発生基体およびエアロゾル発生基体と熱的に近接したサセプタを有するエアロゾル発生物品も備える。典型的には、サセプタはエアロゾル発生基体と直接接触し、熱はサセプタから主に伝導によってエアロゾル発生基体に伝達される。誘導加熱装置およびサセプタを有するエアロゾル発生物品を有する電気的に動作するエアロゾル発生システムの例は、WO-A1-95/27411およびWO-A1-2015/177255に記述されている。
【0219】
サセプタは、エアロゾル発生基体上に堆積される、またはエアロゾル発生基体内に埋め込まれうる複数のサセプタ粒子であってもよい。エアロゾル発生基体が一つ以上のシートの形態である場合、複数のサセプタ粒子は、一つ以上のシート上に堆積されるか、またはその中に埋め込まれてもよい。サセプタ粒子は、例えば、シート形態で基体によって固定され、初期位置にとどまる。サセプタ粒子は、エアロゾル発生基体の均質化した植物材料中に均一に分布しうることが好ましい。サセプタの粒子状の性質に起因して、熱は基体の均質化した植物材料シート内の粒子の分布に従い生成される。別の方法として、一つ以上のシート、細片、断片、またはロッドの形態のサセプタはまた、均質化した植物材料の隣に定置されてもよく、または均質化した植物材料に埋め込まれるものとして使用されてもよい。一実施形態において、エアロゾル形成基体は、一つ以上のサセプタ細片を含む。別の実施形態において、サセプタは、エアロゾル発生装置内に存在する。
【0220】
サセプタは、0.05ジュール/キログラムよりも大きい、好ましくは0.1ジュール/キログラムよりも大きい熱損失を有しうる。熱損失は熱を周囲の材料に移動させるサセプタの容量である。サセプタ粒子はエアロゾル発生基体内に均一に分布することが好ましいため、サセプタ粒子からの均一な熱損失が達成され、したがって、エアロゾル発生基体内に均一な熱分布が発生し、エアロゾル発生物品内に均一な温度分布がもたらされうる。サセプタ粒子中の0.05ジュール/キログラムの特定の最小熱損失は、エアロゾル発生基体を実質的に均一な温度に加熱することを可能にして、エアロゾル発生を提供することが見出された。こうした実施形態において、エアロゾル発生基体内で達する平均温度は、摂氏約200度~摂氏約240度であることが好ましい。
【0221】
エアロゾル発生基体の過熱のリスクの低減は、キュリー温度を有するサセプタ材料の使用によって支持される場合があり、これはヒステリシス損失に起因する加熱プロセスが、ある特定の最高温度までにしか達しないことを可能にする。サセプタは、摂氏約200度~摂氏約450度、好ましくは摂氏約240度~摂氏約400度、例えば摂氏約280度のキュリー温度を有しうる。サセプタ材料がそのキュリー温度に達した時、磁性が変化する。サセプタ材料はキュリー温度で、強磁性の相から常磁性の相に変化する。この時点で、強磁性領域の向きに起因するエネルギー損失に基づく加熱は停止する。その後、さらなる加熱は、サセプタ材料のキュリー温度に達すると加熱プロセスが自動的に低減されるように、主に渦電流の形成に基づく。サセプタ材料およびそのキュリー温度は、最適なエアロゾル発生のためにエアロゾル発生基体内での最適な温度および温度分布を達成するために、エアロゾル発生基体の組成に適合されることが好ましい。
【0222】
本発明によるエアロゾル発生物品の一部の好ましい実施形態において、サセプタはフェライトで作製される。フェライトは高い透磁率を有する強磁性体であり、またサセプタ材料として特に適切である。フェライトの主な成分は鉄である。その他の金属成分(例えば、亜鉛、ニッケル、マンガン)または非金属成分(例えば、ケイ素)は様々な量で存在してもよい。フェライトは比較的安価な市販の材料である。フェライトは、本発明による均質化した植物材料を形成する粒子状植物材料で使用される粒子のサイズ範囲内の粒子形態で入手可能である。粒子は、例えば、PPT(米国インディアナ州)によるFP160、FP215、FP350などの完全焼結フェライト粉末であることが好ましい。
【0223】
本発明の特定の実施形態において、エアロゾル発生システムは、上記に定義するエアロゾル発生基体を含むエアロゾル発生物品、エアロゾル形成体の供与源、およびエアロゾル形成体を気化させるための手段、好ましくは上述の発熱体を備える。エアロゾル形成体の供与源は、エアロゾル発生装置上に存在する、再充填可能または交換可能な貯蔵部でありうる。貯蔵部は、エアロゾル発生物品から物理的に分離しており、発生したベイパーは、エアロゾル発生物品を通して方向付けられる。ベイパーは、粒子状植物材料中のニコチンおよび風味剤などの揮発性化合物を放出してエアロゾルを形成するエアロゾル発生基体と接触する。随意に、エアロゾル発生基体内の化合物の揮発を支援するために、エアロゾル発生システムは、好ましくはエアロゾル形成体と調整された、エアロゾル発生基体を加熱するための発熱体さらに備えてもよい。しかしながら、特定の実施形態において、エアロゾル発生物品を加熱するために使用される発熱体は、エアロゾル形成体を加熱するヒーターから分離されている。
【0224】
上記に定義したように、本発明は、エアロゾル発生基体の加熱に伴い生成されるエアロゾルをさらに提供し、エアロゾルは、上記に定義するユーカリ粒子に由来する特徴的な化合物の特定の量および比を含む。
【0225】
本発明によれば、エアロゾルは、エアロゾルの吸煙当たり少なくとも0.2マイクログラムの量のユーカリプトール、エアロゾルの吸煙当たり少なくとも0.2マイクログラムの量のユーカリプチン、およびエアロゾルの吸煙当たり少なくとも0.2マイクログラムの量の8-デスメチルユーカリプチンを含む。本発明の目的のために、「吸煙」は、加熱に伴いエアロゾル発生基体から放出され、分析のために収集されるエアロゾルの容積として定義され、エアロゾルの吸煙は、喫煙機械によって発生される55ミリリットルの吸煙容積を有する。したがって、エアロゾルの「吸煙」に対する本明細書の任意の言及は、別途記載されない限り、55ミリリットルの吸煙を指すものと理解される。
【0226】
示した範囲は、エアロゾルの55ミリリットルの吸煙で測定された各成分の総量を定義する。エアロゾルは、任意の適切な手段を使用してエアロゾル発生基体から発生されてもよく、エアロゾル内の特徴的な化合物を識別し、その量を測定するために、上述のように閉じ込められて分析されうる。例えば、「吸煙」は、本明細書に記載のカナダ保健省の試験方法で用いられるものなどの喫煙機械で測定される55ミリリットルの吸煙に対応しうる。
【0227】
本発明によるエアロゾルは、エアロゾルの吸煙当たり少なくとも約0.5マイクログラムのユーカリプトールを含むことが好ましく、エアロゾルの吸煙当たり少なくとも約2マイクログラムのユーカリプトールを含むことがより好ましく、エアロゾルの吸煙当たり少なくとも約5マイクログラムのユーカリプトールを含むことがより好ましい。別の方法として、または追加的に、エアロゾル発生基体から発生されるエアロゾルは、エアロゾルの吸煙当たり最大で約25マイクログラムのユーカリプトールを含み、エアロゾルの吸煙当たり最大で約15マイクログラムのユーカリプトールを含むことが好ましく、エアロゾルの吸煙当たり最大で約10マイクログラムのユーカリプトールを含むことがより好ましい。例えば、エアロゾル発生基体から発生されるエアロゾルは、エアロゾルの吸煙当たり約0.5マイクログラム~約25マイクログラムのユーカリプトール、またはエアロゾルの吸煙当たり約2マイクログラム~約15マイクログラムのユーカリプトール、またはエアロゾルの吸煙当たり約5マイクログラム~約10マイクログラムのユーカリプトールを含んでもよい。
【0228】
本発明によるエアロゾルは、エアロゾルの吸煙当たり少なくとも約0.5マイクログラムのユーカリプチンを含むことが好ましく、エアロゾルの吸煙当たり少なくとも約2マイクログラムのユーカリプチンを含むことがより好ましく、エアロゾルの吸煙当たり少なくとも約5マイクログラムのユーカリプチンを含むことがより好ましい。別の方法として、または追加的に、エアロゾル発生基体から発生されるエアロゾルは、エアロゾルの吸煙当たり最大で約25マイクログラムのユーカリプチンを含み、エアロゾルの吸煙当たり最大で約15マイクログラムのユーカリプチンを含むことが好ましく、エアロゾルの吸煙当たり最大で約10マイクログラムのユーカリプチンを含むことがより好ましい。例えば、エアロゾル発生基体から発生されるエアロゾルは、エアロゾルの吸煙当たり約0.2マイクログラム~約25マイクログラムのユーカリプチン、またはエアロゾルの吸煙当たり約0.5マイクログラムのユーカリプチン~エアロゾルの吸煙当たり約25マイクログラムのユーカリプチン、またはエアロゾルの吸煙当たり約2マイクログラム~約15マイクログラムのユーカリプチン、またはエアロゾルの吸煙当たり約5マイクログラム~約10マイクログラムのユーカリプチンを含んでもよい。
【0229】
本発明によるエアロゾルは、エアロゾルの吸煙当たり少なくとも約0.5マイクログラムの8-デスメチルユーカリプチンを含むことが好ましく、エアロゾルの吸煙当たり少なくとも約2マイクログラムの8-デスメチルユーカリプチンを含むことがより好ましく、エアロゾルの吸煙当たり少なくとも約5マイクログラムの8-デスメチルユーカリプチンを含むことがより好ましい。別の方法として、または追加的に、エアロゾル発生基体から発生されるエアロゾルは、エアロゾルの吸煙当たり最大で約25マイクログラムの8-デスメチルユーカリプチンを含み、エアロゾルの吸煙当たり最大で約15マイクログラムの8-デスメチルユーカリプチンを含むことが好ましく、エアロゾルの吸煙当たり最大で約10マイクログラムの8-デスメチルユーカリプチンを含むことがより好ましい。例えば、エアロゾル発生基体から発生されるエアロゾルは、エアロゾルの吸煙当たり約0.2マイクログラム~約25マイクログラムの8-デスメチルユーカリプチン、またはエアロゾルの吸煙当たり約0.5マイクログラム~約25マイクログラムの8-デスメチルユーカリプチン、またはエアロゾルの吸煙当たり約2マイクログラム~約15マイクログラムの8-デスメチルユーカリプチン、またはエアロゾルの吸煙当たり約5マイクログラム~約10マイクログラムの8-デスメチルユーカリプチンを含みうる。
【0230】
本発明によれば、エアロゾル組成物は、吸煙当たりのユーカリプトールの量が吸煙当たりのユーカリプチンの量の2倍以下となるようなものである。したがって、エアロゾル中のユーカリプトールとユーカリプチンの比は2:1以下である。
【0231】
エアロゾルの吸煙当たりのユーカリプトールの量は、エアロゾル中のユーカリプトールとユーカリプチンの比が1.5:1以下となるように、エアロゾルの吸煙当たりのユーカリプチンの量の1.5倍以下であることが好ましい。エアロゾルの吸煙当たりのユーカリプトールの量は、エアロゾル中のユーカリプトールとユーカリプチンの比が1.2:1以下となるように、エアロゾルの吸煙当たりのユーカリプチンの量の1.2倍以下であることがより好ましい。エアロゾルの吸煙当たりのユーカリプトールの量は、エアロゾル中のユーカリプトールとユーカリプチンの比が1:1以下となるように、エアロゾルの吸煙当たりのユーカリプチンの量以下であることがより好ましい。
【0232】
本発明によれば、エアロゾル組成物は、エアロゾルの吸煙当たりのユーカリプトールの量がエアロゾルの吸煙当たりの8-デスメチルユーカリプチンの量の2倍以下であるようなものである。したがって、エアロゾル中のユーカリプトールと8-デスメチルユーカリプチンの比は2:1以下である。
【0233】
エアロゾルの吸煙当たりのユーカリプトールの量は、エアロゾル中のユーカリプトールと8-デスメチルユーカリプチンの比が1.5:1以下となるように、エアロゾルの吸煙当たりの8-デスメチルユーカリプチンの量の1.5倍以下であることが好ましい。エアロゾルの吸煙当たりのユーカリプトールの量は、エアロゾル中のユーカリプトールと8-デスメチルユーカリプチンの比が1.2:1以下となるように、エアロゾルの吸煙当たりのユーカリプトールの量の1.2倍以下であることがより好ましい。エアロゾルの吸煙当たりのユーカリプトールの量は、エアロゾル中のユーカリプトールと8-デスメチルユーカリプチンの比が1:1以下となるように、エアロゾルの吸煙当たりの8-デスメチルユーカリプチンの量以下であることがより好ましい。
【0234】
エアロゾル中のユーカリプチンと8-デスメチルユーカリプチンの比は、1.2:1~1:1であることが好ましい。
【0235】
ユーカリプトールとユーカリプチンおよび8-デスメチルユーカリプチンの定義された比は、ユーカリ粒子に由来するエアロゾルを特徴付ける。対照的に、ユーカリ油から生成されるエアロゾルでは、ユーカリプトールとユーカリプチンの比、およびユーカリプトールと8-デスメチルユーカリプチンとユーカリプトールの比は、2:1よりも有意に大きくなるであろう。これは、ユーカリ植物材料と比較して、ユーカリ油中のユーカリプトールの割合が比較的高いことに起因する。
【0236】
本発明によるエアロゾル中のユーカリプチンとユーカリプトールの比は、少なくとも約1:1であることが好ましい。これは、エアロゾル中のユーカリプチンの量が、ユーカリプトールの量と少なくとも同じ、好ましくは高いことを意味する。代替的にまたは追加的に、エアロゾル中の8-デスメチルユーカリプチンとユーカリプトールの比は、少なくとも1:1である。これは、エアロゾル中の8-デスメチルユーカリプチンの量が、ユーカリプトールの量と少なくとも同じ、好ましくは高いことを意味する。これらの比は、ユーカリ粒子から生成されるエアロゾルの特徴である。ユーカリ油から生成されるエアロゾルでは、ユーカリプチンとユーカリプトールの比、および8-デスメチルユーカリプチンとユーカリプトールの比は、1よりも有意に小さいであろう。これは、ユーカリ植物材料と比較して、ユーカリ油中のユーカリプトールの割合が比較的高いことに起因する。
【0237】
本発明によるエアロゾルは、エアロゾルの吸煙当たり少なくとも約0.1ミリグラムのエアロゾル形成体をさらに含むことが好ましく、エアロゾルの吸煙当たり少なくとも約0.2ミリグラムのエアロゾルをさらに含むことがより好ましく、エアロゾルの吸煙当たり少なくとも約0.3ミリグラムのエアロゾル形成体をさらに含むことがより好ましい。エアロゾルは、エアロゾルの吸煙当たり最大で0.6ミリグラムのエアロゾル形成体を含むことが好ましく、エアロゾルの吸煙当たり最大で0.5ミリグラムのエアロゾル形成体を含むことがより好ましく、エアロゾルの吸煙当たり最大で0.4ミリグラムのエアロゾル形成体を含むことがより好ましい。例えば、エアロゾルは、エアロゾルの吸煙当たり約0.1ミリグラム~約0.6ミリグラムのエアロゾル形成体、またはエアロゾルの吸煙当たり約0.2ミリグラム~約0.5ミリグラムのエアロゾル形成体、またはエアロゾルの吸煙当たり約0.3ミリグラム~約0.4ミリグラムのエアロゾル形成体を含みうる。これらの値は、上記で定義する通り、55ミリリットルの吸煙容積に基づく。
【0238】
本発明で使用するための適切なエアロゾル形成体は、上記で説明される。
【0239】
本発明によるエアロゾル発生基体から生成されるエアロゾルは、エアロゾルの吸煙当たり少なくとも約2マイクログラムのニコチンをさらに含むことが好ましく、エアロゾルの吸煙当たり少なくとも約20マイクログラムのニコチンをさらに含むことがより好ましく、エアロゾルの吸煙当たり少なくとも約40マイクログラムのニコチンをさらに含むことがより好ましい。エアロゾルは、エアロゾルの吸煙当たり最大で約200マイクログラムのニコチンを含むことが好ましく、エアロゾルの吸煙当たり最大で約150マイクログラムのニコチンを含むことがより好ましく、エアロゾルの吸煙当たり最大で約75マイクログラムのニコチンを含むことがより好ましい。例えば、エアロゾルは、エアロゾルの吸煙当たり約2マイクログラム~約200マイクログラムのニコチン、またはエアロゾルの吸煙当たり約20マイクログラム~約150マイクログラムのニコチン、またはエアロゾルの吸煙当たり約40マイクログラム~約75マイクログラムのニコチンを含んでもよい。これらの値は、上記で定義する通り、55ミリリットルの吸煙容積に基づく。本発明の一部の実施形態において、エアロゾルは、ゼロマイクログラムのニコチンを含んでもよい。
【0240】
別の方法として、または追加的に、本発明によるエアロゾルは、随意に、エアロゾルの吸煙当たり少なくとも約0.5ミリグラムのカンナビノイド化合物をさらに含んでもよく、エアロゾルの吸煙当たり少なくとも約1ミリグラムのカンナビノイド化合物をさらに含むことがより好ましく、エアロゾルの吸煙当たり少なくとも約2ミリグラムのカンナビノイド化合物をさらに含むことがより好ましい。エアロゾルは、エアロゾルの吸煙当たり最大で約5ミリグラムのカンナビノイド化合物を含むことが好ましく、エアロゾルの吸煙当たり最大で約4ミリグラムのカンナビノイド化合物を含むことがより好ましく、エアロゾルの吸煙当たり最大で約3ミリグラムのカンナビノイド化合物を含むことがより好ましい。例えば、エアロゾルは、エアロゾルの吸煙当たり約0.5ミリグラム~約5ミリグラムのカンナビノイド化合物、またはエアロゾルの吸煙当たり約1ミリグラム~約4ミリグラムのカンナビノイド化合物、またはエアロゾルの吸煙当たり約2ミリグラム~約3ミリグラムのカンナビノイド化合物を含みうる。本発明の一部の実施形態において、エアロゾルは、ゼロマイクログラムのカンナビノイド化合物を含んでもよい。これらの値は、上記で定義する通り、55ミリリットルの吸煙容積に基づく。
【0241】
カンナビノイド化合物は、CBD及びTHCから選択されることが好ましい。カンナビノイド化合物はCBDであることがより好ましい。
【0242】
また、一酸化炭素が本発明によるエアロゾル中に存在してもよく、エアロゾルをさらに特徴付けるために測定および使用されてもよい。酸化窒素および二酸化窒素などの窒素の酸化物もエアロゾル中に存在する場合があり、エアロゾルをさらに特徴付けるために測定および使用されうる。
【0243】
ユーカリ粒子からの特徴的な化合物を含む本発明によるエアロゾルは、約0.01~200ミクロン、または約1~100ミクロンの範囲の空気動力学的中央粒子径(MMAD)を有する粒子から形成されうる。エアロゾルが上述のニコチンを含む場合、エアロゾルは、エアロゾルからのニコチンの送達を最適化するために、約0.1~約3ミクロンの範囲のMMADを有する粒子を含むことが好ましい。
【0244】
エアロゾルの空気動力学的中央粒子径(MMAD)は、エアロゾルの粒子状質量の半分が、MMADよりも大きな空気力学的直径を有する粒子によって占められ、半分が、MMADよりも小さな空気力学的直径を有する粒子によって占められる、粒子力学的直径を指す。空気動力学的直径は、特徴付けられる粒子と同じ沈降速度を有する1g/cm3の密度を有する球状粒子の直径として定義される。
【0245】
本発明によるエアロゾルの空気動力学的中央粒子径は、Schaller et al.,“Evaluation of the Tobacco Heating System 2.2.の第2.8節 第二部:Chemical composition,genotoxicity,cytotoxicity and physical properties of the aerosol,”Regul.Toxicol.and Pharmacol.,81(2016)S27-S47に従って決定されうる。
【0246】
具体的な実施形態を以下の添付図面を参照しながら、例証としてのみであるがさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0247】
図1図1は、本明細書に記載のエアロゾル発生物品の基体の第一の実施形態を図示する。
図2図2は、エアロゾル発生物品および電気発熱体を含むエアロゾル発生装置を備えたエアロゾル発生システムを図示する。
図3図3は、エアロゾル発生物品および可燃性発熱体を含むエアロゾル発生装置を備えたエアロゾル発生システムを図示する。
図4図4aおよび4bは、本明細書に記載のエアロゾル発生物品の基体の第二の実施形態を図示する。
図5図5は、本明細書に記載のエアロゾル発生物品の基体の第三の実施形態を図示する。
図6図6は、エアロゾル修飾要素をさらに含むフィルター1050の断面図である。図6aは、フィルタープラグ内の球状のカプセルまたはビーズの形態のエアロゾル修飾要素を図示する。図6bは、フィルタープラグ内のスレッドの形態のエアロゾル修飾要素を図示する。図6cは、フィルター内のくぼみ内の球状のカプセルの形態のエアロゾル修飾要素を図示する。
図7図7は、ビーズの形態のエアロゾル修飾要素をさらに含むエアロゾル発生基体1020のプラグの断面図である。
図8図8は、特徴的な化合物を測定するために分析されるエアロゾルサンプルを収集するための実験セットアップを図示する。
【発明を実施するための形態】
【0248】
図1は、本明細書に記載の基体を含む加熱式エアロゾル発生物品1000を図示する。物品1000は、エアロゾル発生基体1020と、中空のセルロースアセテートチューブ1030と、スペーサー要素1040と、マウスピースフィルター1050という四つの要素を備える。これら四つの要素は順に同軸の配置で並べられ、紙巻たばこ用紙1060によって組み立てられ、エアロゾル発生物品1000を形成する。物品1000は口側の端1012を有し、ユーザーは使用中にその端を口の中に挿入し、遠位端1013は口側の端1012に対して物品の反対側の端に位置する。図1に図示したエアロゾル発生物品の実施形態は、エアロゾル発生基体を加熱するためのヒーターを備えた電気的に作動するエアロゾル発生装置で使用するのに特に適切である。
【0249】
組み立てられた時、物品1000は長さ約45ミリメートルであり、約7.2ミリメートルの外径と約6.9ミリメートルの内径を持つ。
【0250】
エアロゾル発生基体1020は、ユーカリ粒子を含む均質化した植物材料のシートから形成されるプラグを、単独でまたはたばこ粒子と組み合わせて含む。エアロゾル発生基体1020を形成するための好適な均質化した植物材料のいくつかの例が、以下の表1に示されている(サンプルA~Dを参照)。シートを集合、捲縮して、フィルターペーパー(図示せず)で巻いてプラグを形成する。シートは、エアロゾル形成体としてのグリセリンを含む添加物を含む。
【0251】
図1に図示したエアロゾル発生物品1000は、消費されるためにエアロゾル発生装置と係合するように設計されている。こうしたエアロゾル発生装置は、エアロゾル発生基体1020を十分な温度に加熱してエアロゾルを形成する手段を含む。一般に、エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生基体1020に隣接したエアロゾル発生物品1000を囲む発熱体、またはエアロゾル発生基体1020に挿入される発熱体を備えうる。
【0252】
エアロゾル発生装置と係合されると、ユーザーは喫煙物品1000の口側の端1012を吸い、エアロゾル発生基体1020が摂氏約375度の温度に加熱される。この温度にて、揮発性化合物がエアロゾル発生基体1020から放出される。これらの化合物は凝縮されてエアロゾルを形成する。エアロゾルはフィルター1050を通して引き出され、ユーザーの口に入る。
【0253】
図2は、エアロゾル発生物品1000のエアロゾル発生基体1020を加熱するための加熱用ブレード2100を利用した電気的に作動するエアロゾル発生システム2000の一部を図示する。加熱用ブレードは、電気的に動作するエアロゾル発生装置2010のエアロゾル物品受入れチャンバー内に取り付けられる。エアロゾル発生装置は、空気がエアロゾル発生物品1000に流れるようにするための複数の空気穴2050を画定する。空気の流れは、図2の矢印で示されている。エアロゾル発生装置は電源および電子部品を含むが、図2では図示されていない。図2のエアロゾル発生物品1000は、図1に関して説明した通りである。
【0254】
図3に示される代替的な構成では、エアロゾル発生システムは、可燃性発熱体と共に示されている。図1の物品1000はエアロゾル発生装置と併せて消費されることが意図されるが、図3の物品1001は、点火して熱をエアロゾル発生基体1020に伝達させて吸入可能なエアロゾルを形成しうる可燃性熱源1080を含む。可燃性熱源80は、ロッド11の遠位端13でエアロゾル発生基体に近接して組み立てられる木炭要素としうる。図1の各要素と本質的に同じ要素には同じ番号が付けられている。
【0255】
図4aおよび4bは、加熱式エアロゾル発生物品4000a、4000bの第二の実施形態を図示する。エアロゾル発生基体4020a、4020bは、主にユーカリ粒子を含む粒子状植物材料から形成された第一の下流プラグ4021と、主にたばこ粒子を含む粒子状植物材料から形成された第二の上流プラグ4022とを備える。第一の下流プラグでの使用に好適な均質化した植物材料を以下の表1にサンプルAとして示す。第二の上流プラグでの使用に好適な均質化した植物材料を以下の表1にサンプルEとして示す。
【0256】
各プラグにおいて、均質化した植物材料は、シートの形態であり、シートは、捲縮されて、フィルターペーパー(図示せず)に巻かれる。シートは両方とも、エアロゾル形成体としてのグリセロールを含む添加剤を含む。図4aに示す実施形態において、プラグは、端と端をつないで当接する関係で組み合わされてロッドを形成しており、それぞれ約6mmの長さである。より好ましい実施形態(図示せず)において、第二のプラグは、第一のプラグよりも長いことが好ましく、例えば、2mm長いことが好ましく、3mm長いことがより好ましく、その結果、第二のプラグは、7または7.5mmの長さであり、第一のプラグは5または4.5mmの長さであって、基体中のたばこ粒子とユーカリ粒子の望ましい比を提供する。図4bでは、セルロースアセテートチューブ支持要素1030は省略されている。
【0257】
図1の物品1000と類似の物品4000a、4000bは、図2に示すヒーターを備える電気的に作動するエアロゾル発生システム2000での使用に特に好適である。図1の各要素と本質的に同じ要素には、同じ番号が付けられている。可燃性熱源(図示せず)が、図3の物品1001の可燃性熱源1080を含む構成に類似した構成において、電気発熱体の代わりに、第二の実施形態で代替的に使用されうることは、当業者に想定されうる。
【0258】
図5は、加熱式エアロゾル発生物品5000の第三の実施形態を図示する。エアロゾル発生基体5020は、主にユーカリ粒子を含む粒子状植物材料で形成される均質化した植物材料の第一のシートと、主にキャストリーフたばこを含む均質化した植物材料の第二のシートとから形成されるロッドを備える。第一のシートとしての使用に好適な均質化した植物材料を以下の表1にサンプルAとして示す。第二のシートとしての使用に好適な均質化した植物材料を以下の表1にサンプルEとして示す。
【0259】
第二のシートは第一のシートの上にあり、組み合わされたシートは、捲縮、集合され、少なくとも部分的にフィルターペーパー(図示せず)で巻かれてロッドの一部であるプラグを形成する。両方のシートは、エアロゾル形成体としてのグリセロールを含む添加剤を含む。図1の物品1000と類似の物品5000は、図2に示すヒーターを備える電気的に作動するエアロゾル発生システム2000での使用に特に好適である。図1の各要素と本質的に同じ要素には、同じ番号が付けられている。可燃性熱源(図示せず)が、図3の物品1001の可燃性熱源1080を含む構成に類似した構成において、電気発熱体の代わりに、第三の実施形態で代替的に使用されうることは、当業者に想定されうる。
【0260】
図6は、エアロゾル修飾要素をさらに備えるフィルター1050の断面図である。図6aにおいて、フィルター1050は、球状カプセルまたはビーズ605の形態のエアロゾル修飾要素をさらに備える。
【0261】
図6aの実施形態において、カプセルまたはビーズ605はフィルターセグメント601内に埋め込まれ、フィルター材料603によってすべての側が囲まれている。この実施形態で、カプセルは外部シェルおよび内部コアを備え、その内部コアは液体風味剤を含む。液体風味剤は、フィルターを提供されたエアロゾル発生物品の使用中にエアロゾルを風味付けるためのものである。カプセル605は、例えば消費者による圧迫によってフィルターが外力に供された時に、液体風味剤の少なくとも一部を放出する。図示した実施形態において、カプセルは概して球状であり、液体風味剤を含む実質的に連続した外側シェルを有する。
【0262】
図6bの実施形態において、フィルターセグメント601は、フィルター材料603のプラグと、フィルター1050の長軸方向軸に平行にフィルター材料603のプラグを通して軸方向に延在する中央風味支持スレッド607とを備える。中央風味支持スレッド607は、中央風味支持スレッド607の端部がフィルターセグメント601の端部において見えるように、フィルター材料603のプラグと実質的に同じ長さである。図6bにおいて、フィルター材料603は、セルロースアセテートトウである。中央風味支持スレッド607は、ねじれたフィルタープラグラップから形成され、エアロゾル修飾剤が装填されている。
【0263】
図6cの実施形態において、フィルターセグメント601は、二つ以上のフィルター材料のプラグ603、603’を備える。フィルター材料603、603’のプラグは、エアロゾル発生物品によって提供されるエアロゾルを濾過することができるように、セルロースアセテートから形成される。ラッパー609が周りに巻かれ、フィルタープラグ603、603’を接続する。くぼみ611の内部には、外部シェルおよび内部コアを含むカプセル605があり、内部コアは液体風味剤を含む。あるいは、カプセルは図6aの実施形態と類似している。
【0264】
図7は、ビーズ705の形態のエアロゾル修飾要素をさらに備えるエアロゾル発生基体1020の断面図である。エアロゾル発生基体1020は、たばこ粒子およびユーカリ粒子を含む均質化した植物材料のシートから形成されるプラグ703を備える。ビーズ705の風味送達材料は、材料を摂氏220度を超える温度に加熱するのに伴い放出される風味剤を組み込んでいる。したがって、風味剤は、使用中にプラグの一部が加熱されるのに伴いエアロゾル中に放出される。
【実施例
【0265】
図を参照して上述したように、本発明によるエアロゾル発生基体で使用するための均質化した植物材料の異なるサンプルを、表1に示す組成物を有する水性スラリーから調製した。サンプルA~Dは、本発明によるユーカリ粒子を含む。サンプルEは、たばこ粒子のみを含み、比較の目的のためにのみ含まれる。
【0266】
すべてのサンプル中の粒子状植物材料は、均質化した植物材料の乾燥重量の75パーセントを占め、グリセロール、グアーガム、およびセルロース繊維は、均質化した植物材料の乾燥重量の残りの25パーセントを占める。以下の表において、%DWBは、「乾燥重量基準」を指し、この場合、均質化した植物材料の乾燥重量に対して計算された重量パーセントである。ユーカリ粉末は、最初に衝撃粉砕によってD95=300ミクロンに粉砕され、さらに三倍の衝撃粉砕によって最終D95=174.6ミクロンに粉砕されたユーカリグロブルスリーフから形成された。
【表1】
【0267】
スラリーを、キャスティングバー(0.6mm)を使用してガラス板上にキャストし、オーブンで7分間摂氏140度にて乾燥させ、次いで第二のオーブンで30秒間摂氏120度にて乾燥させた。
【0268】
均質化した植物材料のサンプルA~Eのそれぞれについて、均質化した植物材料の単一の連続的なシートからプラグを生成したが、シートはそれぞれ100mm~125mmの幅を有する。個々のシートは、約220ミクロンの厚さおよび約200g/m2の坪量を有した。各シートの切断幅を、各シートの厚さに基づいて適合させ、匹敵する容積のロッドを製造した。シートを165ミクロン~170ミクロンの高さに捲縮し、約12mmの長さおよび約7mmの直径を有するプラグへと丸め、紙ラッパーで取り囲んだ。
【0269】
プラグのそれぞれについて、約45mmの全長を有するエアロゾル発生物品が、図3に示すような構造を有し、下流端から、口側端セルロースアセテートフィルター(約7mmの長さ)と、ポリ乳酸ポリマーの捲縮したシートを含むエアロゾルスペーサー(約18mmの長さ)と、中空のアセテートチューブ(約8mmの長さ)と、エアロゾル発生基体のプラグとを備えて、形成された。
【0270】
ユーカリ粒子が粒子状植物材料の100パーセントを占める均質化した植物材料のサンプルAについて、特徴的な化合物を、上記に詳述したメタノールを使用して均質化した植物材料のプラグから抽出した。抽出物を上記のように分析し、特徴的な化合物の存在を確認して、特徴的な化合物の量を測定した。この分析の結果を以下の表2に示すが、ここで示される量は、エアロゾル発生物品あたりの量に対応し、エアロゾル発生物品のエアロゾル発生基体は、233mgの均質化した植物材料のサンプルAを含む。比較の目的で、サンプルAを形成するために使用される粒子状植物材料(ユーカリ粒子)中に存在する特徴的な化合物の量も示す。
【表2】

【0271】
ある割合のユーカリ粒子を含むサンプルB~Dのそれぞれについて、特徴的な化合物の量は、その量がユーカリ粒子の重量に比例して存在すると仮定することによって、表2の値に基づいて推定することができる。
【0272】
均質化した植物材料のサンプルAからEから形成されたエアロゾル発生基体を組み込んだエアロゾル発生物品の主流エアロゾルを、上記に定義した試験方法Aに従って発生させた。各サンプルについて、生成されたエアロゾルを閉じ込めて分析した。
【0273】
上記で詳述するように、試験方法Aに従い、エアロゾル発生物品を、市販されているPhilip Morris Products SAのiQOS(登録商標)加熱非燃焼式装置たばこ加熱システム2.2ホルダー(THS2.2ホルダー)を使用して試験した。エアロゾル発生物品を、カナダ保健省の機械喫煙レジメン下で、吸煙容積55ml、吸煙持続時間2秒、および吸煙間隔30秒による30回の吸煙にわたって加熱した(ISO/TR 19478-1:2014に記載する通り)。
【0274】
喫煙試験中に発生したエアロゾルを、Cambridgeフィルターパッドに収集して液体溶媒で抽出した。図10は、エアロゾル発生物品からエアロゾルを発生および収集するための適切な装置を示している。
【0275】
図10に示すエアロゾル発生装置111は、市販のタバコ加熱装置(IQOS)である。上記に詳述するカナダ保健省の喫煙試験中に発生された主流エアロゾルの内容物は、エアロゾル収集ライン120上のエアロゾル収集チャンバー113に収集される。ガラス繊維フィルターパッド140は、ISO4387およびISO3308に準拠した44mmのCambridgeガラス繊維フィルターパッド(CFP)である。
【0276】
LC-HRAM-MS分析の場合
この場合メタノールおよび内部標準(ISTD)溶液である抽出溶媒170、170aは、各マイクロインピンジャー160、160a中に10mLの容積で存在する。冷浴161、161aはそれぞれ、マイクロインピンジャー160、160aをそれぞれ約-60°Cに維持するためのドライアイス-イソプロピルエーテルを含む。気体‐蒸気相は、マイクロインピンジャー160、160aを通してエアロゾルが泡立つのに伴い抽出溶媒170、170a内に閉じ込められる。二つのマイクロインピンジャーからの組み合わせられた溶液は、工程181において、インピンジャーに閉じ込められた気体-蒸気相溶液180として分離される。
【0277】
CFPおよびインピンジャーに閉じ込められた気体‐蒸気相溶液180は、工程190で清浄なPyrex(登録商標)管に組み合わされる。工程200において、全ての粒子状物質は、十分に振とう(CFPを分解)して5分間攪拌し、最後に遠心分離(4500g、5分、10℃)することによって、インピンジャーに閉じ込められ気体‐蒸気相溶液180(溶媒としてメタノールを含む)を使用して、CFPから抽出される。全ての再構成エアロゾル抽出物220のアリコート(300μL)をシラン処理されたクロマトグラフィーバイアルに移し、メタノール(700μL)で希釈したが、これは抽出溶媒170、170aが既に内部標準(ISTD)溶液を含むためである。バイアルを閉じ、Eppendorf ThermoMixer(5℃、2000rpm)を使用して5分間混合した。
【0278】
化合物識別のために、希釈した抽出物のアリコート(1.5μL)を注入し、フルスキャンモードおよびデータ依存型フラグメンテーションモードの両方でLC-HRAM-MSにより分析した。
【0279】
GCxGC-TOFMS分析について:
上述のように、GCxGC-TOFMS実験のためのサンプルを調製する場合、全エアロゾルから分離された極性化合物、非極性化合物、および揮発性化合物の抽出および分析には、異なる溶媒が適切である。実験のセットアップは、以下に示した例外を除き、LC-HRAM-MSのサンプル収集に関して説明したものと同一である。
【0280】
非極性および極性
抽出溶媒171、171aは、10mLの容量で存在し、80:20v/vのジクロルメタンおよびメタノールの混合物であり、同じく保持指標マーカー(RIM)化合物および安定同位体標識内部標準(ISTD)を含む。冷浴162、162aはそれぞれ、マイクロインピンジャー160、160aをそれぞれ約-78°Cに維持するためのドライアイス-イソプロパノール混合物を含む。気体‐蒸気相は、マイクロインピンジャー160、160aを通してエアロゾルが泡立つのに伴い抽出溶媒171、171a内に閉じ込められる。二つのマイクロインピンジャーからの組み合わせられた溶液は、工程182において、インピンジャーに閉じ込められた気体-蒸気相溶液210として分離される。
【0281】
非極性
CFPおよびインピンジャーに閉じ込められた気体‐蒸気相溶液210は、工程190で清浄なPyrex(登録商標)管に組み合わされる。工程200において、全ての粒子状物質は、十分に振とう(CFPを分解)して5分間攪拌し、最後に遠心分離(4500g、5分、10℃)して、エアロゾル抽出物230全体の極性成分および非極性成分を分離することによって、インピンジャーに閉じ込められ気体‐蒸気相溶液210(溶媒としてジクロロメタンおよびメタノールを含む)を使用して、CFPから抽出される。
【0282】
工程250において、エアロゾル抽出物230全体の10mLのアリコート240を取り出した。工程260において、10mLの水のアリコートを添加し、サンプル全体を振とうし、遠心分離する。非極性分画270を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、フルスキャンモードでGCxGC-TOFMSにより分析した。
【0283】
極性
ISTDおよびRIM化合物を極性分画280に添加し、これをフルスキャンモードでGCxGC-TOFMSによって直接分析した。
【0284】
各喫煙複製(n=3)は、各サンプルについて、閉じ込められた再構成非極性分画の270および非極性分画280の蓄積を含む。
【0285】
揮発性成分
エアロゾル全体を、二つのマイクロインピンジャー160、160aを直列に使用して閉じ込めた。この場合はN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)保持指標マーカー(RIM)化合物および安定同位体標識内部標準(ISTD)である抽出溶媒172、172aは、各マイクロインピンジャー160、160a中に10mLの容積で存在する。冷浴161、161aはそれぞれ、マイクロインピンジャー160、160aをそれぞれ約-60°Cに維持するためのドライアイス-イソプロパノールエーテルを含む。気体‐蒸気相は、マイクロインピンジャー160、160aを通してエアロゾルが泡立つのに伴い抽出溶媒170、170a内に閉じ込められる。二つのマイクロインピンジャーからの組み合わせられた溶液は、工程183において揮発性含有相211として分離される。揮発性含有相211は、他の相とは別個に分析され、さらなる調製を行うことなく、クールオンカラムを用いてGCxGC-TOFMSに直接注入される。
【0286】
以下の表3は、ユーカリ粒子のみを含む均質化した植物材料のサンプルAを組み込んだエアロゾル発生物品から発生されたエアロゾル中のユーカリ粒子からの特徴的な化合物のレベルを示す。比較の目的で、表3はまた、たばこ粒子のみを含む(したがって本発明によらない)均質化した植物材料のサンプルEを組み込んだエアロゾル発生物品から発生されるエアロゾル中の特徴的な化合物のレベルを示す。
【表3】

【0287】
サンプルAから発生されたエアロゾルでは、比較的高いレベルの特徴的な化合物が測定された。ユーカリプトールとユーカリプチンの比、およびユーカリプトールと8-デスメチルユーカリプチンの比は、両方とも1未満であった。したがって、特徴的な化合物のレベルは、サンプル中のユーカリ粒子の存在を示した。対照的に、ユーカリ粒子を実質的に含まないたばこのみのサンプルEについては、特徴的な化合物のレベルがゼロであるか、またはほぼゼロであることが見出された。
【0288】
ある割合のユーカリ粒子を含む各サンプルB~Dについて、エアロゾル中の特徴的な化合物の量は、その量が、それからエアロゾルが発生されたエアロゾル発生基体におけるユーカリ粒子の質量に比例して存在すると仮定することによって、表3の値に基づいて推定することができる。
【0289】
サンプルAから発生されたエアロゾル中で識別される、ユーカリの特徴である他の化合物には、エピグロブロール(CAS番号88728-58-9、64.13マイクログラム/物品)、レデン(CAS番号21747-46-6、51.64マイクログラム/物品)、タスマノン(CAS番号22595-52-4、39.12マイクログラム/物品)、アロアロマデンドレン(CAS番号25246-27-9、29.99マイクログラム/物品)、α-テルピネオールアセテート(CAS番号10581-37-0、25.19マイクログラム/物品)、ユーグローバルIII(CAS番号76449-26-8、21.66マイクログラム/物品)が挙げられる。また、こうした化合物を使用して、物品中のユーカリ植物材料の存在および量を識別および評価することができる。
【0290】
以下の表4は、より概略的に、たばこのみのサンプルE(たばこのみ)から発生されたエアロゾルの組成物と比較して、サンプルA(ユーカリのみ)を組み込んでいるエアロゾル発生物品から発生されたエアロゾルの組成物を示している。示される低減は、サンプルEの均質化した植物材料中のたばこ粒子をユーカリ粒子に置換したことによって提供される低減である。
【表4】


【0291】
表4に示すように、サンプルAによって生成されるエアロゾルは、粒子状植物材料の乾燥重量に基づいて、100重量パーセントユーカリ粉末を含有し、粒子状植物材料の乾燥重量に基づいて、100重量パーセントのたばこを使用して生成されたサンプルEにおけるエアロゾルのレベルと比較して、プロピオンアルデヒド、クロトンアルデヒド、メチルエチルケトン、ブチルアルデヒド、アセトアルデヒド、フェノール、o-クレゾール、カテコール、ヒドロキノン、アクリロニトリル、スチレン、イソプレン、ピリジン、ベンゾ[a]ピレン、ベンズ[a]アントラセン、ピレン、および総粒子状物質のレベルが低減された。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5
図6a
図6b
図6c
図7
図8