(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-25
(45)【発行日】2024-10-03
(54)【発明の名称】大動脈弓内に導入される塞栓防止デバイス及びその塞栓防止デバイスを含むシステム
(51)【国際特許分類】
A61F 2/01 20060101AFI20240926BHJP
【FI】
A61F2/01
(21)【出願番号】P 2021577483
(86)(22)【出願日】2020-06-29
(86)【国際出願番号】 EP2020068252
(87)【国際公開番号】W WO2020260695
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2023-05-22
(31)【優先権主張番号】102019117603.4
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102020110712.9
(32)【優先日】2020-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】516111052
【氏名又は名称】プロテンビス ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャンキラン ムラート
(72)【発明者】
【氏名】フォン マンゴルト カール
(72)【発明者】
【氏名】ペニング ミハエル
(72)【発明者】
【氏名】ラムス コンラッド
(72)【発明者】
【氏名】シューマッハ オリバー
【審査官】立花 啓
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/077458(WO,A1)
【文献】特表2017-516609(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0324589(US,A1)
【文献】特表2022-538309(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
濾過ユニット(2)と送りユニット(4)とを備える、大動脈弓(9)内に挿入される塞栓防止デバイス(1)であって、
前記濾過ユニット(2)はフレーム(3)とフィルタメッシュ(20)とを備え、前記フィルタメッシュ(20)は前記フレーム(3)上に配置されており、
前記濾過ユニット(2)は近位領域(6)と遠位領域(7)とを有し、
前記濾過ユニット(2)は前記濾過ユニット(2)が少なくとも部分的に前記大動脈弓(9)内に配置され得るような様式で設計されて
おり、
前記フィルタメッシュ(20)と前記送りユニット(4)の間に支持体(21)が設置されており、これによって前記フィルタメッシュ(20)が大動脈屋根部(22)に拡張状態で受動的に引き寄せられること、
を特徴とする、塞栓防止デバイス(1)。
【請求項2】
請求項1に記載の塞栓防止デバイス(1)であって、前記濾過ユニット(2)が適切に配置されると、使用者に最終位置を知らせる触覚フィードバックまたは視覚フィードバックが生成されることを特徴とする、塞栓防止デバイス(1)。
【請求項3】
請求項1または2に記載の塞栓防止デバイス(1)であって、前記フレーム(3)が前記近位領域(6)に、前記フレーム(3)の内部で互いと平行に延在しある領域を介して前記送りユニット(4)と接続されている2つの端部(18)および(19)を備えることを特徴とする、塞栓防止デバイス(1)。
【請求項4】
請求項1、2、または3に記載の塞栓防止デバイス(1)であって、前記近位領域(6)が、半径方向の剛性が向上するような様式で設計されている係止部(16)を含むことを特徴とする、塞栓防止デバイス(1)。
【請求項5】
請求項
1に記載の塞栓防止デバイス(1)であって、前記支持体(21)は、ばね、ゴム構成要素、ニチノール、または弾性材料であることを特徴とする、塞栓防止デバイス(1)。
【請求項6】
請求項1から
5のいずれか1項に記載の塞栓防止デバイス(1)であって、前記フィルタメッシュ(20)はデバイス(23)と接続されており、前記デバイス(23)を介して前記フィルタメッシュ(20)を前記大動脈屋根部(22)に能動的に引き寄せ可能となっていることを特徴とする、塞栓防止デバイス(1)。
【請求項7】
請求項
6に記載の塞栓防止デバイス(1)であって、前記デバイス(23)は、ワイヤ、糸、または鎖であることを特徴とする、塞栓防止デバイス(1)。
【請求項8】
請求項1から
7のいずれか1項に記載の塞栓防止デバイス(1)であって、前記近位領域(6)
は送出血管(11)内に前記遠位領域(7)とは別個に、および、前記遠位領域(7)は前記大動脈弓(9)内に前記近位領域(6)とは別個に、構成され得ることを特徴とする、塞栓防止デバイス(1)。
【請求項9】
請求項1から
8のいずれか1項に記載の塞栓防止デバイス(1)であって、前記近位領域(6)が前記フレームの幾何形状の湾曲の方向の変化によっ
て送出血管(11)に合わせて調整され得、その中に固定され得ることを特徴とする、塞栓防止デバイス(1)。
【請求項10】
請求項1から
9のいずれか1項に記載の塞栓防止デバイス(1)であって、前記濾過ユニット(2)の前記フレーム(3)は戻しデバイス(35)と接続されており、これによって前記フレーム
をカテーテル(12)へと戻すことが可能になっていることを特徴とする、塞栓防止デバイス(1)。
【請求項11】
請求項1から
10のいずれか1項に記載の塞栓防止デバイス(1)であって、前記濾過ユニット(2)は、第1のフレーム(33)の外側領域内に第2のフレーム(32)が構成されるような様式で、2つに分割されていることを特徴とする、塞栓防止デバイス(1)。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1項に記載の塞栓防止デバイス(1)であって、前記フィルタメッシュ(20)の周長は前記フレーム(3)の周長よりも長く、前記フィルタメッシュ(20)は前記送りユニット(4)と接続されており、前記フィルタメッシュ(20)
が送出血管(11)の方向に引かれると
、くさび状部(34)が形成されることを特徴とする、塞栓防止デバイス(1)。
【請求項13】
請求項1から
12のいずれか1項に記載の塞栓防止デバイス(1)
と、
第1の接続片(36)、ハンドルシェル(37)、摺動部(38)、および/または第2の接続片(39)を備える
ハンドル(5)と、から成ることを特徴とする、システム。
【請求項14】
請求項
13に記載の
システムであって、
前記ハンドル(5)は、前記第1の接続片(36)がカテーテルに能動的に固定されることになる接続部を作り出し得るような様式で設計されていることを特徴とする、
システム。
【請求項15】
請求項
13または
14に記載の
システムであって、
前記ハンドル(5)は、前記
第1の接続片(36)
が内面に切り欠き(42)を有し、その中
にカテーテル(12)のブレード(40)を挿入可能であることを特徴とする、
システム。
【請求項16】
請求項
13から
15のいずれか1項に記載の
システムであって、
前記ハンドル(5)は、前記第2の接続片(39)によって前記送りユニット(4)との可逆クランプ接続部を作り出すことができることを特徴とする、
システム。
【請求項17】
請求項13から16のいずれか1項に記載の
システムであって、
前記ハンドル(5)は、前記摺動部(38)が
塞栓防止デバイス
(1)を装填および配置するための引っ張りおよび/または押し込み機構を作用させることのできるような様式で設計されていることを特徴とする、
システム。
【請求項18】
請求項
13から
17のいずれか1項に記載の
システムであって、
前記ハンドル(5)は、前記摺動部(38)
が係止用のロックデバイスを有し、これにより前記ハンドルシェル(37)に対する前記摺動部の相対的配置が可能になることを特徴とする、
システム。
【請求項19】
請求項
13から
18いずれか1項に記載の
システムであって、前記ハンドル(5)は止血弁を含むことを特徴とする、
システム。
【請求項20】
請求項
13から
19のいずれか1項に記載の
システムであって、
前記ハンドル(5)は、前記ハンドルシェル(37)が前記摺動部(38)内に挿入可能な内側ガイドチューブを有することを特徴とする、
システム。
【請求項21】
請求項1から
12のいずれか1項に記載の塞栓防止デバイス(1)と、カテーテル(12)と、から成ることを特徴とする、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大動脈弓内に挿入される、脳血管系内への粒子または他の細片の侵入を防止するための塞栓防止デバイスに関する。本発明はまた更に、そのような塞栓防止デバイス用のハンドル、ならびに、上記ハンドルとカテーテルとから成るシステム、上記ハンドルと塞栓防止デバイスとから成るシステム、塞栓防止デバイスとカテーテルとから成るシステム、およびハンドルと塞栓防止デバイスとカテーテルとから成るシステム、ならびに、塞栓防止デバイスを使用する方法、ハンドルを使用する方法、ならびに、塞栓防止デバイスおよび/またはハンドルおよび/またはカテーテルから成るシステムを使用する方法に関する。
【0002】
応用範囲は医療分野、特に心臓手術およびインターベンション心臓病学である。
【背景技術】
【0003】
脳卒中までを含む虚血性脳障害のリスクは心臓手術において、特に経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)などの最低侵襲性の手技の場合に、最も懸念される合併症のうちの1つである。
【0004】
そのような手技の間、肉眼で見えるような粒子が剥離し、その後大動脈弓の分岐を介して脳に到達し、そこで塞栓症を引き起こす可能性がある。
【0005】
そのような粒子が分岐血管に進入するのを防止するために、心臓手術および介入型手術の実施時に大動脈弓内にフィルタとして挿入可能な塞栓防止デバイスが、先行技術から既に知られている。
【0006】
しかしながらこの点に関して問題となるのが、大動脈弓内でのフィルタの適正な配置である。小さい間隙が存在すると粒子はそもそもフィルタの脇を通過できるが、このことがフィットに厳しい要件を課す必要のある理由である。更に、フィルタが正確に留置されているかどうかは使用者には明らかではなく、このため、いつ最適な最終位置に到達したかを評価するのは困難である。送りユニットに対するカテーテルのごく僅かな歪みなどの更なる要因が、フィルタの厳密な配置を困難にする可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明のタスクはしたがって、改善された塞栓防止デバイスを提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このタスクは、請求項1および更なる独立請求項の特徴によって解決される。従属請求項は本発明の有利な改善形態に関するものである。
【0009】
本発明によって、濾過ユニットと送りユニットとを備える、大動脈弓内に挿入される塞栓防止デバイスであって、濾過ユニットがフレームとフィルタメッシュとを備え、フィルタメッシュがフレーム上に配置されている、塞栓防止デバイス、が提供される。濾過ユニットは近位領域と遠位領域とを有し、濾過ユニットは、この濾過ユニットが少なくとも部分的に大動脈弓内に配置され得るような様式で設計される。
【0010】
ある領域を介して形成された、制御される送りユニットとの接続部によって、塞栓防止デバイスを配置できることが有利である。フレームと送りユニットをある領域を介して接続することによって、展開状態のフィルタの配置の調整を行うことが可能になる。
【0011】
濾過ユニットが適切に配置されると、使用者に最終位置を知らせる触覚フィードバックまたは視覚フィードバックが生成されるのが有利である。
【0012】
有利には、この結果使用者は、塞栓防止デバイスが精確に配置されているかどうかを感知することができる。塞栓防止デバイスは、濾過ユニットが大動脈弓内でその位置を占めると、触覚および/または視覚フィードバックが生成されるように設計され得る。
【0013】
触覚フィードバックは特に、濾過ユニットが解剖学的に高度に適合することによって生成される。濾過ユニットは、ある程度の抵抗下で使用者が引っ張ったときにその最適な位置に達すると反応を返し、このことによってそれが大動脈弓内に精確にフィットしたことを知らせる。別法としてまたは加えて、放射線不透過性マーカを取り付けることによって、視覚によるチェックを行うことができる。
【0014】
触覚および/または視覚フィードバックによって支援される適正な配置に加えて、留置期間中の安定した配置、および位置合わせ手技との相互作用の最小化が、塞栓防止デバイスの機能性にとって決定的に重要である。
【0015】
塞栓防止デバイスの安定性の向上はとりわけ、留置環境に対する濾過ユニットの最適化されたフィットによって実現され得る。更に、近位領域における補強およびフレームの残留応力(ねじれ)によって、塞栓防止デバイスの半径方向の剛性が実現される。
【0016】
塞栓防止デバイスの機能性にとって同じく有利であるのは、位置合わせ手技に必要な介在機器の設置中に、塞栓防止デバイスの安定した配置が影響を受けないことである。このことは同じく最適化されたフィットによって実現される。塞栓防止デバイスの近位領域を送出血管(feeder vessel)内に留置することによって、起こり得る相互作用の更なる有利な最小化が実現される。この点に関して、この構成に起因して塞栓防止デバイスの近位端が送出血管に入って隠れると、塞栓防止デバイスと大動脈弓の屋根部との間にエッジが形成されず、滑らかな移行部が実現されるのが、特に有利である。
【0017】
本発明が意図している送りユニットは濾過ユニットに力を伝達するためのデバイスであり、これを通して濾過ユニットをカテーテルの中でとりわけ引くかまたは押すかして、大動脈弓内を移動させることができる。これは好ましくは、塞栓防止デバイスにおいて、ワイヤ、好ましくは複数の細いワイヤから成るコイルとして設計される。更なる実施形態も考えられる。
【0018】
塞栓防止デバイスは有利には、フレームが近位領域において、フレームの内側で互いと平行に延在しある領域を介して送りユニットと接続されている2つの端部を備えるように設計される。このことにより、送りユニットによってカテーテルを通して濾過ユニットを導き、大動脈弓内を移動させることができる。
【0019】
本発明の一実施形態では、濾過ユニットの近位領域は係止部を含み、これによってフレームの半径方向の剛性が向上する。このことは、より安定した配置および触覚信号のより強固なフィードバックに寄与する。
【0020】
塞栓防止デバイスの更なる実施形態では、遠位領域は先端部に向かってテーパするように設計され、この結果流線形の断面分布を有する。このことによって遠位先端部の幾何形状が大動脈弓により良好に適合し、留置中の血流内での接触面が小さくなる。大動脈弓に対する接触圧力の緩やかな増大が同時に実現される。
【0021】
送りユニットと接続されている塞栓防止デバイスのフィルタメッシュ上に、直接的にまたはフレームの端部を介して支持体を設置することができ、これを介して拡張状態のフィルタメッシュが、大動脈屋根部に受動的に引き寄せられる。
【0022】
そのような支持体は有利には、力要素、例えばばね、または更に、シリコーンもしくはゴムなどの可撓性材料から構築される。
【0023】
代替の実施形態では、フィルタメッシュはまた、フィルタメッシュを大動脈屋根部へと能動的に引き寄せることのできるデバイスとも接続され得る。
【0024】
デバイスは好ましくは、このデバイスをカテーテルを通して送りユニットから独立してハンドル領域まで導くことができ、そこで使用者が能動的に操作できるような様式で構築される。これに関しては様々な材料が考えられる。好ましくはワイヤまたは糸を使用できる。
【0025】
同じく独立的に進歩性を有する実施形態では、塞栓防止デバイスは、近位領域が送出血管内に遠位領域とは別個に、および遠位領域が大動脈弓内に近位領域とは別個に構成され得るような様式で設計される。フレームはこの場合、近位血管セクションおよび遠位大動脈セクションへと分割される。
【0026】
この実施形態は、大動脈弓内で使用されるデバイスとの起こり得る相互作用が低減されるという利点を有する。
【0027】
手技の最中に大動脈セクションの幾何形状は影響を受けないが、このことはフィルタフレームの湾曲の方向が大きく変化することによって実現され得る。フレームはこの場合、近位血管セクションおよび遠位大動脈セクションへと分割される。
【0028】
血管セクションおよび大動脈セクションの独立した設計ならびにそれらの解剖学的なフィットに起因して、濾過ユニットは、精確に配置されると触覚および/または視覚フィードバックが受け取られるような様式で、送出血管内および大動脈弓内に固定され得る。
【0029】
この実施形態は、大動脈弓内で使用されるデバイスとの起こり得る相互作用が低減されるという利点を有する。
【0030】
代替の同じく独立的な進歩性を有する実施形態では、塞栓防止デバイスは、濾過ユニット全体を完全に大動脈弓内で構成できることを特徴とする。大動脈弓内で濾過ユニットの配置が適切に行われると、近位領域は送出血管に対して遠位に形成される。この点に関して、濾過ユニットを大動脈弓内に挿入してから張力をかけて展開させると流れの方向に延びる濾過表面が形成されるが、このことによって、送りユニットを使用してフレームを大動脈弓の屋根部に向かって引き寄せることで、脳血管が保護される。
【0031】
塞栓防止デバイスの一変形形態は好ましくは、展開状態のフレームの端部が近位の濾過レベルに対して鈍角W3を成して留置され、フレームを大動脈弓の屋根部に向かって引き寄せることによって流れの方向に延びる近位濾過表面が形成されるような様式で設計される。
【0032】
このことにより大動脈弓壁に対する近位端の接触圧力が改善されるが、このことは、例えばTAVI手技を実施するために使用されるものであるデバイスとの、相互作用の低減につながる。
【0033】
濾過ユニットを引っ張ると、完全な濾過ユニットが大動脈弓内および送出血管に掛かる近位領域内に配置されることに起因して、送りユニットが触覚信号を生成し、この触覚信号は濾過ユニットの適正な配置を知らせる。
【0034】
更なる変形形態では、近位領域は、近位領域の端部が、弓形状の第1の部分が遠位領域の方向におよび第2の部分が近位領域の方向に形成されるように弓形状を描くような様式で、2つのセクションへと分割される。
図9c)を参照されたい。
【0035】
この点に関して、塞栓防止デバイスがその最終位置に留置されると、第2の部分が下向きに延びる鋭角W5を形成し、この第2の部分が近位領域の端部を大動脈弓の屋根部に押し付けるのが有利である。触覚フィードバックはこのプロセスにおいて補強され、一方他のデバイスとの相互作用が更に低減される。
【0036】
本発明の更なる有利な実施形態では、フレームの端部を、濾過ユニットが展開状態にあるときに、遠位濾過レベルに対して鋭角W1を成すように留置することができ(
図11a)を参照)、この結果、フレームを大動脈弓の屋根部に向かって引き寄せることによって、フレームは、近位領域の端部の幅が大きくなるような形になる。特別な実施形態では、このことは、フレームの端部が近位フレームへの接合部における濾過レベルよりも下にあり(
図11b)を参照)、このときフレームに張力を伝えることができ、その結果、近位領域が送出血管の方向に引き寄せられると近位領域の拡大が起こるような様式で、フレームの端部を配置可能であることによって、実現される。
【0037】
別の実施形態では、濾過ユニットは、近位領域が濾過レベルから突出するような様式で2つのセクションへと分割され、この結果、デバイスが留置されると、変形されている近位領域を通してねじれが遠位領域に伝わり、このことにより大動脈弓の屋根部への接触圧力が増大する。
【0038】
別法として、塞栓防止デバイスの濾過ユニットは、近位領域が濾過レベルから突出し、この結果デバイスが配置されると近位領域が拡開するような様式で、2つのセクションへと分割される。
【0039】
ねじれはまた更に、遠位端が大動脈屋根部に当たって折れ曲がるような様式で、フレームにおいても形成され得る。
【0040】
この構成を通して、濾過ユニットが首尾よく配置されると、使用者に触覚フィードバックが伝えられる。
【0041】
更なる効果としては、脳血管がより良好に保護される。
【0042】
同じく独立的に進歩性を有する本発明の更なる有利な実施形態では、塞栓防止デバイスの濾過ユニットは、塞栓防止デバイスが抜去されるときに、近位領域を遠位領域とは無関係に能動的および/または受動的に折り畳むことのできるような様式で、2つのセクションへと分割され得る。
【0043】
更なる変形形態では、濾過ユニットは、近位領域の端部が、弓形状の第1の部分が遠位領域の方向におよび第2の部分が近位領域の方向に形成されるように弓形状を描くような様式で、2つのセクションへと分割される。
【0044】
特別な実施形態では、近位領域を遠位領域とは無関係に流れの方向に曲げることができる。好ましい実施形態では、遠位領域および近位領域の両方を、送りユニットに対して、5°~85°だけ、特に好ましくは25°~75°だけ、更に特に好ましくは60°だけ、曲げることができる。このことは特に好ましくは近位フレームに関する。
【0045】
特別な実施形態では、側方領域を、流れの方向に対して垂直な角度で互いに独立して曲げることができる。好ましい実施形態では、この曲げは、遠位領域および近位領域の両方を、送りユニットに対して、5°~85°、特に好ましくは25°~75°、更に特に好ましくは60°の角度である。
【0046】
このことは、血管のより良好な保護、より安定した配置、およびより明確な触覚フィードバックをもたらす。
【0047】
同じく独立的に進歩性を有する塞栓防止デバイスの変形形態では、濾過ユニットは、近位領域および遠位領域がそれら自体のフレームを各々有し、これらを覆うようにそれら自体の対応するフィルタが展伸されるような様式で、2つのセクションへと分割される。
【0048】
塞栓防止デバイスは好ましくは、フレームの端部の第2の部分があるデバイスを介してフィルタメッシュおよび/または近位フレームと接続され、上記デバイスによって近位領域を送出血管の方向に能動的に折り畳むことができることを特徴とする。この結果、カテーテルを介してデバイスを再び問題なく抜去することができる。
【0049】
ただし塞栓防止デバイスは、濾過ユニットが、近位領域および遠位領域がそれら自体のフレームを各々有するように、ならびに、個々のフィルタが両方のフレームを覆うように展伸されるように、2つのセクションへと分割される様式で設計することもできる。この実施形態では、好ましくはフィルタメッシュおよび/または近位領域のフレームの間に支持体が留置され、この支持体によって、近位フレームは送出血管の方向に受動的に折り畳まれ得る。このことによってデバイスの抜去が容易になる。
【0050】
同じく独立的に進歩性を有する代替形態として、塞栓防止デバイスの濾過ユニットは、第2のフレームが第1のフレームの外側領域内に存在し、第2のフレームが第1のフレームの遠位領域内でのみフィルタメッシュに接続され、第1のフレームの近位端を送出血管の方向に引っ張ることができ、第2のフレームが大動脈弓の屋根部に向かって引き寄せられ、このときくさび状部(wedge)が現れるような様式で、2つのセクションへと分割されてもよい。
【0051】
第1のフレームは、能動的に移動させることができかつ第2のフレームを引き回すので、第2のフレームよりも太いワイヤで構築されるのが好ましい。くさび状部の形成は、分岐血管をこの柔軟なシステムで良好に保護できるので特に有利である。
【0052】
代替の改善形態は、濾過ユニットのフレームがフレームをカテーテル内に戻すことのできる戻しデバイスと接続されており、フィルタメッシュの周長がフレームの周長よりも長い、塞栓防止デバイスによって構築され、フィルタメッシュは送りユニットと接続されており、フィルタメッシュが送出血管の方向に引っ張られると、漏斗状部(funnel)
が形成されるようになっている。
【0053】
この変形形態では、独立したフレームが使用され、送りユニットとの安定化接続部は用いられない。大動脈弓への適合がフィルタメッシュを介して実現されるのでフレームを様々な様式で形成することができ、例えばフレームは丸形または卵形であってもよい。大動脈弓からのフレームの抜去は、送りユニットに接続されるかまたは能動的に操作できるように別個に使用者に戻されるかのいずれかである、独立した戻しデバイス、好ましくはワイヤによって実現される。
【0054】
濾過ユニットは送りユニットを介して送出血管へと引っ張られる。別法として、濾過ユニットは他方で、独立した能動デバイスを備えることもできる。
【0055】
漏斗状部の設計によって分岐血管の最適な被覆がもたらされる。デバイスが理想的に配置されているとき、これらの実施形態においても、使用者に触覚信号が伝達される。
【0056】
更なる同じく独立的に進歩性を有する態様は、塞栓防止デバイス用のハンドルであって、ハンドルは第1の接続片、ハンドルシェル、摺動部、および/または第2の接続片を備え、第1の接続片は能動的に固止されることになる接続部として設計されている、および/または、第2の接続片は可逆クランピング接続部として設計されていることを特徴とする、ハンドル、に関する。
【0057】
更なる実施形態では、ハンドルは、ハンドルが第1の接続片、ハンドルシェル、摺動部、および/または第2の接続片を備えることを特徴とする。
【0058】
この点に関して、第1の接続片は能動的もしくは受動的に固止されることになる接続部として設計され得る、および/または、第2の接続片は永続的なクランピング接続部として設計され得る。
【0059】
ハンドルによって様々な機能が可能になる。例えば、カテーテルへの固定された接続部を作り出すことができる。このことは好ましくは、カテーテルに能動的に固定されることになる接続部を作り出せるような様式で設計されている、第1の接続片によって実現される。この目的のために、カテーテルと第1の接続片の間にルアーロック接続部を作り出すことができる。接続片は好ましくは、内面に、中にカテーテルのブレードを挿入できる切り欠きを有する。この点に関して、第1の接続ユニットのスリーブをカテーテルに押し被せることができる。このことによって、カテーテルが固定されその結果回転が防止されるので、塞栓防止デバイスの取り回しがより良好になる。
【0060】
第2の接続片によって、送りユニットに牽引力または圧縮力およびモーメントを伝えるための、送りユニットとの可逆クランピング接続部を作り出すことができる。
【0061】
ハンドルはまた更に、デバイスを装填および配置するための牽引機構および/または押圧機構を作用させることのできるような様式で設計されている、摺動部を含み得る。摺動部は好ましくは、ハンドルシェルに対する摺動部の位置の調整を可能にするロックデバイスを備える。この点に関して、摺動部は、使用前の準備を終えたデバイスをロックするために、例えば端部位置に、可逆的に固定され得る。一実施形態では、この目的のために、ハンドル上に押しボタンを設置し、摺動部上に戻り止めを設けることができる。
【0062】
ハンドルシェルは好ましくは、形状嵌合の様式で、摺動部に対して回転できないように設計される。この点に関して、摺動部が丸形の幾何形状を有さないのが理に適っている。
【0063】
ハンドルのこれらの特徴は、例えば塞栓防止デバイスを使用するときに有利であることが分かっているが、その理由は、どれほど僅かな移動でも、濾過ユニットの挿入、配置、および抜去、ならびにデバイスの配置に必須の回転移動の伝達において、問題となり得るからである。
【0064】
本発明の別の好ましい改善形態は、ハンドルの正面領域に構成されるのが好ましい止血弁を含むハンドルとして存在する。この止血弁はすすぎオプションを含み得る。
【0065】
ハンドルシェルはまた更に、摺動部内に挿入可能な内側ガイドチューブを有する。ガイドチューブは、摺動部がハンドル部分の内側で前方に押されることによって送りユニットに圧力がかかったときに送りユニットが屈曲するのが防止されるように、送りユニットを案内する役割を果たす。
【0066】
本発明は更に、塞栓防止デバイスとカテーテルとから成るシステムに関する。有利には、塞栓防止デバイスは、このシステムにおいて、カテーテルを通過できるような様式で設計される。
【0067】
本発明の別の改善形態は、ハンドルとカテーテルとから成るシステムに関する。
【0068】
このシステムは不可逆接合部を有するユニットであるのが特に好ましいが、可逆接合部も可能である。例えば、他の介入器具を配置する場合である。
【0069】
ハンドルおよびカテーテルは特に、一体型ユニットであり得るか、または互いに可逆的に接続されている。上記ユニットは追加的に、製造中に塞栓防止デバイスと可逆的に、または不可逆的にも、接続され得る。
【0070】
本発明の別の改善形態では、これは塞栓防止デバイスとハンドルとから成るシステムに関する。
【0071】
本発明は同様に、塞栓防止デバイスとハンドルとカテーテルとから成るシステムに関する。この点に関して、カテーテルはハンドル内に固定されるように設計されてもよく、塞栓防止デバイスはカテーテルを通過できるように、および送りユニットを介してハンドルと接続可能となるように設計されてもよい。このシステムは特に好ましくは、カテーテルとハンドルの間に、およびハンドルと塞栓防止デバイスの間に、不可逆接続部を有するユニットとして企図されるが、可逆接続部も可能である。
【0072】
同じく独立的に進歩性を有する本発明の主題は、塞栓防止デバイスをこのデバイスを使用して配置するための方法である。方法は、濾過ユニットが適切に配置されると、使用者に最終位置を知らせる触覚および/または視覚フィードバックが生成されることを特徴とする。
【0073】
送りユニットに、および該当すれば更なる能動デバイスに、牽引力および/または圧縮力を及ぼすことによって、濾過ユニットを大動脈弓内に挿入し、それを理想的な様式で配置し、それを抜去することが可能である。
【0074】
本発明の更なる独立的な進歩性を有する態様は、塞栓防止デバイスを使用する方法、ハンドルを使用する方法、ならびに塞栓防止デバイスおよび/またはカテーテルおよび/またはハンドルから成るシステムを使用する方法に関する。特に、方法は、特にフィルタの配置中に、ハンドルを回転させ可逆クランピング接続部を、およびしたがって送りユニットを通してモーメントを伝えることによって遠位領域の回転を調整するために、ならびに、カテーテルを介して、およびその結果摩擦接合部を介して狭窄したフィルタにモーメントを同時に伝達するために、使用され得る。
【0075】
本発明は特に、濾過ユニットと送りユニットとを備える、大動脈弓内に挿入される塞栓防止デバイスであって、フィルタユニットがフレームとフィルタメッシュとを備え、フィルタメッシュがフレーム上に配置されている、塞栓防止デバイスに関する。濾過ユニットは近位領域と遠位領域とを有し、濾過ユニットは、この濾過ユニットが少なくとも部分的に大動脈弓内に配置され得るような様式で設計される。
【0076】
好ましい実施形態では、塞栓防止デバイスは、濾過ユニットが適切に配置されると、使用者に最終位置を知らせる触覚および/または視覚フィードバックが生成されることを特徴とする。
【0077】
更なる実施形態では、塞栓防止デバイスは、フレームが近位領域において、フレームの内側で互いと平行に延在し送りユニットと接続されている2つの端部を備えることを特徴とする。2つの端部は、例えば
図1、
図2、および
図4に示されており、
図10におけるまたは
図10における、例として大動脈弓内に配置済みの状態である送りユニットとの接続部である。
【0078】
本発明に係る塞栓防止デバイスは理想的には、近位領域に、フレームの内部で互いと平行に延在しある領域を介して送りユニットと接続されている2つの端部を有するフレームを備え得る。例えば、
図8Aでは拡張状態で、また
図8Cでは詳細に示されている。
【0079】
近位領域は好ましくは、半径方向の剛性が向上するような様式で設計される係止部を有する。この点に関して、そのような係止部は、圧着スリーブ、ワイヤコイル、溶接接続部、ねじ、等であり得る。この点においては、ワイヤの端部を互いに固定できることが必須である(
図4を参照)。
【0080】
同じく独立的に進歩性を有する代替の実施形態では、塞栓防止デバイスは、遠位領域が先端部に向かってテーパするように設計され、この結果流線形の断面分布を有するような様式で構築される。
図1に示されている。
【0081】
本発明に係る代替形態では、塞栓防止デバイスは、近位領域がフレームの幾何形状の湾曲の方向の変化によって送出血管に合わせて調整され得、その中に固定され得ることを特徴とする。
【0082】
一変形形態では、支持体(21)は、本発明に係る塞栓防止デバイス内でフィルタメッシュと送りユニットの間に構成することができ、これによってフィルタメッシュが拡張状態で大動脈屋根部へと受動的に引き寄せられる。
【0083】
上記支持体は、ばね、ゴムまたはニチノールなどの弾性材料、好ましくは予備成形されたある幾何形状のニチノール(pre-formed nitinol geometry)、あるいは類似のものであり得る。
【0084】
更なる変形形態では、塞栓防止デバイスは、デバイスを介してフィルタメッシュを大動脈屋根部に能動的に引き寄せることができるように、フィルタメッシュがデバイスと接続されていることを特徴とする。
【0085】
そのようなデバイスは、ワイヤ、または糸、またはフィルタメッシュを一緒に配置できる体内での使用に適した他の材料であり得る。
【0086】
塞栓防止デバイスは好ましくは、近位領域が送出血管内に遠位領域とは別個に、および遠位領域が大動脈弓内に近位領域とは別個に構成され得るような様式で設計される。
【0087】
本発明に係る代替形態では、塞栓防止デバイスは、近位領域がフレームの幾何形状の湾曲の方向の変化によって送出血管に合わせて調整され得、その中に固定され得ることを特徴とする。
【0088】
塞栓防止デバイス好ましくは、完全な濾過ユニットを大動脈弓内に留置できるように設計され、この場合、濾過ユニットが大動脈弓内に適切に配置されると、近位領域は、血液の流れの方向を始点とした場合の送出血管の下流に留置される(
図10を参照)。
【0089】
別の変形形態では、近位領域の端部は、第1の部分と第2の部分とに分割されてもよい。
【0090】
塞栓防止デバイスは好ましくは、配置されていない状態において、近位領域の端部が弓形状を画定し、このとき弓形態の第1の部分aが遠位領域の方向に、第2の部分bが近位領域の方向に形成されるような様式で、構築される。(
図9bを参照)。
【0091】
更なる特別な実施形態では、塞栓防止デバイスは、展開状態において、フレームの端部が遠位濾過レベルに対して鋭角W1を成して留置され、この結果近位領域が、角度W4よりも下に近位領域が隠れているフレームを大動脈弓の屋根部に向かって引き寄せることによって、その近位領域の端部が拡開するように形成されることを特徴とする。上記拡開によってワイヤにねじれが生じ、この結果遠位端が上向きに畳まれる。
図11に示されている。
【0092】
塞栓防止デバイスのこの変形形態では、近位領域が近位濾過レベルから突出し、(デバイスが配置されているときに)変形されている近位領域を通して遠位領域にねじれが伝達され、これによって大動脈弓の屋根部への接触圧力が大きくなる。
【0093】
好ましい実施形態では、塞栓防止デバイスは、展開状態のフレームの端部が近位濾過レベルに対して鈍角W3を成して留置されて、フレームを大動脈弓の屋根部に向かって引き寄せることによって流れの方向に延びる近位濾過表面が形成されるような様式で設計される(
図10を参照)。特に好ましくは、近位端が大動脈屋根部に向かって引き寄せられると、遠位端は上向きに畳まれる。
【0094】
特に好ましい実施形態では、塞栓防止デバイスは、濾過ユニットが、第2のフレームが第1のフレームの外側領域内に存在する(
図12を参照)ように、2つのセクションへと分割されるような様式で構築される。
【0095】
上記塞栓防止デバイスは好ましくは、第1のフレームが第2のフレームの遠位領域においてのみフィルタメッシュと接続されることを特徴とする。
【0096】
これらの実施形態では、第1のフレームの近位端を送出血管の方向に引き寄せることができ、その場合、このことによって第2のフレームが大動脈弓の屋根部に向かって引き寄せられ、フィルタメッシュの形成が例えばくさびの形態で行われる。
【0097】
別法として、濾過ユニットのフレームを、フレームをカテーテル内に戻すことのできる戻しデバイスと接続してもよく、フィルタメッシュの表面はフレームの展伸した表面よりも大きく、フィルタメッシュは送りユニットと接続されており、フィルタメッシュが送出血管の方向に引っ張られると、漏斗状部が形成される。
【0098】
更なる進歩性を有する態様は、医療デバイス用のハンドルであって、ハンドルは第1の接続片、ハンドルシェル、摺動部、および/または第2の接続片を備え、第1の接続片は能動的に固止されることになる接続部として設計されている、および/または、第2の接続片は可逆クランピング接続部として設計されていることを特徴とする、ハンドル、に関する。
【0099】
更なる実施形態では、ハンドルは、ハンドルが第1の接続片、ハンドルシェル、摺動部、および/または第2の接続片を備え、第1の接続片は受動的に固止されることになる接続部として設計されている、および/または、第2の接続片は永続的なクランピング接続部として設計されていることを特徴とする。
【0100】
ハンドルによって様々な機能が可能になる。例えば、カテーテルまたは別の医療デバイスとの、固定された接続部を作り出すことができる。このことは好ましくは、例えばカテーテルまたは別のデバイスに能動的に固止されることになる接続部を作り出せるような様式で設計されている、第1の接続片によって実現される。この目的のために、カテーテルと第1の接続片の間にルアーロック接続部を作り出すことができる。一変形形態では、接続片は内面に、中にカテーテルのブレードを挿入できる切り欠きを有する。この点に関して、第1の接続ユニットのスリーブをカテーテルに押し被せることができる。このことによって、カテーテルが固定されその結果回転が防止されるので、塞栓防止デバイスの取り回しがより良好になる。
【0101】
第2の接続片によって、送りユニットに牽引力または圧縮力およびモーメントを伝えるための、送りユニットとの可逆クランピング接続部を作り出すことができる。
【0102】
ハンドルはまた更に、デバイスを装填および配置するための引っ張り機構および/または押し込み機構を作用させることのできるような様式で設計されている、摺動部を含み得る。上記圧力機構は、例えば、送りユニットが圧縮されることまたは波打つことを防止する内側ガイドによって実現され得る。
【0103】
ハンドルシェルは好ましくは、摺動部内に挿入可能な内側ガイドチューブを有する。これは、カテーテルなどの接続された医療デバイス用のガイドチューブの役割を果たすことができ、とりわけ、圧力がかかったときにそのようなデバイスが屈曲するのを防止する。
【0104】
摺動部は好ましくは、ハンドルシェルに対する摺動部の位置の調整を可能にするロックデバイスを備える。この点に関して、摺動部は、使用前の準備を終えたデバイスをロックするために、例えば端部位置に、可逆的に固定され得る。一実施形態では、この目的のために、ハンドル上に押しボタンを設置し、摺動部上に戻り止めを設けることができる。
【0105】
ハンドルは止血弁を更に含み得る。すすぎ動作はとりわけ、この弁を介しても実行され得る。
【0106】
本発明はまた更に、塞栓防止デバイスとハンドルとカテーテルとから成るシステムに関する。
【0107】
特に好ましいのは、塞栓防止デバイスが組み合わせたハンドル/カテーテルの所定位置に予め設置されるシステムである。本発明の一変形形態では、システムは、ハンドルとカテーテルの間の固定された不可逆接続部と、送りユニットとの固定された不可逆接続部と、を含む。
【0108】
本発明の主題は同様に、塞栓防止デバイスを使用する方法である。
【0109】
本発明の更なる主題は、ハンドルを使用する方法である。
【0110】
ハンドルの塞栓防止デバイスおよび/またはカテーテルから成るシステムを使用する方法もまた、本発明の主題である。
【0111】
特に、方法は、特にフィルタの配置中に、ハンドルを回転させモーメントを可逆クランピング接続部を通してその結果送りユニットへと伝達することによって、遠位領域の回転を調整するために、ならびに、カテーテルを介しておよびその結果摩擦接合部を介して、狭窄したフィルタにモーメントを同時に伝達するために、使用され得る。
【0112】
本発明の更なる詳細は、以下で図面に基づいて記載する例示的な実施形態から類推することができる。引用される本発明の更なる詳細はいずれも、明記される例示的な実施形態には限定されず、それ以外で個別に、選択的に結合されて、または全体が他の例示的な実施形態の中に、現れる場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【
図1】テーパした先端部を有する塞栓防止デバイスのフレームの上面図である。
【
図2】大動脈セクションおよび血管セクションへと分離された、塞栓防止デバイスのフレームの上面図である。
【
図3】
図2のフレームを有する塞栓防止デバイスが配置されている大動脈弓を通る断面図である。
【
図4】半径方向安定化係止部を有するフレームの塞栓防止デバイスの上面図である。
【
図5】受動フィルタメッシュ支持体の構成の、a)側面図、b)正面図、およびc)前方かつ上方から斜めの斜視図である。
【
図6】受動フィルタメッシュ支持体の側面図a)~c)である。
【
図7】受動フィルタメッシュ支持体の構成の側面図である。
【
図8A】能動フィルタメッシュ支持体の構成の側面図である。
【
図8B】能動フィルタメッシュ支持体の構成の前方かつ上方から斜めの斜視図である。
【
図8C】送りユニットとのフレームの接続部の詳細な表示である。
【
図9A】大動脈弓内に完全に配置されることになる、端部が流れの方向を向いた塞栓防止デバイスのフレームの上面図である。
【
図9B】大動脈弓内に完全に配置されることになる、端部が流れの方向を向いた塞栓防止デバイスのフレームの側面図である。
【
図9C】大動脈弓内に完全に配置されることになる、端部が流れの方向を向いた塞栓防止デバイスのフレームのカテーテル内で狭窄した状態の図である。
【
図10】
図9の塞栓防止デバイスが配置されている大動脈弓を通る断面図である。
【
図11】近位濾過レベルが下側にある塞栓防止デバイスのフレームの、a)後方斜め上方からのフレームの斜視図、b)正面図、c)側面図、およびd)上面図である。
【
図12】二重の(第1および第2の)フレームを有する濾過ユニットの上面図である。
【
図13】拡張した漏斗形状を有する塞栓防止デバイスの斜め上方からの斜視側面図である。
【
図14】2つのセクションへと分割されたフレームと分離されたフィルタとを有する塞栓防止デバイスの上面図である。
【
図15】2つのセクションへと分割されたフレームと一体型フィルタとを有する塞栓防止デバイスの上面図である。
【
図16A】フィルタが2つのセクションへと分割されており近位領域が能動的に引き戻される、塞栓防止デバイスの側面図である。
【
図16B】フィルタが2つのセクションへと分割されており近位領域が能動的に引き戻される、塞栓防止デバイスの正面図である。
【
図16C】挿入および抜去のときの、狭窄状態の塞栓防止デバイスの図である。
【
図17A】展開状態においてフィルタが2つのセクションへと分割されている、塞栓防止デバイスの側面図である。
【
図17B】カテーテル内の塞栓防止デバイスの配置の側面図であり、挿入時の図である。
【
図17C】カテーテル内の塞栓防止デバイスの配置の側面図であり、抜去時の図である。
【
図18A】摺動部を伸ばした状態のハンドルの側面図である。
【
図18B】ハンドルの第1の接続片の前部から斜めの斜視表現である。
【
図19】ハンドルの第2の接続片の側面視による断面を示す。
【
図20】ハンドルの第1の接続片の側面視による断面を示す。
【
図21】ハンドルの第1の接続片の正面視による断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0114】
図1は、遠位領域7と近位領域6とを備える塞栓防止デバイス1のフレーム3の上面図を示す。この実施形態では、フレーム3はテーパした遠位先端部17を有して形成される。このことにより、大動脈弓9に対する接触圧力の緩やかな上昇を実現するための、矢印13で指定されている流線形の断面分布の達成がもたらされる。このことにより、デバイスの配置中の血流中での接触面の縮小がもたらされる。このことはまた、大動脈弓に対する遠位先端部17の幾何形状の適合の改善ももたらす。
【0115】
図2は同様に、大動脈セクション8および血管セクション10への分離を含む、塞栓防止デバイス1のフレーム3の上面図を示す。上記分離は、フレーム3上の位置15においてフィルタフレーム幾何形状に形成される湾曲の方向の大きな変化によって実現される。この結果、フレームが、血管セクション10が送出血管11内へと引き寄せられるときに大動脈セクションの幾何形状が影響を受けないような様式で、遠位領域7における大動脈セクション8および近位領域6における血管セクション10へと分離される。
【0116】
図3では、
図2の実施形態のフレーム3を有する配置済みの塞栓防止デバイス1を有する大動脈弓9を通る断面を見ることができる。この図は、大動脈弓内で大動脈セクション8がフレーム3の遠位領域7内に配置され、送出血管11内で血管セクション10がフレーム3の近位領域6内に固定される様子を示す。フレーム3の近位領域6は送りユニット4と接続されており、これによって濾過ユニット2が配置される。血管セクション10を送出血管11内に引き入れることは、大動脈弓9内で使用されるデバイスとの起こり得る何らかの相互作用を低減するのに役立つ。
【0117】
矢印は、血管セクション10が送出血管11内に引き寄せられることによって大動脈弓9内のデバイスとの相互作用が低減する位置を示す。近位領域6は、解剖学的に良好に適合するように設計される。
【0118】
更なる有利な実施形態が、半径方向安定化係止部を有する塞栓防止デバイス1のフレーム3の上面図である、
図4の例に示されている。ここでは、近位領域6の遠端において係止部16によって接続されている、フレーム18および19の2つの閉じていない端部が示されている。このことよって、濾過ユニット2が大動脈弓9内に適正に配置されたときの触覚フィードバックと適用期間中の安定した配置とを可能にするための、半径方向の安定をもたらすフレーム幾何形状がもたらされる。
【0119】
半径方向に安定した領域41は近位端に見出され得る。この実施形態では、力の同期的な分散が生じるように、近位のフレーム幾何形状および遠位のフレーム幾何形状の設計は同一である。
【0120】
図5は、受動フィルタメッシュ支持体21の構成を、a)側面図、b)正面図、およびc)前部および頂部から斜めの斜視図で示す。受動支持体21はフレームの端部18および19に設置され、これら端部は送りユニット4に接続されている。反対側では、支持体21はフィルタメッシュ20と接続されており、拡張状態において、フィルタ材を大動脈弓の屋根部22(図示せず)に向かって受動的に引き寄せる。分岐血管のより良好な被覆に加えて、肉眼で見えるような粒子がこれらの血管分枝に進入するのを防止するための、塞栓防止デバイス1のより安定した配置も実現される。
【0121】
図6では、そのような支持体21のいくつかの例を側面図で示す。この点に関して、a)では板ばね要素の側面図が示されており、同様にb)およびc)ではコイルばねが示されている。支持体用の他の材料は、シリコーン、ゴム、または他の弾性合成物質、およびある幾何形状の成形ニチノールであり得る。
【0122】
図7では、可撓性材料を利用した支持体21の端部18または19でのおよびフィルタメッシュ20上での構成が、側面図で示されている。フィルタメッシュ20上での係止によって分岐血管のより良好な被覆が直接的にもたらされるが、その理由は、フィルタメッシュ20の弾性がフレーム3よりも高く、フレーム3に特定の追加の張力を加えることができるからである。
【0123】
図8Aには、デバイス23の形態の能動フィルタメッシュ支持体の、側面視した構成が示されている。デバイス23は同様にフィルタメッシュ20と接続されているが、使用者によって能動的に操作される。デバイス23は同じく、送りユニット4と同様に、カテーテル12内に配置される。デバイス23が矢印の方向に能動的に引っ張られると、フィルタメッシュ20、およびしたがってまたフレーム3が、大動脈弓の屋根部22に向かって引き寄せられる。
【0124】
図8Bでは、デバイス23の構成が前部から斜めおよび斜め上方から斜視して示されている。両方の図から、デバイス23はここでは送りユニット4とは接続されずに独立して使用者と連絡されており、そこから送りユニット4によって独立的に操作され得ることが明らかである。
【0125】
図8Cは、フレーム端部と送りユニットの接続部の断面を示す。
【0126】
図9は、流れの方向を向いた端部18および19の大動脈弓9内での完全な構成を実施することになる、塞栓防止デバイス1のフレーム3を、a)上面図、b)側面図、およびc)引き込んだ状態で示す。
【0127】
弛緩状態では端部18および19は近位濾過レベル25に向かって曲がっており、この結果
図9b)に示すように、遠位濾過レベル24と端部18および19がフレームに接する地点との間に鋭角W5が現れる。言い換えれば、近位領域6の端部18および19は弓形状を画定し、このとき弓形状の第1の部分aは遠位領域7の方向に、第2の部分bは近位領域6の方向に形成される。
【0128】
言い換えれば、弛緩状態(体外)では、近位領域6の端部18および19は弓形状を画定する(
図9b)。上記弓形状を部分aおよび部分bへと分割することができ、弓形状の部分aは遠位領域7の方向に、第2の部分、部分bは近位領域6の方向に形成されて、互いに鋭角W5を形成する。
【0129】
端部18および19は、カテーテル12内に挿入されると(
図9c)、カテーテル内で近位濾過レベル25および遠位濾過レベル24と平行に配置される。
【0130】
送りユニット4による推進力によってカテーテル12から出るとフレームはその最終形態をとり、このフレームは、送りユニット4で引っ張ることによって、近位領域6の部分aが送出血管11の後ろに留置され、部分bが実際の送出血管内に存在するように、大動脈弓9内に配置可能である。送りユニット4が引き戻されると、使用者に最終位置を知らせる触覚信号が生成される。
【0131】
図10では、大動脈弓9を通る断面として、
図9の塞栓防止デバイスが最終位置で示されている。展開状態において、フレーム3の端部18および19は、近位濾過レベル25に対して鈍角W3を成して配置される。
【0132】
大動脈弓の屋根部22に向かってフレーム3を引き寄せることによって、流れの方向に延びる濾過表面が形成され、これによって脳血管が保護される。この結果、大動脈弓の屋根部22に対する近位領域6の接触圧力が改善されることによって、TAVI手技への相互作用も低減される。
【0133】
図11は、本発明の更なる実施形態およびそのフレーム幾何形状を示す。示されているのは、塞栓防止デバイス1のフレーム3の、a)後方斜め上方からのフレーム3の斜視図、b)正面図、c)側面図、およびd)上面図である。
【0134】
展開状態のフレーム3の端部18および19は、遠位濾過レベル24に対して、特に好ましくは近位濾過レベル25に対して鋭角W1を成して配置され(図に示す)、この結果、この屋根部22が、フレーム3を大動脈弓の屋根部22に向かって引き寄せることによって、近位領域の端部6の幅が大きくなるように成形されることが認識できる。
【0135】
大動脈弓9への配置後のこの拡開(
図11dの矢印Eを参照)は、近位フレームが濾過レベルよりも下にある(
図11cの角度W4によって示されている)ことによって実現され、その結果フレームのねじれが生じ、次いでこのことが遠位領域の持ち上がりをもたらす(同じく図cの回転矢印Tによって示されている)。
【0136】
遠位領域のこの持ち上がりに起因して、フレームをより安定した様式で配置することができる。更に、幅の増大に起因して脳血管をより良好に保護することが可能になり、また、使用者に最終位置を知らせる触覚および/または視覚フィードバックが生成される。
【0137】
図12には、二重のフレーム3を有する濾過ユニット2の上面図が示されている。第1のフレーム33の外側に第2のフレーム32が見て取れる。フレーム(32、33)の両方の遠位端部は、フィルタメッシュ20と接続されている。第1のフレーム33の近位端はフィルタメッシュ20と接続しておらず、この結果、デバイス23を使用して第1のフレーム33の近位端を能動的に引き戻すことによって、近位端において送出血管11の方向に、フィルタメッシュ20から作り出されたくさび状部が現れ、これによって、大動脈弓9内のデバイスとの相互作用が最小限になる。
【0138】
更に、第2のフレーム32は大動脈弓の屋根部22に向かってに引き寄せられ、この結果、大動脈弓9の適合の改善が達成される。
【0139】
図13は、フィルタメッシュ20を有する実施形態に関する、展伸した漏斗形状部を有する塞栓防止デバイス1の斜め上方からの斜視側面図を示しており、フィルタメッシュ20の周長はフレーム3の周長よりも長く、したがってクランプされていない。上記フィルタメッシュ20は送りユニット4と接続されており、フィルタメッシュ20が送出血管11の方向に引っ張られると漏斗状部34が形成されるようになっている。結果的に、フレーム3が同様に大動脈弓壁へと引っ張られ、このことにより血管分枝が非常に良好に保護される。
【0140】
フレームは、フレームをカテーテル12内に戻すことのできる戻しデバイス35と接続される。
【0141】
フレーム3自体は、送りユニット4に対する更なるどのような安定化デバイスも別途備えていない。
【0142】
図14は、2つのセクションへと分割されたフレームと、2つのセクションへと分割されたフィルタと、を含む、塞栓防止デバイス1の濾過ユニット2を示す。示されている2つのセクションへと分割されたフィルタを含む塞栓防止デバイスの上面図において、フレーム3が、遠位フィルタ30および近位フィルタ29を有する遠位フレーム28および近位フレーム27へと分割されていることが見て取れる。
【0143】
フレームの分割によって、互いに平行に延びるおよび/またはフレーム平面から垂直な角度で突出する(延長した場合、図示せず)、4つの端部の存在が現れ(点で示す)、これにより、送りユニットには合計4本のワイヤが接続されている。
【0144】
上記濾過ユニット2は好ましくは、供給血管11の口の正面の中央に留置される。2つのセクションへと分割することによって、大動脈弓壁に対するフレーム3の、近位および遠位の両方における接触圧力の改善が実現される。
【0145】
図15は、2つのセクションへと分割されたフレーム27、28と単一であるフィルタ31とを有する、塞栓防止デバイスの上面図を示す。上記濾過ユニット2は同様に、送出血管11の口の正面の中央に留置されるのが好ましい。フレーム3を2つのセクションへと分割することによって、大動脈弓壁に対する近位および遠位の両方における接触圧力の改善が実現される。
【0146】
カテーテル12を通って使用者まで導かれる能動デバイス23は、濾過ユニット(
図16A)を抜去するように構成される。抜去するとき、近位領域6はデバイス23によって送出血管11の方向に能動的に畳まれ、その結果、濾過ユニット2全体をこの血管から抜去することができる。
【0147】
図16Bは濾過ユニット2の正面図を表し、流れの方向に対して垂直なフィルタフレームの起こり得る曲がりを示しており、これを大動脈屋根部に向かって引き寄せることによって。とりわけ濾過表面が拡開しおよび/または大動脈屋根部に対する当接が改善され、この結果、寸法安定的な配置ならびに触覚および/または視覚フィードバックの向上がもたらされる。
【0148】
図16Cは、大動脈弓9内への挿入およびそこからの抜去の両方のときの、狭窄状態の塞栓防止デバイスを示す。
【0149】
図17Aは、カテーテル12を出た後の展開時のデバイスの側面図を示す。近位フレーム27および遠位フレーム28は展開されており、大動脈弓9内に配置可能である。
【0150】
図17Bは、大動脈弓9内への挿入時の、送りユニット4と接続されているカテーテル12内の濾過ユニット2を示す。この点に関して、近位フレーム27は折り返されており、この結果、近位フレーム27と遠位フレーム28は並んで配置されている。
【0151】
図17Cは、大動脈弓9からの抜去時のスルース内の濾過ユニット2の構成を示す。この場合、近位セクションおよび遠位セクションは互いに平行に配置される。
【0152】
図18Aには、ハンドルシェル37と第2の接続片の間で摺動部を伸ばした状態の、ハンドル5の側面図が示されている。
【0153】
図18Bは、ハンドル5の第1の接続片36の前部から斜めの斜視表現を示す。カテーテル12のブレード40との能動的に固止されることになる接続部を作り出すことのできる、切り欠き42が認められる。
【0154】
図19では、ハンドルの第2の接続片39の側面視による断面が示されており、これには、送りユニット4との可逆接続部43を作り出すための少なくとも1つのデバイスが含まれている。
【0155】
図20は、ハンドル5の第1の接続片36の側面視による断面を示す。カテーテル12のブレード40と噛み合う内面の切り欠き42が示されており、この場合カテーテル12は回転できないような様式で固定される。
【0156】
図21は、カテーテル12が挿入されブレード40が切り欠き42と噛み合っている、ハンドル5の第1の接続片36の正面視による断面を示す。
【0157】
図22は、第1の接続片36とハンドルシェル37と第2の接続片39とを有する、医療デバイス用の、特に塞栓防止デバイス1用の、ハンドル5の側面図を示す。
【0158】
送りユニット、およびしたがって塞栓防止デバイス(1)は、ハンドル(5)の中に延在する送りユニット(4)によって濾過ユニット(2)の有利な配置を達成できるように、摺動部によって特定の位置に移動させることができる。
【0159】
本発明は、濾過ユニット(2)と送りユニット(4)とを備える、大動脈弓(9)内に挿入される塞栓防止デバイス(1)であって、
濾過ユニット(2)はフレーム(3)とフィルタメッシュ(20)とを備え、フィルタメッシュ(20)はフレーム(3)上に配置されており、
濾過ユニット(2)は近位領域(6)と遠位領域(7)とを有し、
濾過ユニット(2)はこの濾過ユニット(2)が少なくとも部分的に大動脈弓(9)内に配置され得るような様式で設計されていることを特徴とする、塞栓防止デバイス(1)に関する。
【0160】
塞栓防止デバイス(1)の改善形態では、この塞栓防止デバイス(1)は、濾過ユニット(2)が適切に配置されると、使用者に最終位置を知らせる触覚および/または視覚フィードバックが生成されることを特徴とする。
【0161】
塞栓防止デバイス(1)の一改善形態では、フレーム(3)は近位領域(6)に、フレーム(3)の内側で互いと平行に延在し送りユニット(4)と接続されている2つの端部(18)および(19)を備える。
【0162】
塞栓防止デバイス(1)の一改善形態では、このデバイスは、近位領域(6)が、半径方向の剛性が向上するような方法で設計されている係止部(16)を有することを特徴とする。
【0163】
塞栓防止デバイス(1)の一改善形態では、遠位領域(7)は先端部(17)に向かってテーパするように設計され、この結果流線形の断面分布を有する。
【0164】
塞栓防止デバイス(1)の同じく独立的に進歩性を有する改善形態では、フィルタメッシュ(20)と送りユニット(4)の間に支持体(21)が構成されており、これによってフィルタメッシュ(20)が大動脈屋根部(22)に拡張状態で受動的に引き寄せられる。
【0165】
塞栓防止デバイス(1)の一改善形態では、支持体(21)はばねである。
【0166】
塞栓防止デバイス(1)の同じく独立的に進歩性を有する改善形態では、フィルタメッシュ(20)はデバイス(23)と接続されており、デバイス(23)を介してフィルタメッシュ(20)を大動脈屋根部(22)に能動的に引き寄せ可能となっている。
【0167】
塞栓防止デバイス(1)の一改善形態では、デバイス(23)はワイヤまたは糸である。
【0168】
塞栓防止デバイス(1)の一改善形態では、近位領域(6)は送出血管(11)内に遠位領域(7)とは別個に、および、遠位領域(7)は大動脈弓(9)内に近位領域(6)とは別個に、構成され得る。
【0169】
塞栓防止デバイス(1)の改善形態では、近位領域(6)がフレームの幾何形状の湾曲の方向の変化によって送出血管(11)に合わせて調整され得、その中に固定され得る。
【0170】
塞栓防止デバイス(1)の同じく独立的に進歩性を有する一改善形態では、濾過ユニット(2)全体を大動脈弓(9)内に配置することができ、濾過ユニット(2)が大動脈弓(9)内に適切に配置されると、近位領域(6)が送出血管(11)の遠位側に形成される。
【0171】
塞栓防止デバイス(1)の一改善形態では、展開状態のフレーム(3)の端部(18、19)は、遠位濾過レベル(24)に対して鋭角W1を成して配置され、この結果、この屋根部22は、フレーム(3)を大動脈弓の屋根部(22)に向かって引き寄せることによって、近位領域(6)の端部の幅が大きくなるように成形される。
【0172】
塞栓防止デバイス(1)の一改善形態では、フレーム(3)の端部(18、19)は、展開状態において、近位濾過レベル(25)に対して鋭角W3を成して構成され、この結果、フレーム(3)を大動脈弓の屋根部(22)に向かって引き寄せることによって、流れの方向に延びる近位濾過表面(26)が形成される。
【0173】
塞栓防止デバイス(1)の一改善形態では、濾過ユニット(2)は、塞栓防止デバイス(1)が抜去されるときに、近位領域(6)を遠位領域(7)とは無関係に能動的および/または受動的に折り畳むことのできるような様式で、2つのセクションへと分割される。
【0174】
塞栓防止デバイス(1)の一改善形態では、濾過ユニット(2)は、近位領域(6)が濾過レベルから突出し、この結果、デバイスを配置するときに近位領域(6)を成形し直すことによって遠位領域(7)にねじれが伝達され、このことにより大動脈弓の屋根部(22)に対する接触圧力が大きくなるような様式で、2つのセクションへと分割される。
【0175】
塞栓防止デバイス(1)の一改善形態では、濾過ユニット(2)は、近位領域(6)が濾過レベルから突出し、この結果デバイスが配置されると近位領域(6)が拡開するような様式で、2つのセクションへと分割される。
【0176】
塞栓防止デバイス(1)の一改善形態では、濾過ユニット(2)は、近位領域(6)の端部(18、19)が弓形状の第1の部分(a)が遠位領域(7)の方向におよび第2の部分(b)が近位領域(6)の方向に形成されるように弓形状を画定するような様式で、2つのセクションへと分割される。
【0177】
塞栓防止デバイス(1)の同じく独立的に進歩性を有する改善形態では、濾過ユニット(2)は、近位領域(6)および遠位領域(7)がそれら自体のフレーム(27、28)を各々有し、これらを覆うように対応する独立したフィルタ(29、30)が広がるような様式で、2つのセクションへと分割される。
【0178】
塞栓防止デバイス(1)の一改善形態では、第2の部分(b)は、デバイス(23)を介してフィルタメッシュ(20)および/または近位フレーム(27)と接続されており、近位領域(6)は上記デバイス(23)を介して送出血管(11)の方向に能動的に折り畳まれ得る。
【0179】
塞栓防止デバイス(1)の同じく独立的に進歩性を有する一改善形態では、濾過ユニット(2)は、近位領域(6)および遠位領域(7)がそれら自体のフレーム(27、28)を各々有するような、ならびに、単一のフィルタ(31)が両フレームを覆うように広がるような様式で、2つのセクションへと分割される。
【0180】
塞栓防止デバイス(1)の一改善形態では、支持体(21)はフィルタメッシュ(20)および/または近位領域(6)のフレーム(3)の間に設置され、この支持体(21)によって、近位フレーム(27)は送出血管(11)の方向に受動的に折り畳まれ得る。
【0181】
塞栓防止デバイス(1)の同じく独立的に進歩性を有する一改善形態では、濾過ユニット(2)は、第2のフレーム(32)が第1のフレーム(33)の外側領域内に存在し、第2のフレーム(32)が第1のフレーム(33)の遠位領域(7)においてのみフィルタメッシュ(20)と接続され、第1のフレーム(33)の近位端(6)を送出血管(11)の方向に引っ張ることができ、このとき第2のフレーム(32)が大動脈弓の屋根部(22)に引き寄せられ、漏斗状部(34)が現れるような様式で、2つのセクションへと分割される。
【0182】
塞栓防止デバイス(1)の一改善形態では、濾過ユニット(2)のフレーム(3)は、フレームをカテーテル(12)内に戻すことのできる戻しデバイス(35)と接続され、フィルタメッシュ(20)の周長はフレーム(3)の周長を上回る。フィルタメッシュは送りユニット(4)と接続されており、フィルタメッシュ(20)が送出血管(11)の方向に引かれると漏斗状部(34)が形成されるようになっている。
【0183】
同じく独立的に進歩性を有する改善形態は、塞栓防止デバイス(1)用のハンドル(5)であって、ハンドル(5)は、第1の接続片(36)、ハンドルシェル(37)、摺動部(38)、および/または第2の接続片(39)を備え、第1の接続片(36)は能動的に固止されることになる接続部として設計されている、および/または、第2の接続片(39)は可逆クランピング接続部として設計されていることを特徴とする、ハンドル(5)、に関する。
【0184】
ハンドル(5)の一改善形態では、第1の接続片(36)は、カテーテルに能動的に固定されることになる接続部を作り出し得るような様式で設計される。
【0185】
ハンドル(5)の一改善形態では、接続片(36)は内面に、中にカテーテル(12)のブレード(40)を挿入できる切り欠き(42)を有する。
【0186】
ハンドル(5)の一改善形態では、第2の接続片(39)によって、送りユニット(4)との可逆クランプ接続部を作り出すことができる。
【0187】
ハンドル(5)の一改善形態では、摺動部(38)は、これによりデバイスを装填および配置するための牽引および/または圧迫機構を作用させることのできるような様式で設計される。
【0188】
ハンドル(5)の一改善形態では、摺動部(38)は、ハンドルシェル(37)に対する摺動部の位置の調整を可能にする、係止用のロックデバイスを有する。
【0189】
ハンドル(5)の一改善形態では、ハンドル(5)は止血弁を含む。
【0190】
ハンドルの一改善形態では、ハンドルシェル(37)は、摺動部(38)内に挿入可能な内側ガイドを有する。
【0191】
同じく独立的に進歩性を有する改善形態は、塞栓防止デバイス(1)とカテーテル(12)とから成るシステムに関する。
【0192】
[語の欠落]の一改善形態では、塞栓防止デバイス(1)は、カテーテル(12)を通過できるように設計される。
【0193】
システムの一改善形態では、このシステムは、塞栓防止デバイス(1)と、ハンドル(5)と、カテーテル(12)と、を含む。
【0194】
システムの一改善形態では、カテーテル(12)をハンドル(5)内に固定することができ、塞栓防止デバイス(1)は、カテーテル(12)を通過させることができ、送りユニット(4)を介してハンドル(5)と接続することができる。
【0195】
同じく独立的に進歩性を有する改善形態は、塞栓防止デバイス(1)を使用する方法に関する。
【0196】
同じく独立的に進歩性を有する改善形態は、ハンドル(5)を使用する方法に関する。
【0197】
同じく独立的に進歩性を有する改善形態は、塞栓防止デバイス(1)および/またはハンドル(5)および/またはカテーテル(12)から成るシステムを使用する方法に関する。
【符号の説明】
【0198】
1 塞栓防止デバイス、 2 濾過ユニット、 3 フレーム、 4 送りユニット、 5 ハンドル、 6 近位領域、 7 遠位領域、 8 大動脈セクション、 9 大動脈弓、 10 血管セクション、 11 送出血管、 12 カテーテル、 13 流線形の断面分布を指定するための矢印、 14 大動脈弓内のデバイスとの相互作用が低減する位置、 15 湾曲の方向を変化させるための位置、 16 係止部、 17 遠位先端部、 18 フレームの端部、 19 フレームの端部、 20 フィルタメッシュ、 21 支持体、 22 大動脈弓の屋根部、 23 デバイス、 24 遠位濾過レベル、 25 近位濾過レベル、 26 近位濾過表面、 27 近位フレーム、 28 遠位フレーム、 29 近位フィルタ、 30 遠位フィルタ 、 31 単一のフィルタ、 32 第2のフレーム、 33 第1のフレーム、 34 漏斗状部、 35 戻しデバイス、 36 第1の接続片、 37 ハンドルシェル、 38 摺動部、 39 第2の接続片、 40 ブレード、 41 半径方向に安定した領域、 42 切り欠き、 43 可逆接続部を作り出すためのデバイス、 第1の部分、弓形状部a)、 第2の部分、弓形状部b)、 W1 角度、 W2 角度、 W3 角度、 W4 角度、 W5 角度、 W6 角度、 T ねじれ、 E 幅の増大。