(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-25
(45)【発行日】2024-10-03
(54)【発明の名称】安全装置を有する圧縮空気式釘打機
(51)【国際特許分類】
B25C 1/04 20060101AFI20240926BHJP
B25C 7/00 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
B25C1/04
B25C7/00 A
(21)【出願番号】P 2021578230
(86)(22)【出願日】2020-07-02
(86)【国際出願番号】 EP2020068652
(87)【国際公開番号】W WO2021001477
(87)【国際公開日】2021-01-07
【審査請求日】2022-02-15
(32)【優先日】2019-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】522001390
【氏名又は名称】ベー・エー・アー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】BeA GmbH
【住所又は居所原語表記】Bogenstrasse 43-45,22926 Ahrensburg,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】ヨアヒム バウアー
(72)【発明者】
【氏名】マルティン テベラート
【審査官】須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/038124(WO,A1)
【文献】特開2019-063928(JP,A)
【文献】国際公開第2017/215977(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25C1/00-13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 締結手段を打ち込むための打込みラム(12)に接続され、打込みプロセスがトリガされると圧縮空気が加えられる、作動ピストン(10)と、
- 引き金(26)および接触センサ(28)であって、それらの共通の作動が打込みプロセスをトリガできる、引き金(26)および接触センサ(28)と、
- 制御容積(72)を有し、前記制御容積(72)において圧力閾値が超えられるかまたは到達されないときに、自動的に打込みプロセスをトリガできないロック状態とする安全対策をとるように設計された、
圧縮空気式釘打機の安全装置であって、前記圧縮空気式釘打機は第2の制御弁(24)を有し、前記第2の制御弁(24)は、前記接触センサ(28)の作動のたびにまたは引き金(26)および接触センサ(28)の共通の作動のたびに作動され、通気または脱気されることにより打込みプロセスがトリガされる主制御ライン(20)が、前記第2の制御弁(24)を介して通気および/または脱気され
る構成、及び前記圧縮空気式釘打機は、ロック位置と開位置との間を移動可能なロックスリーブ(68)を有し、前記ロックスリーブ(68)は、
前記制御容積(72)において前記圧力閾値を下回るとき、前記ロック位置
となり、通気または脱気されることにより打込みプロセスがトリガされる主制御ライン(20)と
前記第2の制御弁
(24)との間の接続を遮断し、
前記制御容積(72)において前記圧力閾値を越えているとき、前記開位置
となり、前記主制御ライン(20)と前記第2の制御弁(24)との間の接続を開放
する構成を具備し、前記制御容積(72)は、前記制御容積(72)の容積およびスロットルの開口断面によって遅れ時間が規定されるように、前記スロットルを介して通気または脱気され、前記遅れ時間の終了後に、前記圧力閾値は超えられるかまたは到達されない、安全装置と、
を備える、圧縮空気式釘打機であって、
- 前記制御容積(72)は0.5mlから20mlの範囲の容積を有し、前記スロットルは直径が30μmから95μmの範囲の孔(54)であることを特徴とする、圧縮空気式釘打機。
【請求項2】
前記孔(54)はレーザ穿孔によって作製されることを特徴とする、請求項1に記載の圧縮空気式釘打機。
【請求項3】
前記孔(54)は、30μmから1mmの範囲の長さを有することを特徴とする、請求項1または2に記載の圧縮空気式釘打機。
【請求項4】
前記圧縮空気式釘打機は、前記引き金(26)の作動のたびに作動される第1の制御弁(22)を有し、前記制御容積(72)は、前記第1の制御弁(22)を介して通気または脱気されることを特徴とする、請求項1から3の何れか一項に記載の圧縮空気式釘打機。
【請求項5】
前記制御容積(72)は、制御弁を囲繞する環状の容積を備えることを特徴とする、請求項1から4の何れか一項に記載の圧縮空気式釘打機。
【請求項6】
前記圧縮空気式釘打機は、制御弁機構が配置される凹所を有する筐体(30)を備え、前記制御容積(72)は、全体または大部分が前記凹所に配置されることを特徴とする、請求項1から5の何れか一項に記載の圧縮空気式釘打機。
【請求項7】
前記孔(54)は、前記圧縮空気式釘打機の交換可能な構成要素に配置されることを特徴とする、請求項1から6の何れか一項に記載の圧縮空気式釘打機。
【請求項8】
前記交換可能な構成要素の少なくとも1つの第2の複製が存在し、前記交換可能な構成要素とは前記孔(54)の直径および/または長さが異なることを特徴とする、請求項7に記載の圧縮空気式釘打機。
【請求項9】
前記交換可能な構成要素は弁スリーブ(50)であることを特徴とする、請求項7または8に記載の圧縮空気式釘打機。
【請求項10】
前記圧縮空気式釘打機は、接触トリガ動作および単発トリガ動作で動作でき、前記安全対策は、前記圧縮空気式釘打機が前記接触トリガ動作から前記単発トリガ動作に移動されることであることを特徴とする、請求項1から9の何れか一項に記載の圧縮空気式釘打機。
【請求項11】
前記制御容積(72)内の前記圧力は前記ロックスリーブ(68)に加えられることを特徴とする、請求項1に記載の圧縮空気式釘打機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引き金、接触センサおよび安全装置を有する、圧縮空気式釘打機に関する。圧縮空気式釘打機が被加工物上に載置される場合に、出口ツールが被加工物上に載るかまたはほぼ載るまで、接触センサがばねの力に逆らって移動する。接触センサがこのように作動されるときにだけ、打込みプロセスをトリガできる。その結果、圧縮空気式釘打機は、接触センサのない装置と比べて、偶発的なトリガに対する有意に改善された安全性を提供する。
【背景技術】
【0002】
記載したタイプの圧縮空気式釘打機は、2つの動作モードで使用できるものもあり、いわゆる単発トリガの場合、圧縮空気式釘打機がまず、被加工物上に載置され、その結果、接触センサが作動される。次いで、引き金が手動で作動され、その結果、単発の打込みプロセスがトリガされる。「タッチング」とも呼ばれる、いわゆる接触トリガの場合、ユーザは、圧縮空気式釘打機を被加工物上に載置しながら、引き金を既に引いている。被加工物上に載置されると接触センサが作動され、その結果、打込みプロセスがトリガされる。圧縮空気式釘打機は続けざまに繰り返し載置でき、そのことが、特に、十分な締結のために締結手段を多数打ち込まなければならず、それらの位置の正確さには低い要件しか設定されない場合に、非常に迅速な作業を可能にする。
【0003】
しかし、ある一定の状況では、接触トリガ方式によって負傷のリスクが高まる。例えば、同一の被加工物上で最後に打ち込んだ締結手段から数センチメートルの距離の位置に圧縮空気式釘打機を載置しようとするときにユーザが手動式の引き金を引く場合だけでなく、さらに離れた位置に配置された別の被加工物に変えるときにも、物体または身体部分が接触センサと意図せずに接触することによって、打込みプロセスがトリガされることがある。例えば、(重要な安全要件を遵守しない場合)ユーザがそのプロセス中に引き金を引いた状態で圧縮空気式釘打機を持って梯子を上り、接触センサで足を偶発的に擦る場合に、事故が起こることがある。
【0004】
一部の既知の圧縮空気式釘打機は、引き金を作動させた後または打込みプロセスの後の短い時間の間にだけ、接触トリガを可能にすることによって、接触トリガの動作に関連するこのようなリスクを低減しようとしている。その時間が経過すると、まず、引き金が再び解放されなければならない。その例が特許文献1から知られている。そこに記載された圧縮空気式釘打機は引き金および接触センサを有し、それぞれに制御弁が割り当てられる。さらに、既知の装置は安全制御チャンバを有し、その圧力がロックピストンに作用する。ロックピストンのある一定の位置では、打込みプロセスのトリガが防止される。安全制御チャンバは、引き金に割り当てられた制御弁、およびスロットルを介して通気される。その結果、引き金を作動させた後に、安全制御チャンバ内の圧力が規定の圧力閾値を超えるまでの間だけ接触トリガが可能である。その後に、引き金が解放され、安全制御チャンバ内の圧力が再び圧力閾値を下回るまで、圧縮空気式釘打機はロックされる。
【0005】
同様の機能が特許文献2から知られる圧縮空気式釘打機によって提供されており、その圧縮空気式釘打機は、やはり単発トリガ動作および接触トリガ動作で使用でき、引き金と接触センサとがロッカを介して機械的に連結される。ロッカは、主制御ラインを脱気することによって打込みプロセスをトリガするために制御弁に作用する。接触センサではなく引き金だけが作動される場合、その調節経路の一部でのみ制御弁の制御ピンが移動される。このように制御弁の作動が半分になることで、小さい調節可能な通気開口部を介した制御チャンバの通気が緩やかになる。制御チャンバに広がる圧力は、制御弁を囲繞する弁スリーブに作用し、その弁スリーブを最終的にロック位置に移動させる。ロック位置では、弁ピンの完全な作動がもはや主制御ラインを脱気できず、そうなると、接触トリガが可能ではなくなる。
【0006】
最初の打込みプロセスを常に個々のトリガによって実行しなければならない場合は、安全性のさらなる改善が実現できる。その場合、装置は、まず、最初の打込みプロセスのために被加工物上に載置されなければならず、そうすることによって、接触センサが作動される。次いで、引き金の後続の作動が最初の打込みプロセスをトリガする。その後、接触トリガによって、すなわち、連続して作動される引き金を用いて、装置を繰り返し持ち上げ、被加工物上に載置することによって、短時間のうちにさらなる打込みプロセスを行うことができる。特許文献3に記載される圧縮空気式釘打機の場合は、この機能が存在する。そのために、引き金と接触センサとがロッカを介して機械的に連結され、ロッカは打込みプロセスをトリガするために制御弁に作用する。打込みプロセスのたびに、作動シリンダをリング状に囲繞する容積の比較的大きい制御チャンバ内で圧力が上昇され、前記圧力は機械的なアクチュエート部材に作用する。制御チャンバは作動シリンダの壁の脱気開口部を介して緩やかに脱気される。アクチュエート部材は、制御チャンバ内の圧力に応じてロック位置に達し、そうすることによって、引き金が作動されるときのロッカへの接触センサの機械的作用が防止され、接触トリガが不可能にされる。
【0007】
記載した機能が空気式手段によって実現される圧縮空気式釘打機が特許文献4から知られている。その目的で、制御弁が作動されると制御チャンバが制御弁を介して通気される。スロットルによる制御チャンバの緩やかな脱気によって遅れ時間が生じ、遅れ時間の後に、圧縮空気式釘打機が接触トリガ動作から個々のトリガ動作に戻る。例示的な一実施形態では、制御チャンバは第1の小さい方の貯蔵チャンバにつながっており、その第1の貯蔵チャンバは第1のスロットルを介して第2の大きい方の貯蔵チャンバに接続されている。打込みプロセスがトリガされると、小さい方の貯蔵チャンバは制御弁を介して通気される。さらに、大きい方の貯蔵チャンバは、リターンチャンバから通気される。第2の貯蔵チャンバを外気につなぐ第2のスロットルを介して、緩やかな脱気が行われる。このように、利用可能な時間において制御弁単体によって提供できるよりも大量の空気を用いて遅れ時間を調節することができる。このことは、比較的大きい開口断面を有する、具体的には、0.1mmから1mmの範囲の直径を有する小さい孔の形状の、生産が簡単であり故障が起こりにくいスロットルの利用を可能にするはずである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】欧州特許第2 767 365(B1)号
【文献】米国特許第3,964,659(A)号
【文献】独国特許出願公開第10 2013 106 657(A1)号
【文献】国際公開第2019/038124(A1)号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
そのことに基づいて、本発明の目的は、設計がコンパクトであり、単純かつ頑丈な信頼性の高い安全機構を有する、圧縮空気式釘打機を提供することである。
【0010】
その目的は、請求項1の特徴を有する圧縮空気式釘打機によって達成される。有利な実施形態は従属請求項に示す。
【0011】
圧縮空気式釘打機は、
- 締結手段を打ち込むための打込みラムに接続され、打込みプロセスがトリガされると圧縮空気が加えられる、作動ピストンと、
- 引き金および接触センサであって、それらの共通の作動が打込みプロセスをトリガできる、引き金および接触センサと、
- 制御容積を有し、制御容積において圧力閾値が超えられるかまたは到達されないときに、自動的に安全対策をとるように設計された、安全装置であって、制御容積は、制御容積の容積およびスロットルの開口断面によって遅れ時間が規定されるように、スロットルを介して通気または脱気され、遅れ時間の終了後に、圧力閾値は超えられるかまたは到達されない、安全装置と
を有し、
- 制御容積は0.5mlから20mlの範囲の容積を有し、スロットルは直径が30μmから200μmの範囲の孔である。
【0012】
圧縮空気式釘打機は、釘、ピンまたはステープルなどの締結手段を打ち込むために用いられる。そのために、圧縮空気式釘打機は、締結手段のためのマガジンを有することができ、マガジンのそれぞれから、1つの締結手段が圧縮空気式釘打機の出口ツールのレシーバに供給される。打込みプロセスがトリガされると、圧縮空気式釘打機の作動ピストンに圧縮空気が加えられる。作動ピストンは、作動ピストンに接続された打込みラムを押圧する。打込みラムは、出口ツールのレシーバにおいて締結手段の後端にぶつかり、被加工物に締結手段を打ち込む。
【0013】
接触センサは機械式の構造上の要素とすることができ、その要素は、出口ツールの前端を越えて突出し、圧縮空気式釘打機が被加工物上に載置されるまでばねによってその位置に保持される。次いで、圧縮空気式釘打機の出口ツールが被加工物上に載るかまたはほぼ載るまで、接触センサは、ばねの力の方向の逆にかつ打込み方向の逆に移動される。さらなる作動要素として、圧縮空気式釘打機は、例えば、指で作動できる引き金レバーの形態の引き金を有する。
【0014】
安全装置は、ある一定の、場合によっては危険な状況で、打込みプロセスがトリガされるのを防止する役割を担う。その目的で、接触センサおよび引き金の共通の作動にもかかわらず、確実に打込みプロセスがトリガされない安全対策を自動的にとる。例えば、安全対策は、圧力供給ラインから圧縮空気式釘打機を接続解除し、完全に脱気することとすることができる。しかし、やや控えめな安全対策、具体的には、単純に短い間引き金を解放することによって、圧縮空気式釘打機が動作準備状態に戻されるような安全対策も可能である。その詳細は後で説明する。
【0015】
冒頭で論じた先行技術、具体的には、特許文献4の場合と同じように、安全装置は、遅れ時間の終了後に自動的に安全対策をとる。遅れ時間は、ある一定の事象から、例えば、引き金の作動または前の打込みプロセスから進み始める。その時点で、制御容積内の圧力は、ある一定の初期値、例えば、動作圧力または外気圧力を有してよい。その点から、制御容積内の圧力が規定の圧力閾値を超えるかまたはそれに到達しなくなるまで、制御容積は、スロットルを介して通気または脱気される。遅れ時間はその点で終了する。したがって、遅れ時間の持続時間は、制御チャンバの容積およびスロットルの開口断面によって決定される。
【0016】
本発明では、制御容積は、0.5mlから20mlの範囲、特に、0.5mlから10mlの範囲、0.5mlから5mlの範囲、0.5mlから2mlの範囲または1mlから1.5mlの範囲の容積を有する。スロットルは、30μmから200μmの範囲、特に、30μmから95μmの範囲、40μmから80μmの範囲または60μmから80μmの範囲の直径を有する孔である。孔は、具体的には、実質的に円形の断面を有することができる。このように、適度な遅れ時間を実現するために、比較的小さい容積が小さい開口断面と組み合わせられる。小さい制御容積に関して先行技術で知られているものとは異なり、調節可能な環状の隙間によって開口断面が形成されるスロットルの代わりに、単純な小さい孔が用いられる。これら対策は、特にコンパクトであり構造が単純な設計をもたらす。
【0017】
さらに、本発明者らは、十分に小さい開口断面を有する環状の隙間が、例えば数μm以下の範囲にできる非常に小さい隙間幅を有することと、このような環状の隙間が、圧縮空気式釘打機の動作中に経時的に簡単に詰まることを認識した。安全装置がもはや応答さえしなくなり得るまで、ある一定の環境下では気付かれずに遅れ時間が延長されることがあるので、そのことは装置の安全性に弊害をもたらす。環状の隙間の詰まりは最も小さい粒子によって起こり、装置の動作に使用される圧縮空気には、単純に、このような粒子が、具体的には、細塵などがある一定の密度で既に含まれている場合があるので、圧縮空気式釘打機へのそれら粒子の侵入がほぼ避けられないということが想定される。本発明で用いられる孔は環状の隙間と同等の開口断面を有するが、孔の直径が環状の隙間の幅よりも有意に大きい。本発明者らは、環状の隙間を有するスロットルの代わりに孔を用いると、安全装置が汚れによる影響を有意に受けにくく、そのことは言及したそれぞれの開口部の異なる寸法に起因すると判断した。
【0018】
概略的には、本発明はこのように、構造が単純かつコンパクトであり特に信頼できる安全装置を提供する。
【0019】
一構成では、孔はレーザ穿孔によって作製される。基本的には、孔は、任意の方法、具体的には、従来のドリルまたはフライスを用いる機械加工方式を用いて作ることができる。
【0020】
しかし、機械加工プロセスで非常に小さい孔を作製するのは難しく、すぐに摩耗する、高価であり損傷しやすい特別なツールを必要とする。レーザ穿孔は、孔が作製される材料が機械加工されず、レーザによって蒸着および/または液化されるという、代替案である。機械加工プロセスとは異なり、ある一定の環境下ではレーザ穿孔で厳密に円筒形の孔を穿孔することが可能ではない。しかし、このことは、本発明にとって重要ではない。孔の寸法の再現性がより重要であり、これは、レーザ穿孔を用いて必要な質を伴って簡単に実現できる。機械加工方式と比べてレーザ穿孔の特に有利な点は、孔の縁部の輪郭に概してバリがないことであり、そのことは、汚れ粒子が「付着」する可能性を考えると本発明では重要な場合がある。
【0021】
一構成では、孔は、30μmから1mmの範囲の長さを有する。これは、孔が挿入される構成要素は孔のすぐ隣で相当する厚さを有するということである。その目的で、孔の領域の構成要素の材料の厚さは、孔が作製される前に、それに応じて低減することができる。孔の長さならびにその直径は、孔を通る圧縮空気の流れに影響を及ぼす。したがって、適度な遅れ時間を実現するために低い制御容積で望まれる低い圧縮空気流のためには、比較的長い孔が賢明なことがある。試験によれば、言及した範囲の孔の長さは、多くの場合に、実際に適していた。ある一定の環境下で特に長い孔を作製することは難しいことがある。したがって、30μmから200μmの範囲、特に、40μmから100μmの範囲の長さが特に適している。孔は、その全長にわたって同じ直径を有することができ、すなわち、厳密な円筒形とすることができる。しかし、このことは本発明には必要ではなく、レーザ穿孔中に起こり得る、例えば、ある一定の孔のコニシティなど、作製に関する寸法誤差は、概して、問題にはならない。孔が厳密な円筒形からずれている場合、孔の長さ全体にわたる平均の直径または孔の最小の直径を孔の直径として用いることができる。
【0022】
一構成では、圧縮空気式釘打機は、引き金の作動のたびに作動される第1の制御弁を有し、制御容積は、第1の制御弁を介して通気または脱気される。第1の制御弁は引き金に割り当てられ、したがって、トリガ弁と称されることがある。例えば、第1の制御弁は弁ピンを有することができ、弁ピンは、引き金が作動されるときに引き金レバーのアクチュエート面から直接的に移動される。このような作動の結果、第1の制御弁は、制御容積が通気または脱気される接続、例えば、制御容積と恒久的に動作圧力下にある空間との間、または制御容積と外気との間の接続を確立する。その構成では、説明した遅れ時間が引き金の作動と共に開始できる。
【0023】
一構成では、圧縮空気式釘打機は第2の制御弁を有し、第2の制御弁は、接触センサの作動のたびにまたは引き金および接触センサの共通の作動のたびに作動され、主制御ラインが、第2の制御弁を介して通気および/または脱気される。第2の制御弁は接触センサに割り当てられ、したがって、場合によっては接触センサ弁とも称される。接触センサが作動されるごとに作動されるか、または引き金が同時に作動されるときにだけ作動されるかは、圧縮空気式釘打機の設計に応じて異なる。例示的な実施形態に関連して両方の変形例を説明する。いずれの場合も、第2の制御弁の作動の効果は、主制御ラインが通気および/または脱気されることである。そのために、第2の制御弁は、具体的には、主制御ラインと恒久的に動作圧力下にある空間との間に、または主制御ラインと外気との間に、接続を確立する。主制御ラインを通気または脱気することによって打込みプロセスを開始できる。その目的で、例えば、主制御ラインによって作動される、主弁およびパイロット弁を有する設計が知られている。しかし、パイロット弁を有するかまたは有しない他の設計も考えられる。本発明の構成にとっては、主制御ラインを通気または脱気することによって打込みプロセスをトリガできることだけが重要である。
【0024】
一構成では、制御容積は、制御弁を囲繞する環状の容積を含む。基本的には、制御容積は任意の形状を有することができる。しかし、圧縮空気式釘打機の多くの設計で、利用できる設置空間が限定され、そうすることで、本発明の場合は比較的小さい制御容積でも簡単に収容することができない。制御弁の周りで環状の容積を使用することは、このような状況を考慮に入れている。制御弁は、具体的には、説明した第1の制御弁または説明した第2の制御弁とすることができる。
【0025】
一構成では、圧縮空気式釘打機は、制御弁機構が配置される凹所を有する筐体を備え、制御容積は、全体または大部分がその凹所に配置される。筐体は、例えば、圧縮空気式釘打機の作動シリンダを含み、かつ/またはハンドル部を有することができる。凹所は、例えば、ハンドル部の内側に配置することができる。制御弁機構は、具体的には、説明した第1の制御弁および/または説明した第2の制御弁を備えることができる。制御弁機構は、周りの筐体に対してシールすることができる。制御容積は、制御弁機構と筐体との間に位置することができる。この構成では、特にコンパクトであり構造が単純な設計が得られる。
【0026】
一構成では、孔は、圧縮空気式釘打機の交換可能な構成要素に配置される。交換可能な構成要素は、具体的には、圧縮空気式釘打機の筐体とは異なる構成要素であり、例えば、制御弁機構または圧縮空気ラインの要素である。一方で、例えば、汚れまたは腐食を徹底的に除去できるようにするために、このような構成は、単純化された孔のメンテナンスまたは修理を可能にする。他方で、交換可能な構成要素を単純に交換することで、異なる孔の直径および/または長さを有する交換可能な構成要素を使用することによって、遅れ時間をそれぞれの要件に適合させることができる。
【0027】
後者の目的で、さらなる構成では、交換可能な構成要素の少なくとも1つの第2の複製が存在し、交換可能な構成要素とは孔の直径および/または長さが異なることが考えられる。具体的には、交換可能な構成要素を有する圧縮空気式釘打機および交換可能な構成要素の少なくとも1つの第2の複製は、セットで提供することができる。
【0028】
一構成では、交換可能な構成要素は弁スリーブである。具体的には、これは、第1の制御弁の弁スリーブとすることができ、そうすることによって、孔を通して第1の制御弁によって制御される制御容積を通気または脱気するための特に単純かつコンパクトな設計が実現される。
【0029】
一構成では、安全対策は、打込みプロセスをトリガできないロック状態に圧縮空気式釘打機が移動されることである。例えば、圧縮空気式釘打機はロックピストンを有することができ、ロックピストンは、例えば、パイロット弁のアクチュエート部材の移動を防止することによって、打込みプロセスをトリガするのに必要な動作に機械的に介入する。あるいは、ロック状態は、遮断弁によって圧縮空気式釘打機を圧縮空気供給減から遮断しかつ/またはそれを完全に脱気することによって確立できる。打込みプロセスをトリガするために通気または脱気しなければならない制御ラインを、遮断弁によって開放または遮断することによって、ロック状態を確立することも可能である。このような制御ラインは、具体的には、既に言及した主制御ラインとすることができる。
【0030】
一構成では、圧縮空気式釘打機は、接触トリガ動作および単発トリガ動作で動作でき、安全対策は、圧縮空気式釘打機が接触トリガ動作から単発トリガ動作に移動されることである。導入部で説明したように、この対策は、圧縮空気式釘打機の動作上の安全性を改善することができる。圧縮空気式釘打機が単発トリガ動作に設定された後には、接触トリガは可能ではない。その代わりに、まず単発トリガを実行しなければならず、このことは、事前に引き金が解除されたときにだけ概して再び可能である。
【0031】
一構成では、圧縮空気式釘打機は、ロック位置と開位置との間を移動可能なロックスリーブを有し、ロックスリーブは、ロック位置で主制御ラインと制御弁との間の接続を遮断し、開位置でその接続を開放する。このような構成では、安全対策は、ロック位置に移動されるロックスリーブから本質的に構成できる。ロックスリーブは、説明した第1の制御弁および/または説明した第2の制御弁を備える制御弁機構に一体化できる。具体的には、ロックスリーブは、その内側に、説明した第2の制御弁を受けることができる。
【0032】
一構成では、制御容積内の圧力はロックスリーブに加えられる。このように、ロックスリーブの位置は、制御容積に広がる圧力によって直接的に影響を受ける。その圧力によって印加される力は、具体的には、空気によって生じる別の抵抗力および/またはばねの力と組み合わせることができる。
【0033】
図に示す2つの例示的な実施形態を参照しながら、以下でより詳細に本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】制御弁機構が断面に示され、さらなる要素が概略的にのみ示された、圧縮空気式釘打機を示す。
【
図3】接触センサの作動後の
図1の制御弁機構を示す。
【
図5】圧縮空気式釘打機を被加工物から取り除いた後の
図1の制御弁機構を示す。
【
図7】さらなる圧縮空気式釘打機の制御弁機構を断面に示す。
【
図9】接触センサの作動後の
図7の制御弁機構を示す。
【
図10】圧縮空気式釘打機を被加工物から取り除いた後の
図7の制御弁機構を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1の圧縮空気式釘打機は作動ピストン10を備え、作動ピストン10は打込みラム12に接続されている。作動ピストン10は作動シリンダ14において変位可能なように取り付けられている。作動ピストン10の上方に圧縮空気が加えられる場合、打込みラム12によって、図示しない締結手段を被加工物に打ち込むことができる。作動シリンダ14の上方には主弁16が位置し、主弁16は、圧縮空気式釘打機内にある図示しない圧縮空気リザーバからまたは圧縮空気接続によって、作動シリンダ14に圧縮空気を供給する役割を担う。主弁16はパイロット弁18によって作動される。さらに、パイロット弁18は主制御ライン20によって作動される。主制御ライン20が通気されるとすぐに、パイロット弁18、したがって、主弁16が切り替わり、打込みプロセスがトリガされる。
【0036】
ここまでに言及した
図1の要素は全て概略的にのみ示されている。それら要素の具体的な構成が、例えば、特許文献4の
図1および
図2ならびにその文献の対応する記載から推測できる。その文献に記載された設計は本発明で使用するのに適している。
【0037】
一括りにして制御弁機構と称される
図1で断面に示す要素は本発明の理解のために重要である。それらは、主制御ライン20の圧力を制御する役割を、それゆえ、打込みプロセスをトリガする役割を担う。それら要素には、第1の制御弁22、第2の制御弁24、引き金26および接触センサ28が含まれる。
図1の断面図では、接触センサ28の上端だけが示されている。接触センサ24は下端104も備え、下端104は、
図1では、概略的に示され、図示しない出口ツールの開口部を越えて突出する。
図2の拡大図を参照しながら制御弁機構の詳細をさらに説明する。
【0038】
図2は、圧縮空気式釘打機の初期状態にある制御弁機構を示す。初期状態では、引き金26および接触センサ28は作動されず、圧縮空気式釘打機は圧縮空気源に適正に接続される。部分的にのみ認識できる筐体30の内側に配置される筐体内部32(やはり部分的にのみ図示される)は、そのときに連続して動作圧力下にある。筐体30は、
図2の右端で圧縮空気式釘打機のハンドル部34につながっている。
【0039】
引き金26は、筐体に固定された軸36を中心に、枢動可能なように筐体30上に取り付けられる。引き金26はその後端にアクチュエート面38を有し、アクチュエート面38によって、第1の制御弁22の弁ピン40が移動可能である。接触センサ28の後端は、引き金26の凹所の内側に一部が配置された接触センサレバー42と相互作用する。接触センサレバー42は、後端で、筐体に固定された軸44を中心に、枢動可能なように筐体30上に取り付けられる。圧縮空気式釘打機が被加工物上に載置されているときに接触センサ28が筐体30に対して上に移動すると、接触センサレバー42の前端は接触センサ28の後端によって運ばれる。その結果、接触センサレバー42のアクチュエート面46が、第2の制御弁24の弁ピン48を上に移動させる。
【0040】
第1の制御弁22は下側弁スリーブ50および上側弁スリーブ52を備える。下側弁スリーブ50には小さい孔54が横方向に配置される。その孔54は、約70μmの直径および約200μmの長さを有する。このように寸法が非常に小さいので、
図2の孔54は縮尺が正確ではなく、わずかに拡大して示されている。孔54の隣にある、下側弁スリーブ50の内側に配置された空間56は、上側弁スリーブ52の横孔106および筐体34に斜めに配置された孔108を介して、外気に恒久的に接続される。弁ピン40と下側弁スリーブ50との間の環状の隙間58を介する、空間56と外気との間のさらなる連続的な接続が存在する。
【0041】
図示の第1の制御弁22の位置では、下側Oリング60は弁ピン40上でシールされず、そうすることで、斜めに配置された孔64および空間66も、上側弁スリーブ52の横孔62を介して脱気される。空間66は、ロックスリーブ68の上方で孔64に接続され、第2の制御弁24を囲繞する。
【0042】
ロックスリーブ68は、図示の初期状態では、上端位置にあり、その上端位置でロックスリーブ68はばね70の力によって保持される。その上端位置は開位置である。第2の制御弁24をリング状に囲繞する制御容積72内の圧力によって、ロックスリーブ68上にさらなる力が印加される。図示の初期状態では、制御容積72は圧縮空気がまだ供給されておらず、孔54を介して外気に接続されているので、その力はゼロである。図示の例では、制御容積72は、1mlと1.5mlとの間の範囲の容積を有する。
【0043】
第2の制御弁24の弁ピン48がその非作動位置にある限り、下側Oリング74は弁ピン48上でシールされない。上側Oリング76も、第2の制御弁24の弁スリーブ78上でシールされない。したがって、主制御ライン20は、ロックスリーブ68の横孔80を介し、上側Oリング76を通し、横孔82、弁ピン48と弁スリーブ78との間の環状の隙間84を介して、Oリング74を通して外気に接続されている。
【0044】
図2に示す状態から始めて接触センサ28が作動される場合、第2の制御弁24の弁ピン48は、ばね86の力に逆らって、
図3に示すその作動位置に移動する。作動位置ではOリング74がシールされる。その結果、主制御ライン20は外気から遮断される。さらに、弁ピン48を移動させることによって、その上側Oリング88はシールを解除し、そうすることによって、空間66と主制御ライン20との間に、すなわち、Oリング88を通し、横孔82を通して、Oリング76を介して、横孔80を通した接続が確立される。空間66が依然として減圧されているので、打込みプロセスはまだトリガされない。
【0045】
次のステップで、
図4に示すように引き金26も作動される場合、第1の制御弁22の弁ピン40はその作動位置に移動され、下側Oリング60はシールをもたらし、弁ピン40の上側Oリング90はシールを解除する。その結果、常に通気されている筐体内部32と空間66との間に上側弁スリーブ52の横孔62を介した接続がある。そのことから、上記の接続を介して主制御ライン20の即座の通気が起こり、そうすることで、打込みプロセスがトリガされる。さらに、制御容積72は、弁スリーブ78上で中間Oリング92によって形成される逆止め弁を介して通気される。したがって、その直後に、制御容積72も空間66と同じく動作圧力下にある。ロックスリーブ68に作用する3つの力は、ロックスリーブ68がその上端位置に留まるように、一緒になって作用し続ける。
【0046】
次いで、圧縮空気式釘打機が被加工物から取り除かれる場合、接触センサ28は下に戻り、そうすることで、第2の制御弁24の弁ピン48も
図5に示すようにその初期位置に戻る。その結果、弁ピン48の上側Oリング88は再びシールされ、そうすることで、主制御ライン20へのまたは制御容積72中へのさらなる圧縮空気の供給が不可能になる。制御容積72内の圧力は孔54を介して緩やかに低下する。主制御ライン20は、
図2ですでに記載した接続を介して外気によって脱気される。
【0047】
図5の状態から始めて接触センサ28を再び作動させることによって、任意の時間に接触トリガを実行できる。というのは、弁ピン48を上に移動させることによって主制御ライン20を再び通気できるからである。同時に、そのときに制御容積72内の圧力は逆止め弁を介してリフレッシュされ、そうすることで、遅れ時間が再び進み始める。遅れ時間内ではさらなる接触トリガが可能である。
【0048】
しかし、引き金26が作動されるときに接触センサ28がある一定の時間にわたって作動されないままである場合、制御容積72内の圧力は規定の圧力閾値を下回る。その結果、ロックスリーブ68に作用する3つの力のバランスが変化し、ロックスリーブ68は
図6に示すその下端位置に入る。下端位置はロック位置である。ロックスリーブ68のその位置では、ロックスリーブ68の下側の内周がOリング94をシールし、そうすることで、逆止め弁を介した制御容積72への圧縮空気の供給がもはや可能ではなくなる。さらに、弁スリーブ78上の上側Oリング76はシールをもたらし、そうすることで、横孔80を介した主制御ライン20への圧縮空気供給ももはや可能ではなくなる。
【0049】
さらに、
図6に96で示される空間は、目に見えない孔を介して外気に接続される。中間Oリング98はロックスリーブ68上でシールされていないので、主制御ライン20は空間96を介して脱気される。したがって、ロックスリーブ68をそのロック位置に移動させることは、さらなる打込みプロセスのトリガを確実に防止する安全対策である。引き金26が解除され、それゆえ、空間66が脱気され、そうすることで、ロックスリーブ68がその開位置に戻るときにだけ、さらなる打込みプロセスをトリガできる。
【0050】
図7から
図10を参照しながら第2の例示的な実施形態を説明する。
図1に概略的に示した要素およびロックスリーブ68を有する第2の制御弁24の設計に関して、
図1から
図6の第1の例示的な実施形態と違いはない。変更せずに取り入れた要素には第1の例示的な実施形態と同じ参照番号を付した場合があり、再び説明はしない。
【0051】
接触センサレバー42に関して違いがあり、その接触センサレバー42の後端は筐体に固定されていないが、引き金26の後端にヒンジ接続されている。その結果、第2の制御弁24の弁ピン48は、接触センサ28の作動のたびに作動されることはなく、引き金26と接触センサ28とが一緒に作動されるときにだけ作動される。さらに、ロックスリーブ68の上方の空間66は、第1の制御弁22を介して通気されないが、孔100を介して筐体内部32に連続して接続されている。
【0052】
第1の例示的な実施形態に関する上述の変更は第1の制御弁22の特に単純な構成を可能にする。その制御弁は、第1の例示的な実施形態でより詳細に説明したように、孔54が配置される下側弁スリーブ50を備える。第1の例示的な実施形態とは対照的に、第1の制御弁22は専ら、孔54を介して制御容積72を任意選択で通気または脱気するという目的を果たす。その目的で、上側Oリング102を通る第1の制御弁22は、
図7に示すその非作動位置で、下側弁スリーブ50内側の空間56と筐体内部32との間に接続を確立し、一方、下側Oリング60はシールされる。それゆえ、制御容積72は孔54を通して緩やかに通気される。ある一定の時間が経過した後に、圧縮空気式釘打機は
図7に示す初期状態に位置する。その一定の時間の後に、圧縮空気式釘打機が圧縮空気源に接続され、その一定の時間の間には、引き金26も接触センサ28も作動されなかった。制御容積72は動作圧力下にあり、ロックスリーブ68はその開位置にある。
【0053】
図8は、引き金26が作動された後の状況を示す。弁ピン40の上側Oリング102はシールされ、制御容積72は孔54を介して緩やかに脱気される。それゆえ、引き金26が作動されるときに、遅れ時間が進み始める。
【0054】
引き金26がまだ作動されている状態で、遅れ時間の終了前に接触センサ28が作動される場合、第2の制御弁24の弁ピン48は
図9に示すように上に移動される。そのことは、第1の例示的な実施形態で説明したのと同じように、打込みプロセスをトリガする。第1の例示的な実施形態で説明したように、制御容積72内の圧力は、中間Oリング92によって形成される逆止め弁を介してリフレッシュされる。
【0055】
圧縮空気式釘打機を被加工物から持ち上げた後に、第2の制御弁24の弁ピン48はその非作動位置に戻り、制御容積72は孔54を介して緩やかに脱気される。制御容積72内の圧力閾値が到達される場合、ロックスリーブ68はその開位置に留まり、そうすることで、状況は
図8に対応する。さらなる接触トリガが可能である。
【0056】
しかし、遅れ時間内にさらなるトリガが起こることなく、引き金26が作動されたままになる場合、ロックスリーブ68は、
図10に示すそのロック位置に移動され、そのことは、第1の例示的な実施形態で説明したのと同じようにさらなるトリガを防止する。さらなるトリガを可能にするためには、まず引き金26が再び解除されなければならず、制御容積72内の圧力が圧力閾値を超え、ロックスリーブ68がその開位置に戻るまで待つ必要がある。次いで、装置は再び、
図8に示す、トリガされる準備ができた状態に位置する。
【0057】
両方の例示的な実施形態において、筐体30は凹所を2つ有し、それら凹所は第1の制御弁22および第2の制御弁24を受ける。制御容積72は、第2の制御弁24を受ける凹所内に位置する。
【符号の説明】
【0058】
10 作動ピストン
12 打込みラム
14 作動シリンダ
16 主弁
18 パイロット弁
20 主制御ライン
22 第1の制御弁
24 第2の制御弁
26 引き金
28 接触センサ
30 筐体
32 筐体内部
34 ハンドル部
36 軸
38 アクチュエート面
40 第1の制御弁の弁ピン
42 引き金レバー
44 軸
46 アクチュエート面
48 第2の制御弁の弁ピン
50 下側弁スリーブ
52 上側弁スリーブ
54 孔
56 下側弁スリーブの内側の空間
58 環状の隙間
60 下側Oリング
62 横孔
64 孔
66 空間
68 ロックスリーブ
70 ばね
72 制御容積
74 下側Oリング
76 上側Oリング
78 弁スリーブ
80 横孔
82 横孔
84 環状の隙間
86 ばね
88 上側Oリング
90 上側Oリング
92 中間Oリング(逆止め弁)
94 Oリング
96 空間
98 中間Oリング
100 孔
102 上側Oリング
104 下端
106 横孔
108 孔