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特許7561155FLT3に対するキメラ受容体及びその使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-25
(45)【発行日】2024-10-03
(54)【発明の名称】FLT3に対するキメラ受容体及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   C07K 19/00 20060101AFI20240926BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20240926BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20240926BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20240926BHJP
   C07K 14/705 20060101ALI20240926BHJP
   C07K 14/725 20060101ALI20240926BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20240926BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20240926BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20240926BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20240926BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
C07K19/00 ZNA
C07K16/28
C12P21/08
C12N15/13
C07K14/705
C07K14/725
C12N15/12
C12N15/62 Z
A61P35/02
A61K47/68
A61K39/395 D
A61K39/395 N
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022035975
(22)【出願日】2022-03-09
(62)【分割の表示】P 2018551409の分割
【原出願日】2017-03-31
(65)【公開番号】P2022091793
(43)【公開日】2022-06-21
【審査請求日】2022-04-07
(31)【優先権主張番号】62/317,219
(32)【優先日】2016-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500049716
【氏名又は名称】アムジエン・インコーポレーテツド
(73)【特許権者】
【識別番号】514266932
【氏名又は名称】カイト ファーマ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Kite Pharma, Inc
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アリス・バッカー
(72)【発明者】
【氏名】ローレン・ウー
(72)【発明者】
【氏名】タラ・アルベドソン
(72)【発明者】
【氏名】ジェッド・ジェイ・ウィルツィウス
(72)【発明者】
【氏名】ルーベン・アルバレス・ロドリゲス
【審査官】福澤 洋光
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/016859(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/142675(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0043401(US,A1)
【文献】Blood,2004年,Vol.104, No.4,pp.1137-1144
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 1/00-15/90
C07K 1/00-19/00
C12P 1/00-41/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
UniProt/GeneSeq
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(I)FLT3に特異的に結合する抗原結合分子、ここで、前記抗原結合分子は、
(i)(a)それぞれ、配列番号17、18及び19のアミノ酸配列を含む可変重鎖CDR1~3、並びに配列番号22、23及び24のアミノ酸配列を含む可変軽鎖CDR1~3、
(b)それぞれ、配列番号97、35及び36のアミノ酸配列を含む可変重鎖CDR1~3、並びに配列番号38、39及び40のアミノ酸配列を含む可変軽鎖CDR1~3、
(c)それぞれ、配列番号17、26及び27のアミノ酸配列を含む可変重鎖CDR1~3、並びに配列番号30、31及び32のアミノ酸配列を含む可変軽鎖CDR1~3、
(d)それぞれ、配列番号43、44及び45のアミノ酸配列を含む可変重鎖CDR1~3、並びに配列番号48、49及び50のアミノ酸配列を含む可変軽鎖CDR1~3、若しくは
(e)それぞれ、配列番号53、54及び55のアミノ酸配列を含む可変重鎖CDR1~3、並びに配列番号58、59及び60のアミノ酸配列を含む可変軽鎖CDR1~3、
又は
(ii)(a)配列番号16のVH領域及び配列番号21のVL領域、
(b)配列番号34のVH領域及び配列番号41のVL領域、
(c)配列番号99のVH領域及び配列番号29のVL領域、
(d)配列番号42のVH領域及び配列番号47のVL領域、及び
(e)配列番号52のVH領域及び配列番号57のVL領域、
のいずれか一つと、
ここで、VH領域及びVL領域は、少なくとも一つのリンカーで連結されている、
(II)少なくとも1つの共刺激ドメインと、ここで、前記共刺激ドメインは、配列番号2を含むCD28共刺激ドメインである、
(III)CD3ゼータを含む少なくとも1つの活性化ドメインと
を含む、キメラ抗原受容体。
【請求項2】
記CD3ゼータは、配列番号10の配列とは多くて10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、もしくは0個のアミノ酸残基が異なる配列を含む、請求項1に記載のキメラ抗原受容体。
【請求項3】
前記共刺激ドメインが、配列番号2の配列とは多くて10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、又は0個のアミノ酸残基が異なる配列を含み、前記活性化ドメインが、配列番号10の配列とは多くて10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、又は0個のアミノ酸残基が異なる配列を含む請求項2に記載のキメラ抗原受容体。
【請求項4】
前記リンカーが、scFv G4Sリンカー又はscFv Whitlowリンカーを含む請求項1に記載のキメラ抗原受容体。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載のキメラ抗原受容体をコードするポリヌクレオチド。
【請求項6】
請求項5に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
【請求項7】
レンチウイルスベクター、DNAベクター、プラスミド、RNAベクター、アデノウイルスベクター、アデノウイルス随伴ベクター、レンチウイルスベクター、又はそれらの組み合わせである請求項6に記載のベクター。
【請求項8】
レンチウイルスベクターが、配列番号95を有するpGARベクターである、請求項7に記載のベクター。
【請求項9】
請求項6~8のいずれか一項に記載のベクターを含む単離された免疫細胞であって、任意選択的に、前記免疫細胞は、T細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、NK細胞、TCR発現細胞、樹状細胞又はNK-T細胞である、免疫細胞。
【請求項10】
自己T細胞又は同種T細胞である請求項9に記載の免疫細胞。
【請求項11】
ベクターが、患者の体から単離された細胞、ドナーの体から単離された細胞、又は、患者の体から採取された試料から増殖された細胞に導入される、請求項9に記載の免疫細胞。
【請求項12】
請求項1~4のいずれか一項に記載のキメラ抗原受容体、請求項5に記載のポリヌクレオチド、又は請求項9~11のいずれか一項に記載の細胞を含む、疾患又は障害を治療するための医薬組成物。
【請求項13】
前記疾患又は障害は、がんであり、前記がんは、白血病、リンパ腫又は骨髄腫である、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記疾患又は障害は、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、若年性骨髄単球性白血病、異型慢性骨髄性白血病、急性前骨髄球性白血病(APL)、急性単芽球性白血病、急性赤白血病、急性巨核芽球性白血病、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄増殖性疾患、骨髄腫瘍、骨髄肉腫、及び炎症性疾患又は自己免疫性疾患の少なくとも一である、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記炎症性疾患又は自己免疫性疾患が、関節リウマチ、乾癬、アレルギー、喘息、クローン病、IBD、IBS、線維筋痛、肥満細胞症、及びセリアック病の少なくとも一である、請求項14に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
急性骨髄性白血病(AML)は、成人で診断される急性白血病の最も一般的な型である不均一な血液悪性腫瘍である。AMLは大まかに白血病すべての3分の1を占め、米国だけでも2013年には推定14,500の新しい症例が報告され、全生存率は不良である。過去30年間にわたってAML患者のケアの標準はほとんど改善されていない。しかしながら、分子生物学及び細胞生物学の最近の進歩は、正常状態及び病的状態の双方でのヒトの造血についての我々の理解を革命的に変化させている。
【0002】
疾患の病態形成に関与する幾つかの重要なプレーヤーが特定されており、使用可能な標的として照合することができる。AMLのおよそ30%で最も共通して変異しているそのような活性化している「ドライバー」遺伝子の1つがFLT3である。
【0003】
胎児肝臓キナーゼ2(FLK-2)、ヒト幹細胞キナーゼ1(SCK-1)又は分化抗原のクラスター(CD135)としても知られるFms様チロシンキナーゼ3(FLT3)は、1990年代に2つの独立したグループによってクローニングされた造血受容体チロシンキナーゼである。ヒトにおいて染色体13q12に位置するFLT3遺伝子は、幹細胞因子受容体(c-KIT)、マクロファージコロニー刺激因子受容体(FMS)及び血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)を含む他のクラスIIIファミリーメンバーと相同性を共有するクラスIII受容体チロシンキナーゼタンパク質をコードする。
【0004】
FLT3リガンドとの結合の際、FLT3受容体はホモ二量体化を受け、それによって膜近傍ドメインにおける特定のチロシン残基の自己リン酸化ならびにPI3K/Akt、MAPK及びSTAT5の経路を介した下流の活性化を可能にする。従って、FLT3は正常な造血細胞の増殖、生存及び分化を制御することにおいて重要な役割を担っている。
【0005】
ヒトFLT3はCD34+CD38-造血幹細胞(HSC)と同様に樹状前駆細胞のサブセットにて発現されている。FLT3の発現はまた、CD34CD38CD45RACD123骨髄系共通前駆細胞(CMP)、CD34CD38CD45RACD123顆粒球単球前駆細胞(GMP)、及びCD34CD38CD10CD19リンパ系共通前駆細胞(CLP)のような多能性前駆細胞でも検出することができる。興味深いことに、FLT3の発現はCD34CD38CD45RACD123巨核球赤血球前駆細胞(MEP)ではほぼ存在しない。従って、FLT3の発現は、さらに成熟した単球系列の細胞における一部の発現を伴って、主として早期の骨髄系及びリンパ系の前駆細胞に限定されている。FLT3のこの限定された発現パターンは、ほとんどの造血組織及び前立腺、腎臓、肺、結腸及び心臓で発現されているFLT3リガンドのそれと著しい対照を成す。そのFLT3の発現のようなこれらの変化した発現パターンはFLT3のシグナル伝達経路の組織特異性を決定することにおける律速段階である。
【0006】
AMLにおける最も一般的なFLT3の変異は細胞遺伝学的に正常なAML患者の20~38%に見いだされるFLT3内部縦列重複(FLT3-ITD)である。FLT3-ITDは、膜近傍ドメインのコーディング配列の一部が重複し、高い方向に対して先端に挿入されると形成される。FLT3の変異が、慢性リンパ性白血病(CLL)、非ホジキンリンパ腫及び多発性骨髄腫の患者で特定されていないということは、AMLについての強い疾患特異性を示唆している。変異体FLT3の活性化は一般にFAB亜型のすべてで観察されるが、それはFAB M5(単球性白血病)のAML患者で有意に上昇する一方で、FAB亜型M2及びM6(顆粒球性白血病又は赤白血病)は、FLT3の正常な発現パターンに従って、FLT3の活性化に関連することが有意に少ない。少ない比率のAML患者(5~7%)は、最も一般的にはD835にて又は場合によってはT842もしくはI836にてFLT3チロシンキナーゼドメイン(FLT3 TKD)での単一アミノ酸変異を示す一方で、さらに少ない患者(約1%)は残基579、590、591及び594を含むFLT3の膜近傍ドメインにて変異を有する。FLT3-ITD変異のAML患者は、早期の再発と乏しい生存率を特徴とする侵攻型の疾患を有する一方で、全生存及び無症候生存はFLT3-TKDの変異の存在によって有意には影響を受けない。さらに、TET2又はDNMT3Aの変異と同時にFLT3-ITDの変異を持つAML患者は、野生型のTET2又はDNMT3Aを持つFLT3-ITD変異のAML患者に比べて望ましくない全リスクのプロファイルを有し、AMLの臨床上及び生物学的な不均一性を強調している。
【0007】
FLT3-ITD及びFLT3-TKDの変異は双方とも、Ras/MAPK経路及びP13K/Aktの経路の下流の活性化をもたらすFLT3のリガンドに関係ない活性化を誘導する。しかしながら、いずれかの変異に関連する下流のシグナル伝達経路は、FLT-ITDによるSTAT5の優先的な活性化で元々異なっており、それによって増殖能の上昇及びDNA修復経路の異常調節をもたらす。
【0008】
FLT3の変異の状況とは無関係に、FLT3のリン酸化はAML患者の3分の2を超えて明らかであり、FLT3はAML芽の>80%及びAML患者の約90%にて発現されており、大きな試料サイズにてそれは疾患の病態形成に関連する魅力的な治療標的になっている。
【0009】
幾つかの小分子阻害剤がFLT3変異を持つAML患者のための魅力的な治療選択肢として出現している。第1世代のFLT3チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)は選択性の欠如、効能及び望ましくない薬物動態特性を特徴とした。この問題点と闘うためのさらに新しい且つさらに選択性である作用物質が開発されているが、その有効性は続発性の耐性の出現によって限定されている。
【0010】
幾つかの早期のFLT3 TKIには、とりわけ、ミドスタウリン(PKC412)、レスタウルチニブ(CEP-701)、スニチニブ(SUI1248)及びソラフィニブ(BAY 43-9006)が挙げられた。おそらく用量限定毒性なしで有効なFLT3阻害を達成することができないために、再発性又は難治性のAML患者におけるこれらのマルチキナーゼ標的剤によるフェーズI及びフェーズIIにおける奏効率は限定されている。キザルチニブ(AC220)は、FLT3野生型とFLT3-ITDに対する高い選択性を持つ第2世代のFLT3 TKIとして開発されており、若いコホートの患者にて移植周辺の状況で特に利益を示している。しかしながら、キザルチニブを投与された再発患者で特定されたFLT3における二次変異は、治療剤としての妥当性を強調する一方で、AML患者にとってよりよい治療戦略を開発する必要性を際立たせている。
【0011】
新たな、再発性/難治性又は二次疾患のAML患者にて幾つかの標的化された作用物質が調べられている。腫瘍抑制遺伝子のエピジェネティックサイレンシングはAML疾患の病態形成に重要な役割を担っており、アザシタジン及びデシタビンのようなDNAメチルトランスフェラーゼ(DNMT)阻害剤は幾つかの臨床的な成功を達成している。さらに、AML患者のサブセットにおけるヒストンの翻訳後修飾(たとえば、EZH2及びASXL1変異)又はDNAメチル化(たとえば、DNMT3A、TET2、IDH1/2)に影響を及ぼす変異の最近の特定は、HDAC及びプロテアソーム阻害剤と共にEZH2、DOT1L、IDH1/2の阻害剤を含む種々の治療選択肢の開発をもたらしている。しかしながら、AML細胞におけるこれら化合物の多くの前臨床試験は、これらの阻害剤がAML芽の直接細胞傷害を引き起こすのではなく造血分化の表現型及び遺伝子発現の特徴を変えている可能性があることを示唆している。従って、AMLと闘い、AML芽細胞の標的化された溶解を引き起こす新規の標的/モダリティを特定する強いアンメットメディカルニーズが残ったままである。AMLの他の治療候補には、AMG900を含むオーロラキナーゼ阻害剤、細胞周期の進行で重要な役割を担うポロ様キナーゼの阻害剤が挙げられる。
【0012】
AML患者のケアの標準は、可能ならば幹細胞移植を伴った化学療法のままである。しかしながら、治療した患者の大半における再発性/難治性症例の出現は追加の治療モダリティを正当化している。免疫が介在する移植片対白血病効果のさらに明瞭な理解と併せて幾つかの白血病特異抗原の特定及び記載は、幾つかの論文で概説された、血液悪性腫瘍と闘うための免疫調節戦略の開発への道を開いた。
【0013】
操作された免疫細胞は治療上の処置、特に腫瘍学にて所望の品質を持つことが示されている。操作された免疫細胞の2つの主な型は、キメラ抗原受容体(「CAR」又は「CAR-T」と呼ばれる)及びT細胞受容体(「TCR」)を含有するものである。これらの操作された細胞は、標的細胞を認識し、殺傷するそれらの能力を保持し、又は向上させながら、それらに抗原特異性を与えるように操作される。キメラ抗原受容体は、たとえば、(i)抗原特異的成分(「抗原結合分子」)と、(ii)1以上の共刺激ドメインと、(iii)1以上の活性化ドメインとを含んでもよい。各ドメインは異種であってもよく、すなわち、異なるタンパク質鎖に由来する配列で構成されてもよい。キメラ抗原受容体を発現している免疫細胞(たとえば、T細胞)は、がんの治療法を含む種々の治療法で使用されてもよい。本明細書で定義されるような共刺激するポリペプチドを用いて標的抗原に対するCAR発現細胞の活性化を高めてもよいので、養子免疫療法の効能を増してもよいことが十分に理解されるであろう。
【0014】
1以上の所望の標的に対する特異性を持つようにT細胞を操作することができる。たとえば、1以上のシグナル伝達分子、及び/又はCD3ゼータのような1以上の活性化ドメインと併せて抗体の1以上の単鎖可変断片(「scFv」)のような抗原結合分子をコードするDNA又は他の遺伝物質でT細胞に形質導入することができる。
【0015】
標的細胞を認識し、破壊するCAR-T細胞の能力に加えて、成功したT細胞療法は、抗原に応答して増殖する能力を持続し、維持するCAR-T細胞の能力から利益を得る。
【0016】
T細胞受容体(TCR)は、主要組織適合複合体(MHC)分子に結合するペプチドとしての抗原断片を認識するのに関与するT細胞の表面上で見いだされる分子である。TCRは2つの異なるタンパク質鎖で構成され、ヒトTCRのおよそ95%では、TCRはアルファ(α)鎖とベータ(β)鎖とから成る。ヒトT細胞のおよそ5%では、TCRはガンマ及びデルタ(γ/δ)鎖から成る。各鎖は2つの細胞外ドメイン:双方とも免疫グロブリンのスーパーファミリーの可変(V)領域及び定常(C)領域で構成される。他の免疫グロブリンのように、TCRα鎖及びβ鎖(又はガンマ及びデルタ(γ/δ)鎖)の可変ドメインはそれぞれ、3つの超可変領域又は相補性決定領域(CDR)を有する。TCRが抗原ペプチドとMHC(ペプチド/MHC)を結合すると、T細胞は活性化し、それが標的細胞を攻撃し、破壊するのを可能にする。
【0017】
しかしながら、現在の治療法は望ましくない副作用を伴って様々なレベルの有効性を示している。従って、FLT3に関連する疾患及び障害を治療するための新規の及び改善された治療法を特定するニーズが存在する。
【発明の概要】
【0018】
本発明は、操作された免疫細胞(たとえば、CAR又はTCR)、FLT3に対する特異性を持つ抗原結合分子(抗体、これら抗原結合分子のscFv、重鎖及び/又は軽鎖、及びCDRを含むが、これらに限定されない)に関する。
【0019】
本発明はさらに、これらの細胞にて共刺激ドメインとして有用な新規のCD28の配列に関する。
【0020】
本発明のキメラ抗原受容体は通常、(i)FLT3に特異的な抗原結合分子と、(ii)1以上の共刺激ドメインと、(iii)1以上の活性化ドメインとを含む。各ドメインは異種であってもよいので、異なるタンパク質鎖に由来する配列で構成されてもよいことが十分に理解されるであろう。
【0021】
一部の実施形態では、本発明は、FLT3に特異的に結合する抗原結合分子を含むキメラ抗原受容体に関するものであり、その際、抗原結合分子は、(a)多くて3、2、1又は0個のアミノ酸残基が配列番号17のものとは異なるアミノ酸配列を含む可変重鎖CDR1;(b)多くて3、2、1又は0個のアミノ酸残基が配列番号18又は配列番号26のものとは異なるアミノ酸配列を含む可変重鎖CDR2;(c)多くて3、2、1又は0個のアミノ酸残基が配列番号19又は配列番号27のものとは異なるアミノ酸配列を含む可変重鎖CDR3;(d)多くて3、2、1又は0個のアミノ酸残基が配列番号22又は配列番号30のものとは異なるアミノ酸配列を含む可変軽鎖CDR1;(e)多くて3、2、1又は0個のアミノ酸残基が配列番号23又は31のものとは異なるアミノ酸配列を含む可変軽鎖CDR2;(f)多くて3、2、1又は0個のアミノ酸残基が配列番号24又は配列番号32のものとは異なるアミノ酸配列を含む可変軽鎖CDR3の少なくとも1つを含む。
【0022】
他の実施形態では、キメラ抗原受容体はさらに少なくとも1つの共刺激ドメインを含む。さらなる実施形態では、キメラ抗原受容体はさらに少なくとも1つの活性化ドメインを含む。
【0023】
特定の実施形態では、共刺激ドメインは、CD28、CD28T、OX-40、4-1BB/CD137、CD2、CD7、CD27、CD30、CD40、プログラム死-1(PD-1)、誘導性T細胞共刺激因子(ICOS)、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1、CDl-la/CD18)、CD3ガンマ、CD3デルタ、CD3イプシロン、CD247、CD276(B7-H3)、LIGHT、(TNFSF14)、NKG2C、Igアルファ(CD79a)、DAP-10、Fcガンマ受容体、MHCクラス1分子、TNF受容体タンパク質、免疫グロブリンタンパク質、サイトカイン受容体、インテグリン、シグナル伝達リンパ球活性化分子(SLAMタンパク質)、活性化NK細胞受容体、BTLA、Tollリガンド受容体、ICAM-1、B7-H3、CDS、ICAM-1、GITR、BAFFR、LIGHT、HVEM(LIGHTR)、KIRDS2、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、NKp44、NKp30、NKp46、CD19、CD4、CD8アルファ、CD8ベータ、IL-2Rベータ、IL-2Rガンマ、IL-7Rアルファ、ITGA4、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CDlld、ITGAE、CD103、ITGAL、CDl la、LFA-1、ITGAM、CDl lb、ITGAX、CDl lc、ITGBl、CD29、ITGB2、CD18、LFA-1、ITGB7、NKG2D、TNFR2、TRANCE/RANKL、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(TACTILE)、CEACAM1、CRT AM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、CD69、SLAMF6(NTB-A、Lyl08)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、LAT、GADS、SLP-76、PAG/Cbp、CD19a、CD83と特異的に結合するリガンド、又はそれらの任意の組み合わせのシグナル伝達領域である。
【0024】
一部の実施形態では、共刺激ドメインは4-1BBに由来する。他の実施形態では、共刺激ドメインはOX40に由来する。Hombach,et al.,Oncoimmunology.2012,Jul.1;1(4):458-466も参照のこと。さらに他の実施形態では、共刺激ドメインは、Guedan,et al.,August,14,2014;Blood:124(7)及びShen,et al.,Journal of Hematology & Oncology,(2013),6:33に記載されたようなICOSを含む。さらに他の実施形態では、共刺激ドメインは、Song,et al.,Oncoimmunology.2012,Jul.1;1(4):547-549に記載されたようなCD27を含む。
【0025】
特定の実施形態では、CD28共刺激ドメインは配列番号2、配列番号4、配列番号6又は配列番号8を含む。追加の実施形態では、CD8共刺激ドメインは配列番号14を含む。さらなる実施形態では、活性化ドメインはCD3、CD3ゼータ又は配列番号10に記述されている配列を有するCD3ゼータを含む。
【0026】
他の実施形態では、本発明は共刺激ドメインが配列番号2を含み、且つ活性化ドメインが配列番号10を含むキメラ抗原受容体に関する。
【0027】
本発明はさらに、キメラ抗原受容体をコードするポリヌクレオチド、及び該ポリヌクレオチドを含むベクターに関する。ベクターは、たとえば、レトロウイルスベクター、DNAベクター、プラスミド、RNAベクター、アデノウイルスベクター、アデノウイルス随伴ベクター、レンチウイルスベクター、又はそれらの任意の組み合わせであることができる。本発明はさらに、ベクターを含む免疫細胞に関する。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターはpGARベクターである。
【0028】
例となる免疫細胞には、T細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、NK細胞、TCR発現細胞、樹状細胞又はNK-T細胞が挙げられるが、これらに限定されない。T細胞は自己、同種又は異種であることができる。他の実施形態では、本発明は本明細書に記載されている免疫細胞を含む医薬組成物に関する。
【0029】
特定の実施形態では、本発明は、
(a)多くて10、9、8、7、6、5、4、3、2、1又は0個のアミノ酸残基が10E3のVH領域のアミノ酸配列とは異なるVH領域と多くて10、9、8、7、6、5、4、3、2、1又は0個のアミノ酸残基が10E3のVL領域のアミノ酸配列とは異なるVL領域;
(b)多くて10、9、8、7、6、5、4、3、2、1又は0個のアミノ酸残基が2E7のVH領域のアミノ酸配列とは異なるVH領域と多くて10、9、8、7、6、5、4、3、2、1又は0個のアミノ酸残基が2E7のVL領域のアミノ酸配列とは異なるVL領域;
(c)多くて10、9、8、7、6、5、4、3、2、1又は0個のアミノ酸残基が8B5のVH領域のアミノ酸配列とは異なるVH領域と多くて10、9、8、7、6、5、4、3、2、1又は0個のアミノ酸残基が8B5のVL領域のアミノ酸配列とは異なるVL領域;
(d)多くて10、9、8、7、6、5、4、3、2、1又は0個のアミノ酸残基が4E9のVH領域のアミノ酸配列とは異なるVH領域と多くて10、9、8、7、6、5、4、3、2、1又は0個のアミノ酸残基が4E9のVL領域のアミノ酸配列とは異なるVL領域;及び
(e)多くて10、9、8、7、6、5、4、3、2、1個又は0のアミノ酸残基が11F11のVH領域のアミノ酸配列とは異なるVH領域と多くて10、9、8、7、6、5、4、3、2、1又は0個のアミノ酸残基が10E3のVL領域のアミノ酸配列とは異なるVL領域;
の少なくとも1つ含む抗原結合分子(及びこれらの分子を含むキメラ抗原受容体)に関するものであり、VH及びVLの領域(単数)又は領域(複数)は少なくとも1つのリンカーによって連結される。
【0030】
他の実施形態では、本発明は、リンカーがscFv G4Sリンカー及びscFv Whitlowリンカーの少なくとも1つを含む抗原結合分子(及びこれらの分子を含むキメラ抗原受容体)に関する。
【0031】
他の実施形態では、本発明は、本発明のポリペプチドをコードするベクター及びこれらのポリペプチドを含む免疫細胞に関する。好まれる免疫細胞には、T細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、NK細胞、TCR発現細胞、樹状細胞又はNK-T細胞が挙げられる。T細胞は自己、同種又は異種であってもよい。
【0032】
他の実施形態では、本発明は、FLT3に特異的に結合する抗原結合分子を含むキメラ抗原受容体(CAR)又はT細胞受容体(TCR)をコードする単離されたポリヌクレオチドに関するものであり、抗原結合分子は配列番号19又は配列番号27のアミノ酸配列を含む可変重(V)鎖のCDR3を含む。ポリヌクレオチドはさらに活性化ドメインを含む。好まれる実施形態では、活性化ドメインはCD3、さらに好ましくはCD3ゼータ、さらに好ましくは配列番号9に記述されたアミノ酸配列である。
【0033】
他の実施形態では、本発明は、たとえば、CD28、CD28T、OX40、4-1BB/CD137、CD2、CD3(アルファ、ベータ、デルタ、イプシロン、ガンマ、ゼータ)、CD4、CD5、CD7、CD9、CD16、CD22、CD27、CD30、CD33、CD37、CD40、CD45、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD154、PD-1、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1(CDl la/CD18)、CD247、CD276(B7-H3)、LIGHT(腫瘍壊死因子スーパーファミリーメンバー14;TNFSF14)、NKG2C、Igアルファ(CD79a)、DAP-10、Fcガンマ受容体、MHCクラスI分子、TNF、TNFr、インテグリン、シグナル伝達リンパ球活性化分子、BTLA、Tollリガンド受容体、ICAM-1、B7-H3、CDS、ICAM-1、GITR、BAFFR、LIGHT、HVEM(LIGHTR)、KIRDS2、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、NKp44、NKp30、NKp46、CD19、CD4、CD8アルファ、CD8ベータ、IL-2Rベータ、IL-2Rガンマ、IL-7Rアルファ、ITGA4、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CDl-ld、ITGAE、CD103、ITGAL、CDl-la、LFA-1、ITGAM、CDl-lb、ITGAX、CDl-lc、ITGBl、CD29、ITGB2、CD18、LFA-1、ITGB7、NKG2D、TNFR2、TRANCE/RANKL、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(TACTILE)、CEACAM1、CRT AM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、CD69、SLAMF6(NTB-A、Lyl08)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、LAT、GADS、SLP-76、PAG/Cbp、CD19a、CD83リガンド、又はそれらの断片もしくは組み合わせのような共刺激ドメインを含む。好まれる共刺激ドメインは以下に引用されている。
【0034】
さらなる実施形態では、本発明は、キメラ抗原受容体(CAR)又はT細胞受容体(TCR)をコードする単離されたポリヌクレオチドに関するものであり、その際、CAR又はTCRはFLT3に特異的に結合する抗原結合分子を含み、抗原結合分子は配列番号24及び配列番号32から選択されるアミノ酸配列を含む可変軽(V)鎖CDR3を含む。ポリヌクレオチドはさらに活性化ドメインを含むことができる。ポリヌクレオチドはさらに共刺激ドメインを含むことができる。
【0035】
他の実施形態では、本発明は、FLT3に特異的に結合する抗原結合分子を含むキメラ抗原受容体(CAR)又はT細胞受容体(TCR)をコードする単離されたポリヌクレオチドに関するものであり、抗原結合分子の重鎖はCDR1(配列番号17)、CDR2(配列番号18)、及びCDR3(配列番号19)を含み、且つ抗原結合分子の軽鎖はCDR1(配列番号22)、CDR2(配列番号23)、及びCDR3(配列番号24)を含む。
【0036】
他の実施形態では、本発明は、FLT3に特異的に結合する抗原結合分子を含むキメラ抗原受容体(CAR)又はT細胞受容体(TCR)をコードする単離されたポリヌクレオチドに関するものであり、抗原結合分子の重鎖はCDR1(配列番号17)、CDR2(配列番号26)、及びCDR3(配列番号27)を含み、且つ抗原結合分子の軽鎖はCDR1(配列番号30)、CDR2(配列番号31)、及びCDR3(配列番号32)を含む。
【0037】
本発明はさらに、本明細書に記述されているような少なくとも1つの可変重鎖CDR3又は可変軽鎖CDR3の配列を含むFLT3への抗原結合分子に関する。本発明はさらに、本明細書に記載されているような少なくとも1つの可変重鎖CDR1、CDR2及びCDR3を含むFLT3への抗原結合分子に関する。本発明はさらに、本明細書に記載されているような少なくとも1つの可変軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3の配列を含むFLT3への抗原結合分子に関する。本発明はさらに、本明細書に記載されているような可変重鎖CDR1、CDR2、CDR3及び可変軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3の配列の双方を含むFLT3への抗原結合分子に関する。
【0038】
本発明に係るFLT3に結合する分子にて使用するのに好適な追加の重鎖及び軽鎖の可変ドメイン及びCDRのポリヌクレオチド及びアミノ酸配列は2015年7月31日に出願された米国仮特許出願番号62/199,944にて見いだされる。
【0039】
本発明はさらに、本発明に係る抗原結合分子、CAR、TCR、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞又は組成物を対象に投与することを含む、疾患又は障害の治療を必要とする対象にて疾患又は障害を治療する方法に関する。治療に好適な疾患には、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、若年性骨髄単球性白血病、異型慢性骨髄性白血病、急性前骨髄球性白血病(APL)、急性単芽球性白血病、急性赤白血病、急性巨核芽球性白血病、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄増殖性疾患、骨髄腫瘍、骨髄肉腫、又はそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。追加の疾患には、たとえば、関節リウマチ、乾癬、アレルギー、喘息、クローン病、IBD、IBS、線維筋痛、肥満細胞症、及びセリアック病のような炎症性疾患及び/又は自己免疫疾患が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】ヒト細胞株におけるFLT3の細胞表面発現についてのフローサイトメトリー解析を示す図である。
図2】種々のCARをコードするmRNAと共にエレクトロポレーションした初代T細胞におけるCARの発現を示す図である。
図3】共培養の16時間後、複数の細胞株に対するエレクトロポレーションしたCAR T細胞の細胞溶解活性を示す図である。
図4図4A及び4Bを含み、示した標的細胞株との共培養の16時間後、エレクトロポレーションしたCAR T細胞によるIFNγ、IL-2及びTNFαの産生を示す図である。
図5】2人の健常ドナーに由来するレンチウイルスで形質導入した初代T細胞におけるCARの発現を示す図である。
図6】種々の標的細胞株と共に共培養した、示されたCARを発現している2人の健常ドナーに由来する経時的な平均細胞溶解活性を示す図である。
図7図7A、7B及び7Cを含み、示された標的細胞株との共培養の16時間後、2人の健常ドナーに由来するレンチウイルスで形質導入したCAR T細胞によるIFNγ、TNFα及びIL-2の産生を示す図である。
図8】CD3-CD28ビーズ又は示された標的細胞株との共培養の5日後、2人の健常ドナーに由来するCFSE標識したレンチウイルスで形質導入したCAR T細胞の増殖を示す図である。
図9】生体内試験に使用されたレンチウイルスで形質導入した初代ヒトT細胞におけるCARの発現を示す図である。
図10】異種モデルにおけるCAR T細胞の静脈内注射に続く標識した急性骨髄性白血病細胞の生物発光の画像化を示す図である。
図11】CAR T細胞を注射したマウスの生存曲線を示す図である。
図12】pGARのベクターマップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
キメラ抗原受容体(CAR又はCAR-T)及びT細胞受容体(TCR)は遺伝的に操作された受容体であることが十分に理解されるであろう。これらの操作された受容体は、当該技術で既知の技法に従ってT細胞を含む免疫細胞に容易に挿入することができ、その免疫細胞によって容易に発現されることができる。CARと共に、特定の抗原を認識し、且つその抗原に結合したとき、その抗原を持つ細胞を攻撃し、破壊するように免疫細胞を活性化するように単一の受容体をプログラムすることができる。これらの抗原が腫瘍細胞に存在すると、CARを発現している免疫細胞はその腫瘍細胞を標的とし、殺傷することができる。
【0042】
CARは、抗原(たとえば、細胞表面抗原)と相互作用する抗原結合分子を組み込むことによってその標的とされる抗原に結合するように操作することができる。好ましくは、抗原結合分子はその抗体断片、さらに好ましくは1以上の単鎖抗体断片(「scFv」)である。scFvは、一緒に連結された抗体の重鎖及び軽鎖の可変領域を有する単鎖抗体断片である。米国特許第7,741,465号及び同第6,319,494号と同様にEshhar,et al.,Cancer Immunol.Immunotherapy,(1997),45:131-136を参照のこと。scFvは、標的抗原と特異的に相互作用する親抗体の能力を保持する。scFvは他のCAR成分と併せて単鎖の一部として発現されるように操作することができるので、キメラ抗原受容体での使用に好まれる。同上、またKrause,et al.,J.Exp.Med.,Volume,188,No.4,1998(619-626);Finney,et al.,Journal of Immunology,1998,161:2791-2797も参照のこと。抗原結合分子は通常、それが対象とする抗原を認識し、抗原に結合することができるようにCARの細胞外部分内に含有されることが十分に理解されるであろう。1を超える対象とする抗原に対する特異性を持つ二重特異性及び多重特異性のCARは本発明の範囲内で熟考される。
【0043】
共刺激ドメイン
キメラ抗原受容体は共刺激(シグナル伝達)ドメインを組み込んでその効能を高めてもよい。米国特許第7,741,465号及び同第6,319,494号、同様にKrause,et al.及びFinney,et al.(上記),Song,et al.,Blood,119:696-706(2012);Kalos,et al.,Sci.Transl.Med.3:95(2011);Porter,et al.,N.Engl.J.Med.365:725-33(2011),及びGross,et al.,Annu.Rev.Pharmacol.Toxicol.56:59-83(2016)を参照のこと。たとえば、CD28はT細胞上で天然に見いだされる共刺激タンパク質である。CD28の完全なネイティブのアミノ酸配列はNCBI参照配列:NP_006130.1に記載されている。完全なネイティブのCD28の核酸配列はNCBI参照配列:NM_006139.1に記載されている。
【0044】
特定のCD28のドメインがキメラ抗原受容体で使用されている。本発明によれば、「CD28T」と呼ばれる新規のCD28細胞外ドメインはCAR構築物で利用されると予想外に特定の利益を提供することが見いだされている。
【0045】
細胞外CD28Tドメイン、及びCD28膜貫通ドメイン及び細胞内ドメインを含むCD28T分子のヌクレオチド配列は配列番号1に記述されている:
【0046】
CTTGATAATGAAAAGTCAAACGGAACAATCATTCACGTGAAGGGCAAGCACCTCTGTCCGTCACCCTTGTTCCCTGGTCCATCCAAGCCATTCTGGGTGTTGGTCGTAGTGGGTGGAGTCCTCGCTTGTTACTCTCTGCTCGTCACCGTGGCTTTTATAATCTTCTGGGTTAGATCCAAAAGAAGCCGCCTGCTCCATAGCGATTACATGAATATGACTCCACGCCGCCCTGGCCCCACAAGGAAACACTACCAGCCTTACGCACCACCTAGAGATTTCGCTGCCTATCGGAGC
【0047】
対応するアミノ酸配列は配列番号2に記述されている:
【0048】
LDNEKSNGTIIHVKGKHLCPSPLFPGPSKPFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSK RSRLLHSDYM NMTPRRPGPT RKHYQPYAPP RDFAAYRS
【0049】
CD28Tの細胞外部分のヌクレオチド配列は配列番号3に記述されている:
【0050】
CTTGATAATGAAAAGTCAAACGGAACAATCATTCACGTGAAGGGCAAGCACCTCTGTCCGTCACCCTTGTTCCCTGGTCCATCCAAGCCA
【0051】
CD28Tの細胞外ドメインの対応するアミノ酸配列は配列番号4に記述されている:LDNEKSNGTI IHVKGKHLCP SPLFPGPSKP
【0052】
CD28の膜貫通ドメインのヌクレオチド配列は配列番号5に記述されている:
【0053】
TTCTGGGTGTTGGTCGTAGTGGGTGGAGTCCTCGCTTGTTACTCTCTGCTCGTCACCGTGGCTTTTATAATCTTCTGGGTT
【0054】
CD28の膜貫通ドメインのアミノ酸配列は配列番号6に記述されている:
【0055】
FWVLVVVGGV LACYSLLVTV AFIIFWV
【0056】
CD28の細胞内シグナル伝達ドメインのヌクレオチド配列は配列番号7に記述されている:
【0057】
AGATCCAAAAGAAGCCGCCTGCTCCATAGCGATTACATGAATATGACTCCACGCCGCCCTGGCCCCACAAGGAAACACTACCAGCCTTACGCACCACCTAGAGATTTCGCTGCCTATCGGAGC
【0058】
CD28の細胞内シグナル伝達ドメインのアミノ酸配列は配列番号8に記述されている:RSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRS
【0059】
本発明で使用するのに好適な追加のCD28配列には、配列番号11に記述されているCD28のヌクレオチド配列が挙げられる:
【0060】
ATTGAGGTGATGTATCCACCGCCTTACCTGGATAACGAAAAGAGTAACGGTACCATCATTCACGTGAAAGGTAAACACCTGTGTCCTTCTCCCCTCTTCCCCGGGCCATCAAAGCCC
【0061】
対応するアミノ酸配列は配列番号12に記述されている:
【0062】
IEVMYPPPYLDNEKSNGTIIHVKGKHLCPSPLFPGPSKP
【0063】
他の好適な細胞外又は膜貫通の配列はCD8に由来することができる。好適なCD8の細胞外及び膜貫通のドメインのヌクレオチド配列は配列番号13に記述されている:
【0064】
GCTGCAGCATTGAGCAACTCAATAATGTATTTTAGTCACTTTGTACCAGTGTTCTTGCCGGCTAAGCCTACTACCACACCCGCTCCACGGCCACCTACCCCAGCTCCTACCATCGCTTCACAGCCTCTGTCCCTGCGCCCAGAGGCTTGCCGACCGGCCGCAGGGGGCGCTGTTCATACCAGAGGACTGGATTTCGCCTGCGATATCTATATCTGGGCACCCCTGGCCGGAACCTGCGGCGTACTCCTGCTGTCCCTGGTCATCACGCTCTATTGTAATCACAGGAAC
【0065】
対応するアミノ酸配列は配列番号14に記述されている:
【0066】
AAALSNSIMYFSHFVPVFLPAKPTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYCNHRN
【0067】
本発明の範囲内での好適な共刺激ドメインは、他の供給源の中で特に、CD28、CD28T、OX40、4-1BB/CD137、CD2、CD3(アルファ、ベータ、デルタ、イプシロン、ガンマ、ゼータ)、CD4、CD5、CD7、CD9、CD16、CD22、CD27、CD30、CD33、CD37、CD40、CD45、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD154、PD-1、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1(CDl la/CD18)、CD247、CD276(B7-H3)、LIGHT(腫瘍壊死因子スーパーファミリーメンバー14;TNFSF14)、NKG2C、Igアルファ(CD79a)、DAP-10、Fcガンマ受容体、MHCクラスI分子、TNF、TNFr、インテグリン、シグナル伝達リンパ球活性化分子、BTLA、Tollリガンド受容体、ICAM-1、B7-H3、CDS、ICAM-1、GITR、BAFFR、LIGHT、HVEM(LIGHTR)、KIRDS2、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、NKp44、NKp30、NKp46、CD19、CD4、CD8アルファ、CD8ベータ、IL-2Rベータ、IL-2Rガンマ、IL-7Rアルファ、ITGA4、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CDl-ld、ITGAE、CD103、ITGAL、CDl-la、LFA-1、ITGAM、CDl-lb、ITGAX、CDl-lc、ITGBl、CD29、ITGB2、CD18、LFA-1、ITGB7、NKG2D、TNFR2、TRANCE/RANKL、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(TACTILE)、CEACAM1、CRT AM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、CD69、SLAMF6(NTB-A、Lyl08)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、LAT、GADS、SLP-76、PAG/Cbp、CD19a、CD83リガンド、又はそれらの断片もしくは組み合わせに由来することができる。
【0068】
活性化ドメイン
【0069】
CD3はネイティブT細胞上のT細胞受容体の要素であり、CARにおいて重要な細胞内活性化要素であることが示されている。好まれる実施形態では、CD3はCD3ゼータであり、そのヌクレオチド配列は配列番号9に記述されている:
【0070】
AGGGTGAAGTTTTCCAGATCTGCAGATGCACCAGCGTATCAGCAGGGCCAGAACCAACTGTATAACGAGCTCAACCTGGGACGCAGGGAAGAGTATGACGTTTTGGACAAGCGCAGAGGACGGGACCCTGAGATGGGTGGCAAACCAAGACGAAAAAACCCCCAGGAGGGTCTCTATAATGAGCTGCAGAAGGATAAGATGGCTGAAGCCTATTCTGAAATAGGCATGAAAGGAGAGCGGAGAAGGGGAAAAGGGCACGACGGTTTGTACCAGGGACTCAGCACTGCTACGAAGGATACTTATGACGCTCTCCACATGCAAGCCCTGCCACCTAGG
【0071】
細胞内CD3ゼータの対応するアミノ酸は配列番号10に記述されている:
【0072】
RVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPR RKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR
【0073】
ドメイン配向
構造的に、これらのドメインは免疫細胞と比べた配置に対応することが十分に理解されるであろう。従って、これらのドメインは、(i)「ヒンジ」ドメイン又は細胞外(EC)ドメイン(EC)、(ii)膜貫通(TM)ドメイン、及び/又は(iii)細胞内(細胞質)ドメイン(IC)の一部であることができる。細胞内成分はある程度、CD3ファミリーのメンバー、好ましくはCD3ゼータを含むことが多く、それは抗原結合分子のその標的への結合の際、T細胞を活性化することができる。一実施形態では、ヒンジドメインは通常、本明細書で定義されるような少なくとも1つの共刺激ドメインで構成される。
【0074】
ヒンジ領域が、たとえば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgD、IgE、IgMのような免疫グロブリンファミリーのメンバー又はそれらの断片の一部又は全部を含有してもよいことも十分に理解されるであろう。
【0075】
本発明に係る例となるCAR構築物は表1に記述されている。
【表1】
【0076】
細胞と比べたドメイン
受容体を持つ細胞に比べて、本発明の操作されたT細胞は、抗原結合分子(たとえば、scFv)、細胞外ドメイン(「ヒンジ」ドメインを含んでもよい)、膜貫通ドメイン及び細胞内ドメインを含むことが十分に理解されるであろう。細胞内ドメインは少なくともある程度、活性化ドメインを含み、好ましくは、たとえば、CD3ゼータ、CD3イプシロン、CD3ガンマ又はそれらの一部のようなCD3ファミリーメンバーで構成される。抗原結合分子(たとえば、1以上のscFv)は、それが分子/構築物の細胞外部分に位置付けられるように操作されるのでそれがその標的(単数)又は標的(複数)を認識し、結合することができることがさらに十分に理解されるであろう。
【0077】
細胞外ドメイン
細胞外ドメインは、シグナル伝達にとって及びリンパ球の抗原への効率的な応答にとって有益である。本発明の特定の使用についての細胞外ドメインは、CD28、CD28T、OX-40、4-1BB/CD137、CD2、CD7、CD27、CD30、CD40、プログラム死-1(PD-1)、誘導性T細胞共刺激因子(ICOS)、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1、CDl-la/CD18)、CD3ガンマ、CD3デルタ、CD3イプシロン、CD247、CD276(B7-H3)、LIGHT、(TNFSF14)、NKG2C、Igアルファ(CD79a)、DAP-10、Fcガンマ受容体、MHCクラス1分子、TNF受容体タンパク質、免疫グロブリンタンパク質、サイトカイン受容体、インテグリン、シグナル伝達リンパ球活性化分子(SLAMタンパク質)、活性化NK細胞受容体、BTLA、Tollリガンド受容体、ICAM-1、B7-H3、CDS、ICAM-1、GITR、BAFFR、LIGHT、HVEM(LIGHTR)、KIRDS2、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、NKp44、NKp30、NKp46、CD19、CD4、CD8アルファ、CD8ベータ、IL-2Rベータ、IL-2Rガンマ、IL-7Rアルファ、ITGA4、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CDl ld、ITGAE、CD103、ITGAL、CDl la、LFA-1、ITGAM、CDl lb、ITGAX、CDl lc、ITGBl、CD29、ITGB2、CD18、LFA-1、ITGB7、NKG2D、TNFR2、TRANCE/RANKL、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(TACTILE)、CEACAM1、CRT AM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、CD69、SLAMF6(NTB-A、Lyl08)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、LAT、GADS、SLP-76、PAG/Cbp、CD19a、CD83と特異的に結合するリガンド、又はそれらの任意の組み合わせに由来してもよい(すなわち、これらを含んでもよい)。細胞外ドメインは天然の供給源又は合成の供給源のいずれかに由来してもよい。
【0078】
本明細書に記載されているように、細胞外ドメインはヒンジ部分を含むことが多い。これは、時には「スペーサー」領域と呼ばれる細胞外ドメインの一部である。上記で議論したような共刺激分子、同様に免疫グロブリン(Ig)配列又は他の好適な分子を含む種々のヒンジを本発明に従って採用し、標的細胞からの所望の特定の距離を達成することができる。一部の実施形態では、細胞外ドメイン全体がヒンジ領域を含む。一部の実施形態では、ヒンジ領域はCD28T、又はCD28のECドメインを含む。
【0079】
膜貫通ドメイン
CARは、CARの細胞外ドメインに融合される膜貫通ドメインを含むように設計することができる。それは同様にCARの細胞内ドメインに融合することができる。一実施形態では、CARにおけるドメインの1つに天然に会合する膜貫通ドメインが使用される。場合によっては、アミノ酸置換によって膜貫通ドメインを選択し、又は修飾し、同一の又は異なる表面膜タンパク質の膜貫通ドメインへのそのようなドメインの結合を回避して受容体複合体の他のメンバーとの相互作用を出来るだけ減らすことができる。膜貫通ドメインは天然の供給源又は合成の供給源のいずれかに由来してもよい。供給源が天然である場合、ドメインは任意の膜結合タンパク質又は膜貫通タンパク質に由来してもよい。本発明における特定の使用についての膜貫通領域は、CD28、CD28T、OX-40、4-1BB/CD137、CD2、CD7、CD27、CD30、CD40、プログラム死-1(PD-1)、誘導性T細胞共刺激因子(ICOS)、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1、CDl-la/CD18)、CD3ガンマ、CD3デルタ、CD3イプシロン、CD247、CD276(B7-H3)、LIGHT、(TNFSF14)、NKG2C、Igアルファ(CD79a)、DAP-10、Fcガンマ受容体、MHCクラス1分子、TNF受容体タンパク質、免疫グロブリンタンパク質、サイトカイン受容体、インテグリン、シグナル伝達リンパ球活性化分子(SLAMタンパク質)、活性化NK細胞受容体、BTLA、Tollリガンド受容体、ICAM-1、B7-H3、CDS、ICAM-1、GITR、BAFFR、LIGHT、HVEM(LIGHTR)、KIRDS2、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、NKp44、NKp30、NKp46、CD19、CD4、CD8アルファ、CD8ベータ、IL-2Rベータ、IL-2Rガンマ、IL-7Rアルファ、ITGA4、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CDl ld、ITGAE、CD103、ITGAL、CDl la、LFA-1、ITGAM、CDl lb、ITGAX、CDl lc、ITGBl、CD29、ITGB2、CD18、LFA-1、ITGB7、NKG2D、TNFR2、TRANCE/RANKL、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(TACTILE)、CEACAM1、CRT AM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、CD69、SLAMF6(NTB-A、Lyl08)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、LAT、GADS、SLP-76、PAG/Cbp、CD19a、CD83と特異的に結合するリガンド、又はそれらの任意の組み合わせに由来してもよい(すなわち、これらを含んでもよい)。
【0080】
任意で、短いリンカーがCARの細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン及び細胞内ドメインのいずれか又は幾つかの間で結合を形成してもよい。
【0081】
一実施形態では、本発明のCARにおける膜貫通ドメインはCD8の膜貫通ドメインである。一実施形態では、CD8の膜貫通ドメインは配列番号13の核酸配列の膜貫通部分を含む。別の実施形態では、CD8の膜貫通ドメインは配列番号14の中に含有される膜貫通アミノ酸配列をコードする核酸配列を含む。
【0082】
特定の実施形態では、本発明のCARにおける膜貫通ドメインはCD28の膜貫通ドメインである。一実施形態では、CD28の膜貫通ドメインは配列番号5の核酸配列を含む。一実施形態では、CD28の膜貫通ドメインは配列番号6のアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む。別の実施形態では、CD28の膜貫通ドメインは配列番号6のアミノ酸配列を含む。
【0083】
細胞内(細胞質)ドメイン
本発明の操作されたT細胞の細胞内(細胞質)ドメインは免疫細胞の正常なエフェクター機能の少なくとも1つの活性化を提供することができる。T細胞のエフェクター機能は、たとえば、細胞溶解活性、又はサイトカインの分泌を含むヘルパー活性であってもよい。
【0084】
好適な細胞内分子には、CD28、CD28T、OX-40、4-1BB/CD137、CD2、CD7、CD27、CD30、CD40、プログラム死-1(PD-1)、誘導性T細胞共刺激因子(ICOS)、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1、CDl-la/CD18)、CD3ガンマ、CD3デルタ、CD3イプシロン、CD247、CD276(B7-H3)、LIGHT、(TNFSF14)、NKG2C、Igアルファ(CD79a)、DAP-10、Fcガンマ受容体、MHCクラス1分子、TNF受容体タンパク質、免疫グロブリンタンパク質、サイトカイン受容体、インテグリン、シグナル伝達リンパ球活性化分子(SLAMタンパク質)、活性化NK細胞受容体、BTLA、Tollリガンド受容体、ICAM-1、B7-H3、CDS、ICAM-1、GITR、BAFFR、LIGHT、HVEM(LIGHTR)、KIRDS2、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、NKp44、NKp30、NKp46、CD19、CD4、CD8アルファ、CD8ベータ、IL-2Rベータ、IL-2Rガンマ、IL-7Rアルファ、ITGA4、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CDl ld、ITGAE、CD103、ITGAL、CDl la、LFA-1、ITGAM、CDl lb、ITGAX、CDl lc、ITGBl、CD29、ITGB2、CD18、LFA-1、ITGB7、NKG2D、TNFR2、TRANCE/RANKL、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(TACTILE)、CEACAM1、CRT AM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、CD69、SLAMF6(NTB-A、Lyl08)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、LAT、GADS、SLP-76、PAG/Cbp、CD19a、CD83と特異的に結合するリガンド、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられる(すなわち、これらを含む)が、これらに限定されないことが十分に理解されるであろう。
【0085】
好まれる実施形態では、CARの細胞質ドメインは、CD3ゼータのシグナル伝達ドメインをそれだけで、又は本発明のCARとの関連で有用な任意の他の所望の細胞質ドメイン(複数可)との組み合わせで含むように設計することができる。たとえば、CARの細胞質ドメインはCD3ゼータ鎖部分及び共刺激シグナル伝達領域を含むことができる。
【0086】
本発明のCARの細胞質シグナル伝達部分内の細胞質シグナル伝達配列は互いに無作為に又は特定の順序で連結されてもよい。
【0087】
好まれる一実施形態では、細胞質ドメインは、CD3ゼータのシグナル伝達ドメインとCD28のシグナル伝達ドメインとを含むように設計される。別の実施形態では、細胞質ドメインは、CD3ゼータのシグナル伝達ドメインと4-1BBのシグナル伝達ドメインとを含むように設計される。別の実施形態では、本発明のCARにおける細胞質ドメインはCD28の一部とCD3ゼータを含むように設計され、その際、細胞質CD28は配列番号7に記述された核酸配列と配列番号8に記述されたアミノ酸配列を含む。CD3ゼータの核酸配列は配列番号9に記述されており、アミノ酸配列は配列番号8に記述されている。
【0088】
本発明に係るCARの好まれる配向の1つは、共刺激ドメイン及び活性化ドメインと縦列で抗原結合分子(たとえば、scFv)を含むことが十分に理解されるであろう。共刺激ドメインは、細胞外部分、膜貫通部分及び細胞内部分の1以上を含むことができる。複数の共刺激ドメインを縦列で利用できることがさらに十分に理解されるであろう。
【0089】
一部の実施形態では、抗原結合分子と少なくとも1つの共刺激ドメインと活性化ドメインとをコードする第1のポリヌクレオチドに操作可能に連結されたプロモータを含む核酸が提供される。
【0090】
一部の実施形態では、核酸構築物はウイルスベクター内に含有される。一部の実施形態では、ウイルスベクターは、レトロウイルスベクター、マウス白血病ウイルスベクター、SFGベクター、アデノウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、ヘルペスウイルスベクター、及びワクシニアウイルスベクターから成る群から選択される。一部の実施形態では、核酸はプラスミド内に含有される。
【0091】
本発明はさらに、キメラ抗原受容体をコードする単離されたポリヌクレオチド及び該ポリヌクレオチドを含むベクターに関する。当該技術で既知の任意のベクターが本発明に好適であることができる。一部の実施形態では、ベクターはウイルスベクターである。一部の実施形態では、ベクターは、レトロウイルスベクター(たとえば、pMSVG1)、DNAベクター、マウス白血病ウイルスベクター、SFGベクター、プラスミド、RNAベクター、アデノウイルスベクター、バキュロウイルスベクター、エプスタインバーウイルスベクター、パポバウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクター、単純性ヘルペスウイルスベクター、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、レンチウイルスベクター(たとえば、pGAR)又はそれらの任意の組み合わせである。pGARのベクターマップは図12に示す。pGARの配列は以下のとおりである。
CTGACGCGCCCTGTAGCGGCGCATTAAGCGCGGCGGGTGTGGTGGTTACGCGCAGCGTGACCGCTACACTTGCCAGCGCCCTAGCGCCCGCTCCTTTCGCTTTCTTCCCTTCCTTTCTCGCCACGTTCGCCGGCTTTCCCCGTCAAGCTCTAAATCGGGGGCTCCCTTTAGGGTTCCGATTTAGTGCTTTACGGCACCTCGACCCCAAAAAACTTGATTAGGGTGATGGTTCACGTAGTGGGCCATCGCCCTGATAGACGGTTTTTCGCCCTTTGACGTTGGAGTCCACGTTCTTTAATAGTGGACTCTTGTTCCAAACTGGAACAACACTCAACCCTATCTCGGTCTATTCTTTTGATTTATAAGGGATTTTGCCGATTTCGGCCTATTGGTTAAAAAATGAGCTGATTTAACAAAAATTTAACGCGAATTTTAACAAAATATTAACGCTTACAATTTGCCATTCGCCATTCAGGCTGCGCAACTGTTGGGAAGGGCGATCGGTGCGGGCCTCTTCGCTATTACGCCAGCTGGCGAAAGGGGGATGTGCTGCAAGGCGATTAAGTTGGGTAACGCCAGGGTTTTCCCAGTCACGACGTTGTAAAACGACGGCCAGTGAATTGTAATACGACTCACTATAGGGCGACCCGGGGATGGCGCGCCAGTAATCAATTACGGGGTCATTAGTTCATAGCCCATATATGGAGTTCCGCGTTACATAACTTACGGTAAATGGCCCGCCTGGCTGACCGCCCAACGACCCCCGCCCATTGACGTCAATAATGACGTATGTTCCCATAGTAACGCCAATAGGGACTTTCCATTGACGTCAATGGGTGGAGTATTTACGGTAAACTGCCCACTTGGCAGTACATCAAGTGTATCATATGCCAAGTACGCCCCCTATTGACGTCAATGACGGTAAATGGCCCGCCTGGCATTATGCCCAGTACATGACCTTATGGGACTTTCCTACTTGGCAGTACATCTACGTATTAGTCATCGCTATTACCATGCTGATGCGGTTTTGGCAGTACATCAATGGGCGTGGATAGCGGTTTGACTCACGGGGATTTCCAAGTCTCCACCCCATTGACGTCAATGGGAGTTTGTTTTGGCACCAAAATCAACGGGACTTTCCAAAATGTCGTAACAACTCCGCCCCATTGACGCAAATGGGCGGTAGGCGTGTACGGTGGGAGGTCTATATAAGCAGAGCTGGTTTAGTGAACCGGGGTCTCTCTGGTTAGACCAGATCTGAGCCTGGGAGCTCTCTGGCTAACTAGGGAACCCACTGCTTAAGCCTCAATAAAGCTTGCCTTGAGTGCTTCAAGTAGTGTGTGCCCGTCTGTTGTGTGACTCTGGTAACTAGAGATCCCTCAGACCCTTTTAGTCAGTGTGGAAAATCTCTAGCAGTGGCGCCCGAACAGGGACTTGAAAGCGAAAGGGAAACCAGAGGAGCTCTCTCGACGCAGGACTCGGCTTGCTGAAGCGCGCACGGCAAGAGGCGAGGGGCGGCGACTGGTGAGTACGCCAAAAATTTTGACTAGCGGAGGCTAGAAGGAGAGAGATGGGTGCGAGAGCGTCAGTATTAAGCGGGGGAGAATTAGATCGCGATGGGAAAAAATTCGGTTAAGGCCAGGGGGAAAGAAAAAATATAAATTAAAACATATAGTATGGGCAAGCAGGGAGCTAGAACGATTCGCAGTTAATCCTGGCCTGTTAGAAACATCAGAAGGCTGTAGACAAATACTGGGACAGCTACAACCATCCCTTCAGACAGGATCAGAAGAACTTAGATCATTATATAATACAGTAGCAACCCTCTATTGTGTGCATCAAAGGATAGAGATAAAAGACACCAAGGAAGCTTTAGACAAGATAGAGGAAGAGCAAAACAAAAGTAAGACCACCGCACAGCAAGCCGCCGCTGATCTTCAGACCTGGAGGAGGAGATATGAGGGACAATTGGAGAAGTGAATTATATAAATATAAAGTAGTAAAAATTGAACCATTAGGAGTAGCACCCACCAAGGCAAAGAGAAGAGTGGTGCAGAGAGAAAAAAGAGCAGTGGGAATAGGAGCTTTGTTCCTTGGGTTCTTGGGAGCAGCAGGAAGCACTATGGGCGCAGCGTCAATGACGCTGACGGTACAGGCCAGACAATTATTGTCTGGTATAGTGCAGCAGCAGAACAATTTGCTGAGGGCTATTGAGGCGCAACAGCATCTGTTGCAACTCACAGTCTGGGGCATCAAGCAGCTCCAGGCAAGAATCCTGGCTGTGGAAAGATACCTAAAGGATCAACAGCTCCTGGGGATTTGGGGTTGCTCTGGAAAACTCATTTGCACCACTGCTGTGCCTTGGAATGCTAGTTGGAGTAATAAATCTCTGGAACAGATTTGGAATCACACGACCTGGATGGAGTGGGACAGAGAAATTAACAATTACACAAGCTTAATACACTCCTTAATTGAAGAATCGCAAAACCAGCAAGAAAAGAATGAACAAGAATTATTGGAATTAGATAAATGGGCAAGTTTGTGGAATTGGTTTAACATAACAAATTGGCTGTGGTATATAAAATTATTCATAATGATAGTAGGAGGCTTGGTAGGTTTAAGAATAGTTTTTGCTGTACTTTCTATAGTGAATAGAGTTAGGCAGGGATATTCACCATTATCGTTTCAGACCCACCTCCCAACCCCGAGGGGACCCGACAGGCCCGAAGGAATAGAAGAAGAAGGTGGAGAGAGAGACAGAGACAGATCCATTCGATTAGTGAACGGATCTCGACGGTATCGGTTAACTTTTAAAAGAAAAGGGGGGATTGGGGGGTACAGTGCAGGGGAAAGAATAGTAGACATAATAGCAACAGACATACAAACTAAAGAATTACAAAAACAAATTACAAAATTCAAAATTTTATCGCGATCGCGGAATGAAAGACCCCACCTGTAGGTTTGGCAAGCTAGCTTAAGTAACGCCATTTTGCAAGGCATGGAAAATACATAACTGAGAATAGAGAAGTTCAGATCAAGGTTAGGAACAGAGAGACAGCAGAATATGGGCCAAACAGGATATCTGTGGTAAGCAGTTCCTGCCCCGGCTCAGGGCCAAGAACAGATGGTCCCCAGATGCGGTCCCGCCCTCAGCAGTTTCTAGAGAACCATCAGATGTTTCCAGGGTGCCCCAAGGACCTGAAAATGACCCTGTGCCTTATTTGAACTAACCAATCAGTTCGCTTCTCGCTTCTGTTCGCGCGCTTCTGCTCCCCGAGCTCAATAAAAGAGCCCACAACCCCTCACTCGGCGCGCCAGTCCTTCGAAGTAGATCTTTGTCGATCCTACCATCCACTCGACACACCCGCCAGCGGCCGCTGCCAAGCTTCCGAGCTCTCGAATTAATTCACGGTACCCACCATGGCCTAGGGAGACTAGTCGAATCGATATCAACCTCTGGATTACAAAATTTGTGAAAGATTGACTGGTATTCTTAACTATGTTGCTCCTTTTACGCTATGTGGATACGCTGCTTTAATGCCTTTGTATCATGCTATTGCTTCCCGTATGGCTTTCATTTTCTCCTCCTTGTATAAATCCTGGTTGCTGTCTCTTTATGAGGAGTTGTGGCCCGTTGTCAGGCAACGTGGCGTGGTGTGCACTGTGTTTGCTGACGCAACCCCCACTGGTTGGGGCATTGCCACCACCTGTCAGCTCCTTTCCGGGACTTTCGCTTTCCCCCTCCCTATTGCCACGGCGGAACTCATCGCCGCCTGCCTTGCCCGCTGCTGGACAGGGGCTCGGCTGTTGGGCACTGACAATTCCGTGGTGTTGTCGGGGAAGCTGACGTCCTTTTCATGGCTGCTCGCCTGTGTTGCCACCTGGATTCTGCGCGGGACGTCCTTCTGCTACGTCCCTTCGGCCCTCAATCCAGCGGACCTTCCTTCCCGCGGCCTGCTGCCGGCTCTGCGGCCTCTTCCGCGTCTTCGCCTTCGCCCTCAGACGAGTCGGATCTCCCTTTGGGCCGCCTCCCCGCCTGGTTAATTAAAGTACCTTTAAGACCAATGACTTACAAGGCAGCTGTAGATCTTAGCCACTTTTTAAAAGAAAAGGGGGGACTGGAAGGGCGAATTCACTCCCAACGAAGACAAGATCTGCTTTTTGCTTGTACTGGGTCTCTCTGGTTAGACCAGATCTGAGCCTGGGAGCTCTCTGGCTAACTAGGGAACCCACTGCTTAAGCCTCAATAAAGCTTGCCTTGAGTGCTTCAAGTAGTGTGTGCCCGTCTGTTGTGTGACTCTGGTAACTAGAGATCCCTCAGACCCTTTTAGTCAGTGTGGAAAATCTCTAGCAGGCATGCCAGACATGATAAGATACATTGATGAGTTTGGACAAACCACAACTAGAATGCAGTGAAAAAAATGCTTTATTTGTGAAATTTGTGATGCTATTGCTTTATTTGTAACCATTATAAGCTGCAATAAACAAGTTAACAACAACAATTGCATTCATTTTATGTTTCAGGTTCAGGGGGAGGTGTGGGAGGTTTTTTGGCGCGCCATCGTCGAGGTTCCCTTTAGTGAGGGTTAATTGCGAGCTTGGCGTAATCATGGTCATAGCTGTTTCCTGTGTGAAATTGTTATCCGCTCACAATTCCACACAACATACGAGCCGGAAGCATAAAGTGTAAAGCCTGGGGTGCCTAATGAGTGAGCTAACTCACATTAATTGCGTTGCGCTCACTGCCCGCTTTCCAGTCGGGAAACCTGTCGTGCCAGCTGCATTAATGAATCGGCCAACGCGCGGGGAGAGGCGGTTTGCGTATTGGGCGCTCTTCCGCTTCCTCGCTCACTGACTCGCTGCGCTCGGTCGTTCGGCTGCGGCGAGCGGTATCAGCTCACTCAAAGGCGGTAATACGGTTATCCACAGAATCAGGGGATAACGCAGGAAAGAACATGTGAGCAAAAGGCCAGCAAAAGGCCAGGAACCGTAAAAAGGCCGCGTTGCTGGCGTTTTTCCATAGGCTCCGCCCCCCTGACGAGCATCACAAAAATCGACGCTCAAGTCAGAGGTGGCGAAACCCGACAGGACTATAAAGATACCAGGCGTTTCCCCCTGGAA
GCTCCCTCGTGCGCTCTCCTGTTCCGACCCTGCCGCTTACCGGATACCTGTCCGCCTTTCTCCCTTCGGGAAGCGTGGCGCTTTCTCATAGCTCACGCTGTAGGTATCTCAGTTCGGTGTAGGTCGTTCGCTCCAAGCTGGGCTGTGTGCACGAACCCCCCGTTCAGCCCGACCGCTGCGCCTTATCCGGTAACTATCGTCTTGAGTCCAACCCGGTAAGACACGACTTATCGCCACTGGCAGCAGCCACTGGTAACAGGATTAGCAGAGCGAGGTATGTAGGCGGTGCTACAGAGTTCTTGAAGTGGTGGCCTAACTACGGCTACACTAGAAGAACAGTATTTGGTATCTGCGCTCTGCTGAAGCCAGTTACCTTCGGAAAAAGAGTTGGTAGCTCTTGATCCGGCAAACAAACCACCGCTGGTAGCGGTGGTTTTTTTGTTTGCAAGCAGCAGATTACGCGCAGAAAAAAAGGATCTCAAGAAGATCCTTTGATCTTTTCTACGGGGTCTGACGCTCAGTGGAACGAAAACTCACGTTAAGGGATTTTGGTCATGAGATTATCAAAAAGGATCTTCACCTAGATCCTTTTAAATTAAAAATGAAGTTTTAAATCAATCTAAAGTATATATGAGTAAACTTGGTCTGACAGTTACCAATGCTTAATCAGTGAGGCACCTATCTCAGCGATCTGTCTATTTCGTTCATCCATAGTTGCCTGACTCCCCGTCGTGTAGATAACTACGATACGGGAGGGCTTACCATCTGGCCCCAGTGCTGCAATGATACCGCGAGACCCACGCTCACCGGCTCCAGATTTATCAGCAATAAACCAGCCAGCCGGAAGGGCCGAGCGCAGAAGTGGTCCTGCAACTTTATCCGCCTCCATCCAGTCTATTAATTGTTGCCGGGAAGCTAGAGTAAGTAGTTCGCCAGTTAATAGTTTGCGCAACGTTGTTGCCATTGCTACAGGCATCGTGGTGTCACGCTCGTCGTTTGGTATGGCTTCATTCAGCTCCGGTTCCCAACGATCAAGGCGAGTTACATGATCCCCCATGTTGTGCAAAAAAGCGGTTAGCTCCTTCGGTCCTCCGATCGTTGTCAGAAGTAAGTTGGCCGCAGTGTTATCACTCATGGTTATGGCAGCACTGCATAATTCTCTTACTGTCATGCCATCCGTAAGATGCTTTTCTGTGACTGGTGAGTACTCAACCAAGTCATTCTGAGAATAGTGTATGCGGCGACCGAGTTGCTCTTGCCCGGCGTCAATACGGGATAATACCGCGCCACATAGCAGAACTTTAAAAGTGCTCATCATTGGAAAACGTTCTTCGGGGCGAAAACTCTCAAGGATCTTACCGCTGTTGAGATCCAGTTCGATGTAACCCACTCGTGCACCCAACTGATCTTCAGCATCTTTTACTTTCACCAGCGTTTCTGGGTGAGCAAAAACAGGAAGGCAAAATGCCGCAAAAAAGGGAATAAGGGCGACACGGAAATGTTGAATACTCATACTCTTCCTTTTTCAATATTATTGAAGCATTTATCAGGGTTATTGTCTCATGAGCGGATACATATTTGAATGTATTTAGAAAAATAAACAAATAGGGGTTCCGCGCACATTTCCCCGAAAAGTGCCAC(配列番号95)
【0092】
好適な追加の例となるベクターには、たとえば、pBABE-puro、pBABE-ネオラージTcDNA、pBABE-ハイグロ-hTERT、pMKO.1GFP、MSCV-IRES-GFP、pMSCV PIG(Puro IRES GFP空プラスミド)、pMSCV-loxp-dsRed-loxp-eGFP-Puro-WPRE、MSCV IRESルシフェラーゼ、pMIG、MDH1-PGK-GFP_2.0、TtRMPVIR、pMSCV-IRES-mCherry FP、pRetroX GFP T2A Cre、pRXTN、pLncEXP、及びpLXIN-Lucが挙げられる。
【0093】
一部の実施形態では、操作される免疫細胞は、T細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、NK細胞、TCR発現細胞、樹状細胞、又はNK-T細胞である。一部の実施形態では、細胞は末梢血から得られる、又は調製される。一部の実施形態では、細胞は末梢血単核細胞(PBMC)から得られる、又は調製される。一部の実施形態では、細胞は骨髄から得られる、又は調製される。一部の実施形態では、細胞は臍帯血から得られる、又は調製される。一部の実施形態では、細胞はヒトの細胞である。一部の実施形態では、細胞は、エレクトロポレーション、ソノポレーション、微粒子銃(たとえば、遺伝子銃)、脂質形質移入、ポリマー形質移入、ナノ粒子、又はポリプレックスから成る群から選択される方法を用いて核酸ベクターによって形質移入される、又は形質導入される。
【0094】
一部の実施形態では、キメラ抗原受容体は本出願の核酸を含む操作された免疫細胞で発現される。本出願のこれらのキメラ抗原受容体は、一部の実施形態では、(i)抗原結合分子(たとえば、scFv)と、(ii)膜貫通領域と、(iii)T細胞活性化の分子又は領域とを含んでもよい。
【0095】
抗原結合分子
抗原結合分子は本発明の範囲の中にある。
【0096】
「抗原結合分子」は本明細書で使用されるとき、特定の標的抗原を結合する任意のタンパク質を意味する。本出願では、特定の標的抗原はFLT3タンパク質又はその断片である。抗原結合分子には、抗体、及び、たとえば、免疫機能性の断片のようなその結合部分が挙げられるが、これらに限定されない。ペプチボディ(すなわち、ペプチド結合ドメインを含むFc融合分子)は好適な抗原結合分子のもう1つの例である。
【0097】
一部の実施形態では、抗原結合分子は腫瘍細胞上の抗原に結合する。一部の実施形態では、抗原結合分子は、過剰増殖性疾患に関与する細胞上の抗原又はウイルスもしくは細菌の抗原に結合する。特定の実施形態では、抗原結合分子はFLT3に結合する。さらなる実施形態では、抗原結合分子は、その相補性決定領域(CDR)の1以上を含む、その断片の抗体である。さらなる実施形態では、抗原結合分子は単鎖可変断片(scFv)である。
【0098】
抗原結合分子の、用語「免疫機能性の断片」(又は「断片」)は、完全長の鎖に存在するアミノ酸の少なくとも一部を欠いているが、依然として抗原に特異的に結合することができる抗体の一部(その部分がどのように得られるか又は合成されるかにかかわりなく)を含む抗原結合分子の種である。そのような断片は、それが標的抗原に結合し、且つ所与のエピトープへの結合についてインタクトな抗体を含む他の抗原結合分子と競合することができるという点で生物学的に活性がある。一部の実施形態では、断片は中和断片である。一部の実施形態では、断片はFLT3の活性を阻止する又は低減することができる。態様の1つでは、そのような断片は完全長の軽鎖又は重鎖に存在する少なくとも1つのCDRを保持し、一部の実施形態では、単一の重鎖及び/又は軽鎖又はその一部を含むであろう。これらの断片は、組換えDNA法によって作製することができ、又はインタクトな抗体を含む抗原結合分子の酵素的又は化学的な切断によって作製することができる。
【0099】
免疫機能性の免疫グロブリンの断片には、scFv断片、Fab断片(Fab’、F(ab’)等)、1以上のCDR、ダイアボディ(同一鎖における2つのドメイン間で対合できるには短すぎる短いペプチドリンカーを介して接続された軽鎖可変ドメインと同じポリペプチドにおける重鎖可変ドメイン)、ドメイン抗体、及び単鎖抗体が挙げられるが、これらに限定されない。これらの断片は、ヒト、マウス、ラット、ラクダ又はウサギを含むが、これらに限定されない任意の哺乳類供給源に由来することができる。当業者によって十分に理解されるように、抗原結合分子は非タンパク質成分を含むことができる。
【0100】
抗原結合分子の変異体、たとえば、本明細書に記載されている配列のアミノ酸配列に対して、それぞれ少なくとも70~80%、80~85%、85~90%、90~95%、95~97%、97~99%又は99%を超える同一性を有する可変軽鎖及び/又は可変重鎖も本発明の範囲内にある。一部の例では、そのような分子は少なくとも1つの重鎖と1つの軽鎖を含むのに対して、他の例では、変異体形態は2つの同一の軽鎖及び2つの同一の重鎖(又はその下位区分)を含有する。当業者は周知の技法を用いて本明細書に記述されている抗原結合分子の好適な変異体を決定することができるであろう。特定の実施形態では、当業者は、活性に重要ではないと考えられる領域を標的にすることによって活性を破壊することなく変化させてもよい分子の好適な領域を特定することができる。
【0101】
特定の実施形態では、抗原結合分子のポリペプチド構造は、モノクローナル抗体、二重特異性抗体、ミニボディ、ドメイン抗体、合成抗体(本明細書では「抗体模倣体」と呼ばれることがある)、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、抗体融合物(本明細書では「抗体コンジュゲート」と呼ばれることがある)、及びそれぞれその断片を含むが、これらに限定されない抗体に基づく。一部の実施形態では、抗原結合分子はアビマーを含む、又はアビマーから成る。
【0102】
一部の実施形態では、FLT3に対する抗原結合分子は単独で投与される。他の実施形態では、FLT3に対する抗原結合分子はCAR、TCR又は他の免疫細胞の一部として投与される。そのような免疫細胞では、FLT3に対する抗原結合分子は同じプロモータ領域又は別々のプロモータの制御下にあることができる。特定の実施形態では、FLT3に対するタンパク質作用物質及び/又は抗原結合分子をコードする遺伝子は別々のベクターにあることができる。
【0103】
本発明はさらに、薬学上許容できる希釈剤、キャリア、可溶化剤、乳化剤、保存剤及び/又は補助剤と一緒にFLT3に対する抗原結合分子を含む医薬組成物を提供する。特定の実施形態では、医薬組成物はFLT3に対する1を超える異なる抗原結合分子を含むであろう。特定の実施形態では、医薬組成物は、FLT3に対する抗原結合分子が1を超えるエピトープを結合する、FLT3に対する1を超える抗原結合分子を含むであろう。一部の実施形態では、種々の抗原結合分子はFLT3への結合について互いに競合しないであろう。
【0104】
他の実施形態では、医薬組成物は、非経口送達について、吸入について、又は経口のような消化管を介した送達について選択されることができる。そのような薬学上許容できる組成物の調製は当業者の能力の範囲内である。特定の実施形態では、緩衝液を用いて生理的なpH又はやや低いpH、通常、約5から約8に及ぶpH範囲の中で組成物を維持する。特定の実施形態では、非経口投与が熟考される場合、治療用組成物は、追加の治療剤の有無にかかわりなく、薬学上許容できる溶剤にてFLT3に対する所望の抗原結合分子を含む、発熱物質を含まない、非経口で許容できる水溶液の形態であることができる。特定の実施形態では、非経口注入のための溶剤は、少なくとも1つの追加の治療剤の有無にかかわりなくFLT3に対する抗原結合分子が適正に保存された無菌の等張溶液として製剤化されている無菌の蒸留水である。特定の実施形態では、製剤には、所望の分子の、デポー注射を介して送達することができる製品の制御放出又は持続放出を提供することができるポリマー化合物(ポリ乳酸又はポリグリコール酸など)、ビーズ、又はリポソームとの製剤化が関与することができる。特定の実施形態では、埋め込みできる薬剤送達用具を用いて所望の分子を導入することができる。
【0105】
一部の実施形態では、抗原結合分子は診断ツール又は検証ツールとして使用される。抗原結合分子を用いて試料及び/又は対象に存在するFLT3の量をアッセイすることができる。一部の実施形態では、診断用の抗原結合分子は中和性ではない。一部の実施形態では、本明細書で開示されている抗原結合分子は、FLT3のレベルの変化に関連する疾患又は障害をスクリーニング/診断するために、哺乳類の組織又は細胞でFLT3を検出するためのアッセイキット及び/又は方法で使用される又は提供される。キットは、存在するならばFLT3との抗原結合分子の結合、及び任意でFLT3タンパク質のレベルを示す手段と共にFLT3を結合する抗原結合分子を含むことができる。
【0106】
抗原結合分子は以下の定義及び記載を考慮してさらに理解されるであろう。
【0107】
「Fc」領域は抗体のCH1ドメイン及びCH2ドメインを含む2つの重鎖断片を含む。2つの重鎖断片は2以上のジスルフィド結合によって及びCH3ドメインの疎水性相互作用によって一緒に保持される。
【0108】
「Fab」断片は1つの軽鎖と1つの重鎖のCH1領域と可変領域とを含む。Fab分子の重鎖は別の重鎖分子とジスルフィド結合を形成することができない。「Fab’断片」は1つの軽鎖と、VHドメイン及びCH1ドメイン及びCH1ドメインとCH2ドメインとの間の領域も含有する1つの重鎖の一部とを含むので、2つのFab’断片の2つの重鎖間で鎖間ジスルフィド結合が形成されてF(ab’)分子を形成することができる。「F(ab’)断片」は、2つの軽鎖とCH1ドメインとCH2ドメインとの間の定常領域の一部を含有する2つの重鎖を含有するので、2つの重鎖間で鎖間ジスルフィド結合が形成される。従って、F(ab’)断片は2つの重鎖間のジスルフィド結合によって一緒に保持される2つのFab’断片で構成される。
【0109】
「Fv領域」は重鎖及び軽鎖の双方に由来する可変領域を含むが、定常領域を欠いている。
【0110】
「単鎖可変断片」(「scFv」、「単鎖抗体」とも呼ばれる)は、重鎖及び軽鎖の可変領域が柔軟なリンカーで接続されて、抗原結合領域を形成する単一のポリペプチド鎖を形成するFv分子を指す。その開示が全体で参照によって組み入れられるPCT出願WO88/01649及び米国特許第4,946,778号及び同第5,260,203号を参照のこと。
【0111】
「二価の抗原結合分子」は2つの抗原結合部位を含む。場合によっては、2つの結合部位は同一の抗原特異性を有する。二価の抗原結合分子は二重特異性であることができる。「多重特異的な抗原結合分子」は1を超える抗原又はエピトープを標的とするものである。「二重特異性」、「二重の特異性」又は「二官能性」の抗原結合分子は、2つの異なる抗原結合部位を有する、それぞれハイブリッドの抗原結合分子又は抗体である。二重特異性抗原結合分子の2つの結合部位は、同一の又は異なるタンパク質標的に存在することができる2つの異なるエピトープに結合するであろう。
【0112】
抗原結合分子は、解離定数(K)が約1×10-7Mである場合、その標的抗原を「特異的に結合する」と言われる。抗原結合分子は、Kが1~5×10-9Mである場合、「高親和性」で、及びKが1~5×10-10Mである場合、「非常に高い親和性」で抗原を特異的に結合する。一実施形態では、抗原結合分子は10-9MのKを有する。一実施形態では、オフ速度は<1×10-5である。他の実施形態では、抗原結合分子は約10-7M~10-13Mの間のKでヒトFLT3に結合するであろうし、さらに別の実施形態では、抗原結合分子はK1.0~5×10-10で結合するであろう。
【0113】
抗原結合分子は、それが第2の標的に結合するよりも強固に1つの標的に結合する場合、「選択的」であると言われる。
【0114】
用語「抗体」は、任意のアイソタイプのインタクトな免疫グロブリン、又は標的抗原との特異的な結合についてインタクトな抗体と競合することができるその断片を指し、それには、たとえば、キメラ抗体、ヒト化抗体、完全にヒト抗体、及び二重特異性抗体が含まれる。「抗体」は本明細書で定義されているような抗原結合分子の一種である。インタクトな抗体は一般に少なくとも2つの完全長の重鎖と2つの完全長の軽鎖とを含むであろうが、場合によっては、重鎖しか含むことができないラクダにおいて天然に存在する抗体のような少ない鎖を含むことができる。抗体は、単に単一の供給源に由来することができ、又はキメラであることができ、すなわち、抗体の異なる部分が以下でさらに記載されているように2つの異なる抗体に由来することができる。抗原結合分子、抗体、又は結合断片は、ハイブリドーマにて、組換えDNA法によって、又はインタクトな抗体の酵素切断もしくは化学切断によって作製することができる。指示されない限り、用語「抗体」には、2つの完全長の重鎖と2つの完全長の軽鎖とを含む抗体に加えて、その例が以下に記載されている、その誘導体、変異体、断片及び突然変異タンパク質が含まれる。さらに、明白に除外されない限り、抗体には、モノクローナル抗体、二重特異性抗体、ミニボディ、ドメイン抗体、合成抗体(本明細書では「抗体模倣体」と呼ばれることがある)、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、抗体融合物(本明細書では「抗体コンジュゲート」と呼ばれることがある)及びそれぞれそれらの断片が含まれる。
【0115】
可変領域は通常、3つの超可変領域(すなわち、CDR)によって接合された相対的に保存されたフレームワーク領域(FR)の同じ一般構造を示す。各対の2つの鎖に由来するCDRは通常、フレームワーク領域によって並べられ、特異的なエピトープへの結合を可能にすることができる。N末端からC末端に、軽鎖及び重鎖の可変領域は双方とも、通常、ドメインFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3及びFR4を含む。慣例により、重鎖におけるCDRは通常、HC CDR1、CDR2及びCDR3と呼ばれる。軽鎖におけるCDRは通常、LC CDR1、CDR2及びCDR3と呼ばれる。各ドメインへのアミノ酸の割り当ては通常Kabat(Seqs of Proteins of Immunological Interest(NIH,Bethesda,MD(1987及び1991))、又はChothia(J.Mol.Biol.,196:901-917(1987);Chothia,et al.,Nature,342:878-883(1989))の定義に従う。Kabat又はChothiaだけでなく、AbMの定義も含めて種々の解析方法を採用してCDR領域を特定する又は概算することができる。
【0116】
用語「軽鎖」には、完全長の軽鎖及び結合特異性を付与するのに十分な可変領域配列を有するその断片が含まれる。完全長の軽鎖には、可変領域ドメイン、Vと定常領域ドメイン、Cとが含まれる。軽鎖の可変領域ドメインはポリペプチドのアミノ末端である。軽鎖にはカッパ鎖及びラムダ鎖が含まれる。
【0117】
用語「重鎖」には、完全長の重鎖及び結合特異性を付与するのに十分な可変領域配列を有するその断片が含まれる。完全長の重鎖には、可変領域ドメイン、Vと3つの定常領域ドメイン、CH1、CH2及びCH3とが含まれる。Vドメインはポリペプチドのアミノ末端にあり、Cドメインはカルボキシル末端にあり、CH3がポリペプチドのカルボキシ末端に最も近い。重鎖は、IgG(IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4亜型を含む)、IgA(IgA1及びIgA2亜型を含む)、IgM及びIgEを含む任意のアイソタイプのものであることができる。
【0118】
用語「可変領域」又は「可変ドメイン」は、通常、重鎖におけるアミノ末端のおよそ120~130アミノ酸及び軽鎖における約100~110のアミノ末端のアミノ酸を含む抗体の軽鎖及び/又は重鎖の一部を指す。抗体の可変領域は通常、その標的に対する特定の抗体の特異性を決定する。
【0119】
可変性は抗体の可変ドメイン全体にわたって均一に分布するわけではなく;それは重鎖及び軽鎖の可変領域のそれぞれのサブドメインにて集中する。これらのサブドメインは「超可変領域」又は「相補性決定領域」(CDR)と呼ばれる。可変ドメインのさらに保存された(すなわち、超可変ではない)部分は「フレームワーク」領域(FRM又はFR)と呼ばれ、三次元空間で6つのCDRのために足場を提供して抗原結合面を形成する。天然に存在する重鎖及び軽鎖の可変ドメインはそれぞれ、ループ接続を形成する、場合によっては、ある程度βシート構造を形成する3つの超可変領域によって接続され、大部分βシート構造を採用する4つのFRM領域(FR1、FR2、FR3及びFR4)を含む。各鎖における超可変領域はFRMによってごく接近して一緒に保持され、他の鎖に由来する超可変領域とともに抗原結合部位の形成に寄与する(Kabat,et al.,loc.cit.を参照のこと)。
【0120】
用語「CDR」及びその複数形「CDRs」は、その3つが軽鎖可変領域の結合特性を作り出し(CDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3)、且つその3つが重鎖可変領域の結合特性を作り出す(CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3)相補性決定領域を指す。CDRは抗体の抗原との特異的な相互作用に関与する残基のほとんどを含有するので、抗体分子の機能的な活性に寄与し;それらは抗原特異性の主要な決定基である。
【0121】
正確な定義のCDRの境界及び長さは様々な分類及び番号付け方式の影響下にある。従って、CDRは、本明細書に記載されている番号付け方式を含めて、Kabat、Chothia、contact又は他の任意の境界の定義によって言及されてもよい。異なる境界にもかかわらず、これらの方式のそれぞれは、可変配列の範囲内でいわゆる「超可変領域」を構成するものにおいてある程度の重複を有する。従って、これらの方式に係るCDRの定義は隣接するフレームワーク領域に関して長さ及び境界で異なってもよい。たとえば、Kabat(異種間の配列可変性に基づくアプローチ)、Chothia(抗原・抗体複合体の結晶学的研究に基づくアプローチ)、及び/又はMacCallum(Kabat,et al.,loc.cit.;Chothia,et al.,J.MoI.Biol,1987,196:901-917;及びMacCallum,et al.,J.MoI.Biol,1996,262:732)を参照のこと。抗原結合部位を特徴付けるためのさらに別の基準はOxfordの分子のAbM抗体モデル化ソフトウエアによって使用されるAbM定義である。たとえば、抗体可変ドメインのタンパク質配列及び構造解析In:Antibody Engineering Lab Manual(Ed.:Duebel,S.及びKontermann,R.,Springer-Verlag,Heidelberg)を参照のこと。2つの残基の特定法が、重複するが、同一領域ではない領域を定義する程度に、それらを組み合わせてハイブリッドCDRを定義することができる。しかしながら、いわゆるKabat方式に従った番号付けが好まれる。
【0122】
通常、CDRはカノニカル構造として分類することができるループ構造を形成する。用語「カノニカル構造」は抗原結合(CDR)ループによって導入される主要な鎖構造を指す。比較構造試験から、6つの抗原結合ループのうち5つは利用できる構造の限定されたレパトアしか有さないことが見いだされている。各カノニカル構造はポリペプチド主鎖のねじれ角を特徴とすることができる。従って、ループのほとんどの部分における高度なアミノ酸配列可変性にもかかわらず、抗体間の対応するループは非常に類似する三次元構造を有してもよい(Chothia及びLesk,J.MoI.Biol.,1987,196:901;Chothia,et al.,Nature,1989,342:877;Martin及びThornton,J.MoI.Biol,1996,263:800)。さらに、導入されたループ構造とそれを取り囲むアミノ酸配列との間には関係性がある。特定のカノニカルクラスの構造は、ループの長さ、ならびにループ内の、及び保存されたフレームワーク内の(すなわち、ループの外側の)重要な位置に存在するアミノ酸残基によって決定される。従って、特定のカノニカルクラスへの割り当てはこれらの重要なアミノ酸残基の存在に基づいて行うことができる。
【0123】
用語「カノニカル構造」は、たとえば、Kabat(Kabat,et al.,loc.cit)によって分類されたように、抗体の線形構造に関する考慮も含んでもよい。Kabatの番号付けスキーム(方式)は、一貫した方法で抗体可変ドメインのアミノ酸残基に番号付けする広く導入されている標準であり、本明細書のどこかでも言及されているように本発明に適用される好まれるスキームである。追加の構造的な考慮を用いて抗体のカノニカル構造を決定することもできる。たとえば、Kabatの番号付けによって完全には反映されないそれらの差異はChothiaらの番号付け方式によって記載され、及び/又は、他の技術、たとえば、結晶学及び二次元もしくは三次元のコンピュータモデル化によって明らかにすることができる。従って、所与の抗体配列は、とりわけ、適当なシャーシ配列を特定するのを可能にするカノニカルクラスに入れられてもよい(たとえば、ライブラリにて種々のカノニカル構造を含む願望に基づいて)。抗体のアミノ酸配列のKabatの番号付け及びChothiaら、loc.cit.によって記載されたような構造的な考慮、及び抗体構造のカノニカル態様を解釈するためのそれらの関連事項は文献に記載されている。免疫グロブリンの様々なクラスのサブユニット構造及び三次元構造は当該技術で周知である。抗体構造の概説については、Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,eds.Harlow,et al.,1988を参照のこと。
【0124】
軽鎖のCDR3及び特に重鎖のCDR3は、軽鎖及び重鎖の可変領域内での抗原結合における最も重要な決定基を構成することができる。一部の抗体構築物では、重鎖CDR3は抗原と抗体との間での接触の主要な領域を構成すると思われる。CDR3のみが変化する試験管内の選択スキームを用いて抗体の結合特性を変える、又はどの残基が抗原の結合に寄与するのかを決定することができる。従って、CDR3は通常、抗体結合部位内での分子多様性の最大の供給源である。H3は、たとえば、2つのアミノ酸残基くらい短い、又は26を超えるアミノ酸であることができる。
【0125】
用語「中和」は、抗原結合分子、scFv、又は抗体がそれぞれ、リガンドに結合し、そのリガンドの生物効果を妨げる又は低下させることを指す。これは、たとえば、リガンド上の結合部位を直接遮断すること、又はリガンドに結合し、間接的な手段(たとえば、リガンドにおける構造的な又はエネルギー的な変化)を介して結合するリガンドの能力を変えることによって行うことができる。一部の実施形態では、用語は、それが結合するタンパク質が生物機能を実施するのを妨げる抗原結合分子も意味することができる。
【0126】
用語「標的」又は「抗原」は、抗原結合分子が結合することができる分子又は分子の一部を指す。特定の実施形態では、標的は1以上のエピトープを有することができる。
【0127】
用語「競合する」は同一エピトープについて競合する抗原結合分子の文脈で使用されるとき、調べられている抗原結合分子(たとえば、抗体、又は免疫機能性のその断片)が参照の抗原結合分子の抗原への特異的な結合を妨げる又は阻害する(たとえば、減らす)アッセイによって判定されるような抗原結合分子間の競合を意味する。多数の種類の競合結合アッセイ、たとえば、固相直接又は間接放射線免疫アッセイ(RIA)、固相直接又は間接酵素免疫アッセイ(EIA)、サンドイッチ競合アッセイ(Stahli,et al.,1983,Methods in Enzymology,9:242-253);固相直接ビオチン・アビジンEIA(Kirkland,et al.,1986,J.immunol.137:3614-3619)、固相直接標識アッセイ、固相直接標識サンドイッチアッセイ(Harlow及びLane,1988,Antibodies,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Press);1-125標識用いた固相直接標識RIA(Morel,et al.,1988,Molec.Immunol.25:7-15);固相直接ビオチン・アビジンEIA(Cheung,et al.,1990,Virology,176:546-552);ならびに直接標識RIA(Moldenhauer,et al.,1990,Scand.J.Immunol.32:77-82)を用いて一方の抗原結合分子がもう1つの抗原結合分子と競合するかどうかを判定することができる。用語「エピトープ」には、たとえば、本発明のscFv、抗体又は免疫細胞のような抗原結合分子が結合することができる任意の決定基が含まれる。エピトープは、抗原を標的とする抗原結合分子によって結合されるその抗原の領域であり、抗原がタンパク質である場合、抗原結合分子と直接接触する特定のアミノ酸を含む。
【0128】
本明細書で使用されるとき、用語「標識」又は「標識される」は、たとえば、放射性標識されたアミノ酸の組込みによる、又は印を付けたアビジン(たとえば、光学法又は比色法によって検出することができる蛍光マーカー又は酵素活性を含有するストレプトアビジン)によって検出することができるビオチン部分のポリペプチドの連結による検出可能なマーカーの組込みを指す。特定の実施形態では、標識又はマーカーは治療用であることもできる。ポリペプチド及び糖タンパク質を標識する種々の方法は当該技術で既知であり、使用することができる。
【0129】
本発明によれば、オン・オフ型又は他の型の制御スイッチ法が本明細書に組み込まれてもよい。これらの技法は二量体化ドメイン及びそのようなドメイン二量体化の任意の活性化剤の使用を採用してもよい。これらの技法には、たとえば、その内容が全体で参照によって本明細書に組み入れられる、特定の細胞にてFKBP/ラパログ二量体化系を利用するWu,et al.,Science,2014,350(6258)によって記載されたものが挙げられる。追加の二量体化技術は、たとえば、その内容が全体で参照によって本明細書に組み入れられる、Fegan,et al.Chem.Rev.2010,110,3315-3336と同様に米国特許第5,830,462号、同第5,834,266号、同第5,869,337号、及び同第6,165,787号に記載されている。追加の二量体化ペアには、シクロスポリンA/サイクロフィリン、受容体、エストロゲン/エストロゲン受容体(任意でタモキシフェンを用いた)、グルココルチコイド/グルココルチコイド受容体、テトラサイクリン/テトラサイクリン受容体、ビタミンD/ビタミンD受容体が挙げられてもよい。二量体化技術のさらなる例は、たとえば、その内容が全体で参照によって本明細書にさらに組み入れられるWO2014/127261、WO2015/090229、US2014/0286987、US2015/0266973、US2016/0046700、米国特許第8,486,693号、US2014/0171649、及びUS2012/0130076にて見いだすことができる。
【0130】
治療の方法
養子免疫療法を用いて、ネイティブのT細胞を(i)患者から取り出し、(ii)少なくとも1つの腫瘍抗原に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現するように遺伝的に操作し、(iii)操作されたT細胞の大きな集団に生体外で増殖させ、(iv)患者に再導入することができる。たとえば、米国特許第7,741,465号及び同第6,319,494号、Eshhar,et al.(Cancer Immunol,上記);Krause,et al.(上記);Finney,et al.(上記)を参照のこと。操作されたT細胞が患者に再導入された後、それらは腫瘍抗原を発現している細胞に対する免疫応答に介在する。たとえば、Krause,et al.,J.Exp.Med.,Volume,188,No.4,1998(619-626)を参照のこと。この免疫応答には、T細胞によるIL-2及び他のサイトカインの分泌、腫瘍抗原を認識するT細胞のクローン増殖、及び標的-陽性細胞のT細胞が介在する特異的な殺傷が挙げられる。Hombach,et al.,Journal of Immun.167:6123-6131(2001)を参照のこと。
【0131】
一部の態様では、従って、本発明は、望ましくない及び/又は上昇したFLT3レベルに関連する状態の治療又は予防を必要とする患者に本明細書で開示されている有効量の少なくとも1つの単離された抗原結合分子、CAR又はTCRを投与することを含む、患者にて望ましくない及び/又は上昇したFLT3レベルに関連する状態を治療する又は予防する方法を含む。
【0132】
がんを含む疾患又は障害を治療するために方法が提供される。一部の実施形態では、本発明は、本出願の有効量の操作された免疫細胞を対象に投与することを含む、対象にてT細胞が介在する免疫応答を作り出すことに関する。一部の実施形態では、T細胞が介在する免疫応答は標的細胞(単数)又は標的細胞(複数)に向けられる。一部の実施形態では、操作された免疫細胞はキメラ抗原受容体(CAR)又はT細胞受容体(TCR)を含む。一部の実施形態では、標的細胞は腫瘍細胞である。一部の態様では、本発明は悪性腫瘍を治療する又は予防する方法を含み、前記方法は悪性腫瘍の治療又は予防を必要とする対象に本明細書で記載されている有効量の少なくとも1つの単離された抗原結合分子を投与することを含む。一部の態様では、本発明は悪性腫瘍を治療する又は予防する方法を含み、前記方法は悪性腫瘍の治療又は予防を必要とする対象に有効量の少なくとも1つの免疫細胞を投与することを含み、その際、免疫細胞は、本明細書に記載されているような少なくとも1つのキメラ抗原受容体、T細胞受容体、及び/又は単離された抗原結合分子を含む。
【0133】
一部の態様では、本発明は、本明細書に記載されているような少なくとも1つの抗原結合分子と薬学上許容できる賦形剤とを含む医薬組成物を含む。一部の実施形態では、医薬組成物はさらに追加の活性剤を含む。
【0134】
本発明の抗原結合分子、CAR、TCR、免疫細胞等は、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、若年性骨髄単球性白血病、異型慢性骨髄性白血病、急性前骨髄球性白血病(APL)、急性単芽球性白血病、急性赤白血病、急性巨核球芽性白血病、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄増殖性疾患、骨髄性腫瘍、骨髄性肉腫、又はそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない骨髄性疾患を治療するのに使用することができる。追加の疾患には、たとえば、関節リウマチ、乾癬、アレルギー、喘息、クローン病、IBD、IBS、線維筋痛、肥満細胞症及びセリアック病のような炎症性疾患及び/又は自己免疫性疾患が挙げられる。
【0135】
CAR/CAR-T/TCR細胞についての標的用量は好ましくは1×10~2×1010個の細胞/kg、さらに好ましくは2×10個の細胞/kgに及び得ることが十分に理解されるであろう。この範囲を上回る及び下回る用量が特定の対象に適当であってもよいことが十分に理解されるであろうし、適当な用量レベルは必要に応じて医療介護提供者によって決定され得る。さらに、本発明に従って細胞の複数回用量を提供することができる。
【0136】
提供されるのはまた、対象に本発明の操作された細胞を投与することを含む、対象にて腫瘍のサイズを小さくする方法であり、その際、細胞はキメラ抗原受容体、T細胞受容体を含み、又は抗原結合分子を含むキメラ抗原受容体に基づくT細胞受容体は腫瘍上の抗原に結合する。一部の実施形態では、対象は固形腫瘍、又はリンパ腫もしくは白血病のような血液悪性腫瘍を有する。一部の実施形態では、操作された細胞は腫瘍床に送達される。一部の実施形態では、がんは対象の骨髄に存在する。
【0137】
一部の実施形態では、操作された細胞は自己T細胞である。一部の実施形態では、操作された細胞は同種T細胞である。一部の実施形態では、操作された細胞は異種T細胞である。一部の実施形態では、本出願の操作された細胞は生体内で形質移入される又は形質導入される。他の実施形態では、操作された細胞は生体外で形質移入される又は形質導入される。
【0138】
方法はさらに1以上の化学療法剤を投与することを含む。特定の実施形態では、化学療法剤はリンパ球枯渇(条件付け)化学療法剤である。相関関係にある有益な生体マーカーと共に有益な前条件付け治療計画は、その全体が参照によって本明細書に組み入れられる米国仮特許出願62/262,143及び62/167,750に記載されている。これらは、たとえば、患者に特定の有益な用量のサイクロホスファミド(200mg/m/日~2000mg/m/日の間)及び特定の用量のフルダラビン(20mg/m/日~900mg/m/日)を投与することを含むT細胞療法を必要とする患者を適当な状態にする方法を記載している。好まれる投薬計画には、治療上有効な量の操作されたT細胞の患者への投与に先立って、約500mg/m/日のサイクロホスファミドと約60mg/m/日のフルダラビンを毎日3日間患者に投与することを含む患者を治療することが関与する。
【0139】
他の実施形態では、抗原結合分子、形質導入した(又はさもなければ、操作した)細胞(たとえば、CAR又はTCR)及び化学療法剤をそれぞれ有効量で投与して対象における疾患又は状態を治療する。
【0140】
特定の実施形態では、本明細書で開示されているCARを発現している免疫エフェクター細胞を含む組成物は任意の数の化学療法剤との併用で投与されてもよい。化学療法剤の例には、たとえば、チオテパ及びサイクロホスファミド(CYTOXAN(商標))のようなアルキル化剤;たとえば、ブスルファン、イムプロスルファン及びピポスルファンのようなアルキルスルホネート;たとえば、ベンゾドパ、カルボクオン、メツレドパ、及びウレドパのようなアジリジン;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミド及びトリメチルオロメラミンレジュメを含むエチレンイミン及びメチラメラミン;たとえば、クロラムブシル、クロロナファジン、コロホスファミド、エストラムスチン、イフォスファミド、メクロレタミン、酸化メクロレタミン塩酸塩、メルファラン、ノベムビチン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタードのようなナイトロジェンマスタード;たとえば、カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチンのようなニトロソウレア;たとえば、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、アウトラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カリケアミシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、プロマイシン、クエラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメックス、ジノスタチン、ゾルビシンのような抗生剤;たとえば、メソトレキセート及び5-フルオロウラシル(5-FU)のような代謝拮抗剤;たとえば、デノプテリン、メソトレキセート、プテロプテリン、トリメトレキセートのような葉酸類似体;たとえば、フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンのようなプリン類似体;たとえば、アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン、5-FUのようなピリミジン類似体;たとえば、カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトンのようなアンドロゲン;たとえば、アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタンのような抗副腎剤;たとえば、フォリン酸のような葉酸補充剤;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキセート;デフォファミン;デメコルシン;ジアジクオン;エルフォルミチン;酢酸エリプチニウム;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標);ラゾキサン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジクオン;2,2’,2’’-トリクロロトリエチルアミン;ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara-C」);サイクロホスファミド;チオテパ;タキソイド、たとえば、パクリタキセル(TAXOL(商標)、Bristol-Myers Squibb)及びドキセタキセル(TAXOTERE(登録商標)、Rhone-Poulenc Rorer);クロラムブシル;ゲムシタビン;6-チオグアニン;メルカプトプリン;メソトレキセート;たとえば、シスプラチン及びカルボプラチンのような白金類似体;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP-16);イフォスファミド;マイトマイシンC;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ナベルビン;ノバントロン;テニポシド;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;CPT-11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチロミチン(DMFO);たとえば、Targretin(商標)(ベキサロテン)、Panretin(商標)、(アリトレチノイン);ONTAK(商標)(デニロイキンディフティトックス)のようなレチノイン酸誘導体;エスペラミシン;カペシタビン;ならびに上記のいずれかの薬学上許容できる塩、酸又は誘導体が挙げられる。この定義に含められるのはまた、たとえば、タモキシフェン、ラロキシフェン、アロマターゼ阻害4(5)-イミダゾール、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン、及びトレミフェン(Fareston)を含む抗エストロゲン;ならびに、たとえば、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、リュープロリド、及びゴセレリンのような抗アンドロゲン;ならびに上記のいずれかの薬学上許容できる塩、酸又は誘導体のような腫瘍に対するホルモン作用を調節する又は阻害するように作用する抗ホルモン剤である。CHOP、すなわち、サイクロホスファミド(Cytoxan(登録商標))、ドキソルビシン(ヒドロキシドキソルビシン)、ビンクリスチン(Oncovin(登録商標))、及びプレドニゾンを含むが、これらに限定されない化学療法剤の併用も適宜投与される。
【0141】
一部の実施形態では、化学療法剤は操作された細胞もしくは核酸の投与と同時に、又はその後1週間以内に投与される。他の実施形態では、化学療法剤は、操作された細胞もしくは核酸の投与の後、1~4週間又は1週間~1ヵ月、1週間~2ヵ月、1週間~3ヵ月、1週間~6ヵ月、1週間~9ヵ月、又は1週間~12ヵ月に投与される。他の実施形態では、化学療法剤は細胞又は核酸の投与の少なくとも1ヵ月前に投与される。一部の実施形態では、方法はさらに2以上の化学療法剤を投与することを含む。
【0142】
本明細書に記載されている組成物と併せて種々の追加の治療剤が使用されてもよい。たとえば、潜在的に有用な追加の治療剤には、たとえば、ニボルマブ(Opdivo(登録商標))、ペムブロリズマブ(Keytruda(登録商標))、ペムブロリズマブ、ピジリズマブ及びアテゾリズマブのようなPD-1阻害剤が挙げられる。
【0143】
本発明との併用で使用するのに好適な追加の治療剤には、イブルチニブ(Imbruvica(登録商標))、オファツムマブ(Arzerra(登録商標))、リツキシマブ(Rituxan(登録商標))、ベバシズマブ(Avastin(登録商標))、トラスツズマブ(Herceptin(登録商標))、トラスツズマブエムタンシン(KADCYLA(登録商標))、イマチニブ(Gleevec(登録商標))、セツキシマブ(Erbitux(登録商標))、パニツムマブ(Vectibix(登録商標))、カツマキソマブ、イブリツモマブ、オファツムマブ、トシツモマブ、ブレンツキシマブ、アレムツズマブ、ゲムツズマブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、バンデタニブ、アファチニブ、ラパチニブ、ネラチニブ、アキシチニブ、マシチニブ、パゾパニブ、スニチニブ、ソラフェニブ、トセラニブ、レスタウルチニブ、アキシチニブ、セジラニブ、レンバチニブ、ニンテダニブ、パゾパニブ、レゴラフェニブ、セマクサニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、チボザニブ、トセラニブ、バンデタニブ、エントレクチニブ、カボザンチニブ、イマチニブ、ダサチニブ、ニロチニブ、ポナチニブ、ラドチニブ、ボスチニブ、レスタウルチニブ、ルキソリチニブ、パクリチニブ、コビメチニブ、セルメチニブ、トラメチニブ、ビニメチニブ、アレクチニブ、セリチニブ、クリゾチニブ、アフリベルセプト、アジポチド、デニロイキンディフティトックス、たとえば、エベロリムス及びテムシロリムスのようなmTOR阻害剤、たとえば、ソニデジブ及びビスモデジブのようなヘッジホッグ阻害剤、たとえば、CDK阻害剤(パルボシクリブ)のようなCDK阻害剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0144】
追加の実施形態では、CAR含有免疫を含む組成物を抗炎症剤と共に投与することができる。抗炎症剤又は抗炎症薬には、ステロイド及びグルココルチコイド(ベタメタゾン、ブデソニド、デキサメタゾン、ハイドロコルチゾン酢酸塩、ハイドロコルチゾン、ハイドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロンを含む)、アスピリン、イブプロフェン、ナプロキセン、メソトレキセート、スルファサラジン、レフルノミド、抗TNF薬物、サイクロホスファミド及びミコフェノレートを含む非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDS)が挙げられるが、これらに限定されない。例となるNSAIDには、イブプロフェン、ナプロキセン、ナプロキセンナトリウム、Cox-2阻害剤、及びシアル酸塩が挙げられる。例となる鎮静剤には、アセトアミノフェン、オキシコドン、塩酸プロポルキシフェンのトラマドールが挙げられる。例となるグルココルチコイドには、コルチゾン、デキサメタゾン、ハイドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、又はプレドニゾンが挙げられる。例となる生物反応調節剤には、細胞表面マーカー(たとえば、CD4、CD5等)に向けられた分子、たとえば、TNF拮抗剤(たとえば、エタネルセプト(ENBREL(登録商標))、アダリムマブ(HUMIRA(登録商標))及びインフリキシマブ(REMICADE(登録商標))のようなサイトカイン阻害剤、ケモカイン阻害剤及び接着分子阻害剤が挙げられる。生物反応調節剤には、モノクローナル抗体、同様に分子の組換え形態が挙げられる。例となるDMARDには、アザチオプリン、サイクロホスファミド、シクロスポリン、メソトレキセート、ペニシラミン、レフルノミド、スルファサラジン、ヒドロキシクロロキン、ゴールド(経口(アウラノフィン)及び筋肉内)及びミノサイクリンが挙げられる。
【0145】
特定の実施形態では、本明細書に記載されている組成物はサイトカインと併せて投与される。「サイトカイン」は本明細書で使用されるとき、細胞内メディエータとして別の細胞に作用する1つの細胞集団によって放出されるタンパク質を指すことにする。サイトカインの例は、リンホカイン、モノカイン及び従来のポリペプチドホルモンである。サイトカインに含められるのは、たとえば、ヒト成長ホルモン、N-メチオニルヒト成長ホルモン、及びウシ成長ホルモンのような成長ホルモン;副甲状腺ホルモン;チロキシン;インスリン;プロインスリン;レラキシン;プロレラキシン;たとえば、卵胞刺激ホルモン(FSH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、及び黄体形成ホルモン(LH)のような糖タンパク質ホルモン;肝細胞増殖因子(HGF);線維芽細胞増殖因子(FGF);プロラクチン;胎盤性ラクトゲン;ミュラー管抑制物質;マウス性腺刺激ホルモン関連ペプチド;インヒビン;アクチビン;血管内皮増殖因子;インテグリン;トロンポポエチン(TPO);たとえば、NGF-ベータのような神経増殖因子(NGF);血小板-増殖因子;たとえば、TGF-アルファ及びTGF-ベータのような形質転換増殖因子(TGF);インスリン-様増殖因子-I及び-II;エリスロポイエチン(EPO);骨誘導因子;たとえば、インターフェロン-アルファ、ベータ、及び-ガンマのようなインターフェロン;たとえば、マクロファージ-CSF(M-CSF)のようなコロニー刺激因子(CSF);顆粒球-マクロファージ-CSF(GM-CSF);及び顆粒球-CSF(G-CSF);たとえば、IL-1、IL-1アルファ、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12のようなインターロイキン(IL);IL-15、たとえば、TNF-アルファ又はTNF-ベータのような腫瘍壊死因子;ならびにLIF及びkitリガンド(KL)を含む他のポリペプチド因子である。本明細書で使用されるとき、用語サイトカインには、ネイティブ配列のサイトカインの天然供給源に由来するタンパク質、組換え細胞培養に由来するタンパク質及び生物学的に活性がある同等物が含まれる。
【0146】
一部の態様では、本発明は100pMより小さいKでFLT3に結合する抗原結合分子を含む。一部の実施形態では、抗原結合分子は10pMより小さいKで結合する。他の実施形態では、抗原結合分子は5pMより小さいKで結合する。
【0147】
作製方法
本発明に従ってポリヌクレオチド、ポリペプチド、ベクター、抗原結合分子、免疫細胞、組成物等を作製するのに種々の既知の技法を利用することができる。
【0148】
本明細書に記載されている免疫細胞の試験管内の操作又は遺伝子操作に先立って、細胞が対象から得られてもよい。一部の実施形態では、免疫細胞はT細胞を含む。T細胞は、末梢血単核細胞(PBMC)、骨髄、リンパ節組織、臍帯血、胸腺組織、感染の部位に由来する組織、腹水、胸水、脾臓組織及び腫瘍を含む多数の供給源から得ることができる。特定の実施形態では、T細胞は、たとえば、FICOLL(商標)分離のような当業者に既知の幾つもの技法を用いて対象から採取した血液の単位から得ることができる。細胞は好ましくは、アフェレーシスによって個人の循環血から得られてもよい。アフェレーシス産物は通常、T細胞、単球、顆粒球、B細胞を含むリンパ球、他の有核白血球、赤血球及び血小板を含有する。特定の実施形態では、アフェレーシスによって回収された細胞は洗浄して血漿分画を取り除き、その後の処理のために適当な緩衝液又は培地に入れてもよい。細胞はPBSで洗浄してもよい。十分に理解されるように、たとえば、半自動化されたフロースルー遠心機、たとえば、Cobe(商標)2991細胞処理機、Baxter CytoMate(商標)等を使用することによって洗浄工程が使用されてもよい。洗浄の後、細胞は種々の生体適合性の緩衝液、又は緩衝液の有無にかかわりなく他の生理食塩水溶液に再浮遊させてもよい。特定の実施形態では、アフェレーシス試料の望ましくない成分が取り除かれてもよい。
【0149】
特定の実施形態では、T細胞は、赤血球を溶解し、たとえば、PERCOLL(商標)勾配を介した遠心分離を用いて単球を激減させることによってPBMCから単離される。たとえば、CD28、CD4、CD8、CD45RA、及びCD45ROT細胞のようなT細胞の特定の亜集団は当該技術で既知の正の選択又は負の選択の技術によってさらに単離することができる。たとえば、負の選択によるT細胞集団の濃縮は、負の選択が行われる細胞に独特の表面マーカーに向けられた抗体の組み合わせによって達成することができる。本明細書で使用するための方法の1つは、負の選択が行われる細胞に存在する細胞表面マーカーに向けられたモノクローナル抗体のカクテルを使用する負の磁気免疫接着又はフローサイトメトリーを介した細胞選別及び/又は細胞選択である。たとえば、負の選択によってCD4細胞を濃縮するには、モノクローナル抗体のカクテルには通常、CD14、CD20、CD11b、CD16、HLA-DR、及びCD8に対する抗体が含まれる。フローサイトメトリー及び細胞選別を用いて本発明で使用するための対象とする細胞集団を単離することができる。
【0150】
PBMCは、本明細書に記載されているような方法を用いた免疫細胞(たとえば、CAR又はTCR)による遺伝子操作に直接使用されてもよい。特定の実施形態では、PBMCを単離した後、Tリンパ球をさらに単離し、細胞傷害性Tリンパ球及びヘルパーTリンパ球の双方を、遺伝子操作及び/又は増殖の前に又は後でナイーブ、メモリー及びエフェクターのT細胞亜集団に選別することができる。
【0151】
一部の実施形態では、CD8細胞のナイーブ、セントラルメモリー及びエフェクターの型のそれぞれに関連する細胞表面抗原を特定することによってCD8細胞はこれらの型にさらに選別される。一部の実施形態では、セントラルメモリーT細胞の表現型マーカーの発現には、CD45RO、CD62L、CCR7、CD28、CD3、及びCD127が含まれ、グランザイムBについては陰性である。一部の実施形態では、セントラルメモリーT細胞はCD45RO、CD62L、CD8T細胞である。一部の実施形態では、エフェクターT細胞はCD62L、CCR7、CD28、及びCD127について陰性であり、グランザイムB及びパーフォリンについては陽性である。特定の実施形態では、CD4T細胞は亜集団にさらに選別される。たとえば、CD4ヘルパーT細胞は、細胞表面抗原を有する細胞集団を特定することによってナイーブ細胞、セントラルメモリー細胞及びエフェクター細胞に選別することができる。
【0152】
たとえば、T細胞のような免疫細胞を既知の方法を用いた単離に続いて遺伝子操作することができ、又は遺伝子操作されるのに先立って試験管内で免疫細胞を活性化する又は増殖させる(又は前駆細胞の場合は分化させる)ことができる。別の実施形態では、T細胞のような免疫細胞を本明細書に記載されているキメラ抗原受容体によって遺伝子操作し(たとえば、CARをコードする1以上のヌクレオチド配列を含むウイルスベクターで形質導入し)、次いで試験管内で活性化し、及び/又は増殖させる。T細胞を活性化し、増殖させる方法は当該技術で既知であり、たとえば、その内容が全体として参照によって本明細書に組み入れられる米国特許第6,905,874号;米国特許第6,867,041号;米国特許第6,797,514号;及びPCTWO2012/079000に記載されている。一般に、そのような方法には、IL-2のような適当なサイトカインを伴った培養培地にてビーズ又は他の表面に一般に付着させた抗CD3及び抗CD28抗体のような刺激剤及び共刺激剤にPBMC又は単離されたT細胞を接触させることが含まれる。同じビーズに付着させた抗CD3及び抗CD28抗体は「代理」の抗原提示細胞(APC)として役立つ。一例は、ヒトT細胞の生理的な活性化のためのCD3/CD28活性化剤/刺激剤システムであるDynabeads(登録商標)システムである。
【0153】
他の実施形態では、その内容が全体として参照によって本明細書に組み入れられる米国特許第6,040,177号;米国特許第5,827,642号;及びWO2012129514に記載されたもののような方法を用いてフィーダー細胞及び適当な抗体及びサイトカインによってT細胞を活性化し、刺激して増殖させてもよい。
【0154】
本発明の構築物及び操作された免疫細胞を作製する特定の方法は、その内容が全体として参照によって本明細書に組み入れられるPCT出願PCT/US15/14520に記載されている。構築物及び細胞を作製する追加の方法は、その内容が全体として参照によって本明細書に組み入れられる米国仮特許出願番号62/244036にて見いだすことができる。
【0155】
PBMCはさらに、たとえば、NK細胞又はNKT細胞のような他の細胞傷害性リンパ球を含むことができることが十分に理解されるであろう。本明細書で開示されているようなキメラ受容体のコーディング配列を運ぶ発現ベクターをヒトドナーのT細胞、NK細胞又はNKT細胞の集団に導入することができる。発現ベクターを運ぶ上手く形質導入されたT細胞をフローサイトメトリーを用いて選別してCD3陽性T細胞を単離することができ、次いでさらに増殖させて、本発明のどこかに記載されているような当該技術で既知の抗CD3とIL-2又は他の方法を用いた細胞の活性化に加えて、これらCARを発現しているT細胞の数を増やすことができる。ヒト対象にて使用するための保存及び/又は調製のためにCARを発現するT細胞を凍結保存するのに標準の手順が使用される。一実施形態では、T細胞の試験管内での形質導入、培養及び/又は増殖は、たとえば、仔ウシ胎児血清及びウシ胎児血清のような非ヒト動物に由来する産物の非存在下で実施される。
【0156】
ポリヌクレオチドのクローニングについては、ベクターを宿主細胞(単離された宿主細胞)に導入し、ベクター自体の複製を可能にし、それによってその中に含有されるポリヌクレオチドのコピーを増幅してもよい。クローニングベクターは、一般に限定しないで、複製開始点、プロモータ配列、転写開始配列、エンハンサ配列、及び選択可能なマーカーを含む配列成分を含有してもよい。これらの要素は当業者によって適宜選択されてもよい。たとえば、複製開始点を選択して宿主細胞におけるベクターの自己複製を促進してもよい。
【0157】
特定の実施形態では、本開示は本明細書で提供されているベクターを含有する単離された宿主細胞を提供する。ベクターを含有する宿主細胞はベクターに含有されるポリヌクレオチドの発現又はクローニングに有用であってもよい。好適な宿主細胞には、限定しないで原核細胞、真菌細胞、酵母細胞、又は哺乳類細胞のような高等な真核細胞を挙げることができる。この目的に好適な原核細胞には、限定しないで、たとえば、グラム陰性又はグラム陽性の生物のような真性細菌、たとえば、Escherichia、たとえば、E.coliのようなEnterobactehaceae、Enterobacter、Erwinia、Klebsiella、Proteus、Salmonella、たとえば、Salmonella typhimurium、Serratia、たとえば、Serratia marcescans、及びShigella、同様にたとえば、B.subtilis及びB.licheniformisのようなBacilli、たとえば、P.aeruginosaのようなPseudomonas、及びStreptomycesが挙げられる。
【0158】
限定しないで、DEAE-デキストラン介在の送達、リン酸カルシウム沈殿法、カチオン性脂質介在の送達、リポソーム介在の形質移入、エレクトロポレーション、粒子衝突、受容体が介在する遺伝子送達、ポリリシン、ヒストン、キトサン及びペプチドが介在する送達を含む当該技術で既知の任意の好適な方法を用いてベクターを宿主細胞に導入することができる。対象とするベクターの発現のための細胞の形質移入及び形質転換についての常法は当該技術で周知である。さらなる実施形態では、免疫エフェクター細胞のドナー集団を遺伝子操作するのに様々な発現ベクターの混合物を使用することができ、各ベクターは本明細書で開示されているような異なるCARをコードする。得られる形質導入された免疫エフェクター細胞は操作された細胞の混合集団を形成し、操作された細胞の一部は1を超える異なるCARを発現する。
【0159】
一実施形態では、本発明はFLT3タンパク質を標的とするCAR又はTCRを発現している遺伝的に操作された細胞を保存する方法を提供する。これには解凍の際、細胞が生きたままであるように免疫細胞を凍結保存することが関与する。CARを発現している免疫細胞の画分を当該技術で既知の方法によって凍結保存し、悪性腫瘍に冒された患者の将来の治療のためにこのような細胞の永続的な供給源を提供することができる。必要に応じて、凍結保存した形質転換された免疫細胞を解凍し、増殖させ、さらに多くのそのような細胞に増やすことができる。
【0160】
本明細書で使用されるとき、「凍結保存する」は、たとえば(通常)、77ケルビン又は196℃(液体窒素の沸点)のような氷点下の温度に冷却することによる細胞の保存を指す。氷点下の温度では凍結保護剤を使用して低温での凍結又は室温への温めによる損傷から保存された細胞を保護することが多い。凍結保護剤及び最適な冷却速度によって細胞の損傷に対して保護することができる。本発明に従って使用することができる凍結保護剤には、ジメチルスルホキシド(DMSO)(Lovelock及びBishop,Nature,(1959);183:1394-1395;Ashwood-Smith,Nature,(1961);190:1204-1205)、グリセロール、ポリビニルピロリドン(Rinfret,Ann.N.Y.Acad.Sci.(1960);85:576)、及びポリエチレングリコール(Sloviter及びRavdin,Nature,(1962);196:48)が挙げられるが、これらに限定されない。好まれる冷却速度は1℃~3℃/分である。
【0161】
用語「実質的に純粋な」は所与の成分が高レベルで存在することを示すのに使用される。成分は望ましくは組成物に存在する主要な成分である。好ましくは、それは、30%を超える、50%を超える、75%を超える、90%を超える、又はさらに95%を超えるレベルで存在し、前記レベルは検討中の全組成物に関して乾燥重量/乾燥重量基準で決定される。非常に高いレベル(たとえば、90%を超える、95%を超える、又は99%を超えるレベル)では、組成物は「純粋形態」であると見なすことができる。本発明の生物学的に活性がある物質(ポリペプチド、核酸分子、抗原結合分子、部分を含む)は、さもなければ物質が会合されてもよい1以上の混入物を実質的に含まない形態で提供することができる。組成物が所与の混入物を実質的に含まない場合、混入物は低レベル(たとえば、上記で設定した乾燥重量/乾燥重量基準で10%未満、5%未満、又は1%未満のレベル)であろう。
【0162】
一部の実施形態では、細胞は、先ず培養培地からそれらを回収し、次いで洗浄し、治療に有効な量にて投与に好適な培地及び容器システム(「薬学上許容できる」キャリア)で細胞を濃縮することによって製剤化される。好適な点滴媒体は、任意の等張媒体製剤、通常正常な生理食塩水、Normosol(商標)R(Abbott)又はPlasma-Lyte(商標)A(Baxter)であることができるが、5%デキストロース水溶液又は乳酸リンゲル液も利用することができる。点滴媒体にはヒト血清アルブミンを補完することができる。
【0163】
組成物における細胞の所望の治療量は一般に少なくとも2細胞(たとえば、少なくとも1個のCD8セントラルメモリーT細胞と少なくとも1個のCD4ヘルパーT細胞のサブセット)であり、又はさらに通常では10個を超える細胞から10個まで及び10又は10個の細胞を含むまでであり、1010個を超える細胞であることができる。細胞の数は組成物が意図される所望の使用及びそれに含まれる細胞の種類に左右されるであろう。所望の細胞の密度は通常、10個の細胞/mlを超え、一般に10個の細胞/mlを超え、一般に10個の細胞/ml以上である。免疫細胞の臨床的に関連する数は、10、10、10、10、10、1010、1011、又は1012個の細胞に累積的に等しい又はそれを超える複数回の点滴に分配することができる。本発明の一部の態様では、特に、点滴される細胞すべてが特定の標的抗原(FLT3)に向け直されるので、10/キログラム(患者当たり10~1011)の範囲での少ない数の細胞が投与されてもよい。CAR治療はこれらの範囲内での投与量で複数回投与されてもよい。細胞は治療を受ける患者に対して自己、同種、又は異種であってもよい。
【0164】
本発明のCARを発現している細胞集団は単独で投与されてもよく、又は希釈剤との併用で、及び/又はIL-2もしくは他のサイトカインもしくは細胞集団のような他の成分との併用で医薬組成物として投与されてもよい。本発明の医薬組成物は、1以上の薬学上又は生理的に許容できるキャリア、希釈剤又は賦形剤との組み合わせで本明細書に記載されているようなT細胞のようなCAR又はTCRを発現している細胞集団を含んでもよい。そのような組成物は、たとえば、中性の緩衝化生理食塩水、リン酸緩衝化生理食塩水等のような緩衝液;たとえば、グルコース、マンノース、スクロース又はデキストラン、マンニトールのような炭水化物;タンパク質;ポリペプチド又はグリシンのようなアミノ酸;抗酸化剤;たとえば、EDTA又はグルタチオンのようなキレート剤;アジュバント(たとえば、水酸化アルミニウム)及び保存剤を含んでもよい。本発明の組成物は好ましくは静脈内投与用に製剤化される。
【0165】
医薬組成物(溶液、懸濁液等)は、以下:たとえば、注射用水、生理食塩水溶液、好ましくは生理的な生理食塩水、リンゲル溶液、等張の塩化ナトリウムのような無菌の希釈剤、たとえば、溶媒又は懸濁媒として役立ってもよい合成のモノグリセリド又はジグリセリドのような固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、又は他の溶媒;たとえば、ベンジルアルコール又はメチルパラベンのような抗菌剤;たとえば、アスコルビン酸又は重亜硫酸ナトリウムのような抗酸化剤;たとえば、エチレンジアミン四酢酸のようなキレート剤;たとえば、酢酸塩、クエン酸塩又はリン酸塩のような緩衝液、及びたとえば、塩化ナトリウム又はデキストロースのような浸透圧の調整のための作用物質の1以上を含んでもよい。非経口製剤は、ガラス又はプラスチックで作られているアンプル、使い捨て注射器又は複数用量バイアルに封入することができる。注射用の医薬組成物は好ましくは無菌である。
【0166】
有害事象は自殺遺伝子で免疫細胞(1以上のCAR又はTCRを含有する)に形質導入することによって最少化されてもよいことが十分に理解されるであろう。誘導性の「オン」スイッチ又は「アクセル」スイッチを免疫細胞に組み込むことも望まれてもよい。好適な技法には、本発明のCAR構築物で細胞に形質導入される前に、後で、又はそれと同時に誘導性のカスパーゼ-9(米国特許出願2011/0286980)又はチミジンキナーゼを使用することが含まれる。自殺遺伝子及び/又は「オン」スイッチを導入する追加の方法には、TALENS、亜鉛フィンガー、RNAi、siRNA、shRNA、アンチセンス法、及び他の当該技術で既知の技法が含まれる。
【0167】
本明細書の記載は例示であり、且つ説明的であるのみであり、請求されるような本発明の制約ではないことが理解されるであろう。本出願では、具体的に述べられない限り、単数の使用には複数が含まれる。
【0168】
本明細書で使用されているセクションの見出しは構成上の目的のみのためものであり、記載されている主題の制約として解釈されるべきではない。特許、特許出願、論文、書籍及び条約を含むが、これらに限定されない、本出願で引用されている文書すべて又は文書の一部はあらゆる目的でその全体が参照によって本明細書に明白に組み入れられる。本開示に従って利用されるように、以下の用語は、指示されない限り、以下の意味を有するように理解されるべきである。
【0169】
本出願では、「又は」の使用は、言及されない限り、「及び/又は」を意味する。さらに、用語「including(含んでいる)」、同様にたとえば、「includes(含む)」及び「included(含まれる)」のような他の形態の使用は、限定することではない。また、「要素」又は「成分」のような用語は、具体的に言及されない限り、1つのユニットを含む要素及び成分ならびに1を超えるサブユニットを含む要素及び成分の双方を包含する。
【0170】
用語「FLT3活性」には、FLT3の任意の生物効果が含まれる。特定の実施形態では、FLT3活性には、基質又は受容体と相互作用する又は結合するFLT3の能力が含まれる。
【0171】
用語「ポリヌクレオチド」、「ヌクレオチド」又は「核酸」には一本鎖及び二本鎖のヌクレオチドポリマーの両方が含まれる。ポリヌクレオチドを含むヌクレオチドはリボヌクレオチド又はデオキシリボヌクレオチド又はヌクレオチドのいずれかの型の修飾された形態であることができる。前記修飾には、ブロモウリジン及びイノシン誘導体のような塩基の修飾、たとえば、2’,3’-ジデオキシリボースのようなリボースの修飾、ならびに、たとえば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロセレノエート、ホスホロ-ジセレノエート、ホスホロ-アニロチオエート、ホスホルアニラデート及びホスホロアミデートのようなヌクレオチド間結合の修飾が挙げられる。
【0172】
用語「オリゴヌクレオチド」は200以下のヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを指す。オリゴヌクレオチドは、たとえば、変異体遺伝子の構築における使用のために一本鎖又は二本鎖であることができる。オリゴヌクレオチドはセンス又はアンチセンスのオリゴヌクレオチドであることができる。オリゴヌクレオチドは、検出アッセイ用の放射性標識、蛍光標識、ハプテン又は抗原性標識を含む標識を含むことができる。オリゴヌクレオチドは、たとえば、PCRプライマー、クローニングプライマー又はハイブリッド形成プローブとして使用することができる。
【0173】
用語「制御配列」は、それが連結されるコーディング配列の発現及びプロセッシングに影響を及ぼすことができるポリヌクレオチド配列を指す。そのような制御配列の性質は宿主生物に依存することができる。特定の実施形態では、原核細胞の制御配列はプロモータ、リボソーム結合部位及び転写終結配列を含むことができる。たとえば、真核細胞の制御配列は、転写因子についての1又は複数の認識部位を含むプロモータ、転写増強配列及び転写終結配列を含むことができる。「制御配列」はリーダー配列(シグナルペプチド)及び/又は融合パートナーの配列を含むことができる。
【0174】
本明細書で使用されるとき、「操作可能に連結される」は、用語が適用される成分が好適な条件下でそれらがその固有の機能を実施できる関係にあることを意味する。
【0175】
用語「ベクター」は、タンパク質をコードする情報を宿主細胞に移動させるのに使用される任意の分子又は実体(たとえば、核酸、プラスミド、バクテリオファージ又はウイルス)を意味する。用語「発現ベクター」又は「発現構築物」は宿主細胞の形質転換に好適であり、且つそれに操作可能に連結された1以上の異種のコーディング領域の発現を指示する及び/又は制御する(宿主細胞と併せて)核酸配列を含有するベクターを指す。発現構築物には、転写、翻訳に影響を及ぼす又はそれを制御する、且つイントロンが存在するならば、それに操作可能に連結されたコーディング領域のRNAスプライシングに影響を及ぼす配列が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0176】
用語「宿主細胞」は、核酸配列によって形質転換されている、又は形質転換することができ、それによって対象とする遺伝子を発現する細胞を指す。その用語には、対象とする遺伝子が存在する限り、子孫が形態又は遺伝的構成で元々の親細胞と同一であろうとなかろうと親細胞の子孫が含まれる。
【0177】
用語「形質転換」は、細胞の遺伝的特徴における変化を指し、細胞が新しいDNA又はRNAを含有するように修飾されていると細胞は形質転換されている。たとえば、形質移入、形質導入又は他の技法を介して新しい遺伝物質を導入することによって細胞がネイティブな状態から遺伝子操作される場合、細胞は形質転換される。形質移入又は形質導入に続いて、形質転換しているDNAは、細胞の染色体に物理的に組み込むことによって細胞のDNAと組み換えることができ、又はエピソーム要素として複製することなく一時的に維持されることができ、又はプラスミドとして独立して複製することができる。形質転換しているDNAが細胞の分裂と共に複製する場合、細胞は「安定して形質転換」されていると見なされる。
【0178】
用語「形質移入」は外来性又は外因性のDNAの細胞による取り込みを指す。多数の形質移入の技法が当該技術で周知であり、本明細書で開示されている。たとえば、Graham,et al.,1973,Virology,52:456;Sambrook,et al.,2001,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,supra;Davis,et al.,1986,Basic Methods in Molecular Biology,Elsevier;Chu,et al.,1981,Gene,13:197を参照のこと。
【0179】
用語「形質導入」はそれによってウイルスベクターを介して外来性DNAを細胞に導入する過程を指す。Jones,et al.,(1998).Genetics:principles and analysis.Boston:Jones & Bartlett Publを参照のこと。
【0180】
用語「ポリペプチド」又は「タンパク質」は、ネイティブ配列の1以上のアミノ酸からの欠失、それへの付加及び/又はその置換を含む、タンパク質のアミノ酸配列を有する高分子を指す。用語「ポリペプチド」及び「タンパク質」は具体的には、FLT3抗原結合分子、抗体、又は抗原結合タンパク質の1以上のアミノ酸からの欠失、それへの付加及び/又はその置換を有する配列を包含する。用語「ポリペプチド断片」は、完全長のネイティブのタンパク質に比べてアミノ末端の欠失、カルボキシル末端の欠失及び/又は内部欠失を有するポリペプチドを指す。そのような断片はネイティブのタンパク質に比べて修飾されたアミノ酸も含有することができる。有用なポリペプチド断片には、抗原結合分子の免疫機能性の断片が挙げられる。有用な断片には、重鎖及び/又は軽鎖の1以上のCDR領域、可変ドメイン、抗体鎖の他の部分の一部等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0181】
用語「単離された」は、(i)正常で一緒に見いだされる少なくとも幾つかの他のタンパク質を含まない、(ii)同一供給源、たとえば、同一種に由来する他のタンパク質を本質的に含まない、(iii)自然界で一緒に会合するポリヌクレオチド、脂質、炭水化物、又は他の物質の少なくとも約50パーセントから分離される、(iv)自然界では一緒に会合していないポリペプチドと操作可能に会合する(共有結合又は非共有結合の相互作用によって)、又は(v)自然界では存在しないことを意味する。
【0182】
ポリペプチド(たとえば、抗原結合分子又は抗体)の「変異体」は、別のポリペプチド配列に比べて1以上のアミノ酸残基がアミノ酸配列に挿入される、それから欠失させる及び/又はそれにて置換されるアミノ酸配列を含む。変異体には融合タンパク質が含まれる。
【0183】
用語「同一性」は、配列を並べ、比較することによって決定されるような、2以上のポリペプチド分子又は2以上の核酸分子の配列間での関係を指す。「パーセント同一性」は、比較される分子におけるアミノ酸又はヌクレオチドの間での同一の残基のパーセントを意味し、比較される分子の最小のサイズに基づいて算出される。これらの算出については、配列比較におけるギャップ(あるとすれば)は好ましくは、特定の数学的モデル又はコンピュータプログラム(すなわち、「アルゴリズム」)によって対処される。
【0184】
パーセント同一性を算出するには、比較される配列を通常、配列間で最大の一致が得られるような方法で並べる。パーセント同一性を決定するのに使用することができるコンピュータプログラムの一例は、GAPを含むGCGプログラムパッケージである(Devereux,et al.,1984,Nucl.Acid Res.12:387;Genetics Computer Group,University of Wisconsin,Madison,Wis)。コンピュータアルゴリズムGAPを用いてパーセント配列同一性が決定されるべきである2つのポリペプチド又はポリヌクレオチドを並べる。それぞれのアミノ酸又はヌクレオチドの最適の一致のために配列を並べる(アルゴリズムによって決定されるような「一致した長さ」)。特定の実施形態では、標準の比較マトリクス(PAM250比較マトリクスについてはDayhoff,et al.,1978,Atlas of Protein Sequence and Structure5:345-352;BLOSUM62比較マトリクスについてはHenikoff,et al.,1992,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.89:10915-10919)もアルゴリズムによって使用される。
【0185】
本明細書で使用されるとき、20の従来の(たとえば、天然に存在する)アミノ酸及びそれらの略記は慣例的な使い方に従う。任意の目的で参照によって本明細書に組み入れられるImmunology―A Synthesis(2nd Edition,Golub and Gren,Eds.,Sinauer Assoc.,Sunderland,Mass.(1991))を参照のこと。20の従来のアミノ酸の立体異性体(たとえば、D-アミノ酸)、たとえば、アルファ-アミノ酸、アルファ-二置換アミノ酸、N-アルキルアミノ酸のような非天然のアミノ酸、乳酸、及び他の従来のものではないアミノ酸も本発明のポリペプチドにとって好適な成分であることができる。従来のものではないアミノ酸の例には、4-ヒドロキシプロリン、.ガンマ.-カルボキシグルタメート、イプシロン-N,N,N-トリメチルリシン、e-N-アセチルリシン、O-ホスホセリン、N-アセチルセリン、N-ホルミルメチオニン、3-メチルヒスチジン、5-ヒドロキシリシン、.シグマ.-N-メチルアルギニン、及び他の類似のアミノ酸及びイミノ酸(たとえば、4-ヒドロキシプロリン)が挙げられる。本明細書に使用されているペプチド表記法では、標準的用法及び慣例に従って、左側方向がアミノ末端方向であり、右側方向がカルボキシ末端方向である。
【0186】
保存的なアミノ酸置換は、通常、生物系における合成ではなく化学的なペプチド合成によって組み込まれる天然に存在しないアミノ酸残基を包含することができる。これらには、ペプチド模倣体及びアミノ酸部分の他の逆の又は逆転した形態が含まれる。天然に存在する残基は共通する側鎖の特性に基づいてクラスに分けることができる:
a)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
b)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
c)酸性:Asp、Glu;
d)塩基性:His、Lys、Arg;
e)鎖の配向に影響を及ぼす残基:Gly、Pro;及び
f)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
【0187】
たとえば、保存的ではない置換には、これらのクラスの1つのメンバーの別のクラスのメンバーとの交換が関与することができる。そのような置換された残基は、たとえば、非ヒト抗体と相同であるヒト抗体の領域に、又は分子の非相同領域に導入することができる。
【0188】
特定の実施形態に係る、操作されたT細胞の抗原結合分子、共刺激ドメイン又は活性化ドメインに変化を加えることにおいて、アミノ酸の疎水性指標を考慮することができる。各アミノ酸は、その疎水性及び電荷の特徴に基づいて疎水性指標を割り当てられている。それらは、イソロイシン(+4.5);バリン(+4.2);ロイシン(+3.8);フェニルアラニン(+2.8);システイン/シスチン(+2.5);メチオニン(+1.9);アラニン(+1.8);グリシン(-0.4);スレオニン(-0.7);セリン(-0.8);トリプトファン(-0.9);チロシン(-1.3);プロリン(-1.6);ヒスチジン(-3.2);グルタミン酸塩(-3.5);グルタミン(-3.5);アスパラギン酸塩(-3.5);アスパラギン(-3.5);リシン(-3.9);及びアルギニン(-4.5)である。Kyte,et al.,J.Mol.Biol.,157:105-131(1982)を参照のこと。特定のアミノ酸が類似の疎水性指標又は疎水性スコアを有する他のアミノ酸と置換され、それでもやはり類似の生物活性を保持することができることは知られている。類似のアミノ酸の置換は親水性に基づいて効果的に行われ得ることも当該技術で理解されており、特にその際、それによって作り出された生物学的に機能的なタンパク質又はペプチドは本場合のように免疫的な実施形態での使用向けである。例となるアミノ酸置換を表2に記述する。
【表2】
【0189】
用語「誘導体」は、アミノ酸(又は核酸)の挿入、欠失又は置換以外の化学修飾を含む分子を指す。特定の実施形態では、誘導体は、ポリマー、脂質、又は他の有機もしくは無機の部分との化学結合を含むが、これらに限定されない共有結合の修飾を含む。特定の実施形態では、化学的に修飾された抗原結合分子は、化学的に修飾されていない抗原結合分子よりも長い循環半減期を有することができる。一部の実施形態では、誘導体の抗原結合分子は、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレングリコール又はポリプロピレングリコールを含むが、これらに限定されない1以上の水溶性ポリマーの連結を含むように共有結合で修飾される。
【0190】
ペプチド類似体は、鋳型ペプチドの特性に類似する特性を持つ非ペプチド薬剤として製薬業界で一般に使用されている。非ペプチド化合物のこれらの型は「ペプチド模倣体」又は「ペプチド模倣物」と呼ばれる。任意の目的で参照によって本明細書に組み入れられるFauchere,J.,Adv.Drug Res.,15:29(1986);Veber及びFreidinger,TINS,p.392(1985);ならびにEvans,et al.,J.Med.Chem.,30:1229(1987)。
【0191】
用語「治療上有効な量」は、哺乳類において治療上の反応を生じると決定されたFLT3抗原結合分子の量を指す。そのような治療上有効な量は当業者によって容易に確かめられる。
【0192】
用語「患者」及び「対象」は相互交換可能に使用され、それには、ヒト及び非ヒト動物対象、同様に正式に診断された疾病を持つ者、正式に認識された疾病を持たない者、治療を受けている者、疾病の発症のリスクがある者等が含まれる。
【0193】
用語「治療する」及び「治療」には、治療上の処置、予防上の処置、及び対象が疾病を発症するリスク又は他のリスク因子を低減する適用が含まれる。治療は、疾病の完全な治癒を必要とせず、症状又は根底にあるリスク因子を軽減する実施形態を包含する。用語「予防する」は事象の可能性の100%の除去を必要としない。むしろ、それは事象の発生の可能性が化合物又は方法の存在下で低減されていることを意味する。
【0194】
組換えDNA、オリゴヌクレオチドの合成、及び組織培養及び形質転換(たとえば、エレクトロポレーション、リポフェクチン)には標準の技法を使用することができる。酵素反応及び精製法は、製造元の仕様書に従って、当該技術で一般に達成されるように、又は本明細書に記載されているように実施することができる。前述の技法及び手順は一般に、当該技術で周知の従来の方法に従って、及び本明細書の全体にわたって引用され、議論されている種々の一般的な及びさらに具体的な参考文献に記載されているように実施することができる。たとえば、任意の目的で参照によって本明細書に組み入れられるSambrook,et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(2d ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor,N.Y.(1989))を参照のこと。
【0195】
以下の配列は本発明をさらに例示するであろう。
【0196】
CD28T DNA細胞外、膜貫通、細胞内
CTTGATAATGAAAAGTC AAACGGAACAATCATTCACGTGAAGGGCAAGCACCTCTGTCCGTCACCCTTGTTCCCTGGTCCATCCAAGCCATTCTGGGTGTTGGTCGTAGTGGGTGGAGTCCTCGCTTGTTACTCTCTGCTCGTCACCGTGGCTTTTATAATCTTCTGGGTTAGATCCAAAAGAAGCCGCCTGCTCCATAGCGATTACATGAATATGACTCCACGCCGCCCTGGCCCCACAAGGAAACACTACCAGCCTTACGCACCACCTAGAGATTTCGCTGCCTATCGGAGC(配列番号1)
【0197】
CD28T 細胞外、膜貫通、細胞内AA
LDNEKSNGTI IHVKGKHLCP SPLFPGPSKP FWVLVVVGGV LACYSLLVTV AFIIFWVRSK RSRLLHSDYM NMTPRRPGPT RKHYQPYAPP RDFAAYRS (配列番号2)
【0198】
CD28T DNA-細胞外
CTTGATAATGAAAAGTCAAACGGAACAATCATTCACGTGAAGGGCAAGCACCTCTGTCCGTCACCCTTGTTCCCTGGTCCATCCAAGCCA(配列番号3)
【0199】
CD28T AA-細胞外
LDNEKSNGTI IHVKGKHLCP SPLFPGPSKP(配列番号4)
【0200】
CD28 DNA膜貫通ドメイン
TTCTGGGTGTTGGTCGTAGTGGGTGGAGTCCTCGCTTGTTACTCTCTGCTCGTCACCGTGGCTTTTATAATCTTCTGGGTT(配列番号5)
【0201】
CD28 AA膜貫通ドメイン
FWVLVVVGGV LACYSLLVTV AFIIFWV(配列番号6)
【0202】
CD28 DNA細胞内ドメイン
AGATCCAAAAGAAGCCGCCTGCTCCATAGCGATTACATGAATATGACTCCACGCCGCCCTGGCCCCACAAGGAAACACTACCAGCCTTACGCACCACCTAGAGATTTCGCTGCCTATCGGAGC(配列番号7)
【0203】
CD28 AA細胞内ドメイン
RSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRS(配列番号8)
【0204】
CD3ゼータDNA
AGGGTGAAGTTTTCCAGATCTGCAGATGCACCAGCGTATCAGCAGGGCCAGAACCAACTGTATAACGAGCTCAACCTGGGACGCAGGGAAGAGTATGACGTTTTGGACAAGCGCAGAGGACGGGACCCTGAGATGGGTGGCAAACCAAGACGAAAAAACCCCCAGGAGGGTCTCTATAATGAGCTGCAGAAGGATAAGATGGCTGAAGCCTATTCTGAAATAGGCATGAAAGGAGAGCGGAGAAGGGGAAAAGGGCACGACGGTTTGTACCAGGGACTCAGCACTGCTACGAAGGATACTTATGACGCTCTCCACATGCAAGCCCTGCCACCTAGG(配列番号9)
【0205】
CD3ゼータAA
RVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR(配列番号10)
【0206】
CD28 DNA
ATTGAGGTGATGTATCCACCGCCTTACCTGGATAACGAAAAGAGTAACGGTACCATCATTCACGTGAAAGGTAAACACCTGTGTCCTTCTCCCCTCTTCCCCGGGCCATCAAAGCCC(配列番号11)
【0207】
CD28 AA
IEVMYPPPYL DNEKSNGTII HVKGKHLCPS PLFPGPSKP(配列番号12)
【0208】
CD8 DNA細胞外及び膜貫通ドメイン
GCTGCAGCATTGAGCAACTCAATAATGTATTTTAGTCACTTTGTACCAGTGTTCTTGCCGGCTAAGCCTACTACCACACCCGCTCCACGGCCACCTACCCCAGCTCCTACCATCGCTTCACAGCCTCTGTCCCTGCGCCCAGAGGCTTGCCGACCGGCCGCAGGGGGCGCTGTTCATACCAGAGGACTGGATTTCGCCTGCGATATCTATATCTGGGCACCCCTGGCCGGAACCTGCGGCGTACTCCTGCTGTCCCTGGTCATCACGCTCTATTGTAATCACAGGAAC(配列番号13)
【0209】
CD8 AA細胞外及び膜貫通ドメイン
AAALSNSIMYFSHFVPVFLPAKPTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYCNHRN(配列番号14)
【0210】
クローン10E3のHC DNA
CAGGTCACCTTGAAGGAGTCTGGTCCTGTGCTGGTGAAACCCACAGAGACCCTCACGCTGACCTGCACCGTCTCTGGGTTCTCACTCATCAATGCTAGAATGGGTGTGAGCTGGATCCGTCAGCCCCCAGGGAAGGCCCTGGAGTGGCTTGCACACATTTTTTCGAATGCCGAAAAATCGTACAGGACATCTCTGAAGAGCAGGCTCACCATCTCCAAGGACACCTCCAAAAGCCAGGTGGTCCTTACCATGACCAACATGGACCCTGTGGACACAGCCACATATTACTGTGCACGGATACCAGGCTACGGTGGTAACGGGGACTACCACTACTACGGTATGGACGTCTGGGGCCAAGGGACCACGGTCACCGTCTCCTCA(配列番号15)
【0211】
クローン10E3のHC AA-下線を引いたCDR
QVTLKESGPVLVKPTETLTLTCTVSGFSLINARMGVSWIRQPPGKALEWLAHIFSNAEKSYRTSLKSRLTISKDTSKSQVVLTMTNMDPVDTATYYCARIPGYGGNGDYHYYGMDVWGQGTTVTVSS(配列番号16)
【0212】
クローン10E3のHC AA CDR1:
NARMGVS(配列番号17)
【0213】
クローン10E3のHC AA CDR2:
HIFSNAEKSYRTSLKS(配列番号18)
【0214】
クローン10E3のHC AA CDR3:
IPGYGGNGDYHYYGMDV(配列番号19)
【0215】
クローン10E3のLC DNA
GACATCCAGATGACCCAGTCTCCATCCTCCCTGTCTGCATCTCTAGGAGACAGAGTCACCATCACTTGCCGGGCAAGTCAGGGCATTAGAAATGATTTAGGCTGGTATCAGCAGAAACCAGGGAAAGCCCCTAAGCGCCTGATCTATGCTTCATCCACTTTGCAAAGTGGGGTCCCATCAAGGTTCAGCGGCAGTGGATCTGGGACAGAGTTCACTCTCACAATCAGCAGCCTGCAGCCTGAAGATTTTGCAACTTATTACTGTCTACAGCATAATAATTTCCCGTGGACGTTCGGTCAGGGAACGAAGGTGGAAATCAAACGA(配列番号20)
【0216】
クローン10E3のLC AA(下線を引いたCDR)
DIQMTQSPSSLSASLGDRVTITCRASQGIRNDLGWYQQKPGKAPKRLIYASSTLQSGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPEDFATYYCLQHNNFPWTFGQGTKVEIKR(配列番号21)
【0217】
クローン10E3のLC CDR1 AA:
RASQGIRNDLG(配列番号22)
【0218】
クローン10E3のLC CDR2 AA:
ASSTLQS(配列番号23)
【0219】
クローン10E3のLC CDR3 AA:
LQHNNFPWT(配列番号24)
【0220】
クローン2E7のHC DNA
CAGGTCACCTTGAAGGAGTCTGGTCCTGTGCTGGTGAAACCCACAGAGACCCTCACGCTGACCTGCACCGTCTCTGGGTTCTCACTCAGGAATGCTAGAATGGGTGTAAGCTGGATCCGTCAGCCTCCCGGGAAGGCCCTGGAGTGGCTTGCACACATTTTTTCGAATGACGAAAAAACCTACAGCACATCTCTGAAGAGCAGGCTCACCATCTCCAGGGACACCTCCAAAGGCCAGGTGGTCCTTACCATGACCAAGATGGACCCTGTGGACACAGCCACATATTACTGTGCACGGATACCCTACTATGGTTCGGGGAGTCATAACTACGGTATGGACGTCTGGGGCCAAGGGACCACGGTCACCGTCTCCTCA(配列番号25)
【0221】
クローン2E7のHC AA(下線を引いたCDR)
QVTLKESGPVLVKPTETLTLTCTVSGFSLRNARMGVSWIRQPPGKALEWLAHIFSNDEKTYSTSLKSRLTISRDTSKGQVVLTMTKMDPVDTATYYCARIPYYGSGSHNYGMDVWGQGTTVTVSS(配列番号99)
【0222】
クローン2E7のHC AA CDR1:
NARMGVS(配列番号17)
【0223】
クローン2E7のHC AA CDR2:
HIFSNDEKTYSTSLKS(配列番号26)
【0224】
クローン2E7のHC AA CDR3:
IPYYGSGSHNYGMDV(配列番号27)
【0225】
クローン2E7のLC DNA
GACATCCAGATGACCCAGTCTCCATCCTCCCTGTCTGCATCTGTAGGAGACAGAGTCACCATCACTTGCCGGGCAAGTCAGGACATTAGAAATGATTTCGGCTGGTATCAACAGAAACCAGGGAAAGCCCCTCAGCGCCTGCTCTATGCTGCATCCACTTTGCAAAGTGGGGTCCCATCAAGGTTCAGCGGCAGTGGATCTGGGACAGAATTCACTCTCACAATCAGCAGCCTGCAGCCTGAAGATTTTGCAACTTATTACTGTCTACAGTATAATACTTACCCGTGGACGTTCGGTCAGGGAACGAAGGTGGAAATCAAACGA(配列番号28)
【0226】
クローン2E7のLC AA(下線を引いたCDR)
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDIRNDFGWYQQKPGKAPQRLLYAASTLQSGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPEDFATYYCLQYNTYPWTFGQGTKVEIKR(配列番号29)
【0227】
クローン2E7のLC AA CDR1:
RASQDIRNDFG(配列番号30)
【0228】
クローン2E7のLC AA CDR2:
AASTLQS(配列番号31)
【0229】
クローン2E7のLHC AA CDR3:
LQYNTYPWT(配列番号32)
【0230】
クローン8B5のHC DNA
CAGATACAACTGGTGGAGTCTGGGGGAGGCGTGGTCCAGCCTGGGAGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGTAGCGTCTGGATTCACCTTCAAGAACTATGGCATGCACTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGCAAGGGGCTGGAGTGGGTGGCAGTTATTTGGTATGATGGAAGTAATGAATACTATGGAGACCCCGTGAAGGGCCGATTCACCATCTCCAGAGACAACTCCAAGAACATGTTGTATCTGCAAATGAACAGCCTGAGAGCCGATGACACGGCTGTGTATTACTGTGCGAGGTCGGGAATAGCAGTGGCTGGGGCCTTTGACTACTGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACCGTCTCCTCA(配列番号33)
【0231】
クローン8B5のHC AA(下線を引いたCDR)
QIQLVESGGGVVQPGRSLRLSCVASGFTFKNYGMHWVRQAPGKGLEWVAVIWYDGSNEYYGDPVKGRFTISRDNSKNMLYLQMNSLRADDTAVYYCARSGIAVAGAFDYWGQGTLVTVSS(配列番号34)
【0232】
クローン8B5のHC AA CDR1:
NYGMH(配列番号97
【0233】
クローン8B5のHC AA CDR2:
VIWYDGSNEYYGDPVKG(配列番号35)
【0234】
クローン8B5のHC AA CDR3:
SGIAVAGAFDY(配列番号36)
【0235】
クローン8B5のLC DNA
GAAATTGTGTTGACGCAGTCTCCAGACACCCTGTCTTTGTCTCCAGGGGAAAAAGCCACCCTCTCCTGCAGGGCCAGTCAGAGTGTTAGCAGCAGCTTCTTGGCCTGGTACCAGCAGAAACCTGGACAGGCTCCCAGTCTCCTCATCTATGTTGCATCCAGAAGGGCCGCTGGCATCCCTGACAGGTTCAGTGGCAGTGGGTCTGGGACAGACTTCACTCTCACCATCAGCAGACTGGAGCCTGAAGATTTTGGAATGTTTTACTGTCAACACTATGGTAGGACACCATTCACTTTCGGCCCTGGGACCAAAGTGGATATCAAACGA(配列番号37)
【0236】
クローン8B5のLC AA(下線を引いたCDR)
EIVLTQSPDTLSLSPGEKATLSCRASQSVSSSFLAWYQQKPGQAPSLLIYVASRRAAGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFGMFYCQHYGRTPFTFGPGTKVDIKR(配列番号41)
【0237】
クローン8B5のLC AA CDR1:
RASQSVSSSFLA(配列番号38)
【0238】
クローン8B5のLC AA CDR2:
VASRRAA(配列番号39)
【0239】
クローン8B5のLC AA CDR3:
QHYGRTPFT(配列番号40)
【0240】
クローン4E9のHC DNA
CAGGTGCAGCTGGTGCAGTCTGGGGCTGAGGTGAAGAAGCCTGGGGCCTCAGTGAAGGTCTCCTGCAAGGCTTCTGGATACACCTTCACCGGCTACTATATACACTGGGTGCGACAGGCCCCTGAACAAGGGCTTGAGTGGATGGGATGGATCAACCCTAACAGTGGTGGCACAAACTATGCACAGAAGTTTCAGGGCAGGGTCACCATGGCCAGGGACACGTCCATCAGCACAGTTTACATGGACCTGAGCAGGCTGAGATCTGACGACACGGCCGTGTATTACTGTGCGAGAATACGCGGTGGTAACTCGGTCTTTGACTACTGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACCGTCTCCTCA(配列番号98
【0241】
クローン4E9のHC AA(下線を引いたCDR)
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTGYYIHWVRQAPEQGLEWMGWINPNSGGTNYAQKFQGRVTMARDTSISTVYMDLSRLRSDDTAVYYCARIRGGNSVFDYWGQGTLVTVSS(配列番号42)
【0242】
クローン4E9のHC AA CDR1:
GYYIH(配列番号43)
【0243】
クローン4E9のHC AA CDR2:
WINPNSGGTNYAQKFQG(配列番号44)
【0244】
クローン4E9のHC AA CDR3:
IRGGNSVFDY(配列番号45)
【0245】
クローン4E9のLC DNA
GACATCGTGATGACCCAGTCTCCAGACTCCCTGGCTGTGTCTCTGGGCGAGAGGGCCACCATCAACTGCAAGTCCACCCAGAGTATTTTATACACCTCCAACAATAAGAACTTCTTAGCTTGGTACCAGCAGAAACCAGGGCAGCCTCCTAAACTGCTCATTTCCTGGGCATCTATCCGGGAATCCGGGGTCCCTGACCGATTCAGTGGCAGCGGGTCTGGGACAGATTTCGCTCTCACCATCAGCAGCCTGCAGGCTGAAGATGTGGCAGTTTATTACTGTCAACAATATTTTAGTACTATGTTCAGTTTTGGCCAGGGGACCAAGCTGGAGATCAAACGA(配列番号46)
【0246】
クローン4E9のLC AA(下線を引いたCDR)
DIVMTQSPDSLAVSLGERATINCKSTQSILYTSNNKNFLAWYQQKPGQPPKLLISWASIRESGVPDRFSGSGSGTDFALTISSLQAEDVAVYYCQQYFSTMFSFGQGTKLEIKR(配列番号47)
【0247】
クローン4E9のLC AA CDR1:
KSTQSILYTSNNKNFLA(配列番号48)
【0248】
クローン4E9のLC AA CDR2:
WASIRES(配列番号49)
【0249】
クローン4E9のLC AA CDR3:
QQYFSTMFS(配列番号50)
【0250】
クローン11F11のHC DNA
CAGGTGCAGCTGCAGGAGTCGGGCCCAGGACTGGTGAAGCCTTCACAGACCCTGTCCCTCACCTGCACTGTCTCTGGTGGCTCCATCAGTAGTGGTGCATACTACTGGACTTGGATCCGCCAGCACCCAGGGAAGGGCCTGGAGTGGATTGGGTACATCCATTACAGTGGGAGCACCTACTCCAACCCGTCCCTCAAGAGTCGAATTACCATATCGTTAGACACGTCTAAGAACCAGTTCTCCCTGAAGCTGAACTCTGTGACTGCCGCGGACACGGCCGTGTATTACTGTGCGAGACAAGAGGACTACGGTGGTTTGTTTGACTACTGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACCGTTTCCTCA(配列番号51)
【0251】
クローン11F11のHC AA(下線を引いたCDR)
QVQLQESGPGLVKPSQTLSLTCTVSGGSISSGAYYWTWIRQHPGKGLEWIGYIHYSGSTYSNPSLKSRITISLDTSKNQFSLKLNSVTAADTAVYYCARQEDYGGLFDYWGQGTLVTVSS(配列番号52)
【0252】
クローン11F11のHC AA CDR1:
SGAYYWT(配列番号53)
【0253】
クローン11F1のHC AA CDR2:
YIHYSGSTYSNPSLKS(配列番号54)
【0254】
クローン11F1のHC AA CDR3:
QEDYGGLFDY(配列番号55)
【0255】
クローン11F11のLC DNA
GAAATAGTGATGACGCAGTCTCCAGCCACCCTGTCTGTGTCTCCAGGGGAAAGAATCACCCTCTCCTGCAGGGCCAGTCAGAGTGTTACCACCGACTTAGCCTGGTACCAGCAGATGCCTGGACAGGCTCCCCGGCTCCTCATCTATGATGCTTCCACCAGGGCCACTGGTTTCCCAGCCAGATTCAGTGGCAGTGGGTCTGGGACAGACTTCACGCTCACCATCAGCAGCCTGCAGGCTGAAGATTTTGCAGTTTATTACTGTCAACATTATAAAACCTGGCCTCTCACTTTCGGCGGAGGGACTAAGGTGGAGATCAAACGA(配列番号56)
【0256】
クローン11F11のLC AA(下線を引いたCDR)
EIVMTQSPATLSVSPGERITLSCRASQSVTTDLAWYQQMPGQAPRLLIYDASTRATGFPARFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDFAVYYCQHYKTWPLTFGGGTKVEIKR(配列番号57)
【0257】
クローン11F11のLC AA CDR1:
RASQSVTTDLA(配列番号58)
【0258】
クローン11F1 LC AA CDR2:
DASTRAT(配列番号59)
【0259】
クローン11F1のLC AA CDR3:
QHYKTWPLT(配列番号60)
【0260】
【化1】
【0261】
【化2】
【0262】
【化3】
【0263】
【化4】
【0264】
【化5】
【0265】
【化6】
【0266】
【化7】
【0267】
【化8】
【0268】
【化9】
【0269】
【化10】
【0270】
【化11】
【0271】
【化12】
【0272】
【化13】
【0273】
【化14】
【0274】
【化15】
【0275】
【化16】
【0276】
【化17】
【0277】
【化18】
【0278】
【化19】
【0279】
【化20】
【0280】
【化21】
【0281】
【化22】
【0282】
【化23】
【0283】
【化24】
【0284】
ヒトのFLT3 NM_004119 AA
【0285】
MPALARDGGQLPLLVVFSAMIFGTITNQDLPVIKCVLINHKNNDSSVGKSSSYPMVSESPEDLGCALRPQSSGTVYEAAAVEVDVSASITLQVLVDAPGNISCLWVFKHSSLNCQPHFDLQNRGVVSMVILKMTETQAGEYLLFIQSEATNYTILFTVSIRNTLLYTLRRPYFRKMENQDALVCISESVPEPIVEWVLCDSQGESCKEESPAVVKKEEKVLHELFGTDIRCCARNELGRECTRLFTIDLNQTPQTTLPQLFLKVGEPLWIRCKAVHVNHGFGLTWELENKALEEGNYFEMSTYSTNRTMIRILFAFVSSVARNDTGYYTCSSSKHPSQSALVTIVEKGFINATNSSEDYEIDQYEEFCFSVRFKAYPQIRCTWTFSRKSFPCEQKGLDNGYSISKFCNHKHQPGEYIFHAENDDAQFTKMFTLNIRRKPQVLAEASASQASCFSDGYPLPSWTWKKCSDKSPNCTEEITEGVWNRKANRKVFGQWVSSSTLNMSEAIKGFLVKCCAYNSLGTSCETILLNSPGPFPFIQDNISFYATIGVCLLFIVVLTLLICHKYKKQFRYESQLQMVQVTGSSDNEYFYVDFREYEYDLKWEFPRENLEFGKVLGSGAFGKVMNATAYGISKTGVSIQVAVKMLKEKADSSEREALMSELKMMTQLGSHENIVNLLGACTLSGPIYLIFEYCCYGDLLNYLRSKREKFHRTWTEIFKEHNFSFYPTFQSHPNSSMPGSREVQIHPDSDQISGLHGNSFHSEDEIEYENQKRLEEEEDLNVLTFEDLLCFAYQVAKGMEFLEFKSCVHRDLAARNVLVTHGKVVKICDFGLARDIMSDSNYVVRGNARLPVKWMAPESLFEGIYTIKSDVWSYGILLWEIFSLGVNPYPGIPVDANFYKLIQNGFKMDQPFYATEEIYIIMQSCWAFDSRKRPSFPNLTSFLGCQLADAEEAMYQNVDGRVSECPHTYQNRRPFSREMDLGLLSPQAQVEDS(配列番号85)
【0286】
CARのシグナルペプチド DNA
ATGGCACTCCCCGTAACTGCTCTGCTGCTGCCGTTGGCATTGCTCCTGCACGCCGCACGCCCG(配列番号86)
【0287】
CARのシグナルペプチド:
MALPVTALLLPLALLLHAARP(配列番号87)
【0288】
scFv G4Sリンカー DNA
GGCGGTGGAGGCTCCGGAGGGGGGGGCTCTGGCGGAGGGGGCTCC(配列番号88)
【0289】
scFv G4sリンカー:
GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号89)
【0290】
scFv Whitlowリンカー DNA
GGGTCTACATCCGGCTCCGGGAAGCCCGGAAGTGGCGAAGGTAGTACAAAGGGG(配列番号90)
【0291】
scFv Whitlowリンカー:
GSTSGSGKPGSGEGSTKG(配列番号91)
【0292】
4-1BB 核酸配列(細胞内ドメイン)
AAGCGCGGCAGGAAGAAGCTCCTCTACATTTTTAAGCAGCCTTTTATGAGGCCCGTACAGACAACACAGGAGGAAGATGGCTGTAGCTGCAGATTTCCCGAGGAGGAGGAAGGTGGGTGCGAGCTG(配列番号92)
【0293】
4-1BB AA(細胞内ドメイン)
KRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCEL(配列番号93)
【0294】
OX40 AA
RRDQRLPPDAHKPPGGGSFRTPIQEEQADAHSTLAKI(配列番号94)
【0295】
参照による組み入れ
本明細書で言及されている出版物、特許及び特許出願はすべて、それぞれ個々の出版物、特許、又は特許出願が具体的に且つ個々に参照によって組み入れられるように指示されたかのような同じ程度に参照によって本明細書に組み入れられる。しかしながら、本明細書での参考文献の引用は、そのような参考文献が本発明にとって従来技術であるという承認として解釈されるべきではない。参照によって組み入れられた参考文献で提供された定義又は用語のいずれかが本明細書で提供されている用語及び議論と異なる程度に、ここでの用語及び定義は規制する。
【0296】
同等物
上述の文書の明細書は、当業者が本発明を実践するのを可能にするのに十分であると考えられる。上述の記載及び例は本発明の特定の好まれる実施形態を詳述し、本発明者らによって熟考された最良の方法を記載している。しかしながら、どんなに詳細に上述のことが本文に現れても、本発明は多数の方法で実践されてもよく、本発明は添付の特許請求の範囲及びその同等物に従って解釈されるべきであることが十分に理解されるであろう。
【0297】
実施された実験及び達成された結果を含む以下の実施例は説明目的のみのために提供されるのであって本発明を限定すると解釈されるべきではない。
【実施例
【0298】
実施例1
Namalwa細胞、MV4;11細胞、及びHL60細胞(ATCC)及びEoL1細胞(Sigma-Aldrich)をRPMI1640(Lonza)+10%FBS(Corning)+1×ペニシリン、ストレプトマイシン、Lグルタミン(Corning)(R10)の培地で培養し、0.5~2.0×106個の細胞/mlの間の細胞密度で維持した。細胞表面のFLT3の発現を調べるために、細胞を染色緩衝液(BD Pharmingen)にて抗FLT3抗体(BD Pharmingen)又はIgG1アイソタイプ対照抗体(BD Pharmingen)と共に4℃で30分間インキュベートした。次いで細胞を洗浄し、データ取得に先立ってヨウ化プロピジウム(BD Pharmingen)と共に染色緩衝液に再浮遊させた。標的細胞上のFLT3の発現を図1に示す。
【0299】
実施例2
T7プロモータとCAR構築物とベータグロビン安定化配列とをコードするプラスミドを10μgのDNAのEcoRI及びBamH1(NEB)による一晩の消化によって線状化した。次いでプロテイナーゼK(Thermo Fisher,600U/ml)によって50℃で2時間DNAを消化し、フェノール/クロロホルムによって精製し、酢酸ナトリウムと2容量のエタノールを加えることによって沈殿させた。次いでペレットを乾燥させ、RNA分解酵素/DNA分解酵素を含まない水に再懸濁し、NanoDropを用いて定量した。次いで、製造元の指示書に従ってmMESSAGE mMACHINE T7 Ultra(Thermo Fisher)を用いた試験管内の転写に1μgの線状DNAを使用した。製造元の指示書に従ってMEGAClearキット(Thermo Fisher)を用いてRNAをさらに精製し、NanoDropを用いて定量した。mRNAの完全性をアガロースゲル上での移動度を用いて評価した。製造元の指示書によってFicoll-paque密度遠心分離を用いて健常ドナーの白血球濃縮物(leukopak)(Hemacare)からPBMCを単離した。R10培地+IL-2(300IU/ml,Proleukin(登録商標),Prometheus(登録商標)Therapeutics and Diagnostics)におけるOKT3(50ng/ml,Miltenyi Biotec)を用いてPBMCを刺激した。刺激の7日後、Opti-MEM培地(Thermo Fisher Scientific)で2回T細胞を洗浄し、2.5×107個の細胞/mlの最終濃度でOpti-MEM培地に再浮遊させた。エレクトロポレーション当たり10μgのmRNAを使用した。細胞のエレクトロポレーションは、Gemini X2 system(Harvard Apparatus BTX)を用いて行い、2mmのキュベット(Harvard Apparatus BTX)にて単回400Vのパルスを0.5ミリ秒間送達した。細胞を直ちにR10+IL-2培地に移し、6時間回復させた。CARの発現を調べるために、染色緩衝液(BD Pharmingen)におけるFLT-=3-HIS(Sino Biological Inc.)又はビオチン化タンパク質L(Thermo Scientific)でT細胞を4℃で30分間染色した。次いで細胞を洗浄し、染色緩衝液における抗-HIS-PE(Miltenyi Biotec)又はPEストレプトアビジン(BD Pharmingen)によって4℃で30分間染色した。次いで細胞を洗浄し、データ取得に先立ってヨウ化プロピジウム(BD Pharmingen)と共に染色緩衝液に再浮遊させた。エレクトロポレーションしたT細胞におけるFLT3 CARの発現は図2に示す。
【0300】
実施例3
エレクトロポレーションしたFLT3 CAR T細胞における細胞溶解活性を調べるために、R10培地にてエフェクター細胞を1:1のE:T比にて標的細胞と共に培養した。培養の16時間後、上清をLuminex(EMD Millipore)によって解析し、標的細胞の生存率をCD3陰性細胞によるヨウ化プロピジウム(PI)の取り込みのフローサイトメトリー解析によって評価した。エレクトロポレーションしたCAR T細胞における細胞溶解活性を図3に示し、サイトカイン産生を図4に示す。
【0301】
実施例4
異なるCAR構築物を含有する第3世代のレンチウイルス遺伝子導入ベクターは、ViraPower Lentiviral Packaging Mix(Life Technologies)と共に使用されてレンチウイルス上清を生成した。手短には、600μlのOptiMEM培地にて15μgのDNAと22.5μgのポリエチレンイミン(Poltsciences、1mg/ml)を混合することによって形質移入ミックスを生成した。ミックスを室温で5分間インキュベートした。同時に、293T細胞(ATCC)をトリプシン処理し、数え、10×106個の総数の全細胞を形質移入ミックスと共にT75フラスコに入れた。形質移入の3日後、上清を回収し、0.45μmのフィルターで濾過し、使用まで-80℃で保存した。製造元の指示書によってFicoll-paque密度遠心分離を用いて健常ドナーの白血球濃縮物(Hemacare)からPBMCを単離した。R10培地+IL-2(300IU/ml,Proleukin(登録商標),Prometheus(登録商標)Therapeutics and Diagnostics)におけるOKT3(50ng/ml,Miltenyi Biotec)を用いてPBMCを刺激した。刺激の48時間後、MOI=10でのレンチウイルスを用いて細胞に形質導入した。活性アッセイでの使用に先立って細胞を0.5~2.0×106個の細胞/mlで維持した。CARの発現を調べるために、染色緩衝液(BD Pharmingen)におけるFLT-3-HIS(Sino Biological Inc.)又はビオチン化タンパク質L(Thermo Scientific)によってT細胞を4℃で30分間染色した。次いで細胞を洗浄し、染色緩衝液における抗-HIS-PE(Miltenyi Biotec)又はPEストレプトアビジン(BD Pharmingen)によって4℃で30分間染色した。次いで細胞を洗浄し、データ取得に先立ってヨウ化プロピジウム(BD Pharmingen)と共に染色緩衝液に再浮遊させた。2人の健常ドナーに由来するT細胞におけるFLT3 CARの発現を図5に示す。
【0302】
実施例5
レンチウイルスで形質導入したFLT3 CAR T細胞における細胞溶解活性を調べるために、エフェクター細胞をR10培地にて1:1のE:T比で標的細胞と共に培養した。共培養の16時間後、上清をLuminex(EMD Millipore)によって分析し、標的細胞の生存率をCD3陰性細胞によるヨウ化プロピジウム(PI)取り込みのフローサイトメトリー解析によって評価した。2人の健常ドナーに由来するレンチウイルスで形質導入したCAR T細胞の平均細胞溶解活性を図6に示し、各健常ドナーに由来するCAR T細胞によるサイトカインの産生を図7に示す。
【0303】
実施例6
FLT3を発現している標的細胞に応答したCAR T細胞の増殖を評価するために、R10培地にて1:1のE:T比で標的細胞と共培養するのに先立って、T細胞をCFSEで標識した。5日後、CFSEの希釈のフローサイトメトリー解析によってT細胞の増殖を評価した。FLT3 CAR T細胞の増殖を図8に示す。
【0304】
実施例7
生体内での抗白血病活性を調べるために、ヒトAMLの異種モデルで使用するためにFLT3 CAR T細胞を生成した。ヒトAMLの異種モデルで使用した種々のエフェクターラインのCARの発現を図9に示す。ルシフェラーゼで標識したMV4;11細胞(2×106個/動物)を5~6週齢のメスNSGマウスに静脈内注射した。6日後、200μlのPBS中の6×106個のT細胞(約50%CAR+)を静脈内注射し、生物発光画像解析を用いて動物の腫瘍組織量を毎週測定した。図10に示すように、10E3-CD28T及び8B5-CD28Tを発現しているCAR T細胞の注射は調べたすべての時点で腫瘍組織量を有意に減らした。図11に示すように、10E3-CD28T又は8B5-CD28Tを発現しているCAR T細胞の注射が疑似対照で形質導入した細胞又は10E3-CD28もしくは10E3-CD8構築物を発現しているCAR T細胞を投与した動物に比べて有意な延命効果を付与したという生存率解析によってこれはさらに裏付けられた。有効性という点では、10E3-CD28T及び8B5-CD28Tの構築物間で有意差は観察されなかった。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【配列表】
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