(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-25
(45)【発行日】2024-10-03
(54)【発明の名称】継手融着システム及びこれに用いる電気融着装置並びに継手融着システムにおけるバッテリー残量判定方法
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20240926BHJP
B29C 65/34 20060101ALI20240926BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
H02J7/00 302A
B29C65/34
H01M10/48 P
H02J7/00 X
(21)【出願番号】P 2022096178
(22)【出願日】2022-06-15
【審査請求日】2023-05-30
(73)【特許権者】
【識別番号】523242745
【氏名又は名称】西尾レントオール株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000175021
【氏名又は名称】三井化学産資株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】597124707
【氏名又は名称】東邦システム株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】300091304
【氏名又は名称】株式会社 ラインアイ
(74)【代理人】
【識別番号】100102048
【氏名又は名称】北村 光司
(74)【代理人】
【識別番号】100146503
【氏名又は名称】高尾 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 泰典
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 剛史
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 雅也
(72)【発明者】
【氏名】冨田 知孝
(72)【発明者】
【氏名】有吉 和久
【審査官】宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-184322(JP,A)
【文献】特開2002-017056(JP,A)
【文献】特開2008-155564(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2001/0050278(US,A1)
【文献】特開2004-187343(JP,A)
【文献】特開2018-191393(JP,A)
【文献】特開2005-176550(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C65/34
F16L47/02
H01M10/42-10/48
H01M50/20-50/298
H02J7/00-7/12
H02J7/34-11/00
H02M7/42-7/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂管が挿入された継手本体の電熱線を通電発熱させて前記樹脂管と前記継手本体とを融着させる電気融着装置と、前記電気融着装置に電力を供給する電源装置とを備えた継手融着システムであって、
前記電源装置は、バッテリーと、前記バッテリーの残量を監視し制御するバッテリー制御部と、前記電力を交流として出力する交流出力部とを備え、
前記電気融着装置は、前記融着を監視し制御する電気融着制御部と、前記交流を測定する測定部とを備え、
前記交流出力部は、前記バッテリーの残量に応じて前記交流の周波数及び/又は電圧を変化させて出力し、
前記測定部は、出力された交流の周波数及び/又は電圧を測定し、
前記電気融着制御部は、測定した前記交流の周波数及び/又は電圧に基づいて、前記バッテリーの残量状況を判定し、且つ、前記測定した前記交流の周波数及び/又は電圧が所定値以下の場合に、次回の電気融着を不能とさせる継手融着システム。
【請求項2】
前記電気融着装置は前記電源装置及び商用電源の双方で使用可能であり、前記交流出力部は、商用電源の周波数とは異なる周波数及び/又は商用電源の電圧とは異なる電圧にて前記交流を出力する請求項1記載の継手融着システム。
【請求項3】
前記バッテリー制御部は、前記バッテリーの残量に応じて設定された複数の段階で判定し、前記交流出力部は、判定された段階に応じて設定された出力値で前記交流の周波数及び/又は電圧を出力する請求項1又は2記載の継手融着システム。
【請求項4】
前記電気融着装置及び前記電源装置の状態を表示する表示装置をさらに備え、前記電気融着制御部は、判定した前記残量状況を前記表示装置に表示する請求項1又は2記載の継手融着システム。
【請求項5】
請求項1又は2記載の継手融着システムで用いられる電気融着装置であって、
前記融着を監視し制御する電気融着制御部と、前記交流を測定する測定部とを備え、
前記測定部は、出力された交流の周波数及び/又は電圧を測定し、
前記電気融着制御部は、測定した前記交流の周波数及び/又は電圧に基づいて、前記バッテリーの残量状況を判定し、且つ、前記測定した前記交流の周波数及び/又は電圧が所定値以下の場合に、次回の電気融着を不能とさせる継手融着システムで用いられる電気融着装置。
【請求項6】
樹脂管が挿入された継手本体の電熱線を通電発熱させて前記樹脂管と前記継手本体とを融着させる電気融着装置と、前記電気融着装置に電力を供給する電源装置とを備えた継手融着システムにおけるバッテリー残量判定方法であって、
前記電源装置は、バッテリーと、前記バッテリーの残量を監視し制御するバッテリー制御部と、前記電力を交流として出力する交流出力部とを備え、
前記電気融着装置は、前記融着を監視し制御する電気融着制御部と、前記交流を測定する測定部とを備え、
前記交流出力部は、前記バッテリーの残量に応じて前記交流の周波数及び/又は電圧を変化させて出力し、
前記測定部は、出力された交流の周波数及び/又は電圧を測定し、
前記電気融着制御部は、測定した前記交流の周波数及び/又は電圧に基づいて、前記バッテリーの残量状況を判定する継手融着システムにおけるバッテリー残量判定方法。
【請求項7】
前記電気融着装置は前記電源装置及び商用電源の双方で使用可能であり、前記交流出力部は、商用電源の周波数とは異なる周波数及び/又は商用電源の電圧とは異なる電圧にて前記交流を出力する請求項6記載の継手融着システムにおけるバッテリー残量判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、継手融着システム及びこれに用いる電気融着装置並びに継手融着システムにおけるバッテリー残量判定方法に関する。さらに詳しくは、樹脂管が挿入された継手本体の電熱線を通電発熱させて前記樹脂管と前記継手本体とを融着させる電気融着装置と、前記電気融着装置に電力を供給する電源装置とを備えた継手融着システム及びこれに用いる電気融着装置並びに継手融着システムにおけるバッテリー残量判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、上述の如き継手融着システムとして、例えば特許文献1に記載の如きものが知られており、商用電源に接続して使用される。一方、例えば特許文献2に記載の如き電気融着器は、バッテリーを内蔵し商用電源に接続せずに使用可能に構成している。そして、バッテリーのマイコンとの通信手段を設けてバッテリー残量を把握している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平9-277382号公報
【文献】特許6486398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かかる従来の実情に鑑みて、本発明は、商用電源、発電機、バッテリー電源のいずれにおいて使用可能で且つ融着不良(施工不良)を防止することが可能な継手融着システム及びこれに用いる電気融着装置並びに継手融着システムにおけるバッテリー残量判定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明に係る継手融着システムの特徴は、樹脂管が挿入された継手本体の電熱線を通電発熱させて前記樹脂管と前記継手本体とを融着させる電気融着装置と、前記電気融着装置に電力を供給する電源装置とを備えた構成において、前記電源装置は、バッテリーと、前記バッテリーの残量を監視し制御するバッテリー制御部と、前記電力を交流として出力する交流出力部とを備え、前記電気融着装置は、前記融着を監視し制御する電気融着制御部と、前記交流を測定する測定部とを備え、前記交流出力部は、前記バッテリーの残量に応じて前記交流の周波数及び/又は電圧を変化させて出力し、前記測定部は、出力された交流の周波数及び/又は電圧を測定し、前記電気融着制御部は、測定した前記交流の周波数及び/又は電圧に基づいて、前記バッテリーの残量状況を判定し、且つ、前記測定した前記交流の周波数及び/又は電圧が所定値以下の場合に、次回の電気融着を不能とさせることにある。
【0006】
上記構成よれば、電源装置は、バッテリーの残量を監視し制御するバッテリー制御部と、電力を交流として出力する交流出力部とを備え、交流出力部は、バッテリーの残量に応じて交流の周波数及び/又は電圧を変化させて出力する。よって、交流の出力のみでバッテリーの残量情報を電気融着装置に伝達(出力)することができ、構造が簡素で有りながらバッテリー(電源)の識別とバッテリー残量の把握が容易となる。そして、電気融着装置は、融着を監視し制御する電気融着制御部と、交流を測定する測定部とを備え、電気融着制御部は、測定した交流の周波数及び/又は電圧に基づいて、バッテリーの残量状況を判定し、且つ、測定した交流の周波数及び/又は電圧が所定値以下の場合に、次回の電気融着を不能とさせる。従って、作業中にバッテリー切れが生じることがなく、融着不良(施工不良)を防止することが可能となる。
【0007】
上記構成において、前記電気融着装置は前記電源装置及び商用電源の双方で使用可能であり、前記交流出力部は、商用電源の周波数とは異なる周波数及び/又は商用電源の電圧とは異なる電圧にて前記交流を出力するとよい。これにより、接続された電源が本発明に係る電源装置であるか、商用電源、発電機及びその他のバッテリー電源であるかを容易に識別でき、しかも、その識別結果に応じて、例えば測定モードを異ならせる等、電源種別に応じた制御も可能となる。
【0008】
上記いずれかの構成において、前記バッテリー制御部は、前記バッテリーの残量に応じて設定された複数の段階で判定し、前記交流出力部は、判定された段階に応じて設定された出力値で前記交流の周波数及び/又は電圧を出力するとよい。これにより、バッテリーの残量を容易に把握することができる。
【0009】
また、前記電気融着装置及び前記電源装置の状態等を表示する表示装置をさらに備え、前記電気融着制御部は、判定した前記残量状況を前記表示装置に表示するとよい。これにより、バッテリーの残量を視覚的により容易に把握することができる。
【0010】
上記目的を達成するため、本発明に係る電気融着装置の特徴は、上記に記載の継手融着システムで用いられる電気融着装置において、前記融着を監視し制御する電気融着制御部と、前記交流を測定する測定部とを備え、前記測定部は、出力された交流の周波数及び/又は電圧を測定し、前記電気融着制御部は、測定した前記交流の周波数及び/又は電圧に基づいて、前記バッテリーの残量状況を判定し、且つ、前記測定した前記交流の周波数及び/又は電圧が所定値以下の場合に、次回の電気融着を不能とさせることにある。
【0012】
上記目的を達成するため、本発明に係る継手融着システムにおけるバッテリー残量判定方法の特徴は、樹脂管が挿入された継手本体の電熱線を通電発熱させて前記樹脂管と前記継手本体とを融着させる電気融着装置と、前記電気融着装置に電力を供給する電源装置とを備えた継手融着システムにおけるバッテリー残量判定方法において、前記電源装置は、バッテリーと、前記バッテリーの残量を監視し制御するバッテリー制御部と、前記電力を交流として出力する交流出力部とを備え、前記電気融着装置は、前記融着を監視し制御する電気融着制御部と、前記交流を測定する測定部とを備え、前記交流出力部は、前記バッテリーの残量に応じて前記交流の周波数及び/又は電圧を変化させて出力し、前記測定部は、出力された交流の周波数及び/又は電圧を測定し、前記電気融着制御部は、測定した前記交流の周波数及び/又は電圧に基づいて、前記バッテリーの残量状況を判定することにある。
【0013】
係る場合、前記電気融着装置は前記電源装置及び商用電源の双方で使用可能であり、前記交流出力部は、商用電源の周波数とは異なる周波数及び/又は商用電源の電圧とは異なる電圧にて前記交流を出力するとよい。
【発明の効果】
【0014】
上記本発明に係る継手融着システム及びこれに用いる電気融着装置並びに継手融着システムにおけるバッテリー残量判定方法の特徴によれば、商用電源、発電機、バッテリー電源のいずれにおいて使用可能で且つ融着不良(施工不良)を防止することが可能となった。
【0015】
本発明の他の目的、構成及び効果については、以下の発明の実施の形態の項から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係る継手融着システムを示す概略図である。
【
図2】本発明に係る継手融着システムのブロック図である。
【
図3】バッテリー残量と出力電圧との関係を示す図である。
【
図4】バッテリーの識別手順を示すフローチャートである。
【
図5】バッテリーの残量判定手順を示すフローチャートである。
【
図6】通常モードにおける表示装置での表示画面の一例を示す図であり、(a)は融着作業前、(b)は融着中の画面を示す。
【
図7】バッテリーモードにおける表示装置での表示画面の一例を示す図であり、(a)は融着作業前で充電が十分である場合、(b)は融着作業前で充電が少ない場合、(c)は融着中、(d)はバッテリー切れの画面を示す。
【
図8】バッテリー残量と出力周波数との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、適宜添付図面を参照しながら、本発明をさらに詳しく説明する。
本発明に係る継手融着システム1は、
図1,2に示すように、大略、樹脂管101が挿入された継手本体102の電熱線103を通電発熱させて樹脂管101と継手本体102とを融着させる電気融着装置3と、電気融着装置3に電力を供給する電源装置2とを備える。電源装置2は、電気融着装置3とは別体で、電源ケーブル4を介して接続される。また、電気融着装置3には、融着ケーブル6を介して接続されたコネクタ5と、樹脂管101や継手本体102に取り付けられたバーコードを読み取るバーコードリーダ7が設けられている。
【0018】
[電気融着継手100]
図1,2に示すように、電気融着継手100の継手本体102には、その内面に電熱線103が設けられてあり、外面にはターミナル104が設けられている。ターミナル104の内部には、電熱線103と接続するターミナルピン105が設けられている。よって、コネクタ5をターミナル104に装着することで、ターミナルピン105を介して電熱線103が通電可能となる。
【0019】
[電源装置2]
図1,2に示すように、電源装置2は、大略、バッテリー20と、バッテリー20の残量を監視し制御するバッテリー制御部21と、電力を交流として出力する交流出力部22とを備える。バッテリー制御部21は、電源監視装置23を介してバッテリー20に接続されてあり、電源監視装置23からの入力に基づいて交流出力部22の出力を調整する。これにより、交流出力部22は、バッテリー20の残量に応じて交流の周波数及び/又は電圧を変化させて出力することができる。
【0020】
例えば、
図3に示すように、バッテリー20の残量に応じて電圧を変えて出力することができる。この例では、バッテリー残量が70%以上では114V、70%未満~40%以上では111V、40%未満~15%以上では108V、15%未満では105Vの交流が出力される。このように、バッテリー20の残量に応じて複数の段階毎に出力電圧を予め設定しておくことで、容易にバッテリー残量を把握することができる。また、マイコン等を設けてバッテリー残量データを記憶、出力する必要もなく、構造も簡素となる。
【0021】
また、同図に示される出力電圧は、一例であるが、商用電源の100V又は200V以外の電圧とする。これにより、接続された電源が本発明に係る電源装置2であるか、商用電源、発電機及びその他のバッテリー電源であるかを容易に識別できる。
【0022】
このように、交流出力部22は、バッテリー20からの直流を交流に変換すると共に上記の如く出力する電圧及び/又は周波数を調整して(可変させ)、コンセント24を介して外部へ交流を出力する。
【0023】
[電気融着装置3]
図1,2に示すように、電気融着装置3は、大略、融着を監視し制御する電気融着制御部30と、交流を測定する測定部31とを備える。本実施形態において、測定部31は、交流の電圧を測定する電圧測定部31aと交流の周波数を測定する周波数測定部31bとを有し、交流出力部22から出力された交流の電圧及び/又は周波数を測定する。電圧測定部31a又は周波数測定部31bによって、電気融着制御部30は、測定した交流の周波数及び/又は電圧に基づいて、バッテリー20の残量状況を判定することが可能となる。
【0024】
また、電気融着装置3は、電気融着装置3及び電源装置2の状態等を表示する表示装置32をさらに備え、電気融着制御部30からの出力に基づいて、判定したバッテリー20の残量状況等を表示する。
【0025】
さらに、電気融着装置3は、電源ケーブル4からの電力供給のオンオフを切り替える電源スイッチ33、整流器34、電気融着制御部30からの出力に応じて電力供給のオンオフを切り替えるスイッチング素子35、ダイオード36、チョークコイル37を有し、これらを介して電源装置2から融着ケーブル6へ電力(交流)が供給される。よって、電気融着制御部30は、測定した交流の周波数及び/又は電圧が所定値以下の場合に、スイッチング素子35により電力供給をオフにして、次回の電気融着を不能とさせる。
【0026】
[バッテリー識別方法]
次に、バッテリーの識別方法について、
図3~5を参照しながら説明する。
そして、電気融着制御部30は、出力電圧によって、本発明に係る電源装置2であると判定した場合は、「バッテリーモード」に切り替え、商用電源等(本発明に係る電源装置2以外)の場合は、「通常モード」に切り替える。
【0027】
[バッテリー識別及び残量判定方法]
次に、バッテリーの識別及びバッテリーの残量判定方法について、
図3~5を参照しながら説明する。
まず、電気融着装置3の電源がオンになると、電圧測定部31aは電気融着装置3に入力された交流の電圧(電源電圧)を測定し、電気融着制御部30にその測定値を出力する。上述したように、本発明に係る電源装置2の場合、
図3の例では、交流出力部22は、バッテリー20の残量に応じて114V、111V、108V、105Vの交流を電気融着装置3へ出力(供給)する。よって、電気融着制御部30は、電圧測定部31aが測定した電圧が105V以上であれば、電気融着装置3に接続された外部電源が本発明に係る電源装置2であると判定し、後述の「バッテリーモード」とする。
【0028】
他方、電圧測定部31aが測定した電圧が105V未満であれば、電気融着制御部30は、本発明に係る電源装置2以外の電源(商用電源、発電機及びその他のバッテリー電源)と判定し、「通常モード」として、作業者が融着作業を繰り返し行えるようにする。「通常モード」の場合、表示装置32には、例えば、
図6(a),(b)に示す如く情報が表示される。このように、測定する電圧値のみで、外部電源が本発明に係る電源装置2かそれ以外の電源かを識別でき、且つ、本発明に係る電源装置2に限らず、商用電源、発電機及びその他のバッテリー電源であっても、電源装置2として融着作業を行える。
【0029】
次に、電気融着制御部30は、測定した電圧が108V未満か否かを判定する。測定した電圧が108V以上である場合、電気融着制御部30は、外部電源が本発明に係る電源装置2であると判定し、その測定した電圧値に基づいて、バッテリー残量を判定し、表示装置32に表示する。
【0030】
ここで、交流出力部22は、
図3に示すように、バッテリー残量が70%以上では114V、70%未満~40%以上では111V、40%未満~15%以上では108Vの交流が出力され、バッテリー残量に応じて3段階の出力値が設定されている。よって、電気融着制御部30は、測定した電圧値に対応する段階に応じて、例えば
図7(a),(b)に示す如き電池のアイコンにて、バッテリー残量を段階的に表示装置32に表示する。このように、出力電圧を変化させるだけでバッテリー残量が容易に判定でき、視覚的に容易に確認できる。そして、作業者が融着作業を行い、その後、電圧測定部31aが電圧を測定し、電気融着制御部30が測定した電圧が108V未満か否かを判定する。これは、測定した電圧が108V未満となるまで繰り返し行われる。なお、融着中は、例えば、
図7(c)に示す如き画面が、表示装置32に表示される。
【0031】
他方、測定した電圧が108V未満の場合、
図3の例では、バッテリー残量が15%未満の場合である。電気融着制御部30は、バッテリー残量不足(バッテリー切れ)と判定し、例えば
図7(d)に示す如き電池のアイコンや文字にて、表示装置32に表示し、作業者にバッテリー残量不足の警告を行う。また、電気融着制御部30は、スイッチング素子35を切り替えて融着ケーブル4への電力供給を遮断して、融着作業を行えないようにインターロックを行う。このように、電圧値を測定しておくことで、バッテリー切れによる施工不良を回避することができ、融着の品質低下を防止することができる。
【0032】
最後に、本発明の他の実施形態の可能性について言及する。なお、上述の実施形態と同様の部材には同一の符号を附してある。
上記実施形態において、電源装置2の交流出力部22は、バッテリー20の残量に応じて交流の電圧を3段階に変化させて電気融着装置3へ出力(供給)し、電圧測定部31aが電気融着装置3に入力された交流の電圧(電源電圧)を測定し、電気融着制御部30がバッテリー残量を判定した。しかし、交流出力部22は、電圧ではなく、周波数を変化させるようにすることも可能である。そして、周波数測定部31bが電気融着装置3に入力された交流の周波数を測定し、電気融着制御部30がその周波数に応じてバッテリー残量を判定する。
【0033】
係る場合、例えば、
図8に示すように、バッテリー残量が70%以上では57Hz、70%未満~40%以上では56Hz、40%未満~15%以上では55Hzの交流が出力され、バッテリー残量に応じて3段階の出力値が設定されている。そして、バッテリー残量が15%未満では54Hzの交流が出力される。電圧に代えて、バッテリー20の残量に応じて複数の段階毎に出力周波数を予め設定しておくことで、上記実施形態と同様に容易にバッテリー残量を把握することができ、構造も簡素となる。
【0034】
また、同図に示される出力周波数は、一例であるが、商用電源の50Hz又は60Hz以外の周波数とする。これにより、接続された電源が本発明に係る電源装置2であるか、商用電源、発電機及びその他のバッテリー電源であるかを容易に識別できる。
【0035】
そして、電気融着装置3の電源がオンになると、周波数測定部31bが電気融着装置3に入力された交流の周波数(電源周波数)を測定し、電気融着制御部30にその測定値を出力する。よって、電気融着制御部30は、周波数測定部31bが測定した周波数が54Hz以上であれば、電気融着装置3に接続された外部電源が本発明に係る電源装置2であると判定し、「バッテリーモード」とする。他方、周波数測定部31bが測定した電圧が54Hz未満であれば、電気融着制御部30は、本発明に係る電源装置2以外の電源と判定し、「通常モード」として、作業者が融着作業を繰り返し行えるようにする。
【0036】
次に、電気融着制御部30は、測定した周波数が55Hz未満か否かを判定する。測定した電圧が55Hz以上である場合、電気融着制御部30は、外部電源が本発明に係る電源装置2であると判定し、その測定した周波数値に基づいて、バッテリー残量を判定し、残量等を表示装置32に表示する。他方、測定した電圧が55Hz未満の場合、電気融着制御部30は、バッテリー残量不足(バッテリー切れ)と判定し、表示装置32に表示し、作業者にバッテリー残量不足の警告を行う。また、電気融着制御部30は、スイッチング素子35を切り替えて融着ケーブル4への電力供給を遮断して、融着作業を行えないようにインターロックを行う。このように、電圧に代えて、周波数を変化させても同様に構成することができる。
【0037】
なお、上記実施形態において、測定部31は、交流の電圧を測定する電圧測定部31aと交流の周波数を測定する周波数測定部31bとを有したが、いずれか一方だけでも構わない。また、上述の例では、いずれも4段階に分けて交流の電圧又は周波数を変化(設定)させたが、これに限らず、さらに細かく段階を設定してもよく、電圧又は周波数に応じて無段階で変化させても構わない。もちろん、上述及び図面上の設定値は一例に過ぎず、記載の値に限定されるものではない。
【0038】
上記各実施形態において、電源装置2は、電気融着装置3とは別体で設けたが、電気融着装置3に内蔵させてもよい。また、表示装置32は電気融着装置3と一体に設けてあるが、別体で設けることも可能である。
【符号の説明】
【0039】
1:継手融着システム、2:電源装置(外部バッテリー電源)、3:電気融着装置(EFコントローラ)、4:融着ケーブル、5:コネクタ、6:電源ケーブル、6a:プラグ、7:バーコードリーダ、
20:バッテリー、21:バッテリー制御部、22:交流出力部、23:電源監視装置(BMS)、24:コンセント、30:電気融着制御部、31:測定部、31a:電圧測定部、31b:周波数測定部、32:表示装置、33:電源スイッチ、34:整流器、35:スイッチング素子、36:ダイオード、37:チョークコイル、100:電気融着継手、101:樹脂管、102:継手本体、103:電熱線、104:ターミナル、105:ターミナルピン