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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-25
(45)【発行日】2024-10-03
(54)【発明の名称】肌処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/06 20060101AFI20240926BHJP
   A61N 1/36 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
A61N1/06
A61N1/36
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022127649
(22)【出願日】2022-08-10
(62)【分割の表示】P 2022114375の分割
【原出願日】2022-07-15
(65)【公開番号】P2023164237
(43)【公開日】2023-11-10
【審査請求日】2023-04-12
(31)【優先権主張番号】P 2022075450
(32)【優先日】2022-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000114628
【氏名又は名称】ヤーマン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】岸 柾毅
(72)【発明者】
【氏名】福井 壮一郎
【審査官】段 吉享
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-016517(JP,A)
【文献】特開2021-133160(JP,A)
【文献】国際公開第2021/167109(WO,A1)
【文献】特開2019-037451(JP,A)
【文献】特開2020-156558(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/06
A61N 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの肌に当接可能な複数の電極と、
前記複数の電極に電気的に接続される電源と、
前記電源に基づいて、前記複数の電極の少なくとも一部を介して肌に印加可能な1つ以上の出力波形を生成する電気回路部とを含み、
処理対象部位が第1部位である場合に時分割で2種類以上の出力波形を印加し、かつ、前記処理対象部位が前記第1部位とは異なる第2部位である場合に時分割で2種類以上の出力波形を印加し、
前記第1部位に印加される前記2種類以上の出力波形は、前記第2部位に印加される前記2種類以上の出力波形に含まれない種類の出力波形を含み、かつ、前記第2部位に印加される前記2種類以上の出力波形は、前記第1部位に印加される前記2種類以上の出力波形に含まれない種類の出力波形を含む、肌処理装置。
【請求項2】
前記第1部位に印加される前記2種類以上の出力波形を印加する持続時間は、前記処理対象部位が、前記第1部位である場合と、前記第2部位である場合とで、異なる、請求項1に記載の肌処理装置。
【請求項3】
前記第1部位に印加される前記2種類以上の出力波形は、筋電気刺激用の出力波形を含み、前記筋電気刺激用の出力波形は、前記処理対象部位に含まれる筋肉の特性に応じて適合される、請求項1に記載の肌処理装置。
【請求項4】
前記第1部位及び前記第2部位に印加される前記2種類以上の出力波形は、高周波の出力波形と筋電気刺激用の出力波形とを含み、
前記高周波の出力波形及び前記筋電気刺激用の出力波形は、互いに同期する態様で、前記処理対象部位の変化に応じて、それぞれ異なる特性の出力波形へと変化するよう制御される、請求項1に記載の肌処理装置。
【請求項5】
前記第2部位に印加される前記2種類以上の出力波形は、前記複数の電極のうちの共通の電極を介して出力されるの出力波形を含む、請求項1から4のうちのいずれか1項に記載の肌処理装置。
【請求項6】
ユーザの肌に当接可能な複数の電極を有する肌処理装置を制御するプログラムであって、
前記肌処理装置の動作を制御するコンピュータに、
前記複数の電極が当たる部位又は前記複数の電極を当てるべき肌の部位である処理対象部位を特定し、
前記処理対象部位が第1部位である場合に時分割で2種類以上の出力波形を印加し、かつ、前記処理対象部位が前記第1部位とは異なる第2部位である場合に時分割で2種類以上の出力波形を印加する
処理を実行させ、
前記第1部位に印加される前記2種類以上の出力波形は、前記第2部位に印加される前記2種類以上の出力波形に含まれない種類の出力波形を含み、かつ、前記第2部位に印加される前記2種類以上の出力波形は、前記第1部位に印加される前記2種類以上の出力波形に含まれない種類の出力波形を含む、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、肌処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
4つの同心状の円環状の電極を利用して低周波の出力波形と高周波の出力波形とを肌に印加する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2021/167109号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、出力波形を肌に印加する場合、肌処理装置を当てる部位ごとに最適な出力波形を印加できると有用である。
【0005】
そこで、本開示は、肌処理装置を当てる部位ごとに最適な出力波形を印加可能とすることを含む。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの側面では、ユーザの肌に当接可能な複数の電極と、
前記複数の電極に電気的に接続される電源と、
前記電源に基づいて、前記複数の電極の少なくとも一部を介して肌に印加可能な1つ以上の出力波形を生成する電気回路部とを含み、
前記1つ以上の出力波形は、前記複数の電極が当たる部位又は前記複数の電極を当てるべき肌の部位である処理対象部位が、第1部位である場合と、前記第1部位とは異なる第2部位である場合とで、異なる、肌処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、肌処理装置を当てる部位ごとに最適な出力波形を印加可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態の肌処理装置の外観を示す斜視図である。
図2】肌処理装置のヘッド部の説明図であり、電極配置を示す正面図である。
図3】一例による制御系の概略的な構成図である。
図4】異なる深さで肌に作用する2種類の出力波形の概念的な説明図である。
図5】高周波出力生成部により生成される出力波形の変化パターンの説明図である。
図5A】高周波出力生成部により生成される出力波形の変化パターンの他の例の説明図である。
図6】動作モードの一例の説明図であり、横軸を時間とした時系列で、出力波形のパターン(変化パターン)が示されている。
図7図6の動作モードの効果の説明図である。
図8】他の動作モードの一例の説明図である。
図9A】顔部の複数の部位の区分の説明図である。
図9B】顔部の各種筋肉の説明図である。
図10】特定の対象部位ごとに高周波の出力波形及び低周波等の出力波形を同時に印加可能とする動作モードの説明図である。
図11】リアルタイムの画像処理との連携の説明図である。
図12A】変形例による電極配置を示す説明図である。
図12B】他の変形例による電極配置を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら各実施形態について詳細に説明する。
【0010】
図1は、本実施形態の肌処理装置1の外観を示す斜視図であり、図2は、肌処理装置1のヘッド部3の説明図であり、電極配置を示す正面図である。
【0011】
本実施形態の肌処理装置1は、美顔器の形態であり、ユーザの顔部の肌に美容関連効果を付与するように構成される。ただし、変形例では、肌処理装置1は、ユーザの顔部に加えて又は代えて、ユーザの顔部以外に同様の美容関連効果を付与するように構成されてもよい。また、肌処理装置1は、美容関連効果とは異なる効果(例えば医薬品の経皮吸収の促進効果)を付与するために利用されてもよい。
【0012】
美容関連効果は、任意であり、たるみの解消や、引き締め、脂肪燃焼、リフトアップ、小顔化、肌のハリやツヤ、潤いの向上又はその類の1つ以上の任意の組み合わせを含んでよい。また、美容関連効果は、数値化可能な効果であってもよいし、数値化可能でない効果であってもよい。
【0013】
本実施形態の肌処理装置1は、ユーザの肌に当接する複数の電極を介して各種出力を付与することで、ユーザの肌に美容関連効果を付与するように構成される。
【0014】
本実施形態の肌処理装置1は、ユーザの手により把持可能な携帯型であるが、固定機器にアーム等を介して可動に支持される可動式に適用されてもよい。
【0015】
肌処理装置1は、把持部2と、ヘッド部3とを含む。この場合、ユーザは、把持部2を挟持して、ヘッド部3を自身の顔部や他人(例えば患者)の顔部における所望の部位に当てることで、所望の部位に対して肌処理装置1からの各種出力を付与できる。
【0016】
把持部2は、ユーザの手で把持されやすい形態を有する。把持部2には、電源のオン/オフボタンやモード切替ボタン、強さ調整ボタン等のような各種ボタンを含むユーザインターフェイス20を含んでよい。なお、各種ボタンは、機械式のボタンであってもよいし、タッチスイッチであってもよい。また、把持部2には、肌処理装置1の状態等を表示する表示部(図示せず)が設けられてもよい。また、把持部2は、ユーザの手に触れる電極(図示せず)が設けられてもよい。
【0017】
ヘッド部3は、把持部2の端部に設けられる。なお、ヘッド部3は、把持部2に対して固定されてもよいし、取り外し可能であってもよいし、把持部2に対して可動であってもよい。
【0018】
ヘッド部3は、ユーザの肌に当接可能であり、ユーザの肌に当接されるのに適した形態を有する。例えば、ヘッド部3は、略平面状(比較的大きい曲率半径の曲面状を含む)の当接面3aを有してよい。当接面3aは、側面視で略直線に近似できる平面である。正面視での当接面3aの形態(当接面3aに対して垂直な方向に視たときの形態)は、矩形や円形、楕円形、多角形等のような任意であり、本実施形態では、一例として、図2に示すように、円形である。
【0019】
ヘッド部3は、当接面3aに配置される複数の電極30を有する。複数の電極30は、ユーザの肌に当接しやすいように、ヘッド部3の当接面3aの基本面よりも僅かに突出した形態であってもよい。
【0020】
本実施形態では、複数の電極30は、ヘッド部3の当接面3aの中心Cを中心として、円環状に配置される。以下、径方向及び周方向に係る用語は、当接面3aを正面視したとき(当接面3aに対して垂直な方向に視たとき)の、当接面3aの中心Cを中心とした円形を基準とする。例えば、径方向内側とは、径方向で当接面3aの中心Cに近い側を表す。また、以下では、複数の電極30の個数や一の電極の単位は、連続した形態を1つとする。
【0021】
本実施形態では、複数の電極30は、第1電極31、第2電極32、第3電極33、第4電極34、及び第5電極35を含む。
【0022】
第1電極31、第2電極32及び第3電極33は、後述するように、加温作用(又は加熱作用、以下同様)を有する高周波の出力波形を、ユーザの肌に印加するための電極群(以下、「高周波出力波形用の電極群」とも称する)を形成する。
【0023】
第1電極31は、円形の形態であってよい。第1電極31は、中心Cに中心が一致する態様で配置されてよい。
【0024】
第2電極32及び第3電極33は、それぞれ、円環状の形態であってよい。第2電極32及び第3電極33は、中心Cに対して同心状に配置されてよい。なお、図2に示す例では、第2電極32及び第3電極33は、それぞれ、周方向で連続した円環状の形態であるが、周方向で局所的に分断された円環状の形態(例えばU字状の形態)であってもよい。
【0025】
第2電極32は、第1電極31の径方向外側に配置され、第3電極33は、第2電極32の径方向外側に配置される。この場合、第1電極31、第2電極32及び第3電極33は、径方向内側から順に、第1電極31、第2電極32、及び第3電極33となる関係で、中心Cに対して同心状に配置されてよい。
【0026】
径方向で第1電極31と第2電極32との間の距離d1と、径方向で第3電極33と第2電極32との間の距離d2との間の差分は、好ましくは、距離d1の10%以下である。本実施形態では、好ましい例として、径方向で第1電極31と第2電極32との間の距離d1は、径方向で第3電極33と第2電極32との間の距離d2と等しい(すなわち距離d1と距離d2の差分は0である)。なお、距離d1は、中心Cを基準とした第1電極31の外径と、中心Cを基準とした第2電極32の内径との間の差分に対応する。同様に、距離d2は、中心Cを基準とした第2電極32の外径と、中心Cを基準とした第3電極33の内径との間の差分に対応する。
【0027】
第4電極34及び第5電極35は、筋電気刺激作用を有する低周波の出力波形を、ユーザの肌に印加するための対の電極(以下、「低周波出力波形用の電極群」とも称する)を形成する。
【0028】
第4電極34及び第5電極35は、それぞれ、円環状の形態であってよい。第4電極34及び第5電極35は、中心Cに対して同心状に配置されてよい。なお、図2に示す例では、第4電極34及び第5電極35は、それぞれ、周方向で連続した円環状の形態であるが、周方向で局所的に分断された円環状の形態であってもよい。
【0029】
第4電極34は、第1電極31の径方向外側かつ第2電極32の径方向内側に配置される。すなわち、第4電極34は、径方向で第1電極31と第2電極32の間に配置される。第5電極35は、第2電極32の径方向外側かつ第3電極33の径方向内側に配置される。すなわち、第5電極35は、径方向で第2電極32と第3電極33の間に配置される。
【0030】
本実施形態では、径方向で第4電極34及び第5電極35との間の距離d3は、上述した距離d1や距離d2と同様であってもよいし、上述した距離d1や距離d2とは有意に異なってもよい。なお、距離d3は、中心Cを基準とした第4電極34の外径と、中心Cを基準とした第5電極35の内径との間の差分に対応する。
【0031】
図3は、一例による制御系100の概略的な構成図である。図4は、異なる深さで肌に作用する2種類の出力波形の概念的な説明図である。図5は、高周波出力生成部112により生成される出力波形の変化パターンの説明図である。図3には、制御系100に加えて、出力側の第1電極31から第5電極35とともに、入力側のユーザインターフェイス20が併せて示されている。図4には、模式的なヘッド部3の断面とともに、ヘッド部3に接触する肌の断面が模式的に示されている。また、図4には、第1電極31、第2電極32及び第3電極33から肌に印加される出力波形(後述するローレンジRF波形W1及びハイレンジRF波形W2)が模式的に示されている。図5には、横軸を時間として、出力波形の変化パターンが示されている。
【0032】
制御系100は、制御装置110と、高周波出力生成部112と、低周波出力生成部114を含む。制御装置110は、マイクロコンピュータのようなコンピュータにより形成されてもよい。高周波出力生成部112及び低周波出力生成部114は、電源(図示せず)に電気的に接続される電気回路により形成されてよい。なお、電源は、肌処理装置1に内蔵される電源であってよいし、外部電源であってもよい。
【0033】
制御装置110は、ユーザインターフェイス20からのユーザ入力に基づいて、高周波出力生成部112及び低周波出力生成部114を制御することで、第1電極31から第5電極35を介して各種出力波形を生成する。
【0034】
なお、ユーザインターフェイス20は、上述した各種ボタンのようなユーザインターフェイスを含んでよい。なお、ユーザインターフェイス20は、その他のユーザインターフェイスとして、ジェスチャー入力及び/又は音声入力が可能な入力装置を含んでもよい。また、ユーザインターフェイス20は、ユーザ端末(例えばスマートフォン)におけるユーザインターフェイスを含んでよい。この場合、制御装置110は、ユーザ端末との間で、例えばBluetooth(登録商標)等に準拠した通信を介してユーザ入力を取得してよい。この場合、ユーザは、ユーザ端末を介して肌処理装置1を操作できる。
【0035】
高周波出力生成部112は、第1電極31、第2電極32及び第3電極33に電気的に接続される。高周波出力生成部112は、制御装置110による制御下で、第1電極31、第2電極32及び第3電極33を介して、加温作用を有する高周波の出力波形であって、ユーザの肌に印加可能な出力波形(以下、単に「高周波出力波形」とも称する)を生成する。
【0036】
この場合、高周波出力生成部112は、好ましくは、第1電極31と第2電極32を第1対として、高周波出力波形を生成するとともに、第2電極32と第3電極33を第2対として、高周波出力波形を生成する。すなわち、高周波出力生成部112は、好ましくは、第2電極32を共用する態様での2組の対を利用して、それぞれの対を介して高周波出力波形を同時に生成する。この場合、高周波出力波形は、第2電極32での位相に対して第1電極31及び第3電極33のそれぞれでの位相が反転する態様で形成される。すなわち、第2電極32での高周波出力波形の極性は、第1電極31及び第3電極33のそれぞれでの極性と逆となる。これにより、第1電極31、第2電極32及び第3電極33が配置される比較的広い範囲に対応して、ユーザの肌の比較的広い範囲に対して加温作用を同時に及ぼすことができる。
【0037】
また、本実施形態では、上述したように径方向で第1電極31と第2電極32との間の距離d1が、径方向で第3電極33と第2電極32との間の距離d2と等しい。このような第2電極32を中心とした第1電極31及び第3電極33のそれぞれまでの距離の対称性によって、ユーザの肌の比較的広い範囲に対して加温作用を均一に及ぼすことができる。
【0038】
高周波出力生成部112は、周波数の異なる2種類以上の高周波出力波形を生成する。本実施形態では、一例として、高周波出力生成部112は、第1周波数の高周波出力波形(第1交流波形の一例)と、第2周波数の高周波出力波形(第2交流波形の一例)を含む2種類以上の高周波出力波形を生成する。以下、区別のため、第1周波数の高周波出力波形は、「ローレンジRF波形W1」とも称し、第2周波数の高周波出力波形は、「ハイレンジRF波形W2」と称する。
【0039】
本実施形態では、第1周波数は、20kHzよりも高く、第2周波数は、第1周波数よりも有意に高い。
【0040】
ところで、20kHzよりも高い周波数帯の高周波出力波形の場合、周波数の相違に応じて、加温作用が実効的に及ぶ肌の深さが異なる傾向がある。具体的には、図4にローレンジRF波形W1で模式的に示すように、比較的低い周波数の高周波出力波形の場合、肌の比較的深い領域(例えば真皮)に対して加温作用が及ぶ傾向がある。これに対して、図4にハイレンジRF波形W2で模式的に示すように、比較的高い周波数の高周波出力波形の場合、肌の比較的浅い領域(例えば表皮)に対して加温作用が及ぶ傾向がある。
【0041】
従って、本実施形態によれば、上述したように、周波数の異なる2種類以上の高周波出力波形を生成することで、ユーザの肌の深さ方向(厚さ方向)における広い範囲にわたって、加温作用を及ぼすことができる。この結果、例えば一定の周波数の高周波出力波形のみを用いて特定の深さだけに加温作用を及ぼす場合に比べて、ユーザの肌に対する加温作用を効果的に高めることができる。
【0042】
このような観点から、第1周波数は、好ましくは、100kHzから1.5MHzの間であり、より好ましくは、200kHzから1.0MHzの間である。この場合、ローレンジRF波形W1は、肌の比較的深い領域(例えば真皮)に対して加温作用を効果的に及ぼすことができる。
【0043】
他方、第2周波数は、好ましくは、600kHzから5.0MHzの間であり、より好ましくは、1.0MHzから3.0MHzの間である。この場合、ハイレンジRF波形W2は、肌の比較的浅い領域(例えば表皮)に対して加温作用を効果的に及ぼすことができる。
【0044】
高周波出力生成部112は、制御装置110による制御下で、図5に示すように、ローレンジRF波形W1及びハイレンジRF波形W2を、所定周期ΔTごとに切り替わる態様で、交互に繰り返し発生する。これにより、肌の比較的深い領域(例えば真皮)に対する加温作用と、肌の比較的浅い領域(例えば表皮)に対する加温作用とを、交互に肌に及ぼすことができる。この結果、加温作用を効果的に高めることができる。
【0045】
所定周期ΔTは、任意であるが、上述した異なる肌深さに作用する2種類の加温作用の双方が、実質的に常時維持されるように、好ましくは、10秒以下の比較的短い時間であり、より好ましくは、2秒以下であり、最も好ましくは、1秒以下である。所定周期ΔTを短くすることで、上述した異なる肌深さに作用する2種類の加温作用を、実質的に同時に肌に及ぼすことができ、その結果、加温作用を効果的に高めることができる。
【0046】
図5に示す例では、1回あたりのローレンジRF波形W1の持続時間と1回あたりのハイレンジRF波形W2の持続時間は、それぞれ、所定周期ΔTと同じ時間であるが、変形例では、異なってもよい。また、図5に示す例では、所定周期ΔTは一定で繰り返されるが、所定周期ΔTは変化してもよい。例えば、初回のローレンジRF波形W1及びハイレンジRF波形W2だけ、比較的長い持続時間が実現されてもよい。
【0047】
また、図5に示す動作モードでは、ローレンジRF波形W1及びハイレンジRF波形W2は、所定周期ΔTごとに切り替わる態様で、交互に連続して発生するが、ローレンジRF波形W1及びハイレンジRF波形W2は、所定周期ΔTごとに切り替わる態様で、交互に、不連続な態様で発生してもよい。例えば、ローレンジRF波形W1とハイレンジ波形W2との間に、他の周波数の高周波出力波形が発生してもよい。この場合、他の周波数は、第1周波数よりも高くかつ第2周波数よりも低い範囲内の中間周波数であってよい。この場合、ローレンジRF波形W1及びハイレンジRF波形W2は、所定周期ΔTごとに切り替わる態様で、交互に、中間周波数の高周波出力波形を介して発生する。これにより、第1周波数と第2周波数との差が比較的大きい場合でも、ローレンジRF波形W1に係る第1周波数とハイレンジRF波形W2に係る第2周波数との間の切り替えを中間周波数を介して実現できるので、高周波出力生成部112に係る電気回路部の負荷を効果的に低減できる。この場合、1回あたりの中間周波数の高周波出力波形は、上述した所定周期ΔTと同じ時間であるが、変形例では、異なってもよい。また、中間周波数は、第1周波数よりも高くかつ第2周波数よりも低い範囲内で、複数設定されてもよい。この場合、第1周波数と第2周波数との差が比較的大きい場合でも、第1周波数と第2周波数の間の切り替えを、複数の中間周波数を介して実現できる。例えば、第1中間周波数>第2中間周波数>第3中間周波数の関係を有する3つの中間周波数を利用する場合、図5Aに示すように、ハイレンジRF波形W2から、第1中間周波数の高周波出力波形(図5Aでは、「第1中間レンジ」と表記)、第2中間周波数の高周波出力波形(図5Aでは、「第2中間レンジ」と表記)、及び第3中間周波数の高周波出力波形(図5Aでは、「第3中間レンジ」と表記)を介して、ローレンジRF波形W1へと変化する態様で、高周波出力波形の周波数が、上述した所定周期ΔTごとに変化してもよい。この場合、第2周波数から第1周波数への急激な切り替えを回避できるので、高周波出力生成部112に係る電気回路部の負荷を効果的に低減できる。なお、図5Aに示す例では、ハイレンジRF波形W2から第1中間周波数の高周波出力波形、第2中間周波数の高周波出力波形、及び第3中間周波数の高周波出力波形を介してローレンジRF波形W1へと変化する態様を繰り返すため、ローレンジRF波形W1からハイレンジRF波形W2への直接的な切り替わりが生じる。これに対して更なる変形例では、ハイレンジRF波形W2から第1中間周波数の高周波出力波形、第2中間周波数の高周波出力波形、第3中間周波数の高周波出力波形を介してローレンジRF波形W1へと変化した後、第3中間周波数の高周波出力波形、第2中間周波数の高周波出力波形、第1中間周波数の高周波出力波形を介して、ハイレンジRF波形W2に戻る態様で、ローレンジRF波形W1からハイレンジRF波形W2への切り替わりについて中間周波数を介して実現してもよい。この場合、第1周波数から第2周波数への急激な切り替えを回避できるので、高周波出力生成部112に係る電気回路部の負荷を効果的に低減できる。
【0048】
低周波出力生成部114は、第4電極34及び第5電極35に電気的に接続される。低周波出力生成部114は、制御装置110による制御下で、第4電極34及び第5電極35を介して、筋電気刺激作用を有する低周波の出力波形であって、ユーザの肌に印加可能な出力波形(以下、単に「低周波出力波形W3」とも称する)を生成する。具体的には、低周波出力生成部114は、第3周波数の低周波出力波形W3(第3交流波形の一例)を含む1種類以上の低周波出力波形を生成する。第3周波数は、20kHzよりも低い。
【0049】
図6は、動作モードの一例の説明図であり、横軸を時間とした時系列で、出力波形のパターン(出力モードの変化パターン)が示されている。図7は、図6の動作モードの効果の説明図である。図7には、前出の図4と同様、模式的なヘッド部3の断面とともに、ヘッド部3に接触する肌の断面が模式的に示されている。また、図7には、第1電極31、第2電極32及び第3電極33から肌に印加される高周波出力波形とともに、第4電極34及び第5電極35から肌に印加される低周波出力波形W3が模式的に示されている。
【0050】
図6に示す動作モードは、初期区間A1を含む。初期区間A1では、第1電極31、第2電極32及び第3電極33に係る初期動作として、出力モードM11が持続時間T11、出力モードM12が持続時間T12、及び出力モードM11が持続時間T13、それぞれ、実行される。この場合、出力モードM11では、高周波出力波形の周波数は例えば2MHz程度であり、出力モードM12では、高周波出力波形の周波数は例えば1MHz程度であってよい。そして、持続時間T11、T12及びT13は、それぞれ、30秒、10秒、及び10秒程度であってよい。
【0051】
また、初期区間A1では、第4電極34及び第5電極35に係る初期動作として、出力モードM21が持続時間T21、出力モードM22が持続時間T22、及び出力モードM21が持続時間T23、それぞれ、実行される。この場合、出力モードM21では、低周波出力波形W3の周波数は例えば71Hzから100Hzの間であってよい。また、出力モードM22では、低周波出力波形W3の周波数は例えば1kHz程度であってよい。この際、出力モードM22では、低周波出力波形W3は、持続時間T22の間、例えば10Hz程度の周波数で、断続的に生成されてもよい。そして、持続時間T21、T22及びT23は、それぞれ、30秒、10秒、及び10秒程度であってよい。
【0052】
図6に示す動作モードは、初期区間A1が終了すると、それに後続してメイン区間A2を含む。メイン区間A2では、第1電極31、第2電極32及び第3電極33に係るメイン動作として、出力モードM14が継続的に実行される。出力モードM14では、図5を参照して上述した態様で高周波出力波形が生成される。すなわち、ローレンジRF波形W1及びハイレンジRF波形W2が、所定周期ΔTごとに切り替わる態様で、交互に繰り返し発生される。なお、出力モードM14は、ユーザからの停止指示が入力されるまで持続されてもよいし、所定の持続時間の経過により自動的に停止されてもよい。
【0053】
また、メイン区間A2では、第4電極34及び第5電極35に係るメイン動作として、出力モードM22が持続時間T24、出力モードM21が持続時間T25、それぞれ、実行される。この場合、出力モードM21及び出力モードM22は、上述したとおりである。そして、持続時間T24及びT25は、それぞれ、2秒及び3秒程度であってよい。出力モードM21及び出力モードM22は、メイン区間A2が継続する間、繰り返し実行されてもよい。
【0054】
このような図6に示す動作モードによれば、メイン区間A2において、図7に模式的に示すように、図4及び図5を参照して上述した加温作用とともに、第4電極34及び第5電極35を介した低周波出力波形W3による筋電気刺激作用を同時に、肌に及ぼすことができる。
【0055】
特に本実施形態によれば、上述したように、第4電極34が、第1電極31及び第2電極32の間に配置され、かつ、第5電極35が、第2電極32及び第3電極33の間に配置される。従って、本実施形態によれば、第4電極34及び第5電極35を介した低周波出力波形W3による筋電気刺激作用が及ぶ範囲が、第1電極31、第2電極32及び第3電極33を介した高周波出力波形による加温作用が肌に及ぶ範囲内に包含される。これにより、筋電気刺激作用と加温作用とを、より効果的に肌に及ぼすことができる。ただし、変形例では、第5電極35は、第3電極33よりも径方向外側に配置されてもよい。かかる変形例では、第4電極34は、第2電極32と第3電極33の間に配置されてもよい。あるいは、あるいは、他の変形例では、低周波出力波形用の電極群を形成する追加の電極(図示せず)が、第3電極33よりも径方向外側に配置されてもよい。
【0056】
なお、図6は、肌処理装置1が備えてよい動作モードの一例を示すが、肌処理装置1は、かかる動作モードに代えて又は加えて、他の動作モードを有してもよい。
【0057】
図8は、他の動作モードの一例の説明図であり、横軸を時間とした時系列で、出力モードの変化パターンが示されている。図9Aは、顔部の複数の部位の区分の説明図であり、図9Bは、顔部の各種筋肉の説明図である。また、図8では、各出力モードに対応付けられる対象部位が図示されている。
【0058】
図8に示す動作モードでは、出力モードM30から出力モードM34まで順に、それぞれ、持続時間T30から持続時間T34で、実行される。出力モードM30から出力モードM34の各出力モードは、顔部の特定の対象部位のいずれか、又は、顔部の特定の対象筋肉に対応付けられる。各対象部位は、図9Aに示すように、顔部の複数の部位を含み、具体的には、額、目尻、鼻、目袋、ほうれい線(正確には、ほうれい線が形成される部位)、フェイスライン(頬)、あご(顎)の7部位を含む。なお、変形例では、これらの7部位の一部(例えば、目尻や、鼻、フェイスライン、あご等)が省略されてもよいし、他の対象部位が追加されてもよいし、より粗い又はより細かい粒度の分類が利用されてもよい。また、目尻、目袋、ほうれい線、及びフェイスライン(頬)については、左右で別々の部位として扱われてもよく、この場合、顔部は、合計11部位に分類される。各対象筋肉は、図9Bに示すように、顔部の複数種類の筋肉を含み、具体的には、咬筋、オトガイ筋、及び眼輪筋の3種類を含む。なお、変形例では、これら3種類のうちの一部が省略されてもよいし、他の種類の対象筋肉が追加されてもよい。
【0059】
図8に示す例では、出力モードM30から出力モードM34は、順に、フェイスライン、ほうれい線、咬筋、目袋、及び額にそれぞれ対応付けられ、それぞれに適合した出力波形が生成される。なお、図8に示す例では、出力モードM32だけが、特定の対象筋肉(すなわち咬筋)に対応付けられ、その他の出力モードが、特定の対象部位に対応付けられている。なお、各対象部位には、あらかじめ出力モードが対応付けられてよく、及び/又は、各対象筋肉には、あらかじめ出力モードが対応付けられてよい。また、ユーザが、適宜、対象部位及び/又は対象筋肉を変更可能であってもよい。
【0060】
持続時間T30から持続時間T34は、それぞれ、任意であり、ユーザが適宜変更可能であってもよい。持続時間T30から持続時間T34のそれぞれの経過は、肌処理装置1からの通知音及び/又は振動による出力によりユーザに伝達されてもよい。この場合、ユーザは、通知音等に応答して、肌処理装置1を当てる顔部の位置を容易に変更させることができる。
【0061】
このようにして、図8に示す例では、顔の部位ごとに、各部位に合わせた出力モードが形成されるように、出力モードの切り替えを時間で制御する動作モードが実現される。なお、変形例では、肌処理装置1が当てられている部位を特定(検出)する手段が設けられ、出力モードの切り替わりが、各部位の特定結果に応じて自動的に実現されてもよい。
【0062】
なお、図8に示す例では、出力モードM30から出力モードM34が開示されているが、多様な変更が可能である。例えば、出力モードM31及び出力モードM32に代えて、他の出力モードが実現されてもよい。この場合、出力モードM30の持続時間T30は、60秒程度であってよく、出力モードM31及び出力モードM32に代わる他のモードの持続時間は、110秒程度であってよく、出力モードM33の持続時間T33は、70秒程度であってよく、出力モードM34の持続時間T34は、60秒程度であってよい。
【0063】
図10は、特定の対象部位ごとに高周波の出力波形及び低周波等の出力波形を同時に印加可能とする動作モードの説明図である。
【0064】
図10において、上段の出力モードM40からM45は、高周波の出力波形に係るモードであり、下段の出力モードM50からM57は、低周波の出力波形又はそれよりも高い中周波若しくは高周波の出力波形に係るモード(すなわち、筋電気刺激用の出力波形に係るモード)である。
【0065】
出力モードM40、及び出力モードM50、M51は、フェイスラインに対応付けられる。出力モードM40は、フェイスラインにおける加温作用を高めるように適合される。例えば、出力モードM40での周波数は1MHzから3MHz程度であってよく、出力モードM40の持続時間T40は、60秒±20%であってもよい。
【0066】
出力モードM50、M51は、フェイスラインにおける筋電気刺激作用を高めるように適合される。例えば、出力モードM50は、周波数が50Hzから100Hz程度であってよく、出力モードM50の持続時間は、3秒±20%であってもよい。また、出力モードM51は、周波数が1kHzから10kHz程度であってよく、出力モードM51の持続時間は、3秒±20%であってもよい。出力モードM50、M51は、出力モードM40と同期して実行され、持続時間T40内で交互に実行される。出力モードM50、M51は、それぞれの1回の持続時間内又は持続時間ごとに周波数が上述した範囲内で変動してよい。また、出力モードM51では、5Hzから20Hz程度のリズム(間隔周波数)で、出力波形の印加が断続的に実行されてもよい。この場合、間隔周波数の調整(可変)によりフェイスラインに対する肌処理効果の向上が期待できる。
【0067】
出力モードM41、及び出力モードM52、M53は、頬の一部(例えば、フェイスラインとほうれい線の間)に対応付けられる。出力モードM41は、頬の一部における加温作用を高めるように適合される。例えば、出力モードM41での周波数は1MHzから3MHz程度であってよく、出力モードM41の持続時間T41は、110秒±20%であってもよい。
【0068】
出力モードM52、M53は、頬の一部における筋電気刺激作用を高めるように適合される。この場合、出力モードM52、M53は、頬の一部に含まれる対象筋肉である咬筋又は頬骨筋に対する筋電気刺激作用を高めるように適合されてよい。例えば、出力モードM52は、周波数が1kHzから10kHz程度であってよく、出力モードM52の持続時間は、5秒±20%であってもよい。また、出力モードM53は、周波数が50Hzから100Hz程度であってよく、出力モードM53の持続時間は、4秒±20%であってもよい。出力モードM52、M53は、出力モードM41と同期して実行され、持続時間T41内で交互に実行される。出力モードM52、M53は、それぞれの1回の持続時間内又は持続時間ごとに周波数が上述した範囲内で変動してよい。また、出力モードM52では、10Hz程度のリズム(間隔周波数)で、出力波形の印加が断続的に実行されてもよい。
【0069】
出力モードM43、M44、及び出力モードM54、M55は、目元に対応付けられる。出力モードM43、M44は、目元における加温作用を高めるように適合される。例えば、出力モードM43での周波数は1MHzから3MHz程度であってよく、出力モードM43の持続時間は、1秒±20%であってもよい。また、出力モードM44は、出力波形の印加を停止させるモードであってよい。この場合、出力モードM44の持続時間は、出力モードM43の持続時間よりも有意に長く、6秒±20%であってもよい。これにより、熱を感じやすいユーザが多い傾向にある目元特有の特性を考慮した加温作用を実現できる。
【0070】
出力モードM54、M55は、目元の一部における筋電気刺激作用を高めるように適合される。この場合、出力モードM54、M55は、目元に含まれる対象筋肉である眼輪筋に対する筋電気刺激作用を高めるように適合されてよい。例えば、出力モードM54は、出力波形の印加を停止させるモードであってよく、出力モードM55は、周波数が10k
Hzから200kHz程度であってよい。出力モードM54、M55は、出力モードM43、M44と同期して実行され、持続時間T42内で交互に実行される。この場合、持続時間T42は、70秒±20%であってもよい。また、出力モードM54、M55は、好ましくは、出力モードM43、M44のそれぞれと同期する態様(出力モードM43及びM54が対をなし、かつ、出力モードM44及びM55が対をなす態様)で、実行される。これにより、出力モードM44により熱くなりすぎないようにしつつ、温感のある刺激の印加が可能となる。出力モードM55は、それぞれの1回の持続時間内又は持続時間ごとに周波数が上述した範囲内で変動してよい。また、出力モードM55では、5Hzから100Hz程度のリズム(間隔周波数)で、出力波形の印加が断続的に実行されてもよい。この場合、間隔周波数の調整(可変)により目元に対する肌処理効果の向上が期待できる。
【0071】
出力モードM45、及び出力モードM56、M57は、おでこに対応付けられている。出力モードM45は、おでこにおける加温作用を高めるように適合される。例えば、出力モードM45での周波数は1MHzから3MHz程度であってよく、出力モードM45の持続時間T43は、60秒±20%であってもよい。
【0072】
出力モードM56、M57は、おでこにおける筋電気刺激作用を高めるように適合される。例えば、出力モードM56は、周波数が1kHzから10kHz程度であってよく、出力モードM56の持続時間は、16秒±20%であってもよい。また、出力モードM57は、周波数が50Hzから100Hz程度であってよく、出力モードM57の持続時間は、4秒±20%であってもよい。出力モードM56、M57は、出力モードM45と同期して実行され、持続時間T43内で交互に実行される。出力モードM56、M57は、それぞれの1回の持続時間内又は持続時間ごとに周波数が上述した範囲内で変動してよい。また、出力モードM56では、5Hzから10Hz程度のリズム(間隔周波数)で、出力波形の印加が断続的に実行されてもよい。
【0073】
なお、図10に示す動作モードに関して、出力モードM40からM45のうちの少なくともいずれかにおいては、図4図5等を参照して上述したローレンジRF波形W1及びハイレンジRF波形W2の組み合わせが利用されてもよい。また、出力モードM40からM45では、出力モードM43を除いて、1MHzから3MHz程度の同じ周波数となりうるが、1MHzから3MHzの範囲内で、一部の出力モードの周波数が他の出力モードの周波数と異なってもよい。
【0074】
ここで、図10に示す動作モードの場合も、図8を参照して上述した動作モードの場合と同様、持続時間T40から持続時間T43のそれぞれの経過は、肌処理装置1からの通知音及び/又は振動による出力によりユーザに伝達されてもよい。この場合、ユーザは、通知音等に応答して、肌処理装置1を当てる顔部の位置を容易に変更させることができる。
【0075】
あるいは、ユーザは、ユーザ端末2のカメラ(例えばインカメラ)を利用して、図11に示すように、ユーザ端末2の画面の自身の顔を見ながら、美容デバイス4を利用してよい。この場合、顔画像は、美容デバイス4の利用中に、ユーザ端末2のカメラによりリアルタイムに生成される。顔画像は、ユーザ端末2内のコンピュータ又は外部サーバ(図示せず)で画像処理されることで、肌処理装置1を当てている顔部の位置の特定に利用されてよい。この際、肌処理装置1を当てている位置の特定結果に基づいて、出力モードが自動的に変更されてもよい。また、ユーザ端末2の画面上の顔画像又はその類の画像には、持続時間T40から持続時間T43のそれぞれの経過に応じて、次の動作モードで肌処理装置1を当てる顔部の位置を案内する案内表示が出力(重畳表示)されてもよい。
【0076】
以上、各実施形態について詳述したが、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。また、前述した実施形態の構成要素を全部又は複数を組み合わせることも可能である。
【0077】
例えば、上述した実施形態では、第1電極31、第2電極32、及び第3電極33は、ローレンジRF波形W1等の高周波出力波形を生成するが、他の動作モードにおいては、低周波出力波形や他の直流波形等を生成してもよい。例えば、径方向で比較的大きく離れている第1電極31と第3電極33とを介して低周波出力波形が生成されてもよい。これは、第4電極34及び第5電極35も同様である。また、第1電極31、第2電極32、及び第3電極33は、第4電極34及び第5電極35と多様な組み合わせで対の電極を形成してもよい。
【0078】
また、上述した実施形態では、第1電極31、第2電極32及び第3電極33を介して、一定の第1周波数のローレンジRF波形W1と、一定の第2周波数のハイレンジRF波形W2の2種類の高周波出力波形を生成しているが、これに限られない。例えば、上述した好ましい範囲内で変動する第1周波数のローレンジRF波形W1と、上述した好ましい範囲内かつ第1周波数の変動幅の最大値よりも高い範囲で変動する第2周波数のハイレンジRF波形W2とが、生成されてもよい。すなわち、3種類以上の周波数で高周波出力波形が生成されてもよい。例えば、N(N≧3)種類の場合、1周期をN個に分割した時間内で、対応する各周波数の高周波出力波形が生成される態様で、周期ごとの出力が繰り返されてもよい。
【0079】
また、上述した実施形態では、同心状に配置された5重の第1電極31から第5電極35が利用されているが、電極の数や配置は多様に変更可能である。例えば第3電極33に対して径方向外側に、更なる1つ以上の環状の電極が配置されてもよい。なお、更なる1つ以上の環状の電極は、周方向で連続した円環状の形態であってもよいし、周方向で局所的に分断された円環状の形態であってもよい。更なる1つ以上の環状の電極は、第1電極31等に対して同心状に配置されてもよい。更なる1つ以上の環状の電極は、第1電極31、第2電極32及び第3電極33と協動して、上述した高周波出力波形用の電極群を形成してよい。例えば、更なる1つ環状の電極が第3電極33の径方向外側に配置される場合、第3電極33での高周波出力波形の極性は、第2電極32及び第3電極33のそれぞれでの極性と逆とされてよい。このようにして、更なる1つ以上の環状の電極が径方向外側に追加されてもよい。この場合、第5電極35は、更なる1つ以上の環状の電極のうちの、最も外側の電極よりも径方向外側に配置されてもよい。この場合、低周波出力波形用の電極群における径方向の離間距離を効率的に広げることができる。あるいは、第5電極35は、更なる1つ以上の環状の電極のうちの、最も外側の電極よりも径方向内側に配置されてもよい。また、更なる2つ以上の環状の電極が追加される場合、上述した実施例と同様に、低周波出力波形用の電極群を形成する各電極と、高周波出力波形用の電極群を形成する各電極は、径方向で交互に配置されてもよい。これらの変形例の場合も、低周波出力波形用の電極群を形成する各電極の一部が、他のモードでは、高周波出力波形用の電極群を形成してもよいし、他の直流波形等を生成してもよい。また、高周波出力波形用の電極群を形成する各電極の一部が、他のモードでは、低周波出力波形用の電極群を形成してもよいし、他の直流波形等を生成してもよい。
【0080】
また、上述した実施形態では、第1電極31から第5電極35は、円環状の形態であるが、楕円状や多角形状のような他の形態であってもよいし、多様な形態の組み合わせであってよい。例えば、第1電極31から第5電極35は、図12Aに示すように、互いに平行に直線状に配置された第1電極31Aから第5電極35Aとして実現されてもよい。なお、図12A(後出の図12Bも同様)には、ヘッド部3の当接面3aに対して垂直な方向で視たときの電極構成が概略的に示されている。あるいは、高周波出力波形用の電極群を形成する第1電極31、第2電極32及び第3電極33は、図12Bに示すように、互いに平行に直線状に配置された第1電極31B、第2電極32B及び第3電極33Bとして実現されてもよい。なお、図12Bに示す例では、第1電極31Bを中心として、両側に(第1電極31Bの長手方向に垂直な方向の両側に)、第2電極32B及び第3電極33Bが配置されている。この場合も、第4電極34及び第5電極35のような、低周波出力波形用の電極群を形成する1つ以上の電極は、第1電極31B、第2電極32B及び第3電極33Bの間等に配置されてもよい。また、これらの図12A又は図12Bに示す変形例の場合も、高周波出力波形用の電極群を形成する各電極の一部が、他のモードでは、低周波出力波形用の電極群を形成してもよいし、他の直流波形等を生成してもよい。また、低周波出力波形用の電極群を形成する各電極の一部が、他のモードでは、高周波出力波形用の電極群を形成してもよいし、他の直流波形等を生成してもよい。
【符号の説明】
【0081】
1 肌処理装置
2 把持部
3 ヘッド部
3a 当接面
20 ユーザインターフェイス
30 電極
31 第1電極
32 第2電極
33 第3電極
34 第4電極
35 第5電極
100 制御系
110 制御装置
112 高周波出力生成部
114 低周波出力生成部
図1
図2
図3
図4
図5
図5A
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12A
図12B