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▶ クラリアント・インターナシヨナル・リミテツドの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-25
(45)【発行日】2024-10-03
(54)【発明の名称】難燃性ポリアミド組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 77/06 20060101AFI20240926BHJP
   C08K 5/5313 20060101ALI20240926BHJP
   C08K 5/52 20060101ALI20240926BHJP
   C08K 5/3477 20060101ALI20240926BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20240926BHJP
   C08K 5/04 20060101ALI20240926BHJP
   C08K 7/14 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
C08L77/06
C08K5/5313
C08K5/52
C08K5/3477
C08K3/013
C08K5/04
C08K7/14
【請求項の数】 18
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022142852
(22)【出願日】2022-09-08
(62)【分割の表示】P 2018544814の分割
【原出願日】2017-02-20
(65)【公開番号】P2022177099
(43)【公開日】2022-11-30
【審査請求日】2022-10-05
(31)【優先権主張番号】102016203221.6
(32)【優先日】2016-02-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】596081005
【氏名又は名称】クラリアント・インターナシヨナル・リミテツド
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ヘーロルト・ゼバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】シュロッサー・エルケ
【審査官】内田 靖恵
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-538926(JP,A)
【文献】特開2008-239894(JP,A)
【文献】特開2012-067273(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L
C08K
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分A)として、15~89.9重量%の1つまたは複数の熱可塑性ポリアミド、
成分B)として、5~20重量%の式(I)のジアルキルホスフィン酸塩
【化1】
[式中、
およびRは、同一であるかまたは異なっており、直鎖状、分岐状もしくは環状のC-C18-アルキル、C-C18-アリール、C-C18-アリールアルキルまたはC-C18-アルキルアリールを意味し、
Mは、Mg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Zn、Fe、Zr、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、Na、Kまたはプロトン化窒素塩基を意味し;
mは、1~4を意味する]、
成分C)として、2~10重量%の亜リン酸の塩、
成分D)として、2~10重量%の1つまたは複数の、メラミンの縮合生成物、
成分E)として、1~50重量%の強化フィラーおよび/または強化材、
成分F)として、0~2重量%のホスファイトまたはホスホナイトまたはそれらの混合物、および
成分G)として、0.1~1重量%の典型的にはC14~C40の鎖長を有する長鎖脂肪族カルボン酸(脂肪酸)のエステルまたは塩、
を含み、上記成分の合計は常に100重量%である、難燃性ポリアミド組成物であって、
成分A)が、ポリアミドPA6T/66、PA6T/6、PA4T、PA9Tおよび/またはPA10Tであり、および前記難燃性ポリアミド組成物が、次の特徴、すなわち、
・ 国際電気標準会議規格IEC-60112/3に従って測定される500ボルト超の比較トラッキング指数(CTI)、
・ 3.2mm~0.4mmの試験片の厚さにおいて、UL-94に従ってV-0の評価、および
・ 0.4~3mmの試験片の厚さにおいて、IEC-60695-2-13に従う750℃以上のグローワイヤ着火温度指数(GWIT)、
を同時に満たす、難燃性ポリアミド組成物。
【請求項2】
35~65.8重量%の成分A)、
5~20重量%の成分B)、
2~7重量%の成分C)、
2~7重量%の成分D)、
25~35重量%の成分E)、
0.1~0.5重量%の成分F)および
0.1~0.5重量%の成分G)
を含む、請求項に記載の難燃性ポリアミド組成物。
【請求項3】
成分A)として、35~96重量%の1つまたは複数の熱可塑性ポリアミド、
成分B)として、2~25重量%の式(I)のジアルキルホスフィン酸塩
【化2】
[式中、
およびRは、同一であるかまたは異なっており、直鎖状、分岐状もしくは環状のC-C18-アルキル、C-C18-アリール、C-C18-アリールアルキルまたはC-C18-アルキルアリールを意味し、
Mは、Mg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Zn、Fe、Zr、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、Na、Kまたはプロトン化窒素塩基を意味し;
mは、1~4を意味する]、
成分C)として、1~20重量%の亜リン酸の塩、
成分D)として、1~20重量%の1つまたは複数の、メラミンの縮合生成物、
成分E)として、0~50重量%の強化フィラーおよび/または強化材、
成分F)として、0~2重量%のホスファイトまたはホスホナイトまたはそれらの混合物、および
成分G)として、0~2重量%の典型的にはC14~C40の鎖長を有する長鎖脂肪族カルボン酸(脂肪酸)のエステルまたは塩、
を含み、上記成分の合計は常に100重量%である、難燃性ポリアミド組成物であって、
成分A)が、ポリアミドPA6T/66、PA6T/6、PA4T、PA9Tおよび/またはPA10Tであり、および前記難燃性ポリアミド組成物が、次の特徴、すなわち、
・ 国際電気標準会議規格IEC-60112/3に従って測定される500ボルト超の比較トラッキング指数(CTI)、
・ 3.2mm~0.4mmの試験片の厚さにおいて、UL-94に従ってV-0の評価、および
・ 0.4~3mmの試験片の厚さにおいて、IEC-60695-2-13に従う750℃以上のグローワイヤ着火温度指数(GWIT)、
を同時に満たす、難燃性ポリアミド組成物。
【請求項4】
0.4~3mmの試験片の厚さにおいて、IEC-60695-2-12に従う850℃以上のグローワイヤ燃焼性指数(GWFI)を有することを特徴とする、請求項1~のいずれか1つに記載の難燃性ポリアミド組成物。
【請求項5】
100%湿度および70℃の条件下に14日間貯蔵した後にブルーミングを示さない、請求項1~のいずれか一つに記載の難燃性ポリアミド組成物。
【請求項6】
成分D)が、メラム、メレムおよび/またはメロンであることを特徴とする、請求項1~のいずれか1つに記載の難燃性ポリアミド組成物。
【請求項7】
成分D)がメレムであることを特徴とする、請求項1~のいずれか1つに記載の難燃性ポリアミド組成物。
【請求項8】
成分B)において、RおよびRは同一であるかまたは異なっており、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert.-ブチル、n-ペンチルまたはフェニルを意味することを特徴とする、請求項1~のいずれか1つに記載の難燃性ポリアミド組成物。
【請求項9】
前記の亜リン酸の塩(成分(C))が、アルミニウムホスファイトAl(HPO、二級アルミニウムホスファイトAl(HPO、アルミニウムホスファイト四水和物Al(HPO*4HO、アルミニウムホスホネート、塩基性アルミニウムホスファイトAl(OH)(HPO*2HO、Al(HPO(OH)(1,6-ヘキサンジアミン)1.5*12HO、Al(HPO*xAl*nHO(x=1~2.27、n=1~50である)および/またはAl1618であることを特徴とする、請求項1~のいずれか1つに記載の難燃性ポリアミド組成物。
【請求項10】
前記の亜リン酸の塩が、式(III)、(IV)および/または(V)のアルミニウムホスファイト
式(III): Al(HPO*(HO)
(qは0~4を意味する);
式(IV) Al2.00(HPO(OH)*(HO)
(Mは、アルカリ金属イオンを意味し、
zは0.01~1.5を意味し、
yは2.63~3.5を意味し、
vは0~2を意味し、そして
wは、0~4を意味する);
式(V) Al2.00(HPO(HPO*(HO)
(uは2~2.99を意味し、
tは2~0.01を意味し、そして
sは0~4を意味する)、
であることを特徴とする、請求項1~のいずれか1つに記載の難燃性ポリアミド組成物。
【請求項11】
成分C)が、0.2~100μmの平均粒度を有することを特徴とする、請求項1~10のいずれか1つに記載の難燃性ポリアミド組成物。
【請求項12】
前記の強化フィラーまたは強化材(成分E))がガラス繊維であることを特徴とする、請求項1~11のいずれか1つに記載の難燃性ポリアミド組成物。
【請求項13】
上記ホスホナイト(成分F))は、下記一般構造のものであることを特徴とする、請求項1~12のいずれか1つに記載の難燃性ポリアミド組成物。
R-[P(OR (VI)
[式中、
Rは、一価もしくは多価の脂肪族、芳香族もしくはヘテロ芳香族の有機基であり、そして
は、構造(VII)
【化3】
の化合物であるか、または2つの基Rは、構造(VIII)の架橋基を形成する
【化4】
ここで、
Aは、直接結合、O、S、C1-18-アルキレン(直鎖状または分岐状)、またはC1-18-アルキリデン(直鎖状または分岐状)を意味し、式中、
は、互いに独立に、C1-12-アルキル(直鎖状または分岐状)、C1-12-アルコキシまたはC5-12-シクロアルキルを意味し、そして
nは、0~5を意味し、
mは、1~4を意味する]。
【請求項14】
成分G)が、14~40個のC原子を有する長鎖脂肪酸のアルカリ金属-、アルカリ土類金属-、アルミニウム-および/または亜鉛塩であり、および/または14~40個のC原子を有する長鎖脂肪酸と多価アルコールとの反応生成物であることを特徴とする、請求項1~13のいずれか1つに記載の難燃性ポリアミド組成物。
【請求項15】
前記多価アルコールが、エチレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパンおよびペンタエリスリトールからなる群から選択される、請求項14に記載の難燃性ポリアミド組成物。
【請求項16】
さらにテロマーを含み、前記テロマーが、エチルブチルホスフィン酸、ジブチルホスフィン酸、エチルヘキシルホスフィン酸、ブチルヘキシルホスフィン酸、エチルオクチルホスフィン酸、sec-ブチルエチルホスフィン酸、1-エチルブチル-ブチル-ホスフィン酸、エチル-1-メチルペンチル-ホスフィン酸、ジ-sec-ブチルホスフィン酸(ジ-1-メチル-プロピルホスフィン酸)、プロピル-ヘキシルホスフィン酸、ジヘキシルホスフィン酸、ヘキシル-ノニルホスフィン酸、ジノニルホスフィン酸および/またはそれらの金属Mg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Zn、Fe、Zr、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、Na、Kとの塩であることを特徴とする、請求項1~15のいずれか1つに記載の難燃性ポリアミド組成物。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか1つに記載の組成物を含む三次元物品であって、成形体、射出成形部品、押出材料または押出部品であることを特徴とする物品。
【請求項18】
プラグコネクタ、電力分配装置における電流接触部品(漏電遮断)、印刷回路基板、密封材、パワープラグ、回路遮断器、ランプハウジング(LEDハウジング)、コンデンサハウジング、回路基板中もしくは上のコイル部品および接地線用ベンチレータ、プラグ;プラグ用、ケーブル用、フレキシブル印刷回路基板用、携帯電話充電用ケーブル用のハウジング、エンジンカバー、テクスタイルコーティングまたは他の製品中におけるまたはこれらのための、請求項1~16のいずれか1つに記載の難燃性ポリアミド組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、難燃性ポリアミド組成物、およびこの難燃性ポリアミド組成物を含む成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
多くのプラスチックは、その化学組成のために、易燃性である。プラスチック加工業者および一部の場合には立法者から求められる高い難燃性要件を達成できるためには、プラスチックは通常、難燃剤とともに仕上げなければならない。この目的のために、多数の種々の難燃剤および難燃剤相乗剤が知られており、市販もされている。燃焼ガス濃度および燃焼ガス組成に関してより有利な二次的な燃焼特性に基づいて、および生態学的な理由から、好ましくは非ハロゲン化難燃剤系がしばらく使用されている。
【0003】
非ハロゲン化難燃剤の中では、特に熱可塑性ポリマーに関して、ホスフィン酸の塩(ホスフィネート)が非常に有効であることが明らかとなっている(DE-A-2252258(特許文献1)およびDE-A-2447727(特許文献2))。ここで、この難燃剤クラスのいくつかの誘導体は、熱可塑性成形材料の機械的特性におけるそれらの負の影響が少ないことから、高く評価され、適切に使用されている。
【0004】
さらに、一連の全てのポリマーにおいて、難燃剤としてホスフィネート単独よりも有効に作用する、ホスフィネートと特定の窒素含有化合物、特にメラミン誘導体との相乗的な組み合わせが見出された(WO-A-2002/28953(特許文献3)、WO-A-97/01664(特許文献4)ならびにDE-A-19734437(特許文献5)およびDE-A-19737727(特許文献6))。
【0005】
さらに、熱可塑性ポリマーにおける種々のホスフィネートの難燃作用が、窒素不含の少量の無機もしくは鉱物性化合物の添加によっても顕著に改善できること、および上記の添加はまた、窒素含有相乗剤と組み合わせたホスフィネートの難燃作用を改善できることが見出された(EP-A-0024167(特許文献7)、WO-A-2004/016684(特許文献8))。特に、ホスフィネートとメラミンポリホスフェートの組み合わせは、ポリアミドにおいて、UL94試験に従うV-0グレードをもたらす。
【0006】
ホスフィネート含有難燃剤系を使用すると、特に300℃を超える加工温度において、最初は部分的なポリマー分解、ポリマーの変色および加工の際の煙発生が起こる。しかしながら、これらの困難は、塩基性または両性の酸化物、水酸化物、カーボネート類、シリケート類、ボレート類またはスタネート類の添加により抑えることができた(WO-A-2004/022640(特許文献9))。
【0007】
熱安定性のさらなる改善のために、WO2012/045414(特許文献10)は、ホスフィン酸塩と亜リン酸塩の塩との組み合わせを開示している。ホスフィン酸塩の難燃作用は、それにより、特に脂肪族ポリアミドにおいて、大きく改善することができる。相乗剤としてのメラミンポリホスフェートの使用に比べて、高温多湿での保管後に、ブルーミング(Ausbluehungen)は観察されない。WO-A-2014/135256(特許文献11)には、相乗剤としてのホスフィン酸塩および亜リン酸塩ならびに強化材およびさらに別の添加剤を含む難燃性ポリアミドが記載されている。そのように得られたポリアミド成形材料は、良好な熱安定性を示し、マイグレーション傾向を示さない。燃焼性クラスUL94 V-0および600ボルトのクリープ耐性(比較トラッキング指数,CTI)が達成される。
【0008】
ハロゲン不含ポリアミド組成物は、多くの場合にIEC 60335に従ういわゆるグローワイヤ着火温度(GWIT)に関して十分なグローワイヤの結果を示さず、すなわちそれは、750℃でグローワイヤの先端がポリアミドの望ましくない発火をもたらすことを意味する。置いたままにされる家庭電化製品における難燃性ポリアミド成形材料の使用には、750℃以上のGWITが必要である。
【0009】
US-A-2007/299171(特許文献12)は、ホスフィン酸塩(F1)、メラミンおよびリン酸の反応生成物(F2)およびメラミンの縮合生成物(F3)を含み、F1+F2が、全組成物を基準として、少なくとも13%、好ましくは少なくとも15%である、熱可塑性の特にポリアミドを開示している。F1、F2およびF3を同時に使用することにより、775℃のGWITに達する。このような調製物の欠点は、メラミンおよびリン酸の反応生成物の使用により、マイグレーション効果が生じ得ることである。さらに、約300℃での熱安定性は限定され、さらにより高い加工温度では、ポリマー分解および破壊が生じ得る。
【0010】
US2014/0371357(特許文献13)は、10~40重量%のガラス繊維、10~40重量%のメラムおよび0~15%のハロゲン不含難燃剤を有し、当該ポリアミドが最大10モル%の芳香族モノマー単位を含有する熱可塑性ポリアミドを記載している。少なくとも800℃のGWITが達成され;前記のハロゲン不含難燃剤は、ホスフィン酸金属塩であることができる。メラムを使用する際の欠点は、UL94 V-0およびGWIT>750℃を達成するための30~35%という高い充填レベルであり、これは、ポリアミド化合物の流動性および機械的特性を低下させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】DE-A-2252258
【文献】DE-A-2447727
【文献】WO-A-2002/28953
【文献】WO-A-97/01664
【文献】DE-A-19734437
【文献】DE-A-19737727
【文献】EP-A-0024167
【文献】WO-A-2004/016684
【文献】WO-A-2004/022640
【文献】WO2012/045414
【文献】WO-A-2014/135256
【文献】US-A-2007/299171
【文献】US2014/0371357
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、本発明の課題は、ホスフィネート含有難燃系をベースとする、ハロゲン不含で難燃性の熱可塑性ポリアミド組成物(成形材料)であって、高い熱安定性および良好な機械的特性を有し、試験片の0.4mmの壁厚までのUL94 V-0も、グローワイヤ燃焼性指数(GWFI)960℃のグローワイヤの要件およびGWIT775℃も、全ての試験した壁厚で確実に実現し、マイグレーション効果(Migrationseffekte)を示さず、良好な流動性および高い電気的値(比較トラッキング指数(CTI)>550V)を示す組成物を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0013】
今回驚くべきことに、ホスフィネート含有難燃性熱可塑性ポリアミドのグローワイヤ耐性を、成形材料がホスフィネート(成分B))に加えて、亜リン酸(ホスホン酸とも呼ぶ)HP(=O)(OH)の塩(成分C))およびメラミンの縮合生成物(成分D))を含む場合に、顕著に改善できることが見出された。この特別な組み合わせでは、ポリアミドの電気的および機械的特性に関する調和のとれた特性プロファイルが十分に維持される。そのように得られた成形材料は、驚くべきことに、使用した難燃剤のマイグレーションを示さない。さらに、前記ポリアミド組成物(成形材料)は、成分E)として、フィラーおよび/または強化材を含む。
【0014】
熱可塑性プラスチックの加工は主に、溶融物で行われる。それに伴う構造変化および状態変化に、プラスチックがその化学構造を変化させることなく耐えることはほとんどない。架橋、酸化、分子量変化およびまたそれらによる物理的および技術的特性の変化が生じ得る。加工の間のポリマーの負荷を減らすために、プラスチックに応じて種々の添加剤が使用される。
【0015】
多くの場合に、種々の添加剤が同時に使用され、それらの各々は所定の任務を担う。例えば、プラスチックが化学的損傷なしで加工に耐え、その後の長時間にわたって、外的な影響、例えば熱、UV光、天候および酸素(空気)に対して安定であるために、酸化防止剤および安定剤が使用される。潤滑剤は、流動挙動の改善に加えて、熱い機械部品へのプラスチック溶融物の強すぎる付着を防止し、顔料、フィラー材料および強化材のための分散剤として機能する。
【0016】
難燃剤の使用により、プラスチックの安定性が溶融物における加工の際に影響を受け得る。国際規格に従うプラスチックの十分な難燃性を確保するために、難燃剤は多くの場合に、高い用量で添加されなければならない。高温での難燃作用のために必要なそれらの化学的反応性のために、難燃剤はプラスチックの加工安定性を損ない得る。例えば、ポリマー分解の増加、架橋反応、脱ガスまたは変色が起こり得る。
【0017】
例えば少量の銅ハロゲン化物ならびに芳香族アミンおよび立体障害性フェノールにより、ポリアミドは安定化されるが、ここで高い継続使用温度での長期安定性の達成がとても重要である(H. Zweifel (Ed.):“Plastics Additives Handbook”,第5番,Carl Hanser Verlag,Muenchen,2000,80~84頁)。
【0018】
本発明のポリアミド組成物は、成分F)としてホスホナイトまたはホスファイトまたはホスホナイト/ホスファイト混合物、および成分G)として通常C14~C40の鎖長を有する長鎖脂肪族カルボン酸(脂肪酸)のエステルまたは塩を含有することができる。
【0019】
従って、本発明の対象は、以下を含む難燃性のポリアミド組成物である:
成分A)として、1~96重量%の1つまたは複数の熱可塑性ポリアミド、成分B)として、2~25重量%の式(I)のジアルキルホスフィン酸塩
【0020】
【化1】
[式中、
およびRは、同一であるかまたは異なっており、直鎖状、分岐状もしくは環状のC-C18-アルキル、C-C18-アリール、C-C18-アリールアルキルおよび/またはC-C18-アルキルアリールを意味し、
Mは、Mg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Zn、Fe、Zr、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、Na、Kおよび/またはプロトン化窒素塩基を意味し;
mは、1~4を意味し;
nは、1~4を意味する]
成分C)として、1~20重量%の亜リン酸の塩
成分D)として、1~20重量%の1つまたは複数の、メラミンの縮合生成物、
成分E)として、0~50重量%のフィラーおよび/または強化材、
成分F)として、0~2重量%のホスファイトまたはホスホナイトまたはそれらの混合物、および成分G)として、0~2重量%の通常C14~C40の鎖長を有する長鎖脂肪族カルボン酸(脂肪酸)のエステルまたは塩、
ここで、上記成分の合計は常に100重量%である。
【0021】
好ましくは、上記難燃性ポリアミド組成物は、
15~89.9重量%の成分A)、
5~20重量%の成分B)、
2~10重量%の成分C)、
2~20重量%の成分D)、
1~50重量%の成分E)、
0~2重量%の成分F)および
0.1~1重量%の成分G)
を含む。
【0022】
特に好ましくは、上記難燃性ポリアミド組成物は、
15~75.8重量%の成分A)、
5~20重量%の成分B)、
2~10重量%の成分C)、
2~10重量%の成分D)、
15~35重量%の成分E)、
0.1~1重量%の成分F)および
0.1~1重量%の成分G)
を含む。
【0023】
殊に好ましくは、上記難燃性ポリアミド組成物は、
35~65.8重量%の成分A)、
5~20重量%の成分B)、
2~7重量%の成分C)、
2~7重量%の成分D)、
25~35重量%の成分E)、
0.1~5重量%の成分F)および
0.1~5重量%の成分G)
を含む。
【0024】
別の実施態様において、上記難燃性ポリアミド組成物は、
35~96重量%の成分A)、
2~25重量%の成分B)、
1~20重量%の成分C)、
1~20重量%の成分D)、
0~50重量%の成分E)、
0~2重量%の成分F)および
0~2重量%の成分G)
を含む。
【0025】
好ましくは、前記難燃性ポリアミド組成物は、国際電気標準会議規格IEC-60112/3に従って測定された550ボルト超の比較トラッキング指数(CTI)を有する。
【0026】
好ましくは、前記難燃性ポリアミド組成物は、3.2mm~0.4mmの試験片の厚さにおいて、UL-94に従ってV-0の評価を達成する。
【0027】
好ましくは、前記難燃性ポリアミド組成物は、0.4~3mmの試験片の厚さにおいて、IEC-60695-2-12に従う960℃のグローワイヤ燃焼性指数(GWFI)を有する。
【0028】
好ましくは、前記難燃性ポリアミド組成物は、0.4~3mmの試験片の厚さにおいて、IEC-60695-2-13に従う750℃以上のグローワイヤ着火温度指数(GWIT)を有する。
【0029】
好ましくは、ポリアミド(PA)は、PA 6、PA 6,6、PA 4,6、PA12、PA 6,10、PA 4,10、PA 10,10、PA 11、PA 6T/66、PA 6T/6、PA 4T、PA 9T、PA 10T、ポリアミド-コポリマー、ポリアミド-ブレンドおよびそれらの組み合わせの群から選択される。
【0030】
好ましくは、成分A)は、ポリアミド66、またはポリアミド66およびポリアミド6からのコポリマーまたはポリマーブレンドである。
【0031】
好ましくは、成分A)は、ポリアミド PA 6T/66、PA6T/6、PA4T、PA9Tおよび/またはPA10Tである。
【0032】
好ましくは、成分D)は、メラム、メレムおよび/またはメロンであることを特徴とする。
【0033】
特に好ましくは、成分D)はメレムである。
【0034】
好ましくは、成分B)において、R、Rは同一であるかまたは異なっており、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert.-ブチル、n-ペンチルおよび/またはフェニルを意味する。
【0035】
好ましくは、前記の亜リン酸の塩(成分(C))は、一般式(II)に相当する
[HP(=O)O2-m+ (II)
[式中、
Mは、Mg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Zn、Fe、Zr、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、Naおよび/またはKを意味する。]
好ましくは、前記の亜リン酸の塩(成分(C))は、アルミニウムホスファイトAl(HPO、二級アルミニウムホスファイトAl(HPO、アルミニウムホスファイト四水和物Al(HPO*4aq、アルミニウムホスホネート、塩基性アルミニウムホスファイトAl(OH)(HPO*2aq、Al(HPO(OH)(1,6-ヘキサンジアミン)1.5*12HO、Al(HPO*xAl*nHO(x=1~2.27、n=1~50である)および/またはAl1618である。
【0036】
好ましくは、前記の亜リン酸の塩はまた、式(III)、(IV)および/または(V)のアルミニウムホスファイトであり
式(III): Al(HPO x (HO)q
(qは0~4を意味する)、
式(IV): Al2.00(HPO(OH) x (HO)
(Mは、アルカリ金属イオンを意味し、
zは0.01~1.5を意味し、
yは2.63~3.5を意味し、
vは0~2を意味し、そして
wは、0~4を意味する);
式(V): Al2,00(HPO(HPO x (HO)(uは2~2.99を意味し、
tは2~0.01を意味し、そして
sは0~4を意味する)、
および/または、式(III)のアルミニウムホスファイトと難溶性アルミニウム塩および窒素不含外来イオンとの混合物、式(V)のアルミニウムホスファイトとアルミニウム塩との混合物、式(III)、(IV)および/または(V)のアルミニウムホスファイトと、アルミニウムホスファイト[Al(HPO]、二級アルミニウムホスファイト[Al(HPO]、塩基性アルミニウムホスファイト[Al(OH)(HPO*2aq]、アルミニウムホスファイト四水和物[Al(HPO*4aq]、アルミニウムホスホネート、Al(HPO(OH)(1,6-ヘキサンジアミン)1.5*12HO、Al(HPO*xAl*nHO(x=1~2.27およびn=1~50)および/またはAl1618との混合物である。
【0037】
好ましくは、成分C)は、0.2~100μmの平均粒度を有する。
【0038】
好ましくは、前記の強化フィラーまたは強化材(成分E))は、ガラス繊維である。
【0039】
好ましくは、成分Fとして、式(IX)のホスファイトが使用される
P(OR (IX)
【0040】
好ましくは、上記ホスホナイトは、下記一般構造のものである
R-[P(OR (VI)
[式中、
Rは、一価もしくは多価の脂肪族、芳香族もしくはヘテロ芳香族の有機基であり、そして
は、構造(XII)
【0041】
【化2】
の化合物であるか、または2つの基Rは、構造(VIII)の架橋基を形成する
【0042】
【化3】
ここで、
Aは、直接結合、O、S、C1-18-アルキレン(直鎖状または分岐状)、C1-18-アルキリデン(直鎖状または分岐状)を意味し、式中、
は、互いに独立に、C1-12-アルキル(直鎖状または分岐状)、C1-12-アルコキシおよび/またはC5-12-シクロアルキルを意味し、そして
nは、0~5を意味し、
mは、1~4を意味する]。
【0043】
好ましくは、成分G)は、14~40個のC原子を有する長鎖脂肪酸のアルカリ金属-、アルカリ土類金属-、アルミニウム-および/または亜鉛塩であり、および/または14~40個のC原子を有する長鎖脂肪酸と多価アルコール、例えばエチレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパンおよび/またはペンタエリスリトールとの反応生成物である。
【0044】
請求項1~22のいずれか1つに記載の本発明の難燃性ポリアミド組成物は、さらにテロマーを含むことができる。
【0045】
テロマーは、より狭い意味において、リン酸源(HPO、次亜リン酸ナトリウム)へのオレフィン(エチレン、プロピレン)の多重付加により生じ得る。
【0046】
この場合、好ましくは、上記テロマーは式(X)のものであり、
H-(C2wP(O)(OM)(C2x-H (X)
式(X)において、互いに独立に、
kは、1~9を意味し、
lは、1~9を意味し、
wは、2~9を意味し、
xは、2~9を意味し、
Mは、Mg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Fe、Zr、Zn、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、Na、Kおよび/またはプロトン化窒素塩基を意味し、
そして、基(C2wおよび(C2xは、直鎖状であるかまたは分岐状であることができる。
【0047】
好ましくは、前記テロマーは、エチルブチルホスフィン酸、ジブチルホスフィン酸、エチルヘキシルホスフィン酸、ブチルヘキシルホスフィン酸、エチルオクチルホスフィン酸、sec-ブチルエチルホスフィン酸、1-エチルブチル-ブチル-ホスフィン酸、エチル-1-メチルペンチル-ホスフィン酸、ジ-sec-ブチルホスフィン酸(ジ-1-メチル-プロピルホスフィン酸)、プロピル-ヘキシルホスフィン酸、ジヘキシルホスフィン酸、ヘキシル-ノニルホスフィン酸、プロピル-ノニルホスフィン酸、ジノニルホスフィン酸、ジプロピルホスフィン酸、ブチル-オクチルホスフィン酸、ヘキシル-オクチルホスフィン酸、ジオクチルホスフィン酸の金属塩である。
【0048】
より広い意味において、テロマーは、例えばラジカル開始剤および溶媒からも形成し得る有機基へのリン酸源の付加によっても生じ得る。
【0049】
その場合、上記テロマーは式(XI)のものである
【0050】
【化4】
[式中、
、Rは、同一であるかまたは異なっており、C-C10-アリーレン、C-C20-アルキルアリーレン、C-C20-アリールアルキレンおよび/またはC-C16-シクロアルキルまたは-ビシクロアルキルであり、
Mは、Mg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Fe、Zr、Zn、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、Na、Kおよび/またはプロトン化窒素塩基を意味する。]
【0051】
好ましくは、式(X)において、
wおよびxはそれぞれ2~4を意味し、そして
kおよびlはそれぞれ1~4を意味する。
【0052】
特に好ましくは、式(X)において、
wおよびxはそれぞれ2または3を意味し、そして
kおよびlはそれぞれ1~3を意味する。
【0053】
好ましくは、式(X)および/または(XI)において、Mは互いに独立に、それぞれAl、Ti、FeまたはZnを意味する。
【0054】
好ましくは、前記テロマーは、エチル(シクロペンチルエチル)ホスフィン酸、ブチル(シクロペンチルエチル)ホスフィン酸、エチル(シクロヘキシルエチル)ホスフィン酸、ブチル(シクロヘキシルエチル)ホスフィン酸、エチル(フェニルエチル)ホスフィン酸、ブチル(フェニルエチル)ホスフィン酸、エチル(4-メチルフェニルエチル)ホスフィン酸、エチルフェニルホスフィン酸
ブチル(4-メチルフェニルエチル)ホスフィン酸、ブチルシクロペンチルホスフィン酸(Butylcyclopentylphosphininsaeure)、ブチルシクロヘキシルエチルホスフィン酸、ブチルフェニルホスフィン酸、エチル(4-メチルフェニル)ホスフィン酸および/またはブチル(4-メチルフェニル)ホスフィン酸の金属塩であり、当該金属塩の金属は、Mg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Fe、Zr、Zn、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、Naおよび/またはKの群に由来する。
【0055】
より広い意味において、テロマーは、例えば光開始剤の分解の過程において生じる有機基へのリン酸源の付加によっても生じ得る。
【0056】
ヒドロキシメチルエチル-エチルホスフィン酸、1-ヒドロキシ-1-メチルプロピル-エチルホスフィン酸、ブチル-エチルホスホン酸エステル、アシル-エチルホスホン酸無水物、ブチル-エチルホスホン酸、ブチルエチルホスフィン酸、エチルホスフィニルイソブチロニトリル(1-シアノ-1-メチルエチル-エチルホスフィン酸)、プロピルエチルホスフィン酸、t-ブチル-エチルホスホン酸エステル、t-ブチル-エチルホスフィン酸、エチルホスフィニル酢酸、ヒドロキシメチルブチル-エチルホスフィン酸、3-ヒドロキシ-3-メチルペンチル-エチルホスフィン酸、プロポキシエチル-エチルホスフィン酸、フェニルエチル-エチルホスフィン酸、2-エチルホスフィニルエチル-ラウリル酸エステル、エチルペンチルホスフィン酸、t-ブトキシエチル-エチルホスフィン酸、エチルホスフィニルイソヘキサン酸ニトリル、ヘキシルエチルホスフィン酸、エチルホスフィニルエチルスルフェート、エチルホスフィニル酪酸。
【0057】
本発明はまた、請求項1~23のいずれか1つに記載の難燃性ポリアミド組成物を含む三次元物品であって、成形体、射出成形部品、押出材料および/または押出部品であることを特徴とする物品に関する。
【0058】
さらに、本発明は、プラグコネクタ、電力分配装置における電流接触部品(漏電遮断)、印刷回路基板、密封材、パワープラグ、回路遮断器、ランプハウジング、LEDハウジング、コンデンサハウジング、回路基板中もしくは上のコイル部品および接地線用ベンチレータ、プラグ;プラグ用、ケーブル用、フレキシブル印刷回路基板用、携帯電話充電用ケーブル用のハウジング、エンジンカバー、テクスタイルコーティング及び他の製品中におけるまたはこれらのための、請求項1~23のいずれか1つに記載の難燃性ポリアミド組成物の使用に関する。
【0059】
好ましくは、成分A)は、少なくとも75重量%までがポリアミド66から、そして最大で25重量%がポリアミド6からなる。
【0060】
驚くべきことに、本発明の難燃性ポリアミド組成物が、良好な難燃作用(V-0およびGWFI/GWIT)を改善された流動性、高い熱安定性および高い衝撃強さと組み合わせて有することが見出された。ポリマー分解が防止されるか、または非常に大きく減少し、型への付着およびブルーミングは観察されない。さらに、本発明の難燃性ポリアミド組成物は、溶融物における加工の際に、ほんのわずかな変色を示すだけである。
【0061】
成分A)として、本発明の組成物は、少なくとも1つの熱可塑性ポリアミドを含む。
【0062】
熱可塑性ポリアミドは、Hans Domininghausの「Die Kunststoffe und ihre Eigenschaften(プラスチックおよびそれらの特性)」第5版(1998)第14頁に基づき、その分子鎖が、側鎖を有しないか、またはある程度の長さの、種々の量の側鎖を有し、加熱すると軟化し、ほぼ任意に成形可能なポリアミドと理解される。
【0063】
本発明において好ましいポリアミドは、種々の方法に従って製造することができ、種々の構成要素から合成することができ、特定の用途の場合には、単独でまたは加工助剤、安定剤またはさらにポリマーアロイパートナー、好ましくはエラストマーと組み合わせて、特定の確立された特性組み合わせを有する材料に仕上げることができる。多少の他のポリマー、好ましくはポリエチレン、ポリプロピレン、ABSとのブレンドも適切であり、ここで、任意選択的に1つまたは複数の相容剤を使用することができる。ポリアミドの特性は、エラストマーの添加により、例えば衝撃強さに関して、特にそれが強化ポリアミドである場合に、改善することができる。多くの組み合わせの可能性が、種々の特性を有する非常に多数の生成物を可能にする。
【0064】
ポリアミドの製造のために多数の方法が知られており、それらでは、所望の最終生成物に応じて、種々のモノマー構成単位、標的の分子量の調節のための種々の鎖調整剤、または後続の意図された後処理のための反応性基を有するモノマーも使用される。
【0065】
ポリアミド類の製造のための技術的に関連する方法は、大抵、溶融物における重縮合を通して進行する。この一連において、ラクタム類の加水分解重合もまた、重縮合として理解される。
【0066】
好ましくは、成分A)として使用されるべきポリアミド類(PA)は、半結晶性ポリアミドであって、少なくとも5個の環員を有するジアミンおよびジカルボン酸および/またはラクタム、あるいは対応のアミノ酸から出発して製造することができる半結晶性ポリアミドである。
【0067】
出発物質としては、脂肪族および/または芳香族ジカルボン酸、好ましくはアジピン酸、2,2,4-および2,4,4-トリメチルアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、脂肪族および/または芳香族ジアミン、好ましくはテトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,9-ノナンジアミン、2,2,4-および2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、異性体のジアミノジシクロヘキシルメタン、ジアミノジシクロヘキシルプロパン、ビス-アミノメチルシクロヘキサン、フェニレンジアミン、キシリレンジアミン、アミノカルボン酸、好ましくはアミノカプロン酸または対応のラクタムが挙げられる。複数の上記モノマーからのコポリアミドが含まれる。特に好ましくはカプロラクタム、殊に好ましくは[イプシロン]-カプロラクタムが使用される。
【0068】
さらに、PA6、PA66および他の脂肪族または/および芳香族ポリアミドまたはコポリアミドをベースとする大抵の化合物が特に適切であり、当該化合物では、ポリマー鎖中のポリアミド基に3~11個のメチレン基が存在する。
【0069】
好ましくは、上記ポリアミドおよびコポリアミドは、ポリアミド12、ポリアミド4、ポリアミド4,6、ポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド6,9、ポリアミド6,10、ポリアミド6,12、ポリアミド6,66、ポリアミド7,7、ポリアミド8,8、ポリアミド9,9、ポリアミド10,9、ポリアミド10,10、ポリアミド11、ポリアミド12等である。これらは例えば、商品名Nylon(登録商標),DuPont社、Ultramid(登録商標),BASF社、Akulon(登録商標),DSM社、Zytel(登録商標),DuPont社;Durethan(登録商標),Bayer社およびGrillamid(登録商標),Ems Chemie社で知られている。
【0070】
m-キシレン、ジアミンおよびアジピン酸に由来する芳香族ポリアミド;ヘキサメチレンジアミンおよびイソ-および/またはテレフタル酸および任意選択的に改質剤としてのエラストマーから製造されるポリアミド、例えば、ポリ-2,4,4-トリメチルヘキサメチレン-テレフタラミドまたはポリ-m-フェニレンイソフタラミド、上記ポリアミドと、ポリオレフィン、オレフィン-コポリマー、イオノマーまたは化学的に結合またはグラフトしたエラストマー、またはポリエーテル、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはポリテトラメチレングリコールとのブロックコポリマーもまた適切である。更に、EPDMもしくはABSで変性されたポリアミド類またはコポリアミド類;並びに加工中に縮合されたポリアミド(“RIM-ポリアミド系”)もある。
【0071】
1つの好ましい実施態様において、本発明の組成物は、本発明で使用される熱可塑性ポリアミドの他に、少なくとも1つのさらに別の熱可塑性ポリマー、特に好ましくは少なくとも1つの別のポリアミドを含む。
【0072】
脂肪族ポリアミド、特にPA6およびPA66およびPA6T/66およびPA6T/6が好ましい。それぞれ全量のポリアミドを基準として、好ましくは50重量%超のポリアミド66および50重量%未満のポリアミド6、特に好ましくは25重量%未満のポリアミド6を有する、ポリアミド66およびポリアミド6からの混合物が殊に好ましい。
【0073】
ポリアミド66と1つまたは複数の部分芳香族非晶質ポリアミドとのブレンドもまた好ましい。
【0074】
1つの好ましい実施態様において熱可塑性ポリアミドの他に追加的に使用されるポリマーに、通例の添加剤、特に離型剤、安定剤および/または流動助剤を、溶融物において混合するか、または表面に適用してもよい。成分A)の熱可塑性ポリアミドのための出発物質は、合成的に、例えば石油化学原料から、および/または化学的もしくは生化学的プロセスを介して再生原料から得られる。
【0075】
ここで具体的に言及していない他の難燃剤または難燃剤相乗剤も使用することができる。特に窒素含有難燃剤、例えばメラミンシアヌレート、メラミンホスフェートおよびメラミンポリホスフェートを添加することができる。さらに別のリン難燃剤、例えばアリールホスフェート類または赤リンも使用することができる。さらに、脂肪族および芳香族スルホン酸の塩および鉱物性難燃性添加剤、例えば水酸化アルミニウムおよび/または水酸化マグネシウム、Ca-Mg-カーボネート水和物(例えばDE-A-4236122)も使用することができる。酸素-、窒素または硫黄含有金属化合物、好ましくは、酸化亜鉛、ホウ酸亜鉛、スズ酸亜鉛、ヒドロキシスズ酸亜鉛、硫化亜鉛、酸化モリブデン、二酸化チタン、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、窒化チタン、窒化ホウ素、窒化マグネシウム、窒化亜鉛、リン酸亜鉛、リン酸カルシウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸マグネシウムまたはこれらの混合物の群から選択されるさらに別の難燃剤相乗剤が挙げられる。
【0076】
適切な難燃性添加剤は、好ましくは、炭素形成剤(Kohlebildner)、特に好ましくはフェノール-ホルムアルデヒド樹脂、ポリカーボネート類、ポリイミド類、ポリスルホン類、ポリエーテルスルホン類またはポリエーテルケトン類ならびに防滴剤(Antitropfmittel)、特にテトラフルオロエチレン重合体である。
【0077】
難燃剤は、純粋な形態で、およびマスターバッチまたは圧縮物を介して添加することができる。
【0078】
好ましくは、成分Bは、ジエチルホスフィン酸のアルミニウム塩または亜鉛塩である。
【0079】
好ましくは、式(III)のアルミニウムホスファイトにおいて、qは0.01~0.1を意味する。
【0080】
好ましくは、式(IV)のアルミニウムホスファイトにおいて、
zは0.15~0.4を意味し、
yは2.80~3を意味し、
vは0.1~0.4を意味し、そして
wは、0.01~0.1を意味する。
【0081】
好ましくは、式(V)のアルミニウムホスファイトにおいて、
uは2.834~2.99を意味し、
tは0.332~0.03を意味し、そして
sは0.01~0.1を意味する。
【0082】
好ましくは、上記の縮合メラミン化合物は、メラムまたはメレムである。
【0083】
【化5】
成分E)として、本発明の難燃性ポリアミド組成物は、さらなる好ましい実施態様において、少なくとも1つのフィラーまたは強化材を含むことができる。
【0084】
ここで、好ましくはタルク、雲母、ケイ酸塩、石英、二酸化チタン、珪灰石、カオリン、非晶質シリカ、ナノスケール鉱物、特に好ましくはモンモリロナイトまたはナノベーマイト、炭酸マグネシウム、白亜、長石、硫酸バリウム、ガラス球をベースとする、2つまたはそれ以上の異なるフィラーおよび/または強化材、および/または炭素繊維および/またはガラス繊維をベースとする繊維形成フィラーおよび/または強化材からの混合物も使用できる。好ましくは、タルク、雲母、ケイ酸塩、石英、二酸化チタン、珪灰石、カオリン、非晶質シリカ、炭酸マグネシウム、白亜、長石、硫酸バリウムおよび/またはガラス繊維をベースとする鉱物性粒子状フィラーが使用される。特に好ましくは、タルク、珪灰石、カオリンおよび/またはガラス繊維をベースとする鉱物性粒子状フィラーが使用され、ガラス繊維が非常に特に好ましい。
【0085】
さらに、特に好ましくは、針状鉱物性フィラーを使用することもできる。針状鉱物性フィラーは、本発明において、非常に顕著な針状特性を有する鉱物性のフィラーと理解される。好ましくは、針状珪灰石が挙げられる。好ましくは、上記の鉱物は、2:1~35:1、特に好ましくは3:1~19:1、殊に好ましくは4:1~12:1の長さと直径の比を有する。本発明において使用可能な針状鉱物の平均粒度は、CILAS粒度計で測定された場合に、好ましくは20μm未満、特に好ましくは15μm未満、殊に好ましくは10μm未満である。
【0086】
上記フィラーおよび/または強化材は、好ましい実施態様において、表面改質されていてもよく、好ましくは接着促進剤または接着促進剤系(特に好ましくはシランベースの)を用いて表面改質されていてもよい。しかしながら、前処理は必ずしも必要ではない。特にガラス繊維を使用する場合、シラン類に加えて、ポリマー分散体、皮膜形成剤、分岐剤および/またはガラス繊維加工助剤も使用することができる。
【0087】
本発明において特に好ましく成分E)として使用される一般に7~18μm、好ましくは9~15μmの繊維直径を有するガラス繊維は、連続繊維として、または切断されたもしくは粉砕されたガラス繊維として、添加される。これらの繊維は、適切なサイズ系および接着促進剤もしくは接着促進剤系(好ましくはシランベースの)を用いて仕上げてもよい。
【0088】
本発明のポリアミド組成物はさらに、さらに別の添加剤を含むことができる。本発明の意味において、好ましい添加剤は、酸化防止剤、UV安定剤、ガンマ線安定剤、加水分解安定剤、帯電防止剤、乳化剤、核形成剤、軟化剤、加工助剤、耐衝撃性改良剤、染料および顔料である。前記添加剤は、単独でまたは混合物においてまたはマスターバッチの形態で使用することができる。
【0089】
適切な酸化防止剤は、例えば、アルキル化モノフェノール類、例えば2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール;アルキルチオメチルフェノール類、例えば2,4-ジ-オクチルチオメチル-6-tert-ブチルフェノール;ヒドロキノンおよびアルキル化ヒドロキノン、例えば2,6-ジ-tert-ブチル-4-メトキシフェノール;トコフェロール類、例えばα-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、δ-トコフェロールおよびそれらの混合物(ビタミンE);ヒドロキシル化チオジフェニルエーテル、例えば2,2’-チオ-ビス(6-tert-ブチル-4-メチルフェノール)、2,2’-チオ-ビス(4-オクチルフェノール)、4,4’-チオ-ビス-(6-tert-ブチル-3-メチルフェノール)、4,4’-チオ-ビス-(6-tert-ブチル-2-メチルフェノール)、4,4’-チオ-ビス-(3,6-ジ-sec.-アミルフェノール)、4,4’-ビス-(2,6-ジ-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-ジスルフィド(4,4’-Bis-(2,6-di-methyl-4-hydroxyphenyl)-disulfic);アルキリデン-ビスフェノール類、例えば2,2’-メチレン-ビス-(6-tert-ブチル-4-メチルフェノール;O-、N-およびS-ベンジル化合物、例えば3,5,3’,5’-テトラ-tert-ブチル-4,4’-ジヒドロキシジベンジルエーテル;ヒドロキシベンジル化芳香族類、例えばジオクタデシル-2,2-ビス-(3,5-ジ-tert-ブチル-2-ヒドロキシベンジル)-マロネート;ヒドロキシベンジル-アロメート類、例えば1,3,5-トリス-(3,5-ジ-tert-ブチル)-4-ヒドロキシベンジル)-2,4,6-トリメチルベンゼン、1,4-ビス-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2,3,5,6-テトラメチルベンゼン、2,4,6-トリス-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-フェノール;トリアジン化合物、例えば2,4-ビス-オクチルメルカプト-6(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシアニリノ)-1,3,5-トリアジン;ベンジルホスホネート類、例えばジメチル-2,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホネート;アシルアミノフェノール類、4-ヒドロキシラウリン酸アミド、4ヒドロキシステアリン酸アニリド、N-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-カルバミン酸オクチルエステル;β-(3.5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオン酸と一価または多価アルコールのエステル;β-(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-プロピオン酸と一価または多価アルコールのエステル;β-(3,5-ジシクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオン酸と一価または多価アルコールのエステル;3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル酢酸と一価または多価アルコールのエステル;β-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオン酸のアミド、例えばN,N’ビス-(3,5-ジ-tert-ブチル4-ヒドロキシフェニルプロピオニル)-ヘキサメチレンジアミン、N,N’-ビス-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオニル)-トリメチレンジアミン、N,N’-ビス-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオニル)-ヒドラジンである。
【0090】
特に好ましくは、立体障害フェノールが単独でまたはホスファイト類と組み合わせて使用され、ここで、N,N’-ビス[3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヘキサメチレンジアミン(例えばBASF SE社、ルートヴィヒスハーフェン、独国のIrganox(登録商標)1098)の使用が特に好ましい。
【0091】
適切なUV吸収剤および光安定剤は、例えば、2-(2’-ヒドロキシ-フェニル)-ベンゾトリアゾール類、例えば2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)-ベンゾトリアゾール;2-ヒドロキシベンゾフェノン類、例えば4-ヒドロキシ、4-メトキシ、4-オクトキシ、4-デシルオキシ-、4-ドデシルオキシ-、4-ベンジルオキシ-、4,2’,4-トリヒドロキシ-、2’-ヒドロキシ-4,4’-ジメトキシ-誘導体;任意選択的に置換された安息香酸のエステル、例えば4-tert-ブチル-フェニルサリチレート、フェニルサリチレート、オクチルフェニル-サリチレート、ジベンゾイルレゾルシン、ビス-(4-tert-ブチルベンゾイル)-レゾルシン、ベンゾイルレゾルシン、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ安息香酸-2,4-ジ-tert-ブチルフェニルエステル、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ安息香酸ヘキサデシルエステル、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ安息香酸-オクタデシルエステル、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ安息香酸-2-メチル-4,6-ジ-tert-ブチルフェニルエステル、アクリレート類、例えばα-シアン-β,β-ジフェニルアクリル酸-エチルエステルまたは-イソオクチルエステル、α-カルボメトキシ-桂皮酸メチルエステル、α-シアノ-β-メチル-p-メトキシ-桂皮酸メチルエステルもしくはブチルエステル、α-カルボメトキシ-p-メトキシ-桂皮酸メチルエステル、N-(β-カルボ-メトキシ-β-シアノビニル)-2-メチル-インドリンである。
【0092】
着色剤としては、好ましくは無機顔料、特に二酸化チタン、ウルトラマリンブルー、酸化鉄、硫化亜鉛またはカーボンブラック、さらに有機顔料、好ましくはフタロシアニン、キナクリドン、ペリレン、および染料、好ましくはニグロシンおよびアントラキノンが使用される。
【0093】
適切なポリアミド安定剤は、例えば、ヨウ化物および/またはリン化合物と組み合わせた銅塩、および2価のマンガンの塩である。
【0094】
適切な塩基性共安定剤は、メラミン、ポリビニルピロリドン、ジシアンジアミド、トリアリルシアヌレート、尿素誘導体、ヒドラジン誘導体、アミン類、ポリアミド類、ポリウレタン類、高級脂肪酸のアルカリ金属-およびアルカリ土類金属塩、例えばステアリン酸Ca、ステアリン酸Zn、ベヘン酸Mg、ステアリン酸Mg、リシノール酸Na、パルミチン酸K、カテコール酸アンチモンまたはカテコール酸スズである。
【0095】
適切な核形成剤は、例えば4-tert-ブチル安息香酸、アジピン酸およびジフェニル酢酸、酸化アルミニウムまたは二酸化ケイ素、特に好ましくはタルクであり、これらの列挙に限定されない。
【0096】
流動助剤としては、好ましくは、少なくとも1つのα-オレインと脂肪族アルコールの少なくとも1つのメタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステルからの共重合体を使用することができる。ここで、α-オレフィンがエテンおよび/またはプロペンから構成され、メタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステルがアルコール成分として6~20個のC原子を有する直鎖状または分岐状アルキル基を含む共重合体が特に好ましい。非常に特に好ましくは、アクリル酸-(2-エチル)-ヘキシルエステルである。
【0097】
流動助剤として本発明において適切な共重合体は、組成に加えて、低い分子量を特徴とする。従って、本発明に従って熱分解から保護されるべき組成物のための適切な共重合体は、特に、190℃および2.16kgの負荷で、少なくとも100g/10分、好ましくは少なくとも150g/10分、特に好ましくは少なくとも300g/10分のメルトフローインデックス(MFI)値を有する共重合体である。MFIは、熱可塑性物質の溶融物の流動状態の特性付けのために役立ち、ISO1133またはASTM D1238規格に従う。本発明の枠内において、MFIまたはMFIに関する全ての記載は、一貫して、190℃および2.16kgの試験重量でのISO 1133に関し、これに従って測定または決定された。
【0098】
好ましくは、添加される軟化剤は、フタル酸ジオクチルエステル、フタル酸ジベンジルエステル、フタル酸ブチルベンジルエステル、炭化水素油またはN-(n-ブチル)ベンゼンスルホンアミドである。
【0099】
本発明はまた、射出成形または押出により本発明に記載の組成物から得られる生成物、好ましくは繊維、フィルムまたは成形体に関する。
【0100】
適切なホスフィネート(成分B))は、PCT/WO97/39053に記載されており、これは明示的に参照され組み込まれる。特に好ましいホスフィネートは、アルミニウム-、カルシウム-および亜鉛ホスフィネートである。
【0101】
好ましい亜リン酸の塩(成分C))は、水に不溶性または難溶性の塩である。
【0102】
亜リン酸の特に好ましい塩は、アルミニウム-、カルシウム-および亜鉛塩である。
【0103】
特に好ましくは、成分C)は、亜リン酸およびアルミニウム化合物からの反応生成物である。
【0104】
CAS番号15099-32-8、119103-85-4、220689-59-8、56287-23-1、156024-71-4、71449-76-8および15099-32-8を有するアルミニウムホスファイトが好ましい。
【0105】
好ましくは、前記アルミニウムホスファイトは、0.2~100μmの粒度を有する。
【0106】
好ましいアルミニウムホスファイトの製造は、最大4日の期間、20~200℃で溶媒においてアルミニウム源とリン源および任意選択的にテンプレートを反応させることにより行われる。そのために、アルミニウム源およびリン源を1~4時間混合し、熱水条件下でまたは還流下で加熱し、ろ過し、洗浄し、そして例えば110℃で乾燥する。
【0107】
好ましいアルミニウム源は、アルミニウムイソプロポキシド、硝酸アルミニウム、塩化アルミニウムおよび水酸化アルミニウム(例えば擬ベーマイト)である。
【0108】
好ましいリン源は、亜リン酸、(酸性)アンモニウムホスファイト、アルカリ金属ホスファイトまたはアルカリ土類金属ホスファイトである。
【0109】
好ましいアルカリ金属ホスファイトは、ジナトリウムホスファイト、ジナトリウムホスファイト水和物、トリナトリウムホスファイトおよびカリウム水素ホスファイトである。
【0110】
好ましいジナトリウムホスファイト水和物は、Brueggemann社のBrueggolen(登録商標)H10である。
【0111】
好ましいテンプレートは、1,6-ヘキサンジアミン、グアニジンカーボネートまたはアンモニアである。
【0112】
好ましいアルカリ土類金属ホスファイトはカルシウムホスファイトである。
【0113】
ここで、アルミニウムとリンと溶媒との好ましい比は、1:1:3.7~1:2.2:100molである。アルミニウムとテンプレートとの比は、1:0~1:17molである。反応溶液の好ましいpH値は、3~9である。好ましい溶媒は水である。
【0114】
特に好ましくは、前記使用において、同じホスフィン酸の塩、例えば亜リン酸塩、すなわち例えばアルミニウムジアルキルホスフィネートが、アルミニウムホスファイトと一緒に、または亜鉛ジアルキルホスフィネートが亜鉛ホスファイトと一緒に使用される。
【0115】
好ましくは、成分G)は、14~40個のC原子を有する長鎖脂肪酸のアルカリ金属-、アルカリ土類金属-、アルミニウム-および/または亜鉛塩であり、および/または14~40個のC原子を有する長鎖脂肪酸と多価アルコール、例えばエチレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパンおよび/またはペンタエリスリトールとの反応生成物である。特に好ましくは、それはアルミニウム-、カルシウム-または亜鉛ステアレートまたはカルシウムモンタネートである。
【0116】
さらに別の難燃剤としては、好ましくは、アリールホスフェート類、ホスホネート類、ジ亜リン酸の塩ならびに赤リンが適切である。
【0117】
好ましくは、成分Fとして、式(IX)のホスファイトが使用される
P(OR (IX)
式中、Rは上記の意味を有する。
【0118】
好ましくは、上記ホスホナイトの場合、基
Rは、C4-18-アルキル(直鎖状または分岐状)、C4-18-アルキレン(直鎖状または分岐状)、C5-12-シクロアルキル、C5-12-シクロアルキレン、C6-24-アリールもしくは-ヘテロアリール、C6-24-アリーレンもしくは-ヘテロアリーレンであり、これらはさらに置換されていてもよく;
は、構造(IX)または(VI)の化合物であり、ここで、
は互いに独立に、C1--アルキル(直鎖状または分岐状)、C1--アルコキシ、シクロヘキシルであり;
Aは、直接結合、O、C1--アルキレン(直鎖状または分岐状)、C1--アルキリデン(直鎖状または分岐状)であり、そして
nは、0~3であり、
mは、1~3である。
【0119】
特に好ましくは、上記ホスホナイトの場合、基
Rは、シクロヘキシル、フェニル、フェニレン、ビフェニルおよびビフェニレンであり、
は、構造(IX)または(VI)の化合物であり、ここで
は互いに独立に、C1--アルキル(直鎖状または分岐状)、C1--アルコキシ、シクロヘキシルであり
Aは、直接結合、O、C1--アルキリデン(直鎖状または分岐状)であり、そして
nは、1~3であり、
mは、1または2である。
【0120】
さらに、上記の請求項の化合物の混合物が、ホスファイトと組み合わせて特許請求される。
【0121】
特に好ましくは、上記定義に基づく化合物は、フリーデル-クラフツ触媒、例えば塩化アルミニウム、塩化亜鉛、塩化鉄等の存在下での、芳香族類またはヘテロ芳香族類、例えばベンゼン、ビフェニル-もしくはジフェニルエーテルとトリハロゲン化リン、好ましくは三塩化リンとのフリーデル-クラフツ反応、ならびに後続の構造(IX)および(VI)のベースとなるフェノール類との反応により、製造される。ここで、上記の一連の反応に従って過剰のトリハロゲン化リンおよび上記のフェノールから生成されるホスファイトとの混合物も明確に含まれる。
【0122】
さらに、化合物のこれらの群のうち、以下の構造(XII)および(XIII)が好ましい:
【0123】
【化6】
式中、nは0または1であることができ、これらの混合物は任意選択的にさらに多少の化合物(XIV)または(XV)を含んでいてもよい:
【0124】
【化7】
成分G)としては、典型的にはC14~C40の鎖長を有する、長鎖脂肪族カルボン酸(脂肪酸)のエステルまたは塩が適切である。上記エステルは、上記のカルボン酸と慣用の多価アルコール、例えばエチレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパンまたはペンタエリトリトールとの反応生成物である。上記のカルボン酸の塩としては、特に、アルカリ金属-もしくはアルカリ土類金属塩、またはアルミニウム-および亜鉛塩が挙げられる。
【0125】
好ましくは、成分G)は、ステアリン酸のエステルまたは塩、例えばグリセリンモノステアレートまたはカルシウムステアレートである。
【0126】
好ましくは、成分G)はまた、モンタンワックス酸とエチレングリコールの反応生成物である。
【0127】
好ましくは、上記反応生成物は、エチレングリコール-モノ-モンタンワックス酸エステル、エチレングリコール-ジモンタンワックス酸エステル、モンタンワックス酸およびエチレングリコールからの混合物である。
【0128】
好ましくは、成分G)はまた、モンタンワックス酸とカルシウム塩の反応生成物である。
【0129】
特に好ましくは、上記反応生成物は、1,3-ブタンジオール-モノ-モンタンワックス酸エステル、1,3-ブタンジオール-ジ-モンタンワックス酸エステル、モンタンワックス酸、1,3-ブタンジオール、カルシウムモンタネートおよびカルシウム塩からの混合物である。
【0130】
請求項1~20のいずれか1つに記載の本発明の組成物は、好ましくは、0.4~3mmの試験片の厚さにおいて、IEC-60695-2-13に従う775℃以上のグローワイヤ着火温度(GWIT)を有する。
【0131】
上記添加剤は、種々の工程ステップにおいてプラスチックに導入することができる。従って、ポリアミドの場合、重合/重縮合の開始または終了時に既に、または後続のコンパウンディング工程において、上記添加剤をポリマー溶融物に混合することが可能である。さらに、添加剤をさらに後で添加する加工プロセスがある。これは特に、顔料-および添加剤マスターバッチの使用の場合に実施される。さらに、特に粉末状添加剤を乾燥プロセスにより任意選択的に温かいポリマーペレットにドラムを使用して導入することも可能である。
【0132】
本発明は、最終的には、本発明の難燃性ポリマー成形材料を、より高い温度での、射出成形(例えばAarburg Allrounderタイプの射出成形機)および圧縮、射出発泡成形、ガス射出成形、ブロー成形、フィルム成形、カレンダー成形、ラミネート加工またはコーティングにより、難燃性ポリマー成形体に加工する、難燃性ポリマー成形体の製造方法にも関する。
【実施例
【0133】

1.使用した成分
市販のポリアミド(成分A)):
ポリアミド6.6(PA 6.6-GV):Ultramid(登録商標)A27(BASF SE社,D)
ポリアミド6:Ultramid(登録商標)B27(BASF SE社,D)
ポリアミド6T/66:Vestamid HTplus M1000(Evonik社,D)
ポリアミド10T:Vestamid HTplus M3000(Evonik社,D)
【0134】
成分E):10μm直径および4.5mmの長さを有するガラス繊維PPG HP3610(PPG社,NL)
【0135】
難燃剤(成分B)):
ジエチルホスフィン酸のアルミニウム塩、以下DEPALと呼ぶ
【0136】
難燃剤(成分C)):
亜リン酸のアルミニウム塩、以下PHOPALと呼ぶ
【0137】
難燃剤(成分D)):
Delacal360(メラム)
Delacal420(メレム)
Delacal500(メロン)、全てDelamin Ltd社,UK
【0138】
比較:MPP, メラミンポリホスフェート,Melapur(登録商標)200/70,BASF AG社,D
【0139】
ホスホナイト(成分F)):Sandostab(登録商標)P-EPQ,Clariant GmbH社,D
【0140】
ワックス成分(成分G)):
Licowax(登録商標)E, Clariant Produkte(Deutschland) GmbH社,D(モンタンワックス酸のエステル)
【0141】
2.難燃性ポリアミド成形材料の製造、加工および試験
難燃剤成分を表に記載される比でホスホナイト、潤滑剤および安定剤と混合し、二軸スクリュー押出機(Leistritz ZSE 27/44D型)のサイドフィーダーを介して、260~310℃の温度でPA6.6に、または250~275℃でPA6に練り込んだ。ガラス繊維は、第2のサイドフィーダーを介して添加した。均質化したポリマーストランドを抜き取り、水浴で冷却し、引き続き造粒した。
【0142】
十分に乾燥した後に、成形材料を射出成形機(Arburg 320 C Allrounderタイプ)において250~300℃の材料温度で試験片に加工し、UL94試験(Underwriter Laboratories)に基づいて難燃性を試験し、クラス付けした。
【0143】
UL94とは以下の耐火クラスである:
V-0:残炎時間が10秒以下、10回接炎した場合の全残炎時間が50秒以下、燃焼滴下物無し、試験片の燃え尽き無し、接炎終了後の試験片の残燼時間が30秒以下。
V-1:接炎終了後の残炎時間が30秒以下、10回接炎した際の全残炎時間が250秒以下、接炎終了後の試験片の残燼時間が60秒以下、他の基準はV-0と同じ。
V-2:綿指示材が燃焼滴下物によって着火する。他の基準はV-1と同じ。
分類不能(ucl):耐火クラスV-2を満たさない。
【0144】
グローワイヤ耐性を、IEC 60695-2-12に従うグローワイヤ試験GWFI(グローワイヤ燃焼性指数)に基づいて、およびIEC60695-2-13に従うグローワイヤ燃焼性試験GWIT(グローワイヤ着火温度)に基づいて測定した。GWFI試験では、3つの試験片(例えば、60X60X1.5mmの形状のプレート)で550~960℃の温度でグローワイヤを用いて、残炎時間が30秒を超えず、試料が燃焼して落下しない最高温度を求める。GWIT試験では、比較可能な測定手段で、グローワイヤ着火温度を決定し、これは3回の連続した試験においてグローワイヤの適用時間内に着火を起こさない最高グローワイヤ温度より25K高い(900℃~960℃の間では30K)。ここでは、5秒以上の燃焼時間を有する炎を着火と見なす。
【0145】
成形材料の流動性は、275℃/2.16kgでメルトボリュームフローレート(MVR)を求めることにより測定した。より高いMVR値は、射出プロセスにより良好な流動性を意味する。ただし、MVR値の大きな増加はポリマー分解も示唆し得る。
【0146】
各シリーズの全ての試験は、別段の記載がない限り、比較可能性のために、同一条件(温度プログラム、スクリュー形状、射出パラメーター等)下で行った。
【0147】
本発明に従った難燃剤-安定剤混合物を使用した結果を例B1~B3に示す。全ての量は重量%として表し、難燃剤、添加剤および強化材を含めたプラスチック成形材料を基準とする。
【0148】
【表1】
【0149】
ポリアミド、ガラス繊維、DEPAL、PHOPALおよびメラムまたはメレムの本発明の組み合わせによってのみ、0.4mmで燃焼性クラスUL94 V-0を達成し、同時に775℃超のGWITおよびCTI 600ボルト、65kJ/m超の衝撃強さ、10 kJ/m超のノッチ付き衝撃強さを有し、変色がなく(黄色度<20)、ブルーミングを示さないポリアミド成形材料が得られる。さらに、これらの本発明の組成物によってのみ、所望の白色度が示される。PHOPALなしでのDEPALの使用(V1)ではV-0は達成されず、DEPALとMPPの組み合わせ(V4)により確かにV-0およびGWIT 775℃が達成されるが、ポリアミド成形材料は変色およびブルーミングを示す。同様に、600VのCTIは達成されない。DEPALとPHOPALの組み合わせは、GWIT>=775℃を達成せず、DEPALとメラムの組み合わせ(V3)は、UL94 V-0およびGWIT 775℃を満たさない。
【0150】
【表2】
【0151】
ポリアミド6における試験は同様の状況を示す:ポリアミド6とガラス繊維、DEPAL、PHOPALおよびメレムとの本発明の組み合わせのみが、同時に、0.4mmでのUL94 V-0、GWIT>=775℃、CTI 600Vを有し、ブルーミングを有さず、良好な流動性および良好な機械的値を有する成形材料が得られる。
【0152】
【表3】
【0153】
ポリアミド10Tにおいても、ポリアミドとガラス繊維、DEPAL、PHOPALおよびメレムとの本発明の組み合わせによってのみ、同時に、0.4mmでのUL94 V-0、GWIT>=775℃、CTI 600Vを有し、ブルーミングを示さず、良好な機械的値を有する成形材料が得られる。DEPALおよびMPPの組み合わせは、PA10Tに加工できない。
【0154】
【表4】
【0155】
ポリアミド6T/66において、ポリアミドとガラス繊維、DEPAL、PHOPALおよびメロンとの本発明の組み合わせにより、同時に、0.4mmでのUL94 V-0、GWIT>=775℃、CTI 600Vを有し、ブルーミングを示さず、良好な機械的値を有する成形材料が得られる。DEPALおよびMPPの組み合わせは、PA6T/66においても加工できない。
【0156】
全体として、本発明の組み合わせのみが、満たすべきパラメーター全てを達成する。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の態様として以下も包含し得る。
1.成分A)として、1~96重量%の1つまたは複数の熱可塑性ポリアミド、成分B)として、2~25重量%の式(I)のジアルキルホスフィン酸塩
【化8】
[式中、
およびR は、同一であるかまたは異なっており、直鎖状、分岐状もしくは環状のC -C 18 -アルキル、C -C 18 -アリール、C -C 18 -アリールアルキルおよび/またはC -C 18 -アルキルアリールを意味し、
Mは、Mg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Zn、Fe、Zr、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、Na、Kおよび/またはプロトン化窒素塩基を意味し;
mは、1~4を意味し;
nは、1~4を意味する]、
成分C)として、1~20重量%の亜リン酸の塩、
成分D)として、1~20重量%の1つまたは複数のメラミンの縮合生成物、
成分E)として、0~50重量%のフィラーおよび/または強化材、
成分F)として、0~2重量%のホスファイトまたはホスホナイトまたはそれらの混合物、および成分G)として、0~2重量%の典型的にはC 14 ~C 40 の鎖長を有する長鎖脂肪族カルボン酸(脂肪酸)のエステルまたは塩、
を含み、上記成分の合計は常に100重量%である、難燃性ポリアミド組成物。
2.15~89.9重量%の成分A)、
5~20重量%の成分B)、
2~10重量%の成分C)、
2~10重量%の成分D)、
1~50重量%の成分E)、
0~2重量%の成分F)および
0.1~1重量%の成分G)
を含む、上記1に記載の難燃性ポリアミド組成物。
3.15~75.8重量%の成分A)、
5~20重量%の成分B)、
2~10重量%の成分C)、
2~10重量%の成分D)、
15~35重量%の成分E)、
0.1~1重量%の成分F)および
0.1~1重量%の成分G)
を含む、上記1または2に記載の難燃性ポリアミド組成物。
4.35~65.8重量%の成分A)、
5~20重量%の成分B)、
2~7重量%の成分C)、
2~7重量%の成分D)、
25~35重量%の成分E)、
0.1~0.5重量%の成分F)および
0.1~0.5重量%の成分G)
を含む、上記1~3のいずれか1つに記載の難燃性ポリアミド組成物。
5.35~96重量%の成分A)、
2~25重量%の成分B)、
1~20重量%の成分C)、
1~20重量%の成分D)、
0~50重量%の成分E)、
0~2重量%の成分F)および
0~2重量%の成分G)
を含む、上記1に記載の難燃性ポリアミド組成物。
6.国際電気標準会議規格IEC-60112/3に従って測定される500ボルト超の比較トラッキング指数(CTI)を有することを特徴とする、上記1~5のいずれか1つに記載の難燃性ポリアミド組成物。
7.3.2mm~0.4mmの試験片の厚さにおいて、UL-94に従ってV-0の評価を達成することを特徴とする、上記1~6のいずれか1つに記載の難燃性ポリアミド組成物。
8.0.4~3mmの試験片の厚さにおいて、IEC-60695-2-12に従う850℃以上のグローワイヤ燃焼性指数(GWFI)を有することを特徴とする、上記1~7のいずれか1つに記載の難燃性ポリアミド組成物。
9.0.4~3mmの試験片の厚さにおいて、IEC-60695-2-13に従う750℃以上のグローワイヤ着火温度指数(GWIT)を有することを特徴とする、上記1~7のいずれか1つに記載の難燃性ポリアミド組成物。
10.ポリアミド(PA)が、PA6、PA6,6、PA4,6、PA12、PA6,10、PA6T/66、PA6T/6、PA4T、PA9T、PA10T、ポリアミド-コポリマー、ポリアミド-ブレンドおよびそれらの組み合わせからなる群から選択されることを特徴とする、上記1~9のいずれか1つに記載の難燃性ポリアミド組成物。
11.成分A)が、ポリアミド66、またはポリアミド66とポリアミド6とのコポリマーまたはポリマーブレンドであることを特徴とする、上記1~10のいずれか1つに記載の難燃性ポリアミド組成物。
12.成分A)が、ポリアミドPA6T/66、PA6T/6、PA4T、PA9Tおよび/またはPA10Tであることを特徴とする、上記1~10のいずれか1つに記載の難燃性ポリアミド組成物。
13.成分D)が、メラム、メレムおよび/またはメロンであることを特徴とする、上記1~12のいずれか1つに記載の難燃性ポリアミド組成物。
14.成分D)がメレムであることを特徴とする、上記1~13のいずれか1つに記載の難燃性ポリアミド組成物。
15.成分B)において、R およびR は同一であるかまたは異なっており、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert.-ブチル、n-ペンチルおよび/またはフェニルを意味することを特徴とする、上記1~14のいずれか1つに記載の難燃性ポリアミド組成物。
16.前記の亜リン酸の塩(成分(C))が、一般式(II)
[HP(=O)O 2- m+ (II)
に相当し、
式中、Mが、Mg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Zn、Fe、Zr、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、Naおよび/またはKを意味することを特徴とする、上記1~15のいずれか1つに記載の難燃性ポリアミド組成物。
17.前記の亜リン酸の塩(成分(C))が、アルミニウムホスファイトAl(H PO 、二級アルミニウムホスファイトAl (HPO 、アルミニウムホスファイト四水和物Al (HPO *4aq、アルミニウムホスホネート、塩基性アルミニウムホスファイトAl(OH)(H PO *2aq、Al (HPO (OH) (1,6-ヘキサンジアミン) 1.5 *12H O、Al (HPO *xAl *nH O(x=1~2.27、n=1~50である)および/またはAl 16 18 であることを特徴とする、上記1~15のいずれか1つに記載の難燃性ポリアミド組成物。
18.前記の亜リン酸の塩が、式(III)、(IV)および/または(V)のアルミニウムホスファイトであり
式(III): Al (HPO x (H O)
(qは0~4を意味する);
式(IV) Al 2.00 (HPO (OH) x (H O)
(Mは、アルカリ金属イオンを意味し、
zは0.01~1.5を意味し、
yは2.63~3.5を意味し、
vは0~2を意味し、そして
wは、0~4を意味する);
式(V) Al 2.00 (HPO (H PO x (H O) (uは2~2.99を意味し、
tは2~0.01を意味し、そして
sは0~4を意味する)、
および/または、式(VII)のアルミニウムホスファイトと難溶性アルミニウム塩および窒素不含外来イオンとの混合物、式(IX)のアルミニウムホスファイトとアルミニウム塩との混合物、式(VII)~(IX)のアルミニウムホスファイトと、アルミニウムホスファイト[Al(H PO ]、二級アルミニウムホスファイト[Al (HPO ]、塩基性アルミニウムホスファイト[Al(OH)(H PO *2aq]、アルミニウムホスファイト四水和物[Al (HPO *4aq]、アルミニウムホスホネート、Al (HPO (OH) (1,6-ヘキサンジアミン) 1.5 *12H O、Al (HPO *xAl *nH O(x=1~2.27およびn=1~50)および/またはAl 16 18 との混合物であることを特徴とする、上記1~15のいずれか1つに記載の難燃性ポリアミド組成物。
19.成分C)が、0.2~100μmの平均粒度を有することを特徴とする、上記1~18のいずれか1つに記載の難燃性ポリアミド組成物。
20.前記の強化フィラーまたは強化材(成分E))がガラス繊維であることを特徴とする、上記1~19のいずれか1つに記載の難燃性ポリアミド組成物。
21.上記ホスホナイト(成分F))は、下記一般構造のものであることを特徴とする、上記1~20のいずれか1つに記載の難燃性ポリアミド組成物。
R-[P(OR (VI)
[式中、
Rは、一価もしくは多価の脂肪族、芳香族もしくはヘテロ芳香族の有機基であり、そして
は、構造(VII)
【化9】
の化合物であるか、または2つの基R は、構造(VIII)の架橋基を形成する
【化10】
ここで、
Aは、直接結合、O、S、C 1-18 -アルキレン(直鎖状または分岐状)、C 1-18 -アルキリデン(直鎖状または分岐状)を意味し、式中、
は、互いに独立に、C 1-12 -アルキル(直鎖状または分岐状)、C 1-12 -アルコキシおよび/またはC 5-12 -シクロアルキルを意味し、そして
nは、0~5を意味し、
mは、1~4を意味する]。
22.成分G)が、14~40個のC原子を有する長鎖脂肪酸のアルカリ金属-、アルカリ土類金属-、アルミニウム-および/または亜鉛塩であり、および/または14~40個のC原子を有する長鎖脂肪酸と多価アルコール、例えばエチレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパンおよび/またはペンタエリスリトールとの反応生成物であることを特徴とする、上記1~21のいずれか1つに記載の難燃性ポリアミド組成物。
23.さらにテロマーを含み、前記テロマーが、エチルブチルホスフィン酸、ジブチルホスフィン酸、エチルヘキシルホスフィン酸、ブチルヘキシルホスフィン酸、エチルオクチルホスフィン酸、sec-ブチルエチルホスフィン酸、1-エチルブチル-ブチル-ホスフィン酸、エチル-1-メチルペンチル-ホスフィン酸、ジ-sec-ブチルホスフィン酸(ジ-1-メチル-プロピルホスフィン酸)、プロピル-ヘキシルホスフィン酸、ジヘキシルホスフィン酸、ヘキシル-ノニルホスフィン酸、ジノニルホスフィン酸および/またはそれらの金属Mg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Zn、Fe、Zr、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、Na、Kとの塩であることを特徴とする、上記1~22のいずれか1つに記載の難燃性ポリアミド組成物。
24.上記1~23のいずれか1つに記載の組成物を含む三次元物品であって、成形体、射出成形部品、押出材料および押出部品であることを特徴とする物品。
25.プラグコネクタ、電力分配装置における電流接触部品(漏電遮断)、印刷回路基板、密封材、パワープラグ、回路遮断器、ランプハウジング(LEDハウジング)、コンデンサハウジング、回路基板中もしくは上のコイル部品および接地線用ベンチレータ、プラグ;プラグ用、ケーブル用、フレキシブル印刷回路基板用、携帯電話充電用ケーブル用のハウジング、エンジンカバー、テクスタイルコーティング及び他の製品中におけるまたはこれらのための、上記1~23のいずれか1つに記載の難燃性ポリアミド組成物の使用。