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特許7561191誘導モータを分析するための改良された技術
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-25
(45)【発行日】2024-10-03
(54)【発明の名称】誘導モータを分析するための改良された技術
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/23 20200101AFI20240926BHJP
   G06F 30/367 20200101ALI20240926BHJP
   H02P 23/14 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
G06F30/23
G06F30/367
H02P23/14
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022526714
(86)(22)【出願日】2020-11-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-15
(86)【国際出願番号】 US2020059877
(87)【国際公開番号】W WO2021096880
(87)【国際公開日】2021-05-20
【審査請求日】2023-10-19
(31)【優先権主張番号】62/933,892
(32)【優先日】2019-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510192916
【氏名又は名称】テスラ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サイエド,アイエシャ
(72)【発明者】
【氏名】ゲー,ハオ
(72)【発明者】
【氏名】ラスカリス,コンスタンティノス
(72)【発明者】
【氏名】アリプランティス,ディニシオス
【審査官】合田 幸裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-026595(JP,A)
【文献】特開2001-318132(JP,A)
【文献】国際公開第2017/126093(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0278160(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0284204(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 30/00 - 30/398
H02P 23/14
IEEE Xplore
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つまたは複数のプロセッサのシステムによって実施される方法であって、
誘導モータ(IM)に関連する回路モデル情報にアクセスするステップであって、前記回路モデル情報は複数のロータセグメント反映する、ステップと、
線形化回路モデルへの入力として前記ロータセグメントに関連する時変ロータ磁束リップル信号の使用に基づいて、ロータセグメント電流を決定するステップと、
前記ロータセグメント電流に基づいて前記IMに関連する1つまたは複数の損失を決定するステップと、を含む、方法。
【請求項2】
前記ロータセグメント電流は、ロータセグメント公称電流を含み、
前記ロータセグメント公称電流を決定するステップは、
有限要素分析(FEAの実行を介して時間平均インダクタンス行列を抽出するステップと、
前記時間平均インダクタンス行列を前記線形化回路モデルへの入力として使用して前記ロータセグメント公称電流を決定するステップと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記回路モデルは、ロータバーセグメントにセグメント化される複数のロータバーを反映し、各ロータバーは、等比級数を使用してセグメント化され、各ロータバーからセグメント化された前記ロータセグメントは、前記ロータバーの半径方向に沿って狭くなる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記線形化回路モデルは、同期回転フレームに変換された前記IMの回路モデルを表す、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ロータセグメント電流は、グリッド上の有限要素分析(FEA)の実行、および、前記線形化回路モデルの使用に基づいて決定され、前記グリッドは、同期速度に関連する第1の電気角およびすべり周波数に関連する第2の電気角に関して周期的であり、FEAの実行は、FEAの実行が制約されるように、前記第1の電気角および前記第2の電気角のそれぞれの周期内の位置に制限される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記時変ロータ磁束リップル信号は、グリッド上の磁束リップルサンプルを抽出する、前記グリッド上の有限要素分析(FEA)の実行を介して取得され、
前記磁束リップルサンプルを前記時変ロータ磁束リップル信号に変換するステップは、
前記磁束リップルサンプルの2次元変換を実行するステップであって、変換係数が取得される、ステップと、
前記変換係数に基づいて逆2次元変換を実行するステップと、
前記逆2次元変換に基づいて、前記時変ロータ磁束リップル信号を取得するステップと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記逆2次元変換は、前記変換係数を含む補間関数を使用して実行される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記損失は、ケージ損失またはコア損失の1つまたは複数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ロータセグメント電流は、ロータセグメント公称電流およびロータセグメントリップル電流を含み、ケージ損失は、前記ロータセグメント公称電流に関連する第1の損失と、前記ロータセグメントリップル電流に関連する第2の損失の合計とに基づいて決定される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
1つまたは複数のプロセッサと、前記1つまたは複数のプロセッサによって実行されたときに前記プロセッサに動作を実行させる命令を記憶する非一時的コンピュータ記憶媒体とを含むシステムであって、前記動作は、
誘導モータ(IM)に関連する回路モデル情報にアクセスすることであって、前記回路モデル情報は、複数のロータセグメントを反映する、アクセスすることと、
線形化回路モデルへの入力として前記ロータセグメントに関連する時変ロータ磁束リップル信号の使用に基づいて、ロータセグメント電流を決定するステップと、
前記ロータセグメント電流に基づいて前記IMに関連する1つまたは複数の損失を決定することと、を含む、システム。
【請求項11】
前記回路モデルは、ロータバーセグメントにセグメント化される複数のロータバーを反映し、各ロータバーは、均一なセグメント化を使用してセグメント化されるか、または各ロータバーは、等比級数を使用してセグメント化され、各ロータバーからセグメント化された前記ロータセグメントは、前記ロータバーの半径方向に沿って狭くなる、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記ロータセグメント電流は、ロータセグメント公称電流を含み、
前記ロータセグメント公称電流を決定することは、
有限要素分析(FEAの実行を介して時間平均インダクタンス行列を抽出することと、
前記時間平均インダクタンス行列を線形化回路モデルへの入力として使用して前記ロータセグメント公称電流を決定することと、を含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記ロータセグメント電流は、グリッド上の有限要素分析(FEA)の実行、および、前記線形化回路モデルの使用に基づいて決定され、前記グリッドは、同期速度に関連する第1の電気角およびすべり周波数に関連する第2の電気角に関して周期的であり、FEAの実行は、FEAの実行が制約されるように、前記第1の電気角および前記第2の電気角のそれぞれの周期内の位置に制限される、請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
前記時変ロータ磁束リップル信号は、グリッド上の磁束リップルサンプルを抽出する、前記グリッド上の有限要素分析(FEA)の実行を介して取得され、
前記磁束リップルサンプルを前記時変ロータ磁束リップル信号に変換することは、
前記磁束リップルサンプルの2次元変換を実行することであって、変換係数が取得される、実行することと、
前記変換係数を含む補間関数に基づいて逆2次元変換を実行することと、
前記逆2次元変換に基づいて、前記時変ロータ磁束リップル信号を取得することと、を含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項15】
前記ロータセグメント電流は、ロータセグメント公称電流およびロータセグメントリップル電流を含み、前記損失は、ケージ損失またはコア損失の1つまたは複数を含み、ケージ損失は、前記ロータセグメント公称電流に関連する第1の損失と、前記ロータセグメントリップル電流に関連する第2の損失の合計とに基づいて決定される、請求項10に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、誘導モータに関し、より詳細には、誘導モータのための改良されたモデリング技術に関する。
【背景技術】
【0002】
かご形IMなどの誘導モータ(IM)の設計は、一般に、IMの製造前に複雑なモデリングを含む。例えば、モデリングを実行して、定常状態動作領域全体にわたるIM効率マップを生成することができる。IM効率マップは、IMの使用中の損失の理解を可能にすることができる。
【0003】
現在、そのようなモデリングを実行するための技術は、多数のIM変動を実行可能に分析するために、処理構成要素、メモリ、処理時間などの大量の計算リソースを必要とする。IM設計の物理的特性(例えば、損失特性)を分析するための現在の技法は、時間ステップ有限要素分析(FEA)を活用することができる。そのようなFEA技術を実装するように構成された計算リソースに必要な計算の複雑さが大きいため、結果として得られる分析には数日または数週間の処理時間がかかる場合がある。この実質的な処理時間のために、エンティティは、製品リリーススケジュールに従いながら実質的な変動をモデリングすることによってIMを最適化する能力が制限される場合がある。このようにして、エンティティは、現在の非効率的なモデリング技術によって妨げられる可能性がある。
【0004】
モデリングを実行するための他の技術は、生産レベルのIMに必要な精度を提供することができない。例えば、他の技術は、FEAを使用せずにIMをモデリングすることができる。そのような技術は、処理時間を短縮することができるが、精度が限られているため、最適化されたIMを設計する際に使用するには実行不可能であり得る。
【発明の概要】
【0005】
いくつかの非限定的な実施形態は、1つまたは複数のプロセッサのシステムによって実施される方法を含む。方法は、誘導モータ(IM)に関連する回路モデル情報にアクセスするステップであって、回路モデル情報は、IMの複数のロータバーをそれぞれの複数のロータセグメントにセグメント化されているように反映する、ステップと、ロータセグメントに関連するロータセグメント公称電流を決定するステップであって、決定は、グリッド上での有限要素分析(FEA)の実行(パフォーマンス)と線形化回路モデルの使用とに基づく、ステップと、ロータセグメントに関連するロータセグメントリップル電流を決定するステップであって、決定は、グリッド上の磁束リップルサンプルを抽出するためのFEAの実行に基づき、磁束リップルサンプルは、時変ロータ磁束リップル信号に変換され、ロータセグメントリップル電流は、時変ロータ磁束リップル信号に基づいて決定される、ステップと、IMに関連する1つまたは複数の損失を決定するステップであって、損失は提示のために構成される、ステップと、を含む。
【0006】
いくつかの他の非限定的な実施形態は、1つまたは複数のプロセッサと、1つまたは複数のプロセッサによって実行されたときにプロセッサに動作を実行させる命令を記憶する非一時的コンピュータ記憶媒体とを含むシステムを含む。動作は、誘導モータ(IM)に関連するロータセグメント公称電流を決定することであって、IMは、各々がそれぞれの複数のロータセグメントを含む複数のロータバーを表す回路モデル情報に反映され、ロータセグメント公称電流は、ロータセグメントに関連し、決定は、グリッド上での有限要素分析(FEA)の実行に基づく、決定することと、ロータセグメントに関連するロータセグメントリップル電流を決定することであって、決定は、グリッド上の磁束リップルサンプルを抽出するためのFEAの実行に基づき、磁束リップルサンプルは、時変ロータ磁束リップル信号に変換され、ロータセグメントリップル電流は、時変ロータ磁束リップル信号に基づいて決定される、決定することと、IMに関連する1つまたは複数の損失を決定することと、を含む。
【0007】
いくつかの他の非限定的な実施形態は、1つまたは複数のプロセッサのシステムによって実行されたときに1つまたは複数のプロセッサに動作を実行させる命令を記憶する非一時的コンピュータ記憶媒体を含む。動作は、誘導モータ(IM)に関連するロータセグメント公称電流を決定することであって、IMは、各々がそれぞれの複数のロータセグメントを含む複数のロータバーを表す回路モデル情報に反映され、ロータセグメント公称電流は、ロータセグメントに関連し、決定は、グリッド上での有限要素分析(FEA)の実行に基づく、決定することと、ロータセグメントに関連するロータセグメントリップル電流を決定することであって、決定は、グリッド上の磁束リップルサンプルを抽出するためのFEAの実行に基づき、磁束リップルサンプルは、時変ロータ磁束リップル信号に変換され、ロータセグメントリップル電流は、時変ロータ磁束リップル信号に基づいて決定される、決定することと、IMに関連する1つまたは複数の損失を決定することと、を含む。
【0008】
上記の実施形態では、ロータバーセグメント公称電流を決定することは、FEの実行を介して時間平均インダクタンス行列を抽出することと、時間平均インダクタンス行列を線形化回路モデルへの入力として使用してロータセグメント公称電流を決定することと、を含む。各ロータバーは、均一なセグメント化を使用してセグメント化することができる。各ロータバーは、等比級数を使用してセグメント化することができ、ロータセグメントは、ロータバーの半径方向に沿って狭くなる。線形化回路モデルは、同期回転フレームに変換されたIMの回路モデルを表す。グリッドは、同期速度に関連する第1の電気角およびすべり周波数に関連する第2の電気角に関して周期的であり、FEAの実行は、FEAの実行が制約されるように、第1の電気角および第2の電気角のそれぞれの周期内の位置に制限される。磁束リップルサンプルを変換することは、磁束リップルサンプルの2次元変換を実行することであって、変換係数が取得される、実行することと、変換係数に基づいて逆2次元変換を実行することと、逆2次元変換に基づいて、時変ロータ磁束リップル信号を取得することと、を含む。逆2次元変換は、変換係数を含む補間関数を使用して実行される。損失は、ケージ損失またはコア損失の1つまたは複数を含む。ケージ損失は、ロータセグメント公称電流に関連する第1の損失と、ロータセグメントリップル電流に関連する第2の損失の合計とに基づいて決定される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
前述の態様および付随する利点の多くは、添付の図面と併せて以下の詳細な説明を参照することによってよりよく理解されるようになるので、より容易に理解されるであろう。
【0010】
図1A】ロータバーの例示的なセグメント化を示す。
【0011】
図1B】例示的なロータケージ回路モデルを示す。
【0012】
図2A】本明細書に記載の技術による誘導モータ(IM)に関連する損失を決定するための例示的なプロセスのフローチャートである。
【0013】
図2B】有限要素分析(FEA)研究を実行することができる例示的なグリッドを示す。
【0014】
図2C】例示的な時変ロータ磁束リップル信号を示す。
【0015】
図3】ユーザデバイスと通信するモデル決定システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[序論]
本明細書では、誘導モータ(IM)設計のモデリングのための改良された技術について説明する。例示的な例として、本出願の1つまたは複数の態様が、かごIM設計のモデリングに関して説明される。後述するように、本明細書に記載のシステムまたはユーザデバイスは、計算効率の良い技術を使用してIMに関連する1つまたは複数の損失(例えば、損失メトリック)を決定することができる。例示的な損失は、高周波ロータケージ損失などのロータケージ損失を含むことができる。別の例示的な損失は、ステータまたはロータに関連するコア損失などのコア損失を含むことができる。有利には、ロータバーにおける飽和、巻線、スロット高調波、および不均一な電流密度分布の影響が、これらの損失メトリック決定に含まれ得る。本明細書に記載の計算効率の向上により、IM設計を迅速に分析し、それに基づいて改善することができる。このようにして、動作範囲にわたる効率マップを理解することにより、改良されたIMを開発することができる。例えば、IMは数分で分析され得るが、従来の計算コストの高いモデリング技術は数日または数週間の処理を必要とし、したがってIMの変動を分析する能力を制限する可能性がある。
【0017】
理解され得るように、IMは、ロータおよびステータを含むことができる。かごIMに対するロータは、多数のロータバーを含むことができる。例示的なロータバーは、銅ロータバー、アルミニウムロータバーなどを含むことができる。IMに関連する効率および損失の理解を提供するために、これらのロータバーに関連する電流を分析することができる。例えば、巻線およびスロット効果により、高調波ロータバー電流が高速で増加する可能性がある。したがって、これらの高周波電流を迅速にモデリングできることは、高速で電力密度の高いモータを開発する場合に最も重要であり得る。
【0018】
これらの高周波電流をモデリングする従来の技術は、時間ステップ有限要素分析(TS-FEA)などの高度な処理技術に依存していた。FEAにより、システムは、IMに関連するパラメータを正確にモデリングすることができる。しかしながら、FEAベースのモデリングアルゴリズムを実装する計算システムは、典型的には、プロセッサ、メモリ、および実質的な処理時間に関してかなりの計算リソースを消費する。例えば、精度を確保するために、FEAの使用は、小さな時間ステップ(例えば、マイクロ秒ステップ)を必要とし得る。これらの小さなステップは、必要な計算の数を増加させる可能性があり、その結果、モデリングに数日の処理がかかる。この長い時間により、そのような技術の使用は非実用的になる。
【0019】
そのような処理時間を短縮するために、従来技術は、修正されたFEAベースのアルゴリズムの実装によって処理を構成しようと試みてきた。例えば、周波数領域FEAベースのアルゴリズムを利用する計算デバイスを実装することができ、そのようなアルゴリズムでは、すべてのフィールド量が単一の周波数で正弦波であると仮定する。これは計算効率の向上を可能にするが、結果は実質的に精度が落ち、スロット高調波効果の決定を不可能にする。
【0020】
有利には、本出願の1つまたは複数の態様は、モデル対称性を利用してFEAが実行される程度を制限するように構成されたシステムを含むことができる。例えば、システムは、IMの正確なモデリングを達成するために最小数(例えば、実質的に最小)のFEA計算を実行することができる。FEA計算は、本明細書ではFEAシミュレーションまたは研究とも呼ばれる。このようにして、システムは、全体的な計算時間を実質的に短縮することができる。一例として、FEA計算の数が減少するため、計算時間は少なくとも2桁短縮され得る。いくつかの実施形態では、静磁気FEAは、同期基準フレーム内の線形化されたqd回路モデル(例えば、直交直接回路モデル)と結合することができる。この強化された結合は、FEAを実行することによる正確なモデリングも可能にしながら、システムを計算的に高速にすることを可能にする。例えば、システムは、飽和、巻線およびスロット高調波、ロータバーにおける不均一な電流分布などの影響をモデリングすることができる。
【0021】
後述するように、システムは、IMの設計を反映した情報を取得する。一態様では、システムは、IMのロータバーを半径方向および接線方向に沿ってセグメント化する。例えば、図1Aは、ロータバーに沿った例示的なセグメント化を示す。このセグメント化により、システムはIMの分析に関連する精度を高めることができる。一例として、セグメントは、それら自体の間および端部リングセグメントと接続されて回路ループを形成することができる。システムは、ロータセグメント変数などの物理変数を同期回転基準フレームに変換することができる。次いで、システムは、得られた回路モデルを線形化することができ、例示的な回路モデルが図1Bに示されている。理解され得るように、基準フレーム変換は、良好に挙動するロータケージ自己インダクタンス行列をもたらす。例えば、これは実質的に一定であってもよい。したがって、回路モデルは、計算効率の良い線形時不変状態空間モデルを表すことができる。さらに、回路モデルにおけるセグメント化の使用は、表皮効果に起因するロータバーにおける不均一な電流分布を捕捉することを可能にする。
【0022】
上述の回路モデルを使用して、システムは、上述のケージ損失および/またはコア損失に関連するオーム損失を決定する。オーム損失を決定するために、システムは、静磁気FEAを使用して誘導ロータ電流を決定する。回路モデルは同期して回転する基準フレームを利用するので、ロータセグメント電流は、ロータセグメント公称電流およびロータセグメントリップル電流に線形に分離可能であり得る。例えば、ロータセグメント公称電流は基本電流を表すことができ、ロータセグメントリップル電流は高調波電流成分を表すことができる。この分離は、2つのより単純な下位問題に対処することを可能にし、したがって、オーム損失のより効率的な計算可能性を可能にする。
【0023】
次いで、ロータセグメント電流を決定するために使用される物理変数は、静磁気FEAを使用してシステムによって決定することができる。いくつかの実施形態では、FEA研究は、システムが対称性に従って選択する起磁力(MMF)およびロータ位置のグリッドにわたって実行されてもよい。後述するように、物理変数は周期的であってもよい。例えば、インダクタンスおよびロータ磁束は周期的であってもよい。したがって、システムがFEAを実行する程度は、この周期性に従って制約され得る。ロータ磁束などのこれらの物理変数を使用して、システムは、ロータセグメントリップル電流を駆動する時変ロータ磁束リップル信号を決定する。一例として、システムは、周波数ベースの変換(例えば、フーリエ変換)を使用することができる。次いで、この時変ロータ磁束リップル信号をシステムによって使用して、ロータセグメントリップル電流を効率的に計算することができる。
【0024】
[線形化回路モデル]
上述したように、誘導モータ(IM)の設計を分析して、関連する損失を決定することができる。例示的な損失には、ケージ損失、コア損失などが含まれ得る。IMの設計は、少なくとも、ロータのロータバーの配置を含むことができる。図1A図1Bは、IMの設計に基づいて線形化回路モデルを生成するためにシステムによって使用可能なロータバー100および回路モデル150を示す。例えば、ロータバーは、多数のセグメントにセグメント化されてもよい。セグメント化は、結果として得られる線形化回路モデルに関連する精度を高める。ロータケージ回路モデルは、セグメント化に基づいて決定することができる。次いで、ロータケージ回路モデルを同期回転フレームに変換することができ、得られたモデルは線形化されている。
【0025】
線形化モデルは、本明細書に記載のロータセグメント公称電流およびロータセグメントリップル電流を決定するためにシステムによって使用することができる。例えば、これらの電流を使用して、IMの設計に関連する損失を決定することができる。損失の決定は、図2A図2Cに関して以下でより詳細に説明される。ここで、少なくともこれらの特徴について説明する。
【0026】
図1Aは、ロータバー100の例示的なセグメント化を示す。例示的なセグメント化は、本明細書に記載のシステムによって実行されてもよい。図示のロータバー100は、ドロップ形状のロータバーの一例を表すことができる。他のロータバー設計が使用されてもよく、本明細書の開示の範囲内に含まれてもよいことが理解されよう。ロータバー100は、任意の数のセグメントに分割することができ、5つのセグメントの図示の例は一実施形態である。これらのセグメントは、半径方向および/または接線方向に沿っていてもよい。例えば、セグメント102、104、106は、半径方向に沿ってセグメント化されている。この例では、セグメント106は、半径方向に沿ってセグメント108および110から分離されている。別の例として、セグメント108および110は、セグメント108および110が水平線を使用して分割されるように接線方向にセグメント化される。
【0027】
いくつかの実施形態では、半径方向に沿ったセグメント化は等比級数に従うことができ、最も薄い要素はエアギャップ112に最も近い。理論によって制約されることなく、電流密度は、エアギャップに最も近い最大の変動を示し得ることが理解されよう。したがって、幅114は、等比級数に従って変化してもよく、セグメント108および110の幅116は、精度を高めるために最小である。
【0028】
セグメント化は、所望の精度および/またはユーザの好みに応じて変化し得る。例えば、ユーザは、IMの設計を取得するためにシステム(例えば、ユーザデバイスまたは他のシステム)を利用することができる。この例では、システムは、図1Aに図式的に表されているようにロータバーをセグメント化することができる。セグメント化は、任意選択的に、標準化されたセグメント化に従うことができる。例示的な標準化されたセグメント化は、上述の等比級数、均一なセグメント化などを含むことができる。セグメント化は、任意選択的に、ユーザの好みに従うことができる。例えば、ユーザは、使用されるセグメント化を識別する情報を提供するためにシステムを使用することができる。ユーザはまた、より詳細に有することを好むロータバーの一部を指定することができる。このようにして、この部分のセグメント化は、精度が向上するように増加され得る。
【0029】
図1Bは、それぞれのセグメントを有する例示的なロータバー160A~N(例えば、極対ごとのロータバー)を含む例示的なロータケージ回路モデル150を示す。セグメントは、図1Aに記載された技術に従って決定することができる。例示的なセグメント162は、ロータバー160Aに関して示されている。当業者によって理解されるように、例示的な技術(例えば、キルヒホッフの電圧法則)を使用して、回路モデル150を記述することができる。例えば、以下の式を決定するために、キルヒホッフの電圧の法則を、イントラバーループ(例えば、ループ164)およびインターバーループ(例えば、ループ162)と共に使用することができる。
ここで、PおよびPは、それぞれバーおよび端部リングセグメント分岐のループ行列を表し、Rsegは抵抗行列を表し、iは、ie1からienの範囲の端部リングセグメント電流のベクトルであり、isegは、i1,1からin,n_segの範囲のロータセグメント電流を有するロータセグメント電流のすべてのベクトルを表し、λsegは、λ1,1からλn,n_segの範囲の磁束(セグメントと軸心との間)を有するすべての磁束のベクトル(例えば、極対ごと)を表し、λは端部リングセグメント磁束のベクトルである。
【0030】
次いで、ロータケージ回路モデル150は、同期回転基準フレームに変換することができる。ロータケージ回路モデル150に関連する物理変数は、ロータセグメント電流および磁束などに変換することができる。基準フレームの向きは任意であり得るが、いくつかの実施形態では、q軸は基本ステータ起磁力(MMF)の方向に整列されてもよい。
【0031】
したがって、上述の式をqd変数に変換することができる。当業者によって理解され得るように、拡張qd変数が使用されてもよい。この式は、以下の2つの式に変換することができる。
ここで、
はすべり周波数行列に関連し、
はインダクタンス(例えば、セグメント間インダクタンス)に関連し、iqdsはステータ電流を表し、
はロータセグメント電流を表し、θは同期速度に関連する電気角であり、χは電気すべり角を表す。いくつかの実施形態では、マイナスの上付き文字は、従属回路方程式を排除する(例えば、独立方程式を保持する)ことによって得られた縮小行列およびベクトルを表すことができる。
【0032】
上述したように、本明細書に記載のシステムは、オーム損失(例えば、ケージ損失、コア損失)を決定する。オーム損失は、ロータ速度、すべり周波数、およびqdステータ電流の一定値(例えば、平衡ステータ励起を考慮して)によって定義することができる。オーム損失を決定するために、システムはロータセグメント電流を決定する。例えば、システムは、ステータ電流、ロータ速度、およびすべり周波数のロータセグメント電流を決定する。理解され得るように、上記2つの式は、数値積分を用いて時間領域で解くことができる。しかしながら、これは計算上扱いにくく、したがって技術的に好ましくない。
【0033】
したがって、式の線形化されたシステムが代わりに使用されてもよい。したがって、上述のプロセスは、一定または実質的に一定のシステム行列を有するロータケージ動力学の動的モデルを可能にすることができる。これにより、計算効率の良い線形時不変状態空間モデルが得られる。式を線形化するために、1次展開を使用することができ、式はqdステータおよびロータセグメント電流の一定のベクトルの周りで線形化される。これにより、定常状態の電流が生じる可能性があり、摂動したロータバーセグメント電流は、
であり、ここで、
は、本明細書に記載のロータセグメント公称電流を表し、
は、本明細書に記載のロータセグメントリップル電流を表す。以下でより詳細に説明するように、図2Aに関して、システムは、以下の式
に関してロータセグメント公称電流を決定し、上式は、同期速度で回転する空隙起磁力(MMF)を生成するロータセグメント公称電流をもたらす。
【0034】
さらに、システムは、以下の式
に関してロータセグメントリップル電流を決定し、ここで、
は時間平均増分インダクタンス行列を表し、
は磁束リップル(例えば、時変磁束リップル)を表し、方程式は周波数領域で効率的に解くことができる。
【0035】
[例示的なフローチャート-損失の決定]
上述したように、誘導モータ(IM)の設計を分析して、線形化回路モデルを得ることができる。この線形化回路モデルに基づいて、ロータセグメント公称電流およびロータセグメントリップル電流を決定するための式を得ることができる。以下に、システムが有限要素分析(FEA)を少なくとも部分的に使用してこれらの電流を決定するための例示的な技術を説明する。有利には、FEAが必要とされる程度は、従来の技術と比較して実質的に低減され得る。このようにして、決定された電流を使用して、計算効率の良い方法で設計の損失(例えば、ケージ損失、コア損失)を決定することができる。
【0036】
図2Aは、本明細書に記載の技術による誘導モータ(IM)に関連する損失を決定するための例示的なプロセス200のフローチャートである。便宜上、プロセス200は、1つまたは複数のコンピュータまたはプロセッサのシステムによって実行されるものとして説明される。例えば、プロセス200は、ユーザデバイス(例えば、タブレット、ラップトップ、コンピュータ)、計算システム、サーバシステム、およびクラスタ計算システムなどを使用して実行することができる。
【0037】
ブロック202において、システムは、設計中のIMに関連する回路モデル情報にアクセスする。例えば、回路モデル情報は、ロータバーのセグメント化を示してもよい。回路モデル情報は、幾何学的形状情報(例えば、ロータバー形状、ステータ形状など)、ロータバーの数、ロータバーのタイプ、ロータバーが作成される材料、ロータが作成される材料、ステータが作成される材料、物理的特性などをさらに示すことができる。後述するように、システムは、図1Bに記載の線形化回路モデルを使用して、ロータセグメント公称電流およびロータセグメントリップル電流などのIMに関連するロータ電流を決定する。
【0038】
いくつかの実施形態では、システムは、IMに関連する入力情報に基づいて回路モデル情報を生成する。例えば、システムのユーザは、IMの表現を反映する情報を提供することができる。入力情報の例は、幾何学的形状情報、ロータバーの数などを示すことができる。システムは、図1Aに記載されているようにロータバーをセグメント化することができる。さらに、ユーザは、ロータバーに対して実行されるセグメント化を識別する(例えば、ユーザインターフェースを介して)ことができる。
【0039】
ブロック204において、システムは、有限要素分析(FEA)および線形化回路モデルを使用してロータバーセグメント電流を決定する。上述したように、図1A図1Bに関して、ロータセグメント公称電流は、線形化回路モデルの使用に基づく以下の式、
に従って、回路モデル情報を使用して決定することができる。
【0040】
いくつかの実施形態では、システムは、固定小数点アルゴリズムを使用して方程式を解くことができる。FEAを使用して、θおよびχのグリッドにわたって、少なくとも、方程式に含まれる時間平均セグメントインダクタンス行列
および時間平均ステータインダクタンス行列
を決定することができる。上述したように、θは同期速度ωに関連する電気角であり、χはすべり周波数ωに関連する電気すべり角を表す。次いで、ロータバーセグメント電流は、これらのインダクタンス行列を使用してシステムによって決定することができる(例えば、固定小数点アルゴリズムを介して)。例えば、FEAを使用して取得または抽出されたインダクタンス行列は、線形回路モデルへの入力としてシステムによって結合される。この例では、情報は、上記で特定された式を(例えば、固定小数点アルゴリズムを介して)解くための入力である。したがって、IM全体の磁化プロファイルを確立することができる。
【0041】
有利には、qdインダクタンスおよび磁束は、ステータおよびロータの幾何学的形状およびステータの巻線構成に基づく幾何学的対称性に従って周期的である。例えば、周期性は、θおよびχに関して
ラジアンおよび
ラジアンごとであってもよい。この例では、周期性は、整数(例えば、三相IMの場合)である相ごとの極ごとのステータスロットに基づいてもよい。当業者によって理解されるように、これらの電気角は、起磁力(MMF)およびロータ位置に関連する。したがって、FEAを実行するためにシステムが必要とされる程度は制限され得る。例えば、システムは、図2Bに示すグリッド210にわたってFEA研究を実行する。この例では、FEAは、θexおよびχのそれぞれの周期内の位置で実行されてもよい。
【0042】
したがって、図2Bに関して、グリッド210のθexおよびχは、
を表すことができ、ここで、XおよびYは奇数であってもよい。線分AB、CD、EF、GHおよびIJは、すべり
に等しい勾配を有し、弾性率(θ
)および弾性率(θ
)の時間変動を示す。
【0043】
ブロック206において、システムは、FEAおよび線形化回路モデルを使用してロータバーセグメントリップル電流を決定する。いくつかの実施形態では、システムは、状態空間モデルを使用して、線形化回路モデルに基づく以下の式
に従って、回路モデル情報を使用してロータバーセグメントリップル電流を決定し、
これは、以下のように表すこともできる。
【0044】
FEAは、少なくとも、上述のグリッド210に従って時間平均増分インダクタンス行列
および磁束リップル
を決定するために使用することができる。例えば、システムは、基本起磁力(MMF)位置およびロータ位置のグリッドにわたってFEAを実行する。
【0045】
FEAシミュレーションの出力は、増分インダクタンス行列を含むことができる。次に、システムは、FEAシミュレーションにわたって増分インダクタンス行列を平均化して、上記の式に含まれる
を取得する。
【0046】
FEAシミュレーションの出力は、磁束リップルサンプルも含むことができる。磁束リップル
を決定するために、システムは、時変ロータ磁束リップル信号を生成する。後述するように、システムは、周波数ベースの変換を使用することによって時変ロータ磁束リップル信号を生成する。例えば、システムは、磁束リップルサンプルの離散フーリエ変換(DFT)などの2次元変換を実行する。DFTは、磁束リップルサンプルの高調波成分を抽出するために使用することができる。高調波成分は、基本MMF位置およびロータ位置の関数としての成分を表すことができる。次いで、システムは逆変換を実行し、その結果、システムは時変ロータ磁束リップル信号を取得する。この時変ロータ磁束リップル信号は、ロータセグメントリップル電流を効率的に決定するためにシステムによって使用され得る。
【0047】
磁束リップルに関して、λx,yは、θおよびχでサンプリングされた
の要素を表すことができる。したがって、λx,yのDFTなどの2次元変換は、
を表すことができ、
u=0、1、...、X-1およびv=0、1、...、Y-1の場合、複素DFT係数は
uv>0の場合に、l*u,v=lX-u,Y-v
v>0の場合に、l*0,v=l0,Y-v
u>0の場合に、l*u,0=lX-u,0、を満たし、
ここで、l*u,vは、lu,vの複素共役である。
【0048】
次いで、補間関数λ(θ、χ)を、lu,vの逆変換(例えば、逆DFT)に基づいてシステムによって使用することができる。例えば、逆変換は、以下の式
に対応することができ、
ここで、θおよびχはそれぞれωtおよびωtである時間の関数としてそれぞれ表すことができ、その結果、λは時間λ(t)の関数として
と表すことができ、
ここで、|lu,v|およびφu,vは、それぞれlu,vの振幅および位相を表し、周波数は、
である。
例えば、図2Cは、再構成されたλ(t)220の例を示す。
【0049】
システムは、時変ロータ磁束リップル信号λ(t)の上記で特定された式を使用して、磁束リップル
を決定する。例えば、磁束リップルは、上記で特定された振幅、位相、および周波数によって定義される高調波の総和に従って決定することができる。
【0050】
決定された磁束リップル
および時間平均増分インダクタンス行列
を使用して、システムはロータセグメントリップル電流を決定する。例えば、システムは、上述の状態空間モデルを使用して、ロータセグメントリップル電流の方程式を計算することができる。
【0051】
ブロック208において、システムは、IMに関連する損失を決定する。ケージ損失に関して、システムは、損失を決定するために、決定されたロータセグメント公称電流およびロータセグメントリップル電流を使用することができる。例えば、システムは、ロータセグメント公称電流および抵抗に関してケージ損失を計算することができる。
【0052】
別の例として、システムは、ロータセグメントリップル電流および抵抗に関してケージ損失を計算することができる。
【0053】
このようにして、総平均ケージ損失は、上記で特定された式を使用して個々の高調波損失の合計として決定することができる。
【0054】
図2Aはケージ損失の決定に焦点を当てているが、いくつかの実施形態では、IMのコア損失を決定することができる。コア損失を決定するために、システムは、グリッド210上で行われるFEAを使用してステータおよびロータの磁束密度を決定することができる。FEAは、ブロック204で決定されたロータセグメント公称電流を使用することができる。次いで、ブロック206に記載されるように、磁束密度波形における時間領域高調波を、2次元DFTなどの変換を使用して取得することができる。例えば、高調波成分を抽出し、時間の関数として変換することができる。次いで、システムは、ステータおよびロータの磁束密度に従ってコア損失を決定することができる。
【0055】
[例示的なブロック図]
図3は、ユーザデバイス310と通信するモデル決定システム300のブロック図である。モデル決定システム300は、1つまたは複数のコンピュータのシステム、1つまたは複数のコンピュータのシステム上で実行される1つまたは複数のコンピュータなどであってもよい。ユーザデバイス310は、ラップトップ、タブレット、ウェアラブルデバイス、コンピュータなどであってもよい。いくつかの実施形態では、システム300は、図2Aに関して上述したプロセス200を実行することができる。いくつかの実施形態では、ユーザデバイス310はプロセス200を実行することができる。
【0056】
本明細書で説明するように、モデル決定システム300は、ユーザデバイス310からモデル情報312を受信することができる。例えば、情報312は、ネットワーク(例えば、インターネット)、ローカル接続などを介して受信することができる。例示的なモデル情報312は、図2Aのブロック202でアクセスした情報を反映することができる。次いで、モデル決定システム300は、図2Aに記載されているようにIM電流情報302を決定することができる。IM電流情報302は、ロータセグメント公称電流およびロータセグメントリップル電流を含むことができる。いくつかの実施形態では、システム300は、IM電流情報302に加えて、またはIM電流情報302の代わりに、ケージ損失および/またはコア損失を提供することができる。
【0057】
次いで、システム300は、IM電流情報302をユーザデバイス310に出力することができる。いくつかの実施形態では、この情報302は、特定のフォーマットまたはスキーマに従って提供されてもよい。フォーマットまたはスキーマは、ユーザデバイス310によって実行されるモデリングソフトウェアに基づいてもよい。追加的または代替的に、システム300は、ケージ損失および/またはコア損失をユーザデバイス310に出力することができる。ユーザデバイス310は、IM電流情報302および/または損失を提示することができる。例えば、情報302または損失のグラフィック描写をユーザインターフェース(例えば、対話型ユーザインターフェース)に提示することができる。
【0058】
[他の実施形態]
本明細書に記載のプロセスのすべては、1つまたは複数のコンピュータまたはプロセッサを含む計算システムによって実行されるソフトウェアコードモジュールを介して具現化され、完全に自動化され得る。コードモジュールは、任意のタイプの非一時的コンピュータ可読媒体または他のコンピュータ記憶装置に記憶されてもよい。方法の一部またはすべては、専用のコンピュータハードウェアで実施されてもよい。
【0059】
本明細書に記載されたもの以外の多くの他の変形形態が本開示から明らかであろう。例えば、実施形態に応じて、本明細書に記載のアルゴリズムのいずれかの特定の動作、イベント、または機能は、異なる順序で実行することができ、または追加、マージ、もしくは完全に除外することができる(例えば、記載されたすべての行為またはイベントがアルゴリズムの実施に必要であるとは限らない)。さらに、特定の実施形態では、動作またはイベントは、順次ではなく、例えば、マルチスレッド処理、割り込み処理、または複数のプロセッサもしくはプロセッサコアを介して、または他の並列アーキテクチャ上で同時に実行することができる。さらに、異なるタスクまたはプロセスは、一緒に機能することができる異なるマシンおよび/または計算システムによって実行することができる。
【0060】
本明細書に開示された実施形態に関連して説明された様々な例示的な論理ブロックおよびモジュールは、本明細書に記載された機能を実行するように設計された、処理装置もしくはプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)もしくは他のプログラマブル論理デバイス、ディスクリートゲートもしくはトランジスタ論理、ディスクリートハードウェアコンポーネント、またはそれらの任意の組み合わせなどのマシンによって実装または実行されることができる。プロセッサは、マイクロプロセッサとすることができるが、代替例では、プロセッサは、コントローラ、マイクロコントローラ、またはステートマシン、それらの組み合わせなどとすることができる。プロセッサは、コンピュータ実行可能命令を処理するように構成された電気回路を含むことができる。別の実施形態では、プロセッサは、コンピュータ実行可能命令を処理することなく論理演算を実行するFPGAまたは他のプログラマブルデバイスを含む。プロセッサはまた、計算デバイスの組み合わせ、例えば、DSPとマイクロプロセッサとの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと組み合わせた1つまたは複数のマイクロプロセッサ、または任意の他のそのような構成として実装することもできる。本明細書では主にデジタル技術に関して説明されているが、プロセッサは主にアナログ構成要素を含むこともできる。例えば、本明細書に記載の信号処理アルゴリズムの一部またはすべては、アナログ回路または混合アナログおよびデジタル回路で実装されてもよい。計算環境は、いくつか例を挙げると、マイクロプロセッサ、メインフレームコンピュータ、デジタル信号プロセッサ、ポータブル計算デバイス、デバイスコントローラ、または機器内の計算エンジンに基づくコンピュータシステムを含むが、これらに限定されない任意の種類のコンピュータシステムを含むことができる。
【0061】
とりわけ、「can」、「could」、「might」、または「may」などの条件付き言語は、特に明記しない限り、特定の実施形態が特定の特徴、要素、および/またはステップを含むが、他の実施形態はそれらを含まないことを伝えるために一般に使用される文脈内で理解される。したがって、そのような条件付き言語は、一般に、特徴、要素および/またはステップが1つまたは複数の実施形態に何らかの形で必要とされること、または1つまたは複数の実施形態が、ユーザ入力またはプロンプトの有無にかかわらず、これらの特徴、要素および/またはステップが任意の特定の実施形態に含まれるか、または実行されるべきかを決定するための論理を必然的に含むことを意味することを意図するものではない。
【0062】
句「X、Y、またはZの少なくとも1つ」などの選言的な言語は、特に明記しない限り、項目、用語などがX、Y、またはZのいずれか、またはそれらの任意の組み合わせ(例えば、X、Y、および/またはZ)であり得ることを示すために一般に使用される文脈内で理解される。したがって、そのような選言的な言語は、一般に、特定の実施形態がそれぞれ存在するためにXの少なくとも1つ、Yの少なくとも1つ、またはZの少なくとも1つを必要とすることを意味するものではないし、意味するべきではない。
【0063】
本明細書に記載され、および/または添付の図面に示されるフロー図における任意のプロセス記述、要素またはブロックは、プロセスにおける特定の論理機能または要素を実装するための1つまたは複数の実行可能命令を含むコードのモジュール、セグメント、または部分を潜在的に表すものとして理解されるべきである。当業者によって理解されるように、含まれる機能に応じて、要素または機能が削除され得る、実質的に同時にまたは逆の順序を含む、図示または説明された順序とは異なる順序で実行され得る代替の実装形態は、本明細書に記載された実施形態の範囲内に含まれる。
【0064】
特に明記しない限り、「a」または「an」などの冠詞は、一般に、1つまたは複数の記載された項目を含むと解釈されるべきである。したがって、「するように構成されたデバイス」などの語句は、列挙された1つまたは複数のデバイスを含むことが意図されている。そのような1つまたは複数の列挙されたデバイスはまた、述べられた列挙を実行するように集合的に構成することができる。例えば、「列挙A、B、およびCを実行するように構成されたプロセッサ」は、列挙BおよびCを実行するように構成された第2のプロセッサと連携して動作する、列挙Aを実行するように構成された第1のプロセッサを含むことができる。
【0065】
上記の実施形態に対して多くの変形および修正を行うことができ、その要素は他の許容可能な例の中にあると理解されるべきであることを強調すべきである。そのような修正および変形はすべて、本開示の範囲内に含まれることが意図されている。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3