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特許7561192海底に細長い要素を設けるための装置、方法、およびアセンブリ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-25
(45)【発行日】2024-10-03
(54)【発明の名称】海底に細長い要素を設けるための装置、方法、およびアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   E02F 5/02 20060101AFI20240926BHJP
   E02F 5/10 20060101ALI20240926BHJP
   H02G 1/10 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
E02F5/02 A
E02F5/10 B
H02G1/10
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022527916
(86)(22)【出願日】2020-11-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-01
(86)【国際出願番号】 EP2020081129
(87)【国際公開番号】W WO2021094193
(87)【国際公開日】2021-05-20
【審査請求日】2023-09-13
(31)【優先権主張番号】2024240
(32)【優先日】2019-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】518031756
【氏名又は名称】ロイヤル アイエイチシー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マンチェスター、ジョナサン ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】ワッチョーン、マイケル ジョン
【審査官】坪内 優佳
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/115070(WO,A1)
【文献】特公平06-033612(JP,B2)
【文献】英国特許出願公開第02353304(GB,A)
【文献】欧州特許出願公開第03121917(EP,A1)
【文献】英国特許出願公開第02354886(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 5/00-7/10
H02G 1/00-1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
海底に細長い要素をもたらすための装置であって、
海底に溝を形成するための溝形成手段と、細長い要素を受け入れるための受け入れ部とを有し、前記細長い要素を前記受け入れ部から前記溝形成手段によって形成された溝へと案内するように構成された本体と、
前記本体を前記海底に対して支持するための接触面を定めており、前記受け入れ部は装てん経路に沿って前記接触面とは実質的に反対の側から前記細長い要素を受け入れるように構成されている支持手段と、
前記本体に接続されたドローバーと、
を備え、
前記ドローバーは、装てん位置からけん引位置まで移動可能であり、
前記けん引位置において、前記装置を、前記ドローバーに接続されたけん引ラインによって溝切り方向にけん引することができ、
前記装てん位置において、前記ドローバーは、前記細長い要素を前記装てん経路に沿って前記受け入れ部へと装てんできるように前記装てん経路から離れる、装置。
【請求項2】
前記ドローバーを前記装てん位置から前記けん引位置へと移動させるためのアクチュエータ手段をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記けん引位置において、前記ドローバーは、前記受け入れ部への前記装てん経路を遮る、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記ドローバーは、前記装てん位置と前記けん引位置との間を移動可能である、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記ドローバーは、
第1の係合部分と、前記第1の係合部分から離れて位置する第2の係合部分と、を備え、
前記第1および第2の係合部分の各々は、けん引ラインの係合に適する、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記ドローバーは、前記接触面に対して実質的に垂直に延びる少なくとも第1の軸を中心にして前記装てん位置から前記けん引位置まで移動可能である、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記ドローバーは、前記溝切り方向および前記第1の軸に少なくとも実質的に垂直に延びる第2の軸を中心にして移動可能である、請求項に記載の装置。
【請求項8】
前記装置は、前記受け入れ部の上流端に位置するベルマウスを含み、前記ベルマウスは、細長い要素を受け入れて通すように構成され、前記ベルマウスは、装てん位置と動作位置との間を移動可能である、請求項1~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記装置は、前記本体の下流側から延びる押さえを含み、前記押さえは、前記細長い要素を前記溝形成手段によって掘られた溝へと案内するように配置され、前記押さえは、装てん位置と動作位置との間を移動可能である、請求項1~8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記溝形成手段は、溝切りナイフを備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記支持手段は、少なくとも1つのスキッド、および前記少なくともつのスキッドを前記本体に対して動かすための少なくとも1つのアクチュエータを備える、請求項1~10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記受け入れ部は、前記細長い要素を中央に位置させるためのU字型フレームまたはV字型フレームを備える、請求項1~11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記装置は、細長い要素を前記受け入れ部に向かって案内するための案内手段をさらに備える、請求項1~12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記装置は、細長い要素を把持するための把持手段をさらに備える、請求項1~13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
海底に細長い要素をもたらす方法であって、
請求項1~14のいずれか一項に記載の装置を、前記ドローバーを前記装てん位置に位置させた状態で、海底にもたらすステップと、
細長い要素をもたらすステップと、
前記細長い要素を、前記装てん経路に沿って、前記接触面とは反対の側から、前記受け入れ部へと装てんするステップと、
前記ドローバーをけん引位置へと移動させるステップと、
前記溝形成手段によって溝が形成されるように、前記装置を海底を横切ってけん引するステップと、
前記細長い要素を前記溝内へと案内するステップと
を含む方法。
【請求項16】
海底に細長い要素をもたらすためのアセンブリであって、
請求項1~14のいずれか一項に記載の装置と、
けん引ラインを備える船舶と、を備え、
前記けん引ラインは、前記装置の前記ドローバーに接続される、アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海底に細長い要素を設けるための装置および方法、ならびに船舶および前記装置を含むアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
プラウが、海底に溝を掘りつつ、同時に例えばケーブルなどの細長い要素を溝に敷設するために、一般的に使用されている。既知のプラウ100(とくには、英国特許出願公開第2354886号明細書に開示されているプラウ)が、図1aおよび図1bに示される。プラウ100は、前側および後ろ側を有するプラウ本体を備える。前側において、プラウ本体は、けん引ラインに接続されるドローバー102と、ベルマウス104とを備え、ベルマウス104は、細長い要素101を受け入れて通すように構成される。細長い要素の受け入れ後に、細長い要素は、プラウ本体の後ろ側へとプラウ本体を通って導かれる。
【0003】
プラウ100は、プラウがけん引されるときに海底に溝を切るように構成されたプラウイングナイフまたはブレード106を含む。プラウ100は、プラウ本体の後ろ側に向かって延びる押さえ108をさらに含み、押さえ108は、細長い要素をプラウイングナイフによって切られた溝へと導くように配置される。図示の構成において、押さえ108は、細長い要素が押さえとプラウイングナイフとの間を溝に向かって導かれた後に、押さえ108によって溝へと下方に押し込まれるように、プラウイングナイフ106の後面と協働するように構成される。
【0004】
任意の適切なプラウイング手段またはプラウイングナイフを使用することができるが、図1aおよび図1bに示される構成において、プラウイングナイフ106は、上側ブレード107および下側ブレード107として配置された複数の切断ブレード1071、2を含む(ただし、任意の数のブレードが可能である)。ブレードは、溝が個別のブレードによる一連の(深さが大きくなる)切断によって掘られるように、溝切り方向に沿ってオフセットされて配置される。
【0005】
使用時に、細長い要素101をベルマウス104へともたらすことによって、細長い要素がプラウ100へと装てんされる。細長い要素は、ベルマウス104へとプラウイングナイフ106に向かって引き込まれる(例えば、プラウの前部から細長い要素を把持するように構成された把持要素によって)。ひとたび装てんされると、プラウ100は、多くの場合は船舶により、ドローバー102に接続されたけん引ラインを介して、海底の表面を横切って引っ張られる。プラウ100が表面を横切って引っ張られるとき、溝が形成され、細長い要素が溝へと導かれる。
【0006】
既知のプラウに関して、プラウの装てんが、とくには水中において、比較的困難である。したがって、ケーブルの装てんは、典型的には、プラウを展開する前に(すなわち、プラウが船上にあるときに)行われる。より深い水中へと進む送電ケーブルなどのケーブルにおいて、展開に先立つプラウへのケーブルの装てんは、ケーブルの曲げ限界を超えることになりかねない。海底において装てんすることができるプラウを開発するためのこれまでの試みは、プラウの装てんのためにリフト手段を組み込むこと、すなわちデッキでの装てん手順を模倣することに依存している。したがって、すでに海底に配置されたプラウにケーブルをより効果的に装てんできるようにする必要がある。
【0007】
欧州特許出願公開第3121917号明細書が、海底の溝にケーブルを埋めるためのプラウを開示している。このプラウは、ケーブル支持体を備えており、ケーブル支持体は、ケーブルの一部分をケーブル支持体に載せることを可能にすることによって、溝の形成時にケーブルのこの部分をプラウ刃先の上方に支持する第1の位置と、ケーブルのこの部分をケーブル支持体へと装てんすることができる第2の位置との間で移動可能であり、第2の位置は第1の位置よりも低い。したがって、このプラウを、海底に配置されたケーブルの上方に配置することができ、(海底に配置された)前記ケーブルの一部分を、前記海底から前記第1の位置まで持ち上げることができる。
【発明の概要】
【0008】
本発明の第1の態様によれば、海底に細長い要素をもたらすための装置が提供され、本装置は、海底に溝を形成するための溝形成手段と、細長い要素を受け入れるための受け入れ部とを有し、前記細長い要素を前記受け入れ部から前記溝形成手段によって形成された溝へと案内するように構成された本体と、前記本体を前記海底に対して支持するための接触面を定めており、前記受け入れ部は装てん経路に沿って前記接触面とは実質的に反対の側から前記細長い要素を受け入れるように構成されている支持手段と、前記本体に接続されたドローバーと、を備え、前記ドローバーは、装てん位置からけん引位置まで移動可能であり、前記けん引位置において、前記装置を、前記ドローバーに接続されたけん引ラインによって溝切り方向にけん引することができ、前記装てん位置において、前記ドローバーは、前記細長い要素を前記装てん経路に沿って前記受け入れ部へと装てんできるように前記装てん経路から離れる。
【0009】
この構成は、既知の装置と比較した場合に、細長い要素をより容易に装置に装てんすることを可能にする。とくには、この構成は、接触面とは反対の側から受け入れ部へと装てん経路に沿った自由な通過を可能にするようにドローバーを構成できるため、プラウに細長い要素を「トップローディング」(すなわち、上方から装てん)することを可能にする。換言すると、ドローバーを、プラウの上方から受け入れ部への装てん経路を妨げないように構成することができる。換言すると、ドローバーは、装てん位置にあるときに装てん経路から離れて位置する。ひとたび装てんされると、受け入れ部を、装置をけん引できるように(実質的に)「閉鎖」することができる。細長い要素のトップローディングを可能にすることによって、装置を海底に配置されているときに装てんすることができる。
【0010】
本発明によるプラウは、細長い要素の上方へと降下させる必要がないため、被りかねない自重による接触力によって細長い要素を損傷させるリスクが少ない。さらに、プラウが、細長い要素を装てんするための追加の装てん手段を含まなくてよい。
【0011】
適切には、前記装置は、前記ドローバーを前記装てん位置から前記けん引位置へと移動させるためのアクチュエータ手段を更に含む。
【0012】
適切には、前記ドローバーは、前記けん引位置において、前記受け入れ部への前記装てん経路を遮る。すなわち、ドローバーは、受け入れ部までの細長い要素の装てん経路を遮らない位置から、細長い要素の装てん経路を遮る(しかしながら、けん引/溝切り作業においてドローバーを使用してプラウをけん引することができる)位置まで移動可能である。
【0013】
適切には、前記ドローバーは、前記装てん位置と前記けん引位置との間を移動可能である。これにより、けん引および装てん(または、必要であれば取り除き)のプロセスを必要に応じて入れ替えることができる。さらに、これにより、装置をけん引位置にて展開し、細長い要素を装てんし、必要な溝切り作業を実行するためにけん引位置に戻すことが可能になる。
【0014】
適切には、前記ドローバーは、第1の係合部分と、前記第1の係合部分から離れて位置する第2の係合部分と、を備え、前記第1および第2の係合部分の各々は、けん引ラインの係合に適する。すなわち、ドローバー(したがって、プラウ)が、プラウの安定なけん引を保証するために、2つのけん引ライン(または、けん引ラインの2つの端部)によってけん引される。
【0015】
適切には、前記ドローバーは、プラウのラテラル面または前記接触面に対して(実質的に)垂直に延びる少なくとも第1の軸を中心として、前記装てん位置から前記けん引位置まで移動可能である。すなわち、前記装てん位置から前記けん引位置への移動時に、ドローバーを、プラウのラテラル面に対して垂直に延び、随意により接触面に対しても垂直に延びる少なくとも第1の軸を中心にして移動、例えば回転させることができる。とくには、前記第1の軸は、装置が水平な海底に配置されたときに(実質的に)垂直である。さらにより具体的には、第1の軸は、前記溝切り(すなわち、プラウイング)方向に対して実質的に垂直に、(実質的に)垂直方向に延在する。実際に、これは、とくにはけん引ラインが水面に位置する船舶へと接続される場合に、けん引ラインを船舶に対してより均一に引っ張られた状態を保つように第1および第2の係合部分から延ばす役に立つ。したがって、けん引ラインのたるみの可能性が低減される。けん引ラインのたるみの可能性を低減することにより、細長い要素の受け入れ部への装てんがより容易になる(けん引ラインのたるみは、細長い要素の受け入れ部への装てんをけん引ラインによって妨げる可能性があるため)。
【0016】
適切には、前記ドローバーは、前記溝切り方向に少なくとも実質的に垂直に、且つ前記第1の軸に少なくとも実質的に垂直に延びる第2の軸を中心にして移動可能である。すなわち、装てん位置からけん引位置へのドローバーの移動は、2段階の移動であってよい。(装てん位置とけん引位置との間の)中間位置は、プラウを船舶から進水させ、あるいは船舶に回収することを可能にする進水および回収位置に相当することができる。
【0017】
適切には、前記装置は、前記受け入れ部の上流端に位置するベルマウスを含み、前記ベルマウスは、前記受け入れ部を介して細長い要素を受け入れ(および案内する)ように構成される。とくには、ベルマウスは、細長い要素が受け入れ部に配置されたときに、細長い要素の半径方向の移動を制限するように配置される。さらにより具体的には、ベルマウスは、溝切り方向以外の方向への細長い要素の移動を制限するように構成される。適切には、前記ベルマウスは、装てん位置(細長い要素が、ベルマウスに邪魔されることなく、とくにトップローディングで充填可能)と動作位置との間を移動可能である。換言すると、ベルマウスは、受け入れ部(の少なくとも一部)が制限される動作位置から、ベルマウスが装てん経路から離れる(すなわち、外れる)(ように移動する)装てん位置へと移動可能である。
【0018】
適切には、前記装置は、前記本体の下流側から/下流側に延びる押さえを含み、前記押さえは、前記細長い要素を前記溝形成手段によって掘られた溝へと案内するように配置される。とくには、押さえは、溝形成手段から離れる細長い要素の半径方向の移動を制限するように構成される。前記押さえは、装てん位置(細長い要素が、押さえによって邪魔されることなく、とくにトップローディングで充填可能)と動作位置との間を移動可能である。換言すると、押さえは、受け入れ部(の少なくとも一部)が制限される動作位置から、押さえが装てん経路から離れる(すなわち、外れる)(ように移動する)装てん位置へと移動可能である。
【0019】
適切には、前記溝形成手段は、溝切りナイフ、溝切りブレード、または刃先を備える。
【0020】
適切には、前記支持手段は、少なくとも1つのスキッド、および前記少なくとも1つのスキッドを前記本体に対して動かすための少なくとも1つのアクチュエータを備える。いくつかの例において、少なくとも1つのスキッドは、装置の前方または上流端に向かって配置される。そのような例において、少なくとも1つのスキッドは、単一の広い前部スキッドまたは2つ以上の前部スキッドを含むことができる。いくつかの例において、支持手段は、2つ以上のスキッドを含むことができ、少なくとも1つのスキッドが、装置の前方または上流端の方に配置され(すなわち、少なくとも1つの前部スキッド)、少なくとも1つのスキッドが、装置の後方または下流端の方に/後方または下流端に配置される(すなわち、少なくとも1つの後部スキッドまたはスタビライザ)。支持手段が2つ以上のスキッドを含む例において、スキッドを動かすように構成された単一のアクチュエータまたはアクチュエータシステムが存在できる。あるいは、スキッドごとに別個のアクチュエータが存在してもよい。
【0021】
適切には、前記受け入れ部は、前記細長い要素を中央に位置させるためのU字型フレームまたはV字型フレームを備える。これに加え、あるいはこれに代えて、受け入れ部は、細長い要素を受け入れ部において中心出しするためのディアボロローラを備える。とくには、前記ディアボロローラは、前記プラウイング方向に対して(実質的に)直交して延びる長手軸を有し、前記長手軸に沿って、前記ディアボロローラの中央部分は、前記ディアボロローラの外側部分よりも小さい直径を有する。
【0022】
前記装置は、細長い要素を前記受け入れ部に向かって案内するための案内手段をさらに備える。そのような案内手段は、細長い要素を受け取入れ部に向かって案内または誘導し、プラウのトップローディングを助けるうえで役立つことができる。
【0023】
適切には、細長い要素を把持または捕捉するための把持または捕捉手段をさらに備える。
【0024】
本発明の第2の態様によれば、海底に細長い要素をもたらすための装置に細長い要素を装てんする方法が提供され、本方法は、
本発明の第1の態様による装置を、前記ドローバーを装てん位置に位置させた状態で、海底にもたらすステップと、
細長い要素をもたらすステップと、
前記細長い要素を、装てん経路に沿って、接触面とは実質的に反対の側から、前記受け入れ部へと装てんするステップと
を含む。
【0025】
この方法は、既知の方法と比較した場合に、細長い要素をより容易に装置に装てんすることを可能にする。とくには、この方法は、細長い要素の「トップローディング」(すなわち、上方からの装てん)を可能にする。細長い要素のトップローディングを可能にすることによって、装置を海底に配置されているときに装てんすることができる。
【0026】
適切には、本方法は、細長い要素を前記受け入れ部へと装てんした後に、前記ドローバーを前記けん引位置に移動させるステップをさらに含む。このように、細長い要素がプラウに装てんされ、その後にプラウを、細長い要素が装てんされた状態でけん引することができる。
【0027】
適切には、装置は、けん引位置あるいは進水および回収位置にてもたらされる。適切には、本方法は、細長い要素を受け入れ部に装てんする前に、けん引バーをけん引位置あるいは進水および回収位置から装てん位置に移動させるステップをさらに含む。すなわち、最初は装置は非装てん位置にある(すなわち、装置がけん引作業に使用されており、あるいは船舶から展開されたところである)。続いて、ドローバーを装てん位置に移動させて、装置の装てん(および、その後のけん引)を可能にする。
【0028】
本発明の第3の態様によれば、海底に細長い要素を提供する方法が提供され、本方法は、
本発明の第1の態様による装置を、前記ドローバーを前記装てん位置に位置させた状態で、海底にもたらすステップと、
細長い要素をもたらすステップと、
前記細長い要素を、前記装てん経路に沿って、前記接触面とは反対の側から、前記受け入れ部へと装てんするステップと、
前記ドローバーをけん引位置へと移動させるステップと、
前記溝形成手段によって溝が形成されるように、前記装置を海底を横切ってけん引するステップと、
前記細長い要素を前記溝内へと案内するステップと
を含む。
【0029】
本発明の第4の態様によれば、海底に細長い要素をもたらすためのアセンブリが提供され、
本発明の第1の態様による装置と、
けん引ラインを備える船舶と、を備え、前記けん引ラインは、前記装置の前記ドローバーに接続される。
【0030】
特定の態様は、現場での装てん(例えば、海底に展開されたときにトップローディング)が可能なプラウが提供されるという利点を提供する。
【0031】
特定の態様は、ドローバーの切り離し、除去、または部分的な除去を必要とせずに、プラウのトップローディングが可能であるという利点を提供する。
【0032】
特定の態様は、追加の装てん手段を必要とせずに、現場でプラウに装てんすることができるという利点を提供する。
【0033】
本明細書において使用されるとき、本開示における「海底に細長い要素をもたらす」が、「海底へと細長い要素を案内する」または「海底に形成された溝へと細長い要素を案内する」と他のやり方で呼ばれてもよいことを、理解できるであろう。
【0034】
本明細書において使用されるとき、細長い要素および受け入れ部に関する「装てん経路」という用語が、細長い要素を受け入れ部に装てんする際に細長い要素(または、細長い要素の一部分)が辿る経路を指すことを、理解できるであろう。すなわち、装てん経路は、細長い要素が受け入れ部の外部の位置から受け入れ部内の位置(すなわち、受け入れ部内の「収容位置」)へと受け入れられるときに辿る経路である。本開示の上述の例において、細長い要素の「トップローディング」(すなわち、支持手段の接触面の実質的に反対側からの細長い要素の装てん)において、装てんされる細長い要素の一部分が辿る装てん経路が、この一部分の軸に対して垂直である(装てん経路が細長い要素の軸におおむね一致する軸方向の受け入れ部への送り込みと異なる)ことを、理解できるであろう。換言すると、一般に、トップローディングにおいて、細長い要素の一部分は、実質的に水平に配置され、次いで受け入れ部へと実質的に垂直に(水平配置にて)下降させられる。
【0035】
本明細書において使用されるとき、「上流」または「下流」という用語が、プラウを通り、かつ/または海底に向かう細長い要素の案内に関して、パイプ展開の方向に対して(すなわち、船舶またはプラウの移動の方向とは反対に)定義されることを理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0036】
ここで、実施形態を、添付の図面を参照して、あくまでも例として説明する。
【0037】
図1a】既知のプラウの側面図を示している。
図1b】既知のプラウの平面図を示している。
図2a】本開示によるプラウの一例の平面図を示している。
図2b】分かりやすくするための一部の構造による(例えば、ベルマウスが取り除かれている)図2aのプラウの平面図を示している。
図3a】装てん位置にある図2aおよび図2bのプラウのドローバーの側面図を示している。
図3b図2aおよび図2bのプラウの側面図を示しており、ドローバーは図3aに示した位置にある。
図4a】進水および回収位置にある図2aおよび図2bのプラウのドローバーの側面図を示している。
図4b図2aおよび図2bのプラウの側面図を示しており、ドローバーは図4aに示した位置にある。
図5a】けん引位置にある図2aおよび図2bのプラウのドローバーの平面図を示している。
図5b】けん引位置にある図2aおよび図2bのプラウのドローバーの側面図を示している。
図5c図2aおよび図2bのプラウの側面図を示しており、ドローバーは図5bに示した位置にある。
図6a図2aおよび図2bのプラウの正面図を示しており、ベルマウスは動作位置にある。
図6b図2aおよび図2bのプラウの正面図を示しており、ベルマウスは装てん位置にある。
図7a図2aおよび図2bのプラウの平面図であり、押さえは作動位置にある。
図7b図2aおよび図2bのプラウの側面図であり、押さえは作動位置にある。
図8a図2aおよび図2bのプラウの平面図であり、押さえは装てん位置にある。
図8b図2aおよび図2bのプラウの側面図であり、押さえは装てん位置にある。
図9図9aはプラウを含む船舶の後面図を示しており、プラウは船舶のデッキに位置している。図9bは、プラウを含む船舶の側面図を示しており、プラウは船舶のデッキに位置している。
図10図10aは、プラウを海底へと展開中の図9aおよび図9bの構成の後面図を示している。図10bは、プラウを海底へと展開中の図9aおよび図9bの構成の側面図を示している。
図11図11aは、プラウを海底へと展開中の図9aおよび図9bの構成の後面図を示している。図11bは、プラウを海底へと展開中の図9aおよび図9bの構成の側面図を示している。
図12】プラウが海底に位置している図9aおよび図9bの構成の側面図を示している。
【0038】
図面において、同様の参照番号は、同様の部分を指している。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図2a~図5cが、海底に細長い要素を設けるための装置を示している。この例において、装置はプラウ300である。プラウ300は、海底に溝を形成するための溝形成手段を含む本体340を備える。この例において、溝形成手段は、溝切りナイフ、溝切りブレード、または刃先306を備える。この例において、溝切りナイフ306は、図1aおよび図1bの構成に関して説明したやり方で複数の切断ブレード3071-3を含む。プラウ300が海底を横切るとき、溝切りナイフ306の切断ブレード3071-3が、海底に溝を掘る。
【0040】
プラウ300は、本体340を海底に対して支持するための接触面を有する支持手段を含む。この例において、支持手段は、少なくとも1つのスキッド302を含む。使用時に、スキッドは海底に着座し(下面の接触面を介して海底に接触し)、プラウの本体340を支持する。図2aおよび図2bに示されるように、この例において、プラウ300は2セットのスキッド302(すなわち、各々が2つのスキッドを有する前方および後方のスキッドセット)を含むが、他の例においては、異なる数のスキッド/スキッドセットが使用されてもよい。この例において、接触面は平坦である。すなわち、スキッド302は、平坦な接触面を提供する。平坦な接触面を設けると、接地面積が比較的大きくなる。
【0041】
この例において、スキッド302は、本体340に対して移動可能である。第1の位置において、スキッド302は、その接触面が溝切りナイフ306の下面と実質的に同一平面にあるように配置される。このような第1の位置を、例えば、プラウ300を最初に海底へと降下させるときに使用することができる。プラウ300がけん引されるとき、最も下方の切断ブレード307が、溝を掘り始める。溝が掘られるにつれて、スキッド302をプラウ300の本体340に向かって(すなわち、上方に)移動させることができ、得られるトレンチの深さが大きくなる(すなわち、スキッド302の接触面と最も下方の切断ブレード307または溝形成手段の下部との間の距離が大きくなる)。第2の位置において、スキッド302は、プラウ300の本体340に近接する。すなわち、第2の位置において、スキッド302の接触面と最も下方の切断ブレード307との間の距離は、最大のトレンチ深さに対応する最大値である。
【0042】
この例において、本体340は、この本体340に対してスキッドを作動させるための少なくとも1つのアクチュエータを含む。例えば空気圧または油圧アクチュエータなど、任意の適切なアクチュエータを使用することができる。この例においては、スキッドごとに別個のアクチュエータが存在するが、他の例においては、スキッドを作動させるように構成された単一のアクチュエータまたはアクチュエータシステムが存在してもよい。
【0043】
プラウ300の本体340は、細長い要素350を受け入れるための(あるいは、より具体的には、細長い要素の一部分または一セクションを受け入れるための)受け入れ部380をさらに含む。この例において、受け入れ部380は、プラウの長手軸に沿って延在する。すなわち、使用時のプラウの軸は、プラウ300の溝切り方向Tにおおむね整列する。受け入れ部は、細長い要素がトレンチ形成手段によって掘られる溝におおむね整列するよう、細長い要素がプラウに近接かつプラウの長手軸におおむね整列するように、細長い要素を受け入れるように構成される。
【0044】
受け入れ部380を、例えば送電ケーブルなどのケーブルなど、任意の適切な細長い要素を受け入れるように構成することができる。受け入れ部が、受け入れられる細長い要素の種類に応じたサイズとされることを、理解できるであろう。
【0045】
受け入れ部は、プラウ300の接触面とは実質的に反対側のプラウ300の一方側からケーブルを受け入れるように構成される。すなわち、プラウ300は、上方から装てんされるように構成され、ケーブルは上方から(すなわち、プラウの接触面とは反対側のプラウの一方側から)受け入れ部380へと降下する。換言すると、細長い要素は、装てん経路(図3cにおいて矢印380によって表される)に沿って受け入れ部380へと装てんされ、装てん経路は、プラウの接触面とは反対側のプラウの一方側から受け入れ部へと実質的に下向きに延びる。換言すると、装てん経路は、本体よりも接触面からさらに遠くに位置し、あるいは本体が、装てん経路と支持手段との間に配置される。
【0046】
この例において、受け入れ部は、上方からのケーブルの装てんを可能にする開放チャネルを含む。この例において、開放チャネルは、実質的にU字形のフレームを含むが、他の例においては、受け入れ部380を、細長い要素を収容するための任意の適切な構成に形作ることができる。
【0047】
プラウ300の本体340は、ケーブル350を受け入れ部から溝形成手段306によって形成された溝へと導くように構成されている。例えば、ひとたび装填されると、ケーブル350の一セクションが、受け入れ部に位置する。ケーブルの一セクションは、ケーブルおよびプラウの両方を展開する船舶へと延びるケーブルの上流セクションとつながる(すなわち、一体である)。プラウ300が海底を横切るとき、プラウ300はケーブルに対して移動し、上流セクションが、プラウを通過し、プラウの下流で溝形成手段によって形成された溝に配置される。この例において、プラウ300は、受け入れ部の上流端に配置されたベルマウス324を含み、ベルマウスは、ケーブルが受け入れ部を通過する前に、ケーブルの上流セクションを受け入れて通すように構成されている。
【0048】
プラウは、本体340に接続されたドローバー308をさらに含む。ドローバー308は、このドローバー308に接続されたけん引ライン309を介してプラウ300を溝切り方向Tにけん引することができるけん引位置を有する。けん引ライン309を、例えば船舶(例えば、プラウ300を展開する船舶)へと接続し、船舶によってけん引することができる。
【0049】
この例において、ドローバー308は、第1の係合部分318と、この第1の係合部分から離れて位置する第2の係合部分320とを含む(図3bに最もよく示されている)。第1および第2の係合部分318、320の各々は、けん引ライン309(または、複数のけん引ライン)との係合に適する。換言すると、けん引位置(図2bおよび図5a~図5cに示されるとおり)において、ドローバー308はプラウ300の幅を横切って延び、けん引ライン309が、実質的にドローバーの端部の方の位置においてドローバー308に接続され、これらの位置は、第1および第2の係合部分である。けん引ライン309を2つの別々の位置(すなわち、第1および第2の係合部分)においてプラウ300に接続することで、プラウ300をより安定なやり方でけん引することができる。
【0050】
けん引位置において、ドローバー308は、受け入れ部を横切って延在する。とくに、ドローバー308は、受け入れ部の開放チャネルを横切って延在する。このようにして、けん引位置において、ドローバー308は、受け入れ部がケーブルを上方から受け取ることを防止する。すなわち、けん引位置において、ドローバー308は、受け入れ部への装てん経路を遮る(したがって、ケーブルの上方からの装てんを防止する)。
【0051】
ドローバー308は、ケーブルを装てん経路380に沿って受け入れ部へと装てんすることができる装てん位置を有する。装てん位置において、ドローバー308は、装てん経路380から離れて位置する。すなわち、装てん位置において、ドローバー308は、受け入れ部へのケーブルの装てんを妨げるやり方で受け入れ部の開放チャネルを横切って延在することがない。換言すると、装てん位置にあるときのドローバー308の位置は、(図3a~図3cに示されるように)ケーブルの装てん経路への受け入れを可能にする。
【0052】
図3aが、装てん位置にあるプラウ300のドローバー308の側面図を示している。図3bが、ドローバー308が図3aに示した位置にあるプラウ300を示している。装てん位置において、ドローバー308は、ケーブルを装てん経路(装てん経路は、図3aにおいて、ドローバー308を過ぎてプラウに向かって垂直下方である)に沿って受け入れ部へと装てんできるように、装てん経路から離れている。したがって、装てん経路は、細長い要素を受け入れるために(ドローバーから)自由である。
【0053】
ドローバー308は、装てん位置からけん引位置まで移動可能である。この例において、ドローバー308は、プラウのラテラル面(すなわち、プラウの長手軸に平行であり、海底に(少なくとも実質的に)平行であるプラウの平面)に垂直に延びる第1の軸311を中心にして前記装てん位置から前記けん引位置まで移動可能である。ラテラル面を、プラウのスキッド302を備える支持手段によって定めることができる。プラウ300が海底に実質的に水平に(すなわち、海底が平坦である領域に)配置される場合、これは、ドローバー308が、スキッド302の接触面に対して垂直に延びる第1の軸311を中心にして、前記装てん位置から前記けん引位置まで移動可能であることに相当する。すなわち、プラウ300が海底に実質的に水平に配置された(すなわち、接触面が実質的に水平に配置された)状態で、ドローバー308は実質的に垂直な軸311を中心にして回転し、ドローバー308は水平面内を移動する。
【0054】
図4aが、装てん位置から第1の軸311を中心にして回転した後のドローバーの側面図を示している。図4bが、ドローバー308が図4aに示した位置にあるプラウ300を示している。この例において、この位置は、プラウ300を進水させ、あるいは回収する(すなわち、ドローバー308を介して)ことができる進水および回収位置に相当する。いくつかの例において、プラウ300を、けん引ライン309を使用して進水させ、あるいは回収することができる。しかしながら、他の例において、プラウ300を(例えば、浅水域において)別個のけん引ラインを使用して進水させ、あるいは回収することができる。
【0055】
図4aに示される位置において、ドローバー308は、受け入れ部を横切って(すなわち、上方に)延在する。すなわち、ドローバー308は、ケーブルの上方からの装てんができないように、受け入れ部への装てん経路を遮る。
【0056】
この例において、装てん位置からけん引位置へのドローバー308の移動は、複数の軸を中心としたドローバーの回転を含む(すなわち、装てん位置からけん引位置までの移行が、2段階の移動である)。図5bに示されるように、この例において、ドローバー308は、溝切り方向Tおよび第1の軸311に対して少なくとも実質的に垂直に延びる第2の軸321を中心にして移動可能である。換言すると、プラウ300が海底に実質的に水平に配置された状態で、ドローバー308は、溝切り方向Tに垂直な実質的に水平な軸321を中心にして回転する。これは、ドローバー308を(図5aおよび図5bに示されるように)けん引位置へと下方に関節運動させる。図4aにおいて、軸321はページの中へと延在し、第2の軸を中心とする回転の方向は、矢印317によって示されている。
【0057】
この例において、ドローバー308は、2つの別個の軸311および321を中心にした回転を可能にするように、プラウ300の本体に回転可能に結合している。この例において、ドローバー308は、少なくとも1つの支持フレームまたは支持アセンブリを介して、プラウの本体に回転可能に結合している。とくには、この例において、ドローバー308は、第1の支持フレーム390に結合し、あるいは取り付けられ、第1の支持フレーム390は、第1の軸311を中心としたドローバー308の回転を可能にするようにプラウ300の本体に回転可能に結合している。
【0058】
この例において、プラウ300は、ドローバーを装てん位置からけん引位置まで移動させる(すなわち、軸311および321を中心としたドローバーの回転を引き起こす)ためのアクチュエータ手段(すなわち、アクチュエータ)を含む。任意の適切なアクチュエータを使用することができ、例えば空気圧または油圧アクチュエータなどを使用することができる。
【0059】
この例において、第1の支持フレーム390は、第2の支持フレーム392を介してプラウ300の本体に回転可能に結合している。アクチュエータ394は、第2の支持フレーム392に対する(すなわち、軸311を中心とする)第1の支持フレーム390の回転を制御するように構成される。アクチュエータ394が作動すると、第1の支持フレーム390が第2の支持フレーム392に対して回転し(第2の支持フレーム392は固定位置のままである)、ドローバー308を装てん位置から進水および回収位置へと移動させる。
【0060】
この例において、第2の支持フレーム392自体は、第2の軸321を中心としたドローバー308の回転を可能にするように、プラウ300の本体に回転可能に取り付けられる。アクチュエータ396は、プラウ300の本体に対する(すなわち、第2の軸321を中心とする)第2の支持フレーム392の回転を制御するように構成される。アクチュエータ396が作動すると、第1および第2の支持フレーム390、392がプラウ300の本体に対して回転し、ドローバー308を進水および回収位置からけん引位置へと移動させる。
【0061】
この例において、ドローバー308は、枢動可能に取り付けられている。すなわち、図3aに示されるように、ドローバー308は、第1および第2の係合部分318、320の間の実質的に中央に配置されたピボット322を介して支持フレーム390に取り付けられている。これにより、けん引ラインの張力を調整すること(例えば、受動的な場合にけん引負荷を均等にすること)が可能になり、あるいはプラウのかじ取りが可能になる。とくには、アクチュエータ397を、ドローバー308を第1の支持フレーム390に対して動かすように配置することができ、前記ドローバー308を、前記ピボット322を中心にして動かすことができる。とくには、前記アクチュエータ397は、(図5aに見られるように)ドローバー308の第1の係合部分318/その近くに接続された第1の端部と、第1の支持フレーム390に接続された前記第1の端部の反対側の第2の端部とを有する。
【0062】
任意の適切なアクチュエータを、アクチュエータ394および396に使用することができ、例えば空気圧、油圧、または電気アクチュエータなど(とくには、周囲圧力ゆえに、油圧または電気アクチュエータ)を使用することができる。
【0063】
図3a~図5cが、装てん位置からけん引位置へのドローバー308の移動を示している。ドローバー308が、装てん位置とけん引位置との間を移動可能であり、けん引位置から装てん位置へのドローバーの移動が、装てん位置からけん引位置へのドローバーの移動の逆であってよいことを、理解できるであろう。換言すると、この例において、けん引位置から装てん位置への移動の際に、ドローバーは、進水および回収位置へと上方に関節運動し、次いで垂直軸を中心にして回転することで、ケーブル装てん経路から離れるように回転して、ケーブルをプラウへと垂直方向に下降させることを可能にする。いずれの例においても、ドローバー308を、例えばケーブルを取り除くため、新たなケーブルを装てんするため、あるいは所定の長さのケーブルが埋め込まれた後に、けん引位置から装てん位置に再び移動させることができる。
【0064】
いくつかの例において、プラウ300は、最初に装てん位置のドローバー308を備えることができる(例えば、ドローバー308が装てん位置にある状態でプラウ300を展開することができる)。プラウ300の展開に続いて、ケーブルを受け入れ部に装てんし、ドローバー308をけん引位置へと移動させ、プラウ300をけん引して溝を形成し、けん引プロセスの最中にケーブルを溝に配置することができる。他の例において、プラウ300は、最初にけん引位置のドローバー308を備える異ができる。ひとたび展開されると、ケーブルを受け入れ部に装てんできるように、ドローバー308を装てん位置へと移動させることができる。
【0065】
いくつかの例においては、ケーブルを上方から装てんできるようにするために、プラウ300内の他の構成要素を移動させる/配置し直すことも必要となり得る。例えば、ベルマウス324および/または押さえ370が、(ケーブルを装てん経路380に沿って受け入れ部へと装てんすることができる)装てん位置と動作位置(すなわち、プラウイング作業の最中の位置)との間で移動可能であってもよい。
【0066】
図6aおよび図6bが、それぞれベルマウス324が動作位置および装てん位置にある状態のプラウ300の正面図を示している。この例において、ベルマウス324は、前記溝切り方向Tに実質的に平行に延びる軸を中心にして動作位置から装てん位置へと移動可能である。すなわち、ベルマウス324は、装てん経路から離れるように回転する。この目的のために、プラウ300(の本体)は、ベルマウス324がベルマウス324のフレーム部分326によって移動可能に(例えば、スライド可能または枢動可能に)接続される案内フレームを備える。案内フレームは、案内フレーム(V字形の断面を有する)を協働して形成する2つの案内部材327および328を備える。案内フレームは、受け入れ部380に向かって/受け入れ部380へと収束する。したがって、案内フレームは、ケーブル350を受け入れ部内の中央位置へと案内するように構成される。ベルマウス324のフレーム部分326は、プラウ300の案内フレームの単一の案内部材327に移動可能に接続され、プラウ300の案内フレームの単一の案内部材327に沿って移動可能である。前記ベルマウス324(のフレーム部分326)は、(概略的に描かれた)アクチュエータ325によって前記案内部材327に対して移動可能である。とくには、前記アクチュエータ325は、ベルマウス324のフレーム部分326を受け入れ部380に近づく/受け入れ部380から遠ざかるように案内フレーム327に対して動かすように構成される。
【0067】
図7aおよび図7bが、押さえ370が動作位置にある本発明のプラウ300を示しており、図8aおよび図8bが、押さえ370が装てん位置にある本発明のプラウ300を示している。押さえ370は、本体の下流側から延び、押さえ370は、細長い要素をプラウイングナイフ306によって切られた溝へと導くように配置されている。上述のように、押さえ370は、細長い要素が押さえ370とプラウイングナイフ306との間を溝に向かって導かれた後に、押さえ370によって溝へと下方に押し込まれるように、プラウイングナイフ306の後面と協働するように構成される。
【0068】
この例において、押さえは、押さえ370をプラウイングナイフ306から遠ざかるように持ち上げ、押さえ370を装てん経路から遠ざかるように変位または回転させることによって、動作位置から装てん位置へと移動可能である。この例において、押さえ370は、フレームまたは支持構造372に取り付けられ、支持構造372は、装てん経路から離して配置され、あるいは装てん経路の側方に配置される。支持構造372は、プラウ300のベースフレームに枢動可能に接続され、支持構造372(したがって、押さえ370)は、枢支軸375を中心にしてプラウ300に対して枢動可能である。枢支軸375は、支持手段302の接触面に対して垂直である。上方から見たとき、枢支軸375は、プラウの中心からオフセットさせて(すなわち、受け入れ部の外側に)配置される。したがって、受け入れ部380に細長い要素350を受け入れることができるように、押さえ370を受け入れ部380へと向かう装てん経路から離れるように移動させ(例えば、完全に取り除き)、装てん経路を押さえ370から開放することができる。押さえ370が装てん経路から完全に取り除かれると、ケーブルを受け入れ部へと上方から装てんすることができる。
【0069】
押さえ370を持ち上げるために、支持構造372は、支持構造372(および、押さえ370)を前記溝掘り手段306に向かって/前記溝掘り手段306から遠ざかるようにプラウ300に対して動かすためのアクチュエータ373を介して、プラウ300のベースフレームに接続される。
【0070】
図9a~図12が、プラウ500の展開を示している。プラウ500は、前述の例のいずれかに記載のプラウ、またはその変種であってよい。
【0071】
この例においては、図9aおよび図9bに示されるように、プラウ500が最初に船舶100のデッキ上に位置する。プラウ500は、展開手段1100によって船舶1000のデッキから展開される。任意の適切な展開手段を使用することができる。この例において、展開手段1100は、船舶に対して枢動可能な装てんフレーム1102と、下降シーブブロック1104とを含む。図10aおよび図10bに示されるように、プラウは下降シーブブロック1104に取り付けられ、プラウが船舶の一方側(具体的には、船舶のケーブル1106も展開される一方側)を過ぎて吊り下げられるように、装てんフレーム1102が枢動させられる。
【0072】
この例において、プラウ500は、例えば進水および回収位置にあるプラウ500のドローバーに取り付けられたけん引ライン509など、プラウ500をけん引するために使用されるけん引ライン509によって吊り下げられる(その後に、下降させられる)。しかしながら、他の例においては、別個のけん引ライン、チェーン、またはケーブルを使用してプラウ500を展開してもよい。そのような例において、プラウ500のドローバーは、最初に装てん位置にあってもよい。
【0073】
展開されたプラウ500が、図12に示されている。展開後に、プラウ500は装てんに向けて準備される。例えば、プラウ500が進水および回収位置にて展開される場合、ドローバーを進水および回収位置から直接的に装てん位置に移動させることができる。他の例においては、ドローバーを装てん位置に移動させる前に、プラウ500を適切な位置へとけん引できるように、ドローバーをけん引位置へと移動させることができる。他の例においては、ドローバーを進水位置にした状態でプラウを展開してもよい(例えば、追加のけん引ラインを介して進水させる場合)。ドローバーが装てん位置に位置すると、ケーブル1106がプラウの受け入れ部へと下ろされる。
【0074】
ケーブル1106がプラウ500の受け入れ部に装てんされた後に、ドローバーがけん引位置へと動かされ、したがって溝切りおよびケーブル敷設作業を始めることができる。すなわち、溝形成手段によって溝が形成されるように、ケーブル1106を溝へと案内しつつ、海底を横切ってプラウをけん引することができる。溝切りおよびケーブル敷設作業の後の段階において、ドローバーをけん引位置から装てん位置に移動させることで、必要に応じてケーブルを取り除き、再び装てん(または、新たなケーブルを装てん)することができる。
【0075】
以下で概説されるように、上述の利点の特定の態様は、細長い要素を海底に設けるための既知の装置と比べ、いくつかの利点を有する。例えば、上方からのプラウの装てんのために装てん経路を妨げないようにドローバーを(実質的に)垂直な軸を中心にして回転させる(すなわち、ドローバーを水平面内で移動させる)ことは、後に引っ掛かったり、絡まったりしかねないけん引ラインの過度のたるみを防止する役に立つ。例えば、上方からの装てんのために装てん経路を妨げないようにドローバーを水平な軸のみを中心にして回転させる場合、(ドローバーの端部に接続された)けん引ケーブルのうちの一方がたるむ可能性がある。たるんだケーブルが、ケーブルの装てんを妨げる可能性がある。これが、(ドローバーの端部に接続された)両方のけん引ケーブルに張力が維持されるように、ドローバーを垂直軸を中心にして回転させることによって回避される。
【0076】
上述の例において、溝形成手段は溝ナイフである。しかしながら、他の例において、他の適切な溝形成手段が使用されてよく、例えばジェット切断手段などを使用することができる。
【0077】
装置は、細長い要素を把持または捕捉するための把持または捕捉手段を含むことができる。すなわち、把持または捕捉手段は、細長い要素を把持し、それを受け入れ部に能動的に引き込むことができ、あるいは受け入れ部内に置くことができる。
【0078】
装置は、ケーブルを受け入れ部380に向かって案内するための案内手段327,328を含むことができる。案内手段327、328を、ケーブル350をプラウ300の上方から受け入れ部380へと案内し、かつ/またはケーブルを受け入れ部380に向かって導くように構成することができる。いくつかの例において、案内手段は、装てんプロセスの際に装置へのケーブルの接近を検出するように構成された検出システムを含むことができる。検出システムは、例えば前方および後方の上方を(名目上)向いたソナーシステムなど、少なくとも1つのソナーシステムを含むことができる。検出システムは、プラウに正しく降ろされるようにケーブルを操作するために装置によって利用される。
【0079】
上述の構成は、上方からの装てんに合わせて構成されているものとして説明されているが、軸方向に装てん(すなわち、ベルマウスを通って受け入れ部へと通過によって装てん)されてもよいことが理解されよう。
【0080】
上述の実施形態のいずれかに関連して説明された特徴を、異なる実施形態の間で入れ替えて適用できることは、当業者にとって明らかであろう。上述の実施形態は、本発明の種々の特徴を説明するための例である。
【0081】
本明細書の説明および特許請求の範囲の全体を通して、用語「・・・を備える」および「・・・を含む」ならびにこれらの変形は、「・・・を含むが、・・・に限定されない」を意味し、他の部分、添加物、構成要素、完全体、またはステップを除外しようとする(さらには、除外する)ものではない。本明細書の説明および特許請求の範囲の全体を通して、単数形は、そうでないことを文脈が必要としていない限り、複数形を包含する。とくに、不定冠詞が使用される場合、本明細書は、そうでないことを文脈が必要としていない限り、複数性および単数性を想定していると理解されるべきである。
【0082】
プラウ(の構成要素)に関する直交座標系を、プラウの向きを評価するときに使用することができる。したがって、プラウが平坦な地面に位置するとき、たとえ前記平坦な地面が傾斜していても、「水平」は前記平坦な地面に平行であり、「垂直」は前記平坦な地面に垂直(すなわち、前記平坦な地面から上方)である。
【0083】
本発明の特定の態様、実施形態、または例に関連して説明された特徴、完全体、特性、化合物、化学部分または基は、本明細書に記載の任意の他の態様、実施形態、または例に、それらと矛盾しない限りにおいて適用可能であると理解されるべきである。本明細書(添付の特許請求の範囲、要約、および図面を含む)に開示されたすべての特徴、および/またはそのように開示された任意の方法またはプロセスのすべてのステップは、そのような特徴および/またはステップの少なくともいくつかが相互に排他的である組み合わせを除き、任意の組み合わせにて組み合わせることが可能である。本発明は、上述のいかなる実施形態の詳細にも限定されない。本発明は、本明細書(添付の特許請求の範囲、要約、および図面を含む)に開示された特徴からの任意の新規な特徴または任意の新規な組み合わせ、あるいはそのように開示された任意の方法またはプロセスのステップからの任意の新規なステップまたは任意の新規な組み合わせに及ぶ。
図1a
図1b
図2a
図2b
図3a
図3b
図4a
図4b
図5a
図5b
図5c
図6a
図6b
図7a
図7b
図8a
図8b
図9
図10
図11
図12