(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-25
(45)【発行日】2024-10-03
(54)【発明の名称】ライダー支援システムの制御装置及び制御方法
(51)【国際特許分類】
B60W 30/00 20060101AFI20240926BHJP
B60W 30/14 20060101ALI20240926BHJP
B60W 40/02 20060101ALI20240926BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20240926BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20240926BHJP
B62J 45/00 20200101ALI20240926BHJP
【FI】
B60W30/00
B60W30/14
B60W40/02
G08G1/09 F
G08G1/09 H
G08G1/09 S
G08G1/16 A
B62J45/00
(21)【出願番号】P 2022570765
(86)(22)【出願日】2021-12-16
(86)【国際出願番号】 IB2021061811
(87)【国際公開番号】W WO2022137034
(87)【国際公開日】2022-06-30
【審査請求日】2023-04-25
(31)【優先権主張番号】P 2020214072
(32)【優先日】2020-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【氏名又は名称】大場 玲児
(72)【発明者】
【氏名】プファウ ラース
【審査官】平井 功
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/030131(WO,A1)
【文献】特開2009-23485(JP,A)
【文献】欧州特許第1989086(EP,B1)
【文献】国際公開第2017/030132(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リーン車両(100)のライダー(200)による運転を支援するライダー支援システム(1)の制御装置(20)であって、
前記リーン車両(100)に搭載された周囲環境検出装置(11)の出力に基づいて、若しくは、他車両又はインフラストラクチャ設備との無線通信に基づいて、該リーン車両(100)の周囲環境情報を取得する取得部(21)と、
前記周囲環境情報に応じた前記ライダー(200)の運転支援動作を実行する実行部(22)と、
を備えており、
前記取得部(21)は、前記リーン車両(100)の走行姿勢情報に基づいて、該リーン車両(100)のすり抜け走行の可否又は安全性の判定基準となる基準隙間(S)の情報である基準隙間情報を取得し、
前記実行部(22)は、前記基準隙間情報に基づいて、前記運転支援動作を実行
し、
前記実行部(22)は、前記リーン車両(100)の走行軌跡上に位置する実際の隙間の情報である実際隙間情報と、前記基準隙間情報と、に基づいて、該リーン車両(100)による該実際の隙間の前記すり抜け走行の可否又は安全性の判定を行い、該判定の結果に基づいて、前記運転支援動作を実行する、
制御装置。
【請求項2】
前記運転支援動作は、前記リーン車両(100)のアダプティブクルーズコントロール動作であり、
前記実行部(22)は、前記基準隙間情報に基づいて、前記アダプティブクルーズコントロール動作における速度制御での追従対象車両を決定する、
請求項
1に記載の制御装置。
【請求項3】
リーン車両(100)のライダー(200)による運転を支援するライダー支援システム(1)の制御装置(20)であって、
前記リーン車両(100)に搭載された周囲環境検出装置(11)の出力に基づいて、若しくは、他車両又はインフラストラクチャ設備との無線通信に基づいて、該リーン車両(100)の周囲環境情報を取得する取得部(21)と、
前記周囲環境情報に応じた前記ライダー(200)の運転支援動作を実行する実行部(22)と、
を備えており、
前記取得部(21)は、前記リーン車両(100)の走行姿勢情報に基づいて、該リーン車両(100)のすり抜け走行の可否又は安全性の判定基準となる基準隙間(S)の情報である基準隙間情報を取得し、
前記実行部(22)は、前記基準隙間情報に基づいて、前記運転支援動作を実行し、
前記運転支援動作は、前記リーン車両(100)のアダプティブクルーズコントロール動作であり、
前記実行部(22)は、前記基準隙間情報に基づいて、前記アダプティブクルーズコントロール動作における速度制御での追従対象車両を決定する、
制御装置。
【請求項4】
前記取得部(21)は、前記リーン車両(100)の走行姿勢情報に応じて、前記基準隙間情報における前記基準隙間(S)の幅(W)を変化させる、
請求項1
~3の何れか一項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記取得部(21)は、前記リーン車両(100)の走行姿勢情報に応じて、前記基準隙間情報における前記基準隙間(S)の幅中心(C)を変化させる、
請求項1
~4の何れか一項に記載の制御装置。
【請求項6】
前記取得部(21)は、前記基準隙間情報を、前記リーン車両(100)の側方突出部(101)の寸法情報に基づいて取得する、
請求項1~
5の何れか一項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記取得部(21)は、前記基準隙間情報を、前記リーン車両(100)の搭乗者情報に基づいて取得する、
請求項1~
6の何れか一項に記載の制御装置。
【請求項8】
前記取得部(21)は、前記基準隙間情報を、前記リーン車両(100)の積載物情報に基づいて取得する、
請求項1~
7の何れか一項に記載の制御装置。
【請求項9】
前記基準隙間情報は、高さに応じて前記基準隙間(S)の幅(W)が異なる情報である、
請求項1~
8の何れか一項に記載の制御装置。
【請求項10】
前記基準隙間情報は、高さに応じて前記基準隙間(S)の幅中心(C)が異なる情報である、
請求項1~
9の何れか一項に記載の制御装置。
【請求項11】
前記取得部(21)は、走行中の前記リーン車両(100)に生じているロール角の情報に基づいて、前記基準隙間情報を取得する、
請求項1~
10の何れか一項に記載の制御装置。
【請求項12】
前記取得部(21)は、走行中の前記リーン車両(100)に生じている操舵角の情報に基づいて、前記基準隙間情報を取得する、
請求項1~
11の何れか一項に記載の制御装置。
【請求項13】
前記取得部(21)は、走行中の前記リーン車両(100)に生じているヨーレートの情報に基づいて、前記基準隙間情報を取得する、
請求項1~
12の何れか一項に記載の制御装置。
【請求項14】
リーン車両(100)のライダー(200)による運転を支援するライダー支援システム(1)の制御方法であって、
制御装置(20)の取得部(21)が、前記リーン車両(100)に搭載された周囲環境検出装置(11)の出力に基づいて、若しくは、他車両又はインフラストラクチャ設備との無線通信に基づいて、該リーン車両(100)の周囲環境情報を取得する取得ステップ(S101)と、
前記制御装置(20)の実行部(22)が、前記周囲環境情報に応じた前記ライダー(200)の運転支援動作を実行する実行ステップ(S102)と、
を備えており、
前記取得ステップ(S101)では、前記取得部(21)が、前記リーン車両(100)の走行姿勢情報に基づいて、該リーン車両(100)のすり抜け走行の可否又は安全性の判定基準となる基準隙間(S)の情報である基準隙間情報を取得し、
前記実行ステップ(S102)では、前記実行部(22)が、前記基準隙間情報に基づいて、前記運転支援動作を実行
し、
前記実行ステップ(S102)では、前記実行部(22)が、前記リーン車両(100)の走行軌跡上に位置する実際の隙間の情報である実際隙間情報と、前記基準隙間情報と、に基づいて、該リーン車両(100)による該実際の隙間の前記すり抜け走行の可否又は安全性の判定を行い、該判定の結果に基づいて、前記運転支援動作を実行する、
制御方法。
【請求項15】
リーン車両(100)のライダー(200)による運転を支援するライダー支援システム(1)の制御方法であって、
制御装置(20)の取得部(21)が、前記リーン車両(100)に搭載された周囲環境検出装置(11)の出力に基づいて、若しくは、他車両又はインフラストラクチャ設備との無線通信に基づいて、該リーン車両(100)の周囲環境情報を取得する取得ステップ(S101)と、
前記制御装置(20)の実行部(22)が、前記周囲環境情報に応じた前記ライダー(200)の運転支援動作を実行する実行ステップ(S102)と、
を備えており、
前記取得ステップ(S101)では、前記取得部(21)が、前記リーン車両(100)の走行姿勢情報に基づいて、該リーン車両(100)のすり抜け走行の可否又は安全性の判定基準となる基準隙間(S)の情報である基準隙間情報を取得し、
前記実行ステップ(S102)では、前記実行部(22)が、前記基準隙間情報に基づいて、前記運転支援動作を実行し、
前記運転支援動作は、前記リーン車両(100)のアダプティブクルーズコントロール動作であり、
前記実行ステップ(S102)では、前記実行部(22)が、前記基準隙間情報に基づいて、前記アダプティブクルーズコントロール動作における速度制御での追従対象車両を決定する、
制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リーン車両のライダーによる運転を支援するライダー支援システムの制御装置と、リーン車両のライダーによる運転を支援するライダー支援システムの制御方法と、に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のライダー支援システムとして、周囲環境情報に応じたライダーの運転支援動作を実行するものが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リーン車両では、他の車両(例えば、乗用車、トラック等)と異なり、旋回走行に際して、車体が旋回方向に大きく傾けられる。つまり、リーン車両の走行では、その走行によって占領される空間が、走行姿勢に応じて大きく変化する。しかしながら、従来のライダー支援システムでは、その空間の変化が加味されておらず、適切な運転支援動作を実行することが困難となる場合が生じ得る。
【0005】
本発明は、上述の課題を背景としてなされたものであり、リーン車両のライダーによる運転を適切に支援し得る制御装置を得るものである。また、リーン車両のライダーによる運転を適切に支援し得る制御方法を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る制御装置は、リーン車両のライダーによる運転を支援するライダー支援システムの制御装置であって、前記リーン車両に搭載された周囲環境検出装置の出力に基づいて、若しくは、他車両又はインフラストラクチャ設備との無線通信に基づいて、該リーン車両の周囲環境情報を取得する取得部と、前記周囲環境情報に応じた前記ライダーの運転支援動作を実行する実行部と、を備えており、前記取得部は、前記リーン車両の走行姿勢情報に基づいて、該リーン車両のすり抜け走行の可否又は安全性の判定基準となる基準隙間の情報である基準隙間情報を取得し、前記実行部は、前記基準隙間情報に基づいて、前記運転支援動作を実行する。
【0007】
本発明に係る制御方法は、リーン車両のライダーによる運転を支援するライダー支援システムの制御方法であって、制御装置の取得部が、前記リーン車両に搭載された周囲環境検出装置の出力に基づいて、若しくは、他車両又はインフラストラクチャ設備との無線通信に基づいて、該リーン車両の周囲環境情報を取得する取得ステップと、前記制御装置の実行部が、前記周囲環境情報に応じた前記ライダーの運転支援動作を実行する実行ステップと、を備えており、前記取得ステップでは、前記取得部が、前記リーン車両の走行姿勢情報に基づいて、該リーン車両のすり抜け走行の可否又は安全性の判定基準となる基準隙間の情報である基準隙間情報を取得し、前記実行ステップでは、前記実行部が、前記基準隙間情報に基づいて、前記運転支援動作を実行する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る制御装置及び制御方法では、リーン車両の走行姿勢情報に基づいて基準隙間情報が取得され、その基準隙間情報に基づいて運転支援動作が実行される。そのため、リーン車両の走行によって占領される空間の走行姿勢に応じた変化が加味された運転支援動作を実行することが可能となって、リーン車両のライダーによる運転を適切に支援することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施の形態に係るライダー支援システムの、リーン車両への搭載状態を示す図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係るライダー支援システムの、システム構成を示す図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係るライダー支援システムの、直立走行するリーン車両を後方視した状態での基準隙間情報を説明するための図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係るライダー支援システムの、傾き走行するリーン車両を後方視した状態での基準隙間情報を説明するための図である。
【
図5】本発明の実施の形態に係るライダー支援システムの、傾き走行するリーン車両を後方視した状態での基準隙間情報の変形例を説明するための図である。
【
図6】本発明の実施の形態に係るライダー支援システムの、傾き走行するリーン車両を後方視した状態での基準隙間情報の変形例を説明するための図である。
【
図7】本発明の実施の形態に係るライダー支援システムの、傾き走行するリーン車両を後方視した状態での基準隙間情報の変形例を説明するための図である。
【
図8】本発明の実施の形態に係るライダー支援システムの、傾き走行するリーン車両を後方視した状態での基準隙間情報の変形例を説明するための図である。
【
図9】本発明の実施の形態に係るライダー支援システムの、傾き走行するリーン車両を後方視した状態での基準隙間情報の変形例を説明するための図である。
【
図10】本発明の実施の形態に係るライダー支援システムの、制御装置の動作フローの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明に係る制御装置及び制御方法について、図面を用いて説明する。
【0011】
なお、以下で説明する構成、動作等は、一例であり、本発明に係る制御装置及び制御方法は、そのような構成、動作等である場合に限定されない。
【0012】
例えば、以下では、本発明に係る制御装置及び制御方法が、二輪のモータサイクルに適用される場合について説明しているが、本発明に係る制御装置及び制御方法が、二輪のモータサイクル以外の他のリーン車両に適用されてもよい。リーン車両は、旋回時に旋回方向に傾斜した状態で走行する車両全般を意味する。リーン車両には、例えば、二輪のモータサイクル、三輪のモータサイクル、自転車等が含まれる。モータサイクルには、例えば、エンジンを推進源とする車両、電気モータを推進源とする車両等が含まれ、例えば、オートバイ、スクーター、電動スクーター等が含まれる。また、自転車は、ペダルに付与されるライダーの踏力によって路上を推進することが可能な乗物全般を意味する。自転車には、例えば、普通自転車、電動アシスト自転車、電動自転車等が含まれる。
【0013】
また、以下では、同一の又は類似する説明を適宜簡略化又は省略している。また、各図において、同一の又は類似する部分については、同一の符号を付すか又は符号を付すことを省略している。また、細かい構造については、適宜図示を簡略化又は省略している。
【0014】
実施の形態
以下に、実施の形態に係るライダー支援システムを説明する。
【0015】
<ライダー支援システムの構成>
実施の形態に係るライダー支援システムの構成について説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るライダー支援システムの、リーン車両への搭載状態を示す図である。
図2は、本発明の実施の形態に係るライダー支援システムの、システム構成を示す図である。
【0016】
図1及び
図2に示されるように、ライダー支援システム1は、例えば、リーン車両100の周囲環境情報を検出するための周囲環境検出装置11と、他車両又はインフラストラクチャ設備から送信された周囲環境情報を無線通信によって受信する通信装置12と、リーン車両100の走行状態情報を検出するための走行状態検出装置13と、制御装置(ECU)20と、を含む。ライダー支援システム1は、周囲環境情報を用いて、リーン車両100のライダー200による運転を支援するものである。制御装置20には、必要に応じて、他の情報(例えば、ライダー200によるブレーキ操作状態の情報、ライダー200によるアクセル操作状態の情報等)を出力するための各種検出装置(図示省略)の信号も入力される。ライダー支援システム1の各部は、ライダー支援システム1に専ら用いられるものであってもよく、また、他のシステムと共用されるものであってもよい。また、周囲環境検出装置11及び通信装置12の一方が設けられていなくてもよい。
【0017】
周囲環境検出装置11は、例えば、レーダー、Lidarセンサ、超音波センサ、カメラ等である。周囲環境検出装置11は、リーン車両100の前部に設けられ、その検出範囲が、リーン車両100の前方に向けられているとよい。周囲環境検出装置11に加えて、リーン車両100の後部又は側部に設けられ、検出範囲がリーン車両100の後方又は側方に向けられている他の周囲環境検出装置が設けられていてもよい。周囲環境検出装置11は、例えば、リーン車両100と検出範囲内に位置する対象物(例えば、他車両、障害物、人又は動物等)との相対的な位置関係の情報、検出範囲内に位置する対象物(例えば、他車両、障害物、人又は動物等)同士の相対的な位置関係の情報等を検出して、制御装置20に出力する。なお、相対的な位置関係の情報には、例えば、相対距離情報、相対速度情報、相対加速度情報、相対加加速度情報等が含まれ得る。
【0018】
通信装置12は、他車両又はインフラストラクチャ設備から送信された周囲環境情報を、直接的に、又は、他の装置(例えば、インターネットサーバ、携帯型無線端末、ライダー200の着用物60等)を介して間接的に受信する。なお、着用物60には、ヘルメット、グローブ等が含まれる。他車両から送信される周囲環境情報は、その他車両で取得された周囲環境情報であってもよく、また、その他車両自体の状態情報であってもよい。また、インフラストラクチャ設備から送信される周囲環境情報は、そのインフラストラクチャ設備で取得された周囲環境情報であってもよく、また、そのインフラストラクチャ設備自体の状態情報であってもよい。通信装置12は、例えば、リーン車両100と対象物(例えば、他車両、障害物、人又は動物等)との相対的な位置関係の情報、対象物(例えば、他車両、障害物、人又は動物等)同士の相対的な位置関係の情報等を受信して、制御装置20に出力する。なお、相対的な位置関係の情報には、例えば、相対距離情報、相対速度情報、相対加速度情報、相対加加速度情報等が含まれ得る。
【0019】
走行状態検出装置13は、例えば、車速センサと、慣性センサ(IMU)と、を含む。車速センサは、リーン車両100に生じている車速を検出する。慣性センサは、リーン車両100に生じている3軸の加速度及び3軸(ロール、ピッチ、ヨー)の角速度を検出する。走行状態検出装置13が、リーン車両100に生じている車速と、リーン車両100に生じている3軸の加速度及び3軸の角速度と、に実質的に換算可能な他の物理量を検出するものであってもよい。また、慣性センサが、3軸の加速度及び3軸の角速度の一部のみを検出するものであってもよい。また、必要に応じて、車速センサ及び慣性センサの少なくとも一方が省略されてもよく、また、他のセンサが追加されてもよい。
【0020】
制御装置20は、少なくとも、取得部21と、実行部22と、を含む。制御装置20の全て又は各部は、1つの筐体に纏めて設けられていてもよく、また、複数の筐体に分けられて設けられていてもよい。また、制御装置20の一部又は全ては、例えば、マイコン、マイクロプロセッサユニット等で構成されてもよく、また、ファームウェア等の更新可能なもので構成されてもよく、また、CPU等からの指令によって実行されるプログラムモジュール等であってもよい。
【0021】
取得部21は、周囲環境検出装置11の出力に基づいて、若しくは、他車両又はインフラストラクチャ設備との無線通信に基づいて、リーン車両100の周囲環境情報を取得する。そして、実行部22は、例えば、リーン車両100に制動力を生じさせる制動装置30、リーン車両100に駆動力を生じさせる駆動装置40、ライダー200に対する警告(例えば、聴覚に作用する警告、視覚に作用する警告、触覚に作用する警告等)を発する報知装置50等に制御指令を出力して、周囲環境情報に応じたライダー200の各種運転支援動作を実行する。なお、報知装置50は、リーン車両100に設けられていてもよく、また、リーン車両100のライダー200の着用物60に設けられていてもよい。また、ライダー200に対する警告が、リーン車両100に瞬時的な加速度の減少又は増加を生じさせるハプティクス動作によって行われてもよい。そのような場合には、制動装置30又は駆動装置40が、報知装置50の機能を担う。
【0022】
図3は、本発明の実施の形態に係るライダー支援システムの、直立走行するリーン車両を後方視した状態での基準隙間情報を説明するための図である。
図4は、本発明の実施の形態に係るライダー支援システムの、傾き走行するリーン車両を後方視した状態での基準隙間情報を説明するための図である。
ここで、取得部21は、走行状態検出装置13の出力に基づいて、リーン車両100の走行姿勢情報を取得する。取得部21は、走行姿勢情報に基づいて、リーン車両100のすり抜け走行の可否又は安全性の判定基準となる基準隙間S、つまり、リーン車両100の走行のために最小限確保されるべきと設定される空間又はリーン車両100の安全な走行のために確保されるべきと設定される空間である基準隙間Sの情報を、基準隙間情報として取得する。例えば、取得部21は、基準隙間Sの幅Wと、リーン車両100の車幅基準点Rに対する路面に平行な方向での基準隙間Sの幅中心Cのずれ量Dと、を基準隙間情報として取得する。なお、
図3及び
図4では、車幅基準点Rが、リーン車両100の接地位置として定義されているが、車幅基準点Rは、例えば、リーン車両100の重心位置として定義されていてもよく、また、周囲環境検出装置11の取付位置として定義されていてもよい。
【0023】
具体的には、
図3に示されるように、リーン車両100が直立走行する状態においては、基準隙間Sの幅W、つまり、右側境界Brと左側境界Blとの間隔は、リーン車両100によって占領される路面幅、つまり、路面に平行な方向でのリーン車両100の最大車幅である実効車幅Woに、右側マージンMr及び左側マージンMlを加えた幅として導出される。また、路面に平行な方向において、車幅基準点Rと基準隙間Sの幅中心Cとの間にずれは生じない。実効車幅Woは、リーン車両100に固有の値として予め記憶されている。実効車幅Woに、リーン車両100の側方突出部101(例えば、ミラー101A、ペダル又はステップ101B、マフラー等)の寸法情報(位置情報、形状情報)が加味されているとよい。右側マージンMr及び左側マージンMlは、定数であってもよく、また、ライダー200によって手動で設定される変数であってもよく、また、取得部21によって自動で設定される変数であってもよい。取得部21は、右側マージンMr及び左側マージンMlを、リーン車両100の走行状態情報(例えば、リーン車両100に生じている車速、リーン車両100に生じている加速度等)に応じて変化させるとよい。右側マージンMr及び左側マージンMlは、同一の大きさであってもよく、また、互いに異なる大きさであってもよい。また、右側マージンMr及び左側マージンMlが加味されずに、基準隙間Sの幅Wが、実効車幅Woとして導出されてもよい。
【0024】
一方、
図4に示されるように、リーン車両100が傾き走行する状態においては、リーン車両100によって占領される路面幅、つまり、路面に平行な方向でのリーン車両100の最大車幅である実効車幅Woが、リーン車両100が直立走行する状態と比較して大きくなる。そのため、基準隙間Sの幅W、つまり、右側境界Brと左側境界Blとの間隔は、リーン車両100が直立走行する状態と比較して大きくなる。また、基準隙間Sの幅中心Cが、リーン車両100が直立走行する状態と比較してリーン車両100の傾き方向にずれる。そのため、路面に平行な方向において、車幅基準点Rと基準隙間Sの幅中心Cとの間にずれ量Dが生じる。取得部21は、実効車幅Wo及びずれ量Dを、走行姿勢情報、つまり、リーン車両100に生じている傾き度合いを知り得る情報に基づいて設定する。取得部21は、例えば、リーン車両100に生じているロール角の情報、リーン車両100に生じている操舵角の情報、リーン車両100に生じているヨーレートの情報、地図情報等に基づいて、リーン車両100に生じている傾き度合いを知り得る。その際、リーン車両100の側方突出部101(例えば、ミラー101A、ペダル又はステップ101B、マフラー等)の寸法情報(位置情報、形状情報)が加味されているとよい。取得部21は、実効車幅Wo及びずれ量Dを、リーン車両100の走行姿勢情報に応じて、連続的に変化させてもよく、また、断続的に変化させてもよい。リーン車両100の走行姿勢情報と、実効車幅Wo及びずれ量Dと、の関係が、テーブル化されて記憶されていてもよい。取得部21は、右側マージンMr及び左側マージンMlを、走行姿勢情報に応じて変化させてもよい。例えば、取得部21は、リーン車両100に生じている傾き度合いが大きい程、右側マージンMr及び左側マージンMlを大きくする。
【0025】
図5~
図9は、本発明の実施の形態に係るライダー支援システムの、傾き走行するリーン車両を後方視した状態での基準隙間情報の変形例を説明するための図である。
以上では、取得部21で取得される基準隙間情報が、リーン車両100に傾きが生じると、基準隙間Sの幅Wと、路面に平行な方向における車幅基準点Rと基準隙間Sの幅中心Cとの位置関係と、の両方が変化するものである場合を説明したが、
図5及び
図6に示されるように、取得部21で取得される基準隙間情報が、リーン車両100に傾きが生じると、それらの一方のみが変化するものであってもよい。つまり、
図5に示されるように、基準隙間情報が、リーン車両100に傾きが生じた際に、基準隙間Sの幅Wが変化せずに、車幅基準点Rと基準隙間Sの幅中心Cとの間にずれ量Dが生じるものであってもよい。また、
図6に示されるように、基準隙間情報が、リーン車両100に傾きが生じた際に、車幅基準点Rと基準隙間Sの幅中心Cとの間にずれ量Dが生じずに、基準隙間Sの幅Wが大きくなるものであってもよい。
【0026】
また、
図7に示されるように、基準隙間情報が、リーン車両100の搭乗者情報に基づいて取得されてもよい。つまり、取得部21が、路面に平行な方向でのリーン車両100の最大車幅に、路面に平行な方向での搭乗者(ライダー200及び同乗者の少なくとも一方)の頭部のリーン車両100からの突出量が加えられたものを、実効車幅Woとして導出してもよい。搭乗者情報は、搭乗者が標準的な体格であると見做した固定値であってもよく、また、ライダー200によって手動で設定される変数であってもよく、また、取得部21によって自動で設定される変数であってもよい。また、搭乗者情報に、ライダー200の着用物60又は同乗者の着用物の情報(形状情報、位置情報)が加味されていてもよい。
【0027】
また、
図8に示されるように、基準隙間情報が、リーン車両100の積載物情報に基づいて取得されてもよい。つまり、取得部21が、路面に平行な方向でのリーン車両100の最大車幅に、路面に平行な方向での積載物102(例えば、サイドケース、荷物等)のリーン車両100からの突出量が加えられたものを、実効車幅Woとして導出してもよい。積載物情報は、標準的な積載物102が積載されていると見做した固定値であってもよく、また、ライダー200によって手動で設定される変数であってもよく、また、取得部21によって自動で設定される変数であってもよい。
【0028】
また、
図9に示されるように、基準隙間情報が、基準隙間Sの幅Wが高さに応じて異なるものであってもよく、また、路面に平行な方向における車幅基準点Rと基準隙間Sの幅中心Cとの位置関係が高さに応じて異なるものであってもよい。基準隙間Sの幅W、及び、路面に平行な方向における車幅基準点Rと基準隙間Sの幅中心Cとの位置関係は、高さに応じて、連続的に変化していてもよく、また、断続的に変化していてもよい。
【0029】
実行部22は、取得部21で取得された基準隙間情報に基づいて、運転支援動作を実行する。
【0030】
一例として、実行部22は、運転支援動作として、リーン車両100のアダプティブクルーズコントロール動作を実行する。クルーズコントロール動作では、ライダー200によって設定された目標速度でリーン車両100が走行するように、制御装置20が制動装置30及び駆動装置40を制御する。一方で、アダプティブクルーズコントロール動作では、そのような制御に加えて、先行車、つまり追従対象車両との車間距離又は衝突回避性の維持が図られる。つまり、アダプティブクルーズコントロール動作では、追従対象車両が居ない場合には、ライダー200によって設定された目標速度でリーン車両100が走行するように、制御装置20が制動装置30及び駆動装置40を制御し、追従対象車両が居る場合には、その目標速度以下であって、且つ、先行車との車間距離又は衝突回避性の維持を目指す速度でリーン車両100が走行するように、制御装置20が制動装置30及び駆動装置40を制御する。実行部22は、そのような速度制御を行うに際して、追従対象車両を基準隙間情報に基づいて決定する。
【0031】
例えば、実行部22は、リーン車両100の走行姿勢情報に基づいてリーン車両100の将来の走行軌跡を推定し、その走行軌跡を挟んで2台の先行車が並走していて、且つ、その2台の先行車間の実際の隙間の幅が基準隙間情報における基準隙間Sの幅Wと比較して広いと判定される場合に、その2台の先行車を追従対象車両として決定しない。また、実行部22は、リーン車両100の走行姿勢情報に基づいてリーン車両100の将来の走行軌跡を推定し、その走行軌跡を挟んで2台の先行車が並走していて、且つ、その2台の先行車間の実際の隙間の幅が基準隙間情報における基準隙間Sの幅Wと比較して狭いと判定される場合に、その2台の先行車のうちのリーン車両100に近い車両を追従対象車両として決定する。その判定に際して、実際の隙間の位置情報と、基準隙間情報における基準隙間Sの位置情報(例えば、幅中心Cの位置、右側境界Brの位置、左側境界Blの位置等)と、が加味されるとよい。例えば、実行部22は、リーン車両100が推定された走行軌跡上を通って実際の隙間に到達するとの前提のもとで、その到達の時点における右側境界Br及び左側境界Blが実際の隙間の内側に位置するか否かを予測することで、追従対象車両を決定する。
【0032】
例えば、実行部22は、リーン車両100の走行姿勢情報に基づいてリーン車両100の将来の走行軌跡を推定し、その走行軌跡上に位置する先行車を特定し、その走行軌跡におけるリーン車両100とその先行車との間の領域の全体に亘って、走行軌跡上の各位置に車幅基準点Rが定義された各基準隙間Sの内側にその先行車と異なる他車両が存在していない場合に、その先行車を追従対象車両と決定する。
【0033】
一例として、実行部22は、リーン車両100の走行軌跡上に位置する実際の隙間の情報である実際隙間情報と、基準隙間情報と、に基づいて、リーン車両100によるその実際の隙間のすり抜け走行の可否又は安全性の判定を行い、その判定の結果に基づいて、運転支援動作を実行する。その実際の隙間は、障害物と車両との間に形成される隙間であってもよく、また、互いに離間する2つの障害物間に形成される隙間であってもよく、また、互いに離間する2つの車両間に形成される隙間であってもよい。障害物には、電柱、ガードレール、縁石、落下物等が含まれる。また、障害物又は車両に換えて、人又は動物によって形成される隙間が対象であってもよい。また、車両には、走行中の車両と、停止中の車両と、が含まれる。
【0034】
例えば、実行部22は、実際隙間情報が、実際の隙間の幅が基準隙間情報における基準隙間Sの幅Wと比較して狭いことを示す情報である場合に、制動装置30又は駆動装置40に制御信号を出力して、リーン車両100を自動で減速させる運転支援動作を実行する。その判定に際して、実際の隙間の位置情報と、基準隙間情報における基準隙間Sの位置情報(例えば、幅中心Cの位置、右側境界Brの位置、左側境界Blの位置等)と、が加味されるとよい。例えば、実行部22は、リーン車両100が推定された走行軌跡に沿って実際の隙間に到達するとの前提のもとで、その到達の時点における右側境界Br及び左側境界Blが実際の隙間の内側に位置するか否かを予測することで、リーン車両100による実際の隙間のすり抜け走行の可否又は安全性を判定する。
【0035】
例えば、実行部22は、実際隙間情報が、実際の隙間の幅が基準隙間情報における基準隙間Sの幅Wと比較して狭いことを示す情報である場合に、報知装置50に制御信号を出力して、リーン車両100のライダー200に警告を与える運転支援動作を実行する。その判定に際して、実際の隙間の位置情報と、基準隙間情報における基準隙間Sの位置情報(例えば、幅中心Cの位置、右側境界Brの位置、左側境界Blの位置等)と、が加味されるとよい。例えば、実行部22は、リーン車両100が推定された走行軌跡に沿って実際の隙間に到達するとの前提のもとで、その到達の時点における右側境界Br及び左側境界Blが実際の隙間の内側に位置するか否かを予測することで、リーン車両100による実際の隙間のすり抜け走行の可否又は安全性を判定する。なお、報知装置50は、ライダー200に加えて又は換えて、周辺を走行する他車両に警告を与えるものであってもよい。その警告は、リーン車両100又は着用物60の発音器(例えば、ホーン、スピーカー等)が制御されることで行われてもよく、また、リーン車両100又は着用物60の発光器(例えば、ヘッドライト、ウィンカー等)が制御されることで行われてもよく、また、リーン車両100からその他車両に無線信号が送信されることで行われてもよい。
【0036】
例えば、実行部22は、実際隙間情報が、実際の隙間の幅が基準隙間情報における基準隙間Sの幅Wと比較して狭いことを示す情報である場合に、リーン車両100で実行されているクルーズコントロール動作又はアダプティブクルーズコントロール動作を解除する運転支援動作を実行する。その判定に際して、実際の隙間の位置情報と、基準隙間情報における基準隙間Sの位置情報(例えば、幅中心Cの位置、右側境界Brの位置、左側境界Blの位置等)と、が加味されるとよい。例えば、実行部22は、リーン車両100が推定された走行軌跡に沿って実際の隙間に到達するとの前提のもとで、その到達の時点における右側境界Br及び左側境界Blが実際の隙間の内側に位置するか否かを予測することで、リーン車両100による実際の隙間のすり抜け走行の可否又は安全性を判定する。
【0037】
例えば、実行部22は、実際隙間情報が、実際の隙間の幅が基準隙間情報における基準隙間Sの幅Wと比較して狭いことを示す情報である場合に、リーン車両100で実行されているクルーズコントロール動作又はアダプティブクルーズコントロール動作における目標速度を強制的に下げる運転支援動作を実行する。その判定に際して、実際の隙間の位置情報と、基準隙間情報における基準隙間Sの位置情報(例えば、幅中心Cの位置、右側境界Brの位置、左側境界Blの位置等)と、が加味されるとよい。例えば、実行部22は、リーン車両100が推定された走行軌跡に沿って実際の隙間に到達するとの前提のもとで、その到達の時点における右側境界Br及び左側境界Blが実際の隙間の内側に位置するか否かを予測することで、リーン車両100による実際の隙間のすり抜け走行の可否又は安全性を判定する。
【0038】
<ライダー支援システムの動作>
実施の形態に係るライダー支援システムの動作について説明する。
図10は、本発明の実施の形態に係るライダー支援システムの、制御装置の動作フローの一例を示す図である。なお、ステップS101における各処理が別々のステップで実行されてもよく、また、他のステップが適宜加えられていてもよい。
【0039】
制御装置20は、リーン車両100の走行中において、
図10に示される動作フローを繰り返し実行する。
【0040】
(取得ステップ)
ステップS101において、取得部21は、リーン車両100に搭載された周囲環境検出装置11の出力に基づいて、若しくは、他車両又はインフラストラクチャ設備との無線通信に基づいて、リーン車両100の周囲環境情報を取得する。また、取得部21は、リーン車両100の走行姿勢情報に基づいて、リーン車両100のすり抜け走行の可否又は安全性の判定基準となる基準隙間Sの情報である基準隙間情報を取得する。
【0041】
(実行ステップ)
続いて、ステップS102において、実行部22は、周囲環境情報及び基準隙間情報に基づいて、リーン車両100のライダー200の運転支援動作を実行する。
【0042】
<ライダー支援システムの効果>
実施の形態に係るライダー支援システムの効果について説明する。
ライダー支援システム1では、取得部21が、リーン車両100の走行姿勢情報に基づいて、リーン車両100のすり抜け走行の可否又は安全性の判定基準となる基準隙間Sの情報である基準隙間情報を取得し、実行部22が、基準隙間情報に基づいて、運転支援動作を実行する。そのため、リーン車両100の走行によって占領される空間の走行姿勢に応じた変化が加味された運転支援動作を実行することが可能となって、リーン車両100のライダー200による運転を適切に支援することが可能となる。
【0043】
好ましくは、取得部21が、リーン車両100の走行姿勢情報に応じて、基準隙間情報における基準隙間Sの幅Wを変化させる。そのように構成されることで、リーン車両100の走行によって占領される空間の走行姿勢に応じた変化を適切に運転支援動作に反映することが可能となる。
【0044】
好ましくは、取得部21が、リーン車両100の走行姿勢情報に応じて、基準隙間情報における基準隙間Sの幅中心Cを変化させる。そのように構成されることで、リーン車両100の走行によって占領される空間の走行姿勢に応じた変化を適切に運転支援動作に反映することが可能となる。
【0045】
好ましくは、取得部21が、基準隙間情報を、リーン車両100の側方突出部101の寸法情報に基づいて取得する。そのように構成されることで、リーン車両100の走行によって占領される空間の走行姿勢に応じた変化を適切に運転支援動作に反映することが可能となる。
【0046】
好ましくは、取得部21が、基準隙間情報を、リーン車両100の搭乗者情報に基づいて取得する。そのように構成されることで、リーン車両100の走行によって占領される空間の走行姿勢に応じた変化を適切に運転支援動作に反映することが可能となる。
【0047】
好ましくは、取得部21が、基準隙間情報を、リーン車両100の積載物情報に基づいて取得する。そのように構成されることで、リーン車両100の走行によって占領される空間の走行姿勢に応じた変化を適切に運転支援動作に反映することが可能となる。
【0048】
好ましくは、基準隙間情報は、高さに応じて基準隙間Sの幅Wが異なる情報である。そのように構成されることで、リーン車両100の走行によって占領される空間の走行姿勢に応じた変化を適切に運転支援動作に反映することが可能となる。
【0049】
好ましくは、基準隙間情報は、高さに応じて基準隙間Sの幅中心Cが異なる情報である。そのように構成されることで、リーン車両100の走行によって占領される空間の走行姿勢に応じた変化を適切に運転支援動作に反映することが可能となる。
【0050】
好ましくは、運転支援動作は、リーン車両100のアダプティブクルーズコントロール動作であり、実行部22が、基準隙間情報に基づいて、アダプティブクルーズコントロール動作における速度制御での追従対象車両を決定する。そのように構成されることで、アダプティブクルーズコントロール動作における追従対象車両の決定が適切化されて、ライダー200による運転を適切に支援することが可能となる。
【0051】
好ましくは、実行部22が、リーン車両100の走行軌跡上に位置する実際の隙間の情報である実際隙間情報と、基準隙間情報と、に基づいて、リーン車両100によるその実際の隙間のすり抜け走行の可否又は安全性の判定を行い、その判定の結果に基づいて、運転支援動作を実行する。そのように構成されることで、実際の隙間のすり抜け走行の可否又は安全性をより適切に判定することが可能となって、ライダー200による運転を適切に支援することが可能となる。
【0052】
本発明の実施の形態は、以上の説明に限定されない。つまり、本発明には、以上で説明された実施の形態に対して変形を施した形態が含まれる。また、本発明には、以上で説明された実施の形態の一部のみが実施される形態、又は、その一部同士が組み合わされた形態が含まれる。
【0053】
例えば、以上では、基準隙間情報が、リーン車両100が直立走行から傾き走行に変化すると、基準隙間Sの右側境界Br及び左側境界Blの両方がずれるものである場合を説明しているが、基準隙間情報が、リーン車両100が直立走行から傾き走行に変化すると、基準隙間Sの右側境界Br及び左側境界Blの一方のみがずれるものであってもよい。また、基準隙間情報が、リーン車両100が傾き走行する際に、基準隙間Sの右側境界Br及び左側境界Blのうちのリーン車両100の傾き方向と反対側にある境界がリーン車両100に近づきすぎないようにずれ量が制限されたものであってもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 ライダー支援システム、11 周囲環境検出装置、12 通信装置、13 走行状態検出装置、20 制御装置、21 取得部、22 実行部、30 制動装置、40 駆動装置、50 報知装置、60 着用物、100 リーン車両、101 側方突出部、102 積載物、200 ライダー、S 基準隙間、Br 右側境界、Bl 左側境界、W 基準隙間の幅、Wo 実効車幅、Mr 右側マージン、Ml 左側マージン、C 基準隙間の幅中心、R 車幅基準点、D ずれ量。