(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-25
(45)【発行日】2024-10-03
(54)【発明の名称】衣類処理装置
(51)【国際特許分類】
D06F 58/24 20060101AFI20240926BHJP
D06F 39/04 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
D06F58/24
D06F39/04 Z
(21)【出願番号】P 2022580855
(86)(22)【出願日】2021-06-18
(86)【国際出願番号】 KR2021007683
(87)【国際公開番号】W WO2022005069
(87)【国際公開日】2022-01-06
【審査請求日】2022-12-27
(31)【優先権主張番号】10-2020-0082116
(32)【優先日】2020-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0083069
(32)【優先日】2020-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0144466
(32)【優先日】2020-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0040696
(32)【優先日】2021-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0040697
(32)【優先日】2021-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0040703
(32)【優先日】2021-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】502032105
【氏名又は名称】エルジー エレクトロニクス インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】LG ELECTRONICS INC.
【住所又は居所原語表記】128, Yeoui-daero, Yeongdeungpo-gu, 07336 Seoul,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100109841
【氏名又は名称】堅田 健史
(74)【代理人】
【識別番号】230112025
【氏名又は名称】小林 英了
(72)【発明者】
【氏名】ヨン,ホ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ド ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】カン,ドク ウォン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジョン コン
(72)【発明者】
【氏名】リ,ジュン ヘ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジュン ウォン
【審査官】大光 太朗
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第03241944(EP,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02241663(EP,A1)
【文献】特開2013-158650(JP,A)
【文献】特開2011-010710(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0083896(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 58/24
D06F 39/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣類処理装置であって、
洗濯水を受けるように構成される槽と;
前記槽内に位置され、前記槽に対して回転するように構成されるドラムと;
前記槽
の上面に位置され、吸気ポートと空気流入ポートとを有するダクトと;
前記ダクトに位置され、前記吸気ポートと前記空気流入ポートとの間に空気流をもたらすように構成された送風ファンと;
前記ダクト内に位置され、冷却水を受けるように構成され、前記ダクトの内部に沿って移送される空気を冷却するように構成された熱交換器と;
前記ダクト内に位置され、前記ダクトの内部に沿って移送される前記空気を加熱するように構成されるヒータと;を備えてなる、衣類処理装置。
【請求項2】
前記熱交換器が前記送風ファンと前記ヒータとの間に位置される、請求項1に記載の衣類処理装置。
【請求項3】
前記送風ファンは、前記吸気ポートから前記熱交換器及び前記ヒータを介して、前記空気流入ポートに向かう方向に前記空気流を順次にもたらすように構成される、請求項2に記載の衣類処理装置。
【請求項4】
前記熱交換器は、前記ヒータから2.5cm~7cmの第1の距離を隔てて離間される、請求項2に記載の衣類処理装置。
【請求項5】
前記熱交換器と前記ヒータとの間の前記第1の距離は、前記送風ファンと前記熱交換器との間の第2の距離よりも小さい、請求項4に記載の衣類処理装置。
【請求項6】
前記熱交換器は、
ループコイルの形状を有し、冷却水が通過できるように構成されるパイプと、
前記冷却水を前記パイプに導入するように構成される給水ポートと、
前記冷却水を前記パイプから排出するように構成される排水ポートと、を備える、請求項1に記載の衣類処理装置。
【請求項7】
前記パイプの少なくとも一部は、ステンレス鋼、銅合金、アルミニウム合金、又は、ニッケル合金のうちの少なくとも1つを備える材料から形成される、請求項6に記載の衣類処理装置。
【請求項8】
前記給水ポートは、平面視において、前記吸気ポートよりも前記空気流入ポートの近くに配置され、
前記排水ポートは、前記平面視において、前記空気流入ポートよりも前記吸気ポートの近くに配置される、請求項6に記載の衣類処理装置。
【請求項9】
前記給水ポート及び前記排水ポートは、前記パイプに対して同じ方向に向けられる、請求項8に記載の衣類処理装置。
【請求項10】
前記パイプが中心軸を有し、この中心軸の周りで、前記パイプが前記空気流の方向に沿って螺旋状に延在する、請求項6に記載の衣類処理装置。
【請求項11】
前記ヒータは、前記空気流の方向に沿ってジグザグ形状に延在するラジエータを備える、請求項10に記載の衣類処理装置。
【請求項12】
前記ダクトは、前記熱交換器が配置される前記ダクトの部分の側面に位置される少なくとも1つのガスケットを備え、
前記給水ポート及び前記排水ポートのそれぞれは、前記少なくとも1つのガスケットを貫通して延在する、請求項6に記載の衣類処理装置。
【請求項13】
前記給水ポートの最上端部及び最下端部の何れか一方は、前記排水ポートの最上端部と最下端部との間の高さに位置される、請求項12に記載の衣類処理装置。
【請求項14】
前記排水ポートは、前記槽に流体接続され、それにより、前記排水ポートから排出される前記冷却水を前記槽内へ導入する、請求項6に記載の衣類処理装置。
【請求項15】
前記ドラムの表面は、前記冷却水が前記槽内に導入されることに基づいて、凝縮面として機能するように構成される、請求項14に記載の衣類処理装置。
【請求項16】
前記冷却水は、前記槽の後面に沿って流下するように構成される、請求項14に記載の衣類処理装置。
【請求項17】
前記ダクトは、
前記熱交換器の底面を支持する熱交換器ベースと、
前記熱交換器の上面を覆う熱交換器カバーと、を備える、請求項1に記載の衣類処理装置。
【請求項18】
前記熱交換器は、
前記ダクトの外部に露出される給水ポートであって、前記冷却水を前記給水ポートに導入するように構成される、給水ポートと、
前記ダクトの外部に露出される排水ポートであって、前記冷却水を、前記排水ポートを通じて排出するように構成される、排水ポートと、を備え、
前記給水ポート及び前記排水ポートは、前記熱交換器ベース及び前記熱交換器カバーのうちの少なくとも一方において同じ方向に向けられる、請求項17に記載の衣類処理装置。
【請求項19】
前記ダクトは、前記給水ポート及び前記排水ポートのそれぞれが前記ダクトの外部に露出される前記ダクトの少なくとも1つの部分に位置される少なくとも1つのシール部分を更に備える、請求項18に記載の衣類処理装置。
【請求項20】
前記熱交換器ベースは、凝縮水又は洗浄水を洗浄水排出穴に導くように構成される傾斜面を備える、請求項17に記載の衣類処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願の相互参照〕
本出願は、2020年7月6日に出願された韓国特許出願第10-2020-0083069号、2020年7月3日に出願された韓国特許出願第10-2020-0082116号、2020年11月2日に出願された韓国特許出願第10-2020-0144466号、2021年3月29日に出願された韓国特許出願第10-2021-0040696号、2021年3月29日に出願された韓国特許出願第10-2021-0040697号、及び、2021年3月29日に出願された韓国特許出願第10-2021-0040703号に対する優先権の利益を主張し、これらの全開示は参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
本開示は、衣類処理装置に関し、特に、洗濯物のための乾燥機能を備える衣類処理装置に関する。
【背景技術】
【0003】
一般に、衣類処理装置は、洗濯物に物理的及び化学的な作用を加えることによって洗濯物を処理する。「衣類処理装置」という用語は、洗濯物から汚染物質を除去する洗濯装置、洗濯物を収容する洗濯槽を高速で回転させることによって洗濯物を脱水する脱水装置、洗濯槽内に高温空気を当てることによって濡れた洗濯物を乾燥させる乾燥装置などを総称するために使用され得る。
【0004】
衣類処理装置は、洗濯機能、脱水機能、及び、乾燥機能のうちの1つを果たす別個の装置に限定されない。幾つかの例において、衣類処理装置は、1つの衣類処理装置内で前述の機能の一部又は全部を果たすように構成されてもよい。
【0005】
一部の衣類処理装置は、洗濯コース、濯ぎコース、脱水コース、及び、乾燥コースを、これらのコースの前、間、又は、最中に、ユーザの操作を伴うことなく、順番に自動的に実行することができる。
【0006】
乾燥機能を有する衣類処理装置は、洗濯物を乾燥させるために、槽及びドラム内に高温空気及び乾燥空気を供給するように構成される。供給された高温空気及び乾燥空気は、洗濯物から水分を吸収し、洗濯物を乾燥させることができる。
【0007】
この場合、衣類処理装置は、水分を吸収して比較的低温且つ高湿度の状態になった空気を槽から排出してもよい。排出された空気は、水分が排出された空気から除去されて加熱された後に槽内に再供給されるように循環されてもよい。
【0008】
従って、乾燥機能を備える衣類処理装置は、空気から水分を除去する形態、空気を加熱する形態、及び、空気を循環させる形態を採用する。
【0009】
幾つかの例において、乾燥機能を備える衣類処理装置は、乾燥装置と、それを備える洗濯乾燥機とを備える。
【0010】
具体的には、このような衣類処理装置は、とりわけ、(i)外気が導入される入口を備えるキャビネットと、(ii)キャビネットの内部に配置されて乾燥されるべき対象物を収容するドラムと、(iii)ドラムの内部から導入される空気中の水分を凝縮するために設けられる凝縮ダクトと、(iv)凝縮ダクトから導入される空気の一部を排出するために凝縮ダクトと連通する出口ポートと、(v)凝縮ダクトから導入される空気及び入口を通じて導入される外気の一部を加熱して加熱された空気をドラムの内部に供給するために凝縮ダクト、入口、及び、ドラムに接続される乾燥ダクトとを備えることができる。
【0011】
そのような衣類処理装置は、槽から排出される空気中の水分を除去するための凝縮ダクトを備えることができ、凝縮ダクトは槽の後面に配置される。この構造では、凝縮ダクトのための配置スペースを確保するために、キャビネット内の限られたスペースで槽のサイズを小さくする必要がある。
【0012】
一方、大容量の衣類処理装置を好む消費者のニーズを満たすためには、槽のサイズは比較的大きいことが望ましい。しかしながら、前述した衣類処理装置は、槽の大型化の観点から、このようなニーズを満たさない。
【0013】
他の例では、衣類処理装置が乾燥機を備える。
【0014】
具体的には、このような衣類処理装置は、(i)本体と、(ii)乾燥されるべき対象物を収容するように本体の内部に設けられる乾燥室と、(iii)外部熱源から発生される流体を本体内に供給するように構成される供給ユニットと、(iv)供給ユニットに接続されて供給ユニットから供給される流体との熱交換によって空気を加熱するように構成される熱交換ユニットと、(v)加熱された空気を乾燥室に導くように構成される乾燥ダクトと、(vi)熱交換ユニットの前面に設置されるヒータと、(vii)乾燥室及び乾燥ダクトの内部の空気を循環させるように構成される送風装置とを備えることができる。
【0015】
そのような衣類処理装置において、送風装置、熱交換ユニット、及び、ヒータは、乾燥室の上面に配置された1つの乾燥ダクト内に全て設置される場合がある。ヒータに加えて、乾燥ダクト内に設置された熱交換ユニットは、外部熱源を使用するため、空気を更に加熱する場合がある。
【0016】
また、上記衣類処理装置は、乾燥ダクト内に設置された循環空気中の水分を凝縮させるための構成要素を有さない。空気中の水分は、乾燥室の背面に配置された凝縮ダクト及び凝縮器を通じて循環される際に凝縮される。
【0017】
そのため、前述の衣類処理装置は、水分を凝縮させるための凝縮ダクトを配置するためのスペースを別個に確保する必要がある。
【0018】
前述したように、洗濯物のための乾燥機能を備える衣類処理装置は、槽などの主要な構成要素の仕様を制限することなく効率的に乾燥機能を果たすために対処が必要な幾つかの欠点を有する。また、そのような衣類処理装置の欠点に対処して、価格競争力を確保し、限られたスペースに熱交換器などの主要な構成要素を効率的に設置できるようにすることが望まれる。しかしながら、前述の衣類処理装置は、前述の欠点に対処しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本開示は、乾燥機能を備える衣類処理装置と関連付けられる前述の欠点に対処することに向けられる。
【課題を解決するための手段】
【0020】
具体的には、本開示は、乾燥機能を備える衣類処理装置であって、衣類処理装置に使用される、空気から水分を除去するための構成要素、空気を加熱するための構成要素、及び、空気を循環させるための構成要素の配置を最適化することにより、より大きな容量を実現することができる、衣類処理装置を提供することに向けられる。
【0021】
また、本開示は、乾燥機能を備える衣類処理装置であって、熱交換構造を更に簡素化しつつ、空気中の水分を円滑に凝縮させることができるようにすることによって循環する空気から水分を効果的に除去することができる、衣類処理装置を提供することに向けられる。
【0022】
また、本開示は、乾燥機能を備える衣類処理装置であって、空気から水分を除去するためのプロセスと、空気を加熱するプロセスとを最適な順序で行うことができるようにすることによって洗濯物乾燥効率をより向上させることができる、衣類処理装置を提供することに向けられる。
【0023】
また、本開示は、乾燥機能を備える衣類処理装置であって、洗濯物を乾燥させるプロセス中に生成される綿ほこりなどの異物が衣類処理装置の主要な構成要素に対して付着することを最小限に抑えることによって、洗濯乾燥機能を低下させることなく円滑に実施することができる、衣類処理装置を提供することに向けられる。
【0024】
本開示は上記したものに限定されるものではなく、上記していない他の態様についても本開示の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば明確に理解することができる。
【0025】
本開示の特定の実施は、洗濯水を受けるように構成される槽と、槽内に位置されて槽に対して回転するように構成されるドラムと、槽に位置されて吸気ポートと空気流入ポートとを有するダクトと、ダクトに位置されて吸気ポートと空気流入ポートとの間に気流をもたらすように構成される送風ファンと、ダクト内に位置されて冷却水を受けるように構成される熱交換器であって、ダクトの内部に沿って移送される空気を冷却するように構成される熱交換器と、ダクト内に位置されてダクトの内部に沿って移送される空気を加熱するように構成されるヒータとを備える衣類処理装置を提供する。
【0026】
幾つかの実施において、衣類処理装置は、任意選択的に、以下の特徴のうちの1つ以上を備えることができる。熱交換器は、送風ファンとヒータとの間に位置されてもよい。送風ファンは、吸気ポートから熱交換器及びヒータを介して空気流入ポートに向かう方向の空気流を順次にもたらすように構成されてもよい。熱交換器は、ヒータから2.5cm~7cmの第1の距離を隔てて離間されてもよい。熱交換器とヒータとの間の第1の距離は、送風ファンと熱交換器との間の第2の距離より小さくてもよい。熱交換器は、ループコイルの形状を有して冷却水が通過できるように構成されるパイプと、冷却水をパイプに導入するように構成される給水ポートと、冷却水をパイプから排出するように構成される排水ポートとを備えてもよい。パイプの少なくとも一部は、ステンレス鋼、銅合金、アルミニウム合金、又は、ニッケル合金のうちの少なくとも1つを備える材料から形成されてもよい。給水ポートは、平面視において、吸気ポートよりも空気流入ポートの近くに配置されてもよい。排水ポートは、平面視において、空気流入ポートよりも吸気ポートの近くに配置されてもよい。給水ポート及び排水ポートは、パイプに対して同じ方向に向けられてもよい。パイプが中心軸を有してもよく、この中心軸の周りでパイプが空気流の方向に沿って螺旋状に延在する。ヒータは、空気流の方向に沿ってジグザグ状に延在するラジエータを備えてもよい。ダクトは、熱交換器が配置されるダクトの部分の側面に位置される少なくとも1つのガスケットを備えてもよい。給水ポート及び排水ポートのそれぞれは、少なくとも1つのガスケットを貫通して延在してもよい。給水ポートの最上端部及び最下端部の何れか一方は、排水ポートの最上端部と最下端部との間の高さに位置されてもよい。排水ポートは、槽に流体接続され、それにより、排水ポートから排出される冷却水を槽に導入することができる。ドラムの表面は、冷却水が槽内に導入されることに基づいて凝縮面として機能するように構成されてもよい。冷却水は、槽の後面に沿って流下するように構成されてもよい。ダクトは、熱交換器の底面を支持する熱交換器ベースと、熱交換器の上面を覆う熱交換器カバーとを備えてもよい。熱交換器は、ダクトの外部に露出される給水ポートであって、冷却水を給水ポートに導入するように構成される給水ポートと、ダクトの外部に露出される排水ポートであって、排水ポートを通じて冷却水を排出するように構成される排水ポートとを備えてもよい。給水ポート及び排水ポートは、熱交換器ベース又は熱交換器カバーの少なくとも一方において同じ方向に向けられてもよい。ダクトは、給水ポート及び排水ポートのそれぞれがダクトの外部に露出されるダクトの少なくとも1つの部分に位置される少なくとも1つのシール部分を備えてもよい。熱交換器ベースは、凝縮水又は洗浄水を洗浄水排出穴に導くように構成される傾斜面を備えてもよい。
【0027】
以上を考慮して、本開示の一態様に係る衣類処理装置は、槽に設置されるダクトアセンブリの構造を最適化して槽から排出される空気を導き槽内に再導入するように構成される。具体的には、送風ファン及びヒータに加えて、空気を冷却するように熱交換を行うべく構成される水冷熱交換器も槽に設置されたダクトの内部に設置され、それにより、空気中の水分を凝縮させるための別個の空間が不要である。
【0028】
また、本開示の一態様に係る衣類処理装置は、空気中の水分を凝縮するように構成される凝縮器を更に簡素化するように構成される。具体的には、熱交換構造を更に簡素化するために、供給された冷却水を介して空気と熱を交換するように構成される水冷熱交換器がダクトの内部に配置される。
【0029】
また、本開示の一態様に係る衣類処理装置は、洗濯物を乾燥させるために循環される空気をより効率的に凝縮加熱するように構成される。具体的には、まず最初に、熱交換器において、送風ファンによってダクトの内部に沿って移送される空気から水分が除去され、その後、空気は、高温乾燥状態で槽内に再導入されるようにヒータによって加熱される。
【0030】
また、本開示の一態様に係る衣類処理装置では、熱交換器とヒータとが互いに離間されるため、ヒータから発せられる熱が熱交換器の機能に影響を及ぼすことを抑制できる。
【0031】
また、本開示の一態様に係る衣類処理装置では、送風ファンとヒータとが互いに離間され、この離間空間内に熱交換器が配置されるため、ヒータから発せられる熱が送風ファンやモータ等の射出成形製品を損傷させることを抑制できる。
【0032】
また、本開示の一態様に係る衣類処理装置では、熱交換器に冷却水を供給するための別個の構成要素を伴うことなく一部の洗濯水を冷却水として用いることができる。
【0033】
また、本開示の一態様に係る衣類処理装置では、冷却水が、ループコイル形状を有するパイプ内に流入することができ、パイプの外部の空気と熱を交換することができる。
【0034】
また、本開示の一態様に係る衣類処理装置では、冷却水が、耐食性材料から形成されるパイプ内に流入することができ、パイプの外部の空気と熱を交換することができる。
【0035】
また、本開示の一態様に係る衣類処理装置では、冷却水が導入される熱交換部が、ダクト内の空気の移動経路に対して、冷却水が排出される熱交換部の背後に配置されてもよい。
【0036】
また、本開示の一態様に係る衣類処理装置では、ダクトの外部に露出される熱交換器の部分が、ダクトの一部に配置されるガスケットによって支持されてもよい。
【0037】
また、本開示の一態様に係る衣類処理装置では、ダクトの外部に露出する熱交換器の部分が複数存在する場合、対応する部分は、同じ高さに配置されていてもよく又は部分的に重なり合う高さに配置されてもよい。
【0038】
また、本開示の一態様に係る衣類処理装置では、熱交換器から排出される冷却水が別個の排出構造を伴うことなく槽内に注入されて処理されてもよい。
【0039】
また、本開示の一態様に係る衣類処理装置では、冷却水を槽内に注入することによってドラムの表面上の水分を凝縮させるために熱交換器から排出される冷却水が使用されてもよい。
【0040】
また、本開示の一態様に係る衣類処理装置では、槽から排出される空気中の異物を収集することによってダクト内への異物の導入を最小限に抑えることができる。
【0041】
また、本開示の一態様に係る衣類処理装置では、空気中の異物を収集するフィルタを洗浄することにより、フィルタ自体における異物の蓄積を抑制することができる。
【0042】
また、本開示の一態様に係る衣類処理装置では、フィルタクリーナにフィルタ洗浄水を供給するための別個の構成要素を伴うことなく冷却水の一部をフィルタ洗浄水として用いてもよい。
【0043】
本開示の態様は、前述の態様に限定されず、以下の説明から、前述しない他の態様が、本開示の属する技術の分野における通常の知識を有する者により明確に理解され得る。
【0044】
以下、本開示に係る衣類処理装置の効果について説明する。
【0045】
本開示の実施形態のうちの少なくとも1つによれば、送風ファン及びヒータに加えて、熱を交換して空気を冷却するように構成される水冷熱交換器も、空気中の水分を凝縮させるための別個の空間を必要とせずに、槽に設置されるダクトの内部に設置される。従って、大容量の衣類処理装置の実装に関連する制約を減らすことができる。
【0046】
また、本開示の実施形態の少なくとも1つによれば、供給された冷却水を用いて空気と熱を交換する水冷熱交換器をダクト内に配置することにより、熱交換構造が更に簡素化される。従って、空気中の水分凝縮のための構成要素も低減しつつ円滑に水分を除去することができる。
【0047】
また、本開示の実施形態の少なくとも1つによれば、まず、送風ファンを介してダクトの内部に沿って移送される空気から熱交換器により水分が最初に除去された後、空気がヒータで加熱される。従って、加熱された空気が再び冷却される状況を防止することによって洗濯物における乾燥効率を更に向上させることができる。
【0048】
また、本開示の実施形態の少なくとも1つによれば、熱交換器とヒータとが互いに離間され、ヒータから発せられる熱が熱交換器の機能に影響を及ぼさない。従って、熱交換器自体の温度上昇に起因してさもなければ低下する熱交換器の信頼性を確保することができる。
【0049】
また、本開示の実施形態の少なくとも1つによれば、送風ファンとヒータとが互いに離間され、熱交換器がこの離間空間内に配置される。従って、ヒータからの発せられる熱によって送風ファンやモータ等の射出成形製品が損傷することがなく、これにより、送風ファンの機能低下に起因する空気循環の乱れを抑制することができる。
【0050】
更に、本開示の実施形態の少なくとも1つによれば、冷却水を熱交換器に供給するための別個の構成要素を伴うことなく、洗濯水の一部が冷却水として使用される。従って、熱交換器の構造を更に簡素化することができ、それにより、熱交換器の配置の自由度を高めることができる。
【0051】
また、本開示の実施形態の少なくとも1つによれば、冷却水が、ループコイル形状のパイプに流入し、パイプの外部の空気と熱を交換する。従って、ダクト内の熱交換器により占められる面積に対する熱交換効率を向上させることができる。
【0052】
また、本開示の実施形態の少なくとも1つによれば、冷却水が、耐食性材料から形成されるパイプ内に流入し、パイプの外部の空気と熱を交換する。従って、熱交換器の腐食等に起因する衣類処理装置の衛生上の問題を抑制することができる。
【0053】
また、本開示の実施形態の少なくとも1つによれば、冷却水が導入される熱交換器の部分は、ダクト内の空気の移動経路に対して、冷却水が排出される熱交換器の部分の背後に配置される。従って、温度が最も低い冷却水を用いて空気流路を最後部まで冷却することにより熱交換器の効率を高めることができる。
【0054】
また、本開示の実施形態の少なくとも1つによれば、ダクトの外部に露出する熱交換器の部分は、ダクトの一部に配置されるガスケットによって支持される。従って、ダクトの内部と外部との間の気密性を維持しつつ冷却水を円滑に循環させることができる。
【0055】
また、本開示の実施形態の少なくとも1つによれば、ダクトの外部に露出される熱交換器の部分が複数存在する場合、対応する部分は、同じ高さに配置されてもよく又は部分的に重なり合う高さに配置されてもよい。従って、熱交換器とダクトとをより容易に組み立てることができる。
【0056】
加えて、本開示の実施形態の少なくとも1つによれば、熱交換器から排出される冷却水は、別個の排出構造を伴うことなく槽内に注入されて処理される。従って、熱交換器の構造を更に簡素化することができ、それにより、熱交換器の配置の自由度を高めることができる。
【0057】
更に、本開示の実施形態の少なくとも1つによれば、熱交換器から排出される冷却水は、槽の内部に注入され、ドラムの表面上の水分を凝縮するために使用される。従って、ダクト内で行われる水分凝縮に加えて、空気中の水分を更に除去することができる。
【0058】
加えて、本開示の実施形態の少なくとも1つによれば、ダクト内への異物の流入を最小限に抑えるように、槽から排出される空気中の異物が収集される。従って、ダクト内の主要な構成要素に対する異物の付着に起因して洗濯乾燥機能が低下することを抑制できる。
【0059】
また、本開示の実施形態の少なくとも1つによれば、フィルタ自体に異物が蓄積することを抑制するために、空気中の異物を収集するフィルタが洗浄される。従って、円滑な空気循環を可能にしつつ、異物の収集効率を向上させることができる。
【0060】
更に、本開示の実施形態の少なくとも1つによれば、冷却水の一部は、フィルタクリーナにフィルタ洗浄水を供給するための別個の構成要素を伴うことなく、フィルタ洗浄水として使用される。従って、フィルタクリーナの構造をより簡素化することができ、それにより、フィルタクリーナの設置スペースを最小限に抑えることができる。
【0061】
本開示を例示する目的で、図面には典型的な実施形態が示されるが、本開示の思想から逸脱することなく、特許請求の範囲の均等物の領域内及び範囲内で様々な修正及び構造的変更を行うことができるため、本開示は、示された詳細に限定されることを意図するものではないことが理解される。異なる図面における同じ参照番号又は記号の使用は、類似又は同一の項目を示す。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【
図1】本開示の実施形態に係る衣類処理装置を示す斜視図である。
【
図3】衣類処理装置の槽内に設置されるダクトアセンブリの一例を示す斜視図である。
【
図4】衣類処理装置におけるダクトアセンブリの一例を示す分解斜視図である。
【
図5】衣類処理装置におけるダクトアセンブリの内部を示す斜視図である。
【
図6】衣類処理装置におけるダクトアセンブリの内部を示す平面図である。
【
図7】衣類処理装置における凝縮器の一例を示す斜視図である。
【
図8】衣類処理装置における凝縮器の一例を示す正面図である。
【
図9】衣類処理装置における凝縮器の一例を示す側面図である。
【
図10】衣類処理装置における循環流路部に凝縮器が設置されることを示す図である。
【
図11】衣類処理装置における槽の一例の内部を示す図である。
【
図12】衣類処理装置におけるフィルタクリーナの一例を示す図である。
【
図13】衣類処理装置における第1の典型的な熱交換器カバーの一例の斜視図である。
【
図14】カバー天板を伴わない第1の典型的な熱交換器カバーの上面図である。
【
図15】衣類処理装置における第1の典型的な熱交換器カバーの底面図である。
【
図16】衣類処理装置における第1の典型的な熱交換器カバーの側面図である。
【
図17】衣類処理装置における第2の典型的な熱交換器カバーの斜視図である。
【
図18】カバー天板を伴わない第2の典型的な熱交換器カバーの上面図である。
【
図19】衣類処理装置における第3の典型的な熱交換器カバーの斜視図である。
【
図20】カバー天板を伴わない第3の典型的な熱交換器カバーの上面図である。
【
図21】衣類処理装置における送風ファンベース、熱交換器ベース、及び、ヒータベースの斜視図である。
【
図22】衣類処理装置における送風ファンベース、熱交換器ベース、及び、ヒータベースの第1の側面図である。
【
図23】衣類処理装置における送風ファンベース、熱交換器ベース、及び、ヒータベースの第2の側面図である。
【
図24】衣類処理装置における送風ファンベース、熱交換器ベース、及び、ヒータベースの上面図である。
【
図26】衣類処理装置における熱交換器とヒータとの間の離間空間に係る凝縮効率の一例を示す。
【
図27】衣類処理装置における熱交換器ベースの一例を示す断面図である。
【
図28】衣類処理装置における熱交換器ベースの斜視図である。
【
図29】パイプを伴わない熱交換器ベースの斜視図である。
【
図30】本開示の実施形態に係る衣類処理装置における冷却水、洗浄水、及び、凝縮水の給排経路を概略的に示す。
【
図31】本開示の実施形態に係る衣類処理装置におけるディスペンサ及びハウストラップを示す。
【
図32】衣類処理装置のサイクルを実行するためのアルゴリズムの一例の図である。
【
図33】本開示の一実施形態に係る衣類処理装置の槽を示す。
【
図34】衣類処理装置で行われる熱交換の一例を概略的に示す。
【
図35】同衣類処理装置の必要熱交換量及び熱交換長さを示す図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0063】
以下、添付図面を参照しながら、本開示の好ましい実施形態について詳細に説明する。しかしながら、以下の説明では、本開示の要旨を明確にするために、公知の機能又は構成の説明を省略する。同様の参照番号は、本明細書全体を通して同様の要素を示す。
【0064】
図1は、本開示の実施形態に係る衣類処理装置を示す斜視図である。
図2は、本開示の一実施形態に係る衣類処理装置を示す分解斜視図である。
【0065】
図1及び
図2に示すように、本開示の一実施形態に係る衣類処理装置1000は、外装を構成するキャビネット20と、キャビネット20の内部に設置され洗濯水を収容する槽100と、槽100の内部に回転可能に設置され洗濯物を収容するドラム200とを備える。
【0066】
キャビネット20の前部は、洗濯物がドラム200内に投入される洗濯物入口を画定する。洗濯物入口は、キャビネット20の前部に設置された扉30によって開閉可能である。
【0067】
槽100は、前側及び後側を形成する前槽101及び後槽102と、後槽102の後壁を形成する槽背面103とを備える。
【0068】
後槽102は、その後側に開口を有する。開口には、可撓性部材である後部ガスケット104が結合される。槽背面103は、後部ガスケット104の内側で後部ガスケット104に径方向で接続される。回転シャフト206(以下で更に説明する)が槽背面103に挿通される。
【0069】
後部ガスケット104は、槽背面103及び後槽102のそれぞれにシール状態で接続されて、槽100内の洗濯水が漏れるのを制限する。槽背面103は、ドラム200が回転するときにドラム200とともに振動することができる。しかしながら、後部ガスケット104は柔軟に変形可能であり、これにより、後槽102と干渉することなく槽背面103の相対移動が可能になる。
【0070】
幾つかの実装形態では、後部ガスケット104は、槽背面103の相対移動を可能にするのに十分な長さまで延在する湾曲部又は波形部を有することができる。
【0071】
ドラム200は、ドラムフロント201、ドラムセンタ202、及びドラムバック203を備える。ドラム200の前側及び後側のそれぞれには、バランサ204が設置される。ドラムバック203はスパイダ205に接続され、スパイダ205は回転シャフト206に接続される。
【0072】
ドラム200は、回転シャフト206を介して伝達される回転力により、槽100内で回転可能である。ドラム200は、洗濯時や脱水時に洗濯物から発生する洗濯水を排出するために、周面に複数の貫通穴を有する。
【0073】
ベアリングハウジング106が槽背面103の後面に結合される。また、ベアリングハウジング106は、モータと槽背面103との間で回転シャフト206を回転可能に支持する。ベアリングハウジング106は、サスペンションユニット107によってキャビネット20に対して支持される。
【0074】
図3は、本開示の実施形態に係る衣類処理装置における槽内に設置されたダクトアセンブリを示す斜視図である。
図4はダクトアセンブリの分解斜視図である。
図5及び
図6は、衣類処理装置におけるダクトアセンブリの内部を示す。
【0075】
図3~
図6に示すように、衣類処理装置1000はダクトアセンブリ10を備える。
【0076】
ダクトアセンブリ10は、空気が槽100内に再導入されるように槽100から排出される空気を導くために槽100に設置される部分である。ダクトアセンブリ10は、循環流路部300と、送風機400と、凝縮器500と、加熱部600とを備える。
【0077】
洗濯物を乾燥させるために、高温の乾燥空気をドラム200内に供給することができる。ドラム200内に導入された高温の乾燥空気は、ドラム200内に収容された湿った洗濯物と接触し、洗濯物から水分を奪って洗濯物を乾燥させる。
【0078】
このプロセスにおいて、高温の乾燥空気は、比較的低温の高湿度の空気状態に変化され、ドラム200の壁面に形成された貫通穴を通じてドラム200の外部に排出される。ドラム200の外部に排出された低温の高湿度の空気は、槽100とドラム200との間で流れる。
【0079】
洗濯物を連続的に乾燥させるためには、槽100内及びドラム200内に存在する低温の高湿度の空気を排出し、高温の乾燥空気を槽100内及びドラム200内に再注入することが望ましい。
【0080】
この目的のために、空気は、以下のように循環させることができる。即ち、(i)水分を吸収することによって比較的低温で高湿度の状態に変化した空気が槽100から排出され、(ii)排出された空気から水分が除去され、(iii)空気が加熱された後に槽100内に再供給される。
【0081】
本明細書で説明されるような空気の循環のために、空気は槽100の一部を通って排出されてもよく、空気は別の部分を通って再導入されてもよい。即ち、槽100の内部に存在する低温の高湿度の空気は、槽100の一部を通って槽100の外部に排出され、ダクトアセンブリ10における所定の処理プロセスを経て高温乾燥状態に変化した後、別の部分を通って槽100の内部に再注入される。
【0082】
循環流路部300は、槽100に設置可能であり、槽100の外部に排出された空気を飛散することなく槽100内に再導入できるようにする流路を画定する。
【0083】
この場合、循環流路部300は、槽100に設置されて空気の流れのための吸気ポート110及び空気流入ポート120を備えるダクト300aであってもよい。循環流路部300は、本明細書で説明するように、空気循環のための流路を画定する様々な形態を備えることができる。
【0084】
特に、ダクト300aは、キャビネットの内部空間内の空間を確保することが比較的容易である槽100の上部に設置される。衣類処理装置1000を大容量で実現するためには、槽100も大型化する必要がある。従って、ダクト300aを槽100の前面、後面、及び側面の何れかに設置するためには、それに応じてキャビネットの幅を大きくすることが望ましい。しかしながら、衣類処理装置1000が設置される空間の幅や深さは限られているため、このようにダクト300aを配置することは望ましくない場合がある。
【0085】
しかしながら、衣類処理装置1000が設置される空間の高さに対する制限が比較的少ない場合には、キャビネットの高さを増大させるようにダクト300aを槽100上に配置することが望ましい場合がある。
【0086】
送風機400は、循環流路部300に設置されて槽100から排出された空気を循環流路部300に沿って移送する部分であり、空気の循環方向が均一になるように空気を所定の圧力で移送するように構成される。
【0087】
この場合、送風機400は、吸気ポート110と空気流入ポート120との間に空気の流れを形成するようにダクト300aに設置された送風ファン400aであってもよく、本明細書で説明するように、循環用の空気を移送するための様々な構成要素を備えてもよい。
【0088】
特に、送風ファン400aをダクト300a内の吸気ポート110に相対的に近づけて配置することにより、槽100内の低温の高湿度の空気をより迅速にダクト300aに排出して移送することができる。
【0089】
凝縮器500は、循環流路部300に設置され、循環流路部300に沿って移送された空気中の水分を凝縮させるように冷却水が供給され、空気中の水分を除去することによって高湿度の空気を乾燥状態に変化させる。
【0090】
この場合、凝縮器500は、ダクト300a内に設置され、冷却水が供給されて熱交換を行うことにより、ダクト300a内を流通する空気を冷却する熱交換器500aであってもよく、本明細書で説明するように、循環する空気中の水分を凝縮させるための種々の構成要素を備えてもよい。
【0091】
特に、熱交換器500aは、槽100の背面などの別個の空間に設置されるのではなく、後述する送風ファン400a及びヒータ600aとともにダクト300aの内部に設置される。従って、循環空気中に水分凝縮のための別個の空間を確保することは望ましくない場合がある。
【0092】
また、上記のように熱交換器500aをダクト300aの内部に問題なく設置するためには、熱交換器500aの構造を比較的単純化する必要がある。熱交換器500aの構造が複雑であると、幾つかの問題が生じる可能性がある。例えば、ダクト300aの内部に熱交換器500aを配置することは困難である。更に、ダクト300aを比較的大きくする必要がある。
【0093】
従って、幾つかの実施態様では、熱交換器500aは、供給された冷却水を使用して空気と熱交換する水冷構造を有する。水冷熱交換器500aは、空冷式に比べて熱交換効率が高く、より大容量の空気と熱交換可能となり得る。
【0094】
また、熱交換器500aに冷却水を供給する構成のみでダクト300a内の空気との熱交換を行うことができるので、比較的簡単な構造で円滑に水分を除去することができる。
【0095】
例えば、水冷構造を備えない熱交換器は、冷媒を循環させるための別個の構成要素を備えることができる。従って、このような熱交換器は、比較的複雑な構造を有し得る。
【0096】
しかしながら、衣類処理装置1000の設置環境を考慮すると、洗濯水を供給するための構成要素が既に設けられており、冷却水に使用することができるため、冷却水を循環させるための構成要素を別途設けることなく、水冷構造で熱交換を行うことができる。
【0097】
これにより、水冷構造を用いた熱交換器500aは、他の種類の熱交換器と比較して、構造を比較的簡素化することができる。例えば、水を供給しやすい衣類処理装置1000において、水冷熱交換器500aを最適化した構造としてもよい。
【0098】
送風ファン400aによってダクト300a内を伝わった空気は、熱交換器500aに接触し、熱交換器500a内の冷却水と熱交換する。これにより、ダクト300a内の空気が冷却されつつ、空気中の水分が凝縮する。そして、凝縮した水分は、熱交換器500aと接触する面で凝縮した後、落下する。
【0099】
この場合、熱交換器500aにおいて、冷却水流路は、空気流路から離間するように閉じられた流路であってもよい。即ち、熱交換器500aで使用される冷却水の流路と、空気を乾燥させる流路とが分離されているため、冷却水が他の部分に漏れて洗濯物に接触することを抑制できる。
【0100】
一方、熱交換器500aで水分が除去された空気は、ダクト300aに沿って空気流入ポート120に向かって流れる。
【0101】
加熱部600は、循環流路部300に沿って移送された空気を加熱するように循環流路部300に設置されており、空気を加熱することにより低温空気を高温空気状態に変化させる。
【0102】
ここで、加熱部600は、ダクト300a内に設置され、ダクト300a内を流通する空気を加熱するヒータ600aであってもよく、ここで説明するように、循環する空気を加熱するための種々の構成要素を備えていてもよい。
【0103】
送風ファン400aによってダクト300aの内部を伝わった空気は、ヒータ600aに接触して温度が上昇する。これにより、ダクト300a内の空気が加熱されて高温状態になる。そして、ヒータ600aによって高温状態にされた空気は、ダクト300aに沿って空気流入ポート120に向かって流れる。
【0104】
前述したように、送風ファン400aによって槽100から排出されてダクト300aに沿って流れる低温の高湿度の空気は、ダクト300aに設置された熱交換器500a及び加熱部600を通過する間に比較的高温高湿度の状態に変化する。そして、上記のように高温高湿状態に変化した空気は、洗濯物を乾燥させるために槽100内に再注入される。
【0105】
このように、本実施形態の衣類処理装置1000によれば、空気中の水分を凝縮させるための空間を別途確保する必要がないように、送風ファン400a及びヒータ600aに加えて、熱交換器500aをダクト300aの内部に設置することができる。従って、衣類処理装置1000を大容量で実現する際の制約を軽減することができる。
【0106】
また、本実施形態の衣類処理装置1000は、供給された冷却水を用いて空気と熱交換を行う水冷熱交換器500aをダクト300aの内部に配置することで、熱交換構造を更に簡素化している。これにより、空気中の水分凝縮のための構成要素の数を低減しつつ、水分を円滑に除去することができる。
【0107】
特に、本実施形態の衣類処理装置1000における水冷熱交換器500aは、ヒートポンプ式熱交換器と比較して、ダクト300a内の限られたスペースに、より経済的且つ容易に配置することができる。
【0108】
本開示の一実施形態に係る衣類処理装置1000において、凝縮器500は、送風機400と加熱部600との間に配置されてもよい。即ち、熱交換器500aは、送風ファン400aとヒータ600aとの間に配置されてもよい。
【0109】
この場合、空気の流れは、吸気ポート110から熱交換器500a及びヒータ600aを順次介して空気流入ポート120に向かう方向に形成されてもよい。
【0110】
上記のプロセスを経て、ダクト300a内の低温の高湿度の空気が比較的高温乾燥状態に変化した場合、槽100から排出された空気は、まず熱交換器500aに接触し、その後、ヒータ600aに接触することが好ましい。
【0111】
この場合、槽100から排出された低温の高湿度の空気は、まず熱交換器500aに接触し、そこから水分が除去されて低温の乾燥空気となる。その後、低温空気及び乾燥空気がヒータ600aに接触して高温空気及び乾燥空気となってもよい。
【0112】
一方、槽100から排出された低温の高湿度の空気は、ヒータ600aに最初に接触すると加熱されて比較的高温高湿度の空気となる。その後、高温高湿の空気が熱交換器500aに接触すると、空気中の水分は除去されるが、空気は熱交換器500aで冷却されて冷熱状態となる。
【0113】
即ち、槽100から排出された空気が、まずヒータ600aに接触し、その後、熱交換器500aに接触すると、加熱された空気は再び冷却される。そのため、乾燥効率が低下する。
【0114】
そのため、熱交換器500aは、ダクト300aにおける送風ファン400aとヒータ600aとの間に、槽100から排出された空気が最初に熱交換器500aに接触した後にヒータ600aに接触するように配置することが好ましい。
【0115】
以上説明したように、本実施形態に係る衣類処理装置1000では、まず、送風ファン400aを介してダクト300aの内部を伝わってきた空気から熱交換器500aで水分を除去した後、空気をヒータ600aで加熱する。そのため、加熱された空気が再度冷却されることを防止して、洗濯物の乾燥効率を更に向上させることができる。
【0116】
本開示の一実施形態に係る衣類処理装置1000において、凝縮器500は、加熱部600と接触しないように、加熱部600から離間して配置されてもよい。即ち、熱交換器500aは、ヒータ600aと接触しないように、ヒータ600aから離間して配置されてもよい。
【0117】
このように、熱交換器500aを送風ファン400aとヒータ600aとの間に配置すると、熱交換器500aとヒータ600aとの温度差による影響を受ける可能性がある。特に、比較的高温状態のヒータ600aから発せられる熱が比較的低温状態の熱交換器500aに影響を及ぼすと、冷却水及び熱交換器500aの表面の温度が上昇してしまい、空気の冷却が円滑に行われなくなる。
【0118】
そのため、隣接して配置される熱交換器500aとヒータ600aとは、互いの機能が影響を受けることを抑制する最小限の距離を維持しつつ、互いに離間していることが好ましい。
【0119】
この場合、必要に応じて、熱交換器500aとヒータ600aとの間に熱伝達を遮断する断熱材等を配置し、ダクト300a内の空気の移動を妨げないように複数の通気穴を設けてもよい。
【0120】
このように、本実施形態に係る衣類処理装置1000では、ヒータ600aが発する熱が熱交換器500aの機能に影響を与えないように、熱交換器500aとヒータ600aとを離間させている。従って、熱交換器500a自体の温度上昇によって低下する熱交換器500aの信頼性を確保することができる。
【0121】
一方、前述したように、熱交換器500aを送風ファン400aとヒータ600aとの間に配置することにより、送風ファン400aの損傷を抑制することができる。
【0122】
送風ファン400aとヒータ600aとが離間せずに隣接して配置されていると、ヒータ600aからの発熱によって送風ファン400aの射出成形物が溶融したり変形したりするなどの損傷が生じる。
【0123】
また、送風ファン400aを動作させるモータもヒータ600aからの発熱により過熱する可能性があり、モータの機能が低下する。
【0124】
そのため、本実施形態に係る衣類処理装置1000では、送風ファン400aとヒータ600aとが離間しており、この離間空間に熱交換器500aが配置されているので、ヒータ600aからの発熱が送風ファン400aやモータ等の射出成形物を損傷させることがない。従って、送風ファン400aの機能低下による空気の循環阻害を抑制することができる。
【0125】
図26は、本開示の実施形態に係る衣類処理装置における熱交換器とヒータとの分離空間による凝縮効率を示す図である。
【0126】
本開示の一実施形態に係る衣類処理装置1000において、熱交換器500aは、ヒータ600aからの離間距離D1が2.5cm以上7cm以下の範囲に配置されてもよい。
【0127】
具体的には、
図26を参照して、熱交換器500aとヒータ600aとの離間距離D1について説明する。
【0128】
まず、熱交換器500aとヒータ600aとの離間距離D1として、少なくとも2.5cmを確保することが望ましい。2.5cmの離間距離D1は、ヒータ600aから発せられる熱が熱交換器500aの性能に影響を及ぼさない限界値である。
【0129】
離間距離D1が2.5cm未満であると、熱交換器500aを介した空気中の水分の凝縮効率が80%程度以下に低下する。そのため、熱交換器500aを介した空気との熱交換が円滑に行われないおそれがある。
【0130】
特に、
図26に示すように、離間距離D1が2.5cm未満であると、離間距離D1が2.5cm以上である場合と比較して、熱交換器500aを介した空気中の水分の凝縮効率が急激に大きく低下する。そのため、熱交換器500aとヒータ600aとの離間距離D1は、2.5cm以上に維持することが好ましい。
【0131】
一方、熱交換器500aとヒータ600aとの離間距離D1が大きくなるほど、ヒータ600aによって熱交換器500aの性能が低下することをより抑制できる。また、熱交換器500aを通じた空気中の水分の凝縮効率への影響は大きくない。
【0132】
しかしながら、熱交換器500aとヒータ600aとの離間距離D1が7cmを超えると、熱交換器500aを通過した空気がヒータ600aに到達するまでに冷却され過ぎてヒータ600aによって十分に加熱されない可能性がある。
【0133】
特に、
図26に示すように、離間距離D1が7cmを超えると、離間距離D1が7cm以下の場合と比較して、熱交換器500aを介した空気中の水分の凝縮効率が急激に大きく低下する。そのため、熱交換器500aとヒータ600aとの離間距離D1は、7cm以下に維持することが好ましい。
【0134】
従って、空気中の水分の凝縮効率を向上させ、空気の加熱を円滑に行うためには、熱交換器500aとヒータ600aとの離間距離D1を2.5cm以上7cm以下の範囲に維持することが好ましい場合がある。
【0135】
なお、本開示の実施形態に係る衣類処理装置1000において、熱交換器500aとヒータ600aとの離間距離D1は、送風ファン400aと熱交換器500aとの離間距離D2よりも相対的に小さくてもよい。
【0136】
即ち、
図6に示すように、ダクト300aの内部に送風ファン400a、熱交換器500a及びヒータ600aが配置されている場合、熱交換器500aは、送風ファン400aよりもヒータ600aの近くに配置されてもよい。
【0137】
勿論、この場合であっても、熱交換器500aとヒータ600aとの離間距離D1の上記下限値を維持することが好ましい。
【0138】
送風ファン400aを通過した空気が熱交換器500aに到達するまでに移動する距離が変化しても、空気の状態の変化は大きくない場合がある。これに対して、前述したように、熱交換器500aを通過した空気がヒータ600aに到達するまでの移動距離を長くすると、熱交換器500aを通過する間に冷却された空気がヒータ600aによって十分に加熱されない可能性がある。
【0139】
従って、空気の移動経路において、熱交換器500aとヒータ600aとの離間距離D1は、下限値を維持する範囲で、送風ファン400aと熱交換器500aとの離間距離D2よりも小さくすることが好ましい。
【0140】
本開示の一実施形態に係る衣類処理装置1000において、槽100で使用される洗濯水の一部は、凝縮器500に供給され、冷却水として使用されてもよい。即ち、洗浄水の一部を熱交換器500aに供給して冷却水としてもよい。
【0141】
槽100には、洗濯水を供給する給水ホースが設けられている。給水ホースは、別途設置された洗剤ボックスなどを介して洗濯水を槽100内に供給してもよい。
【0142】
槽100に接続された給水ホースは、槽100の前面又は外周面に接続されてもよい。また、給水ホースを分岐させて槽100の前面及び外周面のそれぞれに接続してもよい。給水ホースを分岐して接続する場合、各分岐ホースは、洗浄水の流路を遮断するバルブを更に備えてもよい。
【0143】
そのため、熱交換器500aに冷却水を供給するための別の冷却水供給装置を設置しなくても、一部の洗浄水を熱交換器500aに供給して冷却水として使用することができる。このために、給水ホースから分岐ホースを熱交換器500aに接続し、洗浄水の一部を熱交換器500aに供給してもよい。
【0144】
このように、本実施形態の衣類処理装置1000では、熱交換器500aに冷却水を供給するための別個の構成要素を伴うことなく、一部の洗濯水を冷却水として利用する。これにより、熱交換器500aの構造をより簡素化することができ、熱交換器500aの配置の自由度を向上させることができる。
【0145】
図7~
図9は、本開示の一実施形態に係る衣類処理装置における凝縮器を示す。
図10は、本開示の実施形態に係る衣類処理装置において、循環流路部に凝縮器を設置した状態を示す。
【0146】
図7~
図10に示すように、本開示の一実施形態に係る衣類処理装置1000において、凝縮器500は、冷却水を通過させるパイプ構造を有するようにループコイル状に構成されていてもよい。即ち、熱交換器500aは、冷却水が通過可能なループコイル状に形成されたパイプ510を備えてもよい。
【0147】
ここで、ループコイル形状とは、中心軸Xを中心とする円環状に繰り返し巻回されたコイル形状を意味し、下管部と、この下管部から上方に離間した上管部とが繰り返し行き来する螺旋構造で構成されていてもよい。
【0148】
このような構造のパイプ510によれば、限られたスペースで熱交換に必要な表面積をより大きく確保することができる。従って、パイプ510の螺旋構造の巻回部間の空間を通って移動する空気は、パイプ510の表面上の熱をパイプ510の内部の冷却水と交換することができる。
【0149】
以上説明したように、本実施形態の衣類処理装置1000では、ループコイル状のパイプ510に冷却水が流入し、パイプ510の外部の空気と熱交換する。これにより、ダクト300a内における熱交換器500aの占める面積に対する熱交換効率を向上させることができる。
【0150】
図35は、本開示の実施形態に係る衣類処理装置の必要熱交換量と熱交換長さを示す図である。
【0151】
図35に示すように、実験の結果、乾燥時間を25分/kg以内に抑えるためには、650W程度の熱交換量が必要であり、それに応じて必要な熱交換長さは2.4m以上であってもよい。
【0152】
しかし、熱交換長さが必要以上に長くなると、過冷却が発生し、洗濯物の乾燥効率が低下する。
【0153】
従って、必要な熱交換長さを2.4m~3mに設定することが好ましい場合がある。
【0154】
また、上記のような熱交換長さの熱交換器500aをダクト300aの内部に効果的に配置するためには、熱交換器500aをループコイル状のパイプ510で構成することが好ましい。
【0155】
この場合、下管部と上管部との間に中間管部を追加した3段ループコイル構造が考えられる。
【0156】
しかし、3段ループコイル構造は、
図7に示す2段ループコイル構造と比較して、凝縮性能の差が3%程度しかないため、凝縮性能はほぼ同等と言える。
【0157】
また、3段ループコイル構造では、空気の移動経路上の開口面積が小さくなるため、熱交換器500aに付着する綿ほこりが多くなり、空気量が少なくなるという欠点がある。
【0158】
従って、上記を考慮すると、熱交換器500aは、2段ループコイル構造を有することが好ましい。
【0159】
一方、
図7に示すループコイル状のパイプ510では、中心軸Xと交差する方向の長さWが、中心軸Xと平行な方向の長さAよりも相対的に大きいことが好ましい。
【0160】
即ち、パイプ510は、W/A>1となるようにループコイル状に設計されることが好ましい。
【0161】
前述したように、熱交換長を2.4m以上3m以下とすると、Aの長さが長くなるにつれてWの長さが短くなる。この場合、Aが過度に大きくなると、全体の熱交換長が過大である場合と同様に過冷却が発生し、洗濯物の乾燥効率が低下するおそれがある。
【0162】
従って、Aの長さをWの長さよりも相対的に小さくすることが好ましい場合がある。
【0163】
本開示の一実施形態に係る衣類処理装置1000において、パイプ510は、ステンレス鋼、銅合金、アルミニウム合金、又はニッケル合金の少なくとも1つを備える材料で形成されてもよい。
【0164】
この場合、ステンレスは、腐食に良好に耐えるようにした鋼合金であり、鉄、ニッケル、クロム等の合金からなる材料である。銅合金は、銅、スズ、亜鉛、アルミニウムなどの合金からなる材料である。アルミニウム合金は、アルミニウム、銅、マグネシウムなどの合金からなる材料である。ニッケル合金は、ニッケル、銅、クロム、モリブデン、鉄等の合金からなる材料である。
【0165】
前述したように、熱交換器500aで凝縮した水分は、熱交換器500aと接する面で凝縮する。これにより、パイプ510の循環空気と直接接触する面が長時間にわたって水分に晒される。
【0166】
この場合、ダクト300a内に配置された熱交換器500aに腐食が生じると、循環する空気を介して槽100内に汚損物が導入され、洗濯物が汚損される。
【0167】
そのため、パイプ510は、水分に長時間晒されても汚染による衛生上の問題を回避するために、比較的腐食しにくいステンレス鋼、銅合金、アルミニウム合金、ニッケル合金の少なくとも何れかを備える材料で構成されることが好ましい。
【0168】
以上説明したように、本実施形態に係る衣類処理装置1000では、耐食性材料からなるパイプ510内に冷却水が流入し、パイプ510外の空気と熱交換する。これにより、熱交換器500aの腐食等によって衣類処理装置1000に衛生上の問題が生じることを抑制することができる。
【0169】
パイプ510がアルミニウム(Al)を備える材料で構成されている場合、パイプ510の表面が剥離する現象が発生することがある。この現象は、アルミニウム(Al)表面が酸素(O2)に晒されて酸化アルミニウム(Al2O3)となった場合に発生する。
【0170】
即ち、アルミニウム(Al)表面が酸化されるプロセスでアルミニウム(Al)表面の体積が膨張し、このプロセスで発生する応力により表面が剥離する。また、この剥離現象は、使用者の観点から、部材の耐久性の低下や使い勝手の低下を招くおそれがある。
【0171】
そのため、アルミニウム(Al)を備える材料からなるパイプ510は、剥離が生じないように処理する必要がある。
【0172】
この目的のために、例えばパイプ510の表面をコーティングすることによって、アルミニウム(Al)表面の酸化を制限する方法が考えられる。
【0173】
或いは、パイプ510の表面を陽極酸化して固体酸化皮膜を形成し、剥離を低減する方法が考えられる。
【0174】
本開示の一実施形態に係る衣類処理装置1000において、凝縮器500は、冷却水が、相対的に空気流入ポート120側に配置された一端に流入し、相対的に吸気ポート110側に配置された他端から排出されるように構成されていてもよい。
【0175】
即ち、熱交換器500aは、平面視において相対的に空気流入ポート120のより近くに配置されて冷却水をパイプ510に流入させるように構成される給水ポート520と、平面視において相対的に吸気ポート110のより近くに配置されて冷却水をパイプ510から排出させるように構成される排水ポート530と、を更に備えてもよい。
【0176】
一般に、高温流体と低温流体とが熱交換器500aの両側に入り、反対方向に流れる対向流は、最も低温の冷却水で空気流路を最後まで冷却することを可能にすることができる。
【0177】
従って、熱交換器500aの同じ側に高温流体と低温流体とが入って同じ方向に流れる並流と比較して、そのような対向流はより高い熱交換効率を有する。
【0178】
この点、上記のように給水ポート520と排水ポート530とを配置することで、ダクト300a内での空気の流れ方向と冷却水の流れ方向とが逆向きとなり、対向流を実現することができる。
【0179】
また、実施形態の衣類処理装置1000では、熱交換器500aの冷却水が導入される部分は、ダクト300a内の空気の移動経路に対して、熱交換器500aの冷却液が排出される部分の後方に配置されている。これにより、最も低温の冷却液を用いて空気流路を最後部まで冷却することで、熱交換器の効率を高めることができる。
【0180】
本開示の一実施形態に係る衣類処理装置1000において、ダクトアセンブリ10は、凝縮器500の一端及び他端のそれぞれが循環流路の外部に露出する部分に介在するシール部分310を更に備えてもよい。
【0181】
即ち、ダクト300aは、ダクト300aの熱交換器500aが配置されている部分の側面に設置されたガスケット310aを備え、ガスケット310aは、給水ポート520及び排水ポート530にそれぞれ貫通されていてもよい。
【0182】
この場合、シール部分310は、ガスケット310aであってもよく、冷却水を供給する給水ポート520及び排水ポート530以外の他の部分との気密性を維持するための各種の構成要素を備えてもよい。
【0183】
このように、熱交換器500aに供給された冷却水を用いて水分を凝縮させるためには、熱交換後の冷却水を排出し、新たな冷却水を供給することが望ましい。
【0184】
そのためには、熱交換器500aの周囲に冷却水を循環させる必要があり、冷却水を循環させるための全ての構成要素をダクト300a内に配置することが困難な場合がある。
【0185】
特に、洗濯水の一部が冷却水として使用されると、ダクト300aの内部に給水ホース等を配置することが困難になる。そのため、熱交換器500aの給水ポート520及び排水ポート530は、ダクト300aの外部に露出していることが望ましい。
【0186】
一方、洗濯物の乾燥機能をスムーズに行うためには、ダクト300aに沿って循環する空気がダクト300aの外部に飛散したり、ダクト300aの外部の空気がダクト300aに導入されたりすることを抑制することが望ましい。
【0187】
従って、冷却水の循環のために給水ポート520及び排水ポート530をダクト300aの外部に露出させる際に、対応する部分の気密性を確保することで、洗濯物の乾燥効率を向上させることができる。
【0188】
そのため、ダクト300aの一方の側面に、給水ポート520及び排水ポート530がそれぞれ貫通するガスケット310aを配置し、対応する部分の気密性を確保することが好ましい。
【0189】
以上説明したように、本実施形態に係る衣類処理装置1000では、熱交換器500aのダクト300aの外部に露出した部分が、ダクト300aの一部に配置されたガスケット310aに支持されている。これにより、ダクト300aの内外の気密性を維持しつつ、冷却水を円滑に循環させることができる。
【0190】
本開示の一実施形態に係る衣類処理装置1000において、給水ポート520の最上端部H及び最下端部Lの何れか一方は、排水ポート530の最上端部hと最下端部lとの間の高さに位置してもよい。
【0191】
上記構成のダクトアセンブリ10を組み立てる場合、互いに分離された複数の部材を組み合わせてダクト300aを製造してもよい。
【0192】
例えば、ダクト300aの底面及び下側面を構成するベース部材に送風ファン400a、熱交換器500a及びヒータ600aを取り付けた後、ダクト300aの上面及び側面を構成するカバー部材でその上部を覆うことにより、ダクトアセンブリ10を組み立てることができる。
【0193】
この場合、給水ポート520と排水ポート530の高さが異なると、ベース部材とカバー部材の側面がこれを反映するように構成する必要がある。
【0194】
これに対して、
図10に示すように、給水ポート520と排水ポート530とが同じ高さに位置していれば、ガスケット310aをベース部材とカバー部材との結合面に組み付けることができ、各部材をより容易に組み付けることができる。
【0195】
しかしながら、幾つかの実施態様では、製造及び設置誤差を考慮して、給水ポート520及び排水ポート530を物理的に同じ高さに配置することが困難な場合がある。
【0196】
そのため、給水ポート520と排水ポート530との高さがある程度異なっていても、本明細書で説明するように、給水ポート520と排水ポート530との高低差は、組立性を著しく低下させない範囲に制限することが望ましい。
【0197】
そのために、
図10に示すように、給水ポート520の最上端部H及び最下端部Lの何れか一方が排水ポート530の最上端部hと最下端部lとの間の高さに位置するように、熱交換器500aをダクト300a内に設置してもよい。
【0198】
以上説明したように、本実施形態の衣類処理装置1000では、熱交換器500aの複数の部分がダクト300aの外部に露出している場合、対応する部分は、同じ高さに配置されていてもよく又は部分的に重なり合う高さに配置されてもよい。これにより、熱交換器500aとダクト300aとをより容易に組み立てることができる。
【0199】
本開示の一実施形態に係る衣類処理装置1000において、給水ポート520及び排水ポート530は、パイプ510に対して同じ方向に配置されてもよい。例えば、
図10に示すように、給水ポート520と排水ポート530は、ダクト300aの一方の側面を一緒に貫通していてもよい。
【0200】
給水ポート520及び排水ポート530を上記のように配置すると、給水ポート520及び排水ポート530に接続されるホース等を一方向にしか配置することができないため、その長さを短くすることができる。
【0201】
また、パイプ510、給水ポート520及び排水ポート530を備える熱交換器500aの製造が容易になるとともに、ダクト300aへの熱交換器500aの設置も容易になる。
【0202】
なお、ダクト300aには、洗浄ノズル700aに洗浄水を導入するための洗浄水流入ポート331が設けられてもよく、洗浄水流入ポート331は、給水ポート520及び排水ポート530の少なくとも一方と同じ方向に配置されてもよい。
【0203】
従って、前述したように、分岐パイプ等のパイプの配置が効率的となり、熱交換器500aをダクト300aに対してより容易に設置することができる。
【0204】
本開示の一実施形態に係る衣類処理装置1000において、パイプ510は、空気流れ方向に螺旋状の中心軸Xを有してもよい。
【0205】
即ち、空気流れ方向から見て、パイプ510は、
図8に示す形状で配置されてもよい。従って、パイプ510は、空気流れ方向の投影面が円環状となるように配置されてもよい。
【0206】
このように配置されたパイプ510に対して、槽100から排出された空気は、繰り返し行き来する螺旋構造のパイプ510の巻回部間の空間を通過する。これにより、空気流路に比較的大きな開口面積が確保されるため、ダクト300a内を通過する空気量を増大させることができる。
【0207】
これに対して、空気流れ方向から見て、
図9に示す形状でパイプ510を配置すると、上記の場合に比べて開口面積が小さくなるため、ダクト300a内を通過する空気量を少なくすることができる。
【0208】
なお、上記のように配置された熱交換器500aに対して、ヒータ600aの配列方向も、熱交換器500aに対してある程度平行に配置されていてもよい。即ち、ヒータ600aは、空気流れ方向にジグザグ状に延びるラジエータ610を有してもよい。
【0209】
具体的には、
図6に示すように、ラジエータ610は、複数の直線パイプと、隣り合う直線パイプ同士を接続する湾曲パイプとを備えていてもよい。この場合、各直線パイプは、その長手方向が空気流れ方向と交差する方向に配置される。
【0210】
これにより、ラジエータ610の直線パイプは、空気流れ方向に所定間隔をあけて互いに平行に配置され、各直線パイプの端部には湾曲パイプが結合されている。
【0211】
従って、ラジエータ610は、全体としてジグザグ形状であってもよく、空気流れ方向に延びていてもよい。
【0212】
前述したラジエータ610は、高温の流体が通過するパイプ構造を有していてもよい。ダクト300a内を通過する空気の量や、空気とラジエータ610との接触面を考慮すると、ラジエータ610は、
図6に示す方向に配置することが好ましい。
【0213】
図11は、本開示の一実施形態に係る衣類処理装置における槽内を示す。
図12は、本開示の実施形態に係る衣類処理装置のフィルタクリーナを示す。
図30は、本開示の実施形態に係る衣類処理装置において、冷却水、洗浄水、及び凝縮水を給排する経路を概略的に示す。
【0214】
本開示の一実施形態に係る衣類処理装置1000では、凝縮器500の他端が槽100に接続され、凝縮器500から排出された冷却水が槽100内に注入されてもよい。
【0215】
即ち、排水ポート530を槽100に接続し、排水ポート530から排出された冷却水を槽100内に注入してもよい。
【0216】
このように、熱交換器500aでは、熱交換された冷却水を排出し、新たな冷却水を受けることが望ましい。幾つかの実施態様では、熱交換冷却水を熱交換器500aから排出し、次いで冷却水を処理するために、別個の構成要素を使用することができる。
【0217】
他の実施態様では、熱交換器500aから排出された冷却水をそのような別個の構成要素ではなく槽100に導くことによって、槽100内に配置された排出構造を使用することが可能である。
【0218】
即ち、洗濯後の使用済み洗濯水や脱水後の水を排出するために、槽100が別体の排出構造を有しているので、冷却水を槽100に導くと、洗濯水とともに槽100の排出構造を介して冷却水を排出することができる。
【0219】
或いは、場合によっては、槽100内に導かれた冷却水は、ドラム200の外周面に沿って流れ、洗濯物を洗浄するための洗濯水として機能するように槽100内に貯蔵されてもよい。
【0220】
以上説明したように、本実施形態に係る衣類処理装置1000では、熱交換器500aから排出された冷却水を、別途の排出構造を設けることなく、槽100内に注入して処理する。これにより、熱交換器500aの構造を簡素化することができ、熱交換器500aの配置の自由度を向上させることができる。
【0221】
本開示の一実施形態に係る衣類処理装置1000では、槽100内に注入された冷却水により、ドラム200の表面が凝縮面として作用し得る。
【0222】
即ち、
図11に示すように、槽100内に注入された冷却水は、ドラム200の外周面に落下してもよい。このようにして、ドラム200の外周面に落下する冷却水は、ドラム200の温度を低下させることができ、ドラム200は凝縮板として機能することができる。
【0223】
この場合、ドラム200の表面を濡らすだけの量の冷却水を供給して、ドラム200の内部(即ち、洗濯物が位置する空間)への冷却水の流入を抑制することが好ましい。
【0224】
なお、上記のようにドラム200の外周面に冷却水を供給してドラム200を冷却する場合、ドラム200の外周面に供給された冷却水をドラム200の貫通穴から導入してもよい。
【0225】
この場合、凝縮水を生成するために供給された冷却水が乾燥対象の洗濯物と接触し、洗濯物を濡らす効果があり、乾燥効果が低下するという問題がある。
【0226】
これにより、ドラム200の回転速度を速くすることで、ドラム200の外周面に供給された冷却水がドラム200の貫通穴を流れることを抑制することができる。この場合、ドラム200の回転速度は、ドラム200の外周面に残留した冷却水が貫通穴を通じてドラム200の内部に流入しない程度に設定されていればよい。
【0227】
例えば、洗濯物の乾燥中は、ドラム200の回転速度を毎分40~110回転(rpm)程度に維持することが好ましい。より好ましくは、ドラム200の回転速度を50~70rpm程度に維持することが好ましい。
【0228】
一般に、ドラム200を110rpm以上の回転速度で回転させると、ドラム200内の洗濯物がドラム200の内周面に張り付いた状態で回転する。この場合、洗濯物と乾燥空気とが効果的に混合されないため、乾燥効率が低下する。そのため、ドラム200の回転速度を110rpm以下に維持することが好ましい。
【0229】
即ち、洗濯物の乾燥時に洗濯物と乾燥空気を混合するためには、洗濯物がドラム200の内周面に張り付かない程度の回転速度を維持することが望ましい。
【0230】
このように、本実施形態の衣類処理装置1000では、熱交換器500aから排出された冷却水は、槽100内に注入され、ドラム200の表面の水分を凝縮するために用いられる。これにより、ダクト300a内で達成される水分凝縮に加えて、空気中の水分を更に除去することができる。
【0231】
図33は、本開示の一実施形態による衣類処理装置の槽をより詳細に示す。
【0232】
本開示の一実施形態に係る衣類処理装置1000において、冷却水は、槽100の後面に沿って流下するように注入されてもよい。即ち、冷却水が槽100の後面に沿って流下することにより、槽100の後面が凝縮面として作用し得る。
【0233】
この場合、槽100の後面に沿って流下する冷却水は、槽100の排出構造を介して排出されてもよい。
【0234】
具体的には、
図33に示すように、凝縮体210が槽100の後面に形成されてもよい。この場合、凝縮体210は、槽100の後面の周面に対応するように、槽100の後面の周面と同じ曲率で折り曲げられた板として設けられてもよい。
【0235】
凝縮体210には、凹状に湾曲した表面を有する複数の溝が設けられていてもよく、凝縮体210の表面から突出する複数の突起が設けられていてもよい。このように、凝縮体210の表面積を大きくすることができるので、冷却水が槽100の後面に沿って流下する間の除湿効率を向上させることができる。
【0236】
この場合、凝縮体210に設けられた溝又は突起は、槽100の前面から後面への方向と平行な方向に沿って設けられることが好ましい。これは、槽100の裏面に供給された冷却水が槽100の底面に位置する第1の排水管221に移動する時間を長くして、使用する冷却水の量を減らすためである。
【0237】
槽100の排水構造は、槽100の外部に位置する排水ポンプ223と、槽100内の水を排水ポンプ223に導く第1の排水管221と、排水ポンプ223から排出された水をキャビネット20の外部に導く第2の排水管225とを備えて構成されてもよい。
【0238】
このように、本実施形態の衣類処理装置1000では、熱交換器500aから排出された冷却水は、槽100の後面に導かれ、槽100の後面の水分を凝縮させるために用いられる。これにより、ダクト300a内で達成される水分凝縮に加えて、空気中の水分を更に除去することができる。
【0239】
一方、
図31に示すように、槽100の下部に流れ落ちた水は、槽100の排出構造を通って排出される前に集められた状態であってもよい。このようにして収集された水により、槽100の下面は凝縮面として作用することができる。
【0240】
従って、本実施形態に係る衣類処理装置1000では、熱交換器500aを介して一次凝縮が行われ、槽100の後面に沿って流下する水を介して二次凝縮が行われ、槽100の下面に集められた水を介して三次凝縮が行われてもよい。
【0241】
図34は、本開示の実施形態に係る衣類処理装置において行われる熱交換の一例を示す。
【0242】
例えば、
図34に示すように入熱量が1400Wである場合、熱交換器500aを介して一次凝縮により600Wが熱交換されてもよく、槽100の後面に沿って流下する水の二次凝縮により200Wが熱交換されてもよく、槽100の下面に集められた水の三次凝縮により50Wが熱交換されてもよい。このプロセスにおいて、放熱等により550Wの熱損失が発生することがある。
【0243】
一次凝縮、二次凝縮、三次凝縮は、衣類処理装置1000の構造効率を考慮すると、相対的に、一次凝縮量>二次凝縮量>三次凝縮量であることが好ましい。
【0244】
このように、衣類処理装置1000を大型化し、効果的な構造を実現するためには、槽100の後面を大きく形成することに限界がある。このように、槽100の後面に沿って流下する水による二次凝縮量も制限されるため、一次凝縮量を二次凝縮量よりも相対的に大きくすることが好ましい。
【0245】
また、乾燥時に回収水が洗濯物に接触することを抑制するためには、槽100の下面での集水量を制限することが望ましいため、回収水を所定の高さのみに制限し、各サイクルの性能状況に応じて排水することが望ましい。
【0246】
従って、槽100の下面に集められる水による三次凝縮量にも限界があり、三次凝縮量は一次凝縮量よりも相対的に小さくして補助的に使用することが好ましい。
【0247】
本開示の一実施形態に係る衣類処理装置1000において、槽100は、吸気ポート110に設置されてダクト300aに移送される空気中の異物を収集するフィルタ130であってもよい。
【0248】
洗濯物を乾燥させるための槽100及びダクト300a内を循環する空気には、洗濯物から発生する綿ほこりなどの異物が含まれることがある。これらの異物は、ダクト300a内に導入され、送風ファン400a、熱交換器500a、ヒータ600aの少なくとも何れかに付着する可能性がある。
【0249】
この場合、送風ファン400aの送風圧力が低下したり、熱交換器500aやヒータ600aの表面における熱交換面積が減少したりして、それぞれの構成要素の機能が低下するおそれがある。
【0250】
そのため、槽100から排出された空気中の異物をフィルタ130で収集することで、異物がダクト300aに導入されることを抑制することが好ましい。
【0251】
この場合、フィルタ130は、槽100の内部に露出する位置に設置されてもよい。特に、フィルタ130は、槽100の周面に配置されてもよい。好ましくは、フィルタ130は、槽100の周面が吸気ポート110と交わる点で槽100の内周面に沿って延びるように設置されてもよい。
【0252】
このように、本実施形態の衣類処理装置1000は、槽100から排出される空気中の異物を収集し、ダクト300a内に導入される異物を低減する。これにより、ダクト300a内の主要な構成要素に異物が付着して洗濯乾燥機能が低下することを抑制できる。
【0253】
本開示の一実施形態に係る衣類処理装置1000において、槽100は、吸気ポート110に設置されてフィルタ130にフィルタ洗浄水を噴射するフィルタクリーナ140を更に備えてもよい。
【0254】
このようにフィルタ130が槽100内に設置されている場合、ドラム200が回転すると、その回転によりドラム200の周囲に回転気流が形成される。回転する気流がフィルタ130に衝突し、フィルタ130に収集された綿ほこりなどの異物が除去される可能性がある。
【0255】
また、ドラム200の内部に濡れた洗濯物が存在する場合、洗濯物からの水がドラム200の貫通穴を介して槽100の内壁面に放出されることがある。また、放出された水は、フィルタ130に衝突することで、フィルタ130をある程度洗浄することができる。
【0256】
しかし、フィルタ130をより直接的に洗浄するために、フィルタ洗浄水を吸気ポート110からフィルタ130に向けて噴射してもよい。フィルタ洗浄水の噴射により、フィルタ130に収集された異物が除去されるため、フィルタ130の性能を安定的に維持することができる。
【0257】
この場合、フィルタ洗浄水は、フィルタ130を通過した後に槽100内に導入されてもよい。これにより、フィルタ洗浄水がドラム200の上部外周面に落下してドラム200の温度を低下させ、ドラム200を凝縮板として機能させることができる。
【0258】
特に、フィルタ洗浄水は、フィルタ130を洗浄するために所定の圧力で注入される。所定の圧力で注入されたフィルタ洗浄水は、フィルタ130を通過する間にフィルタ130によってメッシュ状に拡散されるため、ドラム200の表面をより広く、より早く冷却することができる。
【0259】
以上説明したように、本実施形態の衣類処理装置1000は、空気中の異物を収集するフィルタ130を洗浄することにより、フィルタ130自体に異物が蓄積することを抑制する。これにより、空気循環を円滑に行わせつつ、異物の収集効率を向上させることができる。
【0260】
本開示の一実施形態に係る衣類処理装置1000では、冷却水の一部をフィルタクリーナ140に供給してフィルタ洗浄水として利用することができる。
【0261】
前述したように、熱交換器500aから排出された冷却水は、槽100内に導かれて処理されてもよく、ドラム200の表面を凝縮面として作用させてもよい。これ以外にも、熱交換器500aから排出された冷却水をフィルタクリーナ140に導いてフィルタ130の洗浄に利用してもよい。
【0262】
従って、フィルタクリーナ140に濾過洗浄水を供給するための別の供給装置が設置されていなくても、冷却水の一部がフィルタクリーナ140に供給されて濾過洗浄水として使用され得る。
【0263】
このように、本実施形態の衣類処理装置1000では、フィルタクリーナ140にフィルタ洗浄水を供給するための別個の構成要素を伴うことなく、冷却水の一部をフィルタ洗浄水として利用する。これにより、フィルタクリーナ140の構造をより簡素化することができ、フィルタクリーナ140の設置スペースを小さくすることができる。
【0264】
なお、本開示の実施形態に係る衣類処理装置1000は、洗浄ノズル700a及びフィルタクリーナ140にそれぞれ接続された分岐パイプ710と、分岐パイプ710に設置され、洗浄ノズル700a及びフィルタクリーナ140の少なくとも一方への洗浄水の供給を調整する分岐バルブ720とを更に備えてもよい。
【0265】
具体的には、
図11に示すように、洗浄ノズル700aで使用される洗浄水と、フィルタクリーナ140で使用されるフィルタ洗浄水との両方として、洗濯用の洗浄水や、熱交換器500aから排出される冷却水などを用いてもよい。
【0266】
このため、給水ホースや熱交換器500aまで、洗浄ノズル700aやフィルタクリーナ140に接続された各分岐パイプ710に分岐ホースを接続することで、洗浄水や冷却水の一部がクリーナ700やフィルタクリーナ140に供給される。
【0267】
特に、洗浄水、冷却水及び洗浄水の何れかを移送するための各分岐パイプ710は、少なくとも1つの分岐バルブ720に結合され、適切な構成要素に水が供給されるように制御されてもよい。
【0268】
これにより、1つの分岐バルブ720において、フィルタ130の洗浄と熱交換器500aの洗浄とを同時に又は選択的に行うことができる。
【0269】
特に、本開示の一実施形態に係る衣類処理装置1000では、熱交換器500aの洗浄ノズル700aの洗浄と、フィルタ130のフィルタクリーナ140の洗浄とを同時に行ってもよい。
【0270】
ここで、本実施形態に係る衣類処理装置1000における冷却水、洗浄水及び凝縮水の給排水について、
図30を用いて説明する。
【0271】
洗濯物の洗濯水として使用される水道水等が衣類処理装置1000に供給される場合、何れかの分岐パイプ710によって、洗浄ノズル700aとフィルタクリーナ140の両方に同時に水が供給されてもよい。
【0272】
従って、洗浄ノズル700aとフィルタクリーナ140とを同時に動作させることができる。
【0273】
また、衣類処理装置1000に供給された水は、ドライバルブ等を介して槽100内に注入され、ドラム200の表面上の水分を凝縮させてもよく、水冷熱交換器500aに供給されて冷却水として利用されてもよい。
【0274】
この場合、別体の減速機等の管継手構造を用いて、水冷熱交換器500aに供給されるパイプの径を小さくすることができる。
【0275】
また、水冷熱交換器500aから排出された冷却水、ダクト300a内で凝縮した凝縮水、及び熱交換器500aの洗浄水は、それぞれ異なる分岐パイプ710を介して回収された後、槽100内に注入されてもよい。
【0276】
図13~
図16は、本開示の実施形態に係る衣類処理装置における熱交換器カバーの第一の例を示す。この場合、説明の便宜上、
図3~
図6も参照して、第1の例示的な熱交換器カバーについて説明する。
【0277】
図13~
図16に示すように、本開示の一実施形態に係る衣類処理装置1000は、クリーナ700を更に備えてもよい。
【0278】
クリーナ700は、凝縮器500を洗浄するように循環流路部300に設置され、槽100から排出された空気から凝縮器500に付着した異物を除去する。
【0279】
この場合、クリーナ700は、ダクト300a内に設置されて熱交換器500aに洗浄水を噴射する洗浄ノズル700aであってもよく、ここで説明するように、クリーナ700は、洗浄によって熱交換器500aに付着した異物を除去するための種々の構成要素を備えていてもよい。
【0280】
洗濯物を乾燥させるための槽100及びダクト300a内に空気が循環すると、洗濯物中の綿ほこりなどの異物が空気とともにダクト300a内に導入される可能性がある。これらの異物は、ダクト300aの内部に配置された送風ファン400a、熱交換器500a、ヒータ600aの少なくとも何れかに付着する可能性がある。
【0281】
特に、ここで説明したように、熱交換器500aの表面には水分が存在するため、綿ほこりなどの異物が付着しやすくなる場合がある。また、このように付着した異物は、熱交換器500a内の冷却水と熱交換器500aの表面の空気との熱交換を妨げる可能性があり、熱交換器500aの効率を低下させる可能性がある。
【0282】
そのため、ダクト300aに設置された洗浄ノズル700aから熱交換器500aに洗浄水を噴射することで、熱交換器500aに付着した異物を除去し、洗濯物の乾燥効率を向上させることができる。
【0283】
この場合、洗浄水としては、前述した洗濯用の洗浄水や、熱交換器500aから排出される冷却水などを用いることができる。そのために、給水ホース又は熱交換器500aまで分岐ホースを接続し、洗浄水又は冷却水の一部を洗浄部700に供給してもよい。
【0284】
特に、洗浄水、冷却水、洗浄水の何れかを移送する各分岐ホースを少なくとも1つの分岐バルブに結合し、必要な状況に応じて適切な構成要素に給水するように制御してもよい。
【0285】
このように、本実施形態に係る衣類処理装置1000では、送風ファン400a及びヒータ600aに加えて、熱交換器500aも、槽100に設置されたダクト300aの内部に設置されており、熱交換器500aに洗浄水を噴射して異物を除去している。これにより、ダクトアセンブリ10の構造を最適化しつつ、異物を効果的に除去することができる。
【0286】
本開示の一実施形態に係る衣類処理装置1000において、ダクト300aは、送風ファン400a、熱交換器500a、及びヒータ600aをそれぞれ覆う送風ファンカバー320、熱交換器カバー330、及びヒータカバー340を備える。洗浄ノズル700aは、熱交換器カバー330上に、熱交換器500aに向かって下向きに洗浄水を噴射するように配置されてもよい。
【0287】
即ち、
図4に示すように、ダクト300aの上面は、送風ファンカバー320と、熱交換器カバー330と、ヒータカバー340とで構成されてもよい。この場合、ヒータカバー340は、熱による変形を考慮して金属材料からなることが好ましい。また、送風ファンカバー320及び熱交換器カバー330は、ヒータカバー340とは異なる材料で構成されており、必要に応じて一体化されていてもよい。
【0288】
また、熱交換器カバー330には、熱交換器500aを洗浄するための洗浄ノズル700aが設置されているので、洗浄部700は、洗浄ノズル700aを別途設置するための構成要素を伴うことなく、より簡易な構造で構成することができる。
【0289】
このように、本実施形態に係る衣類処理装置1000では、熱交換器カバー330に異物を洗浄する洗浄ノズル700aを配置しているので、熱交換器500aの直接洗浄を行うことができる。
【0290】
本開示の一実施形態に係る衣類処理装置1000では、凝縮器500の平坦面を覆う循環流路部300の上面に、複数のクリーナ700が配置されてもよい。即ち、熱交換器500aの平坦面を覆う領域に複数の洗浄ノズル700aを配置してもよい。
【0291】
熱交換構造が放熱フィンを備える場合、放熱フィンの密度が比較的高いため、綿ほこりなどの異物が熱交換構造の表面のみに集中的に付着することがある。
【0292】
しかしながら、本実施形態に係る熱交換構造では、前述したように、ダクト300aの内部を通過する空気は、熱交換器500aの全域を円滑に通過することができる。そのため、綿ほこりなどの異物が熱交換器500aの全域に付着する可能性があるため、熱交換器500aの全域の洗浄が重要となる場合がある。
【0293】
そのため、洗浄ノズル700aは、特定の箇所に配置するよりも、熱交換器500aの平坦面を覆う領域全体に均等に配置することが望ましい。
【0294】
以上説明したように、本実施形態に係る衣類処理装置1000では、複数の洗浄ノズル700aを熱交換器カバー330に配置して熱交換器500aの平坦面全体を洗浄するので、異物が溜まった部分全体から異物を除去することができる。
【0295】
本開示の実施形態に係る衣類処理装置1000において、熱交換器カバー330は、洗浄水を導入するように構成される洗浄水流入ポート331と、熱交換器カバー330の上面に各洗浄ノズル700aに接続されて形成され、洗浄水の流路を形成する洗浄流路333とを備えてもよい。
【0296】
即ち、
図13及び
図14に示すように、熱交換器カバー330の一部に洗浄水流入ポート331が画定される。熱交換器カバー330において、洗浄水流入ポート331の数を増やすほど、洗浄水をより円滑に供給することができるが、洗浄水流入ポート331の数を増やすほど、クリーナ700の構造が複雑になる可能性がある。
【0297】
これにより、洗浄水流入ポート331を1つだけ設けた後に、熱交換器カバー330に形成された洗浄流路333を介して各部に洗浄水を円滑に供給することができる。
【0298】
以上説明したように、本実施形態に係る衣類処理装置1000では、熱交換器カバー330に洗浄水流入ポート331及び洗浄流路333が設けられているので、1つの洗浄水流入ポート331を介しても全ての洗浄ノズル700aに洗浄水を供給することができる。
【0299】
この場合、熱交換器カバー330に形成された洗浄流路333は、洗浄水流入ポート331から離れる方向に相対的に高さが低くなるように傾斜していてもよい。これにより、洗浄水流入ポート331から流入した洗浄水を、洗浄流路333の傾斜に沿って、熱交換器カバー330の各部に円滑に供給することができる。
【0300】
本開示の一実施形態に係る衣類処理装置1000において、洗浄流路333は、洗浄水流入ポート331からの洗浄水の流入方向に延びる中央流路333aと、中央流路333aから中央流路333aと交差する方向に分岐流路333bとを備えてもよい。
【0301】
即ち、
図13及び
図14に示すように、洗浄水流入ポート331に導入された洗浄水は、中央部に沿って形成された中央流路333aに逆方向に流れる。また、中央流路333aに沿って流れる洗浄水は、中央流路333aから分岐した各分岐流路333bに流れ、熱交換器カバー330上の全域に分散してもよい。
【0302】
このように、本実施形態に係る衣類処理装置1000では、洗浄流路333が中央流路333aと分岐流路333bとを備えるので、特定の箇所に偏ることなく、全ての洗浄ノズル700aに洗浄水を供給させることができる。
【0303】
この場合、
図13及び
図14に示すように、分岐流路333bは、洗浄水流入ポート331から外側に向かって徐々に離れるように斜めに形成されていてもよい。
【0304】
中央流路333aから分岐流路333bに洗浄水が流れる場合、各分岐流路333bの端部に向かって洗浄水の流量が減少することがある。そのため、各分岐流路333bの端部に十分な洗浄水が供給されないおそれがある。
【0305】
その結果、熱交換器500aの外部の洗浄が円滑に行われず、熱交換効率が低下するおそれがある。
【0306】
そこで、上記問題を防止するために、分岐流路333bを斜めに形成し、分岐流路333bに導入された洗浄水を、洗浄水流入ポート331から洗浄水が最初に導入される方向とある程度平行に流すようにしてもよい。
【0307】
これにより、洗浄水が流れながら分岐流路333bの壁に当たることによる洗浄水の水圧の低下をある程度低減することができ、分岐流路333bの端部に洗浄水を確実に供給することができる。
【0308】
また、分岐流路333bに接続される洗浄ノズル700aは、相対的に外縁側に配置される洗浄ノズル700aの大きさが、相対的に中心側に配置される洗浄ノズル700aの大きさ以上となるように構成されていてもよい。
【0309】
即ち、各分岐流路333bにおける洗浄水の流れ方向において、相対的に下流側に配置される洗浄ノズル700aの大きさは、相対的に上流側に配置される洗浄ノズル700aの大きさ以上であってもよい。
【0310】
上流側に配置された洗浄ノズル700aのサイズが大きい場合、下流側に配置された洗浄ノズル700aに到達する前に大部分の洗浄水が排出されるため、下流側に配置された洗浄ノズル700aから洗浄水を円滑に噴射できない場合がある。
【0311】
これにより、上流側に配置された洗浄ノズル700aが比較的小さく、下流側に配置された洗浄ノズル700aの側が上流側に配置された洗浄ノズル700aの大きさと同等又は比較的大きくなり、分岐流路333bの端部に接続された洗浄ノズル700aに洗浄水を供給することができる。
【0312】
本開示の一実施形態に係る衣類処理装置1000では、クリーナ700の洗浄力は、送風機400に向かって相対的に増大してもよい。即ち、送風ファン400aに近い洗浄ノズル700aほど、洗浄水噴出力が大きくてもよい。
【0313】
前述したように、送風ファン400aを介してダクト300aに導入された空気は、熱交換器500aに向かって流れる。これにより、熱交換器500aのうち送風ファン400aに近い側の部分が、先にダクト300aに導入された空気と接触する。
【0314】
そのため、熱交換器500aのうち送風ファン400aに近い部分ほど異物が付着する可能性がある。そのため、熱交換器500aを洗浄する際には、送風ファン400aに近い部分ほど集中的に洗浄することが好ましい。
【0315】
以上説明したように、本実施形態の衣類処理装置1000は、熱交換器500aの送風ファン400aに近い部分ほど、強い洗浄力で異物を除去するように構成されている。これにより、各部分に蓄積する異物の量を考慮して、効率的に異物を除去することができる。
【0316】
一方、クリーナ700の洗浄力は、各洗浄ノズル700aの開口面積を異ならせたり、各洗浄ノズル700aに設置されたポンプの噴射圧を異ならせたりして、配置位置によって異なる場合がある。
【0317】
また、比較的多くの洗浄水が流れる中央流路333aを考慮して、中央流路333aに直接接続される洗浄水流入ポート331を、より強い洗浄力を必要とする部分に偏って配置してもよい。
【0318】
本開示の実施形態に係る衣類処理装置1000において、熱交換器カバー330は、熱交換器500aを覆うように構成され、その上面に洗浄流路333が形成されたカバー本体339と、洗浄流路333の上面を覆うようにカバー本体339に結合されたカバー天板335とを更に備えてもよい。
【0319】
即ち、
図13に示すように、熱交換器カバー330は、互いに着脱可能に結合されたカバー本体339及びカバー天板335を備えてもよい。
【0320】
前述したように、洗浄流路333は、熱交換器カバー330の上面に画定される。この場合、洗浄流路333が外部に露出すると、洗浄流路333に異物が蓄積し、熱交換器500aの洗浄性能が低下するおそれがある。
【0321】
このため、熱交換器カバー330の上面には洗浄流路333が形成されているが、洗浄流路333が外部に露出しないように、洗浄流路333の上面を所定の部材で覆うことが望ましい。
【0322】
このため、単一の部材を加工して熱交換器カバー330を製作することは現実的に困難である。これは、例えば金型を用いた射出成形時に、単一部材からなる熱交換器カバー330の上面に洗浄流路333を形成することが非常に困難であるためである。
【0323】
そのため、熱交換器カバー330を作製する際には、洗浄流路333が画定されたカバー本体339と、カバー本体339の上面に結合可能なカバー天板335とを別々に作製することが好ましい。
【0324】
この場合、カバー本体339とカバー天板335とは、
図13に示すように、別個の締結部材337を用いて結合されていてもよいが、必ずしもこれに限らず、必要に応じて種々の方法で着脱可能に結合されていてもよい。
【0325】
図17及び
図18は、本開示の実施形態に係る衣類処理装置における熱交換器カバーの第2の例を示す。
【0326】
図17及び
図18に示すように、本開示の一実施形態に係る衣類処理装置1000において、各分岐流路333bは、外側に向かって狭くなっていてもよい。
【0327】
このように、分岐流路333bの端部に十分な洗浄水が供給されない可能性があるため、熱交換器500aの熱交換効率が低下する可能性がある。
【0328】
そのため、分岐流路333bを外側に向かって狭く規定することで、狭い部分で洗浄水をより速く流すことができる。これにより、分岐流路333bの端部において洗浄水を比較的急速に流すことができ、洗浄水の流量をある程度少なくしても、洗浄のための噴射圧を十分に確保することができる。
【0329】
図19及び
図20は、本開示の実施形態に係る衣類処理装置における熱交換器カバーの第3の例を示す。
【0330】
また、本開示の一実施形態に係る衣類処理装置1000において、洗浄流路333は、それぞれが洗浄水流入ポート331から外周部に沿って洗浄水流入ポート331とは反対側に延びる周辺流路333cと、それぞれが洗浄水流入ポート331とは反対側から洗浄水流入ポート331に向かって延びて熱交換器カバー330の上面を分割する分割流路333dとを備えてもよい。
【0331】
即ち、
図19及び
図20に示すように、洗浄水流入ポート331に導入された洗浄水は、外周部に沿って洗浄水流入ポート331とは反対側に延びる周辺流路333cを流れる。また、周辺流路333cに沿って洗浄水流入ポート331とは反対側に到達した洗浄水は、熱交換器カバー330上の全領域に分散するように分割流路333dに流入する。
【0332】
特に、洗浄水流入ポート331から分岐して複数の周辺流路333cを設け、複数の周辺流路333cの間に分割流路333dを配置してもよい。
【0333】
このように、本実施形態に係る衣類処理装置1000では、洗浄流路333が、周辺流路333cと分割流路333dとを備えているので、特定の部分に偏ることなく、全ての洗浄ノズル700aに洗浄水を供給させることができる。
【0334】
また、分割流路333dに接続される各洗浄ノズル700aは、洗浄水流入ポート331に相対的に近い側に配置される洗浄ノズル700aの大きさが、洗浄水流入ポート331とは反対側に相対的に近い側に配置される洗浄ノズル700aの大きさ以上であってもよい。
【0335】
即ち、各分割流路333dにおける洗浄水の流れ方向において、相対的に下流側に配置される洗浄ノズル700aの大きさは、相対的に上流側に配置される洗浄ノズル700aの大きさ以上であってもよい。
【0336】
上流側に配置された洗浄ノズル700aのサイズが大きい場合、下流側に配置された洗浄ノズル700aに到達する前に大部分の洗浄水が排出されるため、下流側に配置された洗浄ノズル700aから洗浄水を円滑に噴射できない場合がある。
【0337】
これにより、上流側に配置された洗浄ノズル700aが比較的小さく、下流側に配置された洗浄ノズル700aの側が上流側に配置された洗浄ノズル700aの大きさ以上となり、分割流路333dの端部に接続された洗浄ノズル700aに洗浄水を確実に供給できる。
【0338】
また、各洗浄ノズル700aは、周辺流路333cに接続されるのではなく、分割流路333dに接続されていてもよい。
【0339】
洗浄ノズル700aが周辺流路333cに接続されていると、分割流路333dに到達する前に、周辺流路333cから大量の洗浄水が排出されることになる。しかし、周辺流路333cは、綿ほこりを除去する必要性が比較的小さい熱交換器500aの外周部に配置されているため、周辺流路333cから多量の洗浄水を排出することは好ましくない。
【0340】
これにより、洗浄ノズル700aを周辺流路333cに接続しないようにすることで、洗浄水を排出せずに分割流路333dに流入させた後、分割流路333dに接続された洗浄ノズル700aから洗浄水を噴射することができる。
【0341】
図21~
図24は、本開示の実施形態に係る衣類処理装置1000における送風ファンベース、熱交換器ベース及びヒータベースを示し、
図25は、
図24に示すA部をより詳細に示す。
【0342】
本開示の一実施形態に係る衣類処理装置1000において、循環流路部300の底部には、凝縮器500から送風機400の中心に向かって排水路380が形成されていてもよい。
【0343】
即ち、ダクト300aは、送風ファン400a、熱交換器500a、及びヒータ600aのそれぞれの底面を支持する送風ファンベース350、熱交換器ベース360、及びヒータベース370を備えてもよく、熱交換器ベース360から送風ファンベース350の中心に向かって排水路380が形成されてもよい。
【0344】
以上のプロセスを経て熱交換器500aを洗浄した洗浄水は、ダクト300aの底部に落下する。落下した洗浄水がダクト300a内に溜まったり、他の部分に流れたりして、ダクトアセンブリ10の機能が損なわれることは好ましくない。
【0345】
そのため、ダクト300aの底部に落下した洗浄水は、できるだけ速やかに安定した方向に排水することが望ましい。このため、熱交換器ベース360から送風ファンベース350の中心に向かって排水路380を形成することにより、排水路380に沿って洗浄水を迅速且つ安定して排出することができる。
【0346】
この場合、槽100内の吸気ポート110が送風ファンベース350の中央に配置され、排水路380に沿って流れる洗浄水が槽100内に導入されてもよい。そして、槽100内に導入された洗浄水は、前述したフィルタ洗浄水と同様に処理されてもよい。
【0347】
以上説明したように、本実施形態に係る衣類処理装置1000では、ダクト300aの底部に流れる洗浄水を送風ファンベース350の中心に導く排水路380が形成されているので、洗浄水をダクト300aの外部に効果的に排出することができる。
【0348】
また、本開示の一実施形態に係る衣類処理装置1000において、循環流路部300は、凝縮器500と加熱部600との間の底部に配置された第1の水障壁段差391を有してもよい。即ち、第1の水障壁段差391は、熱交換器ベース360とヒータベース370との間に配置されてもよい。
【0349】
熱交換器500aを洗浄した後にダクト300aの底部に落下した洗浄水がヒータ600aに向かって流れることは望ましくない。ヒータ600aに洗浄水が接触すると、ヒータ600aの温度が低下するため、空気を加熱するヒータ600aの機能が低下する可能性があるからである。
【0350】
また、熱交換器500aで凝縮した凝縮水が、洗浄水とは別にヒータ600aに流れることも好ましくない。
【0351】
従って、熱交換器ベース360とヒータベース370との間に配置された第1の水障壁段差391を用いて、凝縮水又は洗浄水のヒータ600aへの流れを制限又は遮断することが好ましい。
【0352】
以上説明したように、本実施形態に係る衣類処理装置1000では、ダクト300aの底部に流れ込む凝縮水又は洗浄水のヒータ600aへの流れを制限又は遮断するように第1の水障壁段差391が配置されているので、凝縮水又は洗浄水がヒータ600aに接触することによるヒータ600aの機能低下を抑制することができる。
【0353】
この場合、第1の水障壁段差391の高さは、熱交換器ベース360の上面からパイプ510の底面までの高さよりも相対的に低くてもよい。
【0354】
即ち、第1の水障壁段差391は、パイプ510よりも低い高さまでしか上方に突出していなくてもよい。
【0355】
第1の水障壁段差391を用いて凝縮水又は洗浄水を制限又は遮断する目的で、第1の水障壁段差391の高さは高いほど有利である。しかし、第1の水障壁段差391の高さが高くなるほど、ダクト300a内の空気の流れ面積は小さくなる。
【0356】
そのため、第1の水障壁段差391の高さは、ダクト300a内を通過する空気を熱交換器500aに円滑に接触させつつ、遮水機能を発揮する高さに制限することが望ましい。
【0357】
従って、第1の水障壁段差391をパイプ510よりも低い高さまでしか上方に突出させないことで、ダクト300a内の空気量の低下を抑制することができる。
【0358】
本開示の一実施形態に係る衣類処理装置1000において、循環流路部300の底部は、凝縮器500から送風機400の中心に向かって傾斜していてもよい。
【0359】
即ち、熱交換器ベース360を一方向に傾斜させ、熱交換器ベース360の最下点に排水路380を接続してもよい。また、送風ファンベース350は、その中心に向かって傾斜していてもよい。
【0360】
熱交換器500aの洗浄後にダクト300aの底部に落下した洗浄水や凝縮水が、排出されずに熱交換器ベース360に溜まることは好ましくない。これは、溜まった凝縮液や洗浄水に異物等が堆積し、汚染や臭気等の衛生上の問題を引き起こす可能性があるためである。
【0361】
そのため、熱交換器ベース360を傾斜させ、熱交換器ベース360の最下点に排水路380を接続することで、凝縮水や洗浄水を速やかに排水路380に導くことが好ましい。
【0362】
以上説明したように、本実施形態に係る衣類処理装置1000では、ダクト300aの底部に流れる凝縮水又は洗浄水が熱交換器ベース360の傾斜に沿って排水路380に導かれるため、熱交換器ベース360の一部に凝縮水又は洗浄水が溜まることを抑制できる。
【0363】
また、熱交換器500aの洗浄後にダクト300aの底部に落下した凝縮水や洗浄水が排出されずに送風ファンベース350に溜まることも好ましくない。これは、溜まった凝縮液や洗浄水に異物等が堆積し、汚染や臭気等の衛生上の問題を引き起こす可能性があるためである。
【0364】
そのため、凝縮水又は洗浄水が吸気ポート110に速やかに排出されるように、送風ファンベース350は、その中心に向かって傾斜していることが好ましい。
【0365】
以上説明したように、本実施形態に係る衣類処理装置1000では、ダクト300aの底部に流れる凝縮水又は洗浄水が送風ファンベース350の傾斜に沿って送風ファンベース350の中央部に導かれるため、凝縮水又は洗浄水が送風ファンベース350の一部に溜まることを抑制できる。
【0366】
また、本開示の実施形態に係る衣類処理装置1000は、排水路380が底部に形成されている部分を除いて、送風機400と凝縮器500との間に第2の水障壁段差392を設けてもよい。即ち、排水路380が形成されている部分を除いて、送風ファンベース350と熱交換器ベース360との間に第2の水障壁段差392を配置してもよい。
【0367】
熱交換器500aの洗浄後にダクト300aの底部に落下した洗浄水又は凝縮水は、送風ファン400aに導かれることが望ましいが、排水路380以外の部分に流れることは望ましくない。これは、排水路380以外に凝縮水や洗浄水が飛散した場合、凝縮水や洗浄水がスムーズに排水されない可能性があるからである。
【0368】
そのため、送風ファンベース350と熱交換器ベース360との間に配置された第2の水障壁段差392を用いて、凝縮水や洗浄水の他の部分への飛散を抑制することが好ましい。
【0369】
以上説明したように、本実施形態に係る衣類処理装置1000では、第2の水障壁段差392は、ダクト300aの底部に流れる凝縮水又は洗浄水が、排水路380よりも送風ファン400a側に流れることを抑制するように設けられている。これにより、凝縮水や洗浄水を、他の部分に飛散させることなく、最適な経路で排水させることができる。
【0370】
図27~
図29は、本開示の実施形態に係る衣類処理装置における熱交換器ベースの変形例を示す。
【0371】
図27~
図29に示すように、本開示の実施形態に係る衣類処理装置1000において、熱交換器ベース360は、平面視において、第1の部分P1に向かって傾斜していてもよい。
【0372】
この場合、熱交換器ベース360は、第1の部分P1に洗浄水排出穴801を有してもよい。
【0373】
このように、熱交換器500aの洗浄後にダクト300aの底部に落下した洗浄水や凝縮水が、排出されずに熱交換器ベース360に溜まることは好ましくない。
【0374】
なお、凝縮水や洗浄水は、吸気口110に排出されてもよい。しかし、このような凝縮水や洗浄水には綿ほこりなどの異物が含まれているため、吸気ポート110のフィルタ130に異物が蓄積する可能性がある。
【0375】
これにより、吸気ポート110から凝縮水や洗浄水を排出させることなく、熱交換器ベース360に別途設けられた洗浄水排出穴801に凝縮水や洗浄水を導いて排出させることができる。
【0376】
なお、洗浄水排出穴801は槽100に接続され、洗浄水排出穴801から排出された凝縮水は槽100内に導入されてもよい。
【0377】
これにより、洗浄水排出穴801から排出された凝縮水を、槽100に設けられた排出構造を用いて排出することができる。また、洗浄水排出穴801から排出された凝縮水を槽100内に導入し、ドラム200の表面の水分を凝縮させてもよい。或いは、洗浄水排出穴801から排出された凝縮水を槽100の後面に導き、凝縮水を用いて槽100の後面の水分を凝縮させてもよい。
【0378】
図32は、本開示の一実施形態による衣類処理装置のサイクルを実行するためのアルゴリズムの図である。
【0379】
図32を用いて、本開示の実施形態に係る衣類処理装置1000において、洗濯の洗い、濯ぎ、脱水、乾燥の各サイクルを行うアルゴリズムを概略的に説明する。
【0380】
まず、洗濯物の洗濯サイクル(S100)(又は洗濯サイクル及び濯ぎサイクル)が完了した後、一般に、洗濯物に含まれる水分を除去する脱水サイクル(S200、S500)及び乾燥サイクル(S700、S800)が順次行われてもよい。
【0381】
しかし、本開示の実施形態に係る衣類処理装置1000では、乾燥サイクルの前に行われる熱交換器500aの洗浄サイクル(S400)の後に、脱水サイクルが完了してもよい。即ち、乾燥サイクルの前に熱交換器500aの洗浄サイクルを行い、洗浄サイクルの後に脱水サイクルを完了してもよい。
【0382】
これにより、本実施形態に係る衣類処理装置1000では、脱水サイクルにおいて、熱交換器500aの洗浄時に生じ得る水膜が除去される。これにより、洗濯物を乾燥させるための熱交換効率を低下させることなく、洗濯物の円滑な乾燥を実現することができる。
【0383】
なお、前述したように、熱交換器500aの洗浄サイクルとフィルタ130の洗浄サイクルとを同時に行ってもよい。この場合、脱水サイクルにおいて、フィルタ130の洗浄時に生じ得る水膜も除去されてもよい。
【0384】
本開示の一実施形態に係る衣類処理装置1000では、脱水サイクルにおいて、洗濯物の1回目の脱水(S200)が行われた後、ドラム200の内部温度が上昇され(S300)、洗濯物の2回目の脱水(S500)が追加で行われる。洗濯物の2回目の脱水は、熱交換器500aの洗浄サイクルの後に行われてもよい。
【0385】
この場合、負荷に含まれる水分の表面張力を低下させて脱水性能を向上させるために、2回目の脱水時のドラム200の内部温度を上昇させる。
【0386】
しかしながら、1回目の脱水時から温度を上昇させると、かなりの量のエネルギーを消費する可能性がある。そのため、最初に1回目の脱水を行った後、ドラム200内の温度を上昇させながら2回目の脱水のみを行ってもよい。
【0387】
特に、前述したように、熱交換器500aの洗浄サイクルの後に、洗浄に伴って生じた水膜を除去するために、2回目の脱水を行ってもよい。
【0388】
これにより、本実施形態に係る衣類処理装置1000では、脱水サイクルを二段階で行い、その間に熱交換器500aの洗浄サイクルを行うので、2回目の脱水ステップで水膜を除去することができる。また、高温下での脱水性能を向上させることができる。
【0389】
以下、本開示の実施形態に係る衣類処理装置1000における洗濯物の乾燥サイクルのアルゴリズムについて、より詳細に説明する。
【0390】
なお、乾燥サイクルのために熱交換器500aに冷却水を供給する場合には、所定時間連続して冷却水を供給することが乾燥効率の点で有利な場合がある。
【0391】
しかしながら、上記のように冷却水を連続的に供給すると、使用する冷却水の量が比較的多くなる可能性があり、冷却水を供給する際には、同時に槽100の排出構造から一定量の冷却水を排出する必要がある。
【0392】
そこで、本開示の実施形態に係る衣類処理装置1000では、熱交換器500aへの冷却水の供給を間欠的に繰り返して複数回行ってもよい。
【0393】
例えば、熱交換器500aへの冷却水の供給方法は、「7秒間給水-2秒間休止-7秒間給水-2秒間休止-(繰り返し実行)」のプロセスを備えてもよい。
【0394】
これにより、冷却水量を比較的少なくすることができる。これにより、冷却水の供給時に、同時に槽100の排出構造から所定量の冷却水が排出されなくても、槽100内に収容された冷却水と洗濯物との接触を低減することができる。
【0395】
むしろ、所定量の冷却水が槽100内に収容されているため、それに応じて水分凝縮効果が生じ得る。
【0396】
以上説明したように、本実施形態に係る衣類処理装置1000では、熱交換器500aへの冷却水の供給を間欠的に繰り返して複数回行うので、冷却水の量を少なくしたり、洗濯物との接触を抑制したりするなどの最適な動作を実現することができる。
【0397】
本開示の一実施形態に係る衣類処理装置1000において、槽100からの冷却水の排出は、設定時間継続して行われてもよい。例えば、排水時間を15秒として、冷却水を排出してもよい。
【0398】
このように、本実施形態の衣類処理装置1000では、槽100からの冷却水の排出を設定時間継続して行うため、冷却水の排出に要する所定時間を十分に確保することができる。
【0399】
本開示の一実施形態に係る衣類処理装置1000では、冷却水が槽100に排出されると、熱交換器500aへの冷却水の供給が停止されてもよい。
【0400】
この場合、別体の水位センサを槽100内に設置し、冷却水の収容量が所定量を超えたことを検知した場合には、冷却水の供給を停止し、冷却水を排出してもよい。
【0401】
このように、本実施形態に係る衣類処理装置1000では、槽100から冷却水が排出されている間は、熱交換器500aへの冷却水の供給を停止するので、洗濯物を乾燥させるための各構成要素の運転を効率的に行うことができる。
【0402】
本開示の一実施形態に係る衣類処理装置1000では、ヒータ600aと送風ファン400aとを連動させた温乾燥状態で乾燥サイクルを行い(S700)、ヒータ600aと送風ファン400aとの運転を開始してから設定時間経過後に熱交換器500aへの冷却水の供給を行ってもよい。
【0403】
ヒータ600a及び送風ファン400aの運転を開始しても、所定時間が経過するまで乾燥効率は高くない。そのため、設定された時間が経過し、熱交換器500aが水分凝縮効率の高い状態となった場合にのみ、熱交換器500aに冷却水を供給してもよい。
【0404】
特に、本開示の一実施形態に係る衣類処理装置1000において、熱交換器500aへの冷却水の供給は、ドラム200内の温度が飽和状態に達した時点で行ってもよく、ドラム200内の温度が設定温度に達した時点で行ってもよい。
【0405】
即ち、ドラム200の内部温度が徐々に上昇して飽和状態となる定常状態に達したときのみ、熱交換器500aに冷却水を供給することができるようにしてもよい。
【0406】
また、ドラム200内の温度が設定温度(例えば、93℃)に到達した場合にのみ、熱交換器500aに冷却水を供給するようにしてもよい。
【0407】
このように、本実施形態に係る衣類処理装置1000では、ドラム200内の温度が飽和状態に達したとき、又はドラム200内の温度が設定温度に達したときに、熱交換器500aへの冷却水の供給を行うので、洗濯物の乾燥のための各構成要素を効率的に行うことができる。
【0408】
本開示の一実施形態に係る衣類処理装置1000では、ヒータ600aが作動せず、送風ファン400aが作動している低温空気乾燥状態(S800)で、更に乾燥サイクルを実施し(ドラム内の温度を下げる冷却プロセス)、送風ファン500aの作動が終了するまで熱交換器400aへの冷却水の供給を実施してもよい。
【0409】
即ち、ヒータ600aが作動していない状態であっても、送風ファン400aのみを作動させて熱交換器500aを熱交換させることにより、更なる凝縮を実現することができる。また、送風ファン400aの動作に応じて負荷温度を下げることができるため、使用者が熱に触れないようにして安全性を高めることができる。
【0410】
以上説明したように、本実施形態に係る衣類処理装置1000では、送風ファン500aの運転が終了するまで熱交換器400aへの冷却水の供給を行っているので、ヒータ600aを運転していない状態でも更なる凝縮を達成することができ、負荷温度を下げて安全性を高めることができる。
【0411】
以下、本開示の実施形態に係る衣類処理装置1000における熱交換器500aの洗浄サイクルのアルゴリズムについて、より詳細に説明する。
【0412】
本開示の一実施形態に係る衣類処理装置1000において、熱交換器500aの洗浄サイクルは、送風ファン400aの運転を低減した状態で行われてもよい。
【0413】
また、熱交換器500aの洗浄サイクル中であっても、送風ファン400aが所定の強度で運転されている場合には、洗浄用の洗浄水が送風ファン400aによって散布されることがある。この場合、ドラム200内に洗浄水が飛散すると、乾燥対象の洗濯物が再び濡れる可能性がある。
【0414】
これにより、本実施形態に係る衣類処理装置1000では、熱交換器500aの洗浄を送風ファン400aの運転を低減した状態で行うので、送風ファン400aの運転に起因する洗浄水の他の部位への飛散を低減することができる。
【0415】
また、本開示の実施形態に係る衣類処理装置1000は、熱交換器500aの洗濯サイクル中に送風ファン400aを運転させない場合、ヒータ600aの動作及び熱交換器500aへの冷却水の供給のそれぞれを停止してもよい。
【0416】
即ち、送風ファン400aを動作させなければ、乾燥機能が働かなくなるため、ヒータ600aを動作させなくてもよい。また、熱交換器500aへの冷却水の供給も不要であるため、冷却水の供給を停止することが好ましい。
【0417】
以上説明したように、本実施形態に係る衣類処理装置1000では、熱交換器500aの洗浄が行われている間に送風ファン400aの運転が終了すると、ヒータ600aの運転及び熱交換器500aへの冷却水の供給のそれぞれが停止される。これにより、乾燥機能が実行されていない状態での不要な動作を最小限に抑えることができる。
【0418】
本開示の一実施形態に係る衣類処理装置1000において、熱交換器500aの洗浄動作は、ドラム200の回転を増大させた状態で行われてもよい。
【0419】
このように、ドラム200内に洗浄水が流入すると、乾燥対象の洗濯物が再び濡れることがある。
【0420】
そのため、熱交換器500aの洗浄動作中にドラム200の回転を増大させることで、たとえドラム200の表面に洗浄水が流れても、ドラム200の回転に応じてドラム200内に洗浄水が流入することを抑制できる。
【0421】
以上説明したように、本実施形態に係る衣類処理装置1000では、ドラム200の回転を高めた状態で熱交換器500aの洗浄を行うので、ドラム内への洗浄水の流入を低減することができる。
【0422】
図31は、本開示の実施形態に係る衣類処理装置におけるディスペンサ及びハウストラップを示す。
【0423】
図31に示すように、本開示の一実施形態に係る衣類処理装置1000は、ディスペンサ910及びハウストラップ920を更に備えてもよい。
【0424】
ディスペンサ910は、添加剤をドラム200に供給するために設置され、洗濯水が槽100に供給される経路上に設置されてもよい。
【0425】
ハウストラップ920は、ドラム200とディスペンサ910とを接続し、ディスペンサ910を介して供給される洗濯水が流れて洗濯水の流路が密閉される際に洗濯水の一部が溜まる空間を画定する。ハウストラップ920によって、槽100の内部で生成された洗剤泡又は空気がディスペンサ910に逆流するのを制限することができる。
【0426】
この場合、本開示の一実施形態に係る衣類処理装置1000では、脱水サイクルと乾燥サイクルとの間に、排水トラップ920に洗浄水を充填してもよい(S600)。
【0427】
乾燥サイクル中に蒸発した水分をディスペンサ910に排出すると、乾燥効率が低下するため好ましくない。特に、脱水サイクル中に発生する振動により、ハウストラップ920が所定の機能を発揮できない可能性があるため、脱水サイクルと乾燥サイクルの間に、ハウストラップ920に洗濯水を十分に供給することが望ましい。
【0428】
これにより、本実施形態に係る衣類処理装置1000では、洗濯物の乾燥サイクルが行われる前に、ハウストラップ920に洗濯水が充填されるため、洗濯物の乾燥プロセス中に蒸発した水分がディスペンサ910に流入することを抑制できる。
【0429】
以上、本開示の具体的な実施形態について説明して例示してきたが、当業者に明らかなように、本開示は前述した実施形態に限定されず、本開示の技術的思想及び範囲から逸脱することなく様々な変更及び修正を行うことができる。従って、そのような修正又は変形は、本開示の技術的思想及び観点とは別個に理解されるべきではなく、本開示の特許請求(本発明)の範囲に含まれると看做されるべきである。