(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-25
(45)【発行日】2024-10-03
(54)【発明の名称】熱作動型カンチレバー式ビーム光学スキャナ
(51)【国際特許分類】
G02B 26/10 20060101AFI20240926BHJP
B81B 3/00 20060101ALI20240926BHJP
B81B 7/02 20060101ALI20240926BHJP
G02B 27/02 20060101ALN20240926BHJP
G02B 26/08 20060101ALN20240926BHJP
【FI】
G02B26/10 109Z
B81B3/00
B81B7/02
G02B27/02 Z
G02B26/08 F
(21)【出願番号】P 2023055270
(22)【出願日】2023-03-30
(62)【分割の表示】P 2020528051の分割
【原出願日】2018-11-20
【審査請求日】2023-03-30
(32)【優先日】2017-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514108838
【氏名又は名称】マジック リープ, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Magic Leap,Inc.
【住所又は居所原語表記】7500 W SUNRISE BLVD,PLANTATION,FL 33322 USA
(74)【代理人】
【識別番号】100104824
【氏名又は名称】穐場 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100121463
【氏名又は名称】矢口 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100137969
【氏名又は名称】岡部 憲昭
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ デイビッド メルヴィル
【審査官】山本 貴一
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-503938(JP,A)
【文献】特開平09-088805(JP,A)
【文献】特開2004-161002(JP,A)
【文献】特開2010-164596(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0317228(US,A1)
【文献】国際公開第2010/095573(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0247705(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 26/10,26/08
B81B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学走査デバイスを提供することであって、前記光学走査デバイスは、基部と、前記基部から延在するカンチレバー式ビームと、前記カンチレバー式ビーム上に配置される複数のヒータとを備える、ことと、
前記複数のヒータを作動させることにより、前記カンチレバー式ビームの発振を誘発することと、
光源を作動させることにより、光学導波管に結合される光を生成することであって、前記光学導波管は、前記基部および前記カンチレバー式ビーム上に位置付けられ、前記基部から前記カンチレバー式ビームに沿って延在する、ことと
を含む、方法。
【請求項2】
前記カンチレバー式ビームは、前記基部に取り付けられる近位端と、遠位端とを含み、前記複数のヒータを作動させることは、前記カンチレバー式ビームの前記遠位端の発振を誘発する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数のヒータは、前記近位端に近接して前記カンチレバー式ビーム上に配置される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記光学走査デバイスは、
前記カンチレバー式ビームに隣接して前記基部から延在する延在部を含み、前記光学走査デバイスは、前記カンチレバー式ビーム上に配置される
第1の容量感知電極と、前記延在部上に位置付けられる第2の容量感知電極とを含む複数の容量感知電極を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記
第1の容量感知電極と前記第2の容量感知電極
との間の静電容量に対応する静電容量信号を検出することをさらに含み、前記静電容量は、前記カンチレバー式ビームの位置を表す、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記光源は、レーザダイオードであり、前記光は、レーザ光である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記複数のヒータは、4つのヒータを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記複数のヒータは、前記カンチレバー式ビームを中心として離間される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記カンチレバー式ビームは、上部側と、底部側とを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
命令を備えている非一過性コンピュータ読み取り可能媒体であって、前記命令は、1つ以上のプロセッサによって実行されるときに、前記1つ以上のプロセッサに動作を実行させ、前記動作は、
複数のヒータを作動させることにより、光学走査デバイスのカンチレバー式ビームの発振を誘発することであって、前記光学走査デバイスは、基部と、前記基部から延在する前記カンチレバー式ビームと、前記カンチレバー式ビーム上に配置される前記複数のヒータとを備える、ことと、
光源を作動させることにより、光学導波管に結合される光を生成することであって、前記光学導波管は、前記基部および前記カンチレバー式ビーム上に位置付けられ、前記基部から前記カンチレバー式ビームに沿って延在する、ことと
を含む、非一過性コンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項11】
前記カンチレバー式ビームは、前記基部に取り付けられる近位端と、遠位端とを含み、前記複数のヒータを作動させることは、前記カンチレバー式ビームの前記遠位端の発振を誘発する、請求項10に記載の非一過性コンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項12】
前記光学走査デバイスは、
前記カンチレバー式ビームに隣接して前記基部から延在する延在部を含み、前記光学走査デバイスは、前記カンチレバー式ビーム上に配置される
第1の容量感知電極と、前記延在部上に位置付けられる第2の容量感知電極とを含む複数の容量感知電極を含む、請求項10に記載の非一過性コンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項13】
前記動作は、前記
第1の容量感知電極と前記第2の容量感知電極
との間の静電容量に対応する静電容量信号を検出することをさらに含み、前記静電容量は、前記カンチレバー式ビームの位置を表す、請求項12に記載の非一過性コンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項14】
前記光源は、レーザダイオードであり、前記光は、レーザ光である、請求項10に記載の非一過性コンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項15】
1つ以上のプロセッサと、
命令を備えているコンピュータ読み取り可能媒体と
を備えるシステムであって、前記命令は、前記1つ以上のプロセッサによって実行されるときに、前記1つ以上のプロセッサに動作を実行させ、前記動作は、
複数のヒータを作動させることにより、光学走査デバイスのカンチレバー式ビームの発振を誘発することであって、前記光学走査デバイスは、基部と、前記基部から延在する前記カンチレバー式ビームと、前記カンチレバー式ビーム上に配置される前記複数のヒータとを備える、ことと、
光源を作動させることにより、光学導波管に結合される光を生成することであって、前記光学導波管は、前記基部および前記カンチレバー式ビーム上に位置付けられ、前記基部から前記カンチレバー式ビームに沿って延在する、ことと
を含む、システム。
【請求項16】
前記カンチレバー式ビームは、前記基部に取り付けられる近位端と、遠位端とを含み、前記複数のヒータを作動させることは、前記カンチレバー式ビームの前記遠位端の発振を誘発する、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記光学走査デバイスは、
前記カンチレバー式ビームに隣接して前記基部から延在する延在部を含み、前記光学走査デバイスは、前記カンチレバー式ビーム上に配置される
第1の容量感知電極と、前記延在部上に位置付けられる第2の容量感知電極とを含む複数の容量感知電極を含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記動作は、前記
第1の容量感知電極と前記第2の容量感知電極
との間の静電容量に対応する静電容量信号を検出することをさらに含み、前記静電容量は、前記カンチレバー式ビームの位置を表す、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記光源は、レーザダイオードであり、前記光は、レーザ光である、請求項15に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、その内容が、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる、2017年11月22日に出願された米国仮特許出願第62/590,073号の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンの出現以降、汎用コンピューティングおよびマルチメディア通信が可能な多用途かつ常時利用可能なデバイスを有することの多大な有用性が、一般大衆によって実現されている。それにもかかわらず、スマートフォンの顕著な短所は、比較的に小画面サイズであることである。スマートフォンディスプレイ画面は、小型ラップトップコンピュータ画面のサイズのほんの一部分でしかない。
【0003】
ここで、スマートフォンは、最終的に、とりわけ、ユーザに、業務またはエンターテインメント目的のためであるかどうかにかかわらず、自由自在に、ユーザにアクセス可能な比較的に大視野の3D画像出力システムを効果的に提供するであろう、拡張現実眼鏡によって、置換または不可欠的に補完されるであろうことが検討される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
単に、ラップトップによってもたらされる画面サイズを超えること以外に、ラップトップを運ぶことの煩わしさを伴わずに、拡張現実眼鏡は、実世界および仮想コンテンツをシームレスに統合する、新しい複合現実用途を提供するであろう。これは、実世界とのユーザの関与を保つのみならず、また、例えば、自動的に認識された実世界オブジェクト上にオーバーレイされる、自動的に生成されたコンテキスト的に関連する情報、他の当事者の場所に表示される各当事者の3Dアバタを通した、遠隔に位置する人物間の通信、および現実的に挙動する、例えば、実世界内の物理的オブジェクトの境界を尊重する、仮想コンテンツを含む、複合現実ゲーム等、物理的世界の新しいタイプの拡張を有効にする。
【0005】
1つの形態の拡張現実は、画像毎に変調された光の左源および右源からの光をユーザの眼に結合するように構成される、透明接眼レンズのセットを含む。したがって、ユーザは、実世界を視認しながら、同時に、仮想画像を視認することができる。立体視的に正しい別個の左画像および右画像が、提供され得る。加えて、画像を搬送する光の波面の曲率が、ユーザからの仮想画像内に含まれる仮想オブジェクトの意図される距離に基づいて、制御されることができる。前述の手段は両方とも、視認される画像が3次元であることのユーザの知覚に寄与する。実質的に減少された形態の拡張現実眼鏡は、仮想画像の小視野を片眼に提供することができる。
【0006】
拡張現実眼鏡のサイズおよび重量を典型的眼鏡のものに近似する値まで低減させることが望ましいであろう。そのように行うことの障害物は、多くの場合、画像毎に変調された光の源である。シリコン上液晶(LCoS)またはデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)としての2D焦点面アレイ光変調器に基づく高度に小型のプロジェクタでさえ、典型的には、数立方センチメートルの体積を占有し、数グラムの重量となるであろう。画像毎に変調された光の1つの高度にコンパクトな源は、ファイバスキャナである。ファイバスキャナは、圧電駆動管を通して延在する、光ファイバを含む。ファイバスキャナの構造は、骨の折れる手動組立およびエポキシ接合プロシージャを伴い、これは、大量生産される製品にとって、コスト問題となるであろう。ファイバスキャナに関する別の問題は、圧電駆動管内の有意なユニット間変動であり得る。ファイバスキャナに関するさらなる問題は、それらが生じる画像が幾分歪曲され、歪曲がビデオフレーム毎に変動することである。歪曲は、部分的に、圧電スキャナ管内の変動と、可能性として、ファイバおよび圧電スキャナ管の組立から生じる変動とに起因すると考えられる。
【0007】
したがって、当技術分野において、大量生産に適し、走査パターン制御のための対策を含む、コンパクトな拡張現実眼鏡のために好適なコンパクトな光学スキャナの必要がある。
【0008】
本願は、光学走査および投影システムおよび画像を投影させる方法に関する。より具体的には、限定ではないが、本願は、熱駆動型マイクロカンチレバーベースの光学スキャナおよび投影システムおよび画像を投影させる関連付けられた方法に関する。開示されるマイクロカンチレバーベースの光学スキャナおよび投影システムは、カンチレバー式ビームを望ましい方式で発振させ、2次元画像の投影を可能にするために、制御可能熱膨張をカンチレバー式ビーム内で誘発するための抵抗加熱要素のセットを有する、カンチレバー式ビームを含む。
【0009】
ある側面では、光学走査デバイスが、説明される。例えば、光学走査デバイスは、基部と、基部に取り付けられる近位端と、遠位端(例えば、遊離または非支持遠位端)とを含む、カンチレバー式ビーム等の、基部から延在する、カンチレバー式ビームと、基部およびカンチレバー式ビーム上に位置付けられ、近位端から遠位端までのカンチレバー式ビームに沿って、基部から延在する、少なくとも1つの光学導波管と、カンチレバー式ビーム上に配置される、複数のヒータとを備えてもよい。
【0010】
種々のヒータ構成は、本明細書に説明される光学走査デバイスに有用である。例えば、随意に、複数のヒータは、近位端に近接してカンチレバー式ビーム上に配置される。具体的実施形態では、複数のヒータは、4つのヒータを備える。随意に、複数のヒータは、カンチレバー式ビームを中心として離間される。例えば、カンチレバー式ビームは、上部側と、底部側とを有してもよく、随意に、複数のヒータは、第1のヒータと、第2のヒータと、第3のヒータと、第4のヒータとを含む。1つの配列では、第1のヒータおよび第2のヒータは、上部側上に配置され、第3のヒータおよび第4のヒータは、底部側上に配置される。随意に、ヒータは、カンチレバー式ビームが長方形断面を有する場合等のカンチレバー式ビームの角上に配置される。
【0011】
カンチレバー式ビーム、基部、および/または他のコンポーネントは、パターン化、マスキング、リソグラフィ、エッチング、堆積、リフトオフ、犠牲層、または基板等を含む、微小加工の技法を使用して、加工されてもよい。種々の材料および構造が、使用されてもよい。例えば、カンチレバー式ビームおよび基部は、随意に、モノリシックであって、単結晶または多結晶性材料等から一体的に形成されてもよい。随意に、カンチレバー式ビームおよび/または基部は、炭化ケイ素、シリコン、またはダイヤモンドを含んでもよい。これらの材料は、実施形態では、これらの材料が、二酸化ケイ素または窒化ケイ素等の他の材料を著しく上回り得る、大熱伝導性を呈するため、有用であり得る。随意に、ヒータは、白金またはシリコン、例えば、ドープされたシリコン等の抵抗材料を含んでもよい。随意に、ヒータは、カンチレバー式ビーム上の具体的場所においてパターン化され、熱の導入のための精密な場所を提供し、熱膨張をカンチレバー式ビーム内に誘発し、カンチレバー式ビームの反復および交互加熱後、カンチレバー式ビームから基部までの熱の伝導による熱緩和が続くことによって、発振を生じさせる。実施形態では、光学走査デバイスはさらに、基部にわたって複数のヒータまで独立して延在する、複数の電気トレースを備えてもよい。
【0012】
光学走査デバイスは、1つ以上の光学要素を備え、光が光学走査デバイスによって投影されることを可能にしてもよい。例えば、光学走査デバイスはさらに、随意に、少なくとも1つの光学導波管に光学的に結合される、少なくとも1つのレーザダイオード等の、基部上に位置付けられる、少なくとも1つのレーザダイオードを備えてもよい。随意に、少なくとも1つのレーザダイオードは、基部から遠隔に位置付けられてもよい。例えば、光学走査デバイスはさらに、少なくとも1つの光学導波管に光学的に結合される光ファイバ等の、基部と機械的に係合される、光ファイバを備えてもよい。このように、光ファイバは、少なくとも1つのレーザダイオードと光学導波管との間の光学連通を提供し、少なくとも1つのレーザダイオードからの光が光学導波管によって受け取られ、そこから透過または投影されることを可能にしてもよい。実施形態では、少なくとも1つの光学導波管は、10ミクロン以下の断面寸法を有する。例えば、光学導波管は、随意に、1~10ミクロン(それらの値を包含する)の断面幅を有する。随意に、光学導波管は、1~10ミクロン(それらの値を包含する)の断面高さを有する。
【0013】
いくつかの実施形態では、光学走査システムが、提供される。光学走査システムは、共振発振可能光学走査部材と、共振発振可能光学走査部材上に配置される、第1の導体と、共振発振可能光学走査部材に隣接して配置される、第2の導体と、容量感知回路とを備えてもよい。容量感知回路は、第1の導体および第2の導体に結合されてもよく、第1の導体と第2の導体との間の可変静電容量によって変調される、静電容量変調信号を生成するように構成されてもよい。光学走査システムはさらに、共振発振可能光学走査部材に結合される、電気信号/機械力変換器を備えてもよい。電気信号/機械力変換器は、電気信号入力を含んでもよい。
【0014】
いくつかの実施形態では、光学走査システムはさらに、容量感知回路および電気信号/機械力変換器に結合される、位相補正回路を備えてもよい。いくつかの実施形態では、光学走査システムはさらに、位相補正回路を通して電気信号/機械力変換器に結合される、タイミング信号生成器を備えてもよい。位相補正回路は、タイミング信号生成器から受信されたタイミング信号の位相を調節し、少なくとも部分的に、静電容量変調信号に基づいて、位相調節タイミング信号を生成するように構成されてもよい。位相調節タイミング信号は、電気信号/機械力変換器に通過されてもよい。いくつかの実施形態では、光学走査システムはさらに、共振発振可能光学走査部材に光学的に結合される、光源と、光源を駆動するための回路とを備えてもよい。光源を駆動するための回路は、タイミング信号生成器に電気的に結合されてもよい。いくつかの実施形態では、位相補正回路は、位相偏移回路に結合される、位相検出回路を備えてもよい。位相検出回路は、容量感知回路に結合されてもよい。位相偏移回路は、タイミング信号生成器に結合される、入力と、電気信号/機械力変換器に結合される、出力とを含んでもよい。
【0015】
いくつかの実施形態では、画像毎に変調された光の源は、本明細書に説明される光学走査システムを備えてもよく、さらに、フレームバッファと、タイミング信号を生成するためのタイミング信号生成器と、読取回路と、位相補正回路とを備えてもよい。読取回路は、フレームバッファおよびタイミング信号生成器に結合されてもよい。読取回路は、タイミング信号生成器によって決定された時間に、螺旋パターンにおいて、ピクセルデータをフレームバッファから読み取るように構成されてもよい。位相補正回路は、タイミング信号生成器および読取回路に結合されてもよく、容量感知回路にさらに結合されてもよい。位相補正回路は、静電容量変調信号に基づいて、タイミング信号を調節するように構成されてもよい。
【0016】
いくつかの実施形態では、画像を投影させる方法が、提供される。本方法は、光学走査デバイスの複数のヒータを作動させ、光学走査デバイスのカンチレバー式ビームの遠位端の発振を誘発することを含む。光学走査デバイスは、基部と、カンチレバー式ビームと、光学導波管と、カンチレバー式ビーム上に配置される、複数のヒータとを備えてもよい。カンチレバー式ビームは、基部から延在し、基部に取り付けられる近位端と、遠位端とを含んでもよい。光学導波管は、基部およびカンチレバー式ビーム上に位置付けられてもよく、基部からカンチレバー式ビームの遠位端まで延在してもよい。本方法はさらに、1つ以上のレーザダイオードを作動させ、レーザ光を生成することを含む。1つ以上のレーザダイオードは、光学導波管に光学的に結合されてもよい。レーザ光は、カンチレバー式ビームの遠位端における光学導波管から透過され、画像を投影してもよい。
【0017】
いくつかの実施形態では、複数のヒータを作動させることは、カンチレバー式ビームの複数の領域の温度を増加させ得、カンチレバー式ビームの複数の領域の熱膨張を誘発し得る。カンチレバー式ビームの複数の領域の熱膨張は、発振に対応するカンチレバー式ビームの遠位端の偏向を生じさせ得る。いくつかの実施形態では、カンチレバー式ビームの複数の領域は、象限区分に対応する。
【0018】
いくつかの実施形態では、1つ以上のレーザダイオードは、1つ以上のレーザダイオードおよび光学導波管に光学的に結合される、1つ以上の光ファイバを介して、光学導波管に光学的に結合されてもよい。いくつかの実施形態では、光学走査デバイスはさらに、カンチレバー式ビーム上に配置される、第1の容量感知電極と、カンチレバー式ビームに隣接して配置される、第2の容量感知電極とを備えてもよい。本方法はさらに、第1の容量感知電極と容量感知電極との間の静電容量に対応する、静電容量信号を検出することを含んでもよい。本方法はさらに、基準タイミング信号および基準タイミング信号と静電容量信号との間の位相偏移を使用して、位相較正タイミング信号を生成することを含んでもよい。いくつかの実施形態では、複数のヒータが、位相較正タイミング信号に従って作動されてもよく、1つ以上のレーザダイオードが、基準タイミング信号に従って作動されてもよい。代替として、複数のヒータは、基準タイミング信号に従って作動されてもよく、1つ以上のレーザダイオードが、位相較正タイミング信号に従って作動されてもよい。
【0019】
いくつかの実施形態では、発振は、螺旋パターンにおいてカンチレバー式ビームの遠位端を偏向させることに対応し得、画像は、2次元画像に対応し得る。いくつかの実施形態では、1つ以上のレーザダイオードを作動させることは、螺旋パターンピクセルデータをフレームバッファから取得することと、螺旋パターンピクセルデータを1つ以上の駆動信号に変換することと、1つ以上の駆動信号を1つ以上のレーザダイオードに電気的に結合することとを含んでもよい。
【0020】
いくつかの実施形態では、画像投影システムが、提供される。画像投影システムは、可視光を透過させるための光学導波管を含む、共振発振可能光学走査部材を備える。本システムはさらに、共振発振可能光学走査部材上に配置される、第1の導体を備える。本システムはさらに、共振発振可能光学走査部材に隣接して配置される、第2の導体を備える。本システムはさらに、第1の導体および第2の導体に結合される、容量感知回路を備える。容量感知回路は、第1の導体と第2の導体との間の可変静電容量によって変調された静電容量変調信号を生成するように構成されてもよい。本システムはさらに、共振発振可能光学走査部材に結合される、電気信号/機械力変換器を備え、共振発振可能光学走査部材の発振を誘発する。本システムはさらに、タイミング信号を出力するように構成される、タイミング信号生成器を備える。本システムはさらに、容量感知回路およびタイミング信号生成器に結合される、位相補正回路を備える。位相補正回路は、少なくとも部分的に、静電容量変調信号に基づいて、タイミング信号の位相を調節し、位相調節タイミング信号を生成するように構成されてもよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、本システムはさらに、光学導波管に光学的に結合される、光源と、光源を駆動するための回路とを備える。光源を駆動するための回路は、タイミング信号生成器に電気的に結合され、タイミング信号を受信してもよい。代替として、光源を駆動するための回路は、位相補正回路に電気的に結合され、位相調節タイミング信号を受信してもよい。いくつかの実施形態では、電気信号/機械力変換器は、タイミング信号に従って共振発振可能走査部材の発振を誘発するためのタイミング信号生成器に電気的に結合されてもよい。代替として、電気信号/機械力変換器は、位相調節タイミング信号に従って共振発振可能走査部材の発振を誘発するための位相補正回路に電気的に結合されてもよい。
【0022】
本明細書に説明される光学走査デバイスは、種々の構成において使用されてもよい。例えば、光学走査デバイスは、光学走査デバイスを備え、光学走査デバイスに光学的に結合される、透明接眼レンズをさらに備える、拡張現実眼鏡等の拡張現実デバイスのコンポーネントとして有用であり得る。例えば、透明接眼レンズは、光学走査デバイスから受け取られた光を透明接眼レンズに関連して定義された眼位置に結合する一方、また、環境光が透明接眼レンズを通して眼位置に通過することを可能にするように構成されてもよい。
【0023】
実施形態では、開示される光学走査デバイスは、他のコンポーネントを含んでもよい。例えば、光学走査デバイスはさらに、随意に、基部から延在し、カンチレバー式ビームの第1の側に隣接する、1つ以上のサイドアームを備えてもよい。随意に、1つ以上の容量感知電極が、光学走査デバイスの中に組み込まれてもよい。例えば、光学走査デバイスはさらに、随意に、カンチレバー式ビーム上に配置される、第1の容量感知金属被覆と、サイドアーム上に配置される、第2の容量感知金属被覆とを備える。容量感知金属被覆は、カンチレバー式ビーム上に配置される、第1の容量感知電極と、カンチレバー式ビームに隣接して配置される、第2の容量感知電極等との、容量感知電極に対応し得る。
【0024】
容量感知金属被覆または電極は、光学走査デバイスを備える光学走査システム等において、フィードバックを提供するために有用であり得る。随意に、光学走査システムは、第1の容量感知電極と、第2の容量感知電極とを含む、光学走査デバイスと、第1の容量感知電極および第2の容量感知電極に結合される、容量感知回路と、タイミング信号生成器と、タイミング信号をタイミング信号生成器から受信し、可変静電容量変調信号を容量感知回路から受信し、位相偏移制御信号を位相偏移制御信号出力において出力するように構成される、位相検出回路等の、タイミング信号生成器および容量感知回路に結合される、位相検出回路と、タイミング信号を位相偏移制御信号に従う量だけ位相偏移させ、位相較正タイミング信号を生じるように構成される、位相偏移制御回路等の、タイミング信号生成器に結合される、タイミング信号入力、位相偏移制御信号出力に結合される、位相制御入力、および位相調節信号出力を有する、位相偏移回路と、カンチレバー式ビーム上に配置される複数のヒータに結合され、位相較正タイミング信号を位相偏移回路から受信し、複数の加熱信号出力において、較正されたタイミング信号に基づいてタイミング調整される、複数の加熱電力信号を出力するように構成される、複数の加熱信号出力を含む、多相加熱電力信号生成器等の、位相偏移回路に結合される、多相加熱電力信号生成器とを備える。
【0025】
容量感知技法は、概して、他の光学走査または投影システムにおいて使用されてもよいことを理解されたい。例えば、一実施形態では、光学走査システムは、共振発振可能光学走査部材と、共振発振可能光学走査部材上に配置される、第1の導体と、共振発振可能光学走査部材に隣接して配置される、第2の導体と、第1の導体および第2の導体に結合され、第1の導体と第2の導体との間の可変静電容量によって変調された静電容量変調信号を生成するように構成される、容量感知回路と、共振発振可能光学走査部材に結合される、電気信号/機械力変換器であって、電気信号入力を含む、電気信号/機械力変換器とを備える。
【0026】
随意に、光学走査システムはさらに、容量感知回路および電気信号/機械力変換器に結合される、位相補正回路と、位相補正回路を通して電気信号/機械力変換器に結合される、タイミング信号生成器とを備えてもよい。随意に、位相補正回路は、タイミング信号生成器から受信されたタイミング信号の位相を調節し、少なくとも部分的に、静電容量変調信号に基づいて、位相調節タイミング信号を生成するように構成される。随意に、位相調節タイミング信号は、電気信号/機械力変換器に通過される。
【0027】
有用な光学走査システムは、共振発振可能光学走査部材に光学的に結合される、光源と、タイミング信号生成器に電気的に結合される、光源を駆動するための回路等の、光源を駆動するための回路とをさらに備えるものを含む。随意に、位相補正回路は、容量感知回路に結合される、位相検出回路等の、位相偏移回路に結合される、位相検出回路と、タイミング信号生成器に結合される、入力と、電気信号/機械力変換器に結合される、出力とを含む、位相偏移回路とを備える。
【0028】
光学走査システムおよび光学走査デバイスは、実施形態では、画像毎に変調された光の源として有用であり得る。例えば、画像毎に変調された光の源は、投影システムに対応し得る。随意に、画像毎に変調された光の源は、光学走査システムと、フレームバッファと、タイミング信号を生成するためのタイミング信号生成器と、フレームバッファおよびタイミング信号生成器に結合される、読取回路であって、タイミング信号生成器によって決定された時間に、ピクセルデータをフレームバッファから螺旋パターンにおいて読み取るように構成される、読取回路と、静電容量変調信号に基づいて、タイミング信号を調節するように構成される、位相補正回路等の、タイミング信号生成器および読取回路に結合され、容量感知回路にさらに結合される、位相補正回路とを備える。
【0029】
光学走査システム、光学走査デバイスを動作させる、または1つ以上の画像を投影させる方法等の方法もまた、本明細書に開示される。本側面の方法は、随意に、光学走査デバイスの複数のヒータを作動させ、基部と、基部から延在し、基部に取り付けられる近位端と、遠位端とを含む、カンチレバー式ビーム等の、カンチレバー式ビームと、基部およびカンチレバー式ビーム上に位置付けられ、基部からカンチレバー式ビームの遠位端まで延在する、光学導波管と、カンチレバー式ビーム上に配置される、複数のヒータとを備える、光学走査デバイス等の、光学走査デバイスのカンチレバー式ビームの遠位端の発振を誘発することと、1つ以上のレーザダイオードを作動させ、レーザ光を生成することとを含んでもよい。随意に、1つ以上のレーザダイオードは、光学導波管に光学的に結合される。随意に、レーザ光は、カンチレバー式ビームの遠位端における光学導波管から透過され、画像を投影する。
【0030】
複数のヒータを作動させることは、カンチレバー式ビームの複数の領域の温度を増加させ、カンチレバー式ビームの複数の領域の熱膨張を誘発させ得ることを理解されたい。例えば、カンチレバー式ビームの複数の領域の熱膨張は、発振に対応するカンチレバー式ビームの遠位端の偏向を生じさせ得る。随意に、カンチレバー式ビームの複数の領域は、象限区分に対応する。1つ以上のレーザダイオードは、随意に、1つ以上のレーザダイオードおよび光学導波管に光学的に結合される、または随意に、基部上に位置付けられ、直接、光学波に光学的に結合される、1つ以上の光ファイバを介して、光学導波管に光学的に結合されてもよいことを理解されたい。
【0031】
上記に説明されるように、容量感知電極は、加熱要素および光学源(例えば、レーザダイオード)の作動を制御するためのフィードバック機構として有用であり得る。随意に、光学走査デバイスはさらに、カンチレバー式ビーム上に配置される、第1の容量感知電極と、カンチレバー式ビームに隣接して配置される、第2の容量感知電極とを備える。例えば、本側面の本方法はさらに、第1の容量感知電極と第2の容量感知電極との間の静電容量に対応する、静電容量変調信号を検出することと、基準タイミング信号および基準タイミング信号と静電容量信号との間の位相偏移を使用して、位相較正タイミング信号を生成することとを含んでもよい。基準タイミング信号および位相調節タイミング信号を組み込む、異なる作動構成が、使用されてもよい。例えば、複数のヒータは、随意に、位相較正タイミング信号に従って作動される一方、1つ以上のレーザダイオードは、基準タイミング信号に従って作動される。随意に、複数のヒータは、基準タイミング信号に従って作動され、1つ以上のレーザダイオードは、位相較正タイミング信号に従って作動される。
【0032】
上記に説明されるように、発振は、カンチレバー式ビームの遠位端を螺旋パターンにおいて偏向させることに対応し得る。投影された画像は、2次元画像に対応し得る。画像を適切に投影するために、種々の詳細が、使用されてもよい。例えば、1つ以上のレーザダイオードを作動させることは、随意に、螺旋パターンピクセルデータをフレームバッファから取得することと、螺旋パターンピクセルデータを1つ以上の駆動信号に変換することと、1つ以上の駆動信号を1つ以上のレーザダイオードに電気的に結合することとを含む。
【0033】
本明細書に説明される光学走査システムおよび光学走査デバイスはまた、画像投影システムにおいて有用であり得る。本明細書に説明される種々の側面は、概して、画像投影システムにおいて有用であり得る。例えば、画像投影システムは、可視光を透過させるための光学導波管を含む、共振発振可能光学走査部材と、共振発振可能光学走査部材上に配置される、第1の導体と、共振発振可能光学走査部材に隣接して配置される、第2の導体と、第1の導体および第2の導体に結合され、第1の導体と第2の導体との間の可変静電容量によって変調された静電容量変調信号を生成するように構成される、容量感知回路と、共振発振可能光学走査部材に結合され、共振発振可能光学走査部材の発振を誘発する、電気信号/機械力変換器と、タイミング信号を出力するように構成される、タイミング信号生成器と、タイミング信号の位相を調節し、少なくとも部分的に、静電容量変調信号に基づいて、位相調節タイミング信号を生成するように構成される、位相補正回路等の、容量感知回路およびタイミング信号生成器に結合される、位相補正回路とを備えてもよい。
【0034】
有用な画像投影システムは、光学導波管に光学的に結合される、光源と、タイミング信号生成器に電気的に結合され、タイミング信号を受信する、光源を駆動するための回路、または位相補正回路に電気的に結合され、位相調節タイミング信号を受信する、光源を駆動するための回路等の光源を駆動するための回路とを備えるものを含む。
【0035】
有用な共振発振可能光学走査部材は、光学導波管を支持する、カンチレバー式ビームと、カンチレバー式光ファイバとを含む。有用な電気信号/機械力変換器は、構造を加熱することによって熱膨張および偏向を誘発する構造上に、および、圧電構造を電圧に暴露することによって物理的膨張および偏向を誘発し得る圧電構造上に位置付けられる、ヒータを含む。随意に、電気信号/機械力変換器は、タイミング信号に従って共振発振可能走査部材の発振を誘発するためのタイミング信号生成器に電気的に結合される。随意に、電気信号/機械力変換器は、位相調節タイミング信号に従って共振発振可能走査部材の発振を誘発するための位相補正回路に電気的に結合される。
【0036】
前述は、他の特徴および実施形態とともに、以下の説明、請求項、および付随の図面を参照することに応じて、より明白となるであろう。
本明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
光学走査デバイスであって、
基部と、
前記基部から延在するカンチレバー式ビームであって、前記カンチレバー式ビームは、前記基部に取り付けられる近位端と、遠位端とを含む、カンチレバー式ビームと、
少なくとも1つの光学導波管であって、前記少なくとも1つの光学導波管は、前記基部および前記カンチレバー式ビーム上に位置付けられ、前記近位端から前記遠位端までの前記カンチレバー式ビームに沿って、前記基部から延在する、少なくとも1つの光学導波管と、
前記カンチレバー式ビーム上に配置される複数のヒータと
を備える、光学走査デバイス。
(項目2)
前記複数のヒータは、前記近位端に近接して前記カンチレバー式ビーム上に配置される、項目1に記載の光学走査デバイス。
(項目3)
前記複数のヒータは、4つのヒータを備える、項目1に記載の光学走査デバイス。
(項目4)
前記複数のヒータは、前記カンチレバー式ビームを中心として離間される、項目1に記載の光学走査デバイス。
(項目5)
前記カンチレバー式ビームは、上部側と、底部側とを有する、項目1に記載の光学走査デバイス。
(項目6)
前記複数のヒータは、第1のヒータと、第2のヒータと、第3のヒータと、第4のヒータとを含み、前記第1のヒータおよび前記第2のヒータは、前記上部側上に配置され、前記第3のヒータおよび前記第4のヒータは、前記底部側上に配置される、項目5に記載の光学走査デバイス。
(項目7)
前記基部および前記カンチレバー式ビームは、炭化ケイ素を含む、項目1に記載の光学走査デバイス。
(項目8)
前記カンチレバー式ビームは、シリコン、炭化ケイ素、またはダイヤモンドを含む、項目1に記載の光学走査デバイス。
(項目9)
前記ヒータは、白金またはシリコンを含む、項目1に記載の光学走査デバイス。
(項目10)
前記基部上に位置付けられる少なくとも1つのレーザダイオードをさらに備え、前記少なくとも1つのレーザダイオードは、前記少なくとも1つの光学導波管に光学的に結合される、項目1に記載の光学走査デバイス。
(項目11)
前記基部にわたって前記複数のヒータまで独立して延在する複数の電気トレースをさらに備える、項目1に記載の光学走査デバイス。
(項目12)
前記基部と機械的に係合される光ファイバをさらに備え、前記光ファイバは、前記少なくとも1つの光学導波管に光学的に結合される、項目1に記載の光学走査デバイス。
(項目13)
前記少なくとも1つの光学導波管は、10ミクロン以下の断面幅と、10ミクロン以下の断面高さとを有する、項目1に記載の光学走査デバイス。
(項目14)
前記基部から延在し、前記カンチレバー式ビームの第1の側に隣接する第1のサイドアームをさらに備える、項目1に記載の光学走査デバイス。
(項目15)
前記基部から延在し、前記カンチレバー式ビームの第2の側に隣接する第2のサイドアームをさらに備える、項目14に記載の光学走査デバイス。
(項目16)
前記カンチレバー式ビーム上に配置される第1の容量感知金属被覆と、
前記第1のサイドアーム上に配置される第2の容量感知金属被覆と
をさらに備える、項目14に記載の光学走査デバイス。
(項目17)
前記カンチレバー式ビームは、近位端断面寸法と、遠位端断面寸法とを有し、前記近位端断面寸法は、前記遠位端断面寸法を超える、項目1に記載の光学走査デバイス。
(項目18)
拡張現実眼鏡であって、
光学走査デバイスであって、
基部と、
前記基部から延在するカンチレバー式ビームであって、前記カンチレバー式ビームは、前記基部に取り付けられる近位端と、遠位端とを含む、カンチレバー式ビームと、
少なくとも1つの光学導波管であって、前記少なくとも1つの光学導波管は、前記基部および前記カンチレバー式ビーム上に位置付けられ、前記近位端から前記遠位端までの前記カンチレバー式ビームに沿って、前記基部から延在する、少なくとも1つの光学導波管と、
前記カンチレバー式ビーム上に配置される複数のヒータと
を備える、光学走査デバイスと、
前記光学走査デバイスに光学的に結合される透明接眼レンズであって、前記透明接眼レンズは、前記光学走査デバイスから受け取られた光を前記透明接眼レンズに関連して定義された眼位置に結合するように構成される、透明接眼レンズと
を備える、拡張現実眼鏡。
(項目19)
光学走査システムであって、
基部と、
前記基部から延在するカンチレバー式ビームであって、前記カンチレバー式ビームは、前記基部に取り付けられる近位端と、遠位端とを含む、カンチレバー式ビームと、
少なくとも1つの光学導波管であって、前記少なくとも1つの光学導波管は、前記基部および前記カンチレバー式ビーム上に位置付けられ、前記近位端から前記遠位端までの前記カンチレバー式ビームに沿って、前記基部から延在する、少なくとも1つの光学導波管と、
前記カンチレバー式ビーム上に配置される第1の容量感知電極と、
前記カンチレバー式ビームに隣接して配置される第2の容量感知電極と
を備える、光学走査システム。
(項目20)
前記第1の容量感知電極および前記第2の容量感知電極に結合される容量感知回路と、
タイミング信号生成器と、
位相検出回路であって、前記位相検出回路は、前記タイミング信号生成器および前記容量感知回路に結合され、タイミング信号を前記タイミング信号生成器から受信し、可変静電容量変調信号を前記容量感知回路から受信し、位相偏移制御信号を位相偏移制御信号出力において出力するように構成される、位相検出回路と、
位相偏移回路であって、前記位相偏移回路は、前記タイミング信号生成器に結合されるタイミング信号入力と、前記位相偏移制御信号出力に結合される位相制御入力と、位相調節信号出力とを有し、前記位相偏移回路は、前記タイミング信号を前記位相偏移制御信号に従う量だけ位相偏移させ、位相較正タイミング信号を生じるように構成される、位相偏移回路と、
前記位相偏移回路に結合される多相加熱電力信号生成器であって、前記多相加熱電力信号生成器は、前記カンチレバー式ビーム上に配置される複数のヒータに結合される複数の加熱信号出力を含み、前記多相加熱電力信号生成器は、前記位相較正タイミング信号を前記位相偏移回路から受信し、前記複数の加熱信号出力において、前記位相較正タイミング信号に基づいてタイミング調整される複数の加熱電力信号を出力するように構成される、多相加熱電力信号生成器と
をさらに備える、項目19に記載の光学走査システム。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】
図1は、ウェアラブル拡張現実システム実施形態の略図を提供する。
【0038】
【
図2】
図2は、いくつかの実施形態による、光学走査デバイスを含む光学投影システムの詳細を描写するウェアラブル光学デバイスの略図を提供する。
【0039】
【
図3】
図3は、いくつかの実施形態による、光学走査デバイス構成の略図を提供する。
【0040】
【
図4】
図4は、いくつかの実施形態による、種々のデバイス要素の詳細を提供する光学走査デバイスの斜視概略図を提供する。
【0041】
【
図5】
図5は、いくつかの実施形態による、光学走査デバイスの上部平面略図を提供する。
【0042】
【
図6】
図6は、いくつかの実施形態による、光学走査デバイスの一部の拡大概略図を提供する。
【0043】
【
図7】
図7は、いくつかの実施形態による、光学走査デバイスの底部平面略図を提供する。
【0044】
【
図8】
図8は、いくつかの実施形態による、光学走査デバイスの上部平面略図を提供する。
【0045】
【
図9】
図9は、いくつかの実施形態による、光学デバイスのコンポーネントの略図を提供する。
【0046】
【
図10】
図10は、光学走査デバイスを駆動するために実施形態において使用される4つの別個の加熱要素のグラフィック概要を提供する。
【0047】
【
図11】
図11は、円形または螺旋構成において光学走査デバイスを駆動するために実施形態において使用される4つの加熱要素に提供される加熱電力信号の代表的プロットを提供する。
【0048】
【
図12】
図12は、光学走査デバイス内のカンチレバー端部のための例示的螺旋経路を示すプロットを提供する。
【0049】
【
図13】
図13は、螺旋経路に沿って等しく時間的に離間されたピクセル位置の実施例を示すプロットを提供する。
【0050】
【0051】
【
図15】
図15は、いくつかの実施形態による、光学走査デバイスを駆動するためのシステムのコンポーネントを表すブロック図を提供する。
【0052】
【
図16】
図16は、いくつかの実施形態による、光学走査デバイスを駆動するためのシステムのコンポーネントを表すブロック図を提供する。
【0053】
【
図17】
図17は、光学投影方法の側面を説明するフロー図を提供する。
【0054】
【
図18】
図18は、いくつかの実施形態による、光学走査デバイスの斜視概略図を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0055】
本明細書に説明されるのは、光学スキャナ、光学投影システム、および光学導波管を走査し、画像を投影させる方法の実施形態である。開示されるデバイスおよびシステムは、有利には、光学スキャナおよび光学投影システム内のカンチレバーの発振を誘発するための熱駆動型アクチュエータを実装することによって、光学スキャナおよび光学投影システムのコンパクト性、ロバスト性、単純性、および信頼性に対する改良を提供する。
【0056】
開示されるデバイスは、マイクロスケール光学走査要素を含んでもよく、これは、例えば、本明細書では、カンチレバー、カンチレバー式ビーム、および同等物とも称される、マイクロカンチレバーとして例示され得る。カンチレバーは、本明細書では、近位端と称される、単一端上でのみ基部によって支持される一方、本明細書では、遠位端と称される、反対端が、支持されない、プラットフォーム、ビーム、または他の部分的に懸架された構造を指し得る。光学走査要素のコンポーネントは、パターン化、リソグラフィ、マスキング、エッチング、リフトオフ、堆積、および他の技法を含む、微小加工の技術から借用される技術を通して加工されてもよい。
【0057】
有利には、光学走査要素は、結晶性および/または多結晶性材料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、マイクロカンチレバーおよび支持基部等の光学走査要素のコンポーネントは、シリコン、炭化ケイ素、ダイヤモンド、および同等物等の比較的に高熱伝導性を有する材料から加工されてもよい。例示的な有用な熱伝導性は、50W/m・K~2500W/m・Kの範囲から選択される、または100W/m・K~500W/m・Kの範囲から選択される、約50W/m・Kを上回るものを含む。高熱伝導性を有する材料の使用は、熱アクチュエータによって導入される熱をより迅速に消散させるために有利であり得る。
【0058】
本明細書に説明される光学走査要素において有用な材料は、非ゼロ熱膨張係数をさらに呈し、カンチレバー式ビームの領域が加熱されると、カンチレバー式ビームが偏向することを可能にし得る。種々の実施形態に有用な例示的線形熱膨張係数は、1×10-6/K~50×10-6/Kの範囲から選択される、または1×10-6/K~10×10-6/Kの範囲から選択される、1×10-6/Kを上回る値を有するものを含む。
【0059】
他の材料も、種々の目的のために、本明細書に説明される光学走査要素の中に組み込まれてもよい。例えば、金属は、例えば、導電性要素または抵抗加熱要素として組み込まれてもよい。例えば、銅、アルミニウム、金、および/または銀は、伝導性材料として有用であり得る。ドープされたシリコン、ドープされた炭化ケイ素等の他の低抵抗率材料も同様に、有用であり得る。白金、低ドープされたシリコン、酸化ケイ素、窒化ケイ素、金属酸化物等のある材料は、加熱要素として有用であり得る。実施形態では、これらの材料は、好適な電気抵抗率を呈し、電流を材料を通して通過させることによって、具体的場所における熱の有用な生成を可能にし得る。
【0060】
開示される光学走査要素は、デバイスの用途および構造に応じて、20kHz~250kHz等の任意の好適な特性共振周波数をカンチレバー式ビーム内に呈し得る。いくつかの実施形態では、約62kHzの特性共振周波数が、採用されてもよい。カンチレバー式ビームスキャナコンポーネントのサイズは、特性共振周波数を決定付け得る。カンチレバー式ビームの好適な寸法は、50μm~250μmの厚さと、50μm~250μmの幅と、500μm~2000μmの長さとを含んでもよい。カンチレバー式ビームのための例示的寸法は、約100μmの幅と、約100μmの厚さと、約1000μmの長さとを含む。
【0061】
本明細書に説明される光学スキャナおよび光学投影システムは、例えば、透明接眼レンズを組み込み、環境からの光と光学投影システムによって生成された光との両方がユーザの眼に到達することを可能にする、拡張現実眼鏡等のウェアラブル拡張現実システムにおいて有用であり得る。
図1は、フレーム105を含む、ウェアラブル拡張現実システム100の略図を提供する。光学投影システム(
図1には図示せず)によって生成された光は、入力光学要素110によって受け取られ、これは、光を、第1の瞳拡張光学要素115と、第2の瞳拡張光学要素120とを通して指向し、投影された光の少なくとも一部をユーザの眼位置125に指向する。入力光学要素110、第1の瞳拡張光学要素115、および第2の瞳拡張光学要素120は、接眼レンズ117のコンポーネントである。接眼レンズ117は、透明材料を含んでもよく、入力光学要素110、第1の瞳拡張光学要素115、および第2の瞳拡張光学要素120は、格子等の表面レリーフまたは体積マイクロ光学要素の形態をとってもよい。眼位置125は、瞳拡張光学要素115および120が、少なくとも部分的に、可視スペクトル領域内で透過性であるため、ユーザの眼がフレーム105および環境の両方からの光を受け取るためのユーザの眼の近似場所を表すことを理解されたい。ウェアラブル拡張現実システムおよび関連付けられたコンポーネントの構成の詳細はさらに、2016年8月22日に出願された米国仮特許出願第62/377,831号、および2017年8月22日に出願された米国非仮特許出願第15/683,412号、第15/683,624号、第15/683,638号、第15/683,644号、第15/683,702号、および第15/683,706号に説明される。これらの出願は、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる。
【0062】
拡張現実システム100のさらなる詳細は、
図2に図式的に描写され、これは、フレーム105と、光ファイバ230と、1つ以上の機械的支持体235と、カンチレバー式光学スキャナ240と、コリメートおよび結合光学245と、入力光学要素110および瞳拡張光学要素115および120を含む、種々の光学要素とを描写する。
【0063】
図3は、カンチレバー式光学スキャナ240の略図を提供する。カンチレバー式光学スキャナ240は、基部305と、カンチレバー式ビーム310とを含む。随意に、基部305およびカンチレバー式ビーム310は、一体的およびモノリシックに形成され、単一デバイス要素の異なる部分を表す。例えば、基部305は、別の基板または支持コンポーネントに取り付けられてもよい一方、カンチレバー式ビーム310は、近位位置において基部305に取り付けられ、遠位位置において自立式であってもよい(すなわち、支持されない)。カンチレバー式ビーム310は、
図3では、光学導波管315を支持し、入力要素からの光をコリメートおよび結合光学245に結合し、入射光をコリメートおよび再指向することを可能にし得るように描写される。基部305は、v-溝320を支持する、またはそれを含むように構築され得、これは、光ファイバを光ファイバのコアを光学導波管315に光学的に結合するための場所に位置付けるための機械的結合要素に対応し得る。光学導波管315からの光は、結合光学245に指向され、そこで、コリメートされ、拡張現実システム100の入力光学要素110等の他の光学コンポーネントに指向される。光学導波管315からの線形偏光された光は、結合光学245の入力表面325に入射し、偏光ビームスプリッタ(PBS)330を通して透過され、4分の1波長板(QWP)335に到達する。代替実施形態によると、光は、PBS330上への入射時に判断されるように、s-偏光またはp-偏光されてもよい。QWP335を通して通過することに応じて、光の偏光状態は、線形偏光から円偏光に変換される(例えば、代替実施形態によると、円偏光は、QWPの配向に応じて、RHCPまたはLHCPであってもよい)。光は、次いで、凹面ミラー340によって反射される。反射に応じて、光の円偏光された状態は、逆転される(すなわち、RHCPからLHCPまたはその逆に切り替えられる)。その後、再びQWP335を通して通過することに応じて、光は、初期線形偏光状態と垂直な線形偏光状態に変化され、したがって、PBS330によって出射表面345に向かって下方に反射されるであろう。出射表面345を通して通過することに応じて、現時点でコリメートされている光は、入力光学要素110に入射するであろう。コリメートされた光は、入力光学要素および瞳拡張光学要素115および120によって、ユーザの眼位置125に再指向されるであろう。入力光学要素110に入射する光は、その角度が光学導波管315の遠位先端の瞬間位置に従って変動される、光のビームの形態をとる。ビームの各角度は、角度座標内に定義される画像ピクセルに対応する。第1の瞳拡張要素115は、(
図1の斜視図では)光を第2の瞳拡張光学要素120に向かって下方に漸次的に再指向し、それによって、ビームの水平幅を増加させる。第2の瞳拡張光学要素120は、光を、概して、ユーザの眼位置に向かって外に漸次的に再指向し、それによって、ビームの垂直高さを増加させる。一部の光はまた、ユーザ眼位置から外向きに指向され得ることを理解されたい。水平幅および垂直高の拡張は、アイボックスを充填し、これは、ユーザの瞳孔の移動のための公差を提供する一方、出力画像の可視性を維持する。
【0064】
図4は、光学走査デバイス400の斜視概略図を提供する。光学走査デバイス400は、基部405と、カンチレバー式ビーム410とを含む。基部405は、レンズ状光ファイバ等の光ファイバ420を光ファイバ420のコアと光学導波管425との間の光学連通のための位置に位置付けるためのv-溝415を含む。基部405はまた、カンチレバー式ビーム410上に配置される加熱要素435を含む、他の要素と電気連通するように配列される、電気接点430を含む。シャーシ440は、他のコンポーネントを包囲し、基部405および光学要素445を支持し、カンチレバー式ビーム410および光学導波管425に対する光学要素445の適切な位置付けを確実にするために使用されてもよい。光学走査デバイス400は、
図4では、位置感知接点450と位置感知接点465との間の時間依存静電容量測定等を用いて、カンチレバー式ビーム410と位置感知接点450との間の距離を感知し、カンチレバー式ビーム410のための位置情報を提供するために有用であり得る、位置感知接点450および465を含むように図示される。
【0065】
図5は、光学走査デバイス500の上部平面概略図を提供する。光学走査デバイス500は、
図4に描写される光学走査デバイス400に類似する、および/またはそれに対応し得る。一実施例では、光学走査デバイス500は、62kHzMEMS共振螺旋光学スキャナであってもよい。光学走査デバイス500は、基部505と、カンチレバー式ビーム510とを含む。基部505は、光ファイバ520を光ファイバ520のコアと光学導波管525との間の光学連通のための位置に位置付けるためのv-溝515を含む。基部505はまた、カンチレバー式ビーム510上に配置される加熱要素535等の他の要素と電気連通するように配列される、電気接点530を含む。光学走査デバイス500は、
図5では、カンチレバー式ビーム510に隣接して位置付けられる、延在部545を含むように図示され、延在部545は、上記および
図15を参照して下記に説明されるように、時間依存静電容量測定のために有用であり得る、感知電極550を含む。
【0066】
図6は、光学走査デバイス600の拡大斜視図を提供する。光学走査デバイス600は、
図4および5に描写される光学走査デバイス400および500に類似する、および/またはそれに対応し得る。光学走査デバイス600は、光ファイバ620の端部がv-溝615内に係合され、光学導波管625と整合して位置付けられ、および/またはそれに光学的に結合された状態で示される。電気トレース630は、電気接続をカンチレバー式ビーム610上に位置付けられる加熱要素635に提供するように示される。
【0067】
図7は、光学走査デバイス700の底部平面図略図を提供する。光学走査デバイス700は、
図4-6に描写される光学走査デバイス400、500、および600に類似し、および/またはそれに対応し得る。光学走査デバイス700は、基部705と、カンチレバー式ビーム710とを含む。光学走査デバイス700は、
図7では、時間依存静電容量測定等を用いて、カンチレバー式ビーム710と延在部745の上部側上の位置感知接点(
図7では不可視)との間の距離を識別し、カンチレバー式ビーム710に関する位置情報を提供するために有用であり得る、感知接点750を含むように図示される。電気トレース730は、電気接続をカンチレバー式ビーム710上に位置付けられる加熱要素735および感知接点750に提供するように示される。
【0068】
図8は、光学走査デバイス800の上部平面図略図を提供する。光学走査デバイス800は、
図4-7に描写される光学走査デバイス400、500、600、および700に類似するが、光学走査デバイス800は、局所光学源を含む。光学走査デバイス800は、基部805と、カンチレバー式ビーム810とを含む。v-溝および光ファイバの代わりに、光学走査デバイス800は、複数の光学源815A、815B、および815Cを基部805上に含み、これは、例えば、異なる色(例えば、赤色、緑色、および青色)のレーザダイオードに対応し得る。代替として、光学源の数は、3つを超えて増加されて明度を増加させてもよい、または、3つを上回る放出波長が提供される場合、色域を増加させてもよい。いくつかの実施形態では、光ファイバおよび局所光学源は両方とも、光学走査デバイスの中に組み込まれてもよいことを理解されたい。
【0069】
光学走査デバイス800は、
図8では、時間依存静電容量測定等を用いて、カンチレバー式ビーム810とカンチレバー式ビーム810の底部側上の位置感知接点(
図8では不可視)との間の距離を識別し、カンチレバー式ビーム810に関する位置情報を提供するために有用であり得る、位置感知接点845を含むように図示される。電気接点830は、電気伝導性を加熱要素835および感知接点845に提供するように示される。複数の導波管825A、825B、および825Cが、
図8に描写される。導波管825Aは、光学走査デバイス800上に位置付けられ、基部805からカンチレバー式ビーム810の遠位端まで延在し、光学源815Aと直接光学連通する。導波管825Bおよび825Cは、基部805上に位置付けられ、それぞれ、光学源815Bおよび815Cと直接光学連通するように示される。随意に、導波管825Bおよび825Cは、導波管825Aと同様に、基部805からカンチレバー式ビーム810の遠位端まで延在してもよい。しかしながら、
図8に描写される構成では、指向性光学結合が、採用され、光学導波管825Aと825Bとの間および光学導波管825Aと825Cとの間の隣接する部分の間隔および長さは、例えば、エバネッセント結合によって、光学導波管825B内の光を光学導波管825Aに伝達し、光学導波管825C内の光を光学導波管825Aに伝達するように選択される。
【0070】
図9は、接眼レンズ配列900の略図を提供し、これは、例えば、
図1に描写される構成の代替として使用され得る。配列900では、光学走査デバイス905は、直接、光910を第1の光学要素915上に投影し、これは、光学走査デバイス905からの光910の少なくとも一部をユーザの眼位置920に指向し得る。第2の光学要素925は、環境からの光930が、直接、ユーザの眼位置920に通過することを可能にし、光学走査デバイスから投影された光910が、拡張現実視認のために、環境光930上および/または内にオーバーレイされて現れることを可能にし得る。光学走査デバイス905からの光は、第1の光学要素915と第2の光学要素925との間の間隙935において、全内部反射(TIR)を受ける一方、環境からの光は、その異なる入射角範囲に起因して、間隙935を通して通過し、ユーザの眼位置920に到達する。
【0071】
複数の独立加熱要素が、
図4-8に描写される光学走査デバイス内に含まれることを理解されたい。随意に、カンチレバー式ビームの上部表面上の2つの加熱要素およびカンチレバー式ビームの底部表面上の2つの加熱要素等の4つの加熱要素が、光学走査デバイス内に含まれる。
図10は、発振を光学走査デバイス内に誘発するために使用される、4つの加熱要素の電気構成のグラフィック概要を提供する。
図10では、加熱要素1005、1010、1015、および1020は、直交加熱電力信号源1025と独立電気連通するように位置付けられる。
【0072】
図11は、円形または螺旋パターンにおいて光学走査デバイスを駆動するための4つの加熱要素に提供される、加熱電力信号1105、1110、1115、および1120の代表的プロットを提供する。加熱電力信号は、特性反復レートおよび振幅を有するように示され、これは、付与されることが所望される発振の大きさに応じて変動し得る。加熱電力信号1105、1110、1115、および1120の位相は、90度偏移され、これは、カンチレバー式ビームの偏向の連続進行を生成し、例えば、全体的円形または螺旋運動を生成することを提供し得る。
【0073】
図11に描写される加熱電力信号の大きさおよび持続時間は、代表的および例証的目的のためのものであって、加熱電力信号は、
図11におけるものと同一または異なってもよいことを理解されたい。一般に、加熱電力信号は、概して、カンチレバービームの共振周波数に合致する反復周波数を有する形態に対応し得る。例えば、加熱電力信号はそれぞれ、
図11に図示されるように、反復周期の持続時間の1/4の方形波、または反復周期の持続時間の1/4より長いまたはそれ未満の方形波に対応し得る。随意に、加熱電力信号は、パルス(例えば、ガウス成形パルス)、三角形波、または他の非方形波に対応し得る。さらに、加熱電力信号の大きさは、時間の関数として変動され、可変偏向をカンチレバー式ビーム内に誘発し得、これは、カンチレバー式ビームの遠位端の螺旋または他の偏向パターンを生成するために有用であり得る。加えて、一定振幅の信号は、連続パルス周期の間、エネルギーをカンチレバー式ビームに追加することができ、それによって、螺旋パターンの半径方向座標は、摩擦損失がパルス状信号がエネルギーを螺旋発振に追加するレートと等しくなるまで、波形周期毎に徐々に増加する。いったん所定の最大半径方向座標が、達成されると、駆動信号の位相は、180°偏移され、カンチレバービームをその中心位置に戻し得る。代替として、カンチレバー式ビームの軌道は、ゼロまで戻るように減弱することを可能にされ得る。
【0074】
本明細書に開示される光学走査デバイスは、画像または画像のシーケンスを生成および投影し、動画または運動写真を表すように、投影システムにおいて有用である。螺旋発振を繰り返し、異なる画像を出力することによって、フレーム毎画像投影が、生成され得る。投影システムの種々の実装は、本明細書に説明される光学走査デバイスに有用であって、走査デバイスの位置の関数として、光学走査デバイスによって出力および投影される光を制御することによって、任意の望ましい画像が、投影されることができる。
【0075】
例えば、
図12は、サンプル螺旋走査パターンを描写し、これは、カンチレバー式ビームの遠位端の位置またはカンチレバー式ビームの遠位端における光学導波管から出射する投影された光のビームの場所を表し得る。描写される螺旋走査パターンは、単に、例示的であって、他の走査パターンも、種々の実施形態に有用であり得ることを理解されたい。例えば、螺旋走査パターンは、中心から周縁への走査方向または周縁から中心への走査方向を表してもよい。加えて、そのような走査パターンは、時計回りまたは反時計回りであってもよい。
図13は、
図12に描写される螺旋走査パターンに従って発振するカンチレバー式ビームの遠位端の時間的に等しく離間される場所の位置、またはカンチレバー式ビーム上の光学導波管から投影される光のビームの位置を描写する。
図12および13における描写は、
図14において相互上にオーバーレイされて図示される。そのような走査パターンおよび投影位置の使用は、螺旋走査パターンの反復に応じて、画像または一連の画像の投影を可能にし得る。
【0076】
図13に描写される位置場所は、ピクセル出力場所に対応し得ることを理解されたい。結合光学245は、各ピクセルが接眼レンズ117によって生じられた視野内の角度座標によって説明されるように、各位置を結合光学245によって出力されるコリメートされたビームの具体的角度にマッピングすることに留意されたい。デジタル画像およびビデオのデジタルフレームを構成する、ピクセルは、一般に、ラスタグラフィック構造内のピクセルの長方形グリッド内に記憶され、これは、
図13に描写されるピクセル出力場所と直接互換性がない場合があり、最初に、画像の中心の近傍の特定のピクセル、後に、周縁の近傍のピクセルを読み取ることを要求し得る。加えて、ラスタグラフィック構造内のピクセル補間およびピクセルの操作が、螺旋走査パターン内に投影された画像が、ラスタグラフィック構造内に記憶されるものと同一に現れるために必要であり得る。例えば、本明細書に開示されるもののような螺旋走査投影システムによって出力されるために必要とされるピクセルのx-yアドレスは、螺旋走査アドレスシーケンス生成器の使用によって取得され得る。ランダムアクセス読取回路は、対応するピクセル情報をラスタグラフィック構造内のフレームバッファ記憶ピクセルから取得することを補助し得る。デジタルピクセル情報は、1つ以上のアナログ値に変換されてもよく、これは、次いで、レーザダイオード等の1つ以上の光源を駆動するために増幅され、出力のための適切な強度を提供し得る。
【0077】
画像を正しく投影するために、ピクセル情報および出力光強度は、光学投影システム内のカンチレバー式ビームの遠位端の位置によって決定付けられる、出力光の投影場所と時間的に合致される必要があるであろう。ソースタイミング信号間の1つ以上の位相遅延は、光学投影システムのコンポーネントに起因して遭遇され得ることを理解されたい。例えば、位相遅延は、螺旋走査アドレスシーケンスに従ってピクセル情報を読み取るプロセス、デジタルピクセル/アナログレーザ駆動信号変換、およびレーザ駆動信号増幅のうちの1つ以上のものにおいて導入され得る。付加的位相遅延は、カンチレバー式ビームを発振させるプロセスの間に導入され得、これは、加熱電力信号を生成すること、またはカンチレバー式ビームの一部を加熱し、カンチレバー式ビームの偏向を生成するプロセスと関連付けられた駆動電子機器から生じ得る。故に、さらに本明細書の下記で説明されるように、静電容量測定等を用いて、カンチレバー式ビームの位置を追跡することは、導入され得る全ての種々の位相遅延の補正および/または補償を可能にし得る。
【0078】
図15および16は、位相補正回路を組み込み、画像の投影の間に導入される位相遅延を補償する、光学走査デバイスを駆動するためのシステムのコンポーネントを表す、ブロック図を描写する。
図15では、位相遅延は、機械的側上で補正され、位相調節信号が、カンチレバー式ビームに結合される、機械力変換器(すなわち、カンチレバー式ビームと熱連通する加熱要素)に提供される。
図16では、位相遅延は、光学側上で補正され、位相調節信号が、投影のためのピクセル情報を取得するために使用されるピクセルシーケンスアドレス生成器に提供される。
【0079】
図15では、システム1500は、タイミング信号を螺旋走査アドレスシーケンス生成器1510に提供する、タイミング信号生成器1505を含む。螺旋走査アドレスシーケンス生成器1510によって生成されたアドレスシーケンスは、ランダムアクセス読取回路1515に提供され、これは、アドレスシーケンスに従って、ピクセル情報をフレームバッファ1520から取得する。フレームバッファ1520は、随意に、グラフィック処理ユニット1525内に常駐する。ランダムアクセス読取回路1515は、3つの色(例えば、赤色、緑色、および青色)のためのデジタルピクセル情報をデジタル/アナログコンバータ1530A、1530B、および1530Cに提供し、これは、アナログ出力をレーザ駆動増幅器1535A、1535B、および1535Cに提供し、電流/電圧をレーザダイオード1540A、1540B、および1540Cに提供する。レーザダイオード出力光は、投影のために、熱駆動型カンチレバー支持導波管スキャナ1545上の導波管に結合される。遊離端光ファイバ等の他の共振発振可能光学走査部材も、カンチレバー支持導波管スキャナに加え、使用されてもよいことを理解されたい。
【0080】
カンチレバーを特定のピクセル値を出力するための適切な位置に位置付けるために、直交位相加熱電力信号生成器1550は、熱駆動型カンチレバー支持導波管スキャナ1545上の加熱要素1555を駆動するための加熱信号を出力する。圧電ベースのシステムまたは電磁ベースのシステム等の他の電気信号/機械力変換器が、熱駆動型カンチレバーの代わりに使用されてもよいことを理解されたい。
【0081】
容量感知回路1560は、カンチレバーの位置を表す静電容量値を検出するように位置付けられる。ピエゾ抵抗器または歪みセンサベースの回路等の位置感知回路およびコンポーネントが、容量感知回路の代わりに使用されてもよいことを理解されたい。容量感知回路1560からの静電容量値は、位相補正回路1570の位相検出回路1565に提供され、これはまた、ソースタイミング信号をタイミング信号生成器1505から受信する。位相補正回路1570の位相偏移回路1575はまた、ソースタイミング信号をタイミング信号生成器1505から受信し、直交位相加熱電力信号生成器1550に提供される、位相調節タイミング信号を生成し、カンチレバーを適切に位置付ける。
【0082】
図16では、システム1600は、タイミング信号を、共振発振可能光学走査部材1620を機械的に発振させるために1つ以上の電気信号/機械力変換器1615に提供される、1つ以上の電気信号を生成するための駆動信号生成器1610に提供する、タイミング信号生成器1605を含む。電気信号/機械力変換器1615は、上記に説明されるように、共振発振可能光学走査部材1620の発振を誘発するために使用される抵抗加熱要素に対応し得、圧電または電磁要素等の他の電気信号/機械力変換器も、使用されてもよいことを理解されたい。加えて、共振発振可能光学走査部材1620は、上記に説明されるように、1つ以上の光学導波管をその上に有する、カンチレバー式ビームに対応し得、遊離端(カンチレバー式)光ファイバ等の他の共振発振可能光学走査部材も、使用されてもよいことを理解されたい。
【0083】
位置感知回路1625が、共振発振可能光学走査部材の位置を識別し、位置フィードバックを位相補正回路1635の位相検出回路1630に提供するために使用され、これはまた、ソースタイミング信号をタイミング信号生成器1605から受信する。再び、位置感知回路1625は、上記に説明されるように、静電容量感知回路に対応し得、ピエゾ抵抗器または歪みセンサベースの位置感知回路等の他の位置感知回路も、使用されてもよいことを理解されたい。位相補正回路1635の位相偏移回路1640はまた、ソースタイミング信号をタイミング信号生成器1605から受信し、位相調節タイミング信号を生成する。
【0084】
位相調節タイミング信号は、共振発振可能光学走査部材1620の位置に基づいて、光学要素を適切に駆動し、好適なピクセル値を出力するための付加的回路に提供される。図示されるように、位相調節タイミング信号が、螺旋走査アドレスシーケンス生成器1645に提供される。螺旋走査アドレスシーケンス生成器1645によって生成されたアドレスシーケンスは、ランダムアクセス読取回路1650に提供され、これは、アドレスシーケンスに従って、ピクセル情報をフレームバッファ1655から取得する。フレームバッファ1655が、随意に、グラフィック処理ユニット1660内に常駐する。ランダムアクセス読取回路1650は、3つの色(例えば、赤色、緑色、および青色)のためのデジタルピクセル情報をデジタル/アナログコンバータ1665A、1665B、および1665Cに提供し、これは、アナログ出力をレーザ駆動増幅器1670A、1670B、および1670Cに提供し、電流/電圧をレーザダイオード1675A、1675B、および1675Cに提供する。レーザダイオード出力光は、投影のために、共振発振可能光学走査部材1620に結合される。
【0085】
図17は、画像を投影させる方法1700の概要を提供する、フロー図を提供する。
図17において識別されたブロックは、方法の動作に対応し得、
図17において識別された具体的順序または任意の他の順序において実施されてもよいことを理解されたい。随意に、
図17におけるブロックは、同時に、または順次、実施されてもよい。加えて、
図17におけるブロックはそれぞれ、随意に、および独立して、1回またはそれを上回って繰り返されてもよい。
【0086】
ブロック1705では、基部と、基部から延在するカンチレバー式ビームであって、基部に取り付けられる近位端と、遊離遠位端とを含む、カンチレバー式ビームと、基部およびカンチレバー式ビーム上に位置付けられ、基部からカンチレバー式ビームの遠位端まで延在する、光学導波管と、カンチレバー式ビーム上に配置される、複数のヒータとを備える、光学走査デバイス等の、光学走査デバイスが、提供される。光学走査デバイスは、例えば、レーザダイオードと光学連通するように位置付けられる、光ファイバ、または光学導波管と直接光学連通する、レーザダイオードに対応し得る、光学源を含む、上記に規定されたもの以外のコンポーネントも含むことができることを理解されたい。加えて、電気トレースまたは電極が、電気接続を複数のヒータに提供するように、光学走査デバイス内に含まれてもよい。随意に、光学走査デバイスは、カンチレバー式ビーム上に配置される、またはサイドアーム上等のカンチレバー式ビームに隣接する、1つ以上の容量感知金属被覆を含んでもよい。
【0087】
ブロック1710では、複数のヒータが、作動され、光学走査デバイスのカンチレバー式ビームの遠位端の発振を誘発する。上記に説明されるように、複数のヒータはそれぞれ、シーケンスで作動され、所望の発振を誘発してもよい。例えば、ヒータは、
図11に描写されるものに類似する電気信号を使用して作動され、螺旋形状発振を誘発してもよい。複数のヒータを作動させることは、カンチレバー式ビームの複数の領域の温度を増加させ、象限区分等の複数の領域の熱膨張を誘発し、カンチレバー式ビームの遠位端の偏向を生じさせ得ることを理解されたい。シリコン、炭化ケイ素、またはダイヤモンド等の高熱伝導性を伴う材料の使用は、いったん所望の偏向が作成されると、生成された熱が熱伝導を通して迅速に消散させることを可能にするために有用であり得る。任意の所望の周波数の発振が、誘発されてもよいが、カンチレバー式ビームの自然共振周波数に合致する周波数を有する、発振が、最も望ましくあり得る。
【0088】
ブロック1715では、1つ以上のレーザダイオードが、作動され、そこからの投影のために、光学走査デバイスの光学導波管に光学的に結合される、レーザ光を生成する。上記に説明されるように、1つ以上のレーザダイオードが、直接、光学走査デバイスの基部上に含まれてもよい。随意に、1つ以上のレーザダイオードは、光学走査デバイスの基部から遠隔に位置するが、1つ以上の中間光学導波管および/または光ファイバ等を用いて、光学導波管と光学連通する。
【0089】
ブロック1710および1715は、所望に応じて繰り返され、複数の投影をシーケンスで生成してもよいことを理解されたい。例えば、1つ以上のレーザダイオードは、カンチレバー式ビームが、発振し、投影された光の空間シーケンスを生成するように、複数回、作動されてもよい。同様に、複数のヒータが、複数回、作動され、シーケンスにおける複数の螺旋発振が生じることを可能にするように、所望のパターンにおけるカンチレバー式ビームの発振を維持してもよい。いくつかの実施形態では、発振は、カンチレバー式ビームが、次の発振を開始する前に、中立位置に戻り得るように、減衰することを可能にされる。
【0090】
上記に述べられたように、光学走査デバイスは、複数の容量感知金属被覆を含んでもよく、これはまた、本明細書では、容量感知電極と称され得る。ブロック1720に描写されるように、本方法は、随意に、容量感知電極間の静電容量に対応する静電容量信号を検出することを含んでもよい。カンチレバー式ビーム上に配置される、第1の容量感知電極と、カンチレバー式ビームに隣接して配置される、第2の容量感知電極との間の静電容量に関して、静電容量は、カンチレバー式ビームが発振するにつれて変調され得、容量感知電極間の近接度および/またはカンチレバー式ビームの位置を表し得る。静電容量は、第1および第2の静電容量感知電極間のAC電圧信号を結合し、それを通して結合される信号の振幅を感知することによって感知され得る。第1および第2の静電容量感知電極間の静電容量は、固定インピーダンスと直列の分圧器内に含まれ得る。感知信号の周波数は、カンチレバー式ビームの共振周波数から離れるように選択され得る。位相検出回路(
図15の1565または
図16の1630)は、カンチレバー式ビームの発振に対応する周波数を有する、静電容量変調信号を取得するために、エンベロープ検出器または復調器を含み、第1および第2の静電容量感知電極間で結合される信号を処理してもよい。
【0091】
上記に説明されるように、レーザダイオードは、カンチレバー式ビームが発振する間、光を出力してもよく、カンチレバー式ビームの位置は、光が投影される方向および位置を決定付け得る。投影された光が正しく位置付けられ、画像(例えば、投影されたピクセルのシーケンス)を表示するために、カンチレバー式ビームの位置は、対応する光出力(例えば、色および強度分布)に適切に合致されなければならない。螺旋におけるカンチレバー式ビームの発振に関して、螺旋パターンピクセルデータ情報が、フレームバッファから取得されてもよく、ピクセルデータは1つ以上のレーザダイオードに提供される1つ以上の駆動信号に変換されてもよい。複数のヒータおよびレーザダイオードが、同一タイミング信号を使用して作動される場合、カンチレバー式ビームおよび光出力の位置は、システム内で被られる1つ以上の遅延に起因して、シーケンスから外れ得る。静電容量信号等を用いて、カンチレバー式ビームについての位置情報を有することは、本遅延が適応されることを可能にし得る。したがって、静電容量信号は、随意に、ブロック1725において示されるように、静電容量信号と基準タイミング信号との間の位相偏移を識別すること等によって、位相較正タイミング信号を生成するために使用され得る。
【0092】
位相較正および基準タイミング信号の2つの異なる構成が、使用されてもよい。例えば、複数のヒータは、基準タイミング信号に従って作動されてもよい一方、1つ以上のレーザダイオードは、位相較正タイミング信号に従って作動される。代替として、1つ以上のレーザダイオードは、基準タイミング信号に従って作動されてもよい一方、複数のヒータは、位相較正タイミング信号に従って作動される。これらの方法のいずれかでは、遅延は、カンチレバー式ビームの位置およびレーザ光の生成が正しくタイミング調整される、画像の正しい投影を可能にするために適応されることができる。
【0093】
カンチレバー式ビームおよび光学走査デバイスの他の構成および特徴も、検討される。例えば、
図18は、別の光学走査デバイス1800の斜視略図を描写する。光学走査デバイス1800は、基部1805と、カンチレバー式ビーム1810とを含む。基部1805は、レンズ状光ファイバ等の光ファイバ1820を光ファイバ1820のコアとカンチレバー式ビーム1810の上部表面上に支持される光学導波管1825との間の光学連通のための位置に位置付けるためのv-溝1815を含む。基部1805はまた、カンチレバー式ビーム1810の上部側上に配置される加熱要素1835を含む、他の要素と電気連通するように配列される、電気接点1830を含む。付加的加熱要素1835(
図18では不可視)が、カンチレバー式ビーム1810の底部側上に位置付けられてもよい。付加的電気接点1830(
図18では不可視)はまた、電気接続をカンチレバー式ビーム1810の底部側上に位置付けられる加熱要素1835に、そしてカンチレバー式ビーム1810の遠位端の近傍に位置する位置感知接点1840に提供するように、基部1805の底部側上に位置付けられてもよい。
【0094】
図示されるように、加熱要素1835は、基部1805の近傍のカンチレバー式ビーム1810の近位端に位置する一方、光学導波管1825は、基部1805およびカンチレバー式ビーム1810の近位端からカンチレバー式ビーム1810の遠位端まで延在する。加えて、カンチレバー式ビーム1810は、テーパ状幅および/または厚さを有する。例えば、カンチレバー式ビーム1810の近位端は、遠位端におけるカンチレバー式ビーム1810の厚さを上回る、厚さを有する。同様に、カンチレバー式ビーム1810の近位端は、遠位端におけるカンチレバー式ビーム1810の厚さを上回る、幅を有する。カンチレバー式ビーム1810の幅および/または厚さ寸法をこのように低減させることによって、カンチレバー式ビームの断面寸法をテーパ状にすることは、カンチレバー式ビーム1810の共振周波数の増加を可能にし得ることを理解されたい。カンチレバー式ビーム1810の共振周波数を増加させることは、例えば、発振がカンチレバー式ビーム1810内で生じるレートを増加させる際に有用であり得る。実施形態では、そのような増加された共振周波数は、光学走査デバイス1800を採用する光学プロジェクタがより高いフレームレートを有することを可能にし得る。
【0095】
光学走査デバイス1800は、
図18では、延在部1845上の位置感知接点1840と、カンチレバー式ビーム1810上の位置感知接点1850とを含むように図示され、これは、位置感知接点1840と位置感知接点1850との間の時間依存静電容量測定等を用いて、カンチレバー式ビーム1810と位置感知接点1840との間の距離を感知し、カンチレバー式ビーム1810に関する位置情報を提供するために有用であり得る。
図18に図示されるように、位置感知接点1840は、延在部1845の遠位端の近傍の側表面および上部表面上に位置付けられる。随意に、位置感知接点1840は、上部表面上に位置付けることに加え、またはその代替として、延在部1845の底部表面上に位置付けられてもよい。位置感知接点1850は、カンチレバー式ビーム1810の側表面上に位置付けられるように描写され、さらに、カンチレバー式ビーム1810の底部表面上に位置付けられてもよい。
【0096】
本明細書で採用されている用語および表現は、限定ではなく、説明の観点から使用され、そのような用語および表現の使用では、図示および説明される特徴またはその一部の任意の均等物を除外することの意図は存在せず、種々の修正が、請求される本発明の範囲内で可能性として考えられることが認識される。したがって、本発明は、好ましい実施形態および随意の特徴によって具体的に開示されているが、本明細書に開示される概念の修正および変形例が、当業者によって行使されてもよく、そのような修正および変形例は、添付の請求項によって定義されるような本発明の範囲内であると見なされることを理解されたい。