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特許7561236宇宙船作業用デバイス、ならびに関連の組立体、システム、および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-25
(45)【発行日】2024-10-03
(54)【発明の名称】宇宙船作業用デバイス、ならびに関連の組立体、システム、および方法
(51)【国際特許分類】
   B64G 4/00 20060101AFI20240926BHJP
   B64G 1/10 20060101ALI20240926BHJP
   B64G 1/64 20060101ALI20240926BHJP
   B64G 1/24 20060101ALI20240926BHJP
   B64G 1/66 20060101ALI20240926BHJP
   B64G 1/44 20060101ALI20240926BHJP
   B64G 3/00 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
B64G4/00 105
B64G1/10 500
B64G1/64 600
B64G1/24 200
B64G1/66 B
B64G1/44
B64G1/24 400
B64G3/00
【請求項の数】 20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023096691
(22)【出願日】2023-06-13
(62)【分割の表示】P 2022096469の分割
【原出願日】2018-07-20
(65)【公開番号】P2023116660
(43)【公開日】2023-08-22
【審査請求日】2023-06-13
(31)【優先権主張番号】62/535,747
(32)【優先日】2017-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520128820
【氏名又は名称】ノースロップ グラマン システムズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】ニコルソン,ジェームズ・ギャレット
(72)【発明者】
【氏名】トリーチラー,ダニエル・カール
(72)【発明者】
【氏名】オーティズ,オリバー・ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】リービル,ジェームズ・ダリン
(72)【発明者】
【氏名】ヘクマン,ベンジャミン・マイケル
(72)【発明者】
【氏名】サリバン,ロバート・ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】ニーダーストラッサー,カルロス・ギレルモ
(72)【発明者】
【氏名】リーバーバウム,マーク
(72)【発明者】
【氏名】グロゴウスキー,マイケル・ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ロレンス,ウィリアム・エイ
(72)【発明者】
【氏名】チョウ,ケネス・シウ-キン
(72)【発明者】
【氏名】チポロ,ピーター・マイケル
【審査官】林 政道
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0166476(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0081048(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第103587726(CN,A)
【文献】特開2016-068730(JP,A)
【文献】特開2011-126525(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64G 4/00
B64G 1/10
B64G 1/64
B64G 1/24
B64G 1/66
B64G 1/44
B64G 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
宇宙船作業用デバイスであって、
宇宙船ボディと、
前記宇宙船ボディに結合され、前記宇宙船作業用デバイスをターゲット宇宙船に結合するためのドッキングのためのデバイスと、
前記宇宙船ボディに結合された単一のブームアームと、
前記ブームアームの遠位部分に結合されたスラスタ組立体であって、
ターゲット宇宙船または前記宇宙船ボディのうちの少なくとも一方を操縦するように構成され、
前記ブームアームが、前記宇宙船ボディの周りで回転されるときに前記宇宙船ボディに対する前記スラスタ組立体の向きを変化させるように構成され、
前記ブームアームが、前記宇宙船ボディ上で前記ドッキングのためのデバイスに隣接するように位置決めされた回転可能な結合部において前記宇宙船ボディに結合される、
スラスタ組立体と、
を備える、宇宙船作業用デバイス。
【請求項2】
前記ブームアームが、前記ドッキングのためのデバイスにおいて前記宇宙船ボディに結合される、請求項1に記載の宇宙船作業用デバイス。
【請求項3】
前記ブームアームが、前記回転可能な結合部の周りでおよび少なくとも部分的に前記ドッキングのためのデバイスの周りで回転するように構成される、請求項2に記載の宇宙船作業用デバイス。
【請求項4】
前記ドッキングのためのデバイスが、前記宇宙船ボディに結合された拡大可能なドッキング機構を含む、請求項1に記載の宇宙船作業用デバイス。
【請求項5】
前記拡大可能なドッキング機構が、前記ターゲット宇宙船のエンジンで受けられるように構成された遠位端部を含むスピア形状を示す、請求項4に記載の宇宙船作業用デバイス。
【請求項6】
前記拡大可能なドッキング機構をホスト宇宙船によって位置決めされた後で前記ターゲット宇宙船に係合させるように構成される、請求項4に記載の宇宙船作業用デバイス。
【請求項7】
前記拡大可能なドッキング機構が、前記拡大可能なドッキング機構を前記ターゲット宇宙船に固定するように構成された1つまたは複数の拡大可能な部分を備える、請求項4に記載の宇宙船作業用デバイス。
【請求項8】
前記宇宙船ボディのいずれかの側から延在する2つのソーラーアレイをさらに備える、請求項1に記載の宇宙船作業用デバイス。
【請求項9】
前記ブームアーム上に配置される1つまたは複数の送受信機アンテナをさらに備える、請求項1に記載の宇宙船作業用デバイス。
【請求項10】
宇宙船作業用デバイスであって、
宇宙船ボディと、
前記宇宙船ボディに結合されたドッキング機構であって、前記宇宙船作業用デバイスをターゲット宇宙船に結合するためのドッキング機構と、
前記宇宙船ボディに回転可能に結合された単一のブームアームと、
前記ブームアームの遠位部分に結合されたスラスタ組立体であって、前記ターゲット宇宙船または前記宇宙船ボディのうちの少なくとも一方を操縦するように構成され、少なくとも1つのスラスタを含み、前記ブームアームが、前記宇宙船ボディの周りでおよび少なくとも部分的に前記ドッキング機構の周りで回転されるときに前記宇宙船ボディに対して前記スラスタ組立体を変化させるように構成される、スラスタ組立体と、
を備える、宇宙船作業用デバイス。
【請求項11】
宇宙船で作業を行う方法であって、
ターゲット宇宙船を作業用デバイスの結合機構において前記作業用デバイスに係合させるステップと、
前記作業用デバイスの単一のブームアームの遠位部分に結合されたスラスタ組立体を少なくとも部分的に前記作業用デバイスの結合部の周りで回転させるステップと、
前記作業用デバイスの前記スラスタ組立体を用いて前記ターゲット宇宙船または前記作業用デバイスのうちの少なくとも一方を操縦するステップと、
を含む、方法。
【請求項12】
延伸可能なランスを備える前記作業用デバイスの前記結合機構を前記ターゲット宇宙船まで延伸させて前記ターゲット宇宙船に係合するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ホスト宇宙船を用いて前記作業用デバイスを前記ターゲット宇宙船の近傍に配置するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記作業用デバイスが前記ターゲット宇宙船に結合された後で前記作業用デバイスを前記ホスト宇宙船から解放するステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ターゲット宇宙船を前記作業用デバイスの前記結合部の1つまたは複数の拡大可能な部分に係合させるステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記作業用デバイスの1つまたは複数の側からソーラーアレイを延伸させるステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
掛止機構を用いて前記スラスタ組立体および前記ブームアームを後退位置に掛止するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記結合機構および前記ブームアームを前記作業用デバイスの同じ側に配置するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記ブームアーム上に配置された1つまたは複数の送受信機アンテナを用いて1つまたは複数の信号を受信するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
追加のスラスタ組立体を1つも有さずに前記ブームアーム上の前記スラスタ組立体のみを備えるように前記作業用デバイスを構成するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、米国特許法第119条(e)に基づき、その開示のその全体が本参照により本明細書に組み込まれる、2017年7月21日に出願された米国仮特許出願第62/535,747号の利益を主張するものである。
【0002】
本開示の実施形態は、概して、宇宙船(例えば、人工衛星)のための作業用(servicing)デバイスに関する。詳細には、本開示の実施形態は、1つまたは複数の脱着可能な作業用デバイス(例えば、ポッドまたはモジュール)を含めた作業用デバイス、ならびに関連のデバイス、システム、組立体、および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
数千の宇宙船が、例えば、テレコミュニケーション、GPSナビゲーション、気象予報、および地図作製を含めた、種々の機能を遂行するために地球の軌道を周回している。すべての機械と同様に、宇宙船は、宇宙船の機能の耐用年数を延ばすための作業を定期的に必要とする。作業には、例えば、構成要素の修理、燃料補給、軌道上昇、静止位置の保持、運動量のバランシング、または他の保守管理が含まれてよい。これを達成するために、作業用宇宙船が、保守管理を必要としているクライアント宇宙船(client spacecraft)にドッキングするために軌道に送られ得、ドッキング後に、クライアント宇宙船に対して寿命延長のための保守管理を実施する。寿命延長のための保守管理を行わない場合、これらの宇宙船が活動停止する可能性がある。一般に、交換には非常に膨大な費用がかかり、リードタイムが数年になる可能性もある。
【0004】
多様な特許文献および特許公報がこのような宇宙船の作業および関連の特徴を考察して発行されており、これには、米国特許3,508,723号、米国特許第4,219,171号、米国特許第4,391,423号、米国特許第4,588,150号、米国特許第4,664,344号、米国特許第4,898,348号、米国特許第5,005,786号、米国特許第5,040,749号、米国特許第5,094,410号、米国特許第5,299,764号、米国特許第5,364,046号、米国特許第5,372,340号、米国特許第5,490,075号、米国特許第5,511,748号、米国特許第5,735,488号、米国特許第5,803,407号、米国特許第5,806,802号、米国特許第6,017,000号、米国特許第6,299,107号、米国特許第6,330,987号、米国特許第6,484,973号、米国特許第6,523,784号、米国特許第6,742,745号、米国特許第6,843,446号、米国特許第6,945,500号、米国特許第6,969,030号、米国特許第7,070,151号、米国特許第7,104,505号、米国特許第7,207,525号、米国特許第7,216,833号、米国特許第7,216,834号、米国特許第7,240,879号、米国特許第7,293,743号、米国特許第7,370,834号、米国特許第7,438,264号、米国特許第7,461,818号、米国特許第7,484,690号、米国特許第7,513,459号、米国特許第7,513,460号、米国特許第7,575,199号、米国特許第7,588,213号、米国特許第7,611,096号、米国特許第7,611,097号、米国特許第7,624,950号、米国特許第7,815,149号、米国特許第7,823,837号、米国特許第7,828,249号、米国特許第7,857,261号、米国特許第7,861,974号、米国特許第7,861,975号、米国特許第7,992,824号、米国特許第8,006,937号、米国特許第8,006,938号、米国特許第8,016,242号、米国特許第8,056,864号、米国特許第8,074,935号、米国特許第8,181,9
11号、米国特許第8,196,870号、米国特許第8,205,838号、米国特許第8,240,613号、米国特許第8,245,370号、米国特許第8,333,347号、米国特許第8,412,391号、米国特許第8,448,904号、米国特許第8,899,527号、米国特許第9,108,747号、米国特許第9,302,793号、米国特許第9,321,175号、および米国特許第9,399,295号;米国特許出願公開2004/0026571号、米国特許出願公開第2006/0145024号、米国特許出願公開第2006/0151671号、米国特許出願公開第2007/0228220号、米国特許出願公開第2009/0001221号、米国特許出願公開第2012/0112009号、米国特許出願公開第2012/0325972号、米国特許出願公開第2013/0103193号、米国特許出願公開第2015/0008290号、米国特許出願公開第2015/0314893号、米国特許出願公開第2016/0039543号、および米国特許出願公開第2016/0039544号;EP0541052、EP0741655B1、EP0741655B2、およびEP1654159;PCT Pub.2005/110847、PCT Pub.2005/118394、PCT Pub.2014/024199、およびPCT Pub.2016/030890;Japan Patent No.JPH01282098;「Automated Rendezvous and Docking of Spacecraft」Fehse、Wigbert編、Cambridge University Press、2003年;「On-Orbit Servicing Missions:Challenges and Solutions for Spacecraft Operations」Sellmaier,F.ら編、SpaceOps 2010 Conference、AIAA 2010-2159、2010年;ならびに「Towards a Standardized Grasping and Refueling On-Orbit Servicing for Geo Spacecraft」Medina,Albertoら編、Acta Astronautica 134 1-10、2017年;「DEOS-The In-Flight Technology Demonstration of German’s Robotics Approach to Dispose Malfunctioned Satellites」Reintsema,D.ら編、が含まれ、これらの各々の開示はその全体が本参照により本明細書に組み込まれる。
【0005】
しかし、宇宙船のための多様な作業オプションを提供する高い信頼性および堅牢性を有する作業用宇宙船には法外な費用がかかる可能性がある。他方で、低コストのオプションでは多様な作業オプションを提供することができない可能性があり、また多くの用途で必要となる高い信頼性および堅牢性を有する作業上の機能を提供することができない可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の実施形態が、ホスト宇宙船から、ターゲット宇宙船に隣接するロケーションのところに配備されるように構成されるボディであって、ホスト宇宙船が複数の宇宙船作業用デバイスを収容する、ボディと、ターゲット宇宙船に結合されている状態においてターゲット宇宙船上で少なくとも1つの作業オペレーションを実施するように構成される少なくとも1つの宇宙船作業用構成要素と、を有する宇宙船作業用デバイスを含む。少なくとも1つの宇宙船作業用構成要素が、ターゲット宇宙船の軌道、速度、または運動量のうちの少なくとも1つを変化させるように構成されるスラスタ組立体を備える。スラスタ組立体が少なくとも1つのスラスタを備える。宇宙船作業用デバイスが、宇宙船作業用デバイスから離れたところにあるロケーションから、ターゲット宇宙船の軌道、速度、または運動量のうちの少なくとも1つに関連するデータを受信するように構成される通信デバイスをさらに有する。
【0007】
本開示の実施形態が、ホスト宇宙船から配備されるように構成されるボディと、ボディに結合されるスラスタ組立体であって、スラスタ組立体が、ターゲット宇宙船に結合された後でターゲット宇宙船の軌道、速度、または運動量のうちの少なくとも1つを変化させるように構成される、スラスタ組立体と、宇宙船作業用デバイスから離れたところにあるロケーションから、ターゲット宇宙船の軌道、速度、または運動量のうちの少なくとも1つに関連するデータを受信するように構成される通信デバイスと、を有する宇宙船作業用ポッドをさらに含む。
【0008】
本開示の実施形態が、複数の宇宙船作業用ポッドを収容するホスト宇宙船から、ターゲット宇宙船に隣接するロケーションのところに配備されるように構成されるボディと、ターゲット宇宙船に隣接するロケーションのところでポッドをターゲット宇宙船に結合するように構成される、ボディに結合される結合機構と、ターゲット宇宙船上で少なくとも1つの作業オペレーションを実施するように構成される少なくとも1つの宇宙船作業用構成要素と、を有する宇宙船作業用ポッドをさらに含む。結合機構が、ターゲット宇宙船に対して宇宙船作業用ポッドが結合されている場合にターゲット宇宙船を基準としてボディを回転させるように構成される少なくとも1つの可動結合装置を備える。
【0009】
本開示の実施形態が、ホスト宇宙船から配備されるように構成されるボディと、ポッドをターゲット宇宙船に結合するように構成される、ボディに取り付けられる結合機構と、ターゲット宇宙船の軌道、速度、または運動量のうちの少なくとも1つを変化させるように構成される、ボディから離れる方向に延在する単一のブームアーム上に配置されるスラスタ組立体と、を備える宇宙船作業用システムをさらに含む。
【0010】
本開示の実施形態が、ホスト宇宙船から、ターゲット宇宙船に隣接するロケーションのところに配備されるように構成されるボディであって、ホスト宇宙船が複数の作業用デバイスを収容する、ボディと、ボディに結合されるスラスタ組立体と、を有する宇宙船作業用デバイスをさらに含む。スラスタ組立体が、ターゲット宇宙船に結合されている場合にターゲット宇宙船の軌道、速度、または運動量のうちの少なくとも1つを変化させるように構成される。
【0011】
本開示の実施形態が、複数の宇宙船作業用ポッドを収容するホスト宇宙船から、ターゲット宇宙船に隣接するロケーションのところに配備されるように構成されるボディと、ターゲット宇宙船に隣接するロケーションのところでポッドをターゲット宇宙船に結合するように構成される、ボディに結合される結合機構と、ターゲット宇宙船上で少なくとも1つの作業オペレーションを実施するように構成される少なくとも1つの宇宙船作業用構成要素と、を有する宇宙船作業用ポッドをさらに含む。宇宙船作業用ポッドの全質量が500kg未満である。
【0012】
本開示の実施形態が、宇宙船で作業を行う方法をさらに含む。この方法が、宇宙船作業用デバイスを用いて宇宙船作業用デバイスのポッドを宇宙船まで移送することと、宇宙船作業用デバイスに対してポッドを接触させた状態でポッドを宇宙船に結合することと、宇宙船に結合された後で、宇宙船作業用デバイスのスラスタ組立体を用いて宇宙船の軌道または速度のうちの少なくとも1つを変化させることと、ポッドから離れたところにあるロケーションから、通信デバイスを用いて、宇宙船の軌道、速度、または運動量のうちの少なくとも1つに関連するデータを受信することと、を含む。
【0013】
上記の概説は示される各々の実施形態を説明することを意図されず、また本開示のすべての実装形態を説明することも意図されない。
本出願に含まれる図面は本明細書に組み込まれるものであり、本明細書の一部をなすも
のである。図面は本開示の実施形態を示しており、本記述と併せて、本開示の原理を説明するものである。図面は特定の実施形態のみを示しており、本開示を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1Aは、本開示の1つまたは複数の実施形態による、宇宙船作業用システム、および作業を行われるターゲット宇宙船を示す簡略化された概略図である。 図1Bは、図1Aの宇宙船作業用システムの1つまたは複数のデバイス上に実装され得る燃料タンク供給デバイスの実施形態を示す図である。
図2A】本開示の1つまたは複数の実施形態による宇宙船作業用デバイスを示す簡略化された概略図である。
図2B】本開示の1つまたは複数の実施形態による宇宙船作業用デバイスを示す簡略化された概略図である。
図2C】本開示の1つまたは複数の実施形態による結合機構の実施形態を示す図である。
図2D】本開示の1つまたは複数の実施形態による結合機構の実施形態を示す図である。
図2E】本開示の1つまたは複数の実施形態による結合機構の実施形態を示す図である。
図2F】本開示の1つまたは複数の実施形態による結合機構の実施形態を示す図である。
図2G】本開示の1つまたは複数の実施形態による結合機構の実施形態を示す図である。
図2H】本開示の1つまたは複数の実施形態による結合機構の実施形態を示す図である。
図2I】本開示の1つまたは複数の実施形態による結合機構の実施形態を示す図である。
図2J】本開示の1つまたは複数の実施形態による結合機構の実施形態を示す図である。
図2K】本開示の1つまたは複数の実施形態による結合機構の実施形態を示す図である。
図2L】本開示の1つまたは複数の実施形態による宇宙船作業用デバイスを示す斜視図である。
図3】本開示の1つまたは複数の実施形態によるミッション延長用ポッド(mission extension pod)を示す簡略化された概略図である。
図4】本開示の1つまたは複数の実施形態による、2つの推進ベクトルの向きにおいて宇宙船に取り付けられたミッション延長用ポッドを示す簡略化された概略図である。
図5】本開示の1つまたは複数の実施形態による、2つのスラスタベクトルの向きにおいて宇宙船に取り付けられたミッション延長用ポッドを示す別の簡略化された概略図である。
図6】本開示の1つまたは複数の実施形態による宇宙船作業用システムの再供給デバイスを示す簡略化された概略図である。
図7】本開示の1つまたは複数の実施形態による、宇宙船作業用デバイスに結合された複数のポッドを有する宇宙船作業用デバイスの実施形態を示す図である。
図8】本開示の1つまたは複数の実施形態による、宇宙船作業用デバイスに結合された複数のポッドを有する宇宙船作業用デバイスの実施形態を示す図である。
図9】本開示の1つまたは複数の実施形態による、宇宙船作業用デバイスに結合された複数のポッドを有する宇宙船作業用デバイスの実施形態を示す図である。
図10】本開示の1つまたは複数の実施形態による、宇宙船作業用デバイスに結合された複数のポッドを有する宇宙船作業用デバイスの実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書で提示される図は任意特定のデバイスの実際的な図であることを意図されない。本明細書で提示される図は、任意特定のデバイス、組立体、システム、またはそれらの構成要素の実際的な図であることを意図されず、説明的な実施形態を説明するために採用される単に理想化された図である。図面は必ずしも正確な縮尺ではない。
【0016】
所与のパラメータの言及において本明細書で使用される「実質的に」という用語は、許容される製造公差の範囲内にあるなどといったように、わずかな程度の差異量で所与のパラメータ、特性、または状態が適合すると当業者であれば理解するような範囲を意味し、そのような範囲を含む。例えば、実質的に適合するパラメータは、少なくとも約90%で適合するものであってよいか、少なくとも約95%で適合するものであってよいか、または少なくとも約99%で適合するものであってよい。
【0017】
本開示の実施形態は、概して、宇宙船(「クライアント」とも称される)に対して寿命延長のための作業を提供するための宇宙船(例えば、人工衛星、または他のビークル)作業用デバイスに関連する。宇宙船作業用システム、宇宙船作業用組立体、または宇宙船作業用デバイスが(例えば、宇宙船、ビークル)、宇宙船作業用デバイス(例えば、MEPマザーシップ(MEPM:MEP mother ship)またはミッションロボットビークル(MRV:mission robotic vehicle))に初期状態で取り付けられている1つまたは複数の配備可能な宇宙船作業用デバイス、ポッド、またはモジュール(例えば、ミッション延長用ポッド(MEP:mission extension pod)を有することができる。宇宙船作業用デバイスが、クライアント宇宙船まで/クライアント宇宙船から、ポッドを移送することができる。宇宙船作業用再供給デバイスが、宇宙船作業用デバイスのための追加のポッドを提供することができる。
【0018】
ポッド(例えば、マザーシップによって提供される、5個のポッド、6個のポッド、10個のポッド、15個のポッド、またはそれ以上のポッド)がターゲット宇宙船に提供され得(例えば、宇宙船に個別に配備され得るおよび/または取り付けられ得る)、それにより宇宙船に対して寿命延長のための作業を供給し、これには例えば、構成要素の修理、燃料補給、軌道上昇または他の修正(例えば、軌道離脱)、再配置、傾斜角引き下げ(inclination pull-down)、静止位置の保持、運動量のバランシング、運動量調整、供給物の補給、新しい供給物または部品の提供、および/または他の保守管理が含まれる。いくつかの実施形態では、ポッドが、静止位置の保持、傾斜角引き下げ、軌道再配置、および廃棄を含めた、宇宙船の速度、配置、および/または軌道の調整のために利用され得る。いくつかの実施形態では、ポッドが、運動量を管理するのに、および宇宙船の姿勢制御を実現するのに、使用され得る。いくつかの実施形態では、ポッドが交換品および追加の構成要素を供給することができる。例えば、ポッドが、故障部品を交換するのに、既存部品を補完するのに、ならびに/あるいは宇宙船に対して、部品、選択された機能および構造部などを追加するのに、利用され得る構成要素(例えば、飛行制御構成要素、リアクションホイールなどの航空電子工学構成要素、モータ構成要素、通信構成要素、動力システム構成要素、センサ構成要素、光学構成要素、熱制御構成要素、遠隔測定構成要素、その組み合わせ、など)を装備することができる。さらなる例として、ポッドが、例えば、フォトセルまたはカメラ(例えば、スタートラッカー)を使用して星の位置を測定する光学デバイスなどの、遠隔測定用の構造部を有することができる。このようなデバイスが、宇宙船の航行の特性(例えば、姿勢)を監視および/または修正するためにポッド上に供給され得る。
【0019】
いくつかの実施形態では、宇宙船作業用デバイスが、軌道内での人工衛星の作業のために、ロボットの宇宙船作業用デバイス(例えば、種々のタスクのための1つまたは複数の
エンドエフェクタを備える、1自由度またはそれより高い自由度を可能とする1つまたは複数のロボットアーム)を使用しての作業を必要とする場合に、ポッドのうちの1つまたは複数のポッドを配備して宇宙船に取り付けることができる。例えば、宇宙船作業用デバイスがポッドのうちの1つまたは複数のポッドを配備して宇宙船の一部分(例えば、分離リング(separation ring)、エンジン、外部付属物、あるいは他の任意適切な機械的アタッチメントまたは結合構造)に取り付けることができる。いくつかの実施形態では、宇宙船作業用デバイス自体が、宇宙船に対してのポッドの配備の前に、配備中に、および/または配備後に、一部の作業タスクを実施することができる。
【0020】
宇宙船作業用デバイスが、作業の必要時に、宇宙空間において宇宙船までまたは宇宙船の間を移動してミッション延長用ポッドを宇宙船の上に装着することができる。いくつかの実施形態では、宇宙船作業用デバイスが、作業のために、ポッドを宇宙船に取り付け、取り付けられたポッドから離れることができる。例えば、ポッドが宇宙船に永久的に取り付けられ得、実質的に宇宙船の別の構成要素となることができ、この別の構成要素は宇宙船の既存のシステムに繋がっていてもまたは繋がっていなくてもよい。このような実施形態では、ポッドが、選択される時間にわたって作業を行うように構成され得る(例えば、数分にわたるか、数週間にわたるか、数ヶ月にわたるか、数年にわたるような、短時間の作業および/または長時間の作業、あるいはその組み合わせ)。いくつかの実施形態では、宇宙船作業用デバイスまたは別の同様のデバイスが、選択される量の作業後に、ポッドを取り外すことができるか、ポッドに対して補給(燃料補給)を行うことができるか、および/またはポッドを交換することができる。例えば、作業用システムの一部分(例えば、宇宙船作業用デバイス、または上で考察した再供給デバイスなどの別の部分)が、ポッドに1つまたは複数の消耗品(例えば、燃料、ガス、部品、など)を再供給(例えば、補充、補給、補完、など)するためにポッドのところに再訪することができる。いくつかの実施形態では、宇宙船作業用デバイスがこのような消耗品を有する追加のデバイス(例えば、タンク)をポッドに取り付けることができる。いくつかの実施形態では、宇宙船作業用デバイスが、宇宙船からポッドを脱着することができ、ポッドの補給および/または修理調整を行って同じ宇宙船もしくは別の宇宙船に対してポッドを再装着することができる(例えば、ポッドを再使用することができる)。
【0021】
ポッドが、宇宙船に対して取り付けられると、起動され得、例えば宇宙船の方向を変化させること(例えば、宇宙船の軌道、位置、または他には向きを変化させることによる)を含めて、速度を変化させることにより(例えば、ΔVを提供することにより)、例えば軌道維持を実現することができる。適切な時間および方向において、宇宙船およびミッション延長用ポッドの合計の質量に対して速度変化を与えることにより、ミッション延長用ポッドが、例えば、宇宙船の推進機能を交換することにより(例えば、完全に交換することにより)、または所望の速度、位置、および軌道を維持するのに必要である宇宙船の燃料消費速度を低下させることにより、宇宙船の軌道内に留まる期間(in-orbit life)を延ばすことができる。ミッション延長用ポッドが、宇宙船に関連するデータから提供されるスケジュールに従って宇宙船に対してこのような速度変化を与えることができる。いくつかの実施形態では、操縦スケジュールのために必要であるデータがミッション延長用ポッドに予めプログラムされ得る。いくつかの実施形態では、ポッドが発射された後でおよび/または宇宙船に結合された後で、このようなスケジュールおよび他のデータがミッション延長用ポッドに伝送され得る。いくつかの実施形態では、ポッドが、宇宙船の他のシステムまたは付属部品と他の形で相互作用することなく、宇宙船に推進力(例えば、比較的小さい推進力)を提供することのみを行うように構成され得る。いくつかの実施形態では、ポッドが宇宙船を中心とするトルクを提供するように構成され得、その結果、宇宙船がその運動量を調整することができる。他の実施形態では、ポッドが他の作業を実現することができ(例えば、本明細書で考察されるように)、および/または宇宙船の1つまたは複数のシステムまたはサブシステムと少なくとも部分的に通信することが
できる。
【0022】
いくつかの実施形態では、宇宙船作業用デバイス上のポッドの数が減少するかまたは使い果たされた後で、ミッション延長用ポッドの供給デバイスまたは再供給デバイス(MEPR:mission extension resupply device)により、人工衛星作業用システムが、宇宙船作業用デバイスにポッドを供給または再供給するように構成され得る。例えば、ミッション延長用ポッドの供給物が減らされるかまたは使い果たされると、宇宙船作業用デバイスがポッドの新しい供給物を得ることができ(例えば、5個のポッド、6個のポッド、10個のポッド、15個のポッド、またはそれ以上のポッド)、それにより見込まれる宇宙船に対しての寿命延長のための作業の提供を継続することができる。
【0023】
ミッション延長用ポッド再供給デバイス(例えば、宇宙船)が、宇宙船作業用デバイスとランデブーするためにおよびデバイスにポッドを供給するために、多数のポッド(例えば、2個、3個、4個、5個、またはそれ以上のポッド)を運ぶことができる。例えば、宇宙船作業用デバイスがそのロケーションまでランデブーする間において、ミッション延長用ポッドを備えるポッド再供給デバイスが地球同期軌道(GEO)または他の軌道に配置され得る。宇宙船作業用デバイスがミッション延長用ポッド再供給デバイスに接近すると、宇宙船作業用デバイス上のおよび/またはポッド再供給デバイス上の1つまたは複数のデバイス(例えば、宇宙船作用行デバイスのロボットアーム)が、ミッション延長用ポッドを、ミッション延長用ポッド再供給デバイスから宇宙船作業用デバイスへと再配置することができる。他の実施形態では、ポッド再供給デバイスが宇宙船作業用デバイスまで移動するように構成され得る。他の実施形態では、ポッド再供給デバイス上の1つまたは複数のデバイスが、宇宙船作業用デバイスまたはポッド再供給デバイスにポッドを供給するように構成され得、宇宙船作業用デバイスが、ポッドのうちの1つまたは複数のポッドを移送することを目的として一体に結合されるかまたは他の形で物理的に接続されるように構成され得る。
【0024】
いくつかの実施形態では、ミッション延長用ポッド再供給デバイスが、宇宙船作業用デバイスに対しての追加の供給を実現することができるかまたは宇宙船作業用デバイスの作業を実現することができる。例えば、ポッド再供給デバイスが、必要時に、宇宙船作業用デバイスの操縦のための追加の推進燃料を提供することができる。いくつかの実施形態では、ポッド再供給デバイスが、燃料補給オペレーションを行うことによりおよび/または推進燃料を充填したタンクを再供給デバイスから宇宙船作業用デバイスまで移送することにより(例えば、宇宙船作業用デバイスおよび再供給デバイスのうちの一方または両方の上にある1つまたは複数のロボットアームを用いる)、宇宙船作業用デバイスに推進燃料を移送することができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、ミッション延長用ポッドの送達のための、宇宙船作業用デバイスおよび宇宙船のうちの一方または両方が、ESPAStarとして知られる、バージニア州、フォールズチャーチのNorthrup Grummanによって開発された宇宙船などの、Evolved Expendable Launch Vehicle(EELV)のSecondary Payload Adaptor(ESPAまたはESPAリング)のクラスの宇宙船、あるいは適切な地球同期軌道または別の軌道を可能にし得るような他の任意適切な種類のデバイス、宇宙船、または発射ビークルを用いて管理され得、および/またはそれらを備えることができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、人工衛星作業用システムの1つまたは複数のデバイスまたは構成要素が、例えば、選択される地球同期軌道から地球同期の墓場軌道(geosynchronous graveyard orbit)まで輸送されることにより(例えば
、宇宙船作業用デバイスおよび/またはミッション延長用ポッド再供給デバイスの場合)、または宇宙船上の定位置に棄てられることにより(例えば、ミッション延長用ポッドの場合)、廃棄され得る。
【0027】
図1Aが宇宙船作業用システム10の簡略化された概略図を示しており、ここでは、宇宙船作業用システム10の少なくとも一部分が、デバイス(例えば、別のビークルまたは宇宙船20)に接近するように、デバイスを捕獲するように、デバイスにドッキングするように、および/またはデバイスで作業を行うように、動作させられ得る。しかし、いくつかの実施形態では、宇宙船作業用デバイス100が、後でより詳細に考察されるように、宇宙船20に接近するように、および1つまたは複数のモジュールまたはポッド102(例えば、ミッション延長用ポッド102)を宇宙船20まで移送するように、構成され得る。
【0028】
このような宇宙船20は、低地球軌道にあってよいか、中高度地球軌道にあってよいか、地球同期軌道にあってよいか、地球同期軌道を越えていてよいか、または地球などの天体の別の軌道にあってもよい。宇宙船20が、ポッド102を宇宙船20に機械的に結合するのを実現するのに使用され得る、例えば、エンジン、分離リング、および宇宙船の分野で既知であるおよび/または実装されている任意の他の種類の構造部などの、構成要素を有することができる(例えば、推進デバイスまたはシステム22、燃料タンク24、など)。例えば、エンジンは、液体アポジエンジン、固体燃料モータ、スラスタ、あるいは他の種類のエンジンまたはモータであってよい。エンジンが宇宙船20の天頂デッキ上に配置され得、天頂デッキは、地球の軌道を周回する宇宙船の場合は、地球の反対側に実質的に配置される宇宙船デッキである。
【0029】
図1Aに示されるように、宇宙船作業用デバイス100が、宇宙船20に接近して作業を行うように設計される別個の宇宙船であってよい。宇宙船作業用デバイス100が、静止位置の保持、軌道上昇、運動量の調整(例えば、1つまたは複数の軸を中心とした運動量を取り除く(unload))、姿勢制御、再配置、軌道離脱、燃料補給、修理、傾斜角引き下げ、または軌道上で行われ得る他の作業、を含めた作業を宇宙船20に対して行うのを容易にすることができる。宇宙船作業用デバイス100が、初期状態において宇宙船作業用デバイス100に取り付けられている1つまたは複数の配備可能なポッドまたはモジュール102を有する。ポッド102が宇宙船20に提供され得(例えば、宇宙船に配備され得、および/または取り付けられ得る)、例えば、構成要素の修理、交換、および/または追加、燃料補給、軌道上昇、静止位置の保持、運動量のバランシング、供給物の補給、新しい供給物の提供、ならびに/あるいは他の保守管理を含めた、作業を行うことを目的として(例えば、宇宙船20に寿命延長作業を供給する)、作業用部品103(例えば、明瞭さのためにポッド102の1つの例のみで示される)を有することができる。
【0030】
図1Aに描かれるように、これらの作業を供給することを目的として、少なくとも1つのポッドが宇宙船作業用デバイス100から提供され得、宇宙船20に結合され得る(例えば、宇宙船の質量中心の近傍であるか、または宇宙船の質量中心を通って延在する軸に沿うように)。
【0031】
いくつかの実施形態では、宇宙船作業用システム10が、例えば、宇宙船作業用デバイス100上のポッド102の数が減少するかまたは使い果たされた後で、宇宙船作業用デバイス100にポッド102を供給または再供給するように構成されるミッション延長用ポッド供給または再供給デバイス30を有することができる。例えば、ミッション延長用ポッド102の供給物が減少するかまたは使い果たされた後で、作業用デバイス100がポッド102の新しい供給物を得ることができ(例えば、5個のポッド、10個のポッド
、15個のポッド、またはそれ以上のポッド)、それにより見込まれる宇宙船20に対しての寿命延長のための作業の提供を継続することができる。いくつかの実施形態では、宇宙船作業用デバイス100がそのロケーションまでランデブーする間において、ミッション延長用ポッド102を備えるポッド再供給デバイス30が地球同期軌道(GEO)に配置され得る。宇宙船作業用デバイス100がミッション延長用ポッド再供給デバイス30に接近すると、宇宙船作業用デバイス100およびポッド再供給デバイス30のうちの一方または両方の上の1つまたは複数のデバイス(例えば、後で考察される、宇宙船作業用デバイス100の上にあるロボットアーム)が、ミッション延長用ポッド102のうちの1つまたは複数のミッション延長用ポッド102を、ミッション延長用ポッド再供給デバイス30から宇宙船作業用デバイス100へと再配置することができる。いくつかの実施形態では、ポッド再供給デバイス30および宇宙船作業用デバイス100のうちの一方が、ミッション延長用ポッド102を再配置することを目的としてもう一方を保持するように構成され得る。例えば、宇宙船作業用デバイス100がポッド再供給デバイス30に接近することができ、ポッド再供給デバイス30にドッキングすることができるかまたは他の形で係合され得る。ドッキングされると、宇宙船作業用デバイス100が、1つまたは複数のポッド102を、再供給デバイス30から宇宙船作業用デバイス100まで、移送することができる(例えば、ロボットアームを使用する)。次いで、宇宙船作業用デバイス100が切り離され得、別のポッドを他のデバイスに配備することができる。他の実施形態では、ポッド再供給デバイス30が、宇宙船作業用デバイス100まで移動するように構成され得る。他の実施形態では、ポッド再供給デバイス30の上にある1つまたは複数のデバイス(例えば、ロボットアーム)が、宇宙船作業用デバイス100にポッド102を供給するように構成され得る。
【0032】
ポッド102をターゲット宇宙船20上に配置することを目的として、宇宙船作業用デバイス100が、ポッドを配置するように、移動させるように、および/または装着するように構成される1つまたは複数の機構122(図2A)の到達可能範囲内にポッド102を配置して保管することができる。後で考察するように、この機構が、1つまたは複数のロボットアーム122を、ならびに/あるいは後で考察するように宇宙船作業用デバイス100をポッド102に固定するように構成される後で考察される配備デバイス160に類似の延伸可能なおよび/または拡大可能なブームなどの別の種類の配備デバイス(例えば、結合機構)を備えることができる。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のロボットアーム122が、1つまたは複数の移動軸に沿うアーム122の移動を可能にする1自由度またはそれより高い自由度を有することができる。例えば、アーム122がいくつかの実施形態では1つの移動軸に沿って平行移動することができる延伸可能なブーム(例えば、後で考察する配備デバイス160に類似する)を備えることができるか、あるいは1つまたは複数の移動軸に沿って回転および/または平行移動することができるデバイスを備えることができる。第1の単一の機構(例えば、アーム)による到達可能範囲では不十分である場合、任意選択で、第2の機構(例えば、第2のアーム、あるいはポッド102を移動させることができるかまたは再方向付けすることができる何らかの他のデバイス)が実装され得、それによりターゲット宇宙船20上にポッド102を装着するのに使用される第1の機構の到達可能範囲内までポッド102を移動させることができる。
【0033】
例えば、ポッド102が、ロボットアームの到達可能範囲内において、宇宙船作業用デバイス100の構造の上にまたはその中に配置され得る。単一のアームによる到達可能範囲では不十分である場合、任意選択の第2のアームまたは他のデバイスが、ターゲット宇宙船20の上にポッド102を装着するのに使用されるもう一方のロボットアームの到達可能範囲内までポッド102を移動させるのに使用される。
【0034】
いくつかの実施形態では、ポッド102がロボットアームの到達可能範囲内において1つまたは複数の分離可能な構造の上に配置され得る。ポッド102が使い果たされると(
例えば、完全に使い果たされる)、分離可能な構造が宇宙船作業用デバイス100から脱着され得る。このような実施形態では、宇宙船作業用デバイス100の燃料消費が、その後のランデブーのためにまたは作業活動のために、低減され得る。
【0035】
いくつかの実施形態では、ポッド102が別のデバイス(例えば、宇宙船作業用デバイス100と共に発射されるポッド再供給デバイス30)上で運ばれ得、次いで発射後にポッド102が宇宙船作業用デバイス100まで移送され得る。例えば、宇宙船作業用デバイス100がポッド再供給デバイス30を地球同期軌道または他の軌道まで引くのに使用され得、次いでビークルが分離することができる。宇宙船作業用デバイス100が、宇宙船作業用デバイス100上のドッキング機構およびポッド再供給デバイス30上の相補的な構造またはデバイスを使用して、ポッド再供給デバイス30にドッキングすることができる。ドッキングされると、宇宙船作業用デバイス100の上のロボットアームが、1つまたは複数のポッド102を、ポッド再供給デバイス30から宇宙船作業用デバイス100上の収容ロケーションまで、移送することができる。このようにして、ターゲット宇宙船20とのその繰り返しのトランジットおよびランデブーのために、宇宙船作業用デバイス100の総質量が最小となり、それによりミッションのライフサイクル全体にわたっての燃料使用が最小となる。ポッド再供給デバイス30が、宇宙船作業用デバイス100によりポッド102を戻したり再供給したりするために所望の軌道ロケーションに配置されるように協働的に制御され得る。
【0036】
上で考察したように、システム10の一部分(例えば、ポッド102、宇宙船作業用デバイス100、および/または再供給デバイス30)が、システム10の別の部分または外部デバイス(例えば、ポッド102、宇宙船作業用デバイス100、および/または宇宙船20)に結合され得、それによりデバイスに1つまたは複数の消耗品(例えば、燃料、ガス、部品、など)を再供給(例えば、補充、補給、補完など)することができる。いくつかの実施形態では、このような供給物が、デバイスに取り付けられた追加の外部タンクの中に供給され得、および/または既存の構成要素を使用する交換(例えば、燃料補給)手順を介して供給され得る。
【0037】
宇宙船は一般に、ミッションライフ中にポジショニングおよびポインティングを維持するのに、推進燃料(例えば、キセノン、ヒドラジン)を使用することになる。この推進燃料が使い果たされると、一般に、ミッションライフが終了する。いくつかの実施形態では、宇宙船作業用デバイス100、ポッド102、および/または再供給デバイス30(「燃料供給デバイス」)が、システム10の別の部分にまたは外部デバイス(例えば、ポッド102、宇宙船作業用デバイス100、および/または宇宙船20(「ターゲットデバイス」))に、追加の推進燃料を提供することができる。他の実施形態では、燃料供給デバイスが、例えば、タンク一杯分の、高圧キセノン、ヒドラジン、ヘリウム、四酸化窒素(NTO:nitrogen tetroxide)、低毒性の推進燃料、これらの組み合わせ、または任意適切な他の燃料、などの、他の燃料または流体を供給するように機能することができる。いくつかの実施形態では、推進燃料または燃料の選択が、ポッド102に用途に基づくものであってよい(例えば、宇宙船20の構成に基づくものであってよい)。
【0038】
図1Bが、システム10(図1A)の1つまたは複数のデバイス上に実装され得るような、燃料供給デバイスの燃料タンク供給デバイス140の実施形態を描いている。図1Bに示されるように、いくつかの実施形態では、燃料タンク供給デバイス140上の管類142が、タンク141内の燃料(例えば、高圧キセノン)を調整器143(例えば、機械的なおよび/または電気的な調整器)に供給することができる。調整器143が、ターゲットデバイスのシステムによって使用され得るようなレベルにするように圧力を制御することができる(例えば、低下させることができる)。追加の管類144が調整器143の
下流に配置され得、対合するアダプタ145に接続され得る。対合するアダプタ145が、ターゲットデバイスの燃料に連通されるターゲットデバイスの結合装置(例えば、作業用ポート弁)に接続され得る。いくつかの実施形態では、燃料供給デバイスのこのような対合するアダプタ145が、ターゲットデバイスのタンクに結合されるための接続用の付属具(例えば、迅速脱着式の付属具、協働的な作業用弁、および/または単純な形の機械的な作業用弁)を有することができる。例えば、このような対合するアダプタ145が、流れ経路を開けたり閉じたりする弁(例えば、回転弁またはナット)を備えることができる。対合するアダプタ145が、ターゲットデバイス(例えば、相補的な雄型の結合部材)の結合装置(例えば、弁ポート)に取り付けられ得る結合部材(例えば、雌型の結合部材)を有することができる。
【0039】
いくつかの実施形態では、ターゲットデバイスとの結合において、対合するアダプタ145がキャップまたはプラグを取り外すことによって準備を整えられ、ターゲットデバイスが任意の構造(例えば、ブランケットならびに/あるいはキャップまたはプラグ)を取り外すことによって準備を整えられ得る。準備が整えられると、対合するアダプタ145がターゲットデバイスの作業用弁に機械的に取り付けられ得、1つまたは複数の弁(例えば、ターゲットデバイスの上にあるかまたは燃料タンク供給デバイス140の上にある)が開けられ得、圧力が監視され得る(例えば、ターゲットデバイスのシステム内で圧力が検出され得る)。この圧力が低下することで、燃料タンク供給デバイス140のアダプタと燃料タンク供給デバイス140の対合するアダプタ145との間で不適切な対合が生じていることが示され得る。接続が確認されると、対合するアダプタ145の上流にある弁が開位置へと移動させられ得、タンク141がターゲットデバイスのタンクに燃料を供給することになる。燃料タンク供給デバイス140のタンク141が圧力の遠隔測定を欠くような実施形態では、ターゲットデバイスのシステムが、燃料タンク供給デバイス140のタンク141が枯渇状態に達したかどうかを判断することを目的として燃料の使用を監視するのに利用され得る。燃料供給デバイス140のタンク141が枯渇状態に近づくと、燃料タンク供給デバイス140のタンク141が、対合するアダプタ145およびターゲットデバイスの上流の弁を閉じることにより連通状態から外され得、新しいタンクがターゲットデバイスに接続され得る(例えば、前のタンクを交換することにより、同じ燃料タンク供給デバイス140上に置かれ得るか、または前のタンクを接続した状態で維持するのを可能にし得るように、別の燃料タンク供給デバイス上に置かれ得る)。この燃料タンク供給デバイス140が、初期状態においてシステムを与圧するための作業用弁146、設備のためのおよびターゲットデバイスに対しての取り付けのための機械的サポート、握持用の付属物、ならびに/あるいは受動的熱制御装置を有することができる。
【0040】
図2Aが、宇宙船作業用デバイス100(例えば、図1Aの宇宙船作業用デバイス100)の実施形態の簡略化された概略図を描いている。図2Aに示されるように、宇宙船作業用デバイス100が、初期状態において宇宙船作業用デバイス100に取り付けられている1つまたは複数の配備可能なポッドまたはモジュール102を有する。宇宙作業用デバイス100が、天体の周りの軌道内に位置する人工衛星または他の宇宙船であってよい。
【0041】
ポッド102を別の宇宙船まで送達するために、ポッド102を別の宇宙船に取り付けるために、および/またはポッド102を別の宇宙船へと回収するために、宇宙船作業用デバイス100が化学的なまたは他の種類の反動エンジンを有することができ、ならびに/あるいは電気的に動力供給される推進システムを有することができる。例えば、宇宙船作業用デバイス100が、1つまたは複数のスラスタ104と、化学的なおよび/または電気的な推進源(例えば、イオンスラスタのためのキセノン推進燃料および/またはヒドラジン推進燃料を収容する燃料タンク106)を有する動力システムと、電力処理ユニット108とを有することができる。宇宙船作業用デバイス100の推進システム(例えば
、スラスタ104を有する)が、1つまたは複数の移動軸内で宇宙船作業用デバイス100を移動させるのを可能にすることができる(例えば、3つの平行移動軸と、3つの回転軸との、合計で6つの移動軸)。宇宙船作業用デバイス100が、ソーラーアレイ110(例えば、脱着可能なソーラーアレイ)と、バッテリ112と、電力分配アセンブリ114などの電力調整電子部品と、制御サブシステム116(例えば、コマンド・データ処理、熱制御、誘導、ナビゲーション、および制御)と、通信サブシステム118(例えば、関連付けられるアンテナ120との無線周波(RF:radio frequency)通信)と、アクセサリツール121(例えば、作業用部品、および/または後で考察されるロボットアームのためのエンドエフェクタ)と、を有することができる。これらの構成要素が、作業されることになる別の宇宙船の近傍のロケーションまで宇宙船作業用デバイス100を操縦するのを可能にすることができる。
【0042】
ポッド102を別の宇宙船の上に配備するために、ポッド102を別の宇宙船の上に取り付けるために、および/またはポッド102を別の宇宙船へと回収するために、宇宙船作業用デバイス100が、配備および/または取り外しデバイス(例えば、1つまたは複数の可動アーム(例えば、1自由度、2自由度、3自由度、4自由度、5自由度、または6自由度を有するロボットアーム122))、エンジンの内部部分などのポッド102の一部分に結合され得る後で考察するランスおよび/または延伸可能な配備デバイス)を有することができ、この配備および/または取り外しデバイスが、付随の撮影システム(例えば、カメラ124)と、制御・動力システム(例えば、ロボットアビオニクス126および電力供給源128)とを備える。これらのデバイスおよび構成要素が、宇宙船作業用デバイス100上のポッド102に係合される(例えば、取り付けられる)のに利用され得る。例えば、ロボットアーム122のうちの1つまたは複数のロボットアームが、1つのポッド102に結合されて(例えば、エンドエフェクタを用いる)ポッド102をターゲット宇宙船の近傍まで移動させるのに、ポッド102を宇宙船に取り付けるのに、および取付後にポッド102を解放するのに、使用され得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、他のデバイスおよび方法が、ポッド102を宇宙船まで送達するのにおよび/またはポッド102を宇宙船に取り付けるのに利用され得る。例えば、宇宙船作業用デバイス100自体が、選択されるポッド102を宇宙船に接触させるように配置することを目的として宇宙船を基準として方向付けられることが可能であるか、宇宙船作業用デバイス100自体が、ポッド102を適用する間において宇宙船を捕獲することができるかまたは他の形で保持することが可能であるか、ポッド102が、ポッド102を制御するためのおよび取り付けるための1つまたは複数の搭載されるシステムを有することが可能であるか、宇宙船作業用デバイス100が、ポッド102を送達するように構成される推進ユニット制御装置を備える、個別に制御可能である再使用可能なユニットを有することが可能であるか、あるいは上記を組み合わせることも可能である。
【0044】
いくつかの実施形態では、宇宙船作業用デバイス100が、ロボットアームを使用することなく、ポッド102を宇宙船まで送達することができるか、ポッド102を宇宙船に取り付けることができるか、および/またはポッド102を宇宙性へ回収することができる。例えば、1つまたは複数のポッド102が取り付けられた状態で、宇宙船作業用デバイス100がターゲット宇宙船とランデブーすることができる(例えば、後で考察するように、ターゲット宇宙船の位置および/または向きを検出するためにセンサを利用する)。ポッド102が宇宙船作業用デバイス100に取り付けられている間、後でも考察されるポッド102の結合機構がターゲット宇宙船のところに配備されてターゲット宇宙船に係合され得る。ポッド102が宇宙船作業用デバイス100から解放され得、解放の前、解放中、および/または解放の後において、ポッド102をターゲット宇宙船に固定するためのすべての残りのドッキング手順が完了され得る。
【0045】
ポッド102を配備するのに、ポッド102を取り付けるのに、および/またはポッド102を回収するのに利用される特定の機構または構造部に関係なく、宇宙船作業用デバイス100が、宇宙船作業用デバイス100の1つまたは複数の部分を使用してポッド102をターゲット宇宙船のロケーションまで直接に送達する(例えば、機構および/または構造部を介する)ように構成され得る。例えば、宇宙船作業用デバイス100が、宇宙船作業用デバイス100の上に(例えば、その一部分の上に)常在する配備機構および/または配備のための構造部(例えば、ロボットアーム122、延伸可能なおよび/または拡大可能なドッキング機構、など)のみを使用して、ポッド102を配備することができるか、ポッド102を取り付けることができるか、および/またはポッド102を回収することができる。いくつかの実施形態では、宇宙船作業用デバイス100の上に常在する配備機構および/または配備のための構造部のみが利用され、この間、ポッド102上のいかなる操縦デバイス(例えば、推進デバイス)も利用されない。例えば、ポッド102が宇宙船作業用デバイス100により直接に操作され得、この間ポッド102自体の動力下でまたは推進力下でポッド102がターゲット宇宙船に隣接するロケーションまで独立して操縦および/または操作されない。定位置まで移動させられた後、宇宙船作業用デバイス100の機構および/または構造部(例えば、ロボットアーム122、延伸可能なおよび/または拡大可能なドッキング機構)ならびに/あるいはポッド102の構造部(例えば、配備デバイス160などの、結合機構)が、ポッド102をターゲット宇宙船に固定するのに利用され得る。いくつかの実施形態では、ポッド102が宇宙船作業用デバイス100に少なくとも部分的に接触した状態を維持する間において、ポッド102がターゲット宇宙船に固定され得る。例えば、ポッド102がターゲット宇宙船に少なくとも部分的に接触した状態になると(例えば、固定される)、ポッド102が宇宙船作業用デバイス100から解放され得る。
【0046】
いくつかの実施形態では、宇宙船作業用デバイス100が、ランデブー・近接オペレーション130などの、センサ組立体を有する(例えば、光検出および測距132、赤外線センサ134、および/または可視光線センサ136)。このような構成要素が、宇宙船作用デバイス100により他の物体(例えば、ポッド102、作業に関連する機能が遂行されているときの他の宇宙船、など)を監視および/または検出するのを可能にすることができる。例えば、これらのセンサのうちの1つまたは複数のセンサ(例えば、光検出および測距132、赤外線センサ134、および/または可視光線センサ136)が、ポッド102(図1A)を配備すること、装着すること、および/または取り外すことを目的として、宇宙船作業用デバイス100によりターゲット宇宙船20(図1A)を基準としたランデブー・近接オペレーションを容易にすることができる。
【0047】
いくつかの実施形態では、センサのうちの1つまたは複数のセンサ(例えば、光検出および測距132、赤外線センサ134、および/または可視光線センサ136)が、宇宙船作業用デバイス100によりターゲット宇宙船20(図1A)の1つまたは複数の構造物を検出するのを可能にすることができる。例えば、宇宙船作業用デバイス100のセンサのうちの1つまたは複数のセンサが、ポッド102をターゲット宇宙船20に取り付けるときの手法を決定することを目的として、ターゲット宇宙船20のドッキングのための構造部(例えば、ドッキング機構、係留機構、または結合機構)あるいはターゲット宇宙船20の他の構造部(例えば、構造的特徴)を検出することができる。
【0048】
いくつかの実施形態では、宇宙船作業用デバイス100が、宇宙船作業用デバイス100によって実施されるオペレーションを容易にするように少なくとも部分的に再構成され得る。例えば、宇宙船20(図1A)に結合されるとき(例えば、ドッキングされるとき)、デバイス100が種々の構造および/または構成要素(例えば、宇宙船20にドッキングするのに使用される支柱)を再配置することができる(例えば、収容したり外に出したりすることができる)。これらの構造および/または構成要素は1つまたは複数のツー
ル(例えば、ロボットアーム122)によって脱着され得、一時的な保管ロケーションに配置され得る。これらの構造および/または構成要素は、ターゲット宇宙船20に対して宇宙船作業用デバイス100がドッキングさせられるときに(例えばさらには、作業を行うときに)、取り付けられてよい。
【0049】
いくつかの実施形態では、宇宙船作業用デバイス100の上にある構造部が他のデバイス(例えば、宇宙船)を再構成するのに使用され得る。例えば、宇宙船作業用デバイス100の1つまたは複数のツール(例えば、ロボットアーム122)が、発射後に、宇宙船作業用デバイス100の上方でsecondary payloadを積み重ねるのを容易にするための構造を取り外すのに、使用され得る。いくつかの実施形態では、宇宙船作業用デバイス100(例えばさらには、取り付けられたポッド102(図1A))が、ESPAリングまたは何らかの他の適切な構造に取り付けられ得る。発射後(例えば、軌道内において)、ロボットアーム122がポッド102を脱着して保管ロケーションに再配置することができ、さらには発射時廃棄(launch disposal)中にまたは一時的な保管中に使用されるアクセサリ構造を脱着することができる。
【0050】
図2B図2Aの宇宙船作業用デバイス100に実質的に類似してよい宇宙船作業用デバイス150の実施形態の簡略化された概略図を描いており、宇宙船作業用デバイス150は、描かれるように、宇宙船作業用デバイス100の構成要素のうちの一部、その大部分、またはそのすべてを有することができる。図2Bに示されるように、宇宙船作業用デバイス150が、他のデバイス(例えば、宇宙船20などの他の宇宙船、ポッド102、再供給デバイス30、など)に結合されるための結合機構152(例えば、ドッキング機構、係留機構、保持機構、または他の形の取り付け機構)を有する。
【0051】
上で考察したように、その初期状態での供給物としてポッド102を備える状態で軌道上にくると、宇宙船作業用デバイス100が、ポッド102を装着するために、ターゲット宇宙船20(図1A)からターゲット宇宙船20まで移動する。いくつかの実施形態では、宇宙船作業用デバイス100が、ポッド102を装着するのを(例えば、ロボットにより装着するのを)可能にすることを目的として宇宙船20を基準とした最適な位置を保持するための追加の制御テクニックを採用することができる。この最適な位置は宇宙船20の中心であってよいかまたは中心ではなくてもよく、ポッド102およびロボット122を宇宙船の上まで移動させるための空間を得るようにするために選択される距離だけ宇宙船20から距離を置かれてよい。ランデブーセンサからのデーが宇宙船作業用デバイス100の上にあるロボット制御用コンピュータに送信され得、その結果、機械ビジョン・ロボット運動制御アルゴリズムが2つの宇宙船の相対位置および運動の事前情報を有することができるようになる。
【0052】
図2Cから2Kが、本開示の1つまたは複数の実施形態による結合機構の種々の実施形態を描いている。図2Cおよび2Dに示されるように、結合機構152が、宇宙船20のうちの少なくとも1つの宇宙船の受け部分(例えば、エンジン156)(例えば、エンジンの一部分、または機械的結合を行うことができる任意の他の部分)で受けられるように構成される拡大可能なドッキング機構160(例えば、スピア形状を有する)を備えることができる。拡大可能なドッキング機構160が、宇宙船作業用デバイス100(図2A)のみにより、またはロボットアームにより最終的なドッキングを誘導するという手法により、定位置まで誘導され、この間、宇宙船作業用デバイス100が宇宙船20に対しての位置を保持することになる。定位置にくると、1つまたは複数の拡大可能な部分が配備され得、受け部分156に接触することができ、それにより拡大可能なドッキング機構160を宇宙船20に固定する。
【0053】
このような拡大可能なドッキング機構160が、例えば、「SYSTEMS FOR
CAPTURING A CLIENT VEHlCLE」と題される、2017年12月1日に出願された、米国特許出願第15,829,807号に開示されており、その開示の全体が本参照により本明細書に組み込まれる。例えば、拡大可能なドッキング機構160が図2Cに示されるように宇宙船20のエンジン156の中に挿入され得る。エンジン156の中に挿入されると、拡大可能なドッキング機構1560の1つまたは複数の部分が移動させられ得(例えば、拡大される、延伸される)、それによりエンジン156に接触し、拡大可能なドッキング機構160がエンジン156に固定され、それによりポッド102(図1)を宇宙船20に固定する。固定の前に、固定中に、および/または固定の後で、拡大可能なドッキング機構160が、ポッド102を宇宙船20により接近させるように配置するために後退させられる延伸アームを有することができる。
【0054】
図2Eおよび2Fに示されるように、結合機構152が、宇宙船20の受け部分156に係合されるように構成される拡大可能なおよび/または後退可能なドッキング機構162(例えば、チャックの形状を有する)を備えることができる。ドッキング機構162が、上述の手法と同様の手法で定位置まで誘導され得る。定位置にくると、ドッキング機構162が後退または拡大することができ、それにより拡大可能なドッキング機構162が宇宙船20に固定される。
【0055】
図2Gおよび2Hに示されるように、結合機構152がスネア式の(snare)ドッキング機構164(例えば、空洞の開口部のところに配置される、例としては網状の金属ワイヤなどの、複数のワイヤを有する)を備えることができる。ドッキング機構162が、上述の手法と同様の手法で定位置まで誘導され得る。スネア式のドッキング機構164が、受け部分156をワイヤ内の開口部の中に入れるのを可能にすることにより、宇宙船20の受け部分156に係合されるように構成される。定位置にくると、スネア式のドッキング機構164が、ワイヤによって画定される開口部をワイヤにより少なくとも部分的に制限することになるように、移動し(例えば、回転する)、それによりスネア式のドッキング機構164が宇宙船20に固定される。
【0056】
図2Iおよび2Jに示されるように、結合機構152が、宇宙船20の受け部分156に係合されるように構成されるクランプ式のドッキング機構166(例えば、可動部材および2つの固定部材を有する3点クランプ機構)を備えることができる。ドッキング機構166が、上述した手法と同様の手法で定位置まで誘導され得る。定位置にくると、ドッキング機構166の可動部材が固定部材の方に移動することができ、それにより拡大可能なドッキング機構166を宇宙船20に固定する。
【0057】
図2Kに示されるように、結合機構152が、宇宙船20の受け部分156に係合されるように構成される膨張可能なクランプ式のドッキング機構168(例えば、受け部分156の外側部分および/または内側部分上で受けられるように構成される1つまたは複数の膨張可能なバッグ)を備えることができる。ドッキング機構168が、上述の手法と同様の手法で定位置まで誘導され得る。定位置にくると、膨張可能なバッグ(例えば、環状バッグ)または複数の膨張可能なバッグ(例えば、2つの対向するバッグ)が膨張することができ、それにより拡大可能なドッキング機構168が宇宙船20に固定される。いくつかの実施形態では、バッグに流体(例えば、液体)が充填されていてよく、この流体が構造間に少なくとも部分的である強固な接続を形成するように少なくとも部分的に固体化する。
【0058】
図2Lが、上述のデバイスと同様であってよい宇宙船作業用デバイス180の斜視図である。描かれるように、宇宙船作業用デバイス180がESPAリングを備えるボディ182を有し、ここではポッド102がボディ182の周りに結合される。各ポッド102が、ターゲット宇宙船20(図1A)および任意選択のソーラーアレイ186に結合され
るための結合機構184を有することができる。上記と同様に、結合機構184が、ターゲット宇宙船20のエンジンに係合されるように構成されるスピア形状の延伸可能なデバイスを備えることができる。
【0059】
図1Aを参照すると、追加の実施形態において、ポッド102の構造部分(例えば、支柱または他のフレーム部材)が、宇宙船20にドッキングするのに利用され得る。例えば、ロボットアームまたは他の構造部(例えば、非ロボット式の方法)が、最初に、宇宙船20の幾何形状および構造部ならびに宇宙船20の構成要素(例えば、分離リング)の幾何形状および構造物に応じて所定のロケーションのところにポッド102を配置する。次いで、宇宙船作業用デバイス100が、ポッド102の構造部分を使用して宇宙船20にドッキングするができる。ドッキングが完了すると、ポッド102の構造部分が宇宙船20に固定され得る(例えば、クランプを作動させることによるか、あるいはロボットインターフェースを通した電子コマンドを介するかまたはロボットインターフェースからの電気機械的な駆動力を介して他の形で結合を強化することによる)。次いで、宇宙船作業用デバイス100の一部分(例えば、ロボットアーム)がポッド102を解放することができ、宇宙船作業用デバイス100が宇宙船20から切り離され得、ポッド102を宇宙船20に装着したままにしておく(例えば、分離リング上)。
【0060】
追加の実施形態では、宇宙船作業用デバイス100の一部分(例えば、ロボットアーム)がポッド102のところまで延伸してポッド102を宇宙船の一部分(例えば、宇宙船20の分離リングまたは他の適合する機械的構造部)の上に配置する。次いで、いずれかのデバイス上の結合機構または電子機械駆動装置を作動させるための、ポッド102または宇宙船20への電子コマンドが、ポッド102を宇宙船20上の定位置に固定するのに使用され得る。
【0061】
図2Aを参照すると、ポッド102を配置するのにロボットアームが使用されるような例において、ロボットアーム112、エンドエフェクタ、および/または他のツールが、2つのビークルの間の無重力の接触力学を最小にするような、ドッキング機構166に関連するテクニックを採用することができる。このようなテクニックには、限定しないが、接触インターフェースのところの摩擦を最小にすること、最初の接触と強化との間の時間(例えば、ドッキングまたは他の形での結合を完了するための時間)を最小にすること、経路にある程度の余裕を与えることが含まれる。いくつかの実施形態では、受動的および能動的な最初の接触による静電気放電(ESD:electrostatic discharge)の軽減テクニックが、ポッド102、ロボットアーム112、宇宙船作業用デバイス100、および再供給デバイス30の設計において、最初の接触によるESDを最小にするかまたは排除するのに、採用され得る。このようなESD軽減が、例えば、「ELECTROSTATIC DISCHARGE MITIGATION FOR A
FIRST SPACECRAFT OPERATING IN PROXIMITY
TO A SECOND SPACECRAFT」と題される、2017年12月1日に出願された、米国特許出願第15/829,758号に開示されており、その開示の全体が本参照により本明細書に組み込まれる。
【0062】
図1Aを参照すると、ポッド102を宇宙船20の上に装着するときに宇宙船作業用デバイス100と宇宙船20との間の接続部を可能な限り単純なものとすることが望ましい可能性がある。いくつかの実施形態では、ポッド102の装着中、宇宙船20および宇宙船作業用デバイス100が短い時間(例えば、数秒から数分)のみにおいて一体にフリードリフトしてよく、ここでは、この短い時間においてポッド102の装着が確立され、宇宙船作業用デバイス100がポッド102を解放して2つのビークルの間の機械的接続を切り離す。次いで、宇宙船作業用デバイス100の推進システムが再起動され得、宇宙船作業用デバイス100が安全なロケーションまで後退することができる。その後すぐに、
宇宙船20の姿勢制御システムが再起動され得、その結果、ターゲット宇宙船20がそのポジショニングを再確保することができるようになる。
【0063】
図1Aおよび2Aを参照すると、いくつかの実施形態では、装着後、ポッド102が、例えば:ポッド102内の送受信機への地上コマンド、ロボットアーム112からの電子コマンド、を介して、起動され得、ここでは例えば、宇宙船作業用デバイス100、再供給デバイス30、またはロボットアーム122のいずれにもポッド102が接続されていないことをポッド102が感知するのを可能にするためのタイマーやセンサ(例えば、断線タイマー(break-wire timer)または同様のセンサ)が用いられる。いくつかの実施形態では、このようなセンサが、ドッキングまたは装着のための機械的活動が完了することによって起動される1つまたは複数の機械的リミットスイッチを有することができる。
【0064】
追加の実施形態では、ポッド102が、宇宙船作業用デバイス100とポッド102との間のインターフェースに組み込まれる構造部を介して、起動され得る。例えば、宇宙船作業用デバイス100の配備デバイスの一部分(例えば、ロボットアーム122の上にある、ツール駆動機構またはエンドエフェクタ)が、付属物を起動することおよび/または初期状態において付属物をポッド102上に配備することを補助することができる。このようなテクニックは潜在的に、ポッド102の配備および始動を実施する(例えば、ポッド102に対して1回のみ作動する)ための宇宙船作業用デバイス100のロボットアーム122の機能(例えば、ロボットアーム122のエンドエフェクタ)を利用することにより、ポッド102の機構を単純化する。ロボットアーム122、ならびに/あるいはロボットアーム122の構成要素およびツールが、ポッド102の軌道内での組み立てを少なくとも部分的に遂行することができる。例えば、ポッド102に対して付属物を最終的に組み付けるのにロボットアーム122を使用することにより、発射のためのポッド102の構成要素を、単純化すること、軽量化すること、および/またはそのパッケージングを低コスト化することを可能にすることができる。
【0065】
図3が、宇宙船作業用デバイス100のポッド(例えば、図1Aのミッション延長用ポッド102)の実施形態の簡略化された概略図を描いている。図3に示されるように、ミッション延長用ポッド102が、ポッド102を、およびポッド102のメインボディ201に取り付けられる任意の他の構造を制御する(例えば、方向付けて移動させる)ための1つまたは複数のデバイスを有する。例えば、ポッド102が化学的なまたは他の種類の反動エンジンを有することができ、ならびに/あるいは電気的に動力供給される推進システムを有することができる。描かれるように、1つまたは複数のスラスタ組立体200が、可動(例えば、回転可能な)結合装置(例えば、ジンバル204およびブーム206)を用いてポッド102に取り付けられる(例えば、移動可能に取り付けられる)1つまたは複数のスラスタ202(例えば、電気推進(EP:electric propulsion)スラスタ)を有することができる。いくつかの実施形態では、メインボディ201を基準としたスラスタ202のポジショニングが、ポッドを取り付けるところの宇宙船の1つまたは複数の特性(例えば、サイズ、寸法、質量、質量中心、これらの組み合わせ、など)に基づいて、選択され得る。いくつかの実施形態では、スラスタ202が、推進燃料タンク内を動き回る推進燃料を原因とする外乱を最小にするかまたは排除するために、比較的低い加速度を実現することができる。
【0066】
図3の実施形態は単一のブーム206の上にある1つのスラスタ組立体200を示しているが、他の実施形態では、ポッド102が複数のブームの上にある複数のスラスタ組立体を有してもよい(例えば、2つ、3つ、またはそれより多いスラスタ組立体、および付随のブーム)。例えば、2つのスラスタ組立体が2つのブームの上に設けられ得、ここでは、一方のスラスタ組立体がもう一方のスラスタ組立体に対して実質的に鏡像をなす。さ
らに、いくつかの実施形態では、複数のスラスタ組立体が単一のブームの上に設けられてもよい。このような実施形態では、複数のスラスタが、十分なシステムのライフタイムスループット能力を実現するのをおよび所望の推進レベルに達するのを保証するように、実装され得る。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のスラスタ組立体200がブームの上に設けられなくてよく、ポッド102の上に直接に装着され得る。いくつかの実施形態では、1つのスラスタ組立体200が、宇宙船の再配置、静止位置の保持、傾斜角引き下げ、運動量の調整、および/または寿命末期(EOL:end of life)での廃棄を含めた、寿命延長のための作業のために使用され得る。いくつかの実施形態では、複数のスラスタ組立体200の各々が寿命延長のためのすべての作業のために使用され得るか、または寿命延長のための異なる作業のために分けられ得る。例えば、1つまたは複数のスラスタ組立体200が静止位置の保持の作業のために1つまたは複数のブームの上に設けられ得、対して1つまたは複数のスラスタ組立体200が、軌道再配置、傾斜角引き下げ、およびEOLでの廃棄のためにポッド上に装着され得る。
【0067】
いくつかの実施形態では、アンテナ208がスラスタ組立体200の上に配置され得る。いくつかの実施形態では、アンテナ208が別個の配備可能なブームの上に配置され得る。いくつかの実施形態では、動力を発生させるための追加の太陽電池がスラスタブーム組立体200の上に配置され得る。
【0068】
ポッド102が、1つまたは複数の動力源と、付随の部品とを有する動力・推進システム210を有することができる(例えば、動力システムの少なくとも一部分が電気推進の動力システムであってよい場合)。例えば、動力・推進システム210が、1つまたは複数の推進燃料タンク(例えば、キセノン推進燃料、または電気的または化学的な推進システムのための任意適切な他の推進燃料を収容する)と、スラスタ(例えば、電子スラスタ)と、付随の電力処理ユニットとを有することができる。ポッド102が、ソーラーアレイ212と、1つまたは複数のバッテリ214とを有することができる。いくつかの実施形態では、ソーラーアレイ212がメインボディ201に強固に結合され得るか、またはソーラーアレイ212を太陽の方に向けるための1つまたは複数の運動軸を備える可動(例えば、回転可能な)結合装置に取り付けられ得る(例えば、1つ、2つ、またはそれ以上の軸を中心とする移動を実現するような、1つまたは複数のジンバル216または他の可動ジョイント、およびブーム218)。
【0069】
いくつかの実施形態では、ジンバルを有するソーラーアレイ212が、同様の柔軟性を有さないアレイと比較して多くの利点を有することができる。例えば、ジンバルを有するソーラーアレイ212は、ソーラーアレイ212をターゲット宇宙船20のスラスタから取り外す/離間させるのを可能にし、その結果、ターゲット宇宙船20が、ポッド102のソーラーアレイのところまでターゲット宇宙船20のスラスタが入り込む懸念を最小にしながら軌道維持を遂行することができる。ジンバルを有するソーラーアレイ212はさらに、ターゲット宇宙船20からポッド102を熱的に切り離すことができ、太陽を追跡するのを可能にすることによりソーラーアレイ212の効果を向上させることができる。ジンバルを有するソーラーアレイ212の効果が向上することにより、ポッド102のスラスタをより長時間作動させることが可能となり、また、より小型で、より軽量で、より安価なバッテリを使用することも可能となる。より長時間作動する推進システムにより、重いターゲット宇宙船20に対して作業を行うことが容易となり得る。いくつかの実施形態では、ジンバルを有するソーラーアレイ212が、運動量を節約するような形で(例えば、正味、運動量が分与されないような形で)軌道上にあるターゲット20に関節接続され得る。
【0070】
いくつかの実施形態では、ソーラーアレイ212が、ソーラーアレイ212の動力発生を最大にしてそれによりソーラーアレイ212およびバッテリのサイズを最小にすること
を目的として、人工衛星の太陽に照らされる部分が作業を行う間において、ポッド102に記憶されている論理を利用して太陽を追跡することができる。いくつかの実施形態では、例えば、機械的デザインを単純化することを目的として、ならびに宇宙船アレイが影で覆われるのを、スラスタプルームがポッド102および/または宇宙船20に衝突するのを、センサまたはアンテナがポッド102および/または宇宙船20に干渉するのを、または他のシステムの制約が発生するのを、排除するかまたは最小にすることを目的として、ソーラーアレイ212の移動が制限されてよい。いくつかの実施形態では、ソーラーアレイ212が、1つまたは2つの運動軸を有する2つの別個の翼を有することができる。いくつかの実施形態では、ジンバルを有するソーラーアレイ212が、ポッド102の回転に抵抗するように構成される1つの移動軸を有することができる。
【0071】
ポッド102の実施形態が、格子付きイオンスラスタ、Hall効果スラスタ、コロイドスラスタ/場効果スラスタ(field effect thruster)、アークジェット、およびレジストジェットなどの、低動力の(例えば、電気)推進システムを使用することにより、比較的物理的に小さいパッケージおよび低フットプリントの形で、宇宙船ビークル20(図1A)に対して、宇宙船のための作業を提供することができる。このような電気推進システムは、宇宙船20のポジショニングを調整するための1回または複数回の噴射のために、選択される時間にわたって必要となる量の推進を引き起こすことができる(例えば、24時間で2回の噴射)、ここでは、各々の推進が選択される時間だけ継続する。いくつかの実施形態では、ポッド102が、宇宙船およびポッド102のソーラーアレイ212の天頂の方を向く側(例えば、地球の反対側)に配置され得、それにより一日のうち少なくとも12時間にわたって邪魔されることなく日光を受けることができる。いくつかの実施形態では、ポッド102のソーラーアレイ212が完全に照らされている間において1回のスラスタ噴射が行われ得、対してポッド102のソーラーアレイ212が宇宙船ボディによって完全に覆い隠される間において2回目のスラスタ噴射が行われる。
【0072】
いくつかの実施形態では、24時間の間における各々のスラスタ噴射が、宇宙船20のボディによりポッド102のソーラーアレイ212が覆い隠される時間のうちの一部分を有してもよい。いくつかの実施形態では、24時間の間における各スラスタ噴射が、ポッド102のソーラーアレイ202が完全に照らされている間において、行われてもよい。バッテリ(例えば、リチウム-イオンバッテリなどの、バッテリ214)が、ポッド102が太陽に照らされている時間において、エネルギーを保存するのに使用され得、バッテリ214が、日光のない時間におけるポッド102のバスパワードロー(bus power draw)さらにはスラスタ噴射の動力をサポートするようにサイズ決定され得る。いくつかの実施形態では、スラスタ噴射が化学的なスラスタを用いて実施される。
【0073】
いくつかの実施形態では、ポッド102の動力・推進システム210の推進燃料が、選択される期間(例えば、少なくとも複数年)にわたって宇宙船20(図1A)の静止位置の保持(例えば、必要とされる操縦および運動量の調整)をサポートするための量の推進燃料を有することができる(例えば、約25kg、50kg、100kg、150kg、またはそれ以上)。ポッド102が発射前に推進燃料を充填されていてよく、その結果、軌道内にくると推進燃料の移送が必要なくなる。宇宙船20が動作寿命の継続のために異なる軌道ロケーションへと再配置されるのを必要とするかまたはその動作寿命の終了に近づいている場合、動作寿命の延長または寿命末期での廃棄のために宇宙船20を、異なる軌道まで、異なる軌道位置まで、またはその組み合わせで、移動させることを目的として、ポッド102の推進のスケジュールおよび位置が、宇宙船20の軌道速度の方向において速度変化をもたらすように、調整され得る。
【0074】
いくつかの実施形態では、ポッド102の燃料または推進燃料が、宇宙船20の1つま
たは複数のシステムに依存することなく、宇宙船20で作業を行うのに利用され得る。例えば、宇宙船20で作業を行うのに(例えば、操縦、および/または宇宙船20の姿勢を含めた少なくとも1つの運動量の調整)、ポッド102の推進燃料のみが利用され得る。
【0075】
図1Aおよび図3を参照すると、いくつかの実施形態では、宇宙船20で作業を行うのに、宇宙船20の燃料タンク24が迂回され得る(例えば、利用されない)。例えば、ポッド102の推進燃料(例えば、図1Bに示される構成と同様の構成においてタンク141から供給されるか、またはポッド102の推進システム210のタンクから供給される)が、(例えば、宇宙船20の燃料タンク24を迂回しながら)ターゲット宇宙船20の推進燃料システム22の一部分へと供給され得る(例えば、直接に供給され得る)。このような実施形態では、推進燃料を宇宙船20のタンク24へと移送(例えば、燃料補給)することなく(例えば、燃料補給手順を介する)、宇宙船20で作業を行うのにポッド102の推進燃料が利用され得る。例えば、ポッド102の推進燃料が、宇宙船20の燃料システムの一部分に連通され得る(例えば、結合機構152、対合するアダプタ145(図1B)、などを介して流体連通され得る)。いくつかの実施形態では、このような既存の接続部が宇宙船20上に存在してよい。いくつかの実施形態では、宇宙船作業用デバイス100およびポッド102のうちの一方または両方が、宇宙船20上の接続部の少なくとも一部分のところに装着され得る。
【0076】
ポッド102からの推進燃料がターゲット宇宙船20の推進燃料システム22の中まで移送され得、推進燃料システム22の1つまたは複数のスラスタを例えば使用して、宇宙船20で作業を行う(例えば、操縦、および/または宇宙船20の少なくとも1つの運動量の調整)のに利用され得る。
【0077】
いくつかの実施形態では、ポッド102が、ポッド102を独立して移動させるための推進デバイスを有さなくてよい。
いくつかの実施形態では、ポッド102が、例えば700キログラム(kg)未満といったように、比較的小さい総質量を有することができる(例えば、600kg未満、500kg未満、400kg未満、350kg未満、300kg未満、またはそれ以下)。
【0078】
いくつかの実施形態では、ポッド102が、宇宙船20の上に永久的に留まり、回収または交換されないように、構成される。いくつかの実施形態では、ポッド102が宇宙船20から脱着され得、別のクライアント宇宙船上で使用され得る。いくつかの実施形態では、ポッド102が宇宙船20から脱着され得、宇宙船作業用デバイス100または再供給デバイス30によって燃料補給され得、宇宙船20に再び取り付けられ得る。
【0079】
ポッド102が、任意適切な種類のかつ任意適切な数の電子デバイス上に設けられるような、電力制御装置(例えば、単一の回路ボードの電力制御装置220)と、飛行制御装置(例えば、単一の回路ボードの航空電子工学制御装置222)とを有することができる。
【0080】
ポッド102が、アンテナ208および送受信機(XCVR)と通信するかまたは通信状態にある通信サブシステム224を有することができる(例えば、無線周波(RF))。ポッド102の通信サブシステム224が、継続的な接触を必要とするのではなく断続的な接触を用いる市販の通信サービスで動作するように設計され得る。
【0081】
いくつかの実施形態では、ポッド102の通信デバイス(例えば、通信サブシステム224)が、ターゲット宇宙船20(図1A)の軌道または速度のうちの少なくとも一方に関連する(例えば、宇宙船20の運動量に関連する)データを受信することができる。このようなデータが、ポッド102から離れたところにあるロケーションからポッド102
へと伝送され得るかまたは他の形で伝えられ得る(例えば、直接に、または地上局、衛星中継、直接的な伝送、および/またはターゲット宇宙船20などからの直接の電気接続を介して、間接的に、)。このようなデータが関連の噴射のための計算を含むことができ、および/またはポッド102のシステムがデータに基づいて噴射のための計算を実施することができる。いくつかの実施形態では、遠隔測定データが、直接に、または地上局を介して間接的に、ターゲット宇宙船20からポッド102へと提供され得る(例えば、無線周波リンクを介する)。いくつかの実施形態では、遠隔測定データが、ターゲット宇宙船20および宇宙船作業用デバイス100のうちの一方または両方から、または地上局から、直接にまたは間接的に、ポッド102へと提供され得る。
【0082】
いくつかの実施形態では、遠隔測定データが閉ループシステム内で選択されるインターバルでアップデートされ得、その後の噴射が、アップデートされたデータに基づいて計算され得る。
【0083】
いくつかの実施形態では、所定の噴射スケジュールが、ポッド102に、またはシステム10の別の部分に、提供され得る。
いくつかの実施形態では、ポッド102が、ポッド102および/またはターゲット宇宙船20の遠隔測定データ(例えば、速度、姿勢、運動量、位置、軌道、など)を判断するための独立システムを一切有さなくてよく、このような情報を得るのに外部供給源(例えば、ターゲット宇宙船20、地上局、作業を行うマザーシップ(servicing mothership)100)に依存することを必要としてよい。
【0084】
ポッド102が一定期間(例えば、8時間から12時間)にわたって遠隔測定データを保存することができ、選択されるスケジュールに基づいてポーリングする(例えば、一日に2回または3回)ときにこのデータを通信ネットワークに戻すことができる。全体のデータセットは比較的少量であってよく、それにより接触時間を相対的に短縮することができ、それにより複数年の期間にわたって多数のポッド102を動作させることにおいて低コストのフットプリントを実現する。いくつかの実施形態では、ポッド102が、ターゲット宇宙船20(図1A)の地球ではない方を向く側に配置され得る。地上局のアンテナまでのおよび/または軌道を周回する通信サービスまでの見通し線を提供するために、送受信機のアンテナ208がスラスタ組立体200を担持する同一のブーム上に配置され得、それによりクリアな見通し線が得られる。比較的妥当であるようなゲインアンテナ208と併せて、地球同期軌道範囲と、本質的に低動力であるポッド102の構成要素とが与えられることにより、ポッド102が比較的低いデータ速度(例えば、1kb/秒未満、数kb/秒未満、など)でデータを転送および返信する。したがって、ポッド102が、地球からの宇宙船20のための宇宙船オペレータによって指定される調整に従うようにその推進スケジュールおよびブームのポインティングを調整するための限定のセットのコマンドを受信することができる。
【0085】
いくつかの実施形態では、システム10(図1A)の1つまたは複数の部分(例えば、ポッド102)が、フレキシブル周波数送受信機を利用することができ、このフレキシブル周波数送受信機が、宇宙船20に関連付けられる地上局とポッド20が通信するのを可能にすることができる。フレキシブル周波数送受信機を使用することによりおよび宇宙船20のための既存の地上システムを使用することにより、ポッド102が、ポッド102と宇宙船20のための地上局との間でのコマンド・遠隔測定の接続性を確立することにおいて、追加的な定期的な機関によるライセンス付与または第三者機関による作業を一切必要としなくてよい。これにより、定期的な開示またはライセンス付与をほぼ必要とすることなくまたは一切必要とすることなく、相対的に追加の出資を最小限にして、宇宙船20のオペレータがポッド102に対しての制御(例えば、完全な制御)を確立することが可能となる。ターゲット宇宙船20のマーケットベース(market base)には、
通信のためにCバンドまたはKuバンドのRF周波数を利用する宇宙船20が比較的多く含まれることを考慮すると、発射されるポッド102が、CバンドまたはKuバンドの送受信機を有するように構成されてよい。発射前の調整により、初期能力により発射されるかまたは再供給用宇宙船内で発射されるような、CバンドベースのまたはKuバンドベースの通信システムを備えるポッド102の比率を確立することができる。ターゲット宇宙船20がCバンド通信またはKuバンド通信を利用しない場合、ポッド102は、ターゲット宇宙船20の通信システムに実質的に適合するような種類の通信システムを実装するように構成され得るか、あるいはCバンドまたはKuバンドのポッド102が、異なる種類の通信システムを有するターゲット宇宙船20と共に利用されてもよい。いくつかの実施形態では、ポッド102が、選択される期間(例えば、8時間から12時間)にわたってその遠隔測定データを保存することができ、ポーリングする(例えば、一日に2回または3回)ときにこのデータを通信ネットワークに戻すことができる。
【0086】
いくつかの実施形態では、フレキシブル周波数送受信機の周波数が軌道内にあるターゲット宇宙船20に基づいて修正され得る(例えば、ターゲット宇宙船20によって利用される1つまたは複数の周波数帯のうちの未使用部分を利用することを目的とする)ことを理由として、フレキシブル周波数送受信機がポッド102を多様なターゲット宇宙船20に繋ぐのを可能にすることができる。
【0087】
いくつかの実施形態では、ポッド102と宇宙船作業用デバイス100との間の宇宙間コマンドおよび遠隔測定リンクが、ポッド102を宇宙船20の地上システムに繋げるために宇宙船作業用デバイス100の比較的高いゲインおよび動力を利用するように実装され得る。いくつかの実施形態では、このテクニックが、ポッド102に対して宇宙船作業用デバイス100が非常に近接しているときに採用され得、および/またはポッド102のスラスタ噴射のスケジュールのために臨時の調整が必要となる可能性がある場合にのみ長期間のオペレーションのために宇宙船作業用デバイス100が据え付けられ得るときに、採用され得る(例えば、調整は毎週実施されるか、毎月実施されるか、より長いインターバルで実施される)。
【0088】
いくつかの実施形態では、ポッド102の通信システムが、宇宙船20のアップリンクアンテナに対してポッド102のアンテナを近接させることを利用するように設計される送受信機を使用することができ、それによりスペクトル拡散遠隔測定信号をポッド102から宇宙船20のアップリンク内へと送る。次いで、この信号が宇宙船20の通信システムによる高いゲインブーストを受け取り、それにより遠隔測定データをポッド102から地上へと送信する。
【0089】
本明細書で開示されるポッド102内の種々の通信システムが、ポッド102の機能およびポッド102によって達成される成果をほぼ実時間で監視するのを可能にすることができ、ここでは地球同期軌道から地上までの光の速度のみがタイムラグの原因となる。このような構成は、ポッド102が複数の機能(例えば、上述した機能など)を遂行するのを可能にすることができ、ここではこれらの機能が性能データを地上局に返信することができる。さらに、地上局内のさらにはターゲット宇宙船20またはポッド102内のソフトウェアが、光の速度のタイムラグで「ループを閉じる」のに利用され得、その結果、ターゲット宇宙船20を制御するために、ポッド102またはターゲット宇宙船20からのデータがターゲット宇宙船20またはポッド102に付随のソフトウェアの中へ送達され得るようになる。いくつかの実施形態では、ポッド102がポッド102のホストである宇宙船20と直接に通信する必要がなくてよく、地上局を介して光の速度の往復のタイムラグで宇宙船20と通信してよい。このような実施形態では、宇宙船に対してポッド102が作業を行う形態で実現され得るような複雑な機能の場合に「ループを閉じる」ことが可能である。例えば、この複雑な機能には、宇宙船20からの遠隔測定データを使用する
地上のソフトウェアまたはポッドのソフトウェアの中にあるジンバル制御論理により、ポッド102のスラスタ組立体200を用いて宇宙船20の3軸運動量を管理する能力が含まれてよい。
【0090】
ポッド102を別の宇宙船20(図1A)の上に配備して取り付けるために、ポッド102が、宇宙船20に取り付けられるように構成される取り付け構造部(例えば、ターゲット宇宙船20にドッキングすること、ターゲット宇宙船20に係留されること、ターゲット宇宙船20に取り付けられること、ターゲット宇宙船20を保持すること、またはこれらの組み合わせ、のうちの1つまたは複数を行うように構成される結合機構226)、ならびに/あるいは宇宙船作業用デバイス100(図2A)の構造部(例えば、ロボットアーム122)によって係合され得る1つまたは複数の結合構造部(例えば、握持機構228)を有することができる。結合機構226がメインボディ201に移動可能に設置され得る(例えば、ジンバル230を用いる)。
【0091】
いくつかの実施形態では、ポッド102のスラスタ組立体200が多軸アクチュエータシステム(例えば、複数のジンバルならびに/あるいは平行移動デバイスまたは回転デバイスによって画定される)上に配置され得る。例えば、ジンバル204が第1の軸方向にスラスタ組立体200を移動させるように構成され得、ジンバル205が、第1の軸方向に対して横向きである第2の軸方向にスラスタ組立体200を移動させるように構成され得る。いくつかの実施形態では、ジンバル204、205がスラスタ組立体200のところに配列され得る。いくつかの実施形態では、ジンバル204、205がブームによって分離され得る。ポッド102が、宇宙船ボディに対してジンバル204、205を位置決めするための第3のジンバル230を有することができる(例えば、宇宙船20(図1A)を基準としてメインボディ201を回転させる)。いくつかの実施形態では、ポッド102が、ジンバル204の近くにある第3のジンバル230を有することができる(例えば、メインボディ201とブーム206との間)。このような第3のジンバル230が、3自由度(例えば、3回転自由度)を得るようにジンバル204、205と協働して機能することができる。
【0092】
いくつかの実施形態では、握持機構228が、宇宙船作業用デバイス100(図2A)のロボットアーム122に結合されるのを容易にするために1つまたは複数の構造232によりメインボディ201から離間され得る。
【0093】
ポッド102が、ポッド102を宇宙船作業用デバイス100(図2A)に固定するのに利用される機構を有することができる。例えば、ポッド102が、宇宙船作業用デバイス100の一部分に結合される収容機構234(例えば、構造232によりメインボディ201から離間され得る)を有することができる。他の実施形態では、上記の既存の構造部(例えば、結合機構226、および/または握持機構228)のうちの1つまたは複数の構造部、あるいは別の構造部が、ポッド102を宇宙船作業用デバイス100に固定するのに使用され得る。
【0094】
上で考察したように、ポッド102が、例えば宇宙船20の制御システムから分離されている間において(例えば、繋がれていない)、宇宙船20(図1A)に対して軌道速度の変化をもたらす(例えば、静止位置の保持、再配置、EOLでの廃棄)ように構成され得る。言い換えると、ポッド102のみが、宇宙船20に取り付けられているが宇宙船20の制御システムに繋がれていない間において宇宙船20の経路(例えば、軌道)を変化させることができる。速度変化はスラスタ202(例えば、イオンスラスタ、Hall電流スラスタ、格子付きイオンスラスタ、Hall効果スラスタ、あるいは任意的なレベルの推進を引き起こす他の任意適切な種類の電気スラスタまたは化学的なスラスタ)によりもたらされ得る。
【0095】
いくつかの実施形態では、上で考察したように、ポッド102が少なくとも部分的に、宇宙船20(図1A)に(例えば、宇宙船20の外側に)結合される補助燃料タンク(例えば、高圧キセノン、ヒドラジン、ヘリウム、四酸化窒素(NTO)、低毒性の推進燃料、これらの組み合わせ、または任意適切な他の燃料のタンク)として機能することができる。例えば、ポッド102が、動力・推進システム210内にこのようなタンクのうちの1つまたは複数のタンクを有することができる。他の実施形態では、後で考察するように、ポッド102が、タンクを宇宙船20に取り付けてタンクを宇宙船に連通させるように構成される付随の部品を備える燃料タンクのみを備えることができる。
【0096】
いくつかの実施形態では、ポッド102が、実質的に、補助タンクシステムのみを備えることができ、上述の構成要素のうちの大分部を有さなくてよいか上述の構成要素を一切有さなくてよい。このような補助タンクシステムポッド102は、初期状態においてシステムを与圧するための作業用弁、設備のためのおよび宇宙船に対しての取り付けのための機械的サポート、握持用の付属物、ならびに/あるいは受動的熱制御装置を有することができる。いくつかの実施形態では、配備デバイス(例えば、ロボットアーム)が、補助タンクポッド102をその目的地に配置するのに使用され得、目的地はタンクのホストとなるようにまたはタンクのホストとならないように協働的に設計され得る。この移送タンクポッド102のためのターゲット宇宙船20がガスおよび流体の移送のための協働的に設計されるインターフェースを有することができるか、または宇宙船20がこのようなインターフェースを有さない場合は、補助タンクポッド102が、この宇宙船20の上にある多様なサイズおよび構成の付属具に適合するように構成されるインターフェースを有することができる。
【0097】
図4が、第1の推進ベクトルの向き301を有する第1の構成300における、および第2の推進ベクトルの向き303を有する第2の構成302における、宇宙船20に取り付けられたポッド102の簡略化された概略図である。図3および4を参照すると、ジンバル204、205、230が、宇宙船20の質量中心を通るように推進力ベクトルを方向付けるための選択される数の自由度(例えば、2自由度、3自由度)を提供することができる。推進が、軌道内にある宇宙船20の初期位置に基づいて、コマンドにより(例えば、離れた地上局からの)および/またはスケジュールにより(例えば、所定のスケジュール、および/またはポッド102に能動的に伝送されるスケジュール)引き起こされ得、静止位置の保持における、および宇宙船20のサブシステムから運動量を取り除くことにおける、負荷を低減するかまたはさらには排除することができる。いくつかの実施形態では、推進力の大きさおよび/または推進力ベクトルが、ポッド102までの通信リンクを介して、任意の所望のスケジュールで、ポッド102に伝送され得る。
【0098】
第1の推進ベクトルの向き301を実現するジンバル204、205、230の第1の構成300(例えば、3回転自由度)で示されるように、推進力が主として南の方向に加えられ得、つまり宇宙船軌道方向に対して非垂直である方向に加えられ得る。同様に、第2の推進ベクトルの向き303を実現するジンバル204、205、230の第2の構成032で示されるように、推進力が主として北の方向に加えられ得るか、または宇宙船軌道方向に対して垂直な方向に加えられ得る。図4に示されるように、各構成が、軌道速度の正方向および負方向において推進ベクトルの成分を有することができる。図5に示されるように、各構成(例えば、南向きの構成、および北向きの構成)における推進ベクトルがさらに、宇宙船の軌道の径方向において有意な大きさの成分を有することができる。コマンドによる(例えば、離れた地上局から)ならびに/あるいはスケジュール(例えば、所定のスケジュール、および/またはポッド102に能動的に伝送されるスケジュール)によるスラスタベクトルおよび噴射持続時間のわずかな変化が、後で考察するように、宇宙船20の静止位置の保持さらには運動量の調整を実施するのに使用される。いくつかの
実施形態では、軌道内にあるときに推進ベクトルが多様な時間において宇宙船の周りの多様なロケーションのところに適用され得、それにより宇宙船の軌道要素の制御および宇宙船の運動量の管理を最適化する。
【0099】
ポッド102からのこの追加の推進が、例えば、90%以上で、また最大で100%で、宇宙船20からの推進燃料の消費速度を低減することができ、それにより宇宙船20のミッションライフを延ばすように機能する。
【0100】
一般に1回の起動継続時間(すなわち、噴射)において宇宙船20の軌道要素のドリフトを完全に排除するようには推進力が提供され得ないことを考慮して、各々の1回のスラスタ起動継続時間において、ポッド102が宇宙船20に対して1つまたは複数の軌道方向(例えば、軌道の径方向、垂直方向、非垂直方向、面方向)において方向性を有するわずかな速度を誘発することができ、さらには複数の起動継続時間を組み合わせることを介して、宇宙船20のすべての軌道要素の制御を達成することができる。例えば、1回の軌道周回(例えば、一日における2つの12時間の継続期間)における選択されるインターバルのために、および1週間、2週間、3週間、1ヶ月、またはそれより長い継続期間における多様な軌道周回のために、ポッド102の推進スケジュールが計画され得る。このようなスケジュールは、スラスト噴射と、付随のジンバル角度とを組み合わせるのを実現することができ、それにより速度変化を引き起こし、速度変化が一部のまたはすべての軌道要素を制御し、さらには速度変化と共にまたは速度変化とは別個に宇宙船の運動量を調整する。
【0101】
図5が、第1の推進ベクトルの向き305を有する第1の構成304におけるおよび第2の推進ベクトルの向き307を有する第2の構成306における、宇宙船20に取り付けられたポッド102(例えば、図4の図から90度回転させられる)の別の簡略化された概略図を提供する。図3および5を参照すると、ジンバル204、205が、宇宙船20の質量中心158を通るように推進力ベクトル305、307を方向付けるための2自由度を提供することができる。描かれるように、一日における12時間のインターバルの2つ期間のために(または、ターゲット宇宙船20のために所望の結果を提供する任意のインターバルのために)、ポッド102の推進スケジュールが計画され得る。このようなスケジュールはスラスト噴射305、307を組み合わせることを実現することができ、それにより速度変化を引き起こし、速度変化が互いを打ち消すことができるかまたは宇宙船の軌道の偏心を制御するのに使用される。
【0102】
いくつかの実施形態では、推進のコマンドおよび/またはスケジュールが作られてポッド102に伝えられ得、それにより、少なくとも部分的に宇宙船20の特性に基づいて、宇宙船20の所望の軌道、位置、および/または速度を実現する。
【0103】
いくつかの実施形態では、ポッド102の結合部分310(例えば、上で考察した拡大可能なドッキング機構160などの、ドッキング機構を含む)が、可動(例えば、回転可能な)ジョイントを有することができる。例えば、回転可能な結合部分310が、ターゲット宇宙船20を基準としてポッド102を回転させるのを可能にしながらポッド102をターゲット宇宙船20に固定することができる(例えば、ターゲット宇宙船のエンジン314の一部分に溶接することにより)。このような構成により、スラスタブームアーム312の自由度を得ることが可能となる(例えば、第3のジンバル230(図3)などの別個の可動ジョイントの必要性を排除し、さらには2つ以上のスラスタジンバル組立体の必要性を排除する)。
【0104】
図6が、宇宙船作業用システムの再供給デバイス(例えば、宇宙船作業用システム10(図1A)の再供給デバイス30)の簡略化された概略図である。図6に示されるように
、再供給デバイス30が、構造400(例えば、ESPAリング)に取り付けられるかまたは構造400内に収容される複数のポッド102を有することができる。いくつかの実施形態では、各ポッド102が、構造400に結合されるためのそれぞれの取り付け機構401を有することができる。構造400が複数の結合装置を有することができる。これらは、例えば、発射ビークルの観測機器のうちの1つの観測機器に接続されるためのまたは発射ビークル自体に接続されるための、第1の結合装置402および第2の結合装置404である。構造400が、再供給デバイス30を制御すること、再供給デバイス30を監視すること、再供給デバイス30に動力供給することなどを目的とする、1つまたは複数の宇宙船システムを備えるバス406を有することができる。構造400が、システム10(図1A)(例えば、宇宙船作業用デバイス100(図2A))の別の部分に結合されるように構成される握持構造部408を有することができる。例えば、握持構造部408が、宇宙船作業用デバイス100のロボットアーム122を結合することができるところの構造を備えることができる(図2A)。いくつかの実施形態では、再供給デバイスの30の構造が、分離リングおよび/または宇宙船エンジンの類似の構造部(例えば、同様の形状および/または構成を有する構造)を有することができ、その結果、宇宙船作業用デバイス100をそれらにドッキングすることができるようになる。
【0105】
図7から図10が、本開示の1つまたは複数の実施形態による、宇宙船作業用デバイスに結合される複数のポッドを有する宇宙船作業用デバイスの種々の実施形態を描いている。図7に示されるように、宇宙船作業用デバイス500が、1つまたは複数の環状構造502(例えば、軸方向において互いの上に積み重ねられる2つのESPAリング)によって画定され得る。ポッド102が環状構造502の周りに結合され得る(例えば、少なくとも2つのポッド102のスタックとして)。例えば、ポッド102が、環状構造502の周りに画定される各ポートに結合され得る。ツール(例えば、ロボットアーム506)が環状構造502のうちの1つの環状構想に結合され得る(例えば、環状構造502の一方側の、径方向に延在する表面に結合され得る)。
【0106】
図8に示されるように、宇宙船作業用デバイス500が、環状構造502の周りに結合される異なる構成のポッド102を有することができる。例えば、ポッド102が、環状構造502の周りに画定される各ポートに結合され得る。第2の列のポッド102が、環状構造502の隣に配置される(例えば、環状構造に隣接するおよび/または結合される)それぞれのポッド102に結合され得る。別のセットのポッド102が、環状構造502から延在する2つのポッド102のセットの間に配置され得る(例えば、結合され得る)。いくつかの実施形態では、選択される大きさのクリアランスがポッド102の間に設けられ得る(例えば、クリアランスが存在しないことも含まれる)。いくつかの実施形態では、最も外側のポッド102が、発射ビークル(例えば、観測機器のフェアリング)の一部分の直径の範囲内に配置されるか、この直径まで延在するか、またはこの直径を越えて延在するように、構成され得る。
【0107】
図9に示されるように、宇宙船作業用デバイス500が、環状構造502の周りに結合される異なる構成のポッド102を有することができる。例えば、ポッド102が、環状構造502の周りに画定される各ポートに結合され得るが、各ポートから離間される。第2の列のポッド102が、環状構造502の隣に配置されるそれぞれのポッド102に隣接するように(例えば、結合されるように)配置され得る。別のセットのポッド102が、環状構造502から延在する2つのポッド102のセットの間に配置され得る(例えば、結合され得る)。
【0108】
図10に示されるように、宇宙船作業用デバイス500が、環状構造502の周りに結合される異なる構成のポッド102を有することができる。例えば、選択される量のポッド102(例えば、3つのポッド102)が、環状構造502の周りに画定される各ポー
トに結合され得る。第2の列のポッド102が、環状構造502の隣に配置されるそれぞれのポッド102に隣接するように(例えば、結合されるように)配置され得る。別のセットのポッド102が、環状構造502の隣に配置されるそれぞれのポッド102のいずれかの側に配置され得る(例えば、結合され得る)。
【0109】
本開示の追加の非限定の実施形態には以下のものが含まれる:
実施形態1:宇宙船作業用デバイスであって、この宇宙船作業用デバイスが:ホスト宇宙船から、ターゲット宇宙船に隣接するロケーションのところに配備されるように構成されるボディであって、ホスト宇宙船が複数の宇宙船作業用デバイスを収容する、ボディと;ターゲット宇宙船に結合されている状態においてターゲット宇宙船上で少なくとも1つの作業オペレーションを実施するように構成される少なくとも1つの宇宙船作業用構成要素であって、この少なくとも1つの宇宙船作業用構成要素が、ターゲット宇宙船に結合されているときにターゲット宇宙船の軌道、速度、または運動量のうちの少なくとも1つを変化させるように構成されるスラスタ組立体を備え、スラスタ組立体が、ボディから離れる方向に延在するブームアーム上に配置される少なくとも1つのスラスタを備える、少なくとも1つの宇宙船作業用デバイスと、を備える。
【0110】
実施形態2:実施形態1の宇宙船作業用デバイスであって、宇宙船作業用デバイスが、ホスト宇宙船の機構のみを使用してターゲット宇宙船に隣接するロケーションのところに配置されるように構成される。
【0111】
実施形態3:実施形態1または2の宇宙船作業用デバイスであって、宇宙船作業用デバイスが、ターゲット宇宙船を保守管理するために、およびターゲット宇宙船に隣接するロケーションのところまで宇宙船作業用デバイスを移動させないようにするために、スラスタ組立体のみを利用するように構成される。
【0112】
実施形態4:実施形態1から3のいずれか1つの実施形態の宇宙船作業用デバイスであって、スラスタ組立体が、少なくとも1つの電気推進スラスタまたは少なくとも1つの化学的な推進スラスタのうちの少なくとも一方を備える。
【0113】
実施形態5:実施形態1から4のいずれか1つの実施形態の宇宙船作業用デバイスであって、この宇宙船作業用デバイスが、宇宙船作業用デバイスをターゲット宇宙船に結合するように構成される結合機構をさらに備える。
【0114】
実施形態6:実施形態1から5のいずれか1つの実施形態の宇宙船作業用デバイスであって、結合機構が、ターゲット宇宙船を基準としてボディを回転させるのを可能にするように構成される。
【0115】
実施形態7:実施形態1から6のいずれか1つの実施形態の宇宙船作業用デバイスであって、結合機構の可動結合装置が、ターゲット宇宙船に対して宇宙船作業用デバイスが結合されているときに、スラスタ組立体を用いて、宇宙船作業用デバイスによりターゲット宇宙船に加えられる少なくとも1つの推進力のベクトルを変化させるように構成される。
【0116】
実施形態8:実施形態1から7のいずれか1つの実施形態の宇宙船作業用デバイスであって、少なくとも1つのスラスタが、ボディを基準として、ブームアームの少なくとも1自由度の周りを移動するように構成される。
【0117】
実施形態9:実施形態1から8のいずれか1つの実施形態の宇宙船作業用デバイスであって、少なくとも1つの自由度が、3つの軸を中心とした回転を含めた少なくとも3つの自由度を含む。
【0118】
実施形態10:実施形態1から9のいずれか1つの実施形態の宇宙船作業用デバイスであって、この宇宙船作業用デバイスが、宇宙船作業用デバイスをターゲット宇宙船に結合するように構成される回転可能な結合機構をさらに備え、少なくとも3つの自由度のうちの1自由度が、ターゲット宇宙船に対して宇宙船作業用デバイスが結合されているときにターゲット宇宙船を基準として宇宙船作業用デバイスを回転させるように構成される回転可能な結合機構によって提供される。
【0119】
実施形態11:実施形態1から10のいずれか1つの実施形態の宇宙船作業用デバイスであって、スラスタ組立体が、ターゲット宇宙船に結合されているときに、ターゲット宇宙船の少なくとも1つの運動量を変化させるように構成される。
【0120】
実施形態12:宇宙船作業用ポッドであって、この宇宙船作業用ポッドが:複数の宇宙船作業用ポッドを収容するホスト宇宙船から、ターゲット宇宙船に隣接するロケーションのところに配備されるように構成されるボディと;ターゲット宇宙船に隣接するロケーションのところでポッドをターゲットの宇宙船に結合するように構成される、ボディに取り付けられる結合機構と;ターゲット宇宙船に結合されている状態においてターゲット宇宙船上で少なくとも1つの作業オペレーションを実施するように構成される少なくとも1つの宇宙船作業用構成要素と、を備える。
【0121】
実施形態13:実施形態12の宇宙船作業用ポッドであって、宇宙船作業用ポッドが、ホスト宇宙船の機構のみを使用してターゲット宇宙船に隣接するロケーションのところに配置されるように構成される。
【0122】
実施形態14:実施形態12または13の宇宙船作業用ポッドであって、少なくとも1つの宇宙船作業用構成要素が、ターゲット宇宙船に対して宇宙船作業用ポッドに結合されているときにターゲット宇宙船の軌道、速度、または運動量のうちの少なくとも1つを変化させるように構成される少なくとも1つの推進デバイスを備える。
【0123】
実施形態15:実施形態12から14のいずれか1つの実施形態の宇宙船作業用ポッドであって、少なくとも1つの推進デバイスが、少なくとも1つの回転可能なジョイントを有するブームを用いてボディに結合される。
【0124】
実施形態16:実施形態12から15のいずれか1つの実施形態の宇宙船作業用ポッドであって、この宇宙船作業用ポッドが、少なくとも2つの軸を中心として少なくとも1つの推進デバイスを回転させるように構成される少なくとも1つの可動結合装置をさらに備える。
【0125】
実施形態17:実施形態12から16のいずれか1つの実施形態の宇宙船作業用ポッドであって、少なくとも1つの宇宙船作業用構成要素が、ターゲット宇宙船の軌道、速度、または運動量のうちの少なくとも1つを変化させるように構成される少なくとも2つの推進デバイスを備え、少なくとも2つの推進デバイスの各々が、少なくとも1つのブームを用いてポッドに結合される少なくとも1つのスラスタを備える。
【0126】
実施形態18:実施形態12から17のいずれか1つの実施形態の宇宙船作業用ポッドであって、少なくとも1つの宇宙船作業用構成要素が、静止位置の保持、軌道上昇、運動量の調整、姿勢制御、再配置、軌道離脱、燃料補給、構成要素の交換、構成要素の追加、または修理、のうちの少なくとも1つをターゲット宇宙船に対して実施するように構成される。
【0127】
実施形態19:実施形態12から18のいずれか1つの実施形態の宇宙船作業用ポッドであって、この宇宙船作業用ポッドが、ボディの一方側から延在する単一のソーラーアレイをさらに備え、この単一のソーラーアレイが、光源を基準として単一のソーラーアレイを配置することを目的として第1の自動軸の周りを移動するように構成され、さらにボディの少なくとも1つの回転動作に抵抗するために第2の移動軸の周りを移動するように構成される。
【0128】
実施形態20:宇宙船作業用デバイスであって、この宇宙船作業用デバイスが:ホスト宇宙船から配備されるように構成されるボディと;ポッドをターゲット宇宙船に結合するように構成される、ボディに取り付けられる結合機構と;ターゲット宇宙船に対して宇宙船作業用デバイスが結合されているときにターゲット宇宙船の軌道、速度、または運動量のうちの少なくとも1つを変化させるように構成される、ボディから離れる方向に延在する単一のブームアーム上に配置されるスラスタ組立体と、を備える。
【0129】
実施形態21:実施形態20の宇宙船作業用デバイスであって、少なくとも1つのスラスタが、ボディを基準として少なくとも1つの自由度の周りを回転するように構成される。
【0130】
実施形態22:実施形態20または21の宇宙船作業用デバイスであって、少なくとも1つの自由度が、3つの軸を中心とした回転を含めた少なくとも3つの自由度を含む。
実施形態23:実施形態20から22のいずれか1つの実施形態の宇宙船作業用ポッドであって、結合機構が回転可能な結合機構を備え、少なくとも3つの自由度のうちの1自由度が、ターゲット宇宙船に対して宇宙船作業用ポッドが結合されているときにターゲット宇宙船を基準として宇宙船作業用ポッドを回転させるように構成される回転可能な結合機構によって提供される。
【0131】
実施形態24:宇宙船作業用デバイスであって、この宇宙船作業用デバイスが:ホスト宇宙船から、ターゲット宇宙船に隣接するロケーションのところに配備されるように構成されるボディであって、ホスト宇宙船が複数の宇宙船作業用デバイスを収容する、ボディと;ボディに結合されるスラスタ組立体であって、ターゲット宇宙船に結合されているときにターゲット宇宙船の軌道、速度、または宇宙船のうちの少なくとも1つを変化させるように構成される、スラスタ組立体と、を備える。
【0132】
実施形態25:実施形態24の宇宙船作業用デバイスであって、宇宙船作業用デバイスが、ターゲット宇宙船に結合されているときに宇宙船作業用デバイスのスラスタ組立体のみを使用してターゲット宇宙船の軌道、速度、または運動量のうちの少なくとも1つを変化させるように構成される。
【0133】
実施形態26:実施形態24または25の宇宙船作業用デバイスであって、スラスタ組立体がボディを基準として回転するように構成される。
実施形態27:宇宙船作業用ポッドであって、この宇宙船作業用ポッドが:複数の宇宙船作業用ポッドを収容するホスト宇宙船から、ターゲット宇宙船に隣接するロケーションのところに配備されるように構成されるボディと;ターゲット宇宙船に隣接するロケーションのところでポッドをターゲットの宇宙船に結合するように構成される、ボディに結合される結合機構と;ターゲット宇宙船に結合されている状態においてターゲット宇宙船上で少なくとも1つの作業オペレーションを実施するように構成される少なくとも1つの宇宙船作業用構成要素と、を備え、宇宙船作業用デバイスの全質量が500kg未満である。
【0134】
実施形態28:実施形態27の宇宙船作業用ポッドであって、宇宙船作業用ポッドの全
質量が300kg未満である。
実施形態29:宇宙船作業用ポッドであって、この宇宙船作業用ポッドが:複数の宇宙船作業用ポッドを収容するホスト宇宙船から、ターゲット宇宙船に隣接するロケーションのところに配備されるように構成されるボディと;ターゲット宇宙船に隣接するロケーションのところでポッドをターゲットの宇宙船に結合するように構成される、ボディに取り付けられる結合機構であって、ターゲット宇宙船に対して宇宙船作業用ポッドが結合されているときにターゲット宇宙船を基準としてボディを回転させるように構成される少なくとも1つの可動結合装置を備える、結合機構と;ターゲット宇宙船に結合されている状態においてターゲット宇宙船上で少なくとも1つの作業オペレーションを実施するように構成される少なくとも1つの宇宙船作業用構成要素と、を備える。
【0135】
実施形態30:実施形態29の宇宙船作業用ポッドであって、少なくとも1つの宇宙船作業用構成要素が、ボディから離れる方向に延在するブームアーム上に配置される少なくとも1つの推進デバイスを備え、少なくとも1つの推進デバイスが、ターゲット宇宙船に対して宇宙船作業ポッドが結合されているときにターゲット宇宙船の軌道、速度、または運動量のうちの少なくとも1つを変化させるように構成される。
【0136】
実施形態31:実施形態29または30の宇宙船作業用ポッドであって、少なくとも1つの可動結合装置が、ターゲット宇宙船を基準としてボディおよび少なくとも1つの推進デバイスを回転させるように構成される。
【0137】
実施形態32:実施形態29から31のいずれか1つの実施形態の宇宙船作業用ポッドであって、少なくとも1つの宇宙船作業用構成要素が、ターゲット宇宙船の軌道、速度、または運動量のうちの少なくとも1つを変化させるように構成される少なくとも2つの推進デバイスを備え、少なくとも2つの推進デバイスの各々が、少なくとも1つのブームを用いてポッドに結合される少なくとも1つのスラスタを備える。
【0138】
上述の開示のおよび添付図面に示される実施形態は本開示の範囲を限定するものではない。というのは、これらの実施形態が、添付の特許請求の範囲およびそれらの法的均等物によって定義される本開示の実施形態の単に例であるからである。いかなる等価の実施形態も本開示の範囲内にあることを意図される。実際には、本記述により、本明細書で示されて説明されるものに加えて、説明される要素の代替的な有用な組み合わせなどの、本開示の種々の修正形態が当業者には明らかとなろう。このような修正形態および実施形態も、添付の特許請求の範囲およびそれらの法的均等物の範囲内にあることを意図される。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
図2I
図2J
図2K
図2L
図3
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