(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-25
(45)【発行日】2024-10-03
(54)【発明の名称】包装用容器
(51)【国際特許分類】
B65D 1/34 20060101AFI20240926BHJP
【FI】
B65D1/34
(21)【出願番号】P 2023143949
(22)【出願日】2023-09-05
(62)【分割の表示】P 2022042295の分割
【原出願日】2019-04-18
【審査請求日】2023-10-03
(73)【特許権者】
【識別番号】391011825
【氏名又は名称】中央化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067448
【氏名又は名称】下坂 スミ子
(74)【代理人】
【識別番号】100221752
【氏名又は名称】古川 雅与
(72)【発明者】
【氏名】加藤 真澄
【審査官】米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-157113(JP,A)
【文献】特開2019-001499(JP,A)
【文献】特開2005-119735(JP,A)
【文献】特開2004-189263(JP,A)
【文献】実開昭57-44076(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 1/34-1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品を載置する部分を区画する器部と、当該器部の外周に設けられるフランジ部とを備え、
前記フランジ部は、蓋体を装着するための内嵌合式の嵌合部を有し、
前記器部は、食品を載置する器底部と、当該器底部の縁から全周に亘って外上方に傾斜して延びる内壁面と当該内壁面の上端部から外下方へ傾斜して延びる外壁面とを備えた器壁部とを有し、
前記器部と前記フランジ部との間には、フランジ部の内周縁から内下方へ傾斜して延びる容器本体の側壁部と器壁部の外壁面とにより、器部の外方全周に亘る凹部が形成され、
前記器底部と前記器壁部との高低差が5mm以上である
ことを特徴とする包装用容器。
【請求項2】
前記器部の外側に位置し、前記器底部より下方に突出する脚部をさらに備えている
ことを特徴とする請求項1に記載の包装用容器。
【請求項3】
前記器壁部の上端部の高さは、周方向かつ連続的に変化する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の包装用容器。
【請求項4】
前記フランジ部は、前記器部及び前記脚部に連続して設けられ、
前記器壁部の上端部は、前記フランジ部の上端部より高く位置している
ことを特徴とする請求項2に記載の包装用容器。
【請求項5】
前記器部は、熱可塑性樹脂製のシートから成形後に中身が見えるように成型されたもので、
前記器部には、印刷層が積層されている
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の包装用容器。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の包装用容器は、ポリエチレンテレフタレート製である
ことを特徴とする包装用容器。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の包装用容器が容器本体であり、
前記容器本体と、前記容器本体に装着する蓋体とを備えている
ことを特徴とする包装用容器。
【請求項8】
前記容器本体には、惣菜又は刺身が盛り付けられている
ことを特徴とする請求項7に記載の包装用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、食品の収納時に用いる包装用容器に関し、特に、食品が包装用容器内で位置ずれしたり広がったりすることを防止する包装用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えばスーパーマーケットやコンビニエンスストア等の小売店で販売される食品用の包装用容器は、食品の位置ずれや広がりを防止するために、内部に別体の容器を入れたり、包装用容器の底部に周状かつ低めの壁部を設けたりしていた。例えば、特許文献1に記載の組み立て容器は、組み立てた後に別の容器内に入れ、上記組み立て容器内に食品を盛り付けていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上述した従来技術では、組み立て容器を組み立てるのみならず、容器内に入れる手間がかかる。さらに、組み立て容器が容器内で固定されていない限り、組み立て容器自体が位置ずれするおそれがある。このため、容器内に別の器状の部分を一体的に成型すれば、上述した手間やおそれを回避できる可能性がある。
【0005】
また、包装用容器の底部に周状かつ低めに設けた壁部では、器としての効果を得られにくい。すなわち、上記壁部は、上記底部及び食品に対して低過ぎることから、食品の汁が流れて広がらないようにすることはできるとしても、食品自体の位置ずれや広がりを防止するのは困難である。このため、上記底部及び上記壁部にて器状の部分を形成すれば、食品を安定して載置できる可能性がある。
【0006】
そして、容器内に別の器状の部分があることで、盛り付けた食品が見えにくくなったり、閉蓋時に蓋体と器状の部分とで食品を挟んでしまったり、蓋体に食品が貼り付いてしまったりするおそれもあることから、これらを回避する構造にすべきである。
【0007】
そこで本発明の目的は、器状の部分に盛り付けた食品が見にくくならずに、上記食品が蓋体に挟まれにくく、蓋体に食品が貼り付くのを回避すると共に、上記食品が容器本体の内部で位置ずれしにくく、かつ広がりにくくなる効果を期待できる包装用容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明による包装用容器は、食品を載置する部分を区画する器部と、当該器部の外周に設けられるフランジ部とを備え、前記フランジ部は、蓋体を装着するための内嵌合式の嵌合部を有し、前記器部は、食品を載置する器底部と、当該器底部の縁から全周に亘って外上方に傾斜して延びる内壁面と当該内壁面の上端部から外下方へ傾斜して延びる外壁面とを備えた器壁部とを有し、前記器部と前記フランジ部との間には、フランジ部の内周縁から内下方へ傾斜して延びる容器本体の側壁部と器壁部の外壁面とにより、器部の外方全周に亘る凹部が形成され、前記器底部と前記器壁部との高低差が5mm以上であることを特徴とする。
【0009】
上記器部の外側に位置し、上記器底部より下方に突出する脚部をさらに備えていることが望ましい。
【0010】
上記器壁部は、上記器底部の縁から全周に渡って立ち上がっていることが望ましい。
【0011】
上記器壁部の上端部の高さは、周方向かつ連続的に変化することが望ましい。
【0012】
上記器部の外側に位置し、上記器部及び上記脚部に連続して設けられたフランジ部をさらに備えており、上記器壁部の上端部は、上記フランジ部の上端部より高く位置していることが望ましい。
【0013】
上記器部は、熱可塑性樹脂製のシートから成形後に中身が見えるように成型されたもので、上記器部には、印刷層が積層されていることが望ましい。
【0014】
上記包装用容器は、ポリエチレンテレフタレート製であることが望ましい。
【0015】
上記包装用容器が容器本体であり、上記容器本体と、上記容器本体に装着する蓋体とを備えていることが望ましい。
【0016】
上記容器本体には、惣菜又は刺身が盛り付けられていることが望ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明における包装用容器では、器部に盛り付けた食品が見にくくならずに、上記食品が蓋体に挟まれにくく、蓋体に食品が貼り付くのを回避すると共に、上記食品が容器本体の内部で位置ずれしにくく、広がりにくくなる効果を期待できる。すなわち、従来とは異なる売り方で売り場に変化を出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本実施形態における包装用容器の斜視図である。
【
図3】
図2のP-P部分における拡大Q-Q端面図である。
【
図7】本実施形態における別の包装用容器の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、
図1~
図6を参照しつつ、本発明の一実施形態における包装用容器について説明する。左側面図は右側面図と同等、正面図は背面図と同等につき、省略する。
これらの図において、複数個存在する同一の部位については、一つの部位のみに符番した部分もある。説明の便宜上、所定の部位やこの引き出し線をかくれ線(破線)や想像線(二点鎖線)で示し、断面部分をハッチングで示した部分もある。
説明において、上方、下方、側方、垂直方向、水平方向等の方向を示す用語は、基本的に、通常使用する向きで包装用容器を設置した状態における位置関係とする。
【0020】
図1及び
図2に示すとおり、本包装用容器は、蓋体Nを装着する容器本体Mを備えている。容器本体Mは、平面視で略長方形状で、食品を載置する部分を区画する器部1と、器部1の外周縁から連続して設けられたフランジ部2及び脚部3とを備えている。
なお、容器本体Mは、平面視で正方形、円形、又は楕円形でもよい。食品は、刺身、寿司、サラダ、惣菜、その他各種弁当用の具材でもよく、限定はない。
【0021】
器部1は、容器本体Mの内側に一体的に設けられた部位である。器部1は、食品を載置する平面状の器底部11と、器底部11の縁から全周に渡って外方に傾斜して立ち上がる器壁部12とを有する。
図3に示すとおり、器壁部12は、内壁面12cと、内壁面12cより急勾配の外壁面12dとを有する。内壁面12cの角度αは、水平面に対して30°~80°、好ましくは40°~70°、より好ましくは50°~60°であり、30°より小さいと器壁部12の高さが小さくなり過ぎ、80°より大きいと器壁部12が尖ってしまうおそれがある。外壁面12dの角度βは、水平面に対して70°~85°、好ましくは73°~82°、より好ましくは75°~80°であり、70°より小さいと器壁部12の高さが小さくなり過ぎ、85°より大きいと器壁部12が尖ってしまうおそれがある。器壁部12の上端部は、周方向かつ連続的に高さが変化しており、器壁第一上端部12aと、器壁第一上端部12aより短くかつ高い位置にある器壁第二上端部12bとを有する。
図5に示すとおり、器底部11と器壁第一上端部12aとの高低差hは、5mm以上である。この構成によれば、器部1に盛り付けた食品が見にくくならずに、上記食品が蓋体Nに挟まれることも回避し、上記食品が容器本体Mの内部で広がらず、かつ位置ずれしにくくなる効果を期待できる。特に、食品が刺身である場合、刺身の下敷きとなるツマも広がりににくくできるため、ツマの量が従来の量より少なめでも安定して刺身を盛り付けることができる。
なお、器壁部12は、平面視で正方形、円形、又は楕円形でもよい。器壁部12の上端部の高さは、連続して変化していてもよい。器壁第一上端部12aの高さと器壁第二上端部12bの高さとは、同等でも、器壁第二上端部12bの高さのほうが低くてもよい。
【0022】
フランジ部2は、器部1の外側に位置し、器部1及び脚部3に連続して設けられ、平面視で略長方形状で、全周に渡って同一の高さで、周状に連続して蓋体Nを装着するための符番しない外嵌合式の嵌合部を有する。フランジ部2の上端部の高さは、全周に渡って器壁部12の上端部より低く位置している。
なお、フランジ部2は、平面視で正方形、円形、又は楕円形でもよい。嵌合部は、内嵌合式又は内外嵌合式でもよい。フランジ部2は、器壁部12の上端部より高い部分を有していてもよい。フランジ部2の内周縁と器部1の外周縁との水平上の距離は、5mm~10mmでよく、5mmより短いと蓋体Nで食品を挟むおそれがあり、10mmより長いと容器本体Mに対して器部1が小さめになって見栄えが悪くなるおそれがある。フランジ部2の上端部と器壁第一上端部12aとの高低差は、3mm~20mmでよく、好ましくは5mm~10mmで、3mmより低いと蓋体Nで食品を挟むおそれがあり、20mmより高いと食品が見えにくくなるおそれがある。
【0023】
脚部3は、器部1の外側に位置し、器底部11より下方に突出しており、平面視で容器本体Mの角部分に位置し、器部1の外周縁からフランジ部2の内周縁に渡って連続して形成されている。
なお、器底部11と載置時に机上に接する脚部3の下端部分との高低差は、5mm~10mmでよく、5mmより低いと器底部11の位置が低すぎて食品の見栄えが悪くなるおそれがあり、10mmより高いと包装用容器同士を積み重ねるにくくなるおそれがある。
【0024】
容器本体Mは、透明なポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂製のシートからなり、器部1の器底部11及び器壁部12には、印刷層が積層されている。この構成によれば、フランジ部2及び脚部3を含む他の部分並びに蓋体Nと比べて、印刷層を有する器部1が際立つため、容器本体M内とは別体の器部1が内蔵してある錯覚を需要者に生じさせ、高級感を演出することができる。
なお、印刷層の模様、色、及び絵柄は、いずれでもよい。器部1の印刷層は、圧空成形による定位置印刷にて積層されたものでもよい。印刷層は、上記シートに直接印刷したものや上記シートに印刷フィルムを積層したものでもよい。
【0025】
蓋体Nは、平面視で略長方形状で、符番しない平面状の天面部と、天面部の外周縁から下方かつ外方に傾斜している蓋体側壁部と、蓋体側壁部の下端縁から外方に設けられた蓋体嵌合部とを有している。
なお、蓋体Nは、平面視で正方形、円形、又は楕円形でもよい。容器本体Mに蓋体Nが装着された状態で、器壁部12の上端部と蓋体側壁部との水平方向の間隔は、5mm~10mmでよく、5mmより近いと蓋体Nで食品を挟むおそれがあり、10mmより遠いと容器本体Mに対して器部1が小さめになって見栄えが悪くなるおそれがある。容器本体Mに蓋体Nが装着された状態で、器底部11から天面部までの高さが、40~50mmでよく、40mmより低いと中身の盛り付けの高さが低くなってしまい、50mmより高いと天面部と中身との距離が開き過ぎてしまうおそれがある。
【0026】
次に、
図7~
図11は、本発明の一実施形態における別の包装用容器であり、上述した包装用容器と異なる部分についてのみ説明する。
なお、
図1~
図6で示した部位と同等の部位は、参照を容易にする等のため、
図7において一律100を加えた番号にしており、
図8~
図11では符番を省略する。
【0027】
図7に示すとおり、容器本体100Mのフランジ部102は、符番しない内嵌合式の嵌合部を有する。そのため、外嵌合式の嵌合部を有するフランジ部を備えた容器本体と比べて、器壁部112の内壁面及び外壁面の傾斜は急勾配に形成されている。この構成によれば、器部101の容積を相対的に多めにでき、かつフランジ部102の内周縁と器壁部112の外壁面との水平方向の距離を広めにすることができる。
【0028】
なお、本実施形態における容器本体M及び蓋体Nは、例えば真空成型、熱板圧空成型、真空圧空成型、両面真空成型等のシート成型で、合成樹脂シートを熱成型することにより形成されてもよい。合成樹脂シートとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリスチレン等のスチレン系樹脂、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂で、単層や多層のシートを使用してもよい。樹脂としては、例えば、発泡樹脂を使用すれば、軽量かつ断熱性があり好ましい。さらに、シートの表面または裏面を合成樹脂フィルムで覆ってもよく、表面を覆った場合は印刷を施してもよい。合成樹脂シートの厚みは特に制限はない。
【符号の説明】
【0029】
M 容器本体
N 蓋体
1 器部
11 器底部
12 器壁部
2 フランジ部
3 脚部