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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-25
(45)【発行日】2024-10-03
(54)【発明の名称】スマートメータ
(51)【国際特許分類】
   H01R 9/22 20060101AFI20240926BHJP
   G01R 22/06 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
H01R9/22
G01R22/06 130H
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2023188387
(22)【出願日】2023-11-02
【審査請求日】2023-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000205661
【氏名又は名称】大崎電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100137039
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 靖子
(72)【発明者】
【氏名】大柳 雅之
(72)【発明者】
【氏名】井田 佳孝
(72)【発明者】
【氏名】曽我 晴伸
【審査官】高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-170455(JP,A)
【文献】特開2021-170454(JP,A)
【文献】実開昭60-88468(JP,U)
【文献】特開2011-237321(JP,A)
【文献】実開平2-86068(JP,U)
【文献】国際公開第2015/159354(WO,A1)
【文献】特開平9-161868(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 9/00
H01R 9/15-9/28
G01R22/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
計器の本体から突出して配置される計器側接続端子と端子ブロックの配電線側接続端子を備え、複数の配電線の各々に対応する配電線側接続端子と計器側接続端子が長さ方向で互いに重ね合わされて端子接続部を形成する、スマートメータであって、
前記端子接続部を貫通して配置され、前記端子接続部の長さ方向に延びる側部溝を有する端子押圧部材と、
前記端子接続部の長さ方向に移動させられる移動カム部材であって、前記側部溝と係合することにより、前記端子押圧部材を、前記移動カム部材の移動方向と直交する方向へ移動させるカム面部を有する移動カム部材と、を備え、
前記端子押圧部材は、前記カム面部が前記側部溝と係合したとき、前記端子接続部を前記移動カム部材に対して押圧可能な端子押圧面を有し、
前記移動カム部材は、非導電性材料で形成されるフレームユニットを備え、前記カム面部が、前記フレームユニットに装着される金属製の板ばねにより形成されている、
スマートメータ。
【請求項2】
計器の本体から突出して配置される計器側接続端子と端子ブロックの配電線側接続端子を備え、複数の配電線の各々に対応する配電線側接続端子と計器側接続端子が長さ方向で互いに重ね合わされて端子接続部を形成する、スマートメータであって、
前記端子接続部を貫通して配置され、前記端子接続部の長さ方向に延びる側部溝を有する端子押圧部材と、
前記端子接続部の長さ方向に移動させられる移動カム部材であって、前記側部溝と係合することにより、前記端子押圧部材を、前記移動カム部材の移動方向と直交する方向へ移動させるカム面部を有する移動カム部材と、を備え、
前記端子押圧部材は、前記カム面部が前記側部溝と係合したとき、前記端子接続部を前記移動カム部材に対して押圧可能な端子押圧面を有し、
前記移動カム部材は、非導電性材料で形成されるフレームユニットを備え、前記カム面部が、前記フレームユニットに装着される金属製の板ばねにより形成されており、
前記カム面部が、前記側部溝と係合する係合面と、前記係合面と反対の側で前記端子接続部と接触可能な接触面とを含む、
スマートメータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スマートメータ(換言すれば、通信機能付き電子式電力量計)に関する。特に、本発明は、スマートメータの端子接続部材に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば一戸建家屋やマンションに取付ける電力積算計において、積算計本体と導線とを接続するには、積算計本体側端子に、導線側端子を重ね、ネジにより締め付けて導通接続するのが一般的である。しかるに、これによれば、接続作業時にドライバー等の別個の工具が必要であり、またネジを取付ける際にネジを落としたりして、意外に取扱が面倒であり、ネジを使用しない接続構造が待望された。
【0003】
ネジを使用しない従来技術が、例えば、特許文献1に示されている。この端子接続構造では、端子同士を接続するにために、コイルバネの付勢力に抗してつまみ部を引き上げ、この状態で、ベースの押え板と接続金具の間へ端子を挿入し、つまみ部を放す。するとコイルバネの放勢によってロッドが降下し、凸部が孔へ挿入された状態で端子が押え板と接続金具の間に挟まれる。この場合、孔内へロッドが挿入されているので、端子を抜き取ることはできない。逆に、端子を抜き取るには、コイルバネの付勢力に抗してつまみ部を持ち上げた状態として、孔内へ挿入されたロッドを取り除く必要がある。
【0004】
従来の端子接続構造では、上記の如く、端子を挿入又は抜き取る作業以外に、つまみ部によりロッドをその都度バネに抗して持ち上げた状態を保持し続けなければならいので、保持を持続する作業が面倒であった。
【0005】
特許文献2もまた、コイルバネの付勢力を利用し、ネジの使用を不要にする端子接続構造を記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平9-161868号公報
【文献】特開2021-170455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本願発明はこのような従来技術における問題点を解決するためになされたものであり、計器側端子と配電線側端子の接続を、ネジを使用することなく、ワンタッチで達成及び解除できる端子接続部材を備えるスマートメータを提供することを目的とする。また、本発明は、計器側端子と配電線側端子の接続を、ネジを使用することなく、ワンタッチで達成及び解除でき、かつ、簡易な構造を有する端子接続部材を備えるスマートメータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態によれば、計器の本体から突出して配置される計器側接続端子と端子ブロックの配電線側接続端子を備え、複数の配電線の各々に対応する配電線側接続端子と計器側接続端子が長さ方向で互いに重ね合わされて端子接続部を形成する、スマートメータであって、端子接続部を貫通して配置され、端子接続部の長さ方向に延びる側部溝を有する端子押圧部材と、端子接続部の長さ方向に移動させられる移動カム部材であって、側部溝と係合することにより、端子押圧部材を、移動カム部材の移動方向と直交する方向へ移動させるカム面部を有する移動カム部材と、を備え、端子押圧部材は、カム面部が側部溝と係合したとき、端子接続部を移動カム部材に対して押圧可能な端子押圧面を有する、スマートメータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態によるスマートメータの一例を示す外観斜視図である。
図2図1に示すスマートメータの外カバーを取り去った状態の外観斜視図を示す。
図3図1に示すスマートメータの外カバーを取り去った状態の外観斜視図を示す。
図4図1に示すスマートメータの各構成要素を分離して示す分解斜視図である。
図4A】移動カバー部材の詳細及び組立方法を示す分解斜視図である。
図4B】移動カバー部材の詳細及び組立方法を示す分解斜視図である。
図5図1に示すスマートメータの外カバーを取り去った状態の平面図であり、端子接続が解除された状態を示す図である。
図6図5の6-6線に沿う部分拡大縦断図である。
図7図1に示すスマートメータの外カバーを取り去った状態の平面図であり、端子接続が達成された状態を示す図である。
図8図7の8-8線に沿う部分拡大縦断図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明はあくまでも一例を示すものであって、本願発明の技術的範囲を以下の実施形態に限定する趣旨ではない。また、図面では、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態によるスマートメータの一例を示す外観斜視図である。図2及び図3は、それぞれ、図1に示すスマートメータの外カバーを取り去った状態の外観斜視図を示す。図4は、図1に示すスマートメータの各構成要素を分離して示す分解斜視図である。図4A及び図4Bは、スマートメータの構成要素のうち移動カバー部材の詳細及び組立方法を示す分解斜視図である。図5は、図1に示すスマートメータの外カバーを取り去った状態の平面図であり、接触導通状態が解除された状態を示す図である。図6は、図5の6-6線に沿う部分拡大縦断図である。図7は、図1に示すスマートメータの外カバーを取り去った状態の平面図であり、接触導通状態が達成された状態を示す図である。図8は、図7の8-8線に沿う部分拡大縦断図である。
【0012】
[全体概要]
本実施形態によれば、スマートメータの端子接続部に確実な接触導通状態をもたらすための端子接続部材が提供される。以下に、本発明の一実施形態が適用されるスマートメータの全体概要を説明する。
【0013】
本発明の一実施形態によるスマートメータ100は、図1に示す外カバー10を取り外すと、図2及び図3に示すような計器20及び端子ブロック40と、図示されない通信機とを備えている。計器20は、樹脂等の非導電性材料で形成される筐体内に電力量測定のための電子基板(図示せず)等を内蔵することにより構成される。端子ブロック40は、計器20と配電線(図示せず)を電気的に接続するために使用される。計器20及び端子ブロック40は、スマートメータ100の背面側に配置されるアタッチメント部材60内に収納配置されるように、アタッチメント部材60に取り付けられる。通信機は、図3に示すようなモジュラージャック21を介して計器20に接続され、計器20の筐体の所定の部分に配置される。スマートメータ100は、アタッチメント部材60を介して建造物の壁面等に取り付けられた状態で使用される。図1に示す外カバー10が、スマートメータ100の前面側を覆うようにアタッチメント部材60に取り付けられる。
【0014】
図4に示されるように、計器20は、電子基板等を内蔵する筐体を備える計器本体22を備える。また、図4には示されていないが、計器本体22から突出して延びる計器側接続端子24が、計器本体22に固定されている。例えば、図6に示すように、本実施形態では、計器20は、真直状の計器側接続端子24を有している。本実施形態では、計器20及び端子ブロック40がアタッチメント部材60に取り付けられたとき、計器側接続端子24は、スマートメータ100の前面側に位置するように、後述する端子ブロック40の配電線側接続端子44に長さ方向で重なる位置に配置される。
【0015】
端子ブロック40は、樹脂等の非導電性材料で形成されるフレームユニット42と、配電線側接続端子44とを備える。配電線側接続端子44は、フレームユニット42に固定され、図示されない配電線と接続されると共に、計器側接続端子24と接続されるように構成されている。配電線は、端子ブロック40に、図4の矢印Aで示される方向(換言すれば、図4の上下方向)に挿入される。図4に示されるフレームユニット42の下側の面には、配電線が挿入される配電線挿入口46が横並び(換言すれば、配電線の挿入方向Aに対して横方向)に配列されている。例えば図6に示されるように、配電線側接続端子44は、配電線を受け入れる内部孔45を有している。配電線側接続端子44は、内部孔45が配電線挿入孔46と整列する位置で、フレームユニット42に固定される。本実施形態では、真直状の配電線側接続端子44がフレームユニット42に固定されている。配電線挿入口46に挿入された配電線は、内部孔45内でねじ48により固定される。これにより配電線側接続端子44と配電線が電気的に接続される。しかし、配電線側接続端子44と配電線の接続方法は、ねじによるものには限られない。
【0016】
本実施形態では、例えば図6に示されるように、計器20及び端子ブロック40がアタッチメント部材60に取り付けられたとき、各配電線に対応する配電線側接続端子44と計器側接続端子24は、目に見えないほどの微小な隙間(理解の容易のため、図6では誇張して示されている)を介して層状に重ねられ、粗目の接触状態で配置される。これにより、各配電線の端子接続部が形成される。例えば図4に示すように、端子ブロック40のフレームユニット42は、隣接する端子接続部を互いに絶縁するための隔壁50を有している。
【0017】
[端子接続部材]
次に、スマートメータ100の端子接続部に適用される端子接続部材について説明する。図6に参照して説明したように、計器20及び端子ブロック40がアタッチメント部材60に取り付けられたとき、各配電線の端子接続部において、配電線側接続端子44と計器側接続端子24は、粗目の接触状態で配置されている。本実施形態によれば、配電線側接続端子44と計器側接続端子24との間で密にかつ確実な接触導通状態をもたらすための端子接続部材が提供される。そのような端子接続部材として、本実施形態では、端子押圧部材80と移動カム部材90とを設けることができる。後述するように、移動カム部材90は、作業者により手動で操作されるように構成されている。端子押圧部材80は、移動カム部材90のカム作用により動作するように構成されている。これにより、端子押圧部材80と移動カム部材90との間で計器側接続端子24と配電線側接続端子44を押圧挟持し、確実な接触導通状態を達成することができる。
【0018】
[端子押圧部材80]
例えば、図4に示すように、本実施形態の端子押圧部材80は、全体的に実質的に柱状の部材である。具体的には、端子押圧部材80は、アタッチメント部材60に取り付けられる取り付け部82と、取り付け部82に隣接する外周凸部84と、外周凸部84に隣接する軸部86と、を含む。端子押圧部材80は、軸部86がスマートメータ100の前面側に位置し、取り付け部82がスマートメータ100の背面側に位置するように配置される。端子押圧部材80は、スマートメータ100の前後方向に移動可能にアタッチメント部材60の取り付け凹部62に取り付けられる。端子押圧部材80の回り止めのため、例えば図4に示すように、端子押圧部材80の取り付け部82とアタッチメント部材60の取り付け凹部62は、互いにかみ合う多角形の形状を有することができる。
【0019】
端子押圧部材80がアタッチメント部材60に取り付けられたとき、例えば図6に示すように、端子押圧部材80の外周凸部84は、端子接続部(すなわち、互いに重ね合わされた計器側接続端子24及び配電線側接続端子44)の下側に位置するように位置決めされる。図示の例では、外周凸部84は、端子接続部を押圧可能であるように、実質的に矩形状の平坦な押圧面84aを有する。図4に示すように、押圧面84aは、端子接続部の長さ方向に大きい長さを有している。しかし、外周凸部84は、端子接続部を押圧可能な押圧部を含んでいればよく、その具体的な形状は図示のものに限られない。
【0020】
例えば図6に示すように、端子押圧部材84の軸部86は、配電線側接続端子44及び計器側接続端子24に形成される貫通孔30を通って配置される。貫通孔30は、計器側接続端子24の貫通孔24aと配電線側接続端子44の貫通孔44aが整列して配置されることにより形成されている。貫通孔30は、配電線の挿入方向Aまたは端子接続部の長さ方向に対して、直交する方向に延びている。これにより、端子押圧部材80は、配電線の挿入方向Aまたは端子接続部の長さ方向(換言すれば、後述する移動カム部材90の移動方向)に対して、直交する方向に移動可能である。軸部86の外周面の直径方向で互いに対向する位置に、一対の側部溝88が形成されている。図面では、便宜上、一対の側部溝88のうち一方の側部溝88のみが示されている。側部溝88は、例えば中実の軸部86の外周面に、軸部86の長さ方向に対して横方向に延びる溝を形成することにより形成することができる。これにより、端子押圧部材80に、移動カム部材90と係合可能な表面を形成することができる。一対の側部溝88は、後述する移動カム部材90のカム面部94の進入を許容する位置で、移動カム部材90の移動方向と同じ方向に延びている。また、例えば図6に示すように、各側部溝88は、カム面部94と相互作用し、カム面部94と係合する係合面88aを有している。
【0021】
[移動カム部材90]
移動カム部材90は、例えば図3に示すように端子ブロック40上に配置され、手動操作によって移動させられるように構成されている。具体的には、移動カム部材90は、配電線挿入方向Aと同じ方向で端子接続部に沿って移動可能である。後述するように、移動カム部材90は、移動方向で端子押圧部材80の側部溝88に進入することができるカム面部94を有していればよい。また、移動カム部材90は、端子押圧部材80の外周凸部84との間で計器側接続端子24及び配電線側接続端子44を押圧挟持することができるように構成される所定の部分を有していればよい。
【0022】
移動カム部材90を、計器側接続端子24及び配電線側接続端子44の接触導通状態を解除する解除位置と、接触導通状態を達成する導通位置との間で、端子ブロック40上で端子接続部に沿って並進(換言すれば、直線移動)させることができる。移動カム部材90の解除位置は、図5及び図6に示されている。移動カム部材90の導通位置は、図7及び図8に示されている。移動カム部材90は、図5及び図6に示す解除位置から、矢印B1の方向に移動させられることにより、図7及び図8に示す導通位置に到達することができる。また、移動カム部材90は、図7及び図8に示す導通位置から、矢印B2の方向に移動させられることにより、図5及び図6に示す解除位置に到達することができる。以下の説明では、移動カム部材90が解除位置から導通位置に向かう移動(矢印B1方向の移動)を前進、導通位置から解除位置に向かう移動(矢印B2方向の移動)を後退とも称する。
【0023】
図4A及び図4Bに、移動カム部材90の分解斜視図を示す。移動カム部材90は、フレームユニット92にカム面部94を装着することにより構成することができる。カム面部94の装着方法を説明するため、図4A及び図4Bには、カム面部94の装着前と装着後の形態が単体で示されている。
【0024】
移動カム部材90は、移動カム部材90の移動方向に対して全体に横方向に延びるフレームユニット92を備えている。フレームユニット92は、全体に非導電性の材料で形成される。フレームユニット92は、カム面部94が装着される装着部92aを有する。装着部92aは、端子接続部の配列に対応して、端子接続部の数と同じ数で形成されている。装着部92aは、移動方向で各端子押圧部材80の軸部86を受け入れ可能な開口93を有している。装着部92aの開口93の周囲にカム面部94を装着することができる。隣接する開口93の間に設けられる隔壁96によって、軸部86を受け入れたときに隣接する軸部86を互いに絶縁することができる。従って、端子押圧部材80は、導電性の材料で形成されてよい。しかし、端子押圧部材80は、非導電性の材料で形成されていてもよい。カム面部94もまた、導電性の材料で形成されてよく、非導電性の材料で形成されてもよい。
【0025】
本実施形態では、カム面部94を、弾力性を有する金属材料で形成することができる。一例として、本実施形態では、カム面部94は、ステンレス鋼で形成されている。また、本実施形態では、カム面部94は、折り曲げられた板ばねの形態を有する。板ばねの折り曲げられた側の端部(換言すれば、曲げ部)に、開口(換言すれば、切欠き部)95が形成されている。カム面部94がフレームユニット92の装着部92aに装着されたとき、カム面部94の開口95は、装着部92aの開口93と実質的に整合する。これにより、例えば図5に示すような平面視で、内側に開口93、95を有する実質的にU字形状の装着部92a及びカム面部94を形成することができる。図4A及び図4Bに示すように、カム面部94の開口95の側方に、側部溝88の係合面88aと接触可能な係合面(換言すれば、カム面)94aが形成されている。
【0026】
また、図4A及び図4Bを参照すると、装着部92aへの装着前、カム面部94は、自然な閉じられた形態(換言すれば、自由状態)から、例えば矢印C1で示されるように、カム面部94の材料(本実施形態ではステンレス鋼)の弾性限度内の角度(例えば、10°~20°)で開かれる。その後、カム面部94は、開口95が装着部92aの開口93と実質的に整合する向きで、フレームユニット92に挿入され、装着部92aに装着される。このときのカム面部94の挿入方向が、図4A及び図4Bに矢印C2で示される。板ばねであるカム面部94は、装着部92aへの装着と同時に弾性によって閉じられる。こうして、カム面部94は、装着部92aを挟み込んだ状態で、ばね圧によりフレームユニット92に装着される。
【0027】
また、例えば、図6に示すように、本実施形態のカム面部94は、係合面94aと反対側の面(換言すれば、図4A及び図4Bにおいて下側の面)に、端子接続部と接触可能な接触面94bを形成している。本実施形態では、カム面部94の係合面94aが、端子押圧部材80の係合面88aと摺接し、カム面部94の接触面94bが、計器側接続端子24と摺接する。カム面部94をステンレス鋼のような金属材料で形成することにより、係合面94aと接触面94bに耐摩耗性を付与することができる。カム面部94を形成する金属材料は、ステンレス鋼には限られない。また、カム面部94は、例えば樹脂で形成されてもよい。
【0028】
作業者は、移動カム部材90のフレームユニット92の適宜の部分(例えば隔壁96)を把持して移動カム部材90を手動操作することができる。カム面部94の係合面94aは、カム面部94が側部溝88に進入したとき、側部溝88の係合面88aと相互作用することができる。本実施形態では、係合面94aは、移動カム部材90が前進させられて導通位置に近づくに従って、側部溝88の係合面88aを上方に(換言すれば、端子接続部から離れる方向に)押し上げるように作用する。従って、係合面94aは、前進方向に対して後方に向けて(換言すれば、端子ブロック40に近い側に向けて)隆起する傾斜部98(図4A及び図4Bを参照)を有している。
【0029】
[操作方法]
次に、図5乃至図8を参照して、端子接続部材の操作について具体的に説明する。なお、図6及び図8では、スマートメータ100の前面側が図の上部に位置している。また、理解の容易のため、断面図である図6及び図8には、端子押圧部材80の外周面の側部溝88が実線で示されている。また、図8には、移動カム部材90のカム面部94と側部溝88との係合状態が実線で示されている。
【0030】
作業者は、移動カム部材90の適宜の把持部(例えば隔壁96)を把持して、移動カム部材90を端子ブロック40の前面に配置する。そして、図5及び図6に示す解除位置から図7及び図8に示す導通位置まで、矢印B1の方向に移動カム部材90を前進(換言すれば、摺動)させる。カム面部94の係合面94aが端子押圧部材80の側部溝88の係合面88aに係合すると、係合面94aの後方に隆起した傾斜部98によって係合面88aが押し上げられる。これにより、図8に示すように、端子押圧部材80が全体に上方へ移動させられる。これにより、端子接続部の下側に位置する外周凸部84の押圧面84aと、カム面部94の接触面94bとの間で、計器側接続端子24と配電線側接続端子44を押圧挟持することができる。このように、端子押圧部材80と移動カム部材90との間で計器側接続端子24と配電線側接続端子44を押圧挟持し、確実な接触導通状態を達成することができる。図6に示されている計器側接続端子24と配電線側接続端子44の間の微小な隙間が、図8では存在しないことが分かる。
【0031】
移動カム部材90は、例えば、フレームユニット92が計器本体22と当接するまで、前進させることができる。換言すれば、計器本体22を、移動カム部材90の前進を導通位置で停止させるための停止部として利用することができる。しかし、移動カム部材90のための停止部は、必ずしも設けなくてよい。また、本実施形態では、カム面部94が板ばねの形態を有しているので、カム面部94を、ばね圧のみによって端子押圧部材80の側部溝88内に保持することができる。従って、作業者の手を介することなく、移動カム部材90を、端子ブロック40の前面の導通位置に保持することができる。しかし、移動カム部材90を導通位置に保持する手段は、ばね圧には限られない。
【0032】
なお、本実施形態では、計器側接続端子24と配電線側接続端子44は、カム面部94の接触面94bと端子押圧部材80の押圧面84aとの間で、押圧挟持されるように構成されている。しかし、他の実施形態によれば、フレームユニット92の所定の部分と端子押圧部材80の押圧面84aとの間で、端子接続部が押圧挟持されてもよい。
【0033】
導通を解除するとき、作業者は、再び移動カム部材90を把持して、移動カム部材90を図7及び図8に示す導通位置から図5及び図6に示す解除位置まで、矢印B2の方向に移動カム部材90を後退させる。解除作業後の移動カム部材90は、作業者が携帯することができる。移動カム部材90は、単一部品として形成されているので、スマートメータ100のすべての端子接続部を一斉に導通または導通解除させることができる。
【0034】
このように、本実施形態によれば、スマートメータ100が設置された現場において、配電線を端子ブロック40に接続した後、単に移動カム部材90を手動操作するのみで、計器側接続端子24と配電線側接続端子44を良好な導通状態で確実に接続することができる。端計器側接続端子24と配電線側接続端子44の接続を、ドライバー等の工具やねじを必要とすることなく、極めて簡単な操作で達成することができる。また、従来技術と異なり、コイルバネを使用しないので、より簡易な構造の端子接続部材を実現することができる。
【0035】
なお、本実施形態では、端子接続部において、スマートメータ100の前面側に計器側接続端子24が配置され、背面側に配電線側接続端子44が配置されている。しかし、他の実施形態によれば、端子接続部において、スマートメータ100の前面側に配電線側接続端子44が配置され、背面側に計器側接続端子24が配置されていてもよい。
【0036】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその均等物が含まれることはもちろんである。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、または、省略が可能である。
【0037】
本発明は、以下の態様を含む。
1. 計器の本体から突出して配置される計器側接続端子と端子ブロックの配電線側接続端子を備え、複数の配電線の各々に対応する配電線側接続端子と計器側接続端子が長さ方向で互いに重ね合わされて端子接続部を形成する、スマートメータであって、
端子接続部を貫通して配置され、端子接続部の長さ方向に延びる側部溝を有する端子押圧部材と、
端子接続部の長さ方向に移動させられる移動カム部材であって、側部溝と係合することにより、端子押圧部材を、移動カム部材の移動方向と直交する方向へ移動させるカム面部を有する移動カム部材と、を備え、
端子押圧部材は、カム面部が側部溝と係合したとき、端子接続部を移動カム部材に対して押圧可能な端子押圧面を有する、スマートメータ。
2. 1.に記載のスマートメータであって、移動カム部材が、移動カム部材の移動方向で端子押圧部材を受け入れ可能な開口を含む、スマートメータ。
3. 1.または2.に記載されるスマートメータであって、移動カム部材は、非導電性材料で形成されるフレームユニットを備え、カム面部が、フレームユニットに装着される金属製の板ばねにより形成されている、スマートメータ。
4. 3.に記載のスマートメータであって、カム面部が、側部溝と係合する係合面と、係合面と反対の側で端子接続部と接触可能な接触面とを含む、スマートメータ。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、配電線側接続端子と計器側接続端子が長さ方向で互いに重ね合わされて端子接続部を形成する、スマートメータに適用される。
【符号の説明】
【0039】
A 配電線挿入方向
B1 前進方向
B2 後退方向
C1 開方向
C2 装着方向
10 外カバー
20 計器
21 モジュラージャック
22 計器本体
24 計器側接続端子
24a 貫通孔
30 貫通孔
40 端子ブロック
42 フレームユニット
44 配電線側接続端子
44a 貫通孔
45 内部孔
46 配電線挿入孔
48 ねじ
50 隔壁
60 アタッチメント部材
62 取り付け凹部
80 端子押圧部材
82 取り付け部
84 外周凸部
84a 押圧面
86 軸部
88 側部溝
88a 係合面
90 移動カム部材
92 フレームユニット
92a 装着部
93 開口
94 カム面部
94a 係合面
94b 接触面
95 開口
96 隔壁
98 傾斜部
100 スマートメータ

【要約】
【課題】計器側端子と配電線側端子の接続を、ネジを使用することなく、ワンタッチで達成及び解除できる端子接続部材を備えるスマートメータを提供する。
【解決手段】計器の本体から突出して配置される計器側接続端子と端子ブロックの配電線側接続端子を備え、複数の配電線の各々に対応する配電線側接続端子と計器側接続端子が長さ方向で互いに重ね合わされて端子接続部を形成する、スマートメータであって、端子接続部を貫通して配置され、端子接続部の長さ方向に延びる側部溝を有する端子押圧部材と、端子接続部の長さ方向に移動させられる移動カム部材であって、側部溝と係合することにより、端子押圧部材を、移動カム部材の移動方向と直交する方向へ移動させるカム面部を有する移動カム部材と、を備え、端子押圧部材は、カム面部が側部溝と係合したとき、端子接続部を移動カム部材に対して押圧可能な端子押圧面を有する、スマートメータ。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8