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特許7561281レーザ用の防振構造及びレーザ用のインペラロータシステム、エキシマレーザ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-25
(45)【発行日】2024-10-03
(54)【発明の名称】レーザ用の防振構造及びレーザ用のインペラロータシステム、エキシマレーザ
(51)【国際特許分類】
   H01S 3/041 20060101AFI20240926BHJP
   H01S 3/03 20060101ALI20240926BHJP
   H02K 5/24 20060101ALI20240926BHJP
   F16F 15/02 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
H01S3/041
H01S3/03 Z
H02K5/24 A
F16F15/02 Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023539013
(86)(22)【出願日】2021-12-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-30
(86)【国際出願番号】 CN2021143013
(87)【国際公開番号】W WO2022143884
(87)【国際公開日】2022-07-07
【審査請求日】2023-06-23
(31)【優先権主張番号】202011643720.1
(32)【優先日】2020-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】323005533
【氏名又は名称】北京科益虹源光▲電▼技▲術▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110003742
【氏名又は名称】弁理士法人海田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ ▲勁▼松
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ 斌
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ 文斌
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ ▲廣▼▲義▼
(72)【発明者】
【氏名】徐 向宇
(72)【発明者】
【氏名】江 ▲鋭▼
(72)【発明者】
【氏名】丁 金▲浜▼
(72)【発明者】
【氏名】▲馮▼ ▲澤▼斌
【審査官】佐藤 宙子
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-218432(JP,A)
【文献】特開平03-274780(JP,A)
【文献】特開2000-138404(JP,A)
【文献】特開2009-262031(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102141733(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 3/00-3/30
H02K 5/24
F16F 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動装置の設備本体に対する振動を隔離するレーザ用の防振構造であって、
前記レーザ用の防振構造は、
その一側が前記駆動装置(30)に固定接続され、他側が可撓性接続部材(101)により前記設備本体(40)に接続される仕切板(10)と、
前記仕切板(10)に固定接続され、前記仕切板(10)が受ける前記駆動装置(30)による振動を減衰する振動低減ユニット(20)と、を含み、
前記設備本体(40)は、キャビティ(401)及び作動体(402)を含み、
前記仕切板にさらに常閉シリンダが設置され、前記キャビティ(401)に前記常閉シリンダのプッシュロッドに対応する係止溝が設置され、前記常閉シリンダは前記作動体(402)が所定の作動状態に達する前に該プッシュロッドを対応する係止溝内に押し、それにより前記仕切板(10)を前記キャビティ(401)に固定させ、前記作動体(402)の作動状態が所定の作動状態に達した後に該プッシュロッドを引っ込めて前記仕切板(10)と前記キャビティ(401)との間の接触を離脱させる
ことを特徴とするレーザ用の防振構造。
【請求項2】
記キャビティ(401)の外側は該可撓性接続部材(101)により前記仕切板(10)に接続され、前記作動体(402)は前記キャビティ(401)内にぶら下がることにより、該作動体(402)が作動振動する時に前記キャビティ(401)と衝突せず、前記仕切板(10)及びキャビティ(401)に対応する貫通孔が設置されることにより、前記作動体(402)の回転軸は前記貫通孔を貫通して前記駆動装置(30)に接続される
ことを特徴とする請求項1に記載のレーザ用の防振構造。
【請求項3】
前記仕切板の下方に制限ピン(102)が設置され、前記制限ピン(102)の一端が前記キャビティ(401)上の対応するスロット内に設置され、それが前記作動体(402)の作動振動時の振動振幅を制限することにより、前記キャビティ(401)と衝突しないようにする
ことを特徴とする請求項2に記載のレーザ用の防振構造。
【請求項4】
前記制限ピン(102)とそれに対応する前記キャビティ(401)のスロットの周辺の隙間は前記作動体(402)と前記キャビティ(401)との間隔より小さい
ことを特徴とする請求項3に記載のレーザ用の防振構造。
【請求項5】
前記作動体(402)の作動状態が所定の作動状態に達する前に前記作動体(402)の回転速度が所定の回転速度よりも小さく、前記作動体(402)の作動状態が所定の作動状態に達した後に前記作動体(402)の回転速度が該所定の回転速度に等しい
ことを特徴とする請求項に記載のレーザ用の防振構造。
【請求項6】
前記振動低減ユニットは振動低減支持板(201)及び複数の緩衝器(202)を含み、前記振動低減支持板(201)の上端面は前記仕切板(10)を支持し、その下端面に前記複数の緩衝器(202)が設置され、該作動体(402)が作動振動する時に発生した振動を吸収する
ことを特徴とする請求項2に記載のレーザ用の防振構造。
【請求項7】
前記振動低減支持板(201)に複数の貫通孔が設置され、前記キャビティ(401)の底部に振動低減支持板(201)上の複数の貫通孔に対応する複数のピン孔が設置され、前記振動低減支持板(201)と前記キャビティ(401)は複数の固定ピン(203)及び複数のロックボルト(204)によりそれぞれ前記複数の貫通孔を貫通して前記複数のピン孔内に固定接続される
ことを特徴とする請求項に記載のレーザ用の防振構造。
【請求項8】
前記キャビティ(401)と前記可撓性接続部材(101)及び前記駆動装置(30)と仕切板(10)との接続部にいずれも密封リングが設置され、それは前記キャビティ(401)の気密性を保証し、キャビティ内のガス漏れを防止する
ことを特徴とする請求項1に記載のレーザ用の防振構造。
【請求項9】
モータ(501)と、
内部にインペラ(503)がぶら下がることにより、該インペラ(503)が作動振動する時に放電キャビティ(502)と衝突しないようにする前記放電キャビティ(502)と、
請求項1~のいずれか一項に記載のレーザ用の防振構造と、を含み、
前記レーザ用の防振構造は、一側が前記モータ(501)に接続され、他側が可撓性接続部材(101)により前記放電キャビティ(502)に接続され、前記モータ(501)は前記インペラ(503)の回転を駆動する
ことを特徴とするレーザ用のインペラロータシステム。
【請求項10】
前記インペラ(503)の両端にインペラ軸盤(504)が設置され、前記インペラ軸盤(504)に複数の軸受(505)が設置され、前記複数の軸受(505)がそれに対応する複数の軸スリーブ(506)により前記仕切板(10)内に固定設置されることにより、前記インペラ軸盤(504)が前記仕切板(10)に固定接続される
ことを特徴とする請求項に記載のレーザ用のインペラロータシステム。
【請求項11】
請求項1~のいずれか一項に記載のレーザ用の防振構造を含む
ことを特徴とするエキシマレーザ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はレーザ技術分野に関し、具体的にはレーザ用の防振構造及びレーザ用のインペラロータシステム、エキシマレーザに関する。
【背景技術】
【0002】
ハイエンドフォトリソグラフィの分野において、高周波エキシマレーザ(excimer laser)は線幅及び安定性に対する要求をさらに向上させ、光学システムの装置機台に対する安定性要求もそれに伴って厳しくなり、僅かな振動も性能パラメータに影響を与え、他方ではレーザによる出力電力を向上させるために、パルス周波数が増加し続け、それに伴って通風システムの風速も大幅に向上させ、装置の構造寸法を大きくすることができないという制限下でインペラの回転速度を向上させることしかできず、インペラの固有のアンバランス量も回転速度の向上に伴って振動が大きくなり、現在のインペラロータシステムは軸受を介して放電キャビティ内に取り付けられ、インペラの振動は放電キャビティに直接的に伝達され、放電キャビティの光出射窓と光学モジュールとの間に相対的な振動問題が現れ、さらに線幅などの光学パラメータの技術的性能に影響を与える。
【0003】
上記の問題に対して、本開示は、防振構造の最適化設計によりレーザにおけるインペラロータシステムの放電キャビティと仕切板を可撓性接続部材により接続し、放電キャビティと仕切板との相互間の剛性接触を回避し、それによりインペラの振動を放電キャビティに直接的に伝達することができない。同時に、放電キャビティとモータ全体の密封性を保証するために、該モータと仕切板の接続部及びキャビティと可撓性接続部材の接続部などはいずれも密封リングを採用して密封し、キャビティ内のガス漏れを回避する。また、インペラの振動によるキャビティへの影響を減少させるために、インペラロータシステムの振動は振動低減ユニットを採用して吸収し、このような構造の改善によりインペラの振動による光学システムの各モジュールユニットへの影響を明らかに低下させ、それによりレーザの光学システムの安定性を大幅に向上させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術における上記問題を解決するために、本開示は防振構造を提供している。防振構造は、駆動装置の設備本体に対する振動を隔離し、かつ振動低減ユニットを採用して仕切板の駆動装置による振動を低減することにより、作業部材の振動による光学システムの各モジュールユニットへの影響を明らかに低減する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第一態様はレーザ用の防振構造を提供している。該レーザ用の防振構造は、駆動装置の設備本体に対する振動を隔離するために用いられ、その一側が前記駆動装置に固定接続され、他側が可撓性接続部材により前記設備本体に接続される仕切板と、前記仕切板に固定接続され、前記仕切板が受ける前記駆動装置による振動を減衰する振動低減ユニットと、を含み、前記設備本体は、キャビティ及び作動体を含み、前記仕切板にさらに常閉シリンダが設置され、前記キャビティに前記常閉シリンダのプッシュロッドに対応する係止溝が設置され、前記常閉シリンダは前記作動体が所定の作動状態に達する前に該プッシュロッドを対応する係止溝内に押し、それにより前記仕切板を前記キャビティに固定させ、前記作動体の作動状態が所定の作動状態に達した後に該プッシュロッドを引っ込めて前記仕切板と前記キャビティとの間の接触を離脱させる
【0006】
さらに、キャビティの外側は可撓性接続部材により仕切板に接続され、作動体はキャビティ内にぶら下がることにより、該作動体が作動振動する時にキャビティと衝突せず、仕切板及びキャビティに対応する貫通孔が設置されることにより、作動体の回転軸は貫通孔を貫通して駆動装置に接続される。
【0007】
さらに、仕切板の下方に制限ピンが設置され、制限ピンの一端がキャビティ上の対応するスロット内に設置され、それが、作動体が作動振動する時の振動振幅を制限することにより、キャビティと衝突しないようにする。
【0008】
さらに、制限ピンとそれに対応するキャビティのスロットの周辺の隙間は作動体とキャビティとの間隔より小さい。
【0010】
さらに、作動体の作動状態が所定の作動状態に達する前に作動体の回転速度が所定の回転速度よりも小さく、作動体の作動状態が所定の作動状態に達した後に作動体の回転速度が該所定の回転速度に等しい。
【0011】
さらに、振動低減ユニットは振動低減支持板及び複数の緩衝器を含み、振動低減支持板の上端面は仕切板を支持し、その下端面に複数の緩衝器が設置され、該作動体が作動振動する時に発生した振動を吸収する。
【0012】
さらに、振動低減支持板に複数の貫通孔が設置され、キャビティの底部に振動低減支持板上の複数の貫通孔に対応する複数のピン孔が設置され、振動低減支持板とキャビティは複数の固定ピン及び複数のロックボルトによりそれぞれ複数の貫通孔を貫通して複数のピン孔内に固定接続される。
【0013】
さらに、キャビティと可撓性接続部材との接続部及び駆動装置と仕切板にいずれも密封リングが設置され、それはキャビティの気密性を保証し、キャビティ内のガス漏れを防止する。
【0014】
本開示の他の態様は、モータと、内部にインペラがぶら下がることにより、該インペラが作動振動する時に放電キャビティと衝突しないようにする放電キャビティと、本開示の第一態様に記載のレーザ用の防振構造と、を含み、レーザ用の防振構造は、一側がモータに接続され、他側が可撓性接続部材により放電キャビティに接続され、モータはインペラの回転を駆動する、レーザのためのインペラロータシステムを提供している。
【0015】
さらに、インペラの両端にインペラ軸盤が設置され、インペラ軸盤に複数の軸受が設置され、該複数の軸受がそれに対応する複数の軸スリーブにより仕切板内に固定設置されることにより、インペラ軸盤が仕切板に固定接続される。
【0016】
本開示の第三態様はエキシマレーザを提供し、それは上記のようなレーザ用の防振構造を含む。
【発明の効果】
【0017】
本開示が提供しているレーザ用の防振構造及びレーザ用のインペラロータシステム、エキシマレーザは、レーザ用の防振構造の構造設計及び最適化により、レーザ用のインペラロータシステムとキャビティを離脱させ、剛性接触を回避し、インペラの振動はキャビティに直接的に伝達することができず、同時にキャビティとインペラ全体の密封性を保証するために、該モータと仕切板との接続部及びキャビティと可撓性接続部材との接続部等はいずれも密封リングを採用して密封し、キャビティ内のガス漏れを回避し、インペラロータシステムの振動は振動低減ユニットを採用して吸収し、レーザ用の防振構造の改善によりインペラ振動による光学システムの各モジュールユニットへの影響を明らかに低下させる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本開示及びその利点をより完全に理解するために、現在は図面を参照しながら以下の説明を行う。
【0019】
図1図1は、本開示の一実施例に係る防振構造の概略図を概略的に示す。
図2図2は、本開示の一実施例に係るレーザ用のインペラロータシステム構造の断面図を概略的に示す。
図3図3は、本開示の実施例に係るレーザ用のインペラロータシステム構造のA部分の拡大図を概略的に示す。
図4図4は、本開示の実施例に係るレーザ用のインペラロータシステム構造のB部分の拡大図を概略的に示す。
図5図5は、本開示の実施例に係るレーザ用のインペラロータシステム構造の密閉シリンダの概略図を概略的に示す。
図6図6は、本開示の一実施例に係るレーザの概略図を概略的に示す。
図7図7は、本開示の他の実施例に係るレーザの模式図を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本開示の実施例を説明する。しかし、理解すべきこととして、これらの説明は例示的なものだけであり、本開示の範囲を限定するものではない。以下の詳細な説明において、説明を容易にするために、多くの具体的な詳細を説明して本開示の実施例に対する全面的な理解を提供する。しかしながら、明らかに、一つ又は複数の実施例はこれらの具体的な詳細がない場合に実施されてもよい。また、以下の説明において、公知の構造及び技術の説明を省略することにより、本開示の概念を不必要に混同することを回避する。
【0021】
ここで使用される用語は具体的な実施例を説明するためだけであり、本開示を限定することを意図するものではない。ここで使用される用語「含む」、「包含」等は前記特徴、ステップ、操作及び/又は部品の存在を示すが、一つ又は複数の他の特徴、ステップ、操作又は部品の存在又は追加を排除するものではない。
【0022】
ここで使用される全ての用語(技術及び科学的用語を含む)は当業者が一般的に理解する意味を有し、特に定義されない限りである。注意すべきこととして、ここで使用される用語は本明細書の文脈と一致する意味を有すると解釈すべきであり、理想化又は過度に厳格な方式で解釈されるべきではない。
【0023】
図1は、本発明の一実施例に係る防振構造の概略図を概略的に示す。
【0024】
図1に示すように、該防振構造は、駆動装置30の設備本体40に対する振動を隔離するために用いられ、それは、一側が駆動装置30に固定接続され、他側が可撓性接続部材101により設備本体40に接続される仕切板10と、該仕切板10に固定接続され、仕切板10が受ける駆動装置30による振動を低減する振動低減ユニット20と、を含む。
【0025】
ここで、設備本体40はキャビティ401及び作動体402を含み、該キャビティ401の外側と仕切板10は可撓性接続部材101により接続され、作動体402はキャビティ401内にぶら下がることにより、該作動体402が作動振動する時にキャビティ401と衝突せず、仕切板10及びキャビティ401に対応する貫通孔が設置され、それにより作動体402の回転軸は貫通孔を貫通して駆動装置30に接続され、ここで、駆動装置30は作動体402が回転して動作することのみを駆動し、キャビティ401と仕切板10は可撓性接続部材101により弾性的に接続され、それにより駆動装置30が動作する時の振動はキャビティ401に直接的に伝達することができない。具体的には、レーザ応用において、該駆動装置はモータなどであってもよく、該キャビティ401はレーザの放電キャビティであってもよく、作動体402は放電キャビティ内に位置するインペラであってもよく、該インペラの回転軸の末端はモータに接続され、それによりモータは該インペラを回転して動作させるように駆動する。
【0026】
本開示の実施例において、該可撓性接続部材101は、弾性接続を有する部材であり、例えば可撓性の波形管などであり、該可撓性の波形管の一端は仕切板10に接続され、他端はキャビティ401に接続されることにより、作動体402が動作して振動する時に振動をキャビティ401に直接的に伝達せず、それによりキャビティ401の振動を減少させる。
【0027】
本開示の実施例によれば、仕切板10の下方に制限ピン102が設置され、制限ピン102の一端はキャビティ401上の対応するスロット内に設置され、それは作動体402の作動振動時の振動幅を制限することにより、それがキャビティ401と衝突しないようにするために用いられる。
【0028】
具体的には、作動体402が大きい動作回転速度で生成された大きな振動がキャビティ401と衝突することを回避するために、制限ピン102とそれに対応するキャビティ401のスロット周辺の隙間は作動体402とキャビティ401との間隔より小さく、すなわち作動体402の振動が上下、左右に発生可能な変位は作動体402とキャビティ401との間の間隔より小さい。
【0029】
本開示の実施例によれば、仕切板10にさらに常閉シリンダ(図1に示されない)が設置され、キャビティ401に常閉シリンダのプッシュロッドに対応する係止溝が設置され、該常閉シリンダは作動体402が予め設定された動作状態に達する前に該プッシュロッドを対応する係止溝内に押し、それにより仕切板10とキャビティ401を固定させ、作動体402の動作状態が予め設定された動作状態に達した後に該プッシュロッドを引っ込めて仕切板10とキャビティ401との間の接触を離脱させる。
【0030】
具体的には、作動体402の作動状態が予め設定された作動状態に達する前に作動体402の回転速度が予め設定された回転速度よりも小さく、作動体402の作動状態が予め設定された作動状態に達した後に作動体402の回転速度が該予め設定された回転速度に等しい。例えば、設定された作動体402の定格回転速度は2000回転/minであり、それは起動する前に静止状態から高回転速度まで突然に増加する場合に発生する振動が大きく、すなわち作動部材402の回転速度がその固有振動数に近接する時に共振現象を引き起こし、この時にシステム全体の振幅が激しく、作動部材402がキャビティ401と衝突することを回避するために、該状態で常閉シリンダのプッシュロッドがそれに対応するキャビティ401上の係止溝に押し当てられることにより、キャビティ401と仕切板10が固定され、キャビティ401の自体の重量が大きいため作業部材402の振動を減少させることができ、それによりキャビティ401と作動部材402が互いに衝突することによりキャビティ401又は作業部材402が損傷することを回避する。それに対応して、作動体402の状態が予め設定された状態に達すると、該状態で常閉シリンダのプッシュロッドがそれに対応するキャビティ401上の係止溝から引っ込めることにより仕切板10とキャビティ401との間の接触が離脱して、剛性接続を回避する。
【0031】
本開示の実施例によれば、振動低減ユニット20は、振動低減支持板201及び複数の緩衝器202を含み、振動低減支持板201は、上端面が仕切板10を支持し、下端面に複数の緩衝器202が設置され、該作動体402が作動振動する時に発生した振動を吸収するために用いられる。
【0032】
具体的には、キャビティ401が輸送過程において大きな振動がキャビティ401を損傷することを回避するために、キャビティ401をロックする必要があり、本開示の実施例において、振動低減支持板201とキャビティ401の底部に固定治具が設計され、振動低減支持板201に複数の貫通孔が設置され、キャビティ401の底部に振動低減支持板201上の複数の貫通孔に対応する複数のピン孔が設置され、振動低減支持板201とキャビティ401は複数の固定ピン203及び複数のロックボルト204がそれぞれ複数の貫通孔を貫通して複数のピン孔内に到ることにより、キャビティ401と振動低減ユニット20を固定接続させ、キャビティ401の組み立てを完了した後、複数の固定ピン203及び複数のロックボルト204を取り外し、キャビティ401と振動低減支持板201との固定接続を解除する。
【0033】
本開示の実施例によれば、キャビティ401と仕切板10及び駆動装置30と側板10との接続部の気密性を保証するために、キャビティ401と可撓性接続部材101との接続部に密封リングが設置され、それはキャビティ本体401の気密性を保証し、キャビティ内のガス漏れを防止するために用いられ、駆動装置30と仕切板10との固定接続部に気密リングが設置され、それは駆動装置30と仕切板10との間の気密性を保証するために用いられ、他の貫通孔の接続部にも気密リングが設置され、構造全体間の気密性を保証し、キャビティ内のガス漏れを防止するために用いられる。
【0034】
図面及び前の説明において本開示を詳細に図示し説明したが、このような図示及び説明は説明的又は例示的なものであり、限定的なものではなく、例えば仕切板10、振動低減ユニット20及び駆動装置30の接続関係及び構造設計であり、また該仕切板10が弾性振動吸収の部材を有し、それは金属シートで金型にプレス成形されてもよく、本開示は仕切板10の製造材料を限定しない。又は該防振構造におけるいくつかの部材は他の同じ又は類似する機能を有する部材で置き換えるか又はシステム構造をより簡略化するか又は複雑にすることができ、この本開示が提供する実施例は該振動低減構造を限定するものではない。
【0035】
図2は、本発明の一実施例に係るレーザ用のインペラロータシステム構成の断面図を模式的に示す。
【0036】
図2に示すように、該インペラロータシステムは、モータ501と、インペラ503が作動振動する時に放電キャビティ502と衝突しないように、内部にインペラ503がぶら下がる放電キャビティ502と、一側がモータ501に固定接続され、他側が可撓性接続部材により放電キャビティ502に接続される仕切板10及び、該仕切板10に固定接続され、仕切板10が受けるモータ501による振動を低減する振動低減ユニットを含む防振構造と、を含む。本開示の実施例において、該インペラロータシステムの構造は左右対称であり、本開示は一側のみを示して具体的に説明し、その他側の設置が該一側の設置と同じである。
【0037】
ここで、図2に示すように、二つの仕切板10と振動低減支持板201はU字形構造を構成し、放電キャビティ502は該U字形構造内に設置される。
【0038】
本開示の実施例において、インペラ503の両端にそれぞれインペラ軸盤504が設置される。図3に示すように、各インペラ軸盤504は、一端がディスク状であり、インペラ503に固定接続され、他端が軸突起状であり、その軸突起の末端がモータ501に接続される。インペラ軸盤504の軸突起に複数の軸受505が設置され、複数の軸受505がそれに対応する複数の軸スリーブ506により仕切板10内に固定設置されることにより、インペラ軸盤504が仕切板10に固定接続される。
【0039】
具体的には、可撓性接続部材101は弾性接続を有する部材であり、例えば波形管などであり、波形管は大きな弾性変形能力を有して振動の伝達を隔離することができ、高強度の動作空気圧を受けることができる。ここで、波形管は、一端が仕切板10に接続され、他端が波形管のフランジ509により放電キャビティ502に接続され、それによりインペラ503が動作して振動する時に、その振動が放電キャビティ502に直接的に伝達されない。
【0040】
具体的には、インペラロータシステム全体の気密性を保証するために、放電キャビティ502と波形管のフランジ509との接続部に密封リング507が設置され、それは放電キャビティ502の気密性を保証し、キャビティ内のガス漏れを防止することに用いられ、モータ501と仕切板10との固定接続部にも気密リング507が設置され、それはモータ501と仕切板10との間の気密性を保証するために用いられ、他の貫通孔の箇所にも気密リングが設置され、システム全体の気密性を保証し、キャビティ内のガス漏れを防止するために用いられる。
【0041】
図4に示すように、放電キャビティ502の取付過程において又はモータ501が不慮の衝突を受ける場合に、インペラ503の振れ幅が大きすぎると放電キャビティ502と衝突してインペラ503が破損することを回避するために、仕切板10の下方に制限ピン102が設置され、該制限ピン102の一端が放電キャビティ502の対応するスロット内に設置され、それが、インペラ503が作動振動する時の振動振幅を制限することにより、それが放電キャビティ502と衝突しないようにするために用いられる。
【0042】
具体的には、インペラ503が大きい動作回転速度で生成された大きな振動が放電キャビティ502と衝突することを回避するために、制限ピン102とそれに対応する放電キャビティ502のスロットの周辺の隙間は、インペラ503と放電キャビティ502との間隔より小さく、すなわちインペラ503の振動の上下及び左右における変位は、インペラ503と放電キャビティ502との間の間隔より小さい。本開示の実施例において、インペラ503と放電キャビティ502との間の最小間隔は3mmであり、制限ピン102とそれに対応する放電キャビティ502のスロットの周辺の隙間は1~2mmに設定される。
【0043】
図5に示すように、仕切板10にさらに常閉シリンダ103が設置され、放電キャビティ502に常閉シリンダ103のプッシュロッドに対応する係止溝5021が設置され、該常閉シリンダ103はインペラ503が予め設定された動作状態に達する前に該プッシュロッドを対応する係止溝5021内に押し、それにより仕切板10が放電キャビティ502に固定され、インペラ503の動作状態が予め設定された動作状態に達した後に該プッシュロッドを引っ込めることにより仕切板10と放電キャビティ502との間の接触が離脱する。
【0044】
具体的には、インペラ503の動作状態が予め設定された動作状態に達する前に該インペラ503の回転速度が予め設定された回転速度よりも小さく、インペラ503の動作状態が予め設定された動作状態に達した後に該インペラ503の回転速度が該所定の回転速度に等しい。例えば、設定されたインペラ503の定格回転数は2000回転/minであり、それは起動した直前に静止状態から高回転速度に突然に増加した場合に不安定であり、発生した振動が大きく、インペラ503が放電キャビティ502と衝突することを回避するために、該状態で常閉シリンダ103のプッシュロッドはそれに対応する放電キャビティ502上の係止溝5021に押し当て、それにより放電キャビティ502と仕切板10を固定し、キャビティ401の自体の重量が大きいため作業部材402の振動を減少させることができ、即ちその間の衝突により放電キャビティ502又はインペラ503を損傷することを回避する。それに対応して、インペラ503の状態が予め設定された状態に達すると、該状態で常閉シリンダ103のプッシュロッドがそれに対応する係止溝5021から引っ込めることにより、仕切板10と放電キャビティ502との間の接触が離脱して、剛性接続を回避する。
【0045】
具体的には、振動低減ユニットは最後にプラットフォームに取り付けられるため、可撓性接続部材101は例えば波形管がインペラのロータシステムの重量を支持することができず、輸送及び取り付け過程において、放電キャビティ502が輸送過程において大きな振動により放電キャビティ502に損傷を与えることを回避するために、放電キャビティ502をロックする必要がある。本開示の実施例において、振動低減支持板201と放電キャビティ502の底部に固定治具が設計され、振動低減支持板201に複数の貫通孔が設置され、放電キャビティ502の底部に振動低減支持板201上の複数の貫通孔に対応する複数のピン孔が設置され、振動低減支持板201と放電キャビティ502は複数の固定ピン203及び複数のロックボルト204がそれぞれ複数の貫通孔を貫通して複数のピン孔内に到ることにより、放電キャビティ502は振動低減支持板201に固定接続され、放電キャビティでキャビティ502の組み立てを完了した後、複数の固定ピン203及び複数のロックボルト204を取り外し、キャビティ401と振動低減支持板201との固定接続を解除する。
【0046】
図6は、本開示の一実施例に係るレーザの模式図を概略的に示す。図6に示すように、該レーザは上記のような防振構造620を含む。また、該レーザはさらに線幅狭幅モジュール610及びレーザ出力と検出モジュール630などを含むことができる。
【0047】
本開示の実施例において、該レーザにおける光路の伝送過程は以下のとおりである:防振構造620における放電により生成された種光は、線幅狭幅モジュール610とレーザ出力と検出モジュール630との間に発振し、線幅狭幅モジュール610によりレーザの線幅に対して狭幅処理を行い、最後に出力と検出モジュール630に伝送して出力する。説明すべきものとして、本開示の実施例における線幅狭幅モジュール610及び出力と検出モジュール630は従来の技術における対応するモジュールを採用することができ、本開示の実施例はこれを限定しない。
【0048】
図7は、本開示の他の実施例に係るレーザの模式図を概略的に示す。図7に示すように、該構造でのレーザと図6に示すレーザとの相違点は、該レーザが二つの防振構造及び二つのレーザ出力と検出モジュールを含むことである。光路の各モジュール間の伝送関係は図7に示すように、ここで、第一検出及び出力モジュール731が出力した種光は第二検出及び出力モジュール732に伝送され、次に第二検出及び出力モジュール732において光反射処理された後に第二防振構造722に伝送され、種光は第二防振構造722に増幅された後、最後に第二出力及び検出モジュール732に伝送され、処理された後に出力される。
【0049】
本開示の実施例において、図7に示されたレーザ構造における各モジュール構造と図6に示す各モジュール構造は同じであってもよく、構成された光路伝送過程に差異が存在するだけであり、本開示の実施例はこれを限定しない。また、他のいくつかの実際応用シーンにおいて、防振構造及び、検出及び出力モジュールは他の数の組み合わせであってもよく、例えば三つの防振構造及び三つの検出及び出力モジュールの組み合わせで構成されたレーザ等であり、本開示の実施例はこれを限定しない。
【0050】
本開示は、防振構造の最適化設計によりレーザにおけるインペラロータシステムのインペラと放電キャビティを離脱させ、その相互間の剛性接触を回避し、インペラの振動は放電キャビティに伝達することができず、放電キャビティ、インペラ及びモータ全体の密封性を保証するために、該モータと仕切板の接続部及びキャビティと可撓性接続部材の接続部等はいずれも密封リングを採用して密封する。また、インペラの振動によるキャビティへの影響を減少させるために、インペラロータシステムの振動は振動低減ユニットを採用して吸収し、このような構造により放電キャビティと関連する光学モジュールとの間の相対的な位置変化を低減し、光学システムの各モジュールユニットへの影響を明らかに低減させ、それによりレーザの光学システムの安定性を大幅に向上させる。システム全体の振動影響を低減し、構造設計において取り付け、使用メンテナンスの要求を十分に両立させ、取り付けて構成された新しいインペラロータシステムに明らかな悪影響を与えない。
【0051】
図面及び前の説明において本開示を詳細に説明し説明したが、このような図示及び説明は説明的又は例示的なものであり、限定的ではないと考えられるべきである。
【0052】
当業者であれば理解されるように、本開示の各実施例及び/又は請求の範囲に記載の特徴は様々な範囲の組み合わせ及び/又は結合を行うことができ、このような組み合わせ又は結合が本開示に明確に記載されていなくてもよい。特に、本開示の精神及び教示から逸脱することなく、本開示の各実施例及び/又は請求の範囲に記載の特徴は様々な組み合わせ及び/又は結合を行うことができる。これらの組み合わせ及び/又は結合は、全て本開示の範囲に属するものとする。
【0053】
本開示の特定の例示的な実施例を参照して本開示を示して説明したが、当業者であれば理解されるように、添付の特許請求の範囲及びその均等物によって限定された本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、本開示の形式及び詳細な様々な変更を行うことができる。したがって、本開示の範囲は上記実施例に限定されるものではなく、添付の請求の範囲により決定されるだけでなく、添付の請求項の等価物により限定されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7