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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-25
(45)【発行日】2024-10-03
(54)【発明の名称】配管支持部材
(51)【国際特許分類】
   F16L 3/12 20060101AFI20240926BHJP
   F16B 37/04 20060101ALI20240926BHJP
   F16B 41/00 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
F16L3/12 B
F16B37/04 A
F16B41/00 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023562116
(86)(22)【出願日】2022-06-10
(86)【国際出願番号】 JP2022023440
(87)【国際公開番号】W WO2023089854
(87)【国際公開日】2023-05-25
【審査請求日】2024-05-10
(31)【優先権主張番号】P 2021188611
(32)【優先日】2021-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000119830
【氏名又は名称】因幡電機産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】清水 明
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-169840(JP,A)
【文献】特開2002-147426(JP,A)
【文献】特開2003-148435(JP,A)
【文献】特開2017-057969(JP,A)
【文献】特開2005-003014(JP,A)
【文献】特開2004-232798(JP,A)
【文献】特開2010-276180(JP,A)
【文献】特開平10-078018(JP,A)
【文献】中国実用新案第205350566(CN,U)
【文献】国際公開第2012/079126(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 3/12
F16B 37/04
F16B 41/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造体に固定されたベース金具に連結されて配管を支持する配管支持部材であって、
第一ボルトとそれに螺合する第一ナットとの締結により、前記配管の外周面を包囲して当該配管を保持する状態で前記ベース金具に固定される拘束部材と、
前記第一ナットを保持した状態で、前記第一ナットが被取付位置に配置されるように前記拘束部材に直接又は間接的に着脱可能に取り付けられるナット保持部材と、を備え
前記拘束部材は、前記外周面を包囲して前記配管を保持する保持部と、前記保持部から互いに対向するように延出し、前記第一ボルトと前記第一ナットとの締結によって前記ベース金具に固定されるベース固定部と、前記保持部から互いに対向するように延出し、前記第一ボルトとは別の第二ボルトとそれに螺合する第二ナットとの締結によって前記保持部に締め付け力を作用させる締付作用部と、を備え、
前記保持部と前記ベース固定部と前記締付作用部とが一体的に形成されているとともに、前記ベース固定部と前記締付作用部との間に、前記第二ボルトの締結による締め付け力が前記ベース固定部側へ伝わりにくくするための切欠部が設けられており、
前記ナット保持部材は、前記第一ナットに加え前記第二ナットを保持した状態で、前記第一ナット及び前記第二ナットがそれぞれの被取付位置に配置されるように、前記切欠部の位置で、前記ベース固定部又は前記締付作用部に直接又は間接的に着脱可能に取り付けられる配管支持部材。
【請求項2】
前記ナット保持部材は、挿通状態で前記第一ナットを保持する第一保持挿通孔を有し、
前記第一保持挿通孔は、前記第一ナットを回り止め可能な形状を有する請求項1に記載の配管支持部材。
【請求項3】
前記第一保持挿通孔は、周方向の一部が切り欠いて形成されている請求項2に記載の配管支持部材。
【請求項4】
前記ナット保持部材は、挿通状態で前記第二ナットを保持する第二保持挿通孔を有し、
前記第二保持挿通孔は、前記第二ナットを回り止め可能な形状を有する請求項に記載の配管支持部材。
【請求項5】
前記第二保持挿通孔は、周方向の一部が切り欠いて形成されている請求項に記載の配管支持部材。
【請求項6】
前記ナット保持部材は、前記第二保持挿通孔が形成された保持本体部と、前記保持本体部に設けられて前記ベース固定部又は前記締付作用部に対して前記保持本体部とは反対側から係合する保持係合部と、を有する請求項に記載の配管支持部材。
【請求項7】
前記第一ボルトによる締結前に前記ベース金具に対して前記拘束部材を仮止めするための固定補助部材をさらに備え、
前記ナット保持部材が、前記固定補助部材を介して前記拘束部材に取り付けられる請求項1からのいずれか一項に記載の配管支持部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管支持部材に関する。
【背景技術】
【0002】
ビル等の建築物に設置される空調機器では、例えば屋外に設置された室外機から屋内に設置された室内機に亘って、冷媒配管が配設される場合がある。この場合、例えば暖房運転時に、冷媒配管が熱膨張によって軸方向に伸長し、この伸長量分の負荷が冷媒配管の端部側の屈曲箇所(いわゆるエルボ部)にかかる虞がある。特に冷媒配管が上下方向に配設される場合には、当該冷媒配管の自重による負荷も加わるため、上記屈曲箇所に大きな負荷がかかる虞がある。このような懸念に対して、構造体に固定されたベース金具に連結される配管支持部材を用いて冷媒配管の軸方向の一部を固定し、その固定箇所における軸方向の移動を防ぐことが行われている。熱膨張に伴う配管部材の伸長量を、この固定箇所を中心として軸方向の両側に分散させることで、最下端側の屈曲箇所への負荷を軽減するのである。
【0003】
配管支持部材の一例が、特開2018-25290号公報(特許文献1)に開示されている。この配管支持部材は、スリット状の係合孔73を有する一対のクランプ部材71を備えており、配管部材Pの外周面に固定された装着部材1の鍔部31に係合孔73を係止させて、配管部材Pを支持する。なお、配管部材Pに対する装着部材1の固定は、ロウ付け等の溶接手段によって行われている。
【0004】
しかし、ロウ付け等の溶接施工はある程度の熟練が必要で、作業者の技量に応じて施工品質にバラツキが生じる可能性がある。また、建築物には複数の配管部材Pが配設されることが一般的で、施工対象の建築物全体で、配管部材Pへの装着部材1の固定箇所数が多くなる。それらの全てを溶接手段で行うのは、多大な労力を要し、作業効率が悪いという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-25290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
作業効率に優れた配管支持部材の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る配管支持部材は、
構造体に固定されたベース金具に連結されて配管を支持する配管支持部材であって、
第一ボルトとそれに螺合する第一ナットとの締結により、前記配管の外周面を包囲して当該配管を保持する状態で前記ベース金具に固定される拘束部材と、
前記第一ナットを保持した状態で、前記第一ナットが被取付位置に配置されるように前記拘束部材に直接又は間接的に着脱可能に取り付けられるナット保持部材と、
を備える。
【0008】
この構成によれば、第一ボルトと第一ナットとを締結してベース金具に拘束部材を固定するのに伴い、その拘束部材で配管の外周面を包囲して当該配管を直接保持することができる。例えば鍔部を有する部材を配管に溶接して介在させる必要がなく、ボルト操作だけで施工することができて作業効率が良い。また、拘束部材とは別にナット保持部材が着脱可能に備えられ、このナット保持部材により第一ナットがその被取付位置に保持されるので、第一ボルトと第一ナットとの締結時に作業者が第一ナットを手で押さえておく必要がない。すなわち、作業者は第一ボルトだけを操作して締結作業を行うことができ、この点からも作業効率を向上させることができる。
【0009】
以下、本発明の好適な態様について説明する。但し、以下に記載する好適な態様例によって、本発明の範囲が限定される訳ではない。
【0010】
一態様として、
前記ナット保持部材は、挿通状態で前記第一ナットを保持する第一保持挿通孔を有し、
前記第一保持挿通孔は、前記第一ナットを回り止め可能な形状を有することが好ましい。
【0011】
この構成によれば、第一保持挿通孔が第一ナットを回り止め可能な形状を有するので、例えば手作業により軽い力で第一ボルトと第一ナットとを締結するときには、第一ナットの空転を防止してその締結作業を効率良く行うことができる。
【0012】
一態様として、
前記第一保持挿通孔は、周方向の一部が切り欠いて形成されていることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、例えば工具を用いて大きな力で第一ボルトと第一ナットとを締結するときには、第一ナットの回転を許容してベース金具に拘束部材を強固に固定することができる。
【0014】
一態様として、
前記拘束部材は、前記外周面を包囲して前記配管を保持する保持部と、前記保持部から互いに対向するように延出し、前記第一ボルトと前記第一ナットとの締結によって前記ベース金具に固定されるベース固定部と、前記保持部から互いに対向するように延出し、前記第一ボルトとは別の第二ボルトとそれに螺合する第二ナットとの締結によって前記保持部に締め付け力を作用させる締付作用部と、を備え、
前記ナット保持部材は、前記第一ナットに加え前記第二ナットを保持した状態で、前記第一ナット及び前記第二ナットがそれぞれの被取付位置に配置されるように前記ベース固定部又は前記締付作用部に直接又は間接的に着脱可能に取り付けられることが好ましい。
【0015】
この構成によれば、ベース金具に固定されるベース固定部とは別に締付作用部を備えるので、第一ボルトとの締結に伴う保持部での配管の通常の保持に加え、第二ボルトの締結によって保持部に追加の締め付け力を作用させることができる。これにより、保持部の内面による面圧を高めて、配管を適切に支持することができる。この場合において、ナット保持部材により第一ナット及び第二ナットがそれぞれの被取付位置に保持されるので、第一ボルトと第一ナット、第二ボルトと第二ナットとの締結時に作業者が第一ナット及び第二ナットを手で押さえておく必要がない。すなわち、作業者は第一ボルト及び第二ボルトだけを操作して締結作業を行うことができ、作業効率を向上させることができる。
【0016】
一態様として、
前記ナット保持部材は、挿通状態で前記第二ナットを保持する第二保持挿通孔を有し、
前記第二保持挿通孔は、前記第二ナットを回り止め可能な形状を有することが好ましい。
【0017】
この構成によれば、第二保持挿通孔が第二ナットを回り止め可能な形状を有するので、例えば手作業により軽い力で第二ボルトと第二ナットとを締結するときには、第二ナットの空転を防止してその締結作業を効率良く行うことができる。
【0018】
一態様として、
前記第二保持挿通孔は、周方向の一部が切り欠いて形成されていることが好ましい。
【0019】
この構成によれば、例えば工具を用いて大きな力で第二ボルトと第二ナットとを締結するときには、第二ナットの回転を許容して保持部に大きな締め付け力を作用させ、保持部の内面による面圧を高めて配管を適切に支持することができる。
【0020】
一態様として、
前記ナット保持部材は、前記第二保持挿通孔が形成された保持本体部と、前記保持本体部に設けられて前記ベース固定部又は前記締付作用部に対して前記保持本体部とは反対側から係合する保持係合部と、を有することが好ましい。
【0021】
この構成によれば、保持係合部がベース固定部又は締付作用部に対して保持本体部とは反対側から係合することで、第一ボルト及び第二ボルトの締結時にも、保持本体部の撓み変形を抑えることができる。よって、保持本体部に保持される第一ナット及び第二ナットが傾くのを回避できるため、第一ボルト及び第二ボルトの締結操作を円滑に行うことができ、この点からも作業効率を向上させることができる。
【0022】
一態様として、
前記保持部と前記ベース固定部と前記締付作用部とが一体的に形成されているとともに、前記ベース固定部と前記締付作用部との間に、前記第二ボルトの締結による締め付け力が前記ベース固定部側へ伝わりにくくするための切欠部が設けられており、
前記切欠部の位置で、前記ナット保持部材が前記ベース固定部に直接又は間接的に取り付けられることが好ましい。
【0023】
この構成によれば、例えば1枚の金属板から打ち抜いて屈曲形成することにより、拘束部材を簡単に形成することができる。また、ベース固定部と締付作用部との間に設けられた切欠部により、第二ボルトの締結による締め付け力を適切に保持部側へと向かわせることができる。よって、配管を強固に支持することができる。また、第一ナットの被取付位置となるベース固定部と第二ナットの被取付位置となる締付作用部との間に位置する切欠部を利用して、重心に近い位置で第一ナット及び第二ナットを安定的に保持することができる。
【0024】
一態様として、
前記第一ボルトによる締結前に前記ベース金具に対して前記拘束部材を仮止めするための固定補助部材をさらに備え、
前記ナット保持部材が、前記固定補助部材を介して前記拘束部材に取り付けられることが好ましい。
【0025】
この構成によれば、作業者は、固定補助部材によりベース金具に対して拘束部材を仮止めし、かつ、ナット保持部材により第一ナットをその被取付位置に保持した状態で、両手が空いた状態で第一ボルトによる締結操作を行うことができる。よって、作業効率をさらに向上させることができる。その際、ナット保持部材と拘束部材とを固定補助部材を介して間接的に取り付ける構造とすることで、拘束部材の構成はそのままに、ナット保持部材の各種の取付構造を自由度高く採用することができる。
【0026】
本発明のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】配管支持部材を用いた配管固定構造の斜視図
図2】配管支持部材を用いた配管固定構造の斜視図
図3】配管支持部材の分解斜視図
図4】固定補助部材及びナット保持部材の斜視図
図5】ナット保持部材の斜視図
図6】固定補助部材及びナット保持部材の分解斜視図
図7図4におけるVII-VII断面図
図8】配管支持部材の使用方法を示す斜視図
図9】配管固定構造の正面図
図10】配管固定構造の平面図
図11】配管固定構造の側面図
【発明を実施するための形態】
【0028】
配管支持部材の実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態の配管支持部材1は、図1及び図2に示すように、構造体Sに固定されたベース金具70に連結されて配管Pを支持するためのものである。なお、図2は、図1とは反対側から見た斜視図である。
【0029】
なお、以下の説明において、各部材の形状や位置関係等を表すのに「軸方向」、「周方向」、及び「径方向」の用語を用いることがあるが、これらは、配管支持部材1による支持対象物である配管Pを基準として定義するものとする。すなわち、「軸方向」は配管Pの軸芯方向(長手方向)を表し、「周方向」は配管Pの周囲を周回する方向を表し、「径方向」は配管Pの軸芯から放射状に延びる方向を表す。配管支持部材1の各部の説明におけるこれらの各方向についての言及は、特に明記しない限り、配管Pを実際に保持した状態での方向を意図しているものとする。
【0030】
本実施形態の配管支持部材1は、例えばビル等の建築物の屋上に設置された空調機器の室外機から屋内に設置された複数の室内機に亘って配設される配管Pに用いられる。配管Pとしては、例えば銅製の冷媒配管が例示される。
【0031】
図1及び図2に、本実施形態の配管支持部材1を用いた、縦方向(上下方向)に配設された配管Pにおける所定箇所を構造体Sに対して固定する配管固定構造の一例を示す。この配管固定構造は、配管Pがその固定箇所において構造体Sに対して軸方向に相対移動するのを抑止するために用いられる。なお、構造体Sは、例えば建築物の躯体や外壁等である。
【0032】
構造体Sに、ベース金具70が固定されている。なお、ベース金具70は、構造体Sに直接固定されていても良いし、他の部材(例えばブラケット等の介在部材)を介して間接的に固定されていても良い。ベース金具70は、金属製であり、例えば熱間圧延軟鋼板等を用いて構成されている。図1及び図3に示すように、ベース金具70は、屈曲板状に形成されている。ベース金具70は、構造体S(又は介在部材)に面接触状態に当て付け可能な取付基部71と、この取付基部71に交差(本例では直交)する状態で延設される連結部72とを備えている。取付基部71及び連結部72には、それぞれボルトBが挿通される挿通孔71a,72aが形成されている。
【0033】
配管支持部材1は、ベース金具70に連結されて配管Pを支持する。配管支持部材1は、上下方向に沿って配設される配管Pを、軸方向(上下方向)の1箇所で支持する。図1図3に示すように、本実施形態の配管支持部材1は、拘束部材10と固定補助部材30とナット保持部材50とを備えている。本実施形態では、配管支持部材1は、1つの拘束部材10と、2つの固定補助部材30と、1つのナット保持部材50とを備えている。固定補助部材30は、拘束部材10に対して着脱自在に取り付けられている。ナット保持部材50は、固定補助部材30に対して着脱自在に取り付けられており、固定補助部材30を介して、拘束部材10に対して着脱自在に取り付けられている。
【0034】
拘束部材10は、配管Pの外周面を包囲して当該配管Pを保持する状態でベース金具70に固定される。拘束部材10は、保持部11と、ベース固定部13と、締付作用部16とを備えている。これらは、一体的に形成されている。拘束部材10は、金属製であり、例えば熱間圧延軟鋼板等を用いて構成されている。
【0035】
保持部11は、配管Pを保持するための部位である。保持部11は、完全には閉じていない略円筒状に形成されている。保持部11の内径は、配管Pの外径に等しいか略等しく設定されている。図8に示すように、使用前の状態において、保持部11は、軸方向に見て真円に沿う形状となっている訳ではなく、ある程度拡開している(開き姿勢)。この拡開した間口から配管Pに対して径方向外側から保持部11を取り付けることができる。その後、拡開した保持部11を閉じるように外力を加えて閉じ姿勢に変形させ、さらには後述するように第一ボルトB1と第一ナットN1、及び第二ボルトB2と第二ナットN2を締結することで、保持部11は、配管Pの外周面を包囲して当該配管Pを保持する。
【0036】
図1図3に示すように、保持部11には貫通穴11aが形成されている。貫通穴11aは、保持部11におけるベース固定部13及び締付作用部16とは反対側の部分に形成されている。本実施形態では、複数の貫通穴11aが軸方向に沿って(上下に並んで)形成されている。貫通穴11aは、拘束部材10(具体的には、拘束部材10を構成する保持部11)の曲げ強度の大きさを調整するための曲げ強度調整部12として機能する。
【0037】
ベース固定部13は、ベース金具70に固定される部位である。ベース固定部13は、保持部11から互いに対向するように延出する一対の板部で構成されている。本実施形態では、完全には閉じていない略円筒状の保持部11の周方向の両端部から、ベース固定部13を構成する一対の板部がそれぞれ径方向に延出している。ベース固定部13は、細長の矩形状に形成されている。ベース固定部13には、ボルトB(具体的には、第一ボルトB1)が挿通される挿通孔13aが形成されている。ベース固定部13は、第一ボルトB1の締結によってベース金具70に固定される。ベース固定部13の2つの挿通孔13aとベース金具70の挿通孔72aとに第一ボルトB1の軸部が挿通され、反対側でナットN(具体的には、第一ナットN1)に螺合して締結されることで、ベース固定部13がベース金具70に固定される。
【0038】
また、ベース固定部13を構成する一対の板部の上下の側縁13bには、当該ベース固定部13の中心線側に向かって窪む係止凹部14がそれぞれ形成されている。この係止凹部14には、固定補助部材30の係止爪部35が係止される。
【0039】
締付作用部16は、保持部11に締め付け力を作用させるための部位である。締付作用部16は、保持部11から互いに対向するように延出する一対の板部で構成されている。本実施形態では、完全には閉じていない略円筒状の保持部11の周方向の両端部から、締付作用部16を構成する一対の板部がそれぞれ径方向に延出している。保持部11からの締付作用部16の延出長さは、ベース固定部13の延出長さよりも短い。そして、本実施形態では、2つの締付作用部16が、ベース固定部13を挟んで上下に分かれて設けられている。
【0040】
締付作用部16は、締付本体部17と先端屈曲部18とを有する。締付本体部17は、締付作用部16の主要部分である。本実施形態では、締付本体部17は、略台形状に形成されている。本実施形態では、保持部11の周方向の一方端から延びる上下2つの締付本体部17(図8において手前側に位置する締付本体部17)は、いずれも、下底よりも上辺の方が長い逆台形状に形成されている。一方、保持部11の周方向の他方端から延びる上下2つの締付本体部17(図8において奥側に位置する締付本体部17)は、いずれも、上底よりも下辺の方が長い正台形状に形成されている。これにより、上方側及び下方側のそれぞれにおいて、正台形状の締付本体部17と逆台形状の締付本体部17とが対向配置されている。
【0041】
締付本体部17の中央部には、外側に向かって隆起する隆起部17Bが形成されている。隆起部17Bは、円形状に形成されている。隆起部17Bは、円形リブとして機能し、締付本体部17の強度を向上させている。この隆起部17Bの中央部に、ボルトB(具体的には、第一ボルトB1とは別の第二ボルトB2)が挿通される挿通孔17aが形成されている。隆起部17Bを含む締付本体部17は、締付作用部16における、第二ボルトB2が締結される部位となる。本実施形態では、第二ボルトB2は、第一ボルトB1よりも保持部11に近い位置で締結される。
【0042】
締付本体部17の挿通孔17aに第二ボルトB2の軸部が挿通され、反対側でナットN(具体的には、第二ナットN2)に螺合して締結されることで、保持部11に締め付け力を作用させることができる。これにより、保持部11の内面による面圧を高めて、配管Pを適切に支持することができる。例えばロウ付け等の溶接加工が不要であり、ボルトB(第一ボルトB1,第二ボルトB2)の締付操作だけで施工することができるため、作業効率が良い。ボルト操作を電動ドリルで行うこともでき、その場合には作業効率を大幅に向上させることができる。しかも、保持部11による面圧で配管Pを保持するので、配管Pが酸化したり変形(例えば食い込みによる窪みが発生)したりすることがなく、信頼性が高い。
【0043】
先端屈曲部18は、締付本体部17における保持部11とは反対側の先端部を屈曲させた部位である。先端屈曲部18は、締付本体部17に対して略直角に屈曲されている。互いに対向する締付本体部17から、先端屈曲部18が互いに向かい合うように屈曲されている。図2及び図8に示すように、向かい合う2つの先端屈曲部18は、互いに交差する状態で当接している。本実施形態では、先端屈曲部18は、その上下方向の中央領域に略矩形状の切欠凹部18aを有している。対向する一対の締付作用部16の先端屈曲部18は、それぞれの切欠凹部18aどうしが向かい合う状態で、互いに交差して当接している。
【0044】
このように、先端屈曲部18は、締付本体部17における第二ボルトB2による締結位置(すなわち、挿通孔17aの位置)に対して保持部11とは反対側に設けられており、第二ボルトB2による締結時に互いに当接する。この当接により、先端屈曲部18は、第二ボルトB2による締結時に、締付本体部17どうしの間に一定距離を保たせるように作用する。これにより、第二ボルトB2を締結したとき、先端屈曲部18どうしの接点が支点となって、一定距離を隔てて対向する締付本体部17どうしをより強固に挟持することができ、それに伴い、保持部11に対してより大きな締め付け力を作用させることができる。こうして、保持部11の内面による面圧をさらに高めて、配管Pを強固に支持することができる。
【0045】
しかも、一対の先端屈曲部18が互いに交差する状態で当接しているので、一対の締付作用部16に、第二ボルトB2の締結による締め付け力を均等に作用させることができる。これにより、円形状の隆起部17Bを形成したことにより締付本体部17自体の強度アップが図られていることと相俟って、締付作用部16の変形や偏りがほとんどない状態で安定的に配管Pを支持することができる。
【0046】
本実施形態では、先端屈曲部18が、第二ボルトB2による締結時に互いに当接して締付本体部17どうしの間に一定距離を保たせる近接規制部19として機能する。
【0047】
本実施形態では、ベース固定部13と2つの締付作用部16とのそれぞれの間に、切欠部21が設けられている。この切欠部21は、ベース固定部13の上下の側縁13bから連続して、径方向に沿って延びるように形成されている。このような切欠部21を設けることで、ベース固定部13と2つの締付作用部16とを縁切りすることができ、第二ボルトB2の締結によって発揮される締付作用部16の締め付け力を、ベース固定部13側へは伝わりにくくすることができる。言い換えれば、第二ボルトB2の締結によって発揮される締付作用部16の締め付け力を適切に保持部11側へと向かわせることができる。よって、配管Pをさらに強固に支持することができる。
【0048】
図3図4、及び図8に示すように、本実施形態の配管支持部材1は、拘束部材10に対して着脱自在な固定補助部材30を備えている。固定補助部材30は、本体部31と、被取付部32と、側壁部33と、押さえ片34と、係止爪部35と、第一延出部36と、被係合部37と、第二延出部38と、係合爪部39とを備えている。これらは、一体的に形成されている。固定補助部材30は、樹脂製であり、例えばポリプロピレンやポリアセタール等を用いて構成されている。
【0049】
本体部31は、拘束部材10のベース固定部13に沿う平板状に形成されている。また、本体部31は、矩形状に形成されている。本体部31には、ボルトB(具体的には、第一ボルトB1)が挿通される挿通孔31aが形成されている。本体部31は、固定補助部材30が拘束部材10に装着された状態(以下、単に「装着状態」と言う。)で、ベース固定部13を構成する一対の板体のそれぞれの内面に沿って配置される。
【0050】
側壁部33は、矩形状の本体部31の3辺に沿って、本体部31から垂直に立ち上がるように形成されている。側壁部33は、第一部分33Aと、この第一部分33Aの両端部からそれぞれ延びる第二部分33B及び第三部分33Cとを有する。第一部分33Aは、装着状態で、ベース固定部13の保持部11とは反対側の端縁13cに当接する。第二部分33B及び第三部分33Cは、装着状態で、ベース固定部13の上下の側縁13bに当接する。
【0051】
押さえ片34は、側壁部33の第一部分33Aと第二部分33Bとの境界部、及び第一部分33Aと第三部分33Cとの境界部に形成されている。押さえ片34は、本体部31から、拘束部材10のベース固定部13の板厚分だけ離間した位置において、L字状に形成されている。押さえ片34は、装着状態で、ベース固定部13を構成する一対の板体のそれぞれの外面に当接する。これにより、装着状態で、本体部31と押さえ片34とが協働して、ベース固定部13を構成する一対の板体を内外両側から押さえることになる。
【0052】
係止爪部35は、側壁部33の第二部分33B及び第三部分33Cから連続して延びるように形成されている。係止爪部35は、装着状態で、ベース固定部13を構成する一対の板部の上下の側縁13bに形成された係止凹部14に係止する(図8を参照)。これにより、拘束部材10に装着された固定補助部材30の抜け止めを図ることができる。本実施形態では、ベース固定部13の係止凹部14と固定補助部材30の係止爪部35とが協働して、拘束部材10に装着された固定補助部材30の離脱を防止する抜け止め部41として機能する。
【0053】
被取付部32は、本体部31における側壁部33が設けられていない辺部(言い換えれば、第一部分33Aが設けられた辺部の対辺)に形成されている。被取付部32は、本体部31における第一部分33Aとは反対側の辺部の上下両端部から、上方及び下方に突出するように一対形成されている。被取付部32は、係止爪部35に隣接して設けられている。被取付部32は、固定補助部材30が拘束部材10に装着された状態で、切欠部21に配置される。図6及び図7に示すように、被取付部32には、ナット保持部材50に設けられた保持取付部54が取り付けられる。
【0054】
第一延出部36は、側壁部33の第二部分33Bから外方に向かって延出している。第二延出部38は、側壁部33の第三部分33Cから外方に向かって延出している。第一延出部36が延出する向きと第二延出部38が延出する向きとは互いに逆向きである。被係合部37は、第一延出部36の先端部に、当該第一延出部36に対して交差(本例では直交)する状態で設けられている。係合爪部39は、第二延出部38の先端部に、当該第二延出部38に対して交差(本例では直交)する状態で設けられている。被係合部37が延出する向きと係合爪部39が延出する向きとは互いに逆向きである。
【0055】
本実施形態では、ベース固定部13を構成する一対の板体に対して、同一形状の固定補助部材30がそれぞれ装着されている。そして、拘束部材10が閉じ姿勢とされると、図8図10に示すように、一方の固定補助部材30の係合爪部39が他方の固定補助部材30の被係合部37に係合するとともに、一方の固定補助部材30の被係合部37に他方の固定補助部材30の係合爪部39が係合する。これにより、作業者が手を放しても、拘束部材10が閉じ姿勢がそのまま保持される状態となる。本実施形態では、2つの固定補助部材30に分かれて設けられた被係合部37と係合爪部39とが協働して、拘束部材10の閉じ姿勢を保持する閉じ姿勢保持部42として機能する。
【0056】
このように、固定補助部材30は、まず第1に、第一ボルトB1による締結前にベース金具70に対してベース固定部13を仮止めするために用いられる。このため、作業者は、両手が空いた状態で第一ボルトB1による締結操作を行うことができ、施工性に優れる。
【0057】
また、固定補助部材30は、第一ボルトB1の締結後も装着状態を維持することになり、ベース金具70の連結部72と、その両側のベース固定部13を構成する一対の板体とのそれぞれの間に、固定補助部材30の本体部31が介在することになる。固定補助部材30は、第2に、ベース金具70とベース固定部13とが直接接触しないようにするためのスペーサとして用いられる。ベース固定部13を構成する一対の板体どうしの離間幅を確保することで、ひいては締付作用部16の一対の締付本体部17どうしの離間幅を確保して、第二ボルトB2の締結による締付作用部16の締め付け代を確保している。
【0058】
さらに本実施形態では、ベース金具70とベース固定部13との間に介在される固定補助部材30が熱伝導率の低い樹脂製であるので、ベース固定部13からベース金具70への伝熱が大幅に抑制される。固定補助部材30は、第3に、ベース固定部13からベース金具70への伝熱を抑制する断熱材として用いられる。本実施形態のように配管Pが冷媒配管である場合、配管P内を流通する冷媒の熱(例えば冷熱)が、配管Pを介して金属製の拘束部材10に伝わり得る。この場合であっても、固定補助部材30が断熱材として機能して、その冷熱がベース金具70に伝わるのを抑制することができる。その結果、ベース金具70の表面で結露するのを抑制することができる。
【0059】
図2及び図3に示すように、ナット保持部材50は、第一ナットN1及び第二ナットN2を保持した状態で、第一ナットN1及び第二ナットN2がそれぞれの被取付位置に配置されるように拘束部材10に着脱可能に取り付けられる。本実施形態では、ナット保持部材50は、1つの第一ナットN1と、2つの第二ナットN2とを保持する。第一ナットN1の被取付位置は、ベース固定部13の挿通孔13aと重なる位置であり、第二ナットN2の被取付位置は、上下2つの締付作用部16(具体的には、締付本体部17)の挿通孔17aとそれぞれ重なる位置である。本実施形態では、ナット保持部材50は、拘束部材10に装着された固定補助部材30に対して着脱可能に取り付けられる。すなわち、ナット保持部材50は、固定補助部材30を介して間接的に拘束部材10に取り付けられる。
【0060】
図2図5に示すように、ナット保持部材50は、保持本体部51と、保持取付部54と、保持係合部56とを有している。これらは、一体的に形成されている。ナット保持部材50は、樹脂製であり、例えばポリプロピレンやポリアセタール等を用いて構成されている。
【0061】
保持本体部51は、第一ナットN1及び第二ナットN2を保持する主体となる部位である。保持本体部51は、中央板部51Aと、この中央板部51Aから上下両側に延出する一対の延出板部51Bとを有する。これらは、一体的に形成されている。本実施形態では、延出板部51Bは、中央板部51Aに対して、拘束部材10に取り付けられた状態で拘束部材10から離間するようにオフセットして形成されている。延出板部51Bは、中央板部51Aに対して、締付作用部16の締付本体部17に形成された隆起部17Bの隆起高さ相当分だけオフセットして形成されている。
【0062】
保持本体部51には、第一保持挿通孔52が貫通形成されている。第一保持挿通孔52は、保持本体部51の中央板部51Aに1つ形成されている。保持本体部51は、第一保持挿通孔52に挿通された状態で第一ナットN1を保持する。本実施形態では、第一ナットN1として鍔付きナットが用いられており、保持本体部51は、第一ナットN1のナット本体が第一保持挿通孔52に挿通され、鍔部が第一保持挿通孔52の周縁部に係止した状態で、第一ナットN1を保持する。第一保持挿通孔52は、第一ナットN1のナット本体の外形に応じた略六角形状に形成されている。このため、保持本体部51は、第一ナットN1を回り止めした状態で保持することができる。
【0063】
本実施形態では、第一保持挿通孔52は、スリット状切欠部52aにより周方向の一部が切り欠いて形成されている。このスリット状切欠部52aの存在により、第一保持挿通孔52による第一ナットN1の回り止めは完全なものではなく、大きな力が作用した場合には第一ナットN1の回転が許容されるようになっている。
【0064】
また、保持本体部51には、第二保持挿通孔53が貫通形成されている。第二保持挿通孔53は、保持本体部51の一対の延出板部51Bに1つずつ形成されている。保持本体部51は、第二保持挿通孔53に挿通された状態で第二ナットN2を保持する。本実施形態では、第二ナットN2として鍔付きナットが用いられており、保持本体部51は、第二ナットN2のナット本体が第二保持挿通孔53に挿通され、鍔部が第二保持挿通孔53の周縁部に係止した状態で、第二ナットN2を保持する。第二保持挿通孔53は、第二ナットN2のナット本体の外形に応じた略六角形状に形成されている。このため、保持本体部51は、第二ナットN2を回り止めした状態で保持することができる。
【0065】
本実施形態では、第二保持挿通孔53は、スリット状切欠部53aにより周方向の一部が切り欠いて形成されている。このスリット状切欠部53aの存在により、第二保持挿通孔53による第二ナットN2の回り止めは完全なものではなく、大きな力が作用した場合には第二ナットN2の回転が許容されるようになっている。
【0066】
保持取付部54は、保持本体部51(具体的には、延出板部51B)から立設されている。保持取付部54は、第一保持挿通孔52と第二保持挿通孔53との間の位置に設けられている。図5図7に示すように、保持取付部54は、一対の爪部で構成されており、固定補助部材30に設けられた被取付部32に取り付けられる。保持取付部54は、固定補助部材30が拘束部材10に装着された状態で、拘束部材10に設けられた切欠部21の位置で被取付部32に取り付けられる。これにより、ナット保持部材50は、切欠部21の位置で、固定補助部材30を介して間接的に、ベース固定部13に取り付けられる。
【0067】
保持係合部56は、保持本体部51(具体的には、延出板部51B)の先端部に設けられている。保持係合部56は、保持本体部51の先端部に屈曲形成された一対の脚部55に亘って設けられている。保持係合部56は、下方に向かう三角形状の係合片で構成されている。図1図2、及び図10に示すように、保持係合部56は、ナット保持部材50が固定補助部材30を介して拘束部材10に装着された状態で、締付作用部16に対して保持本体部51とは反対側から係合する。これにより、ナット保持部材50の取付姿勢、ひいては第一ナットN1及び第二ナットN2の保持姿勢を安定化させる。
【0068】
本実施形態では、保持部11に対する締付作用部16の締め付け力が不十分な場合には(第二ボルトB2と第二ナットN2とが強固に締結される前の状態では)、図10に示すように、保持係合部56と、ナット保持部材50が取り付けられていない方の締付本体部17との間に隙間Dが存在する。第二ボルトB2と第二ナットN2とを締結するに従い、その隙間Dが次第に小さくなっていき、締付作用部16の締め付け力が十分となった場合に、隙間Dがなくなる。このため、締付完了を外部から目視で容易に確認することができ、施工の均質性が高まる。
【0069】
このように、本実施形態の配管支持部材1は、ナット保持部材50が、第一ナットN1及び第二ナットN2を保持した状態で拘束部材10に着脱可能に取り付けられる。このナット保持部材50により、第一ナットN1及び第二ナットN2が締結前にそれぞれの被取付位置に保持されるので、第一ボルトB1及び第二ボルトB2の締結時に、作業者が各ナットN1,N2を手で押さえておく必要がない。しかも、第一ナットN1は第一保持挿通孔52で回り止めされ、第二ナットN2は第二保持挿通孔53で回り止めされているので、作業者は第一ボルトB1及び第二ボルトB2だけを操作して締結作業を行うことができ、作業効率を大幅に向上させることができる。
【0070】
さらに、第一保持挿通孔52及び第二保持挿通孔53は周方向の一部が切り欠いて形成されているので、例えば工具を用いて大きな力で第一ボルトB1及び第二ボルトB2を締結するときには、第一ナットN1及び第二ナットN2の回転を許容して、それぞれ強固に締結することができる。よって、ベース金具70に拘束部材10を強固に固定することができ、また、保持部11に大きな締め付け力を作用させ、保持部11の内面による面圧を高めて配管Pを適切に支持することができる。
【0071】
〔その他の実施形態〕
(1)上記の実施形態では、ナット保持部材50が第一ナットN1及び第二ナットN2の両方を保持する構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えばナット保持部材50が第一ナットN1だけを保持しても良い。また、ナット保持部材50が第二ナットN2だけを保持する態様も、本明細書によって開示される。
【0072】
(2)上記の実施形態では、第一保持挿通孔52及び第二保持挿通孔53が、周方向の一部が切り欠かれた略六角形状に形成されている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば第一保持挿通孔52及び第二保持挿通孔53の少なくとも一方が、切欠のない、閉じた略六角形状に形成されても良い。また、第一保持挿通孔52及び第二保持挿通孔53は、少なくとも第一ナットN1及び第二ナットN2を回り止め可能であれば、例えば長円等の他の形状に形成されても良い。或いは、第一保持挿通孔52及び第二保持挿通孔53は、真円に形成されても良く、第一ナットN1及び第二ナットN2の回り止め機能を必ずしも有さなくても良い。
【0073】
(3)上記の実施形態では、ナット保持部材50が、切欠部21の中で固定補助部材30を介してベース固定部13に取り付けられる構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、ナット保持部材50が、切欠部21の中で締付作用部16に取り付けられても良い。また、ナット保持部材50が、切欠部21の外で固定補助部材30を介してベース固定部13に取り付けられても良い。
【0074】
(4)上記の実施形態では、ナット保持部材50が、締付作用部16に対して保持本体部51とは反対側から係合する保持係合部56を備える構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、ナット保持部材50がそのような保持係合部56を備えずに保持取付部54だけで拘束部材10に取り付けられても良い。
【0075】
(5)上記の実施形態では、配管支持部材1が固定補助部材30を備え、ナット保持部材50が固定補助部材30を介して間接的に拘束部材10に取り付けられる構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、配管支持部材1が固定補助部材30を備えずに(或いは、配管支持部材1が固定補助部材30を備える場合であっても)、ナット保持部材50が拘束部材10に直接取り付けられても良い。
【0076】
(6)上記の実施形態では、ナット保持部材50が、配管支持部材1において、配管Pの外周面を包囲して当該配管Pを保持する状態でベース金具70に固定される拘束部材10と共に用いられる構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、ナット保持部材50を、ボルトBとそれに螺合するナットNとの締結によって固定されるあらゆる部材と共に用いることもできる。そのような用途非限定のナット保持部材50も、本明細書によって開示される。この場合のナット保持部材50は、
ボルトBとそれに螺合するナットNとの締結により固定される被固定部材に対して、ナットNを保持した状態で、ナットNが被取付位置に配置されるように着脱自在に取り付けられるナット保持部材50、
との構成を備える。
【0077】
(7)上述した各実施形態(上記の実施形態及びその他の実施形態を含む;以下同様)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【符号の説明】
【0078】
1 配管支持部材
10 拘束部材
11 保持部
13 ベース固定部
16 締付作用部
21 切欠部
30 固定補助部材
50 ナット保持部材
52 第一保持挿通孔
52a スリット状切欠部
53 第二保持挿通孔
53a スリット状切欠部
56 保持係合部
70 ベース金具
B1 第一ボルト
B2 第二ボルト
N1 第一ナット
N2 第二ナット
P 配管
S 構造体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
図11