(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-25
(45)【発行日】2024-10-03
(54)【発明の名称】献立作成支援装置及び献立作成支援方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240926BHJP
G06Q 10/00 20230101ALI20240926BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q10/00
(21)【出願番号】P 2024033521
(22)【出願日】2024-03-06
【審査請求日】2024-03-06
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000153443
【氏名又は名称】株式会社 日立産業制御ソリューションズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】柿崎 有紀
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 迪子
【審査官】山田 倍司
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-063455(JP,A)
【文献】特開平11-066170(JP,A)
【文献】特開2002-157472(JP,A)
【文献】特開2000-316492(JP,A)
【文献】特開2005-038373(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2007-0059350(KR,A)
【文献】韓国登録特許第10-2589010(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の人間の集団に対して同じ献立を一斉に支給する場合における、前記献立を構成する料理、前記献立、又は、所定の期間における複数の前記献立についての喫食数分の予想食材費を、
前記献立を構成する料理、前記献立、又は、所定の期間における複数の前記献立についての喫食数分の予算と比較する献立作成支援部と、
比較した結果を表示する出力処理部と、
を備え
、
前記献立作成支援部は、
前記人間が、児童・生徒である場合、
学年ごとの喫食数分の予想食材費に対しユーザが入力した学年ごとの重みを乗算した加重和を喫食数分の予想食材費とし、
前記出力処理部は、
前記喫食数分の予算が前記喫食数分の予想食材費より少ない場合、
前記料理ごとに予算オーバである旨を表示すること、
を特徴とする献立作成支援装置。
【請求項2】
前記献立作成支援部は、
前記喫食数分の予算が前記喫食数分の予想食材費より少ない場合、
前記献立を構成する料理、前記献立、又は、所定の期間における複数の前記献立に代替する料理又は献立の代替案を決定し、
前記出力処理部は、
前記代替案を表示すること、
を特徴とする請求項1に記載の献立作成支援装置。
【請求項3】
前記献立作成支援部は、
前記代替案として前記料理を決定する場合、
代替前の前記料理の主食材を含む代替案、又は、代替前の料理と同じ調理法によって調理される代替案を、補助記憶装置に記憶されている情報を参照することによって決定すること、
を特徴とする請求項2に記載の献立作成支援装置。
【請求項4】
前記献立作成支援部は、
前記集団の在籍数である全食数を喫食数とし、
前記全食数に変化が見込まれる場合、当該変化を前記全食数に加減した予定食数を前記喫食数とすること、
を特徴とする請求項3に記載の献立作成支援装置。
【請求項5】
前記献立作成支援部は、
前記料理を調理するのに必要な食材の単価及び前記食材の可食量に廃棄率を反映させた総購入量に基づき、前記喫食数分の予想食材費を算出すること、
を特徴とする請求項4に記載の献立作成支援装置。
【請求項6】
前記献立作成支援部は、
前記料理を調理するのに必要な食材の単価を、過去における前記単価及び前記単価の変化率に基づき算出すること、
を特徴とする請求項5に記載の献立作成支援装置。
【請求項7】
献立作成支援装置の献立作成支援部は、
複数の人間の集団に対して同じ献立を一斉に支給する場合における、前記献立を構成する料理、前記献立、又は、所定の期間における複数の前記献立についての喫食数分の予想食材費を、
前記献立を構成する料理、前記献立、又は、所定の期間における複数の前記献立についての喫食数分の予算と比較し、
前記献立作成支援装置の出力処理部は、
比較した結果を表示
し、
前記献立作成支援部は、
前記人間が、児童・生徒である場合、
学年ごとの喫食数分の予想食材費に対しユーザが入力した学年ごとの重みを乗算した加重和を喫食数分の予想食材費とし、
前記出力処理部は、
前記喫食数分の予算が前記喫食数分の予想食材費より少ない場合、
前記料理ごとに予算オーバである旨を表示すること、
を特徴とする献立作成支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、献立作成支援装置及び献立作成支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
学校において、児童・生徒は、学校から支給された同じ献立の食事を一斉に食することがある。工場、寮等においても、従業員は、企業から支給された同じ献立の食事を一斉に食することがある。一般にこのような食事は、給食と呼ばれ、多くの場合、学校等に属する栄養士がその献立を決定する。栄養士は、栄養のバランスを考慮したうえで、例えば1月分の献立(献立表)を作成し、作成した献立表に基づき、必要な食材を調達する。しかしながら、それだけでは充分ではなく、与えられた予算の範囲内で献立表を作成することも重要である。
【0003】
特許文献1の献立作成支援装置は、予め登録されている献立の候補のうちからユーザ(例えば栄養士等)がある献立を選択するのを受け付け、選択された献立を調理するのに必要な食材(品目及び量)を決定し、決定した食材の価格を算出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
多人数に給食を支給するためには、それなりの食材費を要する。特に、大規模学校、大規模工場等で生じる食材費は、多額に達する。予算を気にせずに作成された献立表は、学校を運営する自治体、企業等の財政を圧迫するだけではなく、食材の選び直し等の手間も生じさせることになる。
【0006】
特許文献1の献立作成支援装置は、個人ごとに献立が異なる比較的小規模な集団(病院等)を想定しており、その集団において全体でどの程度の食材費が必要であるかということに焦点を当てていない。つまり、特許文献1の献立作成支援装置は、1食分の献立の単価を算出するが、集団がその献立を食する場合の喫食数を反映した全体的な食材費については言及していない。そこで、本発明は、経済性を考慮しつつ、多数の人員に支給する献立を作成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の献立作成支援装置は、複数の人間の集団に対して同じ献立を一斉に支給する場合における、前記献立を構成する料理、前記献立、又は、所定の期間における複数の前記献立についての喫食数分の予想食材費を、前記献立を構成する料理、前記献立、又は、所定の期間における複数の前記献立についての喫食数分の予算と比較する献立作成支援部と、比較した結果を表示する出力処理部と、を備え、前記献立作成支援部は、前記人間が、児童・生徒である場合、学年ごとの喫食数分の予想食材費に対しユーザが入力した学年ごとの重みを乗算した加重和を喫食数分の予想食材費とし、前記出力処理部は、前記喫食数分の予算が前記喫食数分の予想食材費より少ない場合、前記料理ごとに予算オーバである旨を表示すること、を特徴とする。
その他の手段については、発明を実施するための形態のなかで説明する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、経済性を考慮しつつ、多数の人員に支給する献立を作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図10】献立決定処理手順のフローチャートである。
【
図11】月間献立決定処理手順のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以降、本発明の実施形態(“本実施形態”という)を、図等を参照しながら詳細に説明する。本実施形態は、学校向けの給食の献立を作成する例である。しかしながら、“学校向けの給食”は、あくまでも一例である。本発明は、“給食”と称されるか否かに関係なく、人間の集団が同じ献立の食事を一斉に(ほぼ同じタイミングでそろって)食する例に一般的に適用される。また、本発明は、“学校”以外の集団(官公庁、企業、病院、自衛隊等)に対しても適用される。
【0011】
(献立作成支援装置)
図1は、献立作成支援装置1の構成を示す図である。献立作成支援装置1は、一般的なコンピュータであり、中央制御装置11、カメラ、マイクロフォン、マウス、キーボード等の入力装置12、スピーカ、ディスプレイ等の出力装置13、主記憶装置14、補助記憶装置15及び通信装置16を有する。
【0012】
主記憶装置14における入力処理部21、献立作成支援部22及び出力処理部23は、プログラムである。以降の説明において、“○○部は”と主体を記す場合、それは、中央制御装置11が補助記憶装置15から主記憶装置14にプログラムを読み出し、プログラムの機能を実現することを意味する。補助記憶装置15は、学校情報31、仕入情報32、料理情報33及び栄養価情報34(詳細後記)を格納する。補助記憶装置15は、別筐体として独立した構成であってもよい。即ち、献立作成支援装置1は、学校情報31、仕入情報32等を用いた情報処理を行うが、これらの情報として、献立作成支援装置1の外部にあるクラウドサーバ等に格納されている情報を利用する構成であってもよい。
【0013】
献立作成支援装置1は、ネットワーク4を介して、学校端末装置2及び市場情報装置3と接続されている。学校端末装置2は、携帯型又は据置型のコンピュータであり、中央制御装置、入力装置(カメラ、タッチパネル、マイクロフォン等)、出力装置(スピーカ、ディスプレイ等)、主記憶装置、補助記憶装置及び通信装置(図示せず)を有する。献立作成支援装置1のユーザは、手元に献立作成支援装置1がない場合、サーバとしての献立作成支援装置1に対するクライアントとして、学校端末装置2を使用してもよい。市場情報装置3は、献立作成支援装置1及び学校端末装置2以外の任意の装置であり、ユーザ(例えば栄養士等)が食材を購入する市場における各食材の過去及び現在の価格を時系列で記憶している。
【0014】
(用語)
食材とは、ユーザが市場で購入する単位となる調理前の食品である。食材の例として、“鶏もも挽肉”、“にんじん”、“じゃが芋”等がある。
料理とは、ユーザが1又は複数の食材を組み合わせて調理することによってでき上がる食品である。料理の例として、“麦ごはん”、“じゃが芋のそぼろ煮”、“白菜のおろし煮”、“きんぴら包み焼き”等がある。
献立とは、複数の料理からなる1食分の食品である。例えば、“麦ごはん”及び“じゃが芋のそぼろ煮”が同時に1食分として支給される場合、“麦ごはん”及び“じゃが芋のそぼろ煮”という料理の組み合わせが献立となる。
前記から明らかなように、“献立>料理>食材”という階層(包含)関係が成立する。
【0015】
(学校情報)
図2は、学校情報31の一例を示す図である。学校情報31においては、学校名欄101に記憶された学校名に関連付けて、学年欄102には学年が、全食数欄103には全食数が、予定食数欄104には予定食数が、予算欄105には予算が記憶されている。
【0016】
学校名欄101の学校名は、学校の名称である。学校名は、学校を一意に特定する識別子でもある。
学年欄102の学年は、小学校における“高学年”(5、6年生)、“中学年”(3、4年生)又は“低学年”(1、2年生)のいずれかである。生徒の成長が安定する中学校については、特に学年は記憶されない。
全食数欄103の全食数は、すべての児童・生徒が給食を食する場合の食数であり、在籍者数に等しい。児童・生徒は、給食を1日に1回食することが前提になっている。
【0017】
予定食数欄104の予定食数は、日ごとに食されることが見込まれる給食の食数である。例えば、弁当持参が許可されている、又は、業者が学校内で弁当等を販売することが許可されている日において、予定食数は、全食数よりも少ない。保護者が児童・生徒と一緒に給食を食する保護者参観日において、予定食数は、全食数よりも多い。なお、“喫食数”は、全食数及び予定食数を含む概念である。
前記から明らかなように、基本的には全食数が喫食数となるが、全食数に変化が見込まれる場合、当該変化を全食数に加減した予定食数が喫食数となる。
【0018】
予算欄105の予算は、所定の期間(例えば、1か月)において、全食数の給食が支給される場合に許可されている食材費の上限である。当該予算を当該期間の日数(例えば、30日)で除算した結果が、1日当たりの予算である。1日当たりの予算は、1食分の献立の予算でもある。予定食数が全食数よりも少ない場合、予算に余裕が生じる。予定食数が全食数よりも多い場合、予算は厳しくなる。多くの場合、自治体、児童・生徒の保護者等の財政事情により予算が決められる。“#”は、異なる数値を省略的に示している(以下同様)。なお、ここでの日数“30日”は、1か月における給食を支給する日数を意味し、ユーザに応じて変化し得る。土曜日及び日曜日に給食の支給がない場合、日数は、例えば、“22日”である。工場では、仮に従業員がシフトしても、日数が“30日”であることが多い(以下、同様)。
【0019】
図3は、仕入情報32の一例を示す図である。仕入情報32においては、時点欄111に記憶された時点に関連付けて、食材名欄112には食材名が、仕入数量欄113には仕入数量が、仕入価格欄114には仕入価格が、仕入単価欄115には仕入単価が、仕入単価統計量欄116には仕入単価統計量が記憶されている。
【0020】
時点欄111の時点は、食材を仕入れた(購入した)時点の年月日である。
食材名欄112の食材名は、食材の名称である。食材名は、食材を一意に特定する識別子でもある。
仕入数量欄113の仕入数量は、その時点において仕入れた食材の量(単位:グラム等)である。
仕入価格欄114の仕入価格は、その時点において仕入れた食材の対価(単位:円)である。
仕入単価欄115の仕入単価は、仕入価格を仕入数量で除算した価格である。仕入単価は、“○円/グラム”でもよいし“○円/100グラム”でもよいし、その他でもよい。
【0021】
仕入単価統計量欄116の仕入単価統計量は、以下の通りである。
・前回値(欄116a)は、直前にその食材を仕入れた時点における仕入単価である。
・直近同月平均値(欄116b)は、直近の過去の同月(
図3の例では、2023年1月)における仕入単価の平均値である。生鮮野菜、鮮魚等の仕入単価は、季節に応じて大きく変化する。
・直近30日平均値(欄116c)は、直近の過去の30日間(
図3の例では、2023年12月中旬~2024年1月中旬)における仕入単価の平均値である。
・変化率(欄116d)は、直近の過去の任意の期間における仕入単価の変化率である。変化率の単位は、“%/年”、“%/月”又は“%/日”のうちのいずれかであり、そのうちの1つは、他の2つに換算され得る。
・予想現在単価(欄116e)は、“基準値×(1+変化率)”によって算出される現在における仕入単価の予想値である。ここでの基準値は、前回値、直近同月平均値又は直近30日平均値である。市場情報装置3が現在における市場価格等を公開している場合、その値が予想現在単価となり得る。
【0022】
図4は、料理情報33の一例を示す図である。料理情報33においては、料理名欄121に記憶された料理名に関連付けて、食材名欄122には食材名が、主食材欄123には主食材が、可食量欄124には可食量が、調理法欄125には調理法が、料理予算欄126には料理予算が、過去支給履歴欄127には過去支給履歴が記憶されている。
【0023】
料理名欄121の料理名は、料理の名称である。料理名は、料理を一意に特定する識別子でもある。その他の識別子の型式として、“料理番号”が料理名に関連付けて記憶されていてもよい。
食材名欄122の食材名は、
図3の食材名と同じである。
主食材欄123の主食材は、その食材がその料理の“主食材”であることを示す“〇”及び主食材の特徴の組み合わせである。ある料理が複数の食材によって調理される場合、それらの食材のうち、当該料理を最も特徴付ける食材は、当該料理の“主食材”と呼ばれる。主食材は、熱量、風味、栄養価、可食量(直ちに後記)等において、その料理を構成する食材のなかで最も支配的である場合が多い。
【0024】
可食量欄124の可食量は、1食分の料理において食され得る食材の正味量(単位:グラム)である。例えば、魚介類の貝殻、骨等は、可食量に含まれない。可食量は、学年別に定義されてもよい。この場合、可食量は、“高学年,中学年,低学年”=“#,#,#”のようなベクトルとなる。
調理法欄125の調理法は、料理が副菜である場合の火力の使い方、又は、料理が主食若しくはデザートである場合の食材のカテゴリである。調理法の例として、副菜について、“煮る”、“焼く”、“炒める”、“揚げる”等があり、主食について、“ご飯”、“パン”等があり、デザートについて、“飲み物”、“果物”等がある。
【0025】
料理予算欄126の料理予算は、1食分の料理に対して許可される食材費の上限である。
図2の予算(欄105)が特に具体的な献立、料理又は食材を意識しない全食数分の月間予算であるのに対し、ここでの料理予算は、具体的な食材を使用する具体的な料理についての1食材分の予算である。
過去支給履歴欄127の過去支給履歴は、その料理が過去において支給された時点、学校名及び学年である。なお、個々の過去支給履歴(例えば“20240115,A小学校,低学年”)は、料理名に関連付けられているのであって、食材名に関連付けられているのではない。
【0026】
(可食量、廃棄率及び総購入量)
いま、ユーザがある食材(鮮魚)を200グラム購入したとする。ユーザは、200グラム全量を調理し、調理後の200グラムを皿に盛る。しかしながら、200グラムの中には、可食量としての150グラム及び廃棄(食べ残し)される骨部分50グラムが含まれている。他の例として、ユーザが別の食材(サラダ油)を10グラム購入したとする。ユーザは、10グラム全量を調理し、調理後の6グラムを皿に盛る。つまり、差分の4グラムは、鍋等に残り、結局は廃棄される。皿に盛られた6グラムは、可食量としての2グラム及び皿に付着したまま残り廃棄される4グラムが含まれる。
【0027】
ユーザは栄養士でもあり食材の購入者でもあるが、ユーザが栄養士としての立場から注目するのは、可食量である。これに対し、ユーザが食材の購入者としての立場から注目するのは、市場等において購入する“総購入量”である。前記の例では、“総購入量”は、鮮魚についての“200グラム”及びサラダ油についての“10グラム”である。
【0028】
そこで、以下の式が成立することになる。
可食量=総購入量×(1-廃棄率)
当該式を変形すると、次式となる。
廃棄率=(総購入量-可食量)/総購入量
又は、
総購入量=可食量/(1-廃棄率)
【0029】
因みに、仕入情報32(
図3)における仕入数量は、ここでの総購入量に該当する。補助記憶装置15は、食材ごとの廃棄率を格納している。献立作成支援部22は、可食量に廃棄率を反映する(可食量を“1-廃棄率”で除算する)ことにより総購入量を算出することができる。
【0030】
図5は、栄養価情報34の一例を示す図である。栄養価情報34においては、食材名欄131に記憶された食材名に関連付けて、栄養価欄132には栄養価が記憶されている。
食材名欄131の食材名は、
図3の食材名と同じである。
栄養価欄132の栄養価のうち、熱量は、食材1グラム当たりの熱量(カロリー)である。その他は、食材1グラム当たりの、蛋白質、脂肪、カルシウム、マグネシウム及び鉄の含有量である。
【0031】
(処理手順)
一般に、ユーザ(栄養士)は、支給するべき料理を決定し、その料理を組み合わせて1食分(1日分)の献立を決定する。そして、ユーザは、異なる料理を含む複数の献立を、例えば30日分並べることによって1か月分の献立表を作成する。本実施形態の処理手順を開始する前提として、学校情報31、仕入情報32、料理情報33及び栄養価情報34が献立作成支援装置1又は学校端末装置2によって作成され、最新の状態で補助記憶装置15に格納されているものとする。
【0032】
以下に記す処理手順は、料理決定処理手順、献立決定処理手順、及び、月間献立処理手順の3つである。これらの間の相違は、全食数(又は予定食数)に対応する食材費が予算オーバである旨のメッセージが、料理ごとに表示されるか、献立ごとに表示されるか、又は、月間献立ごとに表示されるかの相違である。
【0033】
(料理決定処理手順)
図6は、料理決定処理手順のフローチャートである。
ステップS201において、献立作成支援装置1は、学校情報31等を受け付ける。具体的には、入力処理部21は、学校情報31、仕入情報32、料理情報33及び栄養価情報34を補助記憶装置15から受け付ける(読み出す)。
【0034】
ステップS202において、献立作成支援装置1は、献立作成画面51を表示する。具体的には、出力処理部23は、献立作成画面51(
図7)を出力装置13に表示する。
図6の途中であるが、説明は、一旦、
図7に移る。
【0035】
図7は、献立作成画面51の一例を示す図である。1つの献立作成画面51は、1食分の献立に対応している。ステップS202の段階では、料理番号、料理名称、可食量、価格、・・・の欄は、空欄である。ユーザが料理番号欄にある“?”ボタンを押下すると、出力処理部23は、料理名と料理番号との対象表を表示する。説明は、
図6に戻る。
【0036】
ステップS203において、献立作成支援装置1は、ある日の料理を受け付ける。具体的には、入力処理部21は、ユーザが献立作成画面51の料理番号欄に料理番号を入力することによって任意の料理を選択するのを受け付ける。料理番号を含む各行は、1つの料理に対応している。献立が5つの料理を含む場合、ユーザは、5行にわたり、料理番号を入力する。説明は、再度、
図7に移る。
【0037】
いま、ユーザが献立作成画面51の料理番号欄の“料理1”の行に“15012”を入力したとする。これは、“じゃが芋のそぼろ煮”の料理番号である。すると、出力処理部23は、仕入情報32、料理情報33及び栄養価情報34を参照し、当該行の料理名称、可食量、価格、・・・の欄に、“じゃが芋のそぼろ煮”についての料理名称、可食量、価格、・・・を表示する。他の行についても同様である。なお、献立作成画面51の支出予測53は、“2023年12月1日(金)”における“ブロックA”に属する小学校(中学年)向けの喫食数分の献立についての予想食材費である。ブロックとは、複数の学校が属する領域である。説明は、
図6に戻る。
【0038】
ステップS204において、献立作成支援装置1は、各料理の食材費を算出する。具体的には、第1に、献立作成支援部22は、料理情報33(
図4)を参照し、“じゃが芋のそぼろ煮”を調理するのに必要な食材の食材名及び可食量を取得する。同じ献立に含まれる他の料理についても同様である。
【0039】
第2に、献立作成支援部22は、仕入情報32(
図3)を参照し、“じゃが芋のそぼろ煮”を調理するのに必要な食材を現在において仕入れる際の食材費を算出する。このとき、献立作成支援部22は、必要な各食材(鶏もも挽肉、大豆ミート、玉ねぎ、・・・)についての以下のいずれかの値に対しそれぞれの可食量を乗算した値を合計する。
【0040】
・前回値(
図3の欄116a)
・直近同月平均値(
図3の欄116b)
・直近30日平均値(
図3の欄116c)
・予想現在単価(
図3の欄116e)
前記したように、予想現在単価(欄116e)は、前回値(欄116a)、直近同月平均値(欄116b)及び直近30日平均値(欄116c)のうちのいずれか、並びに、変化率(欄114d)に基づき算出される。
【0041】
献立作成支援部22は、前記のいずれかの値に対しそれぞれの可食数を乗算した値を合計する代わりに、前記のいずれかの値に対しそれぞれの“総購入量=可食量/(1-廃棄率)”を乗算した値を合計してもよい。このようにすれば、廃棄率が無視できない程度に大きい食材を購入するための1食分の食材費をより正確に算出することができる。
【0042】
献立作成支援部22は、その合計に対し、さらに喫食数を乗算した結果を、その料理の“予想食材費”とする。献立作成支援部22は、予定食数が使用可能である場合、予定食数を喫食数とする。献立作成支援部22は、予定食数が使用可能ではない場合、全食数を喫食数とする(ステップS205においても同様)。同じ献立に含まれる他の料理についても同様である。
【0043】
このとき、献立作成支援部22は、必要な食材が“季節性食材”であるか否かを判断してもよい。補助記憶装置15は、予め季節性食材のリストを格納しているものとする。季節性食材とは、例えば生鮮野菜、鮮魚のように、産量が季節ごとに異なることに起因して、価格(単価)が季節ごとに有意に異なる食材を意味する。そのうえで、必要な食材が季節性食材である場合、献立作成支援部22は、その食材の直近同月平均値(欄116b)に基づき、予想食材費を算出してもよいし、直近同月平均値(欄116b)及び変化率に基づく予想現在単価に基づき、予想食材費を算出してもよい。
【0044】
ステップS205において、献立作成支援装置1は、各料理の予算を取得する。具体的には、献立作成支援部22は、料理情報33(
図4)を参照して、“じゃが芋のそぼろ煮”の料理予算を取得する。献立作成支援部22は、取得した予算に対し喫食数を乗算した結果を“喫食数料理予算”とする。同じ献立に含まれる他の料理についても同様である。
以降のステップS206~S210については、同じ献立に含まれる各料理について繰り返し実行される。説明の単純化のため、以降では、代表例として“じゃが芋のそぼろ煮”のケースを説明する。
【0045】
ステップS206において、献立作成支援装置1は、喫食数料理予算<予想食材費であるか否かを判断する。具体的には、第1に、献立作成支援部22は、ステップS204の“第2”において算出した“じゃが芋のそぼろ煮”の予想食材費を、ステップS205において取得した“じゃが芋のそぼろ煮”の喫食数料理予算と比較する。
第2に、献立作成支援部22は、喫食数料理予算の方が小さい場合(ステップS206“Yes”)、ステップS207に進み、それ以外の場合(ステップS206“Nо”)、料理決定処理手順を終了する。食材費が高騰している場合、献立作成支援部22は、ステップS206“Yes”を経由することになる。
【0046】
ステップS207において、献立作成支援装置1は、メッセージを表示する。具体的には、出力処理部23は、“じゃが芋そぼろ煮”は予算オーバである旨のメッセージを出力装置13に表示する。出力処理部23は、予想食材費から喫食数料理予算を減算した差額を表示してもよい。
【0047】
ステップS208において、献立作成支援装置1は、代替料理を提案するか否かを判断する。具体的には、第1に、献立作成支援部22は、ユーザが“代替料理の提案を希望する”旨の操作、又は、“代替料理の提案を希望しない”旨の操作を、入力装置12を介して入力するのを受け付ける。
第2に、献立作成支援部22は、“代替料理の提案を希望する”旨の操作を受け付けた場合(ステップS208“Yes”)、ステップS209に進み、“代替料理の提案を希望しない”旨の操作を受け付けた場合(ステップS208“Nо”)、料理決定処理手順を終了する。
【0048】
ステップS209において、献立作成支援装置1は、代替料理を決定する。具体的には、献立作成支援部22は、以下の条件1~条件6のうち少なくとも1つを満たす料理を決定する。
〈条件1〉その料理の主食材が“じゃが芋そぼろ煮”の主食材(じやが芋)と同じである。
〈条件2〉その料理の予想食材費が“じゃが芋そぼろ煮”の喫食数料理予算未満である。
〈条件3〉その料理の予想食材費が、その料理の喫食数料理予算未満である。
〈条件4〉現在から所定の日数(例えば30日)だけ遡及した期間において、同じ学校の同じ学年に対して、その料理が支給されていない。
〈条件5〉その料理の調理法が、“じゃが芋そぼろ煮”の調理法と同じである。
〈条件6〉その料理の熱量が、“じゃが芋そぼろ煮”の熱量±所定の誤差の範囲にある。
【0049】
結局、ステップS209において献立作成支援装置1は、代替料理の候補のそれぞれについて、ステップS204~ステップS206とほぼ同様の処理を実行することになる。ここでは、代替料理として“じゃが芋とトマトのスープ”が決定されたとする。
【0050】
より単純な処理として、献立作成支援部22は、ステップS203において受け付けた料理の主食材を、栄養価等が類似し、より単価(前回値等)が低い他の食材に代替したものを代替料理としてもよい。“鶏もも挽肉”、“鶏胸挽肉”、“鶏手羽先肉”・・・のように類似する食材の群が予め補助記憶装置15に記憶されているものとする。
【0051】
ステップS210において、献立作成支援装置1は、代替料理を表示する。具体的には、出力処理部部23は、“じゃが芋そぼろ煮”に“じゃが芋とトマトのスープ”が代替し得る旨のメッセージを出力装置13に表示する。出力処理部23は、“じゃが芋とトマトのスープ”の喫食数料理予算から“じゃが芋とトマトのスープ”予想食材費を減算した差額を表示してもよい。その後、料理決定処理手順を終了する。
【0052】
(献立作成画面51の遷移)
図7の献立作成画面51において、いま、ユーザが“じゃが芋のそぼろ煮”を示す“料理1”(符号52)をマウス等の入力装置12で押下したとする。すると、出力処理部23は、献立作成画面51を料理画面61(
図8)に遷移する。
【0053】
図8は、料理画面61の一例を示す図である。料理画面61は、“じゃが芋のそぼろ煮”の調理に必要な各食材についての学年別の可食量を表示している。さらに、料理画面61は、集計欄62を表示している。集計欄62は、以下を表示している。
・“じゃが芋のそぼろ煮”の学年ごとの出来上がり量(1食分の可食量の合計)
・“じゃが芋のそぼろ煮”の支出予測(全学年の喫食数分の予想食材費)
・“じゃが芋のそぼろ煮”の学年ごとの人数(喫食数)
【0054】
このうちの支出予測は、献立作成支援部22が、以下の数式によって算出したものである。
支出予測=Σ(係数×喫食数分の予想食材費)
ここで、“Σ”は、学年ごとの和を意味する。係数は、その学年の全食数に対して乗算される重みであり、ユーザによって係数入力欄63に対して設定される。この重みは、前記した弁当持参、保護者参観等の事情を反映している。
【0055】
いま、ユーザが“作業工程”ボタン64をマウス等の入力装置12で押下すると、出力処理部23は、画面の余白に、集計欄62を拡大して表示する。さらに、ユーザが“食品別栄養価モニタ”ボタン65をマウス等の入力装置12で押下すると、出力処理部23は、料理画面61を食品別栄養価モニタ71(
図9)に遷移する。
【0056】
図9は、食品別栄養価モニタ71の一例を示す図である。食品別栄養価モニタ71は、“じゃが芋のそぼろ煮”の調理に必要な各食材についての、小学校(中学年)の可食量、価格、熱量等を表示している。出力処理部23は、ここでの価格として、
図3の前回値、直近同月平均値、直近30日平均値及び予想現在単価のうちのいずれかを表示する。
【0057】
(献立決定処理手順)
図10は、献立決定処理手順のフローチャートである。
ステップS301において、献立作成支援装置1は、ある日の献立を特定する。具体的には、献立作成支援部22は、ユーザがある日の1食分の献立に含むものとして選択した複数の料理を、1つの献立として特定する。説明の便宜上、ここで献立作成支援装置1は、“麦ごはん”、“牛乳”、“じゃが芋のそぼろ煮”、“白菜のごま酢あえ”及び“冷凍パイン”の5つの料理を含む献立を特定したとする。
【0058】
ステップS302において、献立作成支援装置1は、喫食数献立予算<献立の予想食材費であるか否かを判断する。具体的には、第1に、献立作成支援部22は、5つの料理のそれぞれの喫食数料理予算を合計することによって“喫食数献立予算”を算出する。献立作成支援部22は、学校情報31(
図2)の予算を1食(1日)当たりに換算した値を喫食数献立予算としてもよい。
第2に、献立作成支援部22は、5つの料理のそれぞれの予想食材費を合計することによって献立の予想食材費を算出する。この献立の予想食材費は、喫食数分の予想食材費である。このとき、献立作成支援部22は、5つの料理を、予想食材費が大きい順に並べる。
【0059】
第3に、献立作成支援部22は、献立の予想食材費を喫食数献立予算と比較する。
第4に、献立作成支援部22は、喫食数献立予算の方が小さい場合(ステップS302“Yes”)、ステップS303に進み、それ以外の場合(ステップS302“Nо”)、献立決定処理手順を終了する。食材費が高騰している場合、又は、献立に含まれる料理の数が多い場合、献立作成支援部22は、ステップS302“Yes”を経由することになる。
【0060】
ステップS303において、献立作成支援装置1は、メッセージを表示する。具体的には、出力処理部23は、“〇月○日の献立は予算オーバである旨のメッセージを出力装置13に表示する。出力処理部23は、予想食材費が大きい上位○個の料理の料理名を表示してもよい。“上位○個”は、予めユーザによって設定される。説明の便宜上、ユーザは、“上位2個”を設定し、その上位2個は、 予想食材費が大きい順に、“じゃが芋のそぼろ煮”及び“麦ごはん”であったとする。
【0061】
ステップS304において、献立作成支援装置1は、代替献立を提案するか否かを判断する。具体的には、第1に、献立作成支援部22は、ユーザが“代替献立の提案を希望する”旨の操作、又は、“代替献立の提案を希望しない”旨の操作を、入力装置12を介して入力するのを受け付ける。
第2に、献立作成支援部22は、“代替献立の提案を希望する”旨の操作を受け付けた場合(ステップS304“Yes”)、ステップS305に進み、“代替献立の提案を希望しない”旨の操作を受け付けた場合(ステップS304“Nо”)、献立決定処理手順を終了する。
【0062】
ステップS305において、献立作成支援装置1は、代替献立を決定する。具体的には、献立作成支援部22は、以下の条件11及び条件12のすべてを満たす献立を決定する。
〈条件11〉“じゃが芋のそぼろ煮”に代替するべき料理、及び、“麦ごはん”に代替するべき料理のそれぞれが、前記した条件1~条件6のうちの少なくとも1つを満たす。
〈条件12〉“じゃが芋のそぼろ煮”に代替するべき料理、“麦ごはん”に代替するべき料理、及び、残り3つの料理を含む献立の予想食材費が、喫食数献立予算以下である。
【0063】
結局、ステップS305において献立作成支援装置1は、代替料理の候補のそれぞれについて、ステップS204~ステップS206とほぼ同様の処理を実行することになる。ここでは、“じゃが芋のそぼろ煮”を代替すべき料理として“じゃが芋とトマトのスープ”が決定され、“麦ごはん”を代替する料理として“麦パン”が決定されたとする。
【0064】
より単純な処理として、献立作成支援部22は、ステップS301において特定した献立の主食以外の料理のうち、熱量等が最も小さいもの、その次に小さいもの、・・・を献立から削除してもよい。
【0065】
ステップS306において、献立作成支援装置1は、代替献立を表示する。具体的には、出力処理部23は、“じゃが芋そぼろ煮”が“じゃが芋とトマトのスープ”に代替され、“麦ごはん”が “麦パン”に代替され得る旨のメッセージを出力装置13に表示する。出力処理部23は、喫食数献立予算から代替後の予想食材費を減算した差額を表示してもよい。その後、献立決定処理手順を終了する。
【0066】
(月間献立決定処理手順)
図11は、月間献立決定処理手順のフローチャートである。
ステップS401において、献立作成支援装置1は、ある月間の料理を特定する。具体的には、献立作成支援部22は、ユーザが選択したある月間の例えば30食分の献立を月間の献立として特定する。説明の便宜上、ここで献立作成支援部22は、月間献立表81(
図12)として月間の献立を特定し、出力処理部23は、月間献立表81を出力装置13に表示したとする。
図11の途中であるが、説明は、一旦、
図12に移る。
【0067】
図12は、月間献立表81の一例を示す図である。月間献立表81においては、給食日ごとに1つの献立が表示されている。各献立は、4つ又は5つの料理を含む。表示されているすべての献立は、料理の1つとして“牛乳”を含む。主食は、ごはんの場合もあり、パンの場合もある。“麦ごはん”が“13日(水)”及び“20日(水)”の献立に共通して含まれている以外に重複する料理はなく、全体として栄養価のバランスが取られている。月間献立表81の欄82における“支出予測”は、“2023年12月”の“ブロックA”における予想食材費の合計である。“調理場合計”は、他のブロックを含む複数のブロックに属する学校に給食を支給する調理場の同月における予想食材費の総計である。“支出予測”及び“調理場合計”は、喫食数分の値である。説明は、
図11に戻る。
【0068】
ステップS402において、献立作成支援装置1は、月間の予算<月間の予想食材費であるか否かを判断する。具体的には、第1に、献立作成支援部22は、月間献立表81のすべての献立に含まれる料理のそれぞれの喫食数料理予算を合計することによって月間の料理予算を算出する。献立作成支援部22は、学校情報31(
図2)の1か月当たりの予算を月間の料理予算としてもよい。
第2に、献立作成支援部22は、月間献立表81のすべての献立に含まれる料理のそれぞれの予想食材費を合計することによって月間の予想食材費を算出する。この月間の予想食材費は、喫食数分の予想食材費であるこのとき、献立作成支援部22は、例えば30個の献立を、予想食材費が大きい順に並べる。
【0069】
第3に、献立作成支援部22は、月間の予想食材費を月間の予算と比較する。
第4に、献立作成支援部22は、月間の予算の方が小さい場合(ステップS402“Yes”)、ステップS403に進み、それ以外の場合(ステップS402“Nо”)、月間献立決定処理手順を終了する。
【0070】
ステップS403において、献立作成支援装置1は、メッセージを表示する。具体的には、出力処理部23は、“〇月の献立は予算オーバである旨のメッセージを出力装置13に表示する。出力処理部23は、予想食材費が大きい上位◎個の献立を表示してもよい。“上位◎個”は、予めユーザによって設定される。説明の便宜上、ユーザは、“上位2個”を設定し、その上位2個は、 予想食材費が大きい順に“〇月〇日の献立”及び“〇月●日の献立”であったとする。
【0071】
ステップS404において、献立作成支援装置1は、代替月間献立を提案するか否かを判断する。具体的には、第1に、献立作成支援部22は、ユーザが“代替月間献立の提案を希望する”旨の操作、又は、“代替献立の提案を希望しない”旨の操作を、入力装置12を介して入力するのを受け付ける。
第2に、献立作成支援部22は、“代替月間献立の提案を希望する”旨の操作を受け付けた場合(ステップS404“Yes”)、ステップS405に進み、“代替月間献立の提案を希望しない”旨の操作を受け付けた場合(ステップS404“Nо”)、月間献立決定処理手順を終了する。
【0072】
ステップS405において、献立作成支援装置1は、代替月間献立を決定する。具体的には、献立作成支援部22は、以下の条件21及び条件22のすべてを満たす献立を決定する。
〈条件21〉“○月○日の献立”に代替するべき献立に含まれる料理、及び、“○月●日の献立”に代替するべき献立に含まれる料理のそれぞれが、前記した条件1~条件6のうちの少なくとも1つを満たす。
〈条件22〉“○月○日の献立”に代替するべき献立、“○月●日の献立”に代替するべき献立、及び、残りの各日の献立の予想食材費が、月間の予算以下である。
【0073】
結局、ステップS405において献立作成支援装置1は、代替献立の候補のそれぞれについて、ステップS204~ステップS206とほぼ同様の処理を実行することになる。ここでは、“○月○日の献立”のうち“じゃが芋のそぼろ煮”を代替するべき料理として“じゃが芋とトマトのスープ”が代替され、“○月●日の献立”のうち“麦ごはん”を代替するべき料理として “麦パン”が決定されたとする。
【0074】
より単純な処理として、献立作成支援部22は、ステップS401において特定した月間の献立のうち、予想食材費が最大である献立を予想食材費が最小である献立に代替してもよい。
【0075】
ステップS406において、献立作成支援装置1は、代替月間献立を表示する。具体的には、出力処理部23は、代替後の月間献立表81を出力装置13に表示する。代替後の月間献立表81においては、“○月○日の献立”及び“○月●日の献立”に含まれる料理が変化している。その後、月間献立決定処理手順を終了する。
【0076】
(まとめ)
前記3つの処理手順に共通する第1のポイントは、喫食数(全食数又は予定食数)を単価に対して乗算した結果としての予想食材費と、同じく喫食数(全食数又は予定食数)を単価に対して乗算した結果としての予算とを比較することである。そのうえで、前記したように、料理単位で比較するケース、献立単位で比較するケース、及び、月間の献立単位で比較するケースが存在する。第2のポイントは、比較の結果、予算のほうが少ない場合、代替案を作成し、表示することである。
【0077】
(実施形態の効果)
本実施形態の献立作成支援装置は、以下の効果を奏する。
(1)献立作成支援装置は、喫食数を反映した全体的な食材費と喫食数を反映した全体的な予算とを比較することができる。
(2)献立作成支援装置は、予算オーバの場合、料理等の代替案を決定することができる。
(3)献立作成支援装置は、食材又は調理法が類似する代替案を決定することができる。
(4)献立作成支援装置は、喫食数を正確に予想することができる。
(5)献立作成支援装置は、食材費を正確に予想することができる。
(6)献立作成支援装置は、食材の単価を正確に予想することができる。
【0078】
なお、本発明は前記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施形態は、本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0079】
また、前記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウエアで実現してもよい。また、前記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウエアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、又は、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしもすべての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆どすべての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0080】
1 献立作成支援装置
2 学校端末装置
3 市場情報装置
4 ネットワーク
11 中央制御装置
12 入力装置
13 出力装置
14 主記憶装置
15 補助記憶装置
16 通信装置
21 入力処理部
22 献立作成支援部
23 出力処理部
31 学校情報
32 仕入情報
33 料理情報
34 栄養価情報
51 献立作成画面
61 料理画面
71 食品別栄養価モニタ
81 月間献立表
【要約】
【課題】経済性を考慮しつつ、多数の人員に支給する献立を作成する。
【解決手段】本発明の献立作成支援装置は、複数の人間の集団に対して同じ献立を一斉に支給する場合における、前記献立を構成する料理、前記献立、又は、所定の期間における複数の前記献立についての喫食数分の予想食材費を、前記献立を構成する料理、前記献立、又は、所定の期間における複数の前記献立についての喫食数分の予算と比較する献立作成支援部と、比較した結果を表示する出力処理部と、を備えることを特徴とする。
【選択図】
図1