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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-25
(45)【発行日】2024-10-03
(54)【発明の名称】接合構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/56 20060101AFI20240926BHJP
【FI】
E04B2/56 605J
E04B2/56 604B
E04B2/56 605A
E04B2/56 622B
E04B2/56 622K
E04B2/56 631L
E04B2/56 631M
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2024062937
(22)【出願日】2024-04-09
【審査請求日】2024-04-09
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096091
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 誠一
(72)【発明者】
【氏名】上瀧 敬太
(72)【発明者】
【氏名】久保田 淳
(72)【発明者】
【氏名】高稻 宜和
(72)【発明者】
【氏名】村松 匡太
(72)【発明者】
【氏名】中井 武
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-161817(JP,A)
【文献】特開2016-142021(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 2/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄骨造の柱または梁を少なくとも有するフレームと、前記フレームに囲まれるように当該フレームの構面内に配置された鉄筋コンクリート造の耐震壁との接合構造であって、
前記耐震壁に開口部が設けられ、
前記鉄骨造の柱または梁の前記耐震壁側に、孔あき鋼板が設けられ、
前記開口部の開口縁に沿って、または前記開口縁に沿って配置された前記開口縁のひび割れ防止用の鉄筋に沿って、前記耐震壁に補強筋が埋設され、
前記補強筋の一端と、前記孔あき鋼板との間で、前記耐震壁のコンクリートを介して前記補強筋の軸方向に応力の伝達を行うことで、前記耐震壁が前記鉄骨造の柱または梁に固定され
前記孔あき鋼板は、その板面を前記構面の面内方向として配置され、
前記孔あき鋼板の孔に、貫通筋が通され、
前記補強筋の一端は、前記鉄骨造の柱または梁側から前記貫通筋に被せるように配置されるフックを有することを特徴とする接合構造。
【請求項2】
前記開口部の開口縁に沿って、前記耐震壁に、前記開口縁のひび割れ防止用の鉄筋が埋設され、
前記補強筋は、当該鉄筋とは別に設けられることを特徴とする請求項1記載の接合構造。
【請求項3】
前記補強筋は、前記フックが前記鉄骨造の柱または梁に接するように配置されることを特徴とする請求項記載の接合構造。
【請求項4】
前記開口部は、前記鉄骨造の柱または梁の近傍に設けられることを特徴とする請求項1記載の接合構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開口部を有する耐震壁とフレームとの接合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
RC(鉄筋コンクリート)造やSRC(鉄骨鉄筋コンクリート)造の柱と梁によるフレームを有する架構において、フレームの構面内にRC造の耐震壁(以下、RC耐震壁ということがある)が設けられる場合がある。
【0003】
RC耐震壁に開口部を設ける場合、開口縁のひび割れを防止するための開口補強筋をRC耐震壁のコンクリート内に埋設する(例えば、特許文献1参照)。開口部がフレームの柱や梁に近い位置にある場合は、開口補強筋の端部をフレームの柱や梁に定着することで、RC耐震壁をフレームに強固に接合でき、RC耐震壁のフレームからの浮き上がりを防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-142021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
フレームが鉄骨造になると、開口補強筋をフレームの鉄骨梁や鉄骨柱に定着することが難しく、このようなケースでもRC耐震壁をフレームに強固に接合し、RC耐震壁のフレームからの浮き上がりを防止できる方法が求められていた。
【0006】
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、RC耐震壁を鉄骨造のフレームに強固に接合できる接合構造等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
鉄骨造の柱または梁を少なくとも有するフレームと、前記フレームに囲まれるように当該フレームの構面内に配置された鉄筋コンクリート造の耐震壁との接合構造であって、前記耐震壁に開口部が設けられ、前記鉄骨造の柱または梁の前記耐震壁側に、孔あき鋼板が設けられ、前記開口部の開口縁に沿って、または前記開口縁に沿って配置された前記開口縁のひび割れ防止用の鉄筋に沿って、前記耐震壁に補強筋が埋設され、前記補強筋の一端と、前記孔あき鋼板との間で、前記耐震壁のコンクリートを介して前記補強筋の軸方向に応力の伝達を行うことで、前記耐震壁が前記鉄骨造の柱または梁に固定され、前記孔あき鋼板は、その板面を前記構面の面内方向として配置され、前記孔あき鋼板の孔に、貫通筋が通され、前記補強筋の一端は、前記鉄骨造の柱または梁側から前記貫通筋に被せるように配置されるフックを有することを特徴とする接合構造である。
【0008】
本発明では、鉄骨造のフレームとその構面内のRC耐震壁との間で、上記のように、RC耐震壁の開口縁等に沿った補強筋と孔あき鋼板を用いた接合を行い、補強筋と孔あき鋼板の間でRC耐震壁のコンクリート等を介して補強筋の軸方向に応力を伝達する。これによりRC耐震壁をフレームに固定し、前記のように開口補強筋の定着ができない鉄骨造のフレームにおいても、RC耐震壁のフレームからの浮き上がりを防止できる。また、前記の補強筋は一端にフックを有するものとし、孔あき鋼板の孔に通した貫通筋にこのフックをフレーム側から被せるように配置することで、補強筋と孔あき鋼板との間で、RC耐震壁のコンクリートと貫通筋を介した応力の伝達が可能となる。
【0009】
記補強筋は、前記フックが前記鉄骨造の柱または梁に接するように配置されることも望ましい。フックはフレームに接するように配置することで、補強筋の施工が容易になる。
【0011】
例えば、前記開口部の開口縁に沿って、前記耐震壁に、前記開口縁のひび割れ防止用の鉄筋が埋設され、前記補強筋は、当該鉄筋とは別に設けられる。
開口部の近傍では開口縁のひび割れ防止のための鉄筋(開口補強筋)が埋設されるが、前記の補強筋は、当該鉄筋とは別に配置することができ、それぞれの鉄筋の機能に応じた最適な配置が可能になる。
【0012】
前記開口部は、例えば前記鉄骨造の柱または梁の近傍に設けられる。
開口部は例えばフレームの近傍に設けられ、開口部近傍ではRC耐震壁のフレームへの固定が弱まる。本発明の接合構造では、このような開口部による耐震壁とフレームの固定の弱化を補い、RC耐震壁をフレームに強固に接合できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、RC耐震壁を鉄骨造のフレームに強固に接合できる接合構造等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】RC耐震壁1を示す図。
図2】接合構造10を示す図。
図3】フック123の例。
図4】孔あき鋼板23を複数枚配置する例。
図5】補強筋12を孔あき鋼板23、23aの孔231に通す例。
図6】開口部3の例。
図7】補強筋12と孔あき鋼板23を用いたRC耐震壁1とフレーム2の接合の例。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面に基づいて本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施形態に係る接合構造10を有するRC耐震壁1を正面から見た図である。RC耐震壁1は鉄筋コンクリート造の耐震壁であり、鉄骨造の柱21と梁22による立面ロの字状のフレーム2の構面内に設けられる。
【0017】
本実施形態の柱21は鋼管内にコンクリートを充填したコンクリート充填鋼管柱(CFT柱)であり、梁22にはH形鋼などの形鋼が用いられる。このように、鉄骨造には、H形鋼などの形鋼を構造部材として用いるほか、柱21をコンクリート充填鋼管柱とすることも含まれる。
【0018】
フレーム2の柱21や梁22のRC耐震壁1側の面には、RC耐震壁1の接合用の孔あき鋼板23が設けられる。孔あき鋼板23は、その板面をフレーム2の構面の面内方向とし、柱21や梁22の軸方向に沿って配置される。孔あき鋼板23の孔231内にRC耐震壁1のコンクリートが充填されることで、RC耐震壁1とフレーム2との間で孔あき鋼板23を介して応力が伝達される構成となっている。
【0019】
また、RC耐震壁1とフレーム2の上側の梁22との間には若干の隙間が設けられ、この隙間には無収縮モルタルなどの充填材24が充填される。ただしこれに限ることはなく、RC耐震壁1と上側の梁22との間に充填材24を充填する隙間が無い場合もある。
【0020】
RC耐震壁1は、フレーム2の近傍に開口部3を有する。特に本実施形態では、開口部3が、RC耐震壁1の左下の隅部で左側の柱21と下側の梁22に接するように設けられる。本実施形態の開口部3は、人の出入りのために設けられる。
【0021】
開口部3の近傍では、RC耐震壁1のコンクリート内に開口補強筋11が埋設される。開口補強筋11は、開口縁のひび割れ防止用の鉄筋であり、開口部3の開口縁に沿って配置される。
【0022】
図1の例では開口部3の立面が矩形状であり、開口補強筋11は、開口部3の上辺に沿って配置される水平方向の横筋111、開口部3の右辺に沿って配置される鉛直方向の縦筋112、および開口部3の右上側に配置される斜筋113を含む。
【0023】
横筋111は、左側の柱21の近傍から開口部3の右外側まで延びるように配置される。縦筋112は、開口部3の右辺の高さ方向の中間部から上側の梁22の近傍まで延びるように配置される。斜筋113は、水平方向および鉛直方向に対し略45°の傾斜角で傾斜するように配置される。横筋111、縦筋112、及び、斜筋113は、ひび割れ想定位置から必要定着長が確保されるように配置される。ただし、横筋111、縦筋112および斜筋113の配置はこれらに限定されない。
【0024】
また本実施形態では、開口部3の近傍において、開口補強筋11とは別の補強筋12がRC耐震壁1のコンクリートに埋設される。補強筋12は、RC耐震壁1をフレーム2に固定するための鉄筋であり、開口部3の開口縁に沿って配置される。
【0025】
補強筋12は、開口部3の上辺に沿って配置される水平方向の補強筋121と、開口部3の右辺に沿って配置される鉛直方向の補強筋122を含む。水平方向の補強筋121は、開口部3の右外側から左側の柱21の近傍まで延びるように配置される。鉛直方向の補強筋122は、開口部3の右辺の高さ方向の中間部から下側の梁22の近傍まで延びるように配置される。水平方向の補強筋121と鉛直方向の補強筋122は、必要定着長が確保されるように配置される。
【0026】
本実施形態の接合構造10は、上記の補強筋12や孔あき鋼板23等を含んで構成される。図2(a)は、鉛直方向の補強筋12(122)を含む接合構造10を示す図であり、当該補強筋12付近のRC耐震壁1の内部構成を立面において見たものである。図2(b)は図2(a)の線A-Aによる水平断面を示したものである。
【0027】
図2(a)、(b)に示すように、孔あき鋼板23の孔231には貫通筋232が通されている。貫通筋232は、フレーム2の構面の面外方向の鉄筋であり、その両端部が孔あき鋼板23から突出する。面外方向は、図2(a)の紙面法線方向、図2(b)の上下方向に対応する。
【0028】
補強筋12は、梁22側の一端にフック123を有する。当該フック123は、補強筋12を180°折り返したものであり、貫通筋232の孔あき鋼板23からの突出部分に、梁22側から被せるように配置される。フック123の向きは開口部3から遠ざかる側(図2(a)の例では右側)とし、補強筋12のフック123を除く本体部分ができるだけ開口部3に近い位置に配置されるようにする。フック123の径は、日本建築学会編「鉄筋コンクリート造配筋指針・同解説第6版」,p.112,2021の表4.1「鉄筋の折曲げ形状・寸法」に示されている最小値以上とする。
【0029】
本実施形態では、補強筋12のフック123と孔あき鋼板23の間で、RC耐震壁1のコンクリートと貫通筋232を介して補強筋12の軸方向(図2(a)の例では鉛直方向)に応力の伝達を行うことが可能になり、これによりRC耐震壁1が梁22に固定される。
【0030】
本実施形態では2本の補強筋12が設けられており、これらの補強筋12のフック123が、孔あき鋼板23の別々の孔231に通した貫通筋232に梁22側から被せるように配置される。これらのフック123は、孔あき鋼板23の表裏の両側にそれぞれ配置されるが、これに限ることはなく、孔あき鋼板23に対して同じ側に配置される場合もある。また各フック123の下端は梁22に接する。
【0031】
以上は鉛直方向の補強筋12(122)についての説明であるが、水平方向の補強筋12(121)も、柱21側の一端に前記のフック123を有しており、柱21の孔あき鋼板23に通した貫通筋232に対し、上記と同様の方法で設置される。これにより、補強筋12のフック123と孔あき鋼板23との間で、RC耐震壁1のコンクリートと貫通筋232を介して補強筋12の軸方向(水平方向)に応力の伝達を行うことが可能になり、RC耐震壁1が柱21に固定される。
【0032】
なお、図中符号13、14はRC耐震壁1の内部の壁筋であり、RC耐震壁1の厚さ方向の両側で縦横に格子状に配置される。貫通筋232は、RC耐震壁1の厚さ方向の両側の壁筋13、14の間に収まるように配置し、壁筋13、14のかぶり厚部分に貫入しないようにする。符号15は開口部3の近傍に配置されるコの字状のかぶせ筋であり、RC耐震壁1の厚さ方向の両側の壁筋14(水平鉄筋)の開口部3側の端部同士を接続するように、開口部3側を背にして配置される。この例では壁筋13、14をダブル配筋としているが、RC耐震壁1の壁厚によってはシングル配筋の場合もあり得る。
【0033】
以上説明したように、本実施形態では、鉄骨造のフレーム2とその構面内のRC耐震壁1との間で、RC耐震壁1の開口縁に沿った補強筋12と孔あき鋼板23を用いた接合を行い、補強筋12と孔あき鋼板23の間でRC耐震壁1のコンクリート等を介して補強筋12の軸方向に応力を伝達する。これによりRC耐震壁1をフレーム2に固定し、鉄骨造のフレーム2においても、RC耐震壁1のフレーム2からの浮き上がりを防止できる。
【0034】
特に本実施形態では、孔あき鋼板23の孔231に通した貫通筋232に補強筋12の一端のフック123をフレーム2側から被せるように配置することで、補強筋12と孔あき鋼板23との間で、RC耐震壁1のコンクリートと貫通筋232を介した応力の伝達が可能となる。
【0035】
またRC耐震壁1の開口部3近傍では開口縁のひび割れ防止のための開口補強筋11が埋設されるが、本実施形態の補強筋12は、当該開口補強筋11とは別に配置することができ、それぞれの鉄筋の機能に応じた最適な配置が可能になる。
【0036】
また本実施形態では開口部3がフレーム2の近傍に設けられており、開口部3近傍ではRC耐震壁1のフレーム2への固定が弱まる。接合構造10は、このような開口部3によるRC耐震壁1とフレーム2の固定の弱化を補い、RC耐震壁1をフレーム2に強固に接合できる。
【0037】
しかしながら、本発明は上記の実施形態に限定されない。例えば補強筋12のフック123は補強筋12の端部を180°折り返したものであるが、これに限らず、図3(a)のように補強筋12の端部を135°折り返したものでもよいし、図3(b)のように90°折り曲げたものでも良い。また本実施形態ではフック123の向きを開口部3から遠ざかる側としているが、これに限らず、開口部3に近付く側としてもよい。
【0038】
また本実施形態では補強筋12のフック123をフレーム2の柱21や梁22と接するように配置するが、図3(c)に示すように、フック123を貫通筋232に結束するなどしてフレーム2から所定の隙間を空けて配置することも可能である。ただし、フック123をフレーム2と接するように配置するほうが、補強筋12の施工は容易である。
【0039】
また本実施形態の貫通筋232は直線状であるが、一方の端部をフレーム2から離れる方向に折り曲げたフック状としたり、両方の端部をフレーム2から離れる方向に折り曲げたコの字状としたりすることも可能である。
【0040】
また本実施形態では、図2(b)に示すように、孔あき鋼板23が梁22の幅方向(前記の面外方向に対応する。以下梁幅方向という)の中央部に1枚のみ配置されるが、図4図2(b)と同様の断面で示すように、梁幅方向に間隔を空けて複数枚の孔あき鋼板23を配置してもよい。
【0041】
図4の例では、2枚の孔あき鋼板23の孔231を貫通するように、梁幅方向の1本の貫通筋232が配置される。また補強筋12(122)も梁幅方向に間隔を空けて配置されており、これらの補強筋12のフック123が、2枚の孔あき鋼板23の内側で、各孔あき鋼板23の対向面のそれぞれに沿って配置される。ただしこれに限ることはなく、2枚の孔あき鋼板23の外側にフック123が配置される場合もある。以上はフレーム2の柱21に関しても同様である。
【0042】
また本実施形態では孔あき鋼板23の孔231に通した貫通筋232に被せるように補強筋12のフック123を配置するが、図5(a)に示すように、補強筋12のフック123を孔あき鋼板23の孔231に通してもよい。この場合、補強筋12のフック123と孔あき鋼板23との間で、孔231内に充填されたRC耐震壁1のコンクリートを介して補強筋12の軸方向に応力の伝達が行われる。ただし、孔231にフック123を通した状態で補強筋12を固定することは若干難しく、施工面では、前記のように貫通筋232にフック123を被せる構成としたほうが好ましい。
【0043】
その他、図5(b)に示すように、孔あき鋼板23aをT字状とし、そのフランジ部分に設けた孔231に補強筋12の途中を通してもよい。この場合も、補強筋12のフック123と孔あき鋼板23のフランジ部分との間で、RC耐震壁1のコンクリートを介して補強筋12の軸方向に応力の伝達が行われる。
【0044】
また本実施形態では、補強筋12を開口補強筋11とは別に設けているが、開口補強筋11(横筋111や縦筋112)のフレーム2側の端部に前記のフック123と同様のフックを設けることで、開口補強筋11を、RC耐震壁1とフレーム2とを接合するための補強筋12として用いることも可能である。
【0045】
また本実施形態のフレーム2は、柱21と梁22の双方が鉄骨造であるが、柱21と梁22の一方が鉄骨造であってもよい。この場合、補強筋12と孔あき鋼板23を用いた接合構造10は、鉄骨造の柱21または梁22に対して適用される。例えば柱21がRC造やSRC造となる場合、接合構造10は鉄骨造の梁22に対して適用される。
【0046】
また本実施形態の接合構造10は、RC耐震壁1とフレーム2を新築する際に適用できるが、既存のフレーム2に対してRC耐震壁1を新築する際に適用することも可能である。この場合、既存のフレーム2に対して孔あき鋼板23を新規に設ける。
【0047】
また本実施形態の開口部3は人が通るためのものであるが、図6に示すように、設備配管等を通すための比較的小面積の開口部3がフレーム2の近傍に存在する場合にも、接合構造10を用いてRC耐震壁1をフレーム2に固定できる。
【0048】
また図7(a)に示すように、開口部3自体がフレーム2に接していない場合でも、開口縁に沿って配置した補強筋12と孔あき鋼板23を用いた接合構造10を適用することで、RC耐震壁1とフレーム2とを強固に接合できる。
【0049】
その他、本実施形態では、孔あき鋼板23の開口部3に近い部位を接合構造10に用いているが、開口部3から離れた部位を接合構造10に用いるケースもある。例えば図7(b)では、下側の梁22に接するように開口部3が設けられている場合において、上側の梁22に対しても、開口補強筋11(112)に沿って配置された補強筋12と孔あき鋼板23を用いた接合構造10による接合を行っている。図7(b)のように、開口部3から離れた部位であっても、必要な場合には、補強筋12と孔あき鋼板23によるRC耐震壁1のフレーム2への固定が行われ、補強筋12が開口縁でなく開口補強筋11に沿って配置される場合もある。
【0050】
以上、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0051】
1:RC耐震壁
2:フレーム
3:開口部
10:接合構造
11:開口補強筋
12、121、122:補強筋
21:柱
22:梁
23、23a:孔あき鋼板
111:横筋
112:縦筋
113:斜筋
123:フック
231:孔
232:貫通筋
【要約】
【課題】RC耐震壁を鉄骨造のフレームに強固に接合できる接合構造等を提供する。
【解決手段】接合構造10は、鉄骨造の柱21と梁22を有するフレーム2と、フレーム2の構面内に配置されたRC耐震壁1とを接合するものである。RC耐震壁1には開口部3が設けられ、柱21と梁22のRC耐震壁1側には孔あき鋼板23が設けられる。また開口部3の開口縁に沿ってRC耐震壁1に補強筋12が埋設される。接合構造10では、補強筋12の一端と孔あき鋼板23との間で、RC耐震壁1のコンクリートを介して補強筋12の軸方向に応力の伝達を行うことで、RC耐震壁1が柱21や梁22に固定される。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7