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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-25
(45)【発行日】2024-10-03
(54)【発明の名称】編機の状態を即時に指示する丸編機
(51)【国際特許分類】
   D04B 39/00 20060101AFI20240926BHJP
【FI】
D04B39/00
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2024093767
(22)【出願日】2024-06-10
【審査請求日】2024-06-10
(31)【優先権主張番号】113116011
(32)【優先日】2024-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】393010101
【氏名又は名称】佰龍機械廠股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】林 裕盛
(72)【発明者】
【氏名】楊 昌霖
(72)【発明者】
【氏名】黄 柏偉
(72)【発明者】
【氏名】頼 偉凡
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】特開昭64-85354(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2022/0349097(US,A1)
【文献】国際公開第2022/060340(WO,A1)
【文献】国際公開第2021/156756(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第113136650(CN,A)
【文献】特開2018-193655(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D04B 39/00
D04B 35/20
D04B 35/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、編成作業中に前記ベースに対して回転するシリンダと、編成作業中に前記シリンダに従って前記ベースに対して回転する巻取機とを備え、前記巻取機が、巻取棒と、前記巻取棒に接続された複数の連接棒とを含み、これらの連接棒が、前記巻取機が回転する時に前記ベースに対して変位する丸編機において、
前記ベースに固定され、第1中軸を備え、前記シリンダに従って回転する筒状の編み物に対して撮影する主撮影モジュールと、
前記ベースに固定され前記主撮影モジュールの近くに設けられた副撮影モジュールであって、前記第1中軸と角度を挟む第2中軸を備え、前記副撮影モジュール及び前記主撮影モジュールは前記筒状の編み物の同じ側を向き、前記副撮影モジュールの起動するタイミングは、これらの連接棒の1つが前記主撮影モジュールと前記筒状の編み物との間を通過する時に限定される副撮影モジュールと、を含み、
前記主撮影モジュール及び前記副撮影モジュールによって生成されるデータは、前記丸編機の状態を把握するために利用されることを特徴とする編機の状態を即時に指示する丸編機。
【請求項2】
エンコーダを含み、前記エンコーダは、前記シリンダが回転する時に複数のパルス信号を生成し、前記主撮影モジュール及び前記副撮影モジュールの複数の撮影信号は、これらのパルス信号をカウントして生成されることを特徴とする請求項1に記載の編機の状態を即時に指示する丸編機。
【請求項3】
前記主撮影モジュールのこれらの撮影信号は、前記シリンダが1周回転する時のこれらのパルス信号の総数の因数をカウントして生成されることを特徴とする請求項2に記載の編機の状態を即時に指示する丸編機。
【請求項4】
前記主撮影モジュールの撮影回数の値は、中心角を等分して得られてもよいし、前記シリンダに対応する複数の編針の総数を整除して得られてもよいことを特徴とする請求項2に記載の編機の状態を即時に指示する丸編機。
【請求項5】
データプロセッサを含み、前記データプロセッサは、前記主撮影モジュール及び前記副撮影モジュールから提供される複数の画像データを受信し、前記データプロセッサは、これらの画像データの1つを前記筒状の編み物の同じ垂線に位置する他方のこれらの画像データと比較することを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の編機の状態を即時に指示する丸編機。
【請求項6】
これらの画像データは、複数のループ画像を含み、同じ縦方向に位置するこれらのループ画像が前記丸編機の複数の編針の1つに対応し、前記主撮影モジュールによって生成されるそれぞれのこれらの画像データに含まれるこれらのループ画像の数は互いに近く又は等しいことによって、これらの画像データの比較を提供し、前記副撮影モジュールによって生成されるそれぞれのこれらの画像データに含まれるこれらのループ画像の数は互いに近く又は等しいことによって、これらの画像データの比較を提供することを特徴とする請求項5に記載の編機の状態を即時に指示する丸編機。
【請求項7】
前記シリンダが1周回転する時、前記主撮影モジュールと前記副撮影モジュールによって生成されるこれらの画像データの中に、これらのループ画像の縦方向の長さの和は前記丸編機の玉揚げ量の長さと比例関係があることを特徴とする請求項6に記載の編機の状態を即時に指示する丸編機。
【請求項8】
他方の主撮影モジュールを備え、2つの前記主撮影モジュールはそれぞれ、前記筒状の編み物の外側及び内側を向き、2つの前記主撮影モジュールのうち前記外側を向く方に隣接して前記副撮影モジュールが設けられ、前記副撮影モジュールは前記筒状の編み物の前記外側を向くことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の編機の状態を即時に指示する丸編機。
【請求項9】
2つの前記主撮影モジュールの水平高さは異なることを特徴とする請求項8に記載の編機の状態を即時に指示する丸編機。
【請求項10】
前記ベースが、2つの前記主撮影モジュールのうち前記筒状の編み物の前記内側を向く方を設けるための吊下げアームを備えることを特徴とする請求項9に記載の編機の状態を即時に指示する丸編機。
【請求項11】
データプロセッサを含み、前記データプロセッサは、2つの前記主撮影モジュール及び前記副撮影モジュールから提供される複数の画像データを受信し、前記データプロセッサは、これらの画像データの1つを前記筒状の編み物の同じ垂線に位置する他方のこれらの画像と比較することを特徴とする請求項8に記載の編機の状態を即時に指示する丸編機。
【請求項12】
これらの画像データのそれぞれは複数のループ画像を含み、同じ縦方向に位置するこれらのループ画像が前記丸編機の複数の編針の1つに対応し、前記主撮影モジュールによって生成されるそれぞれのこれらの画像データに含まれるこれらの横方向ループ画像の数は互いに近く又は等しいことによって、これらの画像データの比較を提供し、前記副撮影モジュールによって生成されるそれぞれのこれらの画像データに含まれるこれらの横方向ループ画像の数は互いに近く又は等しいことによって、これらの画像データの比較を提供することを特徴とする請求項11に記載の編機の状態を即時に指示する丸編機。
【請求項13】
前記シリンダが1周回転する時、前記主撮影モジュールと前記副撮影モジュールによって生成されるこれらの画像データの中にこれらの縦方向ループ画像の長さの和は前記丸編機の玉揚げ量の長さにと比例関係があることを特徴とする請求項12に記載の編機の状態を即時に指示する丸編機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、丸編機の技術分野に係り、特に、編成作業の時に筒状の編み物の出来により編針の状態を判断できる丸編機に関する。
【背景技術】
【0002】
丸編機の作業品質とは、言い換えれば編み物の表面の編疵の有無である。編疵の発生は丸編機の複数の編針のフットの状態に密接に関係している。複数の編針の1つの当該フットの下端が深刻に摩耗された場合は、これらの編針の1つは所定の高さに持ち上がることができないため、ラッチが完全に展開できなかったり、前のループが処理されずに編針が2本の糸で編み誤りが生じたり、フックが新しい糸を拾えず、編み物に穴ができたりする。また、これらの編針の1つの当該フットの上縁が深刻に摩耗された場合は、前のループが確実に脱落できないまま、編み物に穴ができ、しかも編み上げた編み物に不自然な線状模様が出現したり、新しいループがこれまでに編んだループより小さく、編み物に不自然な線状模様が出現したりする。
【0003】
従来、特許文献1~8などのように、編み物の品質検出に関する技術的解決手段があるものの、これらの技術は、編み作業の品質検出を行うタイミングは当該丸編機が編み上げた後で、当該編み物に編疵が見つかっても、当該丸編機の複数の編針のどちらを交換すべきかを特定できない。そのため、業界では当該編み物に編疵が見つかった場合、一般的に、当該丸編機の全ての編針を取り外す。丸編機の編針の数は1500~2640本が一般的で、一度に多くの編針を取り外して、全ての編針に対して状態評価を行うのは時間の無駄になる。これに伴う資源の浪費も、生産コストを増やす要因である。
【0004】
また、特許文献9~11には、巻取構造を備える丸編機が開示されている。当該巻取構造は、編成作業と同時に回転して編み上げた編み物を巻き取る。この場合に、当該巻取構造に設けられた複数の連接棒は、筒状の編み物の外側の画像の認識に影響を与えるため、改良が必要になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】中国公開特許第CN102778414A号
【文献】中国公開特許第CN102967606A号
【文献】中国公開特許第CN103451846A号
【文献】中国公開特許第CN103604809A号
【文献】中国公開特許第CN108364291A号
【文献】中国公開特許第CN108921819A号
【文献】中国公開特許第CN109696442A号
【文献】中国公開特許第CN110389130A号
【文献】米国登録特許第US04748334A号
【文献】中国公開特許第CN114808260A号
【文献】中国公開特許第CN104178907A号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、巻取構造が設けられた従来の丸編機において、筒状の編み物の外側の画像を認識する時に生じる問題を解決することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の目的を達成するためになされたものであって、編機の状態を即時に指示する丸編機を提供し、当該丸編機は、ベースと、編成作業中に当該ベースに対して回転するシリンダと、編成作業中に当該シリンダに従って当該ベースに対して回転する巻取機とを備え、当該巻取機は、巻取棒と、当該巻取棒に接続された複数の連接棒とを含み、これらの連接棒は当該巻取機が回転する時に当該ベースに対して変位する。さらに、当該丸編機は、当該ベースに固定された主撮影モジュールと、当該ベースに固定され当該主撮影モジュールの近くに設けられた副撮影モジュールとを含む。当該主撮影モジュールは第1中軸を備え、当該主撮影モジュールは、当該シリンダに従って回転する筒状の編み物に対して撮影する。当該副撮影モジュールは当該第1中軸と角度を挟む第2中軸を備え、当該副撮影モジュールの起動するタイミングは、これらの連接棒の1つが当該主撮影モジュールと当該筒状の編み物との間を通過する時に限定される。当該主撮影モジュール及び当該副撮影モジュールによって生成される情報は、当該丸編機の状態を把握するために利用される。
【0008】
一実施例では、当該丸編機はエンコーダを含み、当該エンコーダは、当該シリンダが回転する時に複数のパルス信号を生成し、当該主撮影モジュール及び当該副撮影モジュールの複数の撮影信号は、これらのパルス信号をカウントして生成される。
【0009】
一実施例では、当該主撮影モジュールのこれらの撮影信号は、当該シリンダが1周回転する時のこれらのパルス信号の総数の因数をカウントして生成される。
【0010】
一実施例では、当該主撮影モジュールの撮影回数の値は、中心角を等分して得られてもよいし、当該シリンダに対応する複数の編針の総数を整除して得られてもよい。
【0011】
一実施例では、当該丸編機はデータプロセッサを含み、当該データプロセッサは、当該主撮影モジュール及び当該副撮影モジュールから提供される複数の画像データを受信し、当該データプロセッサは、これらの画像データの1つを当該筒状の編み物の同じ垂線に位置する他方のこれらの画像データと比較する。
【0012】
一実施例では、当該主撮影モジュールによって生成されるこれらの画像データのそれぞれは複数のループ画像を含み、同じ縦方向に位置するこれらのループ画像が当該丸編機の複数の編針の1つに対応し、当該主撮影モジュールによって生成されるそれぞれのこれらの画像データに含まれるこれらのループ画像の数は互いに近く又は等しいことによって、これらの画像データの比較を提供し、当該副撮影モジュールによって生成されるそれぞれのこれらの画像データに含まれるこれらのループ画像の数は互いに近く又は等しいことによって、これらの画像データの比較を提供する。
【0013】
一実施例では、当該シリンダが1周回転する時、前記主撮影モジュールと前記副撮影モジュールによって生成されるこれらの画像データの中にこれらの縦方向ループ画像の長さの和は当該丸編機の玉揚げ量の長さと比例関係がある。
【0014】
一実施例では、当該丸編機は他方の主撮影モジュールを備え、2つの当該主撮影モジュールはそれぞれ、当該筒状の編み物の外側及び内側を向き、2つの当該主撮影モジュールのうち当該外側を向く方に隣接して当該副撮影モジュールが設けられ、当該副撮影モジュールは当該筒状の編み物の当該外側を向く。
【0015】
一実施例では、2つの当該主撮影モジュールの水平高さは異なる。
【0016】
一実施例では、当該ベースは、2つの当該主撮影モジュールのうち当該筒状の編み物の当該内側を向く方を設けるための吊下げアームを備える。
【0017】
一実施例では、当該データプロセッサは、2つの当該主撮影モジュール及び当該副撮影モジュールから提供される複数の画像データを受信し、当該データプロセッサは、これらの画像データの1つを当該筒状の編み物の同じ垂線に位置する他方のこれらの画像データと比較する。
【発明の効果】
【0018】
上述したように実施される本発明は、従来技術と比べて以下の利点を有する。本発明の丸編機は、主撮影モジュール及び副撮影モジュールを設けることにより、巻取機の存在で品質検出が不十分になることで生じる問題を解決する。本発明は、主撮影モジュール及び副撮影モジュールによって生成される情報を、丸編機の状態を把握するために利用することにより、丸編機上の問題のある編針を特定することができ、これで従来の全数交換の方式がもたらす浪費の問題を解決できる。また、本発明を利用すると丸編機の作業員は即座な対応でメインテナンスすることができ、編成作業が全て終わってからようやく完成品の編疵が見つかるという事情が避けられる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明の丸編機の局所構造の模式図である。
図2図2は、本発明の丸編機の局所構造の底面模式図である。
図3図3は、本発明の丸編機の局所構造の断面模式図である。
図4図4は、本発明の丸編機の局所構造の底面の実施模式図である。
図5図5は、本発明の丸編機の局所構造の断面の実施模式図である。
図6図6は、本発明の丸編機の第1実施例のユニット構成図である。
図7図7は、本発明の主撮影モジュールによって提供される画像データの模式図である。
図8図8は、本発明の丸編機の第2実施例のユニット構成図である。
図9図9は、本発明の丸編機の第3実施例のユニット構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1図3を参照すると、本発明は丸編機20を提供する。丸編機20は、編成作業中に筒状の編み物のループの状態により編機の状態を即時に指示することができる。まず、丸編機20の基本構造について説明する。丸編機20はベース21と、シリンダ22と、巻取機23とを備える。シリンダ22は、編成作業中にベース21に対して回転し、ベース21上の編針構造(当該編成構造は当分野の技術常識ため、図示されていない)と協働して筒状の編み物30を編み、筒状の編み物30はシリンダ22に従って回転する。巻取機23は主として筒状の編み物30を巻き取るために用いられ、巻取機23は編成作業中にシリンダ22に従ってベース21に対して回転する。巻取機23の構成は、例えば、CN114808260Aに開示されているようなもので、ただしそれに限定されない。巻取機23は巻取棒231と、巻取棒231に接続された複数の連接棒232とを含み、これらの連接棒232は巻取機23が回転する時にベース21に対して変位する。
【0021】
また図1図3を参照すると、本発明の丸編機20は、さらに、主撮影モジュール24と、副撮影モジュール25とを含む。主撮影モジュール24はベース21に固定される。主撮影モジュール24は筒状の編み物30の片側を向き、より具体的には、筒状の編み物30は外側301及び内側302を備え、本実施例では、主撮影モジュール24は筒状の編み物30の外側301を向く。主撮影モジュール24はシリンダ22に従って回転する筒状の編み物30を撮影するよう制御される。また、副撮影モジュール25はベース21に固定され、副撮影モジュール25は主撮影モジュール24の近くに設けられる。ベース21の底面から観察すると(図2)、副撮影モジュール25は主撮影モジュール24に対して平行に設けられず、副撮影モジュール25の撮影範囲は主撮影モジュール24と重なる。さらに、主撮影モジュール24は第1中軸241を備え、副撮影モジュール25は第2中軸251を備え、第2中軸251は第1中軸241と角度を挟む。また、副撮影モジュール25及び主撮影モジュール24は筒状の編み物30の同じ側を向き、つまり、副撮影モジュール25は筒状の編み物30の外側301を向く。副撮影モジュール25の起動するタイミングは主撮影モジュール24と異なり、副撮影モジュール25の起動するタイミングは、これらの連接棒232の1つが主撮影モジュール24と筒状の編み物30との間を通過する時に限定される。副撮影モジュール25は、主撮影モジュール24がこれらの連接棒232の1つによって遮られて筒状の編み物30に対して撮影できない問題を解決するために設けられる。
【0022】
さらに、丸編機20が編成作業を行う時に、筒状の編み物30はシリンダ22に従って回転し、主撮影モジュール24は、図4及び図5に示すように、筒状の編み物30に対して立て続けに撮影するよう制御される。主撮影モジュール24が固定され、巻取機23がシリンダ22に対して回転するため、図2及び図3に示すように、巻取機23は主撮影モジュール24が筒状の編み物30に対して撮影することに影響が及ぶまで回転している時に、副撮影モジュール25は筒状の編み物30に対して少なくとも1回撮影するようにトリガされる。主撮影モジュール24及び副撮影モジュール25によって生成されるデータは、丸編機20上の複数の編針の状態を把握するために利用される。副撮影モジュール25によって生成されるデータは、主撮影モジュール24がこれらの連接棒232の1つによって遮られて撮影できなかった部分を補い、主撮影モジュール24及び副撮影モジュール25によって生成されるデータで、筒状の編み物30上のループにより丸編機20上の複数の編針(不図示)の状態を把握することができ、さらに、即座な対応でメインテナンスすることができ、編成作業が全て終わってからようやく完成品の編疵が見つかるという事情が避けられる。また、本発明は、当該丸編機におけるこれらの編針の状態について一つずつ確認できないため、これらの編針を全数交換しなければならないことで生じる資源の無駄という従来技術の問題を解決している。
【0023】
なお、本発明の主撮影モジュール24は筒状の編み物30に対して一続きに撮影するのではないため、動画データが生成されず、主撮影モジュール24は、指示を受けないと玉揚げ(doffing)中の筒状の編み物30に対して撮影しない。
【0024】
同時に図6を参照すると、一実施例では、丸編機20はエンコーダ26を備え、エンコーダ26は、シリンダ22が回転する時に複数のパルス信号261を生成する。主撮影モジュール24及び副撮影モジュール25の複数の撮影信号は、これらのパルス信号261をカウントして生成される。主撮影モジュール24は連続的に間隔を置いて起動して撮影し、主撮影モジュール24のこれらの撮影信号は、これらのパルス信号261の生成数が特定の値になると算出された時に起動するものであってもよい。一実施例では、後のデータ比較が難しいという問題を緩和するために、主撮影モジュール24のこれらの撮影信号はシリンダ22が1周回転する時のこれらのパルス信号261の総数の因数をカウントして生成される。例えば、シリンダ22の1周回転においてエンコーダ26が生成させたこれらのパルス信号261の総数が2640である場合、当該カウント値は2640を整除する値、例えば、88を選んでもよく、主撮影モジュール24を制御するための部分又は主撮影モジュール24は88個のパルス信号261を受信するごとに1回撮影する。これにより、主撮影モジュール24の撮影回数はこれらのパルス信号261の総数を当該カウント値で整除した商である。上記の例の場合、シリンダ22が1周回転すると、主撮影モジュール24は30回撮影する。また、主撮影モジュール24の撮影回数の値は中心角を等分して得られてもよく、これにより、繰り返し撮影により後の解析に影響が及び、しかも各回の撮影の具体的な位置が区別されているため、後に直ちにメインテナンスすることにも役立つ。
【0025】
また図6を参照すると、一実施例では、主撮影モジュール24はコントローラ242と、コントローラ242の制御を受けるカメラ243とを含み、主撮影モジュール24はエンコーダ26に接続されてこれらのパルス信号261を取得し、コントローラ242はこれらのパルス信号261に基づいて、カメラ243が起動して撮影するよう制御する。また、副撮影モジュール25はコントローラ252と、コントローラ252の制御を受けるカメラ253とを含み、副撮影モジュール25はエンコーダ26に接続されてこれらのパルス信号261を取得し、コントローラ252はこれらのパルス信号261に基づいて、カメラ253が起動して撮影するよう制御する。また、主撮影モジュール24及び副撮影モジュール25は外部制御装置によって制御されてもよく、当該外部制御装置はエンコーダ26に接続されてこれらのパルス信号261を取得し、これらのパルス信号261に基づいて、主撮影モジュール24及び副撮影モジュール25が撮影するよう制御する。
【0026】
さらに、同時に図6及び図7を参照すると、主撮影モジュール24及び副撮影モジュール25によって生成されるデータは、外部演算装置又は丸編機20上の演算素子によって解析されてもよい。一実施例では、丸編機20はデータプロセッサ27を含み、データプロセッサ27に複数の演算プログラムが記憶されており、データプロセッサ27は主撮影モジュール24及び副撮影モジュール25に接続され、データプロセッサ27は主撮影モジュール24及び副撮影モジュール25が撮影して生成させた複数の画像データ244、254を受信し、自身のこれらの演算プログラムで演算し比較する。さらに、データプロセッサ27は、これらの画像データ244、254のそれぞれをこれらの画像データ244、254で筒状の編み物30の同じ垂線303に位置する他方の画像とだけ比較する。具体的に言えば、これらの画像データ244の1つ(図7のA)がシリンダ22の1周回転において、主撮影モジュール24によって撮影された24番目の画像データである場合、その比較対象は、シリンダ22の前の1周回転において主撮影モジュール24が撮影した24番目の画像データである(図7のB)。前記これらの画像データ244のうちの2つは垂線303において連続している。データプロセッサ27はこの両者を比較した後、差異が見つかると編機の状態を指示し、それは差異が生成することは、丸編機20上のこれらの編針の少なくとも1つに問題が生じて、仕上がったものが異なることではないためである。データプロセッサ27による比較は、有彩色画素による比較であってもよいし又は他の画像認識用演算プログラムを用いてもよい。また、一実施例では、副撮影モジュール25によって生成されるこれらの画像データ254は独立的に判断され、つまり、副撮影モジュール25によって生成されるこれらの画像データ254は、主撮影モジュール24によって生成されるこれらの画像データ244と組み合わされて、筒状の編み物30における一周の状態を示す画像になることはなく、これにより、データプロセッサ27の演算プログラムが簡素化され、画像をつなぎ合わせることで誤判断が生じることが避けられる。図8を参照すると、一実施例では、データプロセッサ27は、エンコーダ26に接続されてこれらのパルス信号261を受信し、さらに、主撮影モジュール24及び副撮影モジュール25が撮影するよう制御してもよい。
【0027】
また、主撮影モジュール24によって生成されるこれらの画像データ244のそれぞれは複数のループ画像を含み、その中、同じ縦方向に位置するこれらのループ画像が丸編機20のこれらの編針の1つに対応する。これにより、これらの画像データ244の中のこれらのループ画像の差異を比較することによって、これらの編針のどれに問題が生じ、交換すべきかを特定できる。また、主撮影モジュール24によって生成されるこれらの画像データ244に含まれるこれらの横方向ループ画像の数は互いに近く又は等しいことによって、これらの画像データ244の比較を提供する。また、副撮影モジュール25によって生成されるこれらの画像データ254のそれぞれも、複数のループ画像を含み、同じ縦方向に位置するこれらのループ画像も、丸編機20のこれらの編針の1つに対応する。また、副撮影モジュール25によって生成されるこれらの画像データ254に含まれるこれらのループ画像の数は互いに近く又は等しいことによって、これらの画像データ254の比較を提供する。また、シリンダ22が1周回転する時、主撮影モジュール24及び副撮影モジュール25によって生成されるこれらの画像データ244、254の中にこれらの縦方向ループ画像の長さの和は丸編機の玉揚げ量の長さと比例関係がある。
【0028】
また図1図3及び図9を参照すると、一実施例では、丸編機20は2つの主撮影モジュール24を備え、2つの主撮影モジュール24はそれぞれ、筒状の編み物30の外側301及び内側302を向く。2つの主撮影モジュール24のうち外側301を向く方に隣接して副撮影モジュール25が設けられ、副撮影モジュール25は筒状の編み物30の外側301を向く。一実施例では、2つの主撮影モジュール24の水平高さは異なる。2つの主撮影モジュール24のうち内側302を向く方はシリンダ22の取り囲む範囲内に吊り下げられ、つまり、筒状の編み物30の内部に吊り下げる。一実施例では、ベース21は、2つの主撮影モジュール24のうち筒状の編み物30の内側302を向く方を設けるための吊下げアーム211を備える。2つの主撮影モジュール24の撮影に対する制御は上記と同じであるため、ここで詳しい説明を省略する。本実施例では、両面編み物を編成する丸編機20に前記構造を用いると、筒状の編み物30の出来により、丸編機20上の両面編成に用いるこれらの編針又は協働する関連の編成部品が壊れたかどうか、又は誤操作があるかどうかを直ちに判断することができる。
【0029】
また、2つの主撮影モジュール24によって生成されるこれらの画像データ244は、必ずしも一度に比較するとは限らない。つまり、これらの画像データ244を外側301の部分及び内側302の部分に分けて演算してもよい。無論、2つの主撮影モジュール24によって生成されるこれらの画像データ244を一度に比較する場合、データプロセッサ27は演算プログラムにより筒状の編み物30の同じ部分を示す2つの対向するこれらの画像データ244の2つを関連付けて比較する必要がある。
【符号の説明】
【0030】
20 丸編機
21 ベース
211 吊下げアーム
22 シリンダ
23 巻取機
231 巻取棒
232 連接棒
24 主撮影モジュール
241 第1中軸
242 コントローラ
243 カメラ
244 画像データ
25 副撮影モジュール
251 第2中軸
252 コントローラ
253 カメラ
254 画像データ
26 エンコーダ
261 パルス信号
27 データプロセッサ
30 筒状の編み物
301 外側
302 内側
303 垂線
A、B 比較対象
【要約】      (修正有)
【課題】筒状の編み物の外側の画像の認識に不具合が生じない丸編機を提供する。
【解決手段】主撮影モジュール(24)は第1中軸(241)を備え、主撮影モジュール(24)は、丸編機(20)によって編まれた筒状の編み物(30)に対して撮影する。副撮影モジュール(25)は第1中軸(241)と角度を挟む第2中軸(251)を備え、副撮影モジュール(25)及び主撮影モジュール(24)は筒状の編み物(30)の同じ側を向き、副撮影モジュール(25)の起動するタイミングは、これらの連接棒(232)の1つが主撮影モジュール(24)と筒状の編み物(30)との間を通過する時に限定される。主撮影モジュール(24)及び副撮影モジュール(25)によって生成されるデータは、丸編機(20)の状態を把握するために利用される。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9