IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社シロクの特許一覧

特許7561301商品管理システム、商品管理方法及び商品管理プログラム
<>
  • 特許-商品管理システム、商品管理方法及び商品管理プログラム 図1
  • 特許-商品管理システム、商品管理方法及び商品管理プログラム 図2
  • 特許-商品管理システム、商品管理方法及び商品管理プログラム 図3
  • 特許-商品管理システム、商品管理方法及び商品管理プログラム 図4
  • 特許-商品管理システム、商品管理方法及び商品管理プログラム 図5
  • 特許-商品管理システム、商品管理方法及び商品管理プログラム 図6
  • 特許-商品管理システム、商品管理方法及び商品管理プログラム 図7
  • 特許-商品管理システム、商品管理方法及び商品管理プログラム 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-25
(45)【発行日】2024-10-03
(54)【発明の名称】商品管理システム、商品管理方法及び商品管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0207 20230101AFI20240926BHJP
【FI】
G06Q30/0207
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2024146522
(22)【出願日】2024-08-28
(62)【分割の表示】P 2024081940の分割
【原出願日】2024-05-20
【審査請求日】2024-08-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512092151
【氏名又は名称】株式会社シロク
(74)【代理人】
【識別番号】110004163
【氏名又は名称】弁理士法人みなとみらい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 慧
(72)【発明者】
【氏名】石山 貴広
【審査官】関 博文
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-192205(JP,A)
【文献】特開2007-122288(JP,A)
【文献】特許第7389300(JP,B1)
【文献】特許第3977989(JP,B2)
【文献】特許第4851957(JP,B2)
【文献】特開2022-168229(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2023/0169550(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品の割引を管理する商品管理システムであって、
前記商品管理システムは、記憶部、取得部、分類部、決定部、を備え、
前記記憶部は、前記商品の在庫数と、顧客を分類するための顧客分類条件と、当該顧客分類条件に紐づけられた前記商品の割引範囲と、を格納し、
前記取得部は、前記顧客の購入履歴を取得し、
前記分類部は、前記購入履歴と、前記顧客分類条件と、に基づいて、前記顧客を分類し、
前記決定部は、前記分類結果と、前記在庫数と、前記顧客が前記商品を購入するためにカートに入れたが未購入であった商品の未購入履歴と、に基づいて、前記分類に対応した割引範囲において各顧客に応じた商品ごとの割引を決定する、
商品管理システム。
【請求項2】
前記商品管理システムは、受付部、算出部、を備え、
前記受付部は、前記商品の目標販売個数と、当該目標販売個数を達成するための販売期間と、を受け付け、
前記算出部は、前記目標販売個数と、前記販売期間における購入履歴と、に基づいて、前記在庫数を算出する、
請求項1に記載の商品管理システム。
【請求項3】
前記販売期間は、等分割された期間であるスプリットに分割され、
前記算出部は、前記目標販売個数と、前記スプリットにおける購入履歴と、に基づいて、前記在庫数を算出する、
請求項2に記載の商品管理システム。
【請求項4】
前記決定部は、前記分類結果に基づいて、前記顧客に応じた割引範囲を決定し、更に、前記スプリットにおける購入履歴と、残りのスプリットの数と、前記在庫数と、に基づいて、次のスプリットにおける割引を決定する、
請求項3に記載の商品管理システム。
【請求項5】
前記記憶部は、前記商品の仮想的な在庫数である仮想在庫数を算出するための仮想在庫算出重みを格納し、
前記算出部は、前記目標販売個数と、前記販売期間における購入履歴と、前記仮想在庫算出重みと、に基づいて、前記仮想在庫数を算出し、
前記決定部は、前記分類結果と、前記仮想在庫数と、に基づいて、前記商品の割引を決定する、
請求項2に記載の商品管理システム。
【請求項6】
前記取得部は、前記顧客の行動に関する顧客行動履歴を取得し、
前記分類部は、前記顧客行動履歴に基づいて、前記顧客に応じた仮想在庫算出重みを分類する、
請求項5に記載の商品管理システム。
【請求項7】
前記顧客分類条件は、所定期間と、当該所定期間において顧客を分類するための設定金額と、を含む、
請求項1に記載の商品管理システム。
【請求項8】
商品の割引を管理する商品管理システムが実行する商品管理方法であって、
前記商品管理システムは、記憶部、取得部、分類部、決定部、を備え、
前記記憶部が、前記商品の在庫数と、顧客を分類するための顧客分類条件と、当該顧客分類条件に紐づけられた前記商品の割引範囲と、を格納するステップと、
前記取得部が、前記顧客の購入履歴を取得するステップと、
前記分類部が、前記購入履歴と、前記顧客分類条件と、に基づいて、前記顧客を分類するステップと、
前記決定部が、前記分類結果と、前記在庫数と、前記顧客が前記商品を購入するためにカートに入れたが未購入であった商品の未購入履歴と、に基づいて、前記分類に対応した割引範囲において各顧客に応じた商品ごとの割引を決定するステップと、を含む、
商品管理方法。
【請求項9】
商品の割引を管理する商品管理プログラムであって、
コンピュータを、記憶部、取得部、分類部、決定部、として機能させ、
前記記憶部は、前記商品の在庫数と、顧客を分類するための顧客分類条件と、当該顧客分類条件に紐づけられた前記商品の割引範囲と、を格納し、
前記取得部は、前記顧客の購入履歴を取得し、
前記分類部は、前記購入履歴と、前記顧客分類条件と、に基づいて、前記顧客を分類し、
前記決定部は、前記分類結果と、前記在庫数と、前記顧客が前記商品を購入するためにカートに入れたが未購入であった商品の未購入履歴と、に基づいて、前記分類に対応した割引範囲において各顧客に応じた商品ごとの割引を決定する、
商品管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品管理システム、商品管理方法及び商品管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、顧客の購入実績に基づいて商品の割引を決定する技術が存在する。
【0003】
例えば、特許文献1には、購入実績の多い顧客に対しては割引を増加させ、購入実績が全くない顧客に対しては割引を減額させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-94543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
商品の割引が大きければ大きいほど、商品がより早く売れて商品の提供者は在庫を抱える必要がなくなる。一方で、割引を大きくすればするほど、商品の提供者の利益は減る。したがって、商品の提供者は、なるべく割引が小さく、商品が売り切れる割引で商品を売りたい。しかしながら特許文献1の技術では、顧客の購入実績に応じた割引を決定できる一方、商品の在庫状況に応じた割引を決定することはできない。
【0006】
本発明は、上述したような事情に鑑みてなされたものであって、商品の適切な割引を決定するための新たな技術を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]商品の割引を管理する商品管理システムであって、
前記商品管理システムは、取得部、算出部、決定部、を備え、
前記取得部は、顧客の購入履歴を取得し、
前記算出部は、前記商品の在庫数を算出し、
前記決定部は、前記購入履歴と、前記在庫数と、に基づいて、前記商品の割引を決定する、
商品管理システム。
【0008】
[10]商品の割引を管理する商品管理システムが実行する商品管理方法であって、
前記商品管理システムは、取得部、算出部、決定部、を備え、
前記取得部が、顧客の購入履歴を取得するステップと、
前記算出部が、前記商品の在庫数を算出するステップと、
前記決定部が、前記購入履歴と、前記在庫数と、に基づいて、前記商品の割引を決定するするステップと、を含む、
商品管理方法。
【0009】
[11]商品の割引を管理する商品管理プログラムであって、
コンピュータを、取得部、算出部、決定部、として機能させ、
前記取得部は、顧客の購入履歴を取得し、
前記算出部は、前記商品の在庫数を算出し、
前記決定部は、前記購入履歴と、前記在庫数と、に基づいて、前記商品の割引を決定する、
商品管理プログラム。
【0010】
このような構成にすることで、顧客の購入履歴(購入実績等)と商品の在庫数(在庫状況等)に基づいて、商品の割引(割引額、割引率等)を決定することが可能となり、顧客の購入履歴と商品の需要に応じた適切な割引を決定することができる。
【0011】
[2]前記商品管理システムは、記憶部、分類部、を備え、
前記記憶部は、前記顧客を分類するための顧客分類条件を格納し、
前記分類部は、前記購入履歴と、前記顧客分類条件と、に基づいて、前記顧客を分類し、
前記決定部は、前記分類結果と、前記在庫数と、に基づいて、前記商品の割引を決定する、
[1]に記載の商品管理システム。
【0012】
このような構成にすることで、顧客の購入履歴(購入実績等)に応じて顧客を詳細に分類することが可能となり、それぞれの顧客に応じた適切な割引を決定することができる。
【0013】
[3]前記記憶部は、前記商品の割引の上限と下限を含む複数種類の割引範囲を顧客分類条件に紐づけて格納し、
前記決定部は、前記分類結果に基づいて、前記顧客に応じた割引範囲を決定し、更に、前記在庫数に基づいて、当該割引範囲内で前記商品の割引を決定する、
[2]に記載の商品管理システム。
【0014】
このような構成にすることで、顧客の分類ごとに適切な割引範囲を決定することが可能となり、商品の在庫数(在庫状況等)に応じて割引範囲内で適切な割引を決定することができる。
【0015】
[4]前記商品管理システムは、受付部、を備え、
前記受付部は、前記商品の目標販売個数と、当該目標販売個数を達成するための販売期間と、を受け付け、
前記算出部は、前記目標販売個数と、前記販売期間における購入履歴と、に基づいて、前記在庫数を算出する、
[2]又は[3]に記載の商品管理システム。
【0016】
このような構成にすることで、管理者(商品の提供者等)が特定の期間において販売したい商品の個数を設定することが可能となり、特定の期間における商品の在庫数(在庫状況等)に応じた適切な割引を決定することができる。
【0017】
[5]前記販売期間は、等分割された期間であるスプリットに分割され、
前記算出部は、前記目標販売個数と、前記スプリットにおける購入履歴と、に基づいて、前記在庫数を算出する、
[4]に記載の商品管理システム。
【0018】
このような構成にすることで、細分化された期間(スプリット)における商品の需要を用いて、商品の在庫数(在庫状況等)に応じた適切な割引を決定することができる。
【0019】
[6]前記決定部は、前記分類結果に基づいて、前記顧客に応じた割引範囲を決定し、更に、前記スプリットにおける購入履歴と、残りのスプリットの数と、前記在庫数と、に基づいて、次のスプリットにおける割引を決定する、
[5]に記載の商品管理システム。
【0020】
このような構成にすることで、細分化された期間(スプリット)における購入履歴と残りの期間(スプリット)に基づいて、適切な割引を決定することができる。
【0021】
[7]前記記憶部は、前記商品の仮想的な在庫数である仮想在庫数を算出するための仮想在庫算出重みを格納し、
前記算出部は、前記目標販売個数と、前記販売期間における購入履歴と、前記仮想在庫算出重みと、に基づいて、前記仮想在庫数を算出し、
前記決定部は、前記分類結果と、前記仮想在庫数と、に基づいて、前記商品の割引を決定する、
[4]~[6]の何れかに記載の商品管理システム。
【0022】
このような構成にすることで、仮想的な在庫数を用いることが可能となり、特定の顧客へ商品の購買を促すような割引を決定することができる。
【0023】
[8]前記取得部は、前記顧客の行動に関する顧客行動履歴を取得し、
前記分類部は、前記顧客行動履歴に基づいて、前記顧客に応じた仮想在庫算出重みを分類する、
[7]に記載の商品管理システム。
【0024】
このような構成にすることで、顧客の行動履歴を用いることが可能となり、特定の顧客へ商品の購買を促すような割引を決定することができる。
【0025】
[9]前記顧客分類条件は、所定期間と、当該所定期間において顧客を分類するための設定金額と、を含む、
[2]~[8]に記載の商品管理システム
【0026】
このような構成にすることで、所定期間における顧客の購入履歴(購入実績等)を用いることが可能となり、より適切な分類に顧客を分類することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、商品の在庫状況を利用した特徴的な処理を実行することで、商品の適切な割引を決定するための新たな技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本実施形態における商品管理システムの構成を示すブロック図。
図2】本実施形態におけるハードウェア構成図。
図3】本実施形態における機能構成要素を示すブロック図。
図4】本実施形態における記憶部に格納されたデータ構成の一例。
図5】本実施形態における記憶部に格納されたデータ構成の一例。
図6】本実施形態における商品管理システムの概略イメージ図。
図7】本実施形態における顧客に対する商品の割引を決定する処理のフローチャート。
図8】本実施形態における顧客に対する商品の割引を表示する画面表示例。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を用いて、本発明の商品管理システムについて説明する。図面には好ましい実施形態が示されている。しかし、本発明は多くの異なる形態で実施されることが可能であり、本明細書に記載される実施形態に限定されない。
【0030】
例えば、本実施形態では商品管理システムの構成、動作等について説明するが、実行される方法(ステップ)、装置、コンピュータプログラム等によっても、同様の作用効果を奏することができる。本実施形態におけるプログラムは、コンピュータが読み取り可能な非一過性の記録媒体として提供されても良いし、外部のサーバからダウンロード可能に提供されても良いし、クライアント端末でその機能を実施するために外部のコンピュータにおいて当該プログラムを起動させても良い(いわゆるクラウドコンピューティング)。
【0031】
また、本実施形態において「部」とは、例えば、広義の回路によって実施されるハードウェア資源と、これらハードウェア資源によって具体的に実現され得るソフトウェアの情報処理とを合わせたものも含み得る。本実施形態において「情報」とは、例えば電圧・電流を表す信号値の物理的な値、0又は1で構成される2進数のビット集合体としての信号値の高低、又は量子的な重ね合わせ(いわゆる量子ビット)によって表され、広義の回路上で通信・演算が実行され得る。
【0032】
広義の回路とは、回路(Circuit)、回路類(Circuitry)、プロセッサ(Processor)及びメモリ(Memory)等を適宜組み合わせることによって実現される回路である。即ち、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等を含むものである。
【0033】
<システム概要>
図1は、本実施形態における商品管理システムの構成を示すブロック図である。図1に示すように、商品管理システム0は、商品管理装置1、顧客端末2、管理者端末3を備える。商品管理装置1は、ネットワークNWを介して顧客端末2及び管理者端末3と通信可能に構成される。商品管理装置1はサーバとして動作し、顧客端末2及び管理者端末3はクライアント端末として動作する。
【0034】
商品管理装置1は、顧客端末2を介して、顧客から商品の注文を受け付ける。また、商品管理装置1は、管理者端末3を介して、管理者からの入力を受け付ける。商品管理装置1は、顧客から受け付けた注文に関する情報、管理者から受け付けた入力に関する情報、記憶部が格納する情報等に基づいて、顧客に対する商品の割引(割引率、割引額等)を決定する。商品管理装置1は、顧客ごとに割引を決定しても良い。
【0035】
商品管理装置1としては、汎用のサーバ向けのコンピュータやパーソナルコンピュータ等を利用することが可能である。また、複数のコンピュータを用いて商品管理装置1を構成することも可能である。
【0036】
顧客端末2は、顧客が商品の注文を行うための端末である。顧客は、顧客端末2を介して、商品の注文等に関する入力を行う。顧客端末2としては、スマートフォンやタブレット端末、パーソナルコンピュータ等の端末装置を利用することができる。顧客端末2は、複数存在することが考えられる。
【0037】
管理者端末3は、管理者が情報(例えば、割引範囲、目標販売個数、販売期間等)を入力するための端末である。管理者端末3としては、スマートフォンやタブレット端末、パーソナルコンピュータ等の端末装置を利用することができる。管理者端末3は、1つであっても複数であっても良い。
【0038】
ネットワークNWは、本実施形態では、IP(Internet Protocol)ネットワークであるが、通信プロトコルの種類に制限はなく、更に、ネットワークの種類、規模にも制限はない。
【0039】
<ハードウェア構成>
図2は、ハードウェア構成図である。図2(a)に示すように、情報処理装置10(商品管理装置1)は、制御部101、記憶部102、及び通信部103を有し、各部及び各工程の作用発揮に用いられる。
【0040】
制御部101は、CPU(Central Processing Unit)等の1又は2以上のプロセッサを含み、本発明に係る商品管理プログラム、OS(Operating System)やブラウザソフト、その他のアプリケーションを実行することで、情報処理装置10の動作処理全体を制御する。
【0041】
記憶部102は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等であって、本発明に係る商品管理プログラム及び、制御部101がプログラムに基づき処理を実行する際に利用するデータ等を記憶する。制御部101が、記憶部102に記憶されている商品管理プログラムに基づき処理を実行することによって、後述する機能構成が実現される。
【0042】
通信部103は、ネットワークNWとの通信制御を実行して、情報処理装置10を動作させるために必要な入力や、動作結果に係る出力を行う。
【0043】
図2(b)のように、端末装置9(顧客端末2及び管理者端末3)は、制御部91、記憶部92、通信部93、入力部94、及び出力部95を有し、各部及び各工程の作用発揮に用いられる。
【0044】
端末装置9の制御部91は、CPU等の1以上のプロセッサを含み、端末装置9の動作処理全体を制御する。端末装置9の記憶部92は、HDD、SSD、ROM、RAM等であって、上述のアプリケーション及び、制御部91がプログラムに基づき処理を実行する際に利用するデータ等を記憶する。
【0045】
端末装置9の通信部93は、ネットワークNWとの通信を制御する。端末装置9の入力部94は、マウス及びキーボード等であって、利用者/提供者による操作要求を制御部91に入力する。端末装置9の出力部95は、ディスプレイ等であって、制御部91の処理の結果等を表示する。
【0046】
<機能構成要素>
図3に示すように、商品管理装置1は、取得部11、分類部12、算出部13、決定部14、受付部15を備える。
【0047】
これら機能構成要素の配置は一例であり、商品管理装置1の備えた機能構成の一部が、顧客端末2、管理者端末3、商品管理装置1と通信可能に構成された1又は複数の装置に配置されても良い。同様に、顧客端末2の備えた機能構成の一部が、商品管理装置1、管理者端末3、顧客端末2と通信可能に構成された1又は複数の装置に配置されても良い。また、管理者端末3の備えた機能構成の一部が、商品管理装置1、顧客端末2、管理者端末3と通信可能に構成された1又は複数の装置に配置されても良い。
【0048】
<データ構成>
図4は、本実施形態における記憶部に格納されたデータ構成の一例である。商品管理装置1の記憶部は、顧客情報、商品情報、購入履歴情報、在庫情報、顧客分類情報、割引範囲情報、目標販売情報、仮想在庫算出重み情報等を格納する。
【0049】
各データの配置は一例であり、商品管理装置1の記憶部に格納されたデータの一部又は全部が、顧客端末2、管理者端末3、商品管理装置1と通信可能に構成された1又は複数の装置に格納されても良い。同様に、顧客端末2の記憶部に格納されたデータの一部又は全部が、商品管理装置1、管理者端末3、顧客端末2と通信可能に構成された1又は複数の装置に格納されても良い。また、管理者端末3の記憶部に格納されたデータの一部又は全部が、商品管理装置1、顧客端末2、管理者端末3と通信可能に構成された1又は複数の装置に格納されても良い。
【0050】
顧客情報は、顧客に関する情報である。顧客情報は、図4(a)のように、顧客の氏名、住所、電話番号等を含み、顧客ごとに顧客IDで管理される。この他にも、顧客情報は、顧客が商品を購入する際の支払方法、その支払方法に関する情報(例えば、クレジットカード番号等の情報)を含んでも良い。
【0051】
商品情報は、商品に関する情報である。商品情報は、図4(b)のように、商品の名前、カテゴリー、価格等を含み、商品IDで管理される。
【0052】
購入履歴情報は、顧客の商品の購入履歴に関する情報である。購入履歴情報は、図4(c)のように、顧客が商品を購入した購入日時、顧客が購入した商品を識別するための商品ID、顧客が商品を購入した購入個数等の顧客の購入履歴を含み、顧客IDで管理される。このようにすることで、それぞれの顧客がいつ、何を、いくつ購入したかを管理することができる。
【0053】
在庫情報は、商品の在庫に関する情報である。在庫情報は、図4(d)のように、商品の在庫数、品質保持期限等を含み、商品IDで管理される。商品が化粧品である場合、品質保持期限は未開封の状態で品質を保持できる期限等が考えられる。また、商品が飲食物である場合、品質保持期限は賞味期限及び/又は消費期限であることが考えられる。
【0054】
顧客分類情報は、顧客を分類するための情報である。顧客分類情報は、図4(e)のように、顧客を分類するための条件である顧客分類条件を含み、分類IDで管理される。顧客は、顧客分類条件によって複数種類の分類の何れかに分類される。顧客分類条件として、顧客がどのくらい商品を購入しているか(合計いくら使用したか)、最終購入日からどれだけ経過しているか等を設定することによって顧客を分類する。
【0055】
例えば、顧客分類条件は、所定期間と、所定期間において顧客を分類するための設定金額を含む。顧客分類条件が所定期間と設定金額を含むことによって、所定期間中に設定金額以上の買い物をした顧客とそうでない顧客を分類することが可能となる。
【0056】
この他にも、顧客分類条件として性別や年齢を設定して顧客を分類しても良い。さらに、顧客を獲得したメディア(どのメディアから顧客が訪問しているか)によって顧客を分類しても良い。
【0057】
図4(e)のように、商品を購入したことがある者を、商品を購入した量(例えば、金額、回数等)で分類しても良い。さらに、図4(e)のように、顧客を分類するために、特定の期間(例えば、過去3ヶ月、2024年1月~2024年4月等)を設定しても良い。管理者は、管理者端末3を介して、顧客分類条件(期間、商品購入金額等)を設定することができる。
【0058】
割引範囲情報は、顧客に対する商品の割引(割引率、割引額等)の範囲に関する情報である。割引範囲情報は、図5(f)のように、顧客に対する商品の割引の範囲である割引範囲を含み、分類IDで管理される。割引範囲は、商品の割引の上限と下限を含み、顧客の分類の数に応じて複数種類存在する。顧客に対する割引は、割引範囲の中で決定される。
【0059】
目標販売情報は、管理者(商品の提供者等)が商品の販売のために設定した目標に関する情報である。目標販売情報は、図5(g)のように、ある商品の販売個数の目標である目標販売個数、その目標販売個数を達成するための期間の目標である販売期間等を含み、商品IDで管理される。管理者は、管理者端末3を介して、目標販売個数と販売期間を設定することができる。
【0060】
仮想在庫算出重み情報は、商品の仮想的な在庫数である仮想在庫数を算出するための情報である。仮想在庫算出重み情報は、図5(h)のように、仮想在庫算出重み条件、商品の仮想的な在庫数である仮想在庫数を算出するための仮想在庫算出重みを含み、仮想在庫算出重みIDで管理される。
【0061】
仮想在庫算出重み条件は、顧客の商品に対する行動に関する履歴である顧客行動履歴に関する条件である。顧客は、仮想在庫算出重み条件によって複数種類の仮想在庫算出重みの何れかに分類される。
【0062】
仮想在庫算出重み条件として、顧客が注文しようとする商品を過去に購入したことがあるか、顧客が注文しようとする商品を過去に3回以上閲覧しているか等の顧客行動履歴に関する条件を設定することによって、それぞれの顧客を分類することができる。
【0063】
<概略イメージ>
図6は、本実施形態における商品管理システムの概略イメージ図である。概略イメージ図を用いて、商品の割引を決定するイメージを説明する。
【0064】
管理者は、管理者端末3を介して、顧客分類条件、割引範囲、目標販売個数、販売期間、仮想在庫算出重み条件、仮想在庫算出重み等を入力し、商品管理装置1に送信する((A)を参照)。商品管理装置1は、管理者端末3を介して受け付けた情報を、記憶部に格納する。
【0065】
商品管理装置1は、管理者端末3を介して受け付けた情報及び/又は記憶部に格納される情報を用いて、顧客の割引を決定する((B)を参照)。
【0066】
商品管理装置1は、顧客端末2に対して、決定した割引に関する情報を送信する((C)を参照)。具体的に、商品管理装置1は、割引を行うためのクーポンのようなものを送信することや、顧客が商品を注文する際に割引を適用した価格を表示すること等が考えられる。
【0067】
顧客は、顧客端末2を介して、商品の注文に関する情報を送信する((D)を参照)。
【0068】
<処理のフローチャート>
図7は、本実施形態における顧客に対する商品の割引を決定する処理のフローチャートである。
【0069】
<顧客の購入履歴情報の取得>
まず、ステップS701において、取得部11は、顧客の購入履歴を取得する。取得部11は、顧客に関するすべての商品の購入履歴を取得する。商品管理装置1が顧客から商品の注文を受け付けるたびにその購入に関する情報を図4(c)のように記憶部に格納することによって、取得部11は、顧客に関するすべての商品の購入履歴を取得することが可能となる。
【0070】
取得部11は、顧客が注文しようとする商品に関する購入履歴を取得しても良い。また、取得部11は、特定の期間における顧客の購入履歴を取得しても良い。
【0071】
<顧客の分類>
ステップS702において、分類部12は、顧客の購入履歴と、顧客分類条件と、に基づいて、顧客を分類する。分類部12は、予め定められた複数の分類に顧客を分類する。顧客分類条件を用いて顧客を分類することによって、お得意様(例えば、商品購入のために一定以上のお金を使用した顧客等)とそうでない者等に顧客を分類することができる。顧客を分類してそれぞれに適した割引を決定することによって、顧客の商品の購買意欲を高めることができる。
【0072】
<商品の在庫数の算出>
ステップS703において、算出部13は、商品の在庫数を算出する。具体的に、算出部13は、顧客から商品の注文を受け付けるたびに、商品の現状の在庫数を算出して記憶部にその在庫数を格納する。
【0073】
この他にも、算出部13は、商品を入荷した場合にその入荷個数を記憶部に格納し、その入荷個数と顧客の購入履歴を用いて商品の在庫数を算出(例えば、入荷個数から購入履歴に基づく顧客の購入個数を引いて算出等)しても良い。
【0074】
<商品の割引の決定>
ステップS704において、決定部14は、購入履歴と、在庫数と、に基づいて、商品の割引を決定する。例えば、決定部14は、お得意様である顧客に対して高い割引(割引率又は割引額)を決定する。
【0075】
また、決定部14は、商品の在庫数が多い場合、その商品の割引(割引率又は割引額)を高くすることを決定する。例えば、決定部14は、商品の在庫数が予め記憶部に格納される閾値以上の場合、その商品の割引を高くすることを決定しても良い。
【0076】
決定部14は、顧客の性別、年齢、に基づいて、割引を決定しても良い。例えば、決定部14は、女性に購入してもらいたい設定がされた商品を女性が購入しようとする場合、男性よりも高い割引を決定する。
【0077】
さらに、決定部14は、顧客の商品の閲覧回数、顧客が商品をカートに入れていたが未購入、メールを開いたか否か、顧客を獲得したメディア等の情報に基づいて、割引を決定しても良い。例えば、決定部14は、顧客の商品の閲覧回数が予め記憶部に格納される閾値以上の場合、その顧客のその商品に対する割引を高くすることを決定しても良い。
【0078】
この他にも、決定部14は、商品の在庫をすべて売り切ることができるか否かを判定し、割引を決定しても良い。決定部14は、商品の在庫をすべて売り切ることができないと判定した場合、割引を決定する。具体的に、決定部14は、商品の在庫数と、商品を販売するための期間と、に基づいて、その期間に在庫数の商品をすべて売り切れるか否かを判定する。
【0079】
決定部14は、予め学習させた学習済みモデルを用いて、割引の値を決定することが考えられる。学習済みモデルは、商品の割引の値と商品が売れた数によって学習したモデルであることが考えられる。学習済みモデルは、更に、顧客の性別、年齢、顧客の商品の閲覧回数、顧客が商品をカートに入れていたが未購入、メールを開いたか否か、顧客を獲得したメディア等の情報を用いて学習されていても良い。
【0080】
決定部14は、顧客分類条件に基づいて顧客を分類した分類結果と、在庫数と、に基づいて、商品の割引を決定しても良い。顧客分類条件に基づいて顧客を分類することによって、複数の顧客に対してそれぞれ詳細な割引を決定することが可能となる。
【0081】
決定部14は、顧客分類条件に基づいて顧客を分類した分類結果に基づいて、顧客に応じた割引範囲を決定し、更に、在庫数に基づいて、決定した割引範囲内で商品の割引を決定しても良い。記憶部が割引範囲を顧客の分類に紐づけて格納することによって、決定部14は、分類結果に基づく顧客に対する割引範囲を決定し、更に、在庫数に応じて割引範囲内の割引を決定することが可能となり、購入実績と在庫状況を用いた割引を決定することができる。
【0082】
<目標販売情報を用いた商品の割引の決定>
受付部15は、商品の目標販売個数と、その目標販売個数を達成するための販売期間と、を受け付ける。管理者が管理者端末3を介して目標販売個数と販売期間を送信することによって、管理者は、特定の期間において販売したい商品の個数を設定することが可能となる。
【0083】
販売期間は、等分割された期間であるスプリットに分割されても良い。販売期間は、等分割された任意の長さの期間であるスプリットとして、任意の数に分割される。受付部15が販売期間を任意の長さのスプリットに分割しても良い。
【0084】
例えば、販売期間が9日間の場合、3日間のスプリットとして3つのスプリットに分割することが考えられる。また、販売期間が12日間の場合、4日間のスプリットとして3つのスプリットに分割する、又は、6日間のスプリットとして2つのスプリットに分割することが考えられる。受付部15は、販売期間をどのくらいの期間のスプリットに分割するか、又は、販売期間をいくつのスプリットに分割するかを受け付けても良い。
【0085】
算出部13は、目標販売個数と、販売期間における購入履歴と、に基づいて、在庫数を算出(例えば、目標販売個数から販売期間における購入履歴に基づく顧客の購入個数を引いて算出等)する。算出部13は、目標販売個数と、スプリットにおける購入履歴と、に基づいて、在庫数を算出しても良い。
【0086】
決定部14は、顧客分類条件に基づいて顧客を分類した分類結果に基づいて、顧客に応じた割引範囲を決定し、更に、スプリットにおける購入履歴と、残りのスプリットの数と、在庫数と、に基づいて、次のスプリットにおける割引を決定しても良い。
【0087】
目標販売個数が300個、販売期間が9日間の場合を例にして、決定部14の割引の決定を説明する。この場合、販売期間が9日間であるため、3日間のスプリットとして3つの期間(スプリットS1~S3)に分割することが考えられる。また、図5(f)の割引範囲を用いて商品の割引の決定を説明する。
【0088】
例えば、スプリットS1においては、それぞれの顧客に対して、割引範囲の下限の割引(5、20、35%)に決定する。スプリットS1における割引は、割引範囲内の割引であれば良い。
【0089】
次に、スプリットS1における購入履歴と、残りのスプリットの数(2つ)と、在庫数と、に基づいて、次のスプリットS2における割引を決定する。例えば、スプリットS1で売れた商品の個数が40個である場合、残りの目標販売個数は260個である。
【0090】
スプリットS1で売れた商品の個数が40個であるため現状のペース(1つのスプリットで40個)で商品が売れる場合、残り2つのスプリットで残りの目標販売個数を売り切るのは不可能である。例えば、残りの目標販売個数260個を残りのスプリットの数である2で割ると130個であるため、1つのスプリットで130個売る必要がある。
【0091】
よって、決定部14は、割引範囲内の割引で割引を高くすることを決定する。例えば、決定部14は、スプリットS2における割引をそれぞれ15、30、45%に決定する。
【0092】
次に、スプリットS2における購入履歴と、残りのスプリットの数(1つ)と、在庫数と、に基づいて、次のスプリットS3における割引を決定する。例えば、スプリットS2で売れた商品の個数が160個である場合、残りの目標販売個数は100個である。
【0093】
スプリットS2で売れた商品の個数が160個であるため現状のペース(1つのスプリットで160個)で商品が売れる場合、残り1つのスプリットの早い段階で残りの目標販売個数を売り切る可能性がある。
【0094】
よって、決定部14は、割引範囲内の割引で割引を低くすることを決定する。例えば、決定部14は、スプリットS3における割引をそれぞれ10、25、40%に決定する。
【0095】
つまり、決定部14は、スプリットにおける購入履歴と、残りのスプリットの数と、在庫数と、に基づいて、販売期間中に目標販売個数をすべて販売することができるか否かを判定し、その判定結果に基づいて、次のスプリットにおける割引を決定する。
【0096】
具体的に、決定部14は、残りのスプリットの数と、在庫数と、に基づいて、1つのスプリットでいくつの商品を販売する必要があるかを算出し、更に、算出した数と最新のスプリットで売れた商品の数を比較し、販売期間中に目標販売個数をすべて販売することができるか否かを判定する。
【0097】
また、決定部14は、それぞれの分類に属する顧客に対して、同一の値の割引を決定する。例えば、上記の例において決定部14は、割引を高くすることを決定した場合、それぞれの分類に属する顧客に対して、割引を10%高くした。また、上記の例において決定部14は、割引を低くすることを決定した場合、それぞれの分類に属する顧客に対して、割引を5%低くした。この他にも、決定部14は、それぞれの分類に属する顧客に対して、異なる値の割引を決定しても良い。
【0098】
決定部14は、スプリットにおける割引の値を、予め定めた定数の増減によって決定することが考えられる。例えば、決定部14は、最新のスプリットで売れた商品の数が1つのスプリットで販売する必要がある商品の数を下回った場合、割引を予め定められた定数(例えば、5%等)高くする。
【0099】
また、決定部14は、最新のスプリットで売れた商品の数が1つのスプリットで販売する必要がある商品の数を上回った場合、割引を予め定められた定数(例えば、5%等)低くする。
【0100】
また、決定部14は、1つのスプリットで販売する必要がある商品の数と最新のスプリットで売れた商品の数の比率を算出し、その比率に応じて割引の値を決定しても良い。
【0101】
この他にも、決定部14は、予め学習させた学習済みモデルを用いて、スプリットにおける割引の値を決定することが考えられる。学習済みモデルは、目標販売個数、販売期間、スプリットの期間の長さ、スプリットの数、スプリットにおける商品の割引の値、商品が売れた数によって学習したモデルであることが考えられる。
【0102】
<仮想在庫数を用いた商品の割引の決定>
実際の在庫数の代わりに、実際の在庫数とは異なる仮想的な在庫数である仮想在庫数を用いて商品の割引を決定しても良い。商品を販売する際、ある特定の顧客(ターゲット顧客)に対して商品を購入して欲しいことがある。一方で、ターゲット顧客以外の割引も併せて決定したい場合もあり、仮想在庫数を用いることによって、ターゲット顧客以外の顧客への割引も併せて行うことができる。
【0103】
例えば、過去に商品を購入したことがある顧客よりも、過去に商品を購入したことがない顧客に商品を購入して欲しいことがある。このような場合、それぞれの顧客が購入した商品の数にそれぞれ異なる重み(例えば、ターゲット顧客に対してそうではない顧客よりも大きな重み等)を乗算することによって、仮想的な在庫数を算出することが考えられる。
【0104】
このような仮想的な在庫数を用いることによって、ターゲット顧客ではない者がたくさん商品を購入している場合、実際の在庫数よりも大きな値の仮想在庫数が算出される。実際の在庫数より大きな値の仮想在庫数が算出されることによって、商品に対してより高い値の割引が決定される。
【0105】
算出部13は、目標販売個数と、販売期間における購入履歴と、仮想在庫算出重みと、に基づいて、仮想在庫数を算出する。算出部13は、販売期間における購入履歴と、仮想在庫算出重み条件に基づいて分類した顧客の仮想在庫算出重みと、に基づいて、仮想的な商品の販売数を算出する。
【0106】
決定部14は、顧客分類条件に基づいて顧客を分類した分類結果と、仮想在庫数と、に基づいて、商品の割引を決定する。
【0107】
例えば、目標販売個数を300個、スプリットの数が3の場合を考える。そして、スプリットS1において、仮想在庫算出重みが1.0の顧客が商品を5個、仮想在庫算出重みが0.7の顧客が10個、仮想在庫算出重みが0.5の顧客が150個、の商品を購入したとする。この場合、仮想的に販売した商品の個数は、5×1.0+10×0.7+150×0.5=87個である。一方で、実際の商品の販売数は、5+10+150=165個である。
【0108】
この時、実際の在庫数を用いる場合は、現状のペースで商品を販売すると残りのスプリットの早い段階で残りの目標販売個数を売り切る可能性があるため、割引を低くすることになる。一方で、仮想在庫数を用いる場合は、現状のペースで商品を販売しても残りのスプリットで残りの目標販売個数を売り切るのは不可能であるため、割引を高くすることになる。
【0109】
さらに、決定部14は、割引を高くすることを決定した場合、ターゲット顧客(仮想在庫算出重みが低い顧客)に対してのみ割引を高くすることを決定しても良い。また、決定部14は、仮想在庫算出重みがより低い顧客に対して、より高い割引を決定しても良い。
【0110】
取得部11は、顧客の行動に関する顧客行動履歴を取得する。分類部12は、顧客行動履歴に基づいて、顧客に応じた仮想在庫算出重みを分類する。
【0111】
顧客行動履歴としては、顧客が過去にその商品を購入したことがあるか否か、顧客がその商品をカートに入れたが未購入か、顧客のその商品の閲覧回数等の顧客の商品に対する行動に関する情報である。過去に商品を注文したことがある顧客はその商品を再び購入する可能性が高く、過去に商品をカートに入れたことがある顧客はその商品を購入する可能性が高く、過去に複数回商品を閲覧したことがある顧客はその商品を購入する可能性が高い。
【0112】
よって、商品を購入する可能性が低い顧客(ターゲット顧客)に対して、その商品を購入して欲しい場合は、商品を購入する可能性が高い顧客(ターゲット顧客でない顧客)に対してより低い仮想在庫算出重みを設定する。このようにすることで、ターゲット顧客でない顧客が商品をたくさん購入した場合、仮想在庫数が多くなるため、商品の割引が高くなる可能性が高くなる。
【0113】
顧客行動履歴を用いて仮想在庫算出重みを決定することによって、商品の閲覧回数等を用いた、より詳細な情報によって顧客に対する仮想在庫算出重みを分類することができる。
【0114】
<購入履歴と在庫数による割引に加えて、すべての顧客に対して同一の割引をする場合>
バーゲン時期等のある特定の期間において、すべての顧客が同一の割引を受けることが可能な場合が存在する。この場合、購入履歴や在庫数に関係なくすべての顧客に対して同一の割引をしたうえで、決定部14は、顧客の購入履歴と商品の在庫数に基づく割引をする。
【0115】
図8は、本実施形態における顧客に対する商品の割引を表示する画面表示例である。図8の(a)と(b)は、それぞれ異なる顧客の商品の割引を表示する画面表示例である。図8の「通常の割引」はすべての顧客が受けることが可能な同一の割引である。一方で、特別な割引(顧客の購入履歴と商品の在庫数に基づく割引)は、それぞれの顧客の購入履歴等に応じて異なる可能性がある。
【0116】
例えば、図8(a)の顧客Xは分類ID:CL2に属しているため、商品に対して通常の割引に加えて特別な割引が適用される。一方で図8(b)の顧客Yは分類ID:CL4に属しているため、通常の割引のみが適用され特別な割引が適用されない。商品の割引のために特別な割引しか存在しない場合、顧客Yは割引を受けることができない。通常の割引が存在することによって、すべての顧客に対して商品の割引を適用することができる。
【0117】
商品の割引を表示する画面では、図8のように、通常の割引と特別な割引をそれぞれ表示しても良い。また、通常の割引と特別な割引の両方を適用した後の割引を適用しても良い。例えば、図8(a)の商品Aでは、30%(それぞれを合計した割引率)又は18%(片方の割引率を適用した後にもう一方の割引率を適用した割引率(100-0.9×0.8×100=18%))を表示しても良い。
【0118】
顧客に商品の購入を促すためには商品に割引が適用される方が良い一方、すべての顧客に対する同一の割引が大きすぎる場合、商品の提供者の利益が大きく減ってしまう。通常の割引と特別な割引の両方を用いることによって、すべての顧客に対して商品の割引を適用してすべての顧客に商品の購入を促しつつ、すべての顧客に対して大きな割引を適用することを防ぐことができる。
【0119】
管理者等は、管理者端末3を介して、すべての顧客が受けることが可能な同一の割引を入力して設定することが考えられる。また、すべての顧客が受けることが可能な同一の割引は、商品ごとに異なっていても良い。
【0120】
割引が割引額の場合、両方の割引額を合計した値が商品の価格から減額される。割引が割引率の場合、両方の割引率を合計した値の割引率で価格を算出することが考えられる。また、片方の割引率を適用した後にもう一方の割引率を適用しても良い。
【0121】
図8(c)は、商品とその商品の割引を表示する表示画面例である。W81の割引が特別な割引(顧客の購入履歴と商品の在庫数に基づく割引)である場合、W82の割引(すべての顧客が受けることが可能な同一の割引)は通常の割引である。また、W81の割引が通常の割引である場合、W82の割引は特別な割引である。割引としては、図8(c)のW81のように、割引率と割引額の両方が表示されても良い。
【0122】
商品管理装置1が機能構成要素として表示処理部を備え、図8(c)のように、商品のイメージと、その商品に対する割引(特別な割引及び/又は通常の割引)と、通常価格(割引が適用される前の価格)と、1つの割引が適用された後の価格と、を表示しても良い。商品に対して2つの割引が適用される場合、表示処理部は、1つの割引が適用された後の価格を表示し、もう片方の割引を割引額又は割引率で表示しても良い。
【0123】
また、表示処理部は、特別な割引、通常の割引、通常価格、1つの割引が適用された後の価格、を異なる大きさ及び/又は異なる色で表示しても良い。表示処理部は、顧客に強調したいものを大きな表示及び/又は目に留まり色(例えば、赤等)で表示することが考えられる。例えば、顧客の購入を促すために、特別な割引、通常の割引、1つの割引が適用された後の価格、を強調して表示することが考えられる。
【0124】
以上のように、本発明の構成によれば、顧客の購入実績と商品の在庫状況に基づいて、商品の適切な割引を決定するための新たな技術を提供することができる。
【符号の説明】
【0125】
0 商品管理システム
1 商品管理装置
11 取得部
12 分類部
13 算出部
14 決定部
15 受付部
2 顧客端末
3 管理者端末
NW ネットワーク
【要約】
【課題】
商品の適切な割引を決定するための新たな技術を提供すること。
【解決手段】
商品の割引を管理する商品管理システムであって、前記商品管理システムは、取得部、算出部、決定部、を備え、前記取得部は、顧客の購入履歴を取得し、前記算出部は、前記商品の在庫数を算出し、前記決定部は、前記購入履歴と、前記在庫数と、に基づいて、前記商品の割引を決定する。このような構成にすることで、顧客の購入履歴(購入実績等)と商品の在庫数(在庫状況等)に基づいて、商品の割引(割引額、割引率等)を決定することが可能となり、顧客の購入履歴と商品の需要に応じた適切な割引を決定することができる。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8