(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】毛髪切断装置の動作パラメータの決定
(51)【国際特許分類】
B26B 19/38 20060101AFI20240927BHJP
B26B 19/28 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
B26B19/38 Z
B26B19/28 Z
(21)【出願番号】P 2023545742
(86)(22)【出願日】2022-01-12
(86)【国際出願番号】 EP2022050508
(87)【国際公開番号】W WO2022171374
(87)【国際公開日】2022-08-18
【審査請求日】2023-07-27
(32)【優先日】2021-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(74)【代理人】
【識別番号】100145654
【氏名又は名称】矢ヶ部 喜行
(72)【発明者】
【氏名】パレロ ヨナサン アラムブラ
(72)【発明者】
【氏名】ダモダラン マシファナン
(72)【発明者】
【氏名】ブールキン ヤニーク パルリアン ユリアン
(72)【発明者】
【氏名】ファルヘース バブ
(72)【発明者】
【氏名】ビショップ オエディリウス ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】ワーン ルー
(72)【発明者】
【氏名】ウェステロフ ウィレム アウケ
(72)【発明者】
【氏名】タミンハ ステファヌス ヤコブ ヘラルドス
【審査官】山村 和人
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第03528091(EP,A1)
【文献】特開2019-171051(JP,A)
【文献】特表2019-500959(JP,A)
【文献】国際公開第2020/182698(WO,A1)
【文献】特表2017-514580(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03513923(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26B 19/00 - 19/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
対象の毛髪を切断する切断要素を持つ毛髪切断装置と、
前記対象の身体部分に対する前記切断要素の位置を示す位置データを取得するローカライゼーションユニットと、
前記毛髪切断装置の使用に関連付けられる時間データを計測するタイマーユニットと、
前記毛髪切断装置、前記ローカライゼーションユニット及び前記タイマーユニットと通信可能な処理ユニットとを有し、前記処理ユニットが、
前記取得した位置データに基づき、前記切断要素の位置に対応する前記対象の身体部分領域を決定し、
前記時間データと前記決定された身体部分領域とに基づき、前記決定された身体部分領域内で前記切断要素により費やされた時間量を決定し、
前記決定された時間量に基づき、前記切断要素が前記決定された身体部分領域内にあるときに前記毛髪切断装置に適用される動作パラメータを決定し、及び、
前記決定された動作パラメータに基づき、前記毛髪切断装置を動作させる、
システム。
【請求項2】
前記位置データ、前記時間データ、及び前記決定された動作パラメータを記憶する記憶ユニットを更に有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記処理ユニットが、
前記時間データと前記決定された身体部分領域とに基づき、前記決定された身体部分領域内で前記切断要素により費やされた時間量を決定し、
前記決定された時間量と前記決定された身体部分領域に対応する基準持続時間とに基づき、前記決定された身体部分領域における毛髪切断性能を示す性能スコアを算出し、及び
前記性能スコアに基づき、前記切断要素が前記決定された身体部分領域内にあるとき前記毛髪切断装置に適用される動作パラメータを決定する、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記毛髪切断装置が、使用中の前記毛髪切断装置の加速度を示す加速度データを測定する加速度計を有し、
前記処理ユニットは、
前記加速度データ及び前記取得した位置データに基づき、前記決定された身体部分領域内の前記対象の皮膚にわたり前記毛髪切断装置で行われたパスの回数を決定し、及び
前記皮膚にわたり行われたパスの回数に基づき、前記切断要素が前記決定された身体部分領域内にあるとき前記毛髪切断装置に適用される動作パラメータを決定する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記毛髪切断装置が、使用中の前記毛髪切断装置の加速度を示す加速度データを測定する加速度計を有し、
前記処理ユニットは、
前記加速度データに基づき、前記決定された身体部分領域内の前記対象の皮膚にわたる前記毛髪切断装置の平均運動速度を決定し、及び
前記平均運動速度に基づき、前記切断要素が前記決定された身体部分領域内にあるとき前記毛髪切断装置に適用される動作パラメータを決定する、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記記憶ユニットが、前記対象により行われた複数の毛髪切断活動にわたって取得された前記毛髪切断装置の位置データ及び時間データを記憶し、
前記処理ユニットは、前記複数の毛髪切断活動にわたる前記記憶されたデータに基づき、最適な動作パラメータを決定する、請求項2に記載のシステム。
【請求項7】
前記毛髪切断装置に適用される動作パラメータが、前記対象の皮膚に対する前記切断要素の刃の位置、前記切断要素のスピンドルに加えられる主軸力、及び切断要素の刃の回転速度、を含むグループから選択される動作パラメータを有する、請求項1乃至6のいずれかに記載の
システム。
【請求項8】
毛髪切断装置の動作パラメータを決定するコンピュータ実現方法において、
前記毛髪切断装置を用いて毛髪が切断される対象の身体部分に対する前記毛髪切断装置の切断要素の位置を示す位置データを取得するステップと、
前記毛髪切断装置の使用に関連付けられる時間データを取得するステップと、
前記取得した位置データに基づき、前記切断要素の位置に対応する前記対象の身体部分領域を決定し、前記時間データと前記決定された身体部分領域とに基づき、前記決定された身体部分領域内で前記切断要素により費やされた時間量を決定し、
前記決定された時間量に基づき、前記切断要素が前記決定された身体部分領域内にあるときに前記毛髪切断装置に適用される動作パラメータを決定するステップとを有する、
コンピュータ実現方法。
【請求項9】
前記決定された動作パラメータを前記毛髪切断装置に適用するステップを更に有する、請求項8に記載のコンピュータ実現方法。
【請求項10】
前記動作パラメータを決定するステップが、前記対象の毛髪がより速く切断されるよう、前記毛髪切断装置に適用される動作パラメータを決定するステップを有する、請求項8又は9に記載のコンピュータ実現方法。
【請求項11】
適切なコンピュータ又はプロセッサによる実行時に、前記コンピュータ又はプロセッサに請求項8乃至10のいずれかに記載の方法を実行させるコンピュータプログラム。
【請求項12】
毛髪切断装置であって、
対象の髪を切断する切断要素と、
前記対象の身体部分に対する前記切断要素の位置を示す位置データを取得するローカライゼーションモジュールと、
前記毛髪切断装置の使用に関連付けられる時間データを計測するタイマーモジュールと、
プロセッサとを有し、前記プロセッサが、
前記位置データに基づき、前記切断要素の位置に対応する前記対象の身体部分領域を決定し、
前記時間データと前記決定された身体部分領域とに基づき、前記決定された身体部分領域内で前記切断要素により費やされた時間量を決定し、
前記決定された時間量に基づき、前記切断要素が前記決定された身体部分領域内にあるとき前記毛髪切断装置に適用される動作パラメータを決定し、及び
前記決定された動作パラメータに基づき、前記毛髪切断装置を動作させる、毛髪切断装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪切断装置に関し、特に、毛髪切断装置に適用される動作パラメータの決定に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルケア装置は、髭剃り、髪のカット又はトリミングなどのパーソナルケア活動を行うために使用されることができる。パーソナルケア活動の結果を変えるために、使用されるパーソナルケア装置の動作パラメータが調整されることができる。例えば、ヘアトリマーの場合、毛が切断される位置を変え、切断される毛の長さを制御するため、刃ガードが調整されることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
髭剃りなどの一部のパーソナルケア活動を行うとき、ユーザの身体(例えば対象の皮膚)の特定の領域を処理するのにあまりに長い時間を費やすことは、例えば痛み又は炎症を引き起こすなど、ユーザに悪影響を及ぼす場合がある。
【0004】
パーソナルケア装置のユーザは、パーソナルケア活動を行う際に、身体の特定の領域に長時間費やしていることに気づかない場合があり、これは、パーソナルケア活動終了後に刺激又は痛みをもたらす可能性がある。更に、ユーザは、パーソナルケア装置の動作が、引き起こされる痛み又は刺激を軽減するように調整されることができる態様で、パーソナルケア装置の設定及び動作パラメータを調整することが困難であると感じる場合がある。
【0005】
従って、上記の問題の1つ又は複数を軽減するために、パーソナルケア装置の動作パラメータになされるべき調整を決定することができるシステムを持つことは有益である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
毛髪切断活動などのパーソナルケア活動を行うために毛髪切断装置(例えば、ヘッドトリマー又はシェービング装置)を使用する場合、毛髪切断装置を使用した結果、ユーザが痛み又は不快感を経験すると、ユーザ体験が悪化する場合がある。斯かる痛み又は不快感は、例えば、顔の皮膚の同じ領域の周りでシェービング装置を動かすなど、ユーザが身体の皮膚の同じ領域で毛髪切断装置を使用することから生じる場合がある。本開示の発明者らは、特定の領域内で装置が使用される時間量を測定することにより、その領域における毛髪切断活動がより迅速に行われることができるように、装置の1つ又は複数の動作パラメータを調整することが可能であると認識した。これにより、その領域の処理に費やす時間が短縮され、ユーザが痛み又は不快感を経験する可能性が低減される。
【0007】
第1の具体的な態様によれば、システムが提供され、これは、対象の髪を切断するための切断要素を持つ毛髪切断装置と、対象の身体部分に対する切断要素の位置を示す位置データを取得するためのローカライゼーションユニットと、上記毛髪切断装置の使用に関連付けられる時間データを計測するタイマーユニットと、上記毛髪切断装置、上記ローカライゼーションユニット及び上記タイマーユニットと通信する処理ユニットとを有し、上記処理ユニットが、上記位置データ及び上記時間データに基づき、上記毛髪切断装置に適用される動作パラメータを決定するよう構成される。
【0008】
いくつかの実施形態において、システムは、位置データ、時間データ、及び決定された動作パラメータを記憶するための記憶ユニットを更に含んでもよい。
【0009】
処理ユニットは、決定された動作パラメータに基づき、毛髪切断装置を動作させるように更に構成されてもよい。
【0010】
処理ユニットは、いくつかの実施形態において、取得された位置データに基づき、切断要素の位置に対応する対象の身体部分の領域を決定するよう構成され得る。
【0011】
いくつかの実施形態において、処理ユニットは、時間データ及び決定された身体部分領域に基づき、決定された身体部分領域内で切断要素により費やされた時間の量を決定し、決定された時間量に基づき、切断要素が決定された身体部分領域内にあるときに毛髪切断装置に適用される動作パラメータを決定するよう構成される。
【0012】
処理ユニットは、時間データ及び決定された身体部分領域に基づき、決定された身体部分領域内で切断要素により費やされた時間の量を決定し、上記決定された時間量と上記決定された身体部分領域に対応する基準持続時間とに基づき、上記決定された身体部分領域における毛髪切断性能を示す性能スコアを算出し、及び上記性能スコアに基づき、上記切断要素が上記決定された身体部分領域内にあるとき上記毛髪切断装置に適用される動作パラメータを決定する。
【0013】
いくつかの実施形態において、毛髪切断装置は、使用中の毛髪切断装置の加速度を示す加速度データを測定するよう構成された加速度計を含むことができる。
【0014】
斯かる実施形態において、処理ユニットは、加速度データ及び取得された位置データに基づき、決定された身体部分領域内の対象の皮膚上で毛髪切断装置により行われるパス(pass)の数を決定し、及び上記皮膚にわたり行われたパスの回数に基づき、上記切断要素が上記決定された身体部分領域内にあるとき上記毛髪切断装置に適用される動作パラメータを決定する。
【0015】
毛髪切断装置は、いくつかの実施形態において、使用中の毛髪切断装置の加速度を示す加速度データを測定するよう構成された加速度計を含むことができる。
【0016】
斯かる実施形態において、処理ユニットは、加速度データに基づき、決定された身体部分領域内の対象の皮膚上での毛髪切断装置の平均運動速度を決定し、及び上記平均運動速度に基づき、上記切断要素が上記決定された身体部分領域内にあるとき上記毛髪切断装置に適用される動作パラメータを決定する。
【0017】
記憶ユニットは、対象が行う複数の毛髪切断活動にわたって取得された毛髪切断装置の位置データ及び時間データを記憶するよう構成され、上記処理ユニットは、上記複数の毛髪切断活動にわたる記憶されたデータに基づき、最適な動作パラメータを決定するよう構成される。
【0018】
いくつかの実施形態において、毛髪切断装置に適用される動作パラメータは、上記対象の皮膚に対する上記切断要素の刃の位置、上記切断要素のスピンドルに加わる主軸力、及び切断要素の刃の回転速度、のグループから選択される動作パラメータを有することができる。
【0019】
第2の特定の態様によれば、毛髪切断装置の動作パラメータを決定するコンピュータ実現方法が提供され、この方法は、上記毛髪切断装置を用いて毛髪が切断される対象の身体部分に対する上記毛髪切断装置の切断要素の位置を示す位置データを取得するステップと、上記毛髪切断装置の使用に関連付けられる時間データを取得するステップと、上記位置データ及び上記時間データに基づき、上記毛髪切断装置に適用される動作パラメータを決定するステップとを有する。
【0020】
いくつかの実施形態において、本方法は、決定された動作パラメータを毛髪切断装置に適用するステップを更に含むことができる。動作パラメータを決定するステップは、いくつかの実施形態において、対象の髪がより速く切断されるように、毛髪切断装置に適用される動作パラメータを決定するステップを含んでよい。
【0021】
第3の特定の態様によれば、非一過性のコンピュータ可読媒体を含むコンピュータプログラム製品が提供され、コンピュータ可読媒体は、その中に具現化されたコンピュータ可読コードを持ち、コンピュータ可読コードは、適切なコンピュータ又はプロセッサにより実行されると、コンピュータ又はプロセッサに、本書に開示した方法のステップを実行させるよう構成される。
【0022】
第4の特定の態様によれば、毛髪切断装置が提供され、これは、対象の毛髪を切断するための切断要素と、対象の身体部分に対する切断要素の位置を示す位置データを取得するためのローカライゼーションモジュールと、上記毛髪切断装置の使用に関連付けられる時間データを計測するタイマーモジュールと、上記位置データ及び上記時間データに基づき、上記毛髪切断装置に適用される動作パラメータを決定するよう構成されたプロセッサとを有する。
【0023】
これら及び他の側面が、以下に記載される実施形態から明らかとなり、実施形態を参照して説明されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】種々の実施形態によるシステムの一例の概略図である。
【
図2】対象の顔面に示される種々の領域の例を示す説明図である。
【
図3】毛髪切断装置の動作パラメータを決定する方法のフローチャートである。
【
図5】プロセッサと通信するコンピュータ可読媒体の一例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、例示的な実施形態が、例示に過ぎない以下の図面を参照して説明される。
【0026】
本書で開示される実施形態は、対象に対する装置の位置及び対象の特定の領域を処理するために装置が使用される時間量の測定に基づき、毛髪切断装置の動作パラメータになされるべき調整が自動的に決定され得るメカニズムを提供する。装置が比較的長い時間使用される領域を特定することにより、その領域でより短い時間で毛髪が切断されることができるように、装置の1つ又は複数の設定又は動作パラメータを調整することが可能である。
【0027】
本発明の一態様は、システムに関する。
図1は、システム100の一例の概略図である。システム100は例えば、毛髪切断装置の動作パラメータを決定するためのシステムと称されることがある。システム100は、毛髪切断装置102と、ローカライゼーションユニット104と、タイマーユニット106と、処理ユニット108とを有する。システムの要素は、有線又は無線(例えば、WiFi、Bluetooth(登録商標))接続を介して互いに通信することができる。毛髪切断装置102は、対象から毛髪を切断及び/又は除去することができる装置など、任意の装置(例えば、パーソナルケア装置)を有することができる。例えば、毛髪切断装置102は、ヘアトリマー、クリッパー、又はシェービング装置等を有することができる。毛髪切断装置102は、対象の毛髪を切断する切断要素を持つ。切断要素は、切断される毛髪に対して移動可能な1つ又は複数の刃を含み、その結果、1つ又は複数の刃が毛髪に係合するとき、毛髪が係合点で切断される。典型的には、斯かる毛髪切断装置は、切断要素が恒久的若しくは取り外し可能に取り付けられる本体を含むことができ、又は切断要素が本体と一体的に形成されることができる。本体は例えば、電源(例えば電池)及び切断要素の駆動機構を含む毛髪切断装置102の様々な要素を収容し得る。例示的な毛髪切断装置102の特徴が、
図4を参照しながら以下に説明される。
【0028】
システム100のローカライゼーションユニット104は、対象の身体部分に対する切断要素の位置を示す位置データを取得するためのものである。いくつかの例では、ローカライゼーションユニット104は、毛髪切断装置102の画像データをキャプチャするよう構成された、カメラなどの撮像装置を有することができ、そこから、対象の身体部分に対する切断要素の位置が決定されることができる。例えば、斯かる撮像装置は、毛髪切断活動(例えばシェービング)中に、毛髪切断装置102及び毛髪切断装置を使用する対象の身体部分(例えば頭部又は顔)の画像をキャプチャするために使用され得る。撮像装置は、カメラのような独立した装置であってもよいし、又はラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、スマートフォン、若しくはインタラクティブミラー(スマートミラーと呼ばれることもある)などの別の装置の一部を形成するものであってもよい。
【0029】
パーソナルケア装置の、対象に対する位置、又は対象の身体部分に対する位置を決定する技術が知られる。いくつかの例では、パーソナルケア装置(例えば、毛髪切断装置102)を用いて対象の身体のどの部分が処理されるかを、キャプチャされた画像データから決定するために、既知の検出技術が使用され得る。例えば、毛髪切断装置102が対象の頭又は顔の毛髪を切断するために使用される場合、顔特徴認識技術を使用して対象の顔の特徴を特定し、そこから切断要素の相対位置に関する決定が行われることができる。
【0030】
いくつかの場合では、例えば、対象のプライバシーを確保するために、パーソナルケア活動を行う対象に関する画像データがキャプチャされないことが意図されることもできる。従って、他の例では、ローカライゼーションユニット104は、画像キャプチャ装置以外の要素を有してもよい。例えば、ローカライゼーションユニット104は、対象上又は対象の身体部分上に位置する1つ又は複数のセンサに対する毛髪切断装置における1つ又は複数のセンサの位置を決定することにより、対象の身体部分に対する毛髪切断装置102の切断要素の位置を決定し得る。一例では、対象は、1つ又は複数のセンサを頭部に(例えば、シェービング活動中にユーザが着用するヘッドバンドに)配置することができ、これらのセンサは、毛髪切断装置102に配置された1つ又は複数のセンサと相互作用することができ、その結果、毛髪切断装置の相対的な位置、及び毛髪切断装置の向きが、使用中に決定されることができる。
【0031】
他の例では、ユーザの身体部分に対する切断要素の位置を決定するために、他の技術が使用されることができる。例えば、皮膚及び/又は毛髪のパラメータが使用中に測定され、毛髪切断装置102の相対位置を決定するために使用されることができる。追加的又は代替的に、本書で議論されていない他の位置決定技術が使用されることができる。
【0032】
タイマーユニット106は、毛髪切断装置102の使用に関連付けられる時間データを計測するように構成される。タイマーユニット106は例えば、毛髪切断活動中に毛髪切断装置102が動作される時間量を測定してもよく、特に、毛髪切断装置102が対象の身体部分に対して様々な位置又は場所に位置する時間量を測定してもよい。いくつかの例では、
図2を参照して以下でより詳細に説明するように、タイマーユニット106は、毛髪切断装置102が対象の特定の領域又はゾーン(例えば、「左頬上部」、「右頬上部」、「顎」、「左側首」等、対象の頭部又は顔の規定された領域)において動作される時間の量を測定することができる。領域又はゾーンは、任意の所望のレベルの粒度又は解像度で規定されることができ、顔の小さな特定の規定された領域、又は「頭皮」、「顔」、「背中」、「脚」等の対象の身体の大きなより一般的な規定領域を含むことができる。
【0033】
処理ユニット108は、毛髪切断装置102、ローカライゼーションユニット104及びタイマーユニット106と通信可能である。処理ユニット108は、システム100の要素の1つ又は複数と動作可能に通信することができ、その結果、それは、毛髪切断装置102、ローカライゼーションユニット104及び/又はタイマーユニット106を制御することができ、いくつかの実施形態において、処理ユニットは、1つ又は複数の要素からデータを受信し、データに関して処理タスクを実行し、処理タスクから得られたデータに基づき、1つ又は複数の要素を動作させるよう構成され得る。
【0034】
本書に開示される実施形態によれば、処理ユニット108は、位置データ及び時間データに基づき、毛髪切断装置102に適用される動作パラメータを決定するよう構成される。一般に、毛髪切断装置102が特定の場所(例えば、規定された領域内)で使用される時間量に基づき、処理ユニット108は、毛髪切断装置が特定の場所で使用される時間量を減らすために、変更又は調整され得る1つ又は複数の動作パラメータを決定しつつ、毛髪切断活動から同じ結果を得る。一例では、対象が顔及び首の毛髪を剃るためにシェービング装置を使用していると決定される場合がある。対象が頬よりも首を剃るのに顕著に多くの時間を費やすと決定される場合があり、これは、首領域の痛み又は刺激をもたらす可能性がある。増加した時間量の理由は、体の異なる領域において毛の成長に差があることによる。例えば、首の毛は頬の毛よりも太いため、一般的にカットに時間がかかる。従って、処理ユニット108は、この例では、シェービング装置の刃の回転速度を上げると、首の領域の毛髪をより速くカットするのに役立つと決定することができ、これは、対象が、その領域を処理するのにより少ない時間を費やすことを意味し、これにより、痛み又は炎症が発生するリスクが減らされる。いくつかの実施形態では、処理ユニット108により決定された動作パラメータは、特定の場所で毛髪切断装置102により費やされる時間を考慮した最適化された動作パラメータ、又は改善された若しくは更には最適な毛髪切断性能を提供することを意図した動作パラメータであると考えられることができる。処理ユニット108は、いくつかの実施形態において、シェービング装置が首の領域に位置していると決定されるとき(即ち、対象が首を剃るのにシェービング装置を使用しているとき)、シェービング装置に調整を適用することができる。
【0035】
いくつかの実施形態において、システム100は、データを記憶するためのメモリなどの記憶ユニット110を更に含んでもよい。記憶ユニット110は、位置データ、時間データ、及び決定された動作パラメータを記憶するために使用され得る。記憶ユニット110はまた、処理ユニット108及び/又はシステム100の他の要素と通信し、及びこれらによりアクセス可能である。以下でより詳細に説明するように、記憶ユニット110に記憶されたデータは、処理ユニット108によりアクセスされ、他の目的のために使用され得る。
【0036】
処理ユニット108により動作パラメータが決定されると、処理ユニットは、いくつかの実施形態において、決定された動作パラメータに基づき毛髪切断装置102を動作させることができる。こうして、特定の領域における毛髪切断レートを向上させるために、動作パラメータが調整されることが処理ユニット108により決定される場合、処理ユニットは、動作信号又は指示信号を毛髪切断装置102に送信して、動作パラメータが適切な態様で調整されることがもたらされる。
【0037】
ローカライゼーションユニット104を用いて取得された位置データは、異なる空間解像度又はスケールの範囲までの毛髪切断装置102の切断要素の位置を示すデータを含んでよい。いくつかの実施形態では、ローカライゼーションユニット104は、ミリメートル-スケール又は更に小さいスケールで位置データを取得するよう構成され得る。斯かる例では、位置データは、小さな(例えば、正方形のミリメートルサイズの)単位又はピクセルに分割された対象の身体部分の画像又は対象の身体部分のモデル上にマッピングされ得、その結果、毛髪切断装置102の切断要素の位置が、画像又はモデルを参照して正確に規定されることができる。毛髪切断装置102の切断要素は、その位置を規定するために使用され得る単位(例えば、ミリメートルスケールの単位)よりも大きくなる点を理解されたい。従って、切断要素の位置は、切断要素の単一の基準点(例えば、切断要素の中心)の位置の観点から規定されることができる。代替的に、切断要素の境界又は周囲が既知であってよく、切断要素の位置は、切断要素がカバーする画像又はモデルのピクセル又は単位(即ち、切断要素がカバーする対象の身体の領域に対応する)の観点から規定されることができる。他の例では、切断要素の位置を規定するために、より大きな単位が使用されることができ、これにより、より低い解像度への対応が行われる。
【0038】
いくつかの実施形態では、毛髪切断装置102の切断要素の位置は、対象の身体部分の1つ又は複数の規定された領域を参照して規定されることができる。例えば、対象の顔が複数の規定された領域に分割され、規定された領域を参照して切断要素の位置(例えば、シェービング装置の1又は複数の刃の中心点などの基準点)が規定されることができる。
図2は、対象の顔の画像200上に示された複数の規定された領域の説明例である。この例では、対象の顔に13個の規定された領域202a~202mが示されるが、場所、体の部分などの意図する解像度に基づき、より多くの又はより少ない領域が規定されてもよいことを理解されたい。
図2において、例えば、領域202bは対象の右上頬に対応し、領域202iは対象の上唇の上の領域に対応し、領域202kは対象の顎の左側に対応し、領域202lが対象の首の右側に対応する。
図2で規定される他の領域は、対象の他の部分に対応する。この例では、ローカライゼーションユニット104から、切断要素の基準点が領域202b内にあると決定される場合、処理ユニット108は、決定された場所を「右上頬」と分類してもよい。こうして、処理ユニット108は、取得した位置データに基づき、切断要素の位置に対応する対象の身体部分の領域(例えば、規定された領域202)を決定するよう構成され得る。
【0039】
タイマーユニット106は、各規定された領域内で毛髪切断装置102が動作される時間量を計測することができる。従って、対象が毛髪切断装置102の切断要素を領域202b内に配置した状態でシェービングを開始する場合、タイマーユニット106は、切断要素がその領域内で費やす持続時間を記録することができる。対象が新しい場所に毛髪切断装置102を移動させ、その結果切断要素が領域202f内に位置すると決定される場合、タイマーユニットは、切断要素がその領域内で費やす時間を示す新しい持続時間を記録し始める。特定の毛髪切断活動中に対象の身体部分(例えば顔)の各領域を処理するのに費やされた総時間を計算するために、各規定された領域について記録された持続時間が組み合わせられる(例えば、一緒に足される)ことができる。従って、処理ユニット108は、時間データ及び決定された身体部分領域(例えば、領域202)に基づき、決定された身体部分領域内で切断要素が費やした時間の量を決定するよう構成され得る。
【0040】
いくつかの実施形態では、処理ユニット108は、決定された時間量(即ち、決定された身体部分領域内で切断要素が費やした決定された時間量)に基づき、切断要素が決定された身体部分領域内にあるときに毛髪切断装置102に適用される動作パラメータを決定するよう更に構成される。いくつかの例では、処理ユニット108は、切断要素が特定の身体部分領域内にあると決定されるとき、その切断装置102に特定の動作パラメータを適用するよう構成され得る。例えば、処理ユニット108は、ルックアップテーブル又はデータベースを参照して、特定の動作パラメータが適用又は調整される場合(例えば、刃の回転速度が上げられる場合)、特定の身体部分領域内の髪がより効果的に(例えば、より速く)切断されることができると決定することができる。斯かる参照資料(例えばルックアップテーブル又はデータベース)は、記憶ユニット110に格納されることができ、又は何らかの他の手段により(例えばクラウドストレージへのアクセスを介して)アクセス可能とすることができる。
【0041】
従って、身体部分領域のセットにおける各領域は、毛髪切断装置102の切断要素が特定の領域内にあると決定されるときに適用されることができる1つ又は複数の対応する動作パラメータを持つことができる。動作パラメータが身体部分領域の所与のセットに対して予め規定されていない例では、処理ユニット108は、対象による毛髪切断装置102の使用に基づき動作パラメータを修正する方法を「学習」し得る。毛髪切断装置102のユーザ(例えば対象)が毛髪切断活動(例えばシェービング)を行っている間、位置データ及び対応する時間データは、ローカライゼーションユニット104及びタイマ106によりそれぞれ取得されることができる。データは、(例えば記憶ユニット110内の)メモリに格納され、(例えばプロセッサ108により)分析されて、切断要素が対象の身体部分の各規定された領域(例えば
図2の領域202)に費やした時間の量を決定することができる。対象がある領域(例えば、対象の首に対応する領域202l及び202m)において比較的長い時間を費やして髪を切っていたと決定される場合、例えば、刃の回転速度が上がることをもたらすよう、動作パラメータ又は動作パラメータ調整がそれらの領域に配分される又は割り当てられることができる。その結果、それらの領域の毛髪がより速く切断される。動作パラメータが決定され又は動作パラメータへの調整が決定されると、関連する1つ又は複数の身体部分領域との関連付けが(例えば、記憶ユニット110に)格納されてもよい。その結果、将来の毛髪切断活動中に、切断要素がその身体部分領域内にあると決定されるとき、適切な動作パラメータが記憶ユニットから取得され、毛髪切断装置102に適用されることができる。
【0042】
いくつかの例では、特定の薬剤のための記憶された動作パラメータが、個人化の要素を提供するために、毛髪切断活動中に取得された新規かつ更新されたデータに基づき自動的に更新されるか、又は、例えば対象若しくは毛髪切断装置の他のユーザにより手動で更新され得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、動作パラメータの決定を更に適切に行うために、取得されたデータ(例えば、位置データ及び時間データ)の更なる処理が実行されることができる。上述したように、処理ユニット108は、時間データ及び決定された身体部分領域に基づき、決定された身体部分領域内で切断要素により費やされた時間の量を決定し得る。処理ユニット108は、決定された時間量と、決定された身体部分領域に対応する基準持続時間とに基づき、決定された身体部分領域内の毛髪切断性能を示す性能スコアを算出するように更に構成され得る。特定の身体部分領域に対する基準持続時間は、その身体部分領域の処理(例えば、髪を切ること)に費やされるべき「理想的」又は「最適」な持続時間を表すことができる。いくつかの例では、基準持続時間は、対応する領域で毛髪切断装置の他のユーザによって費やされる平均持続時間を計算することにより決定されることができる。例えば、規定された身体部分領域のそれぞれを処理するのに費やされた平均時間を算出するのに、ユーザの集団から取得したデータが用いられることができ、各身体部分領域の平均持続時間が基準持続時間として使用されることができる。性能スコアは、特定の身体部分領域について測定された持続時間とその身体領域についての基準持続時間との比較に基づき算出され得る。
【0044】
性能スコアは、いくつかの実施形態において、決定された時間量が基準持続時間にどれだけ近いかに基づき計算され得る。特定の身体部分領域内で切断要素が費やす時間の量が基準持続時間に比較的近い場合、より高い性能スコアが与えられることができる。いくつかの例では、性能スコアは、ポイントシステム(例えば3ポイントシステム)に基づかれることができ、これにより、決定された時間量が基準持続時間の第1の規定されたマージン(例えば±2秒)内にある場合最大スコア(例えば3ポイント)が付与され、決定された時間量が、第1の規定されたマージンから外れるが、基準持続時間の第2の規定されたマージン(例えば±4秒)内にある場合、中間スコア(例えば2ポイント)が与えられ、決定された時間量が、第2の規定されたマージンから外れるが、基準持続時間の第3の規定されたマージン(例えば±6秒)内にある場合、より低いスコア(例えば1ポイント)が与えられる。性能スコアを計算する他の方法が代替的に使用されることもできる。基準持続時間に対する性能スコアを計算することで、測定された持続時間のより有意義な理解が達成されることができる。なぜなら、絶対的な持続時間ではなく、相対的な持続時間が使用されるからである。従って、基準持続時間は、ベースライン値若しくは持続時間又は正常化値若しくは持続時間と称されることがある。
【0045】
性能スコアが計算される例では、処理ユニット108は、性能スコアに基づき、切断要素が決定された身体部分領域内にあるときに毛髪切断装置102に適用される動作パラメータを決定するように更に構成されることができる。例えば、特定の身体部分領域に関する性能スコアが第1の閾値を超える場合、第1の動作パラメータが毛髪切断装置102に適用されることができ、一方、その身体部分領域に関する性能スコアが第2の閾値以下である場合、第2の動作パラメータが毛髪切断装置に適用され得る。いくつかの実施形態では、特定の身体部分領域について達成された性能スコアに基づき、異なる動作パラメータが適用され得る。より一般的には、毛髪切断装置102に適用される動作パラメータは、毛髪切断装置が特定の身体部分領域内で費やす時間の量の関数として変化し得る。
【0046】
更なる発展において、性能スコアは、いくつかの実施形態において、身体部分領域の面積に基づき算出され得る。これは、対象が比較的大きな身体部分領域の処理(例えばシェービング)に費やす時間は、比較的小さな身体部位の処理に費やす時間よりも長いという予想を考慮したものである。こうして、規定された身体部分領域(例えば、
図2の領域202)は、同じ大きさである必要はない。なぜなら、計算された性能スコアは面積の違いを考慮するからである。
【0047】
他の実施形態では、毛髪切断装置102に適用される動作パラメータは、切断要素が特定の身体部分領域内で費やす時間だけでなく、更に身体部分領域内で切断要素により行われるパスの数に基づき決定され得る。この情報を考慮することは、動作パラメータへのより適切な調整をもたらすことができる。なぜなら、特定の身体部分領域における対象の皮膚上で切断要素が迅速かつ繰り返し動かされることができ、その結果、その身体部分領域で切断要素により費やされる時間量は比較的小さいかもしれないが、対象の皮膚のための切断要素の背景の反復される動きは、刺激及び不快感をもたらす場合があるからである。
【0048】
いくつかの実施形態では、ローカライゼーションユニット104は、特定の身体部分領域内で毛髪切断装置により行われたパスの数を測定するために使用され得る。例えば、ローカライゼーションユニット104が撮像装置を有する実施形態では、取得された画像データは、毛髪切断装置102の切断要素により行われるパスの数を測定するために使用され得る。しかしながら、他の実施形態では、パス数を決定するのに追加の要素が使用されることができる。いくつかの実施形態では、毛髪切断装置102は、使用中の毛髪切断装置の加速度を示す加速度データを測定するよう構成された加速度計を含んでよい。加速度計は、慣性計測ユニット(IMU)の一部を形成することができ、これは、ジャイロスコープ及び/又は磁力計などの他の要素を含むことができる。加速度データは、使用中に毛髪切断装置102が対象によってどのように動かされるかを決定するために使用されることができ、位置情報と組み合わせて、加速度データは、規定された各身体部分領域内で加速度計(即ち、毛髪切断装置)が前後に何回動いたかのインジケーションを提供することができる。従って、処理ユニット108は、加速度データ及び取得した位置データに基づき、決定された身体部分領域内の対象の皮膚にわたり毛髪切断装置102で行われるパスの回数を決定するよう構成され得る。
【0049】
処理ユニット108は、皮膚上で行われたパスの数に基づき、切断要素が決定された身体部分領域内にあるときに毛髪切断装置に適用される動作パラメータを決定するように更に構成され得る。例えば、切断要素が皮膚上で前後に複数回移動される(例えば、20回パスを行う)と決定される場合、処理ユニット108は、その身体部分領域の毛髪がより少ないパスで切断され得るよう動作パラメータが適用又は調整されるべきであることを決定することができる。
【0050】
いくつかの実施形態において、処理パス密度マップは、各規定された身体部分領域内の決定されたパス数に基づき作成され得る。斯かるマップは、処置要素により行われるパスの数が、異なる身体部分領域でどのように変化するかを数値的又は視覚的に示すことができる。平均処理パス密度は、いくつかの実施形態において、規定された身体部分領域ごとに決定されることができ、平均処理速度を算出するのに、規定された身体部分領域ごとの平均処理パス密度が用いられることができる。平均処理速度は、加速度データから決定されることができる、切断要素により移動された相対距離と、各規定された身体部分領域の位置及び面積の知識とに基づき算出されることができる。従って、毛髪切断装置102が加速度計を備える実施形態では、処理ユニット108は、加速度データに基づき、決定された身体部分領域内の対象の皮膚にわたる毛髪切断装置102の平均運動速度を決定するように更に構成され得る。いくつかの例では、処理ユニット108は、所定の身体部分領域内の対象の皮膚にわたる毛髪切断装置102の切断要素の平均運動速度を決定し得る。処理ユニット108は、平均運動速度に基づき、切断要素が決定された身体部分領域内にあるときに毛髪切断装置に適用される動作パラメータを決定するように更に構成され得る。例えば、シェービング装置の刃の回転速度は、特定の身体部分領域内の対象の皮膚にわたるシェービング装置の平均運動速度を決定することに基づき調整され得る。
【0051】
いくつかの実施形態では、性能スコアは、毛髪切断装置102の切断要素の面積カバー率、特定の身体部分領域内で切断要素が費やした時間の量、その身体部分領域内での切断要素の平均運動速度、及び基準値に基づき、各規定された身体部分領域に関して算出され得る。身体部分領域内の切断要素の面積カバー率は、加速度計からの加速度データ又は慣性測定ユニットを用いて取得されたデータに基づき計算され得る。この場合の基準値は、過去の記録データに基づく、その特定の身体部分領域に関する平均値又は最適値を有する。毛髪切断装置102に適用される動作パラメータは、対応する性能スコアに基づき、各身体部分領域に対して決定されてもよい。
【0052】
システム100の様々な要素を用いて取得された履歴データは、毛髪切断装置102に適用される動作パラメータを決定する際に、処理ユニット108により使用され得る。記憶ユニット110は、(例えば、ローカライゼーションユニット104及びタイマーユニット106をそれぞれ用いて取得される、又は対象により行われた複数の毛髪切断活動にわたって毛髪切断装置102が取得した)位置データ及び時間データを記憶するよう構成され得る。こうして、対象が毛髪切断装置102を使用して毛髪切断活動を行う度に、記憶ユニット110にデータが記憶されることができる。いくつかの例では、各毛髪切断活動中及び/又は各場所で使用される動作パラメータのインジケーションが、記憶ユニット110に格納されることができる。処理ユニット108は、複数の毛髪切断活動にわたって記憶されたデータに基づき、最適な動作パラメータを決定するよう構成され得る。例えば、その処理ユニット108は、過去3回の毛髪切断活動中に取得されたデータを分析し、それらの活動に基づき最適な動作パラメータを決定することができる。最適な動作パラメータは、対象が行う次の毛髪切断活動のために、毛髪切断装置102に適用され得る。動作パラメータは、数回(例えば3回)の毛髪切断活動の過程にわたり、動作パラメータを表す値が特定の値に収束する場合に最適であると考えられることができる。例えば、動作パラメータにおける段階的な変化が、特定の身体部分領域の髪を切断するのに費やされる時間における対応する短縮をもたらす場合、動作パラメータにおける変化は、最適値への収束と考えられることができる。
【0053】
システム100で使用される毛髪切断装置102に基づき、複数の動作パラメータが調整又は適用されることができる。いくつかの例では、毛髪切断装置102に適用される動作パラメータは、上記対象の皮膚に対する上記切断要素の刃の位置、上記切断要素のスピンドルに加わる主軸力、及び切断要素の刃の回転速度、を含むグループから選択される動作パラメータを有し得る。いくつかの例では、複数の動作パラメータが適用されることができる。対象の皮膚に対する切断要素の刃の位置を調整することは、刃と対象の皮膚との間の距離を減少させることを含み、これは、より好適な近接さで髪が切断されることをもたらす。これは、対象が、特定の身体部分領域において、より迅速に所望の近接切断を実現することをもたらす。いくつかの毛髪切断装置では、切断要素のスピンドルに加えられる主軸力を変化させることが、切断要素の刃の位置が切断要素のキャップに対して変化することをもたらす。使用時、キャップは刃とユーザの皮膚との間に位置し、主軸力を上げることは、刃がキャップに一層近づくことをもたらし、これにより、刃の有効性が改善される。主軸力を変えることは、スピンドルに加えられる力を調整するための起電力駆動をもたらすか、及び/又は形状記憶合金要素に熱を加えて膨張させ、スピンドルに加えられる力を増加させることで実現されることができる。いくつかの例では、切断要素の刃の回転速度を上げることが、毛髪がより早く切断されることをもたらす。
【0054】
以下の表1は、本書に開示されるシステム100の要素を用いて取得されたデータから算出される、毛髪切断効率に基づき毛髪切断装置102の動作パラメータを変化させる方法の一例を示す。
【表1】
【0055】
毛髪切断効率は、毛髪切断装置102が1秒間に処理する面積の観点から規定されることができ、測定された効率に基づき、性能スコアが付与され得る。各性能スコアのクラス定義は、毛髪切断効率に基づき、領域をシェービングすることに関し予測される困難さのインジケーションを与える。各可能な性能スコアに基づき毛髪切断装置102に適用される動作パラメータは、表1の右側の列に示される。
【0056】
本発明の更なる態様は、方法に関する。
図3は、方法300の一例のフローチャートである。方法300は、コンピュータ実現による方法を有することができ、毛髪切断装置102のような毛髪切断装置の動作パラメータを決定する方法であると考えられることができる。方法300は、ステップ302において、毛髪切断装置を用いて毛髪が切断される対象の身体部分に対する毛髪切断装置102の切断要素の位置を示す位置データを取得するステップを含む。位置データは、上述したシステム100のローカライゼーションユニット104を用いて取得されることができる。ステップ304において、方法300は、毛髪切断装置の使用に関連付けられる時間データを取得するステップを含む。時間データは、上述したタイマーユニット106を用いて取得されることができる。方法300は、ステップ306において、位置データ及び時間データに基づき、毛髪切断装置102に適用される動作パラメータを決定するステップを備える。ステップ306は、上述した処理ユニット108を用いて実行されることができる。いくつかの実施形態では、方法300は、決定された動作パラメータを毛髪切断装置102に適用するステップを更に含むことができる。
【0057】
切断装置102に適用される動作パラメータに基づき、異なる効果が得られることができる一方、本書に開示されるいくつかの実施形態は、特に、対象の領域(例えば、対象の身体部分の領域)を特定することにより、毛髪切断活動を行うのにかかる時間を減らすことを目的とする。ここで、毛髪切断装置のパラメータを調整することにより、対象の毛髪を切断するのに要する時間が短縮されることができる。こうして、動作パラメータを決定するステップは、対象の髪がより速く切断されるよう、毛髪切断装置102に適用される動作パラメータを決定するステップを含んでよい。
【0058】
方法300の1つ又は複数のステップは、処理ユニット108を使用して実行され得る。いくつかの実施形態によれば、方法300は、本書で議論される処理ユニット108を使用して実行される機能に対応する追加のステップを更に含むことができる。
【0059】
本発明の別の態様は、装置に関する。具体的には、この態様は、毛髪切断装置などのパーソナルケア装置に関する。いくつかの実施形態によれば、上述したシステム100の要素は、毛髪切断装置などの単一の装置に組み込まれることができる。
図4は、毛髪切断装置400の一例の概略図である。毛髪切断装置は、本書で論じられるシステム100の毛髪切断装置102と同様に構成され、又は機能し得る。毛髪切断装置400は、対象の毛髪を切断するための切断要素402を有する。切断要素402は、いくつかの例では、1つ若しくは複数の刃、並びに/又は1つ若しくは複数の線形及び/若しくは回転歯車を有し、本書で論じられるような切断要素を有する。毛髪切断装置400は、対象の身体部分に対する毛髪切断要素402の位置を示す位置データを取得するためのローカライゼーションモジュール404を更に備える。ローカライゼーションモジュール404は、本書で論じられるローカライゼーションユニット104と同様に構成され又は機能することができる。毛髪切断装置400は、毛髪切断装置の使用に関連付けられる時間データを測定するためのタイマーモジュール406を更に備える。タイマーモジュール406は、本書で論じられるタイマーユニット106と同様に構成され又は機能することができる。毛髪切断装置400は、位置データ及び時間データに基づき、毛髪切断装置400に適用される動作パラメータを決定するよう構成されたプロセッサ408を更に備える。毛髪切断装置400は、システム100で使用されることができる。
【0060】
いくつかの実施形態において、毛髪切断装置400は、本書で論じられる他の要素を更に含むことができる。例えば、毛髪切断装置400は、本書で論じたシステム100の記憶ユニット110と同様のものであってもよいし、又は同様に機能する記憶ユニット410を含んでいてもよい。毛髪切断装置400は、いくつかの実施形態において、使用中の毛髪切断装置400の加速度を示す少なくとも加速度データを測定するための、加速度計又は慣性測定ユニット(IMU)412を更に備え得る。毛髪切断装置400は、毛髪切断装置を動作させるための電源(図示省略)及び電源スイッチ414などの他の要素を更に含んでいてもよい。
【0061】
本発明の別の態様は、コンピュータプログラム製品に関する。
図5は、コンピュータ可読媒体504と通信するプロセッサ502の一例を示す概略図である。プロセッサ502は、本書に開示された処理ユニット108及び/又はプロセッサ408と同様に構成され又は機能することができる。様々な実施形態によれば、コンピュータプログラム製品は、非一過性のコンピュータ可読媒体504を含み、コンピュータ可読媒体は、その中に具体化されるコンピュータ可読コードを持ち、コンピュータ可読コードは、適切なコンピュータ又はプロセッサ502による実行時に、コンピュータ又はプロセッサが本書に開示された方法300のステップを実行させられるよう構成される。
【0062】
プロセッサ108、408、502は、本書に記載される態様で装置102、400を制御するよう構成又はプログラムされた1つ若しくは複数のプロセッサ、処理ユニット、マルチコアプロセッサ又はモジュールを有することができる。特定の実現では、プロセッサ108、408、502は、それぞれが、本書に記載の方法の個別又は複数のステップを実行するよう構成される、又は実行するためのものである、複数のソフトウェア及び/又はハードウェアモジュールを含み得る。
【0063】
本書で使用される「モジュール」という用語は、特定の機能を実行するよう構成されたプロセッサ若しくはプロセッサの要素などのハードウェア要素、又はプロセッサにより実行されるときに特定の機能を持つ命令データのセットなどのソフトウェア要素を含むものとして意図される。
【0064】
本発明の実施形態は、本発明を実施するために適合されたコンピュータプログラム、特に担体上又は内のコンピュータプログラムにも適用されることを理解されたい。プログラムは、ソースコード、オブジェクトコード、部分的にコンパイルされた形態などのソース及びオブジェクトコードの中間コード、又は本発明の実施形態による方法の実現に使用するのに適した他の任意の形態とすることができる。斯かるプログラムは、多くの異なるアーキテクチャ設計を持つことができる点も理解されたい。例えば、本発明による方法又はシステムの機能を実現するプログラムコードは、1つ又は複数のサブルーチンに細分化されることができる。これらのサブルーチンの間で機能を分散させる多くの異なる方法が、当業者には明らかであろう。サブルーチンは、自己完結型のプログラムを形成するために、1つの実行可能なファイルにまとめて保存されることができる。斯かる実行可能なファイルは、コンピュータ実行可能な命令、例えば、プロセッサ命令及び/又はインタプリタ命令(例えば、Javaインタプリタ命令)を含むことができる。代替的に、サブルーチンの1つ又は複数又は全てが、少なくとも1つの外部ライブラリファイルに格納され、静的又は動的に、例えば実行時にメインプログラムとリンクされることもできる。メインプログラムは、少なくとも1つのサブルーチンへの少なくとも1つの呼び出しを含む。サブルーチンは、互いに対する関数呼び出しを有することもできる。コンピュータプログラム製品に関する実施形態は、本書に規定する方法の少なくとも1つの各処理段階に対応するコンピュータ実行可能な命令を含む。これらの命令は、サブルーチンに細分化され、及び/又は静的若しくは動的にリンクされ得る1つ又は複数のファイルに格納され得る。コンピュータプログラム製品に関する別の実施形態は、本書に規定するシステム及び/又は製品の少なくとも1つの各手段に対応するコンピュータ実行可能な命令を含んでいる。これらの命令は、サブルーチンに細分化され、及び/又は、静的若しくは動的にリンクされる1つ又は複数のファイルに格納されることができる。
【0065】
コンピュータプログラムの担体は、プログラムを運ぶことができる任意の実体又は装置であり得る。例えば、担体は、例えばCD ROM若しくは半導体ROMなどのROM、又は例えばハードディスクなどの磁気記録媒体などのデータ記憶装置を含むことができる。更に、担体は、電気信号又は光信号などの伝達可能な担体とすることができ、これは、電気若しくは光ケーブルを介して又は無線若しくは他の手段により伝達されることができる。プログラムが斯かる信号で具現化される場合、担体は、斯かるケーブル又は他の装置若しくは手段により構成されることができる。代替的に、担体は、プログラムが埋め込まれた集積回路であってもよく、集積回路は、関連する方法を実行するよう構成され、又は実行に使用される。
【0066】
開示された実施形態への変形は、図、開示、及び添付の請求項の検討から、本書に記載された原理及び技術を実施する当業者により理解及び実施されることができる。特許請求の範囲において、「有する」という語は、他の要素又はステップを除外するものではなく、不定冠詞「a」又は「an」は複数性を除外するものではない。1つのプロセッサ又は他のユニットが、特許請求の範囲に記載された複数の項目の機能を果たすことができる。ある手段が相互に異なる従属請求項に記載されるという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用されることができないことを示すものではない。コンピュータプログラムは、他のハードウェアとともに、又はその一部として供給される光記憶媒体又はソリッドステート媒体などの適切な媒体に格納又は配布されることができるが、インターネット又は他の有線若しくは無線通信システムを介してなど、他の形態で配布されることもできる。特許請求の範囲に記載される任意の参照符号は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。