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▶ 遠藤 加寿美の特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-26
(45)【発行日】2024-10-04
(54)【発明の名称】電動車椅子
(51)【国際特許分類】
   A61G 5/10 20060101AFI20240927BHJP
   A61G 5/04 20130101ALI20240927BHJP
   A61G 5/12 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
A61G5/10 704
A61G5/04 701
A61G5/12 706
A61G5/12 705
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021138422
(22)【出願日】2021-07-19
(65)【公開番号】P2023014953
(43)【公開日】2023-01-31
【審査請求日】2023-01-01
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある。
(73)【特許権者】
【識別番号】520493555
【氏名又は名称】遠藤 加寿美
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 加寿美
【審査官】望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0016627(US,A1)
【文献】特開2014-000264(JP,A)
【文献】特開2021-083571(JP,A)
【文献】特開2008-213568(JP,A)
【文献】米国特許第06738999(US,B1)
【文献】特開平11-009625(JP,A)
【文献】特開2001-333937(JP,A)
【文献】米国特許第09795528(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 5/10
A61G 5/04
A61G 5/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3つの昇降装置を備えた4輪駆動の電動車椅子において、車椅子の座面は使用者の両膝を支える部分(膝置き)と、太ももと臀部を支える部分に分割されていて、そのうち、使用者の両膝を支える部分(膝置き)は、独立して昇降可能な膝置き昇降ユニットを介してベースプレートの前方側上面に取り付けられており、背もたれの角度を倒す動作と連動して膝置きを上昇させることができる機能を備えている。前記電動車椅子の2つ目の昇降装置は、前記ベースプレートの下面と車輪固定部の上面との間に昇降装置(伸昇降機能付きメインシャフト)を備え、この伸昇降機能付きメインシャフト伸縮させることで車椅子の高さ(車輪が地面に着地したまま)を昇降させることができるものである。前記電動車椅子の3つ目の昇降装置は、前記車輪固定部の下面に固定脚昇降シャフトを介して、固定脚が取り付けられている。前記固定脚は2本の棒状の構成であり、地面と平行に接続された重心を安定させ車椅子を支えることができる長さ(左右それぞれ前輪の前方から後輪の後方程度)のもので、固定脚昇降シャフトを伸ばすことで、固定脚が地面に着地し、車輪を含む車椅子全体を地面から持ち上げることができる昇降装置を備えていることを特徴とする電動車椅子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通常は介助の必要な使用者が、介助を受けずに自らトイレで用便することができる電動車椅子に関する。
また、介助の必要な使用者が、介助を受けずに自ら車椅子の車輪清掃ができ、屋内と屋外の両方で使用できる電動車椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、便座を有する電動車椅子に座ったまま下半身の衣服を脱着しそのまま専用トイレで用便をすることができる電動車椅子が提供されている。
また、従来の車椅子は、屋内と屋外とで共用することを特段考慮されたものは見受けらない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5354432号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上述した従来の技術においては、車椅子に応じた専用トイレを必要とするため、使用する場所が限定されたり、健常者と同じトイレを共用したりすることができない。
また、車椅子を屋外で使用したのちに屋内で使用するためには、車輪清掃を行って屋外で車輪に付着した汚れを落とすことが望ましいが、介助の必要な使用者が自ら車輪清掃を行うことは困難である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明では第一の発明として、ベースプレートの前方側上面に取り付けられた膝置きは、使用者の膝部を独立して昇降可能であり、高さを自在に変えることができる昇降装置を備え膝を上昇させるとともに、背もたれの角度を倒すことにより、使用者の両太もも、臀部を座面から離すことができるという手段を採用する。
また、左右の中央から分割された座面は、左右それぞれが複数本の棒状の部材から構成されており、棒状の部材の下部のみ連結されている為、下部の方向のみに折れ曲がることができるシャッター様の構造であり、座面を左右に開くことで、使用者の臀部の下面を便器に向かって開放することができる手段を採用する。
【0006】
また、第二の発明として車椅子本体を車輪ごと地面から持ち上げるための固定脚を有し、前後の車輪の車輪固定部に備えられた伸縮ユニット(固定脚昇降シャフト)を介して接続された固定脚は、車椅子の前輪の前方から、後輪の後方までと同等程度の長さの 長さであり、地面と平行に取り付けられている。伸縮ユニット(固定脚昇降シャフト)を伸ばすことで固定脚を接地させ、車輪を地面から持ち上げるという手段を採用する。
【発明の効果】
【0007】
上記発明によれば、介助の必要な使用者が車椅子に乗ったまま、自ら下半身の衣服を脱着し、用便をすることが可能となる。
また、介助の必要な使用者が車椅子で外出をしたのち、屋内に入る前に自ら車輪を清掃することができるため、介助者がいなくても、清潔な状態で車椅子を屋内に入れることができる。
この結果、通常は介助の必要な使用者が、介助者が居なくても自ら行動できる機会が増え、これまでよりも有意義な生活を送ることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第一の実施例において、例えば図4のような便器上に車椅子を停車させた側面図である。
図2】第一の実施例において、例えば図4のような便器の上に車椅子を停車させ、便座高さまで下降させた側面図である。
図3】第一の実施例において、背もたれ角度下降、膝部上昇により、座面と臀部との間に隙間ができた状態を示す側面図である。
図4】便器(一般的に使用されているのもで可)
図5】第一の実施例において、車椅子本体を上昇させた時の車輪の半分を透過させた、昇降ユニットの側面図である
図6】第一の実施例において、車椅子本体を下降させた時の車輪の半分を透過させた、昇降ユニットの側面図である
図7】第二の実施例において、車椅子の車輪を地面から浮かせた側面図である。
図8】第二の実施例において、車椅子の車輪を地面から浮かせた時の車輪の半分透過させた側面図である。
図9】第一、第二の実施例において、車椅子の通常使用時の状態を示す側面図である。
図10】第一の実施例において、車椅子本体を上昇させた時の昇降ユニット、車輪の図である。
図11】第一の実施例において、車椅子本体を下降させた時の昇降ユニット、車輪の図である。
図12】第二の実施例において、車椅子の車輪を地面から浮かせた時の昇降ユニット、車輪の図である。
図13】第一の実施例において、シャッター様の座面を閉じた図である。
図14】第一の実施例において、シャッター様の座面を左右に開き、臀部を乗せ、便座の高さまで下降した時の図である。
図15】第一、第二の実施例において、車椅子を座れる状態にした時の、上から見た平面図である。
図16】第一の実施例において、例えば図4のような便器上に車椅子を停車させた時の上から見た平面図である。
図17】第二の実施例において、車輪を地面から浮かせた時の車椅子の正面図である。
図18】第一の実施例において、例えば図4のような便器の上に車椅子を停車させ、便座高さまで下降させた正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第一の実施例)
以下、図面を参照して、本発明に係る電動車椅子の第一の実施形態について説明する。
【0010】
図1に示す電動車椅子において、1はベースプレートであり、2a~2dの昇降機能付きメインシャフト受けと結合されている。車輪6a~6dは、車輪固定部4a,4bに固定されており、全て駆動輪である。
図5図6に示すように、昇降機能付きメインシャフト3a~3dは、車輪固定部4a、4bと昇降機能付きメインシャフト受け2a~2dの間に設けられており、昇降機能付きメインシャフト3a~3dを伸縮させることによって、車椅子本体の高さを昇降させることができる。
図3に示すように、背もたれ12は、角度を起こしたり、倒したりすることがでる。膝置き15は、ベースプレート前方側上面に取り付けられた膝置き昇降ユニット14a、14bを伸縮させることで、昇降させる事ができる。また、背もたれ12と連動させることもできる。
図13図14に示すように座面7a、7bは、左右それぞれ下部のみを連結された複数本(例えば3本)の棒状の部材で構成されており、下部のみの方向へ折れ曲がることができるシャッター様の構造であり、座面中央に隙間を開ける際には、棒状の部材が左右に移動するとともに、両外側の棒状の部材が折れ曲がり、中央の棒状の部材のみが座面に残る。太もも、臀部はこの残った座面の棒状の部材で支えることができる。
これにより使用者の臀部の下面を便器に向かって開放することができる。
通常使用時は、図8のように車椅子本体の高さ及び、膝置きは上昇させず、シャッター様の座面は閉じて、背もたれを起こした状態で使用することとする。
【0011】
この電動車椅子を用いて、トイレで用便をする時の手順を説明する。
まず、図1図5のように昇降機能付きメインシャフト受け2a~2dの内部に収納されている昇降機能付きメインシャフト3a~3dを伸ばすことで、車椅子本体の高さを上昇させる。
次に、図3のように背もたれ12の角度を倒す、それと連動、または個別に膝置き昇降ユニット14a,14bを伸ばし膝置き15を上昇させる。そして、図14に示すようにシャッター様の座面7a,7bを左右に開く。
これによって、使用者の臀部と座面との間に空間ができる。この状態で、使用者は自ら下半身の衣服を膝付近まで脱ぐ。
次に、膝置き昇降ユニット14a,14bを縮めて膝置き15を下降させ、背もたれ12の角度を起こす。
図14図16のように、シャッター様の座面7a、7bは、左右に開いた状態でも一部が座面に残るので、臀部は残った座面で支えられる。
この状態で、車椅子を移動させ図1のように便座上で停止させる。
以上により、使用者の臀部を支えたまま、座面の中央に用便をするのに必要な開口部をつくることができる。
次に、昇降機能付きシャフト3a~3dを図6図11のように縮めることで、図2図18のように車椅子本体の高さを便座の高さまで下降させ、用便をする。
用便後、昇降機能付きメインシャフト3a~3dを図1図5図10のように伸ばすことで、車椅子本体の高さを上昇させ、便座以外の所に車椅子を移動させる。
次に、図3のように背もたれ12の角度を倒す。これと連動させて
膝置き昇降ユニット14a,14b伸ばして膝置き15を上昇させ、臀部と座面の間に空間をつくる。この状態で下半身の衣服を着る。
次にシャッター様の座面7a、7bを閉じて図13図15のように座れる状態にするとともに、膝置き昇降ユニット14a、14bを縮めて膝置き15を下降させる。これと連動して背もたれ12の角度を起こす。
【0012】
以上の手順によって、使用者が用便をする際に、使用者が自分で下半身の衣服を脱着して、用便ができる為、介助者に気を使わなく済む。また、介助者の負担が軽減される。
【0013】
(第二の実施例)
次に図面を参照して、本発明に係る電動車椅子の第二の実施形態について説明する。
【0014】
図7図8図12図17において、車輪6a~6dは、車輪取り付け部4a,4bに取り付けられておる。固定脚5a,5bに収納されている固定脚昇降シャフト8a~8dを伸ばすことにより、固定脚5a、5bが地面に接地して、車椅子全体が持ち上がり、車輪を地面から浮かせることができる。
【0015】
この電動車椅子を用いて、外出後の車輪の拭き方の手順を説明する。帰宅後、玄関先にて、まず固定脚昇降シャフト8a~8dを伸ばし固定脚5a、5bを下降させ、固定脚5a、5bを地面に接地させる。さらに固定脚昇降シャフトを伸ばして、固定脚5a、5bを下降させ、車輪6a~6dを地面から浮かせる。
この状態で、例えばブラシを用いて、車輪6a~6dを回転させながら清掃する。
清掃後、固定脚昇降シャフト8a~8dを縮め、固定脚5a、5bを上昇させ、固定脚5a、5bを地面から離して車輪を接地させる。その後は屋内で車椅子を使用することができる。
このように、車輪清掃をすることで、屋内と、屋外の両方での使用が可能になる。
【0016】
以上の第一の実施例、第二に実施例によって、屋内では使用者が介助者の力を借りずトイレで用便を足すなどの日常生活が送ることができる。
また、屋外から屋内に入る際には、車輪清掃を行い屋外で車輪に付着した汚れを落とすことが可能となるため、使用者が一人で外出をすることも可能となる。その結果、通常は介助の必要な使用者が、介助者が居なくても自ら行動できる機会が増え、これまでよりも有意義な生活を送ることができるようになる。
【符号の説明】
【0017】
1 ベースプレート
2a~2d 昇降機能付きメインシャフト受け
3a~3d 昇降機能付きメインシャフト
4a、4b 車輪固定部
5a、5b 固定脚
6a~6d 車輪
7a、7b シャッター様座面
8a~8d 固定脚昇降シャフト
9a、9b 足置き
10 取り付け枠
11 背もたれリクライニング調節部
12 背もたれ
13a,13b 肘置き
14a,14b 膝置き昇降ユニット
15 膝置き
100 便器
101 便器タンク
200 地面,床面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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